JP2003002869A - α−ケトアミド類の製造方法 - Google Patents

α−ケトアミド類の製造方法

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JP2003002869A
JP2003002869A JP2001190772A JP2001190772A JP2003002869A JP 2003002869 A JP2003002869 A JP 2003002869A JP 2001190772 A JP2001190772 A JP 2001190772A JP 2001190772 A JP2001190772 A JP 2001190772A JP 2003002869 A JP2003002869 A JP 2003002869A
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ketoamide
amine
carbon monoxide
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JP2001190772A
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English (en)
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Yasuhiro Uozumi
泰広 魚住
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】医薬品、農薬などの生理活性化合物の合成中間
体、ファインケミカル等における合成原料として有用な
α-ケトアミド類の新規な製造方法の提供。特に有機ハ
ロゲン化物と1級アミンをパラジウム触媒の存在下、常
温・常圧程度の一酸化炭素雰囲気という穏和な条件下で
反応させることにより、選択的にα-ケトアミド類を製
造する方法の提供。 【解決手段】有機ハロゲン化物を、パラジウム触媒存在
下で1級アミン、一酸化炭素と反応させる工程におい
て、有機リン化合物及び塩基を共存させることによりα
-ケトアミド類を高選択的に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、農薬など
の生理活性化合物の合成中間体、ファインケミカル等に
おける合成原料として有用なα-ケトアミド類の製造方
法、特に有機ハロゲン化物にパラジウム触媒存在下、一
酸化炭素を挿入するダブルカルボニル化反応により、α
-ケトアミド類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】α-ケトアミド類は、医農薬中間体とし
て有用な化合物であり、それ自身、あるいはその還元体
であるα-ヒドロキシアミド類を部分構造として含んで
いる医薬品類が多く開発されている。α-ケトアミド類
の製造法として、これまでに種々の方法が提案されてい
る。なかでも効率的な合成法として知られているのが、
アリールハロゲン化物のダブルカルボニル化反応による
方法である。すなわちヨードベンゼンやブロモベンゼン
などの有機ハロゲン化物とジエチルアミンなどのアミン
を、パラジウム触媒の存在下で一酸化炭素と反応させる
ことによりダブルカルボニル化反応が進行し、対応する
α-ケトアミド類が得られる(F. Ozawa, H. Soyama, T.
Yamamoto, A. Yamamoto, Tetrahedron Lett., 23, 338
3 (1982);T. Kobayashi, M. Tanaka, J. Organomet. Ch
em., 233, C64 (1982))。この時併せて生成する単純ア
ミドやα-ケト基のイミン化体の副生を抑えるため、一
般にこの工程では、塩基性の強いジフェニルメチルホ
スフィンなどのリン化合物を配位子とするパラジウム触
媒、一酸化炭素として1〜7MPa以上の加圧条件、
アミド源として2級アミンの利用などが行われてき
た。
【0003】例えば、1級アミンを用いて有機ハロゲン
化物のダブルカルボニル化を試みると、反応条件下で生
成物であるα-ケトアミドのα位のカルボニル基と1級
アミンが反応し、シッフ塩基を形成してしまう。そのた
め一般的に1級アミンはダブルカルボニル化反応には利
用できない。例外的にtert-ブチルアミンのような嵩高
い1級アミンがこのイミン化を抑制できることが報告さ
れている(特開昭58-213724)。一方、反応条件につい
ては、tert-ブチルアミンを用いる前記の例を含め、有
意な反応速度と目的物の選択性を実現するため、一酸化
炭素圧2〜7MPa程度の中程度の加圧、及び40〜1
00℃程度の反応条件が必要とされている(例えば、有
機合成化学協会誌, 43, 443 (1985))。そこで、目的に
応じて、より広範な原材料アミンを用い、しかもより穏
和な条件下で製造できる方法の開発が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機ハロゲ
ン化物と1級アミンをパラジウム触媒の存在下、常温・
常圧の一酸化炭素雰囲気という穏和な条件下で反応させ
ることにより、高い選択率かつ高い化学収率でα-ケト
アミド類を製造することができる新規な方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために、パラジウム触媒による有機ハロゲン化
物へのカルボニル化反応において、1級アミンを用いて
α-ケトアミド類を合成する方法について鋭意検討を重
ねてきた。その結果、カルボニル化反応において有機リ
ン化合物と塩基を共存させることにより、一般に中程度
以上の一酸化炭素圧が必要とされているダブルカルボニ
ル化反応が、常圧の一酸化炭素雰囲気下、しかも常温で
反応が進行することを見いだし、本発明に至った。
【0006】すなわち、本発明は、以下の発明を包含す
る。 (1) 下記一般式(a):
【0007】
【化5】
【0008】〔式中、R1はアリール基、アルケニル
基、もしくは複素環式芳香族置換基であり、これらは他
の置換基を有していてもよく、Xはヨウ素、臭素、もし
くはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。〕で表さ
れる有機ハロゲン化物とアミンを、パラジウム触媒の存
在下、一酸化炭素と反応させて、α-ケトアミド類を製
造する工程において、前記アミンが下記一般式(b)
【0009】
【化6】
【0010】〔式中、R2は直鎖状、分岐状、もしくは
環状のアルキル基、もしくはアラルキル基であり、これ
らは他の置換基を有していてもよい。〕で表される1級
アミンであって、有機リン化合物及び塩基を共存させる
ことを特徴とする方法。 (2) 前記アミンが、下記一般式(c):
【0011】
【化7】
【0012】〔式中、R3は直鎖状、分岐状、もしくは
環状のアルキル基、もしくはアリール基であり、これら
は他の置換基を有していてもよい。〕で表される1級ア
ミンである、前記(1)に記載の方法。 (3) 前記有機リン化合物が、下記一般式(d):
【0013】
【化8】
【0014】〔式中、複数のR4は同一でも異なってい
てもよいアリール基であり、これらは他の置換基を有し
ていても良い。〕で表される化合物である、前記(1)
〜(2)のいずれかに記載の方法。 (4) 前記塩基が1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン(DABCO)である、前記(1)〜(3)のいずれ
かに記載の方法。 (5) 有機ハロゲン化物とアミンを一酸化炭素と反応
させる工程を、テトラヒドロフランを含む溶媒中で行う
ことを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記
載の方法。 (6) 有機ハロゲン化物とアミンを一酸化炭素と反応
させる工程における、一酸化炭素の分圧が0.01〜1
MPaである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の
方法。 (7) 有機ハロゲン化物とアミンを一酸化炭素と反応
させる工程における、反応温度が0〜50℃である、前
記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。 (8) 前記一般式(d)で表される有機リン化合物と
パラジウム触媒をそれぞれ独立に用いる代わりに、前記
一般式(d)で表される有機リン化合物を予め配位子と
して含むパラジウム触媒を用いることを特徴とする、前
記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の原料となる有機ハロゲン化物は、特に制限され
ず、目的のα-ケトアミドに対応して適宜選択すること
ができる。本発明の方法は、特に前記一般式(a)で表
される有機ハロゲン化物を出発原料として、対応するα
-ケトアミド化合物を製造する際に好適である。
【0016】前記一般式(a)において、R1はアリー
ル基、アルケニル基、もしくは複素環式芳香族置換基で
あり、これらはそれぞれ、アミノ基、ヒドロキシル基、
カルボキシル基などの活性水素を有する官能基以外の種
々の置換基を有していてもよい。また、Xはヨウ素、臭
素、もしくはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。
【0017】上記R1のアリール基としては、フェニル
基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等を挙げることがで
き、アルケニル基としては、ビニル基、スチレン基等を
挙げることができ、複素環式芳香族置換基としては、フ
リル基、チエニル基、ピリジル基等を挙げることができ
る。また、これらの置換基はさらに他の置換基を有して
いてもよい。
【0018】R1上の他の置換基の代表例としては、ア
ルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、
アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ
基、アシルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、ハロ
ゲン原子、シリル基等が挙げられる。アルキル基として
は、炭素数1ないし20の直鎖状、分岐状、もしくは環
状のアルキル基のいずれでもよく、メチル基、エチル
基、イソプロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、
デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が例示され
る。アルケニル基としては、ビニル基、スチレン基等が
例示される。アリール基としては、フェニル基、α-ナ
フチル基、β-ナフチル基等が例示される。アラルキル
基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニル
プロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基等
が例示される。アルコキシ基としては、炭素数1ないし
20の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基に対
応するアルキルオキシ基のいずれでもよく、メトキシ
基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピル
オキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、
ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、デシルオ
キシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が
例示される。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオ
キシ基、フェニルエチルオキシ基、フェニルプロピルオ
キシ基、フェニルブチルオキシ基、フェニルペンチルオ
キシ基等が例示される。アリールオキシ基としては、フ
ェノキシ基、α-ナフチルオキシ基、β-ナフチルオキシ
基等が例示される。アシルオキシ基としては、アセトキ
シ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ
基、ブチリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が例示さ
れる。ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジ
ニル基等が例示される。アルキルチオ基としては、メチ
ルチオ基、エチルチオ基等が例示され、アリールチオ基
としては、フェニルチオ基、α-ナフチルチオ基、β-ナ
フチルチオ基等が例示される。アルコキシカルボニル基
としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシ
カルボニル基、フェノキシカルボニル基等が例示され
る。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が
例示される。シリル基としてはトリメチルシリル基、ジ
メチルフェニルシリル基等が例示される。
【0019】この一般式(a)で表される有機ハロゲン
化物の具体例として、ヨードベンゼン、ヨードトルエ
ン、ブロモベンゼン、ヨードエチレン、β-ブロモスチ
レン、ヨードチオフェン、ヨードピリジン、トリフルオ
ロメタンスルホン酸フェニル等が挙げられる。
【0020】本発明の方法においては、有機ハロゲン化
物1分子に対して2分子の一酸化炭素が挿入されたα-
ケトアミド類が主生成物として得られるが、1分子の一
酸化炭素しか挿入されないシングルカルボニル化生成物
(カルボン酸アミド)が副生する。このカルボン酸アミ
ドの副生量は、有機ハロゲン化物の置換基の影響を受け
る。すなわち、ハロベンゼンのフェニル基上の置換基効
果としては、電子供与性置換基がα-ケトアミドの選択
性を向上させ、電子吸引性置換基を有する基質ではシン
グルカルボニル化生成物を優先して与える。そのため、
この一般式(a)で表される有機ハロゲン化物の、より
好ましい具体例として、ヨードアニソール、ヨードチオ
アニソール、ヨードベラトロール、ブロモベラトロール
等を挙げることができる。
【0021】本発明に用いる1級アミンの種類は、1級
アミンである以外に特に制限されず、目的のα-ケトア
ミドに対応して適宜選択することができる。本発明の方
法は、特に前記一般式(b)で表される1級アミン類を
出発原料として、対応するα-ケトアミド化合物を製造
する際に好適である。前記一般式(b)において、R2
は直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、もしく
はアラルキル基であり、これらは他の置換基を有してい
てもよい。
【0022】R2の直鎖状、分岐状、もしくは環状のア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル
基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロヘキシ
ル基等が例示される。アラルキル基としては、フェニル
プロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基等
が例示される。また、これらの置換基はさらに他の置換
基を有していてもよい。この一般式(b)で表される1
級アミン類の具体例として、イソプロピルアミン、sec-
ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、tert-ブチ
ルアミン、1-フェネチルアミン等が挙げられる。
【0023】また、本発明の方法は、前記一般式(b)
に該当する化合物のうち、前記一般式(c)で表される
1級アミンを出発原料として、対応するα-ケトアミド
類を製造する際にさらに好適である。
【0024】前記一般式(c)において、R3は直鎖
状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、もしくはアリ
ール基であり、これらは他の置換基を有していてもよ
い。
【0025】R3の直鎖状、分岐状、もしくは環状のア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル
基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、シ
クロプロピル基、シクロヘキシル基等が例示される。ア
リール基としては、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナ
フチル基等が例示される。また、これらの置換基はさら
に他の置換基を有していてもよい。
【0026】この一般式(c)で表される1級アミン類
の具体例として、n-ブチルアミン、イソブチルアミ
ン、ベンジルアミン、2-フェネチルアミン等が挙げられ
る。本発明に用いるパラジウム触媒は、特に制限され
ず、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフ
ルオロ酢酸パラジウム、アセチルアセトナートパラジウ
ム、ジ(μ-クロロ)ビス(η3-アリル)ジパラジウム
等の2価パラジウム塩または錯体、パラジウムブラッ
ク、パラジウム炭素等の金属パラジウム等が代表的であ
る。
【0027】本発明の方法において用いられる前記一般
式(d)で表される有機リン化合物の複数のR4は同一
でも異なっていてもよいアリール基を示し、他の置換基
を有していてもよい。
【0028】R4のアリール基としては、フェニル基、o
-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、メシチル基、ペ
ンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
【0029】この一般式(d)で表される有機リン化合
物の具体例として、トリフェニルホスフィン、トリ-o-
トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-
トリルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリス
(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニル
(p-トリル)ホスフィン等が挙げられる。この中でも、
得られるα-ケトアミドの収率、及び選択性の点から、
トリフェニルホスフィンが好適である。本発明の方法に
おいて用いる前記有機リン化合物は、反応混合物に添加
して用いてもよいし、、また、テトラキス(トリフェニ
ルホスフィン)パラジウム等のようにパラジウム触媒の
配位子として存在していてもよい。本発明において用い
る前記有機リン化合物は、目的のα-ケトアミドに対応
して適宜選択することができる。
【0030】本発明において用いる塩基は、有機塩基ま
たは無機塩基のいずれも使用することができ、このよう
な塩基として、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
(DABCO)、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソ
プロピルエチルアミン、炭酸リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等が例示される。この中でもDABC
Oが最も高い選択性を示すため、好適である。
【0031】また、本発明の方法において、前記反応は
好ましくは液相中で行なわれる。この時、必要に応じて
溶媒を使用することができる。用いられる溶媒としては
特に制限はなく、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水
素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エ
ーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、および水等が有効であ
る。特に、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン11
3等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系
溶媒、あるいはテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル系溶媒が好ましい。テトラヒドロフランが高い選
択性を得る上で特に好ましい。
【0032】反応温度は、適度な反応速度を示し、α-
ケトアミドの選択率が高い点で0〜50℃の範囲が好まし
く、より好ましくは10〜40℃である。また、反応圧力
は、一酸化炭素の分圧として、0.01〜1MPaであれば
よく、常圧で実施可能であるが、必要に応じて窒素等の
不活性ガスで希釈してもよい。
【0033】1級アミンの使用量は、有機ハロゲン化物
1モルに対して1モル〜100モル程度であり、通常3
〜10モル程度の使用が適当であるが、1級アミンを大
過剰に用いて溶媒として使用することを妨げるものでは
ない。パラジウム触媒の使用量は、有機ハロゲン化物の
反応性に応じて適量が設定できるが特に制限はなく、通
常、有機ハロゲン化物に対して10モル%以下、好まし
くは0.5〜5モル%程度である。有機リン化合物の使
用量は、パラジウム触媒の使用量に応じて設定する必要
がある。通常、パラジウム1原子に対してリン1〜3原
子に相当する量の有機リン化合物を用いるのが好まし
い。塩基の使用量は、通常、有機ハロゲン化物1モルに
対して1〜5モル程度であり、3モル当量程度が好まし
い。
【0034】また、反応時間は、通常、1〜24時間程
度であり、逐次、反応混合物のサンプルを採取して、薄
層クロマトグラフィー(TLC)、ガスクロマトグラフィ
ー(GC)等により分析して、反応の進行状況を確認する
ことができる。
【0035】本発明の方法において、以上の反応によっ
て得られる反応混合物から、目的のα-ケトアミド類の
回収、精製は、公知の方法、例えば、遠心分離、ろ過、
水洗等により塩を分離した後、蒸留、吸着による方法、
再結晶等の方法を組み合わせて行うことができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは
ない。 (実施例1) N-ブチルフェニルグリオキシアミドの合
成:ジ(μ-クロロ)ビス(η3-アリル)ジパラジウム
4.6 mg (0.0125 mmol)とトリフェニルホスフィン 13.1
mg (0.05 mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液
(8.3 ml)に、氷浴中、常圧の一酸化炭素雰囲気下でヨー
ドベンゼン 170 mg (0.83 mmol)、DABCO 280 mg (2.5 m
mol)とn-ブチルアミン 183 mg (2.5 mmol)を添加した
後、室温で12時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈
し、希塩酸、続いて飽和塩水で洗浄した後、有機相を硫
酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。ヘキサン
/酢酸エチル溶液を用いて、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーにより精製し、濃縮したところ、目的物 147
mgが得られた(収率 86%)。この時12 mgのシングルカ
ルボニル化生成物(以下、モノカルボニル体と称する)
が副生した(収率 7%に相当)。生成物中の目的物の選
択率は92%であった。
【0037】(実施例2)ジ(μ-クロロ)ビス(η3-
アリル)ジパラジウムとトリフェニルホスフィンの代わ
りに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム(5 mol%)を用いる以外は、実施例1と同様にして反
応を行った。得られたα-ケトアミドの単離収率、副生
したモノカルボニル体の単離収率、α-ケトアミドの選
択率を表1に示す。
【0038】(比較例1)トリフェニルホスフィンの代
わりに、トリブチルホスフィンを用いる以外は、実施例
1と同様にして反応を行った。しかし、ダブルカルボニ
ル化反応、シングルカルボニル化反応とも全く進行せ
ず、原料回収に終わった。
【0039】(実施例3)トリフェニルホスフィンの代
わりに、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dp
pe)を用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行っ
た。得られたα-ケトアミドの単離収率、副生したモノ
カルボニル体の単離収率、α-ケトアミドの選択率を表
1に示す。
【0040】(実施例4〜6)テトラヒドロフランの代
わりに、表1に示す溶媒を用いる以外は、実施例1と同
様にして反応を行った。得られたα-ケトアミドの単離
収率、副生したモノカルボニル体の単離収率、α-ケト
アミドの選択率を表1に示す。
【0041】(実施例7〜8)DABCOの代わりに、
表1に示す塩基を用いる以外は、実施例1と同様にして
反応を行った。得られたα-ケトアミドの単離収率、副
生したモノカルボニル体の単離収率、α-ケトアミドの
選択率を表1に示す。
【0042】(比較例2)DABCOの代わりに、DB
Uを用いる以外は、実施例1と同様にして反応を行っ
た。しかし、ダブルカルボニル化反応はほとんど進行せ
ず(収率<1%)、モノカルボニル体が選択的に得られた
(単離収率72%)。
【0043】(実施例9〜11)n-ブチルアミンの代
わりに、表2に示す1級アミンを用いる以外は、実施例
1と同様にして反応を行った。得られたα-ケトアミド
の単離収率、および選択率を表2に示す。
【0044】(実施例12〜16)ヨードベンゼンの代
わりに、表3に示すヨウ化アリール化合物を用いる以外
は、実施例1と同様にして反応を行った。得られたα-
ケトアミドの単離収率、および選択率を表3に示す。
【0045】(比較例3)ヨードベンゼンの代わりに、
1-ヨード-4-トリフルオロメチルベンゼンを用いる以外
は、実施例1と同様にして反応を行った。しかし、ダブ
ルカルボニル化反応はほとんど進行せず(収率<1%)、
モノカルボニル体が選択的に得られた(単離収率98
%)。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明の方法によれば、有機ハロゲン化
物と1級アミンから、高い選択率かつ高い化学収率でα
-ケトアミド類を製造することができる。しかも、常温
・常圧程度の一酸化炭素雰囲気という穏和な条件で反応
させることができる。このα-ケトアミド類は医薬品、
農薬などの生理活性化合物の合成中間体として有用であ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(a): 【化1】 〔式中、R1はアリール基、アルケニル基、もしくは複
    素環式芳香族置換基であり、これらは他の置換基を有し
    ていてもよく、Xはヨウ素、臭素、もしくはトリフルオ
    ロメタンスルホニル基を示す。〕で表される有機ハロゲ
    ン化物とアミンを、パラジウム触媒の存在下、一酸化炭
    素と反応させて、α-ケトアミド類を製造する工程にお
    いて、前記アミンが下記一般式(b): 【化2】 〔式中、R2は直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキ
    ル基、もしくはアラルキル基であり、これらは他の置換
    基を有していてもよい。〕で表される1級アミンであっ
    て、有機リン化合物及び塩基を共存させることを特徴と
    する方法。
  2. 【請求項2】 前記アミンが、下記一般式(c): 【化3】 〔式中、R3は直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキ
    ル基、もしくはアリール基であり、これらは他の置換基
    を有していてもよい。〕で表される1級アミンである、
    請求項1に記載のα-ケトアミド類の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機リン化合物が、下記一般式
    (d): 【化4】 〔式中、複数のR4は同一でも異なっていてもよいアリ
    ール基であり、これらは他の置換基を有していても良
    い。〕で表される化合物である、請求項1〜2のいずれ
    か1項に記載のα-ケトアミド類の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塩基が1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]
    オクタン(DABCO)である、請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載のα-ケトアミド類の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機ハロゲン化物とアミンを一酸化炭素
    と反応させる工程を、テトラヒドロフランを含む溶媒中
    で行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項
    に記載のα-ケトアミド類の製造方法。
  6. 【請求項6】 有機ハロゲン化物とアミンを一酸化炭素
    と反応させる工程における、一酸化炭素の分圧が0.0
    1〜1MPaである、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載のα-ケトアミド類の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機ハロゲン化物とアミンを一酸化炭素
    と反応させる工程における、反応温度が0〜50℃であ
    る、請求項1〜6のいずれか1項に記載のα-ケトアミ
    ド類の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記一般式(d)で表される有機リン化
    合物とパラジウム触媒をそれぞれ独立に用いる代わり
    に、前記一般式(d)で表される有機リン化合物を予め
    配位子として含むパラジウム触媒を用いることを特徴と
    する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のα-ケトア
    ミド類の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109096139A (zh) * 2018-09-03 2018-12-28 贵州大学 一种α-羰基酰胺衍生物的制备方法
CN115572239A (zh) * 2021-06-21 2023-01-06 中国科学院大连化学物理研究所 一种制备α-酮酰胺化合物的方法

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