JP2003002738A - ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品 - Google Patents

ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品

Info

Publication number
JP2003002738A
JP2003002738A JP2001181450A JP2001181450A JP2003002738A JP 2003002738 A JP2003002738 A JP 2003002738A JP 2001181450 A JP2001181450 A JP 2001181450A JP 2001181450 A JP2001181450 A JP 2001181450A JP 2003002738 A JP2003002738 A JP 2003002738A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide powder
powder
perovskite structure
dielectric ceramic
barium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001181450A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4830216B2 (ja
Inventor
Tadashi Hosokura
匡 細倉
Toshiyuki Miyoshi
利幸 三好
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2001181450A priority Critical patent/JP4830216B2/ja
Publication of JP2003002738A publication Critical patent/JP2003002738A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4830216B2 publication Critical patent/JP4830216B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Inorganic Insulating Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子径が0.2μm以下で、c/a軸比が
1.0033以上と大きく、十分な強誘電性を示す、チ
タン酸バリウム粉末のようなペロブスカイト構造を有す
る酸化物粉末を得る。 【解決手段】 水酸化バリウム粉末のような金属水酸化
物粉末と比表面積が10m2 /g以上の酸化チタン粉末
のような金属酸化物粉末とを混合し、この混合粉末を、
全圧が1×10-2Pa以下の大気雰囲気中において、6
00〜1100℃の温度下で熱処理することによって、
チタン酸バリウム粉末のようなペロブスカイト構造を有
する酸化物粉末を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえばチタン
酸バリウム粉末のようなペロブスカイト構造を有する酸
化物粉末の製造方法、この製造方法によって得られたペ
ロブスカイト構造を有する酸化物粉末、この酸化物粉末
を用いて得られた誘電体セラミック、およびその誘電体
セラミックを用いて構成されたセラミック電子部品に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ペロブスカイト構造を有する酸化物、た
とえば、チタン酸バリウムなどは、コンデンサなどの電
子部品のための誘電体材料として用いられてきた。最
近、このようなペロブスカイト構造を有する酸化物を、
粒子径のより小さな粉末とすることが要望されている。
【0003】たとえば、積層セラミックコンデンサにお
いては、誘電体セラミック層の厚みを薄くすることによ
り、小型かつ大容量化を図っているが、そのためには、
誘電率がより高いだけでなく、粒子径がより小さいチタ
ン酸バリウムのようなペロブスカイト構造を有する酸化
物粉末が必要とされている。
【0004】これまでに、加水分解法や水熱合成法など
の湿式法によって、粒子径が0.2μm以下のチタン酸
バリウム粉末が得られている。また、固相法によって
も、バリウム塩に炭酸バリウムを用いることによって、
粒子径が0.2μm以下のチタン酸バリウム粉末が得ら
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】チタン酸バリウム粉末
を加水分解法や水熱合成法などの湿式法によって製造し
ようとする場合、バリウム塩として水酸化バリウムを用
いることが多い。
【0006】他方、チタン酸バリウムを固相法によって
製造しようとする場合、バリウム塩としては炭酸バリウ
ムを用いることが多い。これは、固体の水酸化バリウム
が、常温常圧では不安定で、大気中の二酸化炭素と反応
して炭酸バリウムになるのに対して、炭酸バリウムは、
常温常圧で安定で、大気中での分解温度が1100℃程
度であるためである。
【0007】固相法による、酸化チタンと炭酸バリウム
とを原料としてのチタン酸バリウムの合成のための反応
過程は複雑である。" Synthesis Reaction of Metatita
nateBaTiO3 " J. of Materials Science 18(1983) 3041
に報告されているように、昇温とともに、まず、原料
の一部で、BaCO3 +TiO2 →BaTiO3 +CO
2 という反応が進行し、その後、BaCO3 +BaTi
3 →Ba2 TiO4+CO2 という反応が進行し、最
後に、Ba2 TiO4 +TiO2 →2BaTiO3 とい
う反応が進行して、目的とするチタン酸バリウムが得ら
れる。
【0008】上述したように、BaTiO3 が形成され
るまでに複雑な反応過程を経るため、完全に反応を終了
させるためには、仮焼すなわち熱処理温度を高く設定す
る必要がある。しかしながら、熱処理温度を高温にする
と、反応とともに、粒成長も進行してしまい、得られた
チタン酸バリウム粉末の粒子径が大きくなってしまう。
【0009】同様の問題が、チタン酸バリウムに限ら
ず、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チ
タン酸鉛、ジルコン酸鉛などのペロブスカイト構造を有
する酸化物の合成、または、これらの混合物や固溶体の
合成においても遭遇する。
【0010】そこで、この発明の目的は、粒子径が小さ
く、かつc/a軸比が大きく、十分な強誘電性を示す、
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法を提
供しようとすることである。
【0011】この発明の他の目的は、上述の製造方法に
よって得られたペロブスカイト構造を有する酸化物粉
末、この酸化物粉末を用いて得られた誘電体セラミッ
ク、およびその誘電体セラミックを用いて構成されたセ
ラミック電子部品を提供しようとすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係るペロブス
カイト構造を有する酸化物粉末の製造方法は、比表面積
が10m2 /g以上の金属酸化物粉末を用意するととも
に、金属水酸化物粉末を用意し、これら金属酸化物粉末
と前記金属水酸化物粉末とを混合し、得られた混合粉末
を、全圧が1×10-2Pa以下の大気雰囲気中におい
て、600〜1100℃の温度下で熱処理する、各工程
を備えることを特徴としている。
【0013】ここで、金属酸化物粉末と金属水酸化物粉
末とは、通常、互いに異なる金属を含むものであり、ま
た、金属酸化物粉末および金属水酸化物粉末としては、
それぞれ、2種類以上のものが用いられてもよい。
【0014】この発明に係るペロブスカイト構造を有す
る酸化物粉末の製造方法のより特定的な実施態様では、
金属酸化物として酸化チタンが用いられ、金属水酸化物
として水酸化バリウムが用いられ、得られたペロブスカ
イト構造を有する酸化物粉末がチタン酸バリウム粉末で
ある。
【0015】この発明は、また、上述のような製造方法
によって合成された、ペロブスカイト構造を有する酸化
物粉末、あるいは、より特定的には、チタン酸バリウム
粉末にも向けられる。
【0016】この発明は、また、上述したペロブスカイ
ト構造を有する酸化物粉末を含む粉末を焼成して得られ
た、誘電体セラミックにも向けられる。より特定的に、
チタン酸バリウム粉末を含む粉末を焼成すれば、チタン
酸バリウム系誘電体セラミックが得られる。
【0017】この発明は、さらに、上述した誘電体セラ
ミックと、誘電体セラミックに関連して設けられた導体
とを備える、セラミック電子部品にも向けられる。
【0018】このセラミック電子部品として、代表的に
は、複数の誘電体セラミック層と、誘電体セラミック層
間の特定の界面に沿って形成された内部導体膜とを含
む、積層体を備える、積層セラミックコンデンサのよう
な積層セラミック電子部品があり、誘電体セラミック層
が上述の誘電体セラミックから構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、この発明が適用されるセ
ラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデ
ンサ1を示す断面図である。
【0020】積層セラミックコンデンサ1は、誘電体セ
ラミックからなる複数の積層された誘電体セラミック層
2を有する積層体3と、この積層体3の第1および第2
の端面4および5上にそれぞれ形成される外部導体とし
ての第1および第2の外部電極6および7とを備えてい
る。
【0021】積層体3の内部には、内部導体膜としての
第1の内部電極8と第2の内部電極9とが交互に配置さ
れる。第1の内部電極8は、第1の外部電極6に電気的
に接続されるように、各端縁を第1の端面4に露出させ
た状態で誘電体セラミック層2間の特定の複数の界面に
沿ってそれぞれ形成され、第2の内部電極9は、第2の
外部電極7に電気的に接続されるように、各端縁を第2
の端面5に露出させた状態で誘電体セラミック層2間の
特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される。
【0022】また、必要に応じて、外部電極6および7
は、それぞれ、Ni、Cu、Ni−Cu合金等からなる
第1のめっき層10および11によって被覆され、さら
に、これら第1のめっき層10および11上に、それぞ
れ、半田、錫等からなる第2のめっき層12および13
が形成されてもよい。
【0023】このような積層セラミックコンデンサ1に
おいて、その積層体3に備える誘電体セラミック層2
が、この発明に係るペロブスカイト構造を有する酸化物
粉末を含む粉末を焼成して得られた誘電体セラミックか
ら構成される。このペロブスカイト構造を有する酸化物
粉末の詳細については後述する。
【0024】また、内部電極8および9を形成するた
め、たとえば、Niを主成分とする導電性ペーストが用
いられる。
【0025】また、外部電極6および7は、たとえば、
2 3 −Li2 O−SiO2 −BaO系ガラスフリッ
トを含有する銀ペーストを塗布し、これを還元性雰囲気
中において焼き付けることによって形成されることがで
きる。
【0026】なお、内部電極8および9ならびに外部電
極6および7のための上述した材料は、特に限定される
ものではない。たとえば、外部電極6および7の形成の
ために、内部電極8および9と同じ材料を用いることも
できる。
【0027】前述した誘電体セラミック層2を構成する
誘電体セラミックを得るために用いられるペロブスカイ
ト構造を有する酸化物粉末は、比表面積が10m2 /g
以上の金属酸化物粉末を用意するとともに、金属水酸化
物粉末を用意し、これら金属酸化物粉末と金属水酸化物
粉末とを混合し、得られた混合粉末を、全圧が1×10
-2Pa以下の大気雰囲気中において、600〜1100
℃の温度下で熱処理することによって製造されることが
できる。
【0028】このようにして得られた酸化物粉末は、熱
処理工程の後、通常、解砕されるが、0.2μm以下の
粒子径を与えることができる。したがって、この酸化物
粉末を用いて得られた誘電体セラミックからなる誘電体
セラミック層2を容易に薄層化することができる。
【0029】また、得られた酸化物粉末の結晶格子のc
/a軸比を1.0033以上とすることができ、十分な
強誘電性を発現させることができ、誘電体セラミック層
2を構成する誘電体セラミックの原材料として好適に用
いることができる。
【0030】上述した金属酸化物粉末としては、典型的
には、酸化チタン粉末が用いられ、金属水酸化物粉末と
しては、典型的には、水酸化バリウム粉末が用いられ、
得ようとするペロブスカイト構造を有する酸化物粉末
は、典型的には、チタン酸バリウムである。
【0031】前述したように、原料塩として、水酸化バ
リウムのような金属水酸化物を用いながら、熱処理工程
において、1×10-2Pa以下というように減圧するこ
とによって、雰囲気中の二酸化炭素の絶対量を減らし、
それによって、金属水酸化物が二酸化炭素と反応して、
炭酸バリウムのような金属炭酸塩が合成されないように
することができる。したがって、水酸化バリウムのよう
な金属水酸化物は、脱水反応に伴い、酸化バリウムのよ
うな酸化物になった後、酸化チタンのような金属酸化物
と反応する。
【0032】このように、炭酸バリウムのような金属炭
酸塩が関係する反応を経由しないで、チタン酸バリウム
のようなペロブスカイト構造を有する酸化物を生成させ
ることができるので、反応を低温で進行させることがで
き、その結果、粒成長を生じにくくすることができる。
【0033】したがって、粒子径が小さく、かつc/a
軸比が大きく、十分な強誘電性を示す、チタン酸バリウ
ム粉末のようなペロブスカイト構造を有する酸化物粉末
を得ることができる。
【0034】また、酸化チタンのような金属酸化物と水
酸化バリウムのような金属水酸化物とを減圧下で熱処理
することによって、生成されたチタン酸バリウムのよう
なペロブスカイト構造を有する酸化物は、大気圧下で熱
処理する場合と比較して、粒成長が進行しにくくなり、
また、結晶性を向上させることができる。
【0035】他方、全圧が1×10-2Pa以下というよ
うな減圧を行なわないと、金属水酸化物が二酸化炭素と
反応して金属炭酸塩が合成されやすくなり、そのため、
熱処理温度を高く設定しないと、完全に反応を終了させ
ることができなくなり、このような熱処理温度の高温化
によって、粒成長が起こりやすくなってしまう。
【0036】前述したように、ペロブスカイト構造を有
する酸化物粉末を製造するために用いられる金属酸化物
粉末として、比表面積が10m2 /g以上というように
粒子径の小さいものが用いられたのは、次の理由によ
る。
【0037】すなわち、熱処理工程において、金属水酸
化物が金属酸化物に拡散することによって、ペロブスカ
イト構造を有する酸化物粉末が得られることになるの
で、得られた酸化物粉末の粒子径は、用いられた金属酸
化物粉末の比表面積、言い換えると粒子径に影響される
ことになる。このため、粒子径の小さいペロブスカイト
構造を有する酸化物粉末を得ようとするには、用いられ
る金属酸化物粉末は、比表面積が10m2 /g以上とい
うように、粒子径の小さいものでなければならない。
【0038】また、熱処理工程において、温度条件を6
00〜1100℃の範囲に選ばれたのは次の理由によ
る。
【0039】すなわち、熱処理温度が600℃未満で
は、得られたチタン酸バリウムのようなペロブスカイト
構造を有する酸化物の結晶構造が立方晶となって、c/
a軸比が1.0000となり、強誘電性を発現しなくな
り、誘電体セラミックのための材料として用いるには不
都合であるためである。他方、熱処理温度が1100℃
を超えると、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末が
粒成長して、粒径が0.2μmを超え、誘電体セラミッ
ク層2の薄層化には適さなくなるためである。
【0040】なお、ペロブスカイト構造を有する酸化物
粉末を焼成して得られた誘電体セラミックは、チタン酸
バリウムなどのペロブスカイト構造を有する酸化物に、
必要とされる特性に応じて、Ca、Zr、Mn、Mg、
希土類元素などの特性改質用の添加剤、または、B、L
i、Siなどを成分とする焼結助剤を添加して作製され
た誘電体セラミックであってもよい。
【0041】以下に、この発明を、酸化チタン粉末と水
酸化バリウム粉末とを用いてチタン酸バリウム粉末を製
造する、より特定的な実施形態に基づいて、より具体的
な実験例に関連して説明する。
【0042】
【実験例】まず、出発原料として、水酸化バリウム粉末
と、比表面積が、表1および表2に示すように、5m2
/g、10m2 /g、15m2 /gおよび30m2 /g
の各々の酸化チタン粉末を準備した。
【0043】次に、これら出発原料を、Ba/Tiモル
比が1.00になるように秤量し、湿式混合した。
【0044】次に、この混合物を、蒸発乾燥工程に付し
て、混合粉末を取り出した後、この混合粉末を、全圧
が、表1および表2に示すように、大気圧、1×10-1
Pa、1×10-2Pa、および1×10-3Paの各々と
なるように炉内の圧力をそれぞれ調整したバッチ炉に
て、表1および表2に示すように、500℃、600
℃、800℃、1000℃、1100℃および1200
℃の各温度で5時間熱処理し、チタン酸バリウム粉末を
得た。
【0045】このようにして得られた各試料に係るチタ
ン酸バリウム粉末について、電子顕微鏡を用いて観察す
ることによって粒子径を測定し、また、X線回折を行な
い、かつリートベルト解析を行なってc/a軸比を求め
た。これらの結果および総合判定結果が、表1および表
2に示されている。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1に示すように、全圧が大気圧または1
×10-1Paの条件下で熱処理を行なった試料1〜8に
おいては、粒子径が0.2μm以下であるといった条件
およびc/a軸比が1.0033以上といった条件の双
方を満足するチタン酸バリウム粉末を得ることができな
かった。これは、大気圧ないし1×10-1Paでは、水
酸化バリウムが、炭酸バリウムになってから、酸化チタ
ンと反応して、チタン酸バリウムになったことに起因す
るものと考えられる。
【0049】また、表1および表2に示すように、1×
10-2Paまたは1×10-3Paの圧力条件下で熱処理
を行なった試料のうち、比表面積が10m2 /g未満で
ある5m2 /gの酸化チタン粉末を用いた試料9、1
3、17、21、25、29、33、37、41、4
5、49および53においては、酸化チタン粉末の粒子
径が大きいことに起因して、得られたチタン酸バリウム
粉末は、その粒子径が0.2μmを超えるまで粒成長し
ていた。
【0050】また、表1および表2に示すように、60
0℃未満の500℃の温度で熱処理を行なった試料9〜
12および33〜36においては、c/a軸比が1.0
000の立方晶チタン酸バリウムが得られた。
【0051】他方、1100℃を超える1200℃の温
度で熱処理を行なった試料29〜32および53〜56
においては、粒子径が0.2μmを超えるまで粒成長し
た。
【0052】以上の試料については、表1および表2の
「判定」の欄に、不都合であることを表わす「×」が付
されている。
【0053】これらに対して、表1および表2の「判
定」の欄に、良好であることを表わす「○」が付された
試料14〜16、18〜20、22〜24、26〜2
8、38〜40、42〜44、46〜48および50〜
52においては、用いられた酸化チタン粉末の比表面積
が10m2 /g以上であり、熱処理工程での全圧が1×
10-2Pa以下であり、熱処理工程での温度が600〜
1100℃の範囲にあるという条件をすべて満足してい
るので、粒子径が0.2μm以下であり、かつc/a軸
比が1.0033以上のチタン酸バリウム粉末を得るこ
とができた。
【0054】以上のような実験例は、ペロブスカイト構
造を有する酸化物粉末として、酸化チタン粉末と水酸化
バリウム粉末とを用いて合成されたチタン酸バリウム粉
末を製造する場合についてのものであったが、金属酸化
物粉末と金属水酸化物粉末との他の組み合わせを用い
て、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チ
タン酸鉛、ジルコン酸鉛などのペロブスカイト構造を有
する酸化物の合成、またはこれらの混合物や固溶体の合
成を行なった場合にも、同様の結果が得られることが確
認されている。
【0055】また、この発明に係る誘電体セラミック
は、積層セラミックコンデンサにおける誘電体セラミッ
ク層を構成するためだけでなく、たとえば、複数の誘電
体セラミック層と複数の内部導体膜とを積層した構造を
有する積層体を備える他の積層セラミック電子部品にお
ける誘電体セラミック層を構成するために用いること
も、さらには、積層セラミック電子部品以外のセラミッ
ク電子部品における誘電体セラミック部分を構成するた
めにも用いることができる。要するに、誘電体セラミッ
クと、誘電体セラミックに関連して設けられた導体とを
備える、セラミック電子部品であれば、どのような形式
のセラミック電子部品であっても、この発明を適用する
ことができる。
【0056】
【発明の効果】以上のように、この発明に係るペロブス
カイト構造を有する酸化物粉末の製造方法によれば、粒
子径が0.2μm以下と小さく、かつc/a軸比が1.
0033以上と大きく、十分な強誘電性を示す、チタン
酸バリウム粉末のようなペロブスカイト構造を有する酸
化物粉末を得ることができる。
【0057】したがって、この酸化物粉末を用いると、
誘電率の高い、高性能のセラミック電子部品、たとえば
積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子
部品を、比較的低い焼成温度によって得ることができ
る。
【0058】特に、積層セラミックコンデンサのよう
に、複数の誘電体セラミック層と複数の内部導体膜とを
積層した構造を有する積層体を備える積層セラミック電
子部品における誘電体セラミック層を構成する誘電体セ
ラミックを得るために、この発明に係る酸化物粉末が用
いられたときには、誘電体セラミック層の厚みがたとえ
ば1μm以下というように薄層化されても、高い信頼性
をもって、優れた性能を有する積層セラミック電子部品
を問題なく製造することができる。たとえば積層セラミ
ックコンデンサに適用されたときには、小型で大容量の
積層セラミックコンデンサを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によるセラミック電子部
品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ(セラミック電子部品) 2 誘電体セラミック層 6,7 外部電極(導体) 8,9 内部電極(導体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA10 AA16 BA09 CA01 GA01 GA08 GA11 4G031 AA06 AA11 BA09 CA01 GA01 GA03 5G303 AA01 AB06 BA12 CA01 CB03 CB35 DA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が10m2 /g以上の金属酸化
    物粉末を用意するとともに、金属水酸化物粉末を用意
    し、 前記金属酸化物粉末と前記金属水酸化物粉末とを混合
    し、 得られた混合粉末を、全圧が1×10-2Pa以下の大気
    雰囲気中において、600〜1100℃の温度下で熱処
    理する、各工程を備える、ペロブスカイト構造を有する
    酸化物粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物が酸化チタンであり、前
    記金属水酸化物が水酸化バリウムであり、前記ペロブス
    カイト構造を有する酸化物がチタン酸バリウムである、
    請求項1に記載のペロブスカイト構造を有する酸化物粉
    末の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の製造方法によ
    って合成された、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉
    末。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のペロブスカイト構造を
    有する酸化物粉末を含む粉末を焼成して得られた、誘電
    体セラミック。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の誘電体セラミックと、
    前記誘電体セラミックに関連して設けられた導体とを備
    える、セラミック電子部品。
JP2001181450A 2001-06-15 2001-06-15 ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品 Expired - Lifetime JP4830216B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001181450A JP4830216B2 (ja) 2001-06-15 2001-06-15 ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001181450A JP4830216B2 (ja) 2001-06-15 2001-06-15 ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003002738A true JP2003002738A (ja) 2003-01-08
JP4830216B2 JP4830216B2 (ja) 2011-12-07

Family

ID=19021719

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001181450A Expired - Lifetime JP4830216B2 (ja) 2001-06-15 2001-06-15 ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4830216B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006096585A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Kyocera Corp 誘電体磁器およびその製法
JP2006240896A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Kyocera Corp セラミックスの製法
JP2008074630A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd ペロブスカイト化合物粉末の製造方法およびこのペロブスカイト化合物粉末を用いたセラミック電子部品
US8084014B2 (en) 2003-04-25 2011-12-27 Sumitomo Chemical Company, Limited Barium titanate powder and method for producing same
CN102408240A (zh) * 2010-09-17 2012-04-11 株式会社村田制作所 复合氧化物粉末的制造方法
JP2012180269A (ja) * 2011-03-02 2012-09-20 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd ペロブスカイト構造を有するセラミック粉末の製造方法及びこれにより製造されたペロブスカイト構造を有するセラミック粉末
KR101375601B1 (ko) 2011-01-05 2014-03-19 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 페로브스카이트형 복합 산화물 분말의 제조방법

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0769635A (ja) * 1993-09-07 1995-03-14 Titan Kogyo Kk 半導体微粉末およびその製造法
JP2001316114A (ja) * 2000-03-02 2001-11-13 Murata Mfg Co Ltd ペロブスカイト構造を有する酸化物、チタン酸バリウムおよびその製造方法ならびに誘電体セラミックおよびセラミック電子部品

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0769635A (ja) * 1993-09-07 1995-03-14 Titan Kogyo Kk 半導体微粉末およびその製造法
JP2001316114A (ja) * 2000-03-02 2001-11-13 Murata Mfg Co Ltd ペロブスカイト構造を有する酸化物、チタン酸バリウムおよびその製造方法ならびに誘電体セラミックおよびセラミック電子部品

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8084014B2 (en) 2003-04-25 2011-12-27 Sumitomo Chemical Company, Limited Barium titanate powder and method for producing same
JP2006096585A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Kyocera Corp 誘電体磁器およびその製法
JP2006240896A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Kyocera Corp セラミックスの製法
JP4711702B2 (ja) * 2005-03-01 2011-06-29 京セラ株式会社 セラミックスの製法
JP2008074630A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd ペロブスカイト化合物粉末の製造方法およびこのペロブスカイト化合物粉末を用いたセラミック電子部品
CN102408240A (zh) * 2010-09-17 2012-04-11 株式会社村田制作所 复合氧化物粉末的制造方法
KR101375601B1 (ko) 2011-01-05 2014-03-19 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 페로브스카이트형 복합 산화물 분말의 제조방법
JP2012180269A (ja) * 2011-03-02 2012-09-20 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd ペロブスカイト構造を有するセラミック粉末の製造方法及びこれにより製造されたペロブスカイト構造を有するセラミック粉末

Also Published As

Publication number Publication date
JP4830216B2 (ja) 2011-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3780851B2 (ja) チタン酸バリウムおよびその製造方法ならびに誘電体セラミックおよびセラミック電子部品
JP3391269B2 (ja) 誘電体セラミックおよびその製造方法、ならびに、積層セラミック電子部品およびその製造方法
JP3934352B2 (ja) 積層型セラミックチップコンデンサとその製造方法
JP5076907B2 (ja) フォルステライト粉末の製造方法、フォルステライト粉末、フォルステライト焼結体、絶縁体セラミック組成物、および積層セラミック電子部品
JP3326513B2 (ja) 積層型セラミックチップコンデンサ
JPH11273985A (ja) 誘電体セラミックおよびその製造方法、ならびに、積層セラミック電子部品およびその製造方法
JP5078307B2 (ja) 誘電体磁器およびその製法、ならびにコンデンサ
JP4706398B2 (ja) 誘電体磁器組成物の製造方法
WO2008013236A1 (fr) Porcelaine diélectrique et condensateur
JP4522025B2 (ja) 誘電体磁器及び積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法
JP3146967B2 (ja) 非還元性誘電体セラミック及びそれを用いた積層セラミック電子部品
JP4582973B2 (ja) 誘電体磁器及び積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法
JP2002234771A (ja) 正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末およびその製造方法、誘電体セラミックならびに積層セラミックコンデンサ
JPH11302072A (ja) 誘電体セラミック、積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの製造方法
JP4830216B2 (ja) ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末、誘電体セラミックおよびセラミック電子部品
JP2001057314A (ja) 誘電体セラミックおよび積層セラミック電子部品
JP2007001840A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP3130214B2 (ja) 積層型セラミックチップコンデンサ
JP2009096671A (ja) 誘電体セラミックス及び積層セラミックコンデンサ
WO2009157232A1 (ja) 誘電体磁器およびそれを用いた積層セラミックコンデンサ
JP3146966B2 (ja) 非還元性誘電体セラミック及びそれを用いた積層セラミック電子部品
JPH11302071A (ja) 誘電体セラミック、積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの製造方法
JP2004210613A (ja) 誘電体磁器、その製造方法、及び積層セラミックコンデンサ
JP5289239B2 (ja) 誘電体磁器およびコンデンサ
JP2005187218A (ja) 誘電体磁器および積層型電子部品、並びに積層型電子部品の製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110905

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4830216

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140930

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term