JP2002510198A - スクリーニングのための骨形態形成タンパク質(bmp)受容体複合体の使用 - Google Patents
スクリーニングのための骨形態形成タンパク質(bmp)受容体複合体の使用Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、細胞分化活性のスクリーニングのために、骨形態形成タンパク質タイプII受容体の使用に関するもので、前記タイプII受容体はタイプI受容体と共に、アクチビンと骨形態形成タンパク質の間に位置する。本発明はさらに、この受容体をコードするDNAを含む細胞および前記DNAに関するものである。本発明は、化合物が新規BMP複合体に結合することが可能かどうか、および試験化合物がBMP受容体タンパク質複合体への結合にシグナルを発生するかどうかを測定する方法に関するものである。本発明はさらに、新規BMP複合体を用いて、臨床試料中のBMP受容体リガンドの濃度を測定する方法に関するものである。本発明はさらにまた、この複合体、またはその可溶性フラグメントの成分をコードするDNA配列を含む発現ベクターで同時発現させた宿主細胞に関するものである。
Description
【発明の詳細な説明】
スクリーニングのための骨形態形成タンパク質(BMP)受容体複合体の使用
技術分野
本発明は、骨の形成、発育および細胞分化の分野に関するものである。特に、
本発明は、アクチビンと骨形態形成タンパク質の間に位置するタイプII受容体
を、I型受容体と共に、細胞分化活性をスクリーニングのために用いることに関
するものである。本発明はさらに、この受容体をコードするDNAと、I型骨形
態形成タンパク質受容体をコードするDNAとを、同時トランスフェクションし
た(co−tansfectioned)細胞に関するものである。
背景
ヒトおよびその他の温血動物は数多くの骨に関する障害に苛まれることがある
。このような疾患の範囲は骨折から骨粗鬆症などの衰弱疾患におよぶ。健常人の
場合、一般的に骨成長は正常に進行し、骨折は薬理学的介入を必要とせずに治癒
するが、ある種の場合では、骨が弱まって適切に治癒されないであろう。例えば
、高齢者および副腎皮質ホルモンによる治療を受けている患者(例えば、移植患
者)では、治癒はゆっくりと進行する。骨粗鬆症とは、骨の硬組織の損失が新規
な硬組織の発育に対して不釣り合いとなっている状態をいう。骨粗鬆症は一般に
、骨量の減少または骨格組織の萎縮と定義することができ、髄質や骨の空間が広
がり、結合繊維が減少し、緻密骨が脆くなることである。骨に関連する障害の他
の例としては、関節軟骨の変質および摩耗ならびに関節表面での新たな骨の形成
を特徴とする可動関節の障害である変形性関節炎がある。
種々の治療がこのような骨に関連する障害に利用できる一方で、最適な結果が
得られる治療法はない。骨に関連する障害を治療する人々が直面している困難性
の1つは、骨代謝および骨に関連する障害の徹底した理解が不足していることで
ある。これらを理解する鍵は、骨成長に関与するそれぞれの要素を同定し、特徴
を明らかにすることである。骨形態形成タンパク質(BMPs)が、骨の形成お
よび発育において何らかの役割を担っていることが実証されている(J.M.W
ozney、Molec.Reproduct.and Develop.、3
2:160−167頁(1992);B.L.M Hogan、Genes&D
ev.10:1580−1594(1996))。
さらに、BMPsの役割は骨のみに限定されるものではないと考えられる。B
MPsが、脳、腎臓、重層扁平上皮、および毛包などの他の組織において有意な
濃度で検出されたという知見(N.A.Wall,M.Blessing,C.
V.E.Wright、およびB.L.M.Hogan、J.Cell Bio
l.、120:493−502(1993);E.Ozkaynak、P.N.
J.Schnegelsberg、D.F.Jin、G.M.Clifford
、F.D.Warren、E.A.Drier、and H.Opperman
n、J.Biol.Chem.、267:25220−25227(1992)
;K.M.Lyons、C.M.Jones、and B.L.M.Hogan
、Trends in Genetics、7:408−412(1991);
V.Drozdoff、N.A.Wall、and W.J.Pledger、
Proceedings of the National.Academy
of Sciences U.S.A.、91:5528−5532(1994
))によって、BMPsが発育や分化において別の役割を担っている可能性が示
唆される。このことを支持するように、BMPsは最近、神経細胞分化を促進し
たり、毛包形成に影響を与えたり、心臓や腎臓の発育や、その他の種々の器官の
発育に関わっていることが見い出されている(K.Basler,T.Edlu
nd、T.M.Jessell、and T.Yamada、Cell、73:
687−702(1993);V.M.Paralkar、B.S.Weeks
,Y.M.Yu,H.K.Kleinman、and A.H.Reddi、J
.Cell Biol.、119:1721−1728(1992);M.Bl
essing、L.B.Nanncy、L.E.King、C.M.Jones
、and B.L.Horgan、Genes Dev.、7:204−215
(1993);A.T.Dudley、K.M.Lyons、and E.J.
Robertson、Genes&Dev.9:2795−2807(1995
);G.C.Luo,A.L.J.J.Hofmann、M.Broncker
s、A.
Sohocki、A.Bradley、and G.Karsenty、Gen
es & Dev.9:2808−2820(1995);T.M.Schul
theiss、J.B.E.Burch、and A.B.Lasser、Ge
nes & Dev.11:451−462(1997);B.L.M.Hor
gan、Genes & Dev.、10:1580−1594(1996))
。
BMPは、BMP反応性細胞の原形質膜上で発現される特異的なBMP受容体
に結合することによって、生物学的な効果を開始する。受容体はタンパク質であ
って、通常は細胞膜に広がっており、細胞の外側からリガンドが結合し、この結
合によって細胞の機能を変化させるシグナルが細胞の内側へ送られる。この場合
、リガンドはタンパク質BMPであり、シグナルにより細胞分化が誘導される。
BMP受容体は特異的にBMPsと結合するの能力を有するので、精製された
BMP受容体組成物は、診断や治療で用いるBMP受容体抗体の作製と同様に、
BMPsの臨床アッセイに有用である。さらに、精製した可溶性BMP受容体組
成物は、BMPsを結合または除去する治療に直接用いることができ、これによ
って骨や他の組織でのBMPsの活性を調節する手段が与えられる。BMP受容
体の構造的特徴や生物学的特徴、および組織の成長/形成の刺激の際の、BMP
に対する種々の細胞集団の反応におけるBMPsの果たす役割の研究のため、あ
るいは治療、診断またはアッセイにおいて効果的にBMP受容体を用いるために
、BMP受容体の精製組成物が必要である。しかしながら、このような組成物は
、組換えDNA技術を用いて受容体をコードする遺伝子のクローニングおよび発
現によってのみ、実用的な収率で得ることができる。生化学分析に用いるBMP
受容体を精製する努力、またはBMP受容体をコードする哺乳類遺伝子をクロー
ニングおよび発現する努力は、受容体タンパク質やmRNAの適切な供給源がな
いことが妨げとなっている。本発明以前は、本明細書で記述した受容体サブユニ
ットから成る高親和性BMP受容体を高レベルで発現することが知られている細
胞系が少なく、このことがタンパク質のアミノ酸配列決定のための受容体の精製
や、直接発現クローニング用の遺伝子ライブラリーの構築を妨げていた。BMP
受容体の配列が得られることによって、生化学分析用やスクリーニング実験に用
いるための、高レベルの組換えBMP受容体を有する細胞系を生成すること
が可能になるであろう。
BMPsは、TGF−βスーパーファミリーの構成員である。TGF−βスー
パーファミリーの他の構成員には、TGF−β、アクチビン、インヒビン、抗ミ
ュラー管抑制物質、および成長−分化因子(GDFs)が含まれる(B.L.M
Hogan、Genes & Dev.10:1580−1594(1996
))。予想通りに、種々のTGF−βスーパーファミリー構成員の受容体は、類
似した構造的特徴を有している。TGF−βリガンドスーパーファミリーの受容
体は、典型的にはタイプIとタイプIIと称する2つのサブグループの1つに分
類される。タイプIおよびタイプIIの受容体の分類自体は、アミノ酸配列の特
徴に基づいている。タイプIおよびタイプIIの受容体はいずれも、比較的小さ
な細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通領域、およびセリン/トレオニンキナー
ゼ活性を示すと考えられる細胞内タンパク質キナーゼドメインを有している(L
in and Moustakas、Cellular and Molecu
lar Biology、40:337−349(1994);L.S.Mat
hews、Endocrine Reviews、15:310−325(19
94);L.Attisano、J.L.Wrana、F.Lopez−Cas
illas、and J.Massague、Biochimica et B
iophysica Acta、1222:71−80(1994);P.Te
n Dijke、K.Miyazono、and C.−H.Heldin、C
urrent Opinion in Cell Biology 8:139
−145(1996)、H.yamashita,P.Ten Dijke、C
.−H.Heldin、and K.Miyazono,Bone 19:56
9−574(1996)、J.Massague、F.Weis−Garcia
、Cancer Surveys 27:41−64(1996))。
現在までにクローニングされたタイプI受容体は、異なるファミリーに属し、
そのキナーゼドメインは相関性が高く、85%より高いの配列の相同性を有して
いる(B.B.Koenig et al.、Molecular and C
ellular Biology、14:5961−5974(1994))。
タイプI受容体の細胞内の膜近傍(juxtamembran)領域は、膜貫通
領域由来の35〜40アミノ酸のSGSGSGモチーフが特徴であり、かつこれ
らの受容体のカルボキシ末端は極めて短い(B.B.Koenig et al
.、Molecular and Cellular Bio1ogy、14:
5961−5974(1994);L.Attisano、J.L.Wrana
、F.Lopez−Casillas、and J.Massague、Bio
chimica et Biophysica Acta、1222:71−8
0(1994))。タイプI受容体の細胞外ドメインは、膜貫通領域の25〜3
0アミノ酸の中に位置した「システインボックス」と呼ばれるシステイン残基の
特徴的な群(cluster)と、推定シグナル配列の後に位置する「上流シス
テインボックス」と呼ばれるもう一つのシステイン残基の群とを含む(B.B.
Koenig et al.、Molecular and Cellular
Biology、14:5961−5974(1994);L.Attisa
no、et al.、Biochimica et Biophysica A
cta、1222:71−80(1994);J.Massague、F.We
is−Garcia,Cancer Surveys 27:41−64(19
96))。
BMPsに対する3つの異なる哺乳類タイプI受容体、すなわち骨形態形成タ
ンパク質受容体キナーゼ−1(本明細書では「BRK−1」と称する)(J.S
.CookらによるU.S.S.N.08/158,735、1993年11月
24日出願;およびB.B.Koenig et al.、Molecular
and Cellular Biology、14:5961−5974(1
994)を参照のこと)、ALK−2、およびALK−6が報告されている。B
RK−1は、ヒトALK−3のマウス同族体であり、BMPR−IAまたはTF
R−IIとしても知られる(P.Ten Dijke、K.Miyazono、
and C.−H.Heldin、Current Opinion in C
ell Biology 8:139−145(1996)を参照のこと);B
RK−1のラット同族体もクローニングされている(K.Takeda、S.O
ida、H.Ichijo、T.Iimura、Y.Marnoka、T.Am
agasa and S.Sasaki、Biochemical and B
i
ophysical Research Communications,20
4:203−209(1994))。BRK−1は、親和性標識による測定で、
BMP−7を結合するよりも効果的にBMP−2およびBMP−4を結合し(J
.M.Graff、R.S.Thies、J.J.Song、A.J.Cele
ste、and D.A.Melton、Cell 79:169−179(1
994);B.B.Koenig et al.、Molecular and
Cellular Biology、14:5961−5974(1994)
;A.Suzuki,R.S.Thies、N.Yamaji、J.J.Son
g、J.M.Wozney K.Murakami、and N.Ueno、P
roceedings of the National Academy o
f Sciences、U.S.A.91:10255−10259(1994
);P.ten Dijke、H.Yamashita、T.K.Sampat
h、A.H.Reddi、M.Estevez、D.L.Riddle、H.I
chijo、C.−H.Heldin、and K.Miyazono、J.B
iological Chemistry 269:16985−16988(
1994))、一方GDF−5は全く結合しないことが示されている(H.Ni
shitoh、H.Ichijo、M.Kimura、T.Matsumoto
、F.Makishima、A.Yamaguchi、H.Yamashita
、S.Enomoto、and K.Miyazono、J.Biologic
al Chemistry 271:21345−21352(1996))。
BMPR−IB(P.Ten Dijke、K.Miyazono、and C
.−H.Heldin、Current Opinion in Cell B
iology 8:139−145(1996)を参照のこと)としても知られ
るALK−6の結合特性は、ALK−6はGDF−5の結合が可能であることは
除いて、BRK−1の場合と同様である(P.ten Dijke、H.Yam
ashita、T.K.Sampath、A.H.Reddi、M.Estev
ez、D.L.Riddle、H.Ichijo、C.−H.Heldin、a
nd K.Miyazono、J.Biological Chemistry
269:16985−16988(1994);H.Nishitoh、H.
Ichij
o、M.Kimura、T.Matsumoto、F.Makishima、A
.Yamaguchi、H.Yamashita、S.Enomoto、and
K.Miyazono、J.Biological Chemistry 2
71:21345−21352(1996))。ALK−6は、ニワトリの受容
体、骨形態形成タンパク質受容体キナーゼ2(本明細書では「BRK−2」と称
する)(RPK−1とも称する)のマウス同族体である(S.Sumitomo
、T.Saito、and T.Nohno、DNA Sequence、3:
297−302(1993))。ALK−2は、ActRI、Tsk7L、また
はSKR1としても知られ(P.Ten Dijke、K.Miyazono、
and C.−H.Heldin、Current Opinion in C
ell Biology 8:139−145(1996);K.Matsuz
aki、J.Xu、F.Wang、W.L.Mckeehan、L.Krumm
en、and M.Kan、J.Biological Chemistry
268:12719−12723(1993)を参照のこと)、BMP−7を結
合するが、BMP−4またはGDF−5は結合しない(K.Matsuzaki
、J.Xu、F.Wang、W.L.Mckeehan、L.Krummen、
and M.Kan、J.Biological Chemistry 268
:12719−12723(1993);H.Nishitoh、H.Ichi
jo、M.Kimura、T.Matsumoto、F.Makishima、
A.Yamaguchi、H.Yamashita、S.Enomoto、an
d K.Miyazono、J.Biological Chemistry
271:21345−21352(1996);P.ten Dijke、H.
Yamashita、T.K.Sampath、A.H.Reddi、M.Es
tevez、D.L.Riddle、H.Ichijo、C.−H.Heldi
n、and K.Miyazono、J.Biological Chemis
try 269:16985−16988(1994))。
タイプ1受容体とは対照的に、タイプ2受容体のキナーゼドメインは互いにほ
んのわずかな関連があるだけである。タイプI受容体に見られるSGSGSGモ
チーフは、タイプII受容体には見られない。さらに、タイプI受容体の「上流
システインボックス」はタイプII受容体には存在しない。さらに、全てのアク
チビンタイプII受容体は細胞内の膜近傍領域にプロリンに富んだモチーフを含
むが、全てのタイプII受容体に共通する特徴的な配列モチーフは存在しない(
L.S.Mathews、Endocrine Reviews、15:310
−325(1994))。タイプII受容体のカルボキシ末端の長さはかなり変
化に富んでおり、知られているもっとも長いカルボキシ末端は、C.elega
nsからクローニングされた線虫のBMPタイプII受容体DAF−4中や(M
.Estevez、L.Attisano、J.L.Wrana、P.S.Al
bert、J.Massague、and D.L.Riddle,Natur
e,365:644−49(1993))、本明細書中で取り入れる、Rose
nbaumおよびNohnoによる米国特許出願第08/334,179号で記
述された、BMP−RIIとしても知られている哺乳類BMP特異的タイプII
受容体BRK−3中で見い出されている(B.L.Rosenzweig,T.
Imamura、T.Okadame、G.N.Cox、H.Yamashit
a、P.Ten Dijke、C.−H.Heldin、and K.Miya
zono、Proceedings of the National Aca
demy of Sciences、U.S.A.、92:7632−7636
(1995);T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.
Hosokawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.
Rosenbaum、J.Biological Chemistry 270
:22522−22526(1995).、F.Liu、F.Ventura、
J.Doody、and J.Massague、Molecular and
Cellular Biology、15:3479−3486(1995)
)。タイプII受容体の細胞外ドメインは、膜貫通領域の近くに位置する1個の
システインボックスを含む。システインボックスの存在を除いて、TGF−β、
アクチビンおよびBMPsのタイプII受容体の細胞外ドメイン間には、配列の
類似性はほとんどない。
TGF−βリガンドスーパーファミリーの構成員によるシグナル伝達には、同
一細胞表面上にタイプIおよびタイプII受容体の両方が存在することが必要で
ある(L.S.Mathews、Endocrine Reviews、15:
310−325(1994);L.Attisano、J.L.Wrana、F
.Lopez−Casillas、and J.Massague、Bioch
imica et Biophysica Acta、1222:71−80(
1994);P.Ten Dijke、K.Miyazono、and C.−
H.Heldin、Current Opinion in Cell Bio
logy 8:139−145(1996)、H.Yamashita、P.T
en Dijke、C.−H.Heldin、and K.Miyazono、
Bone 19:569−574(1996)、J.Massague、F.W
eis−Garcia、Cancer Surveys 27:41−64(1
996))。TGF−β受容体系およびアクチビン受容体系で示されたことと同
様に(総説(T.Brand and M.D.Shneider、Circu
lation Research 78:173−179(1996);P.T
en Dijke、K.Miyazono、and C.−H.Heldin、
Current Opinion in Cell Biology 8:13
9−145(1996)を参照のこと)、BMPsは、タイプI受容体(B.B
.Koenig et al.、Molecular and Cellula
r Biology、14:5961−5974(1994);P.ten D
ijke、H.Yamashita、T.K.Sampath、A.H.Red
di、M.Estevez、D.L.Riddle、H.Ichijo、C.−
H.Heldin、and K.Miyazono、J.Biological
Chemistry 269:16985−16988(1994))および
タイプII受容体(B.L.Rosenzweig,T.Imamura、T.
Okadome、G.N.Cox、H.Yamashita、P.Ten Di
jke、C.−H.Heldin、and K.Miyazono、Proce
edings of the National Academy of Sc
iences、U.S.A.、92:7632−7636(1995);T.N
ohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.Hosokawa、S
.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.Rosenbaum、
J.Biol
ogical Chemistry 270:22522−22526(199
5)、F.Liu、F.Ventura、J.Doody、and J.Mas
sague、Molecular and Cellular Biology
、15:3479−3486(1995);A.Letsou、K.Arora
、J.L.Wrana、K.Simin、V.Twombly、J.Jamal
、K.Staehling−Hampton、F.M.Hoffmann、W.
M.Gelbart、J.Massague、and M.B.O’Conno
r、Cell 80:899−908(1995);E.Ruberte、T.
Marty、D.Nellen、M.Affolter、and K.Basl
er、Cell 80:889−897(1995);H.Yamashita
、P.ten Dijke、D.Huylebroeck、T.K.Sampa
th、M.Andries、J.C.Smith、C.−H.Heldin、a
nd K.Miyazono、J.Cell Biology 130:217
−226(1995))から成るヘテロメリックな受容体複合体に結合し、BM
Pを介するシグナル伝達には、タイプIおよびタイプII受容体の両方の存在が
必要である(F.Liu、F.Ventura、J.Doody、and J.
Massague、Molecular and Cellular Biol
ogy、15:3479−3486(1995);B.L.Rosenzwei
g,T.Imamura、T.Okadome、G.N.Cox、H.Yama
shita、P.Ten Dijke、C.−H.Heldin、and K.
Miyazono、Proceedings of the National
Academy of Sciences、U.S.A.、92:7632−
7636(1995);E.Ruberte、T.Marty、D.Nelle
n、M.Affolter、and K.Basler、Cell 80:88
9−897(1995);H.Yamashita、P.ten Dijke、
D.Huylebroeck、T.K.Sampath、M.Andries、
J.C.Smith、C.−H.Heldin、and K.Miyazono
、J.Cell Biology 130:217−226(1995);P.
A.Hoodless、T.Haerry、S.Abdollah、M.Sta
plet
on、M.B.O’Connor、L.Attisano、and J.L.W
rana、Cell 85:489−500(1996))。
TGF−βタイプI受容体(L.Attisano、J.Carcamo、F
.Ventura、F.M.B.Weis、J.Massague、and J
.L.Wrana、Cell 75:671−680(1993);R.Ebn
er、R.−H.Chen、S.Lawler、T.Zioncheck、an
d R.Derynck、Science 262:900−902(1993
);P.Franzen、P.ten Dijke、H.Ichijo、H.Y
amashita、P.Schulz、C.−H.Heldin、and K.
Miyazono、Cell 75:681−692(1993))およびアク
チビンタイプI受容体(J.Carcamo、F.M.B.Weis、F.Ve
ntura、R.Wieser、J.L.Wrana、L.Attisano、
and J.Massague、Molecular and Cellula
r Biology 14:3810−3821(1994);R.Ebner
、R.−H.Chen、S.Lawle、T.Zioncheck、and R
.Derynck、Science 262:900−902(1993))と
異なり、BMPsのタイプI受容体は、COS細胞で発現する場合、受容体自身
でリガンドを結合することができる(J.M.Graff、R.S.Thies
、J.J.Song、A.J.Celeste、and D.A.Melton
、Cell 79:169−179(1994);B.B.Koenig et
al.、Molecular and Cellular Biology、
14:5961−5974(1994);A.Suzuki、R.S.Thie
s、N.Yamaji、J.J.Song、J.M.Wozney K.Mur
akami、and N.Ueno、Proceedings of the
National Academy of Sciences、U.S.A.9
1:10255−10259(1994);P.ten Dijke,H.Ya
mashita、T.K.Sampath、A.H.Reddi、M.Este
vez、D.L.Riddle、H.Ichijo、C.−H.Heldin、
and K.Miyazono、J.Biological Chemistr
y 269:
16985−16988(1994))が、タイプI受容体に対する結合親和力
および/または架橋効率はタイプII受容体の存在によって高まる(A.Let
sou、K.Arora、J.L.Wrana、K.Simin、V.Twom
bly、J.Jamal、K.Staehling−Hampton、F.M.
Hoffmann、W.M.Gelbart、J.Massague、and
M.B.O’Connor、Cell 80:899−908(1995);F
.Liu、F.Ventura、J.Doody、and J.Massagu
e、Molecular and Cellular Biology、15:
3479−3486(1995);T.Nohno、T.Ishikawa、T
.Saito、K.Hosokawa、S.Noji、D.H.Wolsing
、and J.S.Rosenbaum、J.Biological Chem
istry 270:22522−22526(1995);B.L.Rose
nzweig,T.Imamura、T.Okadome、G.N.Cox、H
.Yamashita、P.Ten Dijke、C.−H.Heldin、a
nd K.Miyazono、Proceedings of the Nat
ional Academy of Sciences、U.S.A.、92:
7632−7636(1995);H.Yamashita、P.ten Di
jke、D.Huylebroeck、T.K.Sampath、M.Andr
ies、J.C.Smith、C.−H.Heldin、and K.Miya
zono、J.Cell Biology 130:217−226(1995
))。さらに、TGF−β受容体系およびアクチビン受容体系とは対照的に、哺
乳類BMPタイプII受容体BRK−3へのBMP−2またはBMP−4の架橋
は、タイプI受容体がない場合には検出されず、タイプII受容体のみをトラン
スフェクションした細胞では、極めて低レベルの結合だけが全細胞レベルで検出
される(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.Hos
okawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.Ros
enbaum、J.Biological Chemistry 270:22
522−22526(1995))。同時に、これらのデータは、BMPsは単
独でいずれのサブユニットにも結合することができるであろう一方、適切なヘテ
ロメ
リック受容体複合体が形成された場合にのみ高親和性の結合およびシグナル伝達
が得られることを意味しており、種々のタイプII受容体細胞質内ドメインの配
列の違いは、異なるタイプI:タイプII受容体サブユニットの組み合わせにリ
ガンドが結合することにより独特のシグナル伝達受容体複合体が形成されること
を示唆している。したがって、高親和性BMP受容体複合体との相互作用を介し
て作用する新規の細胞分化薬剤の同定用スクリーニングアッセイにおいてこれら
の受容体複合体を用いる場合には、既に同定されたタイプI受容体およびタイプ
II受容体複合体に加えて、高親和性の哺乳類タイプI:タイプIIBMP受容
体複合体を同定する必要がある。
我々は今までに、本明細書中に引用により取り入れるRosenbaumによ
る米国特許出願第08/462,467号で記述されている通り、BMPタイプ
I受容体とシグナル伝達複合体を形成することのできるタイプIIBMP受容体
キナーゼタンパク質BRK−3の使用について報告し、かつ我々は、BRK−2
タイプI受容体はBRK−3と高親和性の複合体を形成するが、タイプI受容体
がBRK−1の場合には複合体を形成しないことも既に報告した(T.Nohn
o、T.Ishikawa、T.Saito、K.Hosokawa、S.No
ji、D.H.Wolsing、and J.S.Rosenbaum、J.B
iological Chemistry 270:22522−22526(
1995))。このことは、BRK−3以外のタイプII受容体がBMP−2お
よびBMP−4リガンドに反応してBRK−1と複合体を形成している、別の哺
乳動物高親和性BMP受容体複合体が存在することを示唆する。ショウジョウバ
エ Drosophila melanogasterでは、25D/Tkv座
の産物は、哺乳類BRK−1およびBRK−2のショウジョウバエ同族体で、哺
乳類BMP−2と同様に、BMP−2およびBMP−4のショウジョウバエ同族
体、decapentaplegic(Dpp)遺伝子の産物を結合することが
できる(H.Okano、S.Yoshikawa、A.Suzuki、N.U
eno、M.Kaizu、M.Okabe、T.Takahashi、M.Ma
tsumoto、K.Sawamoto、and K.Mikoshiba、G
ene 148:203−209(1994);A.Pelton、Y.Ch
en、K.Staehling−Hampton、J.L.Wrana、L.A
ttisano、J.Szidonya、J.A.Cassill、J.Mas
sague、and F.M.Hoffmann、Cell 78:239−2
50(1994))。最初はアクチビンタイプII/タイプIIB受容体同族体
として同定された(S.R.Childs、J.L.Wrana、K.Aror
a、L.Attisano、M.B.O’Connor、and J.Mass
ague、Proceedings of the National Acc
ademy of Sciences、U.S.A.,90:9475−947
9(1993))Drosophila punt遺伝子産物は、Dppがシグ
ナル伝達するためにTkv受容体と協同することが必要であり、このことはTk
vとPuntはDppリガンド存在下でシグナル伝達受容体複合体を形成するこ
とを意味している(D.Nellen、R.Burke、G.Struhl、a
nd K.Basler、Cell 85:357−368(1996);E.
Ruberte、T.Marty、D.Nellen、M.Affolter、
and K.Basler、Cell 80:889−897(1995);A
.Letsou、K.Arora、J.L.Wrana、K.Simin、V.
Twombly、J.Jamal、K.Staehling−Hampton、
F.M.Hoffmann、W.M.Gelbart、J.Massague、
and M.B.O’Connor、Cell 80:899−908(199
5))。哺乳類のアクチビンタイプII受容体は、高い親和性でBMP−7を結
合し、ALK−2またはBRK−2タイプI受容体と協同してシグナル伝達する
ことが報告されたが、BRK−1がタイプI受容体である場合にはシグナルは発
生しないので、哺乳類ActRIIおよびBRK−1はシグナル伝達受容体複合
体を形成しないことが示唆される(H.Yamashit、P.ten Dij
ke、D.Huylebroeck、T.K.Sampath、M.Andri
es、J.C.Smith、C.−H.Heldin、and K.Miyaz
ono、J.Cell Biology 130:217−226(1995)
)。
ActRIIB受容体には、スプライシングによる4個の異なる変異体、Ac
tRIIB1、ActRIIB2、ActRIIB3、およびActRIIB4が存
在し、いずれもアクチビンリガンドを結合することができる(L.Attisa
no、J.L.Wrana、S.Cheifetz、and J.Massag
ue、Cell 68:97−108(1992))。我々は本明細書で、この
タイプII受容体がBMP−2およびBMP−4リガンドを結合してBMP−4
またはBMP−2リガンド存在下でBMPタイプI受容体BRK−1およびBR
K−2と複合体を形成するためには、ActRIIB1およびActRIIB2の
細胞外の膜近傍領域にのみ存在する8個のアミノ酸が絶対に必要であることを示
す。さらに我々は、BRK−1+ActRIIB2複合体は、BRK−1タイプ
I受容体のみよりも高い親和力でBMP−4リガンドを結合することを示すが、
BRK−2+BRK−3BMP受容体複合体で観察されるのと同様に、BRK−
1+ActRIIB2複合体がBMP−4に対して高親和性複合体であることを
示しており(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.H
osokawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.R
osenbaum、J.Biological Chemistry 270:
22522−22526(1995))、したがってBRK−1+ActRII
B2複合体は異なる高親和性BMP受容体複合体であることを示している。最後
に、我々は以下に詳述した通りに、BRK−1+ACtRIIB2複合体が、B
MPsへの反応をシグナル伝達する能力を有することを示す。したがって、Ac
tRIIB2およびActRIIB1を、哺乳類BMPタイプI受容体と協同して
BMPタイプII受容体として用いて、このBMP受容体複合体と相互作用する
新規化合物を同定し、これらの新規化合物がヒトや他の哺乳類において治療薬と
して有用なBMP受容体アゴニストまたはアンタゴニストとなるかどうかを決定
することができる。
本発明の目的
本発明の目的は、BMP受容体キナーゼタンパク質複合体と結合することので
きる化合物を同定する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、試料中のBMP受容体キナーゼタンパク質複合体を結合
することができる化合物の量を測定する方法を提供することである。
本発明の目的はさらに、前記BMP受容体キナーゼタンパク質複合体を含む、
BMPタイプII受容体キナーゼタンパク質をコードする組換え発現ベクターと
BMPタイプI受容体キナーゼタンパク質をコードする組換え発現ベクターとを
含む、宿主細胞を提供することである。
本発明目的はさらに、試験化合物が、BMP受容体タンパク質複合体への結合
においてシグナルを発生するかどうかを測定する方法を提供することである。
概要
本発明は、化合物がBMP受容体キナーゼタンパク質複合体に結合することが
できるか否かを測定する方法に関するものであり、この方法には、BMP受容体
キナーゼタンパク質複合体に化合物を含む試料を導入し、この化合物をBMP受
容体キナーゼタンパク質複合体に結合させることが含まれる。ここで、このBM
P受容体キナーゼタンパク質複合体は、BMPタイプI受容体キナーゼタンパク
質と、ActRIIB1またはActRIIB2の特徴である膜近傍領域の8個の
アミノ酸を含むBMP/アクチビンタイプII受容体キナーゼタンパク質とから
成る。
本発明はさらに、臨床試料中のBMP受容体リガンドの濃度を測定する方法に
関するものであり、この方法には、BMP受容体キナーゼタンパク質複合体にリ
ガンドを含む試料を導入し、リガンドをBMP受容体キナーゼタンパク質複合体
に結合させることを含まれる。ここで、このBMP受容体キナーゼタンパク質複
合体は、BMPタイプI受容体キナーゼタンパク質と、BMP/アクチビンタイ
プII受容体キナーゼタンパク質、ActRIIB1またはActRIIB2とか
ら成る。
本発明はさらに、BMP/アクチビンタイプII受容体キナーゼタンパク質A
ctRIIB2をコードするDNA配列を含む発現ベクターと、BMPタイプI
受容体キナーゼタンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターとを、同
時トランスフェクションした宿主細胞に関するものである。
本発明はさらに、可溶性BMPタイプI受容体キナーゼタンパク質と可溶性B
MP/アクチビンタイプII受容体キナーゼタンパク質ActRIIB2とをコ
ードするDNA配列を含む発現ベクターを同時トランスフェクションした宿主細
胞に関するものである。
本発明はさらに、試験化合物が、BMP受容体タンパク質複合体への結合にお
いてシグナルを発生するかを測定する方法に関するものであり、この方法には、
(a)β−ガラクトシダーゼ遺伝子とともに3TP−Luxルシフェラーゼレポ
ーター遺伝子(J.L.Wrana,L.Attisano,J.Carcam
o,A.Zentella,J.Doody,M.Laiho,X.−F.Wa
ng,and J.Massague,Cell 71:1003−1014(
1992))をBMP受容体タンパク質複合体発現細胞にトランスフェクション
する工程(ここで、この細胞は、BMP受容体キナーゼタンパク質ActRII
B1またはActRIIB2をコードするDNA配列と、BMPタイプI受容体キ
ナーゼタンパク質をコードするDNA配列とで、トランスフェクションされてい
る);(b)(i)試験化合物の存在下で第1組の細胞を培養し、(ii)試験
化合物の非存在下で第2組の細胞を培養する工程;(c)工程(b)で生成した
レポーター構築の刺激により得られるルシフェラーゼ酵素の活性化により生成し
たルシフェラーゼ活性レベルを任意の光単位により定量する工程;および(d)
工程(c)で定量された第1組の細胞由来の任意の光単位の量を、工程(c)で
定量された第2組の細胞由来の任意の光単位の量と比較する工程が含まれる。
発明の詳細な説明
本発明は、化合物がBMP受容体に対して親和性があるかどうかを測定する方
法の必要性に応えるものである。該方法には、試験化合物を含む試料をBMP受
容体キナーゼタンパク質複合体に導入し、その化合物をBMP受容体キナーゼタ
ンパク質複合体に結合させることが含まれる。ここで、この受容体複合体は、B
MPタイプI受容体キナーゼタンパク質と、本明細書中で「ActRIIB2」
と称するタンパク質の特徴である特異的な(anspecific)8個のアミノ酸の膜近傍
領域を有する、ActRIIBと一般的に称するBMP/アクチビンタイプI
I受容体キナーゼタンパク質とを含む。本発明はさらに、BMP/アクチビンタ
イプII受容体キナーゼタンパク質ActRIIB2をコードするDNA配列を
含む発現ベクターと、BMPタイプI受容体キナーゼタンパク質をコードするD
NA配列を含む発現ベクターとを、同時トランスフェクションした宿主細胞の必
要性に応えるものである。さらに、臨床試料中のBMP受容体リガンドの濃度を
測定する方法を提供し、該方法には、リガンドを含む試料をBMP受容体キナー
ゼタンパク質複合体に導入し、リガンドを受容体複合体に結合させることが含ま
れるが、この場合、この受容体複合体は、BMPタイプI受容体キナーゼタンパ
ク質と、BMP受容体キナーゼタンパク質ActRIIB2とから成る。本発明
はさらに、可溶性BMP/アクチビンタイプII受容体キナーゼタンパク質Ac
tRIIB2をコードするDNA配列を含む発現ベクターと、可溶性BMPタイ
プI受容体キナーゼタンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターとを
、同時トランスフェクションした宿主細胞の必要性に応えるものである。
本明細書中で用いる「マウスActRIIB2」は、アミノ酸配列番号4を有
するタンパク質、および配列番号4に実質的に類似するアミノ酸配列を有するタ
ンパク質を意味しており、これらのタンパク質は、BMP分子(BMP−2、B
MP−4、および/またはBMP−7が含まれるが、これらに限定しない)に結
合すること、またはBMP分子が細胞に結合することによって開始される生物学
的シグナルを変換すること、またはActRIIB2タンパク質もしくはAct
RIIB2のタンパク質配列由来のペプチドに対して生じた抗体と交差反応する
こと、またはBMPタイプI受容体との複合体形成、またはActRIIB2も
しくはBMPタイプI受容体のいずれかに特異的な抗体を使用した場合における
BMPタイプI受容体と同時免疫沈降すること(co−immunopreci
pitating)が可能であるという生物学的活性を有する。
本明細書中で用いる「マウスBMP受容体キナーゼタンパク質」または「m−
BRK−3」は、アミノ酸配列番号12またはその配列と実質的に類似する配列
を有するタンパク質を意味する。さらにこの定義には、BMP分子(BMP−2
、BMP−4、および/またはBMP−7が含まれるが、これらに限定しない)
に結合すること、またはBMP分子が細胞に結合することによって開始される生
物
学的シグナルを変換すること、またはActRIIB2タンパク質もしくはAc
tRIIB2のタンパク質配列由来のペプチドに対して生じた抗体と交差反応す
ること、またはBMPタイプI受容体との複合体形成、またはActRIIB2
もしくはBMPタイプI受容体のいずれかに特異的な抗体を使用した場合におけ
るBMPタイプI受容体と同時免疫沈降することが可能であるという生物学的活
性を有する、同種のタンパク質が含まれる。
本明細書中で用いる「BMP受容体キナーゼタンパク質BRK−3」または「
BRK−3」は、受容体タンパク質h−BRK−3(配列番号10)およびm−
BRK−3(ならびにこれらいずれもの可溶性フラグメントもしくは不完全なフ
ラグメント)のことを、個々に、かつ総称して意味するものである。さらにこの
定義には、BMP分子(BMP−2、BMP−4、および/またはBMP−7が
含まれるが、これらに限定しない)に結合すること、またはBMP分子が細胞に
結合することによって開始される生物学的シグナルを変換すること、またはAc
tRIIB2タンパク質もしくはActRIIB2のタンパク質配列由来のペプチ
ドに対して生じた抗体と交差反応すること、またはBMPタイプI受容体との複
合体形成、またはActRIIB2もしくはBMPタイプI受容体のいずれかに
特異的な抗体を使用した場合におけるBMPタイプI受容体と同時免疫沈降する
ことが可能であるという生物学的活性を有する、同種のタンパク質が含まれる。
さらに、h−BRK−3およびm−BRK−3(および上記の可溶性フラグメン
トもしくは不完全なフラグメント)に実質的に類似するBMP受容体キナーゼタ
ンパク質も含まれる。このような受容体タンパク質、これらのタンパク質をコー
ドするDNA配列、および上記DNAを含む発現ベクターは、Rosenbau
mにより米国特許出願第08/462,467号に記述され権利主張がなされて
おり、この内容を引用により本明細書中に取り入れる。
本明細書中で用いる「BMPタイプI受容体キナーゼ」は、BMP−2、BM
P−4、および/またはその他の既知のBMPsを結合することができるタンパ
ク質であり、システインボックスおよび上流システインボックスを含む細胞外リ
ガンド結合ドメイン、細胞内の膜近傍領域にあるGSドメインと呼ばれるSGS
GSGモチーフ、TGF−βスパーファミリー中の他のリガンドに対する他のタ
イプI受容体と約85%より高い類似性を有する細胞内キナーゼドメイン、およ
び/または比較的短いカルボキシ末端を含むがこれらに限定されない、タイプI
受容体の配列の特徴を有する。さらに、本明細書中で用いる「BMPタイプI受
容体キナーゼ」には、B.B.Koenig et al.、Molecula
r and Cellular Biology、14:5961−5974(
1994);L.Attisano、et.al.、Biochimica e
t Biophysica Acta、1222:71−80(1994);J
.Massague、L.Attisano、and J.L.Wrana、T
rends in Cell Biology、4:172−178(1994
);およびten Dijke、et.al.、J.Biological C
hemistry、269:16985−16988(1994)などの文献で
記述されている、BMPタイプI受容体の特徴を有する受容体タンパク質も含ま
れる。
BMPタイプI受容体の例として、BRK−1(B.B.Koenig et
al.、Molecular and Cellular Biology、
14:5961−5974(1994))、そのラット同族体であるBMPR−
Ia(K.Takada、S.Oida、H.Ichijo、T.Iimura
、Y.Maruoka、T.Amagasa、and S.Sasaki、Bi
ochem.Biophys.Res.Communica.、204:203
−209(1994));PRK−1とも称され(S.Sumitomo、T.
Saito、and T.Nohno、DNA Sequence、3:297
−302(1993))、ALK−6のニワトリ同族体であると主張される(P
.ten Dijke、H.Yamashita、H.Ichijo、P.Fr
anzen、M.Laiho、K.Miyazono、and C.−H.He
ldin、Science、264:101−104(1994))BRK−2
;BMP−7の受容体であることが示されたALK−2(ten Dijke
et.al.、J.Biological Chemistry、269:16
985−16988(1994));BMP−2およびBMP−4を結合し、中
胚葉誘導と関連のあるツメガエル(Xenopus)BMPタイプI受容体(J
.
M.Graff、R.S.Thies、J.J.Song、A.J.Celes
te、and D.A.Melton、Cell、79:169−179(19
94));およびBMP−2およびBMP−4のショウジョウバエ(Droso
phila)同族体であるデカペンタ麻酔性(decapentaplegic
)ペプチドを結合するショウジョウバエ由来のタイプI受容体が含まれるが、こ
れらに限定されるものではない。これらのショウジョウバエ受容体は、25D1
、25D2、および43Eと呼ばれる(T.Xie、A.L.Finelli、
and R.W.Padgett、Science、263:1756−175
9(1994);A.Penton、Y.Chen、K.Staehling−
Hampton、J.L.Wrana、L.Attisono、J.Szido
nya、J.A.Cassill、J.Massugue、and F.M.H
offmann、Cell、78:239−250(1994);and T.
J.Brummel、V.Twombly、G.Marqes、J.L.Wra
na、S.J.Newfield、L.Attisano、J.Massagu
e、M.B.O’Connor、and W.M.Gelbart、Cell、
78:251−261(1994))。本発明に有用な好ましいBMPタイプI
受容体には、配列番号14(BRK−1)、配列番号16(BRK−2)に実質
的に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが、これらに限定さ
れるものではない。
本明細書中で用いる「可溶性フラグメント」は、BRK−1、BRK−2また
はActRIIB、好ましくはActRIIB1またはActRIIB2の細胞外
領域に相当するアミノ酸配列を意味し、BMPsを結合することができる。可溶
性フラグメントには、予測される膜貫通領域の始点より前にある、受容体タンパ
ク質の完全な細胞外ドメインが含まれる。
このようなActRIIB2の可溶性フラグメントの例には、1〜134個の
アミノ酸からなるアミノ酸配列を持つ配列番号4に実質的に類似するポリペプチ
ドを含む。このようなActRIIB2の可溶性フラグメントの例としては、配
列番号4と実質的に同等で1〜134個のアミノ酸の存在するアミノ酸配列を有
するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの例
から、相同性によってこれらの例の必須領域と非必須領域を決定することができ
ることがわかる。
BRK−1の可溶性フラグメントの例には、配列番号14中の1〜153のア
ミノ酸残基に実質的に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
BRK−2の可溶性フラグメントの例には、配列番号16中の1〜126のア
ミノ酸残基に実質的に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
本明細書中で用いる「不完全な受容体キナーゼフラグメント」は、BRK−1
、BRK−2、またはActRIIB、好ましくはActRIIB1もしくはA
ctRIIB2の細胞外領域、膜貫通領域、および細胞内の膜近傍領域に相当す
るアミノ酸配列を意味し、完全長の受容体と類似する方法でBMPsを結合する
ことができるが、細胞内キナーゼドメイン(さもなければ、優性陰性受容体構築
体(dominant negative receptor constru
ct)として知られる)の欠失によってシグナル伝達を行うことができない。
このようなActRIIB2の不完全な受容体フラグメントの例には、配列番
号4に実質的に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチド(1〜161のアミ
ノ酸が存在し、162〜191のアミノ酸が任意選択で存在するポリペプチド)
、配列番号2に実質的に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチド(1〜16
1のアミノ酸が存在し、162〜215のアミノ酸が任意選択で存在するポリペ
プチド)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
BRK−1の不完全な受容体フラグメントの例には、配列番号14に実質的に
類似するアミノ酸配列を有するポリペプチド(1〜177のアミノ酸が存在し、
178〜229のアミノ酸が任意選択で存在するポリペプチド)が含まれるが、
これらに限定されるものではない。
BRK−2の不完全な受容体フラグメントの例には、配列番号16に実質的に
類似するアミノ酸を有するポリペプチド(1〜149のアミノ酸が存在し、15
0〜199のアミノ酸が任意選択で存在するポリペプチド)が含まれるが、これ
らに限定されるものではない。
本明細書中で用いる「BMP受容体キナーゼタンパク質複合体」は、BMPタ
イプI受容体とBMP受容体キナーゼタンパク質ActRIIB2が組み合わさ
れたものである。タイプIおよびActRIIB2受容体の組み合わせには、溶
液中でのタイプIおよびActRIIB2受容体(例えば可溶性フラグメントと
して)の組み合わせ;固相支持体に結合された受容体(例えば可溶性フラグメン
トとして)の組み合わせ;トランスフェクションした細胞の細胞膜内における受
容体(例えば完全長フラグメントまたは不完全なフラグメントとして)の組み合
わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
アミノ酸配列または核酸配列のいずれかを定義するのに用いられる場合の本明
細書中で用いる「実質的に類似する」とは、特定の対象配列、例えば突然変異誘
起によって変化した配列が、1つまたは複数の置換、欠失、または付加により対
照の配列とは異なっているが、その正味の効果はActRIIB2タンパク質の
生物学的活性を保持していることを意味する。あるいは、遺伝子暗号の縮重の結
果、DNA配列が対照のアミノ酸配列に実質的に類似するアミノ酸をコードして
いるならば、その核酸配列およびアナログは本明細書中で開示された特異的なD
NA配列に「実質的に類似」するものである。さらに、「実質的に類似する」と
は、受容体タンパク質が、ActRIIB2タンパク質またはActRIIB2の
タンパク質配列由来のペプチドに対して作製された抗体と反応する受容体タンパ
ク質を意味する。
「同族体」とは、類似する機能を維持し、配列リストに列挙されているタンパ
ク質と実質的に同じであるアミノ酸鎖を有するタンパク質である。しかしながら
、構造または機能を変化させない影響のない置換、例えばロイシンがイソロイシ
ンになる疎水性アミノ酸から他の疎水性アミノ酸への置換、またはグルタミン酸
がアスパラギン酸になる酸性アミノ酸から他の酸性アミノ酸への置換は鎖内に生
じていてもよい。このようなタンパク質には、当該技術分野で理解されているよ
うに、少なくとも90%の相同性を有するすべてのタンパク質が含まれ、欠失お
よび/または挿入またはそのフラグメントを有してもよい。例えば、DNA配列
またはcDNA配列から得られるペプチド配列に基づくとヒトタンパク質と95
%の相同性を有するラットタンパク質、および同様にして得られる、同じ機能と
類
似した相同性を有するウシタンパク質は、いずれも同族体と考えられる。このよ
うに他の生物からクローニングされた相同のcDNAにより、相同のタンパク質
が得られる。
同様に、タンパク質は、アミノ酸配列のみに基づいて相同であるとみなしても
よい。アミノ酸配列決定は実際的な限界により、例えばタンパク質の最初の50
個のアミノ酸を比較するによって、タンパク質が他のタンパク質と相同であるこ
とを決定するであろう。したがって、相同タンパク質の最初の50アミノ酸の鎖
中に5個の異なるアミノ酸がある場合は、90%の相同性であるとされる。
さらに、ある種のタンパク質は、機能に重要で進化上保存された領域を有する
ことが知られている。このような領域は、タンパク質相同性を与えうる。したが
って、「同族体」という用語は、機能または構造の点から定義することができる
。この進化上の保存の証拠は、複合体を形成するタンパク質群に見られる。例え
ば、TGF−βスパーファミリーの構成員のタイプII受容体がある。COS細
胞で発現すると、このヒトタイプII受容体は、BMP−4存在下でマウスBR
K−1またはニワトリBRK−2タイプII受容体のいずれとも異なるヘテロメ
リックな複合体を形成することができる。今までに、マウスおよびヒトBMPタ
イプI受容体は、線虫のDAF−4タイプII受容体と複合体を形成すること(
Koenig、B.B.、Cook、J.S.、Wolsing、D.H.、T
ing、J.、Tiesman、J.P.、Correa、P.E.、Olso
n、C.A.、Pecquet、A.L.、Ventura.F.、Grant
、R.A.、Chen、G.−X.、Wrana、J.、L.Massague
、J.、and Rosenbaum、J.S.、Mol.Cell.Biol
.、Vol.14,pp.5961−5974(1994);およびten D
ijke,P.、Yamashita、H.、Sampath、T.K.、Re
ddi、A.H.、Estevez、M.、Riddle、D.L.、Ichi
jo、H.、Heldin、C.−H.、and Miyazono、K.、J
.Biol.Chem.、Vol.269,pp.16985−16988(1
994)を参照のこと)、マウスBMPタイプI受容体BMPR−IA/TFR
II/BRK−1の優性陰性受容体構築体は、ツメガエル(Xenopu
s)胚の腹面の割球中で発現された場合、背面−腹面のパターン形成(patt
ering)を変化させること(Suzuki,A.、Thies、R.S.、
Yamaji、N.、Song、J.J.、Worzney、J.M.、Mur
akami.、K.、and Ueno、N.、Proc.Natl.Acad
.Sci.U.S.A.、Vol.91,pp.10255−10259(19
94)を参照のこと)、ニワトリBMPに関連があるリガンドであるドルサリン
−1(dorsalin−1)は、マウス骨髄間質細胞中でアルカリフォスファ
ターゼ活性を誘導すること(Basler、K.、Edlund、T.、Jes
sell、T.M.、and Yamada.T.Cell、Vol.73、p
p.687−702(1993)を参照のこと)、およびショウジョウバエ(D
rosophila)BMP−2およびBMP−7同族体であるDppおよび6
0Aはラットにおいて異所性骨形成を誘導すること(Sampath、T.K.
、Rashka、K.E.、Doctor、J.S.、Tucker、R.F.
、and Hoffmann、F.M.、Proc.Natl.Acad.Sc
i.U.S.A.、Vol.90,pp.6004−6008(1993)を参
照のこと)が示されている。このファミリーのタンパク質の間の配列の保存の程
度が高いならば、本明細書中で前述した、タイプI−タイプII受容体複合体の
異なる結合特性(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K
.Hosokawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S
.Rosenbaum、J.Biological Chemistry 27
0:22522−22526(1995))が観察されたことは、タイプI受容
体の種差によるものであることは考えにくく、むしろ個々のタイプI:タイプI
I受容体複合体の独特の性質によるものである。これらの相同なタンパク質は、
線虫類、ニワトリ、カエル、または哺乳類に由来するものであろろうと、すべて
本発明中に企図している。単に対立したまたは異種間の変化は、そのような変化
を区別するのに充分なほど重要でないと思われる。いずれの理論にも拘泥しない
ならば、下記の異なる結合特性は、リガンド結合の際の受容体複合体の異なるシ
グナル伝達能力をもっともよく反映しているようである(Carcamo、J.
、Weis、F.M.B.、Ventura、F.、Wieser、R.、wr
ana、
J.L.、Attisano、L.、and Massague、J.、Mol
.Cell.Biol.、Vol.14,pp.3810−3821(1994
)を参照のこと)。
当業者ならば、遺伝子暗号の縮重によって、異なるDNA配列から同じ転写物
、したがって同じペプチドが生成することを理解しているであろう。同じペプチ
ドをコードするが、基となるDNAとは異なるDNA配列を調製するある種の場
合には、
−−−シークエンスまたは合成を容易にすること、
−−−タンパク質の発現を増加させること、および
−−−ある種の異種宿主はある種のコドンを他よりも好むこと
を考慮に入れる。
これらの実際的な考察は周知であり、本発明の使用者に有益となる実施態様を
提供する。したがって、基となるDNA、または本明細書中の配列番号リストに
列挙されたDNA,または引用により取り入れるDNAは、本発明における唯一
の実施形態または意図するDNAではないことが明らかに企図されているもので
ある。
本明細書中で用いる「生物学的活性」とは、特定の分子が、本明細書中で開示
された本発明の実施態様に対して充分なアミノ酸配列類似性を有し、検出可能な
量のBMP−2もしくはBMP−4を結合すること、または例えばハイブリッド
受容体構築体の成分としてBMP−2もしくはBMP−4の刺激を細胞に伝達す
るができることを意味している。好ましくは、本発明の範囲に属する生物学的に
活性なBMPタイプI受容体:ActRIIB2受容体複合体は、ナノモルまた
はナノモルより小さいの親和力(Kdは約10-9Mに等しい)で[125I]−BM
P−4を結合することができる受容体タンパク質キナーゼ複合体を意味する。そ
の親和力は約1×10-10Mから1×10-9Mであって、結合部位では10-9M
より低いKdを示すことと比例することが好ましい。
本明細書中で用いる「シグナル」または「シグナル伝達」とは、小さな分子や
ペプチドなどを含む分子の結合に関係することが好ましいある細胞外刺激によっ
て生じる生物学的反応を意味し、この生物学的反応は機器の感度が十分で正確な
パラメーターが測定されるならば検出可能である。シグナル伝達の例としては、
酵素のアゴニズムまたはアンタゴニズムや、生化学的カスケードの誘発または阻
害などがある。
本明細書中で用いる「操作可能に結合した」とは、直鎖DNA配列の部分が、
同じ直鎖DNA配列の他の部分の活性に影響を与えることができる状態をいう。
例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAがポリペプチドに関するD
NAに操作可能に結合されているのは、該シグナルペプチドのDNAが該ポリペ
プチドの分泌に関与する前駆体として発現する場合であり;プロモーターがコー
ド配列に操作可能に結合されているのは、該プロモーターが該コード配列の転写
を制御する場合であり;またはリボソーム結合部位がコード配列に操作可能に結
合されているのは、該リボソーム結合部位が翻訳を可能とするように位置してい
る場合である。一般に、操作可能に結合されるとは、近接していることを意味し
、分泌リーダーの場合にはリーディングフレーム中で近接していることを意味す
る。当業者ならば、DNAを細胞にトランスフェクションするにせよ位置指定突
然変異を行うにせよDNAの特定の使用またはその他の使用次第で、DNA配列
がどのように用いられるかが決まったり、DNA配列がどのように操作可能に結
合されるかが決まったりすることは、理解しているだろう。このことは、当業者
の決定能力範囲内である。
本明細書中で用いる「ATCC]は、米国メリーランド州ロックビルのアメリ
カンタイプカルチャーコレクション(American Type Cultu
re Collection)を意味する。
本明細書中で用いる「骨形態形成タンパク質2」または「BMP−2」は、A
TCC No.40345に含まれるDNA配列によってコードされるペプチド
を意味する(ATCC/NIH REPOSITORY CATALOGUEO
F HUMAN AND MOUSE DNA PROBES AND LIB
RARIES、6版、1992、57ページを参照のこと。以下「ATCC/N
IH レポジトリカタログ」とする)。BMP−2の単離は、Wang、Woz
neyおよびRosenによる米国特許第5,013,649号(1991年5
月7日発行)、Wang、Worzney、およびRosenによる米国特許
第5,166,058号(1992年11月24日発行)、およびHammon
dsおよびMasonによる米国特許第5,168,050号(1992年12
月1日発行)に開示されており、それぞれ内容を引用することにより本明細書中
に取り入れる。
本明細書中で用いる「骨形態形成タンパク質4」または「BMP−4」は、A
TCC No.40342(ATCC/NIH レポジトリカタログを参照のこ
と)に含まれるDNA配列によってコードされるペプチドを意味する。BMP−
4の単離は、Wang、WozneyおよびRosenによる米国特許第5,0
13,649号(1991年5月7日発行)に開示されており、その内容を引用
することにより本明細書中に取り入れる。
本明細書中で用いる「骨形態形成タンパク質7」または「BMP−7」は、A
TCC No.68020およびATT 68182(ATCC/NIH レポ
ジトリカタログを参照のこと)に含まれるDNA配列によってコードされるペプ
チドを意味し、ATCC 68182の中のcDNAはBMP−7タンパク質を
コードするのに必要な核酸配列の全てを含むものとして権利主張がなされている
。BMP−7の単離は、Rosen、et.al.による米国特許第5,141
,905号(1992年8月25日発行)に開示されており、その内容を引用す
ることにより本明細書中に取り入れる。
本明細書中で用いる「DNA配列」は、分離したフラグメントの形態のDNA
ポリマー、またはより大きなDNA構築物の構成要素としてのDNAポリマーで
あって、実質的に純粋な形態で、すなわち内因性物質を不純とせず、該配列およ
びその構成核酸配列を同定し、操作し、および回収することを可能とする量また
は濃度で、標準的な生化学的方法により、例えばクローニングベクターを用いて
、少なくとも一度は単離されたDNAに由来するものを意味する。このような配
列は、真核細胞の遺伝子に一般的に存在する内部非翻訳配列(イントロン)によ
って中断されていないオープン−ディングフレームの形態で提供されることが好
ましい。関連する配列を含むゲノムDNAも用いることができる。非翻訳DNA
の配列は、オープン−ディングフレームから5’または3’側に存在することが
でき、コード領域の操作または発現を妨害しない場所にある。本発明によって提
供
されるタンパク質をコードするDNA配列は、cDNAフラグメントと短いオリ
ゴヌクレオチドリンカーとから、または一連のオリゴヌクレオチドから組み立て
て、組換え転写ユニットにおいて発現することができる合成遺伝子を提供するこ
とができる。
本明細書中で用いる「組換え」とは、タンパク質が、インビトロで操作されて
宿主生物に導入されるDNA配列に由来することを意味する。このような生物は
、本来タンパク質を生産してもよいし、初めからタンパク質を生産する機構が欠
けていてもよい。宿主生物は、通常の状態でタンパク質を生産しないことが好ま
しく、したがって「異種の(heterologous)宿主」であることが好
ましい。
組換えタンパク質は、細菌、真菌(例えば酵母)、または昆虫の発現系によっ
て作られる。
本明細書中で用いる「組換え体発現ベクター」は、所望のタンパク質(例えば
、ActRIIB2)をコードするDNAを発現するために使用されるDNA構
築物であって、1)プロモーターおよび/またはエンハンサーなど、遺伝子発現
で調節の役割を有する遺伝子要素、2)mRNAに転写され、そしてタンパク質
に翻訳される、構造配列またはコード配列、ならびに3)適当な転写および翻訳
の開始配列および終止配列の集合体を含む転写サブユニットを含むDNA構築物
を意味する。当技術分野で周知の方法を用いて、本発明の組換え発現ベクターを
構築することができる。本発明において適用可能なベクターには、哺乳類動物の
細胞については、pJT4またはpJT6(後述する)、pcDNA−1(In
vitrogen社、カルフォルニア州サンディエゴ)およびpSV−SPOR
T1(Gibco−BRL社、メリーランド州Gaithersburg);昆
虫の細胞については、pBlueBac IIIまたはpBlueBacHis
バキュロウイルスベクター(Invitrogen社、カルフォルニア州サンデ
ィエゴ);および細菌細胞については、(Novagen社、ウィスコンシン州
マディソン)が含まれるが、これらには限られない。本発明のActRIIB2
タンパク質受容体キナーゼをコードするDNA配列は、調節要素に操作可能に結
合したベクター中に存在することができる。
本発明は、BMP受容体キナーゼタンパク質ActRIIB2をコードするD
NA配列を含む発現ベクターと、BMPタイプI受容体キナーゼタンパク質をコ
ードするDNA配列を含む発現ベクターとを、同時トランスフェクションした宿
主細胞に関するものである。1つの実施形態において、マウスActRIIB2
タンパク質の発現ベクターは、マウスActRIIB2受容体タンパク質をコー
ドするDNA配列、またはその可溶性フラグメントもしくは不完全なフラグメン
トを含む(DNAは、ゲノムDNAまたはcDNAであることができる)。マウ
スActRIIB2タンパク質は、核酸配列の配列番号3によってコードされる
ことが好ましい。
本発明の好ましい実施形態において、本発明の宿主細胞には、プラスミド構築
物pJT6−mActRIIB2およびプラスミド構築物pJT4−J159F
(BRK−1用)またはプラスミド構築物pJT3−BRK−2(BRK−2用
)を同時トランスフェクションするので、それぞれmActRIIB2とBRK
−1、またはmActRIIB2とBRK−2の同時発現がおこる。組換え分子
によるトランスフェクションは、当技術分野での周知方法を用いて行うことがで
きる。
本明細書中で用いる「宿主細胞」とは、本明細書中に記載された組換え発現ベ
クターを含む細胞を意味する。宿主細胞を、組換え発現プラスミド内で安定的に
トランスフェクションさせてもよいし一過性トランスフェクションさせてもよく
、あるいは組換えウイルスベクターによって感染させてもよい。宿主細胞には、
大腸菌、酵母(Saccharomyces cerevisiae)などの真
菌系、Sf−9やSf−21などの昆虫由来の永久細胞系、およびチャイニーズ
ハムスター卵巣細胞(CHO)やSV40によって形質転換されたアフリカミド
リザル腎臓細胞(COS)などの永久的哺乳類細胞系が含まれるが、これらに限
定されない。
1つの実施形態において、本発明は、BMP受容体キナーゼタンパク質に結合
することのできる化合物を同定するのに有用な方法に関するものである。別の実
施形態において、本発明は臨床試料中のBMP受容体リガンド(例、BMP−2
、BMP−4、またはBMP−7、または今までに既に同定された別のBMP受
容
体リガンド)の濃度を測定するのに有用な方法に関するものである。これらのい
ずれの方法においても、推定リガンドまたは既知リガンドを含む試料をBMP受
容体キナーゼタンパク質複合体に引き合わせる。この場合、該受容体複合体は、
BMPタイプI受容体キナーゼタンパク質とBMP受容体キナーゼタンパク質A
ctRIIB2とから成る。ActRIIB2受容体キナーゼタンパク質は、アミ
ノ酸配列番号4のアミノ酸配列、またはその可溶性フラグメントもしくは不完全
なフラグメントを有するm−ActRIIB2であることが好ましい。例えば、
試料中のBMP濃度は、放射性受容体アッセイによって測定することができ、こ
のアッセイでは試料中の未標識BMPは、ActRIIB2+BMPタイプI受
容体複合体への結合に対して、標識トレーサー(tracer)BMPと競合す
る。試料中のBMPの量が増加すると、ActRIIB2およびタイプI受容体
を含む受容体タンパク質複合体に結合できる標識BMPの量が減少する。未標識
BMPの既知濃度を用いて調製された標準曲線と比較することによって、試料中
のBMP濃度の正確な定量が可能となる。トレーサーBMPの標識は、[125I
]NaIでヨウ化処理することにより行われることが好ましい。
ActRIIB2は、BMPタイプI受容体キナーゼをも発現する安定した細
胞系の外膜で発現することができるし、あるいは可溶性タイプI受容体フラグメ
ントと共に溶液中で可溶性フラグメントとして供給するか、固相支持体に共有結
合したタイプI受容体と共に固相支持体に共有結合した可溶性のフラグメントと
して供給することができる。アッセイを行うために、試料由来の未標識BMPお
よび標識されたトレーサーBMPは、平衡に達するまで、受容体への結合におい
て競合する。次いで、受容体−BMP複合体を、例えば、洗浄することにより(
付着細胞系の場合)、急速の濾過または遠心分離することにより(非付着細胞系
または固体支持体に結合された受容体の場合)、または抗体、ポリエチレングリ
コール、もしくは他の沈殿剤によって受容体−リガンド複合体を沈殿させ、続い
て濾過または遠心分離することにより(可溶性受容体の場合)、遊離リガンドか
ら単離する。次いで、複合体中の標識BMPの量を典型的にはガンマ線計数によ
って定量して、既知の標準値と比較する。これらの方法は、他の受容体を用いた
文献に記載されており(M.William、Med.Res.Rev.、1
1:147−184(1991);M.Higuchi and B.B.Ag
garwal、Anal.Biochem.、204:53−58(1992)
;M.J.Cain,R.K.Garlick and P.M.Sweetm
an、J.Cardiovasc.Pharm.、17:S150−S151(
1991);各文献を引用により本明細書中に取り入れる)、本発明のBMPタ
イプI受容体:ActRIIB2受容体/BMP系に容易に適用される。このよ
うな放射性受容体アッセイは、定量を必要とする臨床試料中のBMPの定量用の
診断目的に用いることができる。
本発明の方法は、タイプI受容体キナーゼタンパク質と複合体を形成するAc
tRIIB2、あるいは相同な受容体タンパク質を結合することのできる化合物
を同定する高処理量スクリーニングにも有用である。この方法では、ActRI
IB2/タイプI複合体に対する化合物の親和性が高いほど、複合体への結合に
対してトレーサーとの競合がより効果的になり、受容体−リガンド複合体の計数
がより低くなる。この場合、同一濃度範囲内の一連の化合物について比較して、
どれが最も高い親和性で受容体に対して競合して結合するかを確かめる。
本発明は、既知の薬物または推定の薬物などのリガンドが、本発明のDNA分
子によってコードされた受容体に結合することができるかおよび/または該受容
体を活性化することができるかを測定するのに有用である。上記DNA配列を、
本明細書に記述した細胞系にトランスフェクションして、単離されたDNA分子
によってコードされた受容体複合体に結合するおよび/または該受容体を活性化
するリガンドの能力のアッセイ系を提供する。本明細書に記述した組換え細胞系
は、既知の薬物または候補となる薬物と、受容体に結合し、放射活性試薬、分光
学的試薬、または他の試薬によって標識されるリガンドとの間の競合結合アッセ
イ用の生細胞培養物として有用である。トランスフェクションした細胞から単離
された受容体を含む膜試料も、競合結合アッセイに有用である。受容体のリガン
ド結合ドメイン由来の可溶性受容体も、候補薬剤の高処理量スクリーニングに用
いる。細胞内シグナル伝達の機能的アッセイは、受容体機能の活性化において結
合親和性および有効性のアッセイとしての役割をする。さらに、組換え体細胞系
を修飾してレポーター遺伝子を入れてもよく、このレポーター遺伝子は、受容体
によって送られたシグナルがレポーター遺伝子をスイッチオンするように、反応
要素に操作可能に結合する。このような系は、特にレポーターアゴニストの同定
を目的とした高処理量スクリーニングに有用である。これらの組換え体細胞系は
、「薬物発見系(drug discovery system)」を構築し、
薬物開発にとって可能性のある天然化合物または合成化合物の同定に有用である
。このような同定された化合物を、さらに修飾して、または直接治療用化合物と
して用いて、単離されたDNA分子によってコードされた受容体の本来の機能を
活性化したり、阻害したりすることができよう。
本発明の可溶性受容体タンパク質複合体は、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮下注
射、移植または経皮モードなどの投与方法を用いた臨床環境において、投与する
ことができる。このような投与によってBMPsの活性を治療的に変化させるこ
とが期待される。
配列番号3および配列番号7は、それぞれm−ActRIIB2およびAct
RIIB4受容体タンパク質をコードするDNA配列を表しており、マウスの毛
/皮膚試料から単離された。これらの配列は、ヒト、ラット、ウサギ、ショウジ
ョウバエ(Drosophila)およびアフリカツメガエル(Xenopus
)を含む(以下に限定されない)他の種から、ActRIIB2またはActR
IIB4のcDNAを得るために容易に利用できる。
さらに本発明は、試験化合物がBMP受容体タンパク質複合体への結合でシグ
ナルを発生するかどうかを測定する方法に関するものである。このような方法で
は、転写レポーターアッセイにおいてBMP受容体タンパク質複合体を用いる。
試験化合物がBMP受容体タンパク質複合体への結合でシグナルを発生するかど
うかを測定する方法は、(a)BMP受容体タンパク質複合体発現細胞に3TP
−Luxルシフェラーゼレポーター遺伝子(J.L.Wrana、L.Atti
sano、J.Carcamo、A.Zentella、J.Doody、M.
Laiho、X.−F.Wang、and J.Massague、Cell
71:1003−1014(1992))とβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をトラ
ンスフェクションことと(この細胞には、BMP受容体キナーゼタンパク質Ac
tRIIB1またはActRIIB2をコードするDNA配列とBMPタイプI受
容体キナーゼタンパク質をコードするDNA配列がトランスフェクションされて
いる);(b)(i)試験化合物存在下で第1組の該細胞を培養することと、(
ii)試験化合物非存在下で第2組の該細胞を培養することと;(c)工程(b
)によって生成したレポーター構築物の刺激により得られたルシフェラーゼの活
性化によるルシフェラーゼ活性レベルを任意の光単位によって定量することと;
および(d)(c)によって定量された第1組の任意光単位の量を工程(c)に
よって定量された第2組の任意光単位の量と比較することとを含む。
さらに、上記と同じアッセイ法をオートラジオグラフィーを用いて行う。試験
化合物がBMP受容体部分複合体の結合においてシグナルを発生するかどうかを
測定する方法は、(a)BMP受容体タンパク質複合体発現細胞を32Pで標識す
ることと(この細胞には、BMP受容体キナーゼタンパク質ActRIIB1ま
たはActRIIB2をコードするDNA配列と、BMPタイプI受容体キナー
ゼタンパク質をコードするDNA配列がトランスフェクションされている);(
b)(i)試験化合物の存在下で第1組の該細胞を培養することと、(ii)試
験化合物非存在下で細胞の第2組の該細胞を培養することと;(c)工程(b)
によって生成したリン酸化タンパク質をオートラジオグラフィーより定量するこ
とと;(d)工程(c)によって定量された細胞の第1組のリン酸化タンパク質
の量を、工程(c)によって定量された細胞の第2組のリン酸化タンパク質の量
と比較することとを含むことが、当業者に明らかになるであろう。
本発明の好ましい実施形態を例示することを目的として、以下に非限定的な実
施例を詳細に述べる。実施例1 マウスActRIIB2およびB4の単離
知られた受容体型セリン/トレオニンキナーゼのキナーゼドメインII(JT
65)およびキナーゼドメインVIII(JT69)内に保持されているタンパ
ク質配列由来の縮重プライマーJT65(配列番号17)およびJT69(配列
番号18)から、PCRプローブが生成される。このプローブは、pBLUES
CRIPTベクター(Stratagene、La Jolla、CA)内でサ
ブクローン化されてpBS2−54が得られ、NIH3T3ライブラリーに対す
るスクリーニングに使用された。このことは、本明細書で援用したRosenb
aumによる米国特許出願第08/462,467号に既に記述されている。約
2.3kbのActRIIBを含む、部分ActRIIBクローン(38−4−
2)を単離する。
完全長のActRIIBのマウス同族体を単離するために、マウス毛/皮膚組
織(E82種、剃毛後2日目のもの)からCDNAライブラリーを構築する。全
RNAは、全RNA分離キット(Total RNA Separator K
it;Clontech、Palo Alto、CA)を用いて細胞から単離す
る。メッセンジャーRNA(6.3μg)は、mRNA分離キット(mRNAS
eparator Kit;Clontech、Palo Alto、CA)を
用いて全RNAから単離する。mRNA(2μg)の一定量を用いて、cDNA
合成およびプラスミドクローニング用スーパースクリプトプラスミドシステム(
SUPER SCRIPT Plasmid System for cDNA
Synthesis and Plasmid Cloning;Life
Technologies、Gaithersburg、MD)を用い、かつ製
造元の取扱説明書に従ってcDNAライブラリーを作る。得られたライブラリー
は約500,000個のプライマーコロニーを含み、それぞれが7,000個の
コロニーを持つ72個のプールに分けられる。
PCRによって、ライブラリーの初回スクリーニングを行う。鋳型として用い
るプラスミドを、QIAGENカラム(Qiagen、Chatsworth、
CA)を用いて72個のプールそれぞれから精製する。既に記述された通りに(
Tsung−Chieh、J.Wu、M.H.Jih、L.Wang、and
Y.−J.Y.Wan、Molecular Reproduction an
d Development 38:9−15(1994))、全てのActR
IIBアイソフォームを増幅するために計画されたプライマーによるPCRでポ
シティブプールを同定する。これらのプライマーは本明細書で提供されたもので
、ActRIIBTF(配列番号19)およびActRIIBTR(配列番号2
0)とする。PCR反応は、GENE−AMP PCR Kit with A
MPLITAQ DNA Polimerase(Perkin Elmer、
Applied Biosystems、Foster City、CA)を用
いて行った。94℃、5分間で最初の溶解反応を行った後、以下のプログラムを
30回繰り返した。すなわち、該プログラムは、94℃で1分間の溶解、55℃
で1分間のアニーリング、および72℃で1分間の伸長からなる。
2次スクリーニングでは、プレートを5つのポシティブプール(2、000コ
ロニー/プレート)由来の大腸菌(E.Coli)株で画線する。このプレート
上にHYBONDナイロン膜を置いて、細菌のコロニーをフィルターに移す。次
に、コロニーを37℃で2〜3時間回復させる。フィルターを10%SDSに3
分間浸して、次に1.5M NaCl、0.5M NaOHに5分間トランスフ
ァーし、1.5M NaCl、0.5M Tris、pH7.5で5分間中和し
、さらに3XSSCで洗浄する。次にタンパク質を除去するために、ブロットを
、0.1M Tris、pH7.6、10mM EDTA、0.15M NaC
l、0.02%SDS中で50μg/mlのプロテイナーゼK(Boehrin
ger Mannheim、Indianapolis、IN)と共に55℃で
1時間振盪する。NIH3T3ライブラリー(クローン38−4−2)から単離
されたマウスActRIIB 部分cDNAをMluで切断し、2.3kbのフ
ラグメントを得る。このフラグメントを、PRIME−IT IIランダムプラ
イマーラベリングキット(PRIME−IT II Ramdom Prime
r Labeling Kit;Staragene、La Jolla、CA
;DNAのランダムプライマー標識用キットで、クレノウDNAポリメラーゼ、
プライマー、および緩衝液を含む)で、かつ特異活性3000Ci/mmolを
有するα−[32P]−dCTP(NEN Research Products
、Boston、MA)を用いて、ランダムに標識する。標識プローブをハイブ
リダイゼーション緩衝液(Sigma、St.Loui、MO)中で42℃で1
8時間フィルターにハイブリダイズさせる。該緩衝液は、50%脱イオン化ホル
ムアミド、5XSSPE(1×SSPE=0.14M NaCl、8mMリン酸
ナトリウム、0.08mM EDTA、pH7.7)、1×Denhardt’
s溶液、および100μg/mlの変性サケ精巣DNAからなる。次にブ
ロットを、0.25×SSPE、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で
25℃で15分間にて2回、次に65℃で30分間にて2回洗浄する。次に、ブ
ロットをコダックX−OMAT ARオートラジオグラフィフィルムに−80℃
で18時間露光する。
オートラジオフラフィ上の標識スポットに対応するコロニーをプレート上に画
線して、上記の2次スクリーニングで述べた通りにして3次スクリーニングを行
う。3個のポシティブクローンが単離される。
3個のポシティブクローン由来の挿入をTAQ DYE DEOXY Ter
minator Cycle Sequencing KitおよびAppli
ed Biosystems Model 373A Automated D
NA Sequencerを用いて決定した。配列を比較してみると、クローン
A46−3/pSPORTは、ActRIIB4変異体の完全なコードを含む一
方、クローンA49−8/pSPORTは、ActRIIB2変異体と、コード
領域の最初から約50塩基対がアラインしている(下記の実施例2を参照のこと
)。
実施例2 ActRIIB2およびActRIIB4の配列分析
約50bpまでのコード領域が欠失している、A49−8/pSPORTクロ
ーンのActRIIB2のDNA配列(以下の実施例3で記述した通りにしてp
JT6発現ベクター内にアセンブルする)を配列番号3に示し、その推定される
タンパク質配列を配列番号4に示す。この配列は、GENEBANKにリストさ
れている登録番号M84129のマウスActRIIB2配列と同一であり、公
表されているActRIIB配列のATG(44塩基)に始まる約900塩基、
および3’末端配列(1490〜1708塩基)を有することがCell 68
:97−108(1992)に記述されている。ActRIIB2については、
ATG(44塩基)から900塩基までの配列と、3’末端の配列(1460〜
1708)を確定した。この配列データから、第1の挿入(bp413〜436
)を含み、ActRIIB2変異体であることが立証される。
ActRIIB4変異体は、配列番号7に示されたA46−3/pSPORT
のDNA配列および配列番号8に示されたタンパク質配列によって示唆される挿
入を含まない。ActRIIB4については、単離されたクローンは完全長で、
さらに知られていない5’配列の約300塩基からbp44のATGまでを含む
。
実施例3 m−BRK−3、BRK−1、BRK−2、ActRIIB2およびActRI IB4のための発現ベクターの構築
pJT4発現ベクターについては、Rosenbaumによって米国特許出願
第08/462,467号に既に記述されており、この明細書に援用した。この
発現ベクターは、COS細胞内で一過性発現するように最適化されており、非常
に効率的なメッセージの転写を行わせるサイトメガロウイルスの初期プロモータ
ーとエンハンサー;発現レベルを一層高めるヒトT−細胞白血病ウイルス−1の
長鎖末端反復配列由来の「R」因子;メッセージの安定性を高めると考えられて
いるSV40由来のイントロンスプライシング部位;マルチプルクローニングサ
イト;ほとんどの真核mRNAに必要とされるpolyAテイルをメッセージに
加えるよう命令するSV40由来ポリアデニル化シグナル;およびSV40ラー
ジT抗原を含む細胞、例えばCOS細胞に非常に多くのコピー数でプラスミドを
複製させるSV40複製開始点を含む。さらに、細菌中でのベクターの操作およ
び増幅のために、このベクターは大腸菌複製起点およびアンビシリン耐性遺伝子
を含んでいる。本明細書で記述した発現ベクターは、pJT4発現ベクターの誘
導体で、以下に記述する。
哺乳動物で発現させるために、m−ActRIIB4を哺乳動物発現ベクター
pJT6にサブクローン化する。このベクターはpJT3の誘導体であり、pJ
TについてはRosenbaumによって米国特許出願第08/462,467
号に記述されていて、この明細書で援用しており(実施例4を参照のこと)、マ
ルチプルクローニングサイトの5’末端にあるNotIが欠失しており、マルチ
プルクローニングサイトのPStIとBamHI制限部位の間にスペーサーが挿
入されている。サブクローニングを行うために、m−ActRIIB4cDNA
をNotIおよびSalIを用いてA46−3/pSPORTから切り出し、次
にNotIおよびSa1I部位でpJT6にサブクローンし、pJT−A46L
を構築した。
マウスActRIIB2変異体の完全長のクローンをpJT6発現ベクター内
に組み込むために、以下の通りに最初にクローンA46−3/pSPORTの5
’末端にSalI部位を入れる。SalI部位を含むプライマーが合成され、こ
のSalI部位にはA46−3/pSPORTのコード配列の核酸1〜15が続
く;このプライマーは、5’ATC GTC GAC CAT GAC GGC
GCC CTG G3’(配列番号21)の配列を含む。これは、リバースプ
ライマー 5’GGG CGG AGG CCC CGG GTC 3’(配列
番号22)と共に用いられて、A46−3/pSPORTクローンから得られた
プラスミドDNAを鋳型として用いてDNAフラグメントを増幅する。PCRは
、アンプリタク(AMPLITAQ)DNAポリメラーゼを有する遺伝子増幅P
CRキット(GENE−AMP PCR Kit;Perkin Elmer、
Applied Biosystems、Foster City、CA)を用
いて行う。94℃で5分間の最初の溶解を行った後、以下のプログラムを30回
繰り返した。すなわち、該プログラムは94℃で1分間の溶解、55℃で1分間
のアニーリング、72℃で1分間の伸長からなる。最終回の後、反応を72℃で
5分間保つことによって伸長を完了させる。A46−3/pSPORTから増幅
されたフラグメントを以下の通りにpJT6ベクターに挿入する。A46−3/
pSPORTから得られた増幅フラグメントをSalIおよびApaIで切断す
る。A49−3/pSPORTから得られた挿入部分をApaIおよびNotI
で切断する。ベクターpJT6をSalIおよびNotIで切断する。この3個
のフラグメントを、T4DNAリガーゼを用いるスリーウェイリゲーション(3
時間、25℃)で結合させ、BIO−RAD Gene Pulser(BIO
−RAD、Hercures、CA)を使用し、かつ製造元の取扱説明書に基づ
いて、エレクトロコンピテントな大腸菌(E.coli)DH5−a株に形質転
換する。ポシティブコロニーを選択してpJT6−A49と命名する。PCRに
よって増幅された挿入の5’部分の配列決定によって、クローンA46−3/p
SPORTのものと同一の配列であることが示され、このことは、増幅中に突然
変異が引き起こされていないことを示している。
mBRK−3、mBRK−1、およびニワトリBRK−2のための発現プラス
ミドの構築は、Rosenbaumによって米国特許出願第08/462,46
7号で既に詳しく記述されており、この明細書で援用した。
タイプIBMP受容体と共にmActRIIB2またはmActRIIB4を同時
発現する効果を測定するために、mActRIIB2またはmActRIIB4の
cDNAを、BRK−1のcDNAまたはBRK−2のcDNAと共に同時発現
することが必要である。マウスBRK−1のDNA配列は配列番号13に示され
ており、推定されるマウスBRK−1のアミノ酸配列は配列番号14に示されて
いる。ニワトリBRK−2のDNA配列は配列番号15に示されており、推定さ
れるニワトリBRK−2のタンパク質配列は配列番号16に示されいる。この明
細書で援用した、Rosenbaumによる米国特許出願第08/462,46
7号に詳しく記述されているmActRIIB2とm−BRK−3との結合性お
よびシグナル伝達性を比較するために、タイプI受容体とBRK−3を同時発現
させた後で得られたデータを、比較目的のために以下の実施例で示した。マウス
BRK−3のDNA配列は配列番号11に示され、マウスBRK−3の推定アミ
ノ酸配列は配列番号12に示される。
実施例4 哺乳類でのmActRIIB2、mActRIIB4,m−BRK−3、BRK− 1、およびBRK−2の発現
前述した発現プラスミドを用いて哺乳類細胞内で受容体を一過性発現させる方
法は、COS−1細胞(ATCC CRL 1650)またはRIB/L−17
細胞内での結合および免疫沈降実験(実施例6〜8を参照のこと)(J.L.W
rana、L.Attisano、J.Carcamo、A.Zentella
、J.Doody、M.Laiho、X.−F.Wang、and J.Mas
sague、Cell 71:1003−1014(1992))、またはRI
B/L−17細胞内でのシグナル伝達アッセイ(実施例9)(J.L.Wran
a、
L.Attisano、J.Carcamo、A.Zentella、J.Do
ody、M.Laiho、X.−F.Wang、and J.Massague
、Cell 71:1003−1014(1992))のために、DEAEデキ
ストラン(Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ
)を用いて行う。
BMP受容体をCOS−1細胞で一過性発現させるために、10%ウシ胎児血
清(HyClone、Logan、Utah)、非必須アミノ酸、およびグルタ
ミンを添加したDME高グルコース培地(Life Technologies
、Gaithersburg、MD)の入ったT−175フラスコ(Corni
ng、San Diego、CA)で、細胞を70%〜90%の集密度(con
fluency)で増殖させる。細胞を37℃で無血清DME培地で2回洗浄し
て、その後各T−175フラスコにDNA混合物10mlを添加する。このDN
A混合物は、DME、10%Nu−Serum(Collaborative
Biomedical Products、Bedford、MA)、DEAE
−デキストラン400μg/ml(Pharmacia、Piscataway
、NJ)、クロロキン0.1mM(Sigma、St.Louis、MO)、お
よび興味あるcDNAを含むもので、mActRIIB2に対してはpJT6−
mActRIIB2を40μg、mActRIIB4に対してはpJT6−mAc
tRIIB4を40μg、mBRK−3Sに対してはpJT6−mBRK−3S
を40μg、BRK−1に対してはpJT4−J159Fを20μg、BRK−
2に対してはpJT3−BRK2を20μgとする。単一の受容体だけのトラン
スフェクションを必要とする実験計画の場合は、エンプティーな発現ベクターp
JT6またはpJT4(詳細はRosenbaumによって米国特許出願第08
/462,467号に記述されており、この明細書で援用した)を、対応する受
容体cDNAと置換する。次に、細胞を37℃でDNA混合物と3時間インキュ
ベートする。この溶液を吸引し、カルシウムやマグネシウムを含まないDulb
eccoの酸緩衝食塩水(PBS;Life Technologies、Ga
ithersburg、MD)中で、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)
を含有する溶液とともに、細胞をインキュベートする。2分後、DMSO溶液を
吸引して、細胞を上記の増殖培地で洗浄し、つづいてプレートに新鮮な培地を再
び注ぐ。トランスフェクションした細胞を、トランスフェクションして24時間
後に、全細胞結合用(実施例6)の12穴プレートまたは親和標識および免疫沈
降用(実施例7)の100mmプレートに分ける。細胞はトランスフェクション
して36時間から72時間後に、結合分析に対して適当な状態となる。
結合実験および親和標識/免疫沈降実験のために、RIB/L−17細胞内で
一時的にBMP受容体を発現させるために、DME−高グルコース培地の代わり
にMEM培地(Life Technologies、Gaithersbur
g、MD)を用いることを除いて、条件を上記で述べたCOS−1細胞用の条件
と同じにし、RIB/L−17細胞をT−175フラスコ中で、フラスコ当たり
5〜10×106細胞で接種した後、24時間トランスフェクションする。3T
P−Luxアッセイ用にRIB/L−17細胞でBMP受容体を一過性発現させ
るために、3TP−Lux受容体プラスミドを30μg(J.L.Wrana、
L.Attisano、J.Carcamo、A.Zentella、J.Do
ody、M.Laiho、X.−F.Wang、and J.Massague
、Cell 71:1003−1014(1992))およびpCMVβ β−
ガラクトシダーゼ発現プラスミド15μg(Clontech、Palo Al
to、CA)をさらに受容体プラスミドに加えることを除いて、すぐ前で述べた
条件と同じ条件にする。単一の受容体だけのトランスフェクションを必要とする
実験計画の場合は、エンプティーな発現ベクターpJT6またはpJT4(詳細
はRosenbaumによって米国特許出願第08/462,467号に記述さ
れており、この明細書で援用した)を、対応する受容体cDNAと置換する。
実施例5 標識BMP−4リガンドの産生
以前に記述された通りに、CHO細胞から組換え体ヒトBMP−2およびBM
P−4二量体を産生し、精製する(B.B.Koenig et al.、Mo
lecular and Cellular Biology、14:5961
−5974(1994))。[125I]−BMP−4は、ヨードビーズ(IOD
OBEADS;Pierce、Rockford、IL;非孔質ポリスチレンビ
ーズにクロラミン−Tが固定化されている)を用いて調製する。氷上で、凍結乾
燥BMP−4(2μg)を10mM酢酸50μlに溶解し、リン酸緩衝食塩水(
Sigma、St.Louis、MO)450μlを加える。チューブに50o
μCurieの125I(Amersham、arlington Height
s、IL)(2200Ci/mmol)を5μl加え、かつ一個のヨードビーズ
を加える。時折振盪しながら氷上で10分反応させる。次に、ヨードビーズから
反応物を除去することによって反応を停止させる。未反応の125Iを除去するた
めに、事前に10mM酢酸、0.1M NaCl、0.25%ゼラチンで平衡化
したPD−10ゲルろ過カラム(Pharmacia、Piscataway、
NJ)に混合物を添加する。生成した標識タンパク質は、トリクロロ酢酸によっ
て95%を上回る沈殿が可能で、このことは全125Iがタンパク質に結合し、典
型的な特異的活性が4000から9000Ci/mmolであることを示す。
一方、BMP−4はクロラミン−T法(C.A.Frolik、L.M.Wa
kefield、D.M.Smith、and M.B.Sporn、J.Bi
ol.Chem.、259:10995−11000(1984))によって1
25Iで標識される。BMP−4(2μg)を、30%アセトニトリル5μlに
溶解し、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、さらに1.5Mリン酸ナトリウ
ム、pH7.4を5μl添加する。担体なしの125I(1mCi、9μl)を、
クロラミンT溶液(100μg/ml)2μlと共に加える。さらにクロラミン
T溶液2μlを2分および3分の時点で添加する。4.5分後、50mM N−
アセチルチロシン10μl、60mMヨウ化カリウム100μl、および1M酢
酸中の11M尿素100μlを添加して反応を停止させる。3.5分間のインキ
ュベートの後、PD−10ゲル濾過カラム(Pharmacia、Piscat
away、NJ)にかけ、10mM酢酸、0.1M NaCl、0.25%ゼラ
チンで溶出して未反応のヨードを除去する。得られた標識タンパク質はトリクロ
ロ酢酸によって95%を上回る沈殿が可能で、このことは全ての125Iがタンパ
ク質に結合し、典型的な特異活性3000〜8000Ci/mmolを有するこ
とが示される。実施例6 BMPタイプI受容体存在下でのmActRIIB2に対するBMP−4の結合 の特徴
BMPタイプI受容体存在下でのmActRIIB2の対するBMP−4の結
合は、細胞全体に対する標識BMP−4結合と、受容体に対する標識BMP−4
の共有架橋結合(親和性標識)および免疫沈降によって示すことができる。これ
ら2つの方法を、本実施例および以下の実施例7に詳しく記述する。細胞全体に対する競合結合分析:
実施例4に記載した通りに、COS−1細胞に、mActRIIB2発現のた
めにはpJT6−mActRIIB2を、mACRIIB4発現のためにはpJT
6−mACRIIB4をトランスフェクションして、BRK−1発現のためには
pJT−J159F存在下で、BRK−2発現のためにはpJT3−BRK2存
在下で行う。トランスフェクション後、細胞を12穴プレートに播種し、24時
間から36時間の時点で結合実験を行う。その際、細胞を結合緩衝液(50mM
HEPES、pH7.4、128mM NaCl、5mM KCl、5mM
MgSO4、1.2mM CaCl2、2mg/ml BSA)で洗浄して、次に
4℃で30分〜60分間ゆっくり攪拌しながら同一緩衝液で平衡化する。次に緩
衝液を吸引し、各穴に対して500μlの結合緩衝液(4℃)を加える。アッセ
イに応じて、この緩衝液は種々の濃度の未標識BMP−2、BMP−4、または
他の未標識リガンドとともに[125I]−BMP−4トレーサー(100〜40
0pM)を含む。非特異的結合を測定するために、BMP−4を最終濃度が10
から50nMになるようにして結合緩衝液に添加する。インキュベーション中の
リガンドの分解を防ぐために、プロテアーゼ阻害剤混合液も添加し、最終濃度が
ロイペプチン10μg/ml、アンチパイン10μg/ml、アプロチニン50
μg/ml、ベンズアミド100μg/ml、大豆トリプシン阻害剤100μg
/ml、ベスタチン10μg/ml、ペプスタチン10μg/ml、およびフェ
ニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)300μMとなるようにする。細
胞を4℃で4時間ゆっくりと攪拌する。インキュベーション終了時、緩衝液を吸
引して、細胞を1mlの洗浄緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、12
8mMNaCl、5mMKCl、5mM MgSO4、1.2mM CaCl2、
0.5mg/ml BSA)で4回すすぐ。最終洗浄液を吸引後、200μlの
RIPS緩衝液(20mM Tris Base、100mM NaCl、1m
M EDTA、0.5% NP−40、0.5%デオキシコール酸、0.1%S
DS、10mM NaI、1%BSA、pH8.0)を各穴に添加して、室温で
15〜30分インキュベートする。次に、溶解した細胞を新しいチューブに移し
、Packard Model 5005 COBRA Gamma Coun
ter(Packard Instruments、Meriden、CT)で
計数する。
mActRIIB2存在下でmBRK−1を発現している細胞に対して、BR
K−1だけを発現している細胞における非標識BMP−4の結合親和性を比較す
る[125I]BMP−4競合実験の結果は、BRK−1+ActRIIB2複合体
に対するBMP−4の親和性(IC50<5×10-10M)が、BMP−1タイプ
Iだけに対する親和性(IC50>10-9M)よりも高いことを示している。
このことは、BRK−1だけを発現している細胞における競合曲線の位置に比べ
て、BRK−1+ActRIIB2を同時発現している細胞における競合曲線が
左に移動していることによって証明される。さらに3回実験を繰り返したところ
、BRK−1だけを発現している細胞に対してBRK−1+ActRIIB2を
同時発現している細胞では、同様に左に移動した競合曲線が得られた。平均IC50
はBRK−1+ActRIIB2を同時発現している細胞においては2.59
×10-10M(LogIC50=−9.586±0.062;N=4)で、BRK
−1だけを発現している細胞においては2.33×10-9M(LogIC50=−
8.633±0.044;N=4)である。結合親和性の増加は、BRK−3タ
イプII受容体とともにBRK−2タイプI受容体を同時発現している細胞にお
いても認められるが、BRK−1+BRK−3受容体を発現している細胞では認
められていない(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K
.Hosokawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S
.Rosenbaum、J.Biological Chemistry 27
0:22522−22526(1995))。これらのデータは、ActRII
B2タイプII受容体が、BRK−1受容体存在下でBMP−4に対して高親和
性結合複合体を形成することのできるタイプII受容体を表しており、BRK−
1+ActRIIB2自体は新規高親和性BMP受容体複合体を表していること
を示す。
実施例7 タイプIBMP受容体とともにmActRIIB2は複合体を形成するがmAc tRIIB4は複合体を形成しないことの示唆
TGF−βファミリーの受容体は、タイプIおよびタイプIIの受容体を含む
複合体を形成することが示されている(L.Attisano、J.L.Wra
na、F.Lopez−Casillas、and J.Massague、J
.Biochem Biophys.Acta,1222:71−80(199
4))。[125I]BMP−4結合、およびBMPタイプI受容体BRK−1ま
たはBRK−2と複合体を形成するために、ActRIIB2の細胞外における
膜近傍領域の8個のアミノ酸が必要で、一方ActRIIB4の該アミノ酸は必
要ではないこと(L.Attisano、J.L.Wrana、S.Cheif
ez、and J.Massague、Cell 68:97−108(199
2))を示すために、実施例4で説明した通りに、COS−1またはRIB/L
−17細胞に、タイプI受容体としてBRK−1またはBRK−2のいずれかと
ともに、タイプII受容体としてmActRIIB2またはmActRIIB4N
oIのいずれかのcDNAを同時トランスフェクションして、前述した通りに1
00mmプレートに3×106細胞/プレートの密度で播種する(B.B.Ko
enig et al.、Molecular and Cellular B
iology、14:5961−5964(1994))。この受容体を[125
I]−BMP−4に架橋結合させて、次に以下に説明した通りに以前に記述した
方法(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.Hoso
kawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.Rose
nbaum、J.Biological Chemistry 270:225
22−22526(1995)、B.B.Koenig et al.、Mol
ecular and Cellular Biology、14:5961−
5964(1994))で、タイプI受容体BRK−1およびBRK−2に対し
て特異的な抗体と共に免疫沈降させる。もし、タイプI受容体に特異的な抗体が
、[125I]−BMP−4を架橋結合したタイプI受容体だけでなく、[125I]
−BMP−4を架橋結合したmActRIIB2とも沈降を示すならば、この2
つの受容体は複合体を形成するに違いなく、タイプIおよびタイプII受容体が
同じリガンド結合特異性を有すると期待される。
BRK−1のウサギポリクローナル抗体#1353は、以前に記述した通りに
細胞外ドメインを産生する大腸菌(E.coli)に対して作製され、生成され
る(B.B.Koenig et al.、Molecular and Ce
llular Biology、14:5961−5964(1994))。B
RK−2のウサギポリクローナル抗体JM#2は、標準方法によってキーホール
リンペットと結合させた細胞内の膜近傍ペプチドARPRYSIGLEQDET
YIPPC(AA:155−172)に対して、3匹のニュージーランド白ウサ
ギを免役して作製した(Berkeley Antibody Company
、Richmond、CA 94806−1965)。得られた抗血清について
、COOHシステインを介して抗体を捕獲させたELISA法によって、プラス
チックに吸着した元のペプチドに対する認識能を評価する。これらの両抗体のた
めに、抗血清は、Immunopure(A)IgG Purificatio
n Kit(製品番号#44667)を用いて、製品取扱説明書に記述されたよ
うに、Pierece Immunopure Plus Immobiliz
ed Protein A Column(Pierce Chemical
Company、Rockford、IL)によって精製されたIgGとした。
BRK−1とActRIIB2の間に形成される複合体は2つの異なる実験で
詳しく示される。第1の実験は、COS−1細胞で観察されたレベルでは受容体
を発現しないRIB/L−17細胞で実施される(D.Vivien、L.At
tisano、J.L.Wrana、and J.Massague、J.Bi
ological Chemistry、270:7134−7141(199
5))。RIB/L−17細胞においては、COS−1細胞で以前に記述された
通りに(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.Hos
okawa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.Ros
enbaum、J.Biological Chemistry 270:22
522−22526(1995))、BRK−1またはBRK−2タイプI受容
体のいずれかとBRK−3タイプII受容体との間で複合体が形成される。以前
観察された通りに、BRK−1免疫沈降物内では、BRK−1バンドに対する親
和性標識の強度は、BRK−1+BRK−3を同時発現している細胞のものと、
BRK−1だけを発現している細胞で観察されたものでは変化がない。一方、B
RK−2免疫沈降物内のBRK−2バンドは、BRK−2だけを発現している細
胞で観察されるものに対して、BRK−2+BRK−3を同時発現した細胞では
かなり濃い。この標識強度の変化は、BRK−3タイプII受容体との複合体中
にBRK−2が存在している場合、親和性または架橋結合能のいずれかが増加し
ており、BRK−1が存在している場合では増加しないことの反映と解釈される
(T.Nohno、T.Ishikawa、T.Saito、K.Hosoka
wa、S.Noji、D.H.Wolsing、and J.S.Rosenb
aum、J.Biological Chemistry 270:22522
−22526(1995))。RIB/L−17細胞において、これらの受容体
がActRIIB2と共に同時発現している場合に、タイプI受容体の免疫沈降
物内で、BRK−1タイプI受容体の標識強度が増加し、BRK−2タイプI受
容体では増加しないことが観察される。さらに、ActRIIB2の分子量に相
当するバンド(L.Attisano、J.L.Wrana、S.Cheife
z、and J.Massague、Cell 68:97−108(1992
))の親和性標識が、BRK−1+ActRIIB2を同時発現している細胞の
BRK−1免疫沈降物内では観察されるが、BRK−1受容体だけを発現してい
る細胞のBRK−1免疫沈降物内では観察されない。このことは、これらの受容
体の両方を同時発現している細胞内では、BRK−1がActRIIB2と複合
体を形成することを示している。BRK−2およびActRIIB2を同時発現
している細胞内でのBRK−2免疫沈降物内では、ActRIIB2の分子量
に相当するバンドの親和性標識が観察されないので、BRK−2とActRII
B2の間では複合体形成が観察されない。さらに、ActRIIB4の分子量に相
当するバンド(L.Attisano、J.L.Wrana、S.Cheife
z、and J.Massague、Cell 68:97−108(1992
))の親和性標識が、いずれかのタイプI受容体およびActRIIB4を同時
発現している細胞のタイプI受容体免疫沈降物では観察されないことから、Ac
tRIIB4は[125I]BMP−4存在下ではBRK−1またはBRK−2のい
ずれとも複合体を形成しないことが示唆される。
同様の実験をCOS−1細胞で実施して、RIB/L−17細胞での実験で用
いたのと同様の基準を使用し、BRK−1およびActRIIB2では複合体が
形成されるが、BRK−1+ActRIIB4では形成されないことを示唆する
。さらに、COS−1細胞では、RIB/L−17細胞で観察されたよりも高い
レベルで受容体が発現しており(D.Vivien、L.Attisono、J
.L.Wrana、and J.Massague、J.Biological
Chemistry、270:7134−7141(1995))、BRK−
2+ActRIIB2でも複合体形成が示される。これらのデータにより、Ac
tRIIB1およびActRIIB2の細胞外の膜近傍領域の8個のアミノ酸の存
在が、BMP−4のActRIIBタイプII受容体への結合に不可欠であるこ
とが確かめられる(L.Attisano、J.L.Wrana,S.Chei
fetz、and J.Massague、Cell 68:97−108(1
992))。さらにこのデータは、BRK−1とBRK−2のいずれも[125I
]BMP−4リガンドの存在下で競合してActRIIB2と複合体形成し、か
つBRK−2およびActRIIB2の複合体形成には、BRK−1およびAc
tRIIB2の複合体形成に必要なレベルよりも高いレベルの受容体発現が必要
であることが示される。
さらなる実験でBRK−2+ActRIIB2複合体もBMP−2を結合する
ことができることが示される。この実験では、COS−1細胞にBRK−2およ
びActRIIB2を同時トランスフェクションして、以前に記述した通りに(
B.B.Koenig et al.、Molecular and Cel
lular Biology、14:5961−5964(1994))[125
I]BMP−2で親和性標識する。[125I]BMP−4について上記に記述し
た通りに、BRK−2+ActRIIB2を同時発現した細胞では、BRK−2
免疫沈降物内にActRIIB2の分子量に相当するバンドの親和性標識が観察
され、このことはCOS−1細胞内でこれらの受容体が過剰に発現している場合
、BMP−2リガンドがBRK−2+ActRIIB2複合体に結合することが
できることを示唆している。
実施例8 BMP受容体アゴニストおよびアンタゴニストを同定するリガンド結合アッセイ におけるm−ActRIIB2+BRK−1またはm−ActRIIB2+BRK −2の使用
タイプIBMP受容体と複合体を形成しているmActRIIB2と相互作用
するリガンドの同定は、このBMP受容体複合体とリガンドとの相互作用を測定
するよう設計されたアッセイを用いることによって達成できる。m−ActRI
IB2+BRK−1またはmActRIIB2+BRK−2複合体を使用し、大量
の試料を扱うように適合された受容体結合アッセイは以下の通りに実施する。
COS−1細胞を、12穴培養プレートまたは96穴マイクロタイタープレー
トで細胞増殖を行うこと以外は上記実施例4で記述した通りにして、m−Act
RIIB2には構築物pJT6−mActRIIB2、BRK−1にはBRK−1
発現用構築物pJT4−J159F、BRK−2にはBRK−2発現用構築物p
JT3−BRK−2を用いて、cDNAをトランスフェクションする。細胞をト
ランスフェクションするのに用いるDNA混合物は、受容体を実施例4に記載し
た濃度で含んでいる。トランスフェクション後36〜72時間の時点で、細胞を
結合緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、128mM NaCl、5m
M KCl、5mM MgSO4、1.2mM CaCl2、2mg/ml BS
A)で一回洗浄して、次に同緩衝液中で4℃で60分ゆっくり振盪して、平衡化
する。平衡化後、緩衝液を吸引し、各穴に、種々の濃度の試験化合物(例、推定
リガンド)の存在下または非存在下で、[125I]BMP−4トレーサー(10
0〜400pM)を含む4℃の結合緩衝液を添加し、4℃で4時間ゆっくり振盪
する。非特異的結合およびBMP受容体複合体からの完全な置換を測定するため
に、BMP−2を最終濃度10nMで添加する。リガンドの分解を防ぐために、
プロテアーゼ阻害剤混合液も加え、最終濃度がロイペプチン10μg/ml、ア
ンチパイン10μg/ml、アプロチニン50μg/ml、ベンズアミド100
μg/ml、大豆トリプシン阻害剤100μg/ml、ベスタチン10μg/m
l、ペプスタチン10μg/ml、およびフェニルメチルスルホニルフルオリド
(PMSF)300μMとなるようにする。インキュベーション終了時、緩衝液
を吸引して、細胞を洗浄緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、128m
MNaCl、5mMKCl、5mM MgSO4、1.2mM CaCl2、05
mg/ml BSA)で4回すすぐ。最終洗浄液を吸引後、RIPS緩衝液(2
0mM Tris Base、100mM NaCl、1mM EDTA、0.
5% NP−40、0.5% デオキシコール酸、0.1% SDS、10mM
NaI、1%BSA、pH8.0)を各穴に添加して、室温で15〜30分イ
ンキュベートする。次に、溶解した細胞を新しいチューブに移し、Packar
d Model 5005 COBRA Gamma Counter(Pac
kard Instruments、Meriden、CT)で計数する。
mACtRIIB2+BRK−1またはmActRIIB2+BRK−2受容体
複合体と相互反応する試験化合物は、受容体複合体への結合に対して[125I]
BMP−4トレーサーと競合することが観察され、新規試験化合物の非存在下で
トレーサーをインキュベートした場合に観察される結合に比べて、試験化合物存
在下での[125I]BMP−4トレーサーの結合は少ない。試験したもっとも高
濃度の試験化合物では、[125I]BMP−4トレーサーの結合減少は30%以
上であり、この試験化合物がmActRIIB2+BRK−1またはmActR
IIB2+BRK−2受容体複合体に結合することが示される。
実施例9 タイプIBMP受容体の複合体においてBMPを介するシグナル伝達はmAct RIIB2を通しておこり、mActRIIB4を通じては起こらないという示唆
いくつかの研究室が今までに、RIB/L−17ミンク肺上皮細胞を用いて(
L.Attisano、J.Carcamo、F.Ventura、F.M.B
.Weis、J.Massague、and J.L.Wrana、Cell
75:671−680(1993);J.Carcamo、F.M.B.Wei
s、F.Ventura、R.Wieser、J.L.Wrana、L.Att
isano、and J.Massague、Molecular and C
ellular Biology 14:3810−3821(1994))、
p3TP−Luxプロモーター構築物と共同して(J.L.Wrana、L.A
ttisano、J.Carcamo、A.Zentella、J.Doody
、M.Laiho、X.−F.Wang、and J.Maasague、Ce
ll 71:1003−1014(1992))、TGF−β(L.Attis
ano、J.Carcamo、F.Ventura、F.M.B.Weis、J
.Massague、and J.L.Wrana、Cell 75:671−
680(1993);J.L.Wrana、L.Attisano、J.Car
camo、A.Zentella、J.Doody、M.Laiho、X.−F
.Wang、and J.Maasague、Cell 71:1003−10
14(1992))、アクチビン(L.Attisano、J.L.Wrana
、E.Montalvo、and J.Massague、Molecular
and Cellular Biology 16:1066−1073(1
996);J.Carcamo、F.M.B.Weis、F.Ventura、
R.Wieser、J.L.Wrana、L.Attisano、and J.
Massague、Molecular and Cellular Biol
ogy 14:3810−3821(1994);S.A.Willis、C.
M.Zimmerman、L.Li、and L.S.Mathews、Mol
ecular Endocrinology 10:367−379(1996
))およびBMP(F.Liu、F.Ventura、J.Doody、and
J.Massague、Molecular and Cellular B
iology、15:3479−3486(1995);B.L.Rosenz
weig、T.Imamura、T.Okadome、G.N.Cox、H.Y
ama
shita、P.Ten Dijke、C.−H.Heldin、and K.
Miyazono、Proceedings of the National
Academy of Sciences、U.S.A.、92:7632−
7636(1995);H.Yamashita、P.ten Dijke、D
.Huylebroeck、T.K.Sampath、M.Andries、J
.C.Smith、C.−H.Heldin、and K.Miyazono、
J.Cell Biology 130:217−226(1995))受容体
複合体の測定について報告してきたので、我々もこのレポーター系を用いて、次
にBMP受容体アゴニストおよびアンタゴニストの同定に使用できるシグナル伝
達アッセイにおけるmActRIIB2+BRK−1の使用を報告した。
R−IB/L17細胞に、実施例4に記述した通りに、種々のBMP受容体組
み合わせと、3TP−Lux受容体プラスミド(J.L.Wrana、L.At
tisano、J.Carcamo、A.Zentella、J.Doody、
M.Laiho、X.−F.Wang、and J.Massague、Cel
l 71:1003−1014(1992))、およびCMVプロモーター由来
のβ−ガラクトシダーゼレポーター構築物(Clontech、Palo Al
to、CA)をトランスフェクションして、24時間後に6穴標準組織培養プレ
ート(Corning、San Diego、CA)に1穴当たり2×105細
胞で播種した。10%FBS−MEM中で3から4時間細胞を回復させた後、増
殖培地を2から4時間かけて0.1%FBS−MEMに代える。次に、細胞を集
める前にBMPsを0.1%FBS−MEM中で増加させた濃度で18時間反応
させる。細胞を集め、Dual Light System(Tropix、B
edford、MA)を用いて、製品取扱説明書の通りにルシフェラーゼをアッ
セイする。穴から穴、アッセイからアッセイの差異を排除するために、レポート
されたルシフェラーゼ活性の値を、同量のレポートされたβ−ガラクトシダーゼ
の値(Dual Light System(Tropix、Benford、
MA)を用いて製品取扱説明書の通りに測定する)で規準化し、全てのデータを
任意のユニットで表す。
BRK−1+ActRIIB2複合体ではシグナル伝達が達成されるが、BR
K−1+ActRIIB4複合体では達成されないということは、3TP−Lu
xレポーター系を使用した2つの異なる実験において示唆される。第1の実験で
は、3TP−Luxまたはβ−ガラクトシダーゼ レポーター遺伝子の存在下で
、タイプIおよびタイプII受容体を個々にまたは共同して、RIB/L−17
細胞内で発現させた。この実験によって、タイプIおよびタイプII受容体のい
ずれも、それ自身ではシグナル伝達ができないことが示され、この系でBRK−
1、BRK−2、およびBRK−3について以前に観察されたのと同様である(
F.Liu、F.Ventura、J.Doody、and J.Massag
ue、Molecular and Cellular Biology、15
:3479−3486(1995);B.L.Rosenzweig、T.Im
amura、T.Okadome、G.N.Cox、H.Yamashita、
P.Ten Dijke、C.−H.Heldin、and K.Miyazo
no、Proceedings of the National Acade
my of Science,U.S.A.、92:7632−7636(19
95);H.Yamashita、P.ten Dijke、D.Huyleb
roeck、T.K.Sampath、M.Andries、J.C.Smit
h、C.−H.Heldin、and K.Miyazono、J.Cell
Biology 130:217−226(1995))。しかし、以前の研究
では、ActRIIBタイプII受容体存在下におけるこれらのタイプI受容体
を通したBMPによるシグナル伝達については扱われておらず、本発明のデータ
によって、BRK−1+ACtRIIB2複合体はBMP−4刺激による3TP
−Luxレポーター活性の増加を引き起こすが、BRK−1+ACtRIIB4
複合体は引き起こさないことが示される。これらのデータにより初めて、BRK
−1+ActRIIB2がこのアッセイにおけるBMPのためのシグナル伝達受
容体複合体を表すこと、およびActRIIB3およびActRIIB4アイソフ
ォームには存在しない(L.Attisano、J.L.Wrana,S.Ch
eifez、and J.Massague、Cell 68:97−108(
1992))ActRIIB1またはActRIIB2の細胞外膜近傍領域内の8
個のアミノ酸がこの活性に不可欠であることが示唆される。ここでの一濃度のB
MP−
4では、BRK−2+ActRIIB2はBRK−1+ActRIIB2で観察さ
れるよりもこのアッセイにおいて刺激発生が低いことも興味深い。第2の実験で
は、3TP−Luxおよびβ−ガラクトシダーゼレポーター構築物のほかに、B
RK−1+ActRIIB2あるいはBRK−1+ActRIIB4のいずれかを
同時発現したRIB細胞を用い、BMP−4に対する完全な用量−作用曲線を比
較する。この実験で、BRK−1+ActRIIB2複合体でのBMP−4に対
するEC50は6.4×10-11Mであるが、BRK−1+ActRIIB4複合体
では無視可能な作用しか生じないことが示される。
BMP−2およびBMP−4は両方ともBRK−1に結合するので(B.B.
Koenig et al.、Molecular and Cellular
Biology、14:5961−5964(1994))、3TP−Lux
レポーターアッセイにおいて、BRK−1+ActRIIB2複合体を通してB
MP−2がシグナル伝達を行うことができることを示す必要がある。このことは
第3の実験で示唆され、この第3の実験ではBMP−4のEC50は1.5×10-10
Mで、BMP−2のEC50は2.8×10-10Mであることが示される。この
実験によってさらに、これらの2つのリガンドについて類似した最大作用(5倍
)が示される。これらのデータから、BRK−1+ActRIIB2複合体はB
MP−2あるいはBMP−4のいずれかに対するシグナル伝達受容体複合体であ
り、これらのBMPリガンドは、この受容体複合体に類似した能力および効力を
表すことが示される。
実施例10 BMP受容体アゴニストおよびアンタゴニストの同定のためのシグナル伝達アッ セイにおけるmActRIIB2およびBRK−1の使用
BRK−1+ActRIIB2受容体のアゴニストである試験化合物は、BR
K−1およびActRIIB2受容体を3TP−Luxおよびβ−ガラクトシダ
ーゼ レポーター遺伝子と組み合わせて同時トランスフェクションしたRIB細
胞において、レポーター活性を増加させ、このことは、上記の実施例9でBMP
−2またはBMP−4について記述した通りに、ルシフェラーゼ酵素の活性化
によって生じたルシフェラーゼ活性のレベルは任意の光単位を介して定量され、
この任意の光単位はβ−ガラクトシダーゼ酵素の活性化によって生じた任意の光
単位によって基準化されている。この方法で、BRK−1およびActRIIB2
受容体を3TP−Luxおよびβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子と組み
合わせて同時トランスフェクションして発現しているRIB/L−17細胞を、
上記の実施例4および9で述べた通りに作製し、種々の濃度の未知の薬剤に暴露
して、上記の実施例9でBMP−2およびBMP−4について述べた通りに、ル
シフェラーゼ酵素の活性化によって生じたルシフェラーゼ活性の適当な光単位に
よって定量し、この光単位はβ−ガラクトシダーゼ酵素の活性化によって生じた
適当な光単位に基準化されている細胞評価を行う。3TP−Luxおよびβ−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子と組み合わせて、BRK−1+ActRIIB2受容体を
発現しているRIB/L−17において活性を生じ、3TP−Luxおよびβ−
ガラクトシダーゼ遺伝子だけを発現するRIB/L−17細胞においては活性を
生じない化合物は、BRK−1+ActRIIB2受容体複合体のアゴニストと
して作用すると言える。
アンタゴニスト活性を試験するために、試験化合物を、固定濃度のBMP−4
または他のBMP受容体アゴニストの存在下で、3TP−Luxおよびβ−ガラ
クトシダーゼ遺伝子と組み合わせてBRK−1+ActRIIB2受容体を発現
しているRIB/L−17細胞に添加する。BRK−1+ActRIIB2複合
体のアンタゴニストである試験化合物は、試験化合物がない場合にBMP−4ま
たは他のBMP受容体アゴニストに暴露した細胞で観察される活性と比較した場
合、3TP−Lux構築物のレポーター活性を減少させるであろう。このことは
、実施例9でBMP−2またはBMP−4について記述した通りに、ルシフェラ
ーゼ酵素の活性化によって生じるルシフェラーゼ活性のレベルが任意の光単位レ
ベルによって定量され、この光単位はβ−ガラクトシダーゼの活性化によって生
じる任意の光単位で基準化されている。
この明細書で援用したRosenbaumによる米国特許出願第08/462
,467号は、本明細書で援用したRosenbaumおよびNohnoによる
米国特許出願第08/334,179号(1994年11月4日申請)の開示を
補
うために用いる。本明細書で上記に記述した全ての刊行物を、本明細書で援用す
る。
本明細書で記述した実施例および実施形態は例示することのみを目的としてお
り、それらに照らし合わされる種々の修飾または変更は当技術範囲で習熟された
ものであり、本出願の趣旨および範囲、ならびに添付のクレームの範囲に含まれ
るものとする。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
// C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.化合物が、BMP受容体キナーゼタンパク質複合体に結合することが可能で あるかを測定する方法であって、該複合体は、 a)BMPと、 b)BRK−2(配列番号16)もしくはBRK−1(配列番号14)、BRK −2の可溶性フラグメント、BRK−1の可溶性フラグメント、BRK−1の不 完全な受容体キナーゼフラグメント、またはBRK−2の不完全な受容体キナー ゼフラグメントから選択されたBMP受容体キナーゼタンパク質と、 c)配列番号2もしくは配列番号4の124〜131のアミノ酸を含むActR IIB受容体、その可溶性フラグメントまたはその不完全な受容体キナーゼフラ グメントから成り、 前記方法が、該化合物を含む試料を該複合体に導入して、該化合物を該複合体 に結合させることを含む方法。 2.BMP受容体キナーゼタンパク質BRK−1をコードするDNA配列である 配列番号13、その可溶性フラグメントをコードするDNA配列、またはその不 完全な受容体キナーゼフラグメントをコードするDNA配列を含む発現ベクター と、配列番号1または配列番号3から選択されたActRIIBタンパク質をコ ードするDNA配列、その可溶性フラグメントをコードするDNA配列、または その不完全な受容体キナーゼフラグメントをコードするDNA配列を含む発現ベ クターとを同時トランスフェクションした細胞を用いて、BMP結合を測定する 、請求項1に記載の方法。 3.BMP受容体キナーゼタンパク質が、配列番号14のアミノ酸配列を有する BRK−1、BRK−1の可溶性フラグメント、またはBRK−1の不完全な受 容体キナーゼフラグメントと、配列番号16のアミノ酸配列を有するBRK−2 、BRK−2の可溶性フラグメント、またはBRK−2の不完全な受容体キナー ゼフラグメントとから選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 4.ActRIIBタンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列を有するActR IIB1、配列番号4のアミノ酸配列を有するActRIIB2、その可溶性フラ グメント、またはその不完全な受容体キナーゼフラグメントである、前記請求項 のいずれか1項に記載の方法。 5.BMPがBMP−2またはBMP−4である、請求項1に記載の方法。 6.BMP受容体キナーゼタンパク質BRK−1をコードするDNA配列である 配列番号13、その可溶性フラグメントをコードするDNA配列、またはその不 完全な受容体キナーゼフラグメントをコードするDNA配列を含む発現ベクター と、配列番号1または配列番号3から選択されたActRIIBタンパク質をコ ードするDNA配列、その可溶性フラグメントをコードするDNA配列、または その不完全受容体キナーゼフラグメントをコードするDNA配列とを含む発現ベ クターを同時トランスフェクションした宿主細胞であって、これらのタンパク質 またはフラグメントが前記請求項のいずれか1項に記載の方法において有用であ ることを特徴とする宿主細胞。 7.a.リガンドを含む臨床試料をBMP受容体キナーゼタンパク質複合体およ び標識BMPと共に組み合わせることと、 b.試料存在下で標識BMPを複合体に結合させることと、 c.既知濃度のBMPリガンドを用いて作成した標準曲線と比較することとを 含む、臨床試料中のBMP受容体リガンドの濃度を測定する方法であって、 BMP受容体キナーゼタンパク質複合体が、BRK−2(配列番号16)もし くはBRK−1(配列番号14)、BRK−2の可溶性フラグメント、BRK−1 の可溶性フラグメント、BRK−1の不完全受容体キナーゼフラグメント、また はBRK−2の不完全受容体キナーゼフラグメントから選択されるBMP受容体 キナーゼタンパク質と、配列番号2または配列番号4の124〜131のアミノ 酸、その可溶性フラグメント、またはその不完全な受容体キナーゼフラグメント を含むActRIIB受容体とから成ることを特徴とする方法。 8.BMP受容体キナーゼタンパク質BRK−1をコードするDNA配列である 配列番号13、その可溶性フラグメントをコードするDNA配列、またはその不 完全な受容体キナーゼフラグメントをコードするDNA配列を含む発現ベクター と、配列番号1または配列番号3から選択されたActRIIBタンパク質をコ ードするDNA配列、その可溶性フラグメントをコードするDNA配列、または その不完全受容体キナーゼフラグメントをコードするDNA配列とを含む発現ベ クターを同時トランスフェクションした細胞を用いて、BMP結合を測定する、 前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 9.BMP受容体キナーゼタンパク質が、BRK−2の可溶性フラグメントまた はBRK−1(配列番号14)であるか、BRK−1の可溶性フラグメントまた はBRK−2(配列番号16)である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法 。 10.試験化合物がBMP受容体タンパク質複合体への結合においてシグナルを 発生するかどうかを測定する方法であって、 (a)BMP、BMP受容体キナーゼタンパク質BRK−2(配列番号15) もしくはBRK−1(配列番号13)、または配列番号2もしくは配列番号4の1 24〜131のアミノ酸をコードしているDNAを含むActRIIB受容体を コードしているDNAをトランスフェクションしてあるBMP受容体タンパク質 複合体発現細胞を32Pで標識する工程と、 (b)(i)試験化合物の存在下で第1組の該細胞の培養を行う工程と、 (ii)試験化合物の非存在下で第2組の該細胞の培養を行う工程と、 (c)工程(b)で得られたリン酸化タンパク質をオートラジオフラフィーに より定量する工程と、 (d)工程(c)によって定量された第1組の細胞のリン酸化タンパク質の量 を、工程(c)によって定量された第2組のリン酸化タンパク質の量と比較する 工程と を含む方法。 11.試験化合物がBMP受容体タンパク質複合体への結合においてシグナルを 発生するかどうかを測定する方法であって、 (a)BMP、BMP受容体キナーゼタンパク質BRK−2(配列番号15) もしくはBRK−1(配列番号13)、または配列番号2もしくは配列番号4の1 24〜131のアミノ酸をコードしているDNAを含むActRIIBをコード するDNA配列をトランスフェクションしてあるBMP受容体タンパク質複合体 発現細胞に、β−ガラクトシダーゼ遺伝子と共にルシフェラーゼレポーターをト ランスフェクションすることと、 (b)(i)試験化合物の存在下で第1組の該細胞の培養する工程と、 (ii)試験化合物の非存在下で第2組の該細胞の培養する工程と、 (c)任意の光単位によって、工程(b)で生成したレポーター構築体の刺激 により得られるルシフェラーゼ酵素の活性化により生じたルシフェラーゼ活性の レベルを定量する工程と、 (d)工程(c)で定量された第1組の細胞由来の任意の光単位の量を、工程 (c)で定量された第2組の細胞由来の任意の光単位の量と比較する工程と を含む方法。
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