JP4068867B2 - ペレット粒径制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種粉体原料を造粒機でペレットに造粒する際におけるペレット粒径の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、高炉の装入原料である鉄鉱石ペレットは、ペレット原料である粉鉱石に必要により石灰石などの副原料やベントナイトなどのバインダを添加し、さらに所定量の水分を加えてパン型造粒機などにより生ペレットを造粒し、これをグレート・キルンなどにより乾燥・焼成して製造される。生ペレットの造粒段階において、ペレット原料の粒度、供給量、添加水分量などの造粒条件の変動や造粒機内への付着物の生成状況の変化などによって、生ペレットの粒度が変動することが知られている。一方、高炉の装入原料としては、高炉内における通気性を確保するためできるだけ均一なペレット径であることが要求される。そのため、造粒機で造粒された生ペレットは、振動篩等により所定の粒度幅に篩われ粒径が規格内の生ペレットのみが乾燥・焼成工程に送られる。粒径が規格外の生ペレットは、ペレット原料として再利用されるものの、製品ペレットの生産量を確保するためできるだけ少ない方がよい。そこで、従来は造粒機から排出された生ペレットの一部を採取し、篩で篩い分けて粒度分布を測定し、その結果に基づき造粒条件を調整することが行われている。しかし、このような粒度分布の測定は人手に頼るため、作業者の負担が大きいだけでなく、測定に時間を要することから造粒条件を即座に制御することができず、制御した結果も遅れる等の問題もあり、最適な粒度分布を的確に維持することが困難であった。特に、高炉用のペレットを製造する場合、大量の生ペレットを造粒する必要があるが、造粒機の能力には制約があることから、通常、複数の造粒機を並列して設け、各造粒機から排出された生ペレットを合流して全生ペレットとする方法が採られる。この場合、各造粒機ごとに造粒条件や付着物生成状況などが異なることから、個々の造粒機ごとに生ペレットの粒度分布が異なるため、さらに全生ペレットの粒度分布の制御を困難なものとしている。
【0003】
このような問題に対処するため、生ペレット(以下、「造粒ペレット」とも、単に「ペレット」ともいう。)の粒度を自動的に測定する提案が種々なされている。
【0004】
例えば、特開平4―22628号公報に開示された発明は、パン型造粒機内のペレットの造粒状況をITVカメラでとらえ画像処理した結果でパン型造粒機の回転数、傾斜角度及び添加水の水量を同時に調整することにより、造粒ペレットの粒径を制御するものである。しかし、パン型造粒機内ではペレット同士が重なり合っており、個々のペレットを識別することは非常に困難である。また、仮に識別できたとしても、造粒機内のペレットの粒度分布と造粒機から排出されるペレットの粒度分布とは異なり、その差は造粒条件により複雑に変化するため測定誤差が大きくなる問題がある。
【0005】
また、特開平8―89780号公報に開示された発明は、造粒機から排出された造粒ペレットを傾斜板上に流下させて、該傾斜板上の粒子の反射輝度をCCDカメラにより検知し、検知した反射輝度を画像解析して粒子の大きさに変換して、造粒ペレットの粒度を測定するものである。これにより、上記のパン型造粒機内で計測する方法に比べて、造粒ペレットを直接測定するのであるから、測定精度は向上するものと思われる。しかし単に、ペレットを傾斜板上に流下させるのみでは、ペレット同士の重なり等による測定誤差を十分に解消できない問題が残っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、造粒ペレットの粒度分布を自動的にかつ精度良く測定することにより、省力化が図れるとともに高歩留で生ペレットを製造できるペレット粒径制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、粉体原料を造粒機でペレットに造粒する造粒工程と、この造粒後のペレットの落下流又は移動層中に、水平移動及び/又は傾斜角度変更可能に設けられた傾斜板の上端を差し込んでこのペレットの全部又は一部を当該傾斜板上を流下させるペレットサンプリング工程と、この流下するペレットをITVカメラで撮影するペレット撮影工程と、この撮影された画像を処理してペレットの粒度分布を求める画像処理工程と、この粒度分布を、目標とするペレットの粒度分布に近づけるように造粒条件を修正する造粒条件修正工程とを備え、前記傾斜板に加熱手段を設けて、この傾斜板上を流下するペレットからしみだした水分が蒸発するように当該傾斜板の上面を加熱しておくことを特徴とするペレット粒径制御方法である。
【0008】
請求項2の発明は、並列に設けた複数の造粒機でそれぞれペレットを造粒した後、各ペレットを合流して全ペレットを得るペレット造粒プロセスにおいて、前記請求項1に記載の造粒工程から画像処理工程までの一連の工程を並列に複数系列設けるとともに、前記傾斜板に加熱手段を設けて、この傾斜板上を流下するペレットからしみだした水分が蒸発するように当該傾斜板の上面を加熱しておき、その後に、各系列で求めたペレットの粒度分布から合流後の全ペレットの粒度分布を演算する全ペレット粒度分布演算工程と、この全ペレットの粒度分布を目標とする全ペレットの粒度分布に近づけるように、各系列で求めたペレットの粒度分布に基づいて各造粒機における造粒条件を修正する造粒条件修正工程とを備えたことを特徴とするペレット粒径制御方法である。
【0009】
請求項3の発明は、前記傾斜板上におけるペレット重複率が50%以下となるように、前記上端を前記落下流又は移動層中に差し込む水平距離及び/又は前記傾斜板の水平からの傾斜角度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のペレット粒径制御方法である。ここに、ペレット重複率は、ITVカメラの視野内に存在する粒子像の全面積に対する、ペレットが2段以上に重なってできた粒子像の面積の比率である。
【0010】
請求項4の発明は、前記傾斜板上におけるペレット占有率が60%以上となるように、前記上端を前記落下流又は移動層中に差し込む水平距離及び/又は前記傾斜板の水平からの傾斜角度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペレット粒径制御方法である。ここに、ペレット占有率は、ITVカメラの視野全面積に対する、当該視野内に存在する粒子像の全面積の比率である。
【0011】
請求項5の発明は、前記画像処理工程において、前記ITVカメラによって撮影された粒子像のうち、長短度が1.25以下で、かつ、かさ指数が0.7〜0.8を満足する粒子像のみを抽出してペレットの粒度分布を求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペレット粒径制御方法である。ここに、長短度=長径/短径、かさ指数=粒子像の面積/粒子像の最小外接矩形面積で定義される値である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、粉体原料として粉鉱石を用いる鉄鉱石ペレットを例示するが、必ずしもこれに限られるものではなく、化成肥料、薬品等粒状化工程を有する分野で広く利用できるものである。
【0014】
図1は、本発明のペレット粒径制御方法の実施に係る設備構成の概略を示す図である。造粒機としてパン型造粒機を2機(P1、P2)並列に設けた例である。各造粒機P1、P2には、それぞれ粉鉱石に必要により石灰石などの副原料やベントナイトなどのバインダを配合し、さらに所定量の水分を添加した造粒原料を供給し、各造粒機P1、P2を所定の傾斜角度、回転数で回転してペレットに造粒する。なお水分は、造粒原料を造粒機P1、P2へ供給する前に全量添加してもよいし、造粒機P1、P2への造粒原料供給前に一部を添加し、残りを造粒機P1、P2内で添加するようにしてもよい。各造粒機P1、P2から排出された生ペレット(造粒ペレット)は、それぞれ造粒ペレット搬出用コンベアB1、B2で搬出された後、集合コンベアB3上で合流し、このコンベアB3から前述の図示しない振動篩を経由して所定の粒度幅に篩われた後、乾燥・焼成のためグレート・キルンなどの図示しない焼成炉へ搬送される。コンベアB1、B2からコンベアB3への乗り継ぎ部近傍に傾斜板S1、S2をそれぞれ、水平移動及び/又は傾斜角度変更可能に設ける。これらの傾斜板S1、S2は、その水平位置及び/又は傾斜角度を調整して、その上端が、コンベアB1、B2からコンベアB3への生ペレットの落下流中に所定の距離だけ差し込まれるようにする。これにより、生ペレットの一部が傾斜板S1、S2上をあまり重なり合うことなく流下する。傾斜板S1、S2の上方には、それぞれITVカメラC1、C2を設け、傾斜板S1、S2上の生ペレットを常時撮影できるようにしておく。後述のペレット同士の重なりをできるだけ回避するため、ITVカメラC1、C2は、傾斜板S1、S2上面に対してレンズ面を平行に対峙させて設置することが望ましい。また、傾斜板S1、S2上方に、生ペレット及び傾斜面を照射できる光源L1、L2を設けておくのもよい。ITVカメラC1、C2で撮影した画像を電気信号に変換して画像解析装置Aに送信し、画像中(ITVカメラの視野内)の各粒子像に対し所定の処理を行って個々の生ペレットの粒径を求める。このようにして求まった個々の生ペレットの粒径を統計処理して各造粒系列ごとの生ペレット全体の粒度分布を求める。次いで、各造粒系列ごとの粒度分布から、合流後の全生ペレットの粒度分布を求める。この全生ペレットの粒度分布が、目標とする生ペレットの粒度分布(目標値)と異なるときには、目標値に近づくように、各造粒系列の造粒条件(例えば、バインダの添加量、造粒機P1、P2の角度・回転数などのパラメータ)を適宜修正する。造粒条件の修正は、オペレータが過去の経験に基づいて手動で行ってもよいし、あるいは、過去に行った、各パラメータの修正量とその修正による粒度分布の変化量との関係を例えば統計的に求めて数式化しておき、この数式を用いて修正量を演算し、自動で行ってもよい。このようにして、生ペレットの粒度分布測定が自動化されるので、省力化が図れるとともに、迅速な造粒条件の調整が可能となり、最適な粒度分布の維持が実現される。
【0015】
なお、傾斜板S1、S2上を流下させた後のペレットは、コンベアB3等に合流させて乾燥・焼成工程へ送ってもよいし、規格外ペレットとともにペレット原料として再利用してもよい。
【0016】
上記においては、造粒機が2機並列に設けられている例を説明したが、これに限られるものではなく、1機のみあるいは3機以上並列に設けられている場合にも同様に適用できるものである。
【0017】
なお、上記においては、傾斜板S1、S2およびITVカメラC1、C2等の設置場所を造粒ペレット搬出用コンベアB1、B2と集合コンベアB3との乗り継ぎ部近傍としたが、これに限られるものではなく、造粒機P1、P2から造粒ペレット搬出用コンベアB1、B2への排出部近傍としてもよい。
【0018】
あるいは、生ペレットの落下流中に傾斜板S1、S2を差し込む代わりに、コンベアB1、B2上の生ペレット層(生ペレットの移動層)中に傾斜板S1、S2を差し込んでもよい。
【0019】
図2(a)、(b)に示すように、傾斜板S1、S2上端をペレットの落下流又は移動層中に差し込む水平距離D及び/又は前記傾斜板の水平からの傾斜角度θを調整して、傾斜板S1、S2上におけるペレット重複率を50%以下とすることが好ましい。ここに、ペレット重複率とは、図3において、ITVカメラの視野10内に存在する粒子像(粒子像11+粒子像12)の全面積に対する、ペレットが2段以上に重なってできた粒子像(粒子像12)の面積の比率で定義されるものである。すなわち、ITVカメラで傾斜板S1、S2上を落下するペレットを撮影したとき、ペレット同士が2段以上に重なっているもの12は一体として認識され、1個の粒子像12として捉えられてしまう。そのため画像解析を行ったとき、このペレット同士が重複した粒子像12は、真のペレット粒径より大きい粒径を有する粒子として把握されてしまう。したがって、このようなペレット同士が重複した粒子像12は、できるだけ少なくすることが望ましく、上記で定義されるペレット重複率を50%以下とすることが好ましい。
【0020】
また、傾斜板S1、S2上端をペレットの落下流又は移動層中に差し込む水平距離D及び/又は前記傾斜板の水平からの傾斜角度θを調整して、傾斜板S1、S2上におけるペレット占有率を60%以上とすることが好ましい。ここに、ペレット占有率とは、図3において、ITVカメラの視野10の全面積に対する、当該視野10内に存在する粒子像(粒子像11+粒子像12)の全面積の比率で定義されるものである。すなわち、傾斜板S1、S2上を落下するペレットの個数が少なすぎると、生ペレット全体に対するサンプルの代表性が低下し、真の粒度分布からのサンプリング誤差が大きくなるからである。したがって、ペレットのサンプリング量を確保してサンプルの代表性を確保し、真の粒度分布からのサンプリング誤差をできるだけ小さくするため、上記で定義されるペレット重複率を50%以下とすることが好ましい。
【0021】
なお、傾斜板S1、S2の、ペレット落下流又は移動層中への差込距離Dは、短すぎるとサンプリングしたペレットの代表性が低下するので、ペレット落下流又は移動層の幅の20%程度以上とすることが好ましい。また、傾斜板S1、S2の水平に対する傾斜角度は、小さすぎるとペレットの流下が遅くなるためペレット同士が重なりやすくなる一方、大きすぎると流下が速くなりすぎて傾斜板S1、S2上でペレットが十分に分散されなくなるためやはりペレット同士が重なりやすくなるので、20〜70°程度の範囲とすることが好ましく、30〜60°程度の範囲とすることが特に好ましい。
【0022】
さらに、画像処理工程において、ITVカメラC1、C2によって撮影された粒子像のうち、長短度が1.25以下で、かつ、かさ指数が0.7〜0.8を満足する粒子像のみを抽出してペレットの粒度分布を求めることが好ましい。ここに、図4に示すように、長短度=長径a/短径b、かさ指数=粒子像の面積S/粒子像の最小外接矩形面積(a×b)で定義される値である。すなわち、単一の(重なり合っていない)ペレットの投影像(粒子像)はほぼ円であるため、長短度は1.0に近く、かつ、かさ指数はπ/4≒0.785近辺の値となる。一方、長短度が1.25を超える粒子像またはかさ指数が0.7未満もしくは0.8を超える粒子像は、ペレット同士が重複した粒子像12である可能性が高い。したがって、これらペレット同士が重複した(と思われる)粒子像12をできるだけ排除して、単一のペレットの投影像である(と思われる)粒子像のみを選択的に抽出して粒度分布を求めることによって、より真の粒度分布に近い測定値を得ることができる。
【0023】
生ペレットは水分を含有していることから、傾斜板S1、S2上を流下する際に水分がしみだして傾斜板S1、S2上に付着物が形成されやすい。付着物が形成されると生ペレットの流下が均一でなくなり、粒度分布の測定精度が低下するなどの問題が生じることが懸念される。このため、傾斜板S1、S2に加熱手段を設けておく。この加熱手段で、傾斜板S1、S2上面を、しみだした水分が直ちに蒸発する程度に加熱しておくことにより、付着物の形成を容易に防止できる。加熱手段としては、電気ヒータや蒸気管を傾斜板S1、S2下面に取り付けるないしは傾斜板S1、S2内に埋設する等の手段を採用することができる。
【0024】
【実施例】
本発明のペレット粒径制御方法を、前述の図1と同様の構成を有するペレット造粒プロセスに適用した。なお、図1では、造粒機を2機並列に設けたプロセスについて例示したが、本実施例はパン型造粒機を3機並列に設けたプロセスに適用した例である。各造粒系列とも、傾斜板はアクチュエータにより水平方向および傾斜角度を変更できるように構成し、傾斜板の下面には電気ヒータを取り付けている。各傾斜板ごとに、ITVカメラにより撮影した粒子像を解析することにより、傾斜板上におけるペレット重複率が50%以下、ペレット占有率が60%以上が得られるように傾斜角度θおよび差込距離Dを変更した。各傾斜板を固定後、各傾斜板近傍に設けられたITVカメラで撮影された粒子像のうち、長短度が1.25以下で、かつ、かさ指数が0.7〜0.8を満足する粒子像のみを抽出して、各造粒系列ごとのペレットの粒度分布を求めた。この各造粒系列ごとの粒度分布を加重平均法により合成して、合流後の全ペレットの粒度分布を求めた。この全ペレットの粒度分布の一例を図5に示す。図5には、通常の篩分け法により測定された粒度分布は示さなかったが、篩分け法による粒度分布とほぼ同様の粒度分布が得られることが確認できた。上記の画像処理による全ペレットの粒度分布から平均粒径を求め、この平均粒径と目標粒径との差が所定値を超えた場合には、この差を所定値以下とするように、各造粒系列の造粒条件である造粒機の角度及び/又は回転数を自動的に修正するようにした。
【0025】
本発明適用前後のペレットの粒度分布および平均粒径の測定結果を図6および図7に示す。ここにいう本発明適用前とは、上記の手順中、画像処理により全ペレットの粒度分布および平均粒径まで求め、その後の造粒条件を調整する制御を行わなかった場合をいう。
【0026】
図6(a)は、本発明適用前の各造粒系列における粒度分布を示すヒストグラムであり、図6(b)は、図6(a)の各造粒系列における粒度分布を合成した全ペレットの粒度分布を示すヒストグラムである。また、図7(a)は、本発明適用後の各造粒系列における粒度分布を示すヒストグラムであり、図7(b)は、図7(a)の各造粒系列における粒度分布を合成した全ペレットの粒度分布を示すヒストグラムである。なお、図6および図7においては、目標粒径を0.5として粒度を無次元化して表した。また図中、例えば粒度0.4とは、粒径が0.35以上0.45未満の範囲のものを意味する。
【0027】
本発明適用前には、図6(a)に示すように、各造粒系列ごとの粒度分布が大きく異なっていた。その結果、図6(b)に示すように、平均粒径が0.55と目標粒径である0.5からかなりずれていることに加え、全ペレットの粒度分布曲線が低く全体に広がっており(標準偏差0.12)、所定粒度幅内の規格内ペレットの割合、すなわち造粒歩留が低かった。これに対し、本発明適用後には、図7(a)に示すように、各造粒系列ごとの粒度分布がほぼ一致した。その結果、図7(b)に示すように、平均粒径が0.50と目標粒径に一致し、全ペレットの粒径が平均粒径を中心に狭い範囲に集中しており(標準偏差0.09)、所定粒度幅内の規格内ペレットの割合、すなわち造粒歩留が格段に改善された。
【0028】
図8は、本発明適用後の全ペレット平均粒径の経時変化を示したものである。本発明の画像処理により測定した平均粒径を実線で、目標粒径を破線で示す。また、比較のため、従来行っていた、集合コンベアB3上でサンプリングしたペレットを用いて篩分け法により測定した平均粒径を●で示している。
【0029】
図8から明らかなように、本発明の画像処理により測定した平均粒径は、篩分け法による平均粒度と非常に良く一致し、かつほぼ目標粒度に制御されていることから、本発明により精度の高い粒度分布測定が可能となり、目標粒度に高精度で制御できることが確認できた。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、ペレットの粒度分布を自動的にかつ精度良く測定することができ、省力化が図れるとともに高歩留で生ペレットを製造できるペレット粒径制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に係る造粒プロセスの概略設備構成を示す図である。
【図2】(a)は傾斜板とペレットの落下流との関係を説明する図であり、(b)は傾斜板とペレットの移動層との関係を説明する図である。
【図3】ITVカメラ視野内における粒子像の種類を説明する図である。
【図4】粒子像の長短度およびかさ指数を説明する図である。
【図5】本発明により測定した全ペレットの粒度分布の一例を示すグラフ図である。
【図6】本発明適用前における、(a)各造粒系列ごとのペレットの粒度分布、および(b)全ペレットの粒度分布を示すグラフ図である。
【図7】本発明適用後における、(a)各造粒系列ごとのペレットの粒度分布、および(b)全ペレットの粒度分布を示すグラフ図である。
【図8】本発明適用後の全ペレット平均粒径の経時変化を示すグラフ図である。
【符号の説明】
11、12…粒子像
A…画像処理装置
B1、B2…造粒ペレット搬出用コンベア
B3…集合コンベア
C1、C2…ITVカメラ
L1、L2…光源
S1、S2…傾斜板
P1、P2…造粒機(パン型造粒機)
Claims (5)
- 粉体原料を造粒機でペレットに造粒する造粒工程と、
この造粒後のペレットの落下流又は移動層中に、水平移動及び/又は傾斜角度変更可能に設けられた傾斜板の上端を差し込んでこのペレットの全部又は一部を当該傾斜板上を流下させるペレットサンプリング工程と、
この流下するペレットをITVカメラで撮影するペレット撮影工程と、
この撮影された画像を処理してペレットの粒度分布を求める画像処理工程と、
この粒度分布を、目標とするペレットの粒度分布に近づけるように造粒条件を修正する造粒条件修正工程とを備え、
前記傾斜板に加熱手段を設けて、この傾斜板上を流下するペレットからしみだした水分が蒸発するように当該傾斜板の上面を加熱しておくことを特徴とするペレット粒径制御方法。 - 並列に設けた複数の造粒機でそれぞれペレットを造粒した後、各ペレットを合流して全ペレットを得るペレット造粒プロセスにおけるペレット粒径制御方法であって、
前記請求項1に記載の造粒工程から画像処理工程までの一連の工程を並列に複数系列設けるとともに、前記傾斜板に加熱手段を設けて、この傾斜板上を流下するペレットからしみだした水分が蒸発するように当該傾斜板の上面を加熱しておき、
その後に、各系列で求めたペレットの粒度分布から合流後の全ペレットの粒度分布を演算する全ペレット粒度分布演算工程と、
この全ペレットの粒度分布を目標とする全ペレットの粒度分布に近づけるように、各系列で求めたペレットの粒度分布に基づいて各造粒機における造粒条件を修正する造粒条件修正工程とを備えたことを特徴とするペレット粒径制御方法。 - 前記傾斜板上におけるペレット重複率が50%以下となるように、前記上端を前記落下流又は移動層中に差し込む水平距離及び/又は前記傾斜板の水平からの傾斜角度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のペレット粒径制御方法。
ここに、ペレット重複率は、ITVカメラの視野内に存在する粒子像の全面積に対する、ペレットが2段以上に重なってできた粒子像の面積の比率である。 - 前記傾斜板上におけるペレット占有率が60%以上となるように、前記上端を前記落下流又は移動層中に差し込む水平距離及び/又は前記傾斜板の水平からの傾斜角度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペレット粒径制御方法。
ここに、ペレット占有率は、ITVカメラの視野全面積に対する、当該視野内に存在する粒子像の全面積の比率である。 - 前記画像処理工程において、前記ITVカメラによって撮影された粒子像のうち、長短度が1.25以下で、かつ、かさ指数が0.7〜0.8を満足する粒子像のみを抽出してペレットの粒度分布を求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペレット粒径制御方法。
ここに、長短度=長径/短径、かさ指数=粒子像の面積/粒子像の最小外接矩形面積で定義される値である。
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