JP2010207681A - 油分吸着材、及び油分回収方法 - Google Patents

油分吸着材、及び油分回収方法 Download PDF

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太郎 深谷
Shinetsu Fujieda
新悦 藤枝
Shinji Murai
伸次 村井
Akiko Suzuki
昭子 鈴木
Hideyuki Tsuji
秀之 辻
Ryuko Kono
龍興 河野
Arisa Yamada
有紗 山田
Nobuyuki Ashikaga
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Abstract

【課題】水中の油分を簡易かつ効率的、低コストで回収する。
【解決手段】コアを構成する無機粒子及び金属粒子の少なくとも一方、及び前記コアを被覆してなる化学式(1)で表されるポリマーを含む粒子が凝集してなる凝集体を具え、前記粒子には、孔径0.01μm〜1μmの細孔が、全細孔に対して15%〜40%の割合で形成されている油分吸着材を用いて、油分の回収を行う。
【化1】
Figure 2010207681

【選択図】なし

Description

本発明は、水中から油分を回収するための油分吸着材及びその回収方法に関するものである。
昨今、工業の発達や人口の増加により水資源の有効利用が求められている。そのためには、工業排水などの廃水の再利用が非常に重要である。これらを達成するためには水の浄化、すなわち水中から他の物質を分離することが必要である。
液体からほかの物質を分離する方法としては、各種の方法が知られており、たとえば膜分離、遠心分離、活性炭吸着、オゾン処理、凝集、さらには所定の吸着材による浮遊物質の除去などが挙げられる。このような方法によって、水に含まれるリンや窒素などの環境に影響の大きい化学物質を除去したり、水中に分散した油類、クレイなどを除去したりすることができる。
これらのうち、膜分離はもっとも一般的に使用されている方法のひとつであるが、水中に分散した油類を除去する場合には膜の細孔に油が詰まり易く、膜の寿命が短くなりやすいという問題がある。このため、水中の油類を除去するには膜分離は適切でない場合が多い。このため重油等の油類が含まれている水からそれらを除去する手法としては、例えば重油の浮上牲を利用し、水上の設置されたオイルフェンスにより水の表面に浮いている重油を集め、表面から吸引および回収する方法、または、重油に対して吸着性をもった疎水性材料を水上に敷設し、重油を吸着させて回収する方法等が挙げられる。
一方、近年においては、所定の吸着材を用い、上述したような水に含まれるリンや窒素などの化学物質を除去したり、油類、クレイなどを除去したりする試みがなされている。例えば、特許文献1〜3等には、1種以上のモノマー及び固体粒子材料を含む分散相を有する分散体を作製し、前記1種以上のモノマーの重合反応を行うことにより、ポリマービーズを形成させるとともに、前記固体粒子を前記ポリマービーズ中に化学的に取り込んでなる吸着材が開示されている。しかしながら、このようにして得た吸着材は、リンなどの化学物質に対してはある程度の吸着性を呈するものの、油類に対しては全く吸着性を示さない。
かかる観点より、特許文献4には、磁性化された吸着性粒子を用いて、油類を吸着した後の吸着性粒子を、磁気を用いて分離する方法が開示されている。例えば、磁性体表面をステアリン酸で修飾し、その磁性体に水中の油を吸着させ、回収する方法が開示されている。しかしながら、この方法でも磁性体の表面修飾に低分子化合物であるステアリン酸やカップリング剤を使用するため、それらの低分子化合物が逆に水を汚染してしまう可能性が高いという問題がある。
また、特許文献4に記載の方法では、上記油分吸着粒子は油分を吸着した後はそのまま廃棄されてしまい、前記油分吸着粒子の利用効率が悪いという問題がある。さらに、利用に供する油分吸着粒子においても、その製造過程において規格外となるものはそのまま廃棄されてしまうことになり、かかる観点からも前記油分吸着粒子の利用効率が劣化してしまうことになる。この結果、必要な油分を吸着除去するには比較的多量の油分吸着材が必要となり、油分除去操作に関するコストが必然的に増大してしまうという問題があった。
特開昭61−28373号 特開昭62−1299号 特開2004−300448号 特開2000−176306号
本発明は上記問題に鑑み、水中の油分を簡易かつ効率的、低コストで回収することを目的とする。
本発明の一態様は、コアを構成する無機粒子及び金属粒子の少なくとも一方、及び前記コアを被覆してなる化学式(1)で表されるポリマーを含む粒子が凝集してなる凝集体を具え、前記粒子には、孔径0.01μm〜1μmの細孔が、全細孔に対して15%〜40%の割合で形成されていることを特徴とする、油分吸着材
Figure 2010207681
に関する。
本発明によれば、水中の油分を吸着する油分吸着材を用いた回収方法を簡易かつ効率的に行い、前記方法を低コストで実現することができる。
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、実施形態に基づいて説明する。
(油分吸着材)
本実施形態における油分吸着材は、無機粒子及び金属粒子の少なくとも一方がコアを構成し、ポリマーが前記コアを被覆してなる粒子が凝集したものである。前記無機粒子及び前記金属粒子は、油分吸着材のコアをなすものであるので、水中に短時間浸漬しても大きな化学変化を起こさないものから適宜選択する。
例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス、タルク、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マグネシア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、雲母等のセラミック粒子、並びにアルミニウム、鉄、銅、及びこれらの合金等の金属粒子、並びにこれらの酸化物である磁鉄鉱、チタン鉄鉱、磁硫鉄鉱、マグネシアフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライト、バリウムフェライト、等を用いることができる。
なお、前記コアの大きさは、0.2μm〜5μmであることが好ましい。これによって、以下に説明するように、上記油分吸着材を構成する粒子における、孔径0.01μm〜1μmの細孔を、全細孔に対して15%〜40%の割合に容易に設定することができ、上記油分吸着材の油分吸着性能を向上させることができるようになる。なお、本願でいう全細孔とは、十分に多い量の粒子を含む状態で測定したものであって、粒子間の細孔を含むものである。
前記コアの大きさは、レーザー回折法により測定されたものである。具体的には、株式会社島津製作所製のSALD−DS21型測定装置(商品名)などにより測定することができる。
また、以下に説明するように、上記油分吸着材を回収する際に有利であることから、前記無機粒子及び前記金属粒子は、磁性体を含むことが好ましい。
磁性体は特に限定されるものではないが、室温領域において強磁性を示す物質であることが望ましい。しかしながら、本実施形態に当ってはこれらに限定されるものではなく、強磁性物質を全般的に用いることができ、例えば鉄、および鉄を含む合金、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、磁硫鉄鉱、マグネシアフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライト、バリウムフェライト、などが挙げられる。
これらのうち水中での安定性に優れたフェライト系化合物であればより効果的に本発明を達成することができる。例えば磁鉄鉱であるマグネタイト(Fe)は安価であるだけでなく、水中でも磁性体として安定し、元素としても安全であるため、水処理に使用しやすいので好ましい。
また、本実施形態では、上記無機粒子及び金属粒子自体を磁性体とすることができる。この場合、前記磁性体は磁性粉として構成されるが、球状、多面体、不定形など種々の形状を取り得るが特に限定されない。また、望ましい磁性粉としての粒径や形状は、製造コストなどを鑑みて適宜選択すれば良く、特に球状または角が丸い多面体構造が好ましい。
鋭角な角を持つ粒子であると、表面を被覆するポリマー層を傷つけ、油分吸着材の形状を維持しにくくなってしまうことがあるためである。これらの磁性粉は、必要であればCuメッキ、Niメッキなど、通常のメッキ処理が施されていてもよい。また、その表面が腐食防止などの目的で表面処理されていてもよい。
また、上記磁性体は、上述のように直接磁性粉として構成される代わりに、前記磁性粉が樹脂等のバインダーで結合されたものであってもよい。すなわち、前記磁性体を磁力によって回収する際に、前記磁力が及ぶだけの磁性を有すれば特に限定されるものでない。
上記磁性粉の大きさは、磁性粉の密度、用いられるポリマーの種類や密度、表面修飾する官能基の種類と量、など種々の条件によって変化する。しかしながら、本実施形態では、前記磁性粉の平均粒子径は、一般には0.05μm〜100μmであるが、好ましくは、上述したように、0.2μm〜5μmである。
また、本実施形態において、上述した無機粒子等からなる油分吸着材のコアを被覆するポリマーは、上述のように化学式(1)で示されるものである。この場合、R2で表される基はアルキル基であることが必要であるが、好ましくは炭素数が6以下のアルキル基であることが好ましく、特にはメチル基であることが好ましい。前記ポリマーが、炭素数が少ないアルキル基を有することによって、前記ポリマーの親油性が増大する一方、前記ポリマーを安価に製造することができるようになり、入手が容易になるという利点がある。
なお、前記ポリマーが油分吸着性を呈する限りにおいて、他のポリマーと共重合していてもよいし、またポリマーアロイ化していてもよい。
前記ポリマーとして好ましい例を挙げると、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、及びポリヘキシルアクリレート等である。
また、前記ポリマーの重合度(化学式(1))におけるnは、例えば100〜10000とすることができるが、以下に示す製造方法に従って、所定の溶剤中に溶解し、目的とする油分吸着材を製造することができれば、特に限定されるものではない
前記油分吸着材、すなわち凝集体を構成する粒子の、前記コアと前記ポリマーとの体積比は、1:1〜10:1であることが好ましい。これによって、以下に説明するように、上記油分吸着材を構成する粒子における、孔径0.01μm〜1μmの細孔を、全細孔に対して15%〜40%の割合に容易に設定することができ、上記油分吸着材の油分吸着性能を向上させることができるようになる。
上記油分吸着材は、化学式(1)から明らかなように、分子中にエステル基を有しているので親水性を有する一方、アルキル基(R2)を有するので親油性をも有する。したがって、以下に説明するように、上記油分吸着材を水中に浸漬させた場合に、優れた分散性を呈するとともに、油分吸収性(吸着性)をも呈するようになる。
さらに、本実施形態では、上記油分吸着材を構成する上記凝集体の構成粒子が、全細孔に対して15%〜40%の割合で、孔径0.01μm〜1μmの細孔を有している。したがって、上記油分吸着材は、化学式(1)で表される構成ポリマーのアルキル基(R2)による親油性の効果に加えて、以下に示すような効果を呈し、その結果、優れた油分吸着性能を呈するようになる。
すなわち、前記構成粒子が、孔径0.01μm〜1μmの細孔を有すると、前記ポリマーにも同様の大きさの細孔が形成されることになる。この結果、油は水中で存在する時よりも、前記油分吸着材、すなわち前記ポリマーにおける前記細孔内部で存在した方が熱力学的に安定になる。この油が安定するために必要な細孔は発明者らの実験によると概ね1μm以下である。これ以上大きい細孔であると、油分は吸着するもののその保持力は弱くなってしまう。また0.01μmより小さい穴径では、油分を吸着するもののその速度が非常に遅くなってしまう。
上述した孔径の割合は、例えば水銀圧入法によって測定することができる。この場合、横軸に孔径を採り、縦軸に孔径に対するピーク強度を採ったグラフが得られるので、各孔径に対するピーク強度の面積を導出することによって、前記孔径の形成割合を導出することができる。したがって、前記構成粒子の孔径0.01μm〜1μmのピーク強度の面積を得、この面積を、前孔径の面積を含む全孔径に対するピーク強度の面積で除することによって、前記孔径の形成割合を導出することができる。
なお、前記水銀中圧法によって孔径を測定する際には、前記グラフ中に、前記構成粒子の間隙に起因したピークも生成されるが、本願では、上述した細孔に関する定義に従い、このピークも細孔として計算する。
上記油分吸着材、すなわちその構成体である凝集体の大きさは、5μm〜100μmであることが好ましい。前記油分吸着材の大きさが100μmよりも大きいと、凝集する粒子が大きくなりすぎて、油分回収工程の際に、水への分散が悪くなる傾向があり、また粒子の実効的な表面積が減少して、油類などの吸着量が減少する傾向にあるので好ましくない。また前記油分吸着材が5μmより小さくなると、1次粒子が緻密に凝集し、前記凝集体、すなわち前記油分吸着材の表面積が小さくなる傾向があるので好ましくない。
(油分吸着材の製造)
次に、上述した本実施形態の油分吸着材の製造方法について説明する。
最初に、上述した無機粒子等と、上述したようなポリマーと、溶媒Aとを準備し、これらを混合して、所定のスラリー溶液を調整する。実際には、前記無機粒子等と前記ポリマーとを溶媒Aに対して溶解させる。
上記溶媒Aは、上述した無機粒子等とポリマーとを溶解し、上述したスラリー溶液を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは極性溶媒とする。極性溶媒は親水性に優れるので、無機粒子等の表面に微量に存在する水酸基と溶媒Aとが親和し、前記無機粒子等が凝集せず溶媒A中に均一に分散するようになる。
なお、本実施形態で、“親水性”とは、水と自由に混和するものと定義し、具体的には1気圧において温度20℃で同容量の純水と緩やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまった後も当該混合液が均一な外観を維持するものである。
上記溶媒Aを非極性溶媒とすると、前記溶媒Aは疎水性溶媒(水の溶解度が10%以下のものと定義する)となるので、スラリー溶液中で無機粒子が凝集して不均一となる場合がある。このため以下に説明するスプレードライにより油分吸着材を製造した場合、無機粒子等を含まないものや、無機粒子等ばかりのものができてしまい、実際の油分吸着に適さない不良品の分別に多くの工程が必要になる。さらに、不良品の組成も均一でないため、再利用の際に、上記スラリー溶液に戻すには、その溶液濃度を設定値に保持すべく、前記不良品に対する組成分析が必要になり、再利用の工程が煩雑になってしまう。
上記親水性の溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。好ましくは、極性をもち、均一なスラリー流体を作りやすいアセトン、テトラヒドロフランがよい。
次に、上述したスラリー溶液を噴霧乾燥する。この噴霧乾燥には、いわゆる有機物含有溶液から有機溶媒を除去して粒子状の前記有機物を得ることができるスプレードライ法を用いる。本実施形態において、前記有機物は、前記無機粒子等をコアとし、その周囲を上記ポリマーで被覆してなる樹脂複合体粒子(凝集体)であり、本発明の油分吸着材である。
スプレードライ法によれば、スプレードライの環境温度や噴出速度などを調整することにより1次粒子が凝集した2次凝集体の平均粒子径が調整できる。すなわち、本実施形態における、上記コアを構成する上記無機粒子等、及び前記コアを被覆してなる化学式(1)で表されるポリマーを含む粒子が凝集してなる凝集体の平均粒子径を調整することができるようになる。
また、凝集した1次粒子(すなわち、凝集体の構成粒子)の間から有機溶媒が除去される際に孔が形成されるので、油分吸着材として好適な多孔質構造を簡易に形成することができるようになる。
スプレードライ法は公知のいかなるものでも構わないが、例えばディスクタイプ、加圧ノズルタイプ、2流体ノズルタイプが挙げられる。
(油分回収方法)
次に、上述の油分吸着材を用いた油分回収方法について説明する。油分回収操作は、油分を含んでなる水から、前記油分を分離するものである。ここで“油分”とは、水中に混和/分散している有機物のうち、一般に常温において液体であり、水に難溶性であり、粘性が比較的高く、水よりも比重が低いものをいう。より具体的には、動植物性油脂、炭化水素、芳香油などである。これらは、脂肪酸グリセリド、石油、高級アルコールなどに代表される。これらの油類はそれぞれ有する官能基などに特徴があるので、それに応じて上記油分吸着材を構成するポリマーや官能基を選択することができる。
最初に、油分を含んでなる水に、上記油分吸着材を浸漬、分散させる。上述したように、前記油分吸着材は、化学式(1)で表わされるポリマーを含み、このポリマーは、親水性に富むエステル結合を含むので、水中に良好に分散するようになる。また、前記油分吸着材は、化学式(1)で表わされるように、親油性のアルキル基(R2)を有するポリマーを含むとともに、全細孔に対して15%〜40%の割合で孔径0.01μm〜1μmの細孔を含むので、前記油分に対して高い吸着性を示す。したがって、前記油分吸着材には、多量の油分が吸着されるようになる。
前記油分吸着材が前記油分を吸着した後、前記油分吸着材を水から分離し、結果として、前記水中に存在した前記油分を分離除去する。なお、前記油分吸着材を分離する際には、公知の方法、例えば上述した重力による沈降や、サイクロンを用いた遠心力を用いて容易に行うことができる。さらに、上記無機粒子等が磁性体を含む場合は、磁気による分離をも併用することが可能となる。
油分回収処理の対象とされる水は特に限定されない。具体的には工業排水、下水、生活排水などに用いることができる。処理しようとする水に含まれる油分濃度も特に限定されない。
次いで、上記油分吸着材によって油分を吸着して水中から除去した後は、前記油分吸着材を溶媒Bで洗浄して吸着した油分を除去する。この溶媒Bは、前記油分吸着材に使用されているポリマーを溶解しないものでなくてはならない。具体的には、溶媒Bへの溶解度が1000mg/L以下のものを用いる。
このような溶媒は被覆するポリマーや表面修飾により異なるが、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ヘキシルアルコール、シクロヘキサノールや、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、ジメチルアニリン、フロン、n−ヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
この中でも、特に非極性の溶媒が好ましい。非極性の溶媒は疎水性を示し、特に油分との親和性が高くなるので、前記油分吸着材に吸着した前記油分の洗浄を簡易かつ効率的に行うことができる。また非極性溶媒を用いた場合には、劣化した吸着材の分離除去が非常に容易になる。なお、“疎水性”とは、水の溶解度が10%以下で、水と分離するものと定義する。特に、ヘキサンが油の溶解力が高く、沸点も約70度であって室温では常に安定した液体であるため、扱いやすく好ましい。
また、溶媒Bとしてはアルコールをも好ましく用いることができる。この場合は、油分吸着材の表面に付着あるいは吸着した水と置換しやすく、油分以外の不純物を除去しやすい。アルコール類の中では、沸点の低いメタノールとエタノールが特に好ましい。
本工程において、上記油分吸着材は、例えばカラムに充填し、その内部に溶媒Bを通過させる方法や、特に前記油分吸着材が磁性体を含むような場合は、洗浄槽中に入れるとともに多量の溶媒を投入し、サイクロンや磁力などの方法で分離させる方法が挙げられる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
油分吸着材の製造
ポリメチルメタクリレート樹脂(住友化学社製 MH,以下PMMA)140重量部を、2400mlのテトラヒドロフラン中に溶解させて溶液とし、その溶液中に平均粒子径約1090nmのマグネタイト粒子1500重量部を分散させて組成物を得た。この組成物を、ミニスプレードライヤー(柴田科学株式会社製、B−290型)を用いて二流体ノズルで噴霧し、球状に凝集した平均2次粒子径が約20μmの2次凝集体、すなわち油吸着粒子を製造した。この時の噴霧条件は、温度90℃、噴霧圧力0.6MPa、噴霧速度700mL/hであった。SEM観察を行ったところ、磁性粉が凝集したポーラス体となっていた。
なお、水銀圧入法によって、前記油吸着粒子を構成する前記2次凝集体の孔径0.01μm〜1μmの細孔の割合は35.2%であることが判明した。
油分回収
上述のようにして得た油吸着粒子1gを1Lの共栓付三角フラスコに測り取り、直鎖脂肪族の油1500μLを含む水200mlを加え、よく撹拌して前記油吸着粒子に油を吸着させた。その後、磁石を用いて前記油吸着粒子を三角フラスコに取り出した後、ヘキサン100mlを添加してよく撹拌して洗浄し、油を抽出した。このヘキサンを、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、前記油吸着粒子の油の吸着率を求めたところ、99.4%の油を吸着していた。
また、前記油吸着粒子を10mlのヘキサン中に投入しよく攪拌した。このヘキサン中から磁石を用いて前記油吸着粒子を取り出し、ヘキサンを分析したところ、全量の油を脱離していた。この脱離後の前記油吸着粒子をSEM観察したところ、吸着前と同様のポーラス構造を維持していた。
次いで、上記油吸着粒子を洗浄した後、ステンレスバットに入れ、有機ドラフト中で30分乾燥させたところ、全量のヘキサンが飛んでいることがわかった。この後、前記油吸着粒子を乾式のサイクロンにかけ、小さい粒子を除去し、残りを良品として回収した。このようにして得られた再生吸着粒子を、同様の試験で1500μLの油含む水200mL中に投入し油を吸着させたところ、99.2%の油分を回収していることがわかった。
(実施例2〜6)
実施例1に対して、表1に示すように、噴霧条件(噴霧温度又は噴霧速度)を変えたこと以外は同様に、油分吸着粒子を製造した。なお、噴霧条件及び0.01μm〜1μmの細孔の割合、油分吸着率は、表1に併せて示す。
(実施例7)
実施例1のスプレードライヤーを用いた噴霧方法に代えて、ディスク方式(直径30mm)を用いた以外は、実施例1と同様に油分吸着粒子を製造した。なお、微細化する条件として、噴霧圧力の代わりにディスクの回転数を制御し、25000rpmに設定した。0.01μm〜1μmの細孔の割合、油分吸着率を表1に示す。
(実施例8及び9)
実施例7において、ポリマーをPMMAからポリメチルメタクリレート/ポリスチレン共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様に油分吸着粒子を製造した。0.01μm〜1μmの細孔の割合、油分吸着率を表1に示す。
(実施例10〜13)
実施例1のポリマーの量(ポリマーとコアとの体積比)を代えたこと以外は、実施例1同様に油分吸着粒子を製造した。ポリマーの量、0.01μm〜1μmの細孔の割合、油分吸着率を表1に示す。
(実施例14〜17)
コアの大きさを変えたこと以外は、実施例1と同様に油分吸着粒子を製造した。なお、実施例14では樹脂の量(ポリマーとコアとの体積比)を減らしている。コアの大きさ、0.01μm〜1μmの細孔の割合、油分吸着率を表1に示す。
(実施例18〜20)
ポリマーの種類を表1に示すように代えたこと以外は、実施例1と同様に油分吸着粒子を製造した。ポリマーの種類、0.01μm〜1μmの細孔の割合、油分吸着率を表1に示す。
Figure 2010207681
実施例1〜20から明らかなように、0.01μm〜1μmの細孔の割合が全体の15〜40%のものについて良好な油分吸着特性を示すことが明らかになった。
(比較例1)
実施例1の樹脂量を多くし、ポリマーとコアの体積比率をポリマー1に対して0.64にしたこと以外は同様に油分吸着粒子を製造した。0.01μm〜1μmの細孔の割合は11.9%で、油分吸着率は67.9%であり、実施例1〜20と比べて低かった。
(比較例2)
実施例14と同一組成で、回転式混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて造粒し、油分吸着粒子を製造した。まずヘンシェルミキサー中にマグネタイト1500gを投入し、PMMA140重量部をアセトン500mLに溶解した液を滴下して混合した。油分吸着粒子は中が詰まっている状態になっており、0.01μm〜1μmの細孔の割合は0.5%であった。油分吸着率は43.9%であり、実施例1〜20と比べて低かった。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。

Claims (5)

  1. コアを構成する無機粒子及び金属粒子の少なくとも一方、及び前記コアを被覆してなる化学式(1)で表されるポリマーを含む粒子が凝集してなる凝集体を具え、
    前記粒子には、孔径0.01μm〜1μmの細孔が、全細孔に対して15%〜40%の割合で形成されていることを特徴とする、油分吸着材
    Figure 2010207681
  2. 前記コアの大きさが、0.2μm〜5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の油分吸着材。
  3. 前記粒子における前記コアと前記ポリマーとの体積比が、1:1〜10:1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油分吸着材。
  4. 前記ポリマーは、ポリメチルメタクリレートであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の油分吸着材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載の油分吸着材を水中の油分を吸着することを特徴とする、油分回収方法。
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JP2021060797A (ja) * 2019-10-07 2021-04-15 トヨタ自動車株式会社 プログラム更新システム、プログラム送信装置およびプログラム送信方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02241541A (ja) * 1989-03-16 1990-09-26 Toppan Printing Co Ltd 吸収性磁性粒子

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