JP2003003379A - シート構造体とその製造方法 - Google Patents

シート構造体とその製造方法

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JP2003003379A
JP2003003379A JP2001188452A JP2001188452A JP2003003379A JP 2003003379 A JP2003003379 A JP 2003003379A JP 2001188452 A JP2001188452 A JP 2001188452A JP 2001188452 A JP2001188452 A JP 2001188452A JP 2003003379 A JP2003003379 A JP 2003003379A
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impregnating
sheet structure
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Hidesada Kin
秀眞 金
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KOATSU CLOTH KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の人工皮革で必要不可欠とされてきた多
孔質層を省略し、人工皮革の製造コスト低減、最低厚み
低減及び通気性向上を達成すること。 【解決手段】 1デニール以下の極細繊維(又は超極細
繊維)で構成した基布1に、樹脂を含有する多孔質発泡
体を包含させると共に、この基布1の表面に皮革様フィ
ルム層5を熱圧着などにより形成する。皮革様フィルム
層5は、通気性を持たせる場合、図1(a)のように、
皮革様の凹凸表面を反転した凹凸形状の表面を有する転
写紙9の凹凸形状の凹部14にのみフィルム材料15を
充填するように塗布し、この転写紙9を、図1(b)に
示すように、フィルム材料15を塗布した面、即ち図1
(a)で上側の面が基布1の表面に接するように重畳す
ることで形成される。重畳した転写紙9及び基布1は、
ローラ等を使用して押圧加熱され、冷却後、転写紙9が
剥離除去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はシート構造体とそ
の製造方法に係り、特に人工皮革等に使用し得る柔軟性
に優れたシート構造体とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】人工皮革、合成皮革等は、通常、織物又
は不織布の基布の上に多孔質層を形成し、その表面を天
然皮革と同じような色や形状に加工することにより製造
されている。図4は、従来の人工皮革の断面構成を例示
している。この人工皮革30は、通気性の基布31と、
基布31上に形成され皮革様の凹凸表面を有する通気性
の多孔質層32とによって構成される皮革基材33を有
している。皮革基材33上には、接着層34を介してウ
レタンレジンを含有するフィルム層35が積層され、フ
ィルム層35には皮革様の凹凸表面が形成されている。
【0003】このような人工皮革30は、一般的に図5
(a)〜(c)に示す製造方法により製造されている。
即ち、金属製のローラ36によって送出される転写紙3
9上にフィルム層35となるフィルム材料38が供給さ
れる。転写紙39は皮革様の凹凸表面を反転した凹凸形
状を有している。ローラ36上には所定の間隔を空けて
ブレード37が設けられ、このブレード37によって転
写紙39上にフィルム材料38が塗布される。これを乾
燥させることにより、同図(b)に示すように、転写紙
39上に皮革様の凹凸形状を有するフィルム層35が得
られる。次に、フィルム層35上に接着剤34が塗布さ
れ、同図(c)に示すように、この接着剤34が皮革基
材33の多孔質層32上に接するように重畳され、転写
紙39を剥離することにより、図4の人工皮革30が得
られる。
【0004】図4に示す人工皮革では、接着剤34及び
フィルム層35は通気性がないため、革靴等として使用
した場合、天然皮革に比較して蒸れるという問題点があ
る。また、フィルム層35の主たる成分はウレタン樹脂
であるため硬く、天然皮革のような柔らかい風合いが得
られないという問題点がある。
【0005】そこで本願出願人は、特許第295484
7号で、天然皮革と同様の通気性及び柔軟性を具備し、
靴などに使用した場合にも天然皮革と同様の使用感を得
ることができる図6の断面構造の人工皮革40を既に提
案している。同図で31は基布、32は多孔質層、33
は皮革基材、43は皮革様フィルム層、44は凸部、4
5は凹部である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6の
人工皮革40でも、従来の人工皮革と同様の皮革基材3
3を使用している。皮革基材3は、通常、ポリウレタン
スポンジを絡ませた不織布からなる通気性の基布31
と、基布31上に形成されたポリウレタンレジンを含有
する通気性の多孔質層32とによって構成されるが、多
孔質層32はフィルム層35の良好な圧着仕上げ状態を
得るために必要不可欠なものとされてきた。
【0007】この多孔質層32の原料となるコンパウン
ド液は、通常、ベースレジンを含有したエマルジョン又
はディスパージョンに、分散剤、整泡剤、充填剤、発泡
助剤、増粘剤弾性付与剤、架橋剤等を必要に応じて添加
して調製される。そしてこのコンパウンド液を高速撹拌
装置を用いて発泡させ、ドクターナイフコーターを用い
て基布1上に所定の厚さに連続的に塗布し乾燥させて多
孔質層を形成するのである。
【0008】このように、多孔質層32を形成するには
多くの工程が必要であり、人工皮革30又は40の製造
コストに占める割合は決して少なくなかった。また、多
孔質層32があるために人工皮革30又は40の最低厚
さ(人工皮革40の場合は通気性も)に制約があり、フ
ァッション用途等での需要が期待される極薄人工皮革を
実現する上で大きな障害となっていた。
【0009】本発明は、このような問題点を解決すべく
創案するに至ったもので、従来の人工皮革で必要不可欠
とされてきた多孔質層を、フィルム層の良好な圧着仕上
げ状態を確保したうえで省略し、もって人工皮革の製造
コストの低減と最低厚みの低減を達成することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のシート構造体
は、樹脂を含有する多孔質発泡体を基布に包含させると
共に、前記基布の表面に皮革様フィルム層を形成したも
のである。本発明は特に、1デニール以下の極細繊維
(又は0.01デニール以下の超極細繊維)で構成した
基布に、樹脂を含有する多孔質発泡体を包含させ、この
基布の表面に皮革様フィルム層を形成するとよい。極細
繊維(又は超極細繊維)は、例えば、断面が海島構造の
公知のポリエステル複合繊維などを所定倍に延伸及び切
断することで容易に得られる。
【0011】1デニール以下の極細繊維(又は0.01
デニール以下の超極細繊維)で構成した基布は、不織布
でも織物でも本来的に柔軟であり、特にナイロンの場合
その表面性状は非常に滑らかである。このような基布に
多孔質発泡体を包含させることにより、十分な通気性を
有し、かつ、皮革様フィルム層の圧着にも適した柔軟で
滑らかな「床」が形成される。この「床」の表面に皮革
様フィルム層を形成することにより、見栄えのよい極薄
人工皮革が出来上がる。このような人工皮革は多孔質層
がないので、最低厚みを低減できることは勿論のこと、
多孔質層の製造工程が省略できるので製造コストの大幅
低減が可能となる。
【0012】前記皮革様フィルム層は、基布の表面に熱
圧着にて一体化するか、或いは通気性を必要としない用
途では接着剤を介して一体化することができる。また、
前記皮革様フィルム層を従来公知の方法(前述特許第2
954847号)で微細孔付きフィルム層とすることに
より、通気性のある極薄人工皮革が出来上がる。皮革様
フィルム層は微細孔のないものとしてもよく、この場合
は基布に対して熱圧着又は接着剤で貼付ける。
【0013】前記多孔質発泡体は、気泡径が20〜25
0μmの範囲の連続気泡で構成するのが望ましい。この
ような比較的大きな連続気泡は、例えば、少なくともベ
ースレジンを含有する含浸液を発泡させてなる発泡含浸
液を、基布に含浸させて乾燥させることにより形成する
ことができる。このような比較的大きな連続気泡を包含
した基布は、DMF溶液を使用した湿式法で作られた比
較的小さな連続気泡を包含した基布より、格段に優れた
通気性を有する。
【0014】一般的に、人工皮革用に適した高密度でソ
フト仕上げの基布は、ジメチルホルムアマイド(DM
F)の溶剤の中で重合したポリウレタン10%〜15%
のDMF溶液を織物や不織布に含浸させ、これを水に浸
漬してDMFを除去する湿式法により製造されるが、溶
剤として使用されるDMFは毒性が高く、作業上その取
り扱いには注意を要する。また、水に浸漬してDMFを
除去する工程においては、DMFを含有する排水が多量
に生ずるため、この排水を処理するために大規模な設備
が必要となり、その運転にも大きなコストを必要とする
という問題点がある。更に、水への浸漬工程を経るた
め、その後に水分を乾燥させるための乾燥工程が大掛か
りとなり、エネルギーの消費量が非常に大きいという問
題点がある。
【0015】そこで、本願出願人は特許第294777
8号でDMFなどの有機溶剤を全く使用しない多孔質層
の形成方法を提案し、さらに特願2000−11357
3で、同じくDMFなどの有機溶剤を全く使用しない多
孔質発泡体包含の通気性基布の製造方法を提案してい
る。本発明で使用する通気性基布は、後者の技術で製造
可能であり、有機溶剤の前述した問題点を悉く解決する
ことができる。
【0016】前記発泡含浸液の発泡倍率は、含浸液の体
積の1.5〜12倍となるようにするのが望ましい。発
泡倍率が1.5倍より小さいと、得られるシート構造体
が硬くなって皮革用のシートとしては不適切となるし、
発泡倍率が12倍より大きいと、発泡含浸液の含浸量が
少なくなり、十分な効果が得られないからである。
【0017】前記多孔質発泡体は、ジメチルホルムアマ
イド(DMF)の溶剤の中で重合させたポリウレタンの
DMF溶液を前記基布に含浸させた後、当該基布を水に
浸漬して前記DMFを除去する湿式法により形成するこ
とも勿論可能である。
【0018】前記シート構造体の通気度は、基布の種類
変更、前記発泡倍率(1.5〜12倍)の変更及び皮革
様フィルム層の厚み変更などにより、3〜13cm3
cm2/secの範囲で容易に変更できる。通常の天然
皮革の通気度は1.0cm3/cm2/secc以下であ
るから、本発明で使用する基布がいかに優れた通気度を
有するかが分かる。なお、本発明において「通気度」と
は、JISL−1O96に記載されている方法により測
定した数値をいう。
【0019】本発明のシート構造体は、1デニール以下
の極細繊維で構成した基布に、少なくともべースレジン
を含有する含浸液を発泡させた発泡含浸液を含浸させる
含浸工程と、前記発泡含浸液のベースレジンを硬化させ
て前記多孔質発泡体を形成する硬化工程と、前記基布の
表面にポリウレタンフィルムによる皮革様フィルム層を
圧着する工程により製造可能である。硬化後の前記発泡
含浸液と基布は、乾燥工程で乾燥させる。
【0020】この製造方法によればDMF等の有機溶剤
を含んだ排水が生ずることもなく、また、水への浸漬工
程を経ないため、基布自体に含まれている水分は発泡含
浸液に含有されていた水分のみであり、これを蒸発させ
るのに要するエネルギーも少なくて済む。
【0021】多孔質発泡体を包含した基布のフィルム層
を形成する側の前記多孔質発泡体の含浸量を、基布の反
対側よりも多くすることにより、皮革様フィルム層の熱
圧着の強度を向上させることができ、また皮革様フィル
ムの支持基盤が強固になる関係で皮革様フィルムの耐久
性も増大させることができる。
【0022】このようないわゆる片面樹脂リッチの基布
は、発泡含浸液を満たした水平対向の一対の含浸用ロー
ラ間に基布を垂直方向上方から下方にパスさせる工程
と、前記含浸用ローラ間に前記基布を片側の含浸用ロー
ラに巻付けながら上方から下方にパスさせる工程とによ
って製造できる。2回目のパスでは基布の片面にのみ多
孔質発泡体が含浸するので、基布の片面が樹脂リッチと
なる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。なお、本明細書中において、「部」とは質
量に基づく比を表すものとする。
【0023】本発明のシート構造体10は、基布1上に
直接フィルム層5を設けたものである。
【0024】本発明のシート構造体では、図1に示すよ
うに、樹脂を含有する多孔質発泡体を包含した基布1を
使用する。基布1は、望ましくは1デニール以下の極細
繊維或いは0.01デニール以下の超極細繊維で構成す
るとよい。繊維の材質としては各種合繊を使用可能であ
るが、ナイロンの極細繊維又は超極細繊維で構成した基
布1を使用すると特に表面が滑らかとなり見栄えがよ
い。同じ1デニールの極細繊維で構成した基布でも、ナ
イロンはとりわけ表面性状が滑らかである。多孔質発泡
体は連続気泡を有し、この気泡の直径は、基布1の柔軟
性、表面平滑性及び通気性などを適正にする観点から、
20〜250μmの範囲が好適である。
【0025】基布1の種類としては、不織布、織物、編
み物等を用いることができるが、皮革様シート構造体用
には、基布1として不織布又は起毛処理をした織物が好
適である。不織布は、ウォータージェット法、スパンレ
ース法、ニードルパンチ法等によって製造することがで
き、本発明では何れのものも用いることができる。
【0026】本発明のシート構造体10は、図1(a)
及び(b)に示すように、多孔質層を除いて、特許第2
954847号公報に記載の方法と同様にして製造され
る。まず、図1(a)に示すように、皮革様の凹凸表面
を反転した凹凸形状の表面を有する転写紙9の凹凸形状
の凹部14にのみフィルム材料15を充填するように塗
布する。フィルム材料15は、通常、10〜3O%のレ
ジンと、5〜1O%の顔料と、溶剤とを含有している。
【0027】次に、凹部14にフィルム材料15を充填
した転写紙9を、図1(b)に示すように、フィルム材
料15を塗布した面、即ち図1(a)で上側の面が基布
の表面に接するように重畳する。このように重畳した転
写紙9及び基布1は、ローラ等を使用して押圧加熱され
る。この押圧加熱によって転写紙9の皮革様の反転した
凹凸形状が基布1に転写されると同時に、図1(b)に
示すように、基布の転写された凹凸表面の凸部6上にフ
ィルム材料15がフィルム層5として転写される。その
後、転写紙9及びシート構造体10を冷却し、シート構
造体10から転写紙9を剥離することにより、図1
(c)に示す皮革様シート構造体10が得られる。
【0028】この皮革様シート構造体1Oは、樹脂を含
有する多孔質発泡体を包含している。そして、基布1は
凸部6と凹部7による凹凸表面を有し、この凹凸表面の
凸部6上にのみフィルム層5が形成されているので、従
来の多孔質層の省略と相俟って、非常に高い通気性が得
られる。
【0029】基布1に含有される多孔質発泡体は、少な
くともベースレジンを含有する含浸液を発泡させた発泡
含浸液を前記基布1に含浸させて乾燥させることにより
連続気泡として形成される。この気泡の径は前述のよう
に20〜250μmの範囲が好適である。
【0030】発泡含浸液の発泡倍率は、泡前の含浸液の
体積の1.5〜12倍が好ましい。発泡倍率が1.5倍
より小さいと得られるシート構造体が硬くなり、皮革用
のシート構造体としては不適切となるからである。ま
た、発泡倍率が12倍より大きいと、発泡含浸液の含浸
量が少なくなり、十分な効果が得られないので好ましく
ない。
【0031】多孔質発泡体の形成に使用される含浸液
は、ベースレジン以外に、粘度を上記範囲内に調節する
等のために、整泡剤、発泡助剤、増粘剤、固形分調整の
ための水等を含有していてもよい。また、形成される多
孔質層に弾性を付与する弾性付与剤、ベースレジンを架
橋するための架橋剤等を含有していることが好ましい。
更に必要に応じて、顔料等の皮革様シート構造体の製造
に際して通常使用される種々の添加剤を添加することが
できることは言うまでもない。
【0032】含浸液に含有されるベースレジンとしては
発泡性の良いものが適しており、ポリアクリル酸エステ
ル,ポリメタクリル酸エステル,これらの共重合体等の
アクリル系ポリマー、ポリウレタン、合成ゴム,天然ゴ
ム,ラテックス等のジエン系ポリマー、及びこれらの混
合物を例示することができる。このベースレジンは、エ
マルジョン又はディスパージョンの形態で使用すること
ができる。また、べースレジンは、上記発泡性の観点か
ら、高固形分でTG(ガラス転移温度)が低く、起泡性
が良好で消泡剤の含有量が少ないものが適している。
【0033】含浸液に含有される整泡剤としては、ステ
アリン酸アンモニウム等の長鎖アルキルカルボン酸アン
モニウムを例示することができる。整泡剤の好ましい含
有量は、上記べースレジンの固形分100部に対して、
1〜10部である。
【0034】また、含浸液は発泡助剤を含有していても
よい。発泡助剤としては、例えばジアルキルスルホコハ
ク酸ナトリウムを例示することができる。発泡助剤の含
有量は、上記ベースレジンの固形分1OO部に対して、
0.5〜6部である。
【0035】更に、上記含浸液は、発生した泡を安定化
させるための増粘剤を含有していてもい。好ましい増粘
剤としては、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリ
ル酸を例示することができる。増粘剤の含有量は、上記
ベースレジンの固形分100部に対して、0.5〜3部
である。
【0036】また、上記含浸液には、固形分と粘度の調
整のための水を添加してもよく、水の添加量は、ベース
レジンの固形分1O0部に対して、30〜2O0部の範
囲が好ましい。
【0037】本発明では、ベースレジンが多少なりとも
自己架橋性を有している場合には、時間の経過とともに
硬化するが、硬化が遅いベースレジンを用いる場合には
架橋剤を添加する必要がある。好ましい架橋剤として
は、イソシアネートを例示することができる。架橋剤の
含有量は、上記ベースレジンの固形分100部に対し
て、1.5〜4部である。
【0038】また、用いるベースレジンの性質により、
多孔質発泡体形成後の気泡が押圧によってつぶれて気泡
の壁が互いに付着したままとなり、元の気泡の状態に復
元されない場合には、弾性付与剤を添加することが好ま
しい。弾性付与剤としては、シリコンオイルを例示する
ことができる。弾性付与剤の含有量は、上記ベースレジ
ンの固形分100部に対して、0.2〜1.5部であ
る。
【0039】次に、本発明の通気性基布の製造方法につ
いて説明する。まず、上述のコンパウンド液を調製す
る。ベースレジンを含有するエマルジョン又はディスパ
ージョンに、上述の整泡剤、発泡助剤、増粘剤、水、弾
性付与剤、架橋剤等を必要に応じて添加し、分散不良と
ならないように攪拌して安定な含浸液とする。
【0040】次に、この含浸液を高速攪拌装置を用いて
攪拌して発泡させ、空気をできる限り小さい気泡として
含ませる。発泡倍率(含浸液の体積に対する発泡含浸液
の体積)は最終製品により異なるが、1.5〜12倍が
好ましい。また、発泡させた気泡径は、最終的に20〜
250μmの範囲とするのが望ましい。
【0041】次に、上記で調製した発泡含浸液を基布1
に含浸させる。図2は発泡含浸液を基布1に含浸させる
ための装置の概略構成図である。同図に示すように、ま
ず、ロール20から基布1を供給し、この基布1は補助
ローラ22,23,24及び25によって、2つの含浸
用ローラ26及び27の間に対して垂直下向きに導かれ
る。2つの含浸用ローラ26及び27の間には、前述の
発泡含浸液28が満たされており、この発泡含浸液28
が所定量だけ基布1の両面から含浸されることになる。
2つの含浸用ローラ26及び27の間隙は調節できるよ
うに構成されており、この含浸用ローラ26及び27の
間隙の大きさは、基布1の厚さ、発泡含浸液28の所望
の含浸量等に応じて変更することができる。含浸用ロー
ラ26及び27の間隙を出た基布1は、スチーム発生装
置41によって加熱されて予備加熱が行われ、更にピン
テンタードライヤー42に送り込まれる。ピンテンター
ドライヤー42内では、基布1内に浸された発泡コンパ
ウンド液の硬化による多孔質発泡体の形成と、形成され
た多孔質発泡体の乾燥とが同時に行われる。
【0042】なお、図2の装置では、基布1の両面に発
泡含浸液28を含浸させる場合について説明したが、基
布1の一方の面のみに多くの発泡含浸液28を含浸させ
る場合、すなわち片面樹脂リッチにする場合には、図3
に示す装置を使用することができる。図3では、補助ロ
ーラ25が設けられていない点を除いて図2と同様であ
り、対応する要素には同じ符号が付してある。図3の装
置では、基布1の裏面が一方の補助ローラ25に沿って
発泡含浸液28内に供給されるため、基布1の表面側に
だけ発泡含浸液28が含浸され、裏面側には樹脂が殆ど
含浸されないようにすることができる。なお、図2の装
置で基布1の両面に発泡含浸液28を含浸させ乾燥させ
た後、図3の装置を使用して同じ基布1に再度発泡含浸
液28を含浸させるようにしてもよい。この場合は、基
布1の全体に発泡含浸液28が行き渡り、かつ、片面を
樹脂リッチに仕上げることができる。
【0043】上記では図2及び図3のような装置を用い
る場合について説明したが、本発明はこれに限定される
ものではなく、他の装置を用いて製造することもできる
ことはいうまでもない。
【0044】以上、本発明の実施形態につき説明した
が、本発明は前記実施形態に限定されることなく、種々
の変形が可能である。例えば前記実施形態では図1
(c)のようにシート構造体10に通気性を持たせるた
めにフィルム層5に無数の微細孔を貫通形成したが、通
気性を特に必要としない用途では、フィルム層5を図4
のような孔無しのフィルム層35で形成してもよい。ま
た、前記実施形態では基布1に対して多孔質発泡体を有
機溶剤を使用しない所謂乾式法にて含浸形成したが、有
機溶剤を使用した所謂湿式法にて含浸形成することも勿
論可能である。また、基布1の片面を樹脂リッチに仕上
げる方法としては、前述した図3の装置以外にも、例え
ば、発泡含浸液28を含浸させた基布1を水平方向に所
定時間(所定距離)だけ走行させ、その間の重力作用に
より発泡含浸液28を基布1の下面側に偏在させ、その
後で基布1を乾燥させることで片面樹脂リッチに仕上げ
ることができる。さらに本発明は、1デニール以下の極
細繊維又は0.01デニール以下の超極細繊維により基
布を構成する以外に、数デニール程度の通常太さの繊維
により基布を構成し、その表面に皮革様フィルム層を接
着又は熱圧着にて一体化させてもよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシート構
造体は、1デニール以下の極細繊維で構成した基布に樹
脂を含有する多孔質発泡体を包含させると共に、前記基
布の表面に皮革様フィルム層を形成したので、基布の表
面は滑らかで薄い多孔質発泡体の膜で被覆され、従来の
ような分厚い多孔質層がないにも拘わらず、皮革様フィ
ルムの見栄えがよい極薄の人工皮革を低コストで実現す
ることができる。
【0046】また本発明は、少なくともベースレジンを
含有する含浸液を発泡させてなる発泡含浸液を前記基布
に含浸させて乾燥させることにより多孔質発泡体を形成
することで、従来のDMFなどの有機溶剤を使用した湿
式法による多孔質発泡体形成と比較して排水処理設備が
不要となり、乾燥エネルギーも少なくて済むという効果
が得られる。
【0047】更に本発明は、無数の微細孔を貫通形成し
た皮革様フィルム層を、接着剤を使用せずに多孔質発泡
体を包含した基布の表面に熱圧着することで、天然皮革
を大きく上回る通気性を有する皮革様シート構造体を具
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、本発明のシート構造体の製造
方法を示す断面図、(c)は本発明のシート構造体の断
面図。
【図2】発泡含浸液を基材シートに含浸させるための装
置の概略構成図。
【図3】発泡含浸液を基材シートに含浸させるための他
の装置の概略構成図。
【図4】従来の人工皮革の断面図。
【図5】(a)〜(c)は従来の人工皮革の製造方法を
示す断面図。
【図6】通気性を有する従来の人工皮革の断面図。
【符号の説明】
1 基布 6 凸部 7 凹部 9 転写紙 10 シート構造体 14 凹部 15 フィルム材料 2O ロール 26,27 含浸用ローラ 28 発泡含浸液 30 人工皮革 31 基布 32 多孔質層 33 皮革基材 34 接着層 35 フィルム層 36 金属製ローラ 37 ブレード 38 フィルム材料 39 転写紙 40 人工皮革 41 スチーム発生装置 42 ピンテンタードライヤー

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂を含有する多孔質発泡体を基布に包
    含させると共に、前記基布の表面に皮革様フィルム層を
    形成したことを特徴とするシート構造体。
  2. 【請求項2】 1デニール以下の極細繊維で構成した基
    布に樹脂を含有する多孔質発泡体を包含させると共に、
    前記基布の表面に皮革様フィルム層を形成したことを特
    徴とするシート構造体。
  3. 【請求項3】 皮革様フィルム層を基布の表面に熱圧着
    したことを特徴とする請求項1又は2記載のシート構造
    体。
  4. 【請求項4】 皮革様フィルム層に無数の微細孔を貫通
    形成したことを特徴とする請求項3記載のシート構造
    体。
  5. 【請求項5】 皮革様フィルム層を基布の表面に接着剤
    を介して接着したことを特徴とする請求項1又は2記載
    のシート構造体。
  6. 【請求項6】 多孔質発泡体を、気泡径が20〜250
    μmの範囲の連続気泡で構成したことを特徴とする請求
    項1又は2記載のシート構造体。
  7. 【請求項7】 多孔質発泡体を、少なくともベースレジ
    ンを含有する含浸液を発泡させてなる発泡含浸液を基布
    に含浸させて乾燥させることにより形成したことを特徴
    とする請求項1又は2記載のシート構造体。
  8. 【請求項8】 発泡含浸液の発泡倍率を、含浸液の体積
    の1.5〜12倍となるようにしたことを特徴とする請
    求項7記載のシート構造体。
  9. 【請求項9】 多孔質発泡体を、ジメチルホルムアマイ
    ド(DMF)の溶剤の中で重合させたポリウレタンのD
    MF溶液を基布に含浸させた後、当該基布を水に浸漬し
    て前記DMFを除去する湿式法により形成したことを特
    徴とする請求項1又は2記載のシート構造体。
  10. 【請求項10】 シート構造体の通気度を、3〜13c
    3/cm2/secとしたことを特徴とする請求項1又
    は2記載のシート構造体。
  11. 【請求項11】 皮革様フィルム層を形成する側の基布
    の片面に、多孔質発泡体を高密度に包含させたことを特
    徴とする請求項1又は2記載のシート構造体。
  12. 【請求項12】 1デニール以下の極細繊維で構成した
    基布に、少なくともべースレジンを含有する含浸液を発
    泡させた発泡含浸液を含浸させる含浸工程と、前記発泡
    含浸液のベースレジンを硬化させて前記多孔質発泡体を
    形成する硬化工程と、前記基布の表面にポリウレタンフ
    ィルムによる皮革様フィルム層を圧着する工程とを有す
    ることを特徴とするシート構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】 発泡含浸液を満たした水平対向の一対
    の含浸用ローラ間に基布を垂直方向上方から下方にパス
    させる工程と、前記含浸用ローラ間に前記基布を片側の
    含浸用ローラに巻付けながら上方から下方にパスさせる
    工程とによって、皮革様フィルム層を形成する側の基布
    の片面に、多孔質発泡体を高密度に含浸させるようにし
    たことを特徴とする請求項12記載のシート構造体の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 硬化後の発泡含浸液と基布を乾燥させ
    る乾燥工程を含むことを特徴とする請求項12又は13
    記載のシート構造体の製造方法。
  15. 【請求項15】 1デニール以下の極細繊維で構成した
    基布に、ジメチルホルムアマイド(DMF)の溶剤の中
    で重合させたポリウレタンのDMF溶液を含浸させる含
    浸工程と、前記基布を乾燥させる工程と、前記基布を水
    に浸漬して前記DMFを除去する工程と、前記基布の表
    面にポリウレタンフィルムによる皮革様フィルム層を圧
    着する工程とを有することを特徴とするシート構造体の
    製造方法。
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