JP5317673B2 - 油類吸着機能性粒子、及び油類処理方法 - Google Patents

油類吸着機能性粒子、及び油類処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、水質浄化や固液分離等を行なうのに有用な機能性粒子及びそれを用いた水処理方法に関するものである。特に、被処理水中で分離すべき物質と結合させ、磁気分離技術により捕捉して、前記物質を被処理水中から分離するのに有用な機能性粒子及びそれを用いた水処理方法に関するものである。
昨今、工業の発達や人口の増加により水資源の有効利用が求められている。そのためには、工業排水などの廃水の再利用が非常に重要である。これらを達成するためには水の浄化、すなわち水中から他の物質を分離することが必要である。
液体から不純物を分離する方法としては、各種の方法が知られており、たとえば膜分離、遠心分離、活性炭吸着、オゾン処理、凝集、さらには所定の吸着材による浮遊物質の除去などが挙げられる。このような方法によって、水に含まれるリンや窒素などの環境に影響の大きい化学物質を除去したり、水中に分散した油類、クレイなどを除去したりすることができる。
これらのうち、膜分離はもっとも一般的に使用されている方法のひとつであるが、水中に分散した油類を除去する場合には膜の細孔に油が詰まり易く、膜の寿命が短くなりやすいという問題がある。このため、水中の油類を除去するには膜分離は適切でない場合が多い。このため重油等の油類が含まれている水からそれらを除去する手法としては、例えば重油の浮上牲を利用し、水上の設置されたオイルフェンスにより水の表面に浮いている重油を集め、表面から吸引および回収する方法、または、重油に対して吸着性をもった疎水性材料を水上に敷設し、重油を吸着させて回収する方法等が挙げられる。
また、固液分離等を目的とし、フィルターを用いて被処理水を濾過して有機物などからなる不純物等(以下、簡単のために不純物という)を分離し除去する浄化装置が知られている。このような浄化装置においては、微細な開口部を有するフィルターを具備してなりそのフィルターを被処理水が通過するように構成される。被処理水中の不純物は、その投影面積(または投影直径)が、フィルターの開口部投影面積(または開口部径)よりも大きい場合は通過できずに捕捉分離され、フィルターを透過した水が浄化水として回収される。
さらに、同じフィルターで処理を繰り返すと、フィルターの入口側に不純物が順次堆積し圧力損失が増大して通水量が低下するという問題が発生する。このような問題が発生した場合、処理をいったん停止し、フィルターに浄化水などを逆方向から流してフィルターに堆積した不純物を除去しなければならない。
また、フィルターで分離できない微細な不純物を分離する必要がある場合には、凝縮剤によって、フィルターにより分離できる数百マイクロメートル程度の大きさの凝集体を形成させて、分離する。具体的には、被処理水に硫酸バン土やポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を添加し、被処理水中にアルミニウムイオン等を発生させ、撹絆により不純物を凝集させる。この場合、相対的に大きい凝集体にすることによりフィルターで汚不純物を除去することができ、水質の高い浄化水を得ることができる。分離された凝集体は、スラッジとしてそのまま、あるいはコンポスト化されて、処分場や焼却場に運搬される。
しかし、このようにフィルターを用いた分離方法では、いくつかの改良すべき点が存在する。
まず、不純物が堆積したフィルターを洗浄水の逆流により洗浄し、その洗浄水と被処理物の混合水をスラッジとして分離部系から排除する構成であるため、一般的にスラッジの含水率が極めて大きくなる。ここでスラッジをトラックで処分場や焼却場に運搬する場合、コンポスト化する場合も含めて、運搬コストを下げるために含水率を小さくすることが好ましい。このためには一般的には遠心脱水機やベルトプレス機等の脱水手段を使用してスラッジの脱水処理が行われる。含水率の大きいスラッジの場合、脱水能力に優れた脱水手段が必要となり、その装置のコストや運転エネルギー費が増大する。
また、分離処理を継続的に行う場合には、濾過処理、すなわち不純物のフィルターへの堆積とフィルターに堆積した不純物の洗浄とを交互に行なう必要があり、濾過処理を定期的に中断する必要があり、処理量の低下を招くという課題があった。
さらに、大量の被処理水の濾過を行なうには大面積のフィルターを使用しなければならず、浄化装置が大きくなるという問題がある。また、凝集剤を用いて回収する方法は、コストの面で不利となる。
以上のように、フィルターを用いて不純物を除去する方法には改良の余地があった。
かかる観点より、近年においては、所定の機能性粒子を用い、例えば油類が分散した水中内に浸漬させることによって、前記機能性粒子に前記油類を吸着させ、前記水中から除去する試みがなされている。例えば、特許文献1には、磁性体粒子の表面に樹脂等の有機質を吸着させてなる油分吸着材を用い、水中から油分を吸着除去する技術が開示されている。しかしながら、この方法では、水中への分散性が低く、前記機能性粒子が沈降したり、表面に浮遊したりしてしまう傾向があり、効率良く油分の吸着除去を行うことができなかった。
また、特許文献2には、親水性ブロックと親油性ブロックとを有する機能性粒子としての吸着ポリマーを用いて油を吸着させ、その後その吸着ポリマーを水から除去する方法が開示されている。しかしながら、このような方法では吸着ポリマーと水の分離に労力がかかるだけでなく、油が吸着したポリマーが軟化して作業性が悪いという問題もある。
一方で、特許文献3には、磁性化された機能性粒子を用いて、油類を吸着した後の機能性粒子を、磁気を用いて分離する方法も知られている。例えば、磁性体表面をステアリン酸で修飾し、その磁性体に水中の油を吸着させ、回収する方法が開示されている。しかしながら、上記機能性粒子も水中への分散性が低く、前記機能性粒子が沈降したり、表面に浮遊したりしてしまう傾向があり、効率良く油分の吸着除去を行うことができなかった。
特開昭60−97087号 特開平07−102238号 特開2000−176306号
本発明は上記問題に鑑み、被処理水に含まれる不純物を効率よく、かつ低コストで分離可能な機能性粒子、およびそれを用いた水処理方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、前記磁性体粒子の表面に付着したR1-(O-R2)n-OH (1)
(上記式中:R1は炭素原子数1〜30の置換もしくは非置換の炭化水素基、又は置換もしくは非置換の芳香族基あるいは複素芳香族基、R2はエチレン、プロピレン、ブチレンのいずれかひとつ、nは10〜500の数である)で表わされる両親媒性の有機基と、
を具えることを特徴とする、油類吸着機能性粒子に関する。
本発明の他の態様は、不純物を含んでなる水中に、請求項1〜のいずれか一に記載の機能性粒子を浸漬及び分散させるステップと、前記機能性粒子の表面に前記不純物が吸着した後、前記機能性粒子を、磁力を利用して前記水から分離するステップと、を具えることを特徴とする、油類処理方法に関する。
本発明によれば、被処理水に含まれる不純物を効率よく、かつ低コストで分離可能な機能性粒子、およびそれを用いた水処理方法を提供することができる。
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、実施形態に基づいて説明する。
水処理用機能性粒子)
本実施形態における水処理用機能性粒子は、磁性体粒子に表面に両親媒性の有機基が付着されることによって構成される。
<磁性体粒子>
前記磁性体粒子は特に限定されるものではないが、室温領域において強磁性又はフェリ磁性を示す物質であることが望ましい。しかしながら、本実施形態に当ってはこれらに限定されるものではなく、強磁性を示す物質としては、例えば鉄、および鉄を含む合金、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、磁硫鉄鉱を例示することができ、フェリ磁性を示す物質としては、例えばマグネシアフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライト、バリウムフェライトを例示することができる。
これらのうち水中での安定性に優れたフェライト系化合物であればより効果的に本発明を達成することができる。例えば磁鉄鉱であるマグネタイト(Fe)は安価であるだけでなく、水中でも磁性体として安定し、元素としても安全であるため、水処理に使用しやすいので好ましい。
また、上記磁性体粒子は、球状、多面体、不定形など種々の形状を取り得るが特に限定されない。また、望ましい磁性体粒子としての粒径や形状は、製造コストなどを鑑みて適宜選択すれば良く、特に球状または角が丸い多面体構造が好ましい。
鋭角な角を持つ粒子であると、表面を被覆するポリマー層を傷つけ、油分吸着材の形状を維持しにくくなってしまうことがあるためである。なお、上記磁性体粒子は、必要であればCuメッキ、Niメッキなど、通常のメッキ処理が施しされていてもよい。また、その表面が腐食防止などの目的で表面処理されていてもよい。
上記磁性体粒子の大きさは特に限定されないが、一般に平均粒子径が0.1〜1000μmであることが好ましく、さらに10〜500μmであることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると、磁場に起因した力の作用が小さくなるために磁気による回収が困難になる場合があり、1000μmを超えると比表面積が小さくなるために不純物の回収率が悪くなる場合ある。ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法により測定されたものである。具体的には、株式会社島津製作所製のSALD−DS21型測定装置(商品名)などにより測定することができる。また、そのほかX線回折測定、透過型電子顕微鏡(TEM)測定により測定することもできる。
なお、上記磁性体粒子は、上述のように、直接的に磁性体から構成することもできるが、微細な磁性体粉末と樹脂などのバインダーとからなる組成物から構成することもできる。
<両親媒性の有機基>
本実施形態における両親媒性の有機基は、疎水性(親油性)及び親水性の双方を呈するものであれば特に限定されない。一般には、前記有機基が疎水性基及び親水性基を有することによって、上記要件が満足される。
例えば、前記有機基は、
R1-(O-R2)n-OH (1)
(上記式中:R1は炭素原子数1〜30の置換もしくは非置換の炭化水素基、又は置換もしくは非置換の芳香族基あるいは複素芳香族基、R2はエチレン、プロピレン、ブチレンのいずれかひとつ、nは10〜500の数である)なる一般式で表わすことができる。
一般式(1)において、R1で表わされる基が疎水性を呈し、(O-R2)nで表わされる基が親水性を示す。一般式(1)で表わされる有機基は、疎水性及び親水性の双方おいて優れるので、以下に説明する水処理に前記有機基を有する上記機能性粒子を用いた場合において、被処理水に含まれる不純物を効率よく、かつ低コストで分離することができるようになる。
なお、R1は炭素原子数1〜30の置換もしくは非置換の炭化水素基であって、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ヘンイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコサン等の分岐あるいは直鎖状の置換基やコレステロール等のステロイド骨格を有する化合物を例示することができる。この中でも、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン及びオクタデカンが好ましい。
上述した炭化水素基は、F,Si,O,N,S等のヘテロ原子が含有されていてもよい。
また、R1は置換もしくは非置換の芳香族基または複素芳香族基であって、例えば、フェニル基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジル基、トリクロロベンジル基、ニトロベンジル基、ジニトロベンジル基、トリニトロベンジル基、ナフチルメチル基;ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニル基のような2ないし3個のベンゼン環が縮合してなる縮合芳香環基;フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミタゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、フラザニル、テトラゾリル、ピラニル、チイニル、ピリジニル、ピペリジニル、オキサジニル、モルホリニル、チアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニルおよびトリアジニル基のような単環式複素芳香環基;ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、イミダゾリル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノキサジニル、チアントレニル、インドリジニル、キノリジニル、キヌクリジニル、ナフチリジニル、プリニルおよびプテリジニル基のような縮合複素芳香環基;および水素原子が1つもしくはそれ以上の置換基で置換されたそれらの基を挙げることができる。
また、上記有機基は、
R3-Ar-(O-R2)n-OH (2)
(上記式中:R3は炭素原子数1〜30の置換もしくは非置換の炭化水素基、R2はエチレン、プロピレン、ブチレンのいずれかひとつ、Arは非置換の芳香族基または複素芳香族基、nは10〜500の数である)とすることもできる。
一般式(1)では、上記有機基がR1として、置換あるいは非置換の炭化水素基又は置換あるいは非置換の芳香族基のいずれか一方を有することが要求されるのみであったが、一般式(2)では、置換あるいは非置換の炭化水素基としてのR3に加えて、置換あるいは非置換の芳香族基としてのArを有するので、前記有機基は、これら炭化水素基及び芳香族基の双方を有することが要求される。したがって、一般式(1)で表わされる有機基に比較してより高い疎水性を呈する。
なお、R3としての炭化水素基は、上述したR1と同様のものとすることができる。同じく、Arとしての芳香族基も、上述したR1と同様のものとすることができる。
また、R3、ArはR1と同様の炭化水素基及び芳香族基とすることができるので、これらは疎水性を呈し、(O-R2)nは親水性を呈する。
さらに、R2はエチレン、プロピレン、ブチレンのいずれかひとつであるので、一般式(1)及び(2)で示される有機基は、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基を有することになる。したがって、(O-R2)nではなく、前述したポリエチレングリコール残基等が親水性を有するということもできる。
なお、一般式(1)及び(2)における水酸基(OH)は、以下に説明するように、磁性体粒子にエステル結合によって結合する際に重要な役割を果たす。
水処理用機能性粒子の製造>
上述した磁性体粒子の表面に、上記有機基を付着する方法は任意の方法を用いることができる。しかしながら、水処理用機能性粒子が被処理水中に分散されたときに、前記有機基が前記磁性体粒子から脱離すると、被処理水が汚染されてしまう場合がある。したがって、前記有機基が前記磁性体粒子の表面から脱離しないように前記磁性体粒子の表面に化学的に結合させることが好ましい。
例えば、前記磁性体粒子が、マグネタイトからなるものである場合、その表面は酸化物の酸素原子が露出している。したがって、その表面を適当に処理し、表面に水酸基を形成させることで、前記有機基、またはその前駆体を有する有機物と反応しやすくすることができる。前述のような処理方法としては、エタノールなどの有機溶媒による洗浄、UV洗浄、プラズマ処理等が挙げられる。
また、微細な磁性体粉末と樹脂などのバインダーとからなる組成物から形成された磁性体粒子を用いる場合には、バインダーに有機物と反応しえる官能基を導入しておくことで、両親媒性基を磁性体粒子と化学的に結合させることもできる。
また、上記磁性体粒子の表面と上記有機基と結合させる場合には、エステル結合を介して結合させることができる。この場合、前記磁性体粒子の表面に前記有機基をより強固に結合させることができ、後に説明する水処理において、被処理水中に前記有機基が分離して混入し、前記被処理水を汚染させるようなことがない。
エステル結合を行う場合は、前記磁性体粒子と前記有機基とを、例えばジカルボン酸化合物、酸無水物、ジ酸塩化物などの存在下で反応させる。この反応は前記磁性体粒子、前記有機基等を溶剤中に溶解させて溶液とした後、前記ジカルボン酸等を添加し、所定温度に加熱して脱水反応を生ぜしめることによって行う。
ジカルボン酸化合物としては、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸などが挙げられる。飽和脂肪族カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸としてはcis,cis−9,12−オクタデカジエン酸、8,11−イコサジエン酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸が挙げられる。
さらに ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリト酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの多価カルボン酸なども挙げられる。
酸無水物としては上記ジカルボン酸の酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物などが挙げられる。
ジ酸塩化物としては上記ジカルボン酸の酸塩化物が挙げられる。たとえば、アジポイルクロリド(アジピン酸二塩化物)、二塩化テレフタロイルなどが挙げられる。
なお、上記溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
(水処理方法)
次に、上述の機能性粒子を用いた水処理方法について説明する。本実施形態による水処理方法は、不純物を含んでなる水から、不純物を分離するものである。ここで、不純物とは、処理しようとする水に含まれており、その水を利用するに当たって除去すべきものを意味する。例えば、前記不純物は有機物とすることができ、その有機物を再利用するために分離するものであってもよい。
なお、以下においては、一例として上記不純物が油類の場合について説明する。ここで“油類”とは、水中に混和/分散している有機物のうち、一般に常温において液体であり、水に難溶性であり、粘性が比較的高く、水よりも比重が低いものをいう。より具体的には、動植物性油脂、炭化水素、芳香油などである。これらは、脂肪酸グリセリド、石油、高級アルコールなどに代表される。これらの油類はそれぞれ有する官能基などに特徴があるので、それに応じて上記油分吸着材を構成するポリマーや官能基を選択することができる。
最初に、油類を含んでなる水に、上記機能性粒子を浸漬、分散させる。上述したように、前記機能性粒子は、例えば一般式(1)で示されるR1等の疎水性基によって疎水性(親油性)を呈するとともに、例えば一般式(1)で示される(O-R2)n等の親水性基によって親水性を呈するので、前記機能性粒子はその親水性に起因して水中に均一に分散し、その疎水性によって前記油類が前記機能性粒子に吸着される。すなわち、水中への均一な分散性と油類の高度な吸着によって、前記油類を高度に吸着することができる。
具体的には80%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の油類を吸着することができる。
次いで、前記機能性粒子が前記油類を吸着した後、前記機能性粒子を水から分離し、結果として、前記水中に存在した前記油類を分離除去する。なお、前記機能性粒子は磁性体粒子を含むので、前記分離は、磁石による吸引によって行うことができる。また、重力による沈降や、サイクロンを用いた遠心力も併用することができる。
水処理の対象とされる水は特に限定されない。具体的には工業排水、下水、生活排水などに用いることができる。処理しようとする水に含まれる不純物濃度も特に限定されない。但し、過度に不純物濃度が高い場合には、上記機能性粒子が多量に必要となるため、別の手段により不純物濃度を下げてから本態様による水処理方法に付すほうが効率的である。具体的には、本態様による水処理方法は、不純物濃度が1%以下の水に用いることが好ましく、0.1%以下の水に用いることがより好ましい。
次いで、上記機能性粒子によって油類を吸着して水中から除去した後は、前記機能性粒子を所定の溶媒で洗浄して吸着した油類を除去する。前記溶媒は、前記機能性粒子における有機基を溶解しないようなものであることが好ましい。具体的には、前有機基の、前記溶媒への溶解度が1000mg/L以下のものを用いる。これによって、以下に示す乾燥工程の後、前記機能性粒子は、上述したような水処理に対して再利用することができる。
前記溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールや、アセトン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、シクロヘキサン及びそれらの混合物を用いることができる。なお、それ以外の溶媒であっても、前記有機基の種類に応じて利用が可能である。
次いで、前記機能性粒子から油類を除去した後は、洗浄に使用した前記溶媒を乾燥させる。この際、前記機能性粒子が劣化しておらず、規格内となっている場合は、前記溶媒を完全に取り除くことで、もう一度機能性粒子として再利用できる。乾燥工程は特に限定されないが、例えば風通しの良いところで乾燥させたり、減圧乾燥させたり、カラムにつめて通風したりして溶媒を除去する。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
マグネタイトなど鉄磁性またはフェリ磁性からなる磁性体粒子(平均粒子径5μm)を準備し、その表面を洗浄して、水酸基を形成させた。具体的には、エタノール中に磁性体粒子を添加し、室温で攪拌した後、5,000rpmで3分間遠心分離を行って上澄みを除去した後、さらに超純水で同様に3回洗浄を行った。その後、100℃で30分乾燥させ、完全に水分を除去した。
Igepal CO-990(Aldrich社製)(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)を二塩化テレフタロイルに対して0.5等量反応させた後、乾燥した磁性体粒子を加えた。反応終了後、未反応のIgepal CO-990(Aldrich社製、)と二塩化テレフタロイルとをテトラヒドロフランで3回、超純水を用いて3回洗浄した。
IR測定装置を用いて、表面処理された磁性体粒子の観察を行った。Si−O(800〜1100cm−1)、エステル基(1750cm−1付近)、芳香族環C−H (1600cm−1付近)のピークがそれぞれ観察されたことから、磁気微粒子の表面にノニオン型両親媒性修飾基が結合した機能性粒子を得た。
得られた機能性微粒子の平均粒子径は、X線回折測定、透過型電子顕微鏡(TEM)測定のいずれにおいても4μmと決定でき、また表面修飾したことで粒子の形状になんら影響のないことが確認された。
次いで、水(20ml)、ミシン油(40μl)を含む50mlの比色管に、上記合成した機能性粒子(0.1g)を加え、1分間振とうさせて油を機能性粒子に吸着させた。この試料の600nmの光透過率を測定して、水に対する分散性を評価した。光透過率は10%以下であり、機能性粒子は均一に分散していることがわかった。
磁石を用いて前記比色管から前記機能性粒子を除去し、代替フルオロカーボン溶媒(H-997、商品名:堀場製作所株式会社製)を10ml加えて未吸着の油を抽出し、油分濃度計OCMA−305(商品名:堀場製作所株式会社製)で未吸着の油の濃度を測定した。その結果、未吸着の油の濃度は約5ppm以下であった。
(実施例2)
二塩化テレフタロイルをフタル酸2塩化物に変更した以外は実施例1と同様にして機能性粒子を合成し、同様の方法で評価した。その結果、未吸着の油の濃度は5ppm以下であった。また、機能性粒子は均一に分散していることが判明した。
(実施例3)
二塩化テレフタロイルをアジピン酸2塩化物に変更した以外は実施例1と同様にして機能性粒子を合成し、同様の方法で評価した。その結果、未吸着の油の濃度は5ppm以下であった。また、機能性粒子は均一に分散していることが判明した。
(実施例4)
二塩化テレフタロイルをマロン酸2塩化物に変更した以外は実施例1と同様にして機能性粒子を合成し、同様の方法で評価した。その結果、未吸着の油の濃度は6ppm以下であった。また、機能性粒子は均一に分散していることが判明した。
(実施例5)
Igepal CO-990(Aldrich社製)の代わりにポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(平均分子量2500、Aldrich社製)に変更した以外は実施例1と同様にして機能性粒子を合成し、同様の方法で評価した。その結果、未吸着の油の濃度は5ppm以下であった。また、機能性粒子は均一に分散していることが判明した。
(実施例6)
Igepal CO-990(Aldrich社製)の代わりにポリブチレングリコールモノブチルエーテル(平均分子量3000、Aldrich社製)に変更した以外は実施例1と同様にして機能性粒子を合成し、同様の方法で評価した。その結果、未吸着の油の濃度は6ppm以下であった。また、機能性粒子は均一に分散していることが判明した。
(比較例1)
ポリエチエングリコール(平均分子量3,000、Aldrich社製)をカルボン酸に酸化し、さらにチオニルクロリドを作用させてポリエチレングリコールの塩化物に変換した。これに乾燥した磁性体粒子を加えて磁性粒子の表面を修飾した。反応終了後、未反応のポリエチレングリコール誘導体をテトラヒドロフランで3回、超純水を用いて3回洗浄した。その後、実施例1と同様にして評価した。その結果、未吸着の油の濃度は約50ppmであった。但し、分散性は良好であった。
(比較例2)
平均分子量8500のポリエチレングリコール(Aldrich社製)に変更した以外は比較例1と同様にして機能性粒子を合成し、同様の方法で評価した。その結果、未吸着の油の濃度は約52ppmであった。但し、分散性は良好であった。
以上、実施例及び比較例より、疎水性部分と親水性部分とを含む有機基が結合してなる機能性粒子では、油の吸着能と分散性とに優れていたことが判明した。一方、比較例1及び2のように、親水性部分のみから構成されている有機基が結合してなる機能性粒子では、分散性については優れているものの、油の吸着性は不十分であることが判明した。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。

Claims (8)

  1. 磁性体粒子と、
    前記磁性体粒子の表面に付着したR1-(O-R2)n-OH (1)
    (上記式中:R1は炭素原子数1〜30の置換もしくは非置換の炭化水素基、又は置換もしくは非置換の芳香族基あるいは複素芳香族基、R2はエチレン、プロピレン、ブチレンのいずれかひとつ、nは10〜500の数である)で表わされる両親媒性の有機基と、
    を具えることを特徴とする、油類吸着機能性粒子。
  2. 前記有機基が
    R3-Ar-(O-R2)n-OH (2)
    (上記式中:R3は炭素原子数1〜30の置換もしくは非置換の炭化水素基、R2はエチレン、プロピレン、ブチレンのいずれかひとつ、Arは非置換の芳香族基または複素芳香族基、nは10〜500の数である)
    で表わされることを特徴とする、請求項に記載の油類吸着機能性粒子。
  3. 前記有機基は、エステル結合により前記磁性体粒子の前記表面と結合していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油類吸着機能性粒子。
  4. 磁性体粒子が強磁性又はフェリ磁性を呈することを特徴とする。請求項1〜3のいずれか一に記載の油類吸着機能性粒子。
  5. 前記磁性体粒子の平均粒子径が0.1〜1000μmであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一に記載の油類吸着機能性粒子。
  6. 油類からなる不純物を含んでなる水中に、請求項1〜のいずれか一に記載の油類吸着機能性粒子を浸漬及び分散させるステップと、
    前記油類吸着機能性粒子の表面に前記不純物が吸着した後、前記油類吸着機能性粒子を、磁力を利用して前記水から分離するステップと、
    を具えることを特徴とする、油類処理方法。
  7. 前記水が工業排水であることを特徴とする、請求項に記載の油類処理方法。
  8. 前記油類吸着機能性粒子を前記水から分離した後、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも一種の有機溶媒により洗浄して再生し、再度水処理に供するステップを具えることを特徴とする、請求項6又は7に記載の油類処理方法。
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