JP2002504357A - Helios遺伝子 - Google Patents

Helios遺伝子

Info

Publication number
JP2002504357A
JP2002504357A JP2000533017A JP2000533017A JP2002504357A JP 2002504357 A JP2002504357 A JP 2002504357A JP 2000533017 A JP2000533017 A JP 2000533017A JP 2000533017 A JP2000533017 A JP 2000533017A JP 2002504357 A JP2002504357 A JP 2002504357A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
helios
polypeptide
cells
cell
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000533017A
Other languages
English (en)
Inventor
ゲオルゴプーラス コティーア
エイ.モーガン ブルース
ケリー クレア
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
General Hospital Corp
Original Assignee
General Hospital Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by General Hospital Corp filed Critical General Hospital Corp
Publication of JP2002504357A publication Critical patent/JP2002504357A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4702Regulators; Modulating activity
    • C07K14/4705Regulators; Modulating activity stimulating, promoting or activating activity
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2217/00Genetically modified animals
    • A01K2217/05Animals comprising random inserted nucleic acids (transgenic)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 この発明は、Heliosポリペプチドを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 この発明は、Helios遺伝子、Heliosポリペプチド、Helios
ホモダイマー、Helios/Ikarosヘテロダイマー、Helios/A
iolosヘテロダイマー及びHelios核酸及びポリペプチドの利用方法に
関するものである。
【0002】発明の要約 一般に、この発明は、Heliosポリペプチド例えばSEQ ID NO:2、SEQ ID
NO:4又はSEQ ID NO:6に示した配列の全部又は部分を含むポリペプチドを特徴
とする。この発明は又、Heliosポリペプチドの断片及び類似体(好ましく は、Heliosポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を有するもの) をも特徴とする。
【0003】 好適具体例において、このポリペプチドは、組換えの又は実施的に純粋なHe
liosポリペプチドの調製物である。
【0004】 好適具体例において、このポリペプチドは、脊椎動物例えば哺乳動物例えばヒ
トのポリペプチドである。
【0005】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、SEQ ID NO:2、SEQ
ID NO:4又はSEQ ID NO:6のコード配列の5’側に更なるHeliosコード配
列を含む。
【0006】 好適具体例において:このポリペプチドは、少なくとも1つの生物学的活性を
有し(例えば、それは、Heliosポリペプチドに特異的な抗体又は抗体断片 と反応する);このポリペプチドは、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO
:6からのアミノ酸配列と少なくとも60%、74%、80%、90%、95% 、98%又は99%相同なアミノ酸配列を含み;このポリペプチドは、SEQ ID N
O:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と本質的に同じアミノ酸配
列を含み;このポリペプチドは、少なくとも5、10、20、50、100、1
50、200又は250アミノ酸長であり;このポリペプチドは、少なくとも5
の、好ましくは少なくとも10の、一層好ましくは少なくとも20の、最も好ま
しくは少なくとも50、100、150、200又は250のSEQ ID NO:2、SE
Q ID NO:4又はSEQ ID NO:6由来の隣接するアミノ酸を含み;このポリペプチド
は、好ましくは10以上100未満のアミノ酸長であり;このHeliosポリ
ペプチドは、天然のHeliosポリペプチドの生物学的活性のアゴニスト又は
アンタゴニストである。
【0007】 好適具体例において:このHeliosポリペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ
ID NO:3若しくはSEQ ID NO:6の核酸配列によりコードされ、又はSEQ ID NO:1
、SEQ ID NO:3若しくはSEQ ID NO:6の核酸と少なくとも60%、70%、80
%、90%、95%、98%若しくは99%の相同性を有する核酸によりコード
される。例えば、このHeliosポリペプチドは、遺伝コードの縮重のために
SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:6の核酸配列とことなる核酸配列に
よりコードされ得る。
【0008】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、SEQ ID NO:2のアミ
ノ酸残基1〜526、SEQ ID NO:4の残基1〜500若しくはSEQ ID NO:6の残
基1〜526又は他の脊椎動物若しくは哺乳動物例えばサルのHelios配列
中の機能的に同等の残基をコードする。
【0009】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、天然の変異型又は野
生型のHeliosポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ
ID NO:6に示したアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアゴニストである。他
の好適具体例において、このポリペプチドは、例えば、天然のHeliosポリ
ペプチド(例えば、変異型ポリペプチド)の望ましくない活性を阻害するアンタゴ
ニストである。
【0010】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、SEQ ID NO:2、SEQ
ID NO:4又はSEQ ID NO:6の配列とアミノ酸配列が1、2、3、5、10残基以
上で異なるが、好ましくは、15残基以上は異ならない。しかしながら、これら
の差異は、このHeliosポリペプチドが少なくとも1つのHeliosポリ
ペプチドの生物学的活性を示す(例えば、このHeliosポリペプチドは、天 然のHeliosポリペプチドの一生物学的活性を保持している)ようなもので ある。他の好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、最大で1、
2、3、5、10アミノ酸残基において、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ
ID NO:6の配列と異なる。
【0011】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、ここに記載のHel
iosポリペプチド配列並びに他のN末端及び/又はC末端アミノ酸配列を含む
【0012】 好適具体例において、このポリペプチドは、更なるアミノ酸残基に、好ましく
は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6由来の配列をコードするゲノ
ムDNAの5’側のゲノムDNAによりコードされる残基に読み枠で融合された
SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6由来のアミノ酸配列の全部又は断
片を含む。
【0013】 他の面において、この発明は、Heliosポリペプチドの断片を特徴とする
。一具体例において、この断片は、末端断片例えばN若しくはC末端欠失(例え ば、ジンクフィンガー)又は内部欠失(例えば、ジンクフィンガー又は転写活性化
ドメイン)である。他の具体例において、この断片は、少なくとも1つのN末端 ジンクフィンガー例えばN−ジンクフィンガー1(ZF1)、N−ジンクフィンガ
ー2(ZF2)、N−ジンクフィンガー3(ZF3)、N−ジンクフィンガー4(Z F4)、転写活性化ドメイン、又はC末端ジンクフィンガー例えばC−ジンクフ ィンガー1(ZF5)、C−ジンクフィンガー2(ZF6)を有する。他の具体例に
おいて、このHeliosポリペプチドは、少なくとも1つのN末端ジンクフィ
ンガー例えばN−ジンクフィンガー1(ZF1)、N−ジンクフィンガー2(ZF 2)、N−ジンクフィンガー3(ZF3)、N−ジンクフィンガー4(ZF4)、転 写活性化ドメイン、又はC末端ジンクフィンガー例えばC−ジンクフィンガー1
(ZF5)又はC−ジンクフィンガー2(ZF6)の欠失を含む。他の具体例におい
て、この断片は、少なくとも20、40、60又は80アミノ酸長である。
【0014】 更に別の好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、第1のHe
liosポリペプチド部分と、Heliosポリペプチドと無関係のアミノ酸配
列を有する第2のポリペプチド部分とを有する組換え融合蛋白質である。この第
2のポリペプチド部分は、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、D
NA結合ドメイン又はポリメラーゼ活性化ドメインの何れであってもよい。好適
具体例において、この融合蛋白質は、2ハイブリッドアッセイにおいて用いるこ
とができる。
【0015】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、天然のHelios
ポリペプチドに特異的な抗体又はF(ab')2断片との反応性を阻害する天然のHe
liosポリペプチドの断片又は類似体である。
【0016】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、成熟蛋白質中に存在
しない配列を含む。
【0017】 この発明のポリペプチドは、多重遺伝子、選択的転写事象、選択的RNAスプ
ライシング事象並びに選択的翻訳及び翻訳後事象の存在の結果として生じるもの
を含む。
【0018】 好適具体例において、このHeliosポリペプチドは、下記の特性の少なく
とも1つを有する: (a)それは、Helios、Aiolos又はIkarosポリペプチドとダ
イマーを形成することができ; (b)それは、造血幹細胞において発現され; (c)それは、約64kDa又は68kDaの分子量を有し; (d)それは、少なくとも1つのジンクフィンガードメインを有し;又は (e)それは、リンパ球系遺伝子の転写アクチベーターである。
【0019】 この発明は、活性な若しくは不活性なHeliosポリペプチド又はそれらの
類似体若しくは断片を免疫原調製物中に含む免疫原を含み、その免疫原は、He
liosポリペプチドに特異的な免疫応答例えば液性応答、抗体応答又は細胞性
応答を誘出することができる。好適具体例において、この免疫原は、SEQ ID NO:
2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6により表される蛋白質由来の抗原決定基例え
ばユニークな決定基を含む。
【0020】 この発明は又、Helios免疫原の又は一般にHeliosポリペプチドの
エピトープと特異的に反応性の抗体調製物好ましくはモノクローナル抗体調製物
をも包含する。
【0021】 他の面において、この発明は、アミノ酸配列がHeliosポリペプチド又は
その類似体若しくは断片の配列を含み又は該配列であるポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を有し又は含む実質的に純粋な核酸を提供する。
【0022】 好適具体例において、この核酸は、脊椎動物例えば哺乳動物例えばヒトのポリ
ペプチドをコードする。
【0023】 好適具体例において、この核酸は、更なるHeliosコード配列をSEQ ID N
O:2、4又は6の5’側に含むHeliosポリペプチドをコードする。
【0024】 好適具体例において、この核酸は、次の特性の少なくとも1つを有するポリペ
プチドをコードする:Heliosの少なくとも1つの生物学的活性例えばHe
liosポリペプチドに対する抗体又は抗体断片と特異的に反応性のポリペプチ
ド;SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6由来のアミノ酸配列と少なく
とも60%、74%、80%、90%、95%、98%又は99%相同なアミノ
酸配列;SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と本質的
に同じアミノ酸配列(そのポリペプチドは、少なくとも5、10、20、50、 100、150、200又は250アミノ酸長である);SEQ ID NO:2、SEQ ID
NO:4又はSEQ ID NO:6由来の少なくとも5の、好ましくは少なくとも10の、 一層好ましくは少なくとも20の、最も好ましくは少なくとも50、100、1
50、200又は250の隣接するアミノ酸;好ましくは少なくとも10アミノ
酸長であるが100アミノ酸長以下のアミノ酸配列;天然のHeliosポリペ
プチドの生物学的活性のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する能力。
【0025】 好適具体例において:この核酸は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3又はSEQ ID N
O:6のヌクレオチド配列であるか又は該配列を含み;この核酸は、SEQ ID NO:1
、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:6の核酸配列と少なくとも60%、70%、74
%、80%、90%、95%、98%又は99%相同であり;この核酸は、少な
くとも25、50、100、200、300、400、500又は1,000塩
基長であるSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:6の断片を含み;この核
酸は、遺伝コードの縮重のために、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列と異なる。
【0026】 好適具体例において、このHeliosをコードする核酸配列は、SEQ ID NO:
2のアミノ酸残基1〜526、SEQ ID NO:4の残基1〜500、SEQ ID NO:6の
残基1〜526又は他の脊椎動物又は哺乳動物例えばサルのHelios配列中
の機能的に同等な残基をコードする。
【0027】 好適具体例において、この核酸によりコードされるポリペプチドは、例えば、
天然の変異型又は野生型のHeliosポリペプチドの活性を増大させることの
できるアゴニストである。他の好適具体例において、コードされたポリペプチド
は、例えば、天然のHeliosポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:2、SEQ ID
NO:4又はSEQ ID NO:6に示したアミノ酸配列を有するポリペプチド)の望ましく
ない活性を阻止するアンタゴニストである。
【0028】 好適具体例において、このコードされたHeliosポリペプチドは、アミノ
酸配列において、少なくとも1、2、3、5、10残基(好ましくは、15残基 未満)においてSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6の配列と異なる。 しかしながら、これらの差異は、コードされたHeliosポリペプチドが天然
のHeliosポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID
NO:6のHeliosポリペプチド)の少なくとも1つの生物学的活性を示すよう
なものである。
【0029】 好適具体例において、この核酸は、ここに記載のHeliosポリペプチド配
列並びに他のN末端及び/又はC末端アミノ酸配列を含むHeliosポリペプ
チドをコードする。
【0030】 好適具体例において、この核酸は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID N
O:6に示したアミノ酸配列の全部又は一部を、更なるアミノ酸残基に(好ましく は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6からの配列をコードするゲノ
ムDNAの5’側のゲノムDNAによりコードされる残基に)読み枠で融合して 含むポリペプチドをコードする。
【0031】 好適具体例において、このコードされたポリペプチドは、第1のHelios
ポリペプチド部分及び、Heliosポリペプチドに無関係のアミノ酸配列を有
する第2のポリペプチド部分を有する組換え融合蛋白質である。この第2のポリ
ペプチド部分は、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ;DNA結合
ドメイン;又はポリメラーゼ活性化ドメインの何れであってもよい。好適具体例
において、この融合蛋白質を2ハイブリッドアッセイで用いることができる。
【0032】 好適具体例において、このコードされたポリペプチドは、天然のHelios
ポリペプチドに特異的な抗体又はF(ab')2断片との反応性を阻害する天然のHe
liosポリペプチドの断片又は類似体である。
【0033】 好適具体例において、この核酸は、転写調節用配列例えば転写プロモーター又
は転写エンハンサーの少なくとも一方(Helios遺伝子配列に操作可能に結 合され、例えば、発現ベクターとしての利用に適したHelios遺伝子配列を
与える)を含む。
【0034】 更に別の好適具体例において、この発明の核酸は、緊縮条件下で、SEQ ID NO:
1、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:6からの少なくとも12の連続するヌクレオチ
ドに、一層好ましくは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:6からの少
なくとも20の連続するヌクレオチドに、一層好ましくは、SEQ ID NO:1、SEQ
ID NO:3又はSEQ ID NO:6からの少なくとも40の連続するヌクレオチドに対応
する核酸プローブとハイブリダイズする。
【0035】 好適具体例において、この核酸は、成熟蛋白質中に存在しない配列を含むHe
liosポリペプチドをコードする。
【0036】 好適具体例において、この核酸は、下記の特性の少なくとも1つを有するHe
liosポリペプチドをコードする: (a)それは、Helios、Aiolos又はIkarosポリペプチドとダ
イマーを形成し; (b)それは、造血幹細胞で発現され; (c)それは、約64kDa又は68kDaの分子量を有し; (d)それは、少なくとも1つのジンクフィンガードメインを有し;又は (e)それは、リンパ球系遺伝子の転写アクチベーターである。
【0037】 他の面において、この発明は:Heliosポリペプチドをコードする核酸を
含むベクター;そのベクターでトランスフェクトされた宿主;及びその細胞を例
えば細胞培養培地中で培養してHeliosポリペプチドを例えばその細胞から
又は細胞培養培地から単離することを含む組換えHeliosポリペプチドの製
造方法を含む。
【0038】 他の面において、この発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:6
に示したヌクレオチド配列と少なくとも50%、60%、70%、74%、80
%、90%、95%、98%又は99%の相同性を有する精製された組換え核酸
を特徴とする。
【0039】 この発明は又、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含むプローブ又はプ
ライマーをも提供する。このオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:
3若しくはSEQ ID NO:6又はこれらの天然の変異物からのセンス又はアンチセン
ス配列の少なくとも10の連続するヌクレオチドと緊縮条件下でハイブリダイズ
するヌクレオチド配列の領域を含む。好適具体例において、このプローブ又はプ
ライマーは、更に、それらに結合した標識基を含む。この標識基は、放射性同位
体、蛍光化合物、酵素及び/又は酵素補因子であってよい。好ましくは、このオ
リゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長であり且つ20、30、5
0、100又は150ヌクレオチド長未満である。
【0040】 この発明は、この発明のポリペプチドをコードする核酸例えばRNA又はDN
Aを含む。これは、二本鎖核酸並びにコード鎖及びアンチセンス一本鎖を含む。
【0041】 この発明は、脊椎動物例えば哺乳動物例えばゲッ歯動物例えばマウス若しくは
ラット、又はヒトのHeliosポリペプチドを包含する。
【0042】 他の面において、この発明は、化合物を、Heliosポリペプチド例えばH
eliosモノマー又はHelios−Heliosダイマー、Helios−
Aiolosダイマー若しくはHelios−Ikarosダイマーの活性と相
互作用する例えば結合し又は調節する(例えば、阻害し又は促進する)能力につい
て評価する方法を特徴とする。この方法は、化合物をHeliosポリペプチド
と接触させ、その化合物のHeliosポリペプチドと相互作用し又は複合体を
形成する能力を評価することを含む。この方法は、イン・ビトロで例えば無細胞
系で又はイン・ビボで例えば2ハイブリッド相互作用トラップアッセイで実施す
ることができる。この方法を用いて、Heliosポリペプチドと相互作用する
天然の分子を同定することができる。それを用いて、変異型又は野生型のHel
iosポリペプチドの天然の又は合成の阻害剤を見出すこともできる。この化合
物は、ペプチドであっても非ペプチド分子(例えば、好ましくは分子量500〜 5,000の一層好ましくは分子量500〜1,000の種々の官能基で修飾さ
れた芳香族骨格例えばビス−アミドフェノールを有する小分子)であってもよい 。
【0043】 簡単にいえば、2ハイブリッドアッセイ系(例えば、Bartel等(1993)Cellular
Interaction in Development: A practical Approach, D.A.Hartley編, Oxford
University Press, Oxford, p.153-179参照)は、酵母細胞における蛋白質−蛋白
質相互作用の検出を可能にする。公知の蛋白質(例えば、Heliosポリペプ チド)は、しばしば、「餌」蛋白質と呼ばれる。この餌蛋白質に対する結合につ いて試験される蛋白質は、しばしば、「魚」蛋白質と呼ばれる。この「餌」蛋白
質例えばHeliosポリペプチドは、GAL4DNA結合ドメインに融合され
る。潜在的「魚」蛋白質は、GAL4活性化ドメインに融合される。もし「餌」
蛋白質と「魚」蛋白質が相互作用するならば、これらの2つのGAL4ドメイン
が近位に運ばれて、それ故、宿主酵母細胞が特定の生育選択に生き残ることを可
能にする。
【0044】 他の面において、この発明は、Heliosポリペプチドの活性な断片又は類
似体を同定する方法を特徴とする。この方法は、Heliosポリペプチドと相
互作用する化合物例えばIkarosペプチドを先ず同定し、候補の断片又は類
似体と結合するこの化合物の能力を測定することを含む。上記の2ハイブリッド
アッセイを用いて、断片結合性化合物を得ることができる。次いで、これらの化
合物を、魚に対する「餌」として用いて、これらの化合物と相互作用し、結合し
又は複合体を形成するHeliosポリペプチドの断片を同定することができる
【0045】 他の面において、この発明は、非野生型活性を有するHeliosポリペプチ
ド(例えば、天然のHeliosポリペプチドのアンタゴニスト、アゴニスト又 はスーパーアゴニスト)の製造方法を特徴とする。この方法は、Heliosポ リペプチド(例えば、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:6)の配列を例
えば非保存領域の少なくとも1つの残基の置換又は欠失によって変え、その変化
させたポリペプチドを所望の活性について試験することを含む
【0046】 他の面において、この発明は、Heliosポリペプチドの断片又は類似体例
えば天然のHeliosポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を有する
Heliosポリペプチドの製造方法を特徴とする。この方法は、配列を例えば
少なくとも1つの残基(好ましくは、非保存的残基)の置換又は欠失により変化さ
せ、その変化させたポリペプチドを所望の活性について試験することを含む。
【0047】 他の面において、この発明は、化合物を、Helios遺伝子調節配列をコー
ドする核酸と結合する能力について評価する方法を特徴とする。この方法は:化
合物をその核酸と接触させ;その化合物のその核酸と複合体を形成する能力を評
価することを含む。好適具体例において、このHelios遺伝子調節配列は、
異種遺伝子例えばレポーター遺伝子に機能的に結合される。
【0048】 他の面において、この発明は、Heliosポリペプチドをコードする核酸で
トランスフォームされたヒトの細胞例えば造血幹細胞又はリンパ球例えばT若し
くはB細胞を特徴とする。
【0049】 他の面において、この発明は、動物例えばヒト、マウス、トランスジェニック
動物又は病気例えば免疫系の病気例えばB若しくはT細胞に関係する病気のモデ
ル動物(例えば、ヌードマウス又はSCIDマウス)の治療方法であって、治療上
有効な量のHeliosポリペプチドを動物に投与することを含む当該治療方法
を特徴とする。
【0050】 他の面において、この発明は、動物例えばヒト、マウス、トランスジェニック
動物又は免疫系の病気例えばB若しくはT細胞に関係する病気のモデル動物(例 えば、ヌードマウス又はSCIDマウス) の治療方法を特徴とする。この方法は
、動物に、Helios遺伝子の産物の発現について選択した細胞(例えば、イ ン・ビトロで選択した) 細胞例えば造血幹細胞例えばHeliosペプチドをコ
ードするDNAでトランスフォームした細胞例えばHeliosペプチドをコー
ドするDNAでトランスフォームした造血幹細胞を投与することを含む。
【0051】 好適具体例において:これらの細胞は、それらを投与する動物から採取し;こ
れらの細胞は、それらを投与する動物とMHCマッチの動物から採取し;これら
の細胞は、それらを投与する動物と同系の動物から採取し;これらの細胞は、そ
れらを投与する動物と同種の動物から採取する。
【0052】 他の面において、この発明は、この発明は、動物例えばヒト、マウス、トラン
スジェニック動物又は免疫系の病気例えばB若しくはT細胞に関係する病気のモ
デル動物(例えば、ヌードマウス又はSCIDマウス) の治療方法を特徴とする 。この方法は、Heliosペプチドをコードする核酸を動物に投与して、その
核酸を発現させることを含む。
【0053】 他の面において、この発明は、治療例えば造血を促進し又は阻害するようにデ
ザインされた治療の効果を評価する方法であって、その治療を実施してその治療
のHelios遺伝子の発現に対する効果を評価すること含む当該方法を特徴と
する。
【0054】 好適具体例において、この治療を:動物例えばヒト、マウス、トランスジェニ
ック動物、又は免疫系の病気例えばT若しくはB細胞に関係する病気のモデル動
物(例えば、ヌードマウス又はSCIDマウス)、又は細胞例えば培養幹細胞に施
与する。
【0055】 他の面において、この発明は、患者(例えば、ヒト)がHelios遺伝子の誤
発現と関係する病気又は免疫系の病気例えば免疫不全又はT若しくはB細胞関連
疾患例えばT若しくはB細胞の不足を特徴とする病気の危険にあるかどうかを測
定する方法を特徴とする。この方法は、患者を、Helios遺伝子の発現につ
いて調べることを含み、非野生型の発現又は誤発現は危険を示す。
【0056】 他の面において、この発明は、患者(例えば、ヒト)がHelios遺伝子の誤
発現と関係する病気又は免疫系の病気例えば免疫不全又はT若しくはB細胞関連
疾患例えばT若しくはB細胞の不足を特徴とする病気の危険にあるかどうかを測
定する方法を特徴とする。この方法は、患者から核酸試料を準備して、その患者
のHelios遺伝子の対立遺伝子の構造が野生型と異なるかどうかを測定する
ことを含む。
【0057】 好適具体例において:この測定は、患者のHelios遺伝子の対立遺伝子が
大きい染色体再配列を有するかどうかを測定することを含み;この測定は、患者
のHelios遺伝子を配列決定することを含む。
【0058】 他の面において、この発明は、増殖性疾患例えば白血病、ホジキンリンパ腫、
皮膚細胞リンパ腫例えば皮膚T細胞リンパ腫、又は免疫疾患例えばT細胞に関連
する病気例えばT若しくはB細胞の不足を特徴とする病気のモデル動物又は細胞
を評価する方法を特徴とする。この方法は、このモデル動物又は細胞中のHel
ios遺伝子が予め決められたレベルで発現されるかどうか又はHelios遺
伝子が誤発現されるかどうかを測定することを含む。好適具体例において:この
予め決められたレベルは、野生型又は正常動物におけるレベルより低く;この予
め決められたレベルは、野生型又は正常動物におけるレベルより高く;又はイソ
型の発現パターンは、野生型から変化している。
【0059】 他の面において、この発明は、Heliosトランスジーンを有するトランス
ジェニック動物例えば哺乳動物例えばマウス又は非ヒト霊長類を特徴とする。
【0060】 好適具体例において、この動物は、変異したHeliosトランスジーンを有
するトランスジェニック動物である(この変異は、例えば、ここに記載のHel ios遺伝子の1つのドメインに生じ又はそれを変化させる)。
【0061】 好適具体例において、このトランスジェニック動物例えばトランスジェニック
マウスは、ヌル突然変異についてホモ接合であり、例えば、それは、Helio
s遺伝子座においてその蛋白質のC末端の欠失についてホモ接合である。
【0062】 好適具体例において、このトランスジェニック動物例えばトランスジェニック
マウスは、ヌル突然変異についてホモ接合であり、例えば、それは、Helio
s遺伝子座においてその蛋白質のC末端の欠失についてホモ接合であり且つIk
aros又はAiolosに突然変異(例えば、Ikaros又はAiolos における優性ネガティブ突然変異)を含む。好ましくは、このIkaros突然 変異は、ヘテロ接合である。
【0063】 他の好適具体例において、このトランスジェニック動物又は細胞は:Heli
osトランスジーンについてヘテロ接合であり;Heliosトランスジーンに
ついてホモ接合であり;第1のHeliosトランスジーン及び第2のHeli
osトランスジーンを含み;Heliosトランスジーン及びHeliosトラ
ンスジーン以外の第2のトランスジーン例えばIkaros又はAiolosト
ランスジーンを含む。
【0064】 他の面において、この発明は、Heliosトランスジーンを有するトランス
ジェニック細胞又は動物に対する治療の効果(例えば、免疫系の発達に対する治 療の効果)を評価する方法を特徴とする。この方法は、Heliosトランスジ ーンを有する細胞又は動物に治療を施与して、その治療のその細胞又は動物に対
する効果を評価することを含む。この効果は、例えば、Helios又はIka
rosの発現又は誤発現に対する;免疫系又はその構成要素に対する;又は細胞
周期に対する治療の効果であってよい。免疫系の効果は、例えば、T細胞活性化
、T細胞発生、免疫応答を開始する能力、免疫系の構成要素を生じさせる能力、
B細胞発生、NK細胞発生又は比CD4+/CD8+、CD4+/CD8-及びCD
-/CD8+を含む。
【0065】 好適具体例において、この治療は:薬物、化学物質又は他の物質の投与;電離
放射線の施与;抗体例えば免疫系の分子又は細胞に対する抗体の投与;免疫系を
抑制する物質又は他の治療の施与;又は免疫系の機能を活性化し又は後援する物
質又は他の治療の施与;核酸例えば遺伝子産物例えば免疫系の構成要素をコード
し又は発現する核酸の導入;蛋白質例えば免疫系の構成要素である蛋白質の導入
を含んでよい。
【0066】 他の面において、この発明は、免疫系構成要素に対する治療の効果を評価する
方法を特徴とする。この方法は:(1)Heliosトランスジーンを有するトラ
ンスジェニック細胞又は動物を用意し;(2)免疫系構成要素を用意し;(3)治療
を施与し;そして(4)その治療の免疫系構成要素に対する効果を評価することを
含む。
【0067】 更に別の面において、この発明は、第1の免疫系構成要素と第2の免疫系構成
要素との相互作用を評価する方法を特徴とする。この方法は:(1)Helios
トランスジーンを有するトランスジェニック細胞又は動物(例えば、哺乳動物)を
用意し;(2)第1及び第2の免疫系構成要素をトランスジェニック細胞又は哺乳
動物に導入し;そして(3)第1と第2の免疫系構成要素との間の相互作用を評価
することを含む。
【0068】 他の面において、この方法は、免疫系の病気例えば新生物疾患、白血病又はリ
ンパ腫、T細胞関連リンパ腫に対する治療の効果を評価する方法であって、He
liosトランスジーンを有する細胞又は動物に治療を施し、その細胞又は動物
に対する治療の効果を評価することを含む当該方法を特徴とする。この効果は、
例えば:Helios又はIkarosの発現又は誤発現に対する;免疫系又は
その構成要素に対する;又は細胞周期に対する治療の効果であってよい。免疫系
の効果は、例えば、T細胞活性化、T細胞発生、免疫応答を開始する能力、免疫
系構成要素を生じさせる能力、B細胞発生、NK細胞発生、又は比CD4+/C D8+、CD4+/CD8-及びCD4-/CD8+を含む。
【0069】 これらの発明は又、Ikaros及びHeliosが他のポリペプチドとダイ
マー(ヘテロダイマー)を形成することができるということをも発見した。例えば
、Ikarosポリペプチドは、Ikarosポリペプチドとだけでなく、その
C末端領域に結合する他のポリペプチド例えばジンクフィンガー領域を有する他
のポリペプチド(例えば、Heliosポリペプチド)ともダイマーを形成するこ
とができる。同様に、Heliosポリペプチドは、Heliosポリペプチド
とだけでなく、そのC末端領域に結合する他のポリペプチド例えばジンクフィン
ガー領域を有する他のポリペプチド(例えば、Ikarosポリペプチド)ともダ
イマーを形成することができる。
【0070】 この発明は又、Ikaros−Helios又はAiolos/Helios
ダイマーをも包含する。このダイマーのIkarosメンバーは、任意のIka
rosポリペプチド例えば任意の天然のIkaros又は米国特許出願第08/
238,212号(1994年5月2日出願)(参考として、本明細書中に援用す る)において言及された任意のIkarosであってよい。このダイマー中のA iolosメンバーは、任意のAiolosポリペプチド例えば任意の天然のA
iolos又は米国特許出願第60/005,529号(1995年10月18 日出願)(参考として、本明細書中に援用する)において言及された任意のAio losであってよい。
【0071】 この発明は又:精製されたIkaros又はAiolos蛋白質をコードする
DNA及び精製されたHelios蛋白質をコードするDNAを含む細胞例えば
培養細胞又は幹細胞;Ikaros及びHelios蛋白質を発現することので
きる細胞;トランスジェニック動物又は造血系細胞例えばリンパ球系細胞例えば
T細胞の均質集団を生じることのできる細胞;本質的に均質な細胞の集団(各細 胞は、精製されたIkaros又はAiolos蛋白質をコードするDNA及び
精製されたHelios蛋白質をコードするDNAを含む);及びこの発明のD NA(好ましくは、精製されたDNA)を含む細胞を培地中で培養してこれらのペ
プチドを発現させることを含むこの発明のダイマーの製造方法をも包含する。
【0072】 この発明は又:精製されたIkaros又はAiolos蛋白質をコードする
DNAを含む細胞及び精製されたHelios蛋白質をコードするDNAを含む
細胞を含む細胞調製物(例えば、培養細胞又は幹細胞の調製物)をも包含する。
【0073】 この発明は又、Ikaros−Heliosダイマー又はAiolosHel
iosダイマーに対する抗体好ましくはモノクローナル抗体(これは、好ましく は、Ikaros−Ikaros、Aiolos−Aiolos又はHelio
s−Heliosダイマーには結合しない)の実質的に純粋な調製物;Ikar os−Heliosダイマー又はAiolosHeliosダイマー及び製薬上
許容し得るキャリアーを含む治療用組成物;この発明の純粋なDNA及び製薬上
許容し得るキャリアーを含む治療用組成物をも包含する。
【0074】 他の面において、この発明は、動物例えばヒト、マウス、トランスジェニック
動物、又は免疫系疾患例えばT若しくはB細胞関連疾患のモデル動物(例えば、 ヌードマウス又はSCIDマウス)を治療する方法であって、治療上有効な量の Ikaros−Helios又はAiolos−Heliosダイマーをその動
物に投与することを含む当該方法を特徴とする。
【0075】 他の面において、この発明は、動物例えばヒト、マウス、トランスジェニック
動物、又は免疫系疾患例えばT若しくはB細胞関連疾患のモデル動物(例えば、 ヌードマウス又はSCIDマウス)を治療する方法であって、その動物に、Ik aros遺伝子及びHelios遺伝子の産物の発現について選択した(好まし くは、イン・ビトロで選択した)細胞例えば造血幹細胞例えばIkaros若し くはAiolosペプチドをコードするDNA及び又はHeliosペプチドを
コードするDNAでトランスフォームした細胞例えばIkaros若しくはAi
olos及び又はHeliosペプチドをコードするDNAでトランスフォーム
した造血幹細胞を投与することを含む当該方法を特徴とする。このIkaros
Aiolos又はHeliosDNAは、同一細胞内に存在しても異なる細胞内
に存在してもよい。
【0076】 好適具体例において:これらの細胞は、それらを投与する動物から採取し;こ
れらの細胞は、それらを投与する動物とMHCマッチの動物から採取し;これら
の細胞は、それらを投与する動物と同系の動物から採取し;これらの細胞は、そ
れらを投与する動物と同じ種の動物から採取する。
【0077】 他の面において、この発明は、動物例えばヒト、マウス、トランスジェニック
動物、又は免疫系疾患例えばT若しくはB細胞関連疾患のモデル動物(例えば、 ヌードマウス又はSCIDマウス)を治療する方法であって、その動物に、Ik arosペプチドをコードする核酸とHeliosペプチドをコードする核酸を
投与して、それらの核酸を発現させることを含む。
【0078】 他の面において、この発明は、治療例えば造血を促進し又は阻害するようにデ
ザインされた治療の効果を評価する方法であって、その治療を実施して、その治
療のIkaros又はHelios遺伝子の発現に対する効果を評価することを
含む当該方法を特徴とする。
【0079】 好適具体例において、この治療を:動物例えばヒト、マウス、トランスジェニ
ック動物若しくは免疫系疾患例えばT若しくはB細胞関連疾患のモデル動物(例 えば、ヌードマウス又はSCIDマウス)又は細胞例えば培養幹細胞に施与する 。
【0080】 他の面において、この発明は、患者例えばヒトが、Ikaros遺伝子の誤発
現に関係する病気例えば白血病又は他の免疫系疾患例えば免疫不全又はT若しく
はB細胞関連疾患例えばT若しくはB細胞の不足を特徴とする病気の危険にある
かどうかを測定する方法であって、その患者をIkaros−Helios又は
Aiolos−Heliosダイマーの発現について調べることを含む当該方法
(非野生型の発現又は誤発現が危険を示す)を特徴とする。
【0081】 他の面において、この発明は、免疫疾患例えばT細胞関連疾患例えばT若しく
はB細胞の不足を特徴とする病気のモデル動物又は細胞を評価する方法であって
、そのモデル動物又は細胞中のIkaros−Helios又はAiolos−
Heliosダイマーが予め決めたレベルで発現されるかどうかを測定すること
を含む当該方法を特徴とする。好適具体例において:この予め決めたレベルは、
野生型又は正常の動物におけるレベルより低く;この予め決めたレベルは、野生
型又は正常の動物におけるレベルより高く;又はイソ型の発現パターンは、野生
型から変化している。
【0082】 他の面において、この発明は、Ikaros若しくはAiolos遺伝子又は
Ikaros若しくはAiolos蛋白質をコードするDNA及びHelios
遺伝子又はHelios蛋白質をコードするDNAを含むトランスジーンを有す
るトランスジェニックゲッ歯動物例えばマウスを特徴とする。好適具体例におい
て:このIkaros、Aiolos及び又はHelios遺伝子又はDNAは
、欠失例えば少なくとも1つのエキソンの全部又は部分の欠失を含む。
【0083】 他の面において、この発明は、Helios遺伝子座に少なくとも1つの突然
変異を有するHeliosを誤発現する細胞の培養方法を特徴とする。この細胞
は、例えば、造血細胞例えばTリンパ球であってよい。この方法は:この細胞を
、哺乳動物(好ましくは、この細胞を最初に単離した哺乳動物とは異なる哺乳動 物)に導入し;そしてその細胞を培養することを含む。
【0084】 好適具体例において、この方法は、更に:この細胞をその哺乳動物中で増殖さ
せることを含む。
【0085】 好適具体例において:この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊
長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスである。
【0086】 好適具体例において、この発明は、更に:Heliosを誤発現する細胞を分
裂させて、増殖統制解除された細胞例えばトランスフォームされたリンパ球を生
じさせ;多数の増殖統制解除された細胞例えばリンパ球又はトランスフォームさ
れたリンパ球(哺乳動物由来)を提供することを含む。
【0087】 好適具体例において:この哺乳動物、細胞又はこれら両者は、Helios遺
伝子座においてヘテロ接合であり;この哺乳動物、細胞又はこれら両者は、He
lios遺伝子に突然変異(例えば、Helios遺伝子の全部又は部分の点突 然変異又は欠失、例えば、DNA結合領域における突然変異、例えば、Heli
os蛋白質のDNA結合を媒介する4つのN末端ジンクフィンガー領域の少なく
とも1つの全部若しくは部分又はHelios蛋白質のダイマー形成を媒介する
2つのC末端ジンクフィンガー領域の少なくとも1つにおける点突然変異又は欠
失)を有し;この哺乳動物は、Heliosトランスジーンについてヘテロ接合 であるか又はホモ接合であり;この哺乳動物、細胞又はこれら両者は、Heli
os遺伝子の制御領域内に突然変異を有する。
【0088】 好適具体例において:この哺乳動物、細胞又はこれら両者は、Helios遺
伝子に、転写活性化又はダイマー形成の一方又は両方を不活性化する突然変異例
えば点突然変異又は欠失を有する(これは、この蛋白質の半減期を減じ、又はC 末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性化する)。
【0089】 好適具体例において、この細胞(例えば、単一細胞)は、ヌル突然変異について
ホモ接合である(例えば、それは、Helios遺伝子座において、その蛋白質 のC末端の欠失についてホモ接合である)。
【0090】 好適具体例において、この細胞(例えば、マウス細胞)は、ヌル突然変異につい
てホモ接合である(例えば、それは、Helios遺伝子座において、その蛋白 質のC末端の欠失についてホモ接合であり且つIkarosに突然変異例えば優
性ネガティブ突然変異を含む)。好ましくは、このIkaros突然変異は、ヘ テロ接合である。
【0091】 好適具体例において:Heliosを誤発現する細胞は、ホモ接合の変異型H
elios細胞例えばリンパ球であり;Heliosを誤発現する細胞は、Bリ
ンパ球であり;Heliosを誤発現する細胞は、Heliosトランスジーン
についてヘテロ接合であるか又はホモ接合である。
【0092】 好適具体例において、Heliosを誤発現する細胞は、リンパ球であり且つ
少なくとも一の抗炎症性サイトカインを分泌する細胞であり;抗原又はイディオ
タイプ特異的な細胞である。
【0093】 好適具体例において:哺乳動物を抗原で免疫化し;細胞を外因的に供給し、哺
乳動物又はこの細胞を提供する哺乳動物の一方又は両方を抗原で免疫化する。こ
の抗原は:同種異系抗原;異種抗原;自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプ
リンパ球を生じさせる抗原であってよい。
【0094】 好適具体例において:Heliosを誤発現する細胞(例えば、リンパ球)を、
外因的に哺乳動物に(例えば、ホモ接合の野生型Helios哺乳動物に又はH elios遺伝子に突然変異を有する哺乳動物例えばHelios遺伝子の全部
若しくは部分に点突然変異若しくは欠失を有する哺乳動物に)供給する。外因的 に供給するのであれば、この細胞は、ヒトの又は非ヒトの例えばブタの、非ヒト
霊長類例えばサルの、ヤギの、若しくはゲッ歯動物例えばラット若しくはマウス
のリンパ球であってよい。
【0095】 Helios野生型細胞は、Heliosを誤発現する哺乳動物中で培養する
ことができる。 他の面において、この発明は、Heliosを誤発現する細胞の活性を調節す
る方法又は該細胞と標的組織若しくは細胞との相互作用を促進する方法を特徴と
する。この方法は:標的を準備して;その標的を、Heliosを誤発現する細
胞例えば造血細胞例えばTリンパ球(好ましくは、Helios遺伝子座に少な くとも1つの変異型対立遺伝子を有する)にさらすことを含む(但し、好ましくは
、標的は、Heliosを誤発現せず;標的とこの細胞は、Helios遺伝子
座以外の遺伝子座において遺伝子型が異なり;標的とこの細胞は、異なる動物に
由来し;標的とこの細胞は、異なる種に由来し;標的の活性は、レシピエント哺
乳動物において調節され且つ標的又はこの細胞の何れかがレシピエント哺乳動物
以外のドナー哺乳動物に由来し;又は標的は、この細胞に、イン・ビトロ系でさ
らされる)。
【0096】 好適具体例において:Heliosを誤発現する細胞のドナーは、Helio
sトランスジーンについてヘテロ接合であるか又はホモ接合であり;Helio
sを誤発現する細胞のドナーは、Helios遺伝子座においてヘテロ接合であ
り;Heliosを誤発現する細胞のドナーは、Helios遺伝子の全部又は
部分に点突然変異又は欠失(例えば、DNA結合領域における突然変異、例えば 、HeliosのDNAへの結合を媒介する4つのN末端ジンクフィンガー領域
の少なくとも1つの全部若しくは部分又はHeliosダイマー形成を媒介する
C末端ジンクフィンガー領域の一方若しくは両方における点突然変異又は欠失) を有し;Heliosを誤発現する細胞のドナーは、ヒト又は非ヒト哺乳動物例
えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスである。好
適具体例において、例えば、ヒトがドナーの場合、Heliosの統制解除例え
ばHelios障害を生じさせる操作を、イン・ビトロで行うことができる。
【0097】 好適具体例において:Heliosを誤発現する細胞を提供する哺乳動物は、
Helios遺伝子に、転写活性化又はダイマー形成の一方又は両方を不活性化
する突然変異例えば点突然変異又は欠失を有する(これは、この蛋白質の半減期 を減じ又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性化する
)。
【0098】 他の好適具体例において:この細胞は、Heliosトランスジーンについて
ヘテロ接合であるか又はホモ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のHelio
s細胞であり;この細胞は、ホモ接合の変異型Helios細胞であり;このリ
ンパ球は、Tリンパ球である。
【0099】 好適具体例において、この細胞は、リンパ球であり且つ:T細胞であり;少な
くとも一の抗炎症性サイトカインを分泌する細胞であり;抗原又はイディオタイ
プ特異的なT細胞である。
【0100】 好適具体例において:この方法を、イン・ビトロ系で実施し;この方法を、イ
ン・ビボで例えば哺乳動物例えばゲッ歯動物例えばマウス若しくはラット又は霊
長類例えば非ヒト霊長類若しくはヒトにおいて実施する。この方法をイン・ビト
ロで実施するのであれば、標的細胞又は組織及びリンパ球のドナーは、同じであ
っても異なってもよい。この方法をイン・ビボで行うならば、一のレシピエント
動物と一以上のドナーが存在する。
【0101】 好適具体例において:この方法を、イン・ビボで、一以上の標的細胞又は組織
のレシピエント、ドナーで行い、この細胞のドナーを抗原で免疫化し;この方法
を、イン・ビトロで、一以上の標的細胞又は組織のドナーで行い、この細胞のド
ナーを抗原で免疫化する。この抗原は:同種異系抗原であってよく;異種抗原又
は自己抗原であってよく;蛋白質であってよく;又は抗イディオタイプリンパ球
を生じさせる抗原であってよい。
【0102】 好適具体例において:標的を、T若しくはBリンパ球、マクロファージ、炎症
性白血球例えば好中球若しくは好酸球、単核食細胞、NK細胞又はTリンパ球よ
りなる群から選択し;標的は、抗原提示細胞例えば専門の抗原提示細胞又は非専
門的抗原提示細胞であり;標的は、脾臓組織、骨髄組織、リンパ節組織又は胸腺
組織であり、又は標的は、同系の、異系の又は異種の組織である。
【0103】 他の好適具体例において、標的は、哺乳動物例えばヒトに由来し;哺乳動物は
、非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しく
はマウスである。
【0104】 好適具体例において、調節される標的の活性は:サイトカインの産生であり;
免疫系の細胞の増殖又は活性化であり;抗体の産生であり;抗原提示細胞の溶解
又は細胞障害性Tリンパ球の活性化であり;感染抵抗性に対する標的の効果であ
り;寿命に対する標的の効果であり;体重に対する標的の効果であり;免疫系の
組織又は器官の存在、機能又は形態に対する標的の効果であり;刺激(例えば、 拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の細胞、又は器官)に応答する免疫 系の構成要素の能力に対する標的の効果であり;同種異系抗原又は異種抗原に対
する免疫寛容を示す能力に対する標的の効果である。
【0105】 好適具体例において、相互作用は、Heliosを誤発現する細胞により産生
された抗体と標的との結合である。
【0106】 好適具体例において:この標的と細胞は、Helios遺伝子座以外の遺伝子
座において遺伝子型が異なり;この標的と細胞は異なる動物に由来し;この標的
は、Heliosを誤発現しない。
【0107】 他の面において、この発明は、免疫系を再構成する方法を特徴とする。この方
法は:レシピエント哺乳動物を準備し、そのレシピエント哺乳動物に好ましくは
外因的にHeliosを誤発現するドナー哺乳動物(例えば、Helios遺伝 子座に少なくとも1つの変異型対立遺伝子を有するもの)から免疫系構成要素を 導入することを含む。このレシピエント哺乳動物は、例えば、ヒト又は非ヒト哺
乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラッ
ト若しくはマウスであってよい。ドナー哺乳動物は、例えば、ヒト又は非ヒト哺
乳動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスで
あってよい。もしドナー哺乳動物がヒトであるならば、Heliosの誤発現を
生じさせる操作(例えば、Helios障害の導入)をイン・ビトロで行うことが
できる。このドナー哺乳動物とレシピエント哺乳動物は、異なる個体であっても
同じ個体であってもよい。
【0108】 好適具体例において、この構成要素は、Heliosを誤発現する細胞例えば
造血細胞例えば多能性幹細胞、又は幹細胞の子孫例えばリンパ球であり又は該細
胞を含む。
【0109】 好適具体例において、この構成要素は、ドナー哺乳動物例えばヒト又は非ヒト
哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウス
に由来する。
【0110】 好適具体例において、この方法は、更に:構成要素を患者に導入する前に、リ
ンパ球を処理して、例えばこの構成要素を照射することにより増殖を阻害するこ
とを含む。
【0111】 好適具体例において、ドナー哺乳動物は、Helios遺伝子に突然変異(例 えば、Helios遺伝子の全部又は部分の欠失)を有する。
【0112】 他の好適具体例において:この免疫系構成要素は、T細胞、T細胞前駆細胞、
全能性造血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー細胞
、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の何れかで
ある。
【0113】 好適具体例において:この免疫系構成要素は、レシピエント哺乳動物と同じ種
に由来し;この免疫系構成要素は、レシピエント哺乳動物と異なる種に由来する
【0114】 好適具体例において:このレシピエント哺乳動物は、野生型動物であり;ヒト
の病気のモデル動物(例えば、NODマウス)であり;この動物は、照射、化学療
法又は遺伝的欠損により免疫無防備状態であり(例えば、この動物は、SCID マウス又はヌードマウスである);このレシピエントは、免疫機能不全であり(例
えば、このレシピエントは、胸腺摘出されており、免疫系の構成要素例えば細胞
又は抗体が涸渇している);このレシピエントは、化学療法又は照射を施与され てきている。
【0115】 好適具体例において:免疫系構成要素は、Helios遺伝子座においてヘテ
ロ接合であり;免疫系構成要素は、Helios遺伝子に突然変異(例えば、H elios遺伝子の全部又は部分における点突然変異又は欠失、例えば、DNA
結合領域内の突然変異、例えば、Helios蛋白質のDNA結合を媒介する4
つのN末端ジンクフィンガー領域の少なくとも1つの全部若しくは部分又はHe
lios蛋白質のダイマー形成を媒介する2つのC末端ジンクフィンガー領域の
少なくとも1つにおける点突然変異又は欠失)を有し;免疫系構成要素は、He liosトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;免疫系成分は
、Helios遺伝子の制御領域内に突然変異を有する。
【0116】 好適具体例において:免疫系構成要素は、Aiolos遺伝子座に、転写活性
化又はダイマー形成の一方又は両方を不活性化する突然変異例えば点突然変異又
は欠失を有する(これは、この蛋白質の半減期を減じ、又はC末端ジンクフィン ガードメインの一方若しくは両方を不活性化する)。
【0117】 好適具体例において:この方法をイン・ビボで実施し、レシピエント哺乳動物
若しくはドナー哺乳動物又はその両者を抗原で免疫化する。この抗原は:同種異
系抗原であってよく;異種抗原又は自己抗原であってよく;蛋白質であってよく
;又は抗イディオタイプリンパ球を生じさせる抗原であってよい。
【0118】 好適具体例において、この方法は、更に:免疫系機能に関係するパラメーター
の値を測定することを含む。この免疫系機能に関係するパラメーターは:サイト
カインの産生;免疫系の細胞の増殖又は活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶
解又は細胞溶解性Tリンパ球の活性化;感染抵抗性;寿命;体重;免疫系の組織
又は器官の存在、機能又は形態;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイトカイン 、免疫系の他の細胞、又は抗原)に応答する免疫系構成要素の能力;抗原を提示 する能力;同種異系抗原又は異種抗原に対する免疫寛容を示す能力の何れであっ
てもよい。
【0119】 他の面において、この発明は、Heliosを誤発現する細胞例えば造血細胞
例えばTリンパ球と免疫系成分との相互作用を評価する方法を特徴とする。この
方法は:動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例え
ばラット若しくはマウスを準備し;細胞及び免疫系構成要素をその動物に導入し
;そしてHeliosを誤発現する細胞と免疫系構成要素との間の相互作用を評
価することを含む。
【0120】 好適具体例において、この方法は、更に:細胞の患者への導入の前に、リンパ
球を処理して増殖を阻止する(例えば、細胞を照射することによる)ことを含む。
【0121】 好適具体例において:免疫系構成要素は、T細胞、T細胞前駆細胞、全能性造
血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー細胞
、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織、又は胸腺組織の何れか
であり;免疫系構成要素は、動物と同じ種に由来し;免疫系構成要素は、動物と
異なる種に由来し;免疫系構成要素は、リンパ球と同じ種に由来し;免疫系構成
要素は、リンパ球が得られる種と異なる種に由来する。
【0122】 他の好適具体例において:この細胞は、動物と同じ種に由来し;この細胞は、
動物の種と異なる種に由来する。
【0123】 他の好適具体例において:レシピエント哺乳動物は、野生型動物であり;ヒト
の病気のモデル動物(例えば、NODマウス)であり;動物は、照射、化学療法又
は遺伝的欠損により免疫無防備状態であり(例えば、動物は、SCIDマウス又 はヌードマウスである);レシピエントは、免疫機能不全であり(例えば、レシピ
エントは、胸腺摘出されており、免疫系構成要素例えば細胞又は抗体が涸渇して
いる);レシピエントは、化学療法又は照射を施与されてきている。
【0124】 好適具体例において:細胞は、Heliosトランスジーンについてヘテロ接
合であるか又はホモ接合である。
【0125】 好適具体例において、評価は:サイトカインの産生;免疫系の細胞の増殖又は
活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶解又は細胞溶解性Tリンパ球の活性化;
感染抵抗性;寿命;体重;免疫系の組織又は器官の存在、機能又は形態;刺激( 例えば、拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の細胞、又は抗原)に応答 する免疫系構成要素の能力;抗原を提示する能力;同種異系抗原又は異種抗原に
対する免疫慣用を示す能力の何れかを評価することを含む。
【0126】 好適具体例において:この方法をイン・ビボで実施し、動物、Heliosを
誤発現する細胞のドナー、免疫系構成要素のドナーの少なくとも一を抗原で免役
化する。この抗原は:同種異系抗原であってよく;異種抗原又は自己抗原であっ
てよく;蛋白質であってよく;又は抗イディオタイプリンパ球を生じさせる抗原
であってよい。
【0127】 他の面において、この発明は、外因的に導入された免疫系構成要素を有する哺
乳動物例えば非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又は
ゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスであって、該構成要素が、ヒト又は非ヒ
ト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えば
ラット若しくはマウス、又はHeliosを誤発現し若しくはHelios遺伝
子座に少なくとも1つの変異型対立遺伝子を有する細胞培養物に由来する上記の
哺乳動物を特徴とする。好適具体例において、例えば、もし免疫系構成要素が野
生型動物例えばヒトに由来するならば、Helios統制解除(例えば、Hel ios障害)を生じさせる操作をイン・ビトロで行うことができる。
【0128】 好適具体例において、この構成要素は、ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、
非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウス( Heliosを誤発現するもの)に由来する。
【0129】 好適具体例において:この構成要素は、Heliosを誤発現する哺乳動物に
由来し;この構成要素は、Helios遺伝子座においてヘテロ接合である哺乳
動物に由来し;この構成要素は、Helios遺伝子に突然変異(例えば、He lios遺伝子の全部又は部分における点突然変異又は欠失、例えば、DNA結
合領域における突然変異、例えば、Helios蛋白質のDNA結合を媒介する
4つのN末端ジンクフィンガー領域の少なくとも1つの全部若しくは部分又はH
elios蛋白質のダイマー形成を媒介する2つのC末端ジンクフィンガー領域
の少なくとも1つにおける点突然変異又は欠失)を有する哺乳動物に由来し;こ の構成要素は、Heliosトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合で
ある哺乳動物に由来し;この構成要素は、Helios遺伝子の制御領域内に突
然変異を有する哺乳動物に由来する。
【0130】 好適具体例において:この構成要素は、Helios遺伝子に転写活性化又は
ダイマー形成の一方又は両方を不活性化する突然変異例えば点突然変異又は欠失
を有する(これは、この蛋白質の半減期を減じ、又はC末端ジンクフィンガード メインの一方若しくは両方を不活性化する)哺乳動物に由来する。
【0131】 好適具体例において、免疫系構成要素は:ヘルパーT細胞であり;細胞傷害性
T細胞であり;サプレッサーT細胞であり;少なくとも一の抗炎症性サイトカイ
ン例えばIL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞であり;抗原又
はイディオタイプ特異的なT細胞であり;自己抗体に対して又は同種異系若しく
は異種移植片組織を認識する抗体に対して抗イディオタイプであるサプレッサー
T細胞であり;このリンパ球は、抗原非特異的T細胞である。
【0132】 他の好適具体例において:免疫系構成要素は、T細胞前駆細胞、全能性造血幹
細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー細胞、ナ
チュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織、または胸腺組織の何れかで
あり;免疫系構成要素は、動物と同じ種に由来し;免疫系構成要素は、動物と異
なる種に由来する。
【0133】 好適具体例において:哺乳動物若しくは免疫系構成要素を生成するドナー動物
又は両者を抗原で免疫化する。この抗原は:同種異系抗原であってよく;異種抗
原又は自己抗原であってよく;蛋白質であってよく;抗イディオタイプリンパ球
を生じさせる抗原であってよい。
【0134】 他の面において、この発明は、Heliosを誤発現する細胞を含み又はHe
liosを誤発現し若しくはHelios遺伝子座に少なくとも1つの変異型対
立遺伝子を有する動物若しくは細胞培養物に由来する免疫系構成要素及び標的組
織又は細胞を含む反応混合物好ましくはイン・ビトロ反応混合物を特徴とし(好 ましくは、この免疫系構成要素と標的は、Helios又はIkaros遺伝子
座以外の遺伝子座において、遺伝子型が異なる);この構成要素と標的は、異な る種に由来し、又はこの構成要素と標的は、異なる動物に由来する。
【0135】 好適具体例において、この構成要素は、Heliosを誤発現する動物又は細
胞培養物に由来する。
【0136】 好適具体例において:免疫系構成要素は、Heliosトランスジーン例えば
転写活性化又はダイマー形成の一方又は両方を不活性化する点突然変異又は欠失
(これは、この蛋白質の半減期を減じ、又はC末端ジンクフィンガードメインの 一方若しくは両方を不活性化する)を有するトランスジーンについてヘテロ接合 又はホモ接合であるリンパ球であり;免疫系構成要素は、C末端欠失についてヘ
テロ接合又はホモ接合であるリンパ球である。
【0137】 好適具体例において、免疫系構成要素は:B細胞である。 他の好適具体例において:免疫系構成要素は、T細胞前駆細胞、全能性造血幹
細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー細胞、ナ
チュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の何れかであり
;免疫系構成要素は、標的細胞と同じ種に由来し;免疫系構成要素は、標的細胞
の種と異なる種に由来する。
【0138】 好適具体例において:標的を、T若しくはBリンパ球、マクロファージ、炎症
性白血球例えば好中球若しくは好酸球、単核食細胞、NK細胞又はTリンパ球よ
りなる群から選択し;標的は、抗原提示細胞例えば専門的抗原提示細胞又は非専
門的抗原提示細胞であり;標的は、脾臓組織、リンパ節組織、骨髄組織又は胸腺
組織であり、又は同系、同種異系、異種若しくは類似遺伝子の組織である。
【0139】 好適具体例において:免疫系構成要素のドナー若しくは標的のドナー又は両者
を抗原で免疫化する。この抗原は:同種異系抗原であってよく;異種抗原又は自
己抗原であってよく;蛋白質であってよく;又は抗イディオタイプリンパ球を生
じさせる抗原であってよい。
【0140】 好適具体例において、この構成要素のドナーは:ヒト又は非ヒト哺乳動物例え
ばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくは
マウスである。好適具体例において、例えば、野生型ドナー例えばヒトの場合、
Helios統制解除(例えば、Helios障害)を生じさせる操作をイン・ビ
トロで導入することができる。
【0141】 好適具体例において、標的のドナーは:ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、
非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスで
ある。
【0142】 好適具体例において、この反応混合物は、外来的に加えたサイトカイン又は抗
原例えば蛋白質抗原を含む。
【0143】 他の面において、この発明は、Heliosトランスジーンを含むか、或は、
Helios遺伝子を誤発現する細胞又は細胞の精製された調製物を特徴とする
。この細胞調製物は、ヒト又は非ヒト細胞例えばゲッ歯動物細胞例えばマウス若
しくはラット細胞、ウサギ細胞、又はブタ細胞からなるものであってよい。好適
具体例において、この(又は、これらの)細胞は、Heliosトランスジーン例
えば異種形態のHelios遺伝子例えばヒト由来の遺伝子を含む(非ヒト細胞 の場合)。このHeliosトランスジーンは、誤発現(例えば、過剰発現又は過
少発現)され得る。他の好適具体例において、この(又は、これらの)細胞は、内 因性Helios遺伝子を誤発現する遺伝子(例えば、発現が破壊された遺伝子 、例えばノックアウト)を含む。かかる細胞は、変異した若しくは誤発現される Helios対立遺伝子に関係する病気の研究のためのモデルとして又は薬物ス
クリーニングにおける利用のために役立ち得る。
【0144】 他の面において、この発明は、抗体(例えば、ポリクローナル又はモノクロー ナル抗体)を与える方法を特徴とする。その方法は、下記の含む: Helios統制解除された細胞例えばHeliosを誤発現する(好ましく は、過少発現する)細胞(例えば、造血細胞)を有する哺乳動物例えばマウスを準 備し;そして その動物又はその動物に由来する細胞(例えば、ハイブリドーマ)から抗体を単
離する。
【0145】 好適具体例において:哺乳動物を抗原で免疫化し;細胞を外因的に供給し、哺
乳動物又は細胞を提供する哺乳動物の一方又は両方を抗原で免疫化する。この抗
原は:同種異系抗原であってよく;異種抗原であってよく;自己抗原であってよ
く;蛋白質であってよく;又は抗イディオタイプリンパ球を生じさせる抗原であ
ってよい。好適具体例において、この抗原は、自己抗原であり且つ動物を免疫化
しない。
【0146】 好適具体例において:この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊
長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスである。
【0147】 好適具体例において、この方法は、更に:Heliosを誤発現する細胞を分
裂させ、増殖統制解除された又は抗体を産生する細胞(例えば、リンパ球)を生じ
させることを含む。
【0148】 好適具体例において:増殖統制解除された又は抗体を産生する細胞例えばリン
パ球例えばトランスフォームされたリンパ球は、哺乳動物のリンパ腫から単離さ
れる。
【0149】 好適具体例において:この哺乳動物は、Helios遺伝子に突然変異(例え ば、Helios遺伝子の全部又は部分における点突然変異又は欠失、例えば、
DNA結合領域における突然変異、例えば、Helios蛋白質のDNA結合を
媒介する4つのN末端ジンクフィンガー領域の少なくとも1つの全部若しくは部
分又はHelios蛋白質のダイマー形成を媒介する2つのC末端ジンクフィン
ガー領域の少なくとも1つにおける点突然変異又は欠失)を有し;この哺乳動物 は、Helios遺伝子の制御領域内に突然変異を有する。
【0150】 好適具体例において、この哺乳動物例えばマウスは、ヌル突然変異についてホ
モ接合であり、例えば、それは、Helios遺伝子座において、この蛋白質の
C末端の欠失についてホモ接合である。
【0151】 好適具体例において、この哺乳動物例えばマウスは、ヌル突然変異についてホ
モ接合であり、例えば、それは、Helios遺伝子座において、この蛋白質の
C末端の欠失についてホモ接合であり且つIkarosに突然変異(例えば、I karosにおける優性ネガティブ突然変異)を含む。好ましくは、このIka ros突然変異は、ヘテロ接合である。
【0152】 好適具体例において:この哺乳動物は、Helios遺伝子に、転写活性化又
はダイマー形成の一方又は両方を不活性化するホモ接合の突然変異例えば点突然
変異又は欠失を有する(これは、この蛋白質の半減期を減じ、又はC末端ジンク フィンガードメインの一方若しくは両方を不活性化する)。
【0153】 好適具体例において:増殖統制解除された又は抗体を産生する細胞は、ホモ接
合の変異型Helios細胞例えばリンパ球であり;増殖統制解除された又は抗
体を産生するリンパ球は、Bリンパ球であり;増殖統制解除された又は抗体を産
生する細胞は、Heliosトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合で
ある。
【0154】 好適具体例において、この細胞は、リンパ球であり且つ:少なくとも一の抗炎
症性サイトカインを分泌する細胞であり;抗原又はイディオタイプ特異的な細胞
であり;抗体例えばIgG、IgA又はIgE抗体を産生し又は過剰産生する細
胞である。
【0155】 好適具体例において:Heliosを誤発現する細胞(例えば、リンパ球)を、
外因的に、哺乳動物に、例えば、ホモ接合の野生型Helios哺乳動物又はH
elios遺伝子に突然変異(例えば、Helios遺伝子の全部又は部分にお ける点突然変異又は欠失)を有する哺乳動物に供給する。外因的に供給するので あれば、その細胞は、ヒトの又は非ヒトの、例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサ
ル、ヤギ、又はゲッ歯動物例えばラット若しくはマウスのリンパ球であってよい
。この外因的に供給される細胞は、ヌル突然変異についてホモ接合であってよく
、例えば、Helios遺伝子座において、その蛋白質のC末端の欠失について
ホモ接合であってよい。この外因的に供給される細胞は、ヌル突然変異について
ホモ接合であり、例えば、Helios遺伝子座において、その蛋白質のC末端
の欠失についてホモ接合であり且つIkarosに突然変異(例えば、Ikar osにおける優性ネガティブ突然変異)を含んでよい。好ましくは、このIka ros突然変異は、ヘテロ接合である。
【0156】 好適具体例において、この方法は、更に、少なくとも1つの細胞例えばリンパ
球を哺乳動物から単離して、その(それらの)細胞を増殖させて、細胞(例えば、 リンパ球)の単クローン性集団とすることを含む。
【0157】 好適具体例において、この方法は、更に、少なくとも1つの細胞例えばリンパ
球を哺乳動物から単離して、その(それらの)細胞を増殖させて、細胞(例えば、 リンパ球)の単クローン性集団とすること及びそれから抗体を単離することを含 む。
【0158】 好適具体例において、この動物からの細胞を、第2の細胞と融合させて、ハイ
ブリドーマを与える。
【0159】 好適具体例において、この動物からの細胞を、第2の細胞と融合させて、ハイ
ブリドーマを与え、そのハイブリドーマから抗体を単離する。
【0160】 この発明の方法により処理した細胞例えば幹細胞を、哺乳動物例えばヒト、非
ヒト霊長類その他の哺乳動物例えばゲッ歯動物に導入することができる。好適具
体例において、この処理を、エキス・ビボで行い且つ:この細胞は、自家性であ
り、例えばそれは、それが得られた同じ個体に戻され;この細胞は、同種異系で
あり、即ちそれは、それが投与される哺乳動物と同じ種に由来し;この細胞は、
異種性であり、即ちそれは、それが投与される哺乳動物と異なる種に由来する。
【0161】 Helios統制解除された細胞は、変異型の又は誤発現されるHelios
遺伝子(例えば、不活性化されたHelios遺伝子)を有する細胞である。
【0162】 造血細胞は、例えば幹細胞例えば全能性若しくは多能性幹細胞、又は幹細胞の
子孫例えばリンパ球例えばBリンパ球若しくはTリンパ球であってよい。
【0163】 Heliosを誤発現する動物は、ここで用いる場合、少なくとも1つの、好
ましくは実質的にすべての細胞がHeliosを誤発現する動物である。
【0164】 Helios遺伝子座における突然変異は、ここで用いる場合、Helios
遺伝子又はその遺伝子産物の発現、構造又は活性を変える任意の突然変異を含む
。これらは、Heliosのコード領域又は制御領域の全部又は部分の点突然変
異及び特に欠失を含む。
【0165】 外因的に供給された細胞、組織又は細胞生成物(例えば、サイトカイン)は、こ
こで用いる場合、それが供給され又は投与された動物以外の動物に由来する細胞
、組織又は細胞生成物である。それは、それが供給される動物と同じ種に由来し
てもよいし、異なる種に由来してもよい。
【0166】 2つ以上の細胞(例えば、リンパ球)の実質的に均質な集団は、ここで用いる場
合、細胞の少なくとも50%、一層好ましくは少なくとも70%、一層好ましく
は少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%又は99%が主
題の細胞型(例えば、リンパ球)である細胞の集団を意味する。しかしながら、H
elios遺伝子座に関しては、これらの細胞は、すべて(+/−)、すべて(− /−)、又は(+/−)細胞と(−/−)細胞との混合物であってよい。
【0167】 培養は、ここで用いる場合、細胞又は組織を、その細胞又は組織の生存力を支
持し且つ好ましくはその細胞又は組織の増殖を支持する環境に接触させることを
意味する。
【0168】 細胞(例えば、リンパ球)の実質的に精製された調製物は、ここで用いる場合、
細胞の少なくとも50%、一層好ましくは少なくとも70%、一層好ましくは少
なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%又は99%が主題細
胞(例えば、リンパ球)である細胞の調製物を意味する。しかしながら、Heli
os遺伝子座に関しては、これらの細胞は、すべて(+/−)、すべて(−/−)、
又は(+/−)細胞と(−/−)細胞との混合物であってよい。
【0169】 免疫無防備状態化されたとは、ここで用いる場合、免疫系の少なくとも一面が
野生型哺乳動物において認められるレベルより低レベルで機能する哺乳動物をい
う。この哺乳動物は、化学療法により、照射により、又は例えばヌード、ベージ
ュ、ヌードベージュ若しくはIkaros表現型を生じる遺伝的欠損により免疫
無防備状態化され得る。この哺乳動物は又、後天的疾患により、例えばウイルス
により、例えばHIVによっても免疫無防備状態化され得る。
【0170】 ここで用いる場合、Heliosトランスジーンは、Heliosコード配列
又は調節配列の全部又は部分を含むトランスジーンである。この用語は又、ゲノ
ムに組み込まれた場合にHelios遺伝子座を破壊するか或は突然変異を誘発
するDNA配列をも包含する。組み込まれたときにHelios遺伝子の全部又
は部分の欠失を生じるHeliosトランスジーン配列。組込みに際して内因性
Helios遺伝子の誤発現を生じ;組込みに際して細胞中のHelios遺伝
子の更なるコピーを生じ;組込みに際して非Helios遺伝子をHelios
調節領域の制御下に置くトランスジーンが包含される。Heliosトランスジ
ーンの誤発現(野生型と比べて)を生じる突然変異例えば欠失その他の突然変異を
有するHelios遺伝子のコピーを含み;Helios遺伝子の機能的コピー
(即ち、野生型の活性例えばT、B又はNK細胞の発生を支持する能力の少なく とも5%を有する配列)を含み;機能的(即ち、野生型活性の少なくとも5%例え
ば転写の野生型レベルの少なくとも5%を有する)又は非機能的(即ち、野生型活
性の5%未満例えば転写の野生型レベルの5%未満を有する)Helios調節 領域{これは、(適宜)野生型若しくは変異型Helios遺伝子産物又はHel ios遺伝子産物以外の遺伝子産物(例えば、レポーター遺伝子、毒素遺伝子又 はHeliosが発現される組織又は発生ステージで発現されるべき遺伝子)を コードする核酸配列に操作可能に結合され得る}を含むトランスジーンも包含さ れる。好ましくは、このトランスジーンは、天然のHelios配列と少なくと
も50、60、70、80、90、95又は99%の相同性を有する少なくとも
10、20、30、40、50、100、200、500、1,000又は2,
000塩基対を含む。好ましくは、このトランスジーンは、Helios遺伝子
のエキソン3及び4の全部又は幾らかに欠失を含み、又はHelios遺伝子の
エキソン7の幾らか若しくは全部に欠失を含む。
【0171】 「異種プロモーター」は、ここで用いる場合、自然においてHelios遺伝
子と結合されていないプロモーターである。
【0172】 Heliosポリペプチド又はその断片若しくは類似体(或はHelios− Helios又はHelios−Ikarosダイマー)の「精製された調製物 」又は「実質的に純粋な調製物」は、ここで用いる場合、Heliosポリペプ
チド(或はHelios−Helios又はHelios−Ikarosダイマ ー)が自然において共存している少なくとも一種の蛋白質脂質及び核酸を含まな いHeliosポリペプチド又はその断片若しくは類似体(或はHelios− Helios又はHelios−Ikarosダイマー)を意味する。好ましく は、このポリペプチド又はその断片若しくは類似体(或はHelios−Hel ios又はHelios−Ikarosダイマー)は又、それを精製するために 用いられた物質例えば抗体又はゲルマトリクス(例えば、ポリアクリルアミド)か
らも分離されている。好ましくは、このポリペプチド又はその断片若しくは類似
体(或は、Helios−Helios又はHelios−Ikarosダイマ ー)は、精製された調製物の少なくとも10、20、50、70、80又は95 重量%(乾量)を構成する。好ましくは、この調製物は:蛋白質の配列決定を可能
にするのに十分なポリペプチドを含有し;少なくとも1、10又は100gのポ
リペプチドを含有し;少なくとも1、10又は100mgのポリペプチドを含有
する。
【0173】 「細胞の精製された調製物」は、ここで用いる場合、植物又は動物細胞の場合
には、細胞のイン・ビトロ調製物をいい、完全な無傷の植物又は動物をいうので
はない。培養細胞又は微生物細胞の場合には、それは、少なくとも10%の、一
層好ましくは少なくとも50%の主題細胞の調製物よりなる。
【0174】 「処理」は、ここで用いる場合、任意の治療的処理例えば治療剤又は治療用物
質(例えば、薬物)の投与を包含する。
【0175】 「実質的に純粋な核酸」例えばHeliosポリペプチドをコードする実質的
に純粋なDNAは、次の一方又は両方である核酸である:その核酸が得られた生
物の天然のゲノム中でそれが直接に隣接しているコード鎖(即ち、5’末端側の ものと3’末端側のもの)の一方又は両方と直接に隣接せず;又はその核酸が得 られた生物中で共存していた核酸配列を実質的に含まない。この用語は、例えば
、ベクター中に(例えば、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルス中に、 又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA中に)取り込まれた組換えDNA 、又は他のDNA配列とは独立して別個の分子として存在する組換えDNA(例 えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ処理により生成されたcDNA又はゲ
ノムDNA断片)を包含する。実質的に純粋なDNAは又、更なるHelios 配列をコードする雑種遺伝子の部分である組換えDNAをも包含する。
【0176】 「相同」は、ここで用いる場合、2つのポリペプチド分子間又は2つの核酸分
子間の配列類似性をいう。2つの比較される配列の両方の1つの位置が同じ塩基
又はアミノ酸モノマーサブユニットで占められているならば、例えば2つのDN
A分子の各々の1つの位置がアデニンで占められているならば、それらの分子は
、その位置で相同である。2つの配列間の相同性のパーセントは、それら2つの
配列に共有されるマッチし又は相同な位置の数を比較された位置の数で除して1
00倍したものの関数である。例えば、2つの配列中の10の位置の内の6がマ
ッチし又は相同であるならば、これらの2つの配列は、60%相同である。例と
して、DNA配列ATTGCCとTATGGCは、50%相同性を共有する。一
般に、比較は、2つの配列を最大の相同性を与えるように整列させて行う。
【0177】 2つのアミノ酸配列又は2つの核酸の相同性パーセントを測定するには、それ
らの配列を最適の比較目的のために整列させる(例えば、第1のアミノ酸又は核 酸配列中にギャップを導入して第2のアミノ酸又は核酸配列との最適のアライン
メントとすることができる)。次いで、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド 位置でアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。一方の配列(SEQ ID NO:2)中
の1つの位置が他方の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチ
ドで占められているならば、これらの分子は、その位置で相同である(即ち、こ こで用いる場合、アミノ酸又は核酸の「相同性」は、アミノ酸又は核酸の「同一
性」と同等である)。2つの配列間の相同性パーセントは、それらの配列に共有 される同一である位置の数の関数である(即ち、相同性%=同一の位置の数/位 置の総数×100)。例えば、2つの配列中の10の位置の内の6がマッチし又 は相同であるならば、これら2つの配列は、60%相同であり又は60%の配列
同一性を有する。例として、DNA配列ATTGCCとTATGGCは、50%
相同性又は配列同一性を共有する。一般に、比較は、2つの配列を最大の相同性
又は配列同一性を与えるように整列させて行う。
【0178】 配列の比較及び2つの配列間の相同性パーセントの測定は、数学的アルゴリズ
ムを用いて達成することができる。2つの配列の比較に用いられる数学的アルゴ
リズムの非制限的例は、Karlin及びAltschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:2
264-68のアルゴリズム(Karlin及びAltschul (1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5
873-77において改変)である。かかるアルゴリズムは、Altschul等(1990)J.Mol.B
iol.214:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)
に取り込まれている。胚ヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム(スコア =100、ワード長―12)を用いて行って、この発明の核酸と相同なヌクレオ チド配列を得ることができる。BLAST蛋白質検索を、XBLASTプログラ
ム(スコア=50、ワード長=3)を用いて行って、この発明の蛋白質分子と相同
なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップを入れたアライ
ンメントを得るためには、Altschul等(1997)Nucleic Acids Research 25(17):33
89-3402に記載されたように、ギャップトBLASTを利用することができる。 BLAST及びギャップトBLASTプログラムを利用する場合には、それぞれ
のプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータ
ーを用いることができる。http:\\www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。配
列の比較に用いられる他の好適な数学的アルゴリズムの非制限的例は、Myers及 びMiller,CABIOS(1989)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG シーケンスアラインメントソフトウェアパッケージの部分であるALIGNプロ
グラム(バージョン2.0)に取り込まれている。アミノ酸配列を比較するために
ALIGNプログラムを利用する場合には、PAM120重み残基表、ギャップ
長ペナルティー12及びギャップペナルティー4を用いることができる。それら
が生成する結果に関して同等であるプログラムは、用いることができる。
【0179】 用語「ペプチド」、「蛋白質」及び「ポリペプチド」は、ここでは、交換可能
に用いる。
【0180】 ここで用いる場合、用語「トランスジーン」は、それが導入されたトランスジ
ェニック動物若しくは細胞に対して部分的に若しくは完全に異種性である(即ち 、外来性の)核酸配列(例えば、少なくとも一のHeliosポリペプチド又はH
elios−Ikarosダイマー)又はそれが導入されたトランスジェニック 動物若しくは細胞の内因性遺伝子に相同であるが、それが挿入された細胞のゲノ
ムが変化するような仕方でその動物のゲノムに挿入されるようにデザインされた
若しくは挿入された核酸配列(例えば、それは、天然の遺伝子と異なる位置に挿 入され又はその挿入はノックアウトを生じる)を意味する。トランスジーンは、 少なくとも1つの転写調節配列及び選択した核酸の最適な発現に必要であり得る
任意の他の核酸例えばイントロン(すべて選択した核酸に操作可能に結合される)
を含むことができ、そしてエンハンサー配列を含むことができる。
【0181】 ここで用いる場合、用語「トランスジェニック細胞」は、トランスジーンを含
む細胞である。
【0182】 ここで用いる場合、「トランスジェニック動物」は、細胞の少なくとも1つ好
ましくは本質的に全部がトランスジーンを含む任意の動物である。このトランス
ジーンは、意図的な遺伝子操作により(例えば、マイクロインジェクション又は 組換えウイルスの感染により)、直接または間接的に前駆細胞への注入により細 胞に導入することができる。この分子は、染色体中に組み込まれ得て、或は、染
色体外で複製するDNAであってよい。
【0183】 ここで用いる場合、用語「組織特異的プロモーター」は、プロモーターとして
役立ち(即ち、そのプロモーターに操作可能に結合されたHelios及び/又 はIkaros遺伝子等の選択したDNA配列の発現を調節する)、そして選択 したDNA配列の組織の特異的細胞(例えば、リンパ球)における発現を達成する
DNA配列を意味する。この用語は又、主に一の組織において選択したDNAの
発現を調節するが、他の組織においても発現を引き起こす、いわゆる「漏出性」
プロモーターをもカバーする。
【0184】 ポリペプチドは、もしそれが、次の特性の少なくとも1つを有するならば、H
eliosの生物学的活性を有する:(1)(a)野生型Heliosポリペプチド
、(b)天然の変異型Heliosポリペプチド又は(c)(a)若しくは(b)の何れ
かの断片に特異的な抗体又は抗体断片と反応する能力;(2)Heliosダイマ
ー、Helios/アイオロス、及び/又はHelios/Ikarosダイマ
ーを形成する能力;(3)造血幹細胞の発生を調節する能力;(4)配列からの転写
を刺激する能力;又は(5)(1)、(2)、(3)若しくは(4)に列記した活性のアン
タゴニスト又はアゴニストとして作用する能力。
【0185】 「誤発現」は、ここで用いる場合、非野生型パターンのHelios遺伝子発
現をいう。それは:非野生型レベルでの発現(即ち、過剰又は過少発現);遺伝子
が発現される時期又はステージに関して野生型と異なる発現のパターン(例えば 、予め決められた発生の時期又はステージにおける野生型と比較して増大した又
は減少した発現);予め決められた細胞型又は組織型における野生型と比較して 減少した発現により野生型と異なる発現パターン;発現されたHelios及び
/又はIkarosポリペプチドのスプライシング、サイズ、アミノ酸配列、過
渡後修飾、安定性、又は生物学的活性に関して野生型と異なる発現パターン;H
elios及び/又はIkaros遺伝子の発現に対する環境刺激又は細胞外刺
激に関して野生型と異なる発現のパターン(例えば、刺激の強度の増大又は減少 の存在下での野生型と比較して増大した又は減少した発現のパターン);野生型 と異なるIkaros−IkarosダイマーのHelios−Heliosダ
イマーに対する比;野生型と異なるHeliosの、Helios−Helio
sダイマー、Ikaros−Ikarosダイマー又はIkaros−Heli
osダイマーに対する比;野生型と異なるIkaros−Heliosダイマー
の、Helios、Ikaros、Helios−Heliosダイマー又はI
karos−Ikarosダイマーに対する比を包含する。
【0186】 ここに記載のように、この発明の一つの面は、Heliosをコードするヌク
レオチド配列を含む純粋な(又は、組換えの)核酸及び/又はかかる核酸の同等物
を特徴とする。用語「核酸」は、ここで用いる場合、断片及び同等物を包含し得
る。用語「同等物」は、機能的に同等なポリペプチドをコードするヌクレオチド
配列又は例えばHeliosポリペプチドに特異的な抗体と反応する能力を保持
している機能的に同等なポリペプチドをいう。同等なヌクレオチド配列は、少な
くとも1つのヌクレオチドの置換、付加又は欠失により異なる配列(例えば、対 立遺伝子変異物)を包含し、従って、遺伝コードの縮重によりSEQ ID NO:1、SEQ
ID NO:3又はSEQ ID NO:6に示したHeliosのヌクレオチド配列と異なる 配列を包含する。
【0187】 本発明の実施においては、別途指示しない限り、細胞生物学、細胞培養、分子
生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の慣用
の技術を用いる(これらは、当業者の技術範囲内にある)。かかる技術は、文献に
記載されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第二版、S
ambrook, Fritsch及びManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989
);DNA Cloning, I及びII巻(D.N.Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis
(M.J.Gait編、1984);Mullis等、米国特許第4,683,195号;Nucleic Ac
id Hybridization(B.D.Hames及びS.J.Higgins編、1984);Transcription And Tr
anslation(B.D.Hames及びS.J.Higgins編、1984);Culture Of Animal Cells(R.I
.Freshney, Alan R.Liss,Inc.,1987);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Pre
ss,1986);B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);学術論 文、Methods In Enzymology(Academic Press, Inc.,N.Y.);Gene Transfer Vect
ors For Mammalian Cells(J.H.Miller and M.P.Calos編、1987,Cold Spring Har
bor Laboratory);Methods In Enzymology, 154及び155巻(Wu等編)、Immunochem
ical Methods In Cell And Molecular Biology(Mayer及びWalker編、Academic P
ress, London,1987) ;Handbook Of Experimental Immunology, I-IV巻(D.M.Wei
r及びC.C.Blackwell編、1986);Manipulating the Mouse Embryo,(Cold Spring
Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)を参照されたい。
【0188】 本発明のHelios遺伝子及びポリペプチドは、望ましくない細胞増殖と関
係する病気例えば白血病又はリンパ腫を研究し、診断し及び/又は治療するのに
有用である。この遺伝子(及びその断片)を用いて、望ましくない機能を有するポ
リペプチドをコードする変異型又は野生型のHelios遺伝子の発現を阻止す
ることのできるアンチセンス構築物を製造することができる。或は、Helio
sポリペプチドを用いて、異常な細胞増殖又はリンパ球分化(例えば、T細胞成 熟)と関係する蛋白質又は蛋白質レベルを検出することのできる抗体を高めるこ とができる。更に、Heliosペプチド、抗体又は核酸を用いて、リンパ球分
化のステージ(例えば、T細胞分化のステージ)を同定することができる。
【0189】 この発明の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明及び請求の範囲から明らか
となろう。
【0190】発明の詳細な説明 遺伝子療法 本発明の遺伝子構造体を、アゴニスト又はアンタゴニストとしてのHelio
sポリペプチドをコードする核酸を投与する遺伝子療法プロトコルの一部として
用いることもできる。本発明は、生体内トランスフェクション用の発現ベクター
、及び特定の型の細胞(例えば皮膚細胞)内で行うHeliosポリペプチドの
発現を特徴とする。これを用いることによって、ポリペプチドが発現される又は
誤発現される(misexpressed)細胞内において、Heliosポリペプチドの機
能が再構成されるか、向上されるか又は打ち消される。
【0191】 Heliosポリペプチドの発現構造体は、生物学的に有効なあらゆる担体(
例えばHelios遺伝子を生体内で細胞に効果的に運搬することのできる全て
の配合又は組成物)で投与することができる。その方法として、ウイルスベクタ
ー(例えば組替えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス及び単
純性疱疹ウイルス1等)、或いは組替えバクテリア又は真核細胞プラスミドに、
目的の遺伝子を挿入する方法がある。ウイルスベクターは細胞を直接トランスフ
ェクトする。これに対しプラスミドDNAは、例えばカチオン性リポソーム(リ
ポフェクチン)或いは変性(例えば抗体結合の)ポリリジン結合体、グラミシジ
ンS、人工ウイルスエンベロープ又は他のそのような細胞内担体等による補助を
介して運搬されるか、或いは遺伝子構造体の直接投与又は生体内で行われるCa
PO4沈降によって運搬される。
【0192】 生体内での細胞内への核酸導入の好ましい方法としては、核酸(例えばHel
iosポリペプチドをコードするcDNA)を含むウイルスベクターを用いる方
法が挙げられる。ウイルスベクターを用いた細胞感染には、標的細胞の殆どが核
酸を受け取ることができるという利点がある。さらに、ウイルスベクター内で(
例えばウイルスベクター内に含まれるcDNAによって)コードされる分子は、
ウイルスベクター核酸を取り込んだ細胞内で効率的に発現される。
【0193】 レトロウイルスベクター及びアデノ関連ウイルスベクターは、外来性遺伝子を
生体内(特にヒト内)に導入するための組替え遺伝子運搬系として用いることが
できる。これらのベクターは遺伝子を細胞内に効率的に運搬する。導入された核
酸は宿主の染色体DNA内に安定的に統合される。複製に欠陥のあるレトロウイ
ルスのみを産生する特異的細胞系(「パッケージング細胞」と称する)が開発さ
れており、これによって遺伝子療法用のレトロウイルスの有用性が高まった。欠
陥レトロウイルスは、遺伝子療法を目的とした遺伝子導入に用いられることで知
られる[例えばMiller,A.D.(1990)Blood76、271参
照]。複製欠陥レトロウイルスをビリオン内にパッケージングしたものを、ヘル
パーウイルスを用いた標準法によって標的細胞を感染するのに用いることができ
る。組替えレトロウイルスの産生方法のプロトコル、及びそれらのウイルスを用
いた生体外又は生体内での細胞感染のプロトコルは、Current Prot
ocols in Molecular Biology、Ausubel,F
.M.他(編)、Greene Publishing Associates
(1989)、9.10−9.14及び他の標準的実験マニュアルに記載がある
。好適なレトロウイルスの例としては、当分野で公知のpLJ、pZIP、pW
E及びpEMが挙げられる。環境栄養性及び両栄養性レトロウイルス系の両方を
調製するのに好適なパッケージングウイルス系の例としては、ΨCrip、ΨC
re、Ψ2及びΨAmが挙げられる。レトロウイルスは様々な遺伝子を様々な細
胞(例えば上皮細胞)に生体外及び/又は生体内で導入するのに用いられている
[例えばEglitis他(1985)Science230:1395−13
98;Danos及びMulligan(1988)Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA85:6460−6464;Wilson他(1988)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:3014−3018;A
rmentano他(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.US
A87:6141−6145;Huber他(1991)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA88:8039−8043;Ferry他(1991
)Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:8377−8381;
Chowdhury他(1991)Scinece254:1802−1805
;van Beusechem他(1992)Proc.Natl.Acad.
Sci.USA89:7640−7644;Kay他(1992)Human
Gene Therapy3:641−647;Dai他(1992)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA89:10892−10895;Hwu
他(1993)J.Immunol.150:4104−4115;米国特許第
4,868,116号;米国特許第4,980,286;PCT出願WO89/
07136;PCT出願WO89/02468;PCT出願WO89/0534
5;及びPCT出願WO92/07573参照]。
【0194】 本発明に有用な他のウイルス遺伝子運搬系はアデノウイルス由来のベクターを
用いるものである。目的の遺伝子産物をコードし発現するが、通常の溶菌サイク
ル中に複製する能力をあらわさないように、アデノウイルスのゲノムを処理する
ことができる[例えばBerkner他(1988)BioTecniques
6:616;Rosenfeld他(1991)Science252:431
−434;及びRosenfeld他(1992)Cell68:143−15
5参照]。アデノウイルス株Ad亜属5型dl324又はアデノウイルスの他株
(例えばAd2、Ad3、Ad7等)に由来する好適なアデノウイルスベクター
は、当分野において公知である。細胞分裂しない細胞を感染できないこと、上皮
細胞を含む非常に多様な細胞の感染に用いることができることから、組替えアデ
ノウイルスはある種の環境において利点を有する[Rosenfeld他(19
92)上述参照]。その上更に、ウイルス粒子は精製及び濃縮に対して比較的安
定で反応性がよく、上記したように広い感染性を有すように改変することができ
る。加えて、導入されたアデノウイルスDNA(及びそこに含まれる外来DNA
)は宿主細胞のゲノムに統合されることなくエピソームにとどまる。その結果、
導入されたDNA(例えばレトロウイルスDNA)が宿主ゲノムに統合された場
合に起こりうる、挿入突然変異誘発による問題を回避することができる。その上
更に、アデノウイルスゲノムの外来DNA容量(〜8キロベース)は、他の遺伝
子運搬ベクターに比較して大きい[Berkner他、上述;Haj−Ahma
nd及びGraham(1986)J.Virol.57:267]。
【0195】 目的のHelios遺伝子を運搬するのに有用な他のウイルスベクターは、ア
デノ関連ウイルス(AAV)である。アデノ関連ウイルスは、効率的な複製及び
増殖サイクルのために、他のウイルス(例えばアデノウイルスやヘルペスウイル
ス)をヘルパーウイルスとして必要とする、天然に存在する欠陥ウイルスである
[Muzyczka他、Curr.Topics in Micro. and Immunol.(1992)158:97−129参照]。アデノ関連ウイ
ルスは更に、細胞分裂しない細胞のDNAに、安定的に高頻度で統合する数少な
いウイルスの一つである[例えばFlotte他(1992)Am.J.Res
pir.Cell.Mol.Biol.7:349−356;Samulski
他(1989)J.Virol.63:3822−3828;及びMcLaug
hlin他(1989)J.Virol.62:1963−1973]。300
塩基対程の小さなAAVを含むベクターはパッケージング及び統合することがで
きる。外来DNA用の空間は約4.5kbに制限されている。例えばTrats
chin他(1985)Mol.Cell.Biol.5:3251−3260
に記載のAAVベクターを用いて、DNAを細胞に導入することができる。様々
な核酸が、AAVベクターを用いて様々な種類の細胞に導入されている[例えば
Hermonat他(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.US
A81:6466−6470;Tratschin他(1985)Mol.Ce
ll.Biol.4:2072−2081:Wondisford他(1988
)Mol.Endocrinol.2:32−39;Tratschin他(1
984)J.Virol.51:611−619;及びFlotte他(199
3)J.Biol.Chem.268:3781−3790]。
【0196】 上記したウイルス導入方法に加えて、ウイルスを用いない方法を用いて、哺乳
類(例えばヒト等)組織中でHeliosポリペプチドの発現を引き起こすこと
もできる。ウイルスを用いない遺伝子導入法の殆どは、哺乳類細胞が高分子の摂
取及び細胞内輸送を行うのに用いている通常の機能に依存している。好ましい態
様においては、本発明のウイルスを用いない遺伝子運搬系は、目的のHelio
s遺伝子を標的細胞に摂取させるのに、エンドサイトーシス回路に依存している
。この種の遺伝子運搬系の例としては、リポソーム由来系、ポリリジン結合体、
及び人工ウイルスエンベロープが挙げられる。
【0197】 代表的な態様においては、Heliosポリペプチドをコードする遺伝子は、
(例えばリポフェクチンなどの)表面に陽電荷を帯びた、(場合によっては)標
的組織の細胞表面抗原に対する抗体で標識化したリポソームに閉じ込めることが
できる[Mizuno他(1992)脳神経外科20:547−551;PCT
公開番号WO91/06309;日本国特許出願第1047381;及び欧州特
許公開番号EP−A−43075参照]。
【0198】 臨床上では、当分野で公知の方法を何種類でも組合せて、治療用Helios
遺伝子運搬系を患者に導入することができる。例えば、遺伝子運搬系の薬剤調製
物を全身に(例えば静脈注射によって)導入することができ、遺伝子運搬ビーク
ル;受容体遺伝子の発現を制御する転写調節配列による細胞型又は組織型発現;
又はその組合せによって提供されるトランスフェクションの特異性が要因となっ
て、標的細胞への蛋白質の特異的な形質導入が支配的に起こる。他の態様におい
ては、動物への投与が極めて局所的であるため、組替え遺伝子の初期投与はより
制限されている。例えば、遺伝子運搬ビークルをカテーテル(米国特許第5,3
28,470号参照)又は定位注射(例えばChen他(1994)PNAS9
1:3054−3057参照)によって導入することができる。本発明の好まし
い態様においては、Helios遺伝子は造血細胞を標的にする。
【0199】 遺伝子療法用構造体の薬剤調製物は、許容可能な希釈剤中の遺伝子運搬系から
実質的に構成することができるか、或いは遺伝子運搬ビークルが埋め込まれてい
る緩効性の基質を包含することができる。又、遺伝子運搬系全体が組替え細胞か
ら未反応で産生される場合(例えばレトロウイルスベクター)、薬剤調製物は遺
伝子運搬系を産生する1以上の細胞を包含することができる。
【0200】 アンチセンス療法 本発明の他の特徴は、単離した核酸を「アンチセンス」療法に用いることに関
する。ここでいう「アンチセンス」療法とは、Heliosポリペプチド又はそ
の突然変異体をコードする細胞mRNA及び/又はゲノムDNAと細胞内条件下
で特異的にハイブリダイズ(例えば結合)する、オリゴヌクレオチド又はそれら
の誘導物の投与又はインシトゥーな産生のことをいう。これらのオリゴヌクレオ
チド又は誘導物は、例えば転写及び/又は翻訳を阻害することによって、コード
された蛋白質の発現を阻害する。結合は従来の塩基対相補性によるものであって
もよいし、DNA二重鎖に結合する場合には、二重螺旋の主要溝における特異的
な相互作用によるものであってもよい。一般に、「アンチセンス」療法とは、当
分野において一般に用いられている一連の方法のことをいい、オリゴヌクレオチ
ド配列への特異的な結合に依存する全ての療法を含む。
【0201】 一つの態様においては、アンチセンス構造体は、(例えば遺伝子の発現に関与
する)天然Helios遺伝子配列に結合する。これらの配列の例としては、開
始コドン、停止コドン及びRNAプライマー結合部位が挙げられる。
【0202】 別の態様においては、アンチセンス構造体は、野生型遺伝子中に存在しないヌ
クレオチド配列に結合する。例えばアンチセンス構造体は、外因性の非野生型配
列を挿入したHelios遺伝子の領域に結合することができる。或いはHel
ios遺伝子において欠失があった領域、すなわち通常は一緒に位置することが
ない2つの遺伝子領域が結合されて新たに形成された非野生型配列に、アンチセ
ンス構造体は結合することができる。
【0203】 被験者に生体内投与される場合、非野生型配列に結合するアンチセンス構造体
が、野生型Helios遺伝子の発現を阻害することなく、突然変異Helio
s遺伝子の発現を阻害するという利点がある。
【0204】 本発明のアンチセンス構造体は例えば、細胞内で転写される時に、Helio
sポリペプチドをコードする細胞mRNAの少なくともユニーク部位に相補性を
有するRNAを産生する発現プラスミドとして用いることができる。或いはアン
チセンス構造体は、エクスビボで産生されて、細胞内に導入された場合にHel
ios遺伝子のmRNA及び/又はゲノム配列とハイブリダイズして発現を阻害
する、オリゴヌクレオチドプローブである。このようなオリゴヌクレオチドプロ
ーブは、内因性ヌクレアーゼ(例えばエキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌク
レアーゼ)に耐性を有する、従って生体内で安定するように改変さたオリゴヌク
レオチドであることが好ましい。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして用いら
れる核酸分子の例としては、DNAのホスホルアミデート、ホスホチオアート及
びメチルホスホネート類似体が挙げられる(米国特許第5,176,996号、
第5,264,564号及び第5,256,775号参照)。加えて、アンチセ
ンス療法に有用なオリゴマーを作成する一般的方法は、例えばVan der
Krol他(1988)Biotechniques6:958−976;及び
Stein他(1998)Cancer Res48:2659−2668に記
載がある。
【0205】 従って本発明の改変オリゴマーは、療法、診断、研究の分野において有用であ
る。療法においては、一般的なアンチセンス療法に適した方法でオリゴマーを利
用する。そのような療法においては、本発明のオリゴマーを様々な投与(例えば
全身及び局所投与)向けに配合することができる。全身投与の場合、筋肉内、静
脈内、腹腔内及び皮下等の注射が好ましく、本発明のオリゴマーを液体溶液、好
ましくは生理学的適合性を有する緩衝液(例えばハンクス液又はリンゲル液)に
配合することができる。さらに、オリゴマーを固形で配合して、使用直前に再溶
解又は懸濁してもよい。冷凍乾燥の形態も本発明に含まれる。
【0206】 化合物は経口、又は経粘膜又は経皮で投与することができる。経粘膜又は経皮
投与については、浸透対象となるバリアに対して適当な浸透剤が配合に用いられ
る。このような浸透剤は当分野で公知のものを用いることができ、例として経粘
膜投与胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体、並びに洗浄剤が挙げられる。経粘膜投与
は、スプレー式点鼻薬を用いて行ってもよいし、座薬を用いてもよい。経口投与
においては、オリゴマーを例えばカプセル、タブレット及び強壮剤などの従来の
経口投与形態に配合する。局所投与においては、本発明のオリゴマーを軟膏、軟
膏剤、ゲル、又はクリームなどの従来公知の形態に配合する。
【0207】 療法における使用に加えて、本発明のオリゴマーを、特異的結合によって標的
DNA又はRNA配列の存在又は不在を調べる診断試薬として用いることもでき
る。
【0208】 本発明のアンチセンス構造体は、Helios遺伝子の発現に拮抗させること
によって、生体内又はエクスビボの細胞培養処理に用いることができる。
【0209】 トランスジェニック動物 本発明は、Heliosトランスジーンを含み、好ましくは(場合によっては
)1個以上の細胞中で外因性又は内因性Helios遺伝子を発現(又は誤発現
)する細胞を含むトランスジェニック動物を含む。 Heliosトランスジーンは突然変異Heliosポリペプチドをコードする
ことができる。このような遺伝子を含む動物は、疾患モデル動物として用いるこ
とができ、あるいはHeliosの誤発現の修正に効果的な作用薬をスクリーン
するのに用いることができる。あるいは、Heliosトランスジーンは野生型
蛋白質をコードすることができるか、又はその同族体(アゴニスト、アンタゴニ
スト、及びアンチセンス構造体等)をコードすることができる。好ましい態様に
おいてはトランスジーンの発現は、(例えば望ましいパターンに発現を制御する
シス作用配列を利用する)特異的な細胞集合又は組織に限定される。組織特異的
調節配列及び条件調節配列を用いて、ある空間パターンのトランスジーンの発現
を制御することができる。発現の一時的な(temporal)パターンは、例えば条件
組替え系又は原核転写調節配列などによって提供することができる。好ましい態
様においては、トランスジーン動物は「ノックアウト」Helios遺伝子をゆ
うする、即ちHelios遺伝子の全て又は部分を欠損する。
【0210】 部位特異的遺伝子操作を通じて生体内で調節される、トランスジーンの発現を
可能にする遺伝子方法は、当業者に公知のものである。例えば、標的配列の遺伝
的組替えを引き起こすリコンビナーゼの発現を調節することを可能にする、遺伝
子系が利用可能である。ここでいう「標的配列」とは、リコンビナーゼによって
遺伝的に組替えられるヌクレオチド配列のことをいう。標的配列の両脇にはリコ
ンビナーゼ認識配列が存在し、一般に標的配列はリコンビナーゼ活性を発現する
細胞内で切り出されるかまたは反転させられる。標的配列の組替えが起こった結
果、目的のHelios遺伝子の発現が活性化又は抑制されるように、リコンビ
ナーゼにより引き起こされる組替えを設計することができる。(例えばアゴニス
ト同族体をコードする)組替えHelios遺伝子の発現を妨害する標的配列を
切り出すことによって、その遺伝子の発現を活性化させることができる。この蛋
白質発現妨害は、Helios遺伝子をプロモーター因子又からの空間的分離や
、内部に存在する停止コドンなど、様々な機構に由来する。
【0211】 その上更に、遺伝子のコード配列の両脇にリコンビナーゼ認識配列を位置させ
、まずそのコード配列の細胞内でのトランスフェクションがプロモーター因子に
対して3’−5’の方向で起こるように、トランスジーンを作成することができ
る。このような例においては、プロモーター因子に対してプロモーターによる転
写活性化が可能な方向にコード配列の5’末端を位置させることによって、標的
配列が反転し、目的の遺伝子が方向づけられる[例えばバクテリオファージP1
のcre/loxPリコンビナーゼ系についての記述(Lakso他(1992
)PNAS89:6232−6236;Orban他(1992)PNAS89
:6861−6865)又はサッカロミケス・セレビシエのFLPリコンビナー
ゼ系(O’Gorman他(1991)Science251:1351−13
55;PCT公開番号WO92/15694)参照]。標的配列の遺伝子組替え
はCreリコンビナーゼの発現に依存している。リコンビナーゼの発現は、(例
えば組織特異性、発生段階特異性、外的に添加した作用物質による誘導性又は抑
制性の)調節制御下にあるプロモーター因子によって調節することができる。こ
の調節された制御によって、リコンビナーゼ発現がプロモーター因子によって媒
介される細胞内においてのみ、標的配列の遺伝子組替えが引き起こされる。従っ
て、組替えHelios遺伝子の発現活性は、リコンビナーゼ発現の制御を通じ
て調節することができる。
【0212】 トランスジーンの発現を可能にするためには原核蛋白質の同時発現を必要とす
る原核プロモーター配列を用いて、同様な条件トランスジーンを提供することが
できる。プロモーター及びそれに対応する転写活性誘導化原核蛋白質の例として
、米国特許第4,833,080号に記載のものが挙げられる。その上更に、条
件トランスジーンの発現は、転写活性誘導化蛋白質(例えばリコンビナーゼ又は
原核蛋白質)をコードする遺伝子が組織に運搬されて例えば細胞型特異的な方法
によって発現されるといった、遺伝子療法的方法によって引き起こすことができ
る。この方法によって、転写活性誘導体によって「励起」されるまで、成熟期の
Heliosトランスジーンは休止している。
【0213】 断片及び類似体の作成 本発明者は、Heliosポリペプチドの1次アミノ酸構造を得た。中心構造
の一例が開示されたので、その構造を変化させて断片又は類似体を新たに作成し
、新たな構造の活性を試験することが当業者には可能であろう。断片及び類似体
の作成及び試験を行う従来方法の例は、以下に述べる。これらの方法又は類似の
方法は、少なくとも1つの生物学的活性を有する(Heliosポリペプチドに
特異な抗体、例えばモノクローナル抗体などと反応する)Heliosポリペプ
チドの断片及び類似体を作成及びスクリーンするのに用いることができる。
【0214】 断片の作成 蛋白質の断片は、例えば組替え、蛋白質消化分解又は化学合成といった、幾つ
かの方法で作成することができる。ポリペプチドの内部又は末端断片は、ポリペ
プチドをコードする核酸の一端(末端断片の場合)又は両端(内部断片の場合)
から1個以上のヌクレオチドを除去することによって作成することができる。突
然変異を起こされたDNAの発現によってポリペプチド断片が産生される。「末
端ニブリング」エンドヌクレアーゼによる消化切断によって、一連の断片をコー
ドするDNAを産生することができる。蛋白質断片をコードするDNAは、ラン
ダム剪断、制限酵素消化又は上記した方法の組合せによって作成することもでき
る。
【0215】 従来のメリフィールド固相f−Moc又はt−Boc化学法等の、当分野にお
いて公知の方法を用いて、断片を化学合成することもできる。例えば、本発明の
ペプチドは断片がオーバーラップしないように望ましい長さの断片に任意に分割
してもよいし、望ましい長さのオーバーラップする断片に分割してもよい。
【0216】 改変DNA及びペプチド配列の作製:ランダム法 蛋白質又は蛋白質の特定の領域をコードするDNAをランダム突然変異誘発す
ることによって、蛋白質のアミノ酸配列変異体を調製することができる。有用な
方法として、PCR突然変異誘発及び飽和突然変異誘発が挙げられる。又、ラン
ダムアミノ酸配列変異体のライブラリーを、一連の変性オリゴヌクレオチド配列
を合成することによって作成することができる。(変異体ライブラリー中の蛋白
質のスクリーニング方法については、本明細書の他の部分に述べる。)
【0217】 PCR突然変異誘発 PCR突然変異誘発において、忠実度を低下させたTaqポリメラーゼを用い
てDNA断片クローン中にランダム突然変異を誘発する(Leung他、198
9、Technique1:11−15)。これはランダム突然変異を誘導する
方法としては非常に強力で比較的迅速な方法である。突然変異誘発されるDNA
領域は、TaqDNAポリメラーゼによるDNA合成の忠実度を低下させた(例
えばdGTP/dATP比を5とし、Mn2+をPCR反応に添加する)条件下で
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅される。増幅されたDNA断片の
プールは適当なクローンベクターに挿入され、ランダム突然変異ライブラリーが
得られる。
【0218】 飽和突然変異誘発 飽和突然変異誘発によって、クローンされたDNA断片内へ多量の単塩基置換
を迅速に導入することが可能になる(Mayers他、1985、Scienc
e229:242)。この方法の例として、一本鎖DNAの生体外での化学処理
又は放射線照射による突然変異の発生、相補的DNA鎖の合成が挙げられる。処
理の厳格性を調節することによって、突然変異頻度を調節することができ、可能
な塩基置換を実質的に全て得ることができる。この処理では突然変異断片を遺伝
的に選択する工程を含んでいないので、中性の置換並びに機能の変化した断片の
両方が得られる。点突然変異の分布は、保存配列因子に偏向しない。
【0219】 変性オリゴヌクレオチド 類似体のライブラリーを、一連の変性オリゴヌクレオチド配列から作成するこ
ともできる。自動DNA合成機によって変性配列を化学合成することができ、合
成された遺伝子は適当な発現ベクター内に連結される。変性オリゴヌクレオチド
の合成は当分野において公知のものである(例えばNarang,SA(198
3)Tetrahedron39:3;Itakura他(1981)Reco
mbinant DNA、Proc.3rd Cleveland Sympo
s.Macromolecules、AG Walton編、アムステルダム:
Elsevier pp273−289;Itakura他(1984)Ann
u.Rev.Biochem.53:323;Itakura他(1984)S
cience198:1056;Ike他(1983)Nucleic Aci
d Res.11:477参照)。このような方法は他の蛋白質の有向進化に用
いられている(例えばScott他(1990)Science249:386
−390;Roberts他(1992)PNAS89:2429−2433;
Devlin他(1990)Science249:404−406;Cwir
la他(1990)PNAS87:6378−6382;米国特許第5,223
,409号;第5,198,346号;及び第5,096,815号参照)。
【0220】 改変DNA及びペプチド配列の作成:有向突然変異誘発法 非ランダム又は方向性を持たせた突然変異誘発法を用いて、特異な配列又は特
異な領域における突然変異体を提供することができる。これらの方法を用いて蛋
白質の公知のアミノ酸配列残基の欠失、挿入又は置換などを含む変異体を作成す
ることができる。例えば(1)まず保存アミノ酸で置換し、ついでその結果に応
じてより大きな変化を与えるもので置換する(2)標的残基を欠失させる、又は
(3)隣接する部位に同じ又は異なるクラスの残基を挿入する、或いは(1)〜
(3)の組合せを用いることによって、突然変異の部位を個別に変えることもで
きるし、連続的に変えることもできる。
【0221】 アラニン走査突然変異誘発 アラニン走査突然変異誘発法は、突然変異誘発に好ましい部位又は領域である
、望ましい蛋白質の特定の残基又は領域を同定するのに有用な方法である(Cu
nningham及びWells、Science244:1081−1085
、1989)。アラニン走査において、(複数の)標的残基(例えばArg、A
sp、His、Lys及びGluといった正電荷の残基)が同定され、中性の又
は陰電荷のアミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)によって置換
される。アミノ酸の置換によって、アミノ酸と細胞内又は外を取り巻く水性環境
との相互作用に影響が与えられる。置換に対して機能的感応性を示す領域は、置
換部位に更なる又は他の変異体を導入することによって、細かに区別することが
できる。従って、アミノ酸配列を導入する部位を予め決定する一方で、突然変異
それ自体の性質は予め決定する必要はない。例えば、所定の位置における突然変
異の実行性を最適化するために、アラニン走査又はランダム突然変異誘発を標的
コドン又は領域において行うことができ、発現された目的の蛋白質サブユニット
変異体を、望まれる活性の最適な組合せについてスクリーンする。
【0222】 オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発 オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発は、DNAの置換、欠失及び挿入変異体
を調製する有用な方法である(Adelman他、DNA2:183、1983
参照)。以下簡単に述べると、突然変異体をコードするオリゴヌクレオチドをD
NA鋳型にハイブリダイズすることによって目的のDNAを改変する。ここで用
いる鋳型は目的の蛋白質の未改変又は天然DNA配列を含むプラスミド又はバク
テリオファージの単鎖形状をしている。ハイブリダイズの後、DNAポリメラー
ゼを用いて鋳型の第二の相補鎖全体を合成する。第二の相補鎖はオリゴヌクレオ
チドプライマーと連結され、目的の蛋白質DNAで選択的改変をコードする。一
般に、少なくとも25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドが用いられる。最適
なオリゴヌクレオチドは、突然変異体をコードするヌクレオチドのどちらかの側
の鋳型に完全な相補性を有する12〜15ヌクレオチドを含む。これによってオ
リゴヌクレオチドが単鎖DNA鋳型分子と適切にハイブリダイズする。オリゴヌ
クレオチドは従来公知の方法で容易に合成される(Crea他、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA75:5765(1978)参照)。
【0223】 カセット突然変異誘発 変異体を調製する他の方法であるカセット突然変異誘発は、Wells他(G
ene34:315(1985))に記載の方法に基づいている。出発原料は、
突然変異される蛋白質サブユニットDNAを含むプラスミド(又は他のベクター
)である。突然変異される蛋白質サブユニットDNA中のコドンを同定する。同
定された突然変異部位のそれぞれの側にはユニーク制限エンドヌクレアーゼ部位
が存在するはずである。そのような制限酵素部位が存在しない場合には、上記し
たオリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発法を用いて、目的の蛋白質サブユニット
DNA内の適切な位置に制限酵素部位を導入してもよい。プラスミドに制限酵素
部位を導入したのち、プラスミドをそれらの部位で切断し線形化する。制限酵素
部位間のDNA配列をコードし更に目的の突然変異を含む2重鎖オリゴヌクレオ
チドを、標準法を用いて合成する。2本鎖を個別に合成し、標準法によってハイ
ブリダイズする。この2重鎖オリゴヌクレオチドをカセットと称する。このカセ
ットは、プラスミドに直接連結できるように、線形プラスミドの両端に対応する
3’及び5’末端を有するように設計される。こうしてプラスミドに突然変異し
た目的の蛋白質サブユニットDNA配列を含有させる。
【0224】 組合せ突然変異誘発 組合せ突然変異誘発を用いて突然変異体を作成することもできる。例えば核酸
レベルの組合せ突然変異誘発によって、多彩性の遺伝子ライブラリーによりコー
ドされる変異体のライブラリーを作成することができる。例えば、酵素を用いて
合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に連結し、潜在的に可能な配列の
変性セットを、個々のペプチドとしてか、或いは変性配列のセットを含む大きな
融合蛋白質のセットとして、発現可能にする。
【0225】 ペプチド断片又は同族体のライブラリーをスクリーニングする、一次高処理量法 当分野において、作成された突然変異遺伝子産物をスクリーニングする方法と
して様々なものが知られている。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングす
る方法は通常、遺伝子ライブラリーを複製可能発現ベクター内にクローニングし
、得られたベクターライブラリーで適当な細胞を形質転換させ、目的の活性(例
えばこの場合、Heliosポリペプチドに特異な抗体との結合)の検出が可能
な条件下で遺伝子を発現する工程が含まれる。下記に述べる各方法は、(例えば
ランダム突然変異誘発法によって)作成された大量の配列をスクリーンする高処
理量分析に従う。
【0226】 ディスプレーライブラリー スクリーニングアッセイにおける方法の一つでは、候補ペプチドが細胞又はウ
イルス粒子表面上に呈示される。特定の細胞又はウイルス粒子の、呈示された産
物を介した適当な受容体蛋白質との結合能は「パニング(panning)アッ
セイ」によって検出される。例えば、遺伝子ライブラリーをバクテリア細胞の表
面膜蛋白質の遺伝子内にクローンして、得られる融合蛋白質をパニングによって
検出する(Ladner他、WO88/06630;Fuchs他(1991)
Bio/Technology9:1370−1371;及びGoward他(
1992)TIBS18:136−140参照)。同様に、検出可能に標識化し
た配位子を用いて、潜在的な機能的ペプチド同族体を調べることができる。蛍光
標識化した配位子、例えば受容体を用いて、配位子結合活性を保持する同族体を
検出することができる。蛍光標識化配位子を用いることによって、細胞を視覚的
に調べて蛍光顕微鏡下で分離する(あるいは細胞の形態によっては蛍光活性化細
胞選別器によって分離する)ことが可能になる。
【0227】 遺伝子ライブラリーは、ウイルス粒子表面上の融合蛋白質として発現すること
ができる。例えば、繊維状ファージ系においては、感染性ファージの表面上に異
種ペプチド配列を発現させることができ、これによって2つの重要な利点が提供
される。第一に、これらのファージを親和性基質に1013ファージ/mlを上回
る濃度で適用し、大量のファージを1度にスクリーンすることができる。第二に
、各感染性ファージは遺伝子産物を表面上に呈示するので、特定のファージが親
和性基質から低い収率で回収される場合、もう一度感染を行ってファージを増幅
することができる。殆ど同一である大腸菌繊維状ファージM13、fd及びfl
グループは、ファージディスプレーライブラリーに最もよく用いられている。フ
ァージgIII又はgVIII外殻蛋白質のどちらを用いても、ウイルス粒子の
最終的なパッケージングを損なうことなく融合蛋白質を産生することができる。
異種エピトープはpIIIのNH2末端で発現でき、そのようなエピトープを産 生するファージは、このエピトープを欠く過剰量のファージから回収される(L
adner他、PCT公開番号WO90/02909;Garrard他、PC
T公開番号WO92/09690;Marks他(1992)J.BIol.C
hem.267:16007−16010;Griffiths他(1993)
EMBO J12:725−734;Clackson他(1991)Natu
re352:624−628;及びBarbas他(1992)PNAS89:
4457−4461参照)。
【0228】 一般的な方法では、大腸菌のマルトース受容体(外膜蛋白質、LamB)をペ
プチド融合の相手として用いる(Charbit他(1986)EMBO5、3
029−3037参照)。LamB遺伝子をコードするプラスミドにオリゴヌク
レオチドを挿入する。LamB遺伝子から産生されるペプチドは細胞外ループ蛋
白質の一つに融合される。これらのペプチドは配位子(例えば抗体)との結合能
を有し、細胞が動物内に投与された場合に免疫応答を引き起こすことができる。
【0229】 他の細胞表面蛋白質、例えばOmpA(Schorr他(1991)Vacc
ines91、pp.387−392)、PhoE(Agterberg他(1
990)Gene88、37−45)及びPAL(Fuchs他(1991)B
io/Tech9、1369−1372)並びにバクテリア表面構造体は、ペプ
チド呈示手段として用いられてきた。ペプチドは、バクテリア間の遺伝情報交換
のピリ繊毛導管を重合形成する蛋白質であるピリンと融合することができる(T
hiry他(1989)Appl.Environ.Microbiol.55
、984−993参照)。他の細胞との相互作用を行う役割から、ピリ繊毛は細
胞外環境にペプチドを呈示するのに有用である。ペプチド呈示に用いられる他の
大型表面構造体としては、バクテリア動力器官、鞭毛が挙げられる。ペプチドが
サブユニット蛋白質フラジェリンに融合することによって、宿主細胞に大量のペ
プチドコピーが高濃度で提供される(Kuwajima他(1988)Bio/
Tech.6、1080−1083参照)。他のバクテリア種の表面蛋白質もペ
プチド融合の相手として用いることができる。例としては、ブドウ球菌蛋白質A
及びナイセリア外膜プロテアーゼIgAが挙げられる(Hansson他(19
92)J.Bacteriol.174、4239−4245及びKlause
r他(1990)EMBO J.9、1991−1999参照)。
【0230】 上記した繊維状ファージ系及びLamB系において、ペプチドとそれをコード
するDNAとの物理的結合が、ペプチドを表面に持つ粒子(細胞又はファージ)
内へのDNAの封じ込めによって起こる。ペプチドを封じ込めることによって、
粒子及びその内部のDNAを封じ込める。他の方法では、DNA結合蛋白質La
cIを用いてペプチドとDNAとの結合を形成する(Cull他(1992)P
NAS USA89:1865−1869参照)。この系では3’末端にLac
I遺伝子とオリゴヌクレオチドクローニング部位を有するプラスミドを用いる。
制御されたアラビノースによる誘発下で、LacI−ペプチド融合蛋白質を産生
する。この融合では、LacOオペレーター(LacO)として知られる短いD
NA配列に結合するLacI生来の能力が保持される。2個のLacOを発現プ
ラスミドに挿入することによって、それをコードするプラスミドにLacI−ペ
プチド融合体がしっかりと結合する。各細胞中のプラスミドは1個のオリゴヌク
レオチド配列のみを含み、各細胞は1個のペプチド配列のみを発現するので、ペ
プチドは合成を方向付けるDNA配列に特異的且つ安定的に関連していることが
わかる。ライブラリーの細胞を緩やかに溶解し、ペプチド−DNA複合体を固定
化受容体の基質にさらして活性化ペプチドを含む複合体を回収する。関連プラス
ミドDNAを細胞に再導入して増幅し、DNA配列決定してペプチド配位子を同
定する。本方法の実用上の有用性を示すために、ドデカペプチドの大型ランダム
ライブラリーを作成し、オピオイドペプチドダイノルフィンBに対するモノクロ
ーナル抗体を用いて選択した。ペプチドのコホートを回収したが、全てダイノル
フィンBの6残基部分に相当するコンセンサス配列に関連していた(Cull他
(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89−18
69参照)。
【0231】 時としてペプチド−オン−プラスミドと称されるこの方法は、ファージディス
プレー法とは2つの重要な点で異なる。第一に、ペプチドは融合蛋白質C末端に
結合しているため、ライブラリーメンバーはカルボキシ末端には何も結合してい
ないペプチドとして呈示される。繊維状ファージ外殻蛋白質pIII及びpVI
IIは両方とも、C末端を通じてファージに固着しており、ゲストペプチドは外
向きに突出したN末端領域に位置する。いくつかの設計では、ファージ呈示ペプ
チドは融合蛋白質のアミノ末端に呈示される(Cwirla他(1990)Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87、6378−6382参
照)。第二に、ライブラリー中に実際に存在するペプチド群に影響を与える一連
の生物学的偏向が挙げられる。LacI融合分子は、宿主細胞の細胞質に閉じ込
められる。翻訳の間、ファージ外殻融合体は細胞質にわずかにさらされるが、内
膜を通じてペリプラズム区画内に迅速に分泌され、C末端疎水性領域によって膜
に固着している一方、ファージ粒子内への組み込みを待つ間にペプチドを含むN
末端はペリプラズムに突出する。異なる蛋白質分解活性にさらした結果、Lac
Iとファージライブラリーのペプチドは有意に異なりうる。ファージ外殻蛋白質
には、内膜を通じた輸送と、ファージ内への組み込みの先駆けとなるシグナルペ
プチダーゼ処理が必要となる。ある種のペプチドはこれらの処理に有害な影響を
及ぼし、ライブラリー中に発現されない(Gallop他(1994)J.Me
d.Chem.37(9):1233−1251参照)。これらの特定の偏向は
LacIディスプレー系における因子ではない。
【0232】 組み替えランダムライブラリー中に小型ペプチドを大量に調製することができ
る。通常107〜109個の異なるクローンのライブラリーが調製される。1011 個の大きさのライブラリーが作成されているが、この寸法が実用のクローンライ
ブラリーの限界である。ランダム化セグメントを含むDNAを宿主バクテリア細
胞内にトランスフォームする段階で、ライブラリーの寸法が制限される。この制
限を克服するために、ポリソーム複合体中の未完成ペプチドの呈示に基づく生体
外系が開発されている。このディスプレーライブラリー法は、現在用いられてい
るファージ/ファージミド又はプラスミドライブラリーに比べて3〜6桁大きい
ライブラリーを作成する能力がある。さらに、ライブラリーの作成、ペプチドの
発現及びスクリーニングを、細胞が全く存在しないフォーマットで行うことがで
きる。
【0233】 本方法の適用例の一つ(Gallop他(1994)J.Med.Chem.
37(9):1233−1251参照)において、1012 デカペプチドをコー ドする分子DNAライブラリーを作成し、転写/翻訳系に組み合わせた大腸菌S
30内において生体外でライブラリーを発現する。mRNA上にリボソームがと
どまるように条件を選択して、ポリソーム中に大部分のRNAを蓄積させ、コー
ドするRNAに結合したままの未完成ペプチドを含む複合体を産生する。ポリソ
ームは充分に頑丈なので、より一般的な組み換えペプチドディスプレーライブラ
リーをスクリーンするのとほぼ同じ方法で、固定化受容体上でのポリソームの親
和精製を行うことができる。結合した複合体からRNAを回収し、cDNAに変
換し、PCRによって増幅して次のサイクルの合成及びスクリーニング用鋳型を
作成する。ポリソームディスプレー法をファージディスプレー系と組み合せるこ
とができる。何サイクルかのスクリーニングに次いで、ポリソーム強化プールか
らcDNAをファージミドベクター内にクローニングする。このベクターは外殻
蛋白質に融合したペプチドを呈示するペプチド発現ベクター、並びにペプチド同
定用のDNA配列決定ベクターの両方として作用する。ファージ上にポリソーム
由来ペプチドを発現することによって、このフォーマットにおける親和性選択処
理を続けるか、あるいは個々のクローン上のペプチドについて、結合活性をファ
ージELISAで検定するか、結合特異性を完了(completion)ファージELI
SAで検定することができる(Barret他(1992)Anal.Bioc
hem204、357−364参照)。活性ペプチドの配列を同定するために、
ファージミド宿主によって産生されたDNAの配列を決定する。
【0234】 2次スクリーニング 上記した高処理量アッセイについで2次スクリーニングを行い、例えば当業者
がアゴニストとアンタゴニストを区別できるように、生物学的活性を更に同定す
る。用いる2次スクリーニングの種類は、試験される目的の活性に依存する。例
えば、目的の蛋白質とそれに対応する配位子との相互作用を阻害する能力を用い
て、上記した1次スクリーニングによって単離したペプチド断片群からアンタゴ
ニストを同定するアッセイを行うことができる。 従って、断片及び類似体を作成し、それらの活性を試験する方法は従来公知の
ものを用いることができる。目的の蛋白質の中心的配列(例えばここに開示する
Heliosポリペプチドの1次アミノ酸配列)を同定できると、当業者には類
似体及び断片の作成は容易であろう。
【0235】 Heliosのペプチド類似体 Heliosポリペプチドのペプチド類似体のアミノ酸の長さは、好ましくは
400、300、200、150、130、110、90、70未満であり、よ
り好ましくは50未満であり、最も好ましくは30、20、又は10未満である
。好ましい態様においては、Heliosポリペプチドのペプチド類似体のアミ
ノ酸の長さは、少なくとも約10、20、30、50、100又は130である
【0236】 Heliosポリペプチドのペプチド類似体は天然のHeliosポリペプチ
ドと好ましくは少なくとも約60、70、74、80、85、90、95又は9
9%の相同性又は配列類似性を有する。
【0237】 Heliosポリペプチドのペプチド類似体は、天然のHeliosポリペプ
チドと少なくとも1、2、5、10又は20アミノ酸残基が異なるが、好ましく
は天然のHeliosポリペプチドと15、10又は5未満のアミノ酸残基が異
なる。
【0238】 Heliosポリペプチドの有用な類似体は、アゴニストであってもアンタゴ
ニストであってもよい。HeliosポリペプチドのアンタゴニストはHeli
os−Ikaros二量体を形成するが、いくつかの追加的な生物学活性(例え
ばリンパ球発達を制御する遺伝子の転写活性化)を欠失した分子であってもよい
。Heliosアンタゴニスト及びアゴニストは、リンパ球の成熟及び機能を調
節する(例えば阻害又は促進する)ことのできる誘導体である。 Helios領域の数多くの重要な機能が、本発明者らによって明らかにされ
ている。そこで得られた知見によって、当事業者はHelios類似体を作成で
きるであろう。ある領域において非保存アミノ酸が変化すると、その領域が関与
している活性が失われることは理解されよう。特に、重要な機能領域外の保存ア
ミノ酸の変化によって、活性の変化が調節されることはあまりない。保存アミノ
酸置換についての説明を下記に述べる。
【0239】 Helios及びIkaros蛋白質の基本的構造は、非常によく似ており、
4ブロックの配列が特によく保存されている。第一の保存ブロックは、Ikar
os蛋白質のDNA結合を媒介するIk−1アイソホーム中に含まれる、ジンク
フィンガーモジュールをコードする(Molnar他(1994)Mol.Ce
ll.Biol.14、8292−8303参照)。第二の保存ブロックは機能
的に特徴付けられていない。
【0240】 第3の保存ブロックは、Ikaros蛋白質の転写活性を媒介することが示さ
れている高度に保存された81アミノ酸配列である。このIkarosの活性化
領域は、酸性アミノ酸領域(stretch)とそれに続く疎水性残基領域から構成さ れる。両方とも、完全な活性能を発現するのに必要である。Ikarosのみか
らのこの領域又はIkaros蛋白質の全長は、LexA DNA結合領域を有
する融合蛋白質に転写活性を与える。この例によって、Heliosの相同的領
域は、酵母菌及び哺乳類細胞中の転写活性領域でもあることが示され、Heli
os転写活性領域が哺乳類細胞中でIkarosからの相同的領域よりも強い転
写活性を有することが示された。その結果、Heliosの232C末端アミノ
酸には酵母菌細胞内で転写活性化を与える能力があることが示された。保存領域
を含まないHeliosの149C最末端アミノ酸では、活性は検出されなかっ
た。
【0241】 第4の保存ブロックは、二量化を媒介するジンクフィンガーに相当する。2個
の末端ジンクフィンガー領域を含むHeliosのC末端149アミノ酸は、蛋
白質の二量化を媒介した。
【0242】 抗体 本発明は、目的のHeliosポリペプチド又はHelios−Ikaros
二量体に特異的に反応する抗体も含む。抗蛋白質/抗ペプチド抗血清又はモノク
ローナル抗体は、標準的プロトコルに従って作成することができる[Antib
odies:A Laboratory Manual、Harlow及びLa
ne編(Cold Spring Harbor Press:1988)参照 ]。マウス、ハムスター又はウサギなどの哺乳類を、免疫原形態のペプチドで免
疫化することができる。蛋白質又はペプチドに免疫原性を与える方法としては、
担体への結合又は当分野で公知の他の方法が挙げられる。目的のHeliosポ
リペプチド免疫原部分を、アジュバントの存在下に投与することができる。免疫
化の進行は、血漿又は血清中の抗体力価を検出することによってモニターするこ
とができる。標準的ELISA又は他の免疫アッセイに、免疫原を抗原として用
いて、抗体のレベルを調べることができる。好ましい態様においては目的の抗体
は、本発明のHelios−Ikaros二量体又はHeliosポリペプチド
の抗原決定基(例えば配列番号2、4又は6のポリペプチドを有する抗原決定基
)に免疫特異性を有する。
【0243】 ここでいう「抗体」は、Heliosポリペプチド又はHelios−Ika
ros二量体に特異的に反応する断片も包含することを企図している。抗体は従
来法を用いて断片化することができ、全抗体について上記したのと同様の方法で
実用の断片をスクリーンする。例えば、抗体をペプシンで処理することによって
F(ab’)2断片を作成することができる。得られたF(ab’)2断片を処理
してジスルフィド架橋を除去し、Fab’断片を得る。 Helios−Ikaros二量体又はHeliosポリペプチド、あるいは
その断片又は類似体に対するモノクローナル及びポリクローナル抗体(Ab)、
並びにFab’やF(ab’)2といった抗体断片を用いて、Helios及び /又はIkarosポリペプチドの作用をブロックし、本発明のHeliosポ
リペプチドの役割を研究することが可能になる。
【0244】 Helios−Ikaros二量体又はHeliosポリペプチドエピトープ
に特異的に結合する抗体を用いて、組織試料を免疫組織化学染色して、Heli
os−Ikaros二量体又はHeliosポリペプチドの発現の量及びパター
ンを調べることができる。抗Heliosポリペプチド抗体を用いて診断的に免
疫沈降及び免疫ブロットを行い、臨床試験の一部として組織又は体液中の野生型
又は突然変異Heliosポリペプチドレベルを検出し調べることができる。同
様に、個人において、Helios−Ikaros二量体又はHeliosポリ
ペプチドレベルをモニターすることができるので、リンパ球分化及び/又は増殖
の調節に関連した疾患を有する個人に、効果的な治療養生法を与えることができ
る。Helios−Ikaros二量体又はHeliosペプチドのレベルは、
例えばバイオプシーによって産生された組織内で測定することができる。
【0245】 本発明の抗Helios抗体の他の用途としては、gt11、gt18−23
、ZAP及びORF8等の発現ベクター内に構築されたcDNAライブラリーの
免疫学的スクリーニングに用いることが挙げられる。正読み枠及び正方向に挿入
されたコード配列を有するこの種のメッセンジャーライブラリーは、融合蛋白質
を産生することができる。例えばgt11は、アミノ末端がβ−ガラクトシダー
ゼアミノ酸配列からなりカルボキシ末端が異種ポリペプチドからなる融合蛋白質
を産生する。目的のHeliosポリペプチドの抗原性エピトープは、例えば抗
Heliosポリペプチド抗体で感染したプレートにのせてはがしたニトロセル
ロース膜フィルターと反応させるなどして、抗原を用いて検出することができる
。このアッセイによって調べたファージを、感染プレートから単離することがで
きる。従って、Helios同族体の存在を他の動物から検出してクローンする
ことができ、代替のアイソホーム(スプライシング変異体を含む)をヒトから検
出してクローンすることができる。
【0246】 薬剤スクリーニングアッセイ 精製した組替えHeliosポリペプチドを入手可能にすることによって、本
発明は、(この場合、目的のHeliosポリペプチドの)通常の細胞機能のア
ゴニスト又はアンタゴニストである薬剤のスクリーニングに用いることのできる
アッセイを提供する。一つの態様においては、アッセイによりHeliosポリ
ペプチドと天然の配位子(例えばHeliosポリペプチド又はIkarosポ
リペプチドに特異な抗体)との結合を調節する化合物の能力が評価される。様々
なアッセイフォーマットを用いることができるということは、本発明に鑑みて、
当業者に容易に理解されるであろう。
【0247】 化合物ライブラリーと天然抽出物を試験する多くの薬剤スクリーニングプログ
ラムにおいて、所定の時間内に調査する化合物の数を最大化するために、高処理
量アッセイが望ましい。細胞の存在しない(例えば精製又は半精製蛋白質に由来
する)系において実施されるアッセイは、「一次」スクリーニングとして好まし
い場合が多い。というのは試験化合物によって、迅速に結果が得られ分子標的中
の変化を比較的容易に検出できるからである。さらに、試験化合物の細胞毒性及
び/又は生物学的利用能の効果は、生体外系では一般に無視することができ、ア
ッセイは代わりに、他の蛋白質との結合親和性の変質の結果又は分子標的の酵素
特性が変化した結果明らかになると思われる、薬剤が分子標的に及ぼす効果に主
に焦点を置く。
【0248】 他の態様 本発明に含まれる態様の例としては、対立変異体;天然突然変異;誘発突然変
異;高度又は低度の緊縮条件下で、配列番号2、4又は6のポリペプチドをコー
ドする核酸にハイブリダイズするDNAによってコードされる蛋白質(高度又は
低度の緊縮条件の定義については、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、ニ
ューヨーク、1989、6.3.1−6.3.6参照);及び、Heliosポ
リペプチドに対する抗血清によって特異的に結合されるポリペプチドが挙げられ
る。
【0249】 本発明の核酸及びポリペプチドは、ここに開示する配列の配列決定エラーによ
る、開示の配列と異なるものも含む。
【0250】 本発明に更に含まれるのは、例えばHelios/Helios二量体又はH
elios/Ikarosペプチド等のHeliosポリペプチド;例えば担体
、希釈剤又は溶媒などの追加成分を含む組成物である。追加成分は、組成物に生
体外、生体内、薬学的又は獣医学的用途における有用性を与えるものであっても
よい。生体外用途の例としては、結合の研究が挙げられる。生体内用途の例とし
ては、抗体の誘発が挙げられる。
【0251】 本発明は又、断片、好ましくは生物学的に活性な断片、又はHeliosポリ
ペプチドの類似体が含まれる。生物学的に活性な断片又は類似体とは、配列番号
2、4又は6に示されるHeliosポリペプチド、又は他の天然Helios
ポリペプチドの特徴である生体内または生体外活性(例えば上記した生物学的活
性のうち1個以上)を有する断片又は類似体である。特に好ましいのは、生体内
に存在する断片、例えば転写後プロセッシングの結果生じる、又は別にスプライ
シングされたRNAの翻訳の結果生じる断片である。断片は、天然又は内因性細
胞中に発現されるもの、例えば翻訳後プロセッシングの結果(例えばアミノ末端
シグナル配列を除去した結果)発現される断片、並びに発現系(例えばCHO細
胞内)で産生される断片を含む。ペプチド(例えばHeliosポリペプチド)
はしばしば一連の生理学的特徴を有し、そのような特徴は分子の異なる部分に影
響を与えうるので、有用なHeliosポリペプチド断片又はHeliosポリ
ペプチド類似体は、どのようなHeliosポリペプチド活性生物学的アッセイ
においても生物学的活性を示す。最も好ましい断片又は類似体は、どのような生
体内又は生体外Heliosポリペプチド活性アッセイにおいても、10%、好
ましくは40%、又は少なくとも90%のHeliosポリペプチド(配列番号
2、4又は6)活性を有する。
【0252】 類似体は、アミノ酸配列において又は配列に関与しない点で、又はその両方に
おいて、天然のHeliosポリペプチドと異なる。配列以外の改変は、Hel
iosポリペプチドの生体内又は生体外の化学的変性を含む。配列以外の改変は
、アセチル化、メチル化、リン酸化、カルボキシル化又はグリコシル化を含む。
【0253】 好ましい類似体の例としては、Heliosポリペプチドの生物学活性を損な
わない、1以上の保存アミノ酸置換によって又は1以上の非保存アミノ酸置換、
欠失又は挿入によって野生型配列とは異なる配列を有するHeliosポリペプ
チド(又は生物学的に活性なその断片)が挙げられる。保存置換は一般に、1個
のアミノ酸とそれに類似する特徴を有する他のアミノ酸との置換、例えば下記群
内での置換を含む:バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイ
シン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;
セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。
他の保存置換を下記表から選んで用いることもできる。
【0254】
【表1】
【0255】 本発明に含まれる他の類似体として、改変してペプチド安定性を増加させたも
のが挙げられる。例えばそのような類似体は、1個以上の非ペプチド結合(ペプ
チド結合から置き換わったもの)をペプチド配列内に含む。他の例としては、天
然のL−アミノ酸(例えばD−アミノ酸)或いは非天然又は合成アミノ酸(例え
ばβ又はγアミノ酸)以外の残基を含む類似体、並びに環状類似体が挙げられる
【0256】 Heliosポリペプチド類似体について用いた「断片」という語は、通常少
なくとも約20残基、より一般的には少なくとも約40残基、好ましくは少なく
とも約60残基の長さを有する断片のことを意味する。Heliosポリペプチ
ドの断片は当業者に公知の方法で作成することができる。得られた断片がHel
iosポリペプチドの生物学的活性を示す能力があるかどうかは、ここに開示す
るように、当業者に公知の方法で調べることができる。さらに、ペプチドの生物
学的活性に必要とされない、別のmRNAスプライシング又は別の蛋白質プロセ
ッシングによって産生された残基を含むHeliosポリペプチドも含まれる。
【0257】 公知の方法によって、HeliosポリペプチドをコードするDNAを発現ベ
クター内に導入し、目的の蛋白質を発現するのに好適な細胞内にベクターを導入
し、ペプチドを回収して精製することによってHeliosポリペプチドを得る
ことができる。公知の方法によって、動物(例えばウサギ又はマウス)を免疫化
して、抗Heliosポリペプチド抗体を回収し、ペプチド及び蛋白質に対する
抗体を得ることができる。
【0258】 実施例 新規なIkaros関連遺伝子であるHeliosの同定 新規なIkaros関連因子を同定するために、PCRに基づく方法を用いた
。IkarosN末端(Ik−F)及びC末端ジンクフィンガー(Ik−R)領
域中に保存配列をコードする、変性プライマーGEKPFK及びYTIHMG(
Turpen他、Immunity7:325−334、1997)を用いてA
iolos突然変異マウスの脾臓に由来するcDNAを増幅した。大きさが98
0塩基対と推定されるPCR産物をクローンし、Ikaros遺伝子に相同性を
有するユニークDNA配列を有することが示された。重複(nested)特異性内部
プライマーを用いたRACE PCRによって全長コード配列を得た。重複遺伝
子特異性プライマーは下記の通りである。 5”−RACE R51:GGGTGAAGGCCTCAGGT(配列番号9)
及びR52:CCATCATATGAGACTGCATCAGCTCCAGCC
TCC(配列番号10);3’−RACE R31:GGAGGCTGAGCT
GATGCACTCTCATATGATGG(配列番号11)及びR32:CA
CCTACCTTGGAGCTGAGGCCCTTCACCC(配列番号12)
【0259】 マラソンcDNA増幅キット(Clonetech、カリフォルニア州パロア
ルト)及びTaKaRa LA Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造、日本国
滋賀県)を用いて、RACE PCRを行った。増幅条件は95℃、1.5分を
1サイクル;98℃、20秒及び72℃、2.5分を5サイクル;98℃、20
秒及び70℃、2.5分を5サイクル;98℃、30秒及び68℃、2.5分を
32サイクル;並びに72℃、10分を1サイクルとした。重複プライマーを持
ちいた第二の増幅は、第一の増幅によって得た産物の部分を鋳型として用いて行
った。第二の増幅は、95℃、1.5分を1サイクル;98℃、20秒及び68
℃、2.5分を20サイクル;並びに72℃、10分を1サイクル行った。5’
及び3’産物をpGEM−T Easyベクター(Promega、ウィスコン
シン州マディソン)内にクローンし、通常2バンドを生ずる特異的な5”及び3
”プライマー対の様々な組合せを用いて、造血細胞中のHelios発現のPC
R分析によって配列決定した。これらの2つのバンドをクローンして配列決定し
た結果、2個の別にスプライシングされた転写物は、第一のN末端ジンクフィン
ガーをコードする配列の有無が異なることが示された。
【0260】 コードされる蛋白質(Heliosと称する)は、Ikaros及びAiol
osに対して高い保存性を示した(それぞれ全体に渡って73%及び67%の類
似性を示した)(図1)。3個の蛋白質はN末端ジンクフィンガーDNA結合領
域に渡ってほぼ同一であった。第一〜第四ジンクフィンガーについてHelio
sとIkaros間では、93%の同一性があり、HeliosとAiolos
では88%の同一性があった。C末端ジンクフィンガーを包含する蛋白質二量化
領域について、HeliosとIkaros間では86%の同一性があり、He
liosとAiolosでは75%の同一性があった。転写活性領域を含む第3
の領域においては、HeliosはIkarosと68%の同一性、Aiolo
sと70%の同一性を示した。上記したように、胸腺cDNAを用いたPCRに
よって、2個の別にスプライシングされたHeliosを同定した。配列分析に
よって、2個のHeliosアイソホームは、N末端ジンクフィンガーの個数が
異なる産物をコードすることが示された。全長アイソホーム(Hel−1)は、
DNA結合ジンクフィンガーを4個とも全て有するという点において、Ikal
osアイソホームIk−1と相同性を有する。第2のアイソホーム(Hel−2
)は、ジンクフィンガー1がないという点でIk−2と相同性を有するが、Ik
−2を得るために除去したエクソンにジンクフィンガーN末端側の追加の配列が
含まれていたのに対し、Hel−2アイソホームの場合はアイソホーム中に保持
されていた。様々な組合せでプライマー対を用いたPCR分析の結果、下記に述
べるように約64〜66kDaで移動するアイソホームは他に存在しないことが
分かった。Heliosに対する親和精製ポリクローナル抗体を用いた胸腺細胞
核抽出物のウエスタンブロット分析の結果、他に蛋白質は検出されなかった。H
el−1及びHel−2と、IkarosアイソホームIk−1及びIk−2と
の間にN末端ジンクフィンガーモチーフについて強い保存性があることから、類
似した親和性及びDNA結合特異性があることが予想される。
【0261】 5’及び3’ジンクフィンガー領域から得た変性プライマーを用いて上記伝達
暗号の内部のクローニングを行った後、5’及び3’RACE法を用いてヒトH
elios cDNAの末端をクローンした。3’非翻訳領域は、更に3kb伸
長していた。ヒトクローンは、マウスHeliosと同一の蛋白質をコードした
。マウス及びヒトHeliosのヌクレオチド及び推定蛋白質配列を、GCG最
適プログラムを用いて比較した。
【0262】 胚形成間のHeliosの発現 マウス胚形成間のHeliosの発現を、インシトゥーハイブリダイゼーショ
ンによって調べた。比較のために、各段階において、隣接する部分のIkaro
s発現を分析した。胚の調製、プローブ合成及びインシトゥーハイブリダイゼー
ションを含むインシトゥーハイブリダイゼーション法は、実質的にIkeda、
Dev.Dynamics20:318−329(1996)に記載の方法で実
施した。第8、11、13及び16日目の胚から4個のマイクロメートル部分を
得て、各遺伝子に特異な単鎖[33P]UTP標識化アンチセンスRNAプロー
ブでハイブリダイズした。スライドを5週間さらし、ヘマトキシリン及びエオシ
ンで染色し、明視野及び暗視野顕微鏡で分析した。
【0263】 発達中の胚の全ての造血中心において、Heliosが発現することがわかっ
た。胚造血の第一の部分を構成するのが卵黄嚢の血島である。Helios及び
Ikarosは妊娠第8日目にこの外胚部位で発現された。しかし第11日目ま
でにHelios発現が有意に減少する一方、Ikaros発現はこの領域にお
いて13日間保持された。Helios及びIkarosは第11日に肝臓で発
現された。しかしHeliosのmRNAはこの組織の細胞小群内に表れた。造
血発達を通じて、肝臓中でのHelios発現は分散した少量の細胞中に検出さ
れた。これに対してIkarosは、中期〜後期の妊娠期間中、この組織中に存
在するほとんどの細胞において高いレベルで発現された。胸腺において、Hel
iosはまず第13日に低レベルで検出されたのに対し、Ikaros発現は2
日前からこの部位で容易に検出された。第16日には、Heliosは、脈管構
造から初期幹細胞が入る領域である、胸腺の中心に向って高濃度で検出された。
これに対してIkarosはほとんどの胸腺細胞において検出された。Heli
osのこの発現パターンは、生後の胸腺においても保持された。Heliosは
成人脾臓内の細胞小群からも検出された。免疫化細胞の脾臓胚芽中心において、
少量の細胞が中レベルのHeliosを発現し、その一方でIkarosはこれ
らの中心に渡って高レベルで発現された。これらの局在化は、これらがDC4+ TH2細胞であることを示唆している。
【0264】 造血系の他には、Heliosの発現は多くの上皮組織において高いレベルで
あった。これらは腸の内皮、腎臓の細管、気道内皮及び嗅上皮を含む。後期妊娠
期間中、唾液線及び唾液管において高レベルのHeliosが検出された。
【0265】 HeliosのN末端ジンクフィンガーとC末端ジンクフィンガーとの間の領
域をプローブとして用いて、PolyA+により選択したRNAのノーザンブロ ット分析によって成人組織中のHelios発現を調べた。ノーザンブロット分
析とRT−PCRは、以下のように行った。980bpのcDNAを、ノーザン
分析のプローブとして用いた。このプローブは、異なる寸法の転写物を産生する
Ikaros又はAiolosと交差反応しなかった。ブロットを前もってGA
PDHプローブでスクリーンし、RNA試料の相当負荷(equivalent loading)
を調べた。ノーザン分析の結果は、約8kbの転写物が胸腺で検出されたことを
示した。胚形成の様々な時点において、Heliosは肺、肝臓、腎臓及び脳内
で発現された。しかし成人のこれらの組織中ではノーザン分析によってHeli
osのmRNAは検出されなかった。Heliosプローブは、胸腺及び脾臓に
おいて寸法の異なるより多くの伝達暗号をコードするIkaros又はAiol
osとは、交差反応しなかった。
【0266】 造血亜集団におけるHeliosの発現 分類された成人造血及びリンパ系幹細胞中におけるIkaros遺伝子ファミ
リーメンバーの発現を、Helios、Ikaros及びAiolosに対する
特異的プライマー対を用いてRT−PCRによって調べた。下記のRT−PCR
条件、Ikaros及びAiolosプライマーを用いて行った。HPRTプラ
イマー(正方向:TGGCCCTCTGTGGTGCTCAAG(配列番号13
);逆方向:CACAGGACTAGAACACCTGC(配列番号14))を
RNA回収用の対照として用いた。造血細胞中のHelios発現を分析するた
めに、下記のプライマー対を用いた。正方向(2F):GAACACGCCAA
TATGGCC(配列番号15)(Helios cDNAのヌクレオチド60
〜78)及び逆方向(8R):GGCCTTGGTAGCATCCAAAGC(
配列番号16)(Helios cDNAのヌクレオチド1327−47)。P
CRにおいて、プライマー125F:AGAATGTCAGCATGGAGGC
T(配列番号17)(ヌクレオチド707−726)及び8Rを用いて増幅した
。この正方向プライマーは、第一のジンクフィンガーをコードする領域の下流に
位置し、従ってHeliosアイソホームを1個だけ増幅する。全ての場合にお
いて、アニール温度は60℃であり、線形レンジ(linear range)に入るように
増幅を決めた。細胞数が限定されている幹細胞群に由来する骨髄について、50
細胞相当のcDNAを32サイクルに渡って増幅した。胸腺細胞前駆体について
、100細胞相当の増幅を各プライマーについて26サイクルに渡って行った。
他の試料、例えばIkarosについては25サイクル行い、Helios及び
Aiolosについては28サイクル行った。
【0267】 研究及び固体発生に用いた血−リンパ球小群を、図2に示す。野生型マウスの
骨髄から、幹細胞群(ckit+Sca−1+、系統-)及び初期幹細胞(cki t+Sca−1-、系統-及びckit+SCA−1+Sca2+、系統-)を精製し た。細胞表面マーカーに対する抗体及び磁気二次抗体を用いて、系統関連赤血球
(ler119+)、preB(B220+)、顆粒球(Mac]+、GR+)、単
球/マクロファージ(Macl+、GR-)群を、野生型マウスの骨髄から精製し
、MACS磁気分離カラムを用いて分離した。ProB細胞をRag−/−マウ
スの骨髄からB220+分類し、成熟B細胞を野生型マウス脾臓からB220+
類した。−Rag−/−マウスからの脾細胞の赤血球を涸渇させ、NK胸腺細胞
及び脾臓の樹状細胞の濃縮源を精製した。ダブルポジティブ(CD4+CD8+
及びシングルポジティブ(CD4+又はCD8+)を野生型胸腺から分類し、この
分化状態にて停止するRag−/−マウスの胸腺細胞から可溶性ネガティブ(C
D4CD8)を得た。ダブル胸腺細胞(CD410、ckit+CD25+、cki
-CD25+、ckit、CD25)の発達段階は、98〜99%の純度で分類
された。
【0268】 幹細胞活性を高度に富化した骨髄幹細胞群中(ckit+/Sca−1+系統- )にHelios mRNAを検出したが、より制限されたリンパ系又は赤血球
骨髄ポテンシャルの造血幹細胞(それぞれckit+/Sca−1+/Sca−2 + 及びckit+/Sca−1-/Sca−2-)中にも存在した。Ikarosが
これらの造血幹細胞群中で類似の発現パターンを示すのに対し、Aiolosは
リンパ球発達に関係した幹細胞(ckit+/Sca−1+/Sca−2+)にお いてのみ検出された。
【0269】 Heliosは、固有赤血球前駆体(ter119+)で発現され、非常に低 いレベルのHelios mRNAが成人骨髄中の単球(mac1+GR-)及び
顆粒細胞(Mac1+GR+)群内に存在した。AiolosではなくIkaro
sが、これら3種の細胞全てに低レベルで検出された。Heliosはpro−
B細胞(CD45R+/CD43+)中に低レベルで存在し、pre−B細胞(C
D45R+/IgM+)に変化するにつれて減少した。これに対し、Aiolos
発現はpro−B細胞において低く、pre−B及び成熟B細胞において劇的に
増加した。
【0270】 骨髄赤血球及びBリンパ球系統においてHSCが分化するにつれて、Heli
os発現は低減した。しかし、Heliosは分析した全てのT細胞小群におい
て様々なレベルで存在した。胸腺に入る最も初期のリンパ球幹細胞は、CD410 (及びckit+)であり、T細胞系統に必ずしも関連していない。Helio s及びIkarosの両方とも、これら最も初期のリンパ球幹細胞中で検出され
る。ckit+CD25+次いで(Aiolosが最初に検出された)ckit- CD25+への遷移中のHeliosにおける増加は明らかである。次の段階で 顕著なAiolosレベルの増加が観察された(ckit-CD25-)一方、H
elios発現は低下した。IkarosのレベルはこれらT細胞分化の初期段
階において一定であった。対照として、野生型及びRag−/−マウスの全胸腺
細胞群から得たRNA中の遺伝子発現を行った。Rag−/−マウスにおいて、
多くの胸腺細胞が、T細胞発達がブロックされるckit+CD25+段階にある
一方、野生型の胸腺において、細胞の大部分がダブルポジティブ(CD4+CD 8+)段階後期にあった。Helios mRNAはT細胞がCD4-CD8-ダ ブルネガティブからCD4+CD8+ダブルポジティブにいたるにつれて増加し、
シングルポジティブ(CD4+又はCD8+)胸腺細胞になるにつれて減少した。
周辺T細胞は皮膚(Vγδ)及び腸(IEL)のγδT細胞中において最も高い
レベルでHeliosを発現したが、未成熟胸腺細胞より低いレベルでの発現だ
った。Ikaros及びAiolosはこれらT細胞群中に存在したが、Aio
losは胎児由来皮膚γδT細胞中では検出されなかった。3つの遺伝子全ては
、NK細胞中に発現された。胸腺樹状細胞(DC)由来のリンパ球と、脾臓CD
+及びCD8-樹状細胞小群は、非常に低いレベルのHeliosを発現した。
Ikarosは3つの群全てにおいて存在したが、脾臓CD8-DC小群におい て最もレベルが高かった。DC亜集団中、Aiolosは脾臓DC8-DCにお いて最もレベルが高かった。
【0271】 2個のHeliosイソホームの発現を、第一のジンクフィンガーに先立つ5
’プライマーを用いるPCRによって検出した。これらのイソホームはHel−
1及びHel−2 cDNAに相当し、試験した全ての細胞型においておおよそ
等しいレベルで発現した。上記したように、本明細書の条件では、異なる造血細
胞群におけるIkarosイソホームの比について有意な差は検出できなかった
が、これに対して増幅は線型レンジ中に含まれることがわかった。分析した全て
の種の造血細胞において、Ik−1及びIk−2が高レベルで発現されたのに対
し、Ik−4及び5は低レベルで発現された。Ik−6に相当するかすかなバン
ドも、試験された全ての群において検出された。
【0272】 造血細胞発達中、Helios、Ikaros及びAiolosはオーバーラ
ップするがはっきりと異なる発現パターンを示した。造血系においてこれら3個
の因子が異なる発現パターンを持つことは、分化の間にそれぞれが特異的な調節
機能を有することを示している。
【0273】 HSCが発生する部位においてHeliosが発現することは、この遺伝子が
造血細胞発達の初期段階における重要な調節因子であることを示唆している。卵
黄嚢中では第8日に、胎児肝臓中では第11日に、造血幹細胞が蓄積した。Ik
aros及びHeliosは初期段階にこれらの領域中でおおよそ同じ数だけ発
現した。妊娠期間が経つにつれて、これらの部位において、より関連のある赤血
球幹細胞も増加した。Ikaros発現が両方の部位で増加するのに対して、H
eliosは限られた数の細胞内でしか発現されない。このことが、胚中の関連
度の低い造血幹細胞中の選択的発現に影響を与えると思われる。成人中の分類さ
れた造血細胞中のHeliosの発現が、この考えを支持している。Helio
sは成人HSC内で発現されるが、その発現量は成熟中の赤血球、マクロファー
ジ及びBリンパ球系統において減少する。Heliosは、T細胞発達の初期段
階において発現量が最も高く、胸腺で成熟し周囲に移送されたT細胞では減少す
る。有意なレベルのHeliosが僅かな成熟T細胞小群においてのみ保持され
ていた。免疫化に際して、脾臓胚芽中心における非常に僅かな数の細胞中でHe
liosが検出された。Ikaros及びAiolosの場合と比較すると、H
elios発現のこの概要は、Ikaros及びHeliosを含む転写複合体
が造血の初期段階において支配的であることを示唆している。この組み合わせは
、IkarosDN同形接合マウスにおいて損なわれた初期幹細胞の自己再生能
にとって重要であろう。発達が進行するにつれて増加するAiolos及びIk
arosの発現によって、系統発達及び分化を促進する複合体が得られるであろ
う。
【0274】 Ikaros及びAiolosが造血系において支配的に発現されるのに対し
、Heliosは胚の他の部分でも発現されている。この観察に基づいて、Ik
aros遺伝子ファミリーは他の組織上での系統発達も調節していると推測され
る。胚におけるHeliosの劇的な発現は、そのような役割と矛盾しない。H
elios遺伝子の突然変異分析を用いることによって、造血系及び胚の他の部
分における幹細胞発達の調節における役割が詳細に分析できる。
【0275】 Ikaros及びAiolosとの、Heliosによる同質二量体及び異質二
量体の形成 Ikaros及びAiolosが同質又は異質二量化するときに媒介となるこ
とが分かっている、それらのC末端ジンクフィンガーは、Heliosにおいて
高レベルで保存されている。Heliosに特異的なポリクローナル抗体を作成
して、HeliosアイソホームとIkaros及びAiolos蛋白質との相
互作用を研究した。Helios特異的ポリクローナル抗体は以下のように作成
した。HeliosのN末端ジンクフィンガーとC末端ジンクフィンガーとの間
の領域を、PCRによって増幅し、pRSETベクター(Invitrogen
、カリフォルニア州カールズバッド)の枠内にクローニングした。蛋白質をBL
21大腸菌内で発現し、製造元(Invitrogen、カリフォルニア州カー
ルズバッド)の指示に従って変性蛋白質をニッケル親和性カラムで精製した。こ
の蛋白質に対してウサギポリクローナル抗体を作成し、pH溶出によって親和精
製した。この抗体がHeliosに対して特異性を有するが他のIkaros同
族体には特異性を有さないことを、トランスフェクト293T細胞からの蛋白質
抽出物のウエスタンブロット分析と、トランスフェクト細胞の免疫蛍光検査によ
って確認した。ウエスタン分析では、蛋白質溶解物を1×レムリ試料緩衝液に入
れ、95℃で15分加熱し、10%SDS−PAGEゲル上で分離させた。分離
した蛋白質を、親和精製したポリクローナルHelios抗体(PBS、0.0
5%TWEEN−20中で1/500倍希釈)をプローブとするイモビロンP膜
上に写した。一次細胞中のHeliosを検出するために、1/5000倍希釈
したビオチン化ヤギ−α−ウサギ抗体と共に膜を保温して増幅し、同じ倍率で希
釈したペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(Jackson labs)
中に入れた。検出にはECLキット(Amersham、スウェーデン国ウプサ
ラ)を用いた。
【0276】 抗Helios抗体は、野生型のIkarosナル及びIkaros DN+
/−突然変異マウスからの胸腺細胞核抽出物中に2種のHeliosアイソホー
ムを認識した。胸腺細胞中に検出されたHeliosアイソフォームは約64及
び68kDaであり、上皮細胞系293T内に共発現されたとき、Hel−1及
びHel−2 cDNAにより産生された蛋白質と共に移動した。
【0277】 一次細胞においてHeliosが物理的にIkarosと相互作用を起こすの
かを調べるために、マウストランスジェニックの胸腺から得た細胞溶解物を用い
て、CD2ミニ遺伝子から発現したIk−7アイソホームにエプトープ標識化(
FLAG)したものを得た。Ik−7はIkaros DN突然変異遺伝子座に
よって産生される支配的なアイソホームであり、DNA結合領域を有さないが未
反応のC末端二量化ジンクフィンガーモチーフを有する。FLAGエビトープに
特異なマウスモノクローナル抗体を用いて胸腺全細胞溶解物から複合体を免疫沈
降した。Heliosポリクローナル抗体を用いるウエスタンブロット分析によ
って、免疫沈降した複合体中に二種のHeliosアイソホームが存在すること
がわかった。従って、IkarosDN蛋白質はHelios蛋白質アイソホー
ムと安定した蛋白質複合体を形成し、それらの通常の活性を生体内で阻害しうる
【0278】 HeliosアイソホームHel−1及びHel−2が自身、Ikaros及
びAiolosと二量体を形成する能力についてより詳しく調べるために、これ
らの因子を対の組合せで293T細胞内で一過性に発現させた。293T細胞内
におけるIkaros及びAiolosの一過性発現は、下記のように行った。
5’又は3’末端にプライマー[5’AATTGAATTCATGCACTGC
ACTTTGACTATGG(配列番号18)及び3’R:TTTTCCTTT
TGCGGCCGCATGTCGCCATCCGAGGGAAGG(配列番号1
9)]を用いたPCRで、胸腺細胞cDNAから全長Hel−1又はHel−2
アイソホームを増幅し、CDM8哺乳類発現ベクターのEcoRIとNotl部
位(CDM8−Hel−1、CDM8−Hel−2)との間にクローニングした
。FLAG又は血球凝集素(HA)標識(FLAG−Hel−1、FLAG−H
E1−2、HA−HE1、HA−Hel−2)を有する追加の構造体を作成した
。クローンを配列決定して突然変異がないこと、及びエピトープ標識と共に枠内
にあることを確認した。293T細胞を各cDNA10μgでトランスフェクト
した。2日後、各10cmプレートから得た細胞をそれぞれ0.5ml溶解緩衝
液に入れ、10μlの抽出物をウエスタンブロット分析に用いて各蛋白質の発現
を確認し、100μlの抽出物を蛋白質Gアガロースで確保し、抗FLAG M
5親和性ゲルによって免疫沈降させた。洗浄の後、ビーズを2×レムリ試料緩衝
液中に再懸濁し、95℃で15分間保温した。ビーズをスピンダウンし、上澄液
の1/3を10%SDS−PAGEゲル上で分離した。293T抽出物について
、Ikaros又はHeliosに特異な親和精製ポリクローナル抗体による保
温に続いてペルオキシダーゼ結合ヤギ−α−ウサギ2次抗体との保温を行ったこ
とを除いては、上記したのと同様にウエスタンブロット分析を実施した。一次細
胞からの免疫沈降用に、FLAG標識化優性ネガティブ突然変異体Ikaros
アイソホームIk−7をCD2ミニ遺伝子から発現するトランスジェニックマウ
スから、胸腺細胞又は脾細胞を得た。細胞を回収し、PBS/2%FCS中で洗
浄した。100μl溶解緩衝液あたり1×107細胞個の溶解を行って蛋白質抽 出物を調製した。
【0279】 上記したように、HeliosアイソホームHel−1及びHel−2が自身
、Ikaros及びAiolosと二量体を形成できるかどうかを調べるために
、これらの因子を対の組合せで293T細胞内で一過性に発現させた。各発現対
中の1個の蛋白質をエピトープ標識化(FLAG)した。2日後、細胞溶解物を
調製し、Helios、Ikaros及びAiolos蛋白質にそれぞれ特異な
抗体を用いてウエスタンブロット分析を行ったところ、蛋白質の発現が確認され
た。エピトープ標識に対する抗体(抗FLAG)を用いて、293T細胞溶解物
から複合体を免疫沈降させ、Ikaros又はHeliosに特異な抗体を用い
て沈降した複合体の蛋白質相互作用を分析した。抗FLAG抗体はFLAG−H
el−1及びHel−2の両方と共沈降した。これは、2個のアイソホームが二
量化できることを示している。同様の方法を用いてHelios、Ikaros
及びAiolos相互作用を研究した。FLAG−Hel−1又はFLAG−H
el−2はIk−1と共発現された。抗FLAG抗体は、両方の場合において免
疫沈降複合体中にIK−1を沈降させた。Helios/Ikaros蛋白質相
互作用の特異性を制御するために、IkM1(Ik−1突然変異体)もこれらの
アッセイに用いた。IkM1はIkarosのC末端ジンクフィンガー中に2個
の突然変異をコードする(この突然変異は二量化能を不能にする)。Ik−1と
は対照的に、この二量化不能IkarosはHeliosアイソホームのいずれ
とも相互作用できなかった。最後に、細胞をFLAG−Aiolos及びHel
−1又はHel−2で細胞を共トランスフェクトさせ、各Heliosアイソホ
ームがAiolosと異質二量体を形成できることが示された。これらの研究結
果は、Helios、Ikaros及びAiolosのC末端ジンクフィンガー
が機能的に保持され、造血並びにリンパ球分化及び機能にとって重要と思われる
これら蛋白質間の安定な相互作用を媒介することを示している。
【0280】 Ikaros及びAiolosを含む高次核構造の部分としてのHelios Ikaros及びAiolosに関する本発明者らの研究は、これらの蛋白質
が増殖していない(活性化に際して劇的に変化する)リンパ球中の高次構造の部
分であることを示している。Heliosがこれらの核高分子構造に関与してい
るかどうかを調べるために、一次リンパ系細胞における亜細胞性の局在化につい
て共焦点免疫蛍光顕微鏡で調べた。一次胸腺細胞又は脾細胞が得られた。胸腺細
胞を20μg/mlのCD3で覆ったプレート上で40時間活性化した。細胞を
回収してリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。1スライドあたり1×105 個の細胞をサイトスピンにかけ、4%パラホルムアルデヒド、0.5%TWEE
Nを含むPBS中に4℃で固定し、PBSで洗浄した。抗体保温の前に3%BS
A、1%ヤギ血清、1%ロバ血清を含むPBSで1時間ブロックした。スライド
を1/50倍に希釈した一次親和精製したHelios抗体と共にブロッキング
緩衝液中に4℃で一晩保温した。次いで5ng/μlビオチン化ヤギ−α−ウサ
ギIgG(Jackson labs)で室温にて60分保温し、次いで5ng
/μlビオチン化ヤギ−α−ウサギIgGで室温にて60分保温した。各抗体保
温段階の後には、PBSによる洗浄を3回行った。5ng/1μlアビジン−F
ITC(Southern Biotechnology Associate
s)と共に1%透析化FCS/3%BSAを含むPBS中にて45分保温して検
出を行った。最終段階として、二重染色用に、Alexa568発蛍光団(Mo
lecular Probes)に直接結合する親和性ポリクローナルAiol
osで4℃にて一晩保温した。Heliosの三重染色用に、トランスジーンマ
ウスからの細胞中のAiolos及びFLAG標識化IK−7を更に5ng/1
μlの抗FLAG M5モノクローナル抗体(Kodak)と共に室温にて60
分間保温し、洗浄して5ng/μl Cy5結合ヤギ抗マウス抗体と共に60分
間保温した。特異的染色を共焦点免疫蛍光顕微鏡にて映像化した。
【0281】 野生型マウスから単離した、増殖していない又は活性化された胸腺細胞及び脾
細胞を、これらの共焦点研究から調製した。Ikaros及びAiolosとは
対照的に、Heliosの明染色は、少数の、増殖していない又は活性化された
胸腺細胞においてのみ検出された(細胞25個につき約1個)。これら少数の細
胞の核内において、Heliosは斑点状に検出されたが、これは上記したIk
aros及びAiolosの場合に類似している。胸腺細胞の活性化に際して、
Ikaros及びAiolosの場合と同様に、Heliosは細胞核中の環状
構造内に再分配された。Heliosはごく僅かな数の脾細胞中にしか検出され
なかった。RT−PCR分析の結果、Heliosは成熟B細胞、骨髄性又は赤
血球系細胞において有意なレベルで発現されなかったので、細胞はおそらくT又
はNK細胞であろう。
【0282】 高次構造中のこれら蛋白質の潜在的な共局在化を調べるために、脾細胞をAi
olos及びHeliosについて二重染色した。脾臓中のほとんどの細胞がA
iolosを発現したが、脾細胞小群もHeliosを発現した。ほとんどの場
合において、これら2個の蛋白質は完全にオーバーラップし、核内に斑点状パタ
ーンを形成した。しかし、Helios又はAiolosのみが検出される小さ
な点が幾つか存在する。加えて、幾つかの細胞はHeliosについて明るく染
色されたが、Aiolosについては僅かに染色されただけだった。Ikaro
s及びHeliosについて染色された細胞は、類似の蛋白質共局在化パターン
を示した。
【0283】 HeliosとIkaros及びAiolosの核内局在化について更に調べ
るために、FLAG−Ik−7トランスジーンを発現するマウスの脾臓から得た
T細胞を用いた。FLAGエピトープを三重染色研究に用いて、Ik−7と内因
性Helios及びAiolos蛋白質の局在化について調べた。若い動物の細
胞において、これら3個の蛋白質は各構造内に共局在化したが、野生型細胞にお
いて観察されたのと類似した結果であった。
【0284】 これらの研究は、核内の同じ構造内に3ファミリーメンバー全てが存在するこ
とを示しており、IkarosDN突然変異蛋白質が、同じ高分子核構造内に共
局在化することによって、内因性Helios及びAiolos蛋白質の活性に
干渉する能力があることを実証している。分類された細胞の発現の概要から推論
されるように、この免疫蛍光のデータも、胸腺及び脾臓における異なった細胞亜
集団内で、異なるIkarosファミリー蛋白質が様々な組合せで共発現するこ
とを示している。
【0285】 転写活性物質として機能するHelios Ikaros及びAiolosは、哺乳類細胞における異所性発現の正の転写
調節因子として機能することが示されている。これら両方の蛋白質の転写活性領
域を、酵母菌1ハイブリッドアッセイによって同定し、哺乳類細胞において同じ
ように機能することが判明した。Helios蛋白質はIkaros及びAio
losの転写活性領域を保持することが示された。Helios及びIkaro
s間のDNA結合領域において非常に近い同一性があると仮定して、Ikaro
s結合部位からのHeliosの転写活性能を調べた。4つの高親和性Ikar
os結合部位(IkBS2)の制御下にあるリポーター遺伝子の発現を、NIH
3T3細胞中、Helios又はIkarosの存在下に試験した。両方の蛋白
質がバックグラウンドレベルを上回って、リポーター遺伝子の発現の増加を示し
た(図3)。Hliosの存在下では5倍の増加が、Ikarosの存在下では
7.8倍の増加が検出された。このHeliosに媒介される転写活性は、Ik
arosのコンセンサス結合部位を必要とする。これらの結果は、DNA結合領
域と転写活性領域の両方が機能的に保存されることを示している。
【0286】 Helios 本発明は、Ikaros遺伝子ファミリーの新規なメンバーであるHelio
sを同定し特徴付けるものである。Ikarosファミリーの3種の遺伝子全て
によってコードされる3種の蛋白質は、保存機能的領域を媒介して、著しく類似
した特性を有する。これら3種全ては、共トランスフェクションアッセイにおい
てIkaros及び隣接するプロモーターからの活性転写の特徴となるコンセン
サスDNA結合部位に結合する。Aiolos及びIkarosのように、He
liosは自身または他のファミリーメンバー(Ikarosの優性ネガティブ
アイソホームを含む)と、二量体を形成することができる。こららの領域の保存
はこれら蛋白質の類似性を明確にしているが、これらの遺伝子によってコードさ
れる蛋白質間で他の領域は異なり、それらの間に機能特異性を与えている。ファ
ミリーメンバーの間で異なる領域が、他の種においてこれら遺伝子の相同分子種
内で保持されるという事実は、それらが持つ機能の重要性を裏付けている。 造血系統の最初期段階におけるHeliosの選択発現は、遺伝子が初期幹細胞
において支配的機能を発揮しうることを示している。優性ネガティブIkaro
s蛋白質がHSCに欠陥を起こし、Heliosが、系統のこの段階で発現され
るこの蛋白質の唯一の同定された標的であるという事実は、HeliosがHS
C発達において重要な役割を果たすことを意味している。造血系外でのHeli
osの発現は、Ikaros遺伝子ファミリーが、他の組織中の幹細胞発達にお
いても役割を持つことを意味している。
【0287】 同等物 当業者は、これ以上の慣例的な実験を行うことなく、ここに開示した特異な方
法について多くの同等物が可能であることを理解されるであろう。このような同
等物は本発明の範囲に入るとものであり、請求項によってカバーされる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、Heliosの予想されるアミノ酸配列のIkaros(SEQ ID NO: 7)及びAiolos(SEQ ID NO:8)の配列とのアラインメントを描写している 。DNA結合ドメインを含む4つのN末端ジンクフィンガー(ZF1−4)、蛋白
質のダイマー形成を媒介するC末端ジンクフィンガー(ZF5−6)及び保存され
た転写活性化ドメイン(TAD)を略記してある。矢印は、保存された配列であっ
て、それらに対して、Helios遺伝子をクローン化するために縮重オリゴI
k−1(GEKPKF、Ik−F)及びIk−2(YTIHMG、IK−R)がデザ
インされた当該保存された配列を示している。
【図2】 図2は、Heliosファミリー遺伝子発現について分析した前駆細胞及び拘
束された細胞の造血階層の図式表示を描写している。
【図3】 図3は、マウスのHelios−1のヌクレオチド(SEQ ID NO:1)及びアミノ
酸(SEQ ID NO:2)配列を描写している。
【図4】 図4は、マウスのHelios−2のヌクレオチド(SEQ ID NO:3)及びアミノ
酸(SEQ ID NO:4)配列を描写している。
【図5】 図5は、ヒトのHelios−2のヌクレオチド(SEQ ID NO:5)及びアミノ酸
(SEQ ID NO:6)配列を描写している。
【図6】 図6は、マウスHeliosのヌクレオチド配列のヒトのHeliosとのア
ラインメントを描写している。
【図7】 図7は、マウスHeliosのアミノ酸配列のヒトのHeliosとのアライ
ンメントを描写している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/02 C07K 14/47 4C086 37/02 16/18 4H045 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 A61K 37/02 C12Q 1/68 C12N 5/00 A (72)発明者 クレア ケリー アメリカ合衆国 02144 マサチューセッ ツ、サマビル、ソーンダイク ストリート 9 ナンバー3 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA50 CA04 DA02 EA02 EA04 GA03 GA11 HA01 HA12 HA15 HA17 4B063 QA01 QA17 QA18 QA19 QQ02 QQ42 QR55 QR62 QS25 QS34 4B064 AG01 AG27 BA15 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA90X AA91Y AB01 AC14 BA01 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 BA02 BA08 BA22 BA23 CA53 NA14 ZB072 ZB112 ZB262 ZB272 4C086 AA01 AA03 AA04 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB07 ZB11 ZB26 ZB27 4H045 AA11 AA30 BA10 CA40 DA76 DA86 EA22 FA74 HA06

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:1、3又は5のヌクレオチド配列と少なくとも6
    0%同一であるヌクレオチド配列を含む実質的に純粋な核酸。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:1、3又は5のヌクレオチド配列を含む、請求項
    1に記載の核酸。
  3. 【請求項3】 核酸が、Heliosポリペプチドをコードする核酸又はそ
    の相補物と高緊縮条件下でハイブリダイズする、請求項1に記載の核酸。
  4. 【請求項4】 核酸が、Heliosポリペプチドに特異的な抗体と反応す
    るポリペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸。
  5. 【請求項5】 少なくとも60アミノ酸長のHeliosポリペプチドの断
    片をコードする実質的に純粋な核酸。
  6. 【請求項6】 Heliosポリペプチドと少なくとも60%相同である実
    質的に純粋なポリペプチド。
  7. 【請求項7】 SEQ ID NO:2、4又は6のアミノ酸配列を含む、請求項6に
    記載のHeliosポリペプチド。
  8. 【請求項8】 Heliosポリペプチドが下記の特性を有する、請求項6
    に記載の純粋な調製物: (a)それは、Helios、Aiolos又はIkarosポリペプチドとダ
    イマーを形成することができ; (b)それは、造血幹細胞において発現され; (c)それは、約64kDa又は68kDaの分子量を有し; (d)それは、少なくとも1つのジンクフィンガードメインを有し;そして (e)それは、リンパ球系遺伝子の転写アクチベーターである。
  9. 【請求項9】 少なくとも50アミノ酸の長さの、請求項8に記載のHel
    iosポリペプチドの断片。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5に記載の何れかの核酸を含むベクター。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5及び10の何れかの核酸を含む細胞。
  12. 【請求項12】 抗Helios抗体の精製された調製物。
  13. 【請求項13】 Heliosペプチドの製造方法であって、請求項11の
    細胞を培地中で培養してHeliosポリペプチドを発現させることを含む当該
    製造方法。
  14. 【請求項14】 天然のHeliosポリペプチドの少なくとも1つの生物
    学的活性を有するHeliosポリペプチドの製造方法であって、配列の少なく
    とも1つの残基を変え、その変化されたポリペプチドを所望の活性について試験
    することを含む上記の製造方法。
  15. 【請求項15】 動物の病気の治療方法であって、治療上有効な量のHel
    iosポリペプチド、Helios遺伝子産物の発現について選択した細胞、又
    はHeliosペプチドをコードする核酸をその動物に投与することを含む上記
    の治療方法。
  16. 【請求項16】 患者がHelios遺伝子の誤発現と関係する病気の危険
    にあるかどうかを測定する方法であって、その患者をHelios遺伝子の発現
    又は構造について調べ、非野生型の構造又は発現が危険を示す上記の方法。
  17. 【請求項17】 Heliosトランスジーンを有するトランスジェニック
    動物。
JP2000533017A 1998-02-27 1999-02-26 Helios遺伝子 Withdrawn JP2002504357A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7632598P 1998-02-27 1998-02-27
US60/076,325 1998-02-27
PCT/US1999/004224 WO1999043208A1 (en) 1998-02-27 1999-02-26 The helios gene

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002504357A true JP2002504357A (ja) 2002-02-12

Family

ID=22131293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000533017A Withdrawn JP2002504357A (ja) 1998-02-27 1999-02-26 Helios遺伝子

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP1058500A4 (ja)
JP (1) JP2002504357A (ja)
WO (1) WO1999043208A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020507349A (ja) * 2017-02-09 2020-03-12 インダプタ セラピューティクス インコーポレイテッド 操作されたナチュラルキラー(nk)細胞ならびにその組成物および方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6172278B1 (en) * 1992-09-14 2001-01-09 The General Hospital Corporation Ikaros transgenic cells and mice

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020507349A (ja) * 2017-02-09 2020-03-12 インダプタ セラピューティクス インコーポレイテッド 操作されたナチュラルキラー(nk)細胞ならびにその組成物および方法
US11920156B2 (en) 2017-02-09 2024-03-05 Indapta Therapeutics, Inc. Engineered natural killer (NK) cells and compositions and methods thereof

Also Published As

Publication number Publication date
WO1999043208A1 (en) 1999-09-02
EP1058500A4 (en) 2002-05-08
EP1058500A1 (en) 2000-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4339406B2 (ja) 免疫療法に使用する医薬の製造におけるSerrateまたはDeltaの使用
EP1352961B1 (en) Synovial cell protein
JP2005512515A (ja) 治療ポリペプチド、同一物をコード化する核酸、および使用方法
JP2002533058A (ja) 97個のヒト分泌タンパク質
JP2007536931A (ja) 新規の遺伝子破壊、組成物およびそれらに関連する方法
CA2275141A1 (en) Cell stress regulated human mhc class i gene
CA2362320A1 (en) Human hairless gene, protein and uses thereof
JP2003530124A (ja) 新規幹細胞成長因子様ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する方法および物質
CA2621992C (en) Manipulation of regulatory t cell and dc function by targeting neuritin gene using antibodies, agonists and antagonists
US6528634B1 (en) Aiolos gene
US7196170B2 (en) Aiolos, Helios, Daedalos and Ikaros: genes, polypeptides, regulatory elements and uses thereof
JP2005515758A (ja) 新規タンパク質およびそれらをコード化する核酸
JP2002526094A (ja) カドヘリン様非対称蛋白質−1とそれを使用するための方法
US20080152642A1 (en) Aiolos, Helios, Daedalos and Ikaros: genes, polypeptides, regulatory elements and uses thereof
JP2003529350A (ja) ポリペプチドおよびそれをコードする核酸
WO1999002724A2 (en) Methods for identifying genes expressed in selected lineages, and a novel genes identified using the methods
JP2002504357A (ja) Helios遺伝子
US6890534B1 (en) Aiolos gene
ES2301164T3 (es) Slam, antigeno coestimulador de la superficie de celulas t.
US5837844A (en) CAIP-like gene family
JPH11512284A (ja) 単クローン性リンパ球及び利用方法
JP2003500011A (ja) シンデスモスおよびその利用法
JP2001519180A (ja) ラミニン及びそれらの利用
US6423824B1 (en) CAIP-like gene family
US6171800B1 (en) Method of making and binding CAIP polypeptides

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060509