JP5443727B2 - 油分回収方法 - Google Patents
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Description
最初に、無機粒子及び金属粒子の少なくとも一方、ポリマー、及びこのポリマーを溶解しうる溶媒Aを調合し組成物を製造する。この組成物は次のステップで吸着材を製造するのに用いる。その形態は製造方法により異なるが、例えば溶媒Aにポリマーを溶解させた溶液と無機粒子又は金属粒子を別々に準備したものや、溶媒A、ポリマー、無機粒子又は金属粒子を混合したスラリーなどが挙げられる。噴霧乾燥法で吸着材を製造する場合には、スラリー状のものを用いる(S1)。
本実施形態では、上述のようにして油分吸着材Aを製造した後、この油分吸着材Aを用い、油分を含んでなる水から、前記油分を分離する(S4)。ここで“油分”とは、水中に混和/分散している有機物のうち、一般に常温において液体であり、水に難溶性であり、粘性が比較的高く、水よりも比重が低いものをいう。より具体的には、動植物性油脂、炭化水素、芳香油などである。これらは、脂肪酸グリセリド、石油、高級アルコールなどに代表される。これらの油類はそれぞれ有する官能基などに特徴があるので、それに応じて油分吸着材Aを構成するポリマーや官能基を選択する。
上述のようにして、油分吸着材Aによって油分を吸着して水中から除去した後は、前記油分吸着材Aを溶媒Bで洗浄し、吸着した油分を除去する(S5)。この溶媒Bは、前記油分吸着材Aに使用されているポリマーを溶解しないものでなくてはならない。具体的には、溶媒Bへの溶解度が1000mg/L以下のものを用いる。
上述のようにして油分吸着材Aから溶媒Bによる洗浄によって油分を除去した後は、
油分が溶け込んだ溶媒Bから前記油分を油分Dとして分離させる(S6)。この分離工程においては、蒸留法を用いることができ、分離して回収した油分Dを適宜燃焼させて熱源とすることができる。なお、蒸留によって分離された溶媒Bは、上述した油分吸着材と油分の分離工程(S5)において再利用することができる。
上述のようにして、油分吸着材Aから油分を除去した後は、洗浄に使用した溶媒Bを油分吸着材から除去する(S7)。他の溶媒(例えば水など)と置換したり、乾燥させたりする方法が挙げられる。この中でも乾燥による除去が好ましい。乾燥工程は特に限定されないが、例えば風通しの良いところで乾燥させたり、減圧乾燥させたり、カラムにつめて通風したりして溶媒を除去する。この時、先の分離工程で出た油分を燃焼した熱を用いると、油分Dを有効活用できるため好ましい。この際、油分吸着材の温度がポリマーの軟化温度以下になるようにすると、吸着材の劣化を防ぐことができる。
油分吸着材の製造工程(S1〜S3)
ポリスチレン6重量部を、300mlのテトラヒドロフラン中に溶解させて溶液とし、その溶液中に平均粒子径800nmの球状マグネタイト粒子40重量部(比表面積5.7m2/g)を分散させて組成物を得た。この組成物を、ミニスプレードライヤー(柴田科学株式会社製、B−290型)を用いて噴霧し、球状に凝集した平均2次粒子径が約20μmの樹脂複合体を作成した。この樹脂複合体を篩を用いて12μm未満の粒子(約30wt%)を不良品として取り除き、残りを油分吸着材の良品として回収した。
このようにして得られた油吸着粒子1gを1Lの共栓付三角フラスコに測り取り、直鎖脂肪族の油500μLを含む水200mlを加え、よく撹拌して油吸着粒子に油を吸着させた。その後、磁石を用いて油吸着粒子を三角フラスコに取り出した後、ヘキサン100mlを添加してよく撹拌し、水中の油を抽出した。このヘキサンをガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、油吸着粒子の油の吸着量を求めたところ499.9μL以上の油を吸着していた。また、このとりだした樹脂複合体を10mlのヘキサン中に投入しよく攪拌した。このヘキサン中から磁石を用いて油吸着粒子を取り出し、ヘキサンを分析したところ、全量の油を脱離していた。
次いで、上記ヘキサンを減圧蒸留することにより、491.0μLの油分を回収した。
上述のようにして、油吸着粒子を洗浄した後、ステンレスバットに入れ、有機ドラフト中で30分乾燥させたところ、全量のヘキサンが飛んでいることがわかった。この後、油吸着粒子を乾式のサイクロンにかけ、小さい粒子を除去し、残りを良品として回収した。この小さい粒子を電子顕微鏡で観察したところ、凝集体から抜け落ちた磁性体と小さなポリマーであることがわかった。この分別した粒子をテトラヒドロフランに溶解してろ過することにより、磁性体を回収することができた。
油吸着粒子に吸着した油分を洗浄する際に、ヘキサンに代えてメタノールを用いたこと以外は実施例1と同様に吸着試験と再生試験を繰り返したところ、1回目の再生では499.9μLを吸着し、10回洗浄後でも499.2μLの油を吸着し、繰り返し使用が可能であることがわかった。
スプレードライをする前の溶媒をテトラヒドロフランからシクロヘキサン(疎水性溶媒)に変更し、ポリマーをポリエチレンからシクロオレフィンに変更し、油分を洗浄する際の溶媒をヘキサンからメタノールに変更した以外は実施例1と同様に吸着、再生試験をおこなった。
マグネタイトの代わりに、平均粒子径500nmのシリカ(比表面積6.4m2/g)に変更したこと以外は実施例1と同様に吸着、再生試験をおこなった。同様の試験で500μLの油含む水200mL中に投入し油を吸着させたところ、499.9μl以上の油分を回収していることがわかった。同様の再生を繰り返し、10回洗浄後(都合11回目の使用)においても499.8μLの油分を吸着し、繰り返し使用が可能であることがわかった。しかし、磁性体を含有していないため水中から油分吸着材を分離するのに沈降させなくてはならず、時間がかかった。
ポリスチレン6重量部を、100mlのテトラヒドロフラン中に溶解させて溶液とした。造粒機(ASONE製PZ-02R)に平均粒子径800nmの球状マグネタイト粒子40重量部(比表面積5.7m2/g)を入れ、混合しながら先に作製した溶液を滴下させた。溶剤揮発後に、約5μm〜1mmの大きさの凝集体が形成されており、これを篩い分けして100μm以下の粒子をとり、油分吸着材の良品として回収し、実施例1と同様に吸着、再生試験をおこなった。同様の試験で500μLの油含む水200mL中に投入し油を吸着させたところ、499.9μl以上の油分を回収していることがわかった。同様の再生を繰り返し、10回洗浄後(都合11回目の使用)においても497.1μLの油分を吸着し、繰り返し使用が可能であることがわかった。
Claims (17)
- 無機粒子及び金属粒子の少なくとも一方、ポリマー、及びこのポリマーを溶解しうる極性の溶媒Aを調合した組成物からなるスラリー溶液を製造するステップと、
前記スラリー溶液を噴霧乾燥することによって2次凝集体の油分吸着材を製造するステップと、
前記油分吸着材から規格外の油分吸着材を除去し、この規格外の油分吸着材を前記スラリー溶液中に溶解させるステップと、
前記油分吸着材を用いて油分を吸着するステップと、
前記油分を吸着した前記油分吸着材を、前記ポリマーを溶解させないような溶媒Bで洗浄し、前記油分吸着材と前記油分とを分離させるステップと、
前記油分及び前記溶媒Bを含んだ溶液から前記油分を分離させるステップと、
前記油分吸着材から前記溶媒Bを除去するステップと、
を具えることを特徴とする、油分回収方法。 - 前記油分吸着材からの前記溶剤Bの除去は、熱エネルギーにより行うことを特徴とする、請求項1に記載の油分回収方法。
- 前記熱エネルギーは、分離した前記油分を燃焼することによって得ることを特徴とする、請求項2に記載の油分回収方法。
- 前記油分吸着材から前記溶媒Bを除去した後、規格外の油分吸着材を除去し、規格内の油分吸着材を前記油分吸着材として再利用するステップを具えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Bを除去後の前記油分吸着材から除去された前記規格外の油分吸着材を、前記溶媒Aで洗浄して前記ポリマーを除去した後、前記無機粒子及び金属粒子の前記少なくとも一方とし、再度前記油分吸着材を製造して前記油分吸着材として再利用するステップを具えることを特徴とする、請求項4に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Bを除去後の前記油分吸着材から除去された前記規格外の油分吸着材を、前記溶媒Aで洗浄して前記ポリマーを除去し、前記無機粒子及び前記金属粒子の前記少なくとも一方として回収するステップを具えることを特徴とする、請求項4に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Aがアセトンであることを特徴とする、請求項1に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Aがテトラヒドロフランであることを特徴とする、請求項1に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Bがアルコールであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Bがメタノール及びエタノールの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項9に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Bが非極性溶媒であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の油分回収方法。
- 前記溶媒Bがヘキサンであることを特徴とする、請求項11に記載の油分回収方法。
- 前記無機粒子及び前記金属粒子の前記少なくとも一方は、磁性体を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の油分回収方法。
- 前記磁性体はマグネタイトであることを特徴とする、請求項13に記載の油分回収方法。
- 前記ポリマーは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート及びこれらの共重合体の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の油分回収方法。
- 前記無機粒子及び前記金属粒子の平均粒子径が0.05ミクロン以上10ミクロン以下であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の油分回収方法。
- 前記油分吸着材の平均粒子径が10ミクロン以上1000ミクロン以下であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一に記載の油分回収方法。
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