JP2003001243A - 環境ホルモン除去処理システム - Google Patents
環境ホルモン除去処理システムInfo
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Abstract
効率に優れ、環境ホルモンの大量捕捉が可能であり、環
境ホルモンを分離して環境ホルモンの捕捉に再利用させ
ることを図る。 【解決手段】 環境ホルモンを含む水溶液が入れられる
とともに表面に疎水性基を備えた疎水性磁性粒子が入れ
られた液槽1と、液槽1中の混合液を環境ホルモンと疎
水性磁性粒子とが吸着可能に撹拌する撹拌手段2と、混
合液から環境ホルモンが吸着した疎水性磁性粒子を捕捉
する捕捉手段3と、捕捉され環境ホルモンが吸着した疎
水性磁性粒子から環境ホルモンを分離する有機溶液の分
離槽4と、分離槽4で分離した疎水性磁性粒子を抽出す
る抽出手段5とを備えた。
Description
境ホルモンを捕捉して分離する環境ホルモン除去処理シ
ステムに関する。
は、次の様にして水中から除去されている。例えば、特
開2000−135435号公報(従来例1)には、環
境ホルモンの吸着除去に捕捉材を用いて環境ホルモンを
水中から除去する技術が示されている。ここで用いる捕
捉材は、環境ホルモン例えばエストロゲン化合物及びエ
ストロゲン様物質の特定部位に吸着する鋳型構造を与え
た高分子粒子から成る。この捕捉材をカラムに充填し、
カラムにエストロゲン化合物含有水を通液させることに
よりエストロゲン化合物を捕捉材に吸着させ、その後、
カラムを洗浄してエストロゲン化合物が吸着した捕捉材
を廃棄していた。また、特開2000−140834号
公報(従来例2)には、水中に微量に含まれる環境ホル
モンを吸着除去する技術が示されている。環境ホルモン
を含有する水(環境ホルモン含有水)を活性炭からなる
捕捉材と接触させることにより、環境ホルモンを捕捉材
に吸着して水中から除去するものである。この場合、環
境ホルモン含有水に活性炭を添加して混濁させ、環境ホ
ルモンを活性炭が有する孔にて吸着させている。その
後、活性炭と処理水とを分離することができる分離膜等
を用いて活性炭を回収して廃棄している。
場合には、環境ホルモン含有水から環境ホルモンを除去
するためには、捕捉材をカラムに充填し、その後カラム
内を洗浄しなければならないので捕捉材の処理効率が悪
いという問題がある。また、従来例1では、一旦捕捉し
た環境ホルモンを高分子粒子から分離させることなく環
境ホルモンを捕捉した高分子粒子を廃棄処分するものな
のでその分無駄が生じているという問題がある。更に、
高分子粒子が充填されたカラムの物理的な大きさには限
界があり、大量の環境ホルモンを一時に捕捉させること
は困難でこの点でも処理効率が悪いという問題がある。
また、従来例2の場合は、環境ホルモン含有水から環境
ホルモンを除去するためには、分離膜等を用いて活性炭
を回収して廃棄しなければならず、環境ホルモンを除去
するための活性炭の処理効率が悪いという問題がある。
また、一旦吸着させた環境ホルモンを活性炭から分離さ
せることなく、環境ホルモンを捕捉した活性炭を廃棄処
分するので、環境ホルモンを吸着させる度に、新たな活
性炭を使用しなければならないことからその分無駄が生
じているという問題がある。
れたもので、環境ホルモンを除去するための捕捉材の処
理効率に優れ、環境ホルモンの大量捕捉が可能であり、
ホルモンを分離して環境ホルモンの捕捉に再利用させる
ことのできる環境ホルモン除去処理システムを提供する
ことを目的とする。
るための本発明の技術的手段は、疎水性の環境ホルモン
を含む水溶液から当該環境ホルモンを除去する環境ホル
モン除去処理システムにおいて、上記環境ホルモンを含
む水溶液が入れられるとともに表面に疎水性基を備えた
疎水性磁性粒子が入れられた液槽と、該液槽中の混合液
を上記環境ホルモンと上記疎水性磁性粒子とが吸着可能
に撹拌する撹拌手段と、上記混合液から上記環境ホルモ
ンが吸着した疎水性磁性粒子を捕捉する捕捉手段と、上
記捕捉され上記環境ホルモンが吸着した疎水性磁性粒子
から該環境ホルモンを分離する有機溶媒の分離槽と、上
記分離槽で分離した疎水性磁性粒子を抽出する抽出手段
とを備えた構成とした。液槽にて環境ホルモンと疎水性
磁性粒子とが水中で撹拌されると、疎水性相互作用によ
り環境ホルモンと疎水性磁性粒子とが吸着する。疎水性
磁性粒子は単に、環境ホルモン含有水溶液に加えて混合
するだけで環境ホルモンと吸着する。疎水性磁性粒子
は、単位体積当たりの表面積が非常に大きいので環境ホ
ルモンの捕捉も十分に一時に行なうことができる。環境
ホルモンが吸着した疎水性磁性粒子は、捕捉手段にて磁
気的に捕捉される。捕捉された疎水性磁性粒子は、分離
槽に入れられて環境ホルモンが吸着している疎水性磁性
粒子からは環境ホルモンが分離される。環境ホルモンが
分離して分離槽に遊離している疎水性磁性粒子は洗浄や
分離膜を用いることなく容易に抽出手段で抽出されるの
で処理効率が良く、再利用可能になる。
装置と該磁化装置で磁化されることにより上記疎水性磁
性粒子を捕捉する磁気フィルタとを備えた構成とした。
疎水性磁性粒子は、磁化された磁気フィルタに付着す
る。付着した疎水性磁性粒子は、磁気フィルタを消磁化
し水等で磁気フィルタを洗浄する逆洗にて磁気フィルタ
から回収される。磁気フィルタは、消耗材が不要で何度
でも再利用可能であり疎水性磁性粒子の捕捉処理効率を
向上させている。更に、必要に応じ、上記抽出手段を、
上記分離槽にて分離した疎水性磁性粒子を磁気的に抽出
する磁気抽出部を備えた構成とした。分離槽で環境ホル
モンが分離した疎水性磁性粒子は、磁気抽出部にて磁石
等で磁気的に抽出される。疎水性磁性粒子を簡易な方法
で抽出して、再度環境ホルモンの捕捉に用いることがで
きる。
の実施の形態に係る環境ホルモン除去処理システムを説
明する。図1乃至図3に示す実施の形態に係る環境ホル
モン除去処理システムSにおいて、環境ホルモンHを除
去するための捕捉材として用いる疎水性磁性粒子Pにつ
いて説明する。疎水性磁性粒子Pは、磁性粒子Mの表面
に疎水性基Wを備えたものであり、粒径10nm以上、
飽和磁化が0.03T(テスラ)以上、比抵抗が1×1
0-9Ωcm以上、ペレット成形時の水滴の接触角が10
0度以上であるものが好ましい。磁性粒子Mは、磁性金
属微粒子,磁性金属酸化物微粒子または砂鉄のうち少な
くとも1つを用いた。また、磁性粒子Mは、粒径10n
m〜100nmであることが好ましい。粒径10nm〜
100nmの場合には、磁気的に吸着させ易く、疎水性
相互作用に関わる単位表面積が増加する。
o,Gd,Fe−Ni合金,Fe−Pt合金,Fe−P
d合金,Fe−Ni−Mn合金,Fe−Co−Cr合
金,Mn−Al合金,Mn−Zn合金,Mn−Ga合
金,Mn−Cu−Al合金,Fe 4 N,Mn3 CuN,
Fe3 NiN,Fe3 PtN,Fe2 N0.75,Fe2
N,Fe2 N,Ni3 N1.10,CdCr2 S4 ,CdC
r2 Se,Ag0.5 In0.5Cr2 Se4 ,HgCr2
S4 ,CuCr2 Se3 Br,Cu0.5 In0.5 Cr 2
Se4 ,EuB6 ,Eu3 P3 ,Eu3 As2 ,MnA
s,MnSb,MnBi,CrTe4 ,NiMnSb,
PbMnSb等が挙げられる。磁性金属酸化物微粒子と
しては、α−ヘマタイト,γ−ヘマタイト,マグネタイ
ト,MnFe2 O4 ,CoFe2 O4 ,CuFe2 O
4 ,MgFe2 O4 ,ZuFe2 O4 ,LiFe5 O
8 ,Li0.5 Fe2.5 O4 ,Fe−Coフェライト,S
m−Coフェライト,Mn−Feフェライト,Mn−Z
n−Feフェライト,Mn−Mg−Feフェライト,N
i−Zu−Feフェライト,Li−Zu−Feフェライ
ト,MnFe2 O4 −MnCr2 O4 系,Fe3 O4 −
FeCr2 系,NiFe2 O4 −NiCr2 O4 系,C
uFe2 O4 −CuCr2 O4 系,Li0.5 Fe2.5 −
Li0.5 Cr2.5 O4 系,マンガナイト,CaFe4 O
7 ,Ti2 O3 ,コランンダム型磁性体,イルメナイト
型磁性体,Mn−Cr−Sb系,Y3 Fe5 O,ハイド
ロキシアパタイトセラミック,フルオロアパタイトセラ
ミック等が挙げられる。これら磁性金属微粒子,磁性金
属酸化物微粒子は、強磁性体であることが好ましく、特
にフェライト化法により合成したマグネタイトがより好
ましい。磁気的に吸着され易くなり、画一化した製法に
より容易に得ることができるからである。
に、炭素数3〜30の直鎖アルキル基(図5(1)),
炭素数3〜30の芳香族炭化水素基,フェニル基,アル
キルフェニル基(図5(2)),アゾベンゼン基,アル
キルアゾベンゼン基(図5(3)),シアノ基,シクロ
デキストリン誘導体基,フラーレン誘導体基のうち少な
くとも1つである。
キル基,炭素数3〜30の芳香族炭化水素基,フェニル
基,アルキルフェニル基,アゾベンゼン基,アルキルア
ゾベンゼン基,シアノ基,シクロデキストリン誘導体
基,フラーレン誘導体基のうち少なくとも1つからなる
シランカップリング剤(例えば、図6参照),チタンカ
ップリング剤またはジルコニウムカップリング剤を使用
して磁性粒子Mの表面に化学吸着させた官能基である。
カップリング剤は、物質に物質本来の性質と異なる性質
を付与するための試薬であり、磁性粒子Mの表面に本来
備わらない疎水性を付与する。具体的には、n−オクタ
デシルトリクロロシラン,n−オクタデシルジクロロシ
ラン,n−オクタデシルジメトキシクロロシラン,n−
オクチルジクロロメトキシシラン,n−オクチルジメト
キシクロロシラン,n−オクチルトリメトキシシラン,
n−オクチルトリエトキシシラン,n−オクチルジエト
キシクロロシラン,n−オクチルジクロロエトキシシラ
ン,n−ブチルトリクロロシラン,n−ブチルジクロロ
メトキシシラン,n−ブチルジメトキシクロロシラン,
n−ブチルジエトキシクロロシラン,tert−ブチル
トリクロロシラン,tert−ブチルジクロロメトキシ
シラン,tert−ブチルジメトキシクロロシラン,t
ert−ブチルジエトキシクロロシラン,n−トリアコ
ンチルトリクロロシラン,n−トリアコンチルジクロロ
メトキシシラン,n−トリアコンチルトリクロロメトキ
シシラン,n−トリアコンチルジクロロメチルシラン,
n−トリアコンチルジメチルクロロシラン,フェニルト
リクロロシラン,ジフェニルジクロロシラン,トリフェ
ニルクロロシラン,フェニルトリエトキシシラン,ジフ
ェニルジエトキシシラン,トリフェニルエトキシシラ
ン,n−オクタデシルジフェニルクロロシラン,n−オ
クチルジフェニルクロロシラン,n−ブチルジフェニル
クロロシラン,n−オクタデシルジフェニルメトキシシ
ラン,n−オクチルジフェニルメトキシシラン,n−ブ
チルジフェニルメトキシシラン,シアノプロピルトリメ
トキシシラン,n−(3−トリエトキシプロピル)−4
−フェニルアゾベンアミド,4−オクチル−4’−ジク
ロロメチルシリルプロピル−アゾベンゼン,ジメチルク
ロロシリルフラーレン等が挙げられる。
Sが除去する環境ホルモンHの例を挙げる。環境ホルモ
ンHは、疎水性の環境ホルモンHである。環境ホルモン
Hとしては、67物質として、アラクロール、アルジカ
ルブ、アルドリン、アミトロース、アトラジン、ベノミ
ル、ベンゾフェノン、ベンゾピレン、フタル酸ブチルベ
ンジル、ビスフェノールA、n−ブチルベンゼン、カル
バリン、クロルデン、シペルメトリン、2,4−D、D
BCP、DDT、DDT代謝物、フタル酸n−ジブチ
ル、2,4−ジクロロフェノール、フタル酸ジシクロヘ
キシル、ティルドリン、アジピン酸ジエチルヘキシル、
フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジエチル、フタル
酸ジヘキシル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジプロピ
ル、エンドリン、エンドスルファン、エスファンバレレ
ート、フェンバレレート、ヘキサクロロベンゼン、β
−,γ−HCH、ヘプタクロル、ヘプタクロロエポキサ
イド、ケルセン、ケポン、マラチオン、マンコゼブ、マ
ンネブ、メソミル、メトキシクロル、メチラム、メトリ
ブジン、マイレックス、ニトロフェン、4−ニトロトル
エン、trans−ノナクロル、オクタクロロスチレ
ン、オキシクリルデン、ポリ臭化ビフェニル、ポリ塩化
ビフェニル、ダイオキシン類、ペンタクロロフェノー
ル、オクチルフェノール(ノニルフェノール)、ペルメ
トリン、シマジン、スチレン2量体(スチレン3量
体)、トキサフェン、トリブチルスズその1(トリブチ
ルスズその2)、トリフルラリン、トリフェニルスズ、
2,4,5−T、ピンクロゾリン、ジネブ、ジラム等が
挙げられるがこれらに限定されるものではない。
境ホルモン除去処理システムSは、環境ホルモンHを含
む水溶液(環境ホルモン含有水)が入れられるとともに
表面に疎水性基Wを備えた疎水性磁性粒子Pが入れられ
た液槽1と、液槽1中の混合液を環境ホルモンHと疎水
性磁性粒子Pとが吸着可能に撹拌する撹拌手段2と、混
合液から環境ホルモンHが吸着した疎水性磁性粒子Pを
捕捉する捕捉手段3と、捕捉され環境ホルモンHが吸着
した疎水性磁性粒子Pから環境ホルモンHを分離する有
機溶媒が入れられた分離槽4と、分離槽4で分離した疎
水性磁性粒子Pを抽出する抽出手段5とを備えた構成に
した。液槽1は、例えば環境ホルモンHの水溶液が収容
される容器であればよく、特に限定されるものではな
い。撹拌手段2は、特に限定されることなく環境ホルモ
ンHと疎水性磁性粒子Pを十分に混合することができる
ものであればよい。撹拌手段2には、液槽1内の水溶液
を混合させることができる棒状体を用いることができ
る。
と分離槽4との間の流路Xに設けられ、磁化装置6と磁
化装置6で磁化されることにより疎水性磁性粒子Pを捕
捉する磁気フィルタ7とを備えている。磁化装置6は超
電導マグネットであり流路X内部に設けられた磁気フィ
ルタ7の部分の流路X外部を覆うように設置している。
磁気フィルタ7は、磁性細線Lからなる多層メッシュで
形成され磁化装置6により生じた磁場により生じる磁力
線に対して磁性細線Lが直角になるように配置される
(図2(2)参照)。従って、磁化の際に磁性細線Lの
表面近傍に磁気勾配が生じる。磁性細線Lは、付着する
磁化物質の物理量に応じて付着し易い大きさ(直径)で
あればよい。磁性細線Lの材質としては、磁化されるも
のであればよいが必要に応じて消磁化できる軟磁性材料
の強磁性体が好ましい。捕捉手段3では、捕捉した疎水
性磁性粒子Pを回収する逆洗処理も行なう。逆洗処理で
は、疎水性磁性粒子Pが付着した磁気フィルタ7を消磁
化して水で洗浄して磁気フィルタ7に付着した疎水性磁
性粒子Pを除去している。分離槽4は、環境ホルモンH
が吸着した疎水性磁性粒子Pから環境ホルモンHを分離
することができる有機溶媒が入れられる容器であればよ
い。有機溶媒としては、アセトニトリル,メチルアルコ
ール,エチルアルコール,アセトン等が挙げられる。抽
出手段5は、分離槽4にて分離した疎水性磁性粒子Pを
磁気的に抽出する磁気抽出部を備えて構成した。磁気抽
出部は、分離槽4に接続し超伝導マグネットを用いて固
液分離を行ない疎水性磁性粒子Pを吸着するようにして
いる。
理システムSによれば、図3に示す処理工程に従って、
疎水性磁性粒子Pを用いて環境ホルモンHを除去するこ
とができ、かつ用いた疎水性磁性粒子Pを再利用可能に
する。 (投入工程)微量の環境ホルモンHを溶解する水溶液の
入った液槽1に疎水性磁性粒子Pを投入する。 (吸着工程)液槽1内の撹拌を行なう。撹拌を行なうこ
とにより環境ホルモンHと疎水性磁性粒子Pとは疎水性
であることから水中にて凝集し易くなり疎水性相互作用
により吸着する。図5に示すように、疎水性磁性粒子P
の表面にカップリング剤により化学吸着している疎水性
基W(例えば、オクタデシル基)には、環境ホルモンH
(例えば、ダイオキシン,ビスフェノールA)が吸着す
る。疎水性磁性粒子Pと環境ホルモンHとは、疎水性相
互作用により吸着が行なわれる。 (除去工程)撹拌した液槽1内の溶液を、捕捉手段3に
供給し疎水性磁性粒子Pの磁気的捕捉を行なう。磁気的
捕捉は、磁化された磁気フィルタ7に液槽1内の溶液を
供給することにより磁化されている疎水性磁性粒子Pが
磁気フィルタ7に付着することにより行なわれる。磁気
フィルタ7に付着した疎水性磁性粒子Pは、逆洗されて
回収される。捕捉した疎水性磁性粒子Pは、洗浄したり
分離膜を用いることなく回収することができるので、処
理効率に優れている。 (分離工程)回収された疎水性磁性粒子Pは、有機溶媒
が入れられた分離槽4に供給され環境ホルモンHが吸着
している疎水性磁性粒子Pからは環境ホルモンHが分離
して有機溶媒中に遊離する。環境ホルモンHは、溶解度
のより高い有機溶媒に溶けるので、有機溶媒の介在によ
り疎水性磁性粒子Pより脱離されるためである。 (抽出工程)分離槽4内に遊離している疎水性磁性粒子
Pは、磁気的に捕捉することで分離槽4内から回収され
る。回収された疎水性磁性粒子Pは、再度環境ホルモン
Hの捕捉に用いることができる。疎水性磁性粒子Pは、
再利用できるので捕捉材の無駄が防止される。
Sの基礎となる実験例について説明する。 (疎水性磁性粒子Pの調整)0.5モルの硫酸鉄(I
I)水和物と0.5モルの硫酸鉄(III)水和物を夫
々60℃の水500mlに溶解させた後混合して混合溶
液にした。次いで、得られた混合溶液に6mol/m3
の水酸化ナトリウムをpHが11になるまで加えた後、
60℃で1時間撹拌しマグネタイトが合成された混濁液
を得た。この混濁液を磁石を用いてデカンデーションし
た。デカンデーションは、塩分を除去するために上澄み
液のpHが7になるまで繰り返した。次いで、脱水する
ために、上澄み液を極力取り除き60℃で1週間乾燥後
更に減圧法にて24時間乾燥して、目的とするマグネタ
イトを得た。マグネタイトの表面処理のため、等圧滴下
漏斗に脱水トルエン50mlをとり5mlのn−オクタ
デシルトリクロロシランを添加した。次いで、三口フラ
スコに乾燥済のマグネタイト5g及び5mlのトリエチ
ルアミンを添加して窒素雰囲気下で48時間撹拌した。
図6には、マグネタイトにシランカップリング剤である
n−オクタデシルトリクロロシランを処理させた場合の
反応状態が示される。マグネタイトとn−オクタデシル
トリクロロシランとをトリエチルアミン及び脱水トルエ
ン中で反応させることによりn−オクタデシルトリクロ
ロシラン化マグネタイトが得られる。得られた溶液を、
遠心分離してデカンデーションにて数回トルエンで洗浄
後、テトラヒドロフラン、メタノールで順次洗浄した。
最後に、アセトンで洗浄後、上澄み液を極力取り除き減
圧乾燥して疎水性磁性粒子Pを得た。 (疎水性磁性粒子Pの評価)得られた疎水性磁性粒子P
を加重2500N/cm2 でペレットにし、表面に水滴
を滴下して疎水性の評価を行なった。ペレットへの吸収
は全くなく水滴は球になって撥水性を示した。
イト(表面処理を施していないもの)を用いてペレット
を形成し、同様に疎水性の評価を行なうと、水滴は球に
ならずペレット表面にしみ込みペレット内部を通過する
のみで、撥水性は認められなかった。以上から、疎水性
磁性粒子Pの表面が疎水性を有していることが明らかで
あることを確認できた。
Aを微量のアセトニトリルに溶解させ、水を加えてビス
フェノールAの濃度を20ppmにした溶液を調製し
た。得られた溶液に上記調製したマグネタイトの疎水性
磁性粒子Pを2.8g/L添加して良く撹拌し、磁石を
用いてデカンテーションを行ない上澄み液を高速液体ク
ロマトグラフィーにて定量したところビスフェノールA
の濃度は2.0ppmに減少した。更に、上澄み液を一
定量採り、更に同じ疎水性磁性粒子Pを3.3g/L添
加し撹拌後デカンテーションにより上澄み液を高速液体
クロマトグラフィーで分析した結果、ビスフェノールA
は0.19ppmに減少した。
液分離し、溶液上層に在る疎水性磁性粒子Pにアセトニ
トリルを添加して撹拌後、上澄み液を高速液体クロマト
グラフィーで分析したところビスフェノールAの濃度が
上昇していることがわかった。従って、ビスフェノール
Aが吸着している疎水性磁性粒子Pに有機溶媒であるア
セトニトリルを接触させることにより、疎水性磁性粒子
PからビスフェノールAが分離することがわかる。
と同様に調製した砂鉄の疎水性磁性粒子Pをビスフェノ
ールAの濃度が2.2ppmの水溶液に400g/L添
加して良く撹拌し、磁石を用いてデカンテーションを行
ない上澄み液を高速液体クロマトグラフィーにて定量し
たところビスフェノールAの濃度は1.1ppmに減少
した。マグネタイトの場合と同様に、得られた疎水性磁
性粒子Pをペレットにし、表面に水滴を滴下して疎水性
の評価を行なった。ペレットへの吸収は全くなく水滴は
球になって撥水性を示した。
の環境ホルモンHとしているが、一般に疎水性相互作用
により吸着可能な物質であれば疎水性磁性粒子Pを用い
て捕捉することが可能である。
モン除去処理システムによれば、環境ホルモンを含む水
溶液が入れられるとともに表面に疎水性基を備えた疎水
性磁性粒子が入れられた液槽と、液槽中の混合液を環境
ホルモンと疎水性磁性粒子とが吸着可能に撹拌する撹拌
手段と、混合液から環境ホルモンが吸着した疎水性磁性
粒子を捕捉する捕捉手段と、捕捉され環境ホルモンが吸
着した疎水性磁性粒子から該環境ホルモンを分離する有
機溶媒の分離槽と、分離槽で分離した疎水性磁性粒子を
抽出する抽出手段とを備えた構成としたので、疎水性磁
性粒子は単に、環境ホルモン水溶液に加えて混合するだ
けで環境ホルモンと吸着させることができる。疎水性磁
性粒子は、単位体積当たりの表面積が非常に大きいので
環境ホルモンの捕捉も十分に一時に行なうことができ
る。また、疎水性磁性粒子は洗浄や分離膜を必要とせず
容易に抽出手段で抽出されて再利用可能になるので処理
効率を向上させることができる。また、捕捉手段を、磁
化装置と該磁化装置で磁化されることにより疎水性磁性
粒子を捕捉する磁気フィルタとを備えた場合には、疎水
性磁性粒子の捕捉処理効率を向上させることができる。
更に、抽出手段を、分離槽にて分離した疎水性磁性粒子
を磁気的に抽出する磁気抽出部を備えた場合には、疎水
性磁性粒子を簡易な方法で抽出して、再度環境ホルモン
の捕捉に用いることができる。
理システムの図である。
理システムの捕捉手段を示し、(1)は捕捉手段の構成
を示す図であり、(2)は磁気フィルタを示す図であ
る。
理システムの処理工程を示す図である。
理システムにおける環境ホルモンの捕捉状態を示す図で
ある。
理システムで用いる疎水性磁性粒子の疎水性基を示す図
である。
例を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 疎水性の環境ホルモンを含む水溶液から
当該環境ホルモンを除去する環境ホルモン除去処理シス
テムにおいて、 上記環境ホルモンを含む水溶液が入れられるとともに表
面に疎水性基を備えた疎水性磁性粒子が入れられた液槽
と、該液槽中の混合液を上記環境ホルモンと上記疎水性
磁性粒子とが吸着可能に撹拌する撹拌手段と、 上記混合液から上記環境ホルモンが吸着した疎水性磁性
粒子を捕捉する捕捉手段と、 上記捕捉され上記環境ホルモンが吸着した疎水性磁性粒
子から該環境ホルモンを分離する有機溶媒の分離槽と、 上記分離槽で分離した疎水性磁性粒子を抽出する抽出手
段とを備えて構成されることを特徴とする環境ホルモン
除去処理システム。 - 【請求項2】 上記捕捉手段を、磁化装置と該磁化装置
で磁化されるこにより上記疎水性磁性粒子を捕捉する磁
気フィルタとを備えて構成したことを特徴とする請求項
1記載の環境ホルモン除去処理システム。 - 【請求項3】 上記抽出手段を、上記分離槽にて分離し
た疎水性磁性粒子を磁気的に抽出する磁気抽出部を備え
て構成したことを特徴とする請求項1または2記載の環
境ホルモン除去処理システム。
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---|---|---|---|
JP2001168727A JP2003001243A (ja) | 2001-06-04 | 2001-06-04 | 環境ホルモン除去処理システム |
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---|---|
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