JP2003000180A - 香味料組成物 - Google Patents
香味料組成物Info
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Abstract
品に、焙煎香辛野菜特有の調理食品全体をまとめ上げる
豊かな風味とまろやかな調理感をもたらす香味料組成物
を提供する。 【課題手段】極めて低濃度の1−プロペニルプロピルト
リサルファイドを含有する香味料組成物が焙煎香辛野菜
の調理感を最も良く賦与し、好ましくは1−プロペニル
プロピルトリサルファイドを1ppb〜5000ppb
含有することにより、生の香辛野菜の刺激臭を抑えたま
ろやかな調理感を与える香味料組成物が得られる。この
ような香味料組成物はアリウム属植物の低温抽出によっ
ても得ることができる。
Description
等の調理食品に、香辛野菜特有の風味や調理感を賦与す
るための香味料組成物、該香味料組成物を含有する飲食
品及び1−プロペニルプロピルトリサルファイドの香味
料としての使用に関する。
おいては、その風味ベースとしてオニオン、ガーリック
などの香辛野菜を焙煎したものが使用され、これらによ
り調理食品に特有の香辛野菜の風味やまろやかな調理感
が賦与される。従来これらの焙煎香辛野菜を得るために
は、フライパンに細断したオニオンやガーリックなどの
香辛野菜と適量の油脂を入れ、中〜弱火で長時間炒め、
きつね色になるまで水分をとばして(50%以上)焙煎
する方法が採られている。このようにして時間と手間暇
かけて調製した焙煎香辛野菜は、調理食品に特有の風味
とまろやかな調理感を与えるものであるが、調製に長時
間費やすのみならず、好ましい調理感が時間とともに消
失してしまうという問題点があった。
スとしては、香辛野菜を抽出・濃縮した香辛野菜エキス
や、焙煎した香辛野菜をペースト状に加工したものなど
が市販されているが、これらの素材では、長時間じっく
りと焙煎した香辛野菜に本来感じられる特有のまろやか
な調理感と深みのあるコク味に欠けるものであり、ま
た、強いロースト感を伴うため、調理食品の自然な風味
を損なうおそれもあった。調理食品に特有の調理感とコ
ク味を与える方法としては、例えば特開平8−2286
94号公報においては、冷凍又は冷蔵加工食品の製造に
際し、原料の一部を油ちょうして添加することを特徴と
する炒め感、調理感を有する食品の製造方法が提案さ
れ、特開平11−196810号公報においては、焙煎
野菜及び肉エキスのうち少なくとも1種、並びに一般式
RN=C=Sで表される化合物の少なくとも1種を含有
してなる調理食品用素材が提案され、特開平11−21
5972号公報においては、野菜・果実を歩留まり70
%以下まで焙煎した焙煎物及び/又は野菜・果実の凍結
乾燥物を粘性材として用いることを特徴とするペースト
状ルウが提案されているが、いずれも満足できるもので
はなかった。従来より香辛野菜の香気成分として種々の
サルファイド類、ジサルファイド類、トリサルファイド
類が知られているが、ガーリックの香気成分であるアリ
ルサルファイド類は強い呈味性を有するもののその強い
風味により隠し味的なまろやかな調理感の増強には向い
ておらず、オニオンの香気成分といわれているジプロピ
ルジサルファイドやジプロピルトリサルファイドについ
ては、ジプロピルジサルファイドはグリーン感を有する
ため新鮮なオニオンの刺激的な風味を賦与し、ジプロピ
ルトリサルファイドはどぶ臭いガーリック様の風味を有
するため、焙煎香辛野菜のまろやかな調理感の増強とい
う目的に対しては適しているとはいえなかった。
研究がなされており、Sci. Am. 252,(3), 114-119, (19
85)においては、0℃でアリウム属植物を抽出すれば、
アリイン等のガーリック風味プリカーサーが得られるこ
とが記載されているが、それらによる調理感のコントロ
ールについては記載されていない。日本食品化学工学会
誌 Vol.42, No.12, 1003-1011, (1995)においては、オ
ニオンは炒めることによりその香気を発生させることが
記載されているが、生のオニオンの香味については刺激
的な香りであるとしている。日本味と匂い学会誌 Vol.
4, No.2, 197-200,(1997)においては、アリインがガー
リックの呈味成分であり、S-1-プロペニルシステインス
ルホキシドがオニオンの呈味成分であり、共に原体を加
熱処理し、酵素を失活させた後に取り出すことが記載さ
れているが、やはり調理感については記載されていな
い。特公昭49−6670号公報においては、n−プロ
ピル−1−プロパンチオスルフィネートを加熱処理する
ことによりプロペニルプロピルスルフィード類を含有す
る混合物を得、これが新鮮なタマネギ香味を付与するこ
とが記載されているが、焙煎オニオン特有の風味とまろ
やかな調理感については記載されていない。前記特許公
報においては、種々のチオスルフィネート類を加熱処理
することにより香味料を調製し、好ましくは0.001
〜4%の範囲で食品に使用することによりネギ属植物の
香味を賦与することが提案されているが、これらの風味
は新鮮なネギ属植物の風味に限られていた。特開平11
−243904号公報においては、システィンスルホキ
シド化合物及び/又はS置換システィン誘導体を糖の存
在下、溶剤中、水分含量が該溶剤に対して15%(W/
W)以下で加熱反応させることを特徴とする、野菜のフ
ライフレーバーの製造方法が提案されているが、調理食
品に特有の焙煎香辛野菜の風味やまろやかな調理感を与
えるものとしては不十分であった。
的は、即席カレーやレトルトシチューの様な調理食品
に、香辛野菜特有の風味やまろやかな調理感を与える香
味料組成物を得ることにある。更に詳しくいえば、本発
明の目的は、香辛野菜の微塵切りを油脂で炒め、次いで
煮込んだときに得られる、いわゆる焙煎香辛野菜風味を
もった香味料組成物であり、該香味料組成物を添加する
ことにより、焙煎香辛野菜が本来持っている、調理食品
全体をまとめ上げる豊かな風味とまろやかな調理感をも
った飲食物を提供することである。
に本発明者らは種々の条件で焙煎香辛野菜を調製し、望
ましい風味を持ったものとそうでないものを分別し、そ
れらの香気成分を詳細に検討した結果、極めて低濃度の
1−プロペニルプロピルトリサルファイドが焙煎香辛野
菜の風味を最も良く賦与することを見いだし、本発明を
完成させた。すなわち本発明は1−プロペニルプロピル
トリサルファイドを含有することを特徴とする香味料組
成物であり、好ましくは1−プロペニルプロピルトリサ
ルファイドを1ppb〜5000ppb含有することを
特徴とする香味料組成物である。
該香味料組成物を含有する飲食物について、発明の実施
の形態に即して詳しく説明する。
ファイドを用いる場合、通常は1ppb〜5000pp
bで用い、好ましくは1ppb〜4000ppbで用い
られ、更に好ましくは2ppb〜3000ppbで用い
られ、最も好ましくは5ppb〜1000ppbで用い
られる。5000ppbを越えて使用するときは新鮮な
オニオン様の刺激的風味を示すことがあるため本発明の
目的にそぐわないことがあり、1ppb未満で使用した
ときは十分な効果を示さないことがある。
ファイドは既存の合成方法で調製することができ、例え
ばマグネシウムの存在下1−ブロモ−1−プロペンと塩
化プロピル三イオウとの反応によって得られ(特公昭4
7−25048号公報)、またイソアリシンの加熱処理
(特公昭49−6670号公報)によっても得ることが
できるが、特定のアリウム属植物から特定の方法で抽出
し、精製することによっても得られ、1−プロペニルプ
ロピルトリサルファイドを所定の濃度含有するのであれ
ば該抽出物そのものを香味料として使用することもでき
る。そのような抽出方法とは、例えばオニオンやシャロ
ットのようなアリウム属植物を低温下、水性溶媒で抽出
し、必要により加熱して溶媒を留去し、得ることができ
る。そのようにして得られた抽出物は、1−プロペニル
プロピルトリサルファイドを1ppb〜5000ppb
含有し、ガーリックのような強い風味や新鮮なオニオン
の刺すような刺激を示さず、まろやかな焙煎ネギ乃至焙
煎シャロット乃至焙煎オニオンの風味を有し、調理食品
全体の調理感を増強する働きを示すことができる。
5〜5℃で行うことが好ましく、−15〜5℃であれば
更に好ましく、−5〜5℃であれば最も好ましい。−2
5℃未満で抽出する場合は抽出時間が長くなるほか、生
の香辛野菜の刺激的な風味が強まる傾向がある。また5
℃を越えて抽出する場合は、1−プロペニルプロピルト
リサルファイドの含有量が少ないか、或いは全く存在し
ない場合があるほか、焦げたロースト感のある風味が強
まる傾向がある。また、水性溶媒はアルコール性溶媒が
好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール及び
イソプロパノールからなる群から選ばれる1種又は2種
以上の混合物、或いはこれらの水溶液であることが更に
好ましく、30〜95%(V/V%)の水溶液であるこ
とが特に好ましく、50〜95%(V/V%)の含水エ
タノールが最も好ましい。抽出時間は8〜96時が普通
に用いられ、24〜84時間が好ましく用いられ、48
〜72時間が最も好ましく用いられる。8時間未満であ
れば抽出効率が低くなる可能性があり、96時間以上抽
出に費やすことは経済上好ましくない。
場合、1−プロペニルプロピルトリサルファイドが最終
飲食品中で通常は1ppt〜500ppb、好ましくは
1ppt〜400ppb、更に好ましくは2ppt〜3
00ppb、最も好ましくは5ppt〜100ppbに
なるように調製することが望ましい。1ppt未満にお
いては本発明の効果が少なく、100ppbを越えた場
合は新鮮なオニオン様の刺激的な風味を示すことがある
ため本発明の目的にそぐわないことがある。そのように
使用するためには、本発明の香味料組成物の飲食品への
添加量は0.1〜10重量%で用いられる。
は、調理食品であれば特に限定されることはなく、レト
ルトカレーやレトルトシチューなどの即席食品或いは該
即席食品用調味料、カレーやシチューなどの煮込み料理
の素或いは該料理用の調味料、コーンスープやコンソメ
スープなどの飲料或いは該飲料の素もしくは該飲料用の
調味料、ポテトチップスやコーンパフなどのスナック食
品或いは該スナック食品用の調味料、ハンバーガーやフ
レンチフライのようなファストフード或いは該ファスト
フード用の調味料、インスタントラーメンや冷凍スパゲ
ッティなどの即席麺或いは該即席麺用調味料、ソースや
ドレッシングなどの卓上調味料或いは該卓上調味料用の
調味料、オニオンエキスやオニオンペーストなどの調味
料そのものが例示され、好ましくはレトルトカレーやレ
トルトシチューなどの即席食品、カレーやシチューなど
の煮込み料理の素、コーンスープやコンソメスープなど
の飲料或いは該飲料の素、ポテトチップスやコーンパフ
などのスナック食品、ハンバーガーやフレンチフライの
ようなファストフード、インスタントラーメンや冷凍ス
パゲッティなどの即席麺、ソースやドレッシングなどの
卓上調味料が例示され、最も好ましくはレトルトカレー
やレトルトシチューなどの即席食品、カレーやシチュー
などの煮込み料理の素、コーンスープやコンソメスープ
などの飲料が例示される。
物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化
防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤及
び香料などを添加して用いることができ、使用形態もそ
のまま或いは希釈した状態、乳化状態、更には粉化した
様々な製剤の形で用いることができる。次に実施例を挙
げ、更に詳細に説明する。
産オニオン500重量部に対し、76%(V/V)エタ
ノール水溶液750重量部を加え、0℃±2℃で48時
間浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧
濃縮を行うことにより淡褐色のペースト状オニオンエキ
ス365重量部(固形物含量7%)を得た。このもの
は、生のオニオンの刺激臭を持たず、焙煎したオニオン
の自然で且つ強く甘い香味を持ち、まろやかな調理感を
持つものであった。このものの香気成分を、TenaxTAに
吸着・採取し、次いでGCにより分取し、各成分につい
て香調の官能評価を行った。その結果を表1に示す。
産オニオン500重量部を76%(V/V)エタノール
水溶液750重量部を加え、沸騰温度にて1時間攪拌抽
出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行
うことにより暗褐色のペースト状オニオンエキス343
重量部(固形物含量8%)を得た。このものは、オニオ
ンの甘さに欠け、やや苦味を伴った強いロースト感を持
ち、まろやかな調理感は持っていなかった。このものの
GC分析を行ったところ、1−プロペニルプロピルトリ
サルファイドは検出されなかった。
ドネシア産シャロット500重量部に対し、76%(V
/V)エタノール水溶液500重量部を加え、0℃±2
℃で48時間浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾
別し、減圧濃縮を行うことにより淡褐色のペースト状シ
ャロットエキス235重量部(固形物含量24%)を得
た。このものは、調理した長ネギ様の甘い風味と力強い
呈味力を持っていた。このもののGC分析を行ったとこ
ろ、1−プロペニルプロピルトリサルファイドを8.6
ppb含有していた。
についてコーンスープを調製し、官能評価を行った。コ
ーンスープは、牛乳30部、脱脂粉乳4部、砂糖1部、食塩
0.4部、チキンエキス1部、コーンペースト7部、無塩バ
ター0.5部、乳化剤0.1部を混合し、水を加えて均一に分
散させ全量を100部とし、実施例1、実施例2及び比較
例の香味料組成物を0.1部添加したものを121℃20
分殺菌することにより調製した。なお、コントロールと
して香味料組成物無添加のコーンスープを調製し、併せ
て評価した。評価の方法は、まろやかな焙煎風味調理感
を指標とし、好ましい→7、好ましくない→1の7段階
評価とし、評価は熟練したパネル7名によって行った。
各コーンスープについての評価点の平均値と香味のコメ
ントを表2に示した。
塵切りを油脂で炒め、次いで煮込んだときに得られる、
焙煎香辛野菜が本来持っている調理食品全体をまとめ上
げる豊かな風味とまろやかな調理感を増強するのみなら
ず、調理食品の製造工程において生ずるロースト感、酸
味、エキス感、粉っぽさ等の要素をマスキングするもの
であり、本発明の香味料組成物を用いることにより、非
常に美味なる調理食品を提供することができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 1−プロペニルプロピルトリサルファイ
ドを1ppb〜5000ppb含有することを特徴とす
る香味料組成物。 - 【請求項2】 アリウム属植物抽出物からなることを特
徴とする請求項1記載の香味料組成物。 - 【請求項3】 −25〜5℃で抽出したことを特徴とす
る請求項2記載の香味料組成物。 - 【請求項4】 抽出溶媒が水性溶媒であること特徴とす
る請求項2又は請求項3記載の香味料組成物。 - 【請求項5】 アリウム属植物がオニオンであることを
特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかの項に記載の
香味料組成物。 - 【請求項6】 アリウム属植物がシャロットであること
を特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかの項に記載
の香味料組成物。 - 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれかの項に記
載の香味料組成物を0.1〜10重量%含有することを
特徴とする飲食品。 - 【請求項8】 1−プロペニルプロピルサルファイドを
1ppt〜500ppb含有することを特徴とする飲食
品。 - 【請求項9】 1ppb〜5000ppb濃度の1−プ
ロペニルプロピルトリサルファイドの香味料としての使
用。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001187622A JP4530582B2 (ja) | 2001-06-21 | 2001-06-21 | 香味料組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009273410A (ja) * | 2008-05-15 | 2009-11-26 | Ezaki Glico Co Ltd | 凍結真空乾燥カレー |
Citations (3)
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JPS496670B1 (ja) * | 1969-08-18 | 1974-02-15 | ||
JP2002186448A (ja) * | 2000-12-21 | 2002-07-02 | Ogawa & Co Ltd | 呈味賦与剤 |
JP2002186449A (ja) * | 2000-12-21 | 2002-07-02 | Ogawa & Co Ltd | アリウム属植物エキスの製造方法 |
-
2001
- 2001-06-21 JP JP2001187622A patent/JP4530582B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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