JP2002523028A - 安定な低酸素誘導性因子1αおよび使用方法 - Google Patents

安定な低酸素誘導性因子1αおよび使用方法

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JP2002523028A JP2000565898A JP2000565898A JP2002523028A JP 2002523028 A JP2002523028 A JP 2002523028A JP 2000565898 A JP2000565898 A JP 2000565898A JP 2000565898 A JP2000565898 A JP 2000565898A JP 2002523028 A JP2002523028 A JP 2002523028A
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セメンザ,グレッグ,エル.
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ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン
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Abstract

(57)【要約】 実質的に精製された安定なヒト低酸素誘導性因子1α(sHIF-1α)タンパク質、および安定なヒト低酸素誘導性因子1αタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。sHIF-1αタンパク質または安定なHIF-1αタンパク質をコードする核酸を治療上有効な量で被験体へ投与することにより、該被験体の低酸素に伴う組織損傷を治療する方法を提供する。安定なヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1α)ポリペプチドまたは安定なヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1α)をコードするポリヌクレオチドを、低酸素または虚血に伴う組織損傷を有するまたは有する危険性のある患者へ投与するための製剤を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】米国連邦政府の支援下での研究についての供述 本発明の一部は、米国国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood
Institute)からの助成金(認可番号1R01-HL55338)を使用してなされたものであ
る。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】発明の分野 本発明は、一般的には低酸素誘導性DNA結合タンパク質に関し、具体的には、
低酸素条件下だけでなく非低酸素条件下でも安定となるように改変されたDNA結
合タンパク質に関する。
【0003】発明の背景 哺乳動物は、ATP形成時にO2が電子受容体として作用する酸化的リン酸化など
の必須の代謝過程のために酸素分子(O2)を必要とする。低酸素状態(O2の必要量
が供給量を上回る状態)により誘発される全身的、局所的、および細胞内ホメオ
スタシス応答としては、貧血の人または高地に住む人に見られる赤血球生成(Jel
kmann, Physiol. Rev. 72:449-489, 1992)、虚血性心筋における血管新生(White
ら, Circ. Res. 71:1490-1500, 1992)、および低O2圧下で培養された細胞におけ
る解糖(Wolfleら, Eur. J. Biochem. 135:405-412, 1983)が挙げられる。これら
の適応応答により、O2送達量の増大またはO2を必要としない別の代謝経路の活性
化が起こる。こうした応答に関与する低酸素誘導性遺伝子産物としては、エリス
ロポエチン(EPO)(Semenza, Hematol. Oncol. Clinics N. Amer. 8:863-884, 199
4に総説が記載されている)、血管内皮増殖因子(VEGF)(Shweikiら, Nature 359:8
43-845, 1992; Banaiら, Cardiovasc. Res. 28:1176-1179, 1994; Goldbergおよ
びSchneider, J. Biol. Chem. 269:4355-4359, 1994)、および解糖酵素(Firthら
, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6496-6500, 1994; Semenzaら, J. Biol. Che
m. 269:23757-23763, 1994)が挙げられる。
【0004】 低酸素状態に対する遺伝子的応答を仲介する分子機構に関する研究は、赤血球
生成(従って、血液のO2運搬能)を調節する増殖因子をコードするEPO遺伝子につ
いて広く行われてきた(Jelkmann,1992,前出; Semenza, 1994,前出)。低酸素状態
に応答して転写を活性化するのに必要なシス作用性DNA配列が、EPO 3'フランキ
ング領域中で同定され、エンハンサーに結合するトランス作用性因子である低酸
素誘導性因子1(HIF-1)は、EPO転写の生理的調節因子としての基準を満たしてい
た。特に、EPO発現のインデューサー(1%O2、塩化コバルト[CoCl2]、およびデ
スフェリオキサミン[DFX])によってもHIF-1DNA結合活性が誘導され、類似の動態
が認められた。さらに、EPO発現のインヒビター(アクチノマイシンD、シクロヘ
キシミド、および2-アミノプリン)ではHIF-1活性の誘導が阻害された。さらに、
EPO 3'フランキング領域に突然変異を発生させてHIF-1結合が起こらないように
しても、エンハンサー機能が失われた(Semenza, 1994,前出)。これらの結果は、
転写、翻訳、およびタンパク質リン酸化の開始に必要なシグナル伝達経路が低酸
素細胞中におけるHIF-1のDNA結合活性やEPO転写の誘発に関与していることを支
持している(Semenza, 1994,前出)。
【0005】 EPO発現は細胞型に特異的であるが、多くの哺乳類細胞系において、1%O2、C
oCl2、またはDFXによるHIF-1活性の誘導が検出された(WangおよびSemenza, Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 90:4304-4308, 1993)。EPOエンハンサーは、非EPO産生
細胞中にトランスフェクトされたリポーター遺伝子の低酸素誘発転写を指令した
(WangおよびSemenza, 1993,前出; Maxwellら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:
2423-2427, 1993)。いくつかの解糖酵素をコードするRNAは、EPO産生Hep3B細胞
またはEPO非産生HeLa細胞中において、1%O2、CoCl2、およびDFXにより誘導さ
れたが、シクロヘキシミドでは該RNAの誘導は阻止され、また、HIF-1結合部位を
含有する解糖遺伝子配列は、トランスフェクションアッセイにおいて低酸素誘発
転写を仲介した(Firthら, 1994,前出; Semenzaら, 1994,前出)。これらの実験は
、低酸素状態に対するホメオスタシス応答を活性化するHIF-1の役割を支持して
いる。
【0006】 低酸素誘導性因子1(HIF-1)は、生理学上該当する低酸素レベルに応答して単
独で発現される哺乳動物の転写因子である(Wang, G.L.ら, Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 92:5510-5514, 1995; Wang, G.L.およびSemenza, G.L., J. Biol. Chem
. 270:1230-1237, 1995;米国特許第5,882,914号)。HIF-1は、低酸素状態によっ
て誘導される遺伝子のシス作用性低酸素応答エレメントへ結合する基本的なヘリ
ックス・ループ・ヘリックスタンパク質である(Wang, G.L.およびSemenza, G.L.
, Curr. Opin. Hematol. 3:156-162, 1992; Jiang, B.H.ら, J. Biol. Chem. 2
72:19253-19260, 1997)。低酸素状態に曝された細胞中でHIF-1によって活性化さ
れる遺伝子としては、EPO、血管内皮成長ホルモン(VEGF)、ヘムオキシゲナーゼ
1、誘導性酸化窒素シンターゼ、および解糖酵素であるアルドラーゼA、エノラ
ーゼ1、乳酸デヒドロゲナーゼA、ホスホフルクトキナーゼI、およびホスホグ
リセリン酸キナーゼ1が挙げられる(Semenza, G.L.ら, Kid, Int. 51:553-555,
1997)。HIF-1のDNA結合活性とHIF-1タンパク質濃度は、細胞周囲のO2濃度が低下
するにつれて指数関数的に増加する(Jiang, B.H.ら, Am J. Physiol. 271:C1172
-C1180, 1996)。
【0007】 HIF-1はまた、低酸素細胞におけるVEGF遺伝子の転写を活性化する(Forsytheら
, 1996; Iyerら, 1998)。サイトメガロウイルス由来のプロモーターと、VEGF遺
伝子由来の低酸素応答エレメントを含むリポータープラスミドからのHIF-1αの
発現を可能にする条件下で、培養細胞をpCEP4/HIF-1αプラスミドでトランスフ
ェクトすると、非低酸素条件下の細胞ではリポーター遺伝子の発現が増加し、低
酸素条件下では無傷のHIF-1結合部位の有無に依存する劇的な誘導がさらに起こ
る(Forsytheら, 1996)。HIF-1αを発現しないノックアウトマウス由来の胚幹細
胞では、低酸素であってもVEGFのmRNAは発現されない(Iyerら, 1998)。
【0008】 HIF-1は、2つのサブユニットHIF-1αとHIF-1βからなるヘテロ二量体である
。HIF-1αサブユニットは、HIF-1に特有であるのに対し、芳香族炭化水素受容体
核トランスロケーター(ARNT)としても知られているHIF-1βは、他のタンパク質
と二量体化可能である。HIF-1αとHIF-1βのRNA濃度およびHIF-1αとHIF-1βの
ポリペプチド濃度は、低酸素条件に曝された細胞で増加する(Wiener, C.M.ら, B
iochem. Biophys. Res. Commun. 225:485-488, 1996; Yu, A.Y.ら, Am J. Physi
ol. 275:L818-L826, 1998)。
【0009】 HIF-1αの構造分析からは、二量体化にはHLHおよびPASと呼ばれる2つのドメ
インが必要であることが判明している。DNA結合は塩基性のドメインを介して行
われる(Semenza, G.L.ら, Kid. Int. 51:553-555, 1997)。HIF-1αには2つのト
ランス活性化ドメインが含まれ、アミノ酸531〜826の間に位置している。最小の
トランス活性化ドメインはアミノ酸残基531-575および786-826に存在する(Jiang
, B.H.ら, 1997,前出; Semenza, G.L.ら, 1997,前出)。HIF-1β(ARNT)との最適
なヘテロ二量体化とDNA結合にはアミノ酸1〜390が必要である。さらに、HIF-1
αのカルボキシ末端(アミノ酸391-826)を欠失させると、HIF-1の転写活性化能が
低下した。しかしながら、HIF-1α(1-390)は、非低酸素細胞よりも低酸素細胞中
の方がより高いレベルで発現した完全長HIF-1α(1-826)とは対照的に、低酸素細
胞および非低酸素細胞のいずれでも高レベルで発現した(Jiang, B.H.ら, J. Bio
l. Chem. 271:17771-17778, 1996)。従って、低酸素状態では、HIF-1αの活性に
対して以下の2つの独立した作用が認められる:(1)低酸素状態では、安定化(即
ち、分解を低減)させることによってHIF-1αタンパク質の定常状態レベルが上昇
し、(2)低酸素状態では、該タンパク質の特異的な転写活性が増大する(即ち、タ
ンパク質濃度とは無関係)。
【0010】発明の概要 本発明は、低酸素および非低酸素条件下で安定なHIF-1αポリペプチドのユニ
ークな変異体形態の発見と単離に基づくものである。本発明はさらに、HIF-1α
のDNA結合ドメイン、二量体化ドメインおよび異種トランス活性化ドメインを有
するキメラタンパク質を包含する。HIF-1α、HIF-2α(EPAS1、HLF、HRF、および
MOP2としても既知)およびHIF-3α(Gu, Y.Z.ら, Gene Expr. 7:205-213, 1998を
参照)との間には構造上および機能上の類似性があるという前提に立ち、例示の
目的でHIF-1αを記載するが、これらのHIF全てが本発明に包含されるものと理解
されたい。
【0011】 本発明の安定なHIF-1α(sHIF-1α)タンパク質は、以下の特性を有する。(1)sH
IF-1αは、HIF-1β(ARNT)との二量体化およびDNA上のHIF-1認識部位への結合を
仲介するHIF-1αの基本的なヘリックス・ループ・ヘリックス-PASドメイン、例
えば、元々はHIF-1の精製に使用されていたヒトEPO遺伝子由来の配列5’-TACGTG
CT-3’またはヒトVEGF遺伝子由来の配列5’-TACGTGGG-3’(Forsytheら, 1996;Se
menzaおよびWang, Mol. Cell. Biol. 12:5447-5454, 1992)を含む。(2)sHIF-1α
は、非低酸素条件下の細胞中における半減期を実質的に増加させることで、sHIF
-1αタンパク質がこのような条件下の野生型HIF-1αタンパク質よりも高レベル
で蓄積するような欠失またはアミノ酸置換を含む。このような作用をもたらす欠
失および/またはアミノ酸置換は様々なものが数多く存在し、多数の例を挙げる
ことができるがこれらに限定されない。(3)sHIF-1αは、HIF-1αまたは他の真核
生物もしくはウイルス由来の転写因子に由来する1つ以上の転写活性化ドメイン
を含む。使用する活性化ドメインに応じて、酸素濃度によってsHIF-1αの転写活
性を調節したり、酸素濃度に関係なくsHIF-1αを構成的に活性状態にすることが
可能である。sHIF-1αを介することにより、HIF-1によって通常は調節される低
酸素誘導性遺伝子の転写が増加する。
【0012】 実施形態の1つでは、本発明は、キメラ・トランスアクチベーターである安定
なHIF-1αタンパク質をコードする単離された核酸配列を包含する。このキメラ
・トランスアクチベーターには、a)低酸素誘導性因子(例えば、HIF-1α、HIF-2
αまたはHIF-3α)のDNA結合ドメインと二量体化ドメインをコードするヌクレオ
チド配列、並びにb)転写活性化ドメインをコードするヌクレオチド配列が含まれ
る。本発明の好適な低酸素誘導性因子はHIF-1αである。
【0013】 別の実施形態では、本発明は、キメラではない安定なHIF-1αポリペプチドを
提供する。このようなポリペプチドとしては、配列番号1のHIF-1αアミノ酸残
基1-391および521-826、配列番号1のアミノ酸残基1-391および549-826、配列番
号1のアミノ酸残基1-391および576-826、配列番号1のアミノ酸残基1-391およ
び429-826(但し、551はセリンではなく、552はトレオニン以外である)、配列番
号1のアミノ酸残基1-391および469-826(但し、551はセリンではなく、552はト
レオニン以外である)、配列番号1のアミノ酸残基1-391および494-826(但し、55
1はセリンではなく、552はトレオニン以外である)、配列番号1のアミノ酸残基1
-391および508-826(但し、551はセリンではなく、552はトレオニン以外である)
、配列番号1のアミノ酸残基1-391および512-826(但し、551はセリンではなく、
552はトレオニン以外である)、並びに配列番号1のアミノ酸残基1-391および517
-826(但し、551はセリンではなく、552はトレオニン以外である)が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0014】 本発明はさらに、低酸素条件下または非低酸素条件下において、細胞中で低酸
素誘導性因子を構成的に発現させる方法を提供する。この方法には、細胞と、本
明細書に記載のキメラ・トランスアクチベータータンパク質または本明細書に記
載の安定なHIF-1αをコードする核酸配列とを、該核酸配列の発現を可能にする
条件下で接触させ、低酸素誘導性因子を構成的に発現させることが含まれる。
【0015】 本発明はまた、細胞中における低酸素誘導性遺伝子の発現を増加させる方法を
提供する。この方法には、細胞と、本発明の安定なHIF-1αまたは本明細書に記
載のキメラ・トランスアクチベータータンパク質をコードするポリヌクレオチド
を含む発現ベクターとを、該ベクター中に含まれる核酸配列の発現を可能にする
条件下で接触させ、細胞中における低酸素誘導性遺伝子の発現を増加させること
が含まれる。このような遺伝子としては、例えばVEGFが挙げられる。
【0016】 さらに、本発明には、低酸素または虚血に伴う組織損傷を有するまたは有する
危険性のある被験体において、このような損傷を軽減する方法が含まれる。この
方法には、被験体へ、本明細書に記載のキメラ・トランスアクチベータータンパ
ク質または本明細書に記載の安定なHIF-1αをコードする核酸配列を治療上有効
な量で、製薬上許容し得る担体に含ませて投与し、組織損傷を軽減または予防ま
たは修復する遺伝子発現を誘発することが含まれる。sHIF-1αによって発現が誘
発されて治療効果を発揮する遺伝子産物の例としては、VEGF、血管新生に関わる
他のメディエーター、インスリン様増殖因子2(IGF-2)および細胞の生存を促進
する他の因子が挙げられる(Iyerら, 1998; Feldser, D.ら, Cancer Res. 59:391
5, 1999)。
【0017】 別の実施形態では、本発明は、組織に対する予防的治療を、このような治療を
必要とする被験体に行う方法を提供する。この方法には、被験体へ、本明細書に
記載のキメラ・トランスアクチベータータンパク質または本明細書に記載の安定
なHIF-1αをコードするポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドを、該ポ
リペプチドの投与前よりも高いレベルで血管新生が誘導されるような量で投与し
、予防的治療を行うことが含まれる。
【0018】 実施形態の1つでは、本発明は、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ
酸392〜428が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変
更され、アミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されている、
実質的に精製されたポリペプチドを提供する。特定の実施形態では、このような
ポリペプチド並びにこのようなポリペプチドに優先的に結合する抗体をコードす
る単離されたポリヌクレオチドも提供され、セリン551がグリシンへ変更され、
トレオニン552がアラニンへ変更されている。
【0019】 実施形態の1つでは、被験体へ、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ
酸392〜428が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変
更され、アミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されているポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドへ機能し得る形で連結された発現制御
配列を含むヌクレオチド配列を、治療上有効な量で投与することにより、該被験
体の低酸素に伴う組織損傷を治療する方法を提供する。
【0020】 別の実施形態では、本発明は、被験体へ、配列番号1に記載の配列を有するが
、アミノ酸392〜428が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミ
ノ酸へ変更され、アミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更され
ているポリペプチドを、治療上有効な量で投与することにより、該被験体の低酸
素に伴う組織損傷を治療する方法を提供する。
【0021】 さらなる実施形態では、本発明は、安定なヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1α
)ポリペプチドを、低酸素に伴う組織損傷を有する患者へ投与するための製剤を
提供する。この方法には、配列番号1記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428
が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、ア
ミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されている実質的に純粋
なポリペプチドと、製薬上許容し得る担体が含まれる。
【0022】 本発明はまた、安定なヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1α)をコードするポリ
ヌクレオチドを、低酸素に伴う組織損傷を有する患者へ投与するための製剤を提
供する。このような製剤には、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸39
2〜428が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更さ
れ、アミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されているポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドへ機能し得る形で連結された発現制御配列
を含む核酸配列の治療上有効な量と、製薬上許容し得る担体が含まれる。
【0023】詳細な説明 本明細書および特許請求の範囲で使用する単数形「a」および[the」には、特
に断らない限り複数のものも含まれる点に注意しなければならない。従って、例
えば、「a cell」の場合にはこのような細胞が複数含まれ、「the plasmid」の
場合には、1つ以上のプラスミドおよび当業者に公知の等価物等が含まれる。
【0024】 特に定義されない限り、本明細書中で使用する全ての技術用語および科学用語
は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されているのと同じ意味を有す
る。本明細書に記載されたものと類似または等価であれば、どのような方法、装
置および物質でも本発明の実施および試行に使用できるが、好適な方法、装置お
よび物質を以下に記載する。
【0025】 本明細書中に示す刊行物は全て、引用により全内容が本明細書に含まれるもの
とするが、これらの刊行物は、本明細書に記載する発明と併せて使用し得る該刊
行物に記載の細胞系、ベクターおよび方法論を説明および開示するためのもので
ある。上述の刊行物および本文中に見られる刊行物は、本出願の出願日以前の開
示をもたらすものに過ぎない。本明細書には、先行発明のためにこのような開示
に先行する権利が本発明者にないと認められるものについては、記載していない
【0026】 本発明は、実質的に純粋かつ安定な低酸素誘導性因子1(sHIF-1α)タンパク質
、即ち突然変異タンパク質を提供する。野生型の完全長HIF-1αは、非低酸素細
胞中では低酸素細胞に比べて低レベルで発現するのに対し(Wang, G.L.ら, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 92:5510-5514, 1995; Wang, G.L.およびSemenza, G.L.,
J. Biol. Chem. 270:1230-1237, 1995; Jiang, B.H.ら, J. Biol. Chem. 272:1
9253-19260, 1997,引用により本明細書に含まれるものとする)、sHIF-1αは、低
酸素条件下だけでなく非低酸素条件下でも安定である。野生型HIF-1αおよびsHI
F-1αは、HIF-1βとヘテロ二量体を形成し、DNA結合タンパク質である低酸素誘
導性因子1(HIF-1)(哺乳動物転写因子)を形成し得る点を特徴とする。HIF-1は、
エリスロポエチン(EPO)、血管内皮増殖因子(VEGF)、グルコース輸送体、および
解糖酵素をコードする遺伝子といった複数の遺伝子の転写を活性化する。
【0027】 本明細書中で使用する「突然変異タンパク質」という用語は、低酸素条件下ま
たは非低酸素条件下で安定なHIF-1αポリペプチドの変異体形態をいう。HIF-1α
ポリペプチドは、HIF-1βと二量体化するとDNA結合タンパク質となり、プロモー
ター領域にHIF-1結合部位が含まれる遺伝子の発現を活性化する点を特徴とする(
Semenza, G.L.ら, Kid, Int. 51:553-555, 1997; Iyer, N.V.ら, Genes Dev. 12
:149-162, 1998,いずれも引用により本明細書に含まれるものとする)。このよう
な構造遺伝子の例としては、エリスロポエチン(EPO)遺伝子、血管内皮成長ホル
モン(VEGF)遺伝子および解糖遺伝子が挙げられる。HIF-1αは、SDSポリアクリル
アミドゲル電気泳動を行うと120kDaの明確な分子量に泳動され、本質的に配列番
号1に記載のアミノ酸配列を有するものである。用語「HIF-1α」には、配列番
号1に記載のポリペプチドおよび該ポリペプチド配列の保存的変異が含まれる。
本明細書中で使用する「保存的変異体」という用語は、アミノ酸残基を生物学上
類似した別の残基で置換することを意味する。保存的変異の例としては、イソロ
イシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン等の疎水性残基どうしの置換、極性
残基どうしの置換、例えば、アルギニンによるリシンの置換、グルタミン酸によ
るアスパラギン酸の置換、またはグルタミンによるアスパラギンの置換等が挙げ
られる。好適な実施形態では、HIF-1αは、配列番号1に記載の配列を有する。H
IF-1αは、同時継続出願である米国特許出願第08/480,473号に詳細に記載されて
いる(引用により、本明細書に含まれるものとする)。
【0028】 一般に、突然変異タンパク質は、置換、挿入、および/または欠失等によって
天然の配列とは異なるアミノ酸配列を有するものである。突然変異タンパク質は
、最新のクローニング技術を用いることで容易に調製され、また、位置指定突然
変異誘発による固相法によって合成することもできる。突然変異タンパク質には
、ポリペプチドのドミナントネガティブ体が含まれていてもよい。
【0029】 本発明は、実質的に純粋かつ安定な低酸素誘導性因子1(sHIF-1α)突然変異タ
ンパク質を提供する。sHIF-1αポリペプチドは、配列番号1に記載の配列を有す
るが、アミノ酸392〜428が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意の
アミノ酸へ変更され、アミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更
されている。実施形態の1つでは、アミノ酸392〜428が配列番号1から欠失して
おり、アミノ酸551がセリンからグリシンへ変更されている。別の実施形態では
、アミノ酸392〜428が配列番号1から欠失しており、アミノ酸552がトレオニン
からアラニンへ変更されている。さらに別の実施形態では、アミノ酸392〜428が
配列番号1から欠失しており、アミノ酸551がセリンからグリシンへ変更され、
アミノ酸552がトレオニンからアラニンへ変更されている。
【0030】 理論に拘束されるわけではないが、HIF-1αの安定な発現にとって重要な、完
全長HIF-1αの2つの領域が同定されている。領域ABはアミノ酸392〜アミノ酸55
2付近に位置している。この領域内では、2つの配列AおよびBが同定されている
。特に、配列Aは配列番号1のアミノ酸392〜アミノ酸428であり、配列Bは配列番
号1のアミノ酸429〜552付近に位置する。領域Cは配列番号1のアミノ酸703〜ア
ミノ酸726付近に位置している。配列番号1における「突然変異」は、1つ以上
のアミノ酸の欠失、挿入、突然変異または置換を意味する。安定なHIF-1αは、
領域AおよびBの双方における突然変異または欠失によって構成可能である。ある
いは、安定なHIF-1αは、領域Cにおける欠失によって構成可能である。例えば、
領域AおよびBを欠失させてもよく、領域AおよびBに突然変異を発生させてもよく
、また、領域Aに突然変異を発生させ、かつ領域Bを欠失させてもよく、領域Aを
欠失させ、かつ領域Bに突然変異を発生させてもよく、あるいは、領域Cに突然変
異を発生させてもよく、また、領域Cを欠失させてもよい。限定するわけではな
いが、1つの例として、安定なHIF-1αを、配列番号1のアミノ酸392〜アミノ酸
520を欠失させることにより構成する。限定するわけではないが、別の例として
、安定なHIF-1αを、配列番号1のアミノ酸392〜428を欠失させ、かつアミノ酸5
51または552のいずれかの点突然変異を組み合わせるか、または、アミノ酸551お
よび552の双方の点突然変異を組み合わせることにより構成する。点突然変異は
、配列番号1のアミノ酸392〜アミノ酸428の欠失と組み合わせるか、または配列
番号1のアミノ酸392からアミノ酸429〜アミノ酸550のうちの任意のアミノ酸ま
での欠失と組み合わせることが可能である。
【0031】 限定するわけではないが、さらに別の例として、安定なHIF-1αを、配列番号
1のアミノ酸704〜アミノ酸826を欠失させることにより構成する。この欠失によ
ってトランス活性化ドメイン(アミノ酸786〜アミノ酸826)が除去されるため、生
物学的活性が失われる可能性がある。実施形態の1つでは、安定なHIF-1αは、
配列番号1のアミノ酸704〜アミノ酸826を欠失させ、アミノ酸704以降に異種ト
ランス活性化ドメインを付加することによって形成可能である。「異種」トラン
ス活性化ドメインは、HIF-1I以外のポリペプチドに由来するトランス活性化ド
メインである。実施形態の1つでは、異種トランス活性化ドメインの活性は、酸
素濃度の影響を受けない。限定するわけではないが、1つの例として、異種トラ
ンス活性化ドメインは、単純ヘルペスウイルス(HSVC)VP16タンパク質に由来する
(アミノ酸413-490)。この実施形態では、アミノ酸391〜704の欠失を、アミノ酸7
04〜アミノ酸826の欠失と組み合わせる。次いで、HSV VP126タンパク質由来のト
ランス活性化ドメインを、HIF-1αポリペプチドのアミノ酸1〜390へ融合させる
。さらに別の実施形態では、HIF-1α由来のトランス活性化ドメイン(アミノ酸78
6-826)をアミノ酸1-390へ融合させる(Jiangら, 1997)。sHIF-1α突然変異タンパ
ク質の形成にとって重要であると同定される領域の別の組み合わせも、当業者で
あれば容易に分かるであろう。
【0032】 安定なHIF-1αは、野生型のHIF-1αに比べて非低酸素条件下での半減期が長い
HIF-1αポリペプチドである。実施形態の1つでは、所定の細胞中で、sHIF-1α
は、低酸素条件下または非低酸素条件下のいずれにおいても同一の半減期を有し
、非低酸素条件に曝された細胞中でも低酸素条件に曝された細胞の場合と同一の
濃度で存在する。低酸素とは、組織に必要な酸素量が該組織に供給される酸素量
を超える状態である。用語「低酸素」および「非低酸素」は、特定の組織におい
て典型的に観察される酸素濃度に関する相対的な用語であると理解されたい。
【0033】 野生型HIF-1αの転写活性化能は、HIF-1αタンパク質の安定性に対しては無関
係な酸素濃度によって調節される(Jiangら, 1997,前出)。アミノ酸576-785に位
置するsHIF-1αの領域は負の調節ドメインであり、欠失させると、非低酸素条件
下での転写が増加する(Jiangら, J. Biol. Chem. 272:19253, 1997,引用により
本明細書に含まれるものとする)。従って、理論に拘束されるわけではないが、
この配列中の1つ以上のアミノ酸を欠失させて、該アミノ酸を結合に置き換える
と、タンパク質の半減期とは無関係に高い転写活性が得られる。従って、HIF-1
αのアミノ酸576-785の欠失を、アミノ酸392-428の欠失、アミノ酸551における
セリンからグリシンへの点突然変異、およびアミノ酸552におけるトレオニンか
らアラニンへの点突然変異と組み合わせて、安定なHIF-1αポリペプチドを得る
ことが可能である。HIF-1αのアミノ酸576〜アミノ酸785の欠失を、アミノ酸392
〜520の欠失と組み合わせて安定なHIF-1αポリペプチドを得ることも可能である
。あるいは、HIF-1αのアミノ酸576〜アミノ酸785の欠失を、アミノ酸704〜アミ
ノ酸826の欠失と組み合わせて(HIF-1αのアミノ酸576〜826を欠失させることに
なる)安定なHIF-1αポリペプチドを得ることも可能である。このような組み合わ
せは、当業者であれば容易に分かるであろう。
【0034】 本明細書中で使用する「実質的に純粋な」という用語は、他のタンパク質、脂
質、炭水化物または本来はHIF-1αと会合する他の物質を実質的に含まないHIF-1
αを意味する。当業者であれば、DNAアフィニティークロマトグラフィー(例えば
、Wang, G.L.およびSemenza, J., J. Biol. Chem. 270:1230-1237, 1995)や免疫
沈降法(例えば、Jiang, B.H.ら, J. Biol. Chem. 271:17771-17778, 1996)とい
ったタンパク質精製の標準的な技術を利用してHIF-1αを精製することが可能で
ある。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元ポリアクリルアミドゲル上で単一
のバンドを生じる。HIF-1αポリペプチドの純度は、アミノ末端アミノ酸配列分
析によって判定可能である。HIF-1αタンパク質には、非低酸素条件下でのsHIF-
1αの活性と安定性が維持される限り、該ポリペプチドの機能性断片も含まれる
。従って、より短いペプチドであってもsHIF-1αの生物学的活性を含むものであ
れば本発明に包含される。
【0035】 本発明は、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428が欠失して
おり、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、アミノ酸552が
トレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されているsHIF-1αポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド配列を提供する。このようなポリヌクレオチドには、
sHIF-1αをコードするDNA配列、cDNA配列およびRNA配列が含まれる。sHIF-1αを
完全にまたは一部コードするポリヌクレオチドも、低酸素条件および非低酸素条
件下で安定なHIF-1α活性を有するポリペプチドをコードする限り、全て本発明
に包含されるものと理解されたい。このようなポリヌクレオチドとしては、天然
のポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、および意図的に操作を行ったポリ
ヌクレオチドが挙げられる。例えば、sHIF-1αポリヌクレオチドに位置指定突然
変異誘発を行ってもよい。sHIF-1αのポリヌクレオチド配列にはアンチセンス配
列も含まれる。本発明のポリヌクレオチドには、遺伝暗号のために縮重した配列
が含まれる。20個の天然アミノ酸が存在するが、その大部分は2つ以上のコドン
で特定されている。従って、縮重ヌクレオチド配列は、該ヌクレオチド配列にコ
ードされているHIF-1αポリペプチドのアミノ酸配列が機能上変わらない限り、
全て本発明に包含される。
【0036】 sHIF-1αの一次アミノ酸配列に若干の改変を加えると、非低酸素条件下で安定
であって、かつ本明細書に記載のsHIF-1αポリペプチドと比較して実質的に等し
い活性を有するタンパク質を得ることができる。このような若干の改変としては
、異なる種から単離されたHIF-1αポリペプチド(例えば、ヒト、マウスおよびラ
ット由来のHIF-1αポリペプチド)の配列に見られる僅かな差異が挙げられる。こ
のようなタンパク質には、本発明のsHIF-1αの「アミノ酸配列を本質的に有する
」という用語で定義されるタンパク質が含まれる。このような改変は、位置指定
突然変異誘発のような意図的なものであってもよく、異なる種に見られるような
自発的なものであってもよい。これらの改変によって産生されるポリペプチドは
、sHIF-1αの生物学的活性が存続し、かつ該ポリペプチドが野生型のHIF-1αと
比べて非低酸素条件下で安定である限り、全て本発明に包含される。さらに、1
つ以上のアミノ酸を欠失させることによっても、生物学的活性を有意に変化させ
ることなく、得られる分子の構造を改変することができる。これにより、より広
範な有用性を有するより低分子量の活性分子を開発することが可能となる。例え
ば、sHIF-1αの生物学的活性にとって必要のないアミノ末端側またはカルボキシ
末端側のアミノ酸を除去することができる。
【0037】 本明細書中では、ヒトsHIF-1α突然変異タンパク質をコードするDNA配列を具
体的に開示する。本発明は、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392
〜428が欠失しており、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され
、アミノ酸552がトレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されている安定なHIF
-1α突然変異タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。野生型
のHIF-1αは、826アミノ酸長のポリペプチドをコードするオープンリーディング
フレームを含んでいる。配列番号1のアミノ酸551(セリン)を別のアミノ酸(例え
ば、グリシン)で置換するか、または配列番号1のアミノ酸552(トレオニン)を別
のアミノ酸(例えば、アラニン)で置換し、かつ配列番号1のアミノ酸392〜アミ
ノ酸429のうちの1つ以上のアミノ酸を結合で置換する場合には、該ポリヌクレ
オチドには、相当するアミノ酸数だけ長さの短いポリペプチドがコードされるこ
とになる。
【0038】 別の実施形態では、本発明は、sHIF-1αをコードするポリヌクレオチド並びに
sHIF-1αをコードするポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を提供する。用語「
ポリヌクレオチド」または「核酸配列」とは、少なくとも10塩基長のヌクレオチ
ド重合体のことである。単離されたポリヌクレオチドとは、誘導元である生物の
天然ゲノム中では5’末端および3’末端でそれぞれ隣接しているコード配列に隣
接していないポリヌクレオチドを意味する。従ってこの用語には、例えば、ベク
ター、自律複製プラスミドもしくはウイルス、または原核生物もしくは真核生物
のゲノムDNAへ組込まれる組換えDNA、あるいは他の配列とは独立した別個の分子
(例えば、cDNA)として存在する組換えDNAが含まれる。本発明のヌクレオチドは
リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または双方のヌクレオチドの改
変体であってよい。この用語には、DNAの一本鎖および二本鎖の形態が含まれる
【0039】 相補的な配列としてはアンチセンスヌクレオチドを挙げることができる。該配
列がRNAである場合には、sHIF-1αをコードするポリヌクレオチド中のデオキシ
ヌクレオチドA、G、CおよびTをリボヌクレオチドA、G、CおよびUでそれぞれ置き
換える。同様に、少なくとも15塩基長である上述の核酸配列の断片も本発明に包
含される。このような断片の長さは、sHIF-1αをコードする核酸(但し、配列番
号1ではない)へ生理学的条件下で該断片が選択的にハイブリダイズするのに十
分な長さである。具体的には、該断片は、sHIF-1αポリペプチドをコードする核
酸へ選択的にハイブリダイズするものでなければならない。用語「選択的にハイ
ブリダイズする」とは、関連性のないヌクレオチド配列を排除する中程度または
高度にストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションを意味する。
【0040】 核酸のハイブリダイゼーション反応では、特定のレベルのストリンジェンシー
を実現するのに使用される条件は、ハイブリダイズさせる核酸の性質に応じて変
わる。例えば、核酸のハイブリダイズ領域の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド
配列の組成(例えば、GC対AT含量)、および核酸の種類(例えば、RNA対DNA)は、ハ
イブリダイゼーション条件の選定時に考慮することができる。さらに、核酸の一
方がフィルター等の上に固定化されているか否かも考慮される。
【0041】 段階的に高くなるストリンジェンシー条件の例は以下の通りである:2×SSC
/0.1%SDS、ほぼ室温(ハイブリダイゼーション条件);0.2×SSC/0.1%SDS、ほ
ぼ室温(低度のストリンジェンシー条件);0.2×SSC/0.1%SDS、約42℃(中程度
のストリンジェンシー条件);および0.1×SSC、約68℃(高度のストリンジェンシ
ー条件)。洗浄は、これらの条件の1つだけ、例えば高度のストリンジェンシー
条件を使用して行ってもよく、各条件をそれぞれ、例えば10〜15分間ずつ上述し
た順番で使用してもよく、上記工程のいずれかまたは全てを繰り返してもよい。
しかしながら、上述したように、最適な条件は関与する特定のハイブリダイゼー
ション反応に応じて変動するため、実験によって決定すればよい。
【0042】 sHIF-1αに特異的なプローブを用いる場合には、sHIF-1α特異的プローブとの
結合に先立って核酸を増幅することが必要な場合がある。好ましくは、ポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)を利用するが、リガーゼ連鎖反応(LCR)、連結活性化転写(lig
ated activated transcription; LAT)および核酸配列に基づく増幅(NASBA)とい
った他の核酸増幅手法を利用してもよい。
【0043】 本発明のsHIF-1αポリヌクレオチドは、哺乳動物生物、最も好ましくはヒトか
ら誘導することができる。核酸ハイブリダイゼーションに基づくスクリーニング
手法では、適切なプローブを入手できれば、任意の遺伝子配列を任意の生物から
単離することが可能となる。問題のタンパク質をコードする配列の一部に対応す
るオリゴヌクレオチドプローブは、化学的に合成できる。このためには、アミノ
酸配列の短いオリゴペプチド領域が既知でなければならない。タンパク質をコー
ドするDNA配列は遺伝暗号から推測することが可能であるが、暗号の縮重を考慮
に入れなければならない。好適な実施形態では、該プローブはsHIF-1αと野生型
HIF-1αとを区別する(delimeate)ことができる。
【0044】 配列が縮重している場合には、混合付加反応を実施することが可能である。こ
れには、変性二本鎖DNAの不均質混合物が含まれる。このようなスクリーニング
に対しては、一本鎖DNAまたは変性二本鎖DNA上でハイブリダイゼーションを行う
のが好ましい。目的のポリペプチドに関連するmRNA配列が極めて少量しか存在し
ない起源に由来するcDNAクローンの検出には、ハイブリダイゼーションが特に有
用である。即ち、非特異的な結合を回避する目的でストリンジェントなハイブリ
ダイゼーション条件を使用すれば、例えば、標的DNAを、混合物中に含まれる完
全に相補的な単一のプローブへハイブリダイズさせることにより、特定のcDNAク
ローンをオートラジオグラフィーで可視化することが可能となる(Sambrookら, M
olecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版, Cold Spring Harbor Laborat
ory Press, Plainview, NY, 1998)。
【0045】 sHIF-1αをコードする特定のDNA配列も、配列番号1をコードする核酸配列に
位置指定突然変異誘発を行うか、またはDNA配列を化学的に作製することで目的
のポリペプチドに必要なコドンを付与することにより取得できる。所望のポリペ
プチド産物のアミノ酸残基の配列全体が既知の場合には、DNA配列の合成を選択
することが多い。
【0046】 sHIF-1αに特異的な抗体を用いることにより、ファージλgt11といったcDNA発
現ライブラリーを、少なくとも1つのエピトープを有するsHIF-1αペプチドにつ
いて間接的にスクリーニングすることができる。このような抗体は、ポリクロー
ナルまたはモノクローナルのいずれであってもよく、sHIF-1αcDNAの存在を示す
発現産物の検出に使用し得る。
【0047】 sHIF-1αをコードするDNA配列は、DNAを適切な宿主細胞へ導入することにより
in vitroで発現させることができる。「宿主細胞」は、ベクターが増殖可能であ
って、かつベクターのDNAを発現し得る細胞である。宿主細胞としては、原核細
胞および真核細胞の双方が挙げられる。この用語には、対象の宿主細胞の任意の
子孫が含まれる。複製の際に突然変異が生じる可能性があるため、全ての子孫が
親細胞と同一というわけではないことを理解されたい。しかしながら、用語「宿
主細胞」が使用される場合には、このような子孫も包含される。外来DNAを宿主
中で連続的に維持することを意味する恒常的な導入方法は、当該技術分野では公
知である。
【0048】 特定のsHIF-1αの「改変」体を遺伝子工学的に作製し、発現産物の安定性、生
物学的活性、産生、精製、または収率をさらに改善することが可能である。例え
ば、sHIF-1αと異種タンパク質とを含む融合タンパク質または切断性融合タンパ
ク質の発現を遺伝子工学的に行うことができる。このような融合タンパク質は、
アフィニティークロマトグラフィーによって、例えば、異種タンパク質に特異的
なカラム上へ固定化させることによって容易に単離可能である。切断部位がHIF-
1α部分と異種タンパク質との間に遺伝子工学的に作製されている場合には、切
断部位を消化する適切な酵素または薬剤での処理により、HIF-1αポリペプチド
をクロマトグラフィーカラムから放出させることが可能である(Boothら, Immuno
l. Lett. 19:65-708, 1988; Gardellaら, J. Biol. Chem. 265:15854-15859, 19
90)。
【0049】 本発明は、融合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供する。融合
タンパク質は、低酸素誘導性因子、好ましくはHIF-1αのDNA結合ドメインと二量
体化ドメインをコードするヌクレオチド配列、並びに転写活性化ドメインをコー
ドするヌクレオチド配列によってコードされる。この「キメラ」トランスアクチ
ベーターは、VEGF等の標的遺伝子の遺伝子発現および虚血性組織の血管新生に作
用させる際に有用である。低酸素誘導性因子のDNA結合ドメインと二量体化ドメ
インをコードするヌクレオチド配列は、周囲環境の酸素濃度に関係なく遺伝子を
構成的に活性化するのに有用である。本発明のキメラ・トランスアクチベーター
は、低酸素応答エレメント(HRE)を含む低酸素誘導性遺伝子の発現を特異的に活
性化し、高レベルの遺伝子発現を実現するものである。HREはHIF-1に対する結合
部位をそれぞれ含み、キメラ・トランスアクチベーターにはHIF-1α二量体化ド
メインとDNA結合ドメインが存在することから、HREはキメラ・トランスアクチベ
ーターによって認識される。本発明のキメラ・トランス活性化タンパク質は脊椎
動物細胞中で機能し、脊椎動物細胞等の真核細胞に由来する天然の転写トランス
活性化タンパク質またはそのドメイン、ウイルス性トランス活性化タンパク質、
または脊椎動物由来のプロモーターからの転写を刺激し得る任意の合成アミノ酸
配列を含んでいてもよい。
【0050】 キメラ・トランスアクチベーターのトランス活性化ドメインはトランス活性化
タンパク質から誘導され、例えば、HSV VP16、熱ショック因子、p53、fos、v-ju
n、因子EF-C、HIV tat、HPV E2、Ad E1A、Sp1、AP1、CTF/NF1、E2F1、HAP1、HAP
2、MCM1、PHO2、GAL4、GCN4、およびGAL11、およびNFκB並びにこのようなトラ
ンス活性化ドメインを有する他の異種タンパク質が挙げられるが、これらに限定
されない。当業者であれば、本発明の組成物に用いられる転写活性化ドメインが
、天然のタンパク質から形成し得、また、天然のタンパク質に含まれない配列等
に基づいて合成し得ることは理解できるであろう。トランス活性化ドメインの同
定は、タンパク質に由来する所望のドメインを適切な配列と機能し得る形で連結
し、リポーター配列の発現についてアッセイすることにより判定できる。
【0051】 本発明のキメラ・トランスアクチベータータンパク質をコードする組換え核酸
構築物は、適切なプロモーターおよび/または他の発現制御調節配列の制御下に
置くことが可能であり、また、このようなプロモーターおよび/または配列に「
機能し得る形で連結」することが可能である。トランスアクチベータータンパク
質は、構成的に活性なプロモーター配列の制御下に置かれるのが望ましいが、該
トランスアクチベータータンパク質は、メタロチオネインプロモーターまたは組
織特異的プロモーターといった誘導性プロモーターの制御下に置いてもよい。誘
導性プロモーターは、特定の遺伝子の発現の増加または低下を制御し得るもので
あり、一方、構成的発現は、例えば遺伝子産物を培養物中またはトランスジェニ
ック動物中で産生させる目的で、遺伝子の継続的な発現を可能にするものである
。有用な他のプロモーター配列としては、SV40初期プロモーター領域、RSVもし
くは他のレトロウイルスLTR、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、ヒトサ
イトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター/エンハンサーが挙げられるが、
これらに限定されない。この目的に使用されてきた他のプロモーターとしては、
エラスターゼ1遺伝子の制御領域、インスリン遺伝子の制御領域、免疫グロブリ
ン遺伝子の制御領域、マウス乳腺癌ウイルスの制御領域、アルブミン遺伝子の制
御領域、α-フェトプロテイン遺伝子の制御領域、α1-アンチトリプシン遺伝子
の制御領域およびβ-グロビン遺伝子の制御領域が挙げられる。
【0052】 HIF-1αのDNA結合ドメインおよび二量体化ドメインと、異種トランス活性化ド
メインとをコードする核酸配列は、各領域の構造上および機能上の活性(即ち、D
NA結合活性、二量体化活性、およびトランス活性化活性)が維持されるように機
能し得る形で連結される。図2および図3には、HIF-1αを様々に欠失させ、遺
伝子発現の調節に及ぼす作用を検討した結果を示す。図に示した結果と米国特許
第5,882,914号に基づくと、本発明のキメラ・トランスアクチベーターには、例
えば、配列番号1のHIF-1αアミノ酸1-703、配列番号1のアミノ酸1-681、配列
番号1のアミノ酸1-608、または配列番号1のアミノ酸1-391をコードするDNA結
合・二量体化領域が含まれる。
【0053】 本発明には、本明細書に記載のキメラ・トランスアクチベーターをコードする
核酸配列を含む発現ベクターも包含される。ベクターとしては、アデノウイルス
、AAV、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウ
イルス、レトロウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、ホスミ
ド(phosmid)、真菌ベクター、並びに真核宿主細胞および原核宿主細胞での発現
に使用され、かつ遺伝子治療用にin vivoで使用可能もしくは細胞培養等におい
てin vitroで使用可能な当該技術分野で公知の他のベクターが挙げられる。
【0054】 本発明の安定なHIF-1αタンパク質には、配列番号1のHIF-1αアミノ酸残基1-
391および521-826、配列番号1のアミノ酸残基1-391および549-826、配列番号1
のアミノ酸残基1-391および576-826、配列番号1のアミノ酸残基1-391および429
-826(但し、551はセリンではなく、552はトレオニン以外である)、配列番号1の
アミノ酸残基1-391および469-826(但し、551はセリンではなく、552はトレオニ
ン以外である)、配列番号1のアミノ酸残基1-391および494-826(但し、551はセ
リンではなく、552はトレオニン以外である)、配列番号1のアミノ酸残基1-391
および508-826(但し、551はセリンではなく、552はトレオニン以外である)、配
列番号1のアミノ酸残基1-391および512-826(但し、551はセリンではなく、552
はトレオニン以外である)、並びに配列番号1のアミノ酸残基1-391および517-82
6(但し、551はセリンではなく、552はトレオニン以外である)も含まれるが、こ
れらに限定されない。551のセリンが変更されている場合には、例えばアミノ酸
残基551はグリシンであってよい。さらに、552のトレオニンが変更されている場
合には、アミノ酸残基552はアラニンであってよい。こらのポリペプチド以外に
も、本発明には、このようなポリペプチドをコードする核酸配列と、このような
核酸配列を含む発現ベクターが包含される。
【0055】 当業者であれば、配列に起因する活性(例えば、構成的トランス活性化または
本明細書に記載したような安定なHIF-1αの特性)が保持される範囲内で、アミノ
酸残基またはヌクレオチドをそれぞれ欠失または付加することにより、本明細書
に記載のアミノ酸配列または核酸配列を操作し得ることを理解されたい。当業者
であれば、本明細書中の教示を利用してこのような活性についてアッセイを行う
ことが可能である(実施例参照)。
【0056】 本発明では、sHIF-1αポリヌクレオチド配列を発現ベクターへ挿入してもよい
。用語「発現ベクター」とは、sHIF-1αの遺伝子配列を挿入または組込んだプラ
スミド、ウイルス、または当該技術分野で公知の他のビヒクルのことをいう。sH
IF-1αをコードするポリヌクレオチド配列は、発現制御配列へ機能し得る形で連
結することができる。「機能し得る形で連結された」とは、このような記載の対
象となる成分どうしが、意図した方法で機能し得る関係にある近位を意味する。
コード配列へ機能し得る形で連結される発現制御配列は、該発現制御配列に適合
した条件下でコード配列の発現が起こるように連結する。本明細書中で使用する
「発現制御配列」という用語は、該配列が機能し得る形で連結した核酸配列の発
現を調節する核酸配列を意味する。発現制御配列によって核酸配列の転写および
場合によっては翻訳を制御かつ調節する場合には、該発現制御配列を該核酸配列
に機能し得る形で連結する。従って、発現制御配列は、適切なプロモーター、エ
ンハンサー、転写終結因子、タンパク質をコードする遺伝子の前に置かれる開始
コドン(即ち、ATG)、イントロンに対するスプライシングシグナル、mRNAを適切
に翻訳するための遺伝子の正しい読取り枠の維持、および終結コドンを含むこと
が可能である。用語「制御配列」には、その存在が発現に影響を及ぼす成分が最
低限含まれるものとし、その存在が有利である追加成分(例えば、リーダー配列
および融合パートナー配列)を含んでいてもよい。発現制御配列はプロモーター
を含んでいてもよい。
【0057】 「プロモーター」とは、転写を指令するのに十分な最小配列を意味するもので
ある。プロモーター依存性遺伝子発現を細胞型特異的もしくは組織特異的に制御
可能にする、または外部シグナルもしくは外部因子によって誘導可能にするのに
十分なプロモーターエレメントも本発明に包含される。このようなエレメントは
、遺伝子の5’または3’領域に位置していてもよい。構成的プロモーターおよび
誘導性プロモーターはいずれも本発明に包含される(例えば、Bitterら, Methods
in Enzymology 153:516-544, 1987を参照されたい)。例えば、細菌系でクロー
ニングを行う場合には、バクテリオファージγのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-la
cハイブリッドプロモーター)等の誘導性プロモーターを使用することができる。
哺乳動物細胞系でクローニングを行う場合には、哺乳動物細胞のゲノムから誘導
したプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーターもしくは延長因子1
αプロモーター)または哺乳動物ウイルスから誘導したプロモーター(例えば、レ
トロウイルスの長い末端反復配列、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニ
アウイルス7.5Kプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター)を使用する
ことができる。組換えDNAまたは合成技術によって作製したプロモーターを使用
して、本発明の核酸配列の転写を行うこともできる。
【0058】 本発明では、挿入された遺伝子配列を宿主中で効率的に転写するプロモーター
配列を含む発現ベクターへ、sHIF-1αをコードするポリヌクレオチドを挿入する
ことができる。発現ベクターは典型的には、複製起点、プロモーター、並びに形
質転換細胞の表現型選択を可能にする特定の遺伝子を含む。本発明での使用に適
したベクターとしては、細菌での発現に対してはT7系発現ベクター(Rosenbergら
, Gene 56:125, 1987)、哺乳動物細胞での発現に対してはpMSXND発現ベクター(L
eeおよびNathans, J. Biol. Chem. 263:3521, 1988)並びに昆虫細胞での発現に
対してはバキュロウイルス系ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
DNAセグメントは、調節エレメント、例えば、プロモーター(CMVプロモーター、T
7プロモーター、メタロチオネインIプロモーターまたはポリヘドリンプロモー
ター等)へ機能し得る形で連結された状態でベクター中に存在させることができ
る。
【0059】 組換えウイルスまたはウイルス性エレメントを利用して発現を指令する哺乳動
物発現系を遺伝子工学的に作製することが可能である。例えば、アデノウイルス
発現ベクターを使用する場合には、sHIF-1αのコード配列を、アデノウイルス転
写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーターおよび3連(tripartite)リーダ
ー配列または複製欠損性アデノウイルスへクローニングされた異種(例えば、CMV
)プロモーター)へ連結すればよい(Armentano, Dら, Hum. Gene Ther. 6:1343-13
53, 1995; Hehir, K.M.ら, J. Virol, 70:8459-8467, 1996)。あるいは、ワクシ
ニアウイルス7.5Kプロモーターを使用してもよい(例えば、Mackettら, Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 79:7415-7419, 1982; Mackettら, J. Virol. 49:857-864,
1984; Panicaliら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:4927-4931, 1982を参照さ
れたい)。ウシ乳頭腫ウイルス系のベクターは、染色体外エレメントとして複製
する能力を有する(Sarverら, Mol. Cell. Biol. 1:486, 1981)。この核酸配列が
マウス細胞へ侵入すると直ちに、プラスミドが細胞当たり約100〜200コピーまで
複製する。挿入されたcDNAの転写には、プラスミドの宿主染色体への組込みは必
要とされないため、高レベルの発現が実現する。これらのベクターは、例えばne
o遺伝子等の選択マーカーをプラスミドへ導入することにより安定な発現に使用
することができる。あるいは、sHIF-1α遺伝子の宿主細胞における発現を導入お
よび指令し得るベクターとして使用できるよう、レトロウイルスのゲノムを改変
することも可能である(ConeおよびMulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6
349-6353, 1984)。メタロチオネインIIAプロモーターおよび熱ショックプロモー
ター等(但し、これらに限定されない)の誘導性プロモーターを使用することでも
、高レベルの発現が実現可能である。
【0060】 使用するベクターに応じて、sHIF-1αをコードするポリヌクレオチド配列を、
原核生物または真核生物のいずれにおいても発現させることができる。宿主とし
ては、微生物、酵母、昆虫および哺乳動物といった生物を挙げることができる。
真核生物またはウイルス由来の配列を有するDNA配列を原核生物中で発現させる
方法は、当該技術分野で周知である。宿主中で発現および複製が可能な、生物学
上機能的なウイルスDNAベクターおよびプラスミドDNAベクターは、当該技術分野
で公知である。このようなベクターを使用して本発明のDNA配列を組込む。
【0061】 長期間にわたって高収率で組換えタンパク質を産生するためには、安定な発現
が好適である。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するよりも、適切
な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写終結
因子、ポリアデニル化部位等)によって制御されるsHIF-1αcDNAと選択マーカー
とで宿主細胞を形質転換してもよい。組換えプラスミドに含まれる選択マーカー
は、選択に対する耐性を付与し、かつプラスミドを安定して細胞の染色体へ組込
んで増殖させ、増殖巣を形成させるものである。次いで増殖巣をクローン化およ
び拡大増殖して細胞系を樹立することができる。例えば、外来核酸の導入に続い
て、遺伝子操作した細胞を強化倍地中で1〜2日間増殖させ、次いで選択培地へ
切り替える。いくつかの選択系を使用することができ、例えば、単純ヘルペスウ
イルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら, Cell 11:223, 1977)、ヒポキサンチ
ングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(SzybalskaおよびSzybalsk
i, Proc. Natl. Acad. Sci USA 48:2026, 1962)、並びにアデニンp-ホスホリボ
シルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyら, Cell 22:817, 1980)が挙げられるが、
これらに限定されない。これらの遺伝子は、tk-、hgprt-またはaprt-細胞にぞれ
ぞれ使用できる。さらに、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr遺伝子
(Wiglerら, Natl. Acad. Sci. USA 77:3567, 1980; O’Hareら, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 78:1527, 1981)、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt遺
伝子(MulliganおよびBerg, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072, 1981)、アミ
ノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo遺伝子(Colberre-Garapinら, J.
Mol. Biol. 150:1, 1981)、並びにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhyg
ro遺伝子(Santerreら, Gene 30:147, 1984)に対する選択の基準として、代謝拮
抗物質耐性を利用することも可能である。
【0062】 最近では、別の選択遺伝子、即ち、細胞にトリプトファンの代わりにインドール
を利用させるtrpB、細胞にヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用
させるhisD(HartmanおよびMulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8047, 19
88)、オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤である2-(ジフルオロメチル)-DL-オ
ルニチン(DFMO)に対する耐性を付与するODC(オルニチンデカルボキシラーゼ;Ma
cConlogue L., Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring H
arbor Laboratory編, 1987)も記載されている。
【0063】 「形質転換」とは、新規なDNA(即ち、細胞にとって外来性のDNA)を組込んだ後
に細胞中で誘導される遺伝的な変化を意味する。細胞が哺乳動物細胞である場合
には、DNAを該細胞のゲノムへ導入することにより遺伝的変化を実現する(即ち、
安定的)。
【0064】 「形質転換細胞」とは、組換えDNA技術によってsHIF-1αをコードするDNA分子
が導入された細胞またはその子孫を意味する。組換えDNAによる宿主細胞の形質
転換は、当業者に周知の従来慣用の技術によって行うことができる。宿主が大腸
菌等の原核生物である場合には、DNAの取込みが可能なコンピテント細胞を、対
数増殖期後に回収した細胞から調製し、次いで当該技術分野で周知の手順を用い
てCaCl2法によって処理する。あるいは、MgCl2またはRbClを使用してもよい。形
質転換は、必要に応じて宿主細胞のプロトプラストを形成した後に行うこともで
きる。
【0065】 宿主が真核生物である場合には、このようなリン酸カルシウム共沈物としてDN
Aをトランスフェクトする方法、慣用の機械的手法、例えば、マイクロインジェ
クション、エレクトロポレーション、リポソームへ封入したプラスミドの挿入、
またはウイルスベクターを利用することができる。真核細胞は、本発明のsHIF-1
αをコードするDNA配列と、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子等の選択可能
な表現型をコードする第2の外来DNA分子とで同時形質転換することもできる。
別の方法は、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、またはウシ乳頭腫ウ
イルスといった真核生物ウイルスベクターを使用して真核細胞を一過的に感染ま
たは形質転換し、タンパク質を発現させるものである(例えば、Eukaryotic Vira
l Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman編, 1982を参照)。
【0066】 微生物によって発現された本発明のポリペプチドまたはその断片の単離・精製
は、分取クロマトグラフィーやモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を
用いた免疫学的分離といった慣用の手段で行うことが可能である。
【0067】 本発明のHIF-1αポリペプチドを使用して、sHIF-1αポリペプチドのエピトー
プに対して免疫反応性であるか、または該エピトープへ選択的に結合する抗体を
産生することも可能である。sHIF-1αへ「選択的に結合する」抗体は、野生型の
HIF-1αへ結合するよりも高いアフィニティーでsHIF-1αへ結合する抗体である
。従って、本発明の抗体を使用して、野生型HIF-1αポリペプチドからsHIF-1α
突然変異タンパク質の存在を識別することが可能である。異なるエピトープ特異
性を有するモノクローナル抗体のプールから本質的になる抗体、並びに区別可能
なモノクローナル抗体調製物を提供する。モノクローナル抗体は、該タンパク質
の断片を含む抗原から当該技術分野で周知の方法によって作製する(Kohlerら, N
ature 256:495, 1975; Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編
, 1989)。
【0068】 本発明で使用する「抗体」という用語には、無傷の分子並びにエピトープ決定
基に結合可能なそのフラグメント(例えば、Fab、F(ab')2およびFv)が含まれる。
これらの抗体フラグメントは、その抗原または受容体へ選択的に結合する能力を
ある程度維持しており、以下のように定義される: (1)Fab、抗体分子の一価抗原結合フラグメントを含むフラグメントであって、
抗体全体を酵素パパインで消化して無傷の軽鎖と1本の重鎖の一部分を生成する
ことにより作製可能である; (2)Fab'、抗体全体をペプシンで処理し、次いで還元して無傷の軽鎖と重鎖の
一部分を生成することにより取得可能な抗体分子フラグメントであって、抗体分
子1個につき2つのFab'フラグメントが得られる; (3)(Fab')2、抗体全体を酵素ペプシンで処理するが、還元を行わないで取得可
能な抗体フラグメントであって、F(ab')2は、2つのFab'フラグメントが互いに
2つのジスルフィド結合によって繋がっている二量体である; (4)Fv、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含む遺伝子工学的に作製されるフ
ラグメントと定義され、二本鎖として発現される; (5)一本鎖抗体(「SCA」)、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含み、これらの可
変領域が遺伝子工学的に融合した一本鎖分子として適切なポリペプチドリンカー
によって連結している、遺伝子工学的に作製される分子と定義される。
【0069】 これらのフラグメントを作製する方法は当該技術分野で公知である。例えば、
HarlowおよびLane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor La
boratory, New York, 1988を参照されたい(引用により本明細書に含まれるもの
とする)。
【0070】 本発明で使用する「エピトープ」という用語は、抗体のパラトープが結合する
抗原上の任意の抗原決定基である。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸または
糖側鎖といった化学的に活性な分子の表面集団からなり、特定の3次元構造特性
並びに特定の電荷特性を有する。
【0071】 本発明のsHIF-1αポリペプチドへ選択的に結合する抗体は、無傷のポリペプチ
ドまたは目的の短鎖ペプチドを含む断片を免疫物質として用いることにより調製
可能である。動物を免疫するのに使用されるポリペプチドまたはペプチドは、cD
NAを翻訳したものから誘導するか、または化学的に合成することができ、必要で
あれば担体タンパク質へコンジュゲートさせてもよい。ペプチドへ化学的に結合
される通常使用されるこのような担体としては、キーホール・リンペットヘモシ
ニアン(KLH)、チログロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、および破傷風トキソ
イドが挙げられる。次いで、結合させたペプチドを用いて動物(例えば、マウス
、ラットまたはウサギ)を免疫する。
【0072】 必要であれば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を、例えば、該抗体
を生起したポリペプチドまたはペプチドを結合させたマトリックスへ結合させて
から溶離することにより、さらに精製してもよい。当業者であれば、免疫学の分
野で一般的な、ポリクローナル抗体並びにモノクローナル抗体を精製および/ま
たは濃縮するための各種技術が明らかであろう。例えば、Coliganら, Unit9, Cu
rrent Protocols in Immunology, Wiley Interscience, 1994を参照されたい(引
用により特に本明細書に含まれるものとする)。
【0073】 抗イディオタイプ技術を使用して、エピトープを模倣したモノクローナル抗体
を作製することもできる。例えば、第1のモノクローナル抗体に対して作製した
抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第1のモノクローナル抗体が結合する
エピトープの「イメージ(image)」である超可変領域に結合ドメインを有する。
【0074】 本発明では、sHIF-1αに特異的な抗体または核酸プローブを使用して、生物学
的液体、培養細胞または組織に含まれるsHIF-1αポリペプチドまたはポリヌクレ
オチドを検出することが可能である。sHIF-1αまたは核酸プローブに対して反応
性の抗体は、好ましくは、sHIF-1αへの結合の検出を可能にする化合物で標識す
る。検出し得る量の抗原またはポリヌクレオチドを含む標本であれば、使用する
ことができる。
【0075】 本発明は、低酸素または虚血に伴う組織損傷といったHIF-1介在型障害の治療
方法を提供する。該障害は、HIF-1の発現または活性をモジュレートすることに
より改善される。用語「モジュレートする」とは、必要に応じてHIF-1発現を誘
発または増加させることである。用語「改善する」とは、治療を受けている被験
体において付随する疾患の有害作用を減らすことをいう。HIF-1の発現または発
現増加が望ましい場合には、該治療方法は、実質的に精製されたsHIF-1αポリペ
プチドまたは該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することを含
む。
【0076】 本発明の方法によれば、実質的に精製されたsHIF-1α突然変異タンパク質また
は適切なベクターへ組込んだsHIF-1αをコードするポリヌクレオチド配列をヒト
患者へ導入し、低酸素/虚血に伴う組織損傷を治療または予防する。限定するわ
けではないが、例としては、冠状動脈疾患、大脳動脈疾患または末梢動脈疾患に
罹患した患者および1以上の難治性創傷を有する患者が挙げられる。
【0077】 本発明の方法および組成物の治療対象となる関連の臨床症状としては、脳循環
系、冠状動脈循環系または末梢循環系の疾患に起因する虚血が挙げられる。治療
目標の1つは、sHIF-1αを過剰発現させることにより、虚血組織における血管新
生を促進することである。sHIF-1αは、内在性のHIF-1βと二量体化して特定のD
NA配列へ結合し、HIF-1の標的遺伝子として知られている血管内皮増殖因子(VEGF
;J.A. Forsytheら, Mol Cell Biol 16:4604, 1996; N.V. Iyerら, Genes Dev 1
2:149, 1998)をコードする遺伝子といった(但し、これらに限定されない)血管新
生に関与する低酸素誘導性遺伝子の転写を活性化する。HIF-1αを使用する理論
的根拠は、HIF-1αが血管新生に関与する複数の遺伝子の発現を制御する転写因
子であるため、VEGF等の単一の血管新生因子での治療に比べて優れた臨床結果を
もたらすと考えられる点である。しかしながら、組織部位へのDNAの送達方法は
、送達すべき特定の遺伝子の性質によって左右されてはならない。さらに、冠状
動脈疾患に罹患した多くの患者は、安静時でも心筋血流量が低下したり低酸素症
を示すことはない。このような患者が心筋虚血に起因する狭心症の症状を経験す
るのは、活動中に心筋血流量の増加が必要となる場合に限られる。あるいは、痙
攣または血栓によって細い冠状血管が完全に閉塞してしまうと、心筋梗塞(心臓
発作)に至る可能性がある。従って、安定型のHIF-1αによる治療の目標は、心臓
発作を予防するため、治療時にたとえ低酸素症でなくても、このような患者に血
管新生を誘発することである。従って、本発明の安定なHIF-1α組成物は、治療
用の処置レジメだけでなく予防用の処置レジメも提供する。
【0078】 本発明は、低酸素に伴う障害を治療するためのsHIF-1αをコードするポリヌク
レオチドの導入を提供する。このような障害は、HIF-1αポリペプチドの発現に
よって改善される。このような治療では、sHIF-1αポリヌクレオチドを低酸素条
件に曝された細胞へ導入することで治療効果が達成される。従って、HIF-1αは
低酸素組織および周囲の非低酸素組織の双方で発現され、その結果、低酸素細胞
および非低酸素細胞に過剰に存在するHIF-1βと二量体化して下流の標的遺伝子
の転写を活性化することが可能となる。HIF-1によって活性化可能な遺伝子の例
としては、血管内皮増殖因子、グルコース輸送体、解糖酵素、およびインスリン
様増殖因子2が挙げられる。これらの遺伝子を介して血管新生および解糖といっ
た低酸素状態に対する重要な順応応答が導かれ、細胞死が防止される。
【0079】 以上のことに基づくと、本発明は、細胞中における低酸素誘導性遺伝子の発現
を増加させる方法を提供する。この方法には、細胞と、本発明の安定なHIF-1α
または本明細書に記載のキメラ・トランスアクチベータータンパク質をコードす
るポリヌクレオチドを含む発現ベクターとを、該ベクター中に含まれる核酸配列
の発現を可能にする条件下で接触させ、細胞中における低酸素誘導性遺伝子の発
現を増加させることが含まれる。このような遺伝子としては、例えば、VEGF、グ
ルコース輸送体、解糖酵素、IGF-2、IGF結合タンパク質等をコードする遺伝子が
挙げられる。
【0080】 本発明はさらに、低酸素または非低酸素条件下において、細胞中で低酸素誘導
性因子を構成的に発現させる方法を提供する。この方法には、細胞と、本明細書
に記載のキメラ・トランスアクチベータータンパク質または本明細書に記載の安
定なHIF-1αをコードする核酸配列とを、核酸配列の発現を可能にする条件下で
接触させ、低酸素誘導性因子を構成的に発現させることが含まれる。
【0081】 さらに、本発明には、低酸素または虚血に伴う組織損傷を有するまたは有する
危険性のある被験体において、このような損傷を軽減する方法が含まれる。この
方法には、被験体へ、本明細書に記載のキメラ・トランスアクチベータータンパ
ク質または本明細書に記載の安定なHIF-1αをコードする核酸配列を治療上有効
な量で、製薬上許容し得る担体に含ませて投与し、組織損傷を軽減することが含
まれる。
【0082】 別の実施形態では、本発明は、組織に対する予防的治療を、このような治療を
必要とする被験体に行う方法を提供する。この方法には、被験体へ、本明細書に
記載のキメラ・トランスアクチベータータンパク質または本明細書に記載の安定
なHIF-1αをコードするポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドを、該ポ
リペプチドの投与前よりも高いレベルで血管新生が誘導されるような量で投与し
、予防的治療を行うことが含まれる。
【0083】 ポリヌクレオチドの送達は、キメラウイルス等の組換え発現ベクターまたはコ
ロイド分散系を使用して行うことができる。配列を治療目的で送達するには、標
的化リポソームを用いるのが特に好適である。
【0084】 本明細書中で教示したような遺伝子治療に使用し得る各種ウイルスベクターと
しては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア
ウイルス、または好ましくは、レトロウイルス等のRNAウイルスが挙げられる。
好ましくは、レトロウイルスベクターはマウスまたはトリ・レトロウイルスから
誘導されたものである。単一の外来遺伝子を挿入し得るレトロウイルスベクター
の例としては、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベーマウス肉腫ウ
イルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)
が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、被験体がヒトである場合
には、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)等のベクターを使用する。他のレトロウ
イルスベクターのいくつかは、複数の遺伝子を取込むことが可能である。これら
のベクターは全て、選択マーカーの遺伝子を導入または取込んで、遺伝子導入を
受けた細胞を同定および作製し得るようにすることが可能である。目的のsHIF-1
α配列を、特定の標的細胞上の受容体に対するリガンド等をコードする別の遺伝
子と共にウイルスベクターへ挿入することにより、ベクターが標的特異的となる
。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質を付加す
ることで標的特異的にすることが可能である。好適な標的化は、抗体を用いてレ
トロウイルスベクターを標的化させることで達成される。当業者であれば、過度
の実験を行わずとも、レトロウイルスのゲノムへ挿入またはウイルスエンベロー
プへ付加することで、sHIF-1αポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクター
の標的特異的送達を可能にする特定のポリヌクレオチド配列が明らかであろう。
【0085】 組換えレトロウイルスには欠陥があるため、感染性のベクター粒子を産生する
ためには補助が必要である。このような補助は、例えば、LTR内の調節配列の制
御下でレトロウイルスの構造遺伝子を全てコードするプラスミドを含むヘルパー
細胞系を用いることで得られる。このようなプラスミドでは、パッケージング機
構によってRNA転写産物を認識して包膜を行うためのヌクレオチド配列が喪失し
ている。パッケージングシグナルを欠失しているヘルパー細胞系としては、例え
ば2、PA317およびPA12が挙げられるが、これらに限定されない。これらの細胞
系は、ゲノムがパッケージングされないため空のビリオンを産生する。パッケー
ジングシグナルは損なわれていないが、構造遺伝子が目的の他の遺伝子で置換さ
れている場合には、レトロウイルスベクターをこのような細胞へ導入すれば、ベ
クターがパッケージングされてベクタービリオンの産生が可能となる。
【0086】 あるいは、NIH 3T3または他の組織培養細胞を、慣用のリン酸カルシウムトラ
ンスフェクションによって、レトロウイルスの構造遺伝子gag、polおよびenvを
コードするプラスミドで直接トランスフェクトしてもよい。次いでこれらの細胞
を、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトする。このよう
にして得られた細胞は、レトロウイルスベクターを培養培地中へ放出する。
【0087】 HIF-1ポリヌクレオチドのための別の標的化送達系は、コロイド分散系である
。コロイド分散系としては、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア
、ビーズ、並びに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソーム
等の脂質をベースとする系が挙げられる。本発明の好適なコロイド系はリポソー
ムである。リポソームは、in vitroおよびin vivoにおける送達用ビヒクルとし
て有用な人工の膜小胞体である。大きさが0.2〜4.0μmの大型のユニラメラ小胞
体(LW)は、大型の巨大分子を含む水性緩衝液のかなりの割合を封入できることが
判明している。RNA、DNAおよび無傷のビリオンは水性の内部空間に封入でき、生
物学的に活性な状態で細胞へ送達できる(Fraleyら, Trends Biochem. Sci. 6:77
, 1981)。哺乳動物細胞以外にも、植物細胞、酵母細胞および細菌細胞における
ポリヌクレオチドの送達にリポソームが使用されている。リポソームが有効な遺
伝子導入ビヒクルとなるためには、以下の特性を示す必要がある:(1)高効率か
つ、目的の遺伝子の生物学的活性を損なわないように目的の遺伝子を封入する;
(2)非標的細胞と比較して標的細胞へ優先的かつ顕著に結合する;(3)小胞体の水
性内容物を標的細胞の細胞質へ効率よく送達する;並びに(4)遺伝情報を正確か
つ有効に発現させる(Manninoら, Biotechniques 6:682, 1988)。
【0088】 リポソームの組成は、通常リン脂質、特に相転移温度の高いリン脂質の組み合
わせであり、一般にステロール、特にコレステロールと併用される。他のリン脂
質または他の脂質を使用してもよい。リポソームの物理的特性はpH、イオン強度
、二価カチオンの有無に依存する。
【0089】 リポソームの調製に有用な脂質の例としては、ホスファチジル化合物、例えば
、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン
、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガン
グリオシドが挙げられる。特に有用な脂質は、脂質部分の炭素数が14〜18、特に
16〜18であり、かつ飽和しているジアシルホスファチジルグリセロールである。
代表的なリン脂質としては、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファ
チジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられる。
【0090】 リポソームの標的化は、解剖学上の要因および機械的な要因に基づいて分類で
きる。解剖学上の分類は選択性のレベルに基づくものであり、例えば、器官特異
的、細胞特異的および細胞小器官特異的な標的化に分類される。機械的な標的化
は、受動的か能動的かに基づいて分類できる。受動的な標的化では、リポソーム
本来の傾向を利用して、洞様毛細血管を含む器官の細網内皮系(RES)細胞へ分布
させる。一方、能動的な標的化では、天然の局在化部位以外の器官および細胞型
への標的化を達成するために、リポソームを特定のリガンド(例えば、モノクロ
ーナル抗体、糖、糖脂質またはタンパク質)へ結合させたり、また、リポソーム
の組成や大きさを変化させることによってリポソームを改変する。
【0091】 標的化送達系の表面は、様々に修飾することが可能である。リポソームを用い
た標的化送達系の場合には、標的化リガンドとリポソームの二重層とを安定な会
合状態に維持するために、脂質群をリポソームの脂質二重層へ組込むことができ
る。脂質鎖の標的化リガンドへの結合には、様々な連結基を使用することができ
る。
【0092】 sHIF-1αポリペプチドは治療を目的とした投与に使用できる。このような投与
では、ポリペプチドを滅菌しなければならない。滅菌は、膜(例えば、0.2ミクロ
ン)を用いた濾過滅菌によって容易に達成される。本発明の化合物は、熱および
酸化による変性に対して非常に安定であるため、通常は、密閉アンプルまたはバ
イアルといった単回または複数回投与用容器に水溶液として保存される。再調製
用の凍結乾燥製剤も許容可能である。該ポリペプチドは医薬組成物として投与さ
れる(下記参照)。
【0093】 本発明はまた、被験体へ、sHIF-1αを発現する細胞を治療上有効な量で投与す
ることによって、低酸素に伴う障害を有する該被験体を治療する方法を記載する
。本明細書中で使用する「治療上有効な」とは、疾患の症状を軽減する、または
低酸素に伴う障害を改善するのに十分な細胞の量をいう。このような有効量は、
生物学的に活性かつ安定なHIF-1αを、疾患/障害の1以上の症状を軽減する間
中発現させる量である。このような方法は、低酸素条件下または非低酸素条件下
の組織におけるHIF-1αおよび/または低酸素誘導性遺伝子の発現を増加または
持続させるのに有用である。
【0094】 上述した本発明の方法の好適な実施形態の一部では、sHIF-1αを局所(例えば
、損傷部内)および/または全身へ投与する。用語「局所投与」とは、身体の規
定の領域(例えば、難治性創傷)への送達をいい、用語「全身投与」とは、経口経
路、筋肉内注射、静脈内注射、動脈内注射、皮下注射または腹腔内注射による被
験体への送達を包含することを意味する。
【0095】 用語「製薬上許容し得る」とは、有効成分の生物学的活性の有効性を妨害しな
い非毒性の物質を意味する。用語「生理学上許容し得る」とは、細胞、細胞培養
物、組織または生物等の生体系に適合する非毒性の物質を意味する。
【0096】 本発明のsHIF-1α組成物は、生理学上および/または製薬上許容し得る担体と
組み合せれば、医薬組成物の一部として使用することが可能である。担体の特性
は、投与経路に依存する。このような組成物は、合成オリゴヌクレオチドの他に
、担体、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤および当該技術分野
で周知の他の物質を含んでいてもよい。本発明の医薬組成物はまた、発現を増強
するか、または血管新生の刺激を促進する他の活性因子および/または薬剤を含
んでいてもよい。例えば、sHIF-1αをVEGFと組み合せて本発明の医薬組成物に用
いることが可能である。
【0097】 本発明の医薬組成物はリポソームの形状であってもよく、その場合には、本発
明のsHIF-1α組成物を、他の製薬上許容し得る担体だけでなく、水溶液中で凝集
してミセル、不溶性単分子層、液晶またはラメラ層として存在する脂質等の両親
媒性物質と組み合せる。リポソーム製剤に適した脂質としては、モノグリセリド
、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等
が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な脂質担体の1つは、リポフ
ェクチンである。このようなリポソーム製剤の調製は、当該技術分野の技術レベ
ルの範囲内であり、例えば、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,
837,028号および同第4,737,323号に記載されている。本発明の医薬組成物はさら
に、核酸分子の細胞への送達を強化する、または高分子量物質を徐々に放出する
シクロデキストリン等の化合物を含んでいてもよい。
【0098】 治療上有効な量の本発明の組成物を、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、動
脈内注射、眼内注射、または腹腔内注射によって投与する場合には、該組成物は
、発熱物質を含まない非経口用途に許容し得る水溶液の状態である。このような
非経口用途に許容し得る溶液の調製は、pH、等張性、安定性等にもよるが、当該
技術分野の技術の範囲内である。静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注
射、または眼内注射に好適な医薬組成物は、sHIF-1α組成物以外にも、注射用生
理食塩水、リンゲル液、注射用デキストロース、注射用デキストロースおよび生
理食塩水、乳酸加リンゲル液、または当該技術分野で公知の他のビヒクルといっ
た等張性ビヒクルを含んでいなければならない。本発明の医薬組成物はまた、安
定化剤、保存剤、緩衝剤、酸化防止剤、または当業者に公知の他の添加剤を含ん
でいてもよい。
【0099】 本発明の医薬組成物に含まれるsHIF-1α組成物の量は、治療すべき症状の性質
および重篤度、並びに患者がこれまでに受けてきた治療の性質に依存する。最終
的には、主治医によって、治療を受ける個々の患者に対してsHIF-1α組成物の量
が決定されることになる。まず主治医は、低用量のsHIF-1α組成物を投与し、患
者の反応を観察する。患者にとって最適な治療効果が得られ、かつ投与量をこれ
以上増やせない点までsHIF-1α組成物の用量を増やしていけばよい。本発明の方
法を実施するのに使用する様々な医薬組成物は、体重または器官重量1kg当たり
約10μg〜約20mgのsHIF-1α組成物を含むはずである。
【0100】 本発明の医薬組成物を用いた静脈内治療の継続期間は、治療すべき疾患の重篤
度並びに個々の患者の症状および潜在的な特異体質反応に応じて変化する。最終
的には、主治医によって、本発明の医薬組成物を用いた静脈内治療の適切な継続
期間が決められることになる。
【0101】 細胞の軽質導入は、通常単離した細胞集団または細胞系を用いてin vitroで行
う。細胞は、異種、同種異系、同系または自己由来のものであってよく、有害な
免疫反応を低減するためには好ましくは自己由来のものである。細胞は、任意の
生理学上許容し得る媒体に浮遊させて通常は血管内へ投与することができるが、
血管周囲の組織または、細胞が拡大増殖と分化に適した部位を見るけるのに都合
のよい他の部位へ導入してもよい。「改善する」とは、治療を受けている患者に
おいて疾患または障害による有害作用を減らすことをいう。
【0102】 当該技術分野で公知の移植または埋め込み手法は、いずれも利用することがで
きる。例えば、選択された細胞または目的の細胞を、レシピエントまたは被験体
へ外科的に埋め込むことが可能である。移植または埋め込みは、典型的には、細
胞または組織被膜を傷つけずに、細胞の懸濁液を通過させるのに十分な内孔径を
有する皮下注射針を介した単純な注射によるものである。埋め込みの場合には、
一般にカプセル化または被覆した細胞を、製薬上許容し得る担体と共に医薬組成
物として製剤化する。このような組成物は十分な数の被覆移植細胞を含み、腹腔
鏡を介して被験体へ注入または投与することが可能である。一般には、少なくと
も約1×104〜1×105細胞を投与し、好ましくは1×106以上である。細胞は、
液体窒素温度で凍結させれば長期間保存が可能であり、解凍して使用することが
できる。解凍後、細胞を拡大増殖させればよい。さらに、細胞をカプセル化した
状態またはカプセル化していない状態で投与することも可能である。好ましくは
、細胞をカプセル化する。
【0103】 必要というわけではないが、移植前、移植と同時に、および/または移植後に
免疫抑制剤を細胞のレシピエントへ投与するのが望ましい場合がある。特に、sH
IF-1αを発現する異種細胞または同種異系細胞を用いる際には、免疫抑制剤を使
用することが可能である。シクロスポリンA(CsA)等の薬剤が好ましいが、ラパ
マイシン、desoxyspergualine、FK506といった他の免疫抑制剤を使用してもよい
。これらの薬剤を投与することにより被験体に免疫抑制効果が誘導され、その結
果、移植細胞が宿主の免疫系によって拒絶されなくなる。典型的には、移植処置
の間中、何日または何週間にもわたって免疫抑制剤を連続的に投与する。例えば
、CsAでの処置の場合には、約2日〜約20日間にわたって1日当たり体重1kgにつ
き約5〜40mgの投与量で投与する。該薬剤は様々な手段によって投与することが
でき、例えば、非経口投与、皮下投与、肺内投与、経口投与、鼻腔内投与が挙げ
られる。好ましくは、経口投与によって行う。
【0104】 HIF-1αを発現する細胞は、移植前にカプセル化してもよい。細胞は典型的に
はマイクロカプセルに封入されるが、様々なタイプの中空繊維またはカプセル化
材料からなるブロックへ封入してもよい。様々なマイクロカプセル化法およびマ
イクロカプセル化組成物が当該技術分野で公知である。移植療法に使用されるマ
クロカプセル化法のいくつかは、カプセル化組成物を供給するのにアルギン酸ポ
リマーまたはアガロースを使用する点に注目したものである。アルギン酸は、マ
ンヌロン酸残基とグルロン酸残基からなる直鎖状ポリマーであって、グルロン酸
ブロックを形成する複数の隣接し合うグルロン酸残基と、マンヌロン酸ブロック
を形成する隣接し合うマンヌロン酸残基がブロック状に配列しており、グルロン
酸残基とマンヌロン酸残基が交互に並んだ混合(即ち、不均一)ブロックが点在し
ている。一般に、一価カチオンのアルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)
は水溶性である。
【0105】 Ca++、Ba++またはSr++等の二価カチオンは、グルロン酸と相互作用する傾向が
あり、これらのカチオンがグルロン酸ブロック中で協同的に結合することで、安
定なイオン対合アルギン酸ゲルを形成する一次分子内架橋が生じる。アルギン酸
を用いたカプセル化法は、一般に、これらの二価カチオン溶液の存在下でのアル
ギン酸のゲル化を利用したものである。特に、このような方法では、カプセル化
すべき材料を一価カチオンのアルギン酸塩(例えば、ナトリウム塩)の溶液に懸濁
させた懸濁液を必要とする。次いで、この溶液の液滴を空気中で作製し、二価カ
チオン(例えば、CaCl2)の溶液中へ回収する。二価カチオンは、液滴-二価カチオ
ン溶液間の層転移時にアルギン酸と相互作用し、形成すべき安定なアルギン酸ゲ
ルマトリックスを形成する。アルギン酸の液滴は、いくつかの方法によって作製
されている。例えば、重力による流動を利用して、アルギン酸をチューブから二
価カチオンの溶液へ押出すことで液滴が作製されている。同様に、アルギン酸溶
液と二価カチオン溶液との間に発生する静電的な差を利用した静電液滴発生装置
も記載されている。静電的な差によって、アルギン酸溶液がチューブから二価カ
チオンの溶液へ押出される。層流空気流押出装置を利用してアルギン酸溶液流か
ら液滴を作製する方法も記載されている。具体的には、この装置には、外側スリ
ーブを備えたキャピラリーチューブが含まれる。空気を外側スリーブを通して送
り込み、ポリマー溶液を内部チューブを介して流量調節する。外側スリーブから
送り込んだ空気流によって、キャピラリーチューブから流れ出た流体を小さな液
滴に分割する(米国特許第5,286,495号を参照)。カプセル化工程における液滴作
製の一般的な記述については、例えば、M.F.A. Goosen, Fundamentals of Anima
l Cell Encapsulation and Immobilization,第6章,114〜142頁(CRC Press, 199
3)を参照されたい。
【0106】 器官組織を遺伝的に異なる宿主へ免疫抑制せずに移植する試みは、一般に、宿
主の免疫系のために成功することはない。そのため、マイクロカプセル化等によ
って他の有効な保護バリア被膜を付与することで移植片組織を宿主の免疫系から
隔離する試みがなされてきた。細胞または組織移植片を生着させるためには、通
常、宿主の免疫系による移植片の破壊を防止し、線維化を防止し、かつ透過性で
あって、被覆移植片への栄養分の自由拡散と被覆移植片からの分泌物および老廃
物の除去を可能にする被膜が必要である。ポリリシンで被覆されたアルギン酸カ
プセルにうまく固定化された組織および細胞は生存が可能であった(上記およびJ
. Pharm. Sci. 70:351-354, 1981参照)。ポリリシンと反応させたアルギン酸カ
ルシウムのカプセルに封入した移植片の開発は、例えば、米国特許第4,673,566
号、同第4,689,293号、同第4,789,550号、同第4,806,355号および同第4,789,550
号にも記載されている。米国特許第4,744,933号には、生物学的に活性な物質を
含む溶液を、アルギン酸とポリアミノ酸とを反応させた膜にカプセル化すること
が記載されている。米国特許第4,696,286号には、遺伝的に異なる個体への移植
に適した移植片の被覆方法が報告されている。この方法は、移植片の表面成分へ
化学的に結合する多官能性物質からなる表面適合結合性架橋(surface conformin
g bonding bridge)によって移植片を被覆するものであり、該移植片は、該結合
性架橋層へ化学的に結合するポリマーからなる半透性の生体適合性層に包まれた
状態となる。第2のアルギン酸ゲル被膜をポリリシン-アルギン酸で既に被覆さ
れた細胞へ導入する方法は、米国特許第5,227,298号に記載されている。この方
法の第1および第2の被覆はいずれも、ポリリシンで安定化させる必要がある。
【0107】 これらの材料の調製に適用されるカプセル化法は、カプセル化媒体と生物学的
物質からなる液滴を形成する手順と、カプセル化媒体を固体化させる手順から構
成されている。アガロースでカプセル化した材料は、Nilssonら, Nature 302:62
9-630(1983)およびNilssonら, Eur. J. Appl. Microbiol. Biotechnol. 17:319-
326(1983)に示されているように、生物学的物質を含むアガロースの液滴からな
るエマルジョンを冷却することで形成されている。生物学的物質を含むポリマー
の液滴を並行液体流等の冷媒へ注入することは、Ginら, J. Microencapsulation
4:329-242(1987)に報告されている。
【0108】 本発明は、被験体へ、本発明の組成物および製薬上許容し得る担体を含む医薬
組成物を治療上有効な用量で投与するものである。本発明の医薬組成物の「投与
」は、当業者に公知の任意の手段で行うことができる。
【0109】 医薬組成物は好ましくは、投与単位(dose unit)で調製・投与する。固体の投
与単位は錠剤、カプセル剤および坐剤である。患者を治療する場合には、化合物
の活性、投与方法、障害の性質および重篤度、患者の年齢および体重に応じて、
1日当たりの用量を変える必要がある。しかしながら、一定の条件下では1日当
たりの用量を高くも低くもできる。1日当たりの用量は、単回投与単位の剤形で
、でなければ用量の少ない複数回投与単位をまとめて単回投与してもよく、用量
を細分して特定の間隔で複数回投与してもよい。
【0110】 本発明の医薬組成物は、一般に、局所、経口、静脈内、または別の非経口経路
、またはインプラントとして投与されるが、直腸内用途も原則として可能である
。適切な固体または液体医薬調製物の剤形は、例えば、顆粒剤、粉剤、錠剤、コ
ーティング錠、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、クリ
ーム、エアゾール剤、点滴剤、またはアンプル剤形状の注射用溶液であり、活性
化合物を長期間放出する調製物であってもよい。該調製物中では、賦形剤および
添加剤および/または助剤、例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤
、滑沢剤、着香剤、甘味剤または可溶化剤を、上述したように慣例に従って使用
する。該医薬組成物は、多岐にわたるドラッグデリバリーシステムでの使用に適
している。本発明の方法を薬物送達に使用する場合の簡単な総説としては、Lang
er, Science, 249:1527-1533, 1990を参照されたい(引用により本明細書に含ま
れるものとする)。
【0111】 sHIF-1α突然変異タンパク質を送達する場合には、sHIF-1α突然変異タンパク
質を液体担体または微分割された固体担体またはその両者へ均一かつ十分に接触
させ、次いで必要であれば、生成物を所望の製剤へ成形することにより、製剤を
調製する。好ましくは、担体は非経口投与用の担体であり、より好ましくはレシ
ピエントの血液と等張な溶液である。このような担体ビヒクルの例としては、水
、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、5%ヒト血清アルブミンが挙
げられる。固定油およびオレイン酸エチルといった非水性ビヒクル、並びにリポ
ソームも本発明に有用である。一般には、このような担体は、等張性や化学的安
定性を強化する物質といった添加剤、例えば、緩衝剤や保存剤、並びに低分子量
(約10残基未満)のポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、グルコースまたはデキ
ストランを含む炭水化物、EDTA等のキレート化剤、または他の賦形剤を少量含ん
でいてもよい。
【0112】 本発明の組成物はまた、持続放出系よる投与にも適している。持続放出組成物
の適切な例としては、成形された半透性ポリマーマトリックス、例えば、フィル
ム、マイクロカプセルまたはマイクロスフェアが挙げられる。持続放出マトリッ
クスとしては、例えば、polyactide(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸
とエチル-L-グルタミン酸とのコポリマー(Sidmanら, Biopolymers 22:547-556,
1983)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。持続放出
組成物には、式Iで表される化合物の1種以上をリポソームへ組込んだものも含
まれる。このような組成物は、Epsteinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:368
8-3692, 1985に教示されているような、自体公知の方法によって調製される。通
常は、リポソームは小型(200〜800Å)のユニラメラ型であって、脂質含量は約30
モル%コレステロール以上であり、療法が最適化されるようにその割合を選択す
る。
【0113】 本発明の医薬組成物は、局所または全身へ投与可能である。「治療上有効な用
量」とは、障害およびその合併症の症状を予防または治療もしくは少なくとも部
分的に抑制するのに必要な本発明の化合物の量を意味する。この用途に有効な量
は、当然のことながら、疾患の重篤度、患者の体重および平常時の状態に依存す
る。典型的には、in vitroで使用される投与量は、医薬組成物をin situで投与
する際の有用な量を示す指標として有用であり、モデル動物を使用すれば、特定
の障害の治療に有効な投与量を決めることができる。例えば、Gilmanら編, Good
man And Gilman's: The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版, Perg
amon Press, 1990およびRemington's Pharmaceutical Sciences,第17版, Mack P
ublishing Co., Easton, Pa., 1990(これらはいずれも、引用により本明細書に
含まれるものとする)には、様々な考察が記載されている。
【0114】 本発明の安定なHIF-1α組成物およびキメラ・トランスアクチベーター組成物
は、例えば、米国特許第5,589,466号に記載の方法によって、むきだしのDNAの状
態でも送達可能である。
【0115】 以下の実施例は本発明の例示を意図としたものであり、本発明を限定するもの
ではない。以下の実施例は利用可能な実施例の典型であり、当業者に公知の他の
手順を代わりに使用することも可能である。
【0116】実施例1 構成的発現型HIF-1αの作製 GAL4 DNA結合ドメインとHIF-1αの残基531-826とを融合させた融合タンパク質
が、構成的に発現されるタンパク質であって、GAL4結合部位を含むリポーター遺
伝子の転写を活性化し得ることは既に示されている(Jiangら, J. Biol. Chem 27
2:19253, 1997; Pughら, J. Biol. Chem. 272:11205)。しかしながら、このよう
なGAL4/HIF-1α構築物は、HIF-1で調節される通常の標的遺伝子を活性化するも
のではない。裏を返せば、HIF-1αのアミノ酸1-390は、HIF-1αとHIF-1βとの二
量体化およびHIF-1αと標的DNA配列との結合に対しては十分であるものの、遺伝
子転写の最適な活性化に対しては不十分であると言える(Jiang, B.H.ら, J. Bio
l. Chem. 271:17771-17778, 1996;米国特許第5,882,914号)。
【0117】 構成的発現型HIF-1αを作製するために、2系列の欠失構築物を作製した。一
方の系列の構築物は、分子のカルボキシル末端(アミノ酸826)からアミノ末端側
へ向かって欠失させ、もう一方の系列の構築物は、アミノ酸392からカルボキシ
ル末端側へ向かって欠失させた。
【0118】 これらの構築物を各々、非低酸素条件下(20%O2)または低酸素条件下(1%O2)
にて哺乳動物細胞中で発現させ、内在性の完全長HIF-1αおよびトランスフェク
トした欠失型HIF-1αの発現を、アフィニティー精製を行った抗HIF-1α抗体を用
いた免疫ブロットアッセイによって定量した。これらの研究からは、内在性HIF-
1αの発現が調節されたことが判明した(1%O2下の細胞の方が20%O2下の細胞の
場合よりも多くのタンパク質が発現された)。さらに、この研究からは、C末端
からアミノ酸726までを欠失させても、O2濃度によるHIF-1αタンパク質発現の調
節に全く影響がなかったのに対し、アミノ酸703またはそれより先まで欠失させ
ると、調節が起こらなくなったことも判明した(即ち、構成的発現、図2参照)。
アミノ酸392から517までの内部欠失では発現に対する影響が見られなかったのに
対し、アミノ酸392〜アミノ酸521を欠失させると調節が起こらなくなった(図3
参照)。さらに、ミスセンス突然変異S551G/T552A(アミノ酸551におけるセリンか
らグリシンへの置換およびアミノ酸552におけるトレオニンからアラニンへの置
換)によって、ミスセンス突然変異を含まない場合には調節が認められた内部欠
失構築物(即ち、アミノ酸392からアミノ酸429〜517のうちの任意のアミノ酸まで
を欠失させた構築物)でも、調節が起こらなくなった。これらのミスセンス突然
変異単独では、完全長HIF-1αの発現調節が失われることはなかった(アミノ酸1-
826、図3参照)。
【0119】 これらの結果より、発現の調節に必要なHIF-1αの領域が2つ存在し、いずれ
かの領域を欠失させると発現が調節されなくなることが示唆された(図4参照)。
これらの領域の第1の領域は、領域ABである(アミノ酸392-552)。この内部領域
内では2つの配列(AおよびB)が同定され、いずれか一方の配列が存在すれば調節
に対して十分であることから、これらの配列は機能上重複すると考えられる。こ
れらの配列の一方(A)は392-428の欠失によって同定され、他方の配列(B)は392-5
20の欠失またはS551G/T552Aの点突然変異によって同定された。後者の結果より
、セリンおよび/またはトレオニン残基はリン酸化/脱リン酸化を受け、392-52
0を欠失させるとリン酸化/脱リン酸化が起こらなくなる可能性があることが示
唆された。セリン/トレオニン配列の喪失は低酸素状態によく似ていることから
、これらの結果より、セリン551および/またはトレオニン552の非低酸素条件下
におけるリン酸化並びに低酸素条件下における脱リン酸化が示唆される。AとBが
重複していることを勘案すると、ホスファターゼはA部位にも結合でき、近傍の
セリンまたはトレオニン残基を脱リン酸化すると考えられる。
【0120】 アミノ酸727〜826を含む欠失と比較したときの、アミノ酸704〜826を含む欠失
の異なる作用によって領域Cが同定される。領域Cの喪失は領域ABの喪失とは重複
しないため、この領域は、HIF-1αの安定性調節に関する別の機能に関与する可
能性がある。理論に拘束されるわけではないが、この領域は、ユビキチン化また
はタンパク質分解に関与する可能性がある。
【0121】 強力なトランス活性化ドメインはアミノ酸786〜826に位置している。その結果
、HIF-1α(アミノ酸1-703)は構成的に発現されるものの、完全長HIF-1αほど生
物学的に活性ではない。sHIF-1αの生物学的活性が完全長HIF-1αと比較して向
上しているか否かを判定するために、安定なHIF-1αである欠失/点突然変異体H
IF-1α(1-391/512-826/S551G/T552A)を用いて同時トランスフェクション実験を
行った。293細胞(図5参照)またはHep3B細胞(図6参照)のいずれかを、HIF-1結
合部位を含む低酸素応答エレメントを含むリポーター遺伝子と、(1)タンパク質
をコードしていない、(2)HIF-1α(1-826)をコードする、(3)HIF-1α(1-391/429-
826)(欠失のみ)をコードする、または(4)安定なHIF-1α(HIF-1αDP、1-391/512-
826/S551G/T552Aを含むsHIF-1α型)をコードする哺乳動物発現ベクターpCEP4(In
vitrogen)とで同時トランスフェクトした。内在性のHIF-1βはこれらの細胞中で
、HIF-1αの発現を遥かに上回るレベルで構成的に発現される。いずれの細胞型
とも、HIF-1αDP(sHIF-1α)によって、20%O2に曝された細胞中でのリポーター
遺伝子の発現が顕著に増加した。これは、生物学的に活性なHIF-1αがより高い
レベルで存在するためである(HIF-1αは通常1%O2下でしか発現しない点に留意
されたい)。これらの結果より、構成的に発現され、かつ生物学的に活性なHIF-1
α型が作製されたことが明らかである。
【0122】 現時点で好適な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の趣旨を
逸脱することなく各種の改変がなし得ることは理解されるべきである。従って、
本発明は特許請求の範囲によって限定されるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜Hは、野生型HIF-1αのアミノ酸配列(配列番号1)である。
【図2】 図2は、カルボキシル末端の欠失がHIF-1αの発現調節に及ぼす作用を解析し
たものである。
【図3】 図3は、内部欠失がHIF-1αポリペプチドの発現調節に及ぼす作用を解析した
ものである。図示した内部欠失を含むHIF-1αポリペプチドの酸素による調節を
「wt」の欄に示す。「+」はポリペプチドが調節されることを示し、従って非低
酸素条件下では不安定であることを示す。図示したHIF-1αの内部欠失の各々を
、2点突然変異(アミノ酸551におけるセリンからグリシンへの突然変異と残基55
2におけるトレオニンからアラニンへの突然変異)と組み合わせた。図示した内部
欠失と2点突然変異の双方を含むポリペプチドの酸素による調節を「mut」の欄
に示す。「+」はポリペプチドが調節されることを示し、従って非低酸素条件下
では不安定であることを示す。
【図4】 図4は、HIF-1αの発現調節のモデルを示す。欠失解析によってHIF-1αタンパ
ク質内に同定された推定調節配列を示す。ホスファターゼ、キナーゼまたはプロ
テアーゼ等の調節タンパク質との相互作用の可能性も併せて示す。
【図5】 図5は、(HIF-1結合部位を含む)低酸素応答エレメントを含むリポーター遺伝
子と、(1)タンパク質をコードしていない、(2)完全長HIF-1α(アミノ酸1-826)を
コードする、(3)HIF-1α(1-391/429-826、欠失のみ)をコードする、(4)HIF-1αD
P(欠失並びに、アミノ酸551におけるセリンからグリシンへの突然変異および残
基552におけるトレオニンからアラニンへの突然変異)をコードする発現ベクター
pCEP4とで、ヒト293細胞を同時トランスフェクトした際のルシフェラーゼ活性を
示す棒グラフである。1%O2(塗りつぶした棒)と20%O2(白抜きの棒)におけるリ
ポーター遺伝子の発現を示す。
【図6】 図6は、(HIF-1結合部位を含む)低酸素応答エレメントを含むリポーター遺伝
子と、(1)タンパク質をコードしていない、(2)HIF-1αをコードする、(3)HIF-1
α(1-391/429-826、欠失のみ)をコードする、(4)HIF-1αDP(欠失並びに、アミノ
酸551におけるセリンからグリシンへの突然変異および残基552におけるトレオニ
ンからアラニンへの突然変異)をコードする発現ベクターpCEP4とで、Hep3B細胞
を同時トランスフェクトした際のルシフェラーゼ活性を示す棒グラフである。1
%O2(塗りつぶした棒)と20%O2(白抜きの棒)におけるリポーター遺伝子の発現を
示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月9日(2001.5.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/02 C07K 16/18 4H045 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 A61K 35/76 5/10 C12P 21/08 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // A61K 35/76 A61K 37/02 C12P 21/08 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA02 CA05 CA07 DA01 DA02 DA05 DA11 DA12 EA02 EA04 FA02 GA11 GA25 HA01 HA17 4B064 AG01 AG27 CA10 CA19 CA20 CC01 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA58X AA72X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 BA16 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA13 BA07 BA22 BA23 CA01 CA18 CA53 DC50 MA24 NA14 ZA361 ZA891 4C087 AA01 BC83 CA12 MA24 NA14 ZA36 ZA89 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (61)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の群: 配列番号1のアミノ酸残基1-391および521-826、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および549-826、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および576-826、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および429-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および469-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および494-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および508-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および512-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、並びに 配列番号1のアミノ酸残基1-391および517-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 より選択されるポリペプチド。
  2. 【請求項2】 アミノ酸残基551がグリシンである、請求項1記載のポリペ
    プチド。
  3. 【請求項3】 アミノ酸残基552がアラニンである、請求項1記載のポリペ
    プチド。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のポリペプチドをコードする核酸配列。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の核酸配列を含んでなる発現ベクター。
  6. 【請求項6】 細胞中における低酸素誘導性遺伝子の発現を増加させる方法
    であって、細胞と請求項5記載の発現ベクターとを、該ベクター中に含まれる核
    酸配列の発現を可能にする条件下で接触させ、細胞中における低酸素誘導性遺伝
    子の発現を増加させることを含んでなる前記方法。
  7. 【請求項7】
  8. 【請求項8】
  9. 【請求項9】 請求項1記載の核酸配列を含んでなる発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の核酸配列に機能し得る形で連結された誘導
    性プロモーターまたは構成的プロモーターを含んでなる、請求項9記載の発現ベ
    クター。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8のいずれか一項に記載の核酸配列によってコ
    ードされる、生物学的に活性なキメラ・トランス活性化タンパク質。
  13. 【請求項13】 下記の群: 配列番号1のアミノ酸残基1-391および521-826、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および549-826、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および576-826、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および429-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および469-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および494-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および508-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 配列番号1のアミノ酸残基1-391および512-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、並びに 配列番号1のアミノ酸残基1-391および517-826(但し、551はセリンではなく、
    552はトレオニン以外である)、 より選択されるポリペプチド。
  14. 【請求項14】 アミノ酸残基551がグリシンである、請求項13記載のポ
    リペプチド。
  15. 【請求項15】 アミノ酸残基552がアラニンである、請求項13記載のポ
    リペプチド。
  16. 【請求項16】 請求項13記載のポリペプチドをコードする核酸配列。
  17. 【請求項17】 請求項13記載の核酸配列を含んでなる発現ベクター。
  18. 【請求項18】 細胞中における低酸素誘導性遺伝子の発現を増加させる方
    法であって、細胞と請求項9または17記載の発現ベクターとを、該ベクター中
    に含まれる核酸配列の発現を可能にする条件下で接触させ、細胞中における低酸
    素誘導性遺伝子の発現を増加させることを含んでなる前記方法。
  19. 【請求項19】 低酸素誘導性因子がHIF-1αである、請求項18記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 転写活性化ドメインが、HSV VP16、熱ショック因子、p53
    、fos、v-jun、因子EF-C、HIV tat、HPV E2、Ad E1A、Sp1、AP1、CTF/NF1、E2F1
    、HAP1、HAP2、MCM1、PHO2、GAL4、GCN4およびGAL11からなる群より選択される
    、請求項18記載の方法。
  21. 【請求項21】 細胞中で低酸素誘導性因子を構成的に発現させる方法であ
    って、細胞と請求項1または14記載の核酸配列とを、該核酸配列の発現を可能
    にする条件下で接触させ、低酸素誘導性因子を構成的に発現させることを含んで
    なる前記方法。
  22. 【請求項22】 低酸素または虚血に伴う組織損傷を有するまたは有する危
    険性のある被験体において、このような損傷を軽減または予防する方法であって
    、該被験体へ、製薬上許容し得る担体中の請求項1または14記載の核酸配列を
    治療上有効な量で投与し、組織損傷を軽減することを含んでなる前記方法。
  23. 【請求項23】 in vivoで投与を行う、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 ex vivoで投与を行う、請求項22記載の方法。
  25. 【請求項25】 低酸素または虚血に伴う組織損傷が、脳循環系、冠状動脈
    循環系または末梢循環系の障害に起因する、請求項22記載の方法。
  26. 【請求項26】 組織に対する予防的治療を、このような治療を必要とする
    被験体に行う方法であって、該被験体へ、請求項1記載のポリヌクレオチドによ
    ってコードされるポリペプチドまたは請求項13記載のポリペプチドを、該ポリ
    ペプチドの投与前よりも高いレベルで血管新生が誘導されるような量で投与し、
    予防的治療を行うことを含んでなる前記方法。
  27. 【請求項27】 被験体が、冠状動脈疾患の危険性にさらされている、請求
    項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 被験体が、虚血性組織損傷の危険性にさらされている、請
    求項26記載の方法。
  29. 【請求項29】 プロモーターが、メタロチオネインプロモーター、SV40初
    期プロモーター、レトロウイルスLTR、CMV前初期プロモーター、および組織特異
    的プロモーターからなる群より選択される、請求項10記載の発現ベクター。
  30. 【請求項30】 実質的に精製された安定型低酸素誘導性因子1α(HIF-1α
    )であって、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428が欠失して
    おり、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、アミノ酸552が
    トレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されている、前記安定型低酸素誘導性
    因子1α。
  31. 【請求項31】 アミノ酸551がグリシンである、請求項30記載の安定型
    低酸素誘導性因子1α。
  32. 【請求項32】 アミノ酸552がアラニンである、請求項30記載の安定型
    低酸素誘導性因子1α。
  33. 【請求項33】 アミノ酸576〜785またはその任意の部分の欠失をさらに含
    んでなる、請求項30記載の安定型低酸素誘導性因子1α。
  34. 【請求項34】 請求項30記載の安定型ヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1
    α)をコードするポリヌクレオチドを含んでなる核酸配列。
  35. 【請求項35】 機能し得る形で連結された発現制御配列をさらに含んでな
    る、請求項34記載の核酸。
  36. 【請求項36】 発現制御配列がプロモーターである、請求項35記載の核
    酸配列。
  37. 【請求項37】 プロモーターが組織特異的である、請求項36記載のポリ
    ヌクレオチド。
  38. 【請求項38】 請求項34記載のポリヌクレオチドを含んでなる発現ベク
    ター。
  39. 【請求項39】 プラスミドである、請求項38記載のベクター。
  40. 【請求項40】 ウイルスベクターである、請求項38記載のベクター。
  41. 【請求項41】 レトロウイルスベクターである、請求項40記載のベクタ
    ー。
  42. 【請求項42】 請求項38記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
  43. 【請求項43】 真核細胞である、請求項42記載の宿主細胞。
  44. 【請求項44】 原核細胞である、請求項42記載の宿主細胞。
  45. 【請求項45】 請求項30記載のポリペプチドと選択的に結合する抗体。
  46. 【請求項46】 モノクローナル抗体である、請求項45記載の抗体。
  47. 【請求項47】 ポリクローナル抗体である、請求項45記載の抗体。
  48. 【請求項48】 被験体の低酸素に伴う組織損傷を治療する方法であって、
    該被験体へ、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428が欠失して
    おり、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、アミノ酸552が
    トレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されているポリペプチドをコードする
    ポリヌクレオチドへ機能し得る形で連結された発現制御配列を含むヌクレオチド
    配列を、治療上有効な量で投与することを含んでなる前記方法。
  49. 【請求項49】 アミノ酸551がグリシンである、請求項48記載の方法。
  50. 【請求項50】 アミノ酸552がアラニンである、請求項48記載の方法。
  51. 【請求項51】 被験体の低酸素に伴う組織損傷を治療する方法であって、
    該被験体へ、配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428が欠失して
    おり、アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、アミノ酸552が
    トレオニンから他の任意のアミノ酸へ変更されているポリペプチドを、治療上有
    効な量で投与することを含んでなる前記方法。
  52. 【請求項52】 アミノ酸551がグリシンである、請求項51記載の方法。
  53. 【請求項53】 アミノ酸552がアラニンである、請求項51記載の方法。
  54. 【請求項54】 安定なヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1α)ポリペプチド
    を、低酸素に伴う組織損傷を有する患者へ投与するための製剤であって、 (a)配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428が欠失しており、
    アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、アミノ酸552がトレオ
    ニンから他の任意のアミノ酸へ変更されている実質的に純粋なポリペプチドの治
    療上有効な量、および (b)製薬上許容し得る担体 を含んでなる前記製剤。
  55. 【請求項55】 担体がリポソームである、請求項54記載の製剤。
  56. 【請求項56】 アミノ酸551がグリシンである、請求項54記載の製剤。
  57. 【請求項57】 アミノ酸552がアラニンである、請求項54記載の製剤。
  58. 【請求項58】 安定なヒト低酸素誘導性因子1α(HIF-1α)をコードする
    ポリヌクレオチドを、低酸素に伴う組織損傷を有する患者へ投与するための製剤
    であって、 (a)配列番号1に記載の配列を有するが、アミノ酸392〜428が欠失しており、
    アミノ酸551がセリンから他の任意のアミノ酸へ変更され、アミノ酸552がトレオ
    ニンから他の任意のアミノ酸へ変更されているポリペプチドをコードするポリヌ
    クレオチドへ機能し得る形で連結された発現制御配列を含む核酸配列の治療上有
    効な量、および (b)製薬上許容し得る担体 を含んでなる前記製剤。
  59. 【請求項59】 担体がリポソームである、請求項58記載の製剤。
  60. 【請求項60】 アミノ酸551がグリシンである、請求項58記載の製剤。
  61. 【請求項61】 アミノ酸552がアラニンである、請求項58記載の製剤。
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