JP2002537838A - 哺乳動物細胞におけるヒトα−フェトタンパク質の発現 - Google Patents

哺乳動物細胞におけるヒトα−フェトタンパク質の発現

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JP2002537838A
JP2002537838A JP2000603380A JP2000603380A JP2002537838A JP 2002537838 A JP2002537838 A JP 2002537838A JP 2000603380 A JP2000603380 A JP 2000603380A JP 2000603380 A JP2000603380 A JP 2000603380A JP 2002537838 A JP2002537838 A JP 2002537838A
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rhuafp
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cell
nucleic acid
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ステイス リンドセイ
ロバート ムルロイ
ダニエル セメニウク
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アトランティック バイオファーマシューティカルズ インコーポレイティッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、培養された哺乳動物細胞において、組換えヒトα-フェトプロテイン(rHuAFP)を発現するための核酸、ベクター、細胞、および方法を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は、哺乳動物細胞において発現される組換えタンパク質の産生に関する
【0002】 α-フェトタンパク質(AFP)は卵黄嚢および胎児肝臓で生産される70kDaの糖
タンパク質である。AFPは胎児血清中にはミリグラムレベルで存在しているが、
誕生時には、成人血清中に通常みられるナノグラムレベルに減少する。成人血清
中のAFPレベルの増加は卵黄嚢腫瘍、肝癌、もしくは肝臓の再生を示している。A
FPは、発育途中の胎児を母体の免疫的攻撃または母体のエストロゲンの効果から
守ることが示唆されているが、胎児の発育中におけるにAFPの役割は不明である
【0003】 インビトロおよびインビボの種々の実験では、AFPは、標的細胞、AFPの相対濃
度、ならびに他のサイトカインおよび成長因子の存在によって、細胞成長刺激活
性と細胞成長阻害活性の両方を持っていることが示されている。たとえば、AFP
は多くの種類の腫瘍細胞の成長を阻害することができ、特に、エストロゲン刺激
性細胞成長を阻害する。逆に、AFPは通常の胚の繊維芽細胞の成長を刺激する。A
FPはまた、免疫抑制効果と免疫増殖効果の両方を持っていることが示されている
。AFPの多様な生物学的特性を活用するために、この分子を効率的にかつ経済的
な手法で十分量得ることが必要と考えられる。
【0004】発明の概要 第一の局面において、本発明は、以下を含む実質的に純粋な核酸分子を特徴と
する:(i)組換えヒトα-フェトタンパク質(rHuAFP)をコードする核酸配列、(i
i)哺乳動物細胞において転写が誘導されるプロモーターであって、rHuAFPコード
配列に利用可能に連結し、哺乳動物細胞においてrHuAFPの発現を誘導するプロモ
ーター、および、(iii)哺乳動物細胞によって、rHuAFPの分泌を可能にする、タ
ンパク質分泌シグナルをコードしている異種リーダー配列。
【0005】 第二の局面において、本発明は、本発明の第1の局面の実質的に純粋な核酸分
子を含むベクターを特徴とする。
【0006】 第三の局面において、本発明は、本発明の第1の局面の実質的に純粋な核酸分
子を含む哺乳動物細胞を特徴とする。
【0007】 本発明の第三の局面の種々の態様において、実質的に純粋な核酸分子が、哺乳
動物細胞のゲノムへ安定的に組込まれる、または実質的に純粋な核酸分子が、哺
乳動物細胞によってエピソームとして維持されているベクターの中に含まれてい
てもよい。
【0008】 第四の局面において、本発明は、インビトロで、哺乳動物細胞において組換え
ヒトα−フェトプロテイン(rHuAFP)を産生する方法を特徴とする。その方法は、
以下の段階を含む:(a)(i)rHuAFPをコードする核酸配列と、(ii)哺乳動物細胞に
おいて転写を誘導するプロモーターであって、利用可能にrHuAFPをコードする配
列に連結され、哺乳動物細胞においてrHuAFPの発現を誘導するプロモーターとを
含む、DNA発現構築物を含む哺乳動物細胞を提供する段階;(b)哺乳動物細胞がrH
uAFPを発現するように哺乳動物細胞を培養する段階;および(c)哺乳動物細胞に
よって産生されたrHuAFPを精製する段階 。
【0009】 本発明の第四の局面の一つの態様において、rHuAFPは、哺乳動物細胞の溶解物
から得てもよい。第四局面のもう一つの態様において、DNA発現構築物は、さら
に、哺乳動物細胞によるrHuAFPの分泌を可能にするタンパク質分泌シグナルをコ
ードするリーダー配列を含んでもよく、rHuAFPは、その細胞によって馴化された
細胞培養培地から得られる。第四局面のさらにもう一つの態様において、リーダ
ー配列は異種リーダー配列であってもよい。
【0010】 第四の局面のさらに他の態様において、DNA発現構築物が、哺乳動物細胞のゲ
ノムDNAへ安定的に組込まれていてもよいし、DNA発現構築物が、哺乳動物細胞に
よってエピソームとして維持されているベクターの中に保有されていてもよいし
、またはDNA発現構築物が、細胞へ一過的にトランスフェクションされたベクタ
ーの中に保有されていてもよい。
【0011】 「ヒトα-フェトタンパク質」または「HuAFP」とは、GenBankアクセッション
番号J00077で公開され、かつ、GenBankアクセッション番号J00077において公開
されているcDNA配列によってコードされ、かつ、モリナガ(Morinaga)ら(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA80:4604-4608、1983)に報告されている成熟したα-フェ
トタンパク質(20番目から609番目までのアミノ酸)と実質的に同じアミノ酸
配列を有するポリペプチドを意味する。
【0012】 「ヒトα-フェトタンパク質前駆体」とは、GenBankアクセッション番号J00077
で公開され、かつ、GenBankアクセッション番号J00077によって公開されているc
DNA配列によってコードされ、かつ、モリナガ(Morinaga)ら(Proc. Natl. Acad
. Sci. USA80:4604-4608、1983)に報告されている1〜609番目までのアミノ酸と
実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。
【0013】 「ヒトα-フェトタンパク質分泌シグナル」または「ヒトα-フェトタンパク質
シグナルペプチド」とは、GenBankアクセッション番号J00077で公開されている
1番目から19番目までのアミノ酸を意味する。タンパク質分泌シグナルはタン
パク質の成熟化および分泌の過程でHuAFPから切断される。
【0014】 「実質的に同一」とは、天然のHuAFPアミノ酸配列と少なくとも80%が相同
であることを意味し、典型的には天然のヒトHuAFP配列と少なくとも約85%が
相同であり、より典型的には少なくとも約90%が相同、通常少なくとも95%
が相同、そして、さらにしばしば、天然のHuAFP配列と少なくとも約97%が相
同であるポリペプチドを意味する。比較配列の長さは、一般に少なくとも16ア
ミノ酸で、通常少なくとも20アミノ酸、好ましくは少なくとも25アミノ酸で
、より好ましくは少なくとも30アミノ酸、そして最も好ましくは35アミノ酸
以上であると考えられる。
【0015】 配列の同一性は、最適なアラインメント(たとえば、遺伝学コンピューターグ
ループの配列解析ソフトウエアパッケージ、ウイスコンシン大学バイオテクノロ
ジーセンター、1710 University Avenue、Madison、WI53705)を行うためのギャ
ップの導入のような、その中に特定された予め決められたパラメータで配列解析
ソフトウエアを使うことによって、典型的に測定される。
【0016】 「プロモーター」とは、転写を誘導するために十分な最少の配列を意味する。
また、本発明において、細胞の種類特異的、組織特異的、時期特異的に制御でき
うる、または外的シグナルもしくは外的因子によって誘導可能なプロモーター依
存的な遺伝子発現をさせるに十分な転写制御エレメント(例えば、エンハンサー
、リプレッサー、およびサイレンサー)が含まれている。このようなエレメント
は天然の遺伝子の5'、3'、またはイントロンの配列領域中に位置する場合がある
【0017】 「組換えHuAFP」または「rHuAFP」とは、DNAクローニング、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)増幅、化学合成、またはrHu-AFPをコードする核酸を得られるような
他の既知の方法などの技術によって単離された、実質的に純粋なHuAFPをコード
する核酸によってコードされるヒトα-フェトタンパク質を意味する。
【0018】 「外因性」とは、細胞中に人為的に導入される核酸、またはそのような核酸に
よってコードされるポリペプチドを意味する。
【0019】 「精製された」とは、rHuAFPが部分的にまたは完全に、細胞または細胞培地中
に存在する他の成分(例えば、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、塩、および
水) から分離され、細胞または細胞培地中に存在する未精製のrHuAFPと比較し
てrHuAFPの有効濃度が増加していることを意味する。
【0020】 「実質的に純粋な核酸」とは、本発明の核酸が由来する生物の天然のゲノムに
おいて、その遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸を意味する。それ故、この
用語は例えば、ベクター;自律複製するプラスミドもしくはウイルス;または原
核細胞もしくは真核細胞のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNAを含み;または、
それは他の配列から独立して別の1つの分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌ
クレアーゼによる切断によって作製されたcDNA、またはゲノム断片もしくはcDNA
断片)として存在する組換えDNAを包含する。それはまた、天然の遺伝子には存
在しない核酸配列を含むか、または付加的なポリペプチド配列、ならびに対応す
るmRNAをコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも包含する。
【0021】 「形質転換」、「トランスフェクション」、または「形質導入」とは、細胞の
中に外来DNAを導入するための任意の方法を意味する。リポフェクション、DEAE
デキストランを媒介としたトランスフェクション、マイクロインジェクション、
プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、形質導入(例えば、バクテリオフ
ァージ、アデノウイルス、レトロウイルス、または他のウイルスによる運搬)エ
レクトロポレーション、および遺伝子銃を用いた形質転換は、使用されうる当業
者に既知のほんの少しの方法である。
【0022】 「形質転換細胞」、「トランスフェクト細胞」、または「形質導入細胞」とは
、組換えDNA技術によって、rHuAFPをコードするDNA分子が導入された細胞(また
はその子孫となる細胞)を意味する。DNA分子は宿主の染色体に安定に組み込ま
れていても、またはエピソームとして維持されていてもよい。
【0023】 「利用可能に連結された」とは、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質
)が制御配列に結合した時に1つの遺伝子、および一つまたは複数の制御配列が
遺伝子発現させるような様式で結合されていることを意味する。
【0024】 「発現ベクター」とは、遺伝子操作されたプラスミド、またはウイルスを意味
し、それらは、例えば、バクテリオファージ、アデノウイルス、レトロウイルス
、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、セムリキフォー
レストウイルス(Semliki Forest Virus)または人工染色体に由来する。その発
現ベクターは、プロモーターおよび任意の他の必要な配列(例えば、ポリアデニ
ル化部位、スプライス部位、イントロン、エンハンサー、およびシグナル配列)
に利用可能に連結されているrHuAFPコード配列を、コードされたrHuAFPを宿主細
胞の中で発現させるように、宿主細胞の中に移すために用いられる。
【0025】 「発現構築物」とは、プロモーターおよび宿主細胞内でのrHuAFPの発現のため
に必要な任意の他の配列に利用可能に連結されているrHuAFPコード配列を意味す
る。その発現構築物は、プラスミドまたはウイルスの発現ベクターの中に保有さ
れていてもよい。
【0026】 「リーダー配列」または「シグナル配列」とは、タンパク質の分泌シグナルを
コードしており、rHuAFPをコードしている下流の核酸分子に使用可能な状態で結
合している場合にrHuAFPの分泌を指示する核酸配列を意味する。リーダー配列は
、天然のrHuAFPリーダー(GenBankアクセッション番号J00077によって公開され
た1〜19番目のアミノ酸をコードしている)、人工的に作製されたリーダー、rHu
AFPコード配列の転写を誘導するために用いられるプロモーターと同じ遺伝子か
ら得られたリーダー、または細胞から通常分泌される他の任意のタンパク質から
得られたリーダーであってもよい。
【0027】 「培養培地」とは、インビトロで生きている細胞を維持するのに使用される任
意の水溶液を意味する。培養培地の一つの例として、グラスゴー改変のイーグル
培地がある。培養培地の多くの他の例は、当業者に公知である。
【0028】 「馴化培地(conditioned medium)」とは、細胞がrHuAFPを分泌した培養培地
を意味する。
【0029】 「異種」とは、HuAFP(またはHuAFP前駆体)のアミノ酸配列または核酸配列で
はない、アミノ酸配列または核酸配列を意味する。
【0030】 「安定的に組込まれる」とは、任意の核酸断片(たとえば、発現構築物)が人
工的に細胞中へ挿入され、挿入された核酸が、細胞の染色体DNAとともに、おの
おのの継承的細胞分裂から生じる娘細胞へ伝えられるような、細胞の染色体DNA
へ物理的に組込まれるようになることを意味する。その核酸は、核酸が導入され
た細胞にとって外来である遺伝子産物をコードしていてもよいし(たとえば、マ
ウスの細胞に導入されたrHuAFPをコードする核酸)、または細胞内の内生的な遺
伝子によってコードされる遺伝子産物をコードしていてもよい(ヒトの細胞に導
入されたrHuAFPをコードする核酸)。
【0031】 「エピソームとして保有される」とは、細胞へ人工的に導入された発現ベクタ
ーが、細胞内で維持され、祖先の細胞の染色体DNAへ物理的に組込まれているこ
となしに娘細胞の継承的世代へと伝えられるということを意味する。エピソーム
として保有されるベクターは、たとえば、人工染色体、または、エプスタインバ
ーウイルス(Epatein-Barr Virus)oriP(EBNA-1を発現する哺乳動物細胞におい
て機能する)もしくはSV40複製起点(SV40ラージT抗原を発現する哺乳動物細胞
において機能する)などの哺乳動物細胞において機能する複製起点を含む発現ベ
クターが挙げられる。
【0032】発明の詳細な説明 本発明は、哺乳動物細胞で発現される、精製組換えヒトα-フェトタンパク質
(rHuAFP)を得るための過程を特徴とする。rHuAFPをコードするDNA断片は、ま
ず第一に、rHuAFPがベクターの中に含まれるプロモーターの転写制御下で発現さ
れるように、適当な哺乳動物発現ベクターの中へクローン化される。そのrHuAFP
をコードするベクター(またはプロモーター、rHuAFPコード配列、および他の必
要な調節配列を含むその断片)は、それから、適当な哺乳動物細胞系へ導入され
る。rHuAFPを発現する細胞は、たとえば、HuAFP発現構築物を含まない細胞を殺
す選択薬剤の存在下で、rHuAFPの形質転換細胞を増殖させることにより同定する
ことができる。望ましいレベルでrHuAFPを発現する細胞系を得るためには、生き
残っている細胞をさらに選択的圧力をかけて、クローン化してもよい。
【0033】 活発に分泌させるためには、rHuAFPは、タンパク質分泌シグナルに先導されな
ければならない。分泌シグナルを欠くrHuAFPは細胞溶解物から精製される。分泌
シグナルに先導されるrHuAFPは、rHuAFP発現細胞によって馴化された培地から精
製することができる。
【0034】 哺乳動物細胞における組換えタンパク質を発現するための種々の哺乳動物の発
現系または方法の詳細な説明は、オースベルら(Ausubel)(「分子生物学における
最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley
and Sons社、New York、NY、1997、PP.16.12.1-16.20-16およびA.5.23-A.5.30)
によって提供されている。
【0035】発現構築物 rHuAFP発現構築物は、プロモーターと共に、選択された哺乳動物細胞の型にお
いてrHuAFPの発現のために必要な任意の他の転写調節配列(例として、エンハン
サーおよびサイレンサー)が含まれている。哺乳動物細胞において利用可能に連
結された遺伝子の転写を誘導する任意のプロモーターまたはエンハンサーは、rH
uAFPを発現するために使用することができる。プロモーターまたはエンハンサー
は、β-アクチンもしくはグロブリンのような哺乳動物遺伝子に由来するもので
あってもよいし、または、たとえば哺乳動物細胞に感染するウイルスに由来する
遺伝子であってもよい。哺乳動物細胞において効率的にタンパク質を発現するた
めに通常使われるウイルスのプロモーターおよびエンハンサーには、たとえば、
サイトメガロウイルス(CMV)およびSV40の初期プロモーターおよびエンハンサー
が含まれる。エンハンサーは、rHuAFPコード領域から上流または下流のいずれか
にあればよい。プロモーターが利用可能にrHuAFP遺伝子に連結されているような
rHuAFPをコードするDNA断片がクローン化されている発現構築物は、理想的には
、プロモーターから下流に適切な制限酵素切断部位を含んでいる。
【0036】 発現構築物は、プロモーターから下流にリーダー配列を含んでいてもよい。リ
ーダー配列とは、タンパク質分泌シグナルをコードする核酸部分であり、rHuAFP
をコードする下流の核酸分子に利用可能に連結されている場合に、rHuAFPの分泌
を誘導する。好ましくは、自然のrHuAFPタンパク質分泌シグナル(ゲンバンクア
クセッション番号:J00077のアミノ酸1〜19)をコードするリーダー配列(ゲンバ
ンクアクセッション番号:J00077のヌクレオチド45〜101)を用いる。他の選択可
能なものでは、細胞から通常分泌される任意の他のタンパク質(たとえば、イン
スリンのようなタンパク質ホルモン)からのタンパク質分泌シグナルをコードす
るリーダー配列、人工的なタンパク質分泌シグナルをコードする人工的なリーダ
ー配列、またはキメラのリーダー配列の使用が含まれる。
【0037】 望ましい場合には、rHuAFPの発現は、当業者に公知である、誘導性または抑制
性プロモーターシステムの一つを使用することにより調節してもよい。調節性プ
ロモーターの利点は、特定の期間(すなわち、精製の直前)においてのみ発現さ
せ、それによって、細胞の維持や増殖の期間における細胞に対する発現されたrH
uAFPの影響を最小限にすることができることである。
【0038】 誘導性プロモーターの一つの例として、亜鉛の非存在下では転写を休止するメ
タロチオネインIプロモーターがある。細胞培養培地に亜鉛を添加することによ
り、メタロチオネインIプロモーターに利用可能に連結された任意の遺伝子(rHu
AFP遺伝子など)の転写が誘導される(たとえば、Ellouk-Achardら、J. Hepatol
.、5:807〜818、1998; Jorgeら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、46:533〜537
、1996; およびProstkoら、Oncol. Res.、9:13〜17、1997参照)。
【0039】 rHuAFPを、また、グルココルチコイドのようなホルモンのためのDNA結合部位
を含むステロイドホルモン誘導性プロモーターの転写調節下に置いてもよい。そ
のプロモーターは、ステロイドホルモンの非存在下では不活性であり、ステロイ
ドホルモン(たとえばデキサメサゾン)を細胞培養培地に添加する場合に、プロ
モーター活性は誘導され、プロモーター-rHuAFPをコードする構築物を含む細胞
はrHuAFPを発現する(たとえば、MaderおよびWhite、Proc. Nat. Acad. Sci. US
A、90:5603〜5607、1993; およびHirtら、Gene、111:199〜206、1992参照)。
【0040】 用量依存的な方法において、テトラサイクリン(またはドキシサイクリンのよ
うなテトラサイクリン誘導体)により誘導性または抑制性プロモーターを含む発
現ベクターはまた、哺乳動物細胞におけるrHuAFPの発現のために使用できる。例
として、pRetro-On(Clontech、Palo Alto、CA; カタログ番号:6157-1)は、テト
ラサイクリンで誘導されるプロモーターを含むレトロウイルスベクターである。
テトラサイクリンの存在下で、ベクターにコードされた逆テトラサイクリン制御
トランス作用因子(rtTA)が、テトラサイクリン応答要素(TRE)に結合し、投与量
依存性において転写を活性化する。逆に、pRetro-Off(Clontech、Palo Alto、CA
; カタログ番号:6158-1)は、テトラサイクリンで抑制されるプロモーターを含む
レトロウイルスベクターである。テトラサイクリンの非存在下では、ベクターに
コードされたテトラサイクリン制御トランス作用因子(rTA)が、テトラサイクリ
ン応答要素(TRE)に結合し、転写を活性化する。転写は、テトラサイクリンの細
胞培養培地への添加により用量依存的な方法で抑制される。
【0041】 転写調節要素に加えて、哺乳動物細胞におけるrHuAFPを発現するための発現構
築物はまた、好ましくは、mRNAの安定性およびタンパク質への翻訳を調節する付
加的な要素を含む。そのような要素とは、たとえば、5'および3'非翻訳領域(UTR
s)のDNA配列、転写終結部位、転写されたmRNAの切断およびポリアデニル化のた
めのシグナル、ならびに翻訳終結シグナルが含まれる。これらの要素は、すべて
当業者によく知られている。
【0042】 発現構築物は、さらに、コードされたrHuAFPの発現レベルを増大させるイント
ロンを含んでもよい。そのイントロンは、転写開始部位と翻訳開始コドンの間、
翻訳終止コドンの3'側、またはrHuAFPコード領域の中に置くことができる。イン
トロンは、5'-スプライス部位(すなわち供与部位)、3'-スプライス部位(すな
わち受容部位)、および好ましくは、その2つの部位の間に少なくとも100個のヌ
クレオチドを含むのがよい。当業者に公知の、外来性導入遺伝子の発現を増加さ
せるための任意のイントロン(たとえば、SV40スモール t イントロンまたはキ
メラのイントロン、たとえばpEDにおけるイントロン(Kaufmanら、Nuc. Acids Re
s. 19:4485〜4490、1991)があり、これはアデノウイルス主要後期mRNAの第一リ
ーダーからの5'-スプライス部位およびイムノグロブリン遺伝子からの3'-スプラ
イス部位とからなっている)またはβ-グロビンイントロンからの5'-スプライス
部位およびIgGイントロンからの3'-スプライス部位とからなるpCI-neo(Promega
、Madison、WI; カタログ番号:E1841)におけるイントロンを使用してもよい。
【0043】 rHuAFP発現構築物は、ウイルス由来のベクターなどの環状プラスミドまたは他
のベクターの中に保有されていてもよい。ベクターは、原核細胞および真核細胞
においてその増殖を促進する付加的配列、例として、薬剤選択マーカー(たとえ
ば、大腸菌におけるアンピシリン耐性、または哺乳動物細胞におけるG-418、ピ
ューロマイシン、メトトレキセート、またはメチオニンスルフォキサミンへの耐
性に関する)および複製起点(たとえば、原核細胞における複製のためのcolE1
、およびEBNA-1を発現する哺乳動物細胞における複製のためのエプスタインバー
ウイルスからのoriP、またはSV40ラージT抗原を発現する細胞のためのSV40複製
起点)を含んでもよい。
【0044】 培養された哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現のためのウイルスおよびプ
ラスミドの発現ベクターの例は、オースベルら(Ausubel)(「分子生物学の最新プ
ロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley and S
ons社、New York、NY、1997、pp.16.12.1-16.20-16およびA.5.23-A.5.30)によっ
て提供されている。
【0045】細胞への発現ベクターの導入 rHuAFP発現構築物は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質
導入、またはマイクロインジェクションによって標的細胞へ導入することができ
る。これらの技術を実施するための非常に多くの方法は、当業者によく知られて
いる。ウイルスによる形質導入のような高効率的な方法が用いられた時には、形
質導入された細胞は高い割合でその発現構築物を取り込んでいると考えられる。
そのような細胞によって発現されたrHuAFPは、選択段階を間に挟むことなく単離
することができる。しかしながら、たいていの場合、発現構築物を含む細胞を単
離するためには、細胞を少なくとも一つの選択段階にかけることが望ましいであ
ろう。
【0046】 選択は、発現構築物もしくはベクター、または同時導入されるベクターによっ
てコードされたマーカー遺伝子を発現していない細胞の増殖を抑制または殺す化
合物に細胞をさらすことにより行われる。一般的には、その選択により発現構築
物をゲノムDNAへ安定的に組込まれた細胞が生じる。rHuAFPの発現構築物のコピ
ー数を多く含む細胞は、増幅段階を行うことにより得ることができ、その段階に
おける細胞を選択薬剤の濃度を高くすることにより、よりいっそう大きな選択的
圧力の下に置く。その選択から出現する細胞は、その後クローニングシリンダー
を使ったり、または限界希釈によってクローン化することができる。クローン化
された細胞系におけるrHuAFPの発現レベルは、それから、イムノブロッティング
、ELISA、ノーザンハイブリダイゼーション、RNAドットブロッティング、または
逆転写PCR(RT-PCR)などの方法を使って測定することができる。
【0047】細胞 rHuAFP発現構築物を発現することができる任意の哺乳動物細胞系も、rHuAFP発
現細胞系を産出するために使うことができる。選択される細胞系は、使用される
発現ベクターの性質などの種々の因子およびベクターを細胞へ導入する方法に依
存するであろう。
【0048】 例として、SV40複製起点をもつrHuAFP発現ベクター(たとえばCDM8)から最大
限のrHuAFPレベルを得るためには、好ましくは、宿主細胞はSV40ラージT抗原を
発現するものがよく(たとえば、COS-7細胞)これは、このタンパク質は、SV40
複製起点を含むベクターの複製を高コピーにするためである(Ausubelら、前出)
【0049】 rHuAFP発現細胞の産出のために選ばれた選択マーカーはまた、使用される宿主
細胞の型の選択に影響を及ぼす。例としては、選択マーカーとしてDHFRを使って
rHuAFPの遺伝子増幅を最大限にするには、CHO-K1のようなDHFR欠損細胞系を使え
ば最も容易に達成される(Cockettら、Bio/Technology 8:662〜667、1990)。
【0050】 最大限のrHuAFP産生のための適切な細胞系の選択において、考慮すべき他の因
子としては、トランスフェクション/トランスダクションの容易さ、遺伝子の安
定性、および使用される培養条件下での増殖およびrHuAFPの発現能力である。例
として、懸濁培養において、増殖させるまたは容易に増殖へと適応させることが
できる細胞を使えば、rHuAFPの大量産生を容易にすることができる(Cockett、前
出)。
【0051】細胞溶解物または細胞培養培地からのAFPの精製 アフィニティクロマトグラフィー(Ausubelら、「分子生物学の最新プロトコー
ル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons、New Y
ork、NY、1998参照)またはタンパク質精製の分野の業者に公知の他の方法のよう
な標準的なタンパク質精製技術を用いて、細胞溶解物からまたはrHuAFP発現細胞
により馴化された培地から、rHuAFPを精製することができる。いったん単離すれ
ば、望ましい場合は、組換えタンパク質をたとえば高速液体クロマトグラフィー
(HPLC; たとえば、Fisher、「生化学および分子生物学の実験技術(Laboratory
Techniques In Biochemistry and Molecular Biology)」、WorkおよびBurdon編
、Elsevier、1980参照)によってさらに精製してもよい。好ましくは、精製は、
少なくとも50倍まで、より好ましくは少なくとも100倍まで、さらにより好まし
くは少なくとも500倍まで、さらにいっそう好ましくは少なくとも1000倍まで、
そして最も好ましくは少なくとも10,000倍までである。
【0052】細胞溶解物または馴化細胞培養培地から精製されたrHuAFPの利用 細胞溶解物または細胞培養培地から精製されたrHuAFPは、標準診断薬として(
たとえば、癌の存在や肝臓再生を示している可能性のある、成人のヒト血清中の
AFPの増加レベルの検出用)または治療薬として利用することができる。例とし
て、本発明の方法により産生されたrHuAFPは、癌細胞の増殖を抑制するため、骨
髄細胞増殖を引き起こすため(例として、骨髄移植後や化学療法のような骨髄に
有害な治療の施与の後)、または免疫抑制剤として(例として、全身性エリテマ
トーデス、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、重症性筋無力症、インスリン依存
性真性糖尿病の治療のため、または移植された臓器の拒絶を抑制するため)、哺
乳動物に投与することができる。
【0053】 細胞溶解物または細胞培養培地から精製されたrHuAFPは、単独または薬学的に
許容される担体もしくは希釈液で組み合わされた形の有効な量を、単独または他
の治療薬と組み合わされた形で、当業者には公知のいずれかの適切な手段、たと
えば、静脈注射で、経口で、筋肉注射で、または鼻腔内へ投与することができる
【0054】 一般的には、本明細書に記載された方法によって産生されたrHuAFPは、マルギ
ータら(Murgita)(米国特許第5,384,250号)によって記載されたように利用するこ
とができる。
【0055】実施例I:非分泌性rHuAFPの発現および精製 シグナル配列欠損のHuAFPをコードするDNA断片の発現ベクターへのクローニング 完全長HuAFPをコードするDNA断片は、発現ベクターpEE14(図1)へクローン化
される。pEE14(Celltech、Slough、U.K; Cockettら、Bio/Technology 8:662〜66
7、1990)は、安定的細胞系の産出のための選択マーカーとして、SV40後期プロモ
ーターによって制御されるグルタミン合成酵素(GS)ミニジーンを含む発現ベクタ
ーである。ベクターpEE14は、EcoRIとBamHIの両方の制限酵素で消化され、その
結果生じる消化されたベクターは、製造会社の使用説明書にしたがい、ジーンク
リーン(Geneclean)(Bio 101、Vista、CA)を使って、0.6%アガロースゲルから単
離される。
【0056】 5'末端にEcoRI部位および3'末端にBamHI部位をもつ1789塩基対(bp)のrHuAFPを
コードするDNA断片(図2B;マルギータら(Murgita)(米国特許第5,384,250号)に
よって記載されたように構築)は、EcoRIおよびBamHI制限酵素でのプラスミドの
消化に続いて、ジーンクリーン(マルギータら(Murgita)記載、前出)を使ってp
HuAFPから回収される。rHuAFPコード配列は、消化されたpEE14ベクターへ、EcoR
IとBamHIの方向にhCMV-MIEプロモーター-エンハンサーの制御下で、挿入される
。DH5-α形質転換細胞からのプラスミドミニプレップは、制限酵素分析によりrH
uAFP挿入を含むベクターを選別する。rHuAFPコード配列を含む陽性のクローンが
同定され、プラスミドDNAは、QIAプレップミニプレップキット(QIAprep Minipre
p kit)(QIAGEN; Los Angeles、CA)を使って単離され、-20℃で保存される。
【0057】 HuAFPを発現する安定的にトランスフェクションされたCHO-K1細胞の産生 CHO-K1細胞(ATCC番号:CCL61)は、10%FCSを含む完全グラスゴー改変イーグル培
地(GMEM-10)(Gibco BRL、Gaithersburg、MA)において維持される。トランスフェ
クションの前日に、細胞をトリプシン処理をして、100mmのペトリ皿へ、皿につ
き約10細胞の割合でまく。細胞は、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ア
ミノエタンスルホン酸)で形成されたリン酸カルシウム-DNA沈殿を使って、ペト
リ皿につきrHuAFPをコードするプラスミドが10μgの割合でトランスフェクショ
ンさせる。簡単に説明すれば、プラスミドを0.25M CaCl500μlと混合する。
2X BES 500μlを添加し、混合し、室温で10分〜20分培養する。リン酸カルシウ
ム-DNA溶液は、培地を含むプレート上へ滴状に加える。プレートは、その後、35
℃で、3%COインキュベーターに24時間置いておく。
【0058】 24時間後、培地は、rHuAFP発現プラスミドを含む細胞の選択のために使われる
、L-メチオニンスルホキシミン(MSX; Sigma、St. Louis、MO)を最終濃度が25μM
になるように含む新鮮な完全GMEM-10からなる選択培地と取り替える。4〜5日後
、選択培地は補給する。この行程を次の2週間の間、MSX耐性のコロニーが現れる
まで繰り返す。MSX耐性コロニーはクローニングシリンダーを使って単離され、
そしておのおののコロニーは、100μmMと1mMの間の範囲の、MSXのいろいろな濃
度をもつ新鮮な選択培地を含むペトリ皿にまく。ペトリ皿は、10日〜14日間培養
され、その間、培地はたった一度のみ交換する。この期間後、MSXの最高濃度で
生存しているコロニーを単離し、おのおののコロニーを別々のペトリ皿に広げる
。細胞が集密的に達したら、rHuAFPの存在をイムノブロット分析により測定する
。rHuAFPを最高レベルで産生するそれらの細胞系は、rHuAFPの大量産生のために
選ばれる。
【0059】 安定的にトランスフェクションされたCHO-K1細胞からのrHuAFPの発現および精製 安定的にトランスフェクションされたCHO-K1細胞は、MSXを含むGMEM-10におい
て増殖する。細胞は、150cmの組織フラスコへ、密度がフラスコにつき10
胞になるように播種し、集菌の前に100%集密的になるまで増殖させる。培地をフ
ラスコから取り出し、細胞は、PBSで2回洗浄、そして、5mlの溶解緩衝液(25mM
トリス-HCl、pH 7.6、0.15M NaCl、1% トリトン X-100、10% グリセロール、50m
M NaF、1mM フッ化フェニルメチルスルホン酸、および1μg/ml アプロチニン)で
溶解させる。その結果生じる懸濁液をフラスコから取り出し、穏やかに超音波処
理する。溶解物は、7500 Xg、15分間遠心分離により清澄化させ、そして、20mM
トリス-HCl、pH 8.0に対して透析する。rHuAFPの最終の精製は、透析された試料
を20mM トリス-HCl、pH 8.0で平衡化されたモノQカラム(Mono Q column)に通す
ことによって達成される。結合されたタンパク質は、0%〜100%(1M NaCl、20mM
トリス-HCl、pH 8.0)からの段階的勾配の間に溶離する。rHuAFPを含む画分は、E
LISAまたはイムノブロッティングを使って確認される。
【0060】実施例II:分泌性rHuAFPの発現および精製 シグナル配列を含むHuAFP断片の発現ベクターへのクローニング 完全長AFPのコード配列およびそのシグナル配列は、発現ベクターpEE14(Cellt
ech)(図1)へクローン化される。pEE14は、実施例Iで記載されたように調製され
る。rHuAFP前駆体タンパク質(シグナルペプチドに先導されるrHuAFP)をコード
するDNA断片は、鋳型としてプラスミドpLHuAFP(Murgita、前出;図1A)、および
分泌シグナルを含むHuAFP前駆体をコードするDNA部分をPCR増幅するための次に
示すオリゴヌクレオチドプライマー:NH(5'-AAA GAA TTC ATG AAG TGG GTG GAA
-3')およびCOOH(5'-AAA GGA TCC TTA AAC TCC CAA AGC-3')を使って産出される
。各PCR反応は、34μlのHO、10μlの10X 反応緩衝液、20μlの1mM dNTPs、2μ
lの鋳型DNA、10μlの10pmol/μl 5'-プライマー、10μlの10pmol/μl 3'-プライ
マー、1μlのグリセロール、10μlのDMSO、および1μl Pfu DNAポリメラーゼを
含む。アニーリング、伸長、および変性の温度は、50℃、72℃、および94℃で、
それぞれ30サイクル、ジーンアンプPCRシステム9600(Gene Amp PCR System9600)
(Perkin-Elmer、Norwalk、CN)を使って行う。PCR反応から得られた1840 bpのDNA
断片は、0.7% TAEアガロースゲルからその断片を単離することにより精製され、
続いて、ジーンクリーン(Geneclean)を使ってゲル抽出を行う。PCR増幅産物は、
それからEcoRIおよびBamHIで消化され、実施例Iに記載されたようにベクターpEE
14へ挿入される。分泌性rHuAFPを発現する安定的にトランスフェクションされた
クローンは実施例Iに記載されたようにして得られる。
【0061】 安定的にトランスフェクションされたCHO-K1細胞により馴化された培地からの分
泌性rHuAFPの精製 CHO-K1細胞の安定形質発現体は、適当な濃度のMSX(実施例Iに記載されたよう
に決められる)を含むGMEM-10で増殖する。細胞は、150cmの組織フラスコに、
密度がフラスコにつき10細胞になるように播種し、馴化培地から集菌する前に
100%集密的になるまで増殖させる。培地をフラスコから取り出し、1000 Xgで15
分間遠心分離することにより細胞を取り除く。rHuAFPを含む培地は、YM30 アミ
コン膜(Amicon membran)(Millipore、Bedford、MA)での限外ろ過により、10倍〜
20倍に濃縮され、20mM トリス-HCl、pH 8.0に対して一晩透析させる。rHuAFPの
最終の精製は、透析された試料を20mM トリス-HCl、pH 8.0に平衡化されたモノQ
カラム(Mono Q column)にかけることにより、達成される。結合されたタンパク
質は、0%〜100%(1M NaCl、20mM トリス-HCl、pH 8.0)からの段階的勾配の間に溶
離される。rHuAFPを含む画分は、ELISAまたはイムノブロッティングを使って確
認される。
【0062】他の態様 本明細書で記載された全ての出版物および特許出願は、それぞれ独立した出版
物または特許出願が明確にかつ個別的に参照として組み込まれていることを示す
場合と同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。
【0063】 本発明は、その特定の態様に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であ
り、本出願は、概して本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野において公
知または通常の実践の範囲内で生じる本開示からの変形を含む、本発明の任意の
変更、使用、または適用を包含するものであり、本明細書の前記に述べた本質的
特徴に適用されることが理解されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 pEE14GS発現ベクターの図である。
【図2A〜2B】 rHuAFPをコードするDNA断片の概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 セメニウク ダニエル アメリカ合衆国 ジョージア州 ロウレン スビル サウザンド オークス レーン 1860 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 DA02 EA04 FA02 FA18 GA11 HA15 4B064 AG01 CA10 CA19 CC24 CE10 DA01 4B065 AA91X AA93Y AB01 AC14 CA24 CA44

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)組換えヒトα-フェトプロテイン(rHuAFP)をコードする核
    酸配列、(ii)哺乳動物細胞において転写を誘導するプロモーターであって、哺乳
    動物細胞においてrHuAFPの発現を誘導するためにrHuAFPをコードする配列に利用
    可能に連結されているプロモーター、および(iii)該哺乳動物細胞による該rHuAF
    Pの分泌を可能にするタンパク質分泌シグナルをコードする異種リーダー配列を
    含む、実質的に純粋な核酸分子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の実質的に純粋な核酸分子を含むベクター。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の実質的に純粋な核酸分子を含む哺乳動物細胞
  4. 【請求項4】 実質的に純粋な核酸分子が哺乳動物細胞のゲノムへ安定的に
    組込まれている、請求項3記載の哺乳動物細胞。
  5. 【請求項5】 実質的に純粋な核酸分子が、哺乳動物細胞によってエピソー
    ムとして維持されているベクターの中に含まれている、請求項3記載の哺乳動物
    細胞。
  6. 【請求項6】 組換えヒトα-フェトプロテイン(rHuAFP)を産生する方法で
    あって、以下の段階を含む該方法: (a)(i)rHuAFPをコードする核酸配列と、(ii)哺乳動物細胞において転写を誘導
    するプロモーターであって、哺乳動物細胞においてrHuAFPの発現を誘導するため
    にrHuAFPをコードする配列に利用可能に連結されているプロモーターとを含む、
    DNA発現構築物を含む哺乳動物細胞を提供する段階; (b)該哺乳動物細胞がrHuAFPを発現するように該哺乳動物細胞を培養する段階
    ;および (c)該哺乳動物細胞によって産生されたrHuAFPを精製する段階。
  7. 【請求項7】 DNA発現構築物が哺乳動物細胞によるrHuAFPの分泌を可能に
    するタンパク質分泌シグナルをコードするリーダー配列をさらに含み、該rHuAFP
    が該哺乳動物細胞によって馴化された培地から得られる、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 リーダー配列が異種リーダー配列である、請求項7記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 DNA発現構築物が哺乳動物細胞のゲノムDNAへ安定的に組込ま
    れている、請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 DNA発現構築物が哺乳動物細胞によってエピソームとして
    維持されているベクターの中に保有されている、請求項6記載の方法。
  11. 【請求項11】 DNA発現構築物が細胞へ一過的にトランスフェクションさ
    れている、請求項6記載の方法。
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