JP2002538614A - 記憶セル構造、およびこれを製造する方法 - Google Patents

記憶セル構造、およびこれを製造する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、記憶セル構造に関するものであり、ここで、磁気抵抗記憶素子(13)は、セルフィールド(Z1)内の第1の回線(11)と第2の回線(12)との間に配置される。第1の金属被覆面(14)と、第2の金属被覆面(15)と、前記第1の金属被覆面(14)を前記第2の金属被覆面(15)に接続する接触部(16)とは、周辺部(P1)において形成される。第1の回線(11)および第1の金属被覆面(14)と、第2の回線(12)および接触部とは、それぞれ同一平面上に配置されており、それぞれの平面において、1本の導電層を構造化することにより生成されることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、磁気抵抗記憶素子を備えるメモリセル構造、ならびにこれを製造す
る方法に関する。
【0001】 磁気抵抗素子(Magnetowiderstandselement )とも呼ばれる磁気抵抗素子(ma
gnetoresistives Element )とは、当業者の間では、少なくとも2つの強磁性層
とその間に配置された非磁性層とを有する構造であると解されている。この場合
、層構造の構成に応じて、GMR素子、TMR素子、およびCMR素子が区別さ
れる(S.Mengel著「Technologieanalyse Magnetismus」第2巻、XMR テクノロジ
ー、発行者 VDI Technologiezentrum Physikalische Technologien 、1997
年8月参照)。
【0002】 GMR素子という用語は、少なくとも2つの強磁性層とその間に配置された非
磁性的な伝導性層とを有していて、いわゆるGMR(giant magnetoresistance
)効果を示す層構造について用いられる。GMR効果とは、GMR素子の電気抵
抗が、両方の強磁性層の磁化が平行に向いているか反平行に向いているかに依存
しているという事実を指している。GMR効果は、いわゆるAMR(anisotropi
c magnetoresistande )効果に比べて大きい。AMR効果とは、磁化された導体
の抵抗が磁化方向に対して平行と垂直とで異なっているという事実を指している
。AMR効果は、強磁性の単層で生じる体積効果(Volumeneffekt )である。
【0003】 TMR素子という用語は、当業者の間では、少なくとも2つの強磁性層とその
間に配置された絶縁性の非磁性層とを有するトンネル磁気抵抗層構造を指すのに
用いられている。このとき絶縁性層は、両方の強磁性層の間にトンネル電流が生
じる程度に薄くなっている。このような層構造も同様に、両方の強磁性層の間に
配置された絶縁性の非磁性層を通る、スピン分極したトンネル電流によって引き
起こされる磁気抵抗効果を示す。この場合にもTMR素子の電気抵抗は、両方の
強磁性層における磁化が平行に向いているか反平行に向いているかによって左右
される。このとき、相対的な抵抗変化は約6〜約40パーセントである。
【0004】 その規模(相対的な抵抗変化が室温で100〜400パーセント)から超巨大
磁気抵抗効果(CMR効果)と呼ばれるさらに別の磁気抵抗効果は、保磁力が高
いために、磁化状態を切り換えるのに高い磁場を必要とする。
【0005】 GMR素子を記憶セル構造の記憶素子として利用することが提案されている(
たとえばD. D. Tang他著「IEDM95」、997 - 999 頁、J. M. Daughton著「Thin S
olid Flims」第216 巻(1992)、162 - 168 頁、Z. Wang 他著「Journal of Mag
netism and Magnetic Materials 」第155 巻 (1996)、161 - 163 頁参照)。
記憶素子は、読出し線を介してそれぞれ直列につながれる。これに対して横向き
に延びるワード線は、読出し線に対しても記憶素子に対しても絶縁されている。
ワード線に印加される信号は、ワード線を流れる電流によって磁場を生成し、こ
の磁場が十分な強さになるとその下にある記憶素子に影響を及ぼす。情報を書き
込むには、書き込まれるべき記憶セルのところで交差するx/y線が利用される
。このx/y線には、磁気逆転をさせるのに十分な磁場を交差部位に生じさせる
信号が与えられる。このときの磁化方向は、両方の強磁性層のうちの一方におい
て切り換えられる。それに対して、両方の強磁性層のうちの他方の磁化方向は変
わらないままである。後者の強磁性層における磁化方向の維持は、磁化方向を維
持する隣接する反強磁性層によって行われ、もしくは、この強磁性層の切換閾値
を、別の材料または異なる寸法によって、たとえば異なる層厚によって、前者の
強磁性層に比べて高くすることによって行われる。
【0006】 US5541868およびUS5477482には、GMR効果を利用する環
状の記憶素子が提案されている。1つの記憶素子は、積層体を含んでおり、この
積層体は、少なくとも2つの環状の強磁性層部材と、その間に配置された非磁性
的な伝導性層部材とを有するとともに、2本の回線の間につながれている。これ
らの強磁性層部材は、それぞれの材料組成が異なっている。強磁性層部材の一方
は硬磁性であり、他方は軟磁性である。情報を書き込むため、軟磁性の層部材に
おける磁化方向を切り換えるのに対し、硬磁性の層部材における磁化方向はその
ままに保たれる。
【0007】 磁気抵抗記憶素子を備える記憶セル構造がテクノロジーの面での意義を獲得す
るかどうかという問題については、特に、このような記憶セル構造が半導体プロ
セス工学の枠内で製造可能であるかどうかが重要となる。この問題と考えられる
その解決法とは、これまでの文献には記載されていない。
【0008】 本発明の課題は、半導体プロセス工学の枠内で製造可能である、磁気抵抗記憶
素子を備える記憶セル構造、およびその製造方法を提供することである。
【0009】 この課題は、請求項1に基づく記憶セル構造、ならびに請求項7に基づくその
製造方法によって解決される。本発明のその他の実施形態は、その他の請求項か
ら明らかである。
【0010】 この記憶セル構造は、セルフィールドに、網目状に配置されていてそれぞれ第
1の回線と第2の回線との間に配置された第1の磁気抵抗記憶素子を含んでいる
。第1の回線および第2の回線は多数設けられている。周辺部には、少なくとも
1つの第1の金属被覆面および第2の金属被覆面が設けられており、これらは接
触部を介して互いに電気的に接続されている。金属被覆の間のこのような接触部
は、当業者の間では通常、ビア(Vias)またはビア接続と呼ばれる。これらの接
触部は、第1の金属被覆面と第2の金属被覆面との間に配置される。第1の回線
および第1の金属被覆面は、同一平面に配置されている。第2の回線および接触
部は、同じく同一平面に配置されている。したがって、第1の回線および第1の
金属被覆面と、第2の回線および接触部とは、いずれも、相応の構造化によって
それぞれ伝導性層から製造される。
【0011】 第1の回線が第1の金属被覆面と同一平面に配置され、第2の回線は接触部と
同一平面に配置されるので、第1の金属被覆面と第2の金属被覆面との垂直方向
の間隔に関わりなく、第1の回線と第2の回線との垂直方向の間隔を設定可能で
ある。このことは、周辺部における所与の条件に影響を及ぼすことなく、第1の
回線と第2の回線との前記間隔を、セルフィールドの所与の条件に合わせて調節
することができるという利点がある。
【0012】 従来技術との関連で説明したように、磁気抵抗記憶素子の1つへの情報の書き
込みは磁場の印加によって行われる。この磁場は、付属の第1および第2の回線
を通って流れる電流によって誘導される。磁場の大きさは、流れる電流の強さと
、電流が流れる回線からの距離とに依存して決まり、電流の強さが増すにつれて
磁場は強くなり、距離が増すにつれて磁場が小さくなるので、第1の回線および
第2の回線を磁気抵抗記憶素子の近くに配置するのが望ましい。さらに、磁気抵
抗記憶素子をそれぞれ2つの回線の間につなぐと好都合である。なぜならこの場
合、これらの回線を介して追加的に、記憶される情報に対応する磁気抵抗素子の
抵抗を判定することができるからである。磁気抵抗記憶素子の厚さに起因して、
セルフィールドでは、相上下して配置された第1の回線と第2の回線との間隔を
最大でも20〜40nmに目指すことができる。
【0013】 それに対し、周辺部における第1の金属被覆面と第2の金属被覆面との垂直間
隔は、第1の金属被覆面と第2の金属被覆面との間の寄生的なキャパシタンスを
減らすため、およびプロセス工学上の理由から、上記よりはるかに大きくなくて
はならない。0,35μmテクノロジーの場合、この間隔は典型的には350〜
400nmである。
【0014】 つまり、第1の回線が第1の金属被覆面と同一平面に設けられ、第2の回線が
接触部と同一平面に設けられることによって、セルフィールドにおける第1の回
線と第2の回線との間では、周辺部における第1の金属被覆面と第2の金属被覆
面との間隔と異なる間隔を設定することができるので、セルフィールドでは、磁
気抵抗素子の磁化状態の変化による情報の書き込みのための電流強さが低いこと
を考慮したうえで短い所要間隔を設定可能であり、それに対して周辺部では、寄
生的なキャパシタンス上およびテクノロジー上必要な、ほぼ1桁分だけ大きな各
金属被覆面の垂直間隔を保つことができる。それと同時に、第1の回線および第
2の回線を周辺部の構造部と一緒に製造することが可能である。したがって第1
の回線および第2の回線を製造するのに、追加的な析出工程やリソグラフィーや
構造化工程が必要でない。それによって記憶セル構造の製造が簡素化される。
【0015】 第1の回線と第1の金属被覆面とは実質的に同一の厚さを有していることが好
ましい。第2の回線および接触部は、金属間誘電体(Intermetalldielektrikum
)によって包囲されており、金属間誘電体と実質的に同一の高さまで延びている
。本発明のこのような実施形態は、以後のプロセスを考えたときに有利な、構造
サイズが減るにつれて大きな意義を獲得する平坦な表面を有している。
【0016】 本発明の別の実施形態によれば、セルフィールドに、第2の回線の上に配置さ
れた第3の回線が設けられる。第2の回線と第3の回線との間には第2の磁気抵
抗記憶素子が配置され、この場合にも同じく第2の回線の一本と第3の回線の一
本とに、第2の磁気抵抗記憶素子の1つが割り当てられる。第3の回線は、第2
の金属被覆面と同一平面で周辺部に配置される。本発明のこのような実施形態で
は、記憶素子が2つの平面で相上下して配置されるので、セルフィールドにおけ
る記憶素子のより高い実装密度が達成される。つまり記憶素子ごとの所要スペー
スが係数2だけ少なくなる。この場合、セルフィールドの簡素化された制御とい
うことを考えると、同じ材料でできていて同じ特性を有している、第1の磁気抵
抗記憶素子および第2の磁気抵抗記憶素子を設けるのが好都合である。しかしな
がら用途によって必要とされる場合には、第1の磁気抵抗記憶素子と第2の磁気
抵抗記憶素子との特性が異なっていてもよい。
【0017】 さらに記憶セル構造が、磁気抵抗素子を備える別の平面と、その上に配置され
た回線とを有していることが可能であり、それにより、実装密度の高い磁気抵抗
記憶セルの三次元的な構成が達成される。このとき奇数の平面には、第1の回線
、第1の磁気抵抗素子、および第2の回線と同様のものが構成され、偶数の平面
は、第2の回線、第2の磁気抵抗素子、および第3の回線と同様のものが構成さ
れる。
【0018】 構造を平坦化することを考えると、第3の回線と第2の金属被覆面とを実質的
に同一の厚さで設けるのが好都合である。
【0019】 記憶セル構造を製造するためには、第3の回線および第2の金属被覆面を、共
通の伝導性層の析出および構造化によって形成することが好ましい。
【0020】 平坦度の高い記憶セル構造を実現するためには、平坦化をする構造化法によっ
て伝導性層を製造し、構造化によって、第1の回線と第1の金属被覆面、第2の
回線と接触部、もしくは第3の回線と第2の金属被覆面を伝導性層から形成され
ることが好ましい。それには特に、後に製造されるべき伝導性層の形状の溝が穿
設されている絶縁性層を析出して、この溝を充填するのが適している。代替案と
して、リソグラフィーおよびエッチング法を用いた伝導性層の構造化によって伝
導性構造を形成し、次いで、析出および平坦化によって、たとえば化学的・機械
的な研磨によって構造化された絶縁性層でこれを包囲する。
【0021】 磁気抵抗記憶素子は、それぞれ第1の強磁性層と、非磁性層と、第2の強磁性
層とを有しており、非磁性層は第1の強磁性層と第2の強磁性層との間に配置さ
れる。この磁気抵抗記憶素子は、GMR効果もTMR効果も利用することができ
る。TMR効果を利用する磁気抵抗記憶素子の使用は、GMR効果に比べて相対
的な抵抗変化が大きいので有利である。さらにTMR素子の比較的高い抵抗は、
少ない電力消費という観点から好ましい。さらに、本構造が、高い磁場の切換の
ために必要な電流を取り扱う場合には、磁気抵抗記憶素子がCMR効果を利用し
ていてもよい。
【0022】 第1の強磁性層および第2の強磁性層は、Fe,Ni,Co,Cr,Mn,G
d,Dyのうち少なくとも1つの元素を含んでおり、2nm〜20nmの間の厚
さを有していることが好ましい。第1の強磁性層と第2の強磁性層とは、磁気的
な硬度および/または幾何学的な寸法の点で異なっている。
【0023】 非磁性層は、TMR効果の場合には、Al2 3 ,NiO,HfO2 ,TiO 2 ,NbO,SiO2 のうち少なくとも1つの材料を含んでおり、1nm〜4n
mの間の厚さを有している。GMR効果の場合、非磁性層はCu,Au,Agお
よび/またはAlのうち少なくとも1つの物質を含んでおり、2nm〜5nmの
間の厚さを有している。
【0024】 磁気抵抗記憶素子における回線平面と平行な断面は、任意の形状であってよい
。この断面は、特に長方形、円形、長円形、多角形、またはリング状であってよ
い。
【0025】 記憶セル構造の製造時および/または作動時において、磁気抵抗記憶素子とこ
れに隣接する回線との間の拡散を防止するため、磁気抵抗記憶素子とこれに隣接
する回線との間にそれぞれ拡散バリヤを設けるのが有利である。このような効果
は、セルフィールドの回線がCu,AgまたはAuを含んでいる場合に特に重要
である。
【0026】 回線は、代替的または追加的に、タングステンまたは金属ケイ化物を含んでい
てもよい。
【0027】 次に、各図面に描かれている本発明の実施例について詳しく説明する。
【0028】 図1は、記憶セルフィールドと周辺部との境界領域で記憶セル構造を示す平面
図である。 図2は、図1にII−IIで図示する記憶セル構造の断面図である。 図3は、相上下して配置された2つの平面に磁気抵抗記憶素子を有している記憶
セル構造の、記憶セルフィールドと周辺部との境界領域における断面図である。
図4から図10は、記憶セル構造を製造するための各ステップを示している。 図11は、記憶セル構造を示す外観図である。
【0029】 記憶セル構造は、セルフィールドZ1および周辺部P1を有している(図1と
図2を参照)。セルフィールドZ1の領域と周辺部P1の領域とは、図2では垂
直方向の実線で互いに分離されている。セルフィールドZ1には、第1の回線1
1および第2の回線12が配置されている。第1の回線11は、半導体基板10
の表面に配置されている。半導体基板10は、単結晶シリコンを有しており、周
辺部P1の領域に、かつ/またはセルフィールドの下側に、セルフィールドZ1
を制御するのに必要なモジュールを含んでいる。
【0030】 第1の回線11と第2の回線12とは互いに交差している。第1の回線11の
1つ(図1および図2には、図面を見やすくするために、1つの第1の回線11
しか描かれていない)と、第2の回線12の1つとの交差領域には、それぞれ磁
気抵抗素子13が配置されている。
【0031】 周辺部P1には、第1の金属被覆面14および第2の金属被覆面15が配置さ
れている。第2の金属被覆面15は、第1の金属被覆面14の上に配置されてお
り、接触部16を介して第1の金属被覆面14と電気的に接続されている(図面
を見やすくする理由から、図2では1つの接触部16しか描かれていない)。さ
らに周辺部P1には、セルフィールドZ1にある第2の回線12と接続された接
続回線17が配置されている。
【0032】 第1の金属被覆面14は、第1の回線11と同一の平面に配置されている。つ
まり第1の金属被覆面14も、半導体基板10の表面に配置されている。第1の
回線11および第1の金属被覆面14は、第1の絶縁構造部18に埋め込まれて
、この絶縁構造部とともに平坦な表面を形成している。第2の回線12、接触部
16、および接続回線17は、第1の回線11、第1の金属被覆面14、および
第1の絶縁構造部18の上側の1つの平面に配置されている。磁気抵抗記憶素子
13、第2の回線12、接触部16、および接続回線17は、第2の絶縁構造部
19によって包囲され、この絶縁構造部とともに、第2の回線12、接触部16
、および接続回線17が平坦な表面を形成している。
【0033】 その上側には、第3の絶縁構造部110に包囲された第2の金属被覆面15が
配置されており、この絶縁構造部とともに平坦な表面を形成している。
【0034】 第1の回線11と第2の回線12とは、いずれも第2の金属被覆面15を介し
て接触可能である。一方では、第1の回線11が第1の金属被覆面14と接続さ
れ、この金属被覆面が接触部16を介して第2の金属被覆面15と接続されてお
り、また他方では、第2の回線が接続回線17を介して第2の金属被覆面と接続
されている。第2の金属被覆面15の接触は、SiO2 またはSiO2 およびS
3 4 からなる不活性化層112にある接触穴111を介して行われる。第1
の絶縁構造部18、第2の絶縁構造部19、および第3の絶縁構造部110は、
金属間誘電体に適した材料、特にSiO2 ,Si3 4 、有機誘電体、または多
孔性の無機誘電体でできている。第1の回線と第2の回線12との垂直方向の間
隔は、磁気抵抗記憶素子13の厚さに相当しており、20〜30nmである。第
1の金属被覆面14と第2の金属被覆面15との間隔は、接触部16の高さに相
当しており、350〜400μmである。
【0035】 単結晶シリコンを含んでいる半導体基板20の表面には、セルフィールドZ2
に第1の回線21が配置され、周辺部P2に第1の金属被覆面22が配置されて
いる(図3参照。同図では、セルフィールドZ2と周辺部P2とは垂直方向の実
線によって互いに分離されている)。第1の回線21は、第1の金属被覆面22
と接続されている。第1の回線21および第1の金属被覆面22は、第1の絶縁
構造部23で包囲され、この絶縁構造部とともに平坦な表面を構成している。
【0036】 第1の回線21の表面には、第1の磁気抵抗記憶素子24が配置されており、
その上には第2の回線25が配置されている。第2の回線25は第1の回線21
と交差している。周辺部P2には、セルフィールドZ2にある第2の回線25と
同一の平面に、第1の接触部26および接続回線27が配置されている。接続回
線27は、セルフィールドZ2にある第2の回線25と(図3に示す図面平面の
範囲外で)接続されている。第2の回線25、第1の接触部26、および接続回
線27は、Al,Cu,W、ケイ化物からなる伝導性層を構造化することで形成
されており、第2の絶縁構造部28によって包囲され、この絶縁構造部と同じ高
さまで延びている。
【0037】 セルフィールドZ2には、第2の回線25の表面に、幾何学形状や材料組成に
関して第1の磁気抵抗記憶素子24と一致する第2の磁気抵抗記憶素子29が配
置されている。第2の磁気抵抗記憶素子29の上には、第2の磁気抵抗記憶素子
29と接続された第3の回線210がセルフィールドZ2に配置されている。周
辺部P2には、第3の回線210の平面に、第2の金属被覆面211が配置され
ている。第2の金属被覆面211は、第1の接触部26とも接続回線27とも接
続されている。第3の回線210と第2の金属被覆面211とは、Al,CuW
またはケイ化物からなる伝導性層を構造化することによって、共通の製造ステッ
プで形成される。
【0038】 第3の回線210,第2の磁気抵抗記憶素子29、および第2の金属被覆面2
11は、第3の絶縁構造部212によって包囲され、この絶縁構造部とともに、
第3の回線210および第2の金属被覆面211が平坦な表面を形成している。
【0039】 第2の金属被覆面211の上には、第2の金属被覆面211と接続された第2
の接触部213が配置されている。第2の接触部213は第4の絶縁構造部21
4で包囲され、この絶縁構造部とともに平坦な表面を形成している。その上には
第3の金属被覆面215が配置されており、第5の絶縁構造部216で包囲され
て、この絶縁構造部とともに平坦な表面を形成している。第5の絶縁構造部21
6および第3の金属被覆面215の上に配置された不活性化層217には接触穴
218が設けられており、この接触穴を介して第3の金属被覆面215が接触可
能である。
【0040】 次に、図4〜図10を参照しながら3層プロセスによる記憶セル構造の製造を
説明する。これらの図面中では、セルフィールドZと周辺部Pとが垂直方向の破
線によって示されている。
【0041】 シリコンからなる半導体基板40の表面に、第1のSiO2 層41を50〜1
00nmの厚さで塗布し、第1のSi3 4 層42を30〜50nmの厚さで塗
布し、第3のSiO2 層43を400〜800nmの厚さで塗布する(図4参照
)。レジストマスク(図示せず)と異方性エッチングによって、第2のSiO2 層43を構造化して、第1のSi3 4 層42の表面が部分的に露出するように
する。
【0042】 このとき第2のSiO2 層43の側方に、第1の溝44が生じる。第1の溝4
4は、基板40の表面に対して平行に、後で製造されるべき第1の回線および第
1の金属被覆面の形状を規定する断面を有している。
【0043】 第1のTaN/Ta層45を約50nmの厚さで析出し、第1の溝44が充填
される厚さで第1の銅層46を析出し、次いで第2のSiO2 層43の表面まで
化学的・機械的な研磨をすることによって、溝44に埋設された第1の回線およ
び第1の金属被覆面が形成される(図5参照)。
【0044】 次いで、Ta,Ti,W,MoまたはNbからなる第1のバリヤ層47を10
〜30nmの厚さで全面的に塗布し、連続層48と、Ta,Ti,W,Moまた
はNbからなる第2のバリヤ層49とを10〜30nmの厚さで塗布する。連続
層48は、CoまたはFe,Ni,Cr,Mn,Gd,Dyを含む第1の強磁性
層と、Al2 3 ,NiO,HfO2 ,TiO2 ,NbO,SiO2 ,Cu,A
u,AgまたはAlからなる非磁性層と、NiFe,CoまたはFe等を含む第
2の強磁性層とを含んでいる。連続層48は約10〜20nmの厚さを有してお
り、磁気抵抗記憶素子を製造するのに好適である。
【0045】 フォトリソグラフィーで構造化されたレジストマスク(図示せず)をエッチン
グマスクとして利用して、第1のバリヤ層47と、連続層48と、第2のバリヤ
層49とを、銅およびSiO2 に対する選択的な異方性エッチングにより、Cl
含有および/またはF含有エッチングガスで構造化する。このとき連続層48か
ら、網目状に配置された磁気抵抗記憶素子が生成される(図6参照)。
【0046】 次いで、第3のSiO2 層411をCVDによって析出し、化学的・機械的な
平坦化によって、第2のバリヤ層49に対して選択的に平坦化する。第3のSi
2 層411は、磁気抵抗記憶素子を側方で完全に包囲する。
【0047】 第2のSi3 4 層412を30〜50nmの層厚で塗布し、フォトレジスト
マスク(図示せず)と異方性エッチングによってF含有エッチング混合ガス(た
とえばCF4 /O2 ,SF6 /He)で構造化して、第3のSiO2 層411の
表面が周辺部Pの領域で露出するようにする。つまり第2のSi3 4 層412
はセルフィールドZの領域でしか残されず、第2のバリヤ層49および第3のS
iO2 層411を被覆する(図7参照)。
【0048】 次いで、第4のSiO2 層413を400〜800nmの厚さで析出する。第
4のSiO2 層413の表面に、フォトリソグラフィーのプロセス段階によって
、セルフィールドZの領域では第2の回線を規定するとともに周辺部Pの領域で
は接触部の配置を規定するレジストマスク414を生成させる。このとき第4の
SiO2 層413の表面は、後で第2の回線ないし接触部が形成される領域で露
出させられる。レジストマスク414をエッチングマスクとして利用しながら、
CおよびF含有エッチングガス(たとえばCHF3 /CF4 またはC4 8 /C
o)でSi3 4 に対して選択的に異方性エッチングすることにより、周辺部P
で第4のSiO2 層413および第3のSiO2 層が構造化される。このとき第
2の溝415が形成される。第2の溝415は、後で第2のTaN/Ta層41
6が約50nmの厚さで析出されることにより、および、第2の銅層417が3
00〜1000nmの厚さで析出されることにより、充填される(図8参照)。
析出される第2の銅層の最低厚さは、Cu析出プロセスの適合度と、充填される
べき溝の線幅とに依存して決まる。
【0049】 化学的・機械的な研磨により、第2の銅層417および第2のTaN/Ta層
416を構造化する。このときセルフィールドに第2の回線418が形成され、
周辺部Pでは、第2の回線418と接続された接続回線420および接触部41
9が形成される(図9参照)。
【0050】 第3のSi3 4 層421を30〜50nmの厚さで全面的に塗布する。その
上に、第5のSiO2 層422を400〜800nmの厚さで塗布する。フォト
リソグラフィーで生成されたレジストマスクをエッチングマスク(図示せず)と
して利用しながら、C含有およびF含有ガスでの異方性エッチングによって第3
の溝423を生成し、第3のTaN/Ta層424と第3の銅層425でこの溝
を充填する。第3のTaN/Ta層424は約50nmの厚さで析出され、第3
の銅層425は300〜1000nmの厚さで析出される。
【0051】 化学的・機械的な研磨により、第3の銅層425および第3のTaN/Ta層
424を構造化する。このとき第5のSiO2 層422の表面は、第3の溝42
3の範囲外で露出させられる。第3の溝423には、第3の金属被覆面426が
形成される(図10参照)。第5のSiO2 層422および第3の金属被覆面4
26の表面には、Si3 4 層427が50nmの厚さで析出されるとともに、
プラズマCVDプロセスで300nmの厚さに生成されたSiO2 層428と、
プラズマCVDプロセスで500〜600nmの厚さに生成されたSi3 4
429とで構成された不活性化二重層が析出される。フォトリソグラフィーで生
成されたマスクを用いて、Si3 4 層429と、SiO2 層428と、Si3 4 層427とに、第3の金属被覆面426まで達する接触穴430が開けられ
る。
【0052】 3層金属被覆プロセスに統合されるこのような記憶セル構造の製造は、次のよ
うに改良できることが好ましい。 すなわち、第2のバリヤ層49、連続層48、および第1のバリヤ層47を構造
化した後、第3のSiO2 層411を異方性RIEプロセスによって(たとえば
C含有およびF含有エッチングガスを用いて)エッチバックして、記憶素子がS
iO2 スペーサによって横向きに絶縁されるようにする。次いで、第2のSi3 4 層412をできるだけ同形に析出する。この第2のSi3 4 層412を構
造化することなく、第4のSiO2 層413を析出させ、短いCMPステップに
よって平坦化する。そして、すでに略述したプロセス進行と同じようにして、第
4のSiO2 層413を第2のSi3 4 層412に対して選択的に構造化し、
第2のSi3 4 層412を層411のSiO2 スペーサに対して、および第2
のSiO2 層43に対して、選択的に構造化する。以後のすべてのプロセス段階
は、すでに略述したプロセス進行と同じである。
【0053】 このような改良型プロセスには次のような利点がある。すなわち1番目に、フ
ォトリソグラフィーによる構造化面が省略される。2番目に、第1の回線21が
セルフィールドZで、および周辺部Pの第1の金属被覆面22で、Si3 4
413によって完全に覆われるので、第1のTaN/Ta層45との関連で、C
uおよびその他の可動な元素(たとえばAg)が第1の回線21から隣接するS
iO2 層(43,412)へ拡散して、そのためにこれらの層が品質低下するの
が防止される。3番目に、第2の溝415を構造化している途中での記憶素子側
面の露出と、これに伴う記憶素子の電気的な分流とが確実に防止される。
【0054】 記憶セル構造のセルフィールドには、互いに平行に延びるストリップ状の第1
の回線51と、第2の回線52とが配置される。第2の回線52は同じくストリ
ップ状であり、相互に平行に延びている。第2の回線52は第1の回線51と交
差している。第1の回線51と第2の回線52との交差部位には、第1の強磁性
層531と、非磁性層532と、第2の強磁性層533とを有する磁気抵抗記憶
素子53がそれぞれ配置される。磁気抵抗記憶素子53の断面は、それぞれ長方
形、長く伸びた六角形、もしくは楕円形である。側面の寸法は、第1の回線51
および第2の回線52の幅に同程度である。第1の強磁性層531および第2の
強磁性層533は、それぞれ3〜10nmの厚さを有している。非磁性層532
は1〜3nmの厚さを有している。第1の強磁性層531は、Coを含んでいる
。非磁性層532はAl2 3 を含んでいる。第2の強磁性層533はNiFe
を含んでいる。第1の回線51および第2の回線52はそれぞれCuを含んでい
る(図11参照)。
【0055】 磁気抵抗記憶素子53の抵抗は、第1の強磁性層531および第2の強磁性層
533の磁化方向に依存して決まる。両方の層の磁化が互いに平行なときは、反
平行に磁化される場合よりも抵抗が小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 記憶セルフィールドと周辺部との境界領域で記憶セル構造を示す平面図である
【図2】 図1にII−IIで図示する記憶セル構造の断面図である。
【図3】 相上下して配置された2つの平面に磁気抵抗記憶素子を有している記憶セル構
造の、記憶セルフィールドと周辺部との境界領域における断面図である。
【図4】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図5】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図6】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図7】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図8】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図9】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図10】 記憶セル構造を製造するためのステップを示している。
【図11】 記憶セル構造を示す外観図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/08 H01L 27/10 447

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記憶セル構造であって、 セルフィールドに第1の磁気抵抗記憶素子が設けられており、この磁気抵抗記
    憶素子は第1の平面で網目状に配置され、それぞれ第1の回線と第2の回線との
    間に配置されており、 周辺部に少なくとも1つの第1の金属被覆面と、第2の金属被覆面と、接触部
    とが設けられており、これらの接触部によって、第1の金属被覆面と第2の金属
    被覆面との間に局所的な電気接続が実現され、 第1の回線および第1の金属被覆面は同一平面に配置されており、 第2の回線および接触部は同一平面に配置されている、記憶セル構造。
  2. 【請求項2】 第1の回線と第1の金属被覆面とが実質的に等しい厚さを有しており、 第2の回線および接触部は金属間誘電体で包囲されており、この金属間誘電体
    と実質的に等しい高さまで延びている、請求項1記載の記憶セル構造。
  3. 【請求項3】 セルフィールドに第3の回線が設けられており、 第2の平面に第2の磁気抵抗記憶素子が配置されており、これらの磁気抵抗記
    憶素子はそれぞれ第2の回線の1本と第3の回線の1本との間に配置されており
    、 第3の回線および第2の金属被覆面は同一平面に配置されている、請求項1記
    載の記憶セル構造。
  4. 【請求項4】 第1の回線と第1の金属被覆面とが実質的に等しい厚さを有しており、 第2の回線および接触部は金属間誘電体で包囲されており、この金属間誘電体
    と実質的に等しい高さまで延びており、 第3の回線と第2の金属被覆面とは実質的に等しい厚さを有している、請求項
    3記載の記憶セル構造。
  5. 【請求項5】 磁気抵抗記憶素子がそれぞれ第1の強磁性層と、非磁性層と、第2の強磁性層
    とを有しており、 第1の強磁性層および第2の強磁性層はFe,Ni,Co,Mn,Gdおよび
    /またはDyを含んでおり、それぞれ2nm〜20nmの範囲内の厚さを有して
    おり、 非磁性層はAl2 3 ,NiO,HfO2 ,TiO2 ,NbO,SiO2 ,C
    u,Au,Agおよび/またはAlを含んでおり、1nm〜5nmの間の厚さを
    有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の記憶セル構造。
  6. 【請求項6】 セルフィールドの回線がAl,Cu,Wまたはケイ化物を含んでおり、 第1の回線と第1の磁気抵抗記憶素子との間、第1の磁気抵抗記憶素子と第2
    の回線との間、第2の回線と第2の磁気抵抗記憶素子との間、かつ/または第2
    の磁気抵抗記憶素子と第3の回線との間に、それぞれ拡散バリヤが設けられてい
    る、請求項1から5までのいずれか1項記載の記憶セル構造。
  7. 【請求項7】 記憶セル構造を製造する方法であって、 半導体基板の主面の上に、第1の伝導性層の析出および構造化によって、セル
    フィールドに第1の回線を生成するとともに周辺部に第1の金属被覆面を生成し
    、 セルフィールドに、それぞれ第1の回線の1本と接続された第1の磁気抵抗記
    憶素子を生成し、 第2の伝導性層の析出および構造化によって、セルフィールドに、第1の磁気
    抵抗記憶素子と接続された第2の回線を形成するとともに、周辺部に、第1の金
    属被覆面と接続された接触部を形成し、 第3の伝導性層の析出および構造化によって、周辺部に、接触部と接続された
    第2の金属被覆面を形成する方法。
  8. 【請求項8】 半導体基板の主面の上に第1の絶縁性層を生成し、 第1の絶縁性層に第1の溝を生成し、この溝の幾何学形状は、第1の回線およ
    び第1の金属被覆面の幾何学形状に対応しており、 第1の回線および第1の金属被覆面を形成するために、第1の伝導性層で第1
    の溝を充填し、この伝導性層を平坦化して第1の絶縁性層の表面が露出するよう
    にし、 第1の磁気抵抗記憶素子を生成した後、第2の絶縁性層を生成してこれに第2
    の溝を形成し、この溝の幾何学形状は、第2の回線および接触部の幾何学形状に
    対応しており、 第2の回線および接触部を形成するために、第2の伝導性層で第2の溝を充填
    し、この伝導性層を平坦化して第2の絶縁性層の表面が露出するようにし、 第3の絶縁性層を生成してこれに第3の溝を形成し、この溝の幾何学形状は、
    第2の金属被覆面の幾何学形状に対応しており、 第2の金属被覆面を形成するために、第3の伝導性層で第3の溝を充填し、こ
    の伝導性層を平坦化して第3の絶縁性層の表面が露出するようにする、請求項7
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 第2の回線および接触部を形成した後、それぞれ第2の回線の1本と接続され
    た第2の磁気抵抗記憶素子を形成し、 第3の伝導性層を構造化するとき、セルフィールドに、第2の磁気抵抗素子と
    接続された第2の回線を形成する、請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 半導体基板の主面の上で第1の絶縁性層を生成し、この絶縁性層に第1の溝を
    形成し、この溝の幾何学形状は、第1の回線および第1の金属被覆面の幾何学形
    状に対応しており、 第1の回線および第1の金属被覆面を形成するために、第1の伝導性層で第1
    の溝を充填し、この伝導性層を平坦化して第1の絶縁性層の表面が露出するよう
    にし、 第1の磁気抵抗記憶素子を生成した後、第2の絶縁性層を生成してこれに第2
    の溝を生成し、この溝の幾何学形状は、第2の回線および接触部の幾何学形状に
    対応しており、 第2の回線および接触部を形成するために、第2の伝導性層で第2の溝を充填
    し、この伝導性層を平坦化して第2の絶縁性層の表面が露出するようにし、 第2の磁気抵抗記憶素子を形成した後、第3の絶縁性層を生成してこれに第3
    の溝を形成し、この溝の幾何学形状は、第3の回線および第2の金属被覆面の幾
    何学形状に対応しており、 第3の回線および第2の金属被覆面を形成するために、第3の伝導性層で第3
    の溝を充填し、この伝導性層を平坦化して第3の絶縁性層の表面が露出するよう
    にする、請求項9記載の方法。
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