JPH10104393A - 放射性廃棄物用固化材、放射性廃棄物の固化処理方法及び固化物 - Google Patents

放射性廃棄物用固化材、放射性廃棄物の固化処理方法及び固化物

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JPH10104393A
JPH10104393A JP25700196A JP25700196A JPH10104393A JP H10104393 A JPH10104393 A JP H10104393A JP 25700196 A JP25700196 A JP 25700196A JP 25700196 A JP25700196 A JP 25700196A JP H10104393 A JPH10104393 A JP H10104393A
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radioactive waste
radioactive
sodium
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JP25700196A
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Tadashi Sasaki
忠志 佐々木
Shigeru Mihara
茂 三原
Kazunori Suzuki
和則 鈴木
Yoshihiro Tanabe
義博 田邊
Yoshimitsu Karasawa
義光 唐沢
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JGC Corp
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
JGC Corp
Nippon Kayaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射性廃棄物を固化処理するのに適した固化
材を提供する事。 【解決手段】 高炉水砕スラグ、硬化刺激剤及び防浸
剤、必要により微粉及び分散剤を含有してなる放射性廃
棄物用固化材、並びに該固化材、放射性廃棄物及び必要
により水とを混練し養生固化することを特徴とする放射
性廃棄物の固化処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所、核
燃料再処理施設あるいは原子力研究施設等から排出され
る放射性廃棄物を固化する為の固化材、放射性廃棄物の
固化処理方法および固化物に関する。
【0002】
【従来の技術】放射性廃棄物とは放射性アイソトープ使
用の工場・病院・研究所から発生する物もあるが、ほと
んどは原子力発電所から発生する。
【0003】これら放射性廃棄物の固化処理法として、
セメント固化法、ビチューメン固化法、プラスチック固
化法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セメン
ト固化法は耐久性や核種保持性能は優れているが、処理
能力が小さい等の欠点があった。又、ビチューメン固化
法や、プラスチック固化法は、処理能力は大きいが、処
理方法が複雑である事や、核種保持性能が低い等の欠点
があった。
【0005】以上のことから、処理能力が大きく、ドラ
ム缶で固化したときドラム缶当たりの充填量が大きく、
固化体が核種保持性能に優れていることはもちろんのこ
と、それが水中耐久性の優れた放射性廃棄物の処理法が
切望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記したよ
うな問題点のない固化材について鋭意研究の結果、上記
課題を達成できる固化材を見出し本発明を完成させたも
のである。
【0007】即ち、本発明は (1)高炉水砕スラグ、硬化刺激剤及び防浸剤、必要に
より微粉及び分散剤を含有してなる放射性廃棄物用固化
材、 (2)更に針状無機質粉末を含有してなる上記(1)記
載の放射性廃棄物用固化材、 (3)更に混和材を含有してなる上記(1)または
(2)記載の放射性廃棄物用固化材、 (4)防浸剤がカラギーナン、アルギン酸ナトリウム、
キサンタンガム、蒟蒻マンナン、寒天、アガロース、ア
ミロペクチン、タンニン、カルボキシルメチルセルロー
ス、ファーセラン、ペクチン、澱粉、タマリンドガム、
カードラン、ザンサン、ジェラン、大豆蛋白質、ゼラチ
ン、卵、魚肉蛋白質から選ばれた少なくとも1種類を含
有する、上記(1)、(2)及び(3)のいずれか1項
に記載の放射性廃棄物用固化材、 (5)固化処理の対象である放射性廃棄物が雑固体、イ
オン交換樹脂、リン酸カルシウムを主とする固体廃棄
物、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、又は(メタ)ほ
う酸ナトリウム又はリン酸カルシウムを主とする廃液も
しくは濃縮廃液、またはこれら廃棄物のうち少なくとも
1つ以上を含む固体廃棄物、廃液もしくは濃縮廃液であ
る上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の放射性廃
棄物用固化材、 (6)硬化刺激剤がアルカリ金属もしくはアルカリ土類
金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩及び珪酸塩から
なる群からえらばれる1種以上である上記(1)〜
(5)のいずれか1項に記載の放射性廃棄物用固化材、 (7)硬化刺激剤が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、水酸化カルシウ
ムから選ばれる1種類以上である上記(6)記載の固化
材、 (8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の固化
材と放射性廃棄物、必要により水を混合、混練した後、
これを養生固化することを特徴とする放射性廃棄物の固
化処理方法、 (9)放射性廃棄物が下記(イ)〜(ヘ)に示す放射性
廃棄物のうちの1つである上記(8)記載の固化処理方
法: (イ)BWR発電所から発生する硫酸ナトリウム等の無
機塩を含む廃液並びにこれらを必要により熱乾燥、粉砕
して得られた粉体、又は粉体成形物、(ロ)PWR発電
所から発生するほう酸などの無機塩を含む廃液及びこれ
らを必要により熱乾燥、粉砕して得られた粉体、並びに
ほう酸などを含む廃液を前処理して得られたケーキある
いはこのケーキを必要により熱乾燥、粉砕して得られた
粉体、又は粉体成形物、(ハ)原子力発電所から発生す
る粒状あるいは粉状のイオン交換樹脂、あるいは、この
イオン交換樹脂を必要により熱乾燥、粉砕して得られた
粉体、(ニ)原子力発電所から発生する可燃性廃棄物を
燃焼させた後に発生する焼却灰、(ホ)再処理施設から
発生する硝酸ナトリウム、燐酸カルシウムなどの無機塩
を含む廃液及びこれを必要により熱乾燥、粉砕して得ら
れた粉体、及び(ヘ)再処理施設から発生する可燃性廃
棄物を燃焼させた後に発生する焼却灰、 (10)下記(ト)〜(チ)に示す放射性雑固体廃棄物
を収納容器に入れ、次いで上記(1)〜(7)のいずれ
か1つに記載の固化材と必要により水を含有する混合物
(以下混合物(A)という)をこれに必要に応じ振動を
与えながら充填した後、室温又は加温して養生固化する
ことを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法: (ト)原子力発電所から発生する雑固体廃棄物、又は、 (チ)再処理施設から発生する雑固体廃棄物、 (11)粉体である上記(9)記載の放射性廃棄物と前
記混合物(A)とを混合しながらこれに必要により水を
添加した後、室温又は加温して養生固化することを特徴
とする上記(9)記載の固化処理方法、 (12)廃液である上記(9)記載の放射性廃棄物と前
記混合物(A)とを混合、混練した後、或いは廃液中の
固形分濃度を高めたのち前記混合物(A)と混合、混練
した後、室温又は加温して養生固化することを特徴とす
る上記(9)記載の固化処理方法、 (13)放射性廃棄物と前記混合物(A)と混合、また
は混練した後室温でそのまま、或いは水分が飛ばないよ
うにして蓋をして、養生固化することを特徴とする上記
9〜12記載の固化処理方法、 (14)上記(8)〜(13)のいずれか1項に記載の
固化処理方法により固化された固化物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明で用いる高炉水砕スラグはそのブレ
ーン比表面積が2000cm2 /g以上のものが好まし
く、特に3000cm2 /g以上のものが好ましい。
【0010】硬化刺激剤としては種々のアルカリ性物質
が使用できる。用いうる硬化刺激剤の具体例としては水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の
アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、更に水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属
の水酸化物、ピロ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸カリウム、
燐酸二カリウム、燐酸三カリウム、燐酸三ナトリウム等
の燐酸塩、(メタ)ケイ酸ナトリウム、(メタ)ケイ酸
カリウム等の珪酸塩が挙げられ、水酸化ナトリウムが好
ましい。
【0011】硬化刺激剤の使用量は、その塩基性度(ア
ルカリ性の強さ)、高炉水砕スラグの粒径、更に必要に
より添加する種々の微粉の種類や量、及び水の量によっ
ても異なるが、概ね高炉水砕スラグと微粉(任意成分)
の合計量100重量部に対して0.2〜20重量部、好
ましくは2〜10重量部である。硬化刺激剤の量が少な
すぎると、固化物が充分な強度を発現しなかったり、固
化に長時間を要する等、経済的に不利となる。尚、放射
性廃棄物が、例えばイオン交換樹脂、金属アルミニウム
のように硬化刺激剤と反応を起こすような場合、廃棄物
に消費される分を除いた量が上記使用量となるよう硬化
刺激剤を使用する。
【0012】本発明で用いる防浸剤とは、放射性廃棄物
と固化材とを混練した際の固形分の分離防止効果やブリ
ージング防止効果、固化物の硬化収縮又は乾燥収縮防止
効果、場合により膨張効果、固化物が水に曝された場合
における廃棄物の溶けだし防止効果、同じく水に曝され
た場合における浸水防止効果等の効果を、少なくとも1
つ以上有するものをいい、例えばゲル形成能または冷却
ゲル形成能をもつ種々の物質が使用できる。用いうる防
浸剤の具体例としては寒天、アガロース、アミロペクチ
ン、カラギーナン、コンニャクマンナン、アルギン酸ナ
トリウム、ファーセラン、ペクチン、澱粉、タマリンド
ガム、キサンタンガム、タンニン、カルボキシメチルセ
ルロース、カードラン、ザンサン、ジェラン、大豆蛋白
質、ゼラチン、卵、魚肉蛋白質が挙げられる。
【0013】これらの防浸剤の内、寒天、アガロース、
アミロペクチン、カラギーナン、コンニャクマンナン、
アルギン酸ナトリウム塩が好ましく、中でも寒天、アガ
ロース、アミロペクチンが特に好ましい。
【0014】また、防浸剤の粒度は通常100メッシュ
以下、好ましくは55メッシュ以下である。
【0015】また、防浸剤の添加方法に特に制限はない
が、一様に分散されるように、予め高炉水砕スラグなど
の粉体と混ぜ合わせておくのが好ましい。
【0016】防浸剤の使用量は、その塩基性度(アルカ
リ性の強さ)、高炉水砕スラグの粒径、更に添加する種
々の微粉の種類や量、及び水の量によっても異なるが、
概ね高炉水砕スラグと微粉(任意成分)の合計量100
重量部に対して、通常0.05〜10重量部、好ましく
は0.1〜6重量部、特に好ましくは0.2〜4重量部
である。防浸剤の添加量が0.1重量部以下であると前
述の防浸剤としての効果が充分でなく、逆に添加量が1
0重量部を越えると防浸剤として期待される効果より
も、それらが有機物であることに由来する様々な欠点が
顕著になり、また混練が困難になるなど操作性に問題が
出てくる。
【0017】本発明の固化材は、必要により微粉を含有
する。微粉としては、その平均粒径が高炉水砕スラグの
平均粒径より小さいもの、好ましくは高炉水砕スラグの
平均粒径よりも1オーダー以上小さいもの、より好まし
くは2オーダー以上小さいものを使用する。
【0018】微粉の好ましい平均粒径は、10μm以下
であり、より好ましくは0.01〜5μmであり、最も
好ましくは0.05〜1μmである。
【0019】使用し得る具体的な微粉としては、例えば
シリカフューム、フライアッシュ、珪砂、珪石粉、クレ
ー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、陶磁器粉砕
物、徐冷高炉スラグ粉砕物、チタニア、ジルコニア、ア
ルミナ、アエロジル、等が挙げられるが、流動性等が向
上する他、固化後の固化物の機械的強度が向上するなど
の効果が顕著なことから、シリカフュームを使用するこ
とが特に好ましい。微粉の使用量は、高炉水砕スラグの
大きさ(粒径)や種類、必要に応じて添加する他の種々
の混和材の種類や量によっても異なるが、高炉水砕スラ
グ100重量部に対して通常2〜50重量部、好ましく
は5〜25重量部である。
【0020】本発明の固化材は必要により分散剤を含有
する。分散剤は分子中に、カルボン酸基またはその塩を
有する高分子で例えばポリ(メタ)アクリル酸塩、アク
リル酸・マレイン酸共重合物、アクリル酸・マレイン酸
・ビニルエーテル共重合物、アクリル酸・イタコン酸・
スチレン共重合物、アクリル酸・イタコン酸・メタクリ
ル酸・スチレン共重合物、無水マレイン酸・C5 〜C8
オレフィン共重合化合物等である。
【0021】前記に於いて、C5 〜C8 オレフィンとし
ては、2メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、シクロペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
【0022】また、分散剤がカルボン酸基の塩を有する
場合、塩の種類としては、アルカリ金属塩、例えばリチ
ウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられ、更にア
ンモニウム塩、アミン塩も使用できる。
【0023】具体的には、アクリル酸・マレイン酸共重
合体のナトリウム塩、アクリル酸・イタコン酸・スチレ
ンの共重合体のナトリウム塩、アクリル酸・イタコン酸
・メタクリル酸・スチレンの共重合体のナトリウム塩、
アクリル酸・無水マレイン酸・イソブチルビニルエーテ
ル共重合体のナトリウム塩、アクリル酸・無水マレイン
酸・スチレンの共重合体のナトリウム塩、無水マレイン
酸・2メチルブテン−1・ペンテン−1共重合体のナト
リウム塩等も用いうる分散剤として挙げられる。
【0024】本発明で用いられる分散剤は、ここに挙げ
た共重合体に限定されるものではない。
【0025】即ち、セメント、コンクリートの減水剤と
して知られている、ナフタリンスルホン酸のホルマリン
縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニ
ンスルホン酸縮合物等を併用する事もできる。又、これ
ら減水剤は単独使用だけでなく、2種以上を併用するこ
とも出来る。
【0026】これらの分散剤の使用量は、本発明の固化
材を固化して得られる固化物の要求特性や放射性廃棄物
の処理方法等により異なるが高炉水砕スラグ及び微粉
(任意成分)の合計量100重量部に対して通常0.1
〜10重量部、好ましくは0.3〜6重量部、特に好ま
しくは0.5〜3重量部である。
【0027】分散剤の使用量が0.1重量部より少ない
と、添加する水の量にもよるが、混練が困難になったり
流動性が低下したりする。
【0028】本発明の固化材は必要に応じて針状無機質
粉末を含有する。用いうる針状無機質粉末の具体例とし
ては、ウォラストナイト、セピオライト、アスベスト、
クリソタイル、アモサイト、トレモライト等が挙げられ
るが、固化物の強度の向上、耐久性の改良等から、ウォ
ラストナイトが好ましい。
【0029】針状無機質粉末の使用量は、高炉水砕スラ
グ100重量部に対して通常2〜50重量部、好ましく
は5〜25重量部である。
【0030】本発明の固化材には、更に必要に応じて種
々の混和材を含有せしめることが出来る。
【0031】混和材としては、例えば粉砕された徐冷ス
ラグ、フェロクロムスラグ、シリカ、アルミナ、タル
ク、硅砂、硅石粉、クレー、カオリン、炭酸カルシウ
ム、陶磁器粉砕物、チタニア、ジルコニア、砂利等の無
機充填材があげられる。
【0032】さらに砂糖、グルコース等の硬化遅延剤、
シランカップリング剤のような表面処理剤、顔料及び消
泡剤等が挙げられる。
【0033】これら種々の混和材を用いる場合、その使
用量は、無機充填材の場合には高炉水砕スラグ100重
量部に対して通常10〜300重量部、又硬化遅延剤、
表面処理剤、顔料及び消泡剤等の混和材の場合には高炉
水砕スラグ100重量部に対して通常0.1〜20重量
部である。
【0034】また、得られる固化物の靭性向上等を目的
として繊維などを添加することもできる。用いうる繊維
の具体例としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ビニロ
ン、ナイロン、アラミド、ポリプロピレン、アクリル、
ポリエステルなどの繊維、セルロース繊維、スチール、
アルミナ繊維などが挙げられれる。繊維の使用量は高炉
水砕スラグ100重量部に対して通常0.1〜10重量
部である。
【0035】本発明の固化材は上記各成分を所定の割合
で混合して得ることができる。尚、硬化刺激剤及び分散
剤(任意成分)はそれら以外の成分と予め混合してあっ
てもよいし、下記で述べるように固化処理の際に別途添
加してもよい。
【0036】以下に本発明の固化処理方法につき説明す
る。本発明の固化処理方法は、本発明の固化材、放射性
廃棄物及び水を混合、混練し次いでこれを養生固化させ
る。水の使用量は、使用する高炉水砕スラグ及び微粉
(任意成分)の種類と量、その他放射性廃棄物の種類と
量によって異なり、放射性廃棄物と固化材との混練物が
良好な流動性を示し、また固化物が高強度、耐久性を示
すように決めることが重要だが、高炉水砕スラグと微粉
の合計量100重量部に対して10〜200重量部、好
ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜1
00重量部である。尚、放射性廃棄物が例えば硫酸ナト
リウム廃液のように水分を含有する場合、放射性廃棄物
中に含まれる水分を加えた量が上記使用量となるよう水
を使用する。また、遠心分離処理等で表面水のみを取り
除いた使用済イオン交換樹脂を固化する場合、イオン交
換樹脂中に含まれる水が一部浸出するのでこの水分を加
えた量が上記使用量となるよう水を使用する。また、完
全に乾燥したイオン交換樹脂を固化する場合、加えた水
の一部がイオン交換樹脂の膨潤に消費されるため、この
消費量を除いた量が上記使用量となるよう水を使用す
る。また廃棄物の種類によっては上記範囲を越える水を
含有している場合があるが、この場合不要の水分は公知
の方法で除去するのが好ましい。
【0037】本発明の固化処理法においては、対象とな
る放射性廃棄物の種類または形状により固化処理法が異
なる。以下にそのその固化処理法の代表的な例を説明す
る。 (A)放射性廃棄物が硫酸ナトリウムまたは硝酸ナトリ
ウムを含有する水溶液またはこれらを濃縮したスラリー
状物または可燃性雑固体等の焼却灰である場合;ミキサ
ーに高炉水砕スラグ、防浸剤、必要により微粉、針状無
機質粉、繊維及び混和材、並びに放射性廃棄物とを加え
て混合し、これに分散剤、硬化刺激剤を添加し、混練し
流動性のある混練物を作る。次いでこれを収納容器に詰
めて養生固化させる。
【0038】(B)放射性廃棄物が紙、布、プラスチッ
ク等の可燃性雑固体、金属、コンクリートの廃材等の雑
固体等の水不溶性固体である場合であって固化材成分と
均一に混合(混練)することが困難である場合;本発明
の固化材成分と水とをミキサー等で混合して得たスラリ
ー状組成物を放射性廃棄物を詰めた収納容器に流し込
み、必要により振動等を加えながら、固化材を空隙のな
いように充填し養生固化させる。
【0039】(C)放射性廃棄物がイオン交換樹脂や上
記(A)における水溶液を蒸発乾固した固体である場
合;高炉水砕スラグ、防浸剤、必要により微粉、針状無
機質粉末、繊維、水に不溶な各種混和材を粉体混合した
もの(a)と、分散剤及び硬化刺激剤、水に可溶な消泡
剤等の各種混和材を水に溶解して水溶液としたもの
(b)を混練機によって混練し固化材(c)を得る。
【0040】さらに、(c)に所定量の放射性廃棄物を
添加し、さらに混練しペースト状組成物(d)を得る。
尚、(a)〜(d)までの工程は特にこの順でなくても
よく、一括で行った方が良好な結果が得られる事もあ
る。なお、均一な固化物を得るためには、水に溶けるも
のは極力水に溶かして使用した方が好ましい。次に、ペ
ースト状組成物(d)を収納容器に流し込み、養生固化
する。また、上記(B)における放射性廃棄物であって
も固化材成分と均一に混合(混練)が可能であるものは
この処理法が採用できるし、放射性廃棄物として上記
(A)における水溶液をそのまま用いても良い。
【0041】(A)〜(C)において、放射性廃棄物と
任意成分である分散剤を加える順は上記に限定されるも
のではなく、放射性廃棄物を加える前に分散剤を加えて
もよい。また、放射性廃棄物と本発明の固化材とを混
合、混練する工程は、収納容器中で必要により水を加え
ながら行ってもよいし(インドラム法)、予め放射性廃
棄物と固化材とを混合、混練したものを収納容器に流し
込んでもよい(アウトドラム法)。ここで収納容器とは
例えば鋼鉄製等のオープンドラム等が挙げられる。
【0042】尚、前記した(A)、(B)及び(C)以
外の放射性廃棄物についても前記と同様に処理して固化
せしめることができる。
【0043】また、上記において廃棄物としてのイオン
交換樹脂は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂いず
れであっても良く、形態も粉状、粒状どちらであっても
良い。例えば、スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂、ス
チレン系強塩基性陰イオン交換樹脂、メタクリル系弱酸
性陽イオン交換樹脂、アクリル系弱酸性陽イオン交換樹
脂、アクリル系弱塩基性陰イオン交換樹脂、スチレン系
弱塩基性陰イオン交換樹脂等であってもよい。
【0044】また、イオン交換樹脂は、酸型イオン交換
樹脂や塩基型イオン交換樹脂、塩型イオン交換樹脂のい
ずれも固化することができる(以下において、酸型イオ
ン交換樹脂、塩基型イオン交換樹脂、塩型イオン交換樹
脂をそれぞれ酸型、塩基型、塩型という)。塩型を固化
するときは、酸型や塩基型を固化材の主成分と混練する
前に塩処理して塩型にしても良いし、酸型や塩基型と固
化材を混練すると同時に塩を加えて塩型にしても良い。
【0045】本発明の固化処理法における固化材の使用
量は、対象とする放射性廃棄物によって異なる。即ち、
硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の場合、固
化材と放射性廃棄物との混合物において硫酸ナトリウム
の量が通常乾燥時換算で(以下同様)10〜80重量
%、好ましくは20〜60重量%となる量使用する。ま
た硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の場合、
固化材と放射性廃棄物との混合物において硝酸ナトリウ
ムの量が通常20〜80重量%、好ましくは30〜70
重量%となる量使用する。また、イオン交換樹脂を主成
分とする放射性廃棄物の場合、固化材と放射性廃棄物と
の混合物においてイオン交換樹脂の量が通常5〜30重
量%、好ましくは10〜20重量%となる量使用する。
また、上記以外の放射性廃棄物(例えば雑固体)の場合
固化材と放射性廃棄物との混合物において放射性廃棄物
の量が通常20〜90重量%、好ましくは30〜80重
量%となる量使用する。
【0046】固化のための養生は通常、室温〜100℃
の温度で行われるが、室温〜60℃での温度が好まし
い。この際、飽和蒸気圧下、或いは、水分が飛ばないよ
う蓋をして加熱下で行っても良いし、水蒸気を用いて1
00℃以上の温度でオートクレーブ処理を行っても良
い。養生時間は、温度が高い程硬化が速い傾向にあり、
特定できないが、室温養生の場合は概して7日以上、6
0℃養生の場合は概して12時間以上で実用的な物性
(圧縮強度及び耐水性能等)の固化物が得られる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。更
に、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例において、部又は%は特に断らない限り、重
量基準である。
【0048】また、実施例中のフロー値は、混練の終わ
った組成物をJIS R5201に準じて、またPロー
ト値は、混練の終わった組成物を土木学会基準F521
に準じて測定したものである。
【0049】また、実施例中の圧縮強度は、固化物をセ
メントモルタル用円柱状試験体で作った直径5cm、高
さ10cmの円柱をテンシロン((株)オリエンテック
製)を用い、載荷速度0.2mm/分で圧縮して破壊し
た時の強度(kgf/cm2)である。
【0050】また、固化物の耐水性を調べるため、円柱
状の供試体を容量で10倍量の脱イオン水中に浸漬し
て、重量変化と、外観の変化、崩壊の有無を観察した。
【0051】固化物が、1週間後〜3ヶ月後でも表面に
ヒビ、割れが無く元の形状を保っているかどうかで耐水
性を判定する。
【0052】実施例1 プラネタリーミキサーにブレーン比表面積10000c
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)72
0部、フライアッシュ80部、アルギン酸ナトリウム1
0部をいれた。
【0053】続いて、水酸化ナトリウム24部、砂糖1
部とから成る水溶液をこれに添加し、更に5分間混練し
た。これに放射性廃棄物である25%硫酸ナトリウム水
溶液を520部加え(混和率約10%(固形成分換算、
以下同様)に相当)15分間混練した。
【0054】これらの混練によって得られたペースト状
組成物のフロー値は、250mmであった。
【0055】次に混練物を圧縮試験用の型枠にいれて、
60℃の飽和蒸気圧の雰囲気下で1日間蒸気養生後の固
化物の圧縮強度は440kgf/cm2 であった。
【0056】又この固化物の耐久性を調べるため、円柱
状の供試体を容量で10倍量の脱イオン水中に浸漬し
て、重量変化と、外観の変化、崩壊の有無を観察した。
その結果、3月後でも外観に変化はなく、重量減も5.
0%であり、また圧縮強度も400kgf/cm2 であ
ることから耐水性は十分あることが判った。
【0057】実施例2 プラネタリーミキサーにブレーン比表面積10000c
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)72
0部、シリカフューム(日本重化学工業製)80部、ウ
ォラストナイト(中国製(川鉄鉱業))80部、寒天1
6部をいれた。
【0058】続いて、アクリル酸・マレイン酸共重合体
ナトリウム塩(重量平均分子量は25,000)3部、
水酸化ナトリウム24部と水100部、砂糖1部とから
成る水溶液をこれに添加し、更に5分間混練した。これ
に放射性廃棄物である濃縮硫酸ナトリウム廃液を785
部加え(混和率約30%に相当)15分間混練した。こ
れらの混練によって得られたペースト状組成物のフロー
値は、260mmであった。
【0059】次に混練物を圧縮試験用の型枠にいれて、
60℃の飽和蒸気圧の雰囲気下で1日間蒸気養生後の固
化物の圧縮強度は380kgf/cm2 であった又この
固化物の耐久性を調べるため、円柱状の供試体を容量で
10倍量の脱イオン水中に浸漬して、重量変化と、外観
の変化、崩壊の有無を観察した。その結果、3月後でも
外観に変化はなく、重量減も3.5%であり、また圧縮
強度も320kgf/cm2 であることから耐水性は十
分あることが判った。
【0060】実施例3 粒状陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120
B)391部と粒状陰イオン交換樹脂(アンバーライト
IRA−400)515部をモルタルミキサーに入れ、
アクリル酸・マレイン酸・イソブチルビニルエーテル
(7:1:2)共重合体のナトリウム塩21部、水酸化
ナトリウム43部と水193部、砂糖1.3部からなる
水溶液を加えて5分間冷却しながら混練する。
【0061】冷却後ブレーン比表面積8000cm2
gの高炉水砕スラグ(新日鐵社製、エスメントスーパ
ー)810部、ホワイトカーボン(日本アエロジル社
製)90部、アガロース4.5部をこれに添加し5分間
混練し、スラリーを得た。得られた混練物のフロー値は
230mmであった。
【0062】次いで得られた混練物を圧縮試験用の型枠
に入れ密閉し、4時間室温に静置後60℃で24時間蒸
気養生し固化物(混和率19.6%)を得た。
【0063】得られた固化物について、収縮によるひび
割れ等はなく、圧縮強度は123kgf/cm2 であっ
た。又、得られた固化物の耐水性を調べた結果、3ヶ月
後でも外観に変化はなく、重量変化は2.5%増、体積
変化は0.4%増で僅かであった。
【0064】実施例4 粒状陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120
B)391部と粒状陰イオン交換樹脂(アンバーライト
IRA−400)515部をモルタルミキサーに入れ、
アクリル酸・イタコン酸・スチレン(8:1:1)共重
合体のナトリウム塩18部、水酸化ナトリウム43部と
水193部、砂糖1.3部からなる水溶液を加えて5分
間冷却しながら混練する。
【0065】冷却したら、ブレーン比表面積4000c
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)72
0部、珪石粉(土屋カオリン製)80部、セピオライト
80部、これにタンニン20部を添加してスラリーを得
た。得られた混練物のフロー値は275mmであった。
【0066】得られた混練物を圧縮試験用の型枠にいれ
て、室温で7時間静置し凝結した後、60℃の飽和蒸気
圧の雰囲気下で1日間蒸気養生し、固化物(混和率1
9.3%)を得た。得られた固化物は収縮によるひび割
れはなく、圧縮強度は143kgf/cm2 であった。
【0067】又、得られた固化物の耐水性を調べた結
果、3ヶ月後でも外観に変化はなく、重量変化は2.1
%増、体積変化は0.2%増で僅かであった。
【0068】実施例5 陽イオン交換樹脂(powdexPCH)220部と陰
イオン交換樹脂(powdexPAO)125部をプラ
ネタリーミキサーに入れ、オレフィン・マレイン酸共重
合体のナトリウム塩(日本ゼオン社製 ワーク500)
8部、水酸化ナトリウム24部と水57部、砂糖1部か
らなる水溶液を10分間冷却しながら混練する。
【0069】放冷後ブレーン比表面積10000cm2
/gの高炉水砕スラグ(新日鐵社製、エスメントスーパ
ー)234部、シリカフューム(日本重化製)26部、
寒天0.5部をこれに添加しさらに5分間混練してスラ
リーを得た。得られた混練物のフロー値は265mmで
あった。
【0070】次いで得られた混練物を圧縮試験用の型枠
に入れ密閉し、6時間室温に静置後60℃で24時間蒸
気養生し固化物(混和率20.8%)を得た。
【0071】得られた固化物について、収縮によるひび
割れ等はなく、圧縮強度は164kgf/cm2 であっ
た。
【0072】又、得られた固化物の耐水性を調べた結
果、3ヶ月後でも外観に変化はなく、重量変化は1.5
%増、体積変化は0.8%増で僅かであった。
【0073】実施例6 陽イオン交換樹脂(powdexPCH)368部と陰
イオン交換樹脂(powdexPAO)565部をモル
タルミキサーに入れ、ポリアクリル酸ナトリウム12
部、水酸化ナトリウム48部と水145部、砂糖2部か
らなる水溶液を添加し15分間冷却しながら混練する。
【0074】放冷後ブレーン比表面積15000cm2
/gの高炉水砕スラグ(新日鐵社製、エスメントスーパ
ー)640部、クレー(ジークライト鉱業製)80部、
アモサイト80部、キサンタンガム8.0部をこれに添
加しさらに5分間混練しスラリーを得た。得られた混練
物のフロー値は195mmであった。
【0075】次いで得られた混練物を圧縮強度測定用の
型枠に入れ密閉し、4時間室温に静置後60℃で24時
間蒸気養生し固化物(混和率20.1%)を得た。
【0076】得られた固化物について、収縮によるひび
割れ等はなく、圧縮強度は145kgf/cm2 であっ
た。
【0077】又、得られた固化物の耐水性を調べた結
果、3ヶ月後でも外観に変化はなく、重量変化は1.5
%増、体積変化は0.5%増で圧縮強度は150kgf
/cm2 で十分耐水性はある。
【0078】実施例7 25%水酸化ナトリウム264部と水600部にアルミ
ニウム粉末5部入りの模擬焼却灰1066部を徐々に加
えてプラネタリーミキサー中で30分間分解させた。
【0079】次に水酸化カルシウム63部、アクリル酸
・イタコン酸・メタクリル酸・スチレン(6:1:2:
1)共重合体のナトリウム塩33部、砂糖2部、水52
部を加えて混練する。
【0080】更にブレーン比表面積8000cm2 /g
の高炉水砕スラグ(新日鐵社製、エスメントスーパー)
570部、カルボキシメチルセルロース3部、25%水
酸化ナトリウム113部をこれに加えて10分間混練し
スラリーを得た。得られた混練物のフロー値は220m
mであった。
【0081】次いで得られた混練物を圧縮強度測定用の
型枠に入れ密閉し、4時間室温に静置後60℃で24時
間蒸気養生し固化物(混和率38.6%)を得た。
【0082】得られた固化物について、収縮によるひび
割れ等はなく、圧縮強度は145kgf/cm2 であっ
た。
【0083】又、得られた固化物の耐水性を調べた結
果、3ヶ月後でも外観に変化はなく、重量変化は0.2
%増で、体積変化は0.1%増で圧縮強度は173kg
f/cm2 で十分耐水性はある。
【0084】実施例8 25%水酸化ナトリウム125部と水500部にアルミ
ニウム粉末3部入りの模擬焼却灰616部を徐々に加え
てプラネタリーミキサー中で30分間完全に分解させ
た。
【0085】次に水酸化カルシウム63部、アクリル酸
・マレイン酸(8:2)共重合体のナトリウム塩33
部、砂糖2部、水52部を加えて混練する。
【0086】更にブレーン比表面積3000cm2 /g
の高炉水砕スラグ(新日鐵社製、エスメントスーパー)
450部、シリカフューム50部、トレモライト50
部、アミロペクチン23部、25%水酸化ナトリウム1
02部をこれに加えて10分間混練しスラリーを得た。
得られた混練物のフロー値は225mmであった。
【0087】次いで得られた混練物を圧縮強度測定用の
型枠に入れ密閉し、6時間室温に静置後60℃で24時
間蒸気養生し固化物(混和率30%)を得た。
【0088】得られた固化物について、収縮によるひび
割れ等はなく、圧縮強度は194kgf/cm2 であっ
た。
【0089】又、得られた固化物の耐水性を調べた結
果、3ヶ月後でも外観に変化はなく、重量変化は0.2
%増で、体積変化は0.1%増で圧縮強度は205kg
f/cm2 で十分耐水性はある。
【0090】実施例9 プラネタリーミキサーにブレーン比表面積10000c
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)45
0部、フライアッシュ50部、ウォラストナイト(中国
製(川鉄鉱業))50部、カルボキシメチルセルロース
1部をいれた。
【0091】続いて、アクリル酸・マレイン酸共重合体
ナトリウム塩(重量平均分子量は25,000)4部、
水酸化ナトリウム10部と水200部、砂糖0.5部と
から成る水溶液をこれに添加し、更に5分間混練した。
これに放射性廃棄物である(メタ)ほう酸ナトリウムを
1150部加え(混和率約60%に相当)15分間混練
した。
【0092】これらの混練によって得られたペースト状
組成物のフロー値は、250mmであった。
【0093】次に混練物を圧縮試験用の型枠にいれて、
60℃の飽和蒸気圧の雰囲気下で1日間蒸気養生後の固
化物の圧縮強度は140kgf/cm2 であった。
【0094】又この固化物の耐久性を調べるため、円柱
状の供試体を容量で10倍量の脱イオン水中に浸漬し
て、重量変化と、外観の変化、崩壊の有無を観察した。
【0095】その結果、3月後でも外観に変化はなく、
重量減も5.0%であり、また圧縮強度も130kgf
/cm2 であることから耐水性は十分あることが判っ
た。
【0096】実施例10 プラネタリーミキサーにブレーン比表面積10000c
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)45
0部、アエロジル50部、寒天25部をいれた。続い
て、無水マレイン酸・オレフィン共重合化合物(日本ゼ
オン製ワーク500S)4部、水酸化ナトリウム10部
と水200部、砂糖0.5部とから成る水溶液をこれに
添加し、更に5分間混練した。これに放射性廃棄物であ
る(メタ)ほう酸ナトリウムを740部加え(混和率約
50%に相当)15分間混練した。これらの混練によっ
て得られたペースト状組成物のフロー値は、230mm
であった。
【0097】次に混練物を圧縮試験用の型枠にいれて、
60℃の飽和蒸気圧の雰囲気下で1日間蒸気養生後の固
化物の圧縮強度は120kgf/cm2 であった又この
固化物の耐久性を調べるため、円柱状の供試体を容量で
10倍量の脱イオン水中に浸漬して、重量変化と、外観
の変化、崩壊の有無を観察した。
【0098】その結果、3月後でも外観に変化はなく、
重量減も3.5%であり、また圧縮強度も130kgf
/cm2 であることから耐水性は十分あることが判っ
た。
【0099】実施例11 ブレーン比表面積10000cm2 /gの高炉水砕スラ
グ(新日鐵社製、エスメントスーパー)1800部、炭
酸カルシウム粉末(日本重化製)200部、蒟蒻マンナ
ン16部、珪砂1500部を添加しこれに、アクリル酸
・マレイン酸(9:1)共重合体のナトリウム塩23
部、砂糖4部、25%水酸化ナトリウム352部、水6
20部を加えて5分間混練してモルタルを得た。得られ
た混練物のPロート値は24秒であった。
【0100】ドラム缶に模擬雑固体放射性廃棄物を詰め
た隙間に、モルタルを充填した。室温で28日養生後圧
縮試験用サンプルを切り出し、表面状態および圧縮強度
を測った。
【0101】固化物は空胴、割れ等はなく、圧縮強度も
640kgf/cm2 であった。
【0102】実施例12 ブレーン比表面積6000cm2 /gの高炉水砕スラグ
(新日鐵社製、エスメントスーパー)1800部、チタ
ニア粉末(日本アエロジル製)200部、クリソタイル
200部、アガロース44部を添加しこれに、オレフィ
ン・マレイン酸共重合体のナトリウム塩(日本ゼオン製
ワーク500)23部、砂糖3部、25重量%水酸化
ナトリウム水溶液440部、水700部を加えて5分間
混練してペーストを得た。得られた混練物のPロート値
は20秒であった。
【0103】ドラム缶に模擬雑固体放射性廃棄物を詰め
た隙間に、ペーストを充填した。室温で28日養生後、
圧縮試験用サンプルを切り出し、表面状態を観察した。
固化物は空胴、割れ等はなく、圧縮強度も527kgf
/cm2 であった。
【0104】実施例13 プラネタリーミキサーにブレーン比表面積4000cm
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)720
部、アルミナ粉80部、ウォラストナイト(中国製(川
鉄鉱業))80部、寒天8部をいれた。
【0105】続いて、ポリアクリル酸ナトリウム2部、
水酸化ナトリウム35部と水300部、砂糖0.2部と
から成る水溶液をこれに添加し、更に5分間混練した。
これに放射性廃棄物である硝酸ナトリウムを1225部
加え(混和率約50%に相当)15分間混練した。
【0106】これらの混練によって得られたペースト状
組成物のフロー値は、330mmであった。
【0107】次に混練物を圧縮試験用の型枠にいれて、
60℃の飽和蒸気圧の雰囲気下で1日間蒸気養生後の固
化物の圧縮強度は270kgf/cm2 であった。
【0108】又この固化物の耐久性を調べるため、円柱
状の供試体を容量で10倍量の脱イオン水中に浸漬し
て、重量変化と、外観の変化、崩壊の有無を観察した。
【0109】その結果、3月後でも外観に変化はなく、
重量減も6.5%であり、また圧縮強度も350kgf
/cm2 であることから耐水性は十分あることが判っ
た。
【0110】実施例14 プラネタリーミキサーにブレーン比表面積4000cm
2 /gの高炉水砕スラグ(新日鉄製エスメント)720
部、フライアッシュ80部、蒟蒻マンナン6部をいれ
た。
【0111】続いて、アクリル酸・マレイン酸共重合体
ナトリウム塩(重量平均分子量は25,000)8部、
水酸化ナトリウム35部と水300部、砂糖0.2部と
から成る水溶液をこれに添加し、更に5分間混練した。
これに放射性廃棄物である硝酸ナトリウムを770部加
え(混和率約40%に相当)15分間混練した。
【0112】これらの混練によって得られたペースト状
組成物のフロー値は、350mmであった。
【0113】次に混練物を圧縮試験用の型枠にいれて、
60℃の飽和蒸気圧の雰囲気下で1日間蒸気養生後の固
化物の圧縮強度は480kgf/cm2 であった。
【0114】又この固化物の耐久性を調べるため、円柱
状の供試体を容量で10倍量の脱イオン水中に浸漬し
て、重量変化と、外観の変化、崩壊の有無を観察した。
【0115】その結果、3月後でも外観に変化はなく、
重量減も4.3%であり、また圧縮強度も370kgf
/cm2 であることから耐水性は十分あることが判っ
た。
【0116】
【発明の効果】本発明の固化材は、放射性廃棄物である
硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムやイオン交換樹脂の再
生時に出る濃縮廃液および使用済みイオン交換樹脂、フ
ィルタースラッジ、焼却灰、雑固体、各種スラッジ等の
低、中レベル放射性廃棄物等種々の放射性廃棄物を固化
することができ、そして固化物はひび割れ、空洞などが
無く、強度も強く、耐水性も良好であり、固化された廃
棄物の溶出も少ない、優れた性能を持つ。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 和則 茨城県東茨城郡大洗町成田町2205 日揮株 式会社大洗原子力技術開発センター (72)発明者 田邊 義博 群馬県高崎市岩鼻町239 (72)発明者 唐沢 義光 群馬県藤岡市本郷903−61

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉水砕スラグ、硬化刺激剤及び防浸
    剤、必要により微粉及び分散剤を含有してなる放射性廃
    棄物用固化材。
  2. 【請求項2】 更に針状無機質粉末を含有してなる請求
    項1記載の放射性廃棄物用固化材。
  3. 【請求項3】 更に混和材を含有してなる請求項1また
    は2記載の放射性廃棄物用固化材。
  4. 【請求項4】 防浸剤がカラギーナン、アルギン酸ナト
    リウム、キサンタンガム、蒟蒻マンナン、寒天、アガロ
    ース、アミロペクチン、タンニン、カルボキシルメチル
    セルロース、ファーセラン、ペクチン、澱粉、タマリン
    ドガム、カードラン、ザンサン、ジェラン、大豆蛋白
    質、ゼラチン、卵、魚肉蛋白質から選ばれた少なくとも
    1種類を含有する、請求項1、2及び3のいずれか1項
    に記載の放射性廃棄物用固化材。
  5. 【請求項5】 固化処理の対象である放射性廃棄物が雑
    固体、イオン交換樹脂、リン酸カルシウムを主とする固
    体廃棄物、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、又は(メ
    タ)ほう酸ナトリウム又はリン酸カルシウムを主とする
    廃液もしくは濃縮廃液、またはこれら廃棄物のうち少な
    くとも1つ以上を含む固体廃棄物、廃液もしくは濃縮廃
    液である請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射性廃
    棄物用固化材。
  6. 【請求項6】 硬化刺激剤がアルカリ金属もしくはアル
    カリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩及び珪
    酸塩からなる群からえらばれる1種以上である請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の放射性廃棄物用固化材。
  7. 【請求項7】 硬化刺激剤が水酸化ナトリウム、炭酸ナ
    トリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、水酸化カ
    ルシウムから選ばれる1種類以上である請求項6記載の
    放射性廃棄物用固化材。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の固
    化材と放射性廃棄物、必要により水を混合、混練した
    後、これを養生固化することを特徴とする放射性廃棄物
    の固化処理方法。
  9. 【請求項9】 放射性廃棄物が下記(イ)〜(ヘ)に示
    す放射性廃棄物のうちの1つである請求項8記載の固化
    処理方法: (イ)BWR発電所から発生する硫酸ナトリウム等の無
    機塩を含む廃液並びにこれらを必要により熱乾燥、粉砕
    して得られた粉体、又は粉体成形物、(ロ)PWR発電
    所から発生するほう酸などの無機塩を含む廃液及びこれ
    らを必要により熱乾燥、粉砕して得られた粉体、並びに
    ほう酸などを含む廃液を前処理して得られたケーキある
    いはこのケーキを必要により熱乾燥、粉砕して得られた
    粉体、又は粉体成形物、(ハ)原子力発電所から発生す
    る粒状あるいは粉状のイオン交換樹脂、あるいは、この
    イオン交換樹脂を必要により熱乾燥、粉砕して得られた
    粉体、(ニ)原子力発電所から発生する可燃性廃棄物を
    燃焼させた後に発生する焼却灰、(ホ)再処理施設から
    発生する硝酸ナトリウム、燐酸カルシウムなどの無機塩
    を含む廃液及びこれを必要により熱乾燥、粉砕して得ら
    れた粉体、及び(ヘ)再処理施設から発生する可燃性廃
    棄物を燃焼させた後に発生する焼却灰。
  10. 【請求項10】 下記(ト)〜(チ)に示す放射性雑固
    体廃棄物を収納容器に入れ、次いで請求項1〜7のいず
    れか1項に記載の固化材と必要により水を含有する混合
    物(以下混合物(A)という)をこれに必要に応じ振動
    を与えながら充填した後、室温又は加温して養生固化す
    ることを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法: (ト)原子力発電所から発生する雑固体廃棄物、又は、 (チ)再処理施設から発生する雑固体廃棄物。
  11. 【請求項11】 粉体である請求項9記載の放射性廃棄
    物と前記混合物(A)とを混合しながらこれに必要によ
    り水を添加した後、室温又は加温して養生固化すること
    を特徴とする請求項9記載の固化処理方法。
  12. 【請求項12】 廃液である請求項9記載の放射性廃棄
    物と前記混合物(A)とを混合、混練した後、或いは廃
    液中の固形分濃度を高めたのち前記混合物(A)と混
    合、混練した後、室温又は加温して養生固化することを
    特徴とする請求項9記載の固化処理方法。
  13. 【請求項13】 放射性廃棄物と前記混合物(A)と混
    合、または混練した後室温でそのまま、或いは水分が飛
    ばないようにして蓋をして、養生固化することを特徴と
    する請求項9〜12記載の固化処理方法。
  14. 【請求項14】 請求項8〜13のいずれか1項に記載
    の固化処理方法により固化された固化物。
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