JPH11512284A - 単クローン性リンパ球及び利用方法 - Google Patents

単クローン性リンパ球及び利用方法

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JPH11512284A JP9511421A JP51142197A JPH11512284A JP H11512284 A JPH11512284 A JP H11512284A JP 9511421 A JP9511421 A JP 9511421A JP 51142197 A JP51142197 A JP 51142197A JP H11512284 A JPH11512284 A JP H11512284A
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ゲオルゴポウロス,スティーア
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ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 リンパ球の単クローン性調製物及びリンパ球の単クローン性調製物を生成する方法を記載する。これらのリンパ球は、標的組織又は標的細胞の調節に有用である。これらのリンパ球は又、造血細胞の増殖を促進するためにも有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 単クローン性リンパ球及び利用方法 発明の背景 この発明は、国立衛生研究所からの政府の支持を受けて為されたものである。 従って、政府は、この発明に一定の権利を有する。 この発明は、リンパ球の調製物、好ましくは単クローン性調製物、それらの生 成及び利用に関係する。 発明の要約 一般に、この発明は、増殖統制解除された細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例 えば分化全能性又は多能性幹細胞、或は幹細胞の子孫例えばリンパ球例えばトラ ンスフォームされたリンパ球を供給する方法を特徴とする。この方法は:Ika ros統制解除された細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しく は多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球を有する哺乳動物を用意し;増 殖統制解除された細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多 能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球例えばトランスフォームされたリン パ球をその哺乳動物から単離することを含む。 好適具体例において:この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ 非 ヒ ト 霊長類例えばサル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。 好適具体例において、この方法は、更に:Ikaros統制解除された細胞を 分割させて増殖統制解除された細胞例えばトランスフォームされたリンパ球を生 じさせ;この哺乳動物からの多数の増殖統制解除された例えばリンパ球又はトラ ンスフォームされたリンパ球を与えることを含む。 好適具体例において:この増殖統制解除された細胞例えばリンパ球例えばトラ ンスフォームされたリンパ球を、哺乳動物のリンパ腫から単離する。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros遺伝子座においてヘテロ 接合であり;この哺乳動物は、Ikaros遺伝子に変異を、例えば、 Ikaros遺伝子の全部又は部分における点突然変異又は欠失を、例えば、D NA結合領域における突然変異を、例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以 上の全部又は部分における点突然変異又は欠失を有し;この哺乳動物は、Ika rosトランスジーン例えばDNA結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、 F3又はF4の一つ以上の全部又は部分における点突然変異又は欠失)を有する トランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;この哺乳動物は、NP IDサブユニットと対照的にPPIDサブユニットの優先的発現を生じるIka ros遺伝子の制御領域における突然変異を有する。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例 えば、転写活性化若しくはその蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しく は両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を 不活性化する点突然変異又は欠失を有し;この哺乳動物は、C末端欠失を有する 。 好適具体例において:増殖統制解除された細胞は、ホモ接合変異Ikaros 細胞例えばリンパ球であり;増殖統制解除されたリンパ球は、Tリンパ球例えば CD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+又はCD4−CD8− リンパ球であり;増殖統制解除された細胞は、Ikarosトランスジーンにつ いてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において、この細胞は、リンパ球であり:ヘルパーT細胞であり; 細胞溶解性T細胞であり;サプレッサーT細胞であり;一種以上の抗炎症性サイ トカイン例えばIL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞であり; 抗原又はイディオタイプ特異的であるT細胞であり;自己抗体につき又は同種移 植片若しくは異種移植片組織を認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプ レッサーT細胞であり;このリンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:哺乳動物を抗原で免疫し;細胞を外来的に供給し且つこ の哺乳動物又は細胞を提供する哺乳動物の一方又は両方を抗原で免疫する。この 抗原は、同種抗原;異種抗原;自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ 球を生じる抗原であってよい。 好適具体例において:Ikaros統制解除された細胞例えばリンパ球を哺乳 動物に、例えばホモ接合の野生型Ikaros哺乳動物に又はIkaros遺伝 子に突然変異(例えば、Ikaros遺伝子の全部又は部分についての点突然変 異又は欠失)を有する哺乳動物に、外来的に供給する。もし外来的に供給される ならば、その細胞は、ヒトの又は非ヒト例えばブタの、非ヒト霊長類例えばサル 、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスのリンパ球であってよい。 他の面において、この発明は、細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全 能性又は多能性幹細胞、又は幹細胞の子孫例えばリンパ球のクローン性集団を供 給する方法を特徴とする。この方法は:Ikaros統制解除された細胞例えば リンパ球を有する哺乳動物を供給すること;1つ以上の細胞例えばリンパ球をそ の哺乳動物から単離する(但し、もし一細胞が単離されたならば、その細胞をリ ンパ球細胞のクローン性集団に増殖させる)ことを含む。 好適具体例において:この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊 長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。 好適具体例において:細胞のクローン性集団を、この哺乳動物のリンパ腫から 単離する。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros統制解除された動物であ り;この哺乳動物は、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり;この哺 乳動物は、Ikaros遺伝子突然変異例えばIkaros遺伝子の全部又は部 分の点突然変異又は欠失、例えばDNA結合領域における突然変異例えばF1、 F2、F3又はF4の1つ以上の全部又は部分の点突然変異又は欠失を有し;こ の哺乳動物は、Ikarosトランスジーン例えばDNA結合領域に突然変異( 例えば、F1、F2、F3又はF4の1つ以上の全部又は部分の点突然変異又は 欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;この哺 乳動物は、NPIDサブユニットと対照的にPPIDサブユニットの優先的な発 現を生じるIkaros遺伝子の制御領域における突然変異を有する。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例 えば、転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しく は両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方 を不活性化する点突然変異又は欠失を有し;この哺乳動物は、C末端欠失を有す る。 好適具体例において:このクローン性集団は、Ikarosトランスジーンに ついてヘテロ接合又はホモ接合であり;このクローン性集団は、ヘテロ接合のI karos細胞よりなり;このクローン性集団は、ホモ接合の突然変異したIk aros細胞を含み又は該細胞よりなり;このクローン性集団は、ヘテロ接合の 又はホモ接合の突然変異したIkaros細胞例えばリンパ球を含み又は該細胞 よりなり;このリンパ球のクローン性集団は、Tリンパ球例えばCD4+CD8 −、CD8+CD4−、CD4+CD8+又はCD4−CD8−リンパ球を含み 又は該細胞よりなる。 好適具体例において、これらの細胞は、リンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞 であり;細胞溶解性T細胞であり;サプレッサーT細胞であり;一種以上の抗炎 症性サイトカイン例えばIL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞 であり;抗原又はイディオタイプ特異的であるT細胞であり;自己抗体につき又 は同種移植片若しくは異種移植片組織を認識する抗体につき抗イディオタイプで あるサプレッサーT細胞であり;このリンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:この哺乳動物を抗原で免疫し;このリンパ球を外来的に 供給し且つこの哺乳動物又はこのリンパ球を提供する哺乳動物を抗原で免疫する 。この抗原は、同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイ プリンパ球を生じる抗原であってよい。 好適具体例において:Ikaros統制解除された細胞例えばリンパ球を、哺 乳動物例えばホモ接合の野生型Ikaros哺乳動物又は、Ikaros遺伝子 に突然変異(例えば、Ikaros遺伝子の全部又は部分に点突然変異又は欠失 )を有する哺乳動物に、外来的に供給する。もし外来的に供給するならば、その 細胞は、ヒトの又は非ヒト例えばブタの、非ヒト霊長類例えばサルの、ヤギの、 又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスのリンパ球であってよい。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、選択した抗原を認識するリンパ球又はリンパ球 の実質的に均質な集団を供給する方法を特徴とする。この方法は:Ikaros 統制解除されたリンパ球を有する哺乳動物を用意し;その哺乳動物から1つ以上 のリンパ球を単離することを含む。 好適具体例において:この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊 長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。 好適具体例において:このリンパ球又はリンパ球の実質的に均質な集団を、こ の哺乳動物のリンパ種から単離する。 他の好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros統制解除された動物 であり;この哺乳動物は、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり;こ の哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例えばIkaros遺伝子の 全部又は部分に点突然変異又は欠失を、例えばDNA結合領域内に突然変異(例 えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠 失)を有し;この哺乳動物は、Ikarosトランスジーン例えばDNA結合領 域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に 点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合 であり;この哺乳動物は、Ikaros遺伝子の制御領域に、NPIDサブユニ ットと対照的にPPIDサブユニットの優先的発現を生じる突然変異を有する。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例 えば転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは 両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不 活性化する点突然変異又は欠失を有する。 好適具体例において:このリンパ球又はリンパ球の実質的に均質な集団は、I karosトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合のリンパ球を含み; このリンパ球又はリンパ球の実質的に均質な集団は、ヘテロ接合のIkaros リンパ球を含み;このリンパ球又はリンパ球の実質的に均質な集団 は、ホモ接合の突然変異したIkarosリンパ球を含み;このリンパ球の実質 的に均質な集団は、ヘテロ接合のIkarosリンパ球とホモ接合の突然変異し たIkarosリンパ球の混合物を含み;このリンパ球又はリンパ球の実質的に 均質な集団は、Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−又はCD 4+CD8+リンパ球を含む。 好適具体例において、このリンパ球は、ヘルパーT細胞であり;細胞溶解性T 細胞であり;サプレッサーT細胞であり;一種以上の抗炎症性サイトカイン例え ばIL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞であり;抗原又はイデ ィオタイプ特異的であるT細胞であり;自己抗体につき又は同種移植片若しくは 異種移植片組織を認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細 胞である。 好適具体例において:Ikaros統制解除されたリンパ球を、哺乳動物に、 例えばホモ接合の野生型Ikaros哺乳動物又はIkaros遺伝子に突然変 異を有する哺乳動物に、外来的に供給する。もし外来的に供給するならば、この リンパ球は、ヒトの又は非ヒト例えばブタ、サル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラッ ト若しくはマウスのリンパ球であってよい。 好適具体例において:この哺乳動物を抗原で免疫し;このリンパ球を外来的に 供給し且つこの哺乳動物又はリンパ球を提供する哺乳動物の一方又は両方を抗原 で免疫する。この抗原は:同種抗原;異種抗原若しくは自己抗原;蛋白質;又は 抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原であってよい。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、増殖統制解除された細胞例えば造血細胞例えば 幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球 又はIkaros統制解除された細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全 能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球、又は好ましくはこ の発明の方法により生成されたかかる細胞の集団若しくは実質的に純粋な調製 物を特徴とする。 他の面において、この発明は、細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全 能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球、又は好ましくはこ こに記載のこの発明の方法により生成される細胞の単クローン性集団又は実質的 に純粋な調製物を特徴とする。好ましくは、これらの細胞は、増殖統制解除され た又はIkaros統制解除された細胞である。 他の面において、この発明は、好ましくはここに記載のこの発明の方法により 生成されたリンパ球又はその実質的に均質な集団又は実質的に純粋な調製物であ って、選択した抗原を認識する当該リンパ球又は集団を特徴とする。好ましくは 、これらのリンパ球は、増殖統制解除された又はIkaros統制解除されたリ ンパ球(例えば、トランスフォームされたもの)である。 他の面において、この発明は、増殖若しくはIkaros統制解除された細胞 例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞 の子孫例えばリンパ球例えばIkaros遺伝子座に少なくとも1つの突然変異 した対立遺伝子を有する細胞を特徴とする。この方法は:この細胞を哺乳動物に 導入し(好ましくは、この哺乳動物は、元々この細胞を単離した動物以外の動物 である);この細胞を培養することを含む。 好適具体例において、この方法、更に:この細胞をこの哺乳動物において増殖 させることを含む。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros遺伝子座においてヘテロ 接合であり;この哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を有し;この哺乳 動物は、ホモ接合の野生型Ikaros哺乳動物であり;この哺乳動物は、非ヒ ト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラッ ト若しくはマウス又は免疫無防備状態のマウス若しくはヌードマウスである。 他の好適具体例において:ドナーは、Ikaros統制解除されており;この 細胞のドナーは、Ikarosトランスジーン例えばDNA結合領域に突然変異 (例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又 は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり; この細胞のドナーは、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり;この細 胞のドナーは、Ikaros遺伝しに突然変異を、例えばDNA結合領域に突然 変異を、例えばIkaros遺伝子の全部又は部分に点突然変異又は欠失(例え ば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠失 )を有し;ドナーは、NPIDサブユニットと対照的にPPIDサブユニットの 優先的発現を生じるIkaros遺伝子の制御領域における突然変異を有しこの 細胞のドナーは、ホモ接合の野生型Ikaros哺乳動物であり;この細胞のド ナーは、ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えば ラット若しくはマウスである。Ikaros野生型ドナー例えばヒトドナーの場 合、Ikaros障害をイン・ビトロで生成することができる。 好適具体例において:これらの細胞のドナーは、Ikaros遺伝子に突然変 異を、例えば転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方 若しくは両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは 両方を不活性化する点突然変異又は欠失を有し;これらの細胞のドナーは、C末 端欠失を有する。 好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーンについてヘテ ロ接合又はホモ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のIkaros細胞であり ;このリンパ球は、ホモ接合の突然変異したIkarosリンパ球であり;これ らのリンパ球は、Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD 4+CD8+又はCD4−CD8−リンパ球である。 好適具体例において、この細胞は、リンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細 胞溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えば IL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイ プ特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織 を認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;この リンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し若しくは結合する因子(例えば、抗原 又は抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化され る。 他の面において、この発明は、増殖若しくはIkaros統制解除された細胞 例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞 の子孫例えばリンパ球例えばIkaros遺伝子座に少なくとも1つの変異した 対立遺伝子を有するリンパ球その他の細胞を培養する方法を特徴とする。この方 法は:その細胞を、サイトカイン例えばIL−2(好ましくは、外来的に投与さ れたサイトカイン)の存在下でイン・ビボ又はイン・ビトロで培養することを含 む。 好適具体例において:この細胞のドナーは、Ikarosトランスジーン例え ばDNA結合部位に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の 全部又は部分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接 合又はホモ接合であり;この細胞のドナーは、Ikaros遺伝子座においてヘ テロ接合であり;この細胞のドナーは、Ikaros遺伝しに突然変異を、例え ばIkaros遺伝子の全部又は部分に点突然変異又は欠失を、例えばDNA結 合領域内に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は 部分に点突然変異又は欠失)を有し;この細胞のドナーは、NPIDサブユニッ トと対照的にPPIDサブユニットの優先的発現を生じるIkaros遺伝子の 制御領域における突然変異を有し;このリンパ球のドナーは、ホモ接合の野生型 Ikaros哺乳動物であり;この哺乳動物は、ヒト又は非ヒト哺乳動物例えば ブタ、サル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。Ikaro s野生型ドナー例えばヒトドナーの場合には、Ikaros障害をイン・ビトロ で生成することができる。 好適具体例において:この細胞のドナーは、Ikaros遺伝子に突然変異を 、例えば、転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若 しくは両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両 方を不活性化する点突然変異又は欠失を有し;この細胞のドナーは、C末端欠失 を有する。 他の好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーンについて ヘテロ接合又はホモ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のIkaros細胞で あり;この細胞は、ホモ接合の変異したIkaros細胞であり;これらのリン パ球は、Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD 8+又はCD4−CD8−リンパ球である。 好適具体例において、この細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細胞 溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばI L−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ 特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を 認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリ ンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し若しくは結合する因子(例えば、抗原 又は抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化され る。 他の面において、この発明は、標的組織又は細胞例えば標的リンパ球の活性を 調節する方法を特徴とする。この方法は:標的を供給し、その標的を増殖又はI karos統制解除された細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若 しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球例えばIkaros遺伝子 座に少なくとも1つの突然変異した対立遺伝子を有するリンパ球にさらすことを 含み(但し、この標的はIkaros統制解除されていない);この標的及び細 胞は、Ikaros遺伝子座以外の遺伝子座において遺伝子型が異なり;この標 的及び細胞は、異なる動物に由来し;この標的及び細胞は、異なる種に由来し; この標的の活性は、レシピエント哺乳動物において調節され且つこの標的又は細 胞の何れかはレシピエント哺乳動物以外のドナー哺乳動物に由来し;又はこの標 的は、イン・ビトロ系においてこの細胞にさらされる。 好適具体例において:このIkaros統制解除された細胞のドナーは、Ik arosトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;このIkar os統制解除された細胞のドナーは、Ikarosトランスジーンについてヘテ ロ接合又はホモ接合であり;このIkaros統制解除された細胞のドナーは、 Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり、このIkaros 統制解除された細胞のドナーは、Ikaros遺伝子の全部又は部分に点突然変 異又は欠失を、例えばDNA結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又 はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠失)を有し;このドナーは 、NPIDサブユニットと対照的にPPIDサブユニットの優先的発現を生じる Ikaros遺伝子の制御領域内の突然変異を有し;このIkaros統制解除 された細胞のドナーは、ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ又はゲ ッ歯類例えばラット若しくはマウスである。好適具体例において、例えば、ヒト ドナーの場合、Ikaros統制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイ ン・ビトロで行なうことができる。 好適具体例において:このIkaros統制解除された細胞のドナーは、Ik aros遺伝子に突然変異を、例えば、転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期 を減じる2量体形成の一方若しくは両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガ ードメインの一方若しくは両方を不活性化する点突然変異又は欠失を有し;この Ikaros統制解除された細胞のドナーは、C末端欠失を有する。 他の好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーンについて ヘテロ接合又はホモ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のIkaros細胞で あり;この細胞は、ホモ接合の変異したIkaros細胞であり;このリンパ球 は、Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+ 又はCD4−CD8−リンパ球である。 好適具体例において、この細胞は、リンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細 胞溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えば IL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイ プ特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織 を認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;この リンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:この方法は、イン・ビトロ系において実施され;この方 法は、イン・ビボで、例えば哺乳動物例えばゲッ歯類例えばマウス若しくはラッ ト又は霊長類例えば非ヒト霊長類若しくはヒトにおいて実施される。もしこの方 法を、イン・ビトロで実施するならば、標的細胞又は組織及びリンパ球の ドナーは、同じであっても異なってもよい。もしこの方法をイン・ビボで実施す るならば、一のレシピエント動物及び一以上のドナーがある。 好適具体例において:この方法は、イン・ビボで、標的細胞又は組織の一以上 のレシピエント、ドナーにて実施され、細胞のドナーは、抗原で免疫され;この 方法は、イン・ビトロで、標的細胞又は組織の一以上のドナーにて実施され、細 胞のドナーは、抗原で免疫される。この抗原は:同種抗原;異種抗原又は自己抗 原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原であってよい。 好適具体例において:この標的は、T若しくはBリンパ球、マクロファージ、 炎症性白血球例えば好中球若しくは好酸球、単核食細胞、NK細胞又はTリンパ 球よりなる群から選択され;この標的は、抗原提示細胞例えば専門の抗原提示細 胞又は非専門的抗原提示細胞であり;この標的は、脾臓組織、骨髄組織、リンパ 節組織又は胸腺組織である。 他の好適具体例において、この標的は、哺乳動物例えばヒト由来であり;この 哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラット 若しくはマウスである。 好適具体例において、調節される標的の活性は:サイトカインの産生;免疫系 細胞の増殖又は活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶解又は細胞溶解性Tリン パ球の活性化;感染抵抗性に対する標的の効果;寿命に対する標的の効果;体重 に対する標的の効果;免疫系の組織若しくは器官の存在、機能若しくは形態に対 する標的の効果;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の 細胞、又は抗原)に応答する免疫系の成分の能力に対する標的の効果;同種抗原 又は異種抗原に対する免疫寛容を示す能力に対する標的の効果である。 好適具体例において:この標的及び細胞は、Ikaros遺伝子座以外の遺伝 子座において遺伝子型が異なり;この標的及び細胞は、異なる動物に由来し;こ の標的は、Ikaros統制解除されていない。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、標的組織又は細胞例えば標的リンパ球の活性を 調節する細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細 胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球の能力に対する処理の効果を評価する方法を 特徴とする。この方法は:増殖又はIkaros統制解除された細胞例えば造血 細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例え ばリンパ球例えばIkaros遺伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子 を有するリンパ球及び標的を含有する反応混合物を形成し;処理を施し;標的の 活性を調節するリンパ球の能力に関係するパラメーターに対するその処理の効果 を測定することを含む。 好適具体例において:この標的及び細胞は、Ikaros遺伝子座以外の遺伝 子座において遺伝子型が異なり;この標的及び細胞は、異なる動物に由来し;こ の標的及び細胞は、異なる種に由来し;この標的の活性は、レシピエント哺乳動 物において調節され且つこの標的又は細胞の何れかは、レシピエント哺乳動物以 外のドナー哺乳動物に由来し;又はこの標的は、イン・ビトロ系においてこの細 胞にさらされ;この標的は、Ikaros統制解除されていない。 好適具体例において:このドナーは、Ikaros統制解除されており;この 増殖又はIkaros統制解除された細胞のドナーは、Ikarosトランスジ ーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;この増殖又はIkaros制御解 除された細胞のドナーは、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり;こ の増殖又はIkaros統制解除された細胞のドナーは、Ikaros遺伝子の 全部又は部分に点突然変異又は欠失を、例えばDNA結合領域に突然変異(例え ば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠失 )を有し;このドナーは、NPIDサブユニットと対照的にPPIDサブユニッ トの優先的発現を生じるIkaros遺伝子の制御領域における突然変異を有し ;この増殖又はIkaros統制解除されたリンパ球のドナーは、ヒト又は非ヒ ト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウス である。好適具体例において、例えば野生型ドナー例えばヒトドナーの場合には 、Ikaros統制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビトロで 行なうことができる。 好適具体例において:この増殖又はIkaros統制解除された細胞のドナー は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例えば、転写活性化若しくはこの蛋白質 の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方を不活性化し又はC末端ジンク フィンガーの一方若しくは両方を不活性化する点突然変異又は欠失を有し;この 増殖又はIkaros統制解除された細胞のドナーは、C末端欠失を有する。 他の好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばF 1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠失を有す るトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;このリンパ球は、ヘ テロ接合のIkaros細胞であり;この細胞は、ホモ接合の突然変異したIk aros細胞であり;このリンパ球は、Tリンパ球であり、例えばCD4+CD 8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+又はCD4−CD8−リンパ球であ る。 好適具体例において、この細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細胞 溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばI L−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ 特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を 認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリ ンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:この方法を、イン・ビトロ系において実施し;この方法 を、イン・ビボで例えば哺乳動物例えばゲッ歯類例えばマウス若しくはラット又 は霊長類例えば非ヒト霊長類又はヒトにおいて実施する。もしこの方法を、イン ・ビボで実施するならば、一のレシピエント動物及び一以上のドナーがある。こ のレシピエントは、種若しくは遺伝子型が一方の若しくは両方のドナー(2ドナ ーである場合)と異なってよく、又は異なる動物由来であってよい。これらのド ナー(2ドナーである場合)は、遺伝子型又は種が異なってよく、又は異なる動 物由来であってよい。 好適具体例において:この方法をイン・ビボで実施し且つ一以上のレシピエン ト、標的細胞若しくは組織のドナー、この細胞のドナーを抗原で免疫し;この方 法をイン・ビトロで実施し且つ標的細胞若しくは組織のドナーの一方若しくは 両方、この細胞のドナーを抗原で免疫する。この抗原は:同種抗原;異種抗原又 は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原であってよい 。 好適具体例において:この標的を、T若しくはBリンパ球、マクロファージ、 炎症性白血球例えば好中球若しくは好酸球、単核食細胞、NK細胞又はTリンパ 球よりなる群から選択し;この標的は、抗原提示細胞例えば専門の抗原提示細胞 又は非専門抗原提示細胞であり;この標的は、脾臓組織、骨髄組織、リンパ節組 織又は胸腺組織である。 他の好適具体例において、この標的は、哺乳動物例えばヒト由来であり;この 哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラット 若しくはマウスである。 好適具体例において、この処理は:薬物、化学物質又は他の物質の投与;イオ ン化放射の施与;抗体例えば免疫系の分子又は細胞に対する抗体の投与;免疫系 を抑制する物質又は他の処理の施与;又は免疫系の機能を促進し、活性化し又は 阻止する物質又は他の処理の施与;核酸例えば遺伝子産物(例えば、免疫系の成 分)をコードし又は発現する核酸の導入;蛋白質例えば免疫系の成分である蛋白 質の導入を含んでよい。 好適具体例において、標的の活性を調節する細胞の能力に関係するパラメータ ーは:サイトカインの産生;免疫系の細胞の増殖又は活性化;抗体の産生;抗原 提示細胞の溶解又は細胞溶解性Tリンパ球の活性化;感染抵抗性;寿命;体重; 免疫系の組織又は器官の存在、機能又は形態;刺激(例えば、拡散性物質例えば サイトカイン、免疫系の他の細胞、又は抗原)に応答する免疫系成分の能力;同 種抗原又は異種抗原に対して免疫寛容を示す能力の何れかである。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、哺乳動物における免疫応答に対する細胞例えば 造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫 例えばリンパ球の機能の効果を評価する方法を特徴とする。この方法は:Ika ros統制解除された造血細胞例えばIkaros遺伝子座に少なくとも1つの 変異した対立遺伝子を有するリンパ球を哺乳動物に(好ましくは、外来的に)供 給し;その哺乳動物における免疫応答に関連したパラメーターに対するその造血 細胞機能の効果を評価することを含む。 好適具体例において:この哺乳動物は、Ikaros遺伝子座においてヘテロ 接合であり;この哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例えばDNA 結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は 部分に点突然変異又は欠失)を有し;この哺乳動物は、NPIDサブユニットと 対照的にPPIDサブユニットの優先的発現を生じるIkaros遺伝子の制御 領域における突然変異を有し;この哺乳動物は、ホモ接合の野生型Ikaros 哺乳動物であり;この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例 えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウス又は免疫無防備状態 のマウス若しくはヌードマウスであり;この哺乳動物は、Ikarosトランス ジーンについてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において:このドナーは、Ikaros統制解除されており;この 造血細胞のドナーは、Ikarosトランスジーン例えばDNA結合領域に突然 変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変 異又は欠失)を有するトランスジーンについてホモ接合又はヘテロ接合であり; この造血細胞のドナーは、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり;こ の造血細胞のドナーは、Ikaros遺伝子に突然変異を、例えばIkaros 遺伝子の全部又は部分に点突然変異又は欠失を、例えばDNA結合領域内に突然 変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変 異又は欠失)を有し;この造血細胞のドナーは、ホモ接合の野生型Ikaros 哺乳動物であり;このドナーは、NPIDサブユニットと対照的にPPIDサブ ユニットの優先的発現を生じるIkaros遺伝子の制御領域内の突然変異を有 し;この造血細胞のドナーは、ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ 又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。好適具体例において、例えば Ikaros野生型ドナー例えばヒトドナーの場合には、Ikaros統制解除 例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビトロで行なうことができる。 好適具体例において:この造血細胞のドナーは、Ikaros遺伝子における 突然変異例えば、転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の 一方若しくは両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若し くは両方を不活性化する点突然変異又は欠失についてホモ接合又はヘテロ接合で あり;この造血細胞のドナーは、C末端欠失についてホモ接合又はヘテロ接合で ある。 好適具体例において:免疫応答を示す免疫系の成分の細胞とこの造血細胞は、 Ikaros遺伝子座以外の遺伝子座において遺伝子型が異なり;免疫応答を示 す免疫系の成分の細胞とこの造血細胞は、異なる動物に由来し;又は免疫応答を 示す免疫系の成分の細胞とこの造血細胞は、異なる種に由来する。 他の好適具体例において:この造血細胞は、Ikarosトランスジーン例え ばF1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠失を DNA結合領域に有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり ;この造血細胞は、ヘテロ接合のIkaros造血細胞であり;この造血 細胞は、ホモ接合の変異したIkaros造血細胞であり;このリンパ球は、T リンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+又はC D4−CD8−リンパ球である。 好適具体例において:この造血細胞は、Ikaros遺伝子における突然変異 例えば転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しく は両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を 不活性化する点突然変異又は欠失についてヘテロ接合又はホモ接合であり;この 造血細胞は、C末端欠失についてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において、この造血細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞; 細胞溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例え ばIL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタ イプ特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組 織を認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;こ のリンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:この方法をイン・ビボで実施し且つ一以上のレシピエン ト哺乳動物、この造血細胞のドナーを抗原で免疫する。この抗原は:同種抗原; 異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原で あってよい。 好適具体例において:免疫応答に関係するパラメーターは:サイトカインの産 生;免疫系細胞の増殖又は活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶解又は細胞溶 解性Tリンパ球の活性化;感染抵抗性;寿命;体重;免疫系組織又は器官の存在 、機能又は形態;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の 細胞、又は抗原)に応答する免疫系成分の能力;抗原を提示する能力;同種抗原 又は異種抗原に対する免疫寛容を示す能力の何れかであってよい。 好適具体例において:この哺乳動物は、非ヒト霊長類例えばサル、ブタ、ヤギ 又はゲッ歯類例えばマウス若しくはラットであり;この哺乳動物は、野生型であ り;この哺乳動物は、ヒトの病気のモデル動物例えばNODマウスであり;この 哺乳動物は、照射、化学療法又は遺伝的欠陥により免疫無防備状態である(例え ば、それは、SCIDマウス又はヌードマウスである)。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、イン・ビトロ系における免疫応答に対する細胞 例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞 の子孫例えばリンパ球の機能の効果を評価する方法を特徴とする。この方法は: Ikaros統制解除された造血細胞例えばリンパ球例えばIkaros遺伝子 座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を有するリンパ球をイン・ビトロ系に 供給することにより機能を供給し;このイン・ビトロ系における免疫応答に関係 したパラメーターに対する造血細胞機能の効果を評価することを含む。 他の好適具体例において:このドナーは、Ikaros統制解除されており; この造血細胞のドナーは、Ikarosトランスジーン例えばDNA結合領域に 突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突 然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であ り;この造血細胞のドナーは、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり ;この造血細胞のドナーは、Ikaros遺伝子に突然変異を、例えばIkar os遺伝子の全部又は部分に点突然変異又は欠失を、例えばDNA結合領域に突 然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然 変異又は欠失)を有し;この造血細胞のドナーは、ホモ接合の野生型Ikaro s哺乳動物であり;このドナーは、NPIDサブユニットと対照的にPPIDサ ブユニットの優先的発現を生じるIkaros遺伝子の制御領域における突然変 異を有し;この造血細胞のドナーは、ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル 、ヤギ又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。好適具体例において、 例えばIkaros野生型ドナー例えばヒトドナーの場合には、Ikaros統 制解除例えばIkaros障害を生じる操作を、イン・ビトロで行なうことがで きる。 好適具体例において:この造血細胞のドナーは、Ikaros遺伝子における 突然変異例えば転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の 一方若しくは両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若し くは両方を不活性化する点突然変異又は欠失についてヘテロ接合又はホモ接合で あり;この造血細胞のドナーは、C末端欠失についてヘテロ接合又はホモ接合で ある。 好適具体例において:免疫応答を示す免疫系の成分の細胞とこの造血細胞は、 Ikaros遺伝子座以外の遺伝子座において異なり;免疫応答を示す免疫系の 成分の細胞とこの造血細胞は、異なる動物に由来し;又は免疫応答を示す免疫系 の成分の細胞とこの造血細胞は、異なる種に由来する。 他の好適具体例において:この造血細胞は、Ikarosトランスジーン例え ばF1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部分に点突然変異又は欠失を 有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であり;この造血細胞は 、ヘテロ接合のIkaros造血細胞であり;この造血細胞は、ホモ接合の変異 したIkaros造血細胞であり;このリンパ球は、Tリンパ球例えばCD4+ CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+又はCD4−CD8−リンパ球 である。 好適具体例において:この造血細胞は、Ikarosトランスジーン例えば転 写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方を 不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性化 する点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接 合であり;この造血細胞は、Ikarosトランスジーン例えばC末端欠失を有 するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において、この造血細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞; 細胞溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例え ばIL−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタ イプ特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組 織を認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;こ のリンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:この変異したIkaros造血細胞のドナー又は免疫系 の成分のドナー又は両者を、抗原で免疫する。この抗原は:同種抗原;異種抗原 又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原であってよ い。 好適具体例において、免疫応答に関係するパラメーターは:サイトカインの産 生;免疫系細胞の増殖又は活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶解又は細胞溶 解性Tリンパ球の活性化;感染抵抗性;寿命;体重;免疫系組織又は器官の存在 、機能又は形態;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の 細胞、又は抗原)に応答する免疫系の成分の能力;抗原を提示する能力;同種抗 原又は異種抗原に対する免疫寛容を示す能力の何れかであってよい。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、患者例えば患者の哺乳動物例えば霊長類(例え ばヒト又は非ヒト霊長類)、例えばブタ、非ヒト霊長類(例えば、サル)、ヤギ 又はゲッ歯類(例えば、ラット又はマウス)の免疫応答を調節(例えば、促進又 は阻止)する方法を特徴とする。この方法は:患者に、Ikaros統制解除さ れた細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性又は多能性幹細胞或は幹 細胞の子孫例えばリンパ球例えばヘテロ接合のIkarosリンパ球例えばIk aros幹細胞又はリンパ球(ここに記載のもの)を有するドナー哺乳動物から のリンパ球を導入することを含む。 好適具体例において、この方法は、更に:患者への細胞の導入前に、その細胞 を例えば照射することにより処理して増殖を阻止することを含む。 他の好適具体例において:このドナーは、Ikaros統制解除されており; このドナー哺乳動物は、Ikaros遺伝子座においてヘテロ接合であり;この 哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異を、例えばIkaros遺伝子の全 部又は部分に欠失を有し;この哺乳動物は、Ikarosトランスジーンについ てヘテロ接合又はホモ接合である。 他の好適具体例において:このドナー哺乳動物は、ヒト又は非ヒト哺乳動物例 えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスである。 好適具体例において、例えばIkaros野生型ドナー例えばヒトドナーの場合 には、Ikaros統制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビト ロで行なうことができる。 好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばDNA 結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は 部分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホ モ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のIkaros細胞であり;この細胞は ホモ接合の変異したIkaros細胞であり;このリンパ球は、Tリンパ球例え ばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+、CD4−CD8− リンパ球である。好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジー ン例えば転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若し くは両方を不活性化するか又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは 両方を不活性化する点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ 接合又はホモ接合であり;この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばC末 端欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において、この細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細胞 溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばI L−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ 特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を 認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリ ンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において:この方法を、イン・ビボで実施し且つIkaros細胞 を生成するドナー哺乳動物又は患者の哺乳動物又は両者を抗原で免疫する。この 抗原は:同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリン パ球を生じる抗原であってよい。 他の面において、この発明は、免疫系を再構成する方法を特徴とする。この方 法は:レシピエントの哺乳動物例えばヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒ ト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスを用意し て、この動物に、Ikaros統制解除された(例えば、Ikaros遺伝子 座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を有する)ドナー哺乳動物例えばヒト 又は非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しく はマウス由来の免疫系成分を、好ましくは外来的に導入することを含む。好適具 体例において、例えばもしドナー哺乳動物がヒトであるならば、Ikaros統 制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビトロですることができる 。 好適具体例において、この成分は、Ikaros統制解除された細胞例えば造 血細胞例えば多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球である。 好適具体例において、この成分は、ドナー哺乳動物例えばヒト又は非ヒト哺乳 動物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスに由来 する。 好適具体例において、この方法は、更に:患者への成分の導入の前に、例えば その成分を照射することによりリンパ球を処理して増殖を阻止することを含む。 好適具体例において、このドナー哺乳動物は、Ikaros遺伝子に突然変異 を、例えばIkaros遺伝子の全部又は部分の欠失を有する。 他の好適具体例において:この免疫系成分は、T細胞、T細胞前駆細胞、分化 全能性造血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキ ラー細胞、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織、又は胸腺組織 の何れかである。 好適具体例において:免疫系成分は、レシピエント哺乳動物と同じ種に由来し ;免疫系成分は、レシピエント哺乳動物の種と異なる種に由来する。 好適具体例において:レシピエント動物は、野生型動物であり;ヒトの病気の モデル動物例えばNODマウスであり;この動物は、照射、化学療法又は遺伝的 欠陥により免疫無防備状態であり(例えば、この動物は、SCIDマウス又はヌ ードマウスである);このレシピエントは、免疫機能不全であり(例えば、この レシピエントは、胸腺摘出され、免疫系成分例えば細胞又は抗体が涸渇している );このレシピエントは、化学療法又は照射を施されたものである。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば DNA結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全 部又は部分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合 又はホモ接合であるリンパ球であり;この免疫系成分は、ヘテロ接合のIkar osリンパ球であり;この免疫系成分は、ホモ接合の突然変異したIkaros リンパ球であり;この免疫系成分は、Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD 8+CD4−、CD4+CD8+又はCD4−CD8−リンパ球である。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば 転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方 を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性 化する点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ 接合であるリンパ球であり:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例 えばC末端欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合である リンパ球である。 好適具体例において、この免疫系成分は:ヘルパーT細胞;又は細胞溶解性T 細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばIL−4、 IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ特異的で あるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を認識する 抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞;抗原非特異的T細胞で あるリンパ球である。 好適具体例において:この方法を、イン・ビボで実施し、且つレシピエント哺 乳動物又はドナー哺乳動物又は両者を抗原で免疫する。この抗原は:同種抗原; 異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原で あってよい。 好適具体例において、この方法は、更に:免疫系機能に関係するパラメーター の値を測定することを含む。この免疫系機能に関係するパラメーターは:サイト カインの産生;この免疫系の細胞の増殖又は活性;抗体の産生;抗原提示細胞の 溶解又は細胞溶解性Tリンパ球の活性化;感染抵抗性;寿命;体重;この免疫系 の組織又は器官の存在、機能又は形態;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイト カイン、免疫系の他の細胞、又は抗原)に応答する免疫系成分の能力;抗原を提 示する能力;同種抗原又は異種抗原に対する免疫寛容を示す能力の何れかであっ てよい。好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細 胞は、その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗 原又は抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化さ れる。 他の面において、この発明は、Ikaros統制解除された細胞例えば造血細 胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えば リンパ球例えばIkaros遺伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を 有するリンパ球の免疫系成分との相互作用を評価する方法を特徴とする。この方 法は:動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類ラット若 しくはマウスを用意し;この細胞及び免疫成分をこの動物に導入して;Ikar os統制解除された細胞と免疫系成分との相互作用を評価することを含む。 好適具体例において、この方法は、更に:患者への細胞の導入の前に、リンパ 球を、例えばその細胞を照射することにより処理して増殖を阻止することを含む 。 好適具体例において:この免疫系成分は、T細胞、T細胞前駆細胞、分化全能 性造血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー 細胞、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の何れ かであり;この免疫系成分は、この動物と同じ種に由来し;この免疫系成分は、 この動物の種と異なる種に由来し;この免疫系成分は、このリンパ球と同じ種に 由来し;この免疫系成分は、このリンパ球が得られた種と異なる種に由来する。 他の好適具体例において:この細胞は、この動物と同じ種に由来し;この細胞 は、この動物の種と異なる種に由来する。 他の好適具体例において:このレシピエント哺乳動物は、野生型動物であり; ヒトの病気のモデル動物例えばNODマウスであり;この動物は、照射、化学療 法又は遺伝的欠陥により免疫無防備状態であり(例えば、この動物は、SCID マウス又はヌードマウスである);このレシピエントは、免疫機能不全であり( 例えば、このレシピエントは、胸腺摘出されており、免疫系成分例えば細胞又は 抗体が涸渇している);このレシピエントは、化学療法又は照射を施されたもの である。 好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばDNA 結合領域内に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又 は部分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又は ホモ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のIkaros細胞であり;このリン パ球は、ホモ接合の変異したIkarosリンパ球であり;このリンパ球は、T リンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+CD4 −CD8−リンパ球である。 好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーン例えば転写活 性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方を不活 性化するか又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性化 する点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接 合であり;この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばC末端欠失を有する トランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において、この細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細胞 溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばI L−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ 特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を 認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリ ンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において、評価することは:サイトカインの産生;免疫系の細胞の 増殖又は活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶解又は細胞溶解性Tリンパ球の 活性化;感染抵抗性;寿命;体重;免疫系の組織又は器官の存在、機能又は形態 ;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の細胞、又は抗原 )に応答する免疫系成分の能力;抗原を提示する能力;同種抗原又は異種抗原に 対する免疫寛容を示す能力の何れかを評価することを含むことができる。 好適具体例において:この方法を、イン・ビボで実施し且つ一以上の動物、I karos統制解除された細胞のドナー、免疫系成分のドナーを抗原で免疫する 。この抗原は:同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイ プリンパ球を生じる抗原であってよい。 他の面において、この発明は、Ikaros統制解除された細胞例えば造血細 胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えば リンパ球例えばIkaros遺伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を 有するリンパ球の免疫系成分との相互作用を評価する方法であって:この細胞及 び免疫系成分を供給し;この細胞をイン・ビトロでこの免疫系成分にさらし;こ の細胞と免疫系成分との相互作用を評価することを含む該方法を特徴とする。 好適具体例において、このリンパ球のドナーは:ヒト又は非ヒト哺乳動物例え ばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウス(Ikaros 遺伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を有するもの)である。 好適具体例において、これらの免疫系成分のドナーは:ヒト又は非ヒト哺乳動 物例えばブタ、サル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウス(Ika ros遺伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を有するもの)である。 好適具体例において、例えばもしドナー哺乳動物がヒトであるならば、Ikar os統制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビトロで行なうこと ができる。 好適具体例において:この免疫系成分は、T細胞、T細胞前駆細胞、分化全能 性造血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー 細胞、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の何れ かであり;この免疫系成分は、この動物と同じ種に由来し;この免疫系成分は、 この動物の種と異なる種に由来し;この免疫系成分は、このリンパ球と同じ種に 由来し;この免疫系成分は、このリンパ球が得られた種と異なる種に由来する。 他の好適具体例において:この細胞は、この動物と同じ種に由来し;この細胞 は、この動物の種と異なる種に由来する。 好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばDNA 結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は 部分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホ モ接合であり;この細胞は、ヘテロ接合のIkaros細胞であり;この細胞は 、ホモ接合の変異したIkaros細胞であり;このリンパ球は、Tリンパ球例 えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+、CD4−CD8 −リンパ球である。 好適具体例において:この細胞は、Ikarosトランスジーン例えば転写活 性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方を不活 性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性化する 点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合で あり;この細胞は、Ikarosトランスジーン例えばC末端欠失を有するトラ ンスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合である。 好適具体例において、この細胞はリンパ球であり且つ:ヘルパーT細胞;細胞 溶解性T細胞;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばI L−4、IL−10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ 特異的であるT細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を 認識する抗体につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリ ンパ球は、抗原非特異的T細胞である。 好適具体例において、評価することは:サイトカインの産生;免疫系の細胞の 増殖又は活性化;抗体の産生;抗原提示細胞の溶解又は細胞溶解性Tリンパ球の 活性化;感染抵抗性;寿命;体重;免疫系の組織又は器官の存在、機能又は形態 ;刺激(例えば、拡散性物質例えばサイトカイン、免疫系の他の細胞、又は抗原 )に応答する免疫系成分の能力;抗原を提示する能力;同種抗原又は異種抗原に 対する免疫寛容を示す能力の何れかを評価することを含むことができる。 好適具体例において:この方法を、イン・ビトロで実施し且つ変異したIka ros細胞のドナー又は免疫系成分のドナー又は両者を抗原で免疫する。この抗 原は:同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ 球を生じる抗原であってよい。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化される。 他の面において、この発明は、外来的に導入された免疫系成分を有する哺乳動 物例えば非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ 歯類例えばラット若しくはマウス(該成分は、Ikaros統制解除された又は Ikaros遺伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を有するヒト又は 非ヒト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例え ばラット若しくはマウス、又は細胞培養に由来する)を特徴とする。好適具体例 において、例えば、もし免疫系成分が野生型動物例えばヒトに由来するならば、 Ikaros統制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビトロで行 なうことができる。 好適具体例において、この成分は、Ikaros統制解除されたヒト又は非ヒ ト哺乳動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラ ット若しくはマウスに由来する。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば DNA結合領域に突然変異(F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全部又は部 分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ 接合であるリンパ球であり;この免疫系成分は、ヘテロ接合のIkarosリン パ球であり;この免疫系成分は、ホモ接合の変異したIkarosリンパ球であ り;この免疫系成分は、Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4− 、CD4+CD8+、CD4−CD8−リンパ球である。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば 転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方 を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性 化する点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ 接合であるリンパ球であり;この免疫系成分は、C末端欠失についてヘテロ接合 又はホモ接合であるリンパ球である。 好適具体例において、この免疫系成分は:ヘルパーT細胞;細胞溶解性T細胞 ;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばIL−4、IL −10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ特異的である T細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を認識する抗体 につき抗イディオタイプであるT細胞であり;このリンパ球は、抗原非特異的T 細胞である。 他の好適具体例において:この免疫系成分は、T細胞前駆細胞、分化全能性造 血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー細胞 、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の何れかで あり;この免疫系成分は、この動物と同じ種に由来し;この免疫系成分は、この 動物の種と異なる種に由来する。 好適具体例において:この免疫系成分を生成する哺乳動物又はドナー動物又は 両者を、抗原で免疫する。この抗原は:同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白 質;又は抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原であってよい。 他の面において、この発明は、Ikaros統制解除され又はIkaros遺 伝子座に少なくとも1つの変異した対立遺伝子を有する動物又は細胞培養に由来 する免疫系成分並びに標的組織又は細胞例えば標的リンパ球を含有する反応混合 物、好ましくはイン・ビトロ反応混合物(好ましくは、この免疫系成分と標的は Ikaros遺伝子座以外の遺伝子座において遺伝子型が異なり;この成分と標 的は異なる種に由来し且つこの標的は異なる動物に由来する)を特徴とする。 好適具体例において、この成分は、Ikaros統制解除された動物又は細胞 培養に由来する。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば DNA結合領域に突然変異(例えば、F1、F2、F3又はF4の一つ以上の全 部又は部分に点突然変異又は欠失)を有するトランスジーンについてヘテロ接合 又はホモ接合であるリンパ球であり;この免疫系成分は、ヘテロ接合のIkar osリンパ球であり;この免疫系成分は、ホモ接合の突然変異したIkaros リンパ球であり;この免疫系成分は、Tリンパ球例えばCD4+ CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+、CD4−CD8−リンパ球で ある。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば 転写活性化若しくはこの蛋白質の半減期を減じる2量体形成の一方若しくは両方 を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を不活性 化する点突然変異又は欠失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ 接合であるリンパ球であり;この免疫系成分は、C末端欠失についてヘテロ接合 又はホモ接合であるリンパ球である。 好適具体例において、この免疫系成分は:ヘルパーT細胞;細胞溶解性T細胞 ;サプレッサーT細胞;一種以上の抗炎症性サイトカイン例えばIL−4、IL −10又はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ特異的である T細胞;自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を認識する抗体 につき抗イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリンパ球は、抗 原非特異的T細胞である。 他の好適具体例において:この免疫系成分は、T細胞前駆細胞、分化全能性造 血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキラー細胞 、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の何れかで あり;この免疫系成分は、標的細胞と同じ種に由来し;この免疫系成分は、標的 細胞の種と異なる種に由来する。 好適具体例において:この標的を、T若しくはB細胞、マクロファージ、炎症 性白血球例えば好中球若しくは好酸球、単核食細胞、NK細胞又はTリンパ球よ りなる群から選択し;この標的は、抗原提示細胞例えば専門の抗原提示細胞又は 非専門抗原提示細胞であり;この標的は、脾臓組織、リンパ節組織、骨髄組織又 は胸腺組織である。 好適具体例において:この免疫系成分のドナー又は標的のドナー又は両者を、 抗原で免疫する。この抗原は:同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は 抗イディオタイプリンパ球を生じる抗原であってよい。 好適具体例において、これらの成分のドナーは:ヒト又は非ヒト哺乳動物例え ばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくは マウスである。好適具体例において、例えば、野生型ドナー例えばヒトの場合に は、Ikaros統制解除例えばIkaros障害を生じる操作をイン・ビトロ で導入することができる。 好適具体例において、この標的のドナーは:ヒト又は非ヒト哺乳動物例えばブ タ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウス である。 他の面において、この発明は、Ikaros統制解除され又は少なくとも1つ のIkaros遺伝子座に変異した対立遺伝子を有するヒト又は非ヒト哺乳動物 例えば動物例えばブタ、非ヒト霊長類例えばサル、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラ ット若しくはマウス、又は細胞培養に由来する免疫系成分及び外来的に導入した サイトカイン例えばIL−2を含有する反応混合物好ましくはイン・ビトロ反応 混合物を特徴とする。もしドナーがヒトであるならば、Ikaros障害をイン ・ビトロで生成することができる。 好適具体例において:この免疫系成分は、Ikarosトランスジーン例えば F1、F2、F3又はF4の少なくとも1つの全部又は部分に点突然変異又は欠 失を有するトランスジーンについてヘテロ接合又はホモ接合であるリンパ球であ り;この免疫系成分は、ヘテロ接合のIkarosリンパ球であり;この免疫系 成分は、ホモ接合の変異したIkarosリンパ球であり;この免疫系成分は、 Tリンパ球例えばCD4+CD8−、CD8+CD4−、CD4+CD8+、C D4−CD8+リンパ球である。 好適具体例において、この免疫系成分は:ヘルパーT細胞;細胞溶解性T細胞 ;サプレッサーT細胞;一種以上のサイトカイン例えばIL−4、IL−10又 はIL−13を分泌するT細胞;抗原又はイディオタイプ特異的であるT細胞; 自己抗体につき又は同種移植片若しくは異種移植片組織を認識する抗体につき抗 イディオタイプであるサプレッサーT細胞であり;このリンパ球は、抗原非特異 的T細胞である。 他の好適具体例において:この免疫系成分は、T細胞、T細胞前駆細胞、分化 全能性造血幹細胞、多能性造血幹細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、ナチュラルキ ラー細胞、ナチュラルキラー細胞前駆細胞、骨髄組織、脾臓組織又は胸腺組織の 何れかである。 好適具体例において:この免疫系成分のドナーを、抗原で免疫する。この抗原 は:同種抗原;異種抗原又は自己抗原;蛋白質;又は抗イディオタイプリンパ球 を生じる抗原であってよい。 他の面において、この発明は、細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全 能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球の増殖を促進する方 法を特徴とする。この方法は:非増殖性Ikaros2量体(NPID)の形成 を阻止する化合物を細胞に投与することを含む。 好適具体例において、この化合物は:NPIDサブユニットの会合の競争又は 非競争インヒビターであり;この化合物は、Ik−1、Ik−2又はIk−3イ ソ型に好ましくはこのイソ型のエキソン7のF5及びF6領域に結合し;Ika ros蛋白質のフラグメント例えばF5及びF6を含むフラグメント又はそのI k−1、Ik−2又はIk−3結合部分に結合し;この化合物は、150、10 0、70、58、52、50、40又は30アミノ酸長以下のIkaros蛋白 質のフラグメントであり;エキソン7のC末端150アミノ酸残基好ましくは5 8のC末端アミノ酸残基を含むIkaros蛋白質のフラグメントであり;F5 及びF6の最初の20アミノ酸残基を含むフラグメントであり;F5及びF6の 最初の22アミノ酸残基を含むフラグメントであり;相互作用欠損Ikaros 種であり;F1、F2、F3又はF4の少なくとも1つが非機能的であるか欠失 しているIkarosペプチドであり;IK−1、Ik−2又はIk−3の何れ かと結合して、野生型レベルより低い活性化を可能にするIkaros蛋白質又 はフラグメント(例えば、ここに記載の13変異体)である。 好適具体例において、この細胞はT細胞レセプターを発現し且つこの細胞は、 その細胞をT細胞レセプターと相互作用し又は結合する因子(例えば、抗原又は 抗T細胞レセプター抗体)と接触させることにより刺激され又は活性化され る。 好適具体例において、この化合物は:蛋白質又はペプチド;ペプトミメチック 、小さい分子;インヒビターをコードする核酸である。 他の面において、この発明は、レシピエント動物例えばゲッ歯類例えばラット 若しくはマウス、ブタ又はヒト又は非ヒト霊長類における、自家移植の、同種の 又は異種の造血幹細胞の植付け又は増殖を促進する方法を特徴とする。この方法 は、造血幹細胞好ましくはIkaros統制解除された幹細胞をレシピエントに 投与することを含む。 好適具体例において、この方法は、更に、幹細胞又はレシピエント又は両者に 、NPIDサブユニットの会合の競争又は非競争インヒビターである化合物;I k−1、Ik−2又はIk−3イソ型好ましくはこのイソ型のエキソン7のF5 及びF6領域に結合する化合物を投与することを含み;Ikaros蛋白質のフ ラグメント例えばF5及びF6を含むフラグメント又はそのIk−1、Ik−2 又はIk−3結合部分は、150、100、70、58、52、50、40又は 30アミノ酸長以下のIkaros蛋白質のフラグメントであり;エキソン7の C末端150アミノ酸残基一層好ましくはC末端アミノ酸残基58C末端アミノ 酸残基を含むIkaros蛋白質のフラグメントであり;F5及びF6の最初の 20アミノ酸残基を含むフラグメントであり;F5及びF6の最初の22アミノ 酸残基を含むフラグメントであり;相互作用欠損Ikaros種であり;F1、 F2、F3又はF4の1つ以上が非機能的であり又は欠失しているIkaros ペプチドであり;IK−1、Ik−2又はIk−3の何れかと結合して、野生型 レベルより低い活性化を可能にするIkaros蛋白質又はフラグメント(例え ば、ここに記載の13変異体)である。 好適具体例において、この化合物は:蛋白質又はペプチド;ペプトミメチック 、小さい分子:インヒビターをコードする核酸である。 他の面において、この発明は、細胞例えば造血細胞例えば幹細胞例えば分化全 能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えば統制解除されたIkaros 遺伝子座を含む増大された増殖を有するリンパ球を用意する方法を特徴とする。 他の面において、この発明は、Ikaros統制解除された細胞例えば造血細 胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹才能の子孫例えば リンパ球の精製された調製物を特徴とする。 他の面において、この発明は、変異例えば転写活性化若しくは2量体形成の一 方若しくは両方を(完全に又は部分的に)不活性化し、この蛋白質の半減期を減 じ、又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは両方を(完全に又は部 分的に)不活性化する点突然変異又は欠失(例えば、C末端欠失又はエキソン7 の全部又は部分の欠失)の何れかを有する組換えの又は実質的に純粋なIkar osポリペプチドの調製物を特徴とする。ヒト及びマウスIkarosの配列は 、Molnar et al.,J.Immunol.156:585-592,1996に見出すことができる(参考とし て、本明細書中に援用する)。 好適具体例において:このポリペプチドは、生物学的活性を有し;このポリペ プチドは、天然のIkarosポリペプチドと少なくとも60%、80%、90 %、95%、98%又は99%相同であるアミノ酸配列を含み;このポリペプチ ドは、天然のIkarosポリペプチドと本質的に同じアミノ酸配列を含み;こ のポリペプチドは、少なくとも20、50、100又は150アミノ酸長であり ;このポリペプチドは、天然のIkarosポリペプチドに由来する少なくとも 20の最も好ましくは少なくとも50、100又は150の連続アミノ酸を含み ;このポリペプチドは、天然のIkarosポリペプチドの生物学的活性のアゴ ニスト又はアンタゴニストの何れかである。例えば、このポリペプチドは、天然 のIkarosポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストであり;このポリ ペプチドは、脊椎動物例えば哺乳動物例えば霊長類例えばヒトのIkarosポ リペプチドである。 好適具体例において:このIkarosポリペプチドは、天然のIkaros ポリペプチドの核酸によりコードされ又は天然のIkarosポリペプチドの核 酸と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%相 同性を有する核酸によりコードされる。 好適具体例において、このIkarosポリペプチドは、アミノ酸配列におい て、天然のIkarosポリペプチドの配列と最大1、2、3、5又は10残基 異なる。他の好適具体例において、このIkarosポリペプチドは、アミノ酸 配列において、天然のIkarosポリペプチドの配列と最大1、2、3、5又 は10%異なる。好ましくは、これらの差異は:このIkarosポリペプチド がIkarosの生物学的活性を示すようなもの、例えばこのIkarosポリ ペプチドが天然のIkarosポリペプチドの生物学的活性を保持するかこのポ リペプチドが天然のIkarosポリペプチドのアンタゴニストであるようなも のである。 好適具体例において、このIkarosポリペプチドは、リーディングフレー ムにて、更なるアミノ酸配列(好ましくは、天然のIkarosポリペプチドの 配列をコードするゲノムDNAの5’側のゲノムDNAによりコードされる残基 )に融合された天然のIkarosポリペプチドのアミノ酸配列の全部又はフラ グメントを含む。 更に他の好適具体例において、このIkarosポリペプチドは、第1のIk aros部分及び第2のポリペプチド部分(例えば、Ikarosポリペプチド と無関係のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド部分)を有する組換え融合 蛋白質である。この第2のポリペプチド部分は、例えば、グルタチオン−S−ト ランスフェラーゼ、DNA結合ドメイン又はポリメラーゼ活性化ドメインの何れ かであってよい。好適具体例において、この融合蛋白質は、2−ハイブリッドア ッセイにおいて用いることができる。 この発明のポリペプチドは、同義遺伝子、選択的転写事象、選択的RNAスプ ライシング事象、並びに選択的翻訳及び翻訳後事象の存在の結果として生じる。 このポリペプチドを、発現されるIkarosポリペプチドが天然の細胞におい て発現されるときに存在するのと実質的に同じ翻訳後修飾を生じる系、又は天然 の細胞において発現されるときに存在する翻訳後修飾の省略を生じる系例えば培 養細胞にて発現させることができる。 この発明は、免疫学的調製物中にIkarosポリペプチドを含む免疫原を含 み、この免疫原は、Ikarosポリペプチドに特異的な免疫応答(例えば、体 液性応答、抗体応答又は細胞性応答)を誘出することができる。好適具体例にお いて、天然のIkarosポリペプチドにより表される蛋白質に由来する抗原 決定基例えばユニークな決定基を含む免疫原。 本発明は又、Ikaros免疫原の又は一般にIkarosポリペプチドのエ ピトープと特異的に反応性の抗体調製物をも含む(好ましくは、エピトープは、 抗体と結合したときに、生物学的活性の調節を生じる)。 本発明には又、Ikarosポリペプチド(又は、それをコードする核酸)及 び一種以上の更なる成分例えばキャリアー、希釈剤又は溶剤を含む組成物も含ま れる。この更なる成分は、この組成物をイン・ビトロ、イン・ビボ製薬用途又は 獣医学用途において有用なものとすることができる。 他の面において、この発明は、アミノ酸配列が、突然変異例えば転写活性化若 しくは2量体形成の一方若しくは両方を(完全に又は部分的に)不活性化し、こ の蛋白質の半減期を減じ、又はC末端ジンクフィンガードメインの一方若しくは 両方を(完全に又は部分的に)不活性化する点突然変異又は欠失(例えば、C末 端欠失又はエキソン7の全部若しくは部分の欠失)の何れかを有するIkaro sポリペプチドの配列を含み又は該配列であるポリペプチドをコードするヌクレ オチド配列を有し又は含む実質的に純粋な核酸を提供する。 好適具体例において:コードされるポリペプチドは、生物学的活性を有し;コ ードされるポリペプチドは、アミノ酸配列において、天然のIkarosポリペ プチドと少なくとも60%、80%、90%、95%、98%又は99%相同で あるアミノ酸配列を含み;コードされるポリペプチドは、天然のIkarosポ リペプチドと本質的に同じアミノ酸配列を含み;コードされるポリペプチドは、 少なくとも20、50、100又は150アミノ酸長であり;コードされるポリ ペプチドは、天然のIkarosポリペプチドからの少なくとも20、最も好ま しくは少なくとも50、100又は150の連続するアミノ酸を含み;コードさ れるポリペプチドは、天然のIkarosポリペプチドの生物学的活性のアゴニ スト又はアンタゴニストの何れかである。例えば、コードされるポリペプチドは 、天然のIkarosポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストであり;コ ードされるポリペプチドは、脊椎動物例えば哺乳動物例えば霊長類例えばヒトの Ikarosポリペプチドである。 好適具体例において:このコードされるIkarosポリペプチドは、天然の Ikarosポリペプチドの核酸により、又は天然のIkarosポリペプチド の核酸と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99 %の相同性を有する核酸によりコードされる。 好適具体例において、このコードされるポリペプチドは、アミノ酸配列におい て、天然のIkarosポリペプチドの配列と最大1、2、3、5又は10残基 異なる。他の好適具体例において、このコードされるIkarosポリペプチド は、アミノ酸配列において、天然のIkarosポリペプチドの配列と最大1、 2、3、5又は10%異なる。好ましくは、これらの差異は、このコードされる IkarosポリペプチドがIkarosの生物学的活性を示すようなものであ り、例えばこのコードされるIkarosポリペプチドが天然のIkarosポ リペプチドの生物学的活性を保持し又はこのコードされるポリペプチドが天然の Ikarosポリペプチドのアンタゴニストであるようなものである。 好適具体例において、このコードされるIkarosポリペプチドは、リーデ ィングフレームにて、更なるアミノ酸残基に、好ましくは、天然のIkaros ポリペプチドの配列をコードするゲノムDNAの5’側のゲノムDNAによりコ ードされる残基に融合した天然のIkarosポリペプチドのアミノ酸配列の全 部又はフラグメントを含む。 更に別の好適具体例において、このコードされるIkarosポリペプチドは 第1のIkaros部分及び第2のポリペプチド部分(例えば、Ikarosポ リペプチドと無関係のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド)を有する組換 え融合蛋白質である。この第2のポリペプチド部分は、例えば、グルタチオン− S−トランスフェラーゼ、DNA結合ドメイン又はポリメラーゼ活性化ドメイン の何れかであってよい。好適具体例において、この融合蛋白質は、2−ハイブリ ッドアッセイにおいて用いることができる。 好適具体例において、この主題のIkaros核酸は、転写調節配列、例えば Ikaros遺伝子配列を発現ベクターとしての使用に適したものにするように Ikaros遺伝子配列に操作可能に結合された転写プロモーター又は転写エン ハンサー配列の少なくとも1つを含む。 尚更なる好適具体例において、この発明のIkarosポリペプチドをコード する核酸は、厳しい条件下で、天然のIkarosポリペプチドの少なくとも1 2の連続したヌクレオチドに、一層好ましくは、天然のIkarosポリペプチ ドの少なくとも20の連続したヌクレオチドに対応する核酸プローブとハイブリ ダイズする。 他の面において、この発明は、Ikarosトランスジーンを含むか或はIk aros遺伝子を誤発現する細胞又は精製された細胞調製物を特徴とする。この 細胞調製物は、ヒト又は非ヒト細胞例えばゲッ歯類細胞例えばマウス若しくはラ ット細胞、ウサギ細胞又はブタ細胞よりなってよい。好適具体例において、これ らの細胞は、Ikaros遺伝子例えば異種形態のIkaros遺伝子例えばヒ トに由来する遺伝子を含む(非ヒト細胞の場合)。このIkarosトランスジ ーンは、誤発現され、例えば、過剰発現又は過少発現され得る。他の好適具体例 において、これらの細胞は、内因性Ikaros遺伝子を誤発現する遺伝子例え ば発現が破壊された遺伝子(例えば、ノックアウト)を含む。かかる細胞は、変 異した若しくは誤発現されるIkaros対立遺伝子に関係する病気の研究のた め又は薬物スクリーニングにおける使用のためのモデルとして働くことができる 。 他の面において、この発明は、トランスジェニックIkaros動物例えばゲ ッ歯類例えばマウス若しくはラットウサギ又はブタを特徴とする。好適具体例に おいて、このトランスジェニック動物は、異種形態のIkaros遺伝子例えば ヒトに由来する遺伝子を含む(好ましくは、発現する)。他の好適具体例におい て、この動物は、誤発現される内因性Ikaros遺伝子(例えば、ノックアウ ト)を有する。かかるトランスジェニック動物は、変異した若しくは誤発現され るIkaros対立遺伝子に関係する病気の研究のための又は薬物スクリーニン グにおける使用のためのモデルとして働くことができる。 突然変異例えば転写活性化若しくは2量体形成(この蛋白質の半減期を減じる )の一方若しくは両方を(完全に又は部分的に)不活性化し又はC末端ジンクフ ィンガードメインの一方若しくは両方を(完全に又は部分的に)不活性化する点 突然変異又は欠失(例えば、C末端欠失又はエキソン7の全部若しくは部分の欠 失)の何れかを有するIkarosポリペプチドを、ここに記載の任意の方法 又は同時係属中の米国出願第08/238,212号(1994年5月2日出願 )、米国出願第08/283,300号(1994年7月29日出願)及び仮出 願第60/017,646号(1996年5月14日)(これらを、参考として 本明細書中に援用する)に記載の任意の方法において用いることができる。 他の面において、この発明は、細胞の分裂速度若しくは増幅、又は細胞が細胞 周期に入ることを調節する方法を特徴とする。この方法は、細胞に、有効量のI karosポリペプチド又はIkarosポリペプチドをコードする核酸を投与 することを含む。この方法は、エキス・ビボ、イン・ビボ又はイン・ビトロにて 行なうことができる。 好適具体例において、この細胞は、造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若 しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球である。好適具体例におい て、この細胞は、ヒト、ブタ、ウサギ、又はゲッ歯類例えばマウス若しくはラッ トの細胞である。 好適具体例において、この分裂若しくは増幅又は細胞周期へ入ることを、促進 する。一般に、正常の非増殖性Ikaros機能(例えば、Ik−1イソ型の機 能)を阻害し又は拮抗するIkaros突然変異は、細胞分裂を増大させる。か かる突然変異は:DNA結合を阻害する突然変異例えばF1、F2、F3又はF 4の少なくとも1つの全部又は部分における点突然変異又は欠失;エキソン1/ 2、3、4、5又は6の少なくとも1つの全部又は部分における点突然変異又は 欠失;非増殖促進性Ikaros2量体サブユニットと対照的に増殖促進性Ik aros2量体サブユニットの優先的発現を生じる突然変異;又はDNA結合性 を欠損しているが機能的2量体形成ドメインを有する変異体を含む。転写活性化 若しくは2量体形成の一方若しくは両方を不活性化し、この蛋白質の半減期を減 じ、又はC末端ジンクフィンガードメイン(F5又はF6)の一方若しくは両方 を不活性化する突然変異は、好ましさが一層低く;又は突然変異は、C末端欠失 である。Ikaros蛋白質の2量体形成を阻害するIkarosのフラグメン ト又は他の変異体(即ち、Aiolos)(例えば、C末端2量体形成領域を含 むフラグメント例えば、ジンクフィンガーF5及びF6を含むフラグメン ト)を用いて細胞分裂を促進することもできる。増殖促進性Ikaros2量体 のサブユニットは又、分裂、増幅又は細胞周期へ入ることを増大させることもで きる。 細胞分裂を増大させる方法は、細胞分裂を増大させることが望ましい手順(例 えば、腫瘍その他の細胞増殖性疾患の化学療法又は放射線療法等の治療)と組み 合わせることができる。 好適具体例において、この分裂、増幅又は細胞周期へ入ることは、減少する。 非増殖促進性のIkaros2量体のサブユニット例えばIk−1は、分裂、増 幅又は細胞周期へ入ることを減少させることができる。 この発明の方法により処理された細胞例えば幹細胞を、哺乳動物例えばヒト非 ヒト霊長類その他の哺乳動物例えばゲッ歯類に導入することができる。好適具体 例において、この処理を、エキソ・ビボで実施し且つ:この細胞は、自己由来で あり、例えば、それが導かれた同じ個体に戻され;この細胞は、同種のものであ り、即ち、それが投与される哺乳動物と同じ種に由来し;この細胞は、異種のも のであり、即ち、それが投与される哺乳動物と異なる種に由来する。 他の面において、この発明は、細胞分化の状態を調節する方法を特徴とする。 この方法は、その細胞に、Ikarosポリペプチド又はIkarosポリペプ チドをコードする核酸を、例えばその細胞の分化の状態の維持を促進し又は分化 を促進するように調節するのに十分な量で投与することを含む。この方法は、エ キソ・ビボ、イン・ビボ又はイン・ビトロで実施することができる。 好適具体例において、この細胞は、造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若 しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球である。好適具体例におい て、この細胞は、ヒト、ブタ、ウサギ、又はゲッ歯類例えばマウス若しくはラッ トの細胞である。 好適具体例において、この細胞の分化の状態を維持し、例えば分化を阻害して 一層原始的且つ一層多型潜在性の状態を促進する。これは、野生型の非増殖性機 能を有するIkarosポリペプチド例えばIk−1イソ型の機能を有するIk arosポリペプチドを供給することにより達成することができる。非増殖促進 性Ikaros2量体のサブユニットは、この細胞の分化状態の維持を促進 することができる。特に好適な具体例において、野生型のIkaros機能をヒ トの造血細胞好ましくは幹細胞に供給して、それらの分化した状態を維持し、或 は、それらの細胞の培養を促進する。 好適具体例において、細胞周期へ入ることを通常伴う細胞の分化を促進する。 一般に、正常の非増殖性Ikaros機能(例えば、Ik−1イソ型の機能)を 阻害し又は拮抗するIkaros突然変異は、分化を促進する。かかる変異体に は:DNA結合を阻害する突然変異例えばF1、F2、F3又はF4の少なくと も1つの全部又は部分における点突然変異又は欠失;エキソン1/2、3、4、 5又は6の少なくとも1つの全部又は部分における点突然変異又は欠失等の突然 変異;非増殖促進性Ikaros2量体サブユニットと対照的に増殖促進性Ik aros2量体サブユニットの優先的発現を生じる突然変異;又は不完全なDN A結合を有するが機能的2量体形成ドメインを有する変異体が含まれる。転写活 性化若しくは2量体形成(この蛋白質の半減期を減じる)の一方若しくは両方を 不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメイン(例えば、F5又はF6)の一 方若しくは両方を不活性化する突然変異は、分化を促進するための好ましさは一 層低く;突然変異は、C末端欠失である。非増殖性Ikaros蛋白質の2量体 形成を阻害するIkarosのフラグメント又は他の変異体(即ち、Aiolo s)、例えばC末端の2量体形成領域例えばジンクフィンガーF5及びF6を含 むフラグメントを用いて、分化を促進することもできる。増殖促進性Ikaro s2量体のサブユニットを用いて、分化を促進することができる。 この発明の方法により処理された細胞例えば幹細胞を、哺乳動物例えばヒト、 非ヒト霊長類その他の哺乳動物例えばゲッ歯類に導入することができる。好適具 体例において、この処理を、エキソ・ビボで行ない且つ:この細胞は、自己由来 であり、例えば、それが導かれた同じ個体に戻し;この細胞は、同種のものであ り、即ち、それを投与する哺乳動物と同じ種に由来し;この細胞は、異種のもの であり、即ち、それを投与する哺乳動物と異なる種に由来する。 他の面において、この発明は、Ikaros突然変異及びIkaros突然変 異以外の突然変異例えばリンパ系の調節に関与する遺伝子における突然変異 (例えばAiolos突然変異)を有する細胞を特徴とする。 好適具体例において、Ikaros突然変異は:F1、F2、F3又はF4の 少なくとも1つの全部又は部分の点突然変異又は欠矢であり;DNA結合領域内 の突然変異例えばF1、F2、F3又はF4の少なくとも1つの全部又は部分の 点突然変異又は欠失であり;NPIDサブユニットと対照的にPPIDサブユニ ットの優先的発現を生じるIkaros遺伝子の制御領域内の突然変異であり; 転写活性化若しくは2量体形成(この蛋白質の半減期を減じる)の一方若しくは 両方を不活性化し又はC末端ジンクフィンガードメイン(例えば、F5又はF6 )の一方若しくは両方を不活性化する点突然変異又は欠失であり;突然変異は、 C末端欠失である。 他の好適具体例において、この細胞は、造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能 性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞の子孫例えばリンパ球である。 増殖統制解除された細胞は、ここで用いる場合、Ikaros統制解除された 細胞又はIkaros統制解除された細胞のクローン性の子孫をいう。 Ikaros統制解除された細胞は、ここで用いる場合、「非増殖性のIka ros2量体」(NPID)例えばIk−1/Ik−1、Ik−1/Ik−2、 Ik−1/Ik−3、Ik−2/Ik−2、Ik−2/Ik−3又はIk−3/ Ik−3の濃度又は活性が、細胞の増大した増殖を与えるだけ十分に減少するよ うに操作された細胞である。増大した増殖は:この操作を受けていない点を除い て同じである細胞と比較して増大した増殖、又は野生型細胞と比較して増大した 増殖を意味することができる。NPIDの濃度又は活性を、当分野に公知の任意 の手段によって操作することができる。NPIDの濃度又は活性を、NPIDを 形成することのできる一以上の単量体種の利用可能性を低減させることにより、 例えばIk−1、Ik−2又はIk−3の少なくとも1つの利用可能性を低減さ せることにより減じることができる。かかる低減を、Ik−1、Ik−2又はI k−3の産生を減じる突然変異により、Ik−1、Ik−2又はIk−3発現を 阻害するアンチセンス分子の発現により、又はNPIDのサブユニットの2量体 形成を阻害する化合物により達成することができる。NPIDの濃度又は活性を 、少なくとも1つの機能的F1、F2、F3又はF4ジンクフィ ンガー領域を欠くIkaros種を供給することにより、例えばIk−4、Ik −5、Ik−6又はIk−7イソ型を生成することにより低減させることができ る。かかる種は、増殖促進性Ikaros2量体(PPID)を形成することが できる。PPIDは、サブユニットの少なくとも1つが4未満の機能的N−末端 ジンクフィンガー(これらのN末端ジンクフィンガーは、ジンクフィンガーF1 、F2、F3及びF4である)を有する2量体である。従って、NPIDの濃度 又は活性を、例えばPPID中の利用可能なIk−1、Ik−2又はIk−3を 封鎖することにより減じる操作を用いて、Ikaros統制解除されたリンパ球 を提供することができる。 Ikaros統制解除された細胞には、増殖がNPIDのPPIDに対する比 により影響される任意の細胞が含まれる(NPIDのPPIDに対する比が操作 された造血細胞例えば幹細胞例えば分化全能性若しくは多能性幹細胞又は幹細胞 の子孫例えばリンパ球が含まれる)。Ikaros統制解除された細胞には、次 の特徴の少なくとも1つを有する細胞が含まれる:Ik−1、Ik−2及びIk −3のIk−4、Ik−5、Ik−6及びIk−7に対する比が10、5、4、 2、1、0.5、0.25以下であり;NPIDのPPIDに対する比が10、 5、4、2、1、0.5、0.25以下であり;この細胞は、4未満のN末端ジ ンクフィンガーをコードする少なくとも1つのIkarosをコードする核酸配 列を含み(例えば、それは、F1、F2、F3又はF4の少なくとも1つをコー ドする配列につき欠失している);この細胞は、非機能的F1、F2、F3又は F4の少なくとも1つをコードする少なくとも1つのIkarosをコードする 核酸配列を含み;この細胞は、Ikarosフラグメント例えばF5及びF6を 含むフラグメント(例えば、F5/F6領域とNPIDのサブユニットとの間の 相互作用を競争的に阻害することによりNPIDの形成を阻害することができる )をコードする核酸を含み;この細胞は、Ik−1、Ik−2又はIk−3をコ ードするRNAにハイブリダイズすることができるが、好ましくはIk−5、I k−6又はIk−7RNAにハイブリダイズすることはできないアンチセンス分 子をコードする核酸配列を含む。Ikaros細胞は、好ましくは、胎児細胞以 外である。 Ikaros統制解除された動物は、ここで用いる場合、少なくとも1つの好 ましくは実質的にすべての細胞がIkaros統制解除された動物である。Ik aros動物は、好ましくは、胎児動物以外である。 Ikaros統制解除された成分又は組織は、ここで用いる場合、少なくとも 1つの好ましくは実質的にすべての細胞がIkaros解除された組織又は成分 である。Ikaros成分又は組織は、好ましくは、胎児以外である。 Ikaros遺伝子座における突然変異は、ここで用いる場合、Ikaros 遺伝子又はその産物の発現、構造又は活性を変える任意の突然変異を含む。これ らは、Ikarosコード領域又はその制御領域の全部又は部分における点突然 変異及び特に欠失を含む。 外来的に供給された細胞、組織又は細胞生成物例えばサイトカインは、ここで 用いる場合、それが供給され又は投与される動物以外の動物に由来する細胞、組 織又は細胞生成物である。それは、それが供給される動物と同じか又は異なる種 に由来してよい。 リンパ球のクローン性集団は、ここで用いる場合、次の特徴の1つ以上を有す る2以上のリンパ球の集団である:それらは、共通の幹細胞先祖を共有し;それ らは、共通のプレ胸腺細胞先祖を共有し;それらは、共通の胸腺細胞先祖を共有 し;それらは、同じT細胞レセプターのゲノム再配置を共有し;それらは、共通 のCD4+CD8+先祖を共有し;それらは、共通のCD4+先祖を共有し;そ れらは、共通のCD8+先祖を共有し;それらは、共通のCD4−CD8−先祖 を共有し;それらは、同じ抗原を認識する。 実質的に均質な2以上の細胞例えばリンパ球の集団は、ここで用いる場合、こ れらの細胞の少なくとも50%一層好ましくは少なくとも70%一層好ましくは 少なくとも80%最も好ましくは主題の細胞型例えばリンパ球の少なくとも90 %、95%又は99% 細胞の集団を意味する。しかしながら、このIkaro s遺伝子座に関して、これらの細胞は、すべて(+/−)、すべて(−/−)、 又は(+/−)と(−/−)細胞の混合物であってよい。 培養することは、ここで用いる場合、細胞又は組織を、その細胞又は組織の生 存力を支持し、好ましくは、その細胞又は組織の増殖を支持する環境と接触させ ることを意味する。 実質的に純粋な細胞例えばリンパ球の調製物は、ここで用いる場合、それらの 細胞の少なくとも50%一層好ましくは少なくとも70%一層好ましくは少なく とも80%最も好ましくは主題の細胞のそれらの細胞の少なくとも90%、95 %又は99%が例えばリンパ球である細胞の集団を意味する。しかしながら、こ のIkaros遺伝子座に関して、これらの細胞は、すべて(+/−)、すべて (−/−)、又は(+/−)と(−/−)細胞の混合物であってよい。 免疫無防備状態は、ここで用いる場合、免疫系の少なくとも1つの面が野生型 哺乳動物において認められるレベルより低い哺乳動物をいう。この哺乳動物は、 化学処理により、照射により、又は遺伝的障害により免疫無防備にして、例えば ヌード、ベージュ、ヌード−ベージュ又はIkaros−表現型を生じることが できる。この動物は又、後天的疾患により、例えばウイルス(例えば、HIV) により免疫無防備となり得る。 用語「Ikaros」は、遺伝子、トランスジーン又は核酸に言及するために ここで用いる場合、天然のIkaros遺伝子又はその部分と(例えば、Georgo poulos等(1992)Science258:808-812又はMolnar及びGeorgopoulos(1994)Mol.Cell Biol.14:8292-8303に記載されたヒトのIkarosの核酸配列と)少なくとも 約50%好ましくは少なくとも約60%一層好ましくは少なくとも約70%更に 一層好ましくは少なくとも約80%最も好ましくは少なくとも約90%〜100 %相同である核酸配列をいう。 ここで用いる場合、用語「トランスジーン」は、技術により、細胞に挿入され た核酸配列(例えば、少なくとも1つのIkaros蛋白質をコードするもの) をいう。このトランスジーンは、その細胞から全身又は部分が発生する動物のゲ ノムの部分となることができる。もしこのトランスジーンがゲノムにインテグレ ートされれば、それは、それが挿入されたゲノムの核酸配列の変化を生じる。ト ランスジーンは、部分的に又は完全に、種相同性であり、即ち、トランスジーン 又はその一部分は、それが導入される細胞と同じ種に由来してよい。もしトラン スジーンが、それが導入される細胞の内因性遺伝子と(配列又は種相同性の意味 において)相同であるならば、そのトランスジーンは、好ましくは、次の特徴 の少なくとも1つを有する:それは、挿入された細胞のゲノムの配列を変えるよ うな細胞のゲノムへの挿入のために(又は、挿入されるように)デザインされ( 例えば、それは、内因性遺伝子の位置と異なる位置に挿入され、又はその挿入は 、内因性遺伝子の配列に変化を生じる);それは、突然変異例えばトランスジー ンの誤発現を生じる突然変異を含み;挿入によって、それは、挿入された遺伝子 の誤発現を生じることができ、例えば、その挿入は、それが挿入された遺伝子の ノックアウトを生じることができる。トランスジーンは、1つ以上の転写調節配 列及び任意の他の核酸配列例えばイントロン(選択した核酸の所望のレベル又は パターンの発現に必要であり得る)を含むことができる(すべて、操作可能に選 択した核酸に結合されている)。このトランスジーンは、エンハンサー配列を含 むことができる。このトランスジーンは、典型的には、動物又は動物の先祖に出 生前に例えば胎児期に導入する。 ここで用いる場合、Ikarosトランスジーンは、Ikarosコード配列 又は調節配列の全部又は部分を含むトランスジーンである。この用語は又、ゲノ ムにインテグレートされたときにIkaros遺伝子座を破壊し或は突然変異を 誘発するDNA配列をも包含する。インテグレートされたときにIkaros遺 伝子の全部又は部分の欠失を生じるIkarosトランスジーン配列。挿入に際 して内因性Ikaros遺伝子の誤発現を生じ;挿入に際して細胞中にIkar os遺伝子の更なるコピーを生じ;挿入に際して非Ikaros遺伝子をIka ros調節領域の制御下に置くトランスジーンは含まれる。(野生型と比較して )トランスジーンの誤発現を生じる欠失その他の突然変異を有するIkaros 遺伝子のコピーを含み;Ikaros遺伝子の機能的コピー(即ち、野生型の活 性例えばT、B又はNK細胞の発生を支持する能力の少なくとも5%を有する配 列)を含み;機能的(即ち、野生型の活性の少なくとも5%を、例えば野生型の 転写レベルの少なくとも5%を有する)又は非機能的(即ち、野生型の活性の5 %未満を、例えば野生型の転写レベルの5%未満を有する)Ikaros調節領 域(該領域は、野生型若しくは変異したIkaros遺伝子産物又はIkaro s遺伝子産物以外の遺伝子産物をコードする核酸配列例えばレポーター遺伝子、 毒素遺伝子若しくは、Ikarosが発現される組織 若しくは発生ステージにおいて発現されるべき遺伝子に、適宜、操作可能に結合 され得る)を含むトランスジーンも含まれる。好ましくは、このトランスジーン は、天然のIkaros配列と少なくとも50、60、70、80、90、95 又は99%相同性を有する少なくとも10、20、30、40、50、100、 200、500、1,000又は2,000塩基対を含む。好ましくは、このト ランスジーンは、Ikaros遺伝子のエキソン3及び4の全部若しくは幾らか の欠失又はエキソン7の幾らか若しくは全部の欠失を含む。 ここで用いる場合、用語「トランスジェニック細胞」は、トランスジーンを含 む細胞をいう。 ここで用いる場合、「トランスジェニック動物」は、その動物の少なくとも1 つの好ましくは本質的にすべての細胞がトランスジーンを含む任意の動物例えば 非ヒト哺乳動物例えばブタ、サル、ヤギ又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウ スである。このトランスジーンは、細胞に、その細胞の前駆体への導入により、 意図的な遺伝子操作により、例えばマイクロインジェクションにより若しくは組 換えウイルスの感染により、直接又は間接に導入する。この用語遺伝子操作は、 組換えDNA分子の導入に向けられている。この分子は、染色体にインテグレー トされ得るか又はそれは染色体外で複製するDNAであってよい。 誤発現は、ここで用いる場合、非野生型パターンの遺伝子発現をいう。それは :非野生型レベルでの発現(即ち、過剰若しくは過少発現);遺伝子が発現され る時期又はステージに関して野生型と異なる発現パターン、例えば、予め決めら れた発生の期間又はステージにおける増大した又は減少した発現(野生型と比較 して);発現の組織特異性に関して野生型と異なる発現パターン、例えば、予め 決めた細胞型又は組織型における増大した又は減少した発現(野生型と比較して );Ikaros遺伝子産物のサイズ、アミノ酸配列、翻訳後修飾又は生物学的 活性に関して野生型と異なる発現パターン;遺伝子発現に対する環境刺激又は細 胞外刺激の効果に関して野生型と異なる発現パターン、例えば、刺激の強さの増 大又は減少の存在下での増大した又は減少した発現のパターン(野生型と比較し て);又は野生型と異なるイソ型発現のパターンを含む。 精製したDNAは、この発明のDNAが由来した生物の天然のゲノム中で直接 隣接している両側のコード配列(即ち、5’側のもの及び3’側のもの)と直接 隣接していないDNAである。それ故、この用語は、例えば、ベクター;自律的 に複製するプラスミッド若しくはウイルス;又は原核生物若しくは真核生物のゲ ノムDNAに取込まれているか、又は他のDNA配列と独立した分離した分子( 例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ処理により生成されたcDNA又は ゲノムDNAフラグメント)として存在する組換えDNAを含む。それは又、更 なるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の部分である組換えDN Aをも包含する。 相同は、2つのポリペプチド分子間の又は2つの核酸分子間の配列類似性をい う。これら2つの比較される配列の両者の内のある位置が同じ塩基又はアミノ酸 単量体サブユニットにより占められるならば、例えば、もし2つのDNA分子の 各々のある位置がアデニンにより占められているならば、この分子は、その位置 で相同である。これら2つの配列の間の相同性は、これら2つの配列により共有 されるマッチングし又は相同である位置の数の関数である。例えば、2つの配列 中の位置の10の内の6がマッチし又は相同であるならば、これらの配列は、6 0%相同である。例えば、DNA配列ATTGCCとTATGGCは、50%相同性を共有す る。 用語ペプチド、蛋白質及びポリペプチドは、ここでは、交換可能に用いる。 発生におけるIkarosの中心的及び多面的役割並びにIkaros統制解 除された動物により及びIkaros統制解除され且つ増殖統制解除されたリン パ球細胞により示される様々な表現型は、これらの動物及び細胞を、例えば種々 のアッセイ、スクリーニングその他の方法において有用なものとする。例えば、 この発明の動物、細胞及び方法を用いて、免疫系の機能、発生の機構、免疫系の 成分が相互作用する仕方、細胞周期が調節される仕方、免疫寛容の機構及び免疫 又は神経組織の病気の発達の機構を解明し、特性決定することができる。この発 明の細胞、動物及び方法は又、例えば、免疫又は神経組織の病気を治療するため に用いることのできる治療剤を評価し又は発見するために、例えば移植された組 織に対する免疫寛容を誘導する処理又は方法を発見し又は評価するためにも有用 である。リンパ腫の発育したIkarosマウスは、これらの病気の分子的基礎 を研究するためだけでなく、かかる病気を治療する能力につき治療剤をスクリー ニングするためにも有用である。この免疫系の少なくとも1つの成分を欠くIk arosマウスは、種々の再構成実験において有用である。この発明の動物、細 胞及び方法は又、リンパ球のクローン性集団を生成するためにも有用である。 この発明の他の特徴及び利点は、下記の説明及び請求の範囲から明らかとなろ う。 詳細な説明 先ず図面を簡単に説明する。図面 図1は、1及び2月齢のIkarosヘテロ接合マウスの胸腺細胞プロフィル の描写である。Ikarosヘテロ接合(+/−)及び野生型対照(+/+)マ ウスからの胸腺細胞を、次のモノクローナル抗体の組合せを用いて染色した:抗 CD4PE/抗CD8FITC、抗CD8PE/抗TCRabFITC、抗CD4PE/抗TC RabFITC、及び抗CD3PE/抗CD25FITC。それぞれのボックスで囲んだ陽 性集団中に入る細胞のパーセンテージを示してある。 図2は、リンパ増殖性疾患を有するIkarosヘテロ接合体におけるリンパ 系器官のフローサイトメトリー分析の描写である。明白なコレセプター表現型( MU1、CD8+CD4-及びMU2、CD8+CD4+)を示す2つのIkaro sヘテロ接合体の胸腺細胞(A)及び脾臓細胞(B)集団のプロフィル。MU1 からの骨髄及びリンパ節中の細胞のプロフィルも示してある。細胞を、次のモノ クローナル抗体の組合せを用いて染色した:抗CD4PE/抗CD8FITC、抗CD 8PE/抗TCRabFITC、抗CD4PE/抗TCRabFITC及び抗CD3PE/抗C D25FITC。それぞれのボックスで囲んだ集団に入る細胞のパーセンテージを示 してある。 図3は、一のIkarosヘテロ接合体の胸腺細胞及び脾臓細胞集団(上段パ ネル)及び第2の脾臓細胞集団(下段パネル)におけるVβ使用のフローサイト メトリー分析を描写するグラフである。白いヒストグラムは、イソ型対照用抗体 を用いた染色を表している。 図4は、血液リンパ球生成における機能のIkaros喪失の効果を描写する 概略図である。リンパ系列特定化及びT細胞ホメオスタシスにおける明確な役割 が示されている。 図5(A)は、Ikaros遺伝子の構造及びすべてのIkarosイソ型に より共有される活性化ドメインを描写する概略図である。(B)Ikaros活 性化ドメインをマップするために用いられたβ−gal及び成長アッセイ。 図6(A)は、蛋白質−蛋白質相互作用に関与するIkarosF5及びF6 ドメインを描写する概略図である。(B)2ハイブリッドアッセイを用いてIk arosイソ型間の蛋白質−蛋白質相互作用を研究した。(C−D)互いに相互 作用するIkarosイソ型の能力を、293T上皮細胞系統にて研究した。 図7は、別個のIkarosイソ型間の蛋白質−蛋白質相互作用が転写におけ るそれらの活性を調節することを描写するグラフである。 図8は、如何にして別個のIkarosイソ型間のホモ/ヘテロ2量体複合体 形成が血液リンパ球生成系での増殖対分化を制御することができるのかの図解モ デルである。 図9は、最後の翻訳されるエキソンを標的とすることによるIkaros遺伝 子の機能的不活性化を描写する概略図である。エキソン7の5’コード領域を包 含する1.35kBのゲノムフラグメントの欠失のターゲティングのための組換 えストラテジー。 図10は、細胞蛍光定量分析である。IkarosC−/−マウスでは、胎児 及び成体のB細胞発生の両方がブロックされる。E−16胎児肝(A);及び4 週齢のIkarosC−/−マウス並びに野生型の同腹子の腹膜(B)、骨髄( C)及び脾臓(D)より得られた細胞を、次のmAbの組合せを用いて分析した :(A)抗CD45RPE/抗CD43FITC、(B)抗CD5PE/抗CD45RFI TC 、(C)抗CD45RPE/抗CD43FITC、(D)抗CD45RPE/抗IgMFITC 。陽性に染色された集団をボックスで囲んでパーセンテージを示してある。 胎児肝プレB細胞前駆体(CD45R+)及びそれらの子孫、腹膜のB−1aB 細胞(CD5+/CD45R+)は、IkarosC−/−マウスには存在しなか った。骨髄プロB細胞及び脾臓B細胞も又、試験したすべてのC−/−マウスか ら失われていた。 図11Aは、生後IkarosC−/−胸腺におけるT細胞発生を描写する細 胞蛍光定量分析である。5日及び3週齢の動物の細胞蛍光定量分析を示してある 。生後5日目に、IkarosC−/−胸腺は、同齢の野生型胸腺より100〜 300倍少ない胸腺細胞しか含んでいない。CD4単一陽性の胸腺細胞の割合の 増加は、胸腺細胞発生のこの初期ステージにおいてさえ検出される(上段パネル )。CD4単一陽性胸腺細胞の割合の増加は、胸腺細胞の総数がほぼ正常レベル に到達した成体のC−/−胸腺にて存続する(中段パネル)。単一陽性のCD4 及びCD8胸腺細胞は、脾臓に輸出される(下段パネル)。胸腺細胞及び脾臓の 集団を、FITC及びPE結合したイソ型対照用抗体又は抗CD4PE及びCD8FITC で染色した。陽性に染色された集団をボックスで囲んでパーセンテージを示 してある。 図11Bは、生後IkarosC−/−胸腺におけるT細胞発生を描写する細 胞蛍光定量分析である。CD4+/CD8+(R1)、CD4+/CD8int(R2 )、CD4+/CD8+(R3)、CD4int/CD8+(R4)及び CD4-+(R5)集団を、TCR複合体及び活性化マーカーCD69の発現に ついて分析した。TCR発現のレベルは、野生型とIkaros変異体マウスの 間で類似した。CD69を発現する大多数の野生型の推定の過渡的ステージの胸 腺細胞(R2及びR4)と対照的に、対応するIkarosC−/−胸腺細胞集 団は、発現しなかった。CD69発現の類似の欠如は、単一陽性CD4変異体胸 腺細胞間で認められた(R3)。対照的に、CD8単一陽性細胞におけるCD6 9のレベルは、野生型に類似した(R5)。 図12は、IkarosC−/−マウスにおけるγδT細胞の発生における選 択的欠損の描写である。CD4+及びCD8+細胞の涸渇した胸腺細胞(A)及 び脾臓集団(B)及び系列細胞を、それぞれ、γδT細胞含量について分析した 。γδT細胞は、変異体マウスの胸腺において検出されたが、有意に減少したレ ベルであった。それらは、脾臓中に如何なる測定可能数でも存在しなかった。腸 上皮内リンパ球(C)を、αβ及びγδT細胞組成につき分析した。大多数のI karosC−/−IELは、αβT細胞であった。測定可能数のγδT細胞は 、存在しなかった。 図13は、IkarosC−/−マウスがNK細胞を欠き且つ胸腺樹状APC の発生において欠陥を有するという描写である。IkarosC−/−及び野生 型マウスからの系列涸渇脾臓細胞を、C57BL/6バックグラウンドの成熟N K細胞にて発現されるNK1.1に対する抗体を用いて染色した(A)。野生型 においてはLin-脾臓細胞の3〜5%は、NK1.1+であった。Ikaros C−/−脾臓においてはNK1.1+細胞は検出されなかった。破線のヒストグ ラムは、イソタイプの対照を示し、単純線及び肉太線のヒストグラムは、各野生 型及びIkarosC−/−脾臓細胞のNK1.1染色を示す。IkarosC −/一及び野生型対照におけるNK細胞機能を、脾臓細胞を500単位/mlの IL−2の存在下で4日間培養することにより試験した(B)。野生型マウスに おいて、これらの条件は、Yac−1ターゲットを容易に溶解する活性化NK細 胞を生成することが知られている。野生型マウス由来の脾臓細胞は、広範囲のエ フェクター対標的細胞比にわたって、クロム標識したYac−1を溶解した。対 照的に、IkarosC−/−マウス由来の脾臓細胞 は、最も高いエフェクター対標的細胞比においてさえ、NK標的を溶解すること ができなかった。IkarosC−/−及び野生型マウス由来の系列涸渇胸腺細 胞を、成熟樹状APC上に発現されたクラスII及びCD11c抗原に対する抗 体を用いて染色した(C)。CD11c+/クラスIIint-highAPCは、Ik arosC−/−脾臓には存在しなかった。興味深いことに、CD11c+/ク ラスIIhigh細胞は、存在した。これらの細胞は、抗原提示細胞の成熟の明確な クラス又は状態を表すことができる。 図14は、IkarosC−/−マウスにおけるミエロイド及びエリスロイド 分化の胎児及び生後の曲線を描写している。E−16胎児肝から得られた細胞( A)並びに3週齢の野生型及びIkarosC−/−マウスの骨髄(B)及び脾 臓(C)から得られた細胞を、それぞれ、抗Mac−1PE/抗Gr−1FITC、抗 TER−119PE及び抗TER−119PE/抗CD61FITCを用いて染色した。 陽性に染色された集団をボックスで囲んでパーセンテージを示してある。同様の パーセンテージの顆粒球(Mac−1+/Gr−1+)細胞が、野生型及びIk arosC−/−マウスの胎児肝において検出された。この顆粒球集団は、Ik aros変異体マウスの骨髄において有意に減少した。Mac−1+/Gr−1- 細胞(分化決定されたミエロイド前駆体、成熟単球及びマクロファージを含む) のパーセンテージは、Ikaros変異体マウスの脾臓及び骨髄の両方において 有意に増加した。分化決定されたエリスロイド前駆体(TER−119+)のパ ーセンテージは、IkarosC−/−及び野生型マウスの胎児及び成体の造血 部位において類似していた。 図15は、リンパ球の発生を描写する概略図である。Ikarosを伴わない リンパ球の発生:この調節ネットワークにおける必須及び余剰は、胎児及び成体 の血液リンパ球の先祖の明確な分子的構成を規定する。HSC=造血幹細胞、G M=顆粒球−単球先祖、Er=エリスロイド、TCR=T細胞レセプター、NK =ナチュラルキラー、APC=抗原提示細胞。IkarosC−/−マウスにお ける様々な血液リンパ球系列に沿った発生を研究するために用いられる分化抗原 を示してある。矢印は、提示した分化経路を画定する。矢印上の×は、分化のブ ロックを示す。HSCを指している垂直の矢印は、胎児対成体HSCの潜在 的に別個の起源を示す。胎児と成体HSCの間の破線矢印は、推定上の関係を描 いたものである。CD4T細胞を指している太い矢印は、それらのIkaros C−/−胸腺における過剰生成を示す。T細胞経路における破線の矢印は、γδ T細胞の分化における部分的ブロックを記すものである。CD4及びCD8T細 胞におけるアスタリスクは、それらの過剰増殖性を記すものである。白色の領域 は、胎児及び成体の胸腺の分化を含んでいる。灰色及び黒色の領域は、胎児及び 成体の血液リンパ系におけるIkaros及びAiolos発現を表す。Ikaros:造血分化のマスターレギュレーター 適当な微細環境において、造血幹細胞は、多くの細胞系列の内の1つに分化決 定され且つ分化する。この発生経路中の別個のチェックポイントで作用するシグ ナル変換分子及び転写因子は、初期先祖細胞の運命を特定する。かかる分子は、 発生におけるマスターレギュレーターとして作用し、初期の造血の比較的乏しく 規定されたステージについてのマーカーとして働くこともできる。 このIkaros遺伝子は、ディフェレンシャルスプライシングにより、マウ ス及びヒトの発生中の血液リンパ生成系において差異的(differentially)に発 現される少なくとも6つのリンパ系限定されたジンクフィンガー蛋白質をコード している(Georgopoulos等(1992)Science258:808-812; Molnar及びGeorgopoulos (1994)Mol.Cell Biol.14:8292-8303)。これらのIkarosイソ型は、それら のN末端ジンクフィンガー組成並びにそれら全体のDNA結合及び転写活性化特 性において異なる。N末端領域に2〜4個のジンクフィンガーモジュールを含む Ikaros蛋白質の内の4つは、DNAに差異的に結合して別個の転写活性化 及び核局在化特性を示す(Molnar及びGeorgopoulos(1994)Mol.Cell Biol.14:829 2-8303)。2つ未満のN末端ジンクフィンガーを有する2つのIkaros蛋白 質は、高い親和性でDNAと結合することができず、転写を活性化しない(Moln ar及びGeorgopoulos(1994)Mol.Cell Biol.14:8292-8303)。Ikarosイソ型 のすべては、それらの自動会合を媒介する2つのC末端ジンクフィンガーを共有 している。これらのIkarosイソ型間で形成し得る20のホモ及びヘテロの 複合体は、それらのDNA結合及び転写活性化特性において異なるはず である。これは、発生中のリンパ球における遺伝子発現の多層を調節する遺伝子 と矛盾しない。 初期胚では、Ikaros遺伝子は、造血肝において発現されるが、妊娠中期 から後期では、胸腺に限定されてくる。IkarosmRNAを有する他の胚部 位は、線条体中の小領域だけである。成体においては、IkarosmRNAは 、胸腺及び脾臓においてのみ検出される(Georgopoulos等(1992)Science258:808 -812)。Ikaros遺伝子は、非リンパ系細胞において異所的に発現される場 合には、転写エンハンサーとして機能する。 Ikaros遺伝子は、初期リンパ球及びT細胞分化において重要な役割を演 じる。このIkaros遺伝子は、初期胚造血部位において多量に発現され、後 期には発生中の胸腺に限定される。胸腺は、脾臓と共に、成体における発現の主 要部位である。この高度に富化されたIkaros遺伝子の発現は又、初期の及 び成熟したT細胞及び細胞系統においても見出された。このIkaros遺伝子 の、胚及び成体のT細胞の先祖が初期T細胞分化抗原の調節ドメインからの転写 を活性化するコードされた蛋白質の能力を伴って生じる部位に限定された発現パ ターンは、T細胞特定化において決定する役割を支持した。 T細胞個体発生中のIkarosイソ型の差異的発現、それらの重複するが又 ユニークでもある結合特異性及びそれらの多様な転写ポテンシャルは、ステージ 特異的なT細胞分化マーカーの順序正しい活性化に関与している。発生中のリン パ球における多層の遺伝子発現は、これらのIkaros蛋白質の制御下にある 。Ikarosファミリーのメンバーと他の転写因子との間の共同的相互作用及 び/又は競争は、これらの細胞において、定性的に類似する別個の標的部位にて 、この複合体を指図し、分化し活性化されたリンパ球における遺伝子発現をずっ と変えるよう命ずる。このIkaros遺伝子の機能的吟味は、それがリンパ球 におけるマスター遺伝子として、並びに初期造血及びB及びT細胞の発生に関す る重要な遺伝的スイッチとして機能することを強く示唆する。 最近、初期胎児造血中及び同定可能なリンパ系先祖の出現前に多量に発現され るIkaros遺伝子は、マウスのリンパ球生成系の発生に必須であるというこ とが示された(Georgopoulos等(1992)Science 258:808-812及びGeorgopoulos (1994)Cell 78:143-156)。IkarosDNA結合ドメインの突然変異につ いてホモ接合であるマウスは、成熟T及びBリンパ球及びナチュラルキラー(N K)細胞のみならず、それらの最初期に同定可能な先祖をも欠いている(Georgo poulos等(1994)Cell 78:143-156)。これらのIkaros変異体マウスにおけ る規定されたリンパ系先祖の完全な不在は、Ikarosについての、マウスの リンパ球生成系の発生の非常に初期のステージにおける重大な役割を確実にする 。 Ikaros遺伝子は、ヒトの第7染色体の近腕に、Erbbに隣接して、p 11.2とp13の間にマップされている。マウスでは、Ikaros遺伝子は 、第11染色体の近腕に、Erbbに強く連鎖して、マップされている。マウス においてIkaros遺伝子座に連鎖した他の遺伝子は、白血病阻止因子(Li f)及びオンコジーンRe1(NFK−Bファミリーの一員)である。マウスに おいてIkarosに連鎖したこれらの遺伝子の3つすべては、造血系の発生に おいて重要な役割を演じるようである。マウス及びヒトにおけるシンテニック遺 伝子座でのErbbとIkaros遺伝子との間の強い連鎖は、それらの遺伝子 構造及び調節と関連し得る。それにもかかわらず、公知の突然変異は、マウスに おいてIkaros遺伝子座にマップされなかった。しかしながら、これは、リ ンパ球形成系に対するIkaros遺伝子の重要性を排除しない。免疫系の発生 に影響する天然の突然変異は、マウスにおいては、かかる変異体動物が特別注意 した条件下でしか成長し得ないので容易に得ることができない。 Ikaros遺伝子は、リンパ系列の特定化における最初のステップに必要で あるだけでなく、T細胞成熟の一層後期のステージにおいても必要な因子である 。一生の最初の一か月の間正常のリンパ球の細胞表面抗原表現型を示す、Ika ros変異についてヘテロ接合であるマウスは、少し後に、T細胞集団に劇的な 変化を受ける。一般的なリンパ球増殖は、胸腺及び末梢において検出される。こ の増殖には、T細胞白血病/リンパ腫の発生が続く。Tリンパ球のクローン性拡 張は、先ず、胸腺で検出され、成熟中の胸腺細胞を新生物トランスフォーメーシ ョンのための標的集団として巻き込む。すべてのリンパ系組織中の細胞集団を置 き換え且つすべての主な臓器に浸潤するこれらの悪性の胸腺細胞クロー ンは、単一のIkaros野生型対立遺伝子を失っている。Ikaros変異体 マウスにおけるリンパ増殖性疾患の開始及び進行は、胸腺及び/又は末梢で起き るT細胞レセプターライゲーション事象に従属するものであり得る。この仮説の 支持において、1月齢の動物に由来するヘテロ接合の胸腺細胞集団(フローサイ トメトリーによれば、正常の表現型であるらしい)は、イン・ビトロで、増大し たT細胞レセプター媒介の増殖性応答を受け、末梢T細胞は、自律増殖性である 。 これらの観察を合わせると、明らかに、Ikaros遺伝子は、リンパ系列の 特定化のレギュレーターであるだけでなく、T細胞の増殖性応答及びホメオスタ シスをも制御しているということを示している。このT系列における漸進的なI karosの喪失は、成長制御の漸進的喪失及び成熟する胸腺の悪性トランスフ ォームと一致し得る。 ここに記載の実験は、それ故、Ikaros遺伝子がリンパ球分化における初 期及び後期事象の両方に必要であることを示している(図4)。この発生プロセ スの種々のステージにおけるIkaros活性の喪失は、劇的に、種々の効果を 有する。初期造血先祖におけるIkaros活性の欠乏は、そのリンパ系列への 分化決定を阻害する(図4)。対照的に、T細胞成熟の後期ステージにおけるI karos活性の喪失は、T細胞トランスフォーメーションと強く相関している (図4)。更に、このIkaros変異についてヘテロ接合である胸腺細胞及び 成熟T細胞は、機能的に正常でない。胸腺細胞は、増大したTCR媒介の増殖性 応答を示し、末梢T細胞は、自律増殖性である。これらのリンパ球集団における 過剰のリンパ球増殖は、第2のIkaros野生型対立遺伝子の喪失により白血 病トランスフォーメーションを受けるのに利用することのできる細胞の数を増加 させることができる。しかしながら、これらの結果は、Ikarosヘテロ接合 の喪失及び悪性トランスフォーメーションは、胸腺において起きるが末梢では起 きない事象であることを示しており、Ikaros突然変異が、未成熟な胸腺細 胞の成長に対して質的に異なる効果(成熟末梢T細胞に対して)を有することを 示唆している。 Ikaros活性の別個の域値が、リンパ球発生の種々のステージにおいて 必要とされ得る。成熟リンパ球で必要とされるのと比べて一層高いIkaros 活性の域値が、発生中の胸腺細胞の調節された増殖に必須であり得る。この仮説 は、マウス及びヒトの両者において、成熟中の胸腺細胞において検出されるIk arosmRNAが末梢T及びB細胞と比較して一層高レベルであることと一致 する。最近、Ikaros蛋白質中のC末端ジンクフィンガーがそれらの自律的 会合を媒介し且つそれらのDNA結合及び転写活性化ポテンシャルを調節すると いうことが示された。それ故、Ikarosの変異した対立遺伝子から生じた蛋 白質は、変化したDNA結合特性を有するヘテロ2量体の野生型のイソ型を封鎖 することにより、ドメインネガティブな様式で作用し得る。野生型と変異体Ik aros蛋白質との間の複合体形成は、転写を活性化する前者の能力を邪魔する 。ヘテロ接合のリンパ球における野生型−変異体Ikaros複合体の形成のた めに、Ikaros野生型複合体の濃度は、野生型細胞中に存在するものの1/ 4にまで減少することが予想される。Ikaros野生型複合体のかかる甚しい 減少は、リンパ球の発生を邪魔しないが、リンパ球のホメオスタシスに劇的に影 響を与え得る。意味ありげなことには、Ikarosヘテロ接合胸腺細胞中の悪 性T細胞クローンの出現は、Ikarosヘテロ接合性の喪失と強く相関してお り、IkarosDNA結合活性の完全な喪失の結果として又は変異Ikaro s蛋白質に帰せられる機能の獲得の結果の何れかとして解釈することができよう 。 この野生型Ikaros対立遺伝子は、N末端DNA結合ドメイン(Ik−5 及びIk−6)を欠く変異体蛋白質と構造的に似ているスプライシング変異物を コードしている。これらの変異物は、野生型リンパ球では非常に低レベルで発現 されている。短いIkarosイソ型は、発生中の胸腺細胞及び成熟T細胞にお ける増殖性応答の制御を調節する因子と相互作用することができる。これらの正 常に発現される蛋白質の統制解除された発現は、ヘテロ接合体、T細胞過剰増殖 及び悪性トランスフォーメーションにおいて認められるのと類似した表現型を生 じ得る。 Ikarosがヘテロ接合であるマウスについてのこれらの研究から、Ika ros遺伝子は、リンパ系列の特定化と引き続くT系列における増殖及び 分化との両者に対する必須のレギュレーターであるということを結論することが できる。胸腺細胞成熟の後期ステージにおけるIkaros活性の欠乏は、制御 されないリンパ球増殖及び悪性のT細胞白血病/リンパ腫の急速な発達へと導く 。Ikaros異型接合マウスにおけるリンパ球集団 IkarosDNA結合ドメインでの標的にされた欠失は、突然変異について 異型接合であるマウスにおけるリンパ球の発生の早期停止へと導く。このIka ros突然変異について異型接合であるマウスは、当初は、正常なリンパ球像を 示す。したがって、一野生型の欠如、及び一突然変異Ikaros対立遺伝子の 存在は、T及びB細胞系統の早期の発生を阻害しない。 IkarosDNA結合突然変異について異型接合であるマウスは、その生涯 の最初の1ケ月間は、胸腺及び脾臓集団で正常な細胞表面表現型を示す(図1) 。単独(CD4+CD8-及びCD8+CD4-)及び二重(CD4+/CD8+)に 陽性である胸腺細胞と、成熟脾臓T細胞(CD4+/TCRab+及びCD8+/ TCRab+)及びB細胞(CD45R+/IgM+)との数は、その野生型姉妹の それと同様である。更に、T及びB細胞分化抗原(CD4、CD8、CD3、C D25、TCRab、CD45R及びIgM)の発現レベルは、正常である。骨髄集 団も、生後1ケ月の異型接合体では一見正常である。 しかし、生後2ケ月目と3ケ月目との間で、胸腺区画内に変化が検出される。 単独及び二重陽性段階(CD4+/CD8lo及びCD4lo/CD8+)の間の細胞 中間体が蓄積し、胸腺細胞集団は、その別個の単独及び二重陽性の態様を失う( 図1)。これらの二重陽性の異型接合胸腺細胞の圧倒的多数は、中間的レベルの TCR複合体を発現する。野生型胸腺では、二重陽性集団の40%が低レベルのT CR複合体を発現し、それは選択の過程で促進調節されるようになる[Chan et al.(1993)Cell 73: 225-236]。異型接合胸腺に蓄積する、表現型が類似する 三重陽性胸腺細胞は、野生型胸腺では、移行期中間体として同じ発生段階から派 生し得る。脾臓細胞の数の2〜5倍の増加も、生後2〜3ケ月の異型接合体で観 察される。すべての場合に、これは、脾臓におけるTリンパ球のポリクローナル な膨張に起因した。ある動物では、Bリンパ球の数の僅かな増加(2倍未満)も 観察された(データは示さず)。 上記の実験は、基本的には下記のとおり実施した。Ikaros異型接合突然 変異マウスを、年齢を合わせた野生型の対照と平行して分析した。混合した遺伝 的背景(129SVxC57BL/6及び129SVxBALB/C)で、動物を調べ た。胸腺、脾臓、リンパ節及び骨髄からのリンパ球を、以前に記載のとおり調達 した[Georgopoulos et al.(1994)Cell 78: 143-156]。細胞を、完全培地( 10%ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、5x10-5モルのb−メルカプトエタ ノール及び50mg/mlのゲンタマイシンで強化したRPMI1640)中で2回洗浄し 、計数し、約0.5〜1x106細胞/30mlとして再懸濁させた。細胞のアリコートを 96穴プレートに採り(30ml/ウエル)、等量の、PBSへの正常ラット血清の1 :20希釈液を用いて氷上で30分間ブロックし、次いで、フィコエリトリン(PE )及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を結合したモノクローナ ル抗体とともに30分間温置した。次いで、細胞を3回洗浄し、固定し(PBSへ の1%パラホルムアルデヒド、0.5%BSA及び0.05%アジ化ナトリウム)、4 ℃で貯蔵した。一色及び二色のフローサイトメトリー分析を、あるFACScan(Bec ton-Dickinson,San Jose,CA)で実施した。イソタイプ適合対照抗体を負の対 照として用いた。各試料について、5千〜1万の細胞を分析した。系統特異的分 化抗原に対する下記の抗体(カッコ内)を用いた(別途指示がない限り、抗体は PharMingenから入手した):赤血球(TER−119)、Mac−1(M1/70.15 ,Caltag)、Gr−1(RB6−8C5)、CD45R(RA3−6B2)、Ig M(R−6−60.2)、CD8(53−6.7及び53−5.8)、CD3−e(145−2C1 1)、CD4(RM−4−4)、CD25(7D4)、TCRab(H57−597)、 Vb2(B20.6)、Vb3(KJ−25)、Vb5.1,5.2(MR9−4)、Vb6 (PR4−7)、Vb8.1,8.2(MR5−2)、Vb9(MR10-2)、Vb10 (B21.5)、Vb11(PR3−15)、Vb12(MR11−1)、Vb13(MR12− 3)、Vb14(14−2)及びVb17a(KJ−23)。Ikaros異型接合マウスにおける胸腺細胞及び末梢T細胞の増殖性応答 表現型が正常なIkaros異型接合マウスの胸腺集団は、T細胞受容体を介 した強い増殖性応答を示す。極めて対照的に、野生型マウスからの胸腺細胞は、 この方式で誘発すると弱く応答する。TCRと共受容体との複合体の発現レベル は、健康なIkaros異型接合胸腺細胞と野生型のそれとで類似すると思われ ることから、TCR複合体のシグナリングの下流は、これらの細胞では失調して いるはずである。分化の別個の段階に胸腺細胞を送り込むには、TCR複合体の 一時的な結合が必要である(Anderson及びPerlmutter、1995年の総説)。CD4- /CD8-二重陰性胸腺細胞へのプレTCR複合体の結合は、CD4+/CD8+ 二重陽性段階へのそれらのクローンの膨張と分化とを仲介する。対照的に、二重 陽性胸腺細胞の表面でのTCR複合体の差別的架橋結合は、アポトーシスによる 細胞死(負の選択)、又は膨張なしの単独陽性段階への成熟(正の選択)のいず れかを仲介する。誘発された胸腺細胞をどの運命、すなわち生又は死が待ってい るかは、異なるエフェクター分子を通じて導入されたシグナルに依存し得る。成 熟T細胞の活性化の際に作動するのと類似のシグナリング回路は、この過程を仲 介し得る。シグナリング分子の失調した発現又は活性が、Ikaros異型接合 胸腺細胞の増強された増殖性応答の基盤であり得る。 胸腺細胞集団の変化は、末梢でのリンパ球の細胞表面抗原の発現でのいかなる 変化よりも前に検出される。TCR複合体を発現する中間的な二重陽性細胞(C D4+/CD8lo/TCRint及びCD8+/CD4lo/TCRint)が、支配的集 団になる。野生型胸腺中に少数で存在する中間的胸腺細胞の集団は、単独陽性段 階へと移行中であり、選択の過程にあると思われる。二重陽性の胸腺細胞の正常 な成熟の際は、TCR複合体の促進調節が、その共受容体の一つの同時的な抑制 調節とともに生じる。不適切なTCR発現がある細胞は、アポトーシスによって 死ぬ運命にある。二重陽性から単独陽性への段階の移行を制御する過程の失調は 、Ikaros異型接合マウスにおける二重陽性胸腺細胞の中間体の蓄積へと導 き得る。この細胞集団での追加の遺伝学的事象(すなわち、第二Ikaros対 立遺伝子の喪失)は、それらの形質転換へと導き得る。 生後1ケ月のIkaros異型接合マウスの末梢T細胞も、異常な増殖特性を 示す。脾臓T細胞は、in vitroで培養したときに自己増殖し、TCR複合体を通 じて刺激したときは、野生型対照細胞より高レベルの3Hチミジン取込みを示す 。これは、胸腺選択過程の破壊による、末梢での自己免疫T細胞の蓄積に起因す る可能性がある。形質転換されなかった異型接合末梢T細胞の異常な増殖は、活 性化されたT細胞の排除を仲介する死の経路の潜在的損傷とともに、生後2〜3 ケ月の異型接合体でしばしば検出される、脾臓の大きさの程々の増加を説明し得 る。このポリクローナルT細胞の増殖は、より年長の異型接合マウスでの脾臓の 大きさの大規模な増加の原因である悪性Tリンパ球のクローン膨張に先行する。 上記に考察したIkaros異型接合胸腺細胞と末梢T細胞との増殖性応答を 、胸腺細胞像の最初の変化の前に決定した。生後1ケ月のIkaros異型接合 体と野生型の対照とからの胸腺細胞及び脾臓細胞を、TCR複合体のb鎖の不変 部領域に対して誘導した抗体で被覆したウエルに異なる濃度で接種した。 TCR刺激の48時間後に、異型接合胸腺細胞は、増殖性応答の尺度である3H チミジン取込みの、基底(hIgG)に比しての劇的な増加を示した(表1A) 。3Hチミジン取込みの平均して200倍の増加が検出された。極めて対照的に、同 じ条件下で、野生型胸腺細胞は、低い増殖性応答を示した(基底の平均7.7倍の3 Hチミジン取込み)(表1A)。 異型接合脾臓細胞は、TCR刺激(hIgG)の不在下でも増殖した。3Hチ ミジン取込みは、野生型の対照脾臓細胞で観察されたのより平均2.6 倍多かった (表1B)。TCR刺激の際は、異型接合脾臓細胞も、野生型の対照より高レベ ルの3Hチミジンを取り込んだ(表1B)。しかし、異型接合脾臓細胞の比較的 高い基底増殖を考慮すると、それらの平均刺激指数は、野生型と同様であった。 野生型及び異型接合体の脾臓細胞では、基底に比して、それぞれ平均27及び35倍 の3Hチミジン取込みが検出された(表1B)。異型接合及び野生型の脾臓T細 胞の増殖性応答のこれらの差は、平均して類似する、これらの器官でのT細胞の 絶対数の差によっては説明できない。 1ケ月の胸腺で観察された、TCR刺激に対する異常な増殖性応答が、成熟中 の二重陽性集団の固有の性質であるか否かを決定するため、17.5日目の胎児の胸 腺を試験した。胎児の発生のこの段階では、胸腺細胞は、均質な二重陽性集団と して存在し、検出できる単独陽性細胞は、皆無である。これらの二重陽性の胎児 胸腺細胞は、TCR再配置を完了する過程にあり、これらの細胞の下位画分、す なわちフローサイトメトリーで測定した限りで約10%(データは示さず)は、低 レベルのTCRabを発現する。異型接合の胎児胸腺細胞も、それらの野生型姉 妹からの胸腺細胞に比して高レベルの3Hチミジン取込みを示した(表1C)。 しかし、異型接合の胎児胸腺細胞の増殖性応答の強さは、生後1ケ月の異型接合 胸腺細胞で観察されたそれより劇的ではなかったが、おそらく、17.5日目の胎児 胸腺中のTCR陽性細胞の百分率の方が低いためである。 生後1ケ月のIkaros異型接合体(+/−)と野生型(+/+)のマウス からの胸腺細胞(A)及び脾臓細胞(B)、並びに17.5日目の胚の胸腺細胞(C )の増殖活性を、プレートに結合した抗TCRab、又はハムスターIgGイソ タイプの対照抗体(基底と考える)に応答して取り込まれた3Hチミジンの毎分 カウント数(cpm)によって表わす。(A)及び(B)については、独立した5 下位の実験の結果を、それぞれ三重の培養の平均を表わす値で示す。培養体あた りの細胞数は、2〜4x105の範囲にわたった。(C)については、一回の実験 からの結果を、それぞれ、105細胞/培養体を有する二重の培養の平均を表わす 値で示す。基底に対する刺激の比=プレートに結合した抗TCRabに応答して 取り込まれた3Hチミジン/ハムスターのIgGイソタイプの対照に応答して取 り込まれた3Hチミジンである。 上記の実験は、基本的には下記のとおり実施した。平底96穴微量滴定プレー トを、20mg/mlの抗TCRabモノクローナル抗体(H57−597、Pharmingen) 又はハムスターIgGイソタイプの対照抗体(Pharmingen)で、4℃で終夜被覆 した。Ikaros異型接合体と、年齢を合わせた野生型対照動物とから器官を 無菌的に取り出し、上記のとおり単細胞懸濁液を作成した。細胞を、10%ウシ胎 児血清、2mMのL−グルタミン、5x10-5モルのb−メルカプトエタノール及び 50mg/mlのゲンタマイシンで強化したRPMI1640への異なる二様の細胞濃度( 0.5〜4x105細胞/ウエル)で三重に接種した。胚の研究については、105細胞 /ウエルを二重に接種した。48時間後、細胞を仕込み、2mCi/ウエルの3Hメチ ルチミジンで6〜12時間パルス標識した。次いで、自動細胞採集装置(Harveste r 96、TomTec)を用いて、細胞をフィルターに移し、1205Betaplateシンチレー ション計数装置(Wallace)で計数した。白血病/リンパ腫は、Ikaros異型接合マウスに必ず発症する 生後3〜6ケ月の間に、調べたIkaros異型接合マウスの100%が、致命 的な白血病/リンパ腫を発症した。悪性のリンパ芽球性のT細胞クローンが、リ ンパ組織の正常な細胞に取って代わる。しかし、クローンT細胞集団の外殖は、 胸腺で最初に検出され、形質転換の標的は、二重陽性から単独陽性への段階の移 行の際に不適切な増殖性応答を生じた胸腺細胞であるという仮説を裏付ける。異 常なT細胞クローンはすべて、CD3/TCRab複合体を発現するが、異なる 動物に別個のTCR特異性が出現し、形質転換の事象が確率論的であることを示 唆する。CD25(IL−2受容体a鎖)活性化マーカーも、これらのリンパ芽球 性T細胞で発現されるが、その百分率は、動物間で変動し、リンパ芽球性クロー ンT細胞によるリンパ系器官の完全な支配によって定義されるような、疾病の後 期で最高である。これらの細胞の表面でのCD25活性化マーカーの発現は、これ らの細胞では、おそらく、自己分泌経路が活性化されていることを示唆し、ヒト 白血病のいくつかの症例で報告されたそれらの自律増殖を裏付ける。これらの悪 性T細胞の自律増殖と腫瘍形成の特性とは、養子免疫伝達によって確認された。 ヌードマウスへの移入後直ちに、移入された細胞と同じ細胞表面表現型及び遺伝 学的構成を有する細胞を含むリンパ系腫瘍が形成された。 Ikaros異型接合マウスでのT細胞リンパ腫/白血病の遺伝学的解析は、 これらの細胞での野生型Ikaros対立遺伝子の喪失を明らかにした。核型分 析は、染色体の正常な定数を示した。したがって、野生型Ikaros対立遺伝 子の喪失は、二つの突然変異した染色分体の有糸分裂の際の不法な分離か、遺伝 子転換の事象か、又はIkaros遺伝子の欠失による。これらのいずれの場合 も、野生型Ikaros対立遺伝子の喪失は、異型接合胸腺細胞の悪性の形質転 換に直接結び付いている可能性がある。これに代えて、Ikaros異型接合性 の喪失は、これらの細胞に増殖上の利点を与え、それらは、形質転換する前に追 加の遺伝学的事象を経験する可能性がある。p53及び網膜芽細胞腫の腫瘍抑制遺 伝子に突然変異がある細胞における異型接合性の喪失は、腫瘍形成状態へのそれ らの進行とも符合する。 生後数ケ月の直後に、調べたIkaros異型接合マウスの100%が、視認で きるリンパ腺病態を発症した。頚部、腋窩及び腸間膜リンパ節は、正常な大きさ のおよそ20〜50倍に肥大している。加えて、これらのマウスは巨脾症を発症する 。脾臓細胞数の平均10倍の増加があり、脾臓は、腹腔内の支配的器官としての外 見を呈する。胸腺も肥大し、その明確な二葉性の形態を失う。これらのリンパ系 器官の組織学的検査は、大型のリンパ芽球性リンパ球の均一な集団の蓄積によっ て生じた、正常な構造の消滅を明らかにした。皮質−髄質構造の完全な削除が胸 腺で観察される。脾臓の白色髄域の増加と赤色髄域の減少とが一貫して観察され た。Bリンパ小節はもとより皮質及び髄質領域も、リンパ節に不在であった。こ れらの動物の末梢血には、非常に多くの循環リンパ球も認められた。これらの細 胞は、外見がリンパ芽球様であり、大型の核を微細な染色質構造、傑出した仁、 及び乏しい細胞質とともに有した。 冒されたIkaros異型接合マウスの非リンパ系器官も、リンパ芽球様細胞 に大規模に浸潤された。リンパ増殖症候群のIkaros異型接合マウスの肝及 び腎臓は、青白く、大きさが増大した。肝、腎及び肺の切片の組織学的検査は、 リンパ芽球様細胞の蓄積する数によって、それらの正常な組織構造の完全な削除 を明らかにした。これらのリンパ球による大規模な侵襲は明白であった。 同じIkaros突然変異を有する二つの無関係の胚幹(ES)細胞系から誘 導された異型接合動物では、リンパ増殖症候群及び白血病/リンパ腫が同じ頻度 で出現する[Georgopoulos et al.(1994)Cell 78: 143-156]。意義深いこと に、中ないし高レベルのIkarosES細胞の寄与があるキメラ動物も、その 疾病を発症するが、異型接合集団と比較すると、約2ケ月の遅延期間がある。2 系統のIkaros異型接合マウスとIkarosキメラとでの白血病/リンパ 腫の発症は、根拠となる機序にIkaros突然変異が介在するという仮説を証 明する。 実験は、基本的には下記のとおり実施した。安楽死させた野生型及びIkar os突然変異のマウスから採集した組織を、4%緩衝ホルマリンで固定し、処理 し、パラフィンに包埋した。切片を5mmの厚さに切り、スライドガラスに載せ、 ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。光学検鏡を、Olympus BMax-50の顕微 鏡で20x〜600xの倍率で実施した。成熟し、活性化されたT細胞の均質集団は、すべてのリンパ系器官で支配的であ 冒されたIkaros異型接合マウスのリンパ球集団の表現型を、フローサイ トメトリーによって決定した。これらの動物の胸腺、リンパ節、脾臓及び骨髄か ら得た細胞を、多数の初期及び後期リンパ球分化マーカーに対する抗体を用いて 分析した。 骨髄を包含するすべてのリンパ系器官に蓄積するリンパ球は、分析したすべて の動物でT細胞であった。これらのT細胞は、大型で(前方散乱像によって決定 した限りで)、CD3/TCRab複合体を発現した(図2)。蓄積T細胞集団 の共受容体組成は、与えられた動物の中では均一であったが、マウス間では異な った(図2、MU1及びMU2)。CD8+/TCR+集団が最高頻度で出現した が(動物の14/23)、CD4+/TCR+(動物の2/23)、CD4+/CD8+/ TCR+(動物の4/23)及びCD4-/CD8-/TCR+(動物の3/23)も検 出された。 異常なT細胞集団の5〜100%が、CD25(IL−2受容体a鎖)活性化マー カーを発現した(図2)。この集団内の、より高い百分率のCD25+は、疾病の 後期との強い相関関係があった。異常T細胞集団は、IL−2の存在下では、in vitroで無限に増殖させることができた。いくつかの場合で、これらの細胞は、 加えた成長因子の不在下でも増殖した。 B細胞集団は、冒された動物の脾臓、リンパ節又は骨髄で検出できなかった。 脾臓と骨髄との赤血球及び骨髄球区画の大きさの相対的減少も、認められた(図 2B)。急速に蓄積するリンパ芽球性T細胞による、B細胞区画と引き換えのこ れらの器官のリンパ領域の支配は、これらの結果を説明すると思われ、これらの マウスでのリンパ系組織の均一な組織学的外見との相関関係がある。異常T細胞集団は、クローン的性質であり、胸腺に現われる 分析した異常T細胞集団のすべてがTCRab複合体を発現したことから、そ れらのT細胞受容体組成を調べることによって、そのクローン性を決定した。こ の分析は、二つの方法で実施した。これらのT細胞集団でのDb−Jbのセグメ ント再配置を定義することによって、T細胞受容体b鎖遺伝子の構造を調べた[ 例えば、Anderson et al.(1992)EMBO J 11:4866-4877を参照されたい]。加 えて、細胞表面でのVb発現を、フローサイトメトリーによって研究した。 七つのDb2−Jb2再配置、及びb鎖遺伝子の生殖系列配置に対応する一帯 域が、野生型と、生後1ケ月のIkaros異型接合とのマウスからの胸腺細胞 及び脾臓細胞で検出された。これらの結果は、これらの器官での胸腺細胞と成熟 T細胞との集団の通常はポリクローナルである性質を反映する。胸腺と脾臓との 間で検出されたDb2−Jb2組成の差は、定住する細胞集団の差を反映する。 脾臓のb鎖の遺伝子座での生殖系列配置に対応する帯域の強度の増大は、この器 官に通常存在する非T細胞集団の存在に対応する。逆に、より年長のIkaro s異型接合マウスのT細胞集団は、一つ又は二つの支配的なDb2−Jb2再配 置を示したが、それは胸腺と脾臓との双方で同じであった。 これらの異常T細胞のクローン性も、TCRVb領域に特異的な一群のモノク ローナル抗体を用いて、細胞表面TCRVbの発現を決定することによって調べ た。図3に示した二つの代表的な例では、T細胞の大多数は、単一のVb特異性 を有した。1体の動物では、胸腺及び脾臓のT細胞集団の90%が、Vb5.1,5.2 を発現したのに対して、第二の動物では、脾臓細胞のみ分析したにすぎなかった が、細胞の80%がVb11を発現した。第三の動物では、胸腺及び脾臓の異常T細 胞は、Vb3を発現した(データは示さず)。まとめると、これらの結果は、こ れらの攻撃的に増殖するT細胞集団のクローン性の起源を強く暗示する。 これらの悪性T細胞クローンが最初に発生する起源を決定するために、切開す る前はリンパ増殖の視認できる発現のない、生後2〜3ケ月のIkaros異型 接合体のリンパ球集団を分析した。クローンT細胞集団の膨張の後、やはり胸腺 及び脾臓におけるDb2−Jb2再配置の範囲を調べた。クローンT細胞集団の 外殖は、Db2−Jb2再配置の範囲の減少として発現し、胸腺では明らかであ るが、脾臓では明らかでない。これらの結果は、悪性の胸腺起源を示唆する。 実験は、基本的には下記のとおり実施した。以前に記載のとおり[Laird et a l.(1991)Nuc.Acids Res.19: 4293]、胸腺細胞及び脾臓細胞からDNAを 調製した。Rodewaldら(1994)が記載したとおりにPCRを実施したが、下記の 変更を加えた。35周期にわたって、試料を変性させ(94℃、45秒)、アニールし (63℃、45秒)、そして伸長させた(72℃、1分)。各試料からのアリコートを 、1.2%アガローストリス−ホウ酸−EDTAゲル上で電気泳動させ、0.4モルN aOH中でHybond-N+(Amersham)の膜にブロットした。サザン分析のための プライマー(Db2.1及びJb2.7)及び内部プローブ(DbINT)として用い た合成ヌクレオチドの配列(5'〜3')は、下記のとおりである: Db2.1 :GTA GGC ACC TGT GGG GAA GAA ACT (SEQ ID NO:1) Jb2.7 :TGA GAG CTG TCT CCT ACT ATC GATT (SEQ ID NO:2) DbINT:ATT GTG GGG ACT GGG GGG GC (SEQ ID NO:3) 生殖系列配置のための期待されたPCR産物は、1,858塩基対であり、Db2.1 からJb2.1、Jb2.2、Jb2.3、Jb2.4、Jb2.5、Jb2.6 又はJb2.7のい ずれかへの再配置のためのそれは、1,279〜224塩基対である。増幅したPCR産 物はすべて、内部オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせて、それら の特異性を確認した。分析したDNAは、野生型、生後1ケ月の異型接合体、生 後2〜3ケ月の異型接合体3体、及び視認できるリンパ増殖疾患を有する生後3 ケ月を超える異型接合体4体からの胸腺及び脾臓であった。用いた分子量マーカ ーは、1kBのDNAラダー(Gibco BRL)であった。Ikaros異型接合マウスからのクローンT細胞集団は、ヌードマウスにリン パ系腫瘍を容易に形成する 白血病/リンパ腫を有するIkaros異型接合体の胸腺から単離したT細胞 を、ヌード/ベージュの遺伝的背景のマウスに皮下注射した。局所的な腫瘍外殖 の最初の徴候は、注射後第1週で認められた。第3週までには、腫瘍は直径2〜 3cmにまで成長した。この時点で、動物を犠牲にし、腫瘍とともに、ある場合に は脾臓、骨髄及びリンパ節集団をフローサイトメトリーによって分析した。腫瘍 から単離した細胞は、注射したT細胞と同じ細胞表面表現型(CD4-CD8+T CRab+CD25+)であり、同じ単一Db2−Jb2再配置を示した。加えて、 この同じT細胞集団は、これらのヌードマウスの脾臓、リンパ節及び骨髄で支配 的であった。Ikaros異型接合体からのクローンT細胞集団が、皮下注射に よって容易に腫瘍を形成できることと、宿主のリンパ系器官の正常な細胞集団に 侵入かつ置き換わり得ることとは、その悪性の性質を立証する。 実験は、基本的には下記のとおり実施した。リンパ増殖症候群を有する生後3 ケ月を超える異型接合体と、野生型の対照マウスとから、胸腺を、以前に記載の とおり、無菌的に調達した。細胞を、N:NIH-bg-nu-xidBRの遺伝的背景の ヌードマウス(Charles River)に皮下注射した。マウスを、それぞれ5体の動 物からなる3群に分けた。一群には2x106の、第二群には6x106の異型接合胸 腺細胞を、そして第三群には6x106の野生型胸腺細胞を与えた。以前に記載の とおり、モノクローナル抗体の下記の組合せで染色することによって、細胞表 面表現型を決定した:抗CD4PE/抗CD8FITC、抗CD8PE/抗TCRaFITC 、抗CD4PE/抗TCRabFITC、及び抗CD3PE/抗CD25FITC悪性T細胞クローンにおけるIkaros異型接合性の喪失 野生型及び/又は突然変異の対立遺伝子によって発生したIkarosイソ型 の発現を、健康な、及び疾病の異型接合マウスのリンパ系集団で分析した。以前 に記載のとおり[Molnar and Georgopoulos(1994)Mol.Cell Biol.14:8292-8 303]、RT−PCRを用いて、生後1〜3ケ月の動物の胸腺及び脾臓でのIk aros野生型と突然変異体とのメッセージの発現を調べた。 突然変異体と野生型の双方の対立遺伝子から生成されたIkaros転写物が 、生後1ケ月の異型接合マウスの胸腺及び脾臓で検出された。しかし、白血病/ リンパ腫の異型接合マウスからのリンパ系器官と、ヌードマウス腫瘍からの細胞 とでは、Ikaros突然変異対立遺伝子から誘導された転写物のみが検出され たにすぎない。この結果が、より短い突然変異cDNAの優先的増幅によるもの である可能性を排除するために、野生型cDNAのみを増幅する異なるセットの プライマーを用いた。これらのプライマーでは、増幅産物が全く検出されず、野 生型Ikarosのメッセージは、これらの悪性T細胞では発現されないことが 示唆された。野生型Ikaros転写物は、生後2〜3ケ月の異型接合体の胸腺 で、最初に検出されたのに対し、これらのマウスの脾臓及び骨髄は、野生型及び 突然変異の形態をともに発現した。Ikaros野生型対立遺伝子からの胸腺に よる発現のこの見かけの欠如は、この器官でのクローンT細胞集団の蓄積と符合 する。これらの細胞でのIkarosタンパク質発現に関する研究は、これらの 結果を確認した。 実験は、基本的には下記のとおり実施した。野生型及び突然変異のマウスから の胸腺と脾臓とから調製した総RNAの逆転写PCR(RT−PCR)分析を、 以前に記載のとおり[Molnar and Georgopoulos(1994)Mol.Cell Biol.14:82 92-8303]実施したが、下記の変更を加えた。35周期にわたって、試料を変性さ せ(94℃、15秒)、アニールし(60℃、20秒)、そして伸長させた(72℃、30秒 )。各組織から調製したcDNAの相対濃度を、生成物増幅の線形の範囲内で多 数の周期にわたってGAPDHcDNAを増幅すると思われた1セットのプライ マーを用いて決定した。調整した量のcDNAを、欠失領域の内側及び外側のエ キソンに由来する4セットのプライマーで、35周期にわたって増幅した。プライ マーのこれらのセットすなわちEx2F/Ex7R、Ex2F/Ex6R、Ex 3F/Ex7R、Ex4F/Ex7Rは、Ikaros転写物によるエキソンの 用法の決定を可能にする。プライマーとして用いた合成オリゴヌクレオチドの配 列(5’〜3’)は、下記のとおりである: Ex2F:CAC TAC CTC TGG AGG AGC ACA GCA GAA(SEQ ID NO:4) Ex3F:AGT AAT GTT AAA GTA GAG ACT CAG(SEQ ID NO:5) Ex4F:GGT GAA CGG CCT TTC CAG TGC(SEQ ID NO:6) Ex6R:TCT GAG GCA TAG AGC TCT TAC(SEQ ID NO:7) Ex7R:CAT AGG GCA TGT CTG ACA GGC ACT(SEQ ID NO:8)。 Ikaros異型接合体のリンパ系器官で発現されたIkaros転写物のR T−PCR分析も、実施した。生成物の予測された大きさは下記のとおりである :Ik−1、750bp;Ik−2、490bp;Ik−4、365bp;突然変異IK−1及 びIk−2、325bp;及び突然変異Ik−4、200bp[Gergopoulos et al.(199 4)Cell 78: 143-156に記載のとおり]。分析したcDNAは、生後1ケ月の野 生型、1ケ月の異型接合体、2ケ月の異型接合体、3ケ月の異型接合体、ヌード マウスのT細胞腫瘍、Ikaros異型接合体の胸腺、脾臓及び骨髄、並びにD NAなしの対照のものであった。リンパ増殖疾患の視認できる身体的発現を有す る、生後3ケ月より年長の動物4体の胸腺、脾臓及び骨髄からの細胞は、プール した。 Ikaros野生型対立遺伝子が、依然として健全であるか否かを決定するた め、サザン分析によってIkaros遺伝子座の構造を調べた。白血病/リンパ 腫のマウスの胸腺からのDNAを分析したとき、突然変異Ikaros遺伝子座 に由来する、13.5kBの単一のBamHIフラグメントが検出された。この突然変異ゲ ノムのフラグメントは、これらの動物の脾臓から調製したDNAでも支配的であ った。これらのマウスの脾臓で検出された、野生型遺伝子座に由来する18.5kBの BamHIフラグメントの低レベルは、この器官での少数集団を提示する赤血球及び 骨髄球性の細胞によって説明することができる。野生型Ikaros対立遺伝子 の喪失は、ヌードマウス腫瘍からの細胞でも明白であった。しかし、ポリクロー ナルの胸腺細胞及び脾臓細胞集団を有する(TCRDb−Jb再配置によって決 定した限りで)生後3ケ月の異型接合体では、野生型及び突然変異のIkaro s対立遺伝子が、これらのリンパ系器官の双方で類似のレベルで検出された。 実験は、基本的には下記のとおり実施した。上記のとおり、胸腺細胞及び脾臓 細胞からDNAを調製した。消化は、BamHIを用いて37℃で終夜実施した。試料 を、0.5%アガローストリス−ホウ酸−EDTAゲル上で、50Vで終夜電気泳動 させ、Hybond−N+(Amersham)の膜に移した。Ikaros遺伝子のエキソン 2と3との間のイントロン配列からなる870bpのフラグメントをプローブとして 、フィルターを検索した[Georgopoulos et al.(1994)Cell 78: 143-156]。Ikarosドメインの分析 Ikaros遺伝子は、別個のDNA結合特性を有する亜鉛フィンガータンパ ク質の一族をコード化している。IkarosDNA結合ドメインでの欠失は、 この突然変異について同型接合であるマウスにリンパ球の発生の早期停止を生じ る。加えて、Ikaros異型接合体は、致命的なT細胞白血病及びリンパ腫を 急速に発症する。突然変異及び野生型の対立遺伝子が生成する別個のIkaro sイソ型は、それらの安定的な相互作用を(DNAの不在下で)仲介し、細胞内 でのそれらの局在を指図する、亜鉛フィンガーのモチーフをC末端に共有してい る。健全なDNA結合ドメインを有するIkarosイソ型間のホモ及びヘテロ 二量体形成は、それらの結合親和性及び転写活性化能を強く刺激する。極めて対 照的に、DNA結合ドメインを保有しないIkarosタンパク質と保有するそ れとの間の相互作用は、後者が転写に参加できる能力を、優性陰性の方式で干渉 する。機能的に別個のIkarosイソ型間の調節された発現と相互作用とは、 発生中の造血リンパ系での増殖か分化かを決定する。 胎児及び成体の造血リンパ系での発現が制限されたIkaros遺伝子は、マ ウスリンパ系のすべての系統の発生に不可欠である。それは、交互スプライシン グによって、少なくとも7種類の機能的に別個の亜鉛フィンガー含有タンパク質 をコード化する[Molnar and Georgopoulos(1994)Mol.Cell Biol.14:8292-8 303、参照により本明細書に組み込まれる]。これらのイソ型のうち4種類(I k−1、Ik−2、Ik−3及びIk−4)は、2〜4個の亜鉛フィンガーのモ チーフをN末端ドメインに有し、中核モチーフのGGGAを共有する。しかし、それ らの全体的な配列特異性と、DNAと結合する親和性とは別個である。4種類の 差別的に利用されるN末端亜鉛フィンガーとは対照的に、高親和性DNA結合に 関与しない2種類のC末端フィンガーのモチーフは、すべてのIkarosイソ 型に共有される。Ikarosイソ型のうち3種類(Ik−5、Ik−6及びI k−7)は、不可決のN末端亜鉛フィンガーを欠くが、C末端のを欠くことはな く、DNAと結合しない。マウス生殖系列での4種類のN末端亜鉛フィンガーの うち3種類をコード化している2エキソンを標的にした欠失は、リンパ球発生の 早期の、かつ完全な停止を招いた。Ikaros同型接合の突然変異マウスは、 成熟T及びBリンパ球とNK細胞ばかりでなく、最も早期に画定されたリンパ系 始原細胞も欠く。極めて対照的に、このIkaros突然変異について異型接合 であるマウスは、T細胞の表現型の白血病及びリンパ腫を急速に発症する。生後 1ケ月のIkaros異型接合体の胸腺細胞は、正常な細胞表面表現型を有する が、T抗原受容体の結合後に、in vitroリンパ増殖性応答の増強を生じる。分娩 後2ケ月目と3ケ月目との間の胸腺細胞像の劇的な変化は、それらのT抗原受容 体を介したin vivo刺激と一致する。その後の胸腺における悪性T細胞クローン の蓄積は、Ikaros異型接合性の喪失と同時に発生する。したがって、胸腺 細胞を成熟させるIkaros活性の進行性の喪失が、休止期から増殖期、更に は形質転換期への段階的な移行の根底にある。異型接合胸腺細胞の突然変異対立 遺伝子が生成するIkarosタンパク質は、野生型対立遺伝子が代わりに切断 した生成物としても、低頻度で生成される。これらのIkarosイソ型(すな わちIk−6及びIk−7)は、主として野生型遺伝子が生成したタンパク質( すなわちIk−1及びIk−2)の機能に支配的に干渉し、リンパ球の形質転換 への第一歩を踏み出す。活性化ドメイン 様々なIkarosイソ型とそれらの活性との相互作用を調べた。あり得る相 互作用領域の決定の前に、Ikarosタンパク質のすべてに存在する強力な活 性化ドメインを、エキソン7の初めの81アミノ酸内にマッピングした(図5A) 。このドメインは、それぞれαヘリックス及びβシート構造への傾向がある、ア ミノ酸の酸性及び疎水性の範囲を含む(図5A)。このドメインの3’からのプ ロリン残基の欠失は、その活性に干渉しなかったのに対し、疎水性アミノ酸以降 の欠失は、その能力を著しく減少させた(図5B)。5’酸性アミノ酸の除去は 、その機能を全く排除した(図5B)。すべてのIkarosタンパク質は、必 須の酸性領域と、最大活性に必要な疎水性のアンモニア化領域とで構成される、 この二分された活性化ドメインを共有する。しかし、Ikarosタンパク質( Ik−1、Ik−2、Ik−3、Ik−4及びIk−5)は、それらの単離され た二裂活性化ドメインより弱い活性化剤であったが、その酸性アミノ酸の下位領 域と類似する活性化能を示した。分子内及び分子間相互作用によって制御される Ikarosタンパク質の立体配座は、この活性化ドメイン及びその下位領域の 利用可能性を指図し、その結果、これらのタンパク質の全体的転写能を決定する 可能性がある。タンパク質−タンパク質相互作用 酵母の二つの雑種系で、Ikarosイソ型間のタンパク質−タンパク質相互 作用を調べた。エキソン7の最もC末端の150のアミノ酸で、強力な相互作用が 得られた(図5A及び図6B)。この領域の5’及び3’欠失分析は、最もC末 端の58アミノ酸を相互作用ドメインとして画定した(図6A)。このドメインは 、Ikarosイソ型のすべてに存在する二つのKruppel様亜鉛フィンガーモチ ーフを含有した(F5及びF6)。F5又はF6のシステイン又はヒスチジンを グリシン残基と置き換えることは、Ikarosタンパク質−タンパク質相互作 用を排除した(図6A及び6B、それぞれM1、M5及びM2)。F6の第2ヒ スチジン以降の欠失は、これらのタンパク質相互作用を弱めたが、排除しはしな かった(図6A及び6B)。しかし、このフィンガーモチーフの最初のヒスチジ ン以降の欠失は、この領域の相互作用能を廃絶した(図6A及び6B)。 Kruppelの亜鉛フィンガー構造が、Ikarosタンパク質−タンパク質相互 作用に不可欠であるか否かを決定するため、このフィンガーモチーフのαヘリッ クスに参加すると思われるアミノ酸に、非保存的置換を導入した(図6B、M6 、M7、M8、M11及びM13)。これらの非保存的なアンモニア化置換はいずれ も、Ikarosタンパク質−タンパク質相互作用に対して効果がなかった。し たがって、53アミノ酸のC末端相互作用ドメインでのシステイン及びヒスチジン 残基は、Ikarosタンパク質−タンパク質相互作用に不可決の新規な亜鉛フ ィンガー構造の形成に参加し得る。これに代えて、F5、及び部分的にはF6も 、Kruppel型亜鉛フィンガーに特徴的なβシート/αヘリックスの二次構造をと り得る。しかし、DNAと接触させることに専ら関与するこのフィンガーモチー フのαヘリックス領域は、それがタンパク質−タンパク質相互作用に参加できる ことに影響されないでいる可能性がある。 Ikarosイソ型が相互に作用し合えることを、哺乳動物細胞で調べた。イ ンフルエンザエピトープ(HA)でタグ付けしたIk−2イソ型を、293Tとい う上皮細胞系に他のIkarosイソ型(Ik−1、Ik−4、Ik−6、Ik −7)とともに同時トランスフェクションした。マウス抗HAモノクローナル抗 体を用いて、トランスフェクションした細胞の溶解物からHA−Ik−2イソ型 を免疫沈降させた。免疫沈降物を、Ikaros抗体とのウエスタンハイブリダ イゼーションによって分析した。化学量論量のIkarosイソ型(Ik−1、 Ik−4及びIk−6)が、HA−Ik−2変異体と同時免疫沈降した(図6C 、列2、4及び6)。免疫沈降したIk−6の一見少ない量は、アッセイに用い たIkarosポリクローナル抗体に対して比較的少量のエピトープを含む、そ の短いN末端領域のためであった(図6C、列6)。HA−Ik−2免疫沈降と 同様の結果は、HA−Ik−1イソ型でも得られた。しかし、その二つのC末端 亜鉛フィンガーモチーフ中のシステインをグリシン残基に代えた、HA−Ik− 1イソ型は、Ikarosイソ型と相互作用かつ同時免疫沈降することができな かった(図6C、列7及び8)。 亜鉛フィンガーモチーフが、Ikarosタンパク質−タンパク質相互作用に 関与するか否かを決定するため、免疫沈降の前に、Znキレート化剤のEGTA をトランスフェクションした細胞の溶解物に加えた。EGTAの添加は、Ika rosタンパク質間の相互作用を完全に排除した(図6C、列3及び5)。Ik arosタンパク質が相互作用できる能力は、増加する量の亜鉛イオンをEGT A処理溶解物に加えた後で回復した(図6D、列3〜5)。これらのデータは、 酵母の二つの雑種系でのIkaros相互作用ドメインの突然変異分析と相まっ て、安定的なIkarosタンパク質−タンパク質相互作用を仲介することへの 亜鉛フィンガー境界面の関与を強く裏付ける。細胞での局在 別個のIkarosイソ型が、核又は細胞質への優先的な局在を示す。DNA の不在下でのそれらの安定した相互作用を考慮して、細胞質形のIkarosが 、核外でも核形を保持し、それ故それらの機能に干渉できるか否かを調べた。細 胞質イソ型のIk−6又はIk−7を、核形Ik−1又は相互作用欠如イソ型の Ik−1mとともにNIH−3T3細胞に同時トランスフェクションした。これ らのタンパク質の細胞内の局在は、Ikarosに対する抗体で監視した。Ik −6及びIk−7タンパク質は、Ik−1及びIk−1mの不在下で細胞質中に 見出された。Ik−1を同時トランスフェクションしたときは、すべてのIka rosタンパク質が核内で検出された。しかし、Ik−1mを同時トランスフェ クションしたときは、Ik−6及びIk−7は細胞質中に見出されたが、Ik− 1mは核内に見出された。類似の結果は、他の細胞質イソ型Ik−3及びIk− 4についても得られた。したがって、核形及び細胞質形Ikarosタンパク質 は、相互作用によって複合体を形成し、主として核内に局在する。タンパク質−タンパク質相互作用とDNA結合 Ikarosタンパク質−タンパク質相互作用、及びDNA結合に対するそれ らの効果を調べた。野生型及び相互作用欠如のIk−1タンパク質(Ik−1及 びIk−1m)を用いて、単一高親和性認識配列に対するゲル遅延アッセイを実 施した。野生型Ik−1は、大部分は二量体としてDNAと結合するが、より少 量の単量体性及び三量体性複合体も検出された。野生型Ik−1とは対照的に、 相互作用欠如のIk−1突然変異体は、単量体としてDNAと結合した。加えて 、等量の野生型及び突然変異Ik−1をこのアッセイに用いたときは、より少量 の突然変異体タンパク質がDNAと結合するのが見出された。Ikarosタン パク質の濃度の上昇は、それぞれIk−1二量体、及び突然変異Ik−1単量体 タンパク質とDNAとの複合体を増加させた。より高次のタンパク質−DNA複 合体の形成は、相互作用欠如Ik−1イソ型によっては検出されなかった。 多くの生理学的なIkaros結合部位(例えばNFkb、EBF等々)が反 復されること、そしてIkarosタンパク質は、高頻度で二量体認識配列に選 ぶことから、二重認識部位に対比しての単一のそれに対する親和性を調べた。 k−1及び突然変異Ik−1を有するそれぞれ単一及び二重の認識配列の双方で 、支配的な二量体及び単量体性の同じIkarosタンパク質−DNA複合体が 検出された 。結合したIkarosタンパク質による立体障害は、近位結合部位 での第二のタンパク質複合体の装着を妨げる可能性がある。 DNA結合ドメインを有するIkarosイソ型と、それを有しないもの(I k−1とIk−6)との相互作用、及び配列特異的結合に対するその結果的な効 果を決定した。Ik−1がDNAに結合できる能力は、Ik−6イソ型の存在下 で顕著に低下した。以前に記載のとおり、4種類のN末端亜鉛フィンガーを有す るIkarosイソ型(F1、F2、F3及びF4を有するIk−1)のホモ二 量化は、おそらくはこのタンパク質複合体に二つのDNA結合ドメインを導入す ることによって、配列特異的DNA結合に対するその親和性を高めた。しかし、 DNA結合ドメインを有するIkarosイソ型と、それを有しないものとの相 互作用は、唯一のDNA結合モジュールと、DNAに対する低い親和性とを有す るタンパク質複合体を生成する。 Ikarosホモ及びヘテロ二量体形成とそれらの転写能とを決定した。以前 に示したとおり、Ik−1は、NIH−3T3の線維芽細胞で異所的に発現され たとき、強力な転写活性剤として機能することができる(図7、20倍の刺激)。 対照的に、相互作用欠如Ik−1タンパク質は、弱い活性剤であった(図7、2 〜3倍の刺激)。野生型と突然変異体のIk−1の活性のこの顕著な差は、それ らのDNA結合親和性の差を反映している可能性がある。加えて、Ik−1ホモ 二量体の二つの活性化ドメインの存在は、比較的高いその転写活性に寄与する可 能性がある。Ikarosイソ型が、ホモ及びヘテロ二量体形成の双方に深く関 与することから、増加する量のIk−2、Ik−3、Ik−4、Ik−5、Ik −6又はIk−7と、一定量のIk−1とを同時トランスフェクションした。等 量以上のモル比で観察される効果は、Ikarosヘテロ二量体の形成を反映し 続ける。Ik−1と、Ik−4、Ik−6又はIk−7との同時発現は、前者の イソ型が転写を活性化できる能力に強く干渉した(図7)。低下したDNA結合 親和性を有するIk−1ヘテロ二量体(Ik−1/Ik−6、Ik−1/Ik− 7及びIk−1/Ik−4)の形成は、Ik−1ホモ二量体より弱いそれらの活 性化特性を説明し得る(図7)。しかし、これらのIk−1ヘテロ二量体は、転 写についてはIk−1単量体(Ik−1m)より活性であり、おそらくそれは、 このタンパク質複合体に第二の活性化ドメインが存在するためである。Ik−1 の活性化能に対する負の効果は、増加する量の比較的弱い活性剤であるIk−2 では全く検出されなかった。Ik−2で検出された、より高レベルのリポーター 遺伝子の発現は、ともに核内に局在するIk−1/Ik−2ヘテロ及びIk−2 ホモ二量体の併合した活性を反映し得る(図7)。Ik−3ホモ二量体は、核に 進入できないことから、Ik−3の過剰で検出された効果は、Ik−1/Ik− 3ヘテロ二量体によるものと予測される。Ik−1/Ik−3ヘテロ二量体は、 転写についてはIk−1ホモ二量体と同程度に活性であった(図7)。 別個のDNA結合ドメインを有するIkarosイソ型(例えばIk−1、I k−2及びIk−3)間のタンパク質−タンパク質相互作用は、DNAに対する それらの親和性を増大させるが、これらの因子によって制御される調節性要素の 範囲も拡大し得る。加えて、そのような相互作用(例えばIk−1/Ik−3) は、得られたヘテロ二量体の核局在及び転写能を指図することができる。しかし 、転写について適格であるこれらのIkarosイソ型の活性は、健全なDNA 結合ドメインを欠<、同じ一族の別個の成員(例えばIk−4、Ik−5、Ik −6、Ik−7)による負の調節を受ける。これらの機能的に別個のIkaro sイソ型間で形成されたヘテロ二量体は、DNAに対する低い親和性、及び低下 した活性化能を有する。リンパ球における自動調節性Ikarosイソ型の失調 した発現は、異常なリンパ球増殖、及び急速な形質転換へと導くことがある(図 8)。そのような効果は、これらのイソ型を独占的に発生する、一つの野生型と 一つの突然変異体との対立遺伝子を有するリンパ球では、容易に発現する。同じ 効果は、これらの負の調節を行なうIkarosイソ型が、形質転換したマウス のリンパ系列で過剰に発現されたときにも観察される。 したがって、Ikaros遺伝子は、交互スプライシングによって、腫瘍サプ レッサー形態であるIk−1、Ik−2及びIk−3を形成し、それらがリンパ 球の分化を促進し、増殖を阻害する。それは、負の調節タンパク質であるIk− 4、Ik−5、Ik−6、Ik−7も生成し、それらは、前者のイソ型の機能に 干渉することによって、リンパ球の増殖及び形質転換を支援する。健全な遺伝子 が低頻度で生成した、これらの優性陰性のIkarosイソ型の失調した発現が 、異常かつ悪性のリンパ増殖へと導くのに対し、リンパ球の発生の際のそれらの 調節された発現は、早期の造血及びリンパ系の始原細胞の増殖と分化とを制御し 得る。例えば、E14胎児胸腺でのみ比較的高レベルで発現されるにすぎないIk −4イソ型は、早期のリンパ系始原細胞の増殖性拡大に必要であり得る。血リン パ系始原細胞の純化された集団でのIkarosイソ型の発現はもとより、これ らの細胞での潜在的な遺伝学的標的に対するこれ以上の研究は、造血リンパ系で の発生とホメオスタシスとを調節する複雑な分子的過程を解明し始める可能性が ある。Ikaros無効突然変異 血リンパ系の発生の際のIkarosタンパク質相互作用の役割を調べるため 、Ikaros遺伝子のC末端での異なる欠失を標的にした。この欠失は、活性 化、二量化その他のタンパク質相互作用に関与するドメインを含む、翻訳される 最後のエキソンを除去する。この突然変異遺伝子座が生成した機能的に無効のタ ンパク質は、不安定であり、細胞レベルでは検出されない。IkarosC末端 突然変異(C−/−)マウスには、胎児に由来するB−1a細胞、及び成体に由 来する従来からのB細胞が、ともに不在である。しかし、胎児及び成体に由来す るT細胞系統は、差別的に影響される。分娩の間は終始、かつ産後1日目の間、 胸腺は、胸腺細胞、及びそれらの特定できるいかなる前駆細胞も欠いている。明 確な胸腺細胞は、産後3〜5日の出生後の胸腺で検出される。これらの胸腺細胞 は、膨張して、成体でのほぼ正常な数に達する。IkarosC−/−新生児胸 腺は、主として慣例のαβT細胞へと分化し、激しく減少した数の成体由来γδ T細胞を生じる。胎児胸腺細胞の発生の不在と一致して、IkarosC−/− マウスでは、樹状表皮性Vγ3T細胞を検出することが全くできない。これらの マウスでは、NK細胞も不在である。腸の上皮内γδT細胞、及び胸腺の樹状抗 原提示細胞(APC)の数は、激しく減少している。更に、αβT細胞系統に沿 った分化が正常ではない。胸腺のT細胞像は、CD4+-の細胞と、この表現型 へと移行する細胞の方に傾いている。胸腺細胞は、増強されたT細胞受容体(T CR)介在増殖性応答を示し、その出現の数週間後には、オリゴクローナルな膨 張が検出される。加齢中の同型接合体では、モノクローナルな集団が、胸腺を支 配し、末梢へと輸出される。IkarosC−/−マウスでは、B及びTリンパ 系区画の一貫した欠損が発現されるにも拘らず、骨髄及び脾臓では、正常ないし 増大した数の赤血球性及び骨髄球性細胞が検出される。このIkaros無効突 然変異の表現型は、胎児及び出生後HSCのリンパ系分化の際のIkaros遺 伝子族の役割を確定させる。Ikaros遺伝子の翻訳される最後のエキソンの欠失は、その機能的不活性化 へと導く N末端DNA結合ドメインの欠失によって生じるIkarosタンパク質の優 性陰性の効果を回避するため、その5’スプライス供与部位を含むエキソン7の コーディング領域の大部分を有する、1.35kBのゲノムフラグメントを、相同組換 えによってネオマイシン耐性発現カセットで置換するように、ベクターを設計し た(図9)。この欠失は、Ikaros転写体からのエキソン7の利用を無力化 する。エキソン7は、Ikarosタンパク質どうし、及びIkarosタンパ ク質とAiolosタンパク質との間の相互作用に必要な、C末端亜鉛フィンガ ー二量化ドメインをコードしている。欠失したドメインは、Ikarosタンパ ク質が転写を活性化できる能力に不可欠である、二裂活性化ドメインも含む。二 量化ドメインが開裂されているか、又は翻訳された最後のエキソンを欠く突然変 異Ikarosタンパク質でのin vitro及びin vivoの研究は、それらが、転写 について不活性であり、転写に対して優性陰性の効果を示さないことを示した。 標的ベクターは、マウスの生殖系列が1:8の頻度で相同組換えされていた。 正統の相同組換え事象を有する独立した二つの胚幹細胞系を用いて、C末端欠失 について生殖系列の伝達があるマウスを形成した。同型接合C末端突然変異マウ スが、期待されたメンデル頻度で誕生し、それらの野生型同腹仔と区別できた。 4ケ月まで生存し、雄は交配することができた。それらの長命は、そのほとんど が出産後の最初の3週間で死亡する、IkarosDNA結合欠失突然変異体[ Georgopoulos et al.(1994)Cell 79: 143-156]とは対照的である。 N末端IkaroscDNAプローブを用いてIkarosC−/−胸腺細胞 から調製したRNAのノーザンハイブリダイゼーションは、エキソン7の翻訳さ れない長いコーディング領域を欠く、短い700〜900bpのメッセージのレベルの低 下を明らかにした。Ikarosタンパク質のN末端ドメインに対して生成した 抗体を用いたIkarosC−/−胸腺細胞の免疫組織化学的分析は、特徴的な 斑点を有する核のIkaros染色、又は上記の遺伝的背景のいかなる染色も明 らかにすることができなかった。にも拘らず、IkarosC−/−胸腺細胞は 、Ikaros相同Aiolosに対する抗体で容易に染色された。突然変異I karosタンパク質は、C−/−胸腺細胞溶解物のウエスタンブロットで検出 されたが、野生型胸腺細胞溶解物中に存在する野生型Ikarosタンパク質よ り100倍も低い濃度であった。 上記の実験は、基本的には下記のとおり実施した。図9に記載の組換えベクタ ーを、Ikarosゲノムフラグメントと、ネオマイシン及びチミジンキナーゼ 発現カセットとを用いて構成し、以前に記載のとおり[Georgopoulos et al.( 1994)Cell 79: 143-156 ;Li et al.(1992)Cel1 69: 915-926]、J1胚幹 細胞内に標的化した。DNAを調製し、KpnI及びEcoRVで消化し、相同組換え部 域の外部からのDNAプローブ(プローブA)を用いたサザンブロットによって 分析した。ネオマイシン遺伝子から誘導したプローブ(プローブB)を用いて、 単一の統合された事象を採点した。この突然変異について異型接合である二つの 別個のES細胞系を別々の芽細胞注入に用いて、細胞系突然変異から生じた表現 型を除外した。別個の遺伝的背景でのあり得る表現型変異性を調べるため、C57B L/6及びBalb/cマウスからの芽細胞に突然変異ES細胞を注入した。プローブA か 、又はネオマイシンから(Neol)、及びIkaros遺伝子から(Int-7F及びEx7 R)設定した適切なプライマーかのいずれかを用いて、F1〜F3マウスの遺伝 子型を決定した。 Int-7F:GGG CCT TTG GGG ACA TCG AAG GTC(SEQ ID NO:9) Ex7R:CAT AGG GCA TGT CTG ACA GGC ACT TGT(SEQ ID NO:10) Neol:CCA GCC TCT GAG CCC AGA AAG CGA(SEQ ID NO:11) 以前に記載のとおり[Sun et al.,1996,EMBO J.]、野生型及び突然変異胸 腺細胞でのIkaros及びAiolosタンパク質の発現を実施した。N末端 Ikaros及びAiolos抗体を1:300 の希釈で用いた。染色した細胞は 、100x倍の対物レンズを備えたLeica共焦点表面蛍光顕微鏡で視覚化した。 安楽死させた野生型及びIkarosC−/−マウスから採集した組織を、4 %緩衝ホルマリンで1〜2日間固定した。次いで、それらを処理し、パラフィン に包埋した。切片を5ミクロンの厚さに切り、スライドグラスに載せ、ヘマトキ シリン及びエオシンで染色した。Olympus BMax-50顕微鏡により2〜40xの倍率 で、光学検鏡を実施した。 IkarosC−/−マウスを、年齢を合わせた野生型姉妹と平行して分析し た。混合した遺伝的背景(SV129xC57BL/6及びSV129xBalb/c)のそれぞれにつ いて、少なくとも20群の動物を調べた。胸腺、脾臓又は骨髄細胞の単細胞懸濁液 を調製し、それらのリンパ系、骨髄系及び赤血球系集団について、以前に記載の とおり[Georgopoulos et al.(1994)Cell 79: 143-156;Winandy et al.Cel l 83,289-99,1995]分析した。フィコエリトリン、フルオレセイン又はシトク ロムと結合したモノクローナル抗体を、二色又は三色のフローサイトメトリーで の分析に用いた。胎児及び成体由来のB細胞は、双方ともIkarosC−/−マウスに不在であ B細胞及びそれらの前駆細胞は、IkarosC−/−マウスの発生の胎児及 び出生後の段階の双方に不在であった。胎児肝B細胞前駆細胞(CD45R-)は 、不在であった(図10A)。これらの細胞は、通常、B1−aというB細胞に出 現する[Hardy et al.(1994)Immunological Reviews 137,92-118;Hardy et al.(1991)J.Exp.Med.173,1213-1225;Kantor et al.(1992)Ann.NY A cad.Sci.651,168-9]。そのとおりに、B1−aB細胞(CD5+/CD45R+ )は、成体同型接合体の腹腔内に検出されなかった(図10B)。原B細胞(CD 45R+/CD43+)及び前B細胞(CD45R+)は骨髄に不在であり、成熟B細胞 (CD45R+/IgM+)は、成体IkarosC−/−マウスの脾臓に不在であ った(図10B〜10D)[Hardy et al.(1991)J.Exp.Med.173,1213-1225; Li et al.J.Exp.Med.178,951-960,1993]。胸腺細胞分化の出生後ではなく胎児期の波は、IkarosC−/−マウスでは 損なわれている 胸腺細胞分化の出生後ではなく胎児期の波は、IkarosC−/−マウスに 不在である。野生型及びIkarosC−/−の胸腺の構造は、ヘマトキシリン 及びエオシン染色によって2〜4xの倍率で明らかにされる。胸腺細胞の前駆細 胞は、野生型のE−16での胸腺で検出されるが、突然変異体のそれでは検出され ない。2種類の胸腺間での大きさの差は、胸腺細胞発生のこの早期の段階で、既 に明白である。IkarosC−/−マウスの胸腺は、胎児生活では終始、また 出生後の最初の数日間は、特定できるリンパ系前駆細胞を欠いた。新生児の同型 接合突然変異体の胸腺では、皮質又は髄質の構造が全く識別できなかった。すべ ての面で、新生児IkarosC−/−胸腺は、造リンパ部位としてのその発生 の開始時にある第13〜第14日の胎児性器官に、外見が非常に類似した。全く対照 的に、野生型新生児の胸腺は、能動的に分化している胸腺細胞区画を示す、精緻 な皮質及び髄質の構造を形成していた。 出生後3〜6日の間に、胸腺細胞は、IkarosC−/−胸腺で検出された が、年齢が見合う野生型器官より100〜300倍少ない数であった(0.3〜1x106対 0.5〜1x108)。IkarosC−/−マウスの胸腺は、出生後1週間以内に皮 質及び髄質の構造を発生し始めた。分娩後第2週と第6週との間に、Ikaro sC−/−胸腺細胞の数の劇的な増加が検出された。胸腺細胞の数は、生後4〜 6週の同型接合体では、正常ないし野生型より2〜5倍少数の範囲にわたった。 数の増加にも拘らず、IkarosC−/−胸腺細胞は、正常な分化の経路を 追わなかった。IkarosC−/−胸腺には、野生型より高い比率のCD4+ -単独陽性細胞が存在した(図11A)。CD4単独陽性T細胞は、総胸腺細胞 がそれらの野生型姉妹より50〜100倍少ないこれらの幼若動物での胸腺集団の50 %以下を占めた(図11A)。CD4+-/TCR+集団のこの増加は、胸腺細胞 発生の早期の時点から成体まで検出され、二重陽性胸腺細胞の比率の同時的上昇 を伴った(図11A)。CD8単独陽性細胞の比率は、野生型に見出されたのと類 似した(図11A)。 CD4集団の増加は、CD4単独陽性とCD4+/CD8int-lo中間体との双 方の連合膨張を包含する(図11A)。これらのCD4+/CD8int-lo及びCD 4単独陽性の胸腺細胞は、それぞれ中ないし高レベルのTCRを発現し、これら の細胞が正常な成熟経路を追うことを示唆した(図11B、TCRのヒストグラム )。陽性選択の際に促進調節されるようになる、表面マーカーの発現(von Boeh merら、1993による総説)についても、IkarosC−/−胸腺細胞を試験し た。CD69抗原の発現を、二重陽性、中間体及び単独陽性の胸腺細胞で試験した 。陽性に選択された、胸腺細胞と活性化された末梢T細胞とは、CD69抗原を一 過的に発現する[Bendelac et al.(1992)J.Exp.Med.175: 731-742;Swat et al.Eur.J.Immunol.23: 739-746,1993]。それらの野生型の相手とは対 照的に、IkarosC−/−マウスのCD4+/CD8-及びCD4+/CD8i nt 胸腺細胞の大部分は、CD69活性化マーカーを発現しなかった(図11B、CD 69のヒストグラム)。これらの突然変異マウスのCD8胸腺細胞は、野生型CD 8+胸腺細胞と類似のレベルのCD69を発現した。にも拘らず、CD4+-胸腺 細胞は、それらのTCRによって、in vitroでのそれらの刺激後にCD69を発現 することができた。これらのデータは、IkarosC−/−胸腺細胞の前駆細 胞が、適切な陽性選択のシグナルを受けることなく、CD4単独陽性段階へと移 行できることを示唆する。機能的なIkaros遺伝子の不在下で、増加したC D4単独陽性胸腺細胞の集団は、不適切に選択されたT細胞クローンを含む可能 性がある。 IkarosC−/−マウスの出生後の脾臓で検出されたT細胞の絶対数は、 当初は少ないが、年齢とともに増加する。特にC57BL/6の遺伝的背景の動物では 、ある場合には、脾臓T細胞の絶対数は、野生型に比して著しく減少したままで あった。脾臓CD4対CD8のT細胞の比は、野生型と同程度から2〜3倍まで の増加にまで変動した(図11A)。 次に、IkarosC−/−及び野生型の胸腺細胞と脾臓T細胞とが、それら のTCRを通じて刺激されたときに増殖できる能力を比較した。IkarosC −/−胸腺細胞は、それらのTCR複合体を刺激すると、野生型胸腺細胞より多 く増殖した(表2)。CD4+とCD8+とのIkarosC−/−胸腺細胞は、 ともに高度の増殖を示した。 a.胸腺細胞又は脾臓細胞の二重の試料を、プレートに結合した抗TCRmAb( H57)で刺激し、同系APCを48時間照射し、3Hチミジンで4時間パルス標 識し、採集かつ計数した。バックグラウンドの3Hチミジン取込み(同一のプレ ート結合ハムスターIgとの培養、及びAPC照射)は100〜775の範囲にわたっ た。 b.+/+胸腺は、それぞれ8.8%及び3.5%のCD4+-及びCD4-+細胞を 含み、−/−胸腺は、それぞれ31%及び3.4%のCD4+-及びCD4-+細胞を含んだ。 c.CD4+-及びCD4-+細胞は、Coulter Eliteでの分類によって95%ま で分離された。 d.+/+及び−/−脾臓は、それぞれ22%及び10%のT細胞を含んだ。T細胞 集団は、生後3週間の動物から分析した。クローン集団は、早期のIkarosC−/−胸腺で検出され、成体の器官で支 配的である IkarosC−/−胸腺細胞が、TCR刺激で過剰増殖したことから、Ik arosC−/−胸腺での、クローンが膨張した胸腺細胞集団の存在を試験した 。T細胞受容体β鎖遺伝子のDβ−Jβセグメントの再配置を、野生型及び突然 変異集団で調べた。7ケ所のDβ−Jβ再配置と、β鎖遺伝子の生殖系列配置に 対応する1帯域とが、野生型マウスの胸腺及び脾臓で検出された。これらの結果 は、これらの器官での胸腺及び成熟T細胞の正常なポリクローナルな性質と整合 する。対照的に、一定のDβ2−Jβ2再配置は、生後5日という早期のIka ros突然変異胸腺での強度の増大を示し、一定の胸腺クローンの膨張を示す。 生後4週間より年長のC−/−動物の大多数の胸腺では、単一のDβ2−Jβ2 再配置が支配的であり、膨張する胸腺細胞クローンの存在を反映している。より 年長の突然変異体の脾臓では、より遅い時点で異常なクローンT細胞集団が検出 された。 胸腺細胞の発生の、IkarosC−/−胸腺細胞クローンが、膨張を開始す る段階を、胸腺細胞をCD4、CD8、及び一団のVβ特異的モノクローナル抗 体に対する抗体で染色することによって調べた。C−/−胸腺の大多数に、別個 のTCRVβの語法を有する胸腺クローンが認められた。与えられたTCRVβ を発現する膨張した胸腺細胞の集団が、二重陽性(CD4+-)及び単独陽性( CD4+-又はCD4-+)のウィンドウの双方で検出され、それらの異常なク ローン膨張は、未成熟二重陽性の段階という早期に生じるが、これらの細胞は、 単独陽性のCD4+及びCD8+胸腺細胞として移行し、更に増殖することを示し た。 上記の実験は、基本的には下記のとおり実施した。以前に記載のとおり[Wina ndy et al.Cell 83,289-99,1995]、胸腺細胞及び脾臓細胞からDNAを調製 した。サザン分析のためのプライマー(Dβ2.1及びJβ2.7)及び内部プローブ (DβINT)として用いた合成オリゴヌクレオチドの配列(5’〜3’)は、 下記のとおりである: Dβ2.1 :GTA GGC ACC TGT GGG GAA GAA ACT(SEQ ID NO:12) Jβ2.7 :TGA GAG CTG TCT CCT ACT ATC GAT T(SEQ ID NO:13) DβINT:TAT TG GGG ACT GGG CG(SEQ ID NO:14)。IkarosC−/−マウスおけるγδT細胞の選択的欠損 IkarosC−/−マウスでの胎児性胸腺細胞の発生の欠如のため、γδT 細胞サブセットの数及び分布は、特に関心が持たれた。野生型表皮で容易に特定 されるγδTCRを発現する樹状表皮T細胞(DETC)は、IkarosC− /−マウスでは検出されなかった。分析した8体の突然変異マウスでは、Thy −1抗原の発現についてプローブで調べたときでさえ、見出されたDETCは皆 無であった。対照的に、膣上皮γδT細胞は、調べた8体のマウス中8体で正常 な分布及び密度で存在した。胸腺γδT細胞は、それでも、減少した数で存在し たが、成体のIkarosC−/−マウスの脾臓では、γδT細胞の有意な集団 は全く検出されなかった(図12A及び12B)。γδT細胞を有し、CD8αα共 受容体を発現する腸上皮内リンパ球(IEL)は、分析したマウス6体で不在で あったか、又は有意に少なかった(図12C)。CD8-γδIELの数も、劇的 に減少した(図12C)。全く対照的に、αβIELの数は、野生型マウスとC− /−マウスとで同様であった(図12C)。それらのクラスIIの発現によって特定 された上皮及び膣ランゲルハンス細胞は、IkarosC−/−マウスでは正常 な数及び分布で存在した。 上記の実験は、基本的には下記のとおり実施した。チオシアン酸アンモニウム で分離した表皮又は膣シートを、1:20希釈のヤギ血清と共に温置し、次いでm ABであるGL3(γδTCRに特異的)で、その後ビオチン結合ヤギ抗ハムス ターIg、アビジン−ビオチン複合体で染色し(Vectastain Perioxidase Stand ard ABC Kit)、3−アミノ−9エチルカルバゾールで顕色した[Bigby et al. (1987)J.Invest.Dermatol.89: 459-9]。陽性に染色された樹状細胞を、光 学顕微鏡測定によって特定した。別のシートを、PEを結合したThy−1とい うmAB(53−2.1)、又は未結合mABのM5/114(クラスII抗原に特異的) で、その後、記載のとおりFITCを結合したヤギ抗ラット抗体で染色し、免疫 蛍光顕微鏡測定によって評価した。陽性に染色された樹状細胞を表面蛍光顕微鏡 測定によって特定した。GL3、Thy−1及びM5/114には、それぞれハム スターIg、PE結合ラットIgG2a及び未結合ラットIgG2b対照抗体を用い た。 胸腺又は脾臓をγδT細胞及びNK細胞に富ませるため、それらをmABの混 合物(胸腺に対してはCD4及びCD8、脾臓に対してはCD4、CD8、B2 20、Mac−1、Gr−1及びTer119)で被覆することによって、単細胞 懸濁液を除去し、抗ラットIgを被覆した磁気ビーズで被覆細胞を除去した[Ar davin et al.(1993)Nature 362: 761-763]。富裕化した胸腺を、上記のとお り、二色蛍光分析のために染色した。NK細胞及び胸腺樹状APCは、C−/−マウスでは不在であるか、又は有意に 少ない 成体胸腺に存在する共通のリンパ系始原細胞(CD4lo/c-kit/CD44+)は 、胸腺樹状APC、NK細胞、並びに慣例のαβ及びγδT細胞を生じ得る[Ar davin et al.(1993)Nature 362: 761-763]。胸腺樹状APCとともにNK細 胞も、この多能リンパ系始原細胞の分化の早期の段階から派生する。これに代わ る仮説は、これらの系統は、類似の表面表現型を共有する別個の胸腺前駆細胞か ら生じるというものである[Shortman,K.& Wu,L.(1996)Annu.Rev.Immun ol.14: 29-47]。クラスII及びCD11c抗原を発現する胸腺樹状APCの存在 を、野生型及びIkarosC−/−の胸腺で調べた。系統除去の後、胸腺AP C(CD11c+/クラスIIint/high)は、野生型胸腺で非常に富裕化された(51 %)(図6A)。対照的に、系統除去した突然変異胸腺では、CD11c+/クラ スIIintの表面表現型を有する細胞は全く、またCD11c+/クラスIIhighのそれ を有する細胞は非常に僅かしか(3%)検出されなかった(図13A)。 野生型及びIkarosC−/−マウスでのNK細胞の存在を、系統除去した 脾臓細胞に対するNK1.1のマーカーに対する抗体を用いて評価した。NK1.1 細胞の小集団は、野生型脾臓細胞間に存在した(SV129xC57BL/6の遺伝 的背景で決定して2〜5%)。NK1.1を発現する細胞は、IkarosC−/ −脾臓細胞間には存在しなかった。機能性アッセイも用いて、NK細胞の存在に 決定的に取り組んだ。野生型対照マウスからの脾臓細胞は、クロム標識NK細胞 の標的(Yac−1)を、広範囲のエフェクター対標的比にわたって効果的に溶 解した(図13C)。しかし、IkarosC−/−マウスからの脾臓細胞は、最 高のエフェクター対標的比でさえ、NK標的を溶解できなかった(図13C)。 T細胞分化経路の最も早い分岐点から派生する胸腺樹状APC及びNK細胞の 発生は、Ikaros活性の不在下で損なわれる。IkarosC−/−マウス は、末梢リンパ中枢も欠く。鼠径、頚部、腋窩及び腸間膜のリンパ節、パイエル 板、並びに胃腸管のリンパ小節が不在であった。後期の胎児生活の間に出現する リンパ節は、それらの適正な発生を樹状APCに依存する。IkarosC−/ −マウスでの健全な樹状APC区画の不在は、それらの末梢リンパ中枢の発生に おける遮断を説明し得る。 上記の実験は、基本的には下記のとおり実施した。胸腺を樹状細胞に富ませる ために、プールした細片化した胸腺をコラゲナーゼで消化し、EDTAで処理し た。密度遠心分離によって、低密度の細胞を捕集し、非樹状細胞系統の細胞を、 mABの混合物で被覆し、被覆した細胞を、抗ラットIgGで被覆した磁気ビー ズで除去することによって、除去した[Ardavin et al.(1993)Nature 362: 7 61-763]。富裕化した胸腺細胞懸濁液を、上記のとおり、二色蛍光分析に向けて 染色した。 500単位/mlの組換えIL−2を用いてin vitroで4日間、脾臓細胞を刺激し た。刺激された細胞がYac−1標的を溶解できる能力を、標準的な4日間のク ロム放出アッセイで測定した[Garni et al.(1990)J.Immunol.144: 796-80 3]。赤血球形成と骨髄細胞の分化とは、胎児及び成体双方の発生の際に比較的影響さ れない 胎児の肝HSCは、赤血球及び骨髄球系統の細胞を主として発生する。これら の細胞型は、ともに、IkarosC−/−胎児の妊娠中後期の肝臓に正常な数 で存在した(図14A)。脾臓は、後期の胎児の造血部位であって、出生後は、T 及びBリンパ球で占められるが、成体の生涯でも終始その造血能を多少とも保持 している。成体での主要な造血部位は骨髄であって、赤血球及び骨髄系前駆細胞 は、ここで発生する。幼若及び成体双方のIkarosC−/−マウスでは、赤 血球及び骨髄系前駆細胞は、骨髄及び脾臓の集団の大多数を含む。これらの骨髄 及び赤血球系細胞は、正常ないし有意に増加した絶対数の範囲にわたる(図14B )。赤血球数及びヘマトクリットは、生理的範囲内であった。骨髄系細胞の間で は、Mac−1と高レベルのGr−1マーカーとの同時発現が、最終的に分化し た成熟好中球を特定する(図14B)。胎児性肝顆粒球の集団は、IkarosC −/−マウスでは野生型と同様であったのに対し、幼若な突然変異同型接合体の 骨髄では、正常より少数の顆粒球が検出された(図14A及び14B)。骨髄由来の Mac−1+/Gr−1+細胞でのこの損傷は、出生後の骨髄系始原細胞でのIk aros突然変異の効果であり得る。これに代えて、これらの幼若突然変異動物 の骨髄でのB及び成熟Tリンパ球の不在下での、不適切な細胞相互作用によるこ ともあり得る。 造血幹細胞のレベルでの細胞の運命の決定を制御する分子的機序の解明は、我 々が血液及び免疫系の発生の仕方を理解する上で枢要である。多能性幹細胞区画 から様々な多能性始原細胞を通じて成熟リンパ球に至るまで発現される、調節遺 伝子Ikarosは、リンパ球の特異性の中心的調節因子として特定された[Ge orgopoulos et al.(1994)Cell 79: 143-156]。Ikaros遺伝子のDNA 結合ドメインでのN末端欠失(DN−/−)は、胎児及び成体の造血系でのすべ てのリンパ球の発生における早期の、かつ完全な遮断を招いた。このN末端突然 変異について異型接合であるマウスでは、突然変異Ikarosの遺伝子座が生 成するタンパク質は、野生型Ikarosイソ型に対する優性の干渉効果を示し て、白血病及びリンパ腫の急速な発症を示した[Winandy et al.Cell 83,289- 99,1995]。このN末端欠失について同型及び異型接合であるマウスで検出され た重篤なリンパ系欠損は、Ikaros活性の併発的欠如はもとより、その突然 変異タンパク質から、Ikarosがリンパ系の正体を特定し、ホメオスタシス を維持するよう作用し合うその他の因子への優性干渉にも起因し得る。 この可能性を検証し、血液−リンパ系でのIkaros活性の喪失の直接的効 果を決定するため、その翻訳される最後のエキソンを欠失させた。このエキソン は、Ikarosタンパク質のすべてが共有する亜鉛フィンガー二量化及び活性 化ドメインを包含する。これらのドメインなしでは、Ikarosタンパク質は 、機能的に不活性であり、転写に対する優性陰性の効果を示さない。その上、こ れらの断端形態は、不安定であり、それらが生成される細胞内で急速に分解され る。したがって、このC末端Ikaros欠失について同型接合であるマウスは 、いかなるIkarosタンパク質についても実質的に無効である。胎児及び成 体のリンパ系統をすべて欠くDN−/−マウスとは対照的に、IkarosC− /−マウスは、胎児及び成体のリンパ系区画での選択的欠損を示す。これらの結 果は、Ikarosタンパク質は、リンパ系統への胎児HSCの発生又は分化に 絶対的な必要条件であるが、それらの作用は、何らかのリンパ系統への成体HS Cの発生又は分化には部分的に過剰である直接的な証拠を与える。 胎児及び出生後のB細胞の発生は、IkarosC−/−マウスでは完全に遮 断された。妊娠中期の胎児肝で通常は検出されるB細胞前駆細胞は、Ikaro sC−/−造血器官では不在であった[Hardy et al.(1991)J.Exp.Med.17 3,1213-1225]。T細胞始原細胞を発生できるそれらの能力にも拘らず、Ika rosC−/−突然変異マウスの出生後HSCは、野生型動物の骨髄に通常は見 出される、最も早期の原B細胞さえも生じ得なかった。したがって、Bリンパ球 の分化は、胎児及び出生後HSC双方のレベルで完全に遮断される。 胎児の発生の際は、大動脈生殖腺中腎部域又は肝原基に由来するHSC、及び その直接の子孫は、胸腺に移住する[Dieterlen-Lievre et al.(1994)Annals of the New York Academy of Sciences 718,140-6;Dzierzak et al.(1995 )Trends in Genetics 11,359-66]。正常な胎児胸腺でのリンパ系前駆細胞の 膨張は、波として生じる。最初の波は、13日目までに胎児胸腺に進入し、胎児リ ンパ球の連続する2集団を生じる[Havran et al.(1988)Nature 335,443-44 5]。第一の集団は、Vγ3TCRを発現し、14日目と16日目との間のTCR発 現胸腺細胞の大多数を含む。これらの細胞は、皮膚に移動し、vγ3DETC区 画を構成する。第二の集団は、Vγ4TCRを発現し、妊娠16日と19日との間の TCR発現胸腺細胞の大多数を含む[Havran et al.(1988)Nature 335,443- 445]。これらは、雌の生殖管及び舌の粘膜上皮に移動する。19日以後の胎児胸 腺には、Vγ3又はVγ4TCRのいずれかを発現する胸腺は、全く明らかでな くなり、成体器官では、実質的に不在となる[Havran et al.(1988)Nature 3 35,443-445]。リンパ系前駆細胞の第二の波は、15日以後に胎児胸腺に進入す る。それらは、胎児後期及び出生後早期の胸腺のTCR発現胸腺細胞の大多数を 生じる。胸腺前駆細胞の胎児後期及び出生後の波は、脾臓及びリンパ節で集団形 成するγδ T細胞を生じる。これらのγδT細胞は、Vγ2TCRを優先的に発現する。そ れらは、僅かな百分率(0.5〜2%)の脾臓及びリンパ節T細胞を構成する[Ito et al.(1989)Proceedings of the National Academy of Sciences of the U nited States of America 86,631-5]。胸腺外起源であり得る第四の型のγδ T細胞が、出生後に発生する[Lefrancois,L.(1991)Immunol.Today 12,43 6-8;Lefrancois et al.(1990)Cell 63,333-340]。これらのγδT細胞は 、Vγ5TCR及びCD8α/α共受容体を発現し、腸上皮にのみ定住するにす ぎない[Guy et al.(1991)J.Exp.Med.173,471-81]。 胎児胸腺細胞の移住又は膨張の第一及び第二の波は、IkarosC−/−マ ウスでは生じない(図15)。したがって、これらの突然変異マウスの胸腺は、胎 児生活の間終始、また生後最初の数日間、リンパ系区画を欠く。胎児で発現した リンパ系分化における早期の、かつ完全な遮断とは対照的に、IkarosC− /−胸腺では、出生の数日後に、胸腺細胞前駆細胞が検出される。これらの胸腺 細胞集団は、生後1ケ月のIkaros突然変異体では、ほぼ正常な数に達する 。 IkarosC−/−マウスでは、出生後のαβT細胞前駆細胞が、CD4+ -及びCD4++のαβT細胞を生じる。しかし、突然変異胸腺でのT細胞分 化の開始から、CD4+/αβT細胞の比率の2〜3倍の上昇が検出された(図1 5)。CD4+T細胞のこの増加は、同時に、CD8単独陽性胸腺細胞の見かけの 変化なしの二重陽性胸腺細胞の減少を伴う。機能性Ikaros遺伝子の不在下 では、CD4胸腺細胞の増加は、CD4系統の関与の失調による可能性がある。 これに代えて、それらの選択の際のCD4T細胞の不適切な蓄積に結果として生 じる可能性もある。未成熟胸腺細胞の表面へのTCR複合体の拘束は、タンパク 質キナーゼ回路と、CD69抗原の発現を誘発する[Testi et al.(1989)Journ al of Immunology 143,1123-8]。移行期中間体、及び成熟した単独陽性胸腺細 胞の多くは、それらの表面にCD69活性化マーカーを発現する[Bendelac et al .J.Exp.Med.175,731-742,1992;Swat et al.Eur.J.Immunol.23,739- 746,1993]。IkarosC−/−突然変異胸腺細胞のうちで、CD4単独陽 性のものと、それらの移行期中間体(CD4+CD8lo/int)との圧倒的多 数は、CD69を発現せず、このαβT系統での不適切な選択を示唆した。この欠 損は、野生型でさえ、より低レベルのCD69を発現するCD8+T細胞について は観察されなかった。したがって、αβT細胞前駆細胞におけるIkarosタ ンパク質の欠如は、それらがCD4及びCD8αβT系統を生じ得る能力を遮断 しないが、CD4T細胞の経路に沿った選択に干渉する可能性はある(図15)。 IkarosC−/−胸腺細胞集団は、それらのTCRを通じて誘発したとき 、それらの野生型の相手より有意に多く増殖した(表2)。同じTCR特異性を 有する二重及び単独陽性の胸腺細胞の失調した膨張は、前TCR又はTCR複合 体の結合後に生じ得る。年長のIkarosC−/−マウスの胸腺では、オリゴ クローナル及びモノクローナルな胸腺細胞集団が支配的である。IkarosD NA結合突然変異について異型接合であるマウスでも、白血病及びリンパ腫の急 速な発症へと続く、T細胞増殖性応答の強化が観察された[Winandy et al.Cel l 83,289-99,1955]。これらの突然変異マウスでは、優性陰性のIkaros タンパク質が、野生型イソ型の活性に、しかしT細胞ホメオスタシスの失調を招 くその他の因子に干渉することがある。二つの別個のIkaros突然変異(D N−/−及びC−/−)の過剰増殖性の表現型の比較は、Ikaros活性の傑 出した増大又は欠如が、T細胞の過剰増殖、胸腺クローンの異常な膨張、及びT 細胞の新形成へと導くことを示唆する(図15)。これらの結果は、分化中のT細 胞と成熟したそれとの双方に不可欠の腫瘍抑制遺伝子としてのIkarosを、 議論の余地なく確定する。Ikarosの不在下では、胸腺細胞及び成熟T細胞 は、おそらくそれらのTCR複合体の結合後に、異常な膨張を生じる。そのよう な増殖中の突然変異T細胞から新形成状態への移行は、TCRシグナリングと同 時又は直後のいずれかで生じる。 いくつかのγδT細胞が、早期のIkarosC−/−胸腺に見出されて、T 細胞分化でのこの分岐点が、部分的に不健全であることを示唆した(図15)。D ETCを発生するVγ3T細胞は、胎児の始原細胞、及び胎児の胸腺の微環境の 関係においてのみ発生するにすぎない[Ikuta et al.(1991)J.Exp.Med.17 4,1279-1282;Ikuta et al.(1990)Cell 62: 863-874]ことから、DETC は 、突然変異マウスの表皮で見出された(図15)。IkarosC−/−胸腺で出 生後に成熟する胸腺細胞の始原細胞は、DETCを生じない。全く対照的に、胎 児T細胞の始原細胞の早期の波に主として由来すると提唱されている、膣上皮γ δT細胞(Vγ4)は、Ikaros突然変異マウスに正常な分布及び密度で存 在した(図15)。したがって、Vγ4T細胞は、出生後のT細胞始原細胞から容 易に発生することができる[Ikuta et al.(1991)J.Exp.Med.174,1279-12 82]。γδT細胞は、胸腺で少数ながら検出されたが、成体IkarosC−/ −マウスの脾臓では、有意なγδT細胞集団は全く認められなかった。加えて、 γδTCRを有し、CD8αα共受容体を発現するIELは、不在又は有意に少 数であった。CD8-γδIELの数も、劇的に減少した。これらの研究は、別 個の型のγδT細胞のための別個の移動及び膨張の必要性の存在を示唆する。 野生型胸腺では、最も早期のT細胞始原細胞(CD44+/c-kit+/CD4lo/- )が、NK細胞及び胸腺樹状APCを生じる[Wu et al.(1995)Eur.J.Immu nol.25,418-425]。NK細胞及び胸腺樹状APCは、IkarosC−/−マ ウスでは、不在又は有意に少数であり、これら二つの経路への早期の分岐点が、 Ikarosの不在下で遮断されたことを示唆する(図15)。 Ikaros突然変異マウスのリンパ系区画で観察された多数の欠損にも拘ら ず、胎児及び出生後のHSCは、ともに赤血球系及び骨髄系の経路沿いに分化し 、成熟したそれらの子孫のいくつかを生じる。顆粒球の百分率は、Ikaros C−/−骨髄での方が野生型より低い。この結果は、Ikaros突然変異が、 骨髄系経路の、より後の段階に対する効果を有し得ることを示唆する。この効果 は、健全な微環境によって通常は与えられる成長因子の欠如によって生じた顆粒 球成熟の遮断を反映し得る。骨髄でのリンパ球の不在が、幼若同型接合体でのこ の骨髄系統の成熟欠損の原因であり得る。これに代えて、出生後の骨髄系始原細 胞でのIkaros活性の欠如が、顆粒球の分化に直接影響する可能性もある。 IkarosC−/−骨髄での成熟顆粒球の欠如が、それらの早期放出によって 生じるとは思われない。成熟顆粒球は、IkarosC−/−マウスの脾臓又は 末梢血中には見出されなかった(図14C)。 2種類のIkaros突然変異間に観察される出生後T細胞系統の発生の差は 、Ikarosが、成体造血系での少なくともT細胞の分化を決定するには、も う一つの因子と協力して働くことを強く示唆する。Ikarosとの強い構造的 及び機能的類似性を有する遺伝子であるAiolosが、最近記載されている。 Ikarosとは対照的に、Aiolosは、胚及び胎児の造血部位、又は妊娠 中期の胸腺では、T細胞分化の第一波の際に発現されない(図15)。Aiolo sの発現は、妊娠後期の胸腺で初めて検出され、成体器官では高レベルであり続 ける。Aiolosは、Bリンパ球、及びそれらの直接の前駆細胞でも発現され る。骨髄由来の多能始原細胞内では、Aiolosの発現は、よりリンパ系に傾 いた幹細胞区画(Sca-1+/c-kit+/Sca-2+)に限定される。Aiolosの発現 は、これらの始原細胞が明確なT及びBリンパ球前駆細胞になるときに、強く促 進調節される。Aiolosタンパク質は、Ikarosイソ型とは高度に保存 されたC末端亜鉛フィンガーを介して二量化し、転写の際にそれらの活性を調節 する。 Aiolosが、優性陰性のIkarosN−/−マウスの骨髄集団で発現さ れることは、これらの動物における早期の血リンパ系始原細胞の存在を示唆する 。機能的Ikarosの欠如とともに、血リンパ系始原細胞でIkarosの突 然変異形態が発揮するAiolos干渉も、すべての胎児及び成体リンパ系統の 発生における完全で早期の遮断を説明し得る。対照的に、Aiolosを発現す るが、機能的なIkarosを全く、又はその干渉形態のいずれをも有しない、 出生後のC−/−血リンパ系始原細胞は、T細胞経路へと分化することができる 。しかし、これらの始原細胞集団でのAiolos活性は、T細胞の適正な分化 、又はB細胞及びNK系統への救済発生を可能にするには不充分である。Ika rosとAiolosとのホモ及びヘテロ二量体の機能的な差は、成体Ikar osC−/−マウスにおけるT細胞分化でのこの部分的救済を説明し得る。 Ikaros無効マウスで発現されるリンパ系欠損は、胎児及び成体の造血系 でのリンパ球の分化とホメオスタシスを制御する、複雑な調節のネットワークに 対する独自の洞察を与える。Ikaros遺伝子は、胎児の造血の際の全リンパ 系統の特異化に不可欠であるが、成体リンパ球では部分的に過剰である。その不 在下では、通常はIkarosと協力して働く他の因子(例えばAiolos) が、リンパ系統の特異化、分化及びホメオスタシスにおけるその機能のいくつか を、しかしすべてではなく代替する可能性がある。 上記に引用した参考文献及び刊行物はすべて、参照によって本明細書に組み込 まれる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.増殖統制解除された細胞を用意する方法であって:Ikaros統制解除さ れた細胞を有する哺乳動物を用意して、その哺乳動物から増殖統制解除された細 胞を単離することを含む該方法。 2.前記のIkaros統制解除された細胞が造血細胞である、請求項1に記載 の方法。 3.前記の統制解除された細胞がリンパ球である、請求項1に記載の方法。 4.前記の哺乳動物がゲッ歯類である、請求項1に記載の方法。 5.Ikaros統制解除された細胞を分裂させて増殖統制解除された細胞を生 じさせることを更に含む、請求項1に記載の方法。 6.哺乳動物が、C末端ジンクフィンガードメインの一方又は両方を不活性化す る突然変異を有する、請求項1に記載の方法。 7.哺乳動物が、IkarosのDNA結合領域に突然変異を有する、請求項1 に記載の方法。 8.細胞のクローン性集団を用意する方法であって:Ikaros統制解除され た細胞を有する哺乳動物を用意して、その哺乳動物から一以上の細胞を単離する ことを含み、但し、一細胞が単離されれば、その細胞を細胞のクローン性集団に 増殖させる該方法。 9.前記のIkaros統制解除された細胞が造血細胞である、請求項8に記載 の方法。 10.前記のクローン性集団がリンパ球のクローン性集団である、請求項8に記 載の方法。 11.前記の哺乳動物がゲッ歯類である、請求項8に記載の方法。 12.Ikaros統制解除された細胞を分裂させて増殖統制解除された細胞を 生じさせることを更に含む、請求項8に記載の方法。 13.哺乳動物が、C末端ジンクフィンガードメインの一方又は両方を不活性化 する突然変異を有する、請求項8に記載の方法。 14.哺乳動物が、IkarosのDNA結合領域に突然変異を有する、請求項 1に記載の方法。 15.選択した抗原を認識するリンパ球又は実質的に均質なリンパ球集団を用意 する方法であって:Ikaros統制解除されたリンパ球を有する哺乳動物を用 意して、その哺乳動物から一以上のリンパ球を単離することを含む該方法。 16.前記の哺乳動物を前記の抗原で免疫する、請求項15に記載の方法。 17.前記のIkaros統制解除された細胞が造血細胞である、請求項15に 記載の方法。 18.増殖又はIkaros統制解除された細胞を培養する方法であって:その 細胞を、その細胞が元々単離された哺乳動物以外の哺乳動物に導入してその細胞 を培養することを含む該方法。 19.前記のIkaros統制解除された細胞が造血細胞である、請求項18に 記載の方法。 20.標的組織又は細胞の活性を調節する方法であって:その標的を供給して、 その標的を増殖又はIkaros統制解除された細胞にさらすことを含む該方法 。 21.前記の標的が免疫系の細胞である、請求項20に記載の方法。 22.前記の増殖又はIkaros統制解除された細胞がリンパ球である、請求 項20に記載の方法。 23.前記の標的及び前記の細胞が、Ikaros遺伝子座において遺伝子型が 異なる、請求項20に記載の方法。 24.前記の標的及び前記の細胞が、Ikaros遺伝子座以外の遺伝子座にお いて遺伝子型が異なる、請求項20に記載の方法。 25.前記の標的及び前記の細胞が、異なる動物に由来する、請求項20に記載 の方法。 26.前記の標的及び前記の細胞が、異なる種に由来する、請求項20に記載の 方法。 27.Ikaros統制解除された細胞の、免疫系成分との相互作用を評価する 方法であって:動物を調達し;その動物にこの細胞及び免疫系成分を導入し;I karos統制解除された細胞と免疫系成分との間の相互作用を評価すること を含む該方法。 28.Ikaros統制解除され又はIkaros遺伝子座に少なくとも1つの 突然変異した対立遺伝子を有する、外来的に導入された免疫系成分を有する哺乳 動物。 29.Ikaros統制解除され又はIkaros遺伝子座に少なくとも1つの 変異した対立遺伝子を有する動物又は細胞培養に由来する免疫系成分と標的組織 又は細胞とを含む反応混合物であって、この免疫系成分と標的は、Ikaros 遺伝子座以外の遺伝子座において遺伝子型が異なり;この成分と標的は異なる種 に由来し、又はこの成分と標的は異なる動物に由来する、該反応混合物。 30.造血細胞の増殖を促進する方法であって:非増殖性Ikaros2量体( NIPD)の形成を阻害する化合物をその細胞に投与することを含む該方法。 31.前記の化合物が、NPIDサブユニットの会合の競争又は非競争インヒビ ターである、請求項30に記載の方法。 32.前記の化合物が、Ikaros蛋白質のフラグメントである、請求項30 に記載の方法。 33.前記の化合物が、F5及びF6を含むIkarosフラグメントである、 請求項30に記載の方法。
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