JP2003002885A - ベンゾイル誘導体の製造方法 - Google Patents

ベンゾイル誘導体の製造方法

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JP2003002885A
JP2003002885A JP2001189841A JP2001189841A JP2003002885A JP 2003002885 A JP2003002885 A JP 2003002885A JP 2001189841 A JP2001189841 A JP 2001189841A JP 2001189841 A JP2001189841 A JP 2001189841A JP 2003002885 A JP2003002885 A JP 2003002885A
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titanium
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JP2001189841A
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English (en)
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Takeshi Masagaki
武志 正垣
Takao Kakita
孝雄 柿田
Taku Yagi
卓 八木
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Sawai Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Sawai Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベンゾイル誘導体を簡便かつ効率よく製造す
る。 【解決手段】 式(I)で表される化合物と式(II)で
表される有機亜鉛化合物とを反応させて、立体配置を維
持したまま、式(III)で表される化合物を製造する。 【化22】 (式中、R1は水素原子又はアルキル基を示し、R2は水
素原子又はハロゲン原子を示し、mは0以上の整数を示
し、R3及びR4は、同一又は異なって、有機基を示し、
3及びR4は、互いに結合して、置換基を有していても
よい環を形成してもよい。R5は水素原子又はアルキル
基を示し、R6は水素原子又はアルキル基を示し、Xは
ハロゲン原子を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベンゾイル化合物
のベンゾイル位に炭素−炭素結合を生成してベンゾイル
誘導体(例えば、ベラプロスト中間体)を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ベラプロストは、アラキドン酸からエン
ドパーオキシドを経由して動脈壁にて生合成されるプロ
スタグランジンI2の誘導体である。ベラプロストは、
強力な血小板凝集作用及び末梢血管の拡張作用を有する
ため、抗血栓剤などの医薬品として使用されている。こ
のようなベラプロストを合成するためには、その製造工
程の中で、ベンジル位やベンゾイル位の増炭が必要であ
る。
【0003】特開昭58−124778号公報には、ベ
ラプロスト及びその製造方法が開示されている。この文
献では、ベラプロスト中間体のベンジル位を増炭するた
めに、ベンジル位をハロゲン化し、グリニャール試薬に
変換した後、銅化合物を触媒としてβ−プロピオラクト
ンと反応させて増炭しているが、収率が充分でない。ま
た、“Journal of Organic Chemistry,53,3134-3140,19
88”にも、有機金属のマグネシウムを用いた反応におい
て、ベンジル位における有機金属反応の制御が困難なこ
とが開示されている。さらに、有機金属塩を調製するに
は強力な塩基性条件を必要とするため、基質が限定され
る場合が多い。
【0004】一方、ベンゾイルの増炭方法として、“Jo
urnal of Organic Chemistry,53,1343-1344,1988”に
は、チタン触媒の存在下、有機亜鉛化合物を用いて、ベ
ンズアルデヒドやブチルアルデヒドを増炭する方法が開
示されている。しかし、ベラプロストのような立体配置
を有する化合物(特に、複雑な構造を有する化合物)に
おけるベンゾイル位の増炭方法については開示されてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ベンゾイル誘導体を簡便かつ効率よく製造する方法
を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、ベラプロスト中間体
などの生理活性物質として有用なベラプロスト中間体
を、立体配置を維持したまま、高い収率で工業的に有利
に製造できる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討の結果、特定の有機亜鉛化合
物を用いて反応を行うことにより、複雑な構造を有して
いても、ベンゾイル誘導体を簡便かつ効率よく生成でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明のベンゾイル誘導体の製
造方法は、式(I)
【0009】
【化13】
【0010】[式中、R1は水素原子又はアルキル基を
示し、R2は水素原子又はハロゲン原子を示し、mは0
以上(特に0〜2)の整数を示し、R3及びR4は、同一
又は異なって、有機基を示し、R3及びR4は、互いに結
合して、置換基を有していてもよい環を形成してもよ
い]で表される化合物と、式(II)
【0011】
【化14】
【0012】[式中、R5は水素原子又はアルキル基
(特にメチル基)を示し、R6は水素原子又はアルキル
基(特にC1-3アルキル基)を示し、Xはハロゲン原子
を示す]で表される有機亜鉛化合物とを反応させて、式
(III)
【0013】
【化15】
【0014】(式中、R2〜R5及びmは前記に同じ)で
表される化合物を製造する。
【0015】前記化合物(I)は、式(Ia)又は式(Ib)で
表される化合物であってもよい。
【0016】
【化16】
【0017】(式中、R1〜R4は前記に同じ)
【0018】
【化17】
【0019】(式中、R1及びR2は前記に同じ) 前記製造方法において、チタン触媒の存在下で反応を行
ってもよい。
【0020】本発明には、前記方法で得られた化合物(I
II)を、強酸及び式(IV) R7OH (IV) (式中、R7は水素原子又はアルキル基を示す)で表さ
れる化合物を含む溶液中で処理して、式(V)
【0021】
【化18】
【0022】(式中、R2、R5、R7及びmは前記に同
じ)で表される化合物を製造する方法も含まれる。
【0023】本発明には、前記方法で得られた化合物
(V)を水素添加して、式(VI)
【0024】
【化19】
【0025】(式中、R2、R5、R7及びmは前記に同
じ)で表される化合物を製造する方法も含まれる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明では、前記式(I)で表さ
れる化合物と、前記式(II)で表される有機亜鉛化合物
とを反応させて、前記式(III)で表される化合物を製造
する。
【0027】[化合物(I)]化合物(I)において、
1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチ
ル基等のC1-6アルキル基(特にC1-4アルキル基)等が
挙げられる。R1は、通常、水素原子、又はメチル基や
t−ブチル基等のC1-4アルキル基である。
【0028】R2で表されるハロゲン原子としては、ヨ
ウ素、臭素、塩素、フッ素原子が例示できる。ハロゲン
原子の置換位置は、特に制限されないが、通常、1H−
シクロペンタ[b]ベンゾフラン環の7位の位置であ
る。好ましいハロゲン原子は、塩素又は臭素原子(特に
臭素原子)である。
【0029】R3及びR4における有機基は、特に制限さ
れないが、ヒドロキシル基の保護基である。例えば、メ
チル基、エチル基、t−ブチル基等のC1-4アルキル
基、シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、アリ
ール基(2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキ
ル基(ベンジル基、2,6−ジクロロベンジル基、3−
ブロモベンジル基、2−ニトロベンジル基、4−ジメチ
ルカルバモイルベンジル基、トリフェニルメチル基など
の置換基を有していてもよいベンジル基等)、テトラヒ
ドロピラニル基、トリメチルシリル基、飽和脂肪族アシ
ル基(アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル
基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバ
レリル基、ピバロイル基等)、芳香族アシル基(ベンゾ
イル基、p−フェニルベンゾイル基、フタロイル基、ナ
フトイル基等)、脂環式アシル基(シクロヘキシルカル
ボニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メ
トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキ
シカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、イソブ
トキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、
アラルキルオキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボ
ニル基、メトキシベンジルオキシカルボニル基等)、置
換基を有していてもよいカルバモイル基(カルバモイル
基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、フ
ェニルカルバモイル基等)、ジアルキルホスフィノチオ
イル基(ジメチルホスフィノチオイル基など)、ジアリ
ールホスフィノチオイル基(ジフェニルホスフィノチオ
イル基など)等が例示できる。
【0030】前記R3及びR4は、互いに結合して、置換
基を有していてもよい環を形成していてもよい。すなわ
ち、シクロアルカン環には、少なくとも2つの酸素原子
をヘテロ原子として含む5又は6員複素環(特にジオキ
シン環)が形成されていてもよい。置換基としては、メ
チル基、エチル基、t−ブチル基等のC1-4アルキル基
等が例示できる。そのような化合物としては、例えば、
前記式(I)において、ヒドロキシル基の保護基として
アセタール(例えば、1,1−ジメトキシエタンや1,
1−ジエトキシエタン等)を用いて、環を形成させた前
記式(Ib)で表される化合物であってもよい。
【0031】mは0以上(特に0〜2)の整数であり、
通常、m=1である。
【0032】化合物(I)としては、シクロペンタ
[b]ベンゾフラン骨格を有する前記化合物(Ia)、例え
ば、5−ホルミル−2−エンド−テトラヒドロピラニル
オキシ−1−エキソ−テトラヒドロピラニルオキシメチ
ル−3a,8b−ジヒドロ−3H−シクロペンタ[b]
ベンゾフランなどの5−C1-4アシル−2−エンド−テ
トラヒドロピラニルオキシ−1−エキソ−テトラヒドロ
ピラニルオキシメチル−3a,8b−ジヒドロ−3H−
シクロペンタ[b]ベンゾフランなどや、ジオキシノ−
シクロペンタ[b]ベンゾフラン骨格を有する前記化合
物(Ib)、例えば、7−ホルミル−3−メチル−トランス
−4a−シソイド−4a,5a−シス−5a−1,1
a,5,5a,10b,10c−ヘキサヒドロジオキシ
ノ[5,4−a]シクロペンタ[b]ベンゾフランなど
の7−C1-4アシル−3−メチル−トランス−4a−シ
ソイド−4a,5a−シス−5a−1,1a,5,5
a,10b,10c−ヘキサヒドロジオキシノ[5,4
−a]シクロペンタ[b]ベンゾフランなどが例示でき
る。
【0033】[有機亜鉛化合物(II)]本発明では、有
機亜鉛化合物(II)を化合物(I)と反応させることに
より、高い転化率及び選択率で目的化合物を生成させる
ことができる。特に、光学活性な反応成分を用いても、
立体配置を維持しつつ、目的化合物を生成させることが
できる。
【0034】有機亜鉛化合物(II)において、R5で表
されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の
1- 6アルキル基(特にC1-4アルキル基)等が挙げられ
る。R1は、通常、水素原子、又はメチル基などのC1-4
アルキル基、特に水素原子である。
【0035】R6で表されるアルキル基としては、前記
アルキル基が例示できる。R6としては、メチル基やエ
チル基等のC1-3アルキル基が好ましい。
【0036】Xで表されるハロゲン原子としては、ヨウ
素、臭素、塩素、フッ素原子が例示でき、通常、ヨウ素
や臭素原子(特にヨウ素原子)である。
【0037】有機亜鉛化合物(II)としては、例えば、
3−エトキシ−3−オキソプロピルヨウ化亜鉛、3−メ
トキシ−3−オキソプロピルヨウ化亜鉛、3−エトキシ
−3−オキソプロピル臭化亜鉛、3−メトキシ−3−オ
キソプロピル臭化亜鉛等の3−C1-3アルコキシ−3−
オキソC3-5アルキルハロゲン化亜鉛や、1−メチル−
3−エトキシ−3−オキソプロピルヨウ化亜鉛、1−メ
チル−3−メトキシ−3−オキソプロピルヨウ化亜鉛、
1−メチル−3−エトキシ−3−オキソプロピル臭化亜
鉛、1−メチル−3−メトキシ−3−オキソプロピル臭
化亜鉛等の1−C 1-3アルキル−3−C1-3アルコキシ−
3−オキソC3-5アルキルハロゲン化亜鉛等が例示でき
る。
【0038】これらの有機亜鉛化合物(II)のうち、3
−C1-3アルコキシ−3−オキソC3 -5アルキルハロゲン
化亜鉛、特に3−C1-3アルコキシ−3−オキソC3-5
ルキルヨウ化亜鉛(例えば、3−メトキシ−3−オキソ
プロピルヨウ化亜鉛、3−エトキシ−3−オキソプロピ
ル臭化亜鉛等)が好ましい。
【0039】[チタン触媒]本発明では、チタン触媒の
存在下で前記反応を行うのが好ましい。チタン触媒とし
ては、チタンを含む種々の化合物が例示できる。チタン
を含む化合物は、水素化物、酸化物、硫化物、酸素酸
塩、ホウ化物、炭化物、ケイ化物、窒化物、リン化物等
の無機チタン化合物であってもよいが、チタンのハロゲ
ン化合物や有機チタン化合物が好ましい。チタン触媒
は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0040】チタンのハロゲン化合物としては、例え
ば、二ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、四ヨウ化チタン
等のヨウ化チタン、二臭化チタン、三臭化チタン、四臭
化チタン等の臭化チタン、二塩化チタン、三塩化チタ
ン、四塩化チタン等の塩化チタン、三フッ化チタン、四
フッ化チタン等のフッ化チタン等が例示できる。
【0041】有機チタン化合物としては、例えば、テト
ラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブト
キシチタン、テトライソプロポキシチタン等のテトラC
1-6アルコキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタ
ン、エチルトリイソプロポキシチタン、ブチルトリイソ
プロポキシチタン等のC1-6アルキルトリC1-6アルコキ
シチタン、ジメチルジイソプロポキシチタン、ジエチル
ジイソプロポキシチタン等のジC1-6アルキルジC1-6
ルコキシチタン等が例示できる。
【0042】有機チタン化合物には、有機ハロゲン化合
物も含まれ、有機ハロゲン化合物としては、例えば、メ
チル三塩化チタンなどのC1-6アルキルトリハロチタ
ン、トリイソプロポキシ塩化チタン、トリイソプロポキ
シ臭化チタン等のトリC1-6アルコキシハロチタン、ジ
イソプロポキシ塩化チタン、ジイソプロポキシ臭化チタ
ン等のジC1-6アルコキシジハロチタン等が例示でき
る。
【0043】これらのチタン含有化合物のうち、チタン
の有機ハロゲン化合物、特に、トリC1-6アルコキシハ
ロゲン化チタン(例えば、トリイソプロポキシ塩化チタ
ンなどのトリC2-4アルコキシ塩化チタン)が好まし
い。
【0044】[化合物(III)の製造方法]本発明では、
必要によりチタン触媒の存在下、前記化合物(I)と有
機亜鉛化合物(II)とを反応させて、前記化合物(I)
のベンゾイル位を増炭する。前記化合物(I)と有機亜
鉛化合物(II)との割合(モル比)は、化合物(I)/
有機亜鉛化合物(II)=1/0.5〜1/10、好まし
くは1/0.7〜1/5、さらに好ましくは1/1〜1
/4(特に1/2〜1/3)程度である。
【0045】前記化合物(I)とチタン触媒との割合
(モル比)は、特に制限されないが、化合物(I)/チ
タン触媒=1/0.5〜1/10、好ましくは1/0.
7〜1/5、さらに好ましくは1/1〜1/4(特に1
/2〜1/3)程度である。
【0046】有機亜鉛化合物(II)とチタン触媒との割
合(モル比)は、有機亜鉛化合物(II)/チタン触媒=
1/0.1〜1/10、好ましくは1/0.2〜1/
5、さらに好ましくは1/0.5〜1/2程度である。
【0047】反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行う
ことができる。溶媒は反応の進行を阻害しない限り、特
に制限はなく、例えば、水、アルコール類(メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等)、エステル類
(酢酸エチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチ
ルケトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、ジエチルエーテル等)、ニトリル類(アセトニ
トリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスル
ホキシドなど)、スルホン類(スルホランなど)、脂肪
族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン等)、芳香族炭化水
素(トルエンなど)、含ハロゲン化合物類(塩化メチレ
ン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブ
ロモベンゼン等)を例示できる。これらの溶媒は、混合
溶媒として用いてもよい。
【0048】反応温度は、高温下又は低温下でもよい
が、例えば、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、
さらに好ましくは15〜40℃程度の範囲から選択で
き、通常、室温でよい。
【0049】この反応は、減圧又は加圧下で反応を行っ
てもよいが、通常、常圧で行われる。また、反応は不活
性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等)雰囲気
下で行ってもよい。
【0050】本反応はバッチ式、セミバッチ式及び連続
式のいずれの方法でも行うことができる。
【0051】[化合物(V)の製造方法]このようにし
て得られた化合物(III)は、ベンゾイル位にヘテロ原子
として酸素原子を含む複素環が形成されて増炭してい
る。この化合物(III)を、さらに開環及び脱保護して、
化合物(V)を得ることもできる。
【0052】化合物(V)を得る方法としては、慣用の
開環又は脱保護剤で処理する方法を用いることができ
る。慣用の開環又は脱保護剤としては、例えば、塩基類
(ナトリウム及び液体アンモニアを含む溶液、水酸化ナ
トリウム、ヒドラジン等)、フッ素化合物(液体フッ化
水素など)、ホウ素化合物(酸臭化ホウ素など)、酸類
(トリフルオロメタンスルホン酸やメタンスルホン酸等
のスルホン酸、塩酸などの無機酸、酢酸、ギ酸、トリフ
ルオロ酢酸等のカルボン酸等)等が例示できる。これら
の方法のうち、酸類を含む溶液で処理する方法、特に、
強酸及び前記化合物(III)を含む溶液中で処理(例え
ば、加熱環流)する方法が好ましい。
【0053】強酸としては、例えば、無機酸(塩酸、硫
酸、硝酸等)や、有機酸[スルホン酸類(メタンスルホ
ン酸などの脂肪族スルホン酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸などのハロゲン化脂肪族スルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸
等)、カルボン酸類(トリフルオロ酢酸、モノ、ジ又は
トリクロロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸など)等]が
例示できる。これらの強酸のうち、塩酸などの無機酸、
トリフルオロ酢酸などのカルボン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸などのスルホン酸類が好ましい。
【0054】化合物(IV)において、R7で表されるアル
キル基としては、前記C1-6アルキル基(特にC1-4アル
キル基)等が例示でき、R7は、通常、水素原子又はメ
チル基やエチル基等のC1-4アルキル基(特にC1-2アル
キル基)である。化合物(IV)としては、例えば、水、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール等のC1-4アルコールが例示できる。これらの化合
物(IV)のうち、メタノールやエタノール等のC1-4アル
コールが好ましい。
【0055】強酸と化合物(IV)との割合(重量比)
は、強酸/化合物(IV)=1/99〜3/70、好まし
くは3/97〜20/80、さらに好ましくは5/95
〜15/85程度である。
【0056】反応温度は、0〜200℃、好ましくは3
0〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃程度の
範囲から選択できる。この反応は、減圧又は加圧下で反
応を行ってもよいが、通常、常圧で行われる。
【0057】[化合物(V)の水素添加方法]このよう
にして得られた化合物(V)は、ベンゾイル位に導入さ
れた複素環が開環し、R3及びR4で表される有機基(保
護基)が脱保護されている。この化合物(V)を、さら
に水素添加して、化合物(VI)を得ることもできる。水
素添加(水添)の方法としては、慣用の水添方法を用い
ることができ、例えば、水添触媒の存在下、1〜5at
m(特に1.5〜4atm)程度の水素ガスを導入して
もよい。
【0058】水添触媒としては、慣用の触媒を使用で
き、例えば、ニッケル触媒(還元ニッケル、酸化ニッケ
ル、ラニーニッケル等)、コバルト触媒(ラニーコバル
トなど)、銅クロム酸化物触媒(亜クロム酸銅など)、
白金触媒(例えば、白金黒、酸化白金、白金炭素等)、
パラジウム触媒(パラジウム黒、酸化パラジウム、パラ
ジウム炭素)等が例示できる。好ましい水添触媒は、パ
ラジウム触媒、例えば、パラジウム炭素(パラジウムを
活性炭に担持させた触媒)である。
【0059】水添反応には、溶媒を用いてもよい。溶媒
を用いる場合には、反応の進行を阻害せず、かつ反応成
分を溶解するものであれば特に制限はない。溶媒として
は、前記化合物(IV)の製造に用いた溶媒と同様の溶
媒、例えば、水やアルコール類(メタノール、エタノー
ル等のC1-4アルコール)などが使用できる。
【0060】反応温度は、0〜200℃、好ましくは1
0〜150℃、さらに好ましくは20〜120℃程度の
範囲から選択できる。この反応は、減圧又は加圧下で反
応を行ってもよいが、通常、常圧で行われる。
【0061】前記化合物(III)の製造工程と、前記化合
物(V)の製造工程とを連続して行う場合は、得られた
化合物(III)を単離して、化合物(V)の製造工程に供
することも可能であるし、系中で生成した化合物(III)
をそのまま化合物(V)の製造工程に供することもでき
る。
【0062】前記化合物(V)の製造工程と、前記化合
物(VI)の製造工程(水添工程)とを連続して行う場合
は、得られた化合物(V)を単離して、水添工程に供す
ることも可能であるし、系中で生成した化合物(V)を
そのまま水添工程に供することもできる。
【0063】特に、本発明の方法では、ベンゾイル位の
増炭工程から水添工程に至るまで、出発原料の立体配置
を維持することができ、例えば、出発原料である光学活
性な化合物(I)から、立体配置を維持したまま、化合
物(III)(V)(VI)を得ることができる。
【0064】反応終了後、生成物の単離にあたっては、
慣用の分離精製手段、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽
出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等
の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により容易
に分離精製できる。
【0065】このようにして得られた化合物(III)(V)
(VI)は、ベラプロストの中間体又は前駆体として有用で
ある。例えば、5−メトキシカルボニルプロピル−2−
エンド−ヒドロキシ−1−エキソ−ヒドロキシメチル−
3a,8b−ジヒドロ−3H−シクロペンタ[b]ベン
ゾフランなどの5−C1-4アルコキシカルボニルC1-4
ルキル−2−エンド−ヒドロキシ−1−エキソ−ヒドロ
キシメチル−3a,8b−ジヒドロ−3H−シクロペン
タ[b]ベンゾフランは、ベラプロストの前駆体として
使用することができる。ベラプロストは、強力な血小板
抑制作用及び末梢血管の拡張作用に基づく血圧降下作用
や、胃粘膜細胞保護作用及び胃液分泌抑制作用を有して
いる。そのため、例えば、抗潰瘍剤、抗血栓剤、降圧
剤、抗喘息剤等の医薬品として有用である。化合物(II
I)(V)(VI)からベラプロストを製造する方法について
は、慣用の方法を使用でき、例えば、特開昭58−12
4778号公報に開示されている方法を使用できる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、ベンゾイル誘導体を簡
便かつ効率よく製造できる。また、複雑な構造を有して
いても、立体配置を維持したまま、ベンゾイル化合物の
ベンゾイル位に炭素−炭素結合を簡便かつ効率よく生成
できる。従って、ベラプロスト中間体などの生理活性物
質として有用なベンゾイル誘導体を高い収率で工業的に
有利に製造できる。
【0067】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0068】実施例1 アルゴン気流下、1モル/リットルのトリイソプロポキ
シ塩化チタン2.5ml(2.5ミリモル)を乾燥塩化
メチレン5mlに加え、−30℃に冷却した。続いて、
0.45モル/リットルの3−メトキシ−3−オキソプ
ロピルヨウ化亜鉛(IIa1)のベンゼン−N,N−ジメチル
アセトアミド溶液5.6ml(2.5ミリモル)を滴下
し、10分間攪拌した。反応混合物に化合物(Ib1)26
0mg(1ミリモル)を加え、室温で1時間反応した。
反応混合物に1モル/リットルの塩酸水溶液50mlを
加え、酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を水5
0ml、飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥後溶媒を留去した。得られたオイル状物質を
シリカゲルカラム(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=6
0/40(容積比))で精製すると、無色粘状の化合物
315mgを得た(収率99.6%)。この化合物をシ
リカゲル薄層クロマトグラフィー(移動層:ヘキサン/
酢酸エチル=50/50(容積比))により分析した結
果、Rf=0.50であった。この化合物の赤外スペク
トル、NMRスペクトル及びMSスペクトルを以下に示
す。得られた物性値より、この化合物は、式(IIIa)で表
される構造を有していた。
【0069】IR(ν,cm-1,KBr):1776,1454,1386,1216,1
176,1156,1112,9651 H-NMR(CDCl3,δ,300MHz):1.36ppm(d,3H,J=4.9Hz),1.
77-2.02ppm(m,2H),2.16-2.33ppm(m,1H),2.54-2.80ppm
(m,4H),3.15-3.21ppm(m,1H),3.39-3.50ppm(m,1H),3.74p
pm(t,1H,J=10.7Hz),4.37-4.43ppm(m,1H),4.73ppm(dd,1
H,J=4.9,10.2Hz),5.13-5.22ppm(m,1H),5.56-5.66ppm
(m,1H),6.84-6.91ppm(m,1H,arom-H),7.06-7.09ppm(m,1
H,arom-H),7.14-7.19ppm(m,1H,arom-H) EI-MS(DI,m/z):316(M+,BP)
【0070】
【化20】
【0071】次に、化合物(IIIa)150mg(0.47
ミリモル)に10重量%の塩酸を含むメタノール溶液2
0mlを加え、15時間加熱環流した。さらに、10重
量%パラジウム炭素(50重量%含水物)150mgを
加えて、4時間水素添加した。濾過により反応混合物か
ら触媒を除き、溶媒を留去した。得られた粘状物をシリ
カゲルカラム(移動相:クロロホルム/メタノール=9
5/5(容積比))で精製すると、白色固体の化合物1
32mgを得た(収率91.3%)。この化合物(VIa1)
をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(移動層:クロロ
ホルム/メタノール=95/5(容積比))により分析
した結果、Rf=0.35であった。この化合物の融
点、赤外スペクトル、NMRスペクトル及びMSスペク
トルを以下に示す。得られた物性値より、この化合物
は、式(VIa1)で表される構造を有し、かつベラプロスト
中間体として有用な化合物であった。
【0072】mp58.9-60.2℃ IR(ν,cm-1,KBr):3307,2963,1729,1439,1261,1177,106
7,10271 H-NMR(CDCl3,δ,300MHz):1.86-2.21ppm(m,4H),2.32pp
m(t,2H,J=7.7Hz),2.54-2.64ppm(m,3H),3.39-3.44ppm
(m,1H),3.65ppm(s,3H,OCH3),3.79ppm(dd,1H,J=8.0,10.
4Hz),3.96ppm(dd,1H,J=5.5,10.4Hz),4.13ppm(dd,1H,J
=6.6,14.3Hz),5.10-5.16ppm(m,1H),6.79ppm(dd,1H,J=
7.4Hz,7.4Hz,arom-H),695ppm(d,1H,J=7.4Hz,arom-H),
7.02ppm(d,1H,J=7.4Hz,arom-H) EI-MS(DI,m/z):306(M+),232(BP)
【0073】
【化21】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C037 UA07 4C071 AA01 AA08 BB01 CC13 EE05 FF16 GG01 JJ06 KK14 LL01 4H039 CA19 CA42 CB10 CH10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子又はアルキル基を示し、R2は水
    素原子又はハロゲン原子を示し、mは0以上の整数を示
    し、R3及びR4は、同一又は異なって、有機基を示し、
    3及びR4は、互いに結合して、置換基を有していても
    よい環を形成してもよい)で表される化合物と、式(I
    I) 【化2】 (式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水
    素原子又はアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示
    す)で表される有機亜鉛化合物とを反応させて、式(II
    I) 【化3】 (式中、R2〜R5及びmは前記に同じ)で表される化合
    物を製造する方法。
  2. 【請求項2】 式(II)において、R5が水素原子又は
    メチル基であり、R6がC1-3アルキル基であり、かつX
    がハロゲン原子である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 化合物(I)が、式(Ia) 【化4】 (式中、R1〜R4は前記に同じ)又は式(Ib) 【化5】 (式中、R1及びR2は前記に同じ)で表される化合物で
    ある請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 チタン触媒の存在下で反応を行う請求項
    1記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の方法で得られた化合物(I
    II)を、強酸及び式(IV) R7OH (IV) (式中、R7は水素原子又はアルキル基を示す)で表さ
    れる化合物を含む溶液中で処理して、式(V) 【化6】 (式中、R2、R5、R7及びmは前記に同じ)で表され
    る化合物を製造する方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の方法で得られた化合物
    (V)を水素添加して、式(VI) 【化7】 (式中、R2、R5、R7及びmは前記に同じ)で表され
    る化合物を製造する方法。
  7. 【請求項7】 C1-4アルコキシハロゲン化チタンの存
    在下、式(Ib1) 【化8】 で表される化合物と、式(IIa) 【化9】 (式中、R6は前記に同じ)で表される有機亜鉛化合物
    とを反応させて、立体配置を維持したまま、式(IIIa) 【化10】 で表される化合物を製造する方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の方法で得られた化合物(I
    IIa)を、塩酸及びC 1-4アルコールを含む溶液中で処理
    して、式(Va)で表される化合物を製造する方法。 【化11】 (式中、R7は、C1-4アルキル基である)
  9. 【請求項9】 請求項8記載の方法で得られた化合物(V
    a)を水素添加して、式(VIa)で表される化合物を製造す
    る方法。 【化12】 (式中、R7は、C1-4アルキル基である)
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