JP2003501092A - 標的化新脈管形成 - Google Patents

標的化新脈管形成

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JP2003501092A
JP2003501092A JP2001502591A JP2001502591A JP2003501092A JP 2003501092 A JP2003501092 A JP 2003501092A JP 2001502591 A JP2001502591 A JP 2001502591A JP 2001502591 A JP2001502591 A JP 2001502591A JP 2003501092 A JP2003501092 A JP 2003501092A
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vagf
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vegf
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アルトゥア ミッテラー,
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フリードリッヒ シャイフリンガー,
フリードリッヒ ドーナー,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、末梢脈管疾患または心臓血管疾患における処置において、新脈管形成を促進または阻害するための組成物、方法、および遺伝子療法試薬に関し、脈管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結された脈管形成因子を含むキメラ分子を使用する。本発明はまた、脈管形成因子が、VEGF−R1、VEGF−R2、またはVEGF−R3の少なくとも1つに特異的に結合するキメラ分子に関する。本発明はさらに、脈管形成因子が、VEGF−R1、VEGF−R2、またはVEGF−R3の少なくとも1つに特異的に結合するキメラ分子に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、末梢血管または心臓血管の疾患の処置のためにインビボにおいて新
脈管形成を促進または阻害するための組成物、方法および遺伝子治療試薬に関す
る。詳細には、本発明は、新脈管形成を誘導するために血管内皮に特異的に結合
する標的化分子に連結されている新脈管形成因子の使用に関する。
【0002】 (発明の背景) 新脈管形成は、既存の血管からの毛細血管内皮細胞の増殖、移動および組織浸
潤を含む、新しい血管を発生するプロセスである。新脈管形成は、正常な生理学
的プロセス(胚発生、濾胞(follicular)増殖および創傷治癒を含む
)ならびに病理学的状態(腫瘍増殖および異常な新生血管形成に関連する非腫瘍
性疾患(血管新生緑内障を含む)を含む)に重要である(例えば、Folkma
n,J.ら、Science(1987)235:442−447を参照のこと
)。
【0003】 組織虚血を生じるかまたは組織虚血に関与する疾患および状態は、主要な健康
上の問題である。虚血は、例えば、冠状動脈疾患(CAD)および末梢血管疾患
(PVD)において見られる。米国において約6000万人の成人が心臓血管疾
患を有し、うち1100万人の成人が冠状動脈性心臓病を有することが、米国心
臓学会(American Heart Association)によって報
告されている。アンギナ(心臓虚血の症状)は、米国において150万人の成人
(毎年約350,000例の新患を含む)が罹患している。PVDは、成人人口
の約30%が罹患していると推定されている。PVD、アテローム性硬化症性血
管疾患、冠状動脈性心臓疾患(CHD)および脳血管性疾患の主な原因は、糖尿
病である。
【0004】 虚血は、組織が血液供給を十分に受けない場合に生じる。例えば、心筋虚血は
、心筋が十分な血液供給を受けない場合に生じる。これは、血管の閉塞または狭
小化(例えば、冠状動脈アテローム性硬化症に見られるような)に起因し得る。
処置としては、外科的アプローチおよび薬学的アプローチが挙げられる。外科的
介入は、狭小化した管腔を広げるため(例えば、バルーン血管形成)または心臓
血管数を増加するため(例えば、移植片を使用するバイパス手術)に使用される
。より外傷性が低い薬学的処置は、酸素および栄養分の心筋の要求量を減少する
ように、または血液供給を増加するように作用する。酸素要求量は、血流力学的
負荷に対する心臓の収縮応答を減少することによって低下され得る(例えば、β
−アドレナリン作用性ブロッカーを使用して)。心臓の血液供給は、平滑筋の壁
を有する冠状動脈血管管腔の直径を増加することによって増大され得る(例えば
、ニトログリセリンまたはカルシウムチャネルブロッカーを用いて)。しかし、
これらの薬学的処置は、不正確であり、一過的に活性であり、そして薬物相互作
用および副作用への高い傾向がある。
【0005】 虚血組織への血液供給を増加するための別の手段は、新脈管形成を介してその
組織への血管の増殖を誘導することであるか、またはその組織を浴する血液の量
を増加させること(血液灌流の増加とも言われる)である。これは、新脈管形成
因子の投与によって達成される。いくつかの因子は、インビボでの新脈管形成の
潜在的なレギュレーターとして関係付けられている。これらには、トランスフォ
ーミング増殖因子(TGFβ)、酸性線維芽細胞増殖因子および塩基性線維芽細
胞増殖因子(aFGFおよびbFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、な
らびに血管内皮増殖因子(VEGF)(例えば、Klagsbrun,M.ら、
Annual Rev.Physiol.(1991)53:217−239を
参照のこと)。内皮細胞特異的マイトジェンである、VEGFは、内皮細胞の増
殖を特異的に促進することによって、新脈管形成のインデューサーとして作用す
るという点で、これらの因子の間で区別される。
【0006】 VEGFは、新脈管形成の重要なメディエーターである。なぜなら、VEGF
は、直接的かつ特異的に内皮細胞に対して作用するからである。例えば、Gra
dら、Clin.Chem Lab Med.(1998)36:379−38
3を参照のこと。インビボにおいて、VEGFは、発生、創傷修復(新脈管形成
は、組織損傷によって誘発される修復機構の重要な要素である)、癌ならびに他
の疾患および状態における血管の増殖に関連する。
【0007】 新脈管形成効果を達成するために、ポリペプチド新脈管形成因子(例えば、V
EGF)の繰返しのおよび/または長期間の投与が必要とされる。しかし、この
アプローチは、注射による繰返しの投与を通常必要とするので、代表的には、非
常に費用がかかりかつ不便である。
【0008】 あるいは、ポリペプチド新脈管形成因子は、そのポリペプチド自体ではなく、
そのポリペプチドをコードする核酸を投与することによって、インビボで投与さ
れ得る。新脈管形成遺伝子は、静脈内でインビボ投与されている。例えば、La
iteinenら、Hum.Gene Ther.(1998)9:1481−
1486;Isnerら、Adv.Drug Deliv.Reviews(1
997)30:185−197;Giordanoら、Nature Med.
(1996)2:534−539;Takeshitaら、Lab.Inves
t.(1996)75:487−501;McDonaldら、米国特許第5,
837,283号(「283」特許)を参照のこと。
【0009】 ポリペプチドコード遺伝子は、筋肉内注射されている(裸のプラスミドDNA
またはウイルス発現ベクターとして)。Baumgartner,I.ら、Ci
rculation(1998)97:1114−1123:Tsurumi
Y.ら、Circulation(1997)96(補遺9):II−382−
8;Takeshita,S.ら、Lab Invest(1996)75:4
87−501;Hammond、米国特許第5,792,453号;およびMc
Donaldら、「283」特許(前出)を参照のこと。Majesky,M.
Circulation(1996)94:3062−4もまた参照のこと。
【0010】 新脈管形成に関与するリガンドおよびレセプターをコードする遺伝子の同定に
おける近年の進歩にかかわらず、現在の方法が、末梢性または心筋の虚血を克服
するために必要とされる新脈管形成のレベルを促進するという指摘は全く存在し
ない。例えば、既存の治療においては、新脈管形成効果を達成するために新脈管
形成タンパク質の繰返しまたは長期間の送達の必要性が存在する。これは、臨床
設定において新脈管形成を刺激するためのこれらのタンパク質の使用の有用性を
制限し得る。言い換えると、ヒトにおける首尾よい治療は、1以上のこれらの新
脈管形成ペプチドまたは新脈管形成タンパク質の持続性かつ長期間の注入を必要
とする。この注入は、それ自体で非常に高費用であり、そして冠状動脈に配置さ
れたカテーテルによって送達される必要性があり、これが、さらに処置の費用お
よび困難性を増大する。
【0011】 虚血組織に関連する疾患および状態に罹患している高齢集団の個体数の増加を
考慮すると、投与するためにより安全で、より予測的でかつより容易である、虚
血のための新たな処置が必要とされる。本発明は、これらの必要性および関連す
る利点を提供する。
【0012】 (発明の要旨) 本発明は、血管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結されている新脈管形
成因子を含む、キメラ分子を提供する。いくつかのこのようなキメラ分子は融合
タンパク質であり、ここで、この融合タンパク質は、血管内皮に特異的に結合す
る標的化分子に連結されている新脈管形成因子を含む。
【0013】 本発明はまた、新脈管形成を誘導する方法を提供する。この方法は、細胞にキ
メラ分子を接触させる工程を包含し、このキメラ分子は、血管内皮に特異的に結
合する標的化分子に結合されている新脈管形成因子を含む。
【0014】 本発明はさらに、心筋新生血管形成を増加するための方法を提供する。この方
法は、心臓血管の内皮細胞にキメラ分子を接触させる工程を包含し、このキメラ
分子はさらに、血管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結されている新脈管
形成因子を含む。
【0015】 本発明はさらに、末梢血管系における虚血組織において新生血管形成を増加す
るための方法を提供する。
【0016】 本発明はさらに、融合タンパク質をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチ
ドを提供する。この融合タンパク質はさらに、新脈管形成因子および標的化分子
を含み、この標的化分子は、血管内皮に結合する。
【0017】 本発明はさらに、組織において新脈管形成を誘導する方法を提供する。この方
法は、内皮細胞を核酸分子でトランスフェクトする工程を包含し、これによって
、この細胞は、この核酸によってコードされる融合タンパク質を発現し、ここで
、融合タンパク質は、新脈管形成因子および標的化分子を含む。
【0018】 本発明はさらに、薬学的組成物を提供する。これらの薬学的組成物はキメラ分
子および薬学的受容可能なキャリアを含み、このキメラ分子は、血管内皮に特異
的に結合する標的化分子に連結されている新脈管形成因子を含む。他の薬学的組
成物は、融合タンパク質を含む。これらの融合タンパク質は、新脈管形成因子お
よび標的化分子を含み、この標的化分子は、血管内皮に特異的に結合する。
【0019】 (詳細な説明) (定義) 用語「新脈管形成」とは、新しい血管が既存の血管系(例えば、毛細血管)か
ら発生するプロセスをいう。例えば、Folkmanら、Nature Med
.(1992)1:27−21を参照のこと。新脈管形成は、複雑なプロセスで
あり(Folkmanら、J.Biol Chem.(1992)267:10
931−4およびFanら、Trends Pharmacol Sci.(1
995)16:57−66;これらの参考文献および本明細書中に引用される参
考文献は、本明細書中に参考として援用される)、これは、以下を含み得る:内
皮細胞および周皮細胞の活性化;基底膜の分解;内皮細胞および周皮細胞の移動
および増殖(すなわち、細胞分裂);新しい毛細血管管腔の形成;その新しい管
の周辺での周皮細胞の出現;新しい基底膜の発生;毛細血管わなの形成;新しい
管の退縮、分化の維持;ならびに毛細血管網の形成および最終的なより大きい微
小血管への組織化。例えば、Safi,J.ら、Mol.Cell Cardi
ol.(1997)29:2311−2325を参照のこと。組成物は、インビ
トロまたはインビボにおいて新脈管形成活性についてスクリーニングされ得る。
例示的なインビトロ毛細血管形成評価は、例えば、Deramaudtら、J.
Cell.Biochem.(1998)68:121−127に記載のように
、Matrigelマトリクス(Collaborative Researc
h,Bedford,MA)に埋め込まれた内皮細胞を使用する。インビボ動物
モデルを、以下に議論する。用語「血管内皮」とは、例えば、漿液管腔、リンパ
管および血管を裏打ちする平坦な内皮細胞の薄層を意味する。血管内皮は、血管
の緊張、ホメオスタシス、免疫応答および炎症応答の調節において重要な役割を
果たす(例えば、Vane J.ら、New Engl.J.Med(1990
)323:27−31を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引用
される参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。これらの生物学的反
応は、循環細胞と血管内皮との間の密接な相互作用に関連し得る。白血球の血管
内皮への接着は、全ての形態の損傷に対する反応において最も重要な事象の1つ
であり得る(例えば、Robert,S.ら、Am J Med Sci,(1
994)307:378−389;Albelda,S.ら、FASEB J.
(1994)8:504−512;Westlin,W.ら、Am J Pat
hol,(1993)142:1598−1609を参照のこと;これらの参考
文献および本明細書中に引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用さ
れる)。内皮細胞の活性化白血球との相互作用は、欠損性の内皮依存性血管拡張
、血管浸透性および凝固カスケードの活性化の増加に関連し得る。反応性酸素種
、スーパーオキシドおよび炎症性サイトカインを含む、多くの白血球産物は、内
皮機能を損ない、そして炎症と凝固との間の正のフィードバックループについて
可能性を生じ得る。これらの分子は、以下を含むがそれらに限定されない、多く
の病理学的プロセスにおいて役割を果たし得る:アテローム性動脈硬化症、移植
片拒絶、敗血性ショック、後期過敏性反応および再灌流障害(Carols,T
.ら、Blood(1994)84:2068−2101;Robert,S.
ら、前出を参照のこと)。
【0020】 新脈管形成は、通常、創傷治癒、胎児および胚の発生、ならびに黄体、子宮内
膜および胎盤の形成において観察される。持続性の調節されない新脈管形成は、
癌における腫瘍転移および内皮細胞による異常増殖を含むがこれらに限定されな
い、多くの疾患状態を生じ、そしてこれらの状態に見られる病理学的損傷を支持
する。調節されない新脈管形成が存在し得る多様な病理学的疾患状態は、まとめ
て、「新脈管形成依存性」または「新脈管形成関連疾患」とグループ化されてい
る。新脈管形成によって媒介される疾患およびプロセスとしては、以下が挙げら
れるが、これらに限定されない:血管腫、固形腫瘍、血管媒介腫瘍(blood
borne tumor)、白血病、転移、乾癬、強皮症、化膿性肉芽腫(p
hygenic granuloma)、心筋血管形成、クローン病、プラーク
新生血管形成、冠状側副枝形成(coronary collaterals)
、脳側副枝形成(cerebral collaterals)、動静脈奇形、
虚血性肢血管形成、角膜疾患、血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、関節炎、糖尿
病性新生血管形成、黄斑変性、創傷治癒、消化性潰瘍、Helicobacte
r関連疾患、および脈管形成。
【0021】 用語「新脈管形成活性」、「新脈管形成因子活性」、「血管内皮増殖因子活性
」および「新生血管形成」は、例えば、以下を含む、組織への血流量を増大する
広範な生理学的活性を含む:血管透過性の増大、血管密度の増加、内皮細胞(E
C)活性化、EC移動、EC増殖、毛細血管形成(新脈管形成)、脈管形成(血
管構造へのECの新生組織化);例えば、Folkmanら(1992)前出を
参照のこと)。新脈管形成活性としては、新脈管形成を誘導する新脈管形成因子
、または新脈管形成を阻害する新脈管形成因子、あるいは内皮増殖因子の発現を
誘導する新脈管形成因子(例えば、遺伝子アクチベーターまたは転写レギュレー
ター)が挙げられる。新脈管形成因子としては、血管増殖を誘導または阻害する
ように作用する、任意のタンパク質、ペプチド、化学分子または他の分子が挙げ
られるが、これらに限定されない。新脈管形成因子は、天然に存在し得るか、ま
たは天然に存在していなくともよい。種々の方法が、生物学的活性アッセイ(例
えば、ウシ毛細血管内皮細胞増殖アッセイ)を使用して所定の因子の新脈管形成
活性を測定するために使用され得る。他のバイオアッセイとしては、ニワトリC
AMアッセイ、マウス角膜アッセイ、ならびに移植した腫瘍に対する単離された
タンパク質または合成タンパク質の投与効果が挙げられる。ニワトリCAMアッ
セイは、O’Reillyら、Cell,(1994)79:315−328に
よって記載される。多くの系が、新脈管形成を評価するために利用可能である。
例えば、新脈管形成は固形腫瘍増殖に必要とされるので、動物モデルにおける腫
瘍増殖の阻害は、新脈管形成の阻害の指標として使用され得る。新脈管形成はま
た、創傷治癒(皮膚または器官の創傷修復における);および慢性炎症(例えば
、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症および特発性肺線維症(IPR)
のような疾患における)のモデルという点から評価され得る。新脈管形成因子活
性はまた、例えば、マーカー分子(例えば、CD3H、第VIII因子またはP
ECAM−1)について染色した後、組織切片中の血管を計数することによって
評価され得る。新脈管形成因子活性を評価するために使用され得る他の系として
は、内皮細胞走化性アッセイが挙げられる。新脈管形成因子または新脈管形成薬
剤は、例えば、内皮細胞走化性をコントロール値を超えるよう促進する能力によ
るアッセイにおいて同定され得る。内皮細胞走化性の阻害は、抗新脈管形成活性
の証拠を提供し得る。抗新脈管形成因子または抗新脈管形成薬剤は、内皮細胞走
化性を、新脈管形成薬剤によって刺激されるレベルよりも下に一貫して減少する
ことによって同定され得る。
【0022】 用語「血管内皮細胞増殖因子」または「VEGF」は、単独または他の増殖因
子(例えば、線維芽細胞増殖因子(以下で議論される))と共に、血管発生、新
脈管形成および他の新脈管形成活性を惹起し得る、増殖因子のファミリーを含む
(例えば、Claesson−Welsh,L.(編)、Current To
p.Microbiol.Immunol.第237巻(Springer P
ublishing 1999)を参照のこと;これらの参考文献および本明細
書中に引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。V
EGFファミリーは、VEGF(VEGF−Aと呼ばれる;例えば、Leung
ら、Science(1989)246:1306−1309を参照のこと)を
含む。このVEGF−A遺伝子は、7つのイントロンで分けられた、8つのエキ
ソンで組織される。単一のVEGF−A遺伝子の選択的エキソンスプライシング
は、4つの分子の生成を生じ、これらは、121アミノ酸、165アミノ酸、1
89アミノ酸および206アミノ酸のヒトタンパク質(VEGF−A121、VE
GF−A165、VEGF−A189、VEGF−A206:マウスVEGF−Aアイソ
フォームは、ヒトアイソフォームより1アミノ酸少ない)をコードする;例えば
、Carmeliet,P.ら、Am.J.Physiol.(1997)27
3(5、パート2):H2091−104;米国特許第5,194,596号;
同第5,240,848号;および同第5,332,671号を参照のこと。他
のファミリメンバーとしては、以下が挙げられる:VEGF−B(例えば、Ol
ofssonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)
93:2576−2581を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に
引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される;これは、「
VRF」とも称される;例えば、Grimmond,S.ら、Genome R
es.(1996)6:124−131を参照のこと);VEGF−C(例えば
、Joukov,V.ら、EMBO J.(1996)15:290−298お
よびWO96/39515を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に
引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される;これは、V
EGF関連タンパク質または「VRP」とも称される;Lee,J.ら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1988−199
2を参照のこと);VEGF−D(「FIGF」と称される、Orlandin
i,M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93
:11675−11680およびYamada,Y.ら、Genomics,(
1997)42:483−488を参照のこと);および胎盤増殖因子(PIG
F)(例えば、Maglione,D.ら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA(1991)88:9267−9271を参照のこと)。近年、V
EGF−E(第5のVEGFファミリーメンバー)が、単離および特徴付けられ
ている(例えば、Ogawa,S.ら、J.Biol.Chem.(1998)
273(47):31273−31282およびMeyer,M.ら、EMBO
J.(1999)18(2):363−374を参照のこと)。
【0023】 ヒト胎盤増殖因子(PIGF)は、VEGFとタンパク質レベルで46%の相
同性を共有する、グリコシル化されたホモダイマーである。ヒトPIGF mR
NAの示差的スプライシングは、170アミノ酸または149アミノ酸のいずれ
かの前駆体を導き得、これらの前駆体は、それぞれ、152アミノ酸長または1
31アミノ酸長の成熟形態にタンパク質分解的にプロセシングされる。例えば、
BayneおよびThomas EP0506477;Maglione,D.
ら、Oncogene(1993)8:925−931;Hauser,S.お
よびWeich,H.Growth Factors(1993)9:259−
268を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引用される参考文献
は、本明細書中に参考として援用される。
【0024】 用語「線維芽細胞増殖因子」または「FGF」は、単独または他の増殖因子(
例えば、VEGFファミリーの増殖因子)と共に、血管発生、新脈管形成および
他の新脈管形成活性を惹起し得る、増殖因子のファミリーを含む。FGFファミ
リーとしては、少なくとも20個のポリペプチドが挙げられる(例えば、Gon
calves,L.,Rev Port Cardiol(1998)17、補
遺2:II11−20を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引用
される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。酸性FGF(
aFGFまたはFGF−1)および塩基性FGF(bFGFまたはFGF−2)
は、このファミリーのうちで最も広範に特徴付けられているメンバーである。例
えば、Klagsbrun,M,Prog Growth Factor Re
s(1989)1:207−35;Schelling,M.ら、Ann NY
Acad Sci.(1991)638:467−9;およびSlavin,
J.,Cell Biol Int(1995)19:431−44を参照のこ
と;これらの参考文献および本明細書中に引用される全ての参考文献は、本明細
書中に参考として援用される。
【0025】 新脈管形成を誘導する他の新脈管形成因子としては、アンギオポイエチンタン
パク質ファミリーが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Davis
,S.,Curr Top Microbiol Immunol.(1999
)237:173−85;Papapetropoulos A.ら、Lab
Invest(1999)79:213−23;Valenzuela,D.,
Proc Natl Acad Sci USA(1999)96:1904−
9;Suriら、Cell(1996)87:1171−1180;Takeh
araら、Cell(1987)49:415−422;Suriら、Cell
(1996)87:1171−1180を参照のこと;これらの参考文献および
本明細書中に引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。用
語「アンギオポイエチン−1」または「Ang1」とは、Tie−2レセプター
に対するリガンドであるタンパク質をいう(例えば、Davis,S.ら、Sc
ience(1994)266:816−819を参照のこと)。Ang1は、
(アゴニストとして)Tie−2レセプターを刺激し得る。用語「アンギオポイ
エチン−2」または「Ang2」とは、TieレセプターのAng1刺激性活性
化を(アンタゴニストとして)ブロックし得るタンパク質をいう(例えば、Ma
isonpierre,P.ら、Science(1997)277:55−6
0を参照のこと)。Ang1刺激性活性化のブロックは、インビボで新脈管形成
を破壊し得る。
【0026】 用語「VEGFのホモログ」としては、VEGF−A、VEGF−B、VEG
F−C、VEGF−D、VEGF−EおよびPIGFのホモダイマー、ならびに
VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−Eとの
間で形成される任意の機能的ヘテロダイマー(VEGF−A/VEGF−Bへテ
ロダイマーを含むが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0027】 脈管発生および新脈管形成の間の細胞間の伝達は、少なくとも5つの内皮細胞
特異的チロシンキナーゼレセプターに関係し得る(例えば、Claesson−
Welsh,L(編)、Current Top.Microbiol.Imm
unol.237巻(Springer Publishing 1999)お
よびMustone,T.ら、J.Cell.Biol.(1995)129:
895−898を参照のこと;これらの参考文献およびそれらに引用される全て
の参考文献は、本明細書中において参考として援用される)。これは、少なくと
も2つの異なるサブクラスに属する:Tieファミリーの二つのレセプター(例
えば、Partanenら、Curr.Top.Microbiol Immu
nol(1999)237:158−171を参照のこと)および3つのVEG
Fレセプター:VEGFR−1、−2、および−3。これら3つのVEGFレセ
プターは、それぞれ、もともとFlt1(Fms様チロシンキナーゼ;例えば、
De Vries、C.ら、Science(1992)255:989−99
1を参照のこと)、KDR/Flk−1(キナーゼ挿入−ドメイン含有レセプタ
ーまたは胎児肝臓キナーゼ−1;Termanら、Biochem.Bioph
ys.Res.Commun.(1992)187:1579−1586を参照
のこと)およびFlt4(例えば、Pajusola,Kら、Cancer R
es(1992)52:5738−5743およびGalland、F.ら、O
ncogene(1993)8:1233−1240を参照のこと)と呼ばれて
いた。VEGFの生物学的な応答は、これらの高い親和性VEGFレセプターを
介して媒介される。
【0028】 FGFレセプターもまた特徴付けられており、FGFR−1、FGFG−2、
FGFR−3およびFGFR−4を含む(例えば、Klint,P.ら、Fro
nt Biosci.(1991)15:D165−77およびGalzie,
Z.ら、Biochem Cell Biol.(1997)75:699−8
5;これらの参考文献およびそこに引用される全ての参考文献は、本明細書中に
おいて参考として援用される)。
【0029】 種々のインビボ動物モデルが、(上記インビトロ試験に加えて(上記Folk
man(1992)を参照のこと))本発明のキメラ分子が脈管形成活性を有す
る能力を評価するために使用され得る。例えば、虚血性筋肉の新脈管形成は、外
因的に投与される本発明のキメラ分子が、実験的に誘導されたマウスまたはラビ
ットの後肢虚血において側副肢血流を増加する実験によって示され得る。例えば
、Pu,L.ら、J.Invest.Surg.(1994)7:49−60;
Couffinhal,T.ら、Am.J.Pathol.(1998)152
:1667−1679;Witzenbichler,B.ら、Amer.J.
Path.(1998)153:381−384);およびBauters,C
.ら、Circulation(1995)91:2802−2809)を参照
のこと;これらの参考文献およびそれらに引用される全ての参考文献は、本明細
書中において参考として援用される。VEGFの筋肉内遺伝子移動の後に側副肢
微小血管の内皮依存性弛緩は、実験的に誘導されたラットの後肢虚血において示
されている。例えば、Takeshita,S.ら、Circulation(
1998)98:1261−63を参照のこと;これらの参考文献およびそれら
に引用される全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用される。浸
透圧ポンプからの制御されたVEGFの局所的送達は、部分的虚血性後肢ラビッ
トモデルにおいて新脈管形成、肢灌流、および機能的改善を促進することが実験
的に示された。例えば、Hopkins,S.ら、J.Vasc.Surg.(
1998)27:886−894を参照のこと;これらの参考文献およびそれら
に引用される全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用される。慢
性ブタ心筋虚血モデルにおけるVEGF投与に関する実験もまた、使用されてい
る。例えば、Harada,K.ら、Am.J.Physiol.(1996)
270:886−94を参照のこと;これらの参考文献およびそれらに引用され
る全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用される。
【0030】 用語「虚血」「末梢血管疾患」、「アテローム性動脈硬化症」および「冠動脈
疾患」は、本明細書中で使用される場合、それらの一般的な使用法を含む。これ
らの疾患、障害、または病気(ailment)は、VEGFまたはFGFによ
って、単独で、または組み合わせて、他の脈管形成因子に加えて調節され得る。
虚血は、例えば、不適切な灌流に起因する器官および四肢の組織における酸素供
給の不足によって特徴付けられる状態である。このような不適切な灌流は、少し
挙げると、アテローム性動脈硬化症損傷、再狭窄損傷、貧血、または発作を含む
多くの自然な原因を有し得る。例えば、バイパス手術の間の血流の中断のような
多くの医学的処置もまた、虚血を導く。疾患状態の心臓血管組織によって時々引
き起こされることに加えて、虚血は、時々、虚血性心臓疾患のような心臓血管組
織に影響し得る。しかし、虚血は、任意の器官または四肢において生じ得、これ
らは酸素供給の不足を被っている。
【0031】 心臓における虚血の最も一般的な原因は、心外膜冠状動脈のアテローム性動脈
硬化症疾患である。これらの血管の管腔を減少させることによって、アテローム
性動脈硬化症は、基底状態における心筋灌流の絶対的な減少を引き起こすか、ま
たは流れに対する要求が増加する場合に灌流の適切な増加を制限する。冠状血流
はまた、動脈血栓、痙攣、およびまれに冠状塞栓によって、ならびに梅毒大動脈
炎に起因して狭くなる小孔によって制限され得る。肺動脈から左前室間冠状動脈
の異常な起点のような先天的な異常は、新生児期の心筋虚血および梗塞を引き起
こし得るが、これは成人においては非常に稀であり得る。心筋虚血はまた、高血
圧または大動脈狭窄に起因する重篤な心室肥大のような、心筋酸素要求が異常に
増加した場合、生じ得る。後者は、アテローム性冠状動脈硬化症によって引き起
こされる識別不能なアンギナとともに存在し得る。非常に重篤な貧血または一酸
化炭素ヘモグロビン血症の存在のような、血液の酸素運搬能の減少は、心筋虚血
の稀な原因であり得る。虚血の2つ以上の原因は同時に存在し得る(例えば、左
心室肥大に起因する酸素要求の増加およびアテローム性冠状動脈硬化症の次の酸
素供給の減少)。
【0032】 心臓血管疾患は、心臓の血管の疾患をいう。例えば、Kaplan,R.M.
ら、「Cardiovascular diseases」、HEALTH A
ND HUMAN BEHAVIOR,206〜242頁、(McGraw−H
ill,New York 1993)を参照のこと;これらの参考文献および
それらに引用される全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用され
る。心臓血管疾患は、一般的に、例えば、高血圧(hypertenion)(
高血圧(high blood pressure)とも呼ばれる)、冠状心臓
疾患、発作、およびリウマチ様心臓疾患を含むいくつかの形態の1つであり得る
。末梢血管疾患は、心臓以外の任意の血管の疾患をいう。それは、しばしば、脚
および腕の筋肉に血液を運搬する血管の狭まりであり得る。
【0033】 用語「アテローム性動脈硬化症」は、医学の関連する分野における医師によっ
て認識され理解される血管の疾患および状態を包含する。アテローム性動脈硬化
症心臓血管疾患、冠状心臓疾患(冠状動脈疾患または虚血性心臓疾患としても公
知)、脳血管疾患および末梢血管疾患はすべて、アテローム性動脈硬化症の臨床
的な徴候であり、従って、用語「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム
性動脈硬化症疾患」によって包含される。
【0034】 用語「再狭窄」は、新脈管形成術およびステント挿入のような血管中断に続い
て血管管腔が再び狭まることをいう。初期管腔直径増加の損失として臨床的に規
定され得る。血管形成術前の血管直径を回復する期待において、身体は、血管壁
を再構築するか、空間を占め、管腔を再び閉塞する新たな組織増殖を刺激するか
、または組織収縮を刺激することを試みる。例えば、手術後に血管を治癒する間
、平滑筋細胞は、血管の管腔を狭め、そして再びアテローム性動脈硬化症プロセ
スを開始する内皮細胞よりも速く増殖する。
【0035】 用語「調節する」は、抑制、増強、あるいは機能または状態の誘導をいう。例
えば、本発明のキメラ化合物は、虚血性心臓組織において新脈管形成を増加する
ことによって新脈管形成を調節し得、それによって虚血を軽減する。
【0036】 用語「処置」は、疾患、状態、または障害と戦う目的のためのヒト被験体の管
理および看護を意味し、症状または合併症の発症を妨げるためか、症状または合
併症を軽減するためか、または疾患、状態または障害を除去するための、本発明
のキメラ分子の投与を包含する。
【0037】 用語「誘導する」または「誘導」は、本明細書中で使用される場合、本明細書
中に記載されるような任意の組織の形成、修復プロセスまたは発生に必要な細胞
機構または細胞プロセスの活性化、刺激、増強、開始および/または維持をいう
【0038】 用語「ライブラリー」は、分子の収集物を意味する。ライブラリーは、数個ま
たは多数の異なる分子(約10個の分子から数十億個以上の分子で変動する)を
含み得る。所望であれば、分子は、タグに連結され得、これは、分子の回収また
は同定を促進し得る。
【0039】 用語「分子」は、薬物;ペプチド(ペプチド模倣物またはペプトイドのような
改変体または改変ペプチドまたはペプチド様分子を含む);あるいはタンパク質
例えば、抗体または増殖因子レセプターまたはそれらのフラグメント(例えば、
結合ドメインを含む抗体のFv、FcまたはFab)のような、有機化合物を意味す
るように広く使用される。分子は、非天然の分子(天然には存在しないが、イン
ビトロ法の結果として産生される)であり得るか、またはcDNAライブラリー
から発現されるタンパク質またはそれらのフラグメントのような天然に存在する
分子であり得る。
【0040】 「キメラ分子」、「キメラタンパク質」、「脈管形成キメラ分子」、または「
脈管形成キメラタンパク質」は、天然の細胞表面脈管形成レセプター、他のチロ
シンキナーゼレセプター、または標的細胞または組織上の他のレセプターを認識
する少なくとも1つの結合部位、ならびに正常な標的細胞もしくは組織または異
常な標的細胞もしくは組織のいずれかに特異的に結合する少なくとも1つの第2
結合部位を有し得る分子である。
【0041】 「融合タンパク質」は、第2のドメインに会合する少なくとも1つのポリペプ
チドまたはペプチドドメインを含む組成物をいう。第2のドメインは、ポリペプ
チド、ペプチド、多糖類などであり得る。「融合」は、ペプチド結合、化学連結
、電荷相互作用(例えば、塩架橋(salt bridge)、H結合のような
静電的引力)、非共有結合相互作用などによって生成される会合であり得る。ポ
リペプチドが組換えである場合、「融合タンパク質」は、通常のメッセージから
翻訳され得る。あるいは、ドメインの組成物は、任意の化学的または静電的手段
によって連結され得る。本発明の融合タンパク質はまた、リンカー、エピトープ
タグ、酵素切断認識配列、シグナル配列、分泌シグナルなどを含み得る。
【0042】 用語「単離された」は、本発明のキメラ分子または標的分子のような分子また
は組成物を参照する場合、キメラ分子または標的ペプチドが、少なくとも1つの
他の化合物(例えば、タンパク質、他の核酸(例えば、RNA)、あるいはイン
ビボまたはその天然に存在する状態で付随する他の混入物)から分離されること
を意味する。しかし、単離された組成物はまた、実質的に純粋であり得る。単離
された組成物は、均質な状態であり得、乾燥または水溶液であり得る。純度およ
び均質性は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定
され得る。従って、単離された標的分子は、そのインサイチュの環境で通常付随
する物質を含まない。タンパク質が均質または優勢なバンドに単離された場合で
さえ、所望のタンパク質と同時精製される微量の混入物が存在する。
【0043】 発現ベクター、核酸、脈管形成因子、または送達ビヒクルを細胞に「投与」す
ることは、形質導入、トランスフェクション、エレクトロポレーション、トラン
スロケーション、融合、食作用、シューティング(shooting)またはバ
リスティック(ballistic)方法(すなわち、タンパク質または核酸が
細胞膜を横切って、好ましくは細胞の核に輸送され得る任意の手段)を包含する
【0044】 「送達ビヒクル」は、例えば、リポソーム、毒素、または膜トランスロケーシ
ョンポリペプチドのような化合物をいい、これは、本発明のキメラ分子を送達す
るために使用される。送達ビヒクルはまた、脈管形成因子(例えば、脂質:核酸
複合体)をコードする核酸、発現ベクター、ウイルスなどを投与するために使用
され得る。
【0045】 用語「異種」は、相対的な用語であり、これは、核酸の部分を参照して使用さ
れる場合、核酸が互いに天然には同じ関係で見出されない2つ以上の下位配列(
subsequence)を含むことを示す。例えば、組換え的に産生された核
酸は、典型的には、新規な機能の核酸を作製するために合成的に配置された無関
係の遺伝子由来の2つ以上の配列(例えば、1つの供給源からのプロモーターお
よび別の供給源からのコード領域)を有する。従って、2つの核酸は、この状況
において互いに異種である。細胞に加えられる場合、組換え核酸はまた、細胞の
内因性遺伝子に対して異種である。従って、染色体において、異種核酸は、染色
体に組み込まれた非ネイティブな(非天然の)核酸、または非ネイティブ(非天
然)染色体外核酸を含む。対照的に、天然にトランスロケートされた染色体の片
は、本特許出願の状況において異種であると考えない。なぜなら、これは、変異
細胞にネイティブな内因性核酸配列を含むからである。
【0046】 同様に、異種タンパク質は、このタンパク質が天然では互いに同じ関係では見
出されない2つ以上の下位配列を含むことを示す(例えば、「融合タンパク質」
、ここでは、2つの下位配列が単一の核酸配列によってコードされる)。例えば
、組換え技術の導入として、Current Protocols in Mo
lecular Biology(Ausubelら、(編)1997;これら
の参考文献およびそれらに引用される全ての参考文献は、本明細書中において参
考として援用される)を参照のこと。
【0047】 用語「組換え」は、例えば、細胞、あるいは核酸、タンパク質、またはベクタ
ーを参照して使用される場合、異種核酸またはタンパク質の導入、あるいはネイ
ティブな核酸またはタンパク質の改変、あるいは細胞がそのように改変された細
胞から誘導されることによって、改変されたことを示す。従って、例えば、組換
え細胞が、細胞のネイティブ(天然)の形態で見出されない遺伝子を発現するか
、あるいは、そうではなく正常に発現されるか、異常に発現されるか、少なく発
現されるか、または全く発現されないネイティブな遺伝子の2代目のコピーを発
現する。
【0048】 用語「プロモーター」は、転写を指向する核酸制御配列のアレイとして規定さ
れる。本明細書中で使用される場合、プロモーターは、典型的に、例えば、特定
のRNAポリメラーゼII型プロモーター、TATAエレメント、エンハンサー
、CCAATボックス、SP−1部位などの場合、転写の開始部位近くの必要な
核酸配列を含む。本明細書中で使用される場合、プロモーターはまた、必要に応
じて遠位エンハンサーまたはレプレッサエレメントを含み、これは、転写の開始
部位から数千塩基対離れて配置され得る。プロモーターは、しばしば、ポリペプ
チド(例えば、核酸レセプター、Gal4、lacレプレッサなど)のようなD
NA結合部分によってトランスアクティベーションに応答性のエレメントを有す
る。
【0049】 用語「構成」プロモーターは、大部分の環境条件および発生条件下で活性なプ
ロモーターである。「誘導」プロモーターは、特定の環境条件または発生条件下
で活性なプロモーターである。
【0050】 用語「弱いプロモーター」は、野生型の単純ヘルペスウイルス(「HSV」)
チミジンキナーゼ(「tk」)プロモーターまたは変異HSV tkプロモータ
ー(EisenbergおよびMcKnight、Mol.Cell.Biol
.(1985)5:1940−1947に記載される)とおよそ同じ活性を有す
るプロモーターをいう。
【0051】 用語「作動可能に連結される」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター
、または転写因子結合部位のアレイ)と第2の核酸との間の機能的連結をいい、
ここで、この発現制御配列が、第2の配列に対応する核酸の転写に指向する。
【0052】 「発現ベクター」は、宿主細胞における特定の核酸の転写、ならびに必要に応
じて、宿主細胞における発現ベクターの組込みまたは複製を可能にする、一連の
特定の核酸エレメントを用いて組換え的または合成的に生成される核酸構築物で
ある。発現ベクターは、ウイルスまたは非ウイルス由来のプラスミド、ウイルス
、または核酸フラグメントの一部であり得る。典型的には、発現ベクターは、「
発現カセット」を含み、この発現カセットは、転写される核酸を含み、プロモー
ターに作動可能に連結される。用語発現ベクターはまた、プロモーターに作動可
能に連結される裸のDNAを含む。
【0053】 「宿主細胞」は、本発明のキメラ分子あるいは本発明のキメラ分子をコードす
る発現ベクターまたは核酸を含む細胞を意味する。宿主細胞は、典型的に、発現
ベクターの複製または発現を支持する。宿主細胞は、E.coli.のような原
核生物細胞、あるいは酵母細胞、真菌細胞、原生動物細胞、高等植物細胞、昆虫
細胞、または両生類細胞または哺乳動物細胞(例えば、CHO、HeLa、29
3、COS−1など)のような真核生物細胞(例えば、培養細胞(インビトロ)
、外植片および一次培養物(インビトロおよびエキソビボ)、ならびにインビボ
細胞)であり得る。
【0054】 用語「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかの、デオキシリボヌ
クレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらの重合体をいう。この用語は、
公知のヌクレオチドアナログあるいは改変骨格残基または連結を含む核酸を含み
、これらは、合成、天然および非天然であり、これらは、参照核酸に類似した結
合性質を有し、そして参照したヌクレオチドに類似した様式で代謝される。この
ようなアナログの例としては、限定しないが、ホスホロチオエート、ホスホラミ
デード、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチル
リボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられる。
【0055】 他に示さない限り、特定の核酸配列はまた、暗にそれらの保存的に改変された
改変体(例えば、コドン置換を変性する)および相補的配列、ならびに暗に示さ
れた配列を含む。用語核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチ
ド、およびポリヌクレオチドと交換可能に使用される。核酸配列は、従来の5’
−3’方向で本明細書中において示される。
【0056】 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基
の重合体をいうために本明細書中で交換可能に使用される。この用語は、1つ以
上のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸のアナログまたは模倣物であるア
ミノ酸重合体、ならびに天然に存在するアミノ酸重合体に適用される。ポリペプ
チドは、例えば、糖タンパク質を形成するために、炭水化物残基の付加によって
改変され得る。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、
糖タンパク質、ならびに非糖タンパク質を含む。ポリペプチド配列は、従来のN
末端からC末端の方向で本明細書中に示される。
【0057】 用語「アミノ酸」は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と類似
の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然のアミノ
酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸、ならび後に改変されるアミ
ノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、カルボキシグルタメート、およびO−ホス
ホセリン)である。アミノ酸アナログは、天然のアミノ酸と同じ基礎化学構造(
すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合されるα炭素)を
有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、
メチオニン、およびメチルスルホニウム)をいう。このようなアナログは、改変
されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが
、天然に存在するアミノ酸と同じ基礎化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、
アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ
酸と類似の様式で機能する化合物をいう。
【0058】 「保存的に改変された改変体」とは、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適
用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一また
は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、あるいはその核酸が
アミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列をいう。詳細には、縮
重コドン置換が、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位
置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製
することによって、達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid
Res.(1991)19:5081;Ohtsukaら、J.Biol.C
hem.(1985)260:2605〜2608;Rossoliniら、M
ol.Cell.Probes(1994)8:91〜98)。遺伝コードの縮
重に起因して、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコード
する。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸
アラニンをコードする。従って、アラニンが本明細書中のアミノ酸におけるコド
ンにより特定されるすべての位置において、そのコドンは、コードされるポリペ
プチドを変更することなく、記載される対応するコドンのいずれかへと変更され
得る。このような核酸の変化は、「サイレントな変化」であり、これは、保存的
に改変された変化の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のどの核
酸配列も、その核酸の可能なすべてのサイレントな変化もまた記載する。核酸中
の各コドン(通常はメチオニンのみのコドンであるAUG、および通常はトリプ
トファンのみのコドンであるTGGは除く)は、機能的な同一な分子を生じるよ
うに改変され得ることを、当業者は認識する。従って、ポリペプチドをコードす
る核酸のサイレントな変化各々が、記載される配列各々に含まれる。
【0059】 アミノ酸配列および核酸配列に関して、その配列における単一のアミノ酸もし
くはヌクレオチド、または小さい割合のアミノ酸またはヌクレオチドを、変更、
付加または欠失する個々の置換、欠失または付加が、その変更が化学的に類似の
アミノ酸によるアミノ酸置換をもたらしている「保存的に改変された改変体」を
作製する。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野で周知
である。このような保存的に改変された改変体は、本発明の多型性改変体および
対立遺伝子に加わり、そしてこれらの多型性改変体および対立遺伝子を排除しな
い。
【0060】 以下の群は、各々が、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:1)アラニン
(A)、グリシン(G);2)セリン(S)、スレオニン(T);3)アスパラ
ギン酸(D)、グルタミン酸(E);4)アスパラギン(N)、グルタミン(Q
);5)システイン(C)、メチオニン(M);6)アルギニン(R)、リジン
(K),ヒスチジン(H);7)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン
(V);および8)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン
(W)(例えば、アミノ酸特性の考察について、Creighton、Prot
eins(1984)を参照のこと)。
【0061】 用語「ポリヌクレオチド」とは、1つより多くのヌクレオチドの核酸である。
ポリヌクレオチドは、その単位の記載により言及される、複数のポリヌクレオチ
ド単位から構成され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、コード配列を有するポ
リヌクレオチド、調節領域であるポリヌクレオチドおよび/または当該分野で一
般的に使用される他のポリペプチド単位を含み得る。
【0062】 用語、野生型脈管形成タンパク質の「生物学的に活性なフラグメント」、「生
物学的に活性な形態」、「生物学的に活性な等価物」および「機能的誘導体」は
、その野生型脈管形成タンパク質の生物学的活性と少なくとも実質的に等しい生
物学的活性を保有する。上記の用語は、その野生型脈管形成タンパク質の「フラ
グメント」、「変異体」、または「改変体」を含むことが意図される。用語「フ
ラグメント」とは、その野生型脈管形成タンパク質の任意のポリペプチドサブセ
ッの部分集合をいうことが意味される。用語「変異体」とは、野生型と実質的に
類似し得るが異なる生物学的特徴を保有する分子をいうことが意味される。この
ような変化した特徴としては、その脈管規制タンパク質またはヒト脈管形成機能
的誘導体の生物学的活性に影響する化学化合物に対する、変化した基質結合、変
化した基質親和性および変化した感受性(これらは、各変異体を本明細書中に開
示されるような標的化された脈管形成について魅力的にし得る)が挙げられるが
、これらに限定されない。上記のような用語「改変体」とは、野生型タンパク質
全体またはそのフラグメントのいずれかに、構造および機能において実質的に類
似する分子をいう。
【0063】 用語「遺伝子」とは、染色体(例えば、ヒト染色体)にて見出される遺伝する
遺伝物質の単位をいう。各遺伝子は、鎖を形成するヌクレオチドの配列により言
及され得る、デオキシリボヌクレオチドの線状鎖から構成される。従って「配列
」とは、鎖を形成するヌクレオチドの順序付けられた列挙、およびそのヌクレオ
チド配列を有する鎖の両方を示すために使用される。用語「配列」とは、RNA
鎖(リボヌクレオチドから作製された線状鎖)に関して同じ様式で使用される。
その遺伝子は、調節配列および制御配列、RNA分子へと転写され得る配列を含
み、そして未知の機能を有する配列を含み得る。そのRNA産物(DNAからの
転写の産物)のいくつかは、メッセンジャーRNA(mRNA)であり、これは
、ポリペプチドへと翻訳されるリボヌクレオチド配列(複数または単数)および
翻訳されないリボヌクレオチド配列を最初に含む。翻訳されない配列としては、
制御配列、イントロンおよび未知の機能を有する配列が、挙げられる。同じ遺伝
子についてのヌクレオチド配列における小さい差異が、異なるヒト間、または正
常な細胞と癌性細胞との間、または正常な細胞と疾患細胞との間にて、その遺伝
子の同一性を変更することなく存在し得ることが、認識され得る。
【0064】 用語「特異的結合」(および等価な句)は、タンパク質および他の生物学物質
の不均一な集団の存在下で、特定の標的分子(例えば、リガンドまたは抗原)に
結合部分(例えば、レセプター、抗体、またはアンチリガンド)が優先的に(す
なわち、試験サンプル中に存在する他の成分への有意な結合を伴わずに)結合す
る能力をいう。代表的には、2つの実体(例えば、リガンドとレセプター)間の
特異的結合は、少なくとも約106-1、そして好ましくは少なくとも約107 -1 、108-1、109-1または1010-1の結合親和性を意味する。いくつか
の実施形態において、特異的結合は、米国特許第5,622,269号(この参
考文献およびその中に引用されるすべての参考文献は、本明細書中に参考として
援用される)の方法に従ってアッセイされ(そして特異的結合分子が同定される
)。代表的には、このアッセイによる特異的反応または選択的反応は、バックグ
ラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも約2倍であり、そしてより代表的に
は、バックグラウンドの少なくとも約5倍または少なくとも100倍、あるいは
それ以上である。
【0065】 結合部分が抗体である場合、種々のイムノアッセイ形態が、特定のタンパク質
と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために使用され得る。例えば、固相
ELISAイムノアッセイが、抗原と特異的に免疫反応性であるモノクローナル
抗体を選択するために慣用的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために
使用され得るイムノアッセイ形態および条件の記載については、Harlowお
よびLane(1988)Antibodies、A Laboratory
Manual、Cold Spring Harbor Publicatio
ns、New York(この参考文献およびその中に引用される参考文献は、
本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0066】 「特異的ハイブリダイゼーション」とは、その配列が複合混合物(例えば、総
細胞)DNAまたはRNA中に存在する場合の、ストリンジェントな条件下で特
定のヌクレオチド配列にのみへの、分子の結合、二重鎖形成またはハイブリダイ
ゼーションをいう。ストリンジェントな条件は、プローブがその標的部分配列に
ハイブリダイズし得るが他の配列にハイブリダイズしない条件である。ストリン
ジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる環境にて異なる。長い配列
ほどより高温で特異的にハイブリダイズする。一般的には、ストリンジェントな
条件は、規定のイオン強度およびpHで特定の配列についての熱融解温度(Tm
)より約5℃低いように選択される。このTmは、標的配列と相補的なプローブ
のうちの50%が平衡して標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強
度、pHおよび核酸濃度下で)である。(標的配列が一般的に過剰に存在する場
合、Tmにおいて、そのプローブの50%が平衡状態で存在する)。代表的には
、ストリンジェントな条件とは、pH7.0〜8.3で塩濃度少なくとも約0.
01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)を含み、かつ温度が、短いプ
ローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃である
。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドまたはテトラアルキルアンモニ
ウム塩のような変性剤の添加により達成され得る。例えば、条件5×SSPE(
750mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム、5mM EDTA、pH
7.4)および温度25〜30℃が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼ
ーションに適切である。(Sambrookら、Molecular Clon
ing 1989を参照のこと;この参考文献およびその中に引用されるすべて
の参考文献が、本明細書中に参考として援用される)。
【0067】 用語「薬学的に受容可能な」、「生理学的に許容可能な」およびそれらの文法
的変化は、それらが組成物、キャリア、希釈剤および試薬をいう場合、交換可能
に使用され、そしてその物質が、その組成物の投与を妨げる程度まで望ましくな
い生理学的効果(例えば、悪心、めまい、胃の不調など)の生成を伴わずにヒト
に投与され得ることを示す。
【0068】 用語「ポリサッカライド」または「オリゴサッカライド」とは、その一般的語
法を組み込み、そして例えば、下記ような、デキストロース、グルコース、ラク
トース、マンノース、マンナンなどを含む。
【0069】 (1.標的化された新脈管形成) (A.血管内皮の標的化) 本発明は、血管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結した脈管形成因子を
含むキメラ分子を提供する。
【0070】 脈管構造における表面発現の変化は、虚血−再灌流障害において広範に研究さ
れている。例えば、Verrier,E.、J.Cardiovasc Pha
rmacol.(1996)27補遺1:S26〜30;Lefer,A.およ
びLefer,D.、Cardiovasc Res(1996)32:743
〜51;Haller,H.、Drugs(1997)53補遺1:1〜10;
Kinlay,S.およびGanz,P、Am.J.Cardiol(1997
)80(9A)11I〜16I、ならびにLuscher,T.ら、Ann.R
ev Med(1993)44:395〜418(これらの参考文献およびその
中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援用される)を参照
のこと。いくつかの器官系(心臓、腎臓、脳および骨格筋を含む)において、以
前に虚血性であった領域への流れの修復は、種々の応答を誘導する。種々の内皮
細胞マーカーが公知であり、それらとしては、内皮−白血球接着分子(ELAM
−1;Bevilacqua,M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci
.U.S.A.(1987)84:9238〜9242);血管細胞接着分子−
1(VCAM−1;Dustin,Mら、J.Immunol.(1986)1
37:245〜254)および細胞内接着分子−1(ICAM−1;Osbor
n,L.ら、Cell(1989)59:1203〜1211)(これらの参考
文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援用
される)が挙げられる。これらのいくつかの細胞接着分子の発現は、時間依存性
様式で増加し、そして白血球接着を増強する。最終結果は、再灌流が炎症応答お
よび好中球の補充を引き起こし、このことがその虚血障害と関連し得る細胞死を
促進し得るということであり得る。免疫グロブリン(「Ig」)スーパー遺伝子
ファミリーレセプター(ICAM−1、ICAM−2およびVCAM−1)は、
可変数の反復する免疫グロブリン様ドメインから構成される(例えば、Will
ams,A.ら、Annu Rev Immunol(1988)6:381〜
387を参照のこと)。
【0071】 虚血−再灌流障害後の冠状血管内皮における表面発現のこれらの変化は、種々
の選択技術を使用して、例えば、心臓血管内皮に特異的に結合する分子を単離す
るために、使用され得る。
【0072】 (B.アテローム性動脈硬化症および再狭窄を標的化するための治療因子) 損傷に対する血管応答は、少なくとも3つの基本的細胞プロセス(細胞増殖、
細胞移動および細胞外マトリックス産生)における変化を含み得る。損傷に対す
るこの血管応答は、以下を含むがこれらに限定されない、種々の血管疾患の病因
を特徴とし得る:アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、静脈バイパ
ス移植狭窄、人工器官移植狭窄、新脈管形成および高血圧。例えば、アテローム
性動脈硬化症損傷は、内膜下空間への血管平滑筋の移動、豊富な細胞外マトリッ
クスの増殖および産生の結果として、発展する。同様に、血管形成術後の再狭窄
、静脈バイパス移植狭窄、人工器官移植狭窄、新脈管形成および高血圧は、血管
細胞の増殖、移動およびマトリックス組成における異常を伴う。一般的に、Sc
hwartz,D.ら、Thromb Haemost.(1995)74:5
41〜51を参照のこと。
【0073】 アテローム性動脈硬化症は、動脈壁の内側部分の局所的肥厚により特徴付けら
れており、このことは、個体を心筋梗塞(心臓発作)、脳梗塞(発作)、高血圧
(高い血圧)および四肢の壊疽にかかりやすくする。アテローム性動脈硬化症損
傷の形成の原因である一般的基礎事象は、内皮細胞損傷に応答しての増殖する平
滑筋細胞の内膜肥厚である。「内膜(または新内膜)の肥厚または形成」とは、
動脈の内皮露出に応答しての内膜における動脈平滑筋細胞の増殖を意味する。血
管形成術またはバイパス手術により物理的に処置される冠状動脈における平滑筋
細胞の蓄積もまた、再狭窄の顕著な特徴である。主に増殖した平滑筋細胞からな
ることに加えて、アテローム性動脈硬化症の損傷は、脂質を抱えた大量のマクロ
ファージ、種々の数のリンパ球および大量の結合組織により囲まれる。PDGF
が、平滑筋細胞増殖の原因である主な増殖調節分子であると考えられている(例
えば、Driks,R.ら、Mol Bio Rep(1995)22:1〜2
4(この参考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参
考として援用される)を参照のこと)。従って、PDGFは、アテローム性動脈
硬化症の疾患プロセスにおいて重要な役割を果たし得る(例えば、Hughes
,A.、Gen Pharmacol.(1996)27:1079〜89(こ
の参考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考とし
て援用される)を参照のこと)。他の多数の因子が、アテローム性動脈硬化症お
よび再狭窄の病態生理に寄与する。これらの因子としては、アンギオテンシンI
I、FGF、およびトランスホーミング増殖因子β1が挙げられるがこれらに限
定されない(例えば、Pratt,R.、J Am Soc Nephrol(
1999)補遺11:S120〜8;Gibbons,G.、Am J Hyp
ertens(1998)11:177S〜181S;Cines,D.ら、B
lood(1998)91:3527〜61;O’Reillyら、REGUL
ATION OF ANGIOGENESIS、GoldbergおよびRos
en編(Birkhouser Verlag、Basel 1997)第27
3〜294頁;Saltis,J.ら、Clin Exp Pharmacol
Physiol(1996)23:193〜200(これらの参考文献および
その中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援用される)を
参照のこと)。
【0074】 平滑筋細胞増殖、内皮細胞増殖および新脈管形成を阻害する治療因子は、本発
明のキメラ分子、方法、および遺伝子治療試薬とともに使用され得る。例えば、
アンジオスタチンと呼ばれる1つの治療因子(プラスミノゲンの天然に存在する
内部切断産物)は、内皮細胞増殖を阻害し、そして米国特許第5,733,87
6号(この参考文献は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている
。別の内皮細胞増殖阻害剤としては、エンドスタチンが挙げられ、これは、米国
特許第5,854,205号(この参考文献は、本明細書中に参考として援用さ
れる)に記載される。例えば、O’Reilly,M.ら、Cell(1997
)88:277〜85を参照のこと。アテローム性動脈硬化症および再狭窄なら
びに他の新脈管形成依存性(または脈管形成関連性)疾患の脈管形成プロセスの
制御に関する、アンジオスタチンおよびエンドスタチンのような治療因子は、こ
れらの疾患の排除または緩和をもたらし得る。例えば、Cao,Y、Prog
Mol Subcell Biol.(1998)20:161〜76(この参
考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援
用される)を参照のこと。従って、アテローム性動脈硬化症および再狭窄の脈管
形成プロセスを制御する治療因子は、本発明のキメラ分子において使用され得る
【0075】 ((2.)キメラ分子の標的化成分の選択および調製) ((A)標的化分子の同定) 種々の方法が、血管内皮(例えば、心臓血管内皮)のような特定の細胞および
組織に特異的に結合する分子を同定および単離するために利用可能である。いつ
かの例示的方法が、以下に記載される。
【0076】 ((1)インビボパニングを利用するファージディスプレイ) この方法において、1つまたはいくつかの選択された器官に特異的に結合する
分子が、インビボパニングを使用してライブラリーをスクリーニングすることに
よって、同定され得る。この方法は、米国特許第5,622,699号に詳細に
記載され、そして本明細書中で参考として援用される。また、Pasquali
ni,R.ら、Nature(1996)380:364〜366を参照のこと
。被験体に投与するための例示的ライブラリーは、ファージディスプレイペプチ
ドライブラリーである。ファージディスプレイとは、ペプチドまたはタンパク質
が、複製可能な遺伝的パッケージ(下記)のコートタンパク質に遺伝的に融合さ
れており、一般的にはその複製可能な遺伝的パッケージの外側にその融合ペプチ
ドまたはタンパク質の提示をもたらすと同時に、その融合物をコードするDNA
が一般的にはその複製可能な遺伝的パッケージ内に存在する、インビトロまたは
インビボでの選択技術を述べる。提示されるタンパク質とそれをコードするDN
Aとの間のこの物理的結合は、各々が対応するDNA配列に連結している多数の
ペプチドまたはペプチドの改変体のスクリーニングを可能にする。
【0077】 種々の型の分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質
フラグメント、ペプトイド、またはペプチド模倣物)の多様な集団を含むライブ
ラリーを調製するための方法は、当該分野で周知であり、そして市販されている
。例えば、Lowman,H,ら、Ann.Rev Biophys Biom
ol Struct.(1997)26:401〜24;Cortese,R.
ら、Curr.Opin.Biotechnol.(1996)7(6):61
6〜21;McGregor,D.ら、Mol Biotechnol.(19
96)6(2):155〜62;EckerおよびCrooke、Biotec
hnology(1995)13:351〜360ならびにBlondelle
ら、Trends Anal.Chem.(1995)14:83〜92(これ
らの参考文献およびその中で引用される参考文献すべては、その各々が本明細書
中に参考として援用される)を参照のこと。また、GoodmanおよびRo、
Peptidomimetics for Drug Design、BURG
ER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DI
SCOVERY、第1巻(Wolff,M.E編、John Wiley&So
ns 1995)ならびにGordonら、J.Med.Chem.(1994
)37:1385〜1401(その各々が参考として援用される)も参照のこと
【0078】 ファージディスプレイ技術は、ランダムなペプチドまたは選択的にランダムに
されたペプチドの多岐の集団を発現するための手段を提供し得る。ファージディ
スプレイの種々の方法およびペプチドの多岐の集団を生成するための方法は、公
知である(例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号(この参
考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援
用される)を参照のこと)。
【0079】 複製可能な遺伝的パッケージは、細胞、胞子またはウイルスを意味する。この
複製可能な遺伝的パッケージは、真核生物性であってもまたは原核生物性であっ
てもよい。ポリペプチドディスプレイライブラリーは、提示される外因性ポリペ
プチドをコードする核酸をその複製可能な遺伝的パッケージのゲノム中に導入し
て、その複製可能な遺伝的パッケージの外側表面から通常は発現される内因性タ
ンパク質との融合タンパク質を形成することによって、形成される。その融合タ
ンパク質の発現、外側表面への輸送およびアセンブリは、その遺伝的パッケージ
の外側表面からの外因性ポリペプチドの提示をもたらす。
【0080】 ディスプレイライブラリーに最も頻繁に使用される遺伝的パッケージは、バク
テリオファージ、特に糸状ファージ、そしてとりわけファージM13、Fdおよ
びF1である。ほとんどの作業は、提示されるポリペプチドをコードするライブ
ラリーを、融合タンパク質を形成するこれらのファージのgIIIまたはgVI
IIのいずれかに挿入している(例えば、WO 91/19818;WO 91
/18989;WO 92/01047(遺伝子III);WO 92/062
04;およびWO92/18619(遺伝子VIII)を参照のこと)。このよ
うな融合タンパク質は、シグナル配列(通常は、ファージコートタンパク質以外
の分泌タンパク質由来)、提示されるポリペプチド、および遺伝子IIIタンパ
ク質もしくは遺伝子VIIIタンパク質またはそれらのフラグメントのいずれか
を含む。外因性コード配列は、しばしば、遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIの
N末端にかまたはその付近に挿入されるが、他の挿入部位が可能である。いくつ
かの糸状ファージベクターが、遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかの
第2のコピーを生成するように操作されている。このようなベクターにおいて、
外因性配列は、その2つのコピーのうちのただ1つのみに挿入される。もう1つ
のコピーの発現は、ファージ粒子中に取り込まれる融合タンパク質の比率を効果
的に落とし、そしてファージ増殖に有害なポリペプチドに対する選択を減少する
際に有利であり得る。
【0081】 別の改変において、外因性ポリペプチド配列は、ファージコートタンパク質お
よびファージパッケージング配列をコードするが複製不可能な、ファージミドベ
クターにクローニングされる。ファージミドは、細胞にトランスフェクトされ、
そしてヘルパーファージでの感染によってパッケージされる。ファージミド系の
使用はまた、コートタンパク質とディスプレイされたポリペプチドとから形成さ
れる融合タンパク質を、ヘルパーファージから発現されたコートタンパク質の野
生型コピーで希釈する効果を有する(例えば、WO92/09690を参照のこ
と)。
【0082】 真核生物ウイルスを使用して、ポリペプチドを類似の様式でディスプレイし得
る。例えば、Moloneyマウス白血病ウイルスのgp70に融合したヒトヒ
レグリンのディスプレイは、Hanら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA(1995)92:9747−9751により報告された。胞子をまた
、複製可能な遺伝パッケージとして使用し得る。この場合には、ポリペプチドは
、この胞子の外側表面からディスプレイされる。例えば、B.subtilis
由来の胞子は、適切であることが報告されている。これらの胞子のコートタンパ
ク質の配列は、Donovanら、J.Mol.Biol.(1987)196
:1−10により提供されている。細胞をまた、複製可能な遺伝パッケージとし
て使用し得る。ディスプレイされるポリペプチドは、細胞表面で発現される細胞
タンパク質をコードする遺伝子に挿入される。Salmonella typh
imurium、Bacillus subtilis、Pseudomona
s aeruginosa、Vibrio cholerae、Klebsie
lla pneumonia、Neisseria gonorrhoeae、
Neisseria meningitidis、Bacteroides n
odosus、Moraxella bovis、および特に、Escheri
chia coliを含む細菌細胞が、好ましい。外側表面のタンパク質の詳細
は、米国特許第5,571,698号、ならびにGeorgiouら、Natu
re Biotechnology(1997)15:29−34およびそこに
引用される参考文献により、議論されている。
【0083】 ポリペプチドディスプレイライブラリーによりディスプレイされるポリペプチ
ドをコードする核酸は、標準的な組換えDNA技術によって、複製可能な遺伝パ
ッケージのゲノムに挿入される(例えば、Sambrookら、Molecul
ar Cloning、A Laboratory Manual(第2版、1
989)を参照のこと、本明細書中に参考として援用される)。核酸は、最終的
に、複製可能なパッケージの外側表面タンパク質のすべてまたは一部に融合した
ポリペプチドとして(スペーサー残基またはフレームワーク残基を伴うかまたは
伴わずに)発現される。ライブラリーは、しばしば、約103、104、106
107、108以上のメンバーの大きさを有する。
【0084】 これらおよび他の周知の方法を使用して、ファージディスプレイライブラリー
を生成し得、1つまたは少数の選択した器官および組織に特異的に結合するペプ
チドを同定するために、米国特許第5,622,699号に記載されるインビボ
パニング法に、このライブラリーを供し得る。例えば、Pasqualini,
R.およびRuoslahti,E.Nature(1996)380:362
−366;Arap,W.ら、Science(1998)279:377−3
80;Rajotte,D.ら、J Clin Invest(1998)10
2:430−7;およびRajotte,D.ら、J Biol Chem.(
1999)274:11593−8を参照のこと;これらの参考文献は、本明細
書中に参考として援用される。例えば、インビボでの選択またはパニングを使用
して、正常な心臓内皮または心筋虚血−再灌流障害により変化した心臓内皮を選
択的に結合するペプチドを同定および単離し得る。同様に、正常な脳組織または
変化した脳組織をまた使用して、これらの組織に特異的に結合するペプチドを同
定および単離し得る。
【0085】 一般に、目的の無作為な分子または選択的に無作為化された分子の様々な集団
を含む分子のライブラリーが調製され得、次いで2.5×108形質導入単位(
TU)のファージライブラリーが、被験体に投与され得る(例えば、頸静脈を通
して静脈内で)。インビボでのファージ循環を可能にする、所定の時間の後に、
高カリウム血(30mM KCl)の低体温DMEM溶液の心室内注射によって
心臓を停止させ得、そして5〜10mLの高カリウム血DMEMで左心室カニュ
ーレを通して潅流することによって、脈管構造から血液を除去し得る。次いで、
心臓および脳を採取し、均一化し、秤量し、そして標準的な技術によって、ファ
ージをレスキューし得る。選択の2回目および3回目については、クローンを、
先の回から採取し得、そして飽和するまで個々に増殖し得る。次いで、この培養
物をプールし、ファージ粒子を精製し、次いでこのプールの1010TUを、同様
に処置した被験体に再注入し得る。次いで、3回目以上からの個々のクローンの
ファージssDNAを調製し得、そして標準的な技術によって、インサートを配
列決定し得る(例えば、Rojotteら、前出を参照のこと)。次いで、複数
回現れる配列を有するファージを、同様に処置した被験体へのさらなる注射によ
って、さらに特徴付け得る。スクリーニングの引き続く回を実施して、目的の器
官に特異的に結合する分子を濃縮し得る。
【0086】 インビボでのパニングをまた使用して、変化した脈管内皮(すなわち、心臓内
皮)を選択的に標的化するファージを同定し得る。脈管内皮は、心筋虚血−再灌
流障害によって変化し得る。例えば、標準的な手順による30分間の虚血の誘導
および引き続く30分間の再潅流(いくらかの変化が内皮において起こることを
可能にするため)を使用して、脈管内皮を変化させ得る。次いで、再潅流障害を
受けた動物由来の心臓組織に、ファージを注射し得る。次いで、インビボでのパ
ニング手順を、上記のように実施し得る。
【0087】 ((2)プラスミド上のペプチド) 別の方法は、プラスミド上のペプチド(「POPS」)と呼ばれる。Scha
tz,P.ら、米国特許第5,733,731号を参照のこと;これらの参考文
献およびこれらに引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用さ
れる。ファージディスプレイ法と同様に、POPSは、様々な集団のペプチドを
コードする、プールされたオリゴヌクレオチドのコレクション、大きなライブラ
リーを生成するためのエレクトロポレーション、ならびにペプチドおよびこれら
をコードするオリゴヌクレオチドの遺伝子連結を使用する。しかし、POPSは
、遺伝子連結が、ファージ粒子によって提供されるのではなく、融合タンパク質
をコードするベクター上の部位に結合する融合タンパク質としてDNA結合ドメ
インを有する発現ペプチドによって提供される点で、ファージディスプレイ法と
は異なる。
【0088】 ((3)コードされた合成ライブラリー法) さらなる方法は、コードされた合成ライブラリー法(「ESL」)と呼ばれる
。米国特許第5,639,603号;WO95/12608、WO93/061
21、WO94/08051、WO95/35503およびWO95/3064
2(これらの各々が、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)
を参照のこと。この方法において、ライブラリーにおける異なる化合物が、これ
らの化合物の種々の成分をカップリングのいくつかの回において段階的に添加す
ることによって、別の支持体(例えば、ビーズ)に付着して合成される。カップ
リングの回は、異なる反応容器間で支持体を割り当て、そして異なる成分を、異
なる反応容器内の支持体に添加することによって、実施され得る。反応容器に添
加される特定の成分が、この支持体に第二の部位でタグ化合物を添加することに
より、記録される。タグ成分は、オリゴヌクレオチドまたは他の標識であり得る
。オリゴヌクレオチドが使用される場合には、対応するタグおよび化合物は、代
表的に、遺伝子コード以外の対応レジメンにより関連付けられる。合成の各回の
後に、同じ反応容器からの支持体を、異なる反応容器間に割り当て得、そして/
または合成の次の回において、別の反応容器からの支持体でプールされ得る。合
成のいずれかの回において、そして通常は全ての回において、支持体に添加され
る成分は、支持体の第二の部位においてさらなるタグ成分を添加することによっ
て、記録され得る。合成のいくつかの回の後に、異なる化合物の大きなライブラ
リーが生成し、ここで、化合物の識別は、その化合物を保有するそれぞれの支持
体に付着したタグにコードされる。このライブラリーを、標的に対する結合に関
してスクリーニングし得る。ESL法を使用して、成分ごとの様式で合成され得
るペプチドを含む、任意の化合物のライブラリーを生成し得る。
【0089】 上記選択技術を使用して、例えば、心臓脈管内皮、虚血性の心臓脈管内皮、末
梢脈管内皮、および虚血性の抹消脈管内皮を、標的化し得る。末梢脈管内皮は、
心臓および肢の外側の器官において、見出される。
【0090】 ((B)好ましい標的化分子) 本発明の好ましい標的化分子は、上に記載されそして以下で参照される、イン
ビボでのパニング手順を使用して、GGGVFWQ、HGRVRPH、VVLV
TSS、CLHRGNSC、およびCRSWNKADNRSCからなる群から選
択される、アミノ酸配列を構成する。GGGVFWQ、HGRVRPH、VVL
VTSS、およびCLHRGNSCのペプチドは、正常な心臓内皮に選択的に結
合する。より具体的には、GGGVFWQペプチドは、正常な心臓脈管に対して
5倍の濃縮を示し、一方でHGRVRPH、VVLVTSS、CLHRGNSC
のペプチドは、正常な心臓血管に対して2倍の濃縮を示した。CRSWNKAD
NRSCペプチドは、虚血性心筋層に対して5倍の濃縮を示した。これらのペプ
チドが同定された方法、およびこれらの特性の詳細は、本願と同日に出願された
U.S.S.N. [Campbell & Flores LLP代理人文
書番号P−LJ3512]に記載され、この出願は、特に本明細書中に参考とし
て援用される。
【0091】 ((C)脈管形成因子成分の選択/調製) 脈管形成因子は、前出に記載される。例示的な脈管形成因子としては、VEG
Fポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。例示的なVEGFポリペ
プチドである、VEGF−Bは、単離され、クローニングされ、そして配列決定
された。Erikssonら、米国特許第5,849,693号を参照のこと;
この参考文献およびこれに引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用
される。現在、mRNAの選択的スプライシングにより生成するVEGF−Bの
2つのアイソフォームが、区別されている(Grimmondら、1996;O
lfssonら、1996b;Townsonら、1996;これらの参考文献
およびこれらに引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用され
る)。これら2つの分泌形態のVEGF−Bは、それぞれ167(VEGF−B 167 )および186(VEGF−B186)のアミノ酸残基を有する。
【0092】 VEGF−B167およびVEGF−B186のアイソフォームは、それぞれ見かけ
の分子量21kDおよび32kDの、ジスルフィド連結したホモダイマーとして
生成する(Olofssonら、1996)。
【0093】 一旦、VEGFポリペプチドが選択されるか、設計されるか、または他の様式
で提供されると、VEGFポリペプチドまたはそれをコードするDNAが合成さ
れる。VEGFタンパク質をコードするDNAの合成および発現の例示的な方法
は、以下および実施例に記載される。次いで、VEGFキメラポリペプチドまた
はそれをコードするポリヌクレオチドを使用して、脈管増殖を誘導し得る。
【0094】 VEGFタンパク質およびこのようなVEGFタンパク質をコードする核酸を
、組換え遺伝学の分野において慣用的な技術を使用して、作製し得る。本発明に
おける使用の一般的な方法を開示する、基本的なテキストとしては、Sambr
ookら、Molecular Cloning、A Laboratory
Manual(第2版、1989);Kriegler、Gene Trans
fer and Expression:A Laboratory Manu
al(1990);およびCurrent Protocols in Mol
ecular Biology(Ausubelら、前出)が挙げられる;これ
らの参考文献およびこれらにおいて引用される全ての参考文献は、本明細書中に
参考として援用される。さらに、本質的にあらゆる核酸を、任意の種々の市販の
供給源からあつらえて注文し得る。同様に、ペプチドおよび抗体を、任意の種々
の市販の供給源からあつらえて注文し得る。
【0095】 選択した脈管形成タンパク質をコードする核酸は、代表的に、例えばKdを決
定するために、複製および/または発現のために、原核生物細胞または真核生物
細胞内への形質転換のために、中間体ベクターにクローニングされ得る。中間体
ベクターは、代表的に、原核生物ベクター(例えば、プラスミド)、またはシャ
トルベクターであるか、あるいは脈管形成タンパク質もしくはタンパク質の産物
をコードする核酸の貯蔵もしくは操作のため、またはタンパク質の産生のために
は、昆虫ベクターである。脈管形成タンパク質をコードする核酸はまた、植物細
胞、動物細胞(好ましくは、哺乳動物細胞もしくはヒト細胞)、真菌細胞、細菌
細胞、または原生動物細胞への投与のために、代表的に、発現ベクターにクロー
ニングされ得る。
【0096】 クローニングされた遺伝子または核酸の発現を得るために、キメラ脈管形成タ
ンパク質は、代表的に、転写を指向するためのプロモーターを含む発現ベクター
にサブクローニングされ得る。適切な細菌プロモーターおよび真核生物プロモー
ターは、当該分野において周知であり、そして例えば、Sambrookら、M
olecular Cloning、A Laboratory Manual
(第2版、1989);Kriegler、Gene Transfer an
d Expression:A Laboratory Manual(199
0);およびCurrent Protocols in Molecular
Biology(Ausubelら、前出)に記載される;これらの参考文献
およびこれらにおいて引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援
用される。脈管形成タンパク質を発現するための細菌発現系は、例えば、E.c
oli、Bacillus sp.、およびSalmonella(Palva
ら、Gene I(1983)22:229−235)において利用可能である
。このような発現系のためのキットは、市販されている。哺乳動物細胞、酵母、
および昆虫細胞のための、真核生物発現系は、当該分野において周知であり、そ
してまた市販されている。
【0097】 キメラ脈管形成タンパク質核酸の発現を指向するために使用されるプロモータ
ーは、特定の応用に依存する。例えば、強力な構成的プロモーターは、代表的に
、脈管形成タンパク質の発現および精製のために、使用され得る。対照的に、脈
管形成タンパク質が遺伝子調節のためにインビボで投与される場合には、その脈
管形成タンパク質の特定の使用に依存して、構成的プロモーターまたは誘導的プ
ロモーターのいずれかが使用され得る。プロモーターはまた、代表的に、トラン
ス作用性を担うエレメント(例えば、低酸素症応答エレメント、Gal4応答エ
レメント、lac抑制応答エレメント、および小分子コントロール系(例えば、
tet調節系およびRU−486系))を含み得る(例えば、Gossenおよ
びBujard、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(19
92)89:5547;Oliginoら、Gene Ther.(1998)
5:491−496;Wangら、Gene Ther.(1997)4:43
2−441;Neeringら、Blood(1996)88:1147−11
55;ならびにRendahlら、Biotechnol.(1998)16:
757−761を参照のこと)。
【0098】 プロモーターに加えて、発現ベクターは、代表的に、原核生物または真核生物
のいずれかの宿主細胞において、核酸の発現のために必要とされる全てのさらな
るエレメントを含む、転写ユニットまたは発現カセットを含む。従って、代表的
な発現カセットは、例えば、脈管形成タンパク質をコードする核酸配列に作動可
能に連結されたプロモーター、および例えば、転写、転写終止、リボソーム結合
部位、または翻訳終止の効率的なポリアデニル化のために必要とされるシグナル
を含む。カセットのさらなるエレメントとしては、例えば、エンハンサー、およ
び異種のスプライシングされたイントロンシグナルが挙げられ得る。
【0099】 遺伝情報を細胞内に移送するために使用される特定の発現ベクターは、脈管形
成タンパク質の意図された使用(例えば、植物、動物、細菌、真菌、および原生
動物における発現)に関して、選択され得る。標準的な細菌発現ベクターとして
は、pBR322に基づくプラスミドのようなプラスミド、pSKF、pET2
3D、および市販の融合発現系(例えば、GSTおよびLacZ)が挙げられる
。これらの融合タンパク質を、脈管形成タンパク質の精製のために使用し得る。
エピトープタグもまた、組換えタンパク質に添加されて、発現をモニタリングす
るため、ならびに細胞および非細胞の局在化をモニタリングするために、好都合
な単離方法を提供し得る。
【0100】 真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、しばしば、真
核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター
、およびエプスタイン−バーウイルス由来のベクター)において使用される。他
の例示的な真核生物ベクターとしては、pMSG、pAV009/A+、pMT
O10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびSV
40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモー
ター、マウス乳腺癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、
ポリヘドリンプロモーター、または真核生物細胞における発現のために効果的で
あることが示された他のプロモーターの指向のもとでの、タンパク質の発現を可
能にする、他の任意のベクターが挙げられる。
【0101】 いくつかの発現系は、安定にトランスフェクトされる細胞株(例えば、チミジ
ンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、およびジヒドロフ
ォレートレダクターゼ)を選択するために、マーキングされた。高収率の発現系
(例えば、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモ
ーターの指向の元で、脈管形成タンパク質コード配列を有するバキュロウイルス
ベクターを昆虫細胞において使用すること)もまた、適切である。
【0102】 発現ベクターに代表的に含まれるエレメントはまた、E.coliにおいて機
能するレプリコン、組換えプラスミドを有する細菌の選択を可能するための、抗
生物質耐性をコードする遺伝子、および組換え配列の挿入を可能にするための、
プラスミドの本質的でない領域における独自の制限部位を含む。
【0103】 標準的なトランスフェクション方法を使用して、大量のタンパク質を発現する
細菌細胞株、哺乳動物細胞株、酵母細胞株または昆虫細胞株を生成し、次いでこ
れらを、標準的な技術を使用して精製する(例えば、Colleyら、J.Bi
ol.Chem.(1989)264;17619−17622;Guide
to Protein Purificaion、Methods in En
zymology、第182巻(Deutscher編、1990)を参照のこ
と)。真核生物細胞および原核生物細胞の形質転換を、標準的な技術に従って実
施する(例えば、Morrison、J.Bact.(1977)132:34
9−351;Clark−CurtissおよびCurtiss、Method
s in Emzymology 101:347−362(Wuら編、198
3)を参照のこと)。
【0104】 ((D)脈管形成因子成分への標的化成分のカップリング) 本発明のキメラ分子は、少なくとも2つの成分を含む:機能的脈管形成因子お
よび標的化分子。この機能的脈管形成因子は、例えば、内皮細胞上の脈管形成因
子レセプターを結合するか、または特定の様式で標的組織に影響を与える配列を
含む、アミノ酸配列またはポリペプチド配列を含み得る。この標的化分子は、1
つ以上の型の脈管内皮細胞に結合する、アミノ酸配列またはポリペプチド配列を
含み得る。機能的脈管形成因子であるアミノ酸配列は、脈管形成因子レセプター
のリガンド結合ドメインであり得る;標的化分子であるアミノ酸配列は、細胞表
面レセプターに結合し得、従って細胞表面レセプターリガンドであり得る。
【0105】 選択された物質が、血液、リンパ、または細胞外流体の通常存在する成分であ
る場合には、脈管形成因子レセプターを結合するリガンド結合ドメインは、通常
は脈管形成因子レセプターを結合する(すなわち、ヒトにおいて選択された脈管
形成因子レセプターを結合する)アミノ酸配列である。このような配列の、変更
された結合特性で改変された形態、または通常はヒトにおいて見出されないアミ
ノ酸配列であって、合成的操作もしくは遺伝子操作の方法によって生成され、そ
して選択された脈管形成因子レセプターを結合し得る、アミノ酸配列。例えば、
脈管形成因子および/または標的化分子は、コンビナトリアルペプチドライブラ
リーまたはファージディスプレイライブラリーから選択された、アミノ酸配列で
あり得る。脈管形成因子および/または標的化分子はまた、免疫グロブリンまた
は一本鎖抗体の抗原結合ドメインを含み得、ここで、この免疫グロブリンまたは
一本鎖抗体の抗原結合ドメインは、所望の選択された物質または細胞表面レセプ
ターを認識する。選択された物質が外来の成分である場合には、選択された物質
を結合するアミノ酸配列は、天然に存在するリガンド結合ドメインから選択され
たものであり得、これは、外来の成分、または外来の成分を結合するよう設計さ
れたアミノ酸配列を、結合する。
【0106】 このキメラタンパク質のドメインは、得られるキメラタンパク質が脈管内皮増
殖因子レセプターと標的化分子レセプターとの両方を結合し得る限り、種々の構
造で連結し得る。1つの構造は、融合タンパク質の形態であり得る。「融合タン
パク質」とは、第二のドメインに関連する少なくとも1つのポリペプチドまたは
ペプチドドメインを含む、組成物をいう。第二のドメインは、ポリペプチド、ペ
プチド、多糖類などであり得る。「融合」は、ペプチド結合、化学結合、電荷相
互作用(例えば、塩橋、水素結合のような静電引力)、非共有結合相互作用など
により発生する会合であり得る。ポリペプチドが組替えられる場合には、「融合
タンパク質」は、共通のメッセージから翻訳され得る。あるいは、ドメインの組
成は、任意の化学的または静電的手段により、連結され得る。本発明の融合タン
パク質はまた、リンカー、エピトープタグ、酵素切断認識配列、シグナルシーク
エンサー、分泌シグナルなどを含み得る。
【0107】 代表的に、これら2つのドメインは、組換えDNA分子内の単一のリーディン
グフレームによりコードされ、そしてこれら2つのドメインは、ペプチド結合に
より連結される。これら2つのドメインは、同様にオープンリーディングフレー
ムによりコードされ得る、1つ以上のアミノ酸により分離され得る。あるいは、
これら2つのドメインは、別のDNA分子から発現され得、そして非共有結合(
例えば、疎水性またはイオン性相互作用)あるいは共有結合(例えば、ジスルフ
ィド)のいずれかを介してインビトロまたはインビボで連結される。さらに、生
物学的に活性なペプチドダイマーを生成するための方法が記載された。例えば、
EP 0721983 A1を参照のこと(これは、本明細書中に参考として援
用される)。
【0108】 (3.)キメラ分子の処方および投与:薬学的組成物 (A)タンパク質を基礎にした治療 本発明の新脈管形成因子キメラ分子は、代表的には、薬学的に受容可能なキャ
リア(賦形剤)と組み合わせて薬理学的組成物を形成し得る。薬学的に受容可能
なキャリアは、例えば、本発明の薬学的組成物を安定化するか、またはその吸着
またはクリアランス速度を増加または減少するために作用する生理学的に受容可
能な化合物を含み得る。生理学的に受容可能な化合物は、例えば、グルコース、
スクロース、またはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸またはグル
タチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質、ペプチドまたは
ポリペプチド複合体のクリアランスまたは加水分解を減少する組成物、または賦
形剤もしくはその他の安定化剤および/または緩衝剤を含み得る。界面活性剤も
また、薬学的組成物を安定化するため、またはその吸着を増加または減少するた
めに用いられ得る。例示の界面活性剤はリポソームキャリアを含み、後述を参照
のこと。ペプチドおよびポリペプチドのための薬学的に受容可能なキャリアおよ
び処方物は当業者に公知であり、そして科学的および特許文献中に詳細に記載さ
れている。例えば、Remington’s、前述、およびBanga、A.K
.、Therapeutic Peptides and Proteins.
Formulation、Processing and Delivery
Systms(1996)(Technomic Publishing AG
、Basel、Switzerland)を参照のこと;これらの参考文献およ
びこれらの中で引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用される。
【0109】 その他の生理学的に受容可能な化合物は、湿潤剤、乳化剤、分散剤または微生
物の増殖または作用を防ぐために特に有用である保存剤を含む。種々の保存剤が
周知であり、そして例えば、フェノールおよびアスコルビン酸を含む。当業者は
、生理学的に受容可能な化合物を含む薬学的に受容可能なキャリアの選択が、例
えば、本発明のタンパク質またはポリペプチドの投与の経路およびその特定の生
理化学的特徴に依存することを認識する。
【0110】 (1)腸、非経口または経粘膜投与のための水性溶液 投与のための組成物は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア、組成物が水溶
性である場合、好ましくは水性キャリア中に溶解された、本発明のペプチドまた
はポリペプチドの溶液を含む。腸、非経口または経粘膜薬物送達のための処方物
で用いられ得る水性溶液の例は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食
塩水、ハンクス溶液、リンゲル溶液、デキストロース/生理食塩水、グルコース
溶液などを含む。これら処方物は、ほぼ生理学的条件に必要な、緩衝化薬剤、浸
透圧調節剤、湿潤剤、界面活性剤などのような、薬学的に受容可能な補助物質を
含み得る。添加物はまた、静菌剤、または安定化剤のような付加的な活性成分を
含み得る。例えば、溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム
、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレートまたはトリエタノ
ールアミンオレアートを含み得る。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技法に
より滅菌され得るか、または濾過滅菌され得る。得られる水性溶液は、そのまま
で使用のためにパッケージされ得るか、または凍結乾燥され得、凍結乾燥された
調製物は、投与の前に滅菌水性溶液と組み合わせられる。これらの処方物中のキ
メラ分子の濃度は広く変化し得、そして選択された投与の特定の様式および患者
の必要に従って、主に流体容積、粘度、体重などに基いて選択される。
【0111】 (2)腸送達のための固形処方物 固形処方物が腸(経口)投与のために用いられ得る。これらは、例えば、ピル
、タブレット、粉末またはカプセルとして処方され得る。固形組成物には、従来
の非毒性固形キャリアが用いられ得、これには、例えば、薬学的グレードのマン
ニトール、乳糖、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム
、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含
まれる。経口投与には、薬学的に受容可能な非毒性組成物が、先に列挙したキャ
リアのような任意の通常採用される賦形剤、およびほぼ10%〜95%の活性成
分(キメラ分子)を取り込むことにより形成される。非固形処方物もまた腸投与
のために用いられ得る。キャリアは、石油、動物、植物または合成起源の、例え
ば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む種々の油から選択され得る
。適切な薬学的賦形剤は、例えば、スターチ、セルロース、タルク、グルコース
、乳糖、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステア
レート、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコ
ール、水、エタノールなどを含む。
【0112】 本発明のキメラ分子が、経口投与されるとき、消化から保護されなければなら
ないことが認識される。これは、代表的には、ペプチドまたはポリペプチド複合
体を、それを酸性かつ酵素的加水分解に耐性にするために、組成物と複合体化す
ることによるか、またはリポソームのような適切に耐性であるキャリア中にペプ
チドまたは複合体をパッケージングすることのいずれかにより達成され得る。化
合物を消化から保護する手段は当該分野で周知である。例えば、Fix Pha
rm Res.(1996)13:1760−1764;Samanen J.
Pharm.Pharmacol.(1996)48:119−135;治療剤
の経口送達のための脂質組成物を記載する米国特許第5,391,377号(リ
ポソーム送達は後述にさらに詳細に論議される)を参照のこと。
【0113】 (3)経皮/経粘膜送達のための局所処方物 全身投与もまた、経粘膜または経皮手段によってであり得る。経粘膜または経
皮投与のために、透過されるバリアに適切な浸透剤が処方剤中に用いられ得る。
このような浸透剤は、一般に当該分野で公知であり、そして例えば、経粘膜投与
のために、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。さらに、界面活性剤を
用いて透過を促進し得る。経粘膜投与は鼻スプレーまたは坐薬を用いることによ
ってであり得る。例えば、Banga、第10章;Sayani「吸収性粘膜を
横切るペプチドおよびタンパク質の全身送達」Crit.Rev.Ther.D
rug Carrier Syst.(1996)13:85−184を参照の
こと。局所的、経皮投与には、薬剤は、軟膏剤、クリーム、軟膏、粉末およびゲ
ル中に処方され得る。経皮送達システムはまた、例えば、パッチを含み得る。例
えば、Banga、第9章を参照のこと。
【0114】 ペプチドおよびポリペプチド複合体また、持続送達または持続放出機構で投与
され得、これは、処方物を内部的に送達し得る。例えば、組成物(例えばキメラ
分子)を持続送達し得る、生分解性マイクロスフェアまたはカプセルまたはその
他の生分解性ポリマー形態が本発明の処方物中に含められ得る(例えば、Put
ney Nat.Biotechnol.(1998)16:153−157を
参照のこと)。
【0115】 (4)吸入送達のための処方物 吸入には、ペプチドまたはポリペプチドは、当該分野で公知の任意のシステム
を用いて送達され得、これには、乾燥粉末エアロゾル、液体送達システム、エア
ージェット噴霧器、噴霧剤システムなどが含まれる。例えば、Pattonら、
Biotechniques(1998)16:141−143;例えば、Du
ra Pharmaceuticals(San Diego、CA)、Ara
digm(Hayward、CA)、Aerogen(Santa Clara
、CA)、Inhale Therapeutic Systems(San
Carlos、CA)などによるポリペプチド高分子のための産物および吸入送
達システムを参照のこと。
【0116】 例えば、薬学的処方物は、エアロゾルまたはミストの形態で投与され得る。エ
アロゾル投与のためには、処方物は、界面活性剤および噴霧剤とともに微細に分
割された形態で供給され得る。好ましくは、界面活性剤は噴霧剤に可溶性である
。このような薬剤の代表は、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステアリン酸およびオレイン
酸のような6〜22炭素原子を含む脂肪酸の、脂肪族多水酸基アルコールまたは
その環状無水物(例えば、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール
、アラビトール、マンニトール、ソルビトール、ソルビトール由来のヘキシトー
ル無水物)とのエステルまたは部分エステル、およびこれらエステルのポリオキ
シエチレンおよびポリオキシプロピレン誘導体である。混合または天然グリセリ
ドのような混合エステルが採用され得る。界面活性剤は、組成物の0.1重量%
〜20重量%、好ましくは0.25重量%〜5重量%を構成し得る。処方物の残
りは通常噴霧剤である。代表的には、液化性噴霧剤は、周囲温度でガスであり、
そして圧力下で濃縮されている。適切な液化性噴霧剤は、ブタンおよびプロパン
のような5つまでの炭素を含む低級アルカン;および好ましくはフッ化アルカン
またはフルオロ塩素化アルカンである。上記の混合物もまた採用され得る。エア
ロゾルを生成することにおいて、適切なバルブを装着した容器に、微細に分割さ
れた化合物および界面活性剤を含む適切な噴霧剤で充填する。従って、成分は、
バルブの作用により放出されるまで高圧に維持される。例えば、Edwards
ら、Science(1997)276:1868−1871を参照のこと。
【0117】 別の実施形態では、呼吸組織に処方物を送達するためのデバイスは、処方物が
気化する吸入器である。その他の液体送達システムは、例えば、空気ジェット噴
霧器を含む。
【0118】 (5)その他の処方物 本発明の医薬を調製することで、種々の処方物の改変を用い得、そして薬物動
態学および生体内分布を改変するために操作され得る。薬物動態学および生体内
分布を改変するための多くの方法が当業者に公知である。このような方法の例は
、タンパク質、脂質(リポソーム、以下を参照のこと)、炭水化物、または合成
ポリマー(上記で論議)のような物質から構成されるベシクル中の複合体の保護
を含む。薬物動態学の一般的な論議については、例えば、Remington’
s、第37−39章、またはBanga、第6章を参照のこと。またLee、P
.I.D.ら、Pharmacokinetic Analysis.A Pr
actical Approach(Technomic Publishin
g AG、Basel、Switzerland 1996)を参照のこと。
【0119】 (6)送達の経路 本発明の方法で用いられるペプチドおよびポリペプチドは、当該分野で公知の
任意の手段、例えば全身的、領域的、または局所的に;動脈内、くも膜下腔内(
IT)、静脈内(IV)、筋肉内注射、非経口的、胸腔内、局所、経口、または
局所投与により、皮下、気管内(例えばエアロゾルにより)または経粘膜(例え
ば、頬、膀胱、膣、子宮、直腸、鼻粘膜)として、単独または薬学的組成物とし
て送達され得る。投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公
知または明らかであり、そして科学的文献および特許文献に詳細に記載されてい
る。例えば、Remington’sまたはBangaを参照のこと。投与の特
に好適な様式は、特に例えば、特定器官(例えば、脳およびCNS(例えば、G
urun Anesth Analg.(1997)85:317−323を参
照のこと)および心臓)に焦点をあてるために、「領域効果」を有することが所
望されるとき、動脈内、筋肉内注射またはくも膜下腔内(IT)注射を含む。例
えば、本発明のペプチドまたはポリペプチドを脳に直接送達することが所望され
る場合、頸動脈内注射が好適である。高い全身用量が必要である場合、非経口的
投与が送達の好適な経路である。経口耐性を誘導するペプチドの投与が治療目的
である場合、腸投与が好適な方法である。例えば、Kennedy J.Imm
unol.(1997)159:1036−1044;Kent Ann.NY
Acad.Sci.(1997)815:412−422を参照のこと。非経
口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公知または明
らかであり、そして、例えば、Remington’s、Banga第7章に詳
細に記載されている。また、Bai J.Neuroimmunol.(199
7)80:65−75;Warren J.Neurol.Sci.(1997
)152:31−38;Tonegawa J.Exp.Med(1997)1
86:507−515もまた参照のこと。
【0120】 (7)治療養生法:薬物動態学 薬学的組成物は、投与の方法に依存して種々の単位投与量形態で投与され得る
。代表的なペプチドおよびポリペプチド薬学的組成物の投与量は、当業者に周知
である。代表的には、このような投与量は、事実上熟慮され、そして特定の治療
内容、患者耐性などに依存して調節される。これを達成するために適切なキメラ
分子の量は、「治療的に有効な用量」として規定される。投与量スケジュールお
よびこの使用に有効な量、すなわち「用量養生法」は、種々の因子に依存し、こ
れには、疾患または症状の段階、疾患または症状の重篤度、患者の健康の一般的
状態、患者の肉体的状態、年令、活性薬剤の薬学的処方物および濃度などが含ま
れる。患者のための投与量養生法を算出するには、投与の様式もまた考慮される
。投与量養生法はまた、薬物動態学、すなわち、薬学的組成物の吸収速度、生物
学的利用能、代謝、クリアランスなどを考慮しなければならない。例えば、Re
mington’s:Egleton Peptides(1997)18:1
431−1439;Langer Science(1990)249:152
7−1533を参照のこと。
【0121】 治療適用には、組成物は、虚血疾患を患う患者に、疾患および/またはその合
併症を治癒または少なくとも部分的に阻止するに十分な量で投与される。これを
達成するに適切な量は、「治療的に有効な用量」として規定される。この使用の
ために有効な量は、疾患の重篤度、患者の健康の一般的状態,投与の頻度および
経路、臨床医の判断などに依存する。
【0122】 投与量は、症状の寛解または軽減を評価することによるか、または血液または
組織病理学的標本の分析のような客観的基準によって、経験的に決定され得る。
従って、本発明の組成物は、疾患の進行を阻止するため、およびこれらまたはそ
の他の症状の発症、頻度または重篤度を低減するために投与される。
【0123】 本発明のペプチドおよび複合体を含む薬学的組成物は、単独またはその他の治
療処置と組み合わせて投与され得る。組成物の単回または複数投与は、患者に必
要であって、かつ患者が耐える投与量および頻度に依存して投与され得る。
【0124】 (8)リポソーム処方物 本発明は、キメラ分子が脂質単層または二重層中に取り込まれている処方物の
ための医薬品を提供する。本発明はまた、水可溶性ペプチドまたは複合体が単層
または二重層の表面に付着した処方物を提供する。例えば、ペプチドは、ヒドラ
ジド−PEG−(ジステアロイルホスファチジル)エタノールアミン含有リポソ
ーム(例えば、Zalipsky Bioconjug.Chem.(1995
)6:705−708を参照のこと)に付着され得る。リポソームまたはインタ
クト細胞(例えば、赤血球細胞)の平面状脂質膜または細胞膜のような任意の形
態の脂質膜が用いられ得る。リポソーム処方物は、任意の手段によってであり得
、これには、静脈内、経皮的(例えば、Vutla J.Pharm.Sci.
(1996)85:5−8)、経粘膜的、または経口投与が含まれる。本発明は
また、本発明のペプチドおよび/または複合体がミセルおよび/またはリポソー
ム内に取り込まれる薬学的調製物を提供する(例えば、Suntres J.P
harm.Pharmacol.(1994)46:23−28;Woodle
Pharm.Res.(1992)9:260−265を参照のこと)。
【0125】 リポソームおよびリポソーム処方物は、標準的方法に従って調製され得、そし
て当該分野で周知である。例えば、Remington’s;Akimaru
Cytokines Mol.Ther.(1995)1:197−210;A
lving Immunol.Rev.(1995)145:5−31;Szo
ka Ann.Rev.Biophys.Bioeng.(1980)9:46
7、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号および第4,8
37,028号;これらの参考文献およびこれらの中で引用されるすべての参考
文献は参考として本明細書中に援用される、を参照のこと。1つの実施形態では
、代表的には、本発明のリポソームは、リポソームの表面上に位置するキメラ分
子複合体を、この複合体が内皮細胞上のレセプターとの相互作用に利用可能であ
るような様式で含む。米国特許第5,876,747号は、優先的に心臓および
骨格筋までたどるリポソームを記載し、そして参考として本明細書中に援用され
る。
【0126】 リポソーム荷電は、血液からのリポソームクリアランスにおける重要な決定因
子であり、負に荷電したリポソームは、網膜内皮系によってより迅速に摂取され
(Juliano、Biochem.Biophys.Res.Commun.
(1975)63:651)、そしてそれ故、血流中でより短い半減期を有する
。ホスファチジルエタノールアミン誘導体を取り込むことは、リポソーム凝集を
防ぐことによって循環時間を増大する。例えば、N−(オメガ−カルボキシ)ア
シルアミド−ホスファチジルエタノールアミンを、L−α−ジステアロイルホス
ファチジルコリンの大きな単層のベシクル中への取り込みは、インビボリポソー
ム循環寿命を劇的に増大する(例えば、Ahl Biochim.Biophy
s.Acta(1997)1329:370−382を参照のこと)。延長した
循環半減期を有するリポソームは、代表的には、治療および診断使用に所望され
る。例えば、血流中で、8、12時間から、または24時間まで維持され得るリ
ポソームは、本発明の特に好適な実施形態である。
【0127】 代表的には、リポソームは、約5〜15モル%の負に荷電した、ホスファチジ
ルグリセロール、ホスファチジルセリンまたはホスファチジルイノシトールのよ
うなホスホリピドを用いて調製される。ホスファチジルグリセロールのような、
付加された負に荷電したホスホリピドはまた、自発的なリポソーム凝集を防ぐた
めに供され、そしてそれ故小型のリポソーム凝集物形成のリスクを最小にする。
スフィンゴミエリンまたは飽和中性ホスホリピドのような膜剛直化剤は、少なく
とも約50モルパーセント、および5〜15モルパーセントのモノシアリルガン
グリオシドの濃度で、米国特許第4,837,028号に一般に記載されるよう
に、血流中のリポソーム調製物の増大した循環を提供し得る。
【0128】 さらに、リポソーム懸濁液は、貯蔵に際しフリーラジカルおよび脂質過酸化損
傷に対して脂質を保護する脂質保護薬剤を含み得る。αトコフェロールおよびフ
ェリオキシアニンのような水溶性鉄特異的キレート剤のような親油性フリーラジ
カル失活剤が好適である。
【0129】 本発明の処方物は、異質サイズの多層ベシクルを含み得る。この方法では、ベ
シクル形成性脂質は、適切な有機溶媒または溶媒系中に溶解され、そして真空下
または不活性ガス下で乾燥され、薄い脂質膜を形成する。所望であれば、この膜
は、第三級ブタノールのような適切な溶媒中に再溶解され得、次いで凍結乾燥さ
れてより容易に水和された粉末様形態にあるより均質な脂質混合物を形成する。
この膜は、ペプチドまたはポリペプチド複合体の水性溶液でカバーされ、そして
代表的には、15〜60分間に亘る攪拌により水和される。得られる多層ベシク
ルのサイズ分布は、より激しい攪拌条件下で脂質を水和することによるか、また
はデオキシコレートのような可溶化界面活性剤を添加することによって、より小
さいサイズに向かってシフトされ得る。この水和媒体は、最終リポソーム懸濁液
中のリポソームの内部容量において所望される濃度で、ペプチドまたは複合体を
含む。代表的には、この薬物溶液は、緩衝化生理食塩水溶液中に、10〜100
mg/mlの本発明のペプチドまたは複合体を含む。
【0130】 リポソーム調製に続いて、リポソームは、所望のサイズ範囲および比較的狭い
リポソームサイズの分布を達成するようにサイズ決めされる。1つの好ましいサ
イズ範囲は、約0.2〜0.4ミクロンであり、これは、従来のフィルター(典
型的には、0.22ミクロンフィルター)を通して濾過することにより、リポソ
ーム懸濁液の滅菌を可能にする。このフィルター滅菌法は、リポソームが、約0
.2〜0.4ミクロンまでサイズダウンされる場合、高出量基準に基づいて実施
される。いくつかの技術は、所望のサイズにリポソームをサイズ決めするために
利用可能である(例えば、米国特許第4,737,323号を参照のこと)。バ
ス式またはプローブ式超音波処理手順のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音
波処理は、サイズが約0.05ミクロン未満の小さな単層ベシクルまでの漸減性
サイズ調節を生じる。ホモジナイゼーションは、大きなリポソームをより小さな
リポソームに分画するための剪断エネルギーに依存する別の方法である。典型的
なホモジナイゼーション手順において、多層状ベシクルが、選択されたリポソー
ムサイズ(典型的には、約0.1と0.5ミクロンとの間)が観察されるまで、
標準の乳濁ホモジナイザーを介して再循環される。両方の方法において、粒子サ
イズ分布は、従来のレーザービーム粒子サイズ分解によりモニターされ得る。小
孔ポリカーボネート膜または非対称セラミック膜を通すリポソームの押し出しは
また、リポソームサイズを比較的良好に規定されたサイズ分布に減縮するための
有効な方法である。典型的に、懸濁液は、所望のリポソームサイズ分布が達成さ
れるまで、1回以上、その膜を通して循環される。このリポソームは、より小さ
な孔の膜を連続的に通して押し出され得、リポソームサイズの漸進的減少を達成
する。
【0131】 最も効率的な封入方法の下でさえも、初めにサイズ決めされたリポソーム懸濁
液は、遊離(カプセル化されてない)形態の50%以上までの複合体を含み得る
。いくつかの方法は、特定の処方が所望される場合、リポソーム懸濁液から補足
されていない化合物を除去するために利用可能である。1つの方法では、懸濁液
中のリポソームは、高速遠心により叩きつけられ、懸濁液中の遊離化合物および
非常に小さいリポソームを残す。別の方法は、限外濾過、次いで濃縮したリポソ
ームを置換媒体中に再懸濁することにより懸濁液を濃縮する工程を包含する。あ
るいは、ゲル濾過は、大きなリポソーム粒子を溶質分子から分離するために使用
され得る。この処理に続いて、リポソーム懸濁液は、例えば、静脈内投与、腹腔
内(IP)投与、経皮的投与、または経粘膜投与における使用のための所望の濃
度にされ得る。この方法は、リポソームが、例えば、遠心もしくは超遠心により
濃縮されている場合、適切な容積の適切な媒体中にリポソームを再懸濁すること
を含み、または薬物除去工程が、総懸濁液容積を増加する場合、懸濁液の濃縮を
含む。次いで、この懸濁液は、上記のように濾過により滅菌される。ペプチドま
たはキメラ分子を含むこれらのリポソームは、例えは、投与の様式、送達されて
いる薬物、処置されている特定の疾患に従って変化する容量で非経口的にかまた
は局所的に投与され得る。
【0132】 ミセルは、非極性領域を有する分子の溶解性を増加するために、当該分野にお
いて通常使用される。従って、当業者は、ミセルが、本発明の組成物において有
用であることを認識する。本発明の複合体を含むミセルは、当該分野において周
知である方法に従って調製される(例えば、Remington’s第20章を
参照のこと)。本発明のペプチドおよび/または複合体を含むミセルは、典型的
に標準的な界面活性剤(surfactant)または界面活性剤(deter
gent)を使用して調製される。ミセルは、水溶液中で、界面活性剤(疎水性
部分および1つ以上のイオン性さもなくば強力な親水性基を含む分子)により形
成される。固体界面活性剤の濃度が増加するにつれて、空気/水またはガラス/
水の界面に吸着されるその単分子膜は、密にパッキングされるようになるので、
さらなる占有率は、既に2つの単分子膜である界面活性剤分子の過剰の圧力を必
要とする。その濃度を超える溶解した界面活性剤の量のさらなる増加は、新たな
分子をミセルに凝集するに等しい量を引き起こす。適切な界面活性剤としては、
ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オク
タオキシエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクトキシノール9および
PLURONIC F−127(登録商標)(Wyandotte Chemi
cals Corp.)が挙げられる。好ましい界面活性剤は、静脈内(IV)
注射と両立し得る非イオン性ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン界
面活性剤(例えば、PLURONIC F−127(登録商標)、n−オクチル
−α−D−グルコピラノシドなど)である。リン脂質(例えば、リポソームの作
製における使用について記載されるリン脂質)はまた、ミセル形成のために使用
され得る。混合ミセルは、共通の界面活性剤またはリン脂質およびサブユニット
の存在下で形成され得る。本発明の混合ミセルは、サブユニット、リン脂質およ
び/または界面活性剤の任意の組み合わせを含み得る。従って、ミセルは、サブ
ユニットおよび界面活性剤、リン脂質および界面活性剤の両方と組み合わされた
サブユニット、またはサブユニットおよびリン脂質を含み得る。
【0133】 ((B)核酸ベースの治療法) 概して述べると、遺伝子治療ベクターは、それが移入された哺乳動物細胞に対
する医学的に有用な表現型効果を生じる外来性ポリヌクレオチドである。ベクタ
ーは、複製起点を有してもよいし有さなくてもよい。例えば、ベクター中に複製
起点を含むことは、患者への投与の前のベクターの増殖のために有用である。し
かし、複製起点は、そのベクターが宿主染色体DNAに組み込まれるか、または
宿主mRNAまたはDNAと結合するように設計されている場合、しばしば投与
の前に除去され得る。遺伝子治療において使用されるベクターは、ウイルス性ま
たは非ウイルス性であり得る。ウイスルベクターは、通常、患者にウイルスの構
成要素として導入される。非ウイルス性ベクター(典型的には、dsDNA)は
、裸のDNAとしてまたは移入増強ビヒクル(例えば、レセプター認識タンパク
質、リポアミン、またはカチオン性脂質)に付随して移入され得る。
【0134】 ((1)ウイスルベースの方法) ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウ
イルスおよびヘルペスウイルス)は、しばしば2つの構成要素(修飾ウイルスゲ
ノムおよびそれを取り囲むコート構造)から作製される(一般的には、Smit
hら、Ann.Rev.Microbiol.(1995)49,807−83
8を参照のこと;この参考文献およびそこに引用される全ての参考文献は、本明
細書中で参考として引用される。)が、ウイルスベクターは時々、裸の形態また
はウイルスタンパク質ではないタンパク質でコートされて導入される。最も最近
のベクターは、野生型ウイルスと同様のコート構造を有する。この構造は、ウイ
ルス核酸をパッケージおよび保護し、そして標的細胞に結合しそして侵入する手
段を提供する。しかし、遺伝子治療のために設計されたベクター中のこのウイル
ス核酸は、多くの方法で変化される。これらの変化の目的は、利用可能なパッケ
ージング細胞またはヘルパー細胞においてベクター形態を増殖するその能力を維
持している間、標的細胞中でウイルスを増殖不能にすること、外来性DNA配列
の挿入のための空間をウイルスゲノム内に提供すること、および目的の遺伝子を
コードする新たな配列を組み込みそしてその適切な発現を可能にすることである
。従って、ベクターの核酸は、一般に、以下の2つの構成要素を含む:ヘルパー
系統中に複製しそしてパッケージングするために必須のシス作動性ウイルス配列
および外来性遺伝子のための転写ユニット。他のウイルス機能は、特異的なパッ
ケージング細胞系統またはヘルパー細胞系統中にトランスで(in trans
)発現される。
【0135】 ((a)レトロウイルス) レトロウイルスは、ウイルスゲノムとして一本鎖RNAを含む大きなクラスの
エンベロープウイルスを含む。正常なウイルスのライフサイクルの間、ウイルス
RNAは、逆転写され、宿主ゲノム中に組み込まれそして長期間発現される二本
鎖DNAを生じる。結果として、感染された細胞は、宿主細胞への明確な傷害を
伴わずに連続してウイルスを減少する。ウイルスゲノムは、小さく(およそ10
kb)、そしてそのプロトタイプの組織は、極度に単純であり、gag(抗原ま
たはコアタンパク質に特異的な群);pol(逆転写トランスクリプターゼ);
およびenv(ウイルスエンベロープタンパク質)をコードする3つの遺伝子を
含む。RNAゲノムの末端は、末端反復配列(LTR)と呼ばれ、そしてプロモ
ーターおよびエンハンサーの活性および組み込みに関与する配列を含む。このゲ
ノムはまた、ウイルスRNAをパッケージングするために必要とされる配列およ
び別々のエンベロープmRNAの生成のためのスプライスのアクセプター部位お
よびドナー部位を含む。ほとんどのレトロウイルスは、複製している細胞中にの
み組み込まれ得るが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、除外されるようであ
る。この特性は、レトロウイルスの遺伝子治療のためのベクターとしての使用を
制限する。
【0136】 レトロウイルスベクターは、比較的単純であり、5’および3’LTR、パッ
ケージング配列、および目的の遺伝子からなる転写ユニットを含み、これは、典
型的には、発現カセットである。このようなベクターを増殖するために、いわゆ
るパッケージング細胞系統を使用して、失ったウイルス機能をトランスで提供し
なければならない。このような細胞は、gag、polおよびenvの組み込ま
れたコピーを含むがパッケージングシグナルを欠くように操作され、その結果、
ヘルパーウイルス配列は、キャプシド形成されなくなる。ベクターおよびパッケ
ージング細胞系統に付加されるかそれらから除去されるさらなる特質は、ヘルパ
ーウイルスによる混入のより有効なまたは減少した可能性をベクターに与えるた
めの試みを反映する。
【0137】 レトロウイルスベクターの主な利点は、それらが組み込まれ、それゆえ潜在的
に長期発現が可能であることである。それらは、比較的大量に増殖され得るが、
ヘルパースウイルスの非存在を確実にするためには注意が必要とされる。
【0138】 ((b)アデノウイルス) アデノウイルスは、直線二本鎖DNAを含む、大きなクラスの非エンベロープ
化ウイルスを含む。ウイルスの正常なライフサイクルは、分裂細胞を必要とせず
、そして大量のウイルス蓄積の間の許容細胞における生産的感染を含む。生産的
感染サイクルは、細胞培養物において約32〜36時間かかり、そして2つの相
(初期相(ウイスルDNA合成の前)および後期相(構造タンパク質およびウイ
ルスDNAが合成され、そしてウイルス粒子に組み込まれる間))を含む。一般
に、アデノウイルス感染は、ヒトにおける軽度な疾患に関連する。
【0139】 アデノウイルスベクターは、いくらか大きく、そしてレトロウイルスまたはA
AVベクターよりも複雑である。これは、ウイルスゲノムの小画分がほとんどの
現在のベクターから取り除かれることに、部分的に起因する。さらなる遺伝子が
除去される場合、この困難性が証明されるかぎり、これらは、トランスで提供さ
れ、ベクターを産生する。実際、アデノウイルスベースのベクターの一般的なタ
イプは、研究されてきた(E3−欠失ベクターおよびE1−欠失ベクター)。研
究室のストック中の野生型のくつかのウイルスは、E3領域を欠失しており、そ
してヘルパーの非存在下で増殖し得る。この能力は、E3遺伝子産物が野生型に
おいて必要ではないことを意味するのではなく、培養細胞における複製がそれら
を必要としないことのみを意味する。E3領域の欠失は、外因性DNA配列の挿
入を可能にし、生産性感染およびコードされるタンパク質の比較的大量の一過性
の合成が可能であるベクターを生じる。
【0140】 E1領域の欠失は、アデノウイルスを無効にするが、このようなベクターは、
なお増殖し得る。なぜならば、確立されたヒト細胞系統(「293」と呼ばれる
)が存在し、これは、Ad5のE1領域を含み、そしてこれは、E1タンパク質
を恒常的に発現する。アデノウイルスを含む最も最近の遺伝子治療適用は、29
3細胞内で増殖されるE1置換ベクターを利用してきた。
【0141】 アデノウイルスベクターの主な利点は、これらが広範な細胞および組織におい
て効率的にエピソーム遺伝子移入し得ること、およびそれらが容易に大量に増殖
することである。この主な利点は、ウイルスに対して応答性の宿主が、少なくと
も高用量の第1世代ベクターで、発現の持続期間および繰り返し投薬する能力を
制限するようであることである。
【0142】 ((c)アデノ随伴ウイルス(AAV)) AAVは、直線一本鎖DNAを含む、小さくて単純な非自律性ウイルスである
。Muzycka,Current Topics Microbiol.Im
munol.(1992)158,97−129を参照のこと;この参考文献お
よびそこに引用されている全ての参考文献は、本明細書中で参考として援用され
る。このウイルスは、複製のために、アデノウイルスまたは特定のウイルスでの
同時感染を必要とする。AAVは、ウイルスに対する抗体により証明されるよう
にヒト集団において広範に存在するが、いかなる公知の疾患にも関連しない。A
AVゲノム創造は、直線的であり、遺伝子を2つだけ含む(repおよびcap
)。ゲノムの末端は、約145ヌクレオチドの末端反復(ITR)配列を含む。
【0143】 AAVベースのベクターは、典型的には、目的の転写ユニットに隣接するIT
R配列のみを含む。ベクターDNAの長さは、4680ヌクレオチドのウイルス
ゲノムの長さをおおきくは伸長できない。最近、AAVベクターの増殖は、扱い
にくくそして、ベクター自体のみではなく、ヘルパー機能を提供するためにre
pおよびcapをコードするプラスミドを宿主に導入することを含む。このヘル
パープラスミドは、ITRを欠き、従って複製およびパッケージを行い得ない。
さらに、ヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス)が、しばしば必要とされ
る。AAVベクターの潜在的な利点は、ウイスルDNAの組み込みに起因して、
恐らく必要でなくともそれらが非分裂細胞において長期発現が可能であることで
ある。これらのベクターは構造的に単純であり、従って、これらは、アデノウイ
ルスと同様に宿主細胞応答を刺激し得る。現時点での主な制限は、AAVベクタ
ーを大量に増殖させることが非常に困難であることである。
【0144】 ((2)非ウイルス性遺伝子移入法) 遺伝子治療において使用される非ウイル性核酸ベクターとしては、プラスミド
、RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、メチルホスホネートまた
はホスホロチオエート)、ポリアミン、核酸、および酵母人工染色体(YAC)
が挙げられる。このようなベクターは、典型的には、タンパク質またはRNAを
発現するための発現カセットを含む。このような発現カセット中のプロモーター
は、構造的、細胞型特異的、段階特異的、および/または調節可能であり得る(
例えば、グルココルチコイド(MMTVプロモーター)のようなホルモンによる
)。転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することにより増加され得る。
エンハンサーは、プロモーターにより転写を増加する10〜300bpの間のシ
ス作動性配列である。エンハンサーは、転写ユニットに対して5’または3’の
どちらかである場合、効率的に転写を増加する。これらはまた、イントロン内ま
たはコード配列自体内に位置する場合、有効である。典型的には、SV40エン
ハンサー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマエンハンサーおよび
アデノウイルスエンハンサーを含むウイルス性エンハンサーが使用される。哺乳
動物系由来のエンハンサー配列もまた、通常使用される(例えば、マウス免疫グ
ロブリン重鎖エンハンサー)。
【0145】 全ての種類の遺伝子治療ベクターはまた、選択マーカー遺伝子を含み得る。適
切なマーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)、チ
ミジンキナーゼ遺伝子(TK)、または薬物耐性を与える原核生物遺伝子(gp
t(キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)(これは、my
cophnolic acidで選択され得る);neo(ネオマイシンホスホ
トランスフェラーゼ)(これは、G418、ヒグロマイシンまたはプロマイシン
で選択され得る);およびDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)(これは、メ
トトレキセートで選択され得る))が挙げられる(Mulligan&Berg
、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1981)78,2
072;Southern&Berg,J.Mol.Appl.Genet.(
1982)1,327)。
【0146】 組み込みの前に、ベクターは、多くのバリアーを横切らなければならなく、こ
れは、発現され続けるDNAの非常に少数画分しか生じ得ない。高レベルの遺伝
子発現に対する限定としては、以下が挙げられる:血液および組織に存在するヌ
クレアーゼに起因するベクターの損失;細胞へのDNAの無効な侵入;DNAの
細胞の核への無効な侵入および他の区画についてのDNAの優先度;核における
DNA安定性の欠如(核安定性を限定する因子は、他の細胞および細胞外区画に
影響するそれらとは異なり得る核を限定する)、染色体への組み込みの効率;お
よび組み込みの部位。
【0147】 これらの効率の潜在的な欠失は、治療に影響する産物が発現される発現カセッ
トに加えて非ウイルス性ベクター中にさらなる配列を含むことにより取り扱われ
得る。このさらなる配列は、細胞の外側および内側の両方における安定性を与え
ること、細胞への侵入を媒介すること、細胞の核への侵入を媒介すること、およ
び核DNA内での組み込みを媒介することにおける役割を有し得る。例えば、ア
プタマー様DNA構造物または他のタンパク質結合部位は、細胞表面レセプター
への、またはレセプターと結合する(これにより、細胞へのDNA移入の効率を
増加する)血清タンパク質へのベクターの結合を媒介するために使用され得る。
【0148】 他のDNA配列は、特定の区画の回避、およびエスケープまたは核への侵入が
より効率的である他の区画についての優先度を、直接的にかまたは間接的に生じ
得る。他のDNA部位および構造物は、核膜中のレセプターと、または核に移動
する他のタンパク質直接的にかまたは間接的に結合し得、これにより核によるベ
クターの取り込みを増強する。他のDNA配列は、取り込みの効率に直接または
間接的に影響する。相同組換えによる取り込みについて、重要な因子は、染色体
配列に対する相同性の程度および長さ、ならびにゲノムにおけるそのような配列
(例えば、alu反復)の頻度である。相同組換えを媒介する特定の配列はまた
、重要である。なぜならば、組み込みは、転写的に活性なDNAを、より容易に
生じるからである。相同標的構築物を構築するための方法および物質は、例えば
、Mansourら,Nature(1998)336:348;Bredle
yら、Bio/Technology(1992)10:534により記載され
る。
【0149】 非相同性で非嫡出かつ部位特異的な組換えについて、組換えは、組換えタンパ
ク質と相互作用する治療ベクター上の特異的部位(例えば、cre/loxおよ
びflp/frt系)により媒介される。例えば、Baubonis&Saue
r,Nuc.Acids Res.(1993)21,2025−2029は、
loxP部位を含むベクターがcre酵素の存在下で染色体DNA中のloxP
部位において組み込まれるようになることを報告する。
【0150】 遺伝子治療において有用な産物をコードする非ウイルス性ベクターは、手段(
例えば、リポフェクチン、微粒子銃、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム
、ポリカチオン:核酸結合体、裸のDNA、人工ウイルス粒子、薬剤により増強
されたDNAの取り込み、エキソビボ伝達)により動物に導入され得る。リポフ
ェクチンは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,78
7号および同第4,897,355号に記載され、そしてリポフェクチン試薬は
、市販される(例えば、TransfectamTMおよびLipofectin TM )。ポリヌクレオチドの効率的なレセプター認識リポフェクションに適切であ
るカチオン性脂質および中性脂質としては、Felgner,WO91/174
24、WO91/16024の脂質が挙げられる。
【0151】 ウイルス性粒子をパッケージングすることについてのサイズ制限に起因して、
ウイルスゲノムへの比較的小さな非ウイルス性ポリヌクレオチド配列のみを取り
込む、現存のウイルスベース遺伝子治療ベクターと異なり、裸のDNAまたはリ
ポフェクチン複合体は、細胞へ大きな(例えば、50〜5,000kb)外因性
ポリヌクレオチドを移入するために使用され得る。非ウイルス性ベクターのこの
特性は、特に有利である。なぜなら、100キロベースを超える治療スパンによ
り送達され得る多くの遺伝子(例えば、アミロイド前駆体タンパク質(APP)
遺伝子、ハンティングトン舞踏病遺伝子)および大きな相同標的構築物または導
入遺伝子が効率的な組み込みのために必要とされ得るからである。必要に応じて
、このような大きな遺伝子は、標的遺伝子に、2つ以上のフラグメントとして送
達され得、そして細胞内の相同組換えにより再構築され得る(WO92/039
17を参照のこと)。
【0152】 ((C)遺伝子治療の適用) 遺伝子治療ベクターは、個々の患者への投与(典型的には全身投与(例えば、
静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射もしくは頭蓋内注射))または
局所適用によりインビボで送達され得る。あるいは、ベクターは、エキソビボで
細胞(例えば、個々の患者から拡張された細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引物
、組織生検)または万能給血者造血幹細胞)に送達され得、通常は組み込まれた
ベクターを有する細胞についての選択後、患者への細胞の再移植が続く。
【0153】 ((4.)治療キット) キットは、治療的用途および診断用途のために供給され得る。1つの実施形態
において、本発明の薬学的処方物は、凍結乾燥形態であり、これは、容器内に置
かれる。複合体(これもまた標識に結合されたかまたは結合されていない)緩衝
液(例えば、Tris、リン酸塩、炭酸塩、安定剤、殺生剤、不活性タンパク質
(例えば、血清アルブミン)など)および使用のための手引きと共にキットに含
まれる。一般に、これらの物質は、約5重量%未満(複合体の量に基づく)で存
在し、そして通常少なくとも約0.001重量%(タンパク質濃度に基づく)の
総量で存在する。賦形剤が総組成物の約1重量%〜99重量%で存在し得る場合
、頻繁に、活性成分を希釈するために不活性エキステンダーまたは賦形剤を含む
ことが所望される。複合体に結合し得る抗体がアッセイに使用される場合、これ
は通常、通常別々のバイアル中に提示される。抗体は、典型的には、標識に結合
され、そして当該分野で周知の技術に従って処方される。
【0154】 (実施例) 以下の実施例は例示のために提供されるが、特許請求された本発明を限定しな
い。
【0155】 (実施例1) (CHO細胞における野生型VEGF−B167の発現) VEGF−BのVEGF−B167スプライス変異体は、哺乳動物細胞から発現
および分泌された後、内皮細胞においてマイトジェン活性を示す非グリコシル化
および細胞関連逆方向ダイマーである(例えば、Eriksson,U.および
K.Alitalo Curr Top Microbiol Immunol
.(1999)237:41−57を参照のこと)。野生型(wt)VEGF−
167分子は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現され、
そしてさらに、本発明の標的化ペプチドとの化学結合に使用される。CHO細胞
は、産生宿主として選択され得る。なぜなら、フォールディングの矯正およびc
ys−リッチタンパク質の二量体化は、哺乳動物細胞において優先的に生じるか
らである。E.coliまたは酵母pichia pastorisにおける発
現は、代替手順であり得、そして変性剤中での封入体の可溶化およびリフォール
ディングを必要とする。
【0156】 (プラスミドpVEGF−Bwt167の構築およびCHO細胞におけるVE
GF−B167の発現) 以下の材料および方法に記載されるように、プラスミドを構築する。このプラ
スミドにおいて、VEGF−B167cDNAをSV40初期プロモーターにより
調節する。ATC開始コドンのすぐ上流で、真核生物細胞における翻訳に最適な
コンテキストにDNA配列を変化する。dhfr−欠失CHO細胞におけるプラ
スミドpVEGF−Bwt167およびpSV−rdhrf(マウスDHFR選
択マーカーを含む)の同時トランスフェクションおよび選択は、VEGF−B16 7 を発現する細胞クローンを生じる(例えば、Urlaub,G.およびL.A
.Chasin.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)
77:4216−4220を参照のこと)。CHO細胞の同時トランスフェクシ
ョンおよび選択を、標準細胞培養手順を使用して行う(例えば、Ausebel
,F.M.(編)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECUL
AR BIOLOGY,John Wiley&Sons,Inc.1996.
およびHerlitschkaら、Protein Expression a
nd Purification(1996)8:358−364を参照のこと
)。VEGF−B特異的ペプチドでウサギを免疫することより得られる抗体を使
用する当該分野で公知の方法に従って、細胞培養上清のウエスタンブロッティン
グにより発現についてのスクリーニングを行う(例えば、Towbin,H.ら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:4350
−43554を参照のこと;Olofsson,B.ら、J Biol Che
m(1996)271:19310−7もまた参照のこと;これらの参考および
本明細書中に列挙された参考は、本明細書中に参考として援用される)。
【0157】 安定高発現CHOクローンは、生物工学における標準手順を使用するVEGF
−B167を産生するために使用される(例えば、Gomperts,E.ら、R
ecombinate,Transf.Med.Rev.(1992)6:24
7−251を参照のこと)。
【0158】 (発現プラスミドpVEGF−Bwt167の構築) プラスミドpVEGF−Bwt167は、ファージλ gt11−VEGF−
Bst167由来の580bpのPCR産物の、発現プラスミドpSI(Pro
mega,Inc.)への挿入によって構築される。このファージは、λ g1
1(Clonthech,Inc.より入手可能)におけるヒト線維肉腫cDN
Aライブラリーのスクリーニングより得られる。PCR反応は、Advanta
ge KlenTaq Polymerase Mix system(Clo
ntech.Inc.)を使用して、1ngのプラスミドテンプレート、0.5
μMのプライマー、P−wt167(1)5−GATCGCTAGCGGCAG
CATGAGCCCTCTGCTCCGCCGCCTG−3’およびP−wt1
67(2)5’−TGACGCGGCCGCTCACCTTCGCAGCTTC
CGGCACCTGCAG−3’、ならびに0.2mM dNTPを含む100
μlの最終容量で、93℃30秒間、55℃30秒間、72℃30秒間の30サ
イクルの条件、次いで72℃で10分間の伸長(Pharmacia LKB
Gene ATAQ Controller PCR systemにおける)
を使用して行われる。PCR産物をゲル精製し、NheIおよびNotIで消化
し、そしてNheI/NotI切断プラスミドpSIに連結する。得れれるプラ
スミドを、pVEGF−Bwt167と名付ける。
【0159】 (実施例2) (ペプチドGGGVFWQのVEGF−B167への結合) (原理) N末端でブロックされたペプチドは、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)
の存在下で、水容性カルボジイミドEDC(N−エチル−N’(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミドによってC末端で活性化される。次いで、活性化
されたペプチドは、VEGF分子の第1のアミノ基と反応する。pHを注意深く
調節することによって、この反応の、VEGF−B167分子のN末端への配向が
可能となる(例えば、Staros,J.ら、Anal.Biochem.(1
986)156:220−222およびWong,S.S.,「Applica
tion of Chemical Crosslinking to Sol
uble Proteins」:CHEMISTRY OF PROTEIN
CONJUGATION AND CROSSLINKING,(CRC Pr
ess Inc.1993)第221頁〜229頁;これらの参考およびそこに
列挙される参考は、本明細書中に参考として援用される)。
【0160】 (方法) 1μMの精製ペプチドを、少量のDMSOに溶解し、そしてさらに1mMの溶
液を得るまで、緩衝液で希釈した。EDCおよびNHSを10倍のモル濃度過剰
で添加し、そして反応を2時間室温で起こさせた。次いで、混合物を、VEGF
−B167の溶液(緩衝液中)に移す。pHを制御し、必要な場合、6.8に調節
する。反応を、40℃で、さらに18時間進行させる。VEGF−B167/VE
GF−Bキメラ分子由来の遊離のペプチドの分離は、ゲル濾過によって達成され
得る。その混合物をSepahdex G25で充填されたカラムにアプライし
、そしてタンパク質を空隙容量に収集するが、未反応のペプチドおよび低分子産
物を後で溶出する。
【0161】 VEGFキメラ分子結合体の純度を、SDS−PAGE、HPLC、N−末端
配列決定および分光測光法のような標準技術によってアッセイする。結合体の絶
対質量を、質量分析によって決定する。これは、結合したペプチドの量について
の情報およびVEGF上のペプチドの位置についての情報をまた提供する。理想
的なモル濃度結合比は、ペプチドがVEGFのN末端に位置するときに達成され
る。結合体の生物学的な活性は、適切な動物および/または培養試験によって決
定される。
【0162】 (実施例3) (C末端伸長ペプチドGGGVFWQのVEGF−B167への結合) (原理) 標的化ペプチドレセプターに対するBEGFレセプターresp.への、VE
GF−Bキメラ分子の結合の間の立体化学的な障害を避けるために、ペプチドは
、C末端でいくつかの付加的なアミノ酸伸長され得る。C末端スペーサーは、最
大限に柔軟であるべきであるが、それらの特定のレセプターに対するVEGFの
結合メカニズムおよび/またはペプチドを妨害しない。通常、ポリGlyまたは
ポリAla配列は、これらの要求を満たす。
【0163】 (方法) 結合は、上記の実施例2に記載されるように、達成され得る。
【0164】 (実施例4) (スペーサードメインを有するヘテロ二機能性試薬を使用することによるペプ
チドGGGVFWQのVEGF−B167への結合) (原理) ペプチドの結合はまた、ペプチドのN末端の、ヘテロ二機能性架橋剤(例えば
、SMBP)のアミノ反応性部分との反応によって達成され得、次いで活性化さ
れたペプチドは、VEGF−B167の到達できるスルフヒドリル基と反応し、チ
オエーテル結合を形成する(例えば、Staros,J.ら、Methods
Enzymol.(1989)172,609およびWong,S.S.、「A
pplication of Chemical Crosslinking
to Soluble Proteins」:CHEMISTRY OF PR
OTEIN CONJUGATION AND CROSSLINKING、(
CRC Press Inc.1993)、第221頁〜229頁を参照のこと
)。SMBPを使用する場合、スペーサーの長さは、1.5nmのオーダーであ
る。以下のことに留意すべきである:結合反応に関与するスルフヒドリル基は、
レセプタータンパク質への結合に重要ではない。
【0165】 (方法) 遊離のN末端を含む1μMのペプチドを、DMSO/緩衝液に溶解する。10
倍モル濃度過剰のSulfo−SMBP(スルホスクシンイミジル4−(p− マレイミドフェニル)ブチレート)を添加する。1時間室温でのペプチドの活性
化後、等モル濃度量のVEGF−B167を添加する。この結合反応を、18時間
40Gで進行させる。VEGF−B/VEGF−Bキメラ分子からの遊離のペプ
チドの分離は、上記のゲル濾過を使用して達成され得る。
【0166】 (実施例5) (ペプチドGGGVGWQのVEGF−B167への非共有結合) (原理) イオン相互作用は、タンパク質構造を形成する際の1つの優性な力である。高
分子に反対の電荷の領域を導入することによって、2つの反応パートナーの間の
タイトな複合体を形成することが可能になり、それらはまた生理学的な条件で安
定である。これらの荷電されたアミノ酸の導入は、両方の分子の機能と適合する
べきである。
【0167】 (方法) ペプチドGGGVFWQは、NまたはC末端で、4〜5の荷電されたアミノ酸
(正の荷電の導入のためにリジン、アルギニン、負の電荷の導入のためのグルタ
ミンまたはアスパラギン酸)のストレッチによって改変されなければならない。
VEGF−B167はまた、好ましくは、4〜6の荷電されたアミノ酸の配列でN
末端で伸長されるべきある。一旦、反応パートナーが、合成され、そして適切な
程度の質まで精製されると、複合体は、等量の反対に荷電された反応パートナー
と混合するだけで容易に形成され得る。結合体からの未反応の分子の分離は、イ
オン交換クロマトグラフィーを使用して達成され得る。
【0168】 イオン性複合体の形成は、異なる分析的な道具によってモニタリングされ得る
。例えば、マイクロ熱量測定または表面プラズモン共鳴は、キメラ分子の化学量
論および結合特性についての情報を与え得る。
【0169】 上記の実施例3に類似の、実施例4および5に記載の結合方法はまた、伸長さ
れたペプチドで行われ得、ペプチドとVEGF−B167との間の適切な距離を可
能にする。
【0170】 (実施例6) (VEGF−B167の、Hisタグ化ペプチドGGGVFWQへの結合) (原理) 遊離のVEGF−B167からのVEGFキメラ分子の完全な分離が必要である
場合、ペプチドは、NまたはC末端で、4〜6のヒスチジン分子のストレッチを
用いて伸長され得る。次いで結合反応は、実施例2または5に従って行われる。
VEGFR−Bキメラ分子の捕捉のために、金属アフィニティークロマトグラフ
ィーのアプローチが使用され得る(Porath,J.ら、Nature(19
75)258:598−599)。
【0171】 (方法) 実施例2に従った結合反応の完了後、反応混合物を、ニッケルキレートゲルを
充填したカラムを通過させる。多量体ヒスチジンを含むすべての分子は、このカ
ラムに結合する。カラムの洗浄後、結合したタンパク質/ペプチドを、イミダゾ
ールを含む緩衝液で溶出する。遊離のペプチドからの結合体の分離は、上記のゲ
ル濾過によって再び行われる。
【0172】 (実施例7) (ペプチドCRSWNKADNRSCのVEGF−B167への結合) NおよびC末端のアミノおよびカルボニル基に加えて、このペプチドは、VE
GF−B167への結合に使用され得る2つの機能的なスルフヒドリル基およびリ
ジンの1つのアミノ基を有する。環状構造において、ペプチドを使用する必要が
ある場合、アミノおよびカルボキシ基のみが利用可能である。なぜなら、ペプチ
ドにはより反応性の基が存在するので、理論的な副産物の量が増加する。
【0173】 (方法) 1nMの可溶性VEGF−B167を、10倍モル濃度過剰のスルホ(sulf
o)−SMCC(スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シク
ロヘキサン−1−カルボキシレート)で、pH6.8で、1時間室温で活性化す
る。このpHで、活性化は、好ましくはVEGF−B167のN末端アミノ基で生
じる。優性な副反応は、内部の遊離SH基での分子内架橋であり、従って、10
nMの減少されたペプチドを添加し、そして反応を4℃で18時間進行させる。
反応産物を、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーま
たは逆相クロマトグラフィーによって精製する。Hisタグ化ペプチドを使用す
ることによって、精製はまた、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを
使用して行われ得る。1つまたは両方の反応パートナーに対する利用可能な抗体
が存在する場合、精製はまた、免疫アフィニティークロマトグラフィーによって
容易になり得る。実施例1〜6に記載される同じ化学反応がまた、使用され得る
【0174】 (実施例8) (VEGF−B167に対する標的化ペプチドGGGVFNQおよびCRSWN
KADNRSCのカルボキシ末端(Ct)融合) (プラスミドpVEGF(BHG4S)3、−GGGVFNQおよびpVEG
F(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSCの構築およびCHO細胞に
おけるキメラ分子の発現) 標的化ペプチドNH2−GGGVFWQ−COOHおよびNH2−CRSWNK
ADNSC−COOHを、NH2−(GGGGS)×3−COOHヒンジ領域を
介してVEGF−B167分子のC末端に、それぞれ融合する。この型のリンカー
は、通常、1本鎖抗体における重鎖および軽鎖を柔軟に連結するために使用され
る;あるいは、ヒト免疫グロブリン遺伝子に他の連結ペプチド(例えば、存在す
る天然のヒンジ領域)または、オリゴプロリンあるいはオリゴグリシンリンカー
が、使用され得る。さらに、リンカーペプチドは、VEGF−B167のC末端と
そのリンカーとの間に位置するプロテアーゼ切断部位(例えば、プラスミン切断
部位)を含み得、正常または虚血の心臓に対する高親和性標的化後の、ネイティ
ブなVEGF−B167分子の放出を可能にする。リンカーの柔軟性のせいで、C
末端融合ペプチドは、レセプター結合を妨害しない。
【0175】 一連のモジュラープラスミドを構築し、最終的にプラスミド、pVEGF(B
)−(G4S)3−GGGVFNQおよびpVEGF(B)−(G4S)3−CR
SWNKADNRSCを得る(以下の材料および方法を参照のこと)。中間のプ
ラスミドpvegf−ss(1)は、VEGF−Bシグナル配列、続いてHin
cII制限部位を提供し、野生型VEGF−B167配列または任意の他の所望の
N末端融合タンパク質のいずれかの便利な挿入を可能にする(実施例「N末端融
合」を参照のこと)。最終構築物、プラスミドpVEGF(B)−(G4S)3
−GGGVFNQおよびpVEGF(B)−(G4S)3−CRSWNKADN
RSCは、CHO細胞にトランスフェクトされる。選択マーカーでの同時トラン
スフェクション、CHO細胞クローンの選択およびタンパク質の産生を、標準細
胞培養および生物工学手順を使用して行い得る(例えば、実施例1を参照のこと
)。キメラタンパク質の精製を、標準タンパク質化学手順(アニオンおよび/ま
たはカチオン交換樹脂を使用するクロマトグラフィー、ゲル濾過またはアフィニ
ティークロマトグラフィー)に従って行う。
【0176】 (材料および方法) (プラスミドの構築) (pSI−vegf−MCS(1)) 第1の工程において、市販のベクターpSI(Promega)を、標準条件
を使用して、クレノウポリメラーゼを用いて処理されたBglIIで切断しそし
て再連結する。生じる中間プラスミドを、pSI−Bと称する。続いて、pSI
−Bを、NheIおよびNotIで消化し、そしてアニールされたオリゴヌクレ
オチド、P−vegfMCS(1)5’−CTAGTACGTATCTAGAG
TCGAACACTAGTAGATCTGATATCGCTAGCCTCGAG
GCGGCGCCACGTGTACGTGTACGTAGGCC−3’およびP
−vegfMCS(2)5’−GGCCTACGTACACGTGGCGGCC
GCCTCGAGGCTAGCGATATCAGATCTACTAGTGTCG
ACTCTAGATACGTA−3’と連結する。生じるプラスミドをプライマ
ー、P−4371(5’−AATACGACTCACTATAG−3’)を使用
して配列決定し、そしてpS1−vegfMCS(1).pvgeg−ss(1
)と称する。アミノ酸コドンPro22、Val23およびAsp27を含むVEGF
−B167シグナル配列Met1−Ala21をコードするDNAストレッチの挿入は
、Xba1/SalI切断ベクター、pSI−vegf−MCS(1)を、アニ
ールされたオリゴヌクレオチド、P−ss(1)5’−CTAGGCCACCA
TGAGCCCTCTGCTCCGCCGCCTGCTGCTCGCCGCAC
TCCTGCAGCAGCTGGCCCCCGCCCAGGCCCCGT−3’
およびP−ss(2)5’−TCGACAGGGGCCTGGGCGGGGGC
CAGCTGCAGGAGTGCGGCGAGCAGCAGGCGGCGGAG
CAGAGGGCTCATGGTGGC−3’と連結することによってなす。挿
入領域は、配列決定(プライマー、p−4371)され、そして生じるプラスミ
ド15は、pvegf−ss(1)と名付けられる。アミノ酸コドンVal23
よびAsp27は、HincII制限領域を形成する。これは、野生型VEGF−
167配列(コドンSer24Gln25およびPro26)または任意の所望のN末
端融合ペプチドのいずれかの便利な挿入を可能にする。
【0177】 (pvegf−d24/26) ベクター、pvegf−d24/26を構築するために、アミノ酸残基Asp 27 〜Arg188に対応するVEGF−B167コード配列を、500bpPCR産物
として、プライマー、2−27/167(1)5’−GATCGTCGACGCC
CCTGGCCACCAGAGGAAAGTGG−3’およびP−27/167
2)5’−GATCAGATCTTCGCAGCTTCCGGCACCTGCA
GGTG−3’を使用して標準PCR反応で増幅した。PCR産物を、SalI
/Bg1llで消化し、そして生じる486bpのフラグメントを、SalI/
BgIll切断プラスミドpvegf−ss(1)にクローン化する。
【0178】 (pvegf−d24/26−dH) 1つのHpal部位を欠失するために、pvegf−d24/26をHpaI
で消化し、そしてヘキサヌクレオチドP−AgeI(1)5’−ACCGGT−
3’(Agel部位)で連結し、プラスミドpvegf−d24/26−dHを
生じる。
【0179】 (pVEGF(B)−F) プラスミドpvegf−d24/26.dHを、HincIIで消化し、そし
てアニールされたオリゴヌクレオチドP−24/26(I)5’−TCCCAG
CCT−3’、およびP−24/26(2)5’−AGGCTGGGA−3’と
連結する。オリゴヌクレオチドの正確な(センス)挿入を、プライマーP437
1を使用する配列決定によって確認し、そして生じるプラスミドをpVEGF(
B)−Fと名付ける。アンチセンス配向に挿入されたオリゴヌクレオチドを有す
るアンチセンス構築物はまた単離され、そしてpVEGF(B)アンチセンスと
称される。
【0180】 (PVEGF(B)−(G4S)3) ベクター、pVEGF(B)−(G4S)3の構築を完成するために、アニー
ルされたオリゴヌクレオチドP−Li(1)5’−GATCTGGCGGCGG
CGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCTC
TG−3’、および(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)×3リンカー
配列をコードするP−Li(2)5’CTAGCAGAGCCGCCGCCGC
CGCTGCCGCCGCCGCCGCTGCCGCCGCCGCCA−3’を
、BglII/NheI切断ベクターpVEGF(B)−Fに挿入する。
【0181】 (PVEGF(B)G4S)3−GGGVFNQ) pVEGF(B)−(G4S)3−GGGVFNQの構築を、NheI/No
tI切断ベクターpVEGF(B)−(G4S)3の、アリールされたオリゴヌ
クレオチドP−D(1)5’−CTAGCGGCGGGGGCGTGTTCTG
GCAGTAAGC−3’、およびP−D(2)5’−GGCCGCTTACT
GCCAGAACACGCCCCCGCCG−3’の連結によってなす。標的ペ
プチドNH2−GGGVPWQ−COOHをコードするDNA配列を含むプラス
ミドpVEGF(B)−(G4S)3、−GGGVFNQを、NH2−(GGGG
S)×3−COOHヒンジ領域を介してVEGF−B167cDNAのC末端に融
合する。
【0182】 (pVEGF(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSC) pVEGF(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSCの構築を、Nh
eI/NotI切断ベクターpVEGF(B)−(G4S)の、アニールされた
オリゴヌクレオチド、P−CRSWNKADNRSC(1)5’−CTAGCT
GCCGCAGCTGGAACAAACCCGACAACCGCAGCTGCT
AAGC−3’およびP−CRSWNKADNRSC(2)5’−GGCCGC
TTAGCAGCTGCGGTTGTCGGCTとの連結によって行った。
【0183】 (実施例9) (標的化ペプチドCRSWNKADNRSCの、VEGF−B186へのアミノ
末端(Nt)融合) (プラスミド、pVEGF(B)−Nt−CRSWNKADNRSCの構築お
よびCHO細胞におけるキメラ分子の発現) シグナルペプチドとVEGF−B186分子のN末端との間に、NH2−(GGG
GS)×3−COOHヒンジ領域を介して挿入されたプラスミド、pVEGF(
B)−Nt−CRSWNKADNRSCは、心臓組織標的化ペプチドNH2−C
RSWNKADNRSC−COOHをコードするDNAを含む。機能的エレメン
トを含む他のリンカーペプチドは、使用され得る(上記の実施例8を参照のこと
)。N末端融合は、標的化分使用の欠失なしでVEGF−B186分子で生じる天
然のタンパク質分解プロセシングを可能にする。N末端は、二量体VEGF分子
の膜結合表面に対して遠位に位置するようであるので、融合された標的化ペプチ
ドは、立体的な妨害なしに、そのレセプターと相互作用し得る。実施例8に記載
される一連の調節プラスミドの一部はさらに、プラスミド、pVEGF(B)−
Nt−CRSWNKADNRSCを構築するために使用される(材料および方法
を参照のこと)。最終構築物は、CHO細胞にトランスフェクトされる。選択マ
ーカーでの同時トランスフェクション、CHO細胞クローンの選択およびタンパ
ク質の産生は、標準細胞培養および生物工学手順を使用して行われる(実施例1
を参照のこと)。キメラタンパク質の精製は、標準タンパク質化学手順に従って
行われる。
【0184】 (材料および方法) (プラスミドの構築) (pVEGF(B)186−d24/26) pVEGF(B)186−d24/26の構築は、pvegf−d24/26
(実施例8を参照のこと)の、SalIおよびBglIIでの消化によってなさ
れる。492bpのフラグメントを、ゲル精製によって除去する。この工程は、
プラスミドpvegf−d24/26−H(実施例8を参照のこと)由来のVE
GF(B)167のアミノ酸Asp27〜Arg188をコードするDNA配列
を欠失する。続いて、VEGF(B)186のアミノ酸Asp27−Ala207
コードする533bpのSalI/BglII切断PCR産物を挿入する。PC
Rを、プライマーp−27/167(1)ならびにP−27/186(1)(5
’−TGACAGATCTCTAAGCCCCGCCCTTGGCAACGGA
GG−3’)およびテンプレートとしてのVEGF(B)186cDNAを使用
して、標準PCR反応のように行う。VEGF(B)167の最終プラスミド、
pVEGF(B)186−d24/26アミノ酸Asp27〜Arg188において
は、VEGF(B)186のアミノ酸Asp27〜Ala207によって置換され、
アミノ酸Met1〜Val23は、両方のVEGF(B)形成に共通であるが、ア
ミノ酸Ser24、Gln25およびPro26は、まだ欠いている。
【0185】 (pVEGF(B)186−Nt−R13) pVEGF(B)186−Nt−CRSWNKADNRSCの構築を、Hin
dII切断ベクターpVEGF(B)186−d24/26の、アニールされた
オリゴヌクレオチドP−Nt−CRSWNKADNRSC(1)5’−TGCC
GCAGCTGGAACAAAGCCGACAACCGCAGCTGCTCCC
AGCCT−3’およびP−Nt−CRSWNKADNRSC(2)5’−AG
GCTGGGAGCAGCTGCGGTTGTCGGCTTTGTTCCAGC
TGCGGCA−3’との連結によって行う。反対の方向に挿入されたオリゴヌ
クレオチドを含むプラスミドはまた単離され、そしてpVEGF(B)186−
Nt−アンチセンスを名付ける。
【0186】 本明細書中に記載される実施例および実施形態は、例示の目的のみであり、そ
してそれに関する種々の変更および変化が当業者に示唆され、そして本出願およ
び添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることが理解される。本明
細書中に列挙されたすべての刊行物、特許および特許出願は、あらゆる目的のた
めにその全体が参考として本明細書中に援用される。
【手続補正書】
【提出日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】 ((B)好ましい標的化分子) 本発明の好ましい標的化分子は、上に記載されそして以下で参照される、イン
ビボでのパニング手順を使用して、GGGVFWQ、HGRVRPH、VVLV
TSS、CLHRGNSC、およびCRSWNKADNRSC(それぞれ、配列 番号1〜5) からなる群から選択される、アミノ酸配列を含む。GGGVFWQ
、HGRVRPH、VVLVTSS、およびCLHRGNSC(それぞれ、配列 番号1〜4) のペプチドは、正常な心臓内皮に選択的に結合する。より具体的に
は、GGGVFWQ(配列番号1)ペプチドは、正常な心臓脈管に対して5倍の
濃縮を示し、一方でHGRVRPH、VVLVTSS、CLHRGNSC(配列 番号2〜4) のペプチドは、正常な心臓血管に対して2倍の濃縮を示した。CR
SWNKADNRSC(配列番号5)ペプチドは、虚血性心筋層に対して5倍の
濃縮を示した。これらのペプチドが同定された方法、およびこれらの特性の詳細
は、本願と同日に出願されたU.S.S.N. [Campbell&Flo
res LLP代理人文書番号P−LJ3512]に記載され、この出願は、特
に本明細書中に参考として援用される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0158】 (発現プラスミドpVEGF−Bwt167の構築) プラスミドpVEGF−Bwt167は、ファージλ gt11−VEGF−
Bst167由来の580bpのPCR産物の、発現プラスミドpSI(Pro
mega,Inc.)への挿入によって構築される。このファージは、λ g1
1(Clonthech,Inc.より入手可能)におけるヒト線維肉腫cDN
Aライブラリーのスクリーニングより得られる。PCR反応は、Advanta
ge KlenTaq Polymerase Mix system(Clo
ntech.Inc.)を使用して、1ngのプラスミドテンプレート、0.5
μMのプライマー、P−wt167(1)5−GATCGCTAGCGGCA
GCATGAGCCCTCTGCTCCGCCGCCTG−3’(配列番号6) およびP−wt167(2)5’−TGACGCGGCCGCTCACCTTC
GCAGCTTCCGGCACCTGCAG−3’(配列番号7)、ならびに0
.2mM dNTPを含む100μlの最終容量で、93℃30秒間、55℃3
0秒間、72℃30秒間の30サイクルの条件、次いで72℃で10分間の伸長
(Pharmacia LKB Gene ATAQ Controller
PCR systemにおける)を使用して行われる。PCR産物をゲル精製し
、NheIおよびNotIで消化し、そしてNheI/NotI切断プラスミド
pSIに連結する。得れれるプラスミドを、pVEGF−Bwt167と名付け
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】 (実施例2) (VEGF−B167へのペプチドGGGVFWQ(配列番号1)の結合) (原理) N末端をブロックされたペプチドは、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)
の存在下で、水容性カルボジイミドEDC(N−エチル−N’(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミドによってC末端で活性化される。次いで、活性化
されたペプチドは、VEGF分子の第1級アミノ基と反応する。pHを注意深く
調整することによって、この反応が、VEGF−B167分子のN末端へ指向する
ことが可能となる(例えば、Staros,J.ら、Anal.Biochem
.(1986)156:220−222およびWong,S.S.,「Appl
ication of Chemical Crosslinking to
Soluble Proteins」:CHEMISTRY OF PROTE
IN CONJUGATION AND CROSSLINKING,(CRC
Press Inc.1993)第221頁〜229頁;これらの参考文献お
よびそこに列挙される参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0162
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0162】 (実施例3) (VEGF−B167へのC末端伸長ペプチドGGGVFWQ(配列番号1)
結合) (原理) 標的化ペプチドレセプターに対するVEGFレセプターresp.への、VE
GF−Bキメラ分子の結合の間の立体障害を避けるために、ペプチドは、C末端
でいくつかの付加的なアミノ酸により伸長され得る。C末端スペーサーは、最大
限に柔軟であるべきであるが、それらの特定のレセプターへのVEGFおよび/
またはペプチドの結合メカニズムを妨害しない。通常、ポリGlyまたはポリA
la配列は、これらの要求を満たす。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0164
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0164】 (実施例4) (スペーサードメインを有するヘテロ二官能性試薬を使用することによるVE
GF−B167へのペプチドGGGVFWQ(配列番号1)の結合) (原理) ペプチドの結合はまた、ペプチドのN末端を、ヘテロ二官能性架橋剤(例えば
、SMBP)のアミノ反応性部分と反応させることによって達成され得、次いで
活性化されたペプチドは、VEGF−B167の到達できるスルフヒドリル基と反
応し、チオエーテル結合を形成する(例えば、Staros,J.ら、Meth
ods Enzymol.(1989)172,609およびWong,S.S
.、「Application of Chemical Crosslink
ing to Soluble Proteins」:CHEMISTRY O
F PROTEIN CONJUGATION AND CROSSLINKI
NG、(CRC Press Inc.1993)、第221頁〜229頁を参
照のこと)。SMBPを使用する場合、スペーサーの長さは、1.5nmのオー
ダーである。以下のことに留意すべきである:結合反応に関与するスルフヒドリ
ル基は、レセプタータンパク質への結合に必須ではない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0166
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0166】 (実施例5) (VEGF−B167へのペプチドGGGVGWQ(配列番号1)の非共有結合
) (原理) イオン相互作用は、タンパク質構造を形成する際の1つの優性な力である。高
分子に反対の電荷の領域を導入することによって、2つの反応パートナーの間の
密接な複合体を形成することが可能になり、それらはまた生理学的な条件で安定
である。これらの荷電アミノ酸の導入は、両方の分子の機能と適合しなければな
らない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0167
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0167】 (方法) ペプチドGGGVFWQ(配列番号1)は、NまたはC末端で、4〜5の荷電
アミノ酸(正の荷電の導入のためのリジン、アルギニン、負の電荷の導入のため
のグルタミン酸またはアスパラギン酸)のストレッチによって改変されなければ
ならない。VEGF−B167はまた、好ましくは、4〜6の荷電アミノ酸の配列
でN末端で伸長されなければならない。一旦、反応パートナーが、合成され、そ
して適切な程度の質まで精製されると、複合体は、等量の反対に荷電された反応
パートナーと混合するだけで容易に形成され得る。結合体からの未反応の分子の
分離は、イオン交換クロマトグラフィーを使用して達成され得る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】 (実施例6) (VEGF−B167の、Hisタグ化ペプチドGGGVFWQ(配列番号1)
への結合) (原理) 遊離のVEGF−B167からのVEGFキメラ分子の完全な分離が必要である
場合、ペプチドは、NまたはC末端で、4〜6のヒスチジン分子のストレッチを
用いて伸長され得る。次いで結合反応は、実施例2または5に従って行われる。
VEGFR−Bキメラ分子の捕捉のために、金属アフィニティークロマトグラフ
ィーのアプローチが使用され得る(Porath,J.ら、Nature(19
75)258:598−599)。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0172
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0172】 (実施例7) (VEGF−B167へのペプチドCRSWNKADNRSC(配列番号5)
結合) NおよびC末端のアミノおよびカルボニル基に加えて、このペプチドは、VE
GF−B167への結合に使用され得るリジンの2つの機能的なスルフヒドリル基
およびリジンの1つのアミノ基を有する。環状構造において、ペプチドを使用す
る必要がある場合、アミノおよびカルボキシ基のみが利用可能である。なぜなら
、ペプチドにはより反応性の基が存在するので、理論的な副産物の量が増加し得
る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0174】 (実施例8) (VEGF−B167への標的化ペプチドGGGVF(配列番号1)および
CRSWNKADNRSC(配列番号5)のカルボキシ末端(Ct)融合) (プラスミドpVEGF(B)−( 4 S)3、−GGGVFQおよびpVE
GF(B)−(G 4 S)3−CRSWNKADNRSCの構築ならびにCHO細胞
におけるキメラ分子の発現) プラスミドpVEGF(B)−(G 4 S)3−GGGVFQおよびpVEGF
(B)−(G 4 S)3−CRSWNKADNRSCは、NH2−(G 4 S) 3(配列
番号8)−COOHヒンジ領域を介してVEGF−B167分子のC末端に、それ
ぞれ融合される標的化ペプチドNH2−GGGVFWQ−COOH(配列番号1
およびNH2−CRSWNKADNRSC−COOH(配列番号5)をコード
するDNA配列を含む。この型のリンカーは、通常、1本鎖抗体における重鎖お
よび軽鎖を柔軟に連結するために使用される;あるいは、ヒト免疫グロブリン遺
伝子に他の連結ペプチド(例えば、天然のヒンジ領域が表す)または、オリゴプ
ロリンリンカーもしくはオリゴグリシンリンカーが、使用され得る。さらに、リ
ンカーペプチドは、VEGF−B167のC末端とそのリンカーとの間に位置する
プロテアーゼ切断部位(例えば、プラスミン切断部位)を含み得、正常または虚
血の心臓に対する高親和性標的化後の、ネイティブなVEGF−B167分子の放
出を可能にする。リンカーの柔軟性に起因して、C末端融合ペプチドは、レセプ
ター結合を妨害しない。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0175】 一連のモジュラープラスミドを構築し、最終的にプラスミド、pVEGF(B
)−(G 4 S)3−GGGVFQおよびpVEGF(B)−(G 4 S)3−CRS
WNKADNRSCを得る(以下の材料および方法を参照のこと)。中間のプラ
スミドpvegf−ss(1)は、VEGF−Bシグナル配列、続いてHinc
II制限部位を提供し、野生型VEGF−B167配列または任意の他の所望のN
末端融合タンパク質のいずれかの都合のよい挿入を可能にする(実施例「N末端
融合」を参照のこと)。最終構築物、プラスミドpVEGF(B)−(G 4 S) 3 −GGGVFQおよびpVEGF(B)−(G 4 S)3CRSWNKADNRS
Cは、CHO細胞にトランスフェクトされる。選択マーカーとの同時トランスフ
ェクション、CHO細胞クローンの選択およびタンパク質の産生を、標準細胞培
養および生物工学手順を使用して行い得る(例えば、実施例1を参照のこと)。
キメラタンパク質の精製を、標準タンパク質化学手順(アニオンおよび/または
カチオン交換樹脂を使用するクロマトグラフィー、ゲル濾過またはアフィニティ
ークロマトグラフィー)に従って行う。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】 (材料および方法) (プラスミドの構築) (pSI−vegf−MCS(1)) 第1の工程において、市販のベクターpSI(Promega)を、標準条件
を使用して、クレノウポリメラーゼを用いて処理されたBglIIで切断しそし
て再連結する。生じる中間プラスミドを、pSI−Bと称する。続いて、pSI
−Bを、NheIおよびNotIで消化し、そしてアニールされたオリゴヌクレ
オチド、P−vegfMCS(1)5’−CTAGTACGTATCTAGAG
TCGACACTAGTAGATCTGATATCGCTAGCCTCGAGG
CGGCGCCACGTGTACGTGAGGCC−3’(配列番号9)および
P−vegfMCS(2)5’−GGCCTACGTACACGTGGCGGC
CGCCTCGAGGCTAGCGATATCAGATCTACTAGTGTC
GACTCTAGATACGTA−3’(配列番号10)と連結する。生じるプ
ラスミドをプライマー、P−4371(5’−AATACGACTCACTAT
AG−3’(配列番号11))を使用して配列決定し、そしてpS1−vegf
MCS(1).pvgeg−ss(1)と称する。アミノ酸コドンPro22、V
al23およびAsp27を含むVEGF−B167シグナル配列Met1−Ala21
コードするDNAストレッチの挿入を、Xba1/SalI切断ベクター、pS
I−vegf−MCS(1)を、アニールされたオリゴヌクレオチド、P−ss
(1)5’−CTAGGCCACCATGAGCCCTCTGCTCCGCCG
CCTGCTGCTCGCCGCACTCCTGCAGCTGGCCCCCGC
CCAGGCCCCTG−3’(配列番号12)およびP−ss(2)5’−T
CGACAGGGGCCTGGGCGGGGGCCAGCTGCAGGAGTG
CGGCGAGCAGCAGGCGGCGGAGCAGAGGGCTCATGG
TGGC−3’(配列番号13)と連結することによって行う。挿入領域を、配
列決定(プライマー、p−4371)し、そして生じるプラスミド15を、pv
egf−ss(1)と名付ける。アミノ酸コドンVal23およびAsp27は、H
incII制限領域を形成する。これは、野生型VEGF−B167配列(コドン
Ser24Gln25およびPro26)または任意の所望のN末端融合ペプチドのい
ずれかの都合のよい挿入を可能にする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0177
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0177】 (pvegf−d24/26) ベクター、pvegf−d24/26を構築するために、アミノ酸残基Asp 27 〜Arg188に対応するVEGF−B167コード配列を、500bpPCR産物
として、プライマー、2−27/167(1)5’−GATCGTCGACGCC
CCTGGCCACCAGAGGAAAGTGG−3’(配列番号14)および
P−27/167(2)5’−GATCAGATCTTCGCAGCTTCCGG
CACCTGCAGGTG−3’(配列番号15)を使用して標準PCR反応で
増幅した。PCR産物を、SalI/Bg1llで消化し、そして生じる486
bpのフラグメントを、SalI/BgIll切断プラスミドpvegf−ss
(1)にクローン化する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0180
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0180】 (VEGF(B)−(G 4 S)3) ベクター、pVEGF(B)−(G 4 S)3の構築を完成するために、アニール
されたオリゴヌクレオチドP−Li(1)5’−GATCTGGCGGCGGC
GGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCTCT
G−3’(配列番号16)、および(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser
)×3リンカー配列をコードするP−Li(2)5’CTAGCAGAGCCG
CCGCCGCCGCTGCCGCCGCCGCCGCTGCCGCCGCCG
CCA−3’(配列番号17)を、BglII/NheI切断ベクターpVEG
F(B)−Fに挿入する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0181
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0181】 (VEGF(B)−G 4 S)3−GGGVFQ) pVEGF(B)−(G 4 S)3−GGGVFWQの構築を、NheI/Not
I切断ベクターpVEGF(B)−(G4S)3の、アリールされたオリゴヌクレ
オチドP−D(1)5’−CTAGCGGCGGGGGCGTGTTCTGGC
AGTAAGC−3’(配列番号18)、およびP−D(2)5’−GGCCG
CTTACTGCCAGAACACGCCCCCGCCG−3’(配列番号19 との連結によって行う。標的ペプチドNH2−GGGVWQ−COOH(配
列番号1)をコードするDNA配列を含むプラスミドpVEGF(B)−(G4
S)3GGGVFWQを、NH2−(G 4 S)3 (配列番号8)ヒンジ領域を介して
VEGF−B167cDNAのC末端に融合する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0182
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0182】 (pVEGF(B)−(G 4 S)3−CRSWNKADNRSC) pVEGF(B)−(G 4 S)3−CRSWNKADNRSCの構築を、Nhe
I/NotI切断ベクターpVEGF(B)−(G 4 S)3の、アニールされたオ
リゴヌクレオチド、P−CRSWNKADNRSC(1)5’−CTAGCTG
CCGCAGCTGGAACAAAGCCGACAACCGCAGCTGCTA
AGC−3’(配列番号20)およびP−CRSWNKADNRSC(2)5’
−GGCCGCTTAGCAGCTGCGGTTGTCGGCT(配列番号21 との連結によって行った。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0183
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0183】 (実施例9) (標的化ペプチドCRSWNKADNRSC(配列番号5)の、VEGF−B 186 へのアミノ末端(Nt)融合) (プラスミド、pVEGF(B)−Nt−CRSWNKADNRSCの構築お
よびCHO細胞におけるキメラ分子の発現) シグナルペプチドとVEGF−B186分子のN末端との間に、NH2−(G 4
3(配列番号8)−COOHヒンジ領域を介して挿入されたプラスミド、pV
EGF(B)−Nt−CRSWNKADNRSCは、心臓組織標的化ペプチドN
2−CRSWNKADNRSC−COOH(配列番号5)をコードするDNA
配列を含む。機能的エレメントを含む他のリンカーペプチドは、使用され得る(
上記の実施例8を参照のこと)。N末端融合は、標的化分子の欠失なしでVEG
F−B186分子で生じる天然のタンパク質分解プロセシングを可能にする。N末
端は、二量体VEGF分子の膜結合表面に対して遠位に位置するようであるので
、融合された標的化ペプチドは、立体障害なしに、そのレセプターと相互作用し
得る。実施例8に記載される一連のモジュラープラスミドの一部はさらに、プラ
スミド、pVEGF(B)−Nt−CRSWNKADNRSCを構築するために
使用される(材料および方法を参照のこと)。最終構築物は、CHO細胞にトラ
ンスフェクトされる。選択マーカーでの同時トランスフェクション、CHO細胞
クローンの選択およびタンパク質の産生は、標準細胞培養および生物工学手順を
使用して行われる(実施例1を参照のこと)。キメラタンパク質の精製は、標準
タンパク質化学手順に従って行われる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0184
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0184】 (材料および方法) (プラスミドの構築) (pVEGF(B)186−d24/26) pVEGF(B)186−d24/26の構築を、pvegf−d24/26
−dH(実施例8を参照のこと)の、SalIおよびBglIIでの消化によっ
て行う。492bpのフラグメントを、ゲル精製によって除去する。この工程は
、プラスミドpvegf−d24/26−dH由来のVEGF(B)167のア
ミノ酸Asp27〜Arg188をコードするDNA配列を欠失する(実施例8
を参照のこと)。続いて、VEGF(B)186のアミノ酸Asp27−Ala20 7 をコードする533bpのSalI/BglII切断PCR産物を挿入する。
PCRを、プライマーP−27/167(1)ならびにP−27/186(1)
(5’−TGACAGATCTCTAAGCCCCGCCCTTGGCAACG
GAGG−3’(配列番号22))およびテンプレートとしてのVEGF(B)
186cDNAを使用して、標準PCR反応のように行う。VEGF(B)16
7の最終プラスミド、pVEGF(B)186−d24/26アミノ酸において
は、Asp27〜Arg188は、VEGF(B)186のアミノ酸Asp27〜Al
207によって置換され、アミノ酸Met1〜Val23は、両方のVEGF(B)
形成に共通であり、一方アミノ酸Ser24、Gln25およびPro26は、まだ失
われている。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0185】 (pVEGF(B)186−Nt−R13) pVEGF(B)186−Nt−CRSWNKADNRSCの構築を、Hin
dII切断ベクターpVEGF(B)186−d24/26の、アニールされた
オリゴヌクレオチドP−Nt−CRSWNKADNRSC(1)5’−TGCC
GCAGCTGGAACAAAGCCGACAACCGCAGCTGCTCCC
AGCCT−3’(配列番号23)およびP−Nt−CRSWNKADNRSC
(2)5’−AGGCTGGGAGCAGCTGCGGTTGTCGGCTTT
GTTCCAGCTGCGGCA−3’(配列番号24)との連結によって行う
。反対の方向に挿入されたオリゴヌクレオチドを含むプラスミドはまた単離され
、そしてpVEGF(B)186−Nt−アンチセンスと称する。
【手続補正書】
【提出日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の名称】 標的化新脈管形成
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、末梢血管または心臓血管の疾患の処置のためにインビボにおいて新
脈管形成を促進または阻害するための組成物、方法および遺伝子治療試薬に関す
る。詳細には、本発明は、新脈管形成を誘導するために血管内皮に特異的に結合
する標的化分子に連結されている新脈管形成因子の使用に関する。
【0002】 (発明の背景) 新脈管形成は、既存の血管からの毛細血管内皮細胞の増殖、移動および組織浸
潤を含む、新しい血管を発生するプロセスである。新脈管形成は、正常な生理学
的プロセス(胚発生、濾胞(follicular)増殖および創傷治癒を含む
)ならびに病理学的状態(腫瘍増殖および異常な新生血管形成に関連する非腫瘍
性疾患(血管新生緑内障を含む)を含む)に重要である(例えば、Folkma
n,J.ら、Science(1987)235:442−447を参照のこと
)。
【0003】 組織虚血を生じるかまたは組織虚血に関与する疾患および状態は、主要な健康
上の問題である。虚血は、例えば、冠状動脈疾患(CAD)および末梢血管疾患
(PVD)において見られる。米国において約6000万人の成人が心臓血管疾
患を有し、うち1100万人の成人が冠状動脈性心臓病を有することが、米国心
臓学会(American Heart Association)によって報
告されている。アンギナ(心臓虚血の症状)は、米国において150万人の成人
(毎年約350,000例の新患を含む)が罹患している。PVDは、成人人口
の30%が罹患していると推定されている。PVD、アテローム性硬化症性血管
疾患、冠状動脈性心臓疾患(CHD)および脳血管性疾患の主な原因は、糖尿病
である。
【0004】 虚血は、組織が血液供給を十分に受けない場合に生じる。例えば、心筋虚血は
、心筋が十分な血液供給を受けない場合に生じる。これは、血管の閉塞または狭
小化(例えば、冠状動脈アテローム性硬化症に見られるような)に起因し得る。
処置としては、外科的アプローチおよび薬学的アプローチが挙げられる。外科的
介入は、狭小化した管腔を広げるため(例えば、バルーン血管形成)または心臓
血管数を増加するため(例えば、移植片を使用するバイパス手術)に使用される
。より外傷性が低い薬学的処置は、酸素および栄養分の心筋の要求量を減少する
ように、または血液供給を増加するように作用する。酸素要求量は、血流力学的
負荷に対する心臓の収縮応答を減少することによって低下され得る(例えば、β
−アドレナリン作用性ブロッカーを使用して)。心臓の血液供給は、平滑筋の壁
を有する冠状動脈血管管腔の直径を増加することによって増大され得る(例えば
、ニトログリセリンまたはカルシウムチャネルブロッカーを用いて)。しかし、
これらの薬学的処置は、不正確であり、一過的に活性であり、そして薬物相互作
用および副作用への高い傾向がある。
【0005】 虚血組織への血液供給を増加するための別の手段は、新脈管形成を介してその
組織への血管の増殖を誘導することであるか、またはその組織を浴する血液の量
を増加させること(血液灌流の増加とも言われる)である。これは、新脈管形成
因子の投与によって達成され得る。いくつかの因子は、インビボでの新脈管形成
の潜在的なレギュレーターとして関係付けられている。これらには、トランスフ
ォーミング増殖因子(TGFβ)、酸性線維芽細胞増殖因子および塩基性線維芽
細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、
ならびに血管内皮増殖因子(VEGF)(例えば、Klagsbrun,M.ら
、Annual Rev.Physiol.(1991)53:217−239
を参照のこと)が含まれる。内皮細胞特異的マイトジェンである、VEGFは、
内皮細胞の増殖を特異的に促進することによって、新脈管形成のインデューサー
として作用するという点で、これらの因子の間で区別される。
【0006】 VEGFは、新脈管形成の重要なメディエーターである。なぜなら、VEGF
は、直接的かつ特異的に内皮細胞に対して作用するからである。例えば、Gra
dら、Clin.Chem Lab Med.(1998)36:379−38
3を参照のこと。インビボにおいて、VEGFは、発生、創傷修復(新脈管形成
は、組織損傷によって誘発される修復機構の重要な要素である)、癌ならびに他
の疾患および状態における血管の増殖に関連する。
【0007】 新脈管形成効果を達成するために、ポリペプチド新脈管形成因子(例えば、V
EGF)の繰返しのおよび/または長期間の投与が必要とされる。しかし、この
アプローチは、注射による繰返しの送達を通常必要とするので、代表的には、非
常に費用がかかりかつ不便である。
【0008】 あるいは、ポリペプチド新脈管形成因子は、そのポリペプチド自体ではなく、
そのポリペプチドをコードする核酸を投与することによって、インビボで投与さ
れ得る。新脈管形成遺伝子は、静脈内でインビボ投与されている。例えば、La
iteinenら、Hum.Gene Ther.(1998)9:1481−
1486;Isnerら、Adv.Drug Deliv.Reviews(1
997)30:185−197;Giordanoら、Nature Med.
(1996)2:534−539;Takeshitaら、Lab.Inves
t.(1996)75:487−501;Mc Donaldら、米国特許第5
,837,283号(「283」特許)を参照のこと。
【0009】 ポリペプチドコード遺伝子は、筋肉内注射されている(裸のプラスミドDNA
またはウイルス発現ベクターとして)。例えば、Baumgartner,I.
ら、Circulation(1998)97:1114−1123:Tsur
umi Y.ら、Circulation(1997)96(補遺9):II−
382−8;Takeshita,S.ら、Lab Invest(1996)
75:487−501;Hammond、米国特許第5,792,453号;お
よびMcDonald、「283」特許(前出)を参照のこと。Majesky
,M.Circulation(1996)94:3062−4もまた参照のこ
と。
【0010】 新脈管形成に関与するリガンドおよびレセプターをコードする遺伝子の同定に
おける近年の進歩にかかわらず、現在の方法が、末梢性または心筋の虚血を克服
するために必要とされる新脈管形成のレベルを促進するという指摘は全く存在し
ない。例えば、既存の治療においては、新脈管形成効果を達成するために新脈管
形成タンパク質の繰返しまたは長期間の送達の必要性が存在する。これは、臨床
設定において新脈管形成を刺激するためのこれらのタンパク質の使用の有用性を
制限し得る。言い換えると、ヒトにおける首尾よい治療は、1以上のこれらの新
脈管形成ペプチドまたは新脈管形成タンパク質の持続性かつ長期間の注入を必要
とする。この注入は、それ自体で非常に高費用であり、そして冠状動脈に配置さ
れたカテーテルによって送達される必要性があり、これが、さらに処置の費用お
よび困難性を増大する。
【0011】 虚血組織に関連する疾患および状態に罹患している高齢集団の個体数の増加を
考慮すると、投与するためにより安全で、より予測的でかつより容易である、虚
血のための新たな処置が必要とされる。本発明は、これらの必要性および関連す
る利点を提供する。
【0012】 (発明の要旨) 本発明は、血管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結されている新脈管形
成因子を含む、キメラ分子を提供する。いくつかのこのようなキメラ分子は融合
タンパク質であり、ここで、この融合タンパク質は、血管内皮に特異的に結合す
る標的化分子に連結されている新脈管形成因子を含む。
【0013】 本発明はまた、新脈管形成を誘導する方法を提供する。この方法は、細胞にキ
メラ分子を接触させる工程を包含し、このキメラ分子は、血管内皮に特異的に結
合する標的化分子に結合されている新脈管形成因子を含む。
【0014】 本発明はさらに、心筋新生血管形成を増加するための方法を提供する。この方
法は、心臓血管の内皮細胞にキメラ分子を接触させる工程を包含し、このキメラ
分子はさらに、血管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結されている新脈管
形成因子を含む。
【0015】 本発明はさらに、末梢血管系における虚血組織において新生血管形成を増加す
るための方法を提供する。
【0016】 本発明はさらに、融合タンパク質をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチ
ドを提供する。この融合タンパク質はさらに、新脈管形成因子および標的化分子
を含み、この標的化分子は、血管内皮に結合する。
【0017】 本発明はさらに、組織において新脈管形成を誘導する方法を提供する。この方
法は、内皮細胞を核酸分子でトランスフェクトする工程を包含し、これによって
、この細胞は、この核酸によってコードされる融合タンパク質を発現し、ここで
、融合タンパク質は、新脈管形成因子および標的化分子を含む。
【0018】 本発明はさらに、薬学的組成物を提供する。これらの薬学的組成物はキメラ分
子および薬学的受容可能なキャリアを含み、このキメラ分子は、血管内皮に特異
的に結合する標的化分子に連結されている新脈管形成因子を含む。他の薬学的組
成物は、融合タンパク質を含む。これらの融合タンパク質は、新脈管形成因子お
よび標的化分子を含み、この標的化分子は、血管内皮に特異的に結合する。
【0019】 (詳細な説明) (定義) 用語「新脈管形成」とは、新しい血管が既存の血管系(例えば、毛細血管)か
ら発生するプロセスをいう。例えば、Folkmanら、Nature Med
.(1992)1:27−21を参照のこと。新脈管形成は、複雑なプロセスで
あり(Folkmanら、J.Biol Chem.(1992)267:10
931−4およびFanら、Trends Pharmacol Sci.(1
995)16:57−66;これらの参考文献および本明細書中に引用される参
考文献は、本明細書中に参考として援用される)、これは、以下を含み得る:内
皮細胞および周皮細胞の活性化;基底膜の分解;内皮細胞および周皮細胞の移動
および増殖(すなわち、細胞分裂);新しい毛細血管管腔の形成;その新しい管
の周辺での周皮細胞の出現;新しい基底膜の発生;毛細血管ループの形成;新し
い管の退縮、分化の維持;ならびに毛細血管網の形成および最終的なより大きい
微小血管への組織化。例えば、Safi,J.ら、Mol.Cell Card
iol.(1997)29:2311−2325を参照のこと。組成物は、イン
ビトロまたはインビボにおいて新脈管形成活性についてスクリーニングされ得る
。例示的なインビトロ毛細血管形成評価は、例えば、Deramaudtら、J
.Cell.Biochem.(1998)68:121−127に記載のよう
に、Matrigelマトリクス(Collaborative Resear
ch,Bedford,MA)に埋め込まれた内皮細胞を使用する。インビボ動
物モデルを、以下に議論する。用語「血管内皮」とは、例えば、漿液管腔、リン
パ管および血管を裏打ちする平坦な内皮細胞の薄層を意味する。血管内皮は、血
管の緊張、ホメオスタシス、免疫応答および炎症応答の調節において重要な役割
を果たす(例えば、Vane J.ら、New Engl.J.Med(199
0)323:27−31を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引
用される参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。これらの生物学的
反応は、循環細胞と血管内皮との間の密接な相互作用に関連し得る。白血球の血
管内皮への接着は、全ての形態の損傷に対する反応において最も重要な事象の1
つであり得る(例えば、Robert,S.ら、Am J Med Sci,(
1994)307:378−389;Albelda,S.ら、FASEB J
.(1994)8:504−512;Westlin,W.ら、Am J Pa
thol,(1993)142:1598−1609を参照のこと;これらの参
考文献および本明細書中に引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用
される)。内皮細胞の活性化白血球との相互作用は、欠損性の内皮依存性血管拡
張、血管浸透性および凝固カスケードの活性化の増加に関連し得る。反応性酸素
種、スーパーオキシドおよび炎症性サイトカインを含む、多くの白血球産物は、
内皮機能を損ない、そして炎症と凝固との間の正のフィードバックループについ
て可能性を生じ得る。これらの分子は、以下を含むがそれらに限定されない、多
くの病理学的プロセスにおいて役割を果たし得る:アテローム性動脈硬化症、移
植片拒絶、敗血性ショック、後期過敏性反応および再灌流障害(例えば、Car
ols,T.ら、Blood(1994)84:2068−2101;Robe
rt,S.ら、前出を参照のこと)。
【0020】 新脈管形成は、通常、創傷治癒、胎児および胚の発生、ならびに黄体、子宮内
膜および胎盤の形成において観察される。持続性の調節されない新脈管形成は、
癌における腫瘍転移および内皮細胞による異常増殖を含むがこれらに限定されな
い、多くの疾患状態を生じ、そしてこれらの状態に見られる病理学的損傷を支持
する。調節されない新脈管形成が存在し得る多様な病理学的疾患状態は、まとめ
て、「新脈管形成依存性」または「新脈管形成関連疾患」とグループ化されてい
る。新脈管形成によって媒介される疾患およびプロセスとしては、以下が挙げら
れるが、これらに限定されない:血管腫、固形腫瘍、血管媒介腫瘍(blood
borne tumor)、白血病、転移、乾癬、強皮症、化膿性肉芽腫(p
hygenic granuloma)、心筋血管形成、クローン病、プラーク
新生血管形成、冠状側副枝形成(coronary collaterals)
、脳側副枝形成(cerebral collaterals)、動静脈奇形、
虚血性肢血管形成、角膜疾患、血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、関節炎、糖尿
病性新生血管形成、黄斑変性、創傷治癒、消化性潰瘍、Helicobacte
r関連疾患、および脈管形成。
【0021】 用語「新脈管形成活性」、「新脈管形成因子活性」、「血管内皮増殖因子活性
」および「新生血管形成」は、例えば、以下を含む、組織への血流量を増大する
広範な生理学的活性を含む:血管透過性の増大、血管密度の増加、内皮細胞(E
C)活性化、EC移動、EC増殖、毛細血管形成(新脈管形成)、脈管形成(血
管構造へのECの新生組織化);例えば、Folkmanら(1992)前出を
参照のこと)。新脈管形成活性としては、新脈管形成を誘導する新脈管形成因子
、または新脈管形成を阻害する新脈管形成因子、あるいは内皮増殖因子の発現を
誘導する新脈管形成因子(例えば、遺伝子アクチベーターまたは転写レギュレー
ター)が挙げられる。新脈管形成因子としては、血管増殖を誘導または阻害する
ように作用する、任意のタンパク質、ペプチド、化学分子または他の分子が挙げ
られるが、これらに限定されない。新脈管形成因子は、天然に存在し得るか、ま
たは天然に存在していなくともよい。種々の方法が、生物学的活性アッセイ(例
えば、ウシ毛細血管内皮細胞増殖アッセイ)を使用して所定の因子の新脈管形成
活性を測定するために使用され得る。他のバイオアッセイとしては、ニワトリC
AMアッセイ、マウス角膜アッセイ、ならびに移植した腫瘍に対する単離された
タンパク質または合成タンパク質の投与効果が挙げられる。ニワトリCAMアッ
セイは、O’Reillyら、Cell,(1994)79:315−328に
よって記載される。多くの系が、新脈管形成を評価するために利用可能である。
例えば、新脈管形成は固形腫瘍増殖に必要とされるので、動物モデルにおける腫
瘍増殖の阻害は、新脈管形成の阻害の指標として使用され得る。新脈管形成はま
た、創傷治癒(皮膚または器官の創傷修復における);および慢性炎症(例えば
、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症および特発性肺線維症(IPR)
のような疾患における)のモデルという点から評価され得る。新脈管形成因子活
性はまた、例えば、マーカー分子(例えば、CD3H、第VIII因子またはP
ECAM−1)について染色した後、組織切片中の血管を計数することによって
評価され得る。新脈管形成因子活性を評価するために使用され得る他の系として
は、内皮細胞走化性アッセイが挙げられる。新脈管形成因子または新脈管形成薬
剤は、例えば、内皮細胞走化性をコントロール値を超えるよう促進する能力によ
るアッセイにおいて同定され得る。内皮細胞走化性の阻害は、抗新脈管形成活性
の証拠を提供し得る。抗新脈管形成因子または抗新脈管形成薬剤は、内皮細胞走
化性を、新脈管形成薬剤によって刺激されるレベルよりも下に一貫して減少する
ことによって同定され得る。
【0022】 用語「血管内皮細胞増殖因子」または「VEGF」は、単独または他の増殖因
子(例えば、線維芽細胞増殖因子(以下で議論される))と共に、血管発生、新
脈管形成および他の新脈管形成活性を惹起し得る、増殖因子のファミリーを含む
(例えば、Claesson−Welsh,L.(編)、Current To
p.Microbiol.Immunol.第237巻(Springer P
ublishing 1999)を参照のこと;これらの参考文献および本明細
書中に引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。V
EGFファミリーは、VEGF(VEGF−Aと呼ばれる;例えば、Leung
ら、Science(1989)246:1306−1309を参照のこと)を
含む。このVEGF−A遺伝子は、7つのイントロンで分けられた、8つのエキ
ソンで組織される。単一のVEGF−A遺伝子の選択的エキソンスプライシング
は、4つの分子種の生成を生じ、これらは、121アミノ酸、165アミノ酸、
189アミノ酸および206アミノ酸のヒトタンパク質(VEGF−A121、V
EGF−A165、VEGF−A189、VEGF−A206:マウスVEGF−Aアイ
ソフォームは、ヒトアイソフォームより1アミノ酸少ない)をコードする;例え
ば、Carmeliet,P.ら、Am.J.Physiol.(1997)2
73(5、パート2):H2091−104;米国特許第5,194,596号
;同第5,240,848号;および同第5,332,671号を参照のこと。
他のファミリメンバーとしては、以下が挙げられる:VEGF−B(例えば、O
lofssonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996
)93:2576−2581を参照のこと;この参考文献および本明細書中に引
用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される;これは、「V
RF」とも称される;例えば、Grimmond,S.ら、Genome Re
s.(1996)6:124−131を参照のこと);VEGF−C(例えば、
Joukov,V.ら、EMBO J.(1996)15:290−298およ
びWO96/39515を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引
用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される;これは、VE
GF関連タンパク質または「VRP」とも称される;例えば、Lee,J.ら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1988−
1992を参照のこと);VEGF−D(「FIGF」と称される、Orlan
dini,M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996
)93:11675−11680およびYamada,Y.ら、Genomic
s,(1997)42:483−488を参照のこと);および胎盤増殖因子(
PIGF)(例えば、Maglione,D.ら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA(1991)88:9267−9271を参照のこと)。近
年、VEGF−E(第5のVEGFファミリーメンバー)が、単離および特徴付
けられている(例えば、Ogawa,S.ら、J.Biol.Chem.(19
98)273(47):31273−31282およびMeyer,M.ら、E
MBO J.(1999)18(2):363−374を参照のこと)。
【0023】 ヒト胎盤増殖因子(PIGF)は、VEGFとタンパク質レベルで46%の相
同性を共有する、グリコシル化されたホモダイマーである。ヒトPIGF mR
NAの示差的スプライシングは、170アミノ酸または149アミノ酸のいずれ
かの前駆体を導き得、これらの前駆体は、それぞれ、152アミノ酸長または1
31アミノ酸長の成熟形態にタンパク質分解的にプロセシングされる。例えば、
BayneおよびThomas EP0506477;Maglione,D.
ら、Oncogene(1993)8:925−931;Hauser,S.お
よびWeich,H.Growth Factors(1993)9:259−
268を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引用される参考文献
は、本明細書中に参考として援用される。
【0024】 用語「線維芽細胞増殖因子」または「FGF」は、単独または他の増殖因子(
例えば、VEGFファミリーの増殖因子)と共に、血管発生、新脈管形成および
他の新脈管形成活性を惹起し得る、増殖因子のファミリーを含む。FGFファミ
リーとしては、少なくとも20個のポリペプチドが挙げられる(例えば、Gon
calves,L.,Rev Port Cardiol(1998)17、補
遺2:II11−20を参照のこと;これらの参考文献および本明細書中に引用
される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。酸性FGF(
aFGFまたはFGF−1)および塩基性FGF(bFGFまたはFGF−2)
は、このファミリーのうちで最も広範に特徴付けられているメンバーである。例
えば、Klagsbrun,M,Prog Growth Factor Re
s(1989)1:207−35;Schelling,M.ら、Ann NY
Acad Sci.(1991)638:467−9;およびSlavin,
J.,Cell Biol Int(1995)19:431−44を参照のこ
と;これらの参考文献および本明細書中に引用される全ての参考文献は、本明細
書中に参考として援用される。
【0025】 新脈管形成を誘導する他の新脈管形成因子としては、アンギオポイエチンタン
パク質ファミリーが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Davis
,S.,Curr Top Microbiol Immunol.(1999
)237:173−85;Papapetropoulos A.ら、Lab
Invest(1999)79:213−23;Valenzuela,D.,
Proc Natl Acad Sci USA(1999)96:1904−
9;Suriら、Cell(1996)87:1171−1180;Takeh
araら、Cell(1987)49:415−422;Suriら、Cell
(1996)87:1171−1180を参照のこと;これらの参考文献および
本明細書中に引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。用
語「アンギオポイエチン−1」または「Ang1」とは、Tie−2レセプター
に対するリガンドであるタンパク質をいう(例えば、Davis,S.ら、Sc
ience(1994)266:816−819を参照のこと)。Ang1は、
(アゴニストとして)Tie−2レセプターを刺激し得る。用語「アンギオポイ
エチン−2」または「Ang2」とは、Tie−2レセプターのAng1刺激性
活性化を(アンタゴニストとして)ブロックし得るタンパク質をいう(例えば、
Maisonpierre,P.ら、Science(1997)277:55
−60を参照のこと)。Ang1刺激性活性化のブロックは、インビボで新脈管
形成を破壊し得る。
【0026】 用語「VEGFのホモログ」としては、VEGF−A、VEGF−B、VEG
F−C、VEGF−D、VEGF−EおよびPIGFのホモダイマー、ならびに
VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−Eとの
間で形成される任意の機能的ヘテロダイマー(VEGF−A/VEGF−Bへテ
ロダイマーを含むが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0027】 脈管発生および新脈管形成の間の細胞間の伝達は、少なくとも5つの内皮細胞
特異的チロシンキナーゼレセプターに関係し得る(例えば、Claesson−
Welsh,L(編)、Current Top.Microbiol.Imm
unol.237巻(Springer Publishing 1999)お
よびMustone,T.ら、J.Cell.Biol.(1995)129:
895−898を参照のこと;これらの参考文献およびそれらに引用される全て
の参考文献は、本明細書中において参考として援用される)。これは、少なくと
も2つの異なるサブクラスに属する:Tieファミリーの二つのレセプター(例
えば、Partanenら、Curr.Top.Microbiol Immu
nol(1999)237:158−171を参照のこと)および3つのVEG
Fレセプター:VEGFR−1、−2、および−3。これら3つのVEGFレセ
プターは、それぞれ、もともとFlt1(Fms様チロシンキナーゼ;例えば、
De Vries、C.ら、Science(1992)255:989−99
1を参照のこと)、KDR/Flk−1(キナーゼ挿入−ドメイン含有レセプタ
ーまたは胎児肝臓キナーゼ−1;例えば、Termanら、Biochem.B
iophys.Res.Commun.(1992)187:1579−158
6を参照のこと)およびFlt4(例えば、Pajusola,Kら、Canc
er Res(1992)52:5738−5743およびGalland、F
.ら、Oncogene(1993)8:1233−1240を参照のこと)と
呼ばれていた。VEGFの生物学的な応答は、これらの高い親和性VEGFレセ
プターを介して媒介される。
【0028】 FGFレセプターもまた特徴付けられており、FGFR−1、FGFG−2、
FGFR−3およびFGFR−4を含む(例えば、Klint,P.ら、Fro
nt Biosci.(1991)15:D165−77およびGalzie,
Z.ら、Biochem Cell Biol.(1997)75:669−8
5を参照のこと;これらの参考文献およびそこに引用される全ての参考文献は、
本明細書中において参考として援用される)。
【0029】 種々のインビボ動物モデルが、(上記インビトロ試験に加えて(上記Folk
man(1992)を参照のこと))本発明のキメラ分子が脈管形成活性を有す
る能力を評価するために使用され得る。例えば、虚血性筋肉の新脈管形成は、外
因的に投与される本発明のキメラ分子が、実験的に誘導されたマウスまたはラビ
ットの後肢虚血において側副肢血流を増加する実験によって示され得る。例えば
、Pu,L.ら、J.Invest.Surg.(1994)7:49−60;
Couffinhal,T.ら、Am.J.Pathol.(1998)152
:1667−1679;Witzenbichler,B.ら、Amer.J.
Path.(1998)153:381−384);およびBauters,C
.ら、Circulation(1995)91:2802−2809)を参照
のこと;これらの参考文献およびそれらに引用される全ての参考文献は、本明細
書中において参考として援用される。VEGFの筋肉内遺伝子移動の後に側副肢
微小血管の内皮依存性弛緩は、実験的に誘導されたラットの後肢虚血において示
されている。例えば、Takeshita,S.ら、Circulation(
1998)98:1261−63を参照のこと;これらの参考文献およびそれら
に引用される全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用される。浸
透圧ポンプからの制御されたVEGFの局所的送達は、部分的虚血性後肢ラビッ
トモデルにおいて新生血管形成、肢灌流、および機能的改善を促進することが実
験的に示された。例えば、Hopkins,S.ら、J.Vasc.Surg.
(1998)27:886−894を参照のこと;この参考文献およびそれに引
用される全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用される。慢性ブ
タ心筋虚血モデルにおけるVEGF投与に関する実験もまた、使用されている。
例えば、Harada,K.ら、Am.J.Physiol.(1996)27
0:886−94を参照のこと;この参考文献およびそれに引用される全ての参
考文献は、本明細書中において参考として援用される。
【0030】 用語「虚血」「末梢血管疾患」、「アテローム性動脈硬化症」および「冠動脈
疾患」は、本明細書中で使用される場合、それらの一般的な使用法を含む。これ
らの疾患、障害、または病気(ailment)は、VEGFまたはFGFによ
って、単独で、または組み合わせて、他の脈管形成因子に加えて調節され得る。
虚血は、例えば、不適切な灌流に起因する器官および四肢の組織における酸素供
給の不足によって特徴付けられる状態である。このような不適切な灌流は、少し
挙げると、アテローム性動脈硬化症損傷、再狭窄損傷、貧血、または発作を含む
多くの自然な原因を有し得る。例えば、バイパス手術の間の血流の中断のような
多くの医学的処置もまた、虚血を導く。疾患状態の心臓血管組織によって時々引
き起こされることに加えて、虚血は、時々、虚血性心臓疾患のような心臓血管組
織に影響し得る。しかし、虚血は、任意の器官または四肢において生じ得、これ
らは酸素供給の不足を被っている。
【0031】 心臓における虚血の最も一般的な原因は、心外膜冠状動脈のアテローム性動脈
硬化症疾患である。これらの血管の管腔を減少させることによって、アテローム
性動脈硬化症は、基底状態における心筋灌流の絶対的な減少を引き起こすか、ま
たは流れに対する要求が増加する場合に灌流の適切な増加を制限する。冠状血流
はまた、動脈血栓、痙攣、およびまれに冠状塞栓によって、ならびに梅毒大動脈
炎に起因して狭くなる小孔によって制限され得る。肺動脈から左前室間冠状動脈
の異常な起点のような先天的な異常は、新生児期の心筋虚血および梗塞を引き起
こし得るが、この原因は成人においては非常に稀であり得る。心筋虚血はまた、
高血圧または大動脈狭窄に起因する重篤な心室肥大のような、心筋酸素要求が異
常に増加した場合、生じ得る。後者は、アテローム性冠状動脈硬化症によって引
き起こされる識別不能なアンギナとともに存在し得る。非常に重篤な貧血または
一酸化炭素ヘモグロビンの存在のような、血液の酸素運搬能の減少は、心筋虚血
の稀な原因であり得る。虚血の2つ以上の原因は同時に存在し得る(例えば、左
心室肥大に起因する酸素要求の増加およびアテローム性冠状動脈硬化症の次の酸
素供給の減少)。
【0032】 心臓血管疾患は、心臓の血管の疾患をいう。例えば、Kaplan,R.M.
ら、「Cardiovascular diseases」、HEALTH A
ND HUMAN BEHAVIOR,206〜242頁、(McGraw−H
ill,New York 1993)を参照のこと;これらの参考文献および
それらに引用される全ての参考文献は、本明細書中において参考として援用され
る。心臓血管疾患は、一般的に、例えば、高血圧(hypertenion)(
高血圧(high blood pressure)とも呼ばれる)、冠状心臓
疾患、発作、およびリウマチ様心臓疾患を含むいくつかの形態の1つであり得る
。末梢血管疾患は、心臓以外の任意の血管の疾患をいう。それは、しばしば、脚
および腕の筋肉に血液を運搬する血管の狭まりであり得る。
【0033】 用語「アテローム性動脈硬化症」は、医学の関連する分野で活動する医師によ
って認識され理解される血管の疾患および状態を包含する。アテローム性動脈硬
化症心臓血管疾患、冠状心臓疾患(冠状動脈疾患または虚血性心臓疾患としても
公知)、脳血管疾患および末梢血管疾患はすべて、アテローム性動脈硬化症の臨
床的な徴候であり、従って、用語「アテローム性動脈硬化症」および「アテロー
ム性動脈硬化症疾患」によって包含される。
【0034】 用語「再狭窄」は、血管形成術およびステント挿入のような血管介入に続いて
血管管腔が再び狭まることをいう。それは初期管腔直径増加の損失として臨床的
に規定され得る。血管形成術前の血管直径を回復する期待において、身体は、血
管壁を再構築するか、空間を占め、管腔を再び閉塞する新たな組織増殖を刺激す
るか、または組織収縮を刺激することを試みる。例えば、手術後に血管を治癒す
る間、平滑筋細胞は、血管の管腔を狭め、そして再びアテローム性動脈硬化症プ
ロセスを開始する内皮細胞よりも速く増殖する。
【0035】 用語「調節する」は、抑制、増強、あるいは機能または状態の誘導をいう。例
えば、本発明のキメラ化合物は、虚血性心臓組織において血管形成を増加するこ
とによって新脈管形成を調節し得、それによって虚血を軽減する。
【0036】 用語「処置」は、疾患、状態、または障害と戦う目的のためのヒト被験体の管
理および看護を意味し、症状または合併症の発症を妨げるためか、症状または合
併症を軽減するためか、または疾患、状態または障害を除去するための、本発明
のキメラ分子の投与を包含する。
【0037】 用語「誘導する」または「誘導」は、本明細書中で使用される場合、本明細書
中に記載されるような任意の組織の形成、修復プロセスまたは発生に必要な細胞
機構または細胞プロセスの活性化、刺激、増強、開始および/または維持をいう
【0038】 用語「ライブラリー」は、分子の収集物を意味する。ライブラリーは、数個ま
たは多数の異なる分子(約10個の分子から数十億個以上の分子で変動する)を
含み得る。所望であれば、分子は、タグに連結され得、これは、分子の回収また
は同定を促進し得る。
【0039】 用語「分子」は、薬物;ペプチド(ペプチド模倣物またはペプトイドのような
改変体または改変ペプチドまたはペプチド様分子を含む);あるいはタンパク質
例えば、抗体または増殖因子レセプターまたはそれらのフラグメント(例えば、
結合ドメインを含む抗体のFv、FcまたはFabフラグメント)のような、有機化
合物を意味するように広く使用される。分子は、非天然の分子(天然には存在し
ないが、インビトロ法の結果として産生される)であり得るか、またはcDNA
ライブラリーから発現されるタンパク質またはそれらのフラグメントのような天
然に存在する分子であり得る。
【0040】 「キメラ分子」、「キメラタンパク質」、「脈管形成キメラ分子」、または「
脈管形成キメラタンパク質」は、天然の細胞表面脈管形成レセプター、他のチロ
シンキナーゼレセプター、または標的細胞または組織上の他のレセプターを認識
する少なくとも1つの結合部位、ならびに正常な標的細胞もしくは組織または異
常な標的細胞もしくは組織のいずれかに特異的に結合する少なくとも1つの第2
結合部位を有し得る分子である。
【0041】 「融合タンパク質」は、第2のドメインに関する少なくとも1つのポリペプチ
ドまたはペプチドドメインを含む組成物をいう。第2のドメインは、ポリペプチ
ド、ペプチド、多糖類などであり得る。「融合」は、ペプチド結合、化学連結、
電荷相互作用(例えば、塩架橋(salt bridge)、H結合のような静
電的引力)、非共有結合相互作用などによって生成される会合であり得る。ポリ
ペプチドが組換えである場合、「融合タンパク質」は、通常のメッセージから翻
訳され得る。あるいは、ドメインの組成物は、任意の化学的または静電的手段に
よって連結され得る。本発明の融合タンパク質はまた、リンカー、エピトープタ
グ、酵素切断認識配列、シグナル配列、分泌シグナルなどを含み得る。
【0042】 用語「単離された」は、本発明のキメラ分子または標的分子のような分子また
は組成物を参照する場合、キメラ分子または標的ペプチドが、少なくとも1つの
他の化合物(例えば、タンパク質、他の核酸(例えば、RNA)、あるいはイン
ビボまたはその天然に存在する状態で付随する他の混入物)から分離されること
を意味する。しかし、単離された組成物はまた、実質的に純粋であり得る。単離
された組成物は、均質な状態であり得、乾燥または水溶液であり得る。純度およ
び均質性は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定
され得る。従って、単離された標的分子は、そのインサイチュの環境で通常付随
する物質を含まない。タンパク質が均質または優勢なバンドに単離された場合で
さえ、所望のタンパク質と同時精製される微量の混入物が存在する。
【0043】 発現ベクター、核酸、脈管形成因子、または送達ビヒクルを細胞に「投与」す
ることは、形質導入、トランスフェクション、エレクトロポレーション、トラン
スロケーション、融合、食作用、シューティング(shooting)またはバ
リスティック(ballistic)方法(すなわち、タンパク質または核酸が
細胞膜を横切って、好ましくは細胞の核に輸送され得る任意の手段)を包含する
【0044】 「送達ビヒクル」は、例えば、リポソーム、毒素、または膜トランスロケーシ
ョンポリペプチドのような化合物をいい、これは、本発明のキメラ分子を送達す
るために使用される。送達ビヒクルはまた、脈管形成因子(例えば、脂質:核酸
複合体)をコードする核酸、発現ベクター、ウイルスなどを投与するために使用
され得る。
【0045】 用語「異種」は、相対的な用語であり、これは、核酸の部分を参照して使用さ
れる場合、核酸が互いに天然には同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列(
subsequence)を含むことを示す。例えば、組換え的に産生された核
酸は、典型的には、新規な機能の核酸を作製するために合成的に配置された無関
係の遺伝子由来の2つ以上の配列(例えば、1つの供給源からのプロモーターお
よび別の供給源からのコード領域)を有する。従って、2つの核酸は、この状況
において互いに異種である。細胞に加えられる場合、組換え核酸はまた、細胞の
内因性遺伝子に対して異種である。従って、染色体において、異種核酸は、染色
体に組み込まれた非ネイティブな(非天然の)核酸、または非ネイティブ(非天
然)染色体外核酸を含む。対照的に、天然にトランスロケートされた染色体の片
は、本特許出願の状況において異種であると考えない。なぜなら、これは、変異
細胞にネイティブな内因性核酸配列を含むからである。
【0046】 同様に、異種タンパク質は、このタンパク質が天然では互いに同じ関係では見
出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、「融合タンパク質」
、ここでは、2つの部分配列が単一の核酸配列によってコードされる)。例えば
、組換え技術の導入として、Current Protocols in Mo
lecular Biology(Ausubelら、(編)1997;これら
の参考文献およびそれらに引用される全ての参考文献は、本明細書中において参
考として援用される)を参照のこと。
【0047】 用語「組換え」は、例えば、細胞、あるいは核酸、タンパク質、またはベクタ
ーを参照して使用される場合、細胞、あるいは核酸、タンパク質、またはベクタ
ーが、異種核酸またはタンパク質の導入、あるいはネイティブな核酸またはタン
パク質の改変、あるいは細胞がそのように改変された細胞から誘導されることに
よって、改変されたことを示す。従って、例えば、組換え細胞が、細胞のネイテ
ィブ(天然)の形態で見出されない遺伝子を発現するか、あるいは、そうではな
く正常に発現されるか、異常に発現されるか、少なく発現されるか、または全く
発現されないネイティブな遺伝子の2代目のコピーを発現する。
【0048】 用語「プロモーター」は、転写を指向する核酸制御配列のアレイとして規定さ
れる。本明細書中で使用される場合、プロモーターは、典型的に、例えば、特定
のRNAポリメラーゼII型プロモーター、TATAエレメント、エンハンサー
、CCAATボックス、SP−1部位などの場合、転写の開始部位近くの必要な
核酸配列を含む。本明細書中で使用される場合、プロモーターはまた、必要に応
じて遠位エンハンサーまたはレプレッサエレメントを含み、これは、転写の開始
部位から数千塩基対離れて配置され得る。プロモーターは、しばしば、ポリペプ
チド(例えば、核酸レセプター、Gal4、lacレプレッサなど)のようなD
NA結合部分によってトランスアクティベーションに応答性のエレメントを有す
る。
【0049】 用語「構成」プロモーターは、大部分の環境条件および発生条件下で活性なプ
ロモーターである。「誘導」プロモーターは、特定の環境条件または発生条件下
で活性なプロモーターである。
【0050】 用語「弱いプロモーター」は、野生型の単純ヘルペスウイルス(「HSV」)
チミジンキナーゼ(「tk」)プロモーターまたは変異HSV tkプロモータ
ー(EisenbergおよびMcKnight、Mol.Cell.Biol
.(1985)5:1940−1947に記載される)とおよそ同じ活性を有す
るプロモーターをいう。
【0051】 用語「作動可能に連結される」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター
、または転写因子結合部位のアレイ)と第2の核酸との間の機能的連結をいい、
ここで、この発現制御配列が、第2の配列に対応する核酸の転写に指向する。
【0052】 「発現ベクター」は、宿主細胞における特定の核酸の転写、ならびに必要に応
じて、宿主細胞における発現ベクターの組込みまたは複製を可能にする、一連の
特定の核酸エレメントを用いて組換え的または合成的に生成される核酸構築物で
ある。発現ベクターは、ウイルスまたは非ウイルス由来のプラスミド、ウイルス
、または核酸フラグメントの一部であり得る。典型的には、発現ベクターは、「
発現カセット」を含み、この発現カセットは、転写される核酸を含み、プロモー
ターに作動可能に連結される。用語発現ベクターはまた、プロモーターに作動可
能に連結される裸のDNAを含む。
【0053】 「宿主細胞」は、本発明のキメラ分子あるいは本発明のキメラ分子をコードす
る発現ベクターまたは核酸を含む細胞を意味する。宿主細胞は、典型的に、発現
ベクターの複製または発現を支持する。宿主細胞は、E.coli.のような原
核生物細胞、あるいは酵母細胞、真菌細胞、原生動物細胞、高等植物細胞、昆虫
細胞、または両生類細胞または哺乳動物細胞(例えば、CHO、HeLa、29
3、COS−1など)のような真核生物細胞(例えば、培養細胞(インビトロ)
、外植片および一次培養物(インビトロおよびエキソビボ)、ならびにインビボ
細胞)であり得る。
【0054】 用語「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかの、デオキシリボヌ
クレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらの重合体をいう。この用語は、
公知のヌクレオチドアナログあるいは改変骨格残基または連結を含む核酸を含み
、これらは、合成、天然および非天然であり、これらは、参照核酸に類似した結
合性質を有し、そして参照したヌクレオチドに類似した様式で代謝される。この
ようなアナログの例としては、限定しないが、ホスホロチオエート、ホスホラミ
デード、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチル
リボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられる。
【0055】 他に示さない限り、特定の核酸配列はまた、暗にそれらの保存的に改変された
改変体(例えば、コドン置換を変性する)および相補的配列、ならびに暗に示さ
れた配列を含む。用語核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチ
ド、およびポリヌクレオチドと交換可能に使用される。核酸配列は、従来の5’
−3’方向で本明細書中において示される。
【0056】 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基
の重合体をいうために本明細書中で交換可能に使用される。この用語は、1つ以
上のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸のアナログまたは模倣物であるア
ミノ酸重合体、ならびに天然に存在するアミノ酸重合体に適用される。ポリペプ
チドは、例えば、糖タンパク質を形成するために、炭水化物残基の付加によって
改変され得る。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、
糖タンパク質、ならびに非糖タンパク質を含む。ポリペプチド配列は、従来のN
末端からC末端の方向で本明細書中に示される。
【0057】 用語「アミノ酸」は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と類似
の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然のアミノ
酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸、ならび後に改変されるアミ
ノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、カルボキシグルタメート、およびO−ホス
ホセリン)である。アミノ酸アナログは、天然のアミノ酸と同じ基礎化学構造(
すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合されるα炭素)を
有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、
メチオニン、およびメチルスルホニウム)をいう。このようなアナログは、改変
されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが
、天然に存在するアミノ酸と同じ基礎化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、
アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ
酸と類似の様式で機能する化合物をいう。
【0058】 「保存的に改変された改変体」とは、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適
用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一また
は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、あるいはその核酸が
アミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列をいう。詳細には、縮
重コドン置換が、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位
置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製
することによって、達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid
Res.(1991)19:5081;Ohtsukaら、J.Biol.C
hem.(1985)260:2605〜2608;Rossoliniら、M
ol.Cell.Probes(1994)8:91〜98)。遺伝コードの縮
重に起因して、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコード
する。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸
アラニンをコードする。従って、アラニンが本明細書中のアミノ酸におけるコド
ンにより特定されるすべての位置において、そのコドンは、コードされるポリペ
プチドを変更することなく、記載される対応するコドンのいずれかへと変更され
得る。このような核酸改変体は、「サイレント改変体」であり、これは、保存的
に改変された改変体の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のどの
核酸配列も、その核酸の可能なすべてのサイレントな改変体もまた記載する。核
酸中の各コドン(通常はメチオニンのみのコドンであるAUG、および通常はト
リプトファンのみのコドンであるTGGは除く)は、機能的な同一な分子を生じ
るように改変され得ることを、当業者は認識する。従って、ポリペプチドをコー
ドする核酸のサイレントな変化各々が、記載される配列各々に含まれる。
【0059】 アミノ酸配列および核酸配列に関して、その配列における単一のアミノ酸もし
くはヌクレオチド、または小さい割合のアミノ酸またはヌクレオチドを、変更、
付加または欠失する個々の置換、欠失または付加が、その変更が化学的に類似の
アミノ酸によるアミノ酸置換をもたらしている「保存的に改変された改変体」を
作製する。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野で周知
である。このような保存的に改変された改変体は、本発明の多型性改変体および
対立遺伝子に加わり、そしてこれらの多型性改変体および対立遺伝子を排除しな
い。
【0060】 以下の群は、各々が、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:1)アラニン
(A)、グリシン(G);2)セリン(S)、スレオニン(T);3)アスパラ
ギン酸(D)、グルタミン酸(E);4)アスパラギン(N)、グルタミン(Q
);5)システイン(C)、メチオニン(M);6)アルギニン(R)、リジン
(K),ヒスチジン(H);7)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン
(V);および8)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン
(W)(例えば、アミノ酸特性の考察について、Creighton、Prot
eins(1984)を参照のこと)。
【0061】 用語「ポリヌクレオチド」とは、1つより多くのヌクレオチドの核酸である。
ポリヌクレオチドは、その単位の記載により言及される、複数のポリヌクレオチ
ド単位から構成され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、コード配列を有するポ
リヌクレオチド、調節領域であるポリヌクレオチドおよび/または当該分野で一
般的に使用される他のポリヌクレオチド単位を含み得る。
【0062】 用語、野生型脈管形成タンパク質の「生物学的に活性なフラグメント」、「生
物学的に活性な形態」、「生物学的に活性な等価物」および「機能的誘導体」は
、その野生型脈管形成タンパク質の生物学的活性と少なくとも実質的に等しい生
物学的活性を保有する。上記の用語は、その野生型脈管形成タンパク質の「フラ
グメント」、「変異体」、または「改変体」を含むことが意図される。用語「フ
ラグメント」とは、その野生型脈管形成タンパク質の任意のポリペプチドサブセ
ットをいうことが意味される。用語「変異体」とは、野生型形態と実質的に類似
し得るが異なる生物学的特徴を保有する分子をいうことが意味される。このよう
な変化した特徴としては、その脈管規制タンパク質またはヒト脈管形成機能的誘
導体の生物学的活性に影響する化学化合物に対する、変化した基質結合、変化し
た基質親和性および変化した感受性(これらは、各変異体を本明細書中に開示さ
れるような標的化された脈管形成について魅力的にし得る)が挙げられるが、こ
れらに限定されない。上記のような用語「改変体」とは、野生型タンパク質全体
またはそのフラグメントのいずれかに、構造および機能において実質的に類似す
る分子をいう。
【0063】 用語「遺伝子」とは、染色体(例えば、ヒト染色体)にて見出される遺伝する
遺伝物質の単位をいう。各遺伝子は、鎖を形成するヌクレオチドの配列により言
及され得る、デオキシリボヌクレオチドの直鎖から構成される。従って「配列」
とは、鎖を形成するヌクレオチドの順序付けられた列挙、およびそのヌクレオチ
ド配列を有する鎖の両方を示すために使用される。用語「配列」とは、RNA鎖
(リボヌクレオチドからなる直鎖)に関して同じ様式で使用される。その遺伝子
は、調節配列および制御配列、RNA分子へと転写され得る配列を含み、そして
未知の機能を有する配列を含み得る。そのRNA産物(DNAからの転写の産物
)のいくつかは、メッセンジャーRNA(mRNA)であり、これは、ポリペプ
チドへと翻訳されるリボヌクレオチド配列(複数または単数)および翻訳されな
いリボヌクレオチド配列を最初に含む。翻訳されない配列としては、制御配列、
イントロンおよび未知の機能を有する配列が、挙げられる。同じ遺伝子について
のヌクレオチド配列における小さい差異が、異なるヒト間、または正常な細胞と
癌性細胞との間、または正常な細胞と疾患細胞との間にて、その遺伝子の同一性
を変更することなく存在し得ることが、認識され得る。
【0064】 用語「特異的結合」(および等価な句)は、タンパク質および他の生物学物質
の不均一な集団の存在下で、特定の標的分子(例えば、リガンドまたは抗原)に
結合部分(例えば、レセプター、抗体、またはアンチリガンド)が優先的に(す
なわち、試験サンプル中に存在する他の成分への有意な結合を伴わずに)結合す
る能力をいう。代表的には、2つの実体(例えば、リガンドとレセプター)間の
特異的結合は、少なくとも約106-1、そして好ましくは少なくとも約107 -1 、108-1、109-1または1010-1の結合親和性を意味する。いくつか
の実施形態において、特異的結合は、米国特許第5,622,269号(この参
考文献およびその中に引用されるすべての参考文献は、本明細書中に参考として
援用される)の方法に従ってアッセイされ(そして特異的結合分子が同定される
)。代表的には、このアッセイによる特異的反応または選択的反応は、バックグ
ラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも約2倍であり、そしてより代表的に
は、バックグラウンドの少なくとも約5倍または少なくとも100倍、あるいは
それ以上である。
【0065】 結合部分が抗体である場合、種々のイムノアッセイフォーマットが、特定のタ
ンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために使用され得る。例え
ば、固相ELISAイムノアッセイが、抗原と特異的に免疫反応性であるモノク
ローナル抗体を選択するために慣用的に使用される。特異的免疫反応性を決定す
るために使用され得るイムノアッセイフォーマットおよび条件の記載については
、HarlowおよびLane(1988)Antibodies、A Lab
oratory Manual、Cold Spring Harbor Pu
blications、New York(この参考文献およびその中に引用さ
れる参考文献は、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0066】 「特異的ハイブリダイゼーション」とは、その配列が複合混合物(例えば、総
細胞)DNAまたはRNA中に存在する場合の、ストリンジェントな条件下で特
定のヌクレオチド配列にのみへの、分子の結合、二重鎖形成またはハイブリダイ
ゼーションをいう。ストリンジェントな条件は、プローブがその標的部分配列に
ハイブリダイズし得るが他の配列にハイブリダイズしない条件である。ストリン
ジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる環境にて異なる。長い配列
ほどより高温で特異的にハイブリダイズする。一般的には、ストリンジェントな
条件は、規定のイオン強度およびpHで特定の配列についての熱融解温度(Tm
)より約5℃低いように選択される。このTmは、標的配列と相補的なプローブ
のうちの50%が平衡して標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強
度、pHおよび核酸濃度下で)である。(標的配列が一般的に過剰に存在する場
合、Tmにおいて、そのプローブの50%が平衡状態で存在する)。代表的には
、ストリンジェントな条件とは、pH7.0〜8.3で塩濃度少なくとも約0.
01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)を含み、かつ温度が、短いプ
ローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃である
。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドまたはテトラアルキルアンモニ
ウム塩のような変性剤の添加により達成され得る。例えば、条件5×SSPE(
750mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム、5mM EDTA、pH
7.4)および温度25〜30℃が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼ
ーションに適切である。(Sambrookら、Molecular Clon
ing 1989を参照のこと;この参考文献およびその中に引用されるすべて
の参考文献が、本明細書中に参考として援用される)。
【0067】 用語「薬学的に受容可能な」、「生理学的に許容可能な」およびそれらの文法
的変化は、それらが組成物、キャリア、希釈剤および試薬をいう場合、交換可能
に使用され、そしてその物質が、その組成物の投与を妨げる程度まで望ましくな
い生理学的効果(例えば、悪心、めまい、胃の不調など)の生成を伴わずにヒト
に投与され得ることを示す。
【0068】 用語「ポリサッカライド」または「オリゴサッカライド」とは、その一般的語
法を組み込み、そして例えば、下記ような、デキストロース、グルコース、ラク
トース、マンノース、マンナンなどを含む。
【0069】 (1.標的化された新脈管形成) (A.血管内皮の標的化) 本発明は、血管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結した脈管形成因子を
含むキメラ分子を提供する。
【0070】 脈管構造における表面発現の変化は、虚血−再灌流障害において広範に研究さ
れている。例えば、Verrier,E.、J.Cardiovasc Pha
rmacol.(1996)27補遺1:S26〜30;Lefer,A.およ
びLefer,D.、Cardiovasc Res(1996)32:743
〜51;Haller,H.、Drugs(1997)53補遺1:1〜10;
Kinlay,S.およびGanz,P、Am.J.Cardiol(1997
)80(9A)11I〜16I、ならびにLuscher,T.ら、Ann.R
ev Med(1993)44:395〜418(これらの参考文献およびその
中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援用される)を参照
のこと。いくつかの器官系(心臓、腎臓、脳および骨格筋を含む)において、以
前に虚血性であった領域への流れの修復は、種々の応答を誘導する。種々の内皮
細胞マーカーが公知であり、それらとしては、内皮−白血球接着分子(ELAM
−1;Bevilacqua,M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci
.U.S.A.(1987)84:9238〜9242);血管細胞接着分子−
1(VCAM−1;Dustin,Mら、J.Immunol.(1986)1
37:245〜254)および細胞内接着分子−1(ICAM−1;Osbor
n,L.ら、Cell(1989)59:1203〜1211)(これらの参考
文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援用
される)が挙げられる。これらのいくつかの細胞接着分子の発現は、時間依存性
様式で増加し、そして白血球接着を増強する。最終結果は、再灌流が炎症応答お
よび好中球の補充を引き起こし、このことがその虚血障害と関連し得る細胞死を
促進し得るということであり得る。免疫グロブリン(「Ig」)スーパー遺伝子
ファミリーレセプター(ICAM−1、ICAM−2およびVCAM−1)は、
可変数の反復する免疫グロブリン様ドメインから構成される(例えば、Will
ams,A.ら、Annu Rev Immunol(1988)6:381〜
387を参照のこと)。
【0071】 虚血−再灌流障害後の冠状血管内皮における表面発現のこれらの変化は、種々
の選択技術を使用して、例えば、心臓血管内皮に特異的に結合する分子を単離す
るために、使用され得る。
【0072】 (B.アテローム性動脈硬化症および再狭窄を標的化するための治療因子) 損傷に対する血管応答は、少なくとも3つの基本的細胞プロセス(細胞増殖、
細胞移動および細胞外マトリックス産生)における変化を含み得る。損傷に対す
るこの血管応答は、以下を含むがこれらに限定されない、種々の血管疾患の病因
を特徴とし得る:アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、静脈バイパ
ス移植狭窄、人工器官移植狭窄、新脈管形成および高血圧。例えば、アテローム
性動脈硬化症損傷は、内膜下空間への血管平滑筋の移動、豊富な細胞外マトリッ
クスの増殖および産生の結果として、発展する。同様に、血管形成術後の再狭窄
、静脈バイパス移植狭窄、人工器官移植狭窄、新脈管形成および高血圧は、血管
細胞の増殖、移動およびマトリックス組成における異常を伴う。一般的に、Sc
hwartz,D.ら、Thromb Haemost.(1995)74:5
41〜51を参照のこと。
【0073】 アテローム性動脈硬化症は、動脈壁の内側部分の局所的肥厚により特徴付けら
れており、このことは、個体を心筋梗塞(心臓発作)、脳梗塞(発作)、高血圧
(高い血圧)および端部の壊疽にかかりやすくする。アテローム性動脈硬化症損
傷の形成の原因である一般的基礎事象は、内皮細胞損傷に応答しての増殖する平
滑筋細胞の内膜肥厚である。「内膜(または新内膜)の肥厚または形成」とは、
動脈の内皮露出に応答しての内膜における動脈平滑筋細胞の増殖を意味する。血
管形成術またはバイパス手術により物理的に処置される冠状動脈における平滑筋
細胞の蓄積もまた、再狭窄の顕著な特徴である。主に増殖した平滑筋細胞からな
ることに加えて、アテローム性動脈硬化症の損傷は、脂質を抱えた大量のマクロ
ファージ、種々の数のリンパ球および大量の結合組織により囲まれる。PDGF
が、平滑筋細胞増殖の原因である主な増殖調節分子であると考えられている(例
えば、Driks,R.ら、Mol Biol Rep(1995)22:1〜
24(この参考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に
参考として援用される)を参照のこと)。従って、PDGFは、アテローム性動
脈硬化症の疾患プロセスにおいて重要な役割を果たし得る(例えば、Hughe
s,A.、Gen Pharmacol.(1996)27:1079〜89(
この参考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考と
して援用される)を参照のこと)。他の多数の因子が、アテローム性動脈硬化症
および再狭窄の病態生理に寄与する。これらの因子としては、アンギオテンシン
II、FGF、およびトランスホーミング増殖因子β1が挙げられるがこれらに
限定されない(例えば、Pratt,R.、J Am Soc Nephrol
(1999)補遺11:S120〜8;Gibbons,G.、Am J Hy
pertens(1998)11:177S〜181S;Cines,D.ら、
Blood(1998)91:3527〜61;O’Reillyら、REGU
LATION OF ANGIOGENESIS、GoldbergおよびRo
sen編(Birkhouser Verlag、Basel 1997)第2
73〜294頁;Saltis,J.ら、Clin Exp Pharmaco
l Physiol(1996)23:193〜200(これらの参考文献およ
びその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援用される)
を参照のこと)。
【0074】 平滑筋細胞増殖、内皮細胞増殖および新脈管形成を阻害する治療因子は、本発
明のキメラ分子、方法、および遺伝子治療試薬とともに使用され得る。例えば、
アンジオスタチンと呼ばれる1つの治療因子(プラスミノゲンの天然に存在する
内部切断産物)は、内皮細胞増殖を阻害し、そして米国特許第5,733,87
6号(この参考文献は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている
。別の内皮細胞増殖阻害剤としては、エンドスタチンが挙げられ、これは、米国
特許第5,854,205号(この参考文献は、本明細書中に参考として援用さ
れる)に記載される。例えば、O’Reilly,M.ら、Cell(1997
)88:277〜85を参照のこと。アテローム性動脈硬化症および再狭窄なら
びに他の新脈管形成依存性(または脈管形成関連性)疾患の脈管形成プロセスの
制御に関する、アンジオスタチンおよびエンドスタチンのような治療因子は、こ
れらの疾患の排除または緩和をもたらし得る。例えば、Cao,Y、Prog
Mol Subcell Biol.(1998)20:161〜76(この参
考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援
用される)を参照のこと。従って、アテローム性動脈硬化症および再狭窄の脈管
形成プロセスを制御する治療因子は、本発明のキメラ分子において使用され得る
【0075】 ((2.)キメラ分子の標的化成分の選択および調製) ((A)標的化分子の同定) 種々の方法が、血管内皮(例えば、心臓血管内皮)のような特定の細胞および
組織に特異的に結合する分子を同定および単離するために利用可能である。いつ
かの例示的方法が、以下に記載される。
【0076】 ((1)インビボパニングを利用するファージディスプレイ) この方法において、1つまたはいくつかの選択された器官に特異的に結合する
分子が、インビボパニングを使用してライブラリーをスクリーニングすることに
よって、同定され得る。この方法は、米国特許第5,622,699号に詳細に
記載され、そして本明細書中で参考として援用される。また、Pasquali
ni,R.ら、Nature(1996)380:364〜366を参照のこと
。被験体に投与するための例示的ライブラリーは、ファージディスプレイペプチ
ドライブラリーである。ファージディスプレイとは、ペプチドまたはタンパク質
が、複製可能な遺伝的パッケージ(下記)のコートタンパク質に遺伝的に融合さ
れており、一般的にはその複製可能な遺伝的パッケージの外側にその融合ペプチ
ドまたはタンパク質の提示をもたらすと同時に、その融合物をコードするDNA
が一般的にはその複製可能な遺伝的パッケージ内に存在する、インビトロまたは
インビボでの選択技術を述べる。提示されるタンパク質とそれをコードするDN
Aとの間のこの物理的結合は、各々が対応するDNA配列に連結している多数の
ペプチドまたはペプチドの改変体のスクリーニングを可能にする。
【0077】 種々の型の分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質
フラグメント、ペプトイド、またはペプチド模倣物)の多様な集団を含むライブ
ラリーを調製するための方法は、当該分野で周知であり、そして市販されている
。例えば、Lowman,H,ら、Ann.Rev Biophys Biom
ol Struct.(1997)26:401〜24;Cortese,R.
ら、Curr.Opin.Biotechnol.(1996)7(6):61
6〜21;McGregor,D.ら、Mol Biotechnol.(19
96)6(2):155〜62;EckerおよびCrooke、Biotec
hnology(1995)13:351〜360ならびにBlondelle
ら、Trends Anal.Chem.(1995)14:83〜92(これ
らの参考文献およびその中で引用される参考文献すべては、その各々が本明細書
中に参考として援用される)を参照のこと。また、GoodmanおよびRo、
Peptidomimetics for Drug Design、BURG
ER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DI
SCOVERY、第1巻(Wolff,M.E編、John Wiley&So
ns 1995)ならびにGordonら、J.Med.Chem.(1994
)37:1385〜1401(その各々が参考として援用される)も参照のこと
【0078】 ファージディスプレイ技術は、ランダムなペプチドまたは選択的にランダムに
されたペプチドの多岐の集団を発現するための手段を提供し得る。ファージディ
スプレイの種々の方法およびペプチドの多岐の集団を生成するための方法は、公
知である(例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号(この参
考文献およびその中で引用される参考文献すべては、本明細書中に参考として援
用される)を参照のこと)。
【0079】 複製可能な遺伝的パッケージは、細胞、胞子またはウイルスを意味する。この
複製可能な遺伝的パッケージは、真核生物性であってもまたは原核生物性であっ
てもよい。ポリペプチドディスプレイライブラリーは、提示される外因性ポリペ
プチドをコードする核酸をその複製可能な遺伝的パッケージのゲノム中に導入し
て、その複製可能な遺伝的パッケージの外側表面から通常は発現される内因性タ
ンパク質との融合タンパク質を形成することによって、形成される。その融合タ
ンパク質の発現、外側表面への輸送およびアセンブリは、その遺伝的パッケージ
の外側表面からの外因性ポリペプチドの提示をもたらす。
【0080】 ディスプレイライブラリーに最も頻繁に使用される遺伝的パッケージは、バク
テリオファージ、特に糸状ファージ、そしてとりわけファージM13、Fdおよ
びF1である。ほとんどの作業は、提示されるポリペプチドをコードするライブ
ラリーを、融合タンパク質を形成するこれらのファージのgIIIまたはgVI
IIのいずれかに挿入している(例えば、WO 91/19818;WO 91
/18989;WO 92/01047(遺伝子III);WO 92/062
04;およびWO92/18619(遺伝子VIII)を参照のこと)。このよ
うな融合タンパク質は、シグナル配列(通常は、ファージコートタンパク質以外
の分泌タンパク質由来)、提示されるポリペプチド、および遺伝子IIIタンパ
ク質もしくは遺伝子VIIIタンパク質またはそれらのフラグメントのいずれか
を含む。外因性コード配列は、しばしば、遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIの
N末端にかまたはその付近に挿入されるが、他の挿入部位が可能である。いくつ
かの糸状ファージベクターが、遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかの
第2のコピーを生成するように操作されている。このようなベクターにおいて、
外因性配列は、その2つのコピーのうちのただ1つのみに挿入される。もう1つ
のコピーの発現は、ファージ粒子中に取り込まれる融合タンパク質の比率を効果
的に落とし、そしてファージ増殖に有害なポリペプチドに対する選択を減少する
際に有利であり得る。
【0081】 別の改変において、外因性ポリペプチド配列は、ファージコートタンパク質お
よびファージパッケージング配列をコードするが複製不可能な、ファージミドベ
クターにクローニングされる。ファージミドは、細胞にトランスフェクトされ、
そしてヘルパーファージでの感染によってパッケージされる。ファージミド系の
使用はまた、コートタンパク質とディスプレイされたポリペプチドとから形成さ
れる融合タンパク質を、ヘルパーファージから発現されたコートタンパク質の野
生型コピーで希釈する効果を有する(例えば、WO92/09690を参照のこ
と)。
【0082】 真核生物ウイルスを使用して、ポリペプチドを類似の様式でディスプレイし得
る。例えば、Moloneyマウス白血病ウイルスのgp70に融合したヒトヒ
レグリンのディスプレイは、Hanら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA(1995)92:9747−9751により報告された。胞子をまた
、複製可能な遺伝パッケージとして使用し得る。この場合には、ポリペプチドは
、この胞子の外側表面からディスプレイされる。例えば、B.subtilis
由来の胞子は、適切であることが報告されている。これらの胞子のコートタンパ
ク質の配列は、Donovanら、J.Mol.Biol.(1987)196
:1−10により提供されている。細胞をまた、複製可能な遺伝パッケージとし
て使用し得る。ディスプレイされるポリペプチドは、細胞表面で発現される細胞
タンパク質をコードする遺伝子に挿入される。Salmonella typh
imurium、Bacillus subtilis、Pseudomona
s aeruginosa、Vibrio cholerae、Klebsie
lla pneumonia、Neisseria gonorrhoeae、
Neisseria meningitidis、Bacteroides n
odosus、Moraxella bovis、および特に、Escheri
chia coliを含む細菌細胞が、好ましい。外側表面のタンパク質の詳細
は、米国特許第5,571,698号、ならびにGeorgiouら、Natu
re Biotechnology(1997)15:29−34およびそこに
引用される参考文献により、議論されている。
【0083】 ポリペプチドディスプレイライブラリーによりディスプレイされるポリペプチ
ドをコードする核酸は、標準的な組換えDNA技術によって、複製可能な遺伝パ
ッケージのゲノムに挿入される(例えば、Sambrookら、Molecul
ar Cloning、A Laboratory Manual(第2版、1
989)を参照のこと、本明細書中に参考として援用される)。核酸は、最終的
に、複製可能なパッケージの外側表面タンパク質のすべてまたは一部に融合した
ポリペプチドとして(スペーサー残基またはフレームワーク残基を伴うかまたは
伴わずに)発現される。ライブラリーは、しばしば、約103、104、106
107、108以上のメンバーの大きさを有する。
【0084】 これらおよび他の周知の方法を使用して、ファージディスプレイライブラリー
を生成し得、1つまたは少数の選択した器官および組織に特異的に結合するペプ
チドを同定するために、米国特許第5,622,699号に記載されるインビボ
パニング法に、このライブラリーを供し得る。例えば、Pasqualini,
R.およびRuoslahti,E.Nature(1996)380:362
−366;Arap,W.ら、Science(1998)279:377−3
80;Rajotte,D.ら、J Clin Invest(1998)10
2:430−7;およびRajotte,D.ら、J Biol Chem.(
1999)274:11593−8を参照のこと;これらの参考文献は、本明細
書中に参考として援用される。例えば、インビボでの選択またはパニングを使用
して、正常な心臓内皮または心筋虚血−再灌流障害により変化した心臓内皮を選
択的に結合するペプチドを同定および単離し得る。同様に、正常な脳組織または
変化した脳組織をまた使用して、これらの組織に選択的に結合するペプチドを同
定および単離し得る。
【0085】 一般に、目的の無作為な分子または選択的に無作為化された分子の様々な集団
を含む分子のライブラリーが調製され得、次いで2.5×108形質導入単位(
TU)のファージライブラリーが、被験体に投与され得る(例えば、頸静脈を通
して静脈内で)。インビボでのファージ循環を可能にする、所定の時間の後に、
高カリウム血(30mM KCl)の低体温DMEM溶液の心室内注射によって
心臓を停止させ得、そして5〜10mLの高カリウム血DMEMで左心室カニュ
ーレを通して潅流することによって、脈管構造から血液を除去し得る。次いで、
心臓および脳を採取し、均一化し、秤量し、そして標準的な技術によって、ファ
ージをレスキューし得る。選択の2回目および3回目については、クローンを、
先の回から採取し得、そして飽和するまで個々に増殖し得る。次いで、この培養
物をプールし、ファージ粒子を精製し、次いでこのプールの1010TUを、同様
に処置した被験体に再注入し得る。次いで、3回目以上からの個々のクローンの
ファージssDNAを調製し得、そして標準的な技術によって、インサートを配
列決定し得る(例えば、Rojotteら、前出を参照のこと)。次いで、複数
回現れる配列を有するファージを、同様に処置した被験体へのさらなる注射によ
って、さらに特徴付け得る。スクリーニングの引き続く回を実施して、目的の器
官に選択的に結合する分子を濃縮し得る。
【0086】 インビボでのパニングをまた使用して、変化した脈管内皮(すなわち、心臓内
皮)を選択的に標的化するファージを同定し得る。脈管内皮は、心筋虚血−再灌
流障害によって変化し得る。例えば、標準的な手順による30分間の虚血の誘導
および引き続く30分間の再潅流(いくらかの変化が内皮において起こることを
可能にするため)を使用して、脈管内皮を変化させ得る。次いで、再潅流障害を
受けた動物由来の心臓組織に、ファージを注射し得る。次いで、インビボでのパ
ニング手順を、上記のように実施し得る。
【0087】 ((2)プラスミド上のペプチド) 別の方法は、プラスミド上のペプチド(「POPS」)と呼ばれる。Scha
tz,P.ら、米国特許第5,733,731号を参照のこと;これらの参考文
献およびこれらに引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用さ
れる。ファージディスプレイ法と同様に、POPSは、様々な集団のペプチドを
コードする、プールされたオリゴヌクレオチドのコレクション、大きなライブラ
リーを生成するためのエレクトロポレーション、ならびにペプチドおよびこれら
をコードするオリゴヌクレオチドの遺伝子連結を使用する。しかし、POPSは
、遺伝子連結が、ファージ粒子によって提供されるのではなく、融合タンパク質
をコードするベクター上の部位に結合する融合タンパク質としてDNA結合ドメ
インを有する発現ペプチドによって提供される点で、ファージディスプレイ法と
は異なる。
【0088】 ((3)コードされた合成ライブラリー法) さらなる方法は、コードされた合成ライブラリー法(「ESL」)と呼ばれる
。米国特許第5,639,603号;WO95/12608、WO93/061
21、WO94/08051、WO95/35503およびWO95/3064
2(これらの各々が、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される)
を参照のこと。この方法において、ライブラリーにおける異なる化合物が、これ
らの化合物の種々の成分をカップリングのいくつかの回において段階的に添加す
ることによって、別の支持体(例えば、ビーズ)に付着して合成される。カップ
リングの回は、異なる反応容器間で支持体を割り当て、そして異なる成分を、異
なる反応容器内の支持体に添加することによって、実施され得る。反応容器に添
加される特定の成分が、この支持体に第二の部位でタグ成分を添加することによ
り、記録される。タグ成分は、オリゴヌクレオチドまたは他の標識であり得る。
オリゴヌクレオチドが使用される場合には、対応するタグおよび化合物は、代表
的に、遺伝子コード以外の対応レジメンにより関連付けられる。合成の各回の後
に、同じ反応容器からの支持体を、異なる反応容器間に割り当て得、そして/ま
たは合成の次の回において、別の反応容器からの支持体でプールされ得る。合成
のいずれかの回において、そして通常は全ての回において、支持体に添加される
成分は、支持体の第二の部位においてさらなるタグ成分を添加することによって
、記録され得る。合成のいくつかの回の後に、異なる化合物の大きなライブラリ
ーが生成し、ここで、化合物の識別は、その化合物を保有するそれぞれの支持体
に付着したタグにコードされる。このライブラリーを、標的に対する結合に関し
てスクリーニングし得る。ESL法を使用して、成分ごとの様式で合成され得る
ペプチドを含む、任意の化合物のライブラリーを生成し得る。
【0089】 上記選択技術を使用して、例えば、心臓脈管内皮、虚血性の心臓脈管内皮、末
梢脈管内皮、および虚血性の抹消脈管内皮を、標的化し得る。末梢脈管内皮は、
心臓および肢の外側の器官において、見出される。
【0090】 ((B)好ましい標的化分子) 本発明の好ましい標的化分子は、上に記載されそして以下で参照される、イン
ビボでのパニング手順を使用して、GGGVFWQ、HGRVRPH、VVLV
TSS、CLHRGNSC、およびCRSWNKADNRSCからなる群から選
択される、アミノ酸配列を含む。GGGVFWQ、HGRVRPH、VVLVT
SS、およびCLHRGNSCのペプチドは、正常な心臓内皮に選択的に結合す
る。より具体的には、GGGVFWQペプチドは、正常な心臓脈管に対して5倍
の濃縮を示し、一方でHGRVRPH、VVLVTSS、CLHRGNSCのペ
プチドは、正常な心臓血管に対して2倍の濃縮を示した。CRSWNKADNR
SCペプチドは、虚血性心筋層に対して5倍の濃縮を示した。これらのペプチド
が同定された方法、およびこれらの特性の詳細は、本願と同日に出願されたU.
S.S.N. [Campbell & Flores LLP代理人文書番
号P−LJ3512]に記載され、この出願は、特に本明細書中に参考として援
用される。
【0091】 ((C)脈管形成因子成分の選択/調製) 脈管形成因子は、前出に記載される。例示的な脈管形成因子としては、VEG
Fポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。例示的なVEGFポリペ
プチドである、VEGF−Bは、単離され、クローニングされ、そして配列決定
された。Erikssonら、米国特許第5,849,693号を参照のこと;
この参考文献およびこれに引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用
される。現在、mRNAの選択的スプライシングにより生成するVEGF−Bの
2つのアイソフォームが、区別されている(Grimmondら、1996;O
lfssonら、1996b;Townsonら、1996;これらの参考文献
およびこれらに引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用され
る)。これら2つの分泌形態のVEGF−Bは、それぞれ167(VEGF−B 167 )および186(VEGF−B186)のアミノ酸残基を有する。
【0092】 VEGF−B167およびVEGF−B186のアイソフォームは、それぞれ見かけ
の分子量21kDおよび32kDの、ジスルフィド連結したホモダイマーとして
生成する(Olofssonら、1996)。
【0093】 一旦、VEGFポリペプチドが選択されるか、設計されるか、またはさもなけ
れば提供されると、VEGFポリペプチドまたはそれをコードするDNAが合成
される。VEGFタンパク質をコードするDNAの合成および発現の例示的な方
法は、以下および実施例に記載される。次いで、VEGFキメラポリペプチドま
たはそれをコードするポリヌクレオチドを使用して、脈管増殖を誘導し得る。
【0094】 VEGFタンパク質およびこのようなVEGFタンパク質をコードする核酸を
、組換え遺伝学の分野において慣用的な技術を使用して、作製し得る。本発明に
おける使用の一般的な方法を開示する、基本的なテキストとしては、Sambr
ookら、Molecular Cloning、A Laboratory
Manual(第2版、1989);Kriegler、Gene Trans
fer and Expression:A Laboratory Manu
al(1990);およびCurrent Protocols in Mol
ecular Biology(Ausubelら、前出)が挙げられる;これ
らの参考文献およびこれらにおいて引用される全ての参考文献は、本明細書中に
参考として援用される。さらに、本質的にあらゆる核酸を、任意の種々の市販の
供給源からあつらえて注文し得る。同様に、ペプチドおよび抗体を、任意の種々
の市販の供給源からあつらえて注文し得る。
【0095】 選択した脈管形成タンパク質をコードする核酸は、代表的に、例えばKdを決
定するために、複製および/または発現のために、原核生物細胞または真核生物
細胞内への形質転換のために、中間体ベクターにクローニングされ得る。中間体
ベクターは、代表的に、脈管形成タンパク質をコードする核酸の貯蔵もしくは操
作のため、またはタンパク質の産生のためには、原核生物ベクター(例えば、プ
ラスミド)、またはシャトルベクターであるか、あるいは昆虫ベクターである。
脈管形成タンパク質をコードする核酸はまた、植物細胞、動物細胞(好ましくは
、哺乳動物細胞もしくはヒト細胞)、真菌細胞、細菌細胞、または原生動物細胞
への投与のために、代表的に、発現ベクターにクローニングされ得る。
【0096】 クローニングされた遺伝子または核酸の発現を得るために、キメラ脈管形成タ
ンパク質は、代表的に、転写を指向するためのプロモーターを含む発現ベクター
にサブクローニングされ得る。適切な細菌プロモーターおよび真核生物プロモー
ターは、当該分野において周知であり、そして例えば、Sambrookら、M
olecular Cloning、A Laboratory Manual
(第2版、1989);Kriegler、Gene Transfer an
d Expression:A Laboratory Manual(199
0);およびCurrent Protocols in Molecular
Biology(Ausubelら、前出)に記載される;これらの参考文献
およびこれらにおいて引用される全ての参考文献は、本明細書中に参考として援
用される。脈管形成タンパク質を発現するための細菌発現系は、例えば、E.c
oli、Bacillus sp.、およびSalmonella(Palva
ら、Gene I(1983)22:229−235)において利用可能である
。このような発現系のためのキットは、市販されている。哺乳動物細胞、酵母、
および昆虫細胞のための、真核生物発現系は、当該分野において周知であり、そ
してまた市販されている。
【0097】 キメラ脈管形成タンパク質核酸の発現を指向するために使用されるプロモータ
ーは、特定の応用に依存する。例えば、強力な構成的プロモーターは、代表的に
、脈管形成タンパク質の発現および精製のために、使用され得る。対照的に、脈
管形成タンパク質が遺伝子調節のためにインビボで投与される場合には、その脈
管形成タンパク質の特定の使用に依存して、構成的プロモーターまたは誘導的プ
ロモーターのいずれかが使用され得る。プロモーターはまた、代表的に、トラン
ス活性化を担うエレメント(例えば、低酸素症応答エレメント、Gal4応答エ
レメント、lacリプレッサー応答エレメント、および低分子コントロール系(
例えば、tet調節系およびRU−486系))を含み得る(例えば、Goss
enおよびBujard、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A
.(1992)89:5547;Oliginoら、Gene Ther.(1
998)5:491−496;Wangら、Gene Ther.(1997)
4:432−441;Neeringら、Blood(1996)88:114
7−1155;ならびにRendahlら、Biotechnol.(1998
)16:757−761を参照のこと)。
【0098】 プロモーターに加えて、発現ベクターは、代表的に、原核生物または真核生物
のいずれかの宿主細胞において、核酸の発現のために必要とされる全てのさらな
るエレメントを含む、転写ユニットまたは発現カセットを含む。従って、代表的
な発現カセットは、例えば、脈管形成タンパク質をコードする核酸配列に作動可
能に連結されたプロモーター、および例えば、転写、転写終止、リボソーム結合
部位、または翻訳終止の効率的なポリアデニル化のために必要とされるシグナル
を含む。カセットのさらなるエレメントとしては、例えば、エンハンサー、およ
び異種のスプライシングされたイントロンシグナルが挙げられ得る。
【0099】 遺伝情報を細胞内に移送するために使用される特定の発現ベクターは、脈管形
成タンパク質の意図された使用(例えば、植物、動物、細菌、真菌、および原生
動物における発現)に関して、選択され得る。標準的な細菌発現ベクターとして
は、pBR322に基づくプラスミドのようなプラスミド、pSKF、pET2
3D、および市販の融合発現系(例えば、GSTおよびLacZ)が挙げられる
。これらの融合タンパク質を、脈管形成タンパク質の精製のために使用し得る。
エピトープタグもまた、組換えタンパク質に添加されて、発現をモニタリングす
るため、ならびに細胞および細胞下の局在化をモニタリングするために、好都合
な単離方法を提供し得る。
【0100】 真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、しばしば、真
核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター
、およびエプスタイン−バーウイルス由来のベクター)において使用される。他
の例示的な真核生物ベクターとしては、pMSG、pAV009/A+、pMT
O10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびSV
40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモー
ター、マウス乳腺癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、
ポリヘドリンプロモーター、または真核生物細胞における発現のために効果的で
あることが示された他のプロモーターの指向のもとでの、タンパク質の発現を可
能にする、他の任意のベクターが挙げられる。
【0101】 いくつかの発現系は、安定にトランスフェクトされる細胞株(例えば、チミジ
ンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、およびジヒドロフ
ォレートレダクターゼ)を選択するための、マーカーを有する。高収率の発現系
(例えば、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモ
ーターの指向の元で、脈管形成タンパク質コード配列を有するバキュロウイルス
ベクターを昆虫細胞において使用すること)もまた、適切である。
【0102】 発現ベクターに代表的に含まれるエレメントはまた、E.coliにおいて機
能するレプリコン、組換えプラスミドを有する細菌の選択を可能するための、抗
生物質耐性をコードする遺伝子、および組換え配列の挿入を可能にするための、
プラスミドの本質的でない領域における独自の制限部位を含む。
【0103】 標準的なトランスフェクション方法を使用して、大量のタンパク質を発現する
細菌細胞株、哺乳動物細胞株、酵母細胞株または昆虫細胞株を生成し、次いでこ
れらを、標準的な技術を使用して精製する(例えば、Colleyら、J.Bi
ol.Chem.(1989)264;17619−17622;Guide
to Protein Purificaion、Methods in En
zymology、第182巻(Deutscher編、1990)を参照のこ
と)。真核生物細胞および原核生物細胞の形質転換を、標準的な技術に従って実
施する(例えば、Morrison、J.Bact.(1977)132:34
9−351;Clark−CurtissおよびCurtiss、Method
s in Emzymology 101:347−362(Wuら編、198
3)を参照のこと)。
【0104】 ((D)脈管形成因子成分への標的化成分のカップリング) 本発明のキメラ分子は、少なくとも2つの成分を含む:機能的脈管形成因子お
よび標的化分子。この機能的脈管形成因子は、例えば、内皮細胞上の脈管形成因
子レセプターを結合するか、または特定の様式で標的組織に影響を与える配列を
含む、アミノ酸配列またはポリペプチド配列を含み得る。この標的化分子は、1
つ以上の型の脈管内皮細胞に結合する、アミノ酸配列またはポリペプチド配列を
含み得る。機能的脈管形成因子であるアミノ酸配列は、脈管形成因子レセプター
のリガンド結合ドメインであり得る;標的化分子であるアミノ酸配列は、細胞表
面レセプターに結合し得、従って細胞表面レセプターリガンドであり得る。
【0105】 選択された物質が、血液、リンパ、または細胞外流体の通常存在する成分であ
る場合には、脈管形成因子レセプターを結合するリガンド結合ドメインは、通常
は脈管形成因子レセプターを結合する(すなわち、ヒトにおいて選択された脈管
形成因子レセプターを結合する)アミノ酸配列である。このような配列の、改変
された結合特性を有する改変された形態、または通常はヒトにおいて見出されな
いアミノ酸配列であって、合成的操作もしくは遺伝子操作の方法によって生成さ
れ、そして選択された脈管形成因子レセプターを結合し得る、アミノ酸配列。例
えば、脈管形成因子および/または標的化分子は、コンビナトリアルペプチドラ
イブラリーまたはファージディスプレイライブラリーから選択された、アミノ酸
配列であり得る。脈管形成因子および/または標的化分子はまた、免疫グロブリ
ンまたは一本鎖抗体の抗原結合ドメインを含み得、ここで、この免疫グロブリン
または一本鎖抗体の抗原結合ドメインは、所望の選択された物質または細胞表面
レセプターを認識する。選択された物質が外来の成分である場合には、選択され
た物質を結合するアミノ酸配列は、天然に存在するリガンド結合ドメインから選
択されたものであり得、これは、外来の成分、または外来の成分を結合するよう
設計されたアミノ酸配列を、結合する。
【0106】 このキメラタンパク質のドメインは、得られるキメラタンパク質が脈管内皮増
殖因子レセプターと標的化分子レセプターとの両方を結合し得る限り、種々の構
造で連結し得る。1つの構造は、融合タンパク質の形態であり得る。「融合タン
パク質」とは、第二のドメインに関連する少なくとも1つのポリペプチドまたは
ペプチドドメインを含む、組成物をいう。第二のドメインは、ポリペプチド、ペ
プチド、多糖類などであり得る。「融合」は、ペプチド結合、化学結合、電荷相
互作用(例えば、塩橋、水素結合のような静電引力)、非共有結合相互作用など
により発生する会合であり得る。ポリペプチドが組換えられる場合には、「融合
タンパク質」は、共通のメッセージから翻訳され得る。あるいは、ドメインの組
成は、任意の化学的または静電的手段により、連結され得る。本発明の融合タン
パク質はまた、リンカー、エピトープタグ、酵素切断認識配列、シグナル配列、
分泌シグナルなどを含み得る。
【0107】 代表的に、これら2つのドメインは、組換えDNA分子内の単一のリーディン
グフレームによりコードされ、そしてこれら2つのドメインは、ペプチド結合に
より連結される。これら2つのドメインは、同様にオープンリーディングフレー
ムによりコードされ得る、1つ以上のアミノ酸により分離され得る。あるいは、
これら2つのドメインは、別のDNA分子から発現され得、そして非共有結合(
例えば、疎水性またはイオン性相互作用)あるいは共有結合(例えば、ジスルフ
ィド)のいずれかを介してインビトロまたはインビボで連結される。さらに、生
物学的に活性なペプチドダイマーを生成するための方法が記載された。例えば、
EP 0721983 A1を参照のこと(これは、本明細書中に参考として援
用される)。
【0108】 (3.)キメラ分子の処方および投与:薬学的組成物 (A)タンパク質を基礎にした治療 本発明の新脈管形成因子キメラ分子は、代表的には、薬学的に受容可能なキャ
リア(賦形剤)と組み合わせて薬理学的組成物を形成し得る。薬学的に受容可能
なキャリアは、例えば、本発明の薬学的組成物を安定化するか、またはその吸着
またはクリアランス速度を増加または減少するために作用する生理学的に受容可
能な化合物を含み得る。生理学的に受容可能な化合物は、例えば、グルコース、
スクロース、またはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸またはグル
タチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質、ペプチドまたは
ポリペプチド複合体のクリアランスまたは加水分解を減少する組成物、または賦
形剤もしくはその他の安定化剤および/または緩衝剤を含み得る。界面活性剤も
また、薬学的組成物を安定化するため、またはその吸着を増加または減少するた
めに用いられ得る。例示の界面活性剤はリポソームキャリアを含み、後述を参照
のこと。ペプチドおよびポリペプチドのための薬学的に受容可能なキャリアおよ
び処方物は当業者に公知であり、そして科学的および特許文献中に詳細に記載さ
れている。例えば、Remington’s、前述、およびBanga、A.K
.、Therapeutic Peptides and Proteins.
Formulation、Processing and Delivery
Systms(1996)(Technomic Publishing AG
、Basel、Switzerland)を参照のこと;これらの参考文献およ
びこれらの中で引用される参考文献は、本明細書中に参考として援用される。
【0109】 その他の生理学的に受容可能な化合物は、湿潤剤、乳化剤、分散剤または微生
物の増殖または作用を防ぐために特に有用である保存剤を含む。種々の保存剤が
周知であり、そして例えば、フェノールおよびアスコルビン酸を含む。当業者は
、生理学的に受容可能な化合物を含む薬学的に受容可能なキャリアの選択が、例
えば、本発明のタンパク質またはポリペプチドの投与の経路およびその特定の生
理化学的特徴に依存することを認識する。
【0110】 (1)腸、非経口または経粘膜投与のための水性溶液 投与のための組成物は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア、組成物が水溶
性である場合、好ましくは水性キャリア中に溶解された、本発明のペプチドまた
はポリペプチドの溶液を含む。腸、非経口または経粘膜薬物送達のための処方物
で用いられ得る水性溶液の例は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食
塩水、ハンクス溶液、リンゲル溶液、デキストロース/生理食塩水、グルコース
溶液などを含む。これら処方物は、ほぼ生理学的条件に必要な、緩衝化薬剤、浸
透圧調節剤、湿潤剤、界面活性剤などのような、薬学的に受容可能な補助物質を
含み得る。添加物はまた、静菌剤、または安定化剤のような付加的な活性成分を
含み得る。例えば、溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム
、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレートまたはトリエタノ
ールアミンオレアートを含み得る。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技法に
より滅菌され得るか、または濾過滅菌され得る。得られる水性溶液は、そのまま
で使用のためにパッケージされ得るか、または凍結乾燥され得、凍結乾燥された
調製物は、投与の前に滅菌水性溶液と組み合わせられる。これらの処方物中のキ
メラ分子の濃度は広く変化し得、そして選択された投与の特定の様式および患者
の必要に従って、主に流体容積、粘度、体重などに基いて選択される。
【0111】 (2)腸送達のための固形処方物 固形処方物が腸(経口)投与のために用いられ得る。これらは、例えば、ピル
、タブレット、粉末またはカプセルとして処方され得る。固形組成物には、従来
の非毒性固形キャリアが用いられ得、これには、例えば、薬学的グレードのマン
ニトール、乳糖、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム
、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含
まれる。経口投与には、薬学的に受容可能な非毒性組成物が、先に列挙したキャ
リアのような任意の通常採用される賦形剤、およびほぼ10%〜95%の活性成
分(キメラ分子)を取り込むことにより形成される。非固形処方物もまた腸投与
のために用いられ得る。キャリアは、石油、動物、植物または合成起源の、例え
ば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む種々の油から選択され得る
。適切な薬学的賦形剤は、例えば、スターチ、セルロース、タルク、グルコース
、乳糖、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステア
レート、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコ
ール、水、エタノールなどを含む。
【0112】 本発明のキメラ分子が、経口投与されるとき、消化から保護されなければなら
ないことが認識される。これは、代表的には、ペプチドまたはポリペプチド複合
体を、それを酸性かつ酵素的加水分解に耐性にするために、組成物と複合体化す
ることによるか、またはリポソームのような適切に耐性であるキャリア中にペプ
チドまたは複合体をパッケージングすることのいずれかにより達成され得る。化
合物を消化から保護する手段は当該分野で周知である。例えば、Fix Pha
rm Res.(1996)13:1760−1764;Samanen J.
Pharm.Pharmacol.(1996)48:119−135;治療剤
の経口送達のための脂質組成物を記載する米国特許第5,391,377号(リ
ポソーム送達は後述にさらに詳細に論議される)を参照のこと。
【0113】 (3)経皮/経粘膜送達のための局所処方物 全身投与もまた、経粘膜または経皮手段によってであり得る。経粘膜または経
皮投与のために、透過されるバリアに適切な浸透剤が処方剤中に用いられ得る。
このような浸透剤は、一般に当該分野で公知であり、そして例えば、経粘膜投与
のために、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。さらに、界面活性剤を
用いて透過を促進し得る。経粘膜投与は鼻スプレーまたは坐薬を用いることによ
ってであり得る。例えば、Banga、第10章;Sayani「吸収性粘膜を
横切るペプチドおよびタンパク質の全身送達」Crit.Rev.Ther.D
rug Carrier Syst.(1996)13:85−184を参照の
こと。局所的、経皮投与には、薬剤は、軟膏剤、クリーム、軟膏、粉末およびゲ
ル中に処方され得る。経皮送達システムはまた、例えば、パッチを含み得る。例
えば、Banga、第9章を参照のこと。
【0114】 ペプチドおよびポリペプチド複合体また、持続送達または持続放出機構で投与
され得、これは、処方物を内部的に送達し得る。例えば、組成物(例えばキメラ
分子)を持続送達し得る、生分解性マイクロスフェアまたはカプセルまたはその
他の生分解性ポリマー形態が本発明の処方物中に含められ得る(例えば、Put
ney Nat.Biotechnol.(1998)16:153−157を
参照のこと)。
【0115】 (4)吸入送達のための処方物 吸入には、ペプチドまたはポリペプチドは、当該分野で公知の任意のシステム
を用いて送達され得、これには、乾燥粉末エアロゾル、液体送達システム、エア
ージェット噴霧器、噴霧剤システムなどが含まれる。例えば、Pattonら、
Biotechniques(1998)16:141−143;例えば、Du
ra Pharmaceuticals(San Diego、CA)、Ara
digm(Hayward、CA)、Aerogen(Santa Clara
、CA)、Inhale Therapeutic Systems(San
Carlos、CA)などによるポリペプチド高分子のための産物および吸入送
達システムを参照のこと。
【0116】 例えば、薬学的処方物は、エアロゾルまたはミストの形態で投与され得る。エ
アロゾル投与のためには、処方物は、界面活性剤および噴霧剤とともに微細に分
割された形態で供給され得る。好ましくは、界面活性剤は噴霧剤に可溶性である
。このような薬剤の代表は、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステアリン酸およびオレイン
酸のような6〜22炭素原子を含む脂肪酸の、脂肪族多水酸基アルコールまたは
その環状無水物(例えば、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール
、アラビトール、マンニトール、ソルビトール、ソルビトール由来のヘキシトー
ル無水物)とのエステルまたは部分エステル、およびこれらエステルのポリオキ
シエチレンおよびポリオキシプロピレン誘導体である。混合または天然グリセリ
ドのような混合エステルが採用され得る。界面活性剤は、組成物の0.1重量%
〜20重量%、好ましくは0.25重量%〜5重量%を構成し得る。処方物の残
りは通常噴霧剤である。代表的には、液化性噴霧剤は、周囲温度でガスであり、
そして圧力下で濃縮されている。適切な液化性噴霧剤は、ブタンおよびプロパン
のような5つまでの炭素を含む低級アルカン;および好ましくはフッ化アルカン
またはフルオロ塩素化アルカンである。上記の混合物もまた採用され得る。エア
ロゾルを生成することにおいて、適切なバルブを装着した容器に、微細に分割さ
れた化合物および界面活性剤を含む適切な噴霧剤で充填する。従って、成分は、
バルブの作用により放出されるまで高圧に維持される。例えば、Edwards
ら、Science(1997)276:1868−1871を参照のこと。
【0117】 別の実施形態では、呼吸組織に処方物を送達するためのデバイスは、処方物が
気化する吸入器である。その他の液体送達システムは、例えば、空気ジェット噴
霧器を含む。
【0118】 (5)その他の処方物 本発明の医薬を調製することで、種々の処方物の改変を用い得、そして薬物動
態学および生体内分布を改変するために操作され得る。薬物動態学および生体内
分布を改変するための多くの方法が当業者に公知である。このような方法の例は
、タンパク質、脂質(例えば、リポソーム、以下を参照のこと)、炭水化物、ま
たは合成ポリマー(上記で論議)のような物質から構成されるベシクル中の複合
体の保護を含む。薬物動態学の一般的な論議については、例えば、Reming
ton’s、第37−39章、またはBanga、第6章を参照のこと。またL
ee、P.I.D.ら、Pharmacokinetic Analysis.
A Practical Approach(Technomic Publi
shing AG、Basel、Switzerland 1996)を参照の
こと。
【0119】 (6)送達の経路 本発明の方法で用いられるペプチドおよびポリペプチド複合体は、当該分野で
公知の任意の手段、例えば全身的、領域的、または局所的に;動脈内、くも膜下
腔内(IT)、静脈内(IV)、筋肉内注射、非経口的、胸腔内、局所、経口、
または局所投与により、皮下、気管内(例えばエアロゾルにより)または経粘膜
(例えば、頬、膀胱、膣、子宮、直腸、鼻粘膜)として、単独または薬学的組成
物として送達され得る。投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業
者に公知または明らかであり、そして科学的文献および特許文献に詳細に記載さ
れている。例えば、Remington’sまたはBangaを参照のこと。投
与の特に好適な様式は、特に例えば、特定器官(例えば、脳およびCNS(例え
ば、Gurun Anesth Analg.(1997)85:317−32
3を参照のこと)および心臓)に焦点をあてるために、「領域効果」を有するこ
とが所望されるとき、動脈内、筋肉内注射またはくも膜下腔内(IT)注射を含
む。例えば、本発明のペプチドまたはポリペプチド複合体を脳に直接送達するこ
とが所望される場合、頸動脈内注射が好適である。高い全身用量が必要である場
合、非経口的投与が送達の好適な経路である。経口耐性を誘導するペプチドの投
与が治療目的である場合、腸投与が好適な方法である。例えば、Kennedy
J.Immunol.(1997)159:1036−1044;Kent
Ann.NY Acad.Sci.(1997)815:412−422を参照
のこと。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に
公知または明らかであり、そして、例えば、Remington’s、Bang
a第7章に詳細に記載されている。また、Bai J.Neuroimmuno
l.(1997)80:65−75;Warren J.Neurol.Sci
.(1997)152:31−38;Tonegawa J.Exp.Med(
1997)186:507−515もまた参照のこと。
【0120】 (7)治療養生法:薬物動態学 薬学的組成物は、投与の方法に依存して種々の単位投与量形態で投与され得る
。代表的なペプチドおよびポリペプチド薬学的組成物の投与量は、当業者に周知
である。代表的には、このような投与量は、事実上熟慮され、そして特定の治療
内容、患者耐性などに依存して調節される。これを達成するために適切なキメラ
分子の量は、「治療的に有効な用量」として規定される。投与量スケジュールお
よびこの使用に有効な量、すなわち「用量養生法」は、種々の因子に依存し、こ
れには、疾患または症状の段階、疾患または症状の重篤度、患者の健康の一般的
状態、患者の肉体的状態、年令、活性薬剤の薬学的処方物および濃度などが含ま
れる。患者のための投与量養生法を算出するには、投与の様式もまた考慮される
。投与量養生法はまた、薬物動態学、すなわち、薬学的組成物の吸収速度、生物
学的利用能、代謝、クリアランスなどを考慮しなければならない。例えば、Re
mington’s:Egleton Peptides(1997)18:1
431−1439;Langer Science(1990)249:152
7−1533を参照のこと。
【0121】 治療適用には、組成物は、虚血疾患を患う患者に、疾患および/またはその合
併症を治癒または少なくとも部分的に阻止するに十分な量で投与される。これを
達成するに適切な量は、「治療的に有効な用量」として規定される。この使用の
ために有効な量は、疾患の重篤度、患者の健康の一般的状態,投与の頻度および
経路、臨床医の判断などに依存する。
【0122】 投与量は、症状の寛解または軽減を評価することによるか、または血液または
組織病理学的標本の分析のような客観的基準によって、経験的に決定され得る。
従って、本発明の組成物は、疾患の進行を阻止するため、およびこれらまたはそ
の他の症状の発症、頻度または重篤度を低減するために投与される。
【0123】 本発明のペプチドおよび複合体を含む薬学的組成物は、単独またはその他の治
療処置と組み合わせて投与され得る。組成物の単回または複数投与は、患者に必
要であって、かつ患者が耐える投与量および頻度に依存して投与され得る。
【0124】 (8)リポソーム処方物 本発明は、キメラ分子が脂質単層または二重層中に取り込まれている処方物の
ための医薬品を提供する。本発明はまた、水可溶性ペプチドまたは複合体が単層
または二重層の表面に付着した処方物を提供する。例えば、ペプチドは、ヒドラ
ジド−PEG−(ジステアロイルホスファチジル)エタノールアミン含有リポソ
ーム(例えば、Zalipsky Bioconjug.Chem.(1995
)6:705−708を参照のこと)に付着され得る。リポソームまたはインタ
クト細胞(例えば、赤血球細胞)の平面状脂質膜または細胞膜のような任意の形
態の脂質膜が用いられ得る。リポソーム処方物は、任意の手段によってであり得
、これには、静脈内、経皮的(例えば、Vutla J.Pharm.Sci.
(1996)85:5−8)、経粘膜的、または経口投与が含まれる。本発明は
また、本発明のペプチドおよび/または複合体がミセルおよび/またはリポソー
ム内に取り込まれる薬学的調製物を提供する(例えば、Suntres J.P
harm.Pharmacol.(1994)46:23−28;Woodle
Pharm.Res.(1992)9:260−265を参照のこと)。
【0125】 リポソームおよびリポソーム処方物は、標準的方法に従って調製され得、そし
て当該分野で周知である。例えば、Remington’s;Akimaru
Cytokines Mol.Ther.(1995)1:197−210;A
lving Immunol.Rev.(1995)145:5−31;Szo
ka Ann.Rev.Biophys.Bioeng.(1980)9:46
7、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号および第4,8
37,028号;これらの参考文献およびこれらの中で引用されるすべての参考
文献は参考として本明細書中に援用される、を参照のこと。1つの実施形態では
、代表的には、本発明のリポソームは、リポソームの表面上に位置するキメラ分
子複合体を、この複合体が内皮細胞上のレセプターとの相互作用に利用可能であ
るような様式で含む。米国特許第5,876,747号は、優先的に心臓および
骨格筋までたどるリポソームを記載し、そして参考として本明細書中に援用され
る。
【0126】 リポソーム荷電は、血液からのリポソームクリアランスにおける重要な決定因
子であり、負に荷電したリポソームは、網膜内皮系によってより迅速に摂取され
(Juliano、Biochem.Biophys.Res.Commun.
(1975)63:651)、そしてそれ故、血流中でより短い半減期を有する
。ホスファチジルエタノールアミン誘導体を取り込むことは、リポソーム凝集を
防ぐことによって循環時間を増大する。例えば、N−(オメガ−カルボキシ)ア
シルアミド−ホスファチジルエタノールアミンを、L−α−ジステアロイルホス
ファチジルコリンの大きな単層のベシクル中への取り込みは、インビボリポソー
ム循環寿命を劇的に増大する(例えば、Ahl Biochim.Biophy
s.Acta(1997)1329:370−382を参照のこと)。延長した
循環半減期を有するリポソームは、代表的には、治療および診断使用に所望され
る。例えば、血流中で、8、12時間から、または24時間まで維持され得るリ
ポソームは、本発明の特に好適な実施形態である。
【0127】 代表的には、リポソームは、約5〜15モル%の負に荷電した、ホスファチジ
ルグリセロール、ホスファチジルセリンまたはホスファチジルイノシトールのよ
うなホスホリピドを用いて調製される。ホスファチジルグリセロールのような、
付加された負に荷電したホスホリピドはまた、自発的なリポソーム凝集を防ぐた
めに供され、そしてそれ故小型のリポソーム凝集物形成のリスクを最小にする。
スフィンゴミエリンまたは飽和中性ホスホリピドのような膜剛直化剤は、少なく
とも約50モルパーセント、および5〜15モルパーセントのモノシアリルガン
グリオシドの濃度で、米国特許第4,837,028号に一般に記載されるよう
に、血流中のリポソーム調製物の増大した循環を提供し得る。
【0128】 さらに、リポソーム懸濁液は、貯蔵に際しフリーラジカルおよび脂質過酸化損
傷に対して脂質を保護する脂質保護薬剤を含み得る。αトコフェロールおよびフ
ェリオキシアニンのような水溶性鉄特異的キレート剤のような親油性フリーラジ
カル失活剤が好適である。
【0129】 本発明の処方物は、異質サイズの多層ベシクルを含み得る。この方法では、ベ
シクル形成性脂質は、適切な有機溶媒または溶媒系中に溶解され、そして真空下
または不活性ガス下で乾燥され、薄い脂質膜を形成する。所望であれば、この膜
は、第三級ブタノールのような適切な溶媒中に再溶解され得、次いで凍結乾燥さ
れてより容易に水和された粉末様形態にあるより均質な脂質混合物を形成する。
この膜は、ペプチドまたはポリペプチド複合体の水性溶液でカバーされ、そして
代表的には、15〜60分間に亘る攪拌により水和される。得られる多層ベシク
ルのサイズ分布は、より激しい攪拌条件下で脂質を水和することによるか、また
はデオキシコレートのような可溶化界面活性剤を添加することによって、より小
さいサイズに向かってシフトされ得る。この水和媒体は、最終リポソーム懸濁液
中のリポソームの内部容量において所望される濃度で、ペプチドまたは複合体を
含む。代表的には、この薬物溶液は、緩衝化生理食塩水溶液中に、10〜100
mg/mlの本発明のペプチドまたは複合体を含む。
【0130】 リポソーム調製に続いて、リポソームは、所望のサイズ範囲および比較的狭い
リポソームサイズの分布を達成するようにサイズ決めされる。1つの好ましいサ
イズ範囲は、約0.2〜0.4ミクロンであり、これは、従来のフィルター(典
型的には、0.22ミクロンフィルター)を通して濾過することにより、リポソ
ーム懸濁液の滅菌を可能にする。このフィルター滅菌法は、リポソームが、約0
.2〜0.4ミクロンまでサイズダウンされる場合、高出量基準に基づいて実施
される。いくつかの技術は、所望のサイズにリポソームをサイズ決めするために
利用可能である(例えば、米国特許第4,737,323号を参照のこと)。バ
ス式またはプローブ式超音波処理手順のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音
波処理は、サイズが約0.05ミクロン未満の小さな単層ベシクルまでの漸減性
サイズ調節を生じる。ホモジナイゼーションは、大きなリポソームをより小さな
リポソームに分画するための剪断エネルギーに依存する別の方法である。典型的
なホモジナイゼーション手順において、多層状ベシクルが、選択されたリポソー
ムサイズ(典型的には、約0.1と0.5ミクロンとの間)が観察されるまで、
標準の乳濁ホモジナイザーを介して再循環される。両方の方法において、粒子サ
イズ分布は、従来のレーザービーム粒子サイズ分解によりモニターされ得る。小
孔ポリカーボネート膜または非対称セラミック膜を通すリポソームの押し出しは
また、リポソームサイズを比較的良好に規定されたサイズ分布に減縮するための
有効な方法である。典型的に、懸濁液は、所望のリポソームサイズ分布が達成さ
れるまで、1回以上、その膜を通して循環される。このリポソームは、より小さ
な孔の膜を連続的に通して押し出され得、リポソームサイズの漸進的減少を達成
する。
【0131】 最も効率的な封入方法の下でさえも、初めにサイズ決めされたリポソーム懸濁
液は、遊離(カプセル化されてない)形態の50%以上までの複合体を含み得る
。いくつかの方法は、特定の処方が所望される場合、リポソーム懸濁液から補足
されていない化合物を除去するために利用可能である。1つの方法では、懸濁液
中のリポソームは、高速遠心により叩きつけられ、懸濁液中の遊離化合物および
非常に小さいリポソームを残す。別の方法は、限外濾過、次いで濃縮したリポソ
ームを置換媒体中に再懸濁することにより懸濁液を濃縮する工程を包含する。あ
るいは、ゲル濾過は、大きなリポソーム粒子を溶質分子から分離するために使用
され得る。この処理に続いて、リポソーム懸濁液は、例えば、静脈内投与、腹腔
内(IP)投与、経皮的投与、または経粘膜投与における使用のための所望の濃
度にされ得る。この方法は、リポソームが、例えば、遠心もしくは超遠心により
濃縮されている場合、適切な容積の適切な媒体中にリポソームを再懸濁すること
を含み、または薬物除去工程が、総懸濁液容積を増加する場合、懸濁液の濃縮を
含む。次いで、この懸濁液は、上記のように濾過により滅菌される。ペプチドま
たはキメラ分子を含むこれらのリポソームは、例えは、投与の様式、送達されて
いる薬物、処置されている特定の疾患に従って変化する容量で非経口的にかまた
は局所的に投与され得る。
【0132】 ミセルは、非極性領域を有する分子の溶解性を増加するために、当該分野にお
いて通常使用される。従って、当業者は、ミセルが、本発明の組成物において有
用であることを認識する。本発明の複合体を含むミセルは、当該分野において周
知である方法に従って調製される(例えば、Remington’s第20章を
参照のこと)。本発明のペプチドおよび/または複合体を含むミセルは、典型的
に標準的な界面活性剤(surfactant)または界面活性剤(deter
gent)を使用して調製される。ミセルは、水溶液中で、界面活性剤(疎水性
部分および1つ以上のイオン性さもなくば強力な親水性基を含む分子)により形
成される。固体界面活性剤の濃度が増加するにつれて、空気/水またはガラス/
水の界面に吸着されるその単分子膜は、密にパッキングされるようになるので、
さらなる占有率は、既に2つの単分子膜である界面活性剤分子の過剰の圧力を必
要とする。その濃度を超える溶解した界面活性剤の量のさらなる増加は、新たな
分子をミセルに凝集するに等しい量を引き起こす。適切な界面活性剤としては、
ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オク
タオキシエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクトキシノール9および
PLURONIC F−127(登録商標)(Wyandotte Chemi
cals Corp.)が挙げられる。好ましい界面活性剤は、静脈内(IV)
注射と両立し得る非イオン性ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン界
面活性剤(例えば、PLURONIC F−127(登録商標)、n−オクチル
−α−D−グルコピラノシドなど)である。リン脂質(例えば、リポソームの作
製における使用について記載されるリン脂質)はまた、ミセル形成のために使用
され得る。混合ミセルは、共通の界面活性剤またはリン脂質およびサブユニット
の存在下で形成され得る。本発明の混合ミセルは、サブユニット、リン脂質およ
び/または界面活性剤の任意の組み合わせを含み得る。従って、ミセルは、サブ
ユニットおよび界面活性剤、リン脂質および界面活性剤の両方と組み合わされた
サブユニット、またはサブユニットおよびリン脂質を含み得る。
【0133】 ((B)核酸ベースの治療法) 概して述べると、遺伝子治療ベクターは、それが移入された哺乳動物細胞に対
する医学的に有用な表現型効果を生じる外来性ポリヌクレオチドである。ベクタ
ーは、複製起点を有してもよいし有さなくてもよい。例えば、ベクター中に複製
起点を含むことは、患者への投与の前のベクターの増殖のために有用である。し
かし、複製起点は、そのベクターが宿主染色体DNAに組み込まれるか、または
宿主mRNAまたはDNAと結合するように設計されている場合、しばしば投与
の前に除去され得る。遺伝子治療において使用されるベクターは、ウイルス性ま
たは非ウイルス性であり得る。ウイスルベクターは、通常、患者にウイルスの構
成要素として導入される。非ウイルス性ベクター(典型的には、dsDNA)は
、裸のDNAとしてまたは移入増強ビヒクル(例えば、レセプター認識タンパク
質、リポアミン、またはカチオン性脂質)に付随して移入され得る。
【0134】 ((1)ウイスルベースの方法) ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウ
イルスおよびヘルペスウイルス)は、しばしば2つの構成要素(修飾ウイルスゲ
ノムおよびそれを取り囲むコート構造)からなる(一般的には、Smithら、
Ann.Rev.Microbiol.(1995)49,807−838を参
照のこと;この参考文献およびそこに引用される全ての参考文献は、本明細書中
で参考として引用される。)が、ウイルスベクターは時々、裸の形態またはウイ
ルスタンパク質ではないタンパク質でコートされて導入される。最も最近のベク
ターは、野生型ウイルスと同様のコート構造を有する。この構造は、ウイルス核
酸をパッケージおよび保護し、そして標的細胞に結合しそして侵入する手段を提
供する。しかし、遺伝子治療のために設計されたベクター中のこのウイルス核酸
は、多くの方法で変化される。これらの変化の目的は、利用可能なパッケージン
グ細胞またはヘルパー細胞においてベクター形態を増殖するその能力を維持して
いる間、標的細胞中でウイルスを増殖不能にすること、外来性DNA配列の挿入
のための空間をウイルスゲノム内に提供すること、および目的の遺伝子をコード
する新たな配列を組み込みそしてその適切な発現を可能にすることである。従っ
て、ベクターの核酸は、一般に、以下の2つの構成要素を含む:ヘルパー系統中
に複製しそしてパッケージングするために必須のシス作動性ウイルス配列および
外来性遺伝子のための転写ユニット。他のウイルス機能は、特異的なパッケージ
ング細胞系統またはヘルパー細胞系統中にトランスで(in trans)発現
される。
【0135】 ((a)レトロウイルス) レトロウイルスは、ウイルスゲノムとして一本鎖RNAを含む大きなクラスの
エンベロープウイルスを含む。正常なウイルスのライフサイクルの間、ウイルス
RNAは、逆転写され、宿主ゲノム中に組み込まれそして長期間発現される二本
鎖DNAを生じる。結果として、感染された細胞は、宿主細胞への明確な傷害を
伴わずに連続してウイルスを減少する。ウイルスゲノムは、小さく(およそ10
kb)、そしてそのプロトタイプの組織は、極度に単純であり、gag(抗原ま
たはコアタンパク質に特異的な群);pol(逆転写トランスクリプターゼ);
およびenv(ウイルスエンベロープタンパク質)をコードする3つの遺伝子を
含む。RNAゲノムの末端は、末端反復配列(LTR)と呼ばれ、そしてプロモ
ーターおよびエンハンサーの活性および組み込みに関与する配列を含む。このゲ
ノムはまた、ウイルスRNAをパッケージングするために必要とされる配列およ
び別々のエンベロープmRNAの生成のためのスプライスのアクセプター部位お
よびドナー部位を含む。ほとんどのレトロウイルスは、複製している細胞中にの
み組み込まれ得るが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、除外されるようであ
る。この特性は、レトロウイルスの遺伝子治療のためのベクターとしての使用を
制限する。
【0136】 レトロウイルスベクターは、比較的単純であり、5’および3’LTR、パッ
ケージング配列、および目的の遺伝子からなる転写ユニットを含み、これは、典
型的には、発現カセットである。このようなベクターを増殖するために、いわゆ
るパッケージング細胞系統を使用して、失ったウイルス機能をトランスで提供し
なければならない。このような細胞は、gag、polおよびenvの組み込ま
れたコピーを含むがパッケージングシグナルを欠くように操作され、その結果、
ヘルパーウイルス配列は、キャプシド形成されなくなる。ベクターおよびパッケ
ージング細胞系統に付加されるかそれらから除去されるさらなる特質は、ヘルパ
ーウイルスによる混入のより有効なまたは減少した可能性をベクターに与えるた
めの試みを反映する。
【0137】 レトロウイルスベクターの主な利点は、それらが組み込まれ、それゆえ潜在的
に長期発現が可能であることである。それらは、比較的大量に増殖され得るが、
ヘルパースウイルスの非存在を確実にするためには注意が必要とされる。
【0138】 ((b)アデノウイルス) アデノウイルスは、直線二本鎖DNAを含む、大きなクラスの非エンベロープ
化ウイルスを含む。ウイルスの正常なライフサイクルは、分裂細胞を必要とせず
、そして大量のウイルス蓄積の間の許容細胞における生産的感染を含む。生産的
感染サイクルは、細胞培養物において約32〜36時間かかり、そして2つの相
(初期相(ウイスルDNA合成の前)および後期相(構造タンパク質およびウイ
ルスDNAが合成され、そしてウイルス粒子に組み込まれる間))を含む。一般
に、アデノウイルス感染は、ヒトにおける軽度な疾患に関連する。
【0139】 アデノウイルスベクターは、いくらか大きく、そしてレトロウイルスまたはA
AVベクターよりも複雑である。これは、ウイルスゲノムの小画分がほとんどの
現在のベクターから取り除かれることに、部分的に起因する。さらなる遺伝子が
除去される場合、この困難性が証明されるかぎり、これらは、トランスで提供さ
れ、ベクターを産生する。実際、アデノウイルスベースのベクターの一般的なタ
イプは、研究されてきた(E3−欠失ベクターおよびE1−欠失ベクター)。研
究室のストック中の野生型のくつかのウイルスは、E3領域を欠失しており、そ
してヘルパーの非存在下で増殖し得る。この能力は、E3遺伝子産物が野生型に
おいて必要ではないことを意味するのではなく、培養細胞における複製がそれら
を必要としないことのみを意味する。E3領域の欠失は、外因性DNA配列の挿
入を可能にし、生産性感染およびコードされるタンパク質の比較的大量の一過性
の合成が可能であるベクターを生じる。
【0140】 E1領域の欠失は、アデノウイルスを無効にするが、このようなベクターは、
なお増殖し得る。なぜならば、確立されたヒト細胞系統(「293」と呼ばれる
)が存在し、これは、Ad5のE1領域を含み、そしてこれは、E1タンパク質
を恒常的に発現する。アデノウイルスを含む最も最近の遺伝子治療適用は、29
3細胞内で増殖されるE1置換ベクターを利用してきた。
【0141】 アデノウイルスベクターの主な利点は、これらが広範な細胞および組織におい
て効率的にエピソーム遺伝子移入し得ること、およびそれらが容易に大量に増殖
することである。この主な利点は、ウイルスに対して応答性の宿主が、少なくと
も高用量の第1世代ベクターで、発現の持続期間および繰り返し投薬する能力を
制限するようであることである。
【0142】 ((c)アデノ随伴ウイルス(AAV)) AAVは、直線一本鎖DNAを含む、小さくて単純な非自律性ウイルスである
。Muzycka,Current Topics Microbiol.Im
munol.(1992)158,97−129を参照のこと;この参考文献お
よびそこに引用されている全ての参考文献は、本明細書中で参考として援用され
る。このウイルスは、複製のために、アデノウイルスまたは特定の他のウイルス
での同時感染を必要とする。AAVは、ウイルスに対する抗体により証明される
ようにヒト集団において広範に存在するが、いかなる公知の疾患にも関連しない
。AAVゲノム機構は、直線的であり、遺伝子を2つだけ含む(repおよびc
ap)。ゲノムの末端は、約145ヌクレオチドの末端反復(ITR)配列を含
む。
【0143】 AAVベースのベクターは、典型的には、目的の転写ユニットに隣接するIT
R配列のみを含む。ベクターDNAの長さは、4680ヌクレオチドのウイルス
ゲノムの長さを大きくは伸長できない。最近、AAVベクターの増殖は、扱いに
くくそして、ベクター自体のみではなく、ヘルパー機能を提供するためにrep
およびcapをコードするプラスミドを宿主に導入することを含む。このヘルパ
ープラスミドは、ITRを欠き、従って複製およびパッケージを行い得ない。さ
らに、ヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス)が、しばしば必要とされる
。AAVベクターの潜在的な利点は、ウイスルDNAの組み込みに起因して、恐
らく必要でなくともそれらが非分裂細胞において長期発現が可能であることであ
る。これらのベクターは構造的に単純であり、従って、これらは、アデノウイル
スより宿主細胞応答を刺激し得ない。現時点での主な制限は、AAVベクターを
大量に増殖させることが非常に困難であることである。
【0144】 ((2)非ウイルス性遺伝子移入法) 遺伝子治療において使用される非ウイル性核酸ベクターとしては、プラスミド
、RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、メチルホスホネートまた
はホスホロチオエート)、ポリアミン、核酸、および酵母人工染色体(YAC)
が挙げられる。このようなベクターは、典型的には、タンパク質またはRNAを
発現するための発現カセットを含む。このような発現カセット中のプロモーター
は、構造的、細胞型特異的、段階特異的、および/または調節可能であり得る(
例えば、グルココルチコイド(MMTVプロモーター)のようなホルモンによる
)。転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することにより増加され得る。
エンハンサーは、プロモーターにより転写を増加する10〜300bpの間のシ
ス作動性配列である。エンハンサーは、転写ユニットに対して5’または3’の
どちらかである場合、効率的に転写を増加する。これらはまた、イントロン内ま
たはコード配列自体内に位置する場合、有効である。典型的には、SV40エン
ハンサー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマエンハンサーおよび
アデノウイルスエンハンサーを含むウイルス性エンハンサーが使用される。哺乳
動物系由来のエンハンサー配列もまた、通常使用される(例えば、マウス免疫グ
ロブリン重鎖エンハンサー)。
【0145】 全ての種類の遺伝子治療ベクターはまた、選択マーカー遺伝子を含み得る。適
切なマーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)、チ
ミジンキナーゼ遺伝子(TK)、または薬物耐性を与える原核生物遺伝子(gp
t(キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)(これは、my
cophnolic acidで選択され得る);neo(ネオマイシンホスホ
トランスフェラーゼ)(これは、G418、ヒグロマイシンまたはプロマイシン
で選択され得る);およびDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)(これは、メ
トトレキセートで選択され得る))が挙げられる(Mulligan&Berg
、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1981)78,2
072;Southern&Berg,J.Mol.Appl.Genet.(
1982)1,327)。
【0146】 組み込みの前に、ベクターは、多くのバリアーを横切らなければならなく、こ
れは、発現され続けるDNAの非常に少数画分しか生じ得ない。高レベルの遺伝
子発現に対する限定としては、以下が挙げられる:血液および組織に存在するヌ
クレアーゼに起因するベクターの損失;細胞へのDNAの無効な侵入;DNAの
細胞の核への無効な侵入および他の区画についてのDNAの優先度;核における
DNA安定性の欠如(核安定性を限定する因子は、他の細胞および細胞外区画に
影響するそれらとは異なり得る)、染色体への組み込みの効率;および組み込み
の部位。
【0147】 これらの効率の潜在的な欠失は、治療に影響する産物が発現される発現カセッ
トに加えて非ウイルス性ベクター中にさらなる配列を含むことにより取り扱われ
得る。このさらなる配列は、細胞の外側および内側の両方における安定性を与え
ること、細胞への侵入を媒介すること、細胞の核への侵入を媒介すること、およ
び核DNA内での組み込みを媒介することにおける役割を有し得る。例えば、ア
プタマー様DNA構造物または他のタンパク質結合部位は、細胞表面レセプター
への、またはレセプターと結合する(これにより、細胞へのDNA移入の効率を
増加する)血清タンパク質へのベクターの結合を媒介するために使用され得る。
【0148】 他のDNA配列は、特定の区画の回避、およびエスケープまたは核への侵入が
より効率的である他の区画についての優先度を、直接的にかまたは間接的に生じ
得る。他のDNA部位および構造物は、核膜中のレセプターと、または核に移動
する他のタンパク質直接的にかまたは間接的に結合し、これにより核によるベク
ターの取り込みを増強する。他のDNA配列は、取り込みの効率に直接または間
接的に影響する。相同組換えによる取り込みについて、重要な因子は、染色体配
列に対する相同性の程度および長さ、ならびにゲノムにおけるそのような配列(
例えば、alu反復)の頻度である。相同組換えを媒介する特定の配列はまた、
重要である。なぜならば、組み込みは、転写的に活性なDNAを、より容易に生
じるからである。相同標的構築物を構築するための方法および物質は、例えば、
Mansourら,Nature(1998)336:348;Bredley
ら、Bio/Technology(1992)10:534により記載される
【0149】 非相同性で非嫡出かつ部位特異的な組換えについて、組換えは、組換えタンパ
ク質をコードする細胞と相互作用する治療ベクター上の特異的部位(例えば、c
re/loxおよびflp/frt系)により媒介される。例えば、Baubo
nis&Sauer,Nuc.Acids Res.(1993)21,202
5−2029は、loxP部位を含むベクターがcre酵素の存在下で染色体D
NA中のloxP部位において組み込まれるようになることを報告する。
【0150】 遺伝子治療において有用な産物をコードする非ウイルス性ベクターは、手段(
例えば、リポフェクチン、微粒子銃、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム
、ポリカチオン:核酸結合体、裸のDNA、人工ウイルス粒子、薬剤により増強
されたDNAの取り込み、エキソビボ伝達)により動物に導入され得る。リポフ
ェクチンは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,78
7号および同第4,897,355号に記載され、そしてリポフェクチン試薬は
、市販される(例えば、TransfectamTMおよびLipofectin TM )。ポリヌクレオチドの効率的なレセプター認識リポフェクションに適切であ
るカチオン性脂質および中性脂質としては、Felgner,WO91/174
24、WO91/16024の脂質が挙げられる。
【0151】 ウイルス性粒子をパッケージングすることについてのサイズ制限に起因して、
ウイルスゲノムへの比較的小さな非ウイルス性ポリヌクレオチド配列のみを取り
込む、現存のウイルスベース遺伝子治療ベクターと異なり、裸のDNAまたはリ
ポフェクチン複合体は、細胞へ大きな(例えば、50〜5,000kb)外因性
ポリヌクレオチドを移入するために使用され得る。非ウイルス性ベクターのこの
特性は、特に有利である。なぜなら、100キロベースを超える治療スパンによ
り送達され得る多くの遺伝子(例えば、アミロイド前駆体タンパク質(APP)
遺伝子、ハンティングトン舞踏病遺伝子)および大きな相同標的構築物または導
入遺伝子が効率的な組み込みのために必要とされ得るからである。必要に応じて
、このような大きな遺伝子は、標的遺伝子に、2つ以上のフラグメントとして送
達され得、そして細胞内の相同組換えにより再構築され得る(WO92/039
17を参照のこと)。
【0152】 ((C)遺伝子治療の適用) 遺伝子治療ベクターは、個々の患者への投与(典型的には全身投与(例えば、
静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射もしくは頭蓋内注射))または
局所適用によりインビボで送達され得る。あるいは、ベクターは、エキソビボで
細胞(例えば、個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引物
、組織生検)または万能給血者造血幹細胞)に送達され得、通常は組み込まれた
ベクターを有する細胞についての選択後、患者への細胞の再移植が続く。
【0153】 ((4.)治療キット) キットは、治療的用途および診断用途のために供給され得る。1つの実施形態
において、本発明の薬学的処方物は、凍結乾燥形態であり、これは、容器内に置
かれ得る。複合体(これもまた標識に結合され得たかまたは結合され得ていない
)緩衝液は、(例えば、Tris、リン酸塩、炭酸塩、安定剤、殺生剤、不活性
タンパク質(例えば、血清アルブミン)など)および使用のための手引きと共に
キットに含まれる。一般に、これらの物質は、約5重量%未満(複合体の量に基
づく)で存在し、そして通常少なくとも約0.001重量%(タンパク質濃度に
基づく)の総量で存在する。賦形剤が総組成物の約1重量%〜99重量%で存在
し得る場合、頻繁に、活性成分を希釈するために不活性エキステンダーまたは賦
形剤を含むことが所望される。複合体に結合し得る抗体がアッセイに使用される
場合、これは通常、通常別々のバイアル中に提示される。抗体は、典型的には、
標識に結合され、そして当該分野で周知の技術に従って処方される。
【0154】 (実施例) 以下の実施例は例示のために提供されるが、特許請求された本発明を限定しな
い。
【0155】 (実施例1) (CHO細胞における野生型VEGF−B167の発現) VEGF−BのVEGF−B167スプライス変異体は、哺乳動物細胞から発現
および分泌された後、内皮細胞においてマイトジェン活性を示す非グリコシル化
および細胞関連逆平行ダイマーである(例えば、Eriksson,U.および
K.Alitalo Curr Top Microbiol Immunol
.(1999)237:41−57を参照のこと)。野生型(wt)VEGF−
167分子は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現され、
そしてさらに、本発明の標的化ペプチドとの化学結合に使用される。CHO細胞
は、産生宿主として選択され得る。なぜなら、フォールディングの矯正およびc
ys−リッチタンパク質の二量体化は、哺乳動物細胞において優先的に生じるか
らである。E.coliまたは酵母pichia pastorisにおける発
現は、代替手順であり得、そして変性剤中での封入体の可溶化およびリフォール
ディングを必要とし得る。
【0156】 (プラスミドpVEGF−Bwt167の構築およびCHO細胞におけるVE
GF−B167の発現) 以下の材料および方法に記載されるように、プラスミドを構築する。このプラ
スミドにおいて、VEGF−B167cDNAをSV40初期プロモーターにより
調節する。ATC開始コドンのすぐ上流で、真核生物細胞における翻訳に最適な
状況にDNA配列を変化させる。dhfr−欠失CHO細胞へのプラスミドpV
EGF−Bwt167およびpSV−rdhrf(これは、マウスDHFR選択
マーカーを含む)の同時トランスフェクションおよび選択は、VEGF−B167
を発現する細胞クローンを生じる(例えば、Urlaub,G.およびL.A.
Chasin.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)7
7:4216−4220を参照のこと)。CHO細胞の同時トランスフェクショ
ンおよび選択を、標準細胞培養手順を使用して行う(例えば、Ausebel,
F.M.(編)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULA
R BIOLOGY,John Wiley&Sons,Inc.1996.お
よびHerlitschkaら、Protein Expression an
d Purification(1996)8:358−364を参照のこと)
。VEGF−B特異的ペプチドでウサギを免疫することより得られる抗体を使用
する当該分野で公知の方法に従って、細胞培養上清のウエスタンブロッティング
により発現についてのスクリーニングを行う(例えば、Towbin,H.ら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:4350−
43554を参照のこと;Olofsson,B.ら、J Biol Chem
(1996)271:19310−7もまた参照のこと;これらの参考および本
明細書中に列挙された参考は、本明細書中に参考として援用される)。
【0157】 安定高発現CHOクローンは、生物工学における標準手順を使用するVEGF
−B167を産生するために使用される(例えば、Gomperts,E.ら、R
ecombinate.Transf.Med.Rev.(1992)6:24
7−251を参照のこと)。
【0158】 (発現プラスミドpVEGF−Bwt167の構築) プラスミドpVEGF−Bwt167は、ファージλ gt11−VEGF−
Bst167由来の580bpのPCR産物の、発現プラスミドpSI(Pro
mega,Inc.)への挿入によって構築される。このファージは、λ g1
1(Clonthech,Inc.より入手可能)におけるヒト線維肉腫cDN
Aライブラリーのスクリーニングより得られる。PCR反応は、Advanta
ge KlenTaq Polymerase Mix system(Clo
ntech.Inc.)を使用して、1ngのプラスミドテンプレート、0.5
μMのプライマー、P−wt167(1)5−GATCGCTAGCGGCAG
CATGAGCCCTCTGCTCCGCCGCCTG−3’およびP−wt1
67(2)5’−TGACGCGGCCGCTCACCTTCGCAGCTTC
CGGCACCTGCAG−3’、ならびに0.2mM dNTPを含む100
μlの最終容量で、93℃30秒間、55℃30秒間、72℃30秒間の30サ
イクルの条件、次いで72℃で10分間の伸長(Pharmacia LKB
Gene ATAQ Controller PCR systemにおける)
を使用して行われる。PCR産物をゲル精製し、NheIおよびNotIで消化
し、そしてNheI/NotI切断プラスミドpSIに連結する。得れれるプラ
スミドを、pVEGF−Bwt167と名付ける。
【0159】 (実施例2) (VEGF−B167へのペプチドGGGVFWQの結合) (原理) N末端をブロックされたペプチドは、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)
の存在下で、水容性カルボジイミドEDC(N−エチル−N’(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミドによってC末端で活性化される。次いで、活性化
されたペプチドは、VEGF分子の第1級アミノ基と反応する。pHを注意深く
調整することによって、この反応が、VEGF−B167分子のN末端へ指向する
ことが可能となる(例えば、Staros,J.ら、Anal.Biochem
.(1986)156:220−222およびWong,S.S.,「Appl
ication of Chemical Crosslinking to
Soluble Proteins」:CHEMISTRY OF PROTE
IN CONJUGATION AND CROSSLINKING,(CRC
Press Inc.1993)第221頁〜229頁;これらの参考文献お
よびそこに列挙される参考文献は、本明細書中に参考として援用される)。
【0160】 (方法) 1μMの精製ペプチドを、少量のDMSOに溶解し、そしてさらに1mMの溶
液を得るまで、緩衝液で希釈した。EDCおよびNHSを10倍のモル濃度過剰
で添加し、そして2時間室温で反応させた。次いで、混合物を、VEGF−B16 7 の溶液(緩衝液中)に移す。pHを制御し、必要な場合、6.8に調整する。
反応を、40℃で、さらに18時間進行させる。VEGF−B167/VEGF−
Bキメラ分子由来の遊離のペプチドの分離は、ゲル濾過によって達成され得る。
その混合物をSepahdex G25で充填されたカラムにアプライし、そし
てタンパク質を空隙容量に収集し得るが、未反応のペプチドおよび低分子反応産
物を後で溶出する。
【0161】 VEGFキメラ分子結合体の純度を、SDS−PAGE、HPLC、N−末端
配列決定および分光測定法のような標準技術によってアッセイする。結合体の絶
対質量を、質量分析法によって決定する。これは、結合したペプチドの量につい
ての情報およびVEGF上のペプチドの位置についての情報をまた提供し得る。
理想的なモル濃度結合比は、ペプチドがVEGFのN末端に位置するときに達成
される。結合体の生物学的な活性は、適切な動物および/または培養試験によっ
て決定される。
【0162】 (実施例3) (VEGF−B167へのC末端伸長ペプチドGGGVFWQの結合) (原理) 標的化ペプチドレセプターに対するVEGFレセプターresp.への、VE
GF−Bキメラ分子の結合の間の立体障害を避けるために、ペプチドは、C末端
でいくつかの付加的なアミノ酸により伸長され得る。C末端スペーサーは、最大
限に柔軟であるべきであるが、それらの特定のレセプターへのVEGFおよび/
またはペプチドの結合メカニズムを妨害しない。通常、ポリGlyまたはポリA
la配列は、これらの要求を満たす。
【0163】 (方法) 結合は、上記の実施例2に記載されるように、達成され得る。
【0164】 (実施例4) (スペーサードメインを有するヘテロ二官能性試薬を使用することによるVE
GF−B167へのペプチドGGGVFWQの結合) (原理) ペプチドの結合はまた、ペプチドのN末端を、ヘテロ二官能性架橋剤(例えば
、SMBP)のアミノ反応性部分と反応させることによって達成され得、次いで
活性化されたペプチドは、VEGF−B167の到達できるスルフヒドリル基と反
応し、チオエーテル結合を形成する(例えば、Staros,J.ら、Meth
ods Enzymol.(1989)172,609およびWong,S.S
.、「Application of Chemical Crosslink
ing to Soluble Proteins」:CHEMISTRY O
F PROTEIN CONJUGATION AND CROSSLINKI
NG、(CRC Press Inc.1993)、第221頁〜229頁を参
照のこと)。SMBPを使用する場合、スペーサーの長さは、1.5nmのオー
ダーである。以下のことに留意すべきである:結合反応に関与するスルフヒドリ
ル基は、レセプタータンパク質への結合に必須ではない。
【0165】 (方法) 遊離のN末端を含む1μMのペプチドを、DMSO/緩衝液に溶解する。10
倍モル濃度過剰のSulfo−SMBP(スルホスクシンイミジル4−(p− マレイミドフェニル)ブチレート)を添加する。1時間室温でのペプチドの活性
化後、等モル濃度量のVEGF−B167を添加する。この結合反応を、さらに1
8時間40Gで進行させる。VEGF−B/VEGF−Bキメラ分子からの遊離
のペプチドの分離は、上記のようにゲル濾過を使用して達成され得る。
【0166】 (実施例5) (VEGF−B167へのペプチドGGGVGWQの非共有結合) (原理) イオン相互作用は、タンパク質構造を形成する際の1つの優性な力である。高
分子に反対の電荷の領域を導入することによって、2つの反応パートナーの間の
密接な複合体を形成することが可能になり、それらはまた生理学的な条件で安定
である。これらの荷電アミノ酸の導入は、両方の分子の機能と適合しなければな
らない。
【0167】 (方法) ペプチドGGGVFWQは、NまたはC末端で、4〜5の荷電アミノ酸(正の
荷電の導入のためのリジン、アルギニン、負の電荷の導入のためのグルタミン酸
またはアスパラギン酸)のストレッチによって改変されなければならない。VE
GF−B167はまた、好ましくは、4〜6の荷電アミノ酸の配列でN末端で伸長
されなければならない。一旦、反応パートナーが、合成され、そして適切な程度
の質まで精製されると、複合体は、等量の反対に荷電された反応パートナーと混
合するだけで容易に形成され得る。結合体からの未反応の分子の分離は、イオン
交換クロマトグラフィーを使用して達成され得る。
【0168】 イオン性複合体の形成は、異なる分析ツールによってモニタリングされ得る。
例えば、マイクロ熱量測定(microcalorimetry)または表面プ
ラズモン共鳴は、キメラ分子の化学量論および結合特性についての情報を与え得
る。
【0169】 上記の実施例3に類似の、実施例4および5に記載の結合方法はまた、伸長さ
れたペプチドで行われ得、ペプチドとVEGF−B167との間の適切な距離を可
能にする。
【0170】 (実施例6) (VEGF−B167の、Hisタグ化ペプチドGGGVFWQへの結合) (原理) 遊離のVEGF−B167からのVEGFキメラ分子の完全な分離が必要である
場合、ペプチドは、NまたはC末端で、4〜6のヒスチジン分子のストレッチを
用いて伸長され得る。次いで結合反応は、実施例2または5に従って行われる。
VEGFR−Bキメラ分子の捕捉のために、金属アフィニティークロマトグラフ
ィーのアプローチが使用され得る(Porath,J.ら、Nature(19
75)258:598−599)。
【0171】 (方法) 実施例2に従った結合反応の完了後、反応混合物を、ニッケルキレートゲルを
充填したカラムを通過させる。多量体ヒスチジンを含むすべての分子は、このカ
ラムに結合する。カラムの洗浄後、結合したタンパク質/ペプチドを、イミダゾ
ールを含む緩衝液で溶出する。遊離のペプチドからの結合体の分離は、上記のゲ
ル濾過によって再び行われる。
【0172】 (実施例7) (VEGF−B167へのペプチドCRSWNKADNRSCの結合) NおよびC末端のアミノおよびカルボニル基に加えて、このペプチドは、VE
GF−B167への結合に使用され得るリジンの2つの機能的なスルフヒドリル基
およびリジンの1つのアミノ基を有する。環状構造において、ペプチドを使用す
る必要がある場合、アミノおよびカルボキシ基のみが利用可能である。なぜなら
、ペプチドにはより反応性の基が存在するので、理論的な副産物の量が増加し得
る。
【0173】 (方法) 1nMの可溶性VEGF−B167を、10倍モル濃度過剰のスルホ(sulf
o)−SMCC(スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シク
ロヘキサン−1−カルボキシレート)(pH6.8)で、1時間室温で活性化す
る。このpHで、活性化は、好ましくはVEGF−B167のN末端アミノ基で生
じる。優性な副反応は、内部の遊離SH基との分子内架橋であり、従って、10
nMの還元されたペプチドを添加し、そして反応を4℃で18時間進行させる。
反応産物を、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーま
たは逆相クロマトグラフィーによって精製する。Hisタグ化ペプチドを使用す
ることによって、精製はまた、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを
使用して行われ得る。1つまたは両方の反応パートナーに対して利用可能な抗体
が存在する場合、精製はまた、免疫アフィニティークロマトグラフィーによって
容易になり得る。実施例1〜6に記載される同じ化学がまた、使用され得る。
【0174】 (実施例8) (VEGF−B167への標的化ペプチドGGGVFNQおよびCRSWNKA
DNRSCのカルボキシ末端(Ct)融合) (プラスミドpVEGF(BHG4S)3、−GGGVFNQおよびpVEG
F(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSCの構築ならびにCHO細胞
におけるキメラ分子の発現) プラスミドpVEGF(B)−(G4S)3−GGGVFNQおよびpVEG
F(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSCは、NH2−(GGGGS)
×3−COOHヒンジ領域を介してVEGF−B167分子のC末端に、それぞれ
融合される標的化ペプチドNH2−GGGVFWQ−COOHおよびNH2−CR
SWNKADNRSC−COOHをコードするDNA配列を含む。この型のリン
カーは、通常、1本鎖抗体における重鎖および軽鎖を柔軟に連結するために使用
される;あるいは、ヒト免疫グロブリン遺伝子に他の連結ペプチド(例えば、天
然のヒンジ領域が表す)または、オリゴプロリンリンカーもしくはオリゴグリシ
ンリンカーが、使用され得る。さらに、リンカーペプチドは、VEGF−B167
のC末端とそのリンカーとの間に位置するプロテアーゼ切断部位(例えば、プラ
スミン切断部位)を含み得、正常または虚血の心臓に対する高親和性標的化後の
、ネイティブなVEGF−B167分子の放出を可能にする。リンカーの柔軟性に
起因して、C末端融合ペプチドは、レセプター結合を妨害しない。
【0175】 一連のモジュラープラスミドを構築し、最終的にプラスミド、pVEGF(B
)−(G4S)3−GGGVFNQおよびpVEGF(B)−(G4S)3−CR
SWNKADNRSCを得る(以下の材料および方法を参照のこと)。中間のプ
ラスミドpvegf−ss(1)は、VEGF−Bシグナル配列、続いてHin
cII制限部位を提供し、野生型VEGF−B167配列または任意の他の所望の
N末端融合タンパク質のいずれかの都合のよい挿入を可能にする(実施例「N末
端融合」を参照のこと)。最終構築物、プラスミドpVEGF(B)−(G4S
)3−GGGVFNQおよびpVEGF(B)−(G4S)3−CRSWNKA
DNRSCは、CHO細胞にトランスフェクトされる。選択マーカーとの同時ト
ランスフェクション、CHO細胞クローンの選択およびタンパク質の産生を、標
準細胞培養および生物工学手順を使用して行い得る(例えば、実施例1を参照の
こと)。キメラタンパク質の精製を、標準タンパク質化学手順(アニオンおよび
/またはカチオン交換樹脂を使用するクロマトグラフィー、ゲル濾過またはアフ
ィニティークロマトグラフィー)に従って行う。
【0176】 (材料および方法) (プラスミドの構築) (pSI−vegf−MCS(1)) 第1の工程において、市販のベクターpSI(Promega)を、標準条件
を使用して、クレノウポリメラーゼを用いて処理されたBglIIで切断しそし
て再連結する。生じる中間プラスミドを、pSI−Bと称する。続いて、pSI
−Bを、NheIおよびNotIで消化し、そしてアニールされたオリゴヌクレ
オチド、P−vegfMCS(1)5’−CTAGTACGTATCTAGAG
TCGACACTAGTAGATCTGATATCGCTAGCCTCGAGG
CGGCGCCACGTGTACGTGAGGCC−3’およびP−vegfM
CS(2)5’−GGCCTACGTACACGTGGCGGCCGCCTCG
AGGCTAGCGATATCAGATCTACTAGTGTCGACTCTA
GATACGTA−3’と連結する。生じるプラスミドをプライマー、P−43
71(5’−AATACGACTCACTATAG−3’)を使用して配列決定
し、そしてpS1−vegfMCS(1).pvgeg−ss(1)と称する。
アミノ酸コドンPro22、Val23およびAsp27を含むVEGF−B167シグ
ナル配列Met1−Ala21をコードするDNAストレッチの挿入を、Xba1
/SalI切断ベクター、pSI−vegf−MCS(1)を、アニールされた
オリゴヌクレオチド、P−ss(1)5’−CTAGGCCACCATGAGC
CCTCTGCTCCGCCGCCTGCTGCTCGCCGCACTCCTG
CAGCTGGCCCCCGCCCAGGCCCCTG−3’およびP−ss(
2)5’−TCGACAGGGGCCTGGGCGGGGGCCAGCTGCA
GGAGTGCGGCGAGCAGCAGGCGGCGGAGCAGAGGGC
TCATGGTGGC−3’と連結することによって行う。挿入領域を、配列決
定(プライマー、p−4371)し、そして生じるプラスミド15を、pveg
f−ss(1)と名付ける。アミノ酸コドンVal23およびAsp27は、Hin
cII制限領域を形成する。これは、野生型VEGF−B167配列(コドンSe
24Gln25およびPro26)または任意の所望のN末端融合ペプチドのいずれ
かの都合のよい挿入を可能にする。
【0177】 (pvegf−d24/26) ベクター、pvegf−d24/26を構築するために、アミノ酸残基Asp 27 〜Arg188に対応するVEGF−B167コード配列を、500bpPCR産物
として、プライマー、2−27/167(1)5’−GATCGTCGACGCC
CCTGGCCACCAGAGGAAAGTGG−3’およびP−27/167
2)5’−GATCAGATCTTCGCAGCTTCCGGCACCTGCA
GGTG−3’を使用して標準PCR反応で増幅した。PCR産物を、SalI
/Bg1llで消化し、そして生じる486bpのフラグメントを、SalI/
BgIll切断プラスミドpvegf−ss(1)にクローン化する。
【0178】 (pvegf−d24/26−dH) 1つのHpal部位を欠失するために、pvegf−d24/26をHpaI
で消化し、そしてヘキサヌクレオチドP−AgeI(1)5’−ACCGGT−
3’(Agel部位)で連結し、プラスミドpvegf−d24/26−dHを
生じる。
【0179】 (pVEGF(B)−F) プラスミドpvegf−d24/26.dHを、HincIIで消化し、そし
てアニールされたオリゴヌクレオチドP−24/26(I)5’−TCCCAG
CCT−3’、およびP−24/26(2)5’−AGGCTGGGA−3’と
連結する。オリゴヌクレオチドの正確な(センス)挿入を、プライマーP437
1を使用する配列決定によって確認し、そして生じるプラスミドをpVEGF(
B)−Fと称する。アンチセンス配向に挿入されたオリゴヌクレオチドを有する
アンチセンス構築物はまた単離され、そしてpVEGF(B)アンチセンスと称
される。
【0180】 (PVEGF(B)−(G4S)3) ベクター、pVEGF(B)−(G4S)3の構築を完成するために、アニー
ルされたオリゴヌクレオチドP−Li(1)5’−GATCTGGCGGCGG
CGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCTC
TG−3’、および(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)×3リンカー
配列をコードするP−Li(2)5’CTAGCAGAGCCGCCGCCGC
CGCTGCCGCCGCCGCCGCTGCCGCCGCCGCCA−3’を
、BglII/NheI切断ベクターpVEGF(B)−Fに挿入する。
【0181】 (PVEGF(B)G4S)3−GGGVFNQ) pVEGF(B)−(G4S)3−GGGVFNQの構築を、NheI/No
tI切断ベクターpVEGF(B)−(G4S)3の、アリールされたオリゴヌ
クレオチドP−D(1)5’−CTAGCGGCGGGGGCGTGTTCTG
GCAGTAAGC−3’、およびP−D(2)5’−GGCCGCTTACT
GCCAGAACACGCCCCCGCCG−3’との連結によって行う。標的
ペプチドNH2−GGGVPWQ−COOHをコードするDNA配列を含むプラ
スミドpVEGF(B)−(G4S)3、−GGGVFNQを、NH2−(GGG
GS)×3−COOHヒンジ領域を介してVEGF−B167cDNAのC末端に
融合する。
【0182】 (pVEGF(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSC) pVEGF(B)−(G4S)3−CRSWNKADNRSCの構築を、Nh
eI/NotI切断ベクターpVEGF(B)−(G4S)の、アニールされた
オリゴヌクレオチド、P−CRSWNKADNRSC(1)5’−CTAGCT
GCCGCAGCTGGAACAAAGCCGACAACCGCAGCTGCT
AAGC−3’およびP−CRSWNKADNRSC(2)5’−GGCCGC
TTAGCAGCTGCGGTTGTCGGCTとの連結によって行った。
【0183】 (実施例9) (標的化ペプチドCRSWNKADNRSCの、VEGF−B186へのアミノ
末端(Nt)融合) (プラスミド、pVEGF(B)−Nt−CRSWNKADNRSCの構築お
よびCHO細胞におけるキメラ分子の発現) シグナルペプチドとVEGF−B186分子のN末端との間に、NH2−(GGG
GS)×3−COOHヒンジ領域を介して挿入されたプラスミド、pVEGF(
B)−Nt−CRSWNKADNRSCは、心臓組織標的化ペプチドNH2−C
RSWNKADNRSC−COOHをコードするDNA配列を含む。機能的エレ
メントを含む他のリンカーペプチドは、使用され得る(上記の実施例8を参照の
こと)。N末端融合は、標的化分子の欠失なしでVEGF−B186分子で生じる
天然のタンパク質分解プロセシングを可能にする。N末端は、二量体VEGF分
子の膜結合表面に対して遠位に位置するようであるので、融合された標的化ペプ
チドは、立体障害なしに、そのレセプターと相互作用し得る。実施例8に記載さ
れる一連のモジュラープラスミドの一部はさらに、プラスミド、pVEGF(B
)−Nt−CRSWNKADNRSCを構築するために使用される(材料および
方法を参照のこと)。最終構築物は、CHO細胞にトランスフェクトされる。選
択マーカーでの同時トランスフェクション、CHO細胞クローンの選択およびタ
ンパク質の産生は、標準細胞培養および生物工学手順を使用して行われる(実施
例1を参照のこと)。キメラタンパク質の精製は、標準タンパク質化学手順に従
って行われる。
【0184】 (材料および方法) (プラスミドの構築) (pVEGF(B)186−d24/26) pVEGF(B)186−d24/26の構築を、pvegf−d24/26
−dH(実施例8を参照のこと)の、SalIおよびBglIIでの消化によっ
て行う。492bpのフラグメントを、ゲル精製によって除去する。この工程は
、プラスミドpvegf−d24/26−dH由来のVEGF(B)167のア
ミノ酸Asp27〜Arg188をコードするDNA配列を欠失する(実施例8
を参照のこと)。続いて、VEGF(B)186のアミノ酸Asp27−Ala20 7 をコードする533bpのSalI/BglII切断PCR産物を挿入する。
PCRを、プライマーP−27/167(1)ならびにP−27/186(1)
(5’−TGACAGATCTCTAAGCCCCGCCCTTGGCAACG
GAGG−3’)およびテンプレートとしてのVEGF(B)186cDNAを
使用して、標準PCR反応のように行う。VEGF(B)167の最終プラスミ
ド、pVEGF(B)186−d24/26アミノ酸においては、Asp27〜A
rg188は、VEGF(B)186のアミノ酸Asp27〜Ala207によって置換
され、アミノ酸Met1〜Val23は、両方のVEGF(B)形成に共通であり
、一方アミノ酸Ser24、Gln25およびPro26は、まだ失われている。
【0185】 (pVEGF(B)186−Nt−R13) pVEGF(B)186−Nt−CRSWNKADNRSCの構築を、Hin
dII切断ベクターpVEGF(B)186−d24/26の、アニールされた
オリゴヌクレオチドP−Nt−CRSWNKADNRSC(1)5’−TGCC
GCAGCTGGAACAAAGCCGACAACCGCAGCTGCTCCC
AGCCT−3’およびP−Nt−CRSWNKADNRSC(2)5’−AG
GCTGGGAGCAGCTGCGGTTGTCGGCTTTGTTCCAGC
TGCGGCA−3’との連結によって行う。反対の方向に挿入されたオリゴヌ
クレオチドを含むプラスミドはまた単離され、そしてpVEGF(B)186−
Nt−アンチセンスと称する。
【0186】 本明細書中に記載される実施例および実施形態は、例示の目的のみであり、そ
してそれを考慮する種々の変更および変化が当業者に示唆され、そして本出願お
よび添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることが理解される。本
明細書中に列挙されたすべての刊行物、特許および特許出願は、あらゆる目的の
ためにその全体が参考として本明細書により援用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/00 C07K 19/00 C07K 14/475 C12N 15/00 ZNAA 19/00 A61K 37/24 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 バクスター アクチェンゲゼルシャフト オーストリア国 ウィーン アー−1221, インドュストゥリーシュトラーセ 67 (72)発明者 レビン, アーノルド ジェイ. アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021, ニューヨーク, ヨーク アベニュー 1230, ロックフェラー ユニバーシテ ィ, プレジデンツ ハウス (72)発明者 ミッテラー, アルトゥア オーストリア国 ドナウ, アー−2304 オース, シュヴァーツェッカーヴェク 10 (72)発明者 ファルクナー, ファルコ−ギュンター オーストリア国 ドナウ, アー−2304 オース, ノイジードルツァイレ 76アー (72)発明者 シャイフリンガー, フリードリッヒ オーストリア国 アー−1090 ウィーン, ミヒェルボイエルンガッセ 4/17 (72)発明者 ドーナー, フリードリッヒ オーストリア国 アー−1238 ウィーン, ペーターリニガッセ 17 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 CA04 CA07 DA02 EA02 EA04 FA02 FA20 GA11 HA01 HA03 4C076 AA11 BB01 BB11 BB13 BB14 BB15 BB16 BB21 BB29 BB30 CC11 4C084 AA01 AA02 AA07 BA03 DB57 MA02 MA17 MA52 MA56 MA60 MA66 NA14 ZA36 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA01 EA20 FA72 FA74

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脈管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結された脈管形
    成因子を含む、キメラ分子。
  2. 【請求項2】 前記脈管形成因子が、VEGF−R1、VEGF−R2、ま
    たはVEGF−R3の少なくとも1つに特異的に結合する、請求項1に記載のキ
    メラ分子。
  3. 【請求項3】 前記標的化分子がペプチドである、請求項1に記載のキメラ
    分子。
  4. 【請求項4】 請求項1の記載のキメラ分子であって、ここで前記脈管形成
    因子が、脈管内皮増殖因子A(VAGF−A)、脈管内皮増殖因子A121(VA
    GF−A121)、脈管内皮増殖因子A145(VAGF−A145)、脈管内皮増殖因
    子A165(VAGF−A165)、脈管内皮増殖因子A189(VAGF−A189)、脈
    管内皮増殖因子A206(VAGF−A206)、脈管内皮増殖因子B(VAGF−B
    )、脈管内皮増殖因子B167(VAGF−B167)、脈管内皮増殖因子B186(V
    AGF−B186)、脈管内皮増殖因子C(VAGF−C)、脈管内皮増殖因子D
    (VAGF−D)、脈管内皮増殖因子E(VAGF−E)、胎盤増殖因子(PI
    GF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(b
    FGF)、またはアンジオポイエチン−1(Ang1)である、キメラ分子。
  5. 【請求項5】 前記脈管形成因子が、Ang2、エンドスタチンまたはアン
    ジオスタチンである、請求項1に記載のキメラ分子。
  6. 【請求項6】 融合タンパク質である、請求項1に記載のキメラ分子であっ
    て、ここで該融合タンパク質が、脈管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結
    された脈管形成因子を含む、キメラ分子。
  7. 【請求項7】 前記脈管形成因子が、VEGF−B、脈管内皮増殖因子B16 7 (VAGF−B167)、脈管内皮増殖因子B186(VAGF−B186)、または脈
    管内皮増殖因子C(VAGF−C)である、請求項6に記載の融合タンパク質。
  8. 【請求項8】 新脈管形成の誘発方法であって、該方法は、細胞をキメラ分
    子と接触させる工程を包含し、ここで該キメラ分子は、脈管内皮に特異的に結合
    する標的化分子に結合された脈管形成因子を含む、方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法であって、ここで前記キメラ分子が、
    融合タンパク質を含み、該融合タンパク質は脈管内皮に特異的に結合する標的化
    分子に連結された脈管形成因子を含む、方法。
  10. 【請求項10】 前記細胞が、心臓脈管構造の内皮細胞である、請求項8に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記細胞が、虚血性組織の内皮細胞である、請求項8に記
    載の方法。
  12. 【請求項12】 前記脈管形成因子が、VEGF−R1、VEGF−R2ま
    たはVEGF−R3の少なくとも1つに特異的に結合する、請求項8に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 前記標的化分子がペプチドである、請求項8に記載の方法
  14. 【請求項14】 請求項8に記載の方法であって、こで前記脈管形成因子が
    、脈管内皮増殖因子A(VAGF−A)、脈管内皮増殖因子A121(VAGF−
    121)、脈管内皮増殖因子A145(VAGF−A145)、脈管内皮増殖因子A165 (VAGF−A165)、脈管内皮増殖因子A189(VAGF−A189)、脈管内皮
    増殖因子A206(VAGF−A206)、脈管内皮増殖因子B(VAGF−B)、脈
    管内皮増殖因子B167(VAGF−B167)、脈管内皮増殖因子B186(VAGF
    −B186)、脈管内皮増殖因子C(VAGF−C)、脈管内皮増殖因子D(VA
    GF−D)、脈管内皮増殖因子E(VAGF−E)、胎盤増殖因子(PIGF)
    、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF
    )、またはアンジオポイエチン−1(Ang1)である、方法。
  15. 【請求項15】 心臓新生を増加させる方法であって、該方法は、心臓脈管
    構造の内皮細胞を、キメラ分子と接触させる方法を包含し、ここで該キメラ分子
    は、脈管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結された脈管形成因子を含む、
    方法。
  16. 【請求項16】 前記脈管形成因子が、VEGF−R1、VEGF−R2ま
    たはVEGF−R3の少なくとも1つに特異的に結合する、請求項15に記載の
    方法。
  17. 【請求項17】 前記標的化分子がペプチドである、請求項15に記載の方
    法。
  18. 【請求項18】 請求項15に記載の方法であって、こで前記脈管形成因子
    が、脈管内皮増殖因子A(VAGF−A)、脈管内皮増殖因子A121(VAGF
    −A121)、脈管内皮増殖因子A145(VAGF−A145)、脈管内皮増殖因子A1 65 (VAGF−A165)、脈管内皮増殖因子A189(VAGF−A189)、脈管内
    皮増殖因子A206(VAGF−A206)、脈管内皮増殖因子B(VAGF−B)、
    脈管内皮増殖因子B167(VAGF−B167)、脈管内皮増殖因子B186(VAG
    F−B186)、脈管内皮増殖因子C(VAGF−C)、脈管内皮増殖因子D(V
    AGF−D)、脈管内皮増殖因子E(VAGF−E)、胎盤増殖因子(PIGF
    )、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFG
    F)、またはアンジオポイエチン−1(Ang1)である、方法。
  19. 【請求項19】 前記キメラ分子が融合タンパク質であり、ここで該融合タ
    ンパク質は、脈管内皮に特異的に結合する標的化分子に連結された脈管形成因子
    を含む、請求項15に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記脈管形成因子が、脈管内皮増殖因子B、脈管内皮増殖
    因子B167(VAGF−B167)、脈管内皮増殖因子B186(VAGF−B186)、
    または脈管内皮増殖因子C(VAGF−C)である、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記キメラ分子が、薬学的に受容可能なキャリアに懸濁ま
    たは溶解される、請求項15に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記キメラ分子が、細胞培養培地に懸濁または溶解される
    、請求項15に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記薬学的組成物が注入可能な溶液の形態である、請求項
    15に記載の方法。
  24. 【請求項24】 脈管形成因子および標的化分子を含む融合タンパク質コー
    ドする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、ここで該標的核酸分使用が、
    脈管内皮に特異的に結合する、ポリヌクレオチド。
  25. 【請求項25】 前記核酸配列が、配列カセット内にある、請求項24に記
    載のポリヌクレオチド。
  26. 【請求項26】 前記発現カセットが、レトロウイルスベクターまたはアデ
    ノウイルス関連関連ベクターである、請求項25に記載のポリヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 組織における新脈管形成の誘導方法であって、該方法は、
    内皮細胞を、請求項24に記載の核酸でトランスフェクトする工程を包含し、そ
    れによって該細胞が該核酸によってコードされる融合タンパク質を発現する、方
    法。
  28. 【請求項28】 請求項1に記載のキメラ分子および薬学的に受容可能なキ
    ャリアを含む、薬学的組成物。
  29. 【請求項29】 請求項6に記載の融合タンパク質を含む、薬学的組成物。
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