JP2002521308A5 - - Google Patents

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【書類名】明細書
【発明の名称】 ポンピング可能な調合物を調製する方法及び廃棄物フォームを形成する方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セラミックベース材料及び廃棄物を含有するポンピング可能な調合物を調製するための方法であって、前記方法は、
a)酸化マグネシウム粉を、粒径、表面積、組織構造及びpH8のリン酸溶液中での溶解度に基づく選択基準により選択する工程
b)前記酸化マグネシウム粉をリン酸二水素カリウム粉及び廃棄物と混合し、第1混合物を生成する工程
c)第1混合物に添加剤としてホウ酸及びリグノスルホン酸を混合て、第2混合物を生成する工程及び
d)第2混合物に水を添加して反応混合物を生成する工程
からなる方法。
【請求項2】 前記工程a)において、酸化マグネシウム粉が、表面積、組織構造及びpH8のリン酸溶液中での溶解度に基づく選択基準を満たさない場合、その酸化マグネシウム粉をか焼する工程をさらに含み、前記か焼する工程によって、酸化マグネシウム粉の表面積、組織構造、及びpH8のリン酸溶液中での溶解度を変化させることにより、酸化マグネシウム粉の前記調合物中での凝固反応速度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記か焼する工程において、前記酸化マグネシウム粉は1300℃で1時間または3時間か焼される請求項2に記載の方法。
【請求項4】 前記か焼する工程において、前記酸化マグネシウム粉の表面積は0.3〜0.55m /gに調製される請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】 前記酸化マグネシウム粉の組織構造は、顕微鏡検査またはエックス線回折分析によりに決定される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】 酸化マグネシウム:リン酸二水素カリウム:廃棄物:ホウ酸:リグノスルホン酸:水が12:40:17:1:1:29の重量比で混合される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の調合物を硬化させてセラミックベースの廃棄物フォームを形成する方法。
【請求項8】 か焼される前の前記酸化マグネシウム粉のカルシウム含有量は、0.5重量パーセント未満である請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の背景)
1.発明の分野
本発明は、セラミックベースのポンピング能な調合物を調製する方法及び廃棄物フォームを形成する方法に関する。より詳細には、本発明は、その調合物が到達しにくい地質学的な場所または人工の場所にポンピングされるか、または注入されるのを可能とするよう長期間にわたって低粘度を維持するセラミックベースの調合物を調製する方法に関する。
【0002】
2.発明の背景
有害廃棄物、低レベル放射性廃棄物または良性廃棄物の処理は問題を呈し続けている。埋立ての場所が不足してきているので、大抵の場合、再生不能物質または非生分解性物質のみが埋め立て充填物の唯一の候補であると見なされる。
【0003】
有害物質が埋め立てられる場合、浸出が起こらないよう、物質が不安定になるのを防止するために注意しなければならない。
埋立ての他に、処理されるべき物質をセメントで固めて、墓または建築資材として使用するための固体モノリスまたは廃棄物フォームを形成する努力が行われてきた。例えば、フレイ(Frey)他による米国特許第4,432,666号は、環境を損なう恐れのある廃棄懸念物を処理するためにセメント及び他の撥水性バインダーを用いることを開示している。しかしながら、多くの状況において、例えばハロゲン化物質を包封しようと試みる場合、セメントは不安定である。
【0004】
アランス(Arrance)による米国特許第3,093,593号は、放射性廃棄物を包封するためにケイ酸塩物質をガラス化するための方法を開示している。しかしながら、最終的な廃棄物フォームを生成するために最大1,400℃の温度が必要とされる。
【0005】
現出願人に付与された米国特許第5,645,518号においては、放射性医療廃棄物やその他同様の物質などの低レベル混合廃棄物を安定させる方法が開示されている。前記方法においては、リン酸塩セラミックスが周囲温度にて廃棄物を物理的に、かつ化学的に安定させる。しかしながら、このような努力において、最終的な廃棄物フォームは急速に凝固する。この急速に凝固する特性は、特に低い粘度と長い可動時間が必要とされる状況における処理において、様々な程度で成形し難くする。このような状況は、物質が深い縦穴または割れ目に吹き込まれるか、注がれるか、あるいは注入され得ること、すなわち、元の場所における埋められた廃棄物の安定化、原子力事故及び廃棄物飛散現場の改善、およびポンピング可能で耐熱性の必要な用途を含む。
【0006】
上記の処理の欠陥に加えて、上記の処理の構成成分(特に酸化物)として使用するために市販されている物質は流動性混合物を調剤するのに不利な形態にある。その結果、発熱反応は制御不能となり、より濃いスラリーとなり、最終生成物は均質性に欠ける。また、結果としてセラミックベースの調合物は急速に凝結し、作業者に十分な時間を与えない。
【0007】
当業において、堆積の予想される無数の展開における無数の廃棄物質の安定化に適応する調合物及び廃棄物の包封方法が必要とされている。調合物及び方法は、現在の利用可能なポンプ装置、注入装置、または噴射塗布装置に適応させるために、遅延性の成形しやすい軟度または粘度を有する廃棄溶液を提供すべきである。粘性の程度を変えることを必要とする状況のために調合物を調整するために、本方法は調合物の成分の選択及び調製のための実験計画案を提供すべきである。
【0008】
(発明の概要)
本発明の目的は、従来技術の欠点の多くを克服する廃棄物質及び廃棄物包封物質を含む調合物を提供することにある。
本発明の別の目的は、ポンピング可能なセラミックベースの調合物中において嵩の大きい成分として廃棄物を用いるための方法を提供することにある。本発明の特徴は、セラミックベースの調合物において、成分間の反応を遅延させる添加剤を使用することにある。本発明の利点はワーカビリティの時間を延長することである。別の利点は、これまでは使用不可能だった廃棄物を使用することである。
【0009】
本発明のまた別の目的は、一般的に入手可能な酸化物をポンピング可能なセラミックベースの調合物の成分に変えるための手段を提供することにある。本発明の特徴は、酸化物をか焼し、その後か焼された酸化物を被覆剤と混合することにある。本発明の利点は、セラミックベースの調合物の他の成分に関して、か焼された酸化物の反応速度を低減することであり、それは硬化前のセラミックベースの調合物のワーカビリティ時間の延長をもたらす。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、ポンピング可能なセラミックベースの調合物の生産において用いられる酸化物の選択基準を提供することにある。本発明の特徴は、許容されない酸化物と許容される酸化物とを区別するために、酸化物の溶解度、気孔率および組織の特性を用いることにある。本発明の利点は、廃棄物フォームの形成の前に、特性が決定できることにある。別の利点は、か焼により所望の特性を有する酸化物を生成し得ることである。
【0011】
簡潔に述べると、本発明は、無機酸化物(単に酸化物とも称する)、リン酸カリウム、および酸化物の被覆剤からなるポンピング可能なセラミックベースの調合物を提供する。
また、提供される組成物は、酸化マグネシウム(MgO)7〜14重量パーセント、リン酸二水素カリウム(KHPO)25〜40重量パーセント、灰15〜50重量パーセント、ホウ酸1〜4重量パーセント、リグノスルホン酸塩(lignosulfonate)0.5〜2重量パーセント、及び水15〜25重量パーセントからなるポンピング可能なセラミックベースの廃棄物調合物である。また本発明は、溶解度、表面積および組織の選択基準に基づいて無機酸化物を選択すること、選択された酸化物をリン酸塩溶液及び廃棄物と混合して第1混合物を生成すること、第1混合物に添加を組合せて第2混合物を生成すること、第2混合物に水を添加して反応混合物を生成すること、反応混合物を均質化すること、及び、反応混合物を硬化させることからなるセラミックベースの廃棄物フォームの調製方法を提供する。
上記及び他の目的と利点とを伴う本発明は、図面に図示される本発明における実施例の以下の詳細な説明から特に理解され得る。
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明者は、ポンピング可能または噴射可能な混合物中に廃棄物を混合するための方法を見出だし、前記混合物は、廃棄物を達しにくい場所に固定するために用いられる。このような混合物から作成されたバインダーは、特に廃棄物が汚染された原子力発電所の石棺、または廃棄物飛散現場のような近づきがたい領域、または危険な領域に位置する状況において廃棄物を元の位置に包封するために専ら用いられて廃棄物と結合され得る。概して、本方法は、リン酸塩セラミックベースの調合物の凝固作用を遅らせ、また、リン酸塩セラミックベースの調合物のスラリーまたはリン酸塩セラミックベース材料−廃棄物混合物のスラリーの全体的な粘度を低下させ、スラリが最終地点にポンピングされるか、噴射されるか、または他の方法で移送されるのを十分可能にする。最終的に、本方法は、加熱することなく、コンクリートフォームの耐久性に匹敵する硬質非浸透性廃棄物フォームを生成する。
【0013】
また、本発明者は、ポンピング可能なセラミックベースの調合物の成分として使用するために適当な酸化物を選択する工程をここに開示する。また、ポンピング可能なセラミックベースの調合物の成分として使用するための一般的な酸化物を前処理する工程が開示される。
【0014】
本発明の第1態様においては、ポンピング可能なセラミックベースの調合物、すなわち廃棄物を包封するバインダーが明らかにされた。本発明者は、ある特定の化合物の添加が、廃棄物バインダーの成分を被覆して、セラミックベース材料−廃棄物混合物が最終的な配置場所にポンピングされるか、噴射されるか、または他の方法で挿入されるよう凝固または硬化が十分長く遅延する時点まで凝固反応を遅らせることを発見した。一旦、挿入されると、セラミックベース材料−廃棄物混合物は、非常に高密度な最終形態に硬化または凝固させられる。反応速度を遅延させる被覆の使用にもかかわらず、最終生成物はポルトランドセメントを用いて生成する最終生成物よりも硬いことが分かる。典型的には、圧縮強度は1平方センチあたり2,758ニュートン(1平方インチあたり4,000ポンド)以上である。
【0015】
棄物包封するポンピング可能なセラミックベースの調合物の製作は、図1の符号10として図式的に示される。簡潔に述べると、第1混合プロセス17において、酸化物粉12はリン酸塩粉/溶液14及び事前に分粒された廃棄物16に様々な割合で混合される。
【0016】
廃棄物質の大きさは200ミクロン未満が適当である。カリウム、ナトリウム、カルシウム、ジルコニウム、鉄、マグネシウム−アンモニウム、およびそれらの化合物からなる群から選択される陽イオン部分を有するリン酸塩を含めて、無数のリン酸塩溶液が使用され得る。リン酸塩溶液の適当な濃度は、下記に列挙される他の成分と組合せられるときに、容易な分散を促進するセンチポアズ値を有する混合物を提供するスラリーを生成する濃度である。このようなリン酸塩濃度は、水対リン酸二水素カリウムの重量比がおよそ0.66である。
【0017】
酸化物粉、リン酸塩溶液、及び廃棄物の混合により、第1混合物またはスラリー18が生成する。リン酸塩溶液と廃棄物を混合する前に、酸化物粉は任意に前処理工程11に従う。酸化物の前処理工程の詳細は以下に開示される。
【0018】
適当な酸化物:リン酸塩:廃棄物の重量比は1:3.4:1.45〜1:3.4:6.6で変化する。酸化物として酸化マグネシウム、リン酸塩としてリン酸二水素カリウム、及び廃棄物として灰が使用される場合、特に適当な酸化マグネシウム:リン酸二水素カリウム:灰の重量比は1:3.4:1.45である。
【0019】
一模範的手法において、スラリー18は、被覆剤及び水「ゲッター」からなる様々な添加剤と接触させられ、第2混合物21を生成する。しかしながら、添加剤は混合プロセスにおける別の時点で添加され得る。例えば、酸化物をリン酸塩溶液及び廃棄物に混入して調合する前に、クエン酸またはホウ酸を含むがこれに限定されない被覆剤が酸化物粉12に直接添加され得る。そして、上記の3成分が完全に一緒に混合された後、リグノスルホン酸塩などの水ゲッターが添加され得る。
【0020】
添加剤の添加の後に、水22が生成混合物に添加され、水和されている溶液は第2混合段階23において混合されて、均質な反応混合物25を生成する。典型的な混合時間は約20分〜60分である。
【0021】
水の添加は反応工程24を開始する。反応工程24の間、最終的な凝固が起こる前に、反応中の反応混合物25は、符号26において、ポンピングされるか、ジェットグラウト注入されるか、または他の方法で扱われる。反応混合物25の凝固、安定化または硬化工程28は、上述したように、水の添加工程22の2時間後より早くは起こらない。
【0022】
発明された方法の顕著な特徴は、セラミックベース材料−廃棄物混合物の反応、ポンピング、移送、及びに最終的な硬化に外部から加えられる熱が作用する必要がないことである。
【0023】
反応混合物を流動化するために添加剤が使用されるという事実にもかかわらず、最終的に生成する硬化廃棄物フォームは優れた品質を示す。例えば、図2に示されるように、本プロセスは主にマグネシウム−カリウムのリン酸塩結晶相を含む廃棄物フォームを生成し、結晶相はグラフ上の鋭いピークによって示される。
【0024】
(酸化物の調製の詳細)
本発明において、無数の酸化物は適当な粉体である。酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウムおよびそれらの組合せは、すべて適切な開始粉体である。
【0025】
本発明者は、酸化物の前処理11は、生成するセラミックベース材料と廃棄物との混合物の流動性をしばしば高めることを見出した。しかしながら、商業的供給業者によって供給される前処理済の酸化物は必要な流動性の増進をもたらさない。むしろ、ここに開示される発明されたか焼プロセスは、高強度及び低気孔率などの最適な特性を有するバインダーを産する。発明された酸化物の前処理工程11を用いることにより、約2時間の凝固速度、凝固中においてさえ低い発熱反応性(すなわち、低い熱の発生)、及び非常に均質な構造がもたらされる。
【0026】
適当なセラミックベースの調合物を生成するために、酸化物の成分は以下の特性を有するべきである:
1.平均酸化物粒径は、およそ8〜10ミクロンであるべきである。それぞれの粒子は高密度、かつ結晶性であり、いかなる非晶性被覆も有してはならない。
【0027】
2.用いられる酸化物粒子は、混合中にセラミックベース材料と廃棄物との混合物を実質的に加熱するべきでない。また、酸化物粒子の選択は、スラリーを濃くしてはならない。
【0028】
3.最終生成物は、均質のセラミックベースの廃棄物フォームであるべきで、スラリー中における沈殿の形成を生じてはならない。最大圧縮強度は少なくとも1平方センチあたり2,413ニュートン(1平方インチあたり3,500ポンド)であるべきである。生成物の開口気孔率または連通気孔率は、生成・硬化時にモノリス全体の約10体積パーセント未満であるべきである。
【0029】
のようなものとして、酸化物の適合性を決定するために、以下の3つの試験選択基準が明らかにされた。選択基準は代表的な供給業者によって供給される酸化物に適用され得るか、または現場においてエンドユーザ等により用いられる酸化物の前処理方法の効力を決定するために適用され得る。
【0030】
図5に示される意思決定のための枝分かれ図に示されるように、酸化物が廃棄物のための流動性セラミックベース材料中の適切な成分として適当であるためには、以下の3つの選択基準すべてが満足されるべきである。
【0031】
A.)表面積:粉体の表面積が0.3〜0.55m/gの範囲にあるべきである。そうでなければ、粒子の凝集により表面積が低下し、粒子の凝集は次いで酸化物と他の反応物との間の反応を抑制することを本発明者は見出した。表面積が所望の範囲を越えると、反応速度が加速し、スラリーの過熱を引き起こし、場合によってはスラリーを沸騰させる。市販されている酸化物の表面積はおよそ4m/gである。
【0032】
B.)組織:高解像度顕微鏡(すなわち、およそ1500倍)下において、酸化物の粒子の表面は滑らかで結晶性構造を示す条線を有して見えなければならない。許容される組織または許容されない組織の例が図3A及び図3Bとしてそれぞれ示される。
【0033】
顕微鏡検査を含む酸化物候補の視覚的検査の他に、エックス線回折分析も酸化物における十分な結晶性構造の決定を可能にする。例えば、適当な酸化物(図4A)は結晶構造を示す鋭いピークを示すのに対し、不適当な酸化物(図4B)は非晶質物質の存在を示す広いピークを示す。非晶質物質は急速に反応して、スラリー中において好ましくない余分な熱を発生する。
【0034】
C.)溶解度:リン酸溶液における酸化物の溶解度も許容される酸化物及び許容されない酸化物を識別する。概して、難溶性の酸化物ほど、流動性セラミックベース材料を生成するのに適しており、同セラミックベース材料は非浸透性の塊体に凝結する。酸化物が難溶であることにより、反応後により多くの酸化マグネシウム粒子が存在し、よって、反応混合物中においてより多くの核形成部位が存在する。これらの結晶核生成部位は、最終的な廃棄物フォームの全体強度に付加される硬度の個々の中心を形成するのを補助する。
【0035】
図6は、2つ許容される酸化物(点線)と2つの許容されない酸化物(実線)とを表すグラフを示している。示されるように、酸−酸化物溶液をpH8にするためには、許容される酸化物は、許容されない酸化物の必要量と比較して、20パーセント(重量による)多く必要である。適当な酸化物の初期の不純物レベルは、それらの溶解度に作用しない。例えば、図5に示されるより可溶性の酸化物(すなわち、許容される酸化物)は、様々な程度のカルシウム汚染物質を有しており、ある酸化物(分析用グレード)は0.05重量パーセントのカルシウムを含み、別の許容される酸化物(技術用グレード)は0.45重量パーセントのカルシウムを含んでいる。
【0036】
酸化物候補の溶解度試験は以下の通り行われる:5%リン酸(HP0)の脱イオン水溶液30mlがマグネティックスターラまたは他の手段により一定に攪拌された状態に保たれる。酸化マグネシウム1グラムが溶液に添加され、生成混合物はpHを記録されて平衡にされる。付加的な酸化マグネシウムが1回に1グラム追加され、平衡にされる。pH8に達するまで、本手順が続けられる。
【0037】
本発明者は、上述した選択基準A〜Cを満足する酸化物を得るための一方法は、か焼工程を介することを見出した。市販の酸化マグネシウムが使用され得る場合には、上述したように、酸化物はまず8〜10ミクロンの大きさにされなければならない。酸化物のカルシウム含有量は0.5重量パーセントを越えてはならない。
【0038】
一旦、酸化物のカルシウム含有量及び粒径が適当に決定されると、酸化物は1,300°Cに維持された炉に入れられる。酸化物は「予熱された」炉、または昇温中の炉に入れられ得る。酸化物の供給源(よって不純物)のレベルにより、酸化物のソーキング時間または加熱時間が異なるであろう。高純度(分析用グレード)の酸化物は約1時間ソークされ、一方、技術用グレードは約3時間加熱される。
【0039】
加熱後、冷却の間、試料は炉の中に残される。冷却された生成酸化物は、通常、塊状化した塊体として存在し、8〜10ミクロンレベルに再び粉砕されるか、分粒されなければならない。
【0040】
(添加剤の詳細)
上述されるように、本発明の特徴は、反応を抑制し、それにより反応混合物のワーカビリティを延長させる添加剤を使用することにある。添加剤は2つの成分、すなわち、被覆剤と、水「ゲッター」または水除去剤とからなり得る。上述したように、適当な被覆剤はホウ酸、クエン酸、およびそれらの組合せのうちから選択される。添加剤の被覆成分は酸化物粒子を被覆し、それにより、酸化物粒子を他の反応物に完全に露出、または接触することから隔離して作用する。
【0041】
適当な水ゲッターは、リグノホスホン酸塩(lignophosphonate)を含む重合有機化合物の部類から得られる。リグノホスホン酸塩化合物は、水がリン酸塩と急速に反応するのを抑制する。本質的に、これらのリグノ化合物は、リン酸塩の急速な水和を防ぐためにいかなる水も除去する。アルカリ性のリグノホスホン酸塩化合物は好ましいゲッターである。詳細には、ゲッターはリグノスルホン酸塩、リグノホスホン酸塩、他のヒドロキシル有機化合物およびそれらの組合せのうちから選択される。リグノスルホン酸塩化合物として適当なものは、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カルシウム、リグノスルホン酸カリウムおよびそれらの組合せである。模範的なリグノスルホン酸塩化合物のひとつは、マサチューセッツ州ケンブリッジのグレース・コンストラクション・プロダクツ社(Grace Construction Products)により市販されているダラタ−ド 17(Daratard 17、商標)である。
【0042】
最終反応混合物に対する添加剤の重量パーセントは、0.5パーセント〜3.5パーセントの間の値において適当に変更可能である。概して、添加剤は、添加剤:酸化物:リン酸が1.83:10.3:35〜2.1:10.3:34の重量比で第1混合物と結合される。
【0043】
本発明者は、リグノスルホン酸塩化合物の水隔離効果はホウ酸の存在により高められることを発見し、前記ホウ酸はリグノスルホン酸塩に用いられる重量%と同様の重量%で存在する。
【0044】
添加剤は反応過程24の前または開始時のいかなる時にも添加され得る。図1に示されるように、すなわち、水の添加22の前に添加剤が導入されると模範的な結果が得られる。
【0045】
一実施例において、最終的なポンピング可能であるセラミックベースの調合物の各成分の割合は以下の通りである:酸化マグネシウム(12重量パーセント)、リン酸二水素カリウム(40重量パーセント)、フライアッシュ(17重量パーセント)、ホウ酸(1重量パーセント)、リグノスルホン酸塩(1重量パーセント)、及び水(29重量パーセント)。この実施例は、牛乳状の軟度を有するスラリーを生じ、従って、容易にポンピングされるか、またはグラウト注入され得る。2〜3時間後、スラリーは凝結し、堅強で高密度のセラミックベースの廃棄物フォームを形成する。最終的なフォームのX線回折分析が図2に示される。リン酸マグネシウムカリウム水和物と共に、残渣酸化マグネシウムが存在する。
【0046】
以下の表1において決定され得るように、添加の濃度の変更により様々なスラリー軟度がもたらされる。表1は、総スラリー重量に対して0.5〜3.5重量パーセントの添加剤濃度におけるセンチポアズ(cp)粘度を示す。
【表1】
Figure 2002521308
【0047】
加剤(被覆剤と水「ゲッター」の双方からなる)の被覆剤0.5〜3重量パーセントを含む調合物が好ましい。
【0048】
いくつかの異なる種類の廃棄物は、別々に、または併用されて、ポンピング可能なセラミックベース材料に混合され、廃棄物フォームを形成する。このような廃棄物は、灰、のこぎり塵、粘土、土、赤泥、金属工業からの塵埃、スラグ及びそれらの組合せを含むがこれに限定されるわけではない。材料の分粒、粉砕、または他の前処理が必要とされ得る。廃棄物の適当なミクロンサイズは、10ミクロンから200ミクロンの範囲である。
【0049】
上述したように、生成したスラリーはポンピング可能な混合物中に既に混合されている廃棄物粒子を処分するために適切に用いられるか、または他の廃棄物を安定させる密封剤として用いられ得る。例えば、灰を配合されたスラリーは、汚染された土を安定させるため、汚染された土に続いて注入され得る。別の用途は、発明された廃棄物を含むスラリーをポンピング可能な耐火物として使用することである。
【0050】
本発明は図示された実施例の詳細に関して説明しているが、これらの詳細は添付される請求項において規定される本発明の範囲を制限することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の特徴に従ったポンピング可能なセラミックベースの廃棄物フォームを生成するための工程を示す概要図。
【図2】 本発明によるポンピング可能なセラミックベースの廃棄物フォームのエックス線回折分析チャート。
【図3A】 本発明の特徴に従ったセラミックベースの調合物において、許容される酸化物成分を示す顕微鏡写真。
【図3B】 本発明の特徴に従ったセラミックベースの調合物において、許容されない酸化物成分を示す顕微鏡写真。
【図4A】本発明によるポンピング可能な調合物に用いるために許容される酸化物成分のエックス線回折分析チャート。
【図4B】 本発明によるポンピング可能な調合物に用いるために許容されない酸化物成分のエックス線回折分析チャート。
【図5】 本発明の特徴に従って適当な酸化物を決定するための意思決定枝分かれ図。
【図6】 本発明の特徴に従った様々な酸化物の溶解度曲線。
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