JPH081126A - 石炭灰質固化物の製造方法 - Google Patents

石炭灰質固化物の製造方法

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JPH081126A
JPH081126A JP6136065A JP13606594A JPH081126A JP H081126 A JPH081126 A JP H081126A JP 6136065 A JP6136065 A JP 6136065A JP 13606594 A JP13606594 A JP 13606594A JP H081126 A JPH081126 A JP H081126A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】石炭灰を主要原料とする高強度で水に対する耐
久性が高く、かつ耐凍結融解性が高い石炭灰質固化物を
提供する。 【構成】石炭灰と、酸化カルシウムおよび水酸化カルシ
ウムの少なくとも1種類のカルシウム化合物との混合物
からなる石炭灰質原料を所定の形状に成形し、同成形物
を高温および高圧下で水熱処理する石炭灰質固化物の製
造方法であり、前記石炭灰質原料における前記石炭灰と
前記カルシウム化合物の重量比を60:40〜97:3
に調製するとともに、前記成形物をアルカリを包含させ
た状態で水熱処理することを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭灰を主要成分とす
る石炭灰質固化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エネルギー源として石炭を利用している
火力発電所や各種の工場では、フライアッシュ等の石炭
灰が大量に産出されている(約400万トン/年)。こ
のうち、有効利用されるものは約40%にすぎず、残り
の約60%は埋め立て処分されているのが現状である。
しかしながら、石炭灰の埋め立て処分場を確保すること
はかならずしも容易ではなく、漁業権の保証やリサイク
ル法の制定により埋め立て処分場の確保がますます困難
になってきている。従って、今後さらに増大するであろ
う石炭灰の有効利用が緊急の課題となっている。
【0003】現在のところでは、石炭灰は特開昭63−
17247号公報および特開平4−305044号公報
に示されているように無機質系の建設材料の一原料とし
て提案され、または特開平3−16176号公報に示さ
れているように多孔質の濾過助剤の一原料として提案さ
れている。また、特殊な例としては刊行物「日本工業新
聞:人工海底山脈を石炭灰で構築(平成5年2月26日
発行)」に示されているように、人工漁礁の一原料とし
ても提案されている。これらの提案のうち建設材料、人
工漁礁の一原料として利用する場合には、石炭灰の大量
の利用が期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した石
炭灰を建設材料、人工漁礁の原料として利用する場合に
は、石炭灰をいずれもセメントと混合して蒸気養生また
はオートクレーブ処理して使用されるが、石炭灰を主要
原料とするとはいうもののその混合比率は必ずしも高く
なく、また石炭灰の混合比率を高めようとする場合に
は、固化物の強度が低下するという問題があった。ま
た、この場合にはセメントを多く使用しているため水に
対する耐久性が悪く、寸法安定性も悪いという問題もあ
った。これを解決する手段として、本発明者等は石炭灰
に酸化カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化
合物を混合して、高温および高圧下で水熱処理して固化
する方法を提案し、すでに特許出願済みである。
【0005】しかしながら、これらのカルシウム化合物
と石炭灰との混合物を石炭灰質固化物の製造原料とする
場合には、高強度で、水に対する耐久性および寸法安定
性に優れた固化物を得ることができるが耐凍結融解性に
劣り、この固化物を寒冷地の屋外で使用した場合には固
化物にクラック等の傷が発生して破損するおそれがあ
る。従って、本発明の目的は、かかる問題に対処するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、石炭灰と、酸
化カルシウムおよび水酸化カルシウムの少なくとも1種
類のカルシウム化合物との混合物からなる石炭灰質原料
を所定の形状に成形し、同成形物を高温および高圧下で
水熱処理する石炭灰質固化物の製造方法であり、前記石
炭灰質原料における前記石炭灰と前記カルシウム化合物
との重量比を60:40〜97:3に調製するととも
に、前記成形物をアルカリを包含させた状態で水熱処理
することを特徴とするものである。
【0007】本発明の石炭灰質固化物の製造方法におい
ては、前記成形物に同成形物中の石炭灰に対して重量比
で0.001〜20%のアルカリを包含させた状態で水
熱処理すること、前記成形物を250℃以下の温度で水
熱処理すること、前記成形物をオートクレーブにて高温
および高圧下で水熱処理すること、等の各手段を採用す
ることができる。
【0008】
【発明の作用・効果】本発明に係る製造方法によれば、
固化物は高温、高圧下での水熱処理以前の成形物の状態
では、原料成分の各微粒子が互いに密に充填した状態を
呈しており、その後の高温、高圧下での水熱処理により
各微粒子間にて石炭灰中のSiO2、Al23、Fe2
3等と、CaO等のカルシウム化合物の各成分が反応し
て、主としてトバモライト等のC−S−H(カルシウム
シリケート ハイドレート)、ハイドロガーネット等が
生成される。この結果、固化物を構成する各微粒子は互
いに強固に固着した状態でかつ微粒子自身硬化して、石
炭灰を主要成分とする硬化体となって、高強度で、水に
対する耐久性および寸法安定性に優れた固化物を得るこ
とができる。この場合、成形物にアルカリを包含させた
状態で高温高圧下で水熱処理を行うと、耐凍結溶解性が
良好になることが判明した。この理由は定かではない
が、アルカリの存在により上記した反応が助長され、固
化物中の気孔が一層減少するとともに、反応生成物が強
固に固着した状態になることによるものと推測される。
【0009】従って、得られる石炭灰質固化物は、圧縮
強度が例えば400kg/cm2以上という高強度のも
のとなり、コンクリートパネル、コンクリート杭等の高
強度のコンクリート製品への適用が可能であるととも
に、水に対する耐久性が良好なため水場での使用が可能
であり、かつ耐凍結溶解性が良好なため寒冷地での使用
が可能である。このため、本発明の製造方法で製造され
た石炭灰質固化物は消波ブロック等の港湾用ブロック、
人工漁礁、人工藻場基盤、コンクリートパネル、コンク
リート杭等の建築、土木用材として広い分野で大量に利
用することができるとともに、当該石炭灰質固化物の原
料中の石炭灰の混合比が高いことから、石炭灰の大量の
利用が可能となる。
【0010】しかして、本発明において採用できるカル
シウム化合物としては、酸化カルシウム、水酸化カルシ
ウム等を挙げることができ、使用に際してはこれら各化
合物を単独でまたは2種のものを併用することができ
る。これら各化合物は、作用効果の点からいえば同等で
ある。なお、炭酸カルシウムについては上記反応が遅
く、また石膏等の硫酸カルシウムについては未反応の硫
酸カルシウムが残存し易いため、いずれの場合にも水熱
処理を長くする必要がある。これは、以下の理由による
ものと推測される。
【0011】すなわち、C−S−Hの生成反応は、石炭
灰中のシリカ成分と主にカルシウム化合物中のカルシウ
ム成分との反応によるものと考えられるが、アルカリを
添加した場合にはこの反応が促進されるものと考えられ
る。また、カルシウム成分が酸化カルシウムおよび水酸
化カルシウムでは、これらのカルシウム成分が容易にイ
オン化されるため、C−S−Hの生成反応に必要なカル
シウム成分が容易に供給され、その結果アルカリの関与
により上記生成反応は一層促進されるものと考えられ
る。これに対して、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウ
ムでは、これらのカルシウム成分(通常水に不溶)はア
ルカリの関与によりわずかにイオン化するものと考えら
れるが、C−S−Hの生成反応に必要なカルシウム成分
が充分には供給されないため、この生成反応はたとえア
ルカリが関与した場合でも酸化カルシウムおよび水酸化
カルシウムに比較して不充分になるものと考えられる。
特に、硫酸カルシウムは炭酸カルシウムに比較して、ア
ルカリの関与によってもカルシウム成分のイオン化が一
層し難いため、未反応の硫酸カルシウムが残存し易くな
るものと考えられる。
【0012】石炭灰質原料において、石炭灰とカルシウ
ム化合物の重量比は60〜40:97〜3の範囲が好ま
しく、石炭灰の混合比が60重量%未満の場合には石炭
灰質固化物の強度および耐久性が低く、97重量%を越
えると固化し得ず石炭灰質固化物としての強固な形態を
保持し得ない。
【0013】また、本発明の製造方法において採用でき
るアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(NaO
H,KOH等)、アルカリ金属炭酸塩(Na2CO
3等)、およびアンモニア等を挙げることができる。こ
れらの各化合物のうちでは、作用効果の点からいえばア
ルカリ金属の水酸化物、アンモニア、アルカリ金属の炭
酸塩の順であり、これらのうちアルカリ金属の水酸化物
が好ましく、中でも水酸化ナトリウムがより好ましい。
成形物中のアルカリの含有量については、成形物中の石
炭灰に対して重量比で0.001〜20%の範囲が好ま
しく、より好ましくは0.1〜10%であって、この範
囲においては、強度および耐久性とともに耐凍結融解性
の良好な固化物を得ることができる。アルカリを成形物
中に包含させる手段としては、アルカリを石炭灰および
カルシウム化合物の混合物である石炭灰質原料中に粉末
または水溶液の状態で添加する手段、成形物に水溶液の
状態で含浸させる手段等があり、特にアルカリを水溶液
の状態で包含させる手段が好ましい。さらにまた、高
温、高圧下での水熱処理は石炭灰の含有量が多い成形物
を高強度化するために必要であってオートクレーブ中で
行うことが好ましく、処理温度は好ましくは250℃以
下、より好ましくは250℃〜120℃である。また、
処理圧力は40気圧以下が好ましい。
【0014】石炭灰の組成に関しては、SiO2:40
〜80重量%、Al23:10〜30重量%、Fe
23:1〜15重量%、CaO:1重量%以上が好まし
く、未燃炭素量が5重量%以上であっても何等問題はな
い。また、石炭灰の粒径に関しては5〜100μmのも
ので、フライアッシュが好ましい。石炭灰質原料を所定
の形状に成形する際には、同原料に水を1〜35重量%
添加することが好ましく、より好ましくは1〜15重量
%である。このように調製された原料を使用して、プレ
ス成形、押出成形、鋳込成形等により所定の形状の成形
物を得る。この場合、減水剤、保水剤、混和剤等を添加
してもよく、また石炭灰質固化物の強度の向上、比重の
調整、コストの低減等のために、珪砂、火成岩、高炉ス
ラグ、パーライト、ALCのグス、グラスファイバー等
を添加することもできる。また、得られた固化物素地
を、高温高圧下での水熱処理に先立って室温〜100℃
以下の温度で養生することが好ましく、これにより固化
物の強度の向上が期待できる。
【0015】なお、大型の石炭灰質固化物、複雑な形状
の石炭灰質固化物を作製するには保型性が必要であり、
この場合には耐久性が若干低下するものの少量のセメン
トを添加することもよく、添加量はカルシウム化合物の
半分以下、好ましくは20重量%以下とする。また、セ
メントを添加する場合には、高温、高圧下での水熱処理
に先立って室温〜100℃以下の温度の下、湿潤状態で
養生することが必要である。
【0016】
【実施例】
(石炭灰質固化物の製造)本製造実験では、石炭灰とし
て平均粒子径20μmのフライアッシュ(成分:SiO
2…51重量%、Al23…23重量%、Fe23…5
重量%、CaO…7重量%)を使用するとともに、カル
シウム化合物としてCaO、Ca(OH)2、ポルトラ
ンドセメントの3種類を使用し、かつアルカリとして試
薬の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、アンモニアを使用した。これらの試薬を水に溶解し
て0.1〜5規定の水溶液を調製し、これらを石炭灰と
各種のカルシウム化合物を適宜の重量混合してなる混合
物にそれぞれ0〜20重量%の範囲で適宜の重量添加す
るとともに水を5〜20重量%添加して混練し、各種の
石炭灰質原料を調製した。これらの石炭灰質原料をプレ
ス圧40kg/cmでプレス成形して円板状の固化物
素地(直径100mm、厚み30mm)を得た。次い
で、各固化物素地を温度60℃で1日間養生した後、オ
ートクレーブ内にて120〜250℃の温度条件で24
時間高温処理を行った。得られた各石炭灰質固化物につ
いて外観を観察するとともに、圧縮強度、水に対する耐
久性、および耐凍結融解性を測定して、これらの結果を
表1に示す。
【0017】但し、石炭灰質固化物の外観の観察では固
化物における亀裂等の損傷の有無、形態保持性の強弱を
判定し、良好なものを○印、不良なものを×印で表示し
ている。また、圧縮強度の測定についてはオートグラフ
により行っている。耐久性の評価については、固化物を
屋外に3カ月放置後亀裂等の損傷の有無、形態保持性の
強弱を判定し、変色等もなく特に良好なものを◎印、良
好なものを○印、不良なものを×印で表示している。ま
た、耐凍結融解性については、固化物の保持温度を20
℃〜−20℃の温度範囲で変化させて行い、固化物を2
0℃の温度で8時間、−25℃の温度で16時間保持す
る実験を100回繰り返し行い、固化物での亀裂の発生
の有無を判定し、亀裂の全くないもを◎印、痕跡程度の
ものを○印、明らかに亀裂を認められるものを×印とし
て表示した。なお、表1の比較例中最後の欄(*印)の
ものは、蒸気養生のみを行ったものである。
【0018】
【表1】
【0019】(注):Ca化合物の欄における(a),
(b),(c)はCaO,Ca(OH),ポルトラン
ドセメントを、アルカリの欄におけるNa,K,Na
C,NHはNaOH,KOH,NaCO3,NH
3を、()内の数値はこれらアルカリの石炭灰に対する
添加量(重量%)を、圧縮強度は(kg/cm2)を意味する。
【0020】(考察)表1を参照すると、原料成分であ
る石炭灰とカルシウム化合物との重量比が60:40〜
97:3の範囲において良好な結果が得られており、特
に好ましい範囲は80:20〜95:5である。また、
カルシウム化合物としてはCaOおよびCa(OH)2
が同等であり、ポルトランドセメントは良好とはいえ
ず、アルカリの添加の有無にかかわらず固化物の外周に
亀裂の発生が認められた。また、アルカリとしては水酸
化ナトリウムが最も効果があり、次いで水酸化カリウ
ム、アンモニア、炭酸ナトリウムの順である。アルカリ
の添加量は0.001〜20重量%が好ましい。なお、
アルカリを添加したものでも成形物素地を蒸気養生だけ
したものでは、良好な結果が得られない。これらの結果
から、本発明の方法により製造される石炭灰質固化物
は、400kg/cm2以上の圧縮強度が要求されるコ
ンクリートパネル、コンクリート杭等各種建設材、消波
ブロック、人工漁礁、人工藻場基盤等として広い分野で
利用することができ、これらに利用する場合寒冷地での
使用も可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 28/18 40/02 //(C04B 28/18 22:06) Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石炭灰と、酸化カルシウムおよび水酸化カ
    ルシウムの少なくとも1種類のカルシウム化合物との混
    合物からなる石炭灰質原料を所定の形状に成形し、同成
    形物を高温および高圧下で水熱処理する石炭灰質固化物
    の製造方法であり、前記石炭灰質原料における前記石炭
    灰と前記カルシウム化合物の重量比を60:40〜9
    7:3に調製するとともに、前記成形物をアルカリを包
    含させた状態で水熱処理することを特徴とする石炭灰質
    固化物の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の石炭灰質固化物の製造方
    法において、前記成形物に同成形物中の石炭灰に対して
    重量比で0.001〜20%のアルカリを包含させた状
    態で水熱処理することを特徴とする石炭灰質固化物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の石炭灰質固化物
    の製造方法において、前記成形物を250℃以下の温度
    で水熱処理することを特徴とする石炭灰質固化物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3に記載の石炭灰質固
    化物の製造方法において、前記成形物をオートクレーブ
    にて高温および高圧下で水熱処理することを特徴とする
    石炭灰質固化物の製造方法。
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