JP2002367869A - タンタルコンデンサおよびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
タンタルコンデンサおよびエポキシ樹脂組成物Info
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Abstract
いためタンタルコンデンサ周辺部への汚染が少なく、修
理やリサイクル性、さらに使用時の安全性が向上し、加
えて廃棄物の焼却や焼却灰の埋め立て処理での環境負荷
を低減したタンタルコンデンサを提供することを目的と
する。 【解決の手段】 エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹
脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)および
硬化した熱硬化性の樹脂で表面被覆処理された水酸化ア
ルミニウム(E)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物
を用いて、タンタルコンデンサを封止する。
Description
脂組成物で封止したタンタルコンデンサに関する。より
詳細には、難燃性にすぐれ、焼損時にも安全性が高く、
周囲汚染の少なく、加えて、燃焼や埋め立てなどの廃棄
後に環境汚染の少ない環境調和性に優れるタンタルコン
デンサに関する。また、電気・電子部品用途、特にタン
タルコンデンサに好適な封止用の難燃性エポキシ樹脂組
成物に関する。
やLSI等の集積回路に代表される電子部品類は、主に
エポキシ樹脂組成物をトランスファーモールド等で硬化
成形して製造されている。一般に、電子部品の樹脂封止
で用いるエポキシ樹脂組成物は燃え易く、火災時の安全
性を確保するために、UL安全規格によって難燃性の付
与が義務付けられており、各種の難燃剤が加えられてい
る。
(TBBA)に代表される臭素を含有するハロゲン系の
難燃剤が広く利用されており、難燃助剤として三酸化ア
ンチモンが併用されている。ハロゲン系の難燃剤は、燃
焼時にハロゲン化水素を発生させラジカル捕捉剤として
作用すると同時に、その一部は比重の大きなハロゲン化
アンチモン化合物へと変化し、これが揮発することで生
じる酸素遮蔽効果との相乗作用によって延焼を防止する
と考えられている。
やリン酸エステルが広く用いられており、これらは燃焼
時にポリリン酸を形成し、これが樹脂燃焼面の炭化膜を
被覆することで熱や酸素、または、可燃性ガスの供給を
遮断すると共に、形成されるリン酸化合物による炭化促
進作用との相乗効果によって、延焼を防止すると考えら
れている。
エポキシ樹脂組成物は、燃焼時の発煙量が多く、不完全
な焼却処理では有害な有機臭素化合物(具体的にはハロ
ゲン化したダイオキシン類)へと変化する問題があっ
た。また、難燃助剤の三酸化アンチモンは慢性毒性を示
す劇物であり、電子部品を製造する工程排水の水処理が
必要であることや、埋め立てた廃棄物が地下水を汚染す
る危険性があった。加えて、ハロゲン化合物を含む封止
樹脂は、電子部品を高温で使用する際の信頼性を低下さ
せる問題があり、この現象はハロゲンやアンチモンが高
温時に半導体装置の金属腐食を促進するためと考えられ
ている。
リン化合物を含有する難燃性のエポキシ樹脂組成物は、
ハロゲン化合物と同等の高い難燃性付与効果を示す反
面、微量の水分と反応してホスフィンや腐食性のリン酸
を生じるので耐湿性に問題があった。従って耐湿性に対
する要求水準の特に厳しい電子部品の封止や積層板など
の電子機器材料用途には、十分な物性を得ることが難し
かった。加えて、有機リン化合物を利用する場合には、
製品を使用する際に徐々に揮発する場合があり、使用環
境の安全性に対する問題があった。また、燃焼時の発煙
量は、ハロゲン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物に
対しては低下するが、有害なリン化合物を含有すること
を考慮すると必ずしも安全性は十分ではなかった。
は、それ自体が無毒であり燃焼時に有害ガスの発生が無
く、埋め立て後の土壌や地下水汚染の心配の無い金属水
酸化物の利用技術がある。具体的には、従来技術(特開
2000−265040号公報、特開平10−2797
82号公報)の様に、金属水酸化物の高充填によるエポ
キシ樹脂硬化物の難燃化技術が知られている。しかし、
金属水酸化物の添加と高充填は、エポキシ樹脂硬化物の
熱膨張率を増加させ、樹脂硬化物の耐熱分解性を低下さ
せること、加えて、エポキシ樹脂の硬化反応を阻害し迅
速な硬化成形が妨げられることなどの問題があり、電子
部品用途への利用できなかった。
ては、金属水酸化物の表面を熱硬化性樹脂によって被覆
して利用する技術(特開平11−228792号公報)
が考案されており、この従来技術によれば、エポキシ樹
脂組成物の速硬化を実現し、樹脂硬化物はUL94難燃
規格でV−0の高度な難燃性を達成できる。しかしなら
が、リン化合物を利用する点で、完全な脱ハロゲン、お
よび脱リンで難燃性を実現したエポキシ樹脂組成物では
なかった。
硬化物で封止された電気・電子部品としては、トランジ
スタ、LSI等の他にもいくつかの部品が知られてい
る。その中でも特にタンタルコンデンサは、陽・陰極間
でのショート故障、すなわち焼損時に外装のモールド樹
脂が激しく燃焼する問題がある。
中および使用中の両方の場合に生じることがあり、ショ
ート事故が製品検査中に生じた場合は、発生する煙や煙
に含まれる煤の付着によって、検査をパスした正常な製
品まで汚染されて廃棄せざるを得なくなる。また、ショ
ート事故が使用中に生じた場合には、焼損時の燃焼で発
生した多量の煙により、タンタルコンデンサに隣接する
正常な電子部品や回路パターンの品質や性能を損なうの
で、リサイクルやリユースの妨げとなる。また、使用中
の発煙や発火は、危険性がほとんどない場合であって
も、ユーザーに多大な不安を与えるので好ましくない。
ばLSIやトランジスタでは、タンタルコンデンサで生
じるような激しい焼損が生じないため、故障時の発煙や
周囲の汚染が問題にされることはなかった。
デンサにおいても小型で高容量を進めるに従い、上記問
題は潜在的により大きくなって来ていると言えるが、現
在までのところ、発煙量が少なくかつ環境負荷の少ない
タンタルコンデンサについての提案は全くなされていな
かった。本発明者の検討では特に、従来のハロゲン化合
物やリン化合物を含有するエポキシ樹脂組成物で封止さ
れたタンタルコンデンサは、特に多量の煙を発生し、周
囲を汚染する問題がある。また、煙には有害な臭素化合
物やリン化合物が煙に含まれるので、廃棄物の焼却によ
る大気汚染、焼却残渣の埋め立てによる土壌汚染、およ
び、地下水汚染の危険性があり、環境負荷が高いという
問題もある。
されたものであり、故障時(焼損時)の発煙量が少ない
ためタンタルコンデンサ周辺部への汚染が少なく、修理
やリサイクル性、さらに使用時の安全性が向上し、加え
て廃棄物の焼却や焼却灰の埋め立て処理での環境負荷を
低減したタンタルコンデンサを提供することを目的とす
る。
にタンタルコンデンサに好適な封止用の難燃性エポキシ
樹脂組成物であって、臭素系の難燃剤やリン系の難燃剤
およびアンチモン系の難燃助剤も用いることなく高度な
難燃性を達成し、同時に実用水準の速硬化性や流動性を
保持しながら、熱膨張率の低い樹脂硬化物を与える電気
・電子部品封止用途の難燃性のエポキシ樹脂組成物を提
供することを目的とする。
組成物の硬化物で封止されたタンタルコンデンサであっ
て、このエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、
フェノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填
材(D)および硬化した熱硬化性の樹脂で表面被覆処理
された水酸化アルミニウム(以下、表面処理水酸化アル
ミニウムという。)(E)を必須成分とすることを特徴
とするタンタルコンデンサに関する。
その硬化物0.1gを、温度750℃、空気流量0.5
L/分に設定したJIS−K7217に準拠の加熱炉へ
投入しスパークさせながら1分間の加熱および燃焼させ
たときの平均発煙量が、光散乱積分方式のデジタル粉塵
計を用いた計測値として平均粒子径0.3ミクロンのス
テアリン酸粒子による校正値1500CPM以下となる
ものを用いることが好ましい。これは、タンタルコンデ
ンサが焼損する際の汚染量は、エポキシ樹脂硬化物の燃
焼または高温加熱時の発煙量と密接に関係しており、発
煙量が多いほど汚染量も増加する傾向にある。従って、
樹脂の発煙量が上記の範囲を満たすようにすることで、
焼損時しても周囲の汚染量の少ないタンタルコンデンサ
が得られる。
ゲン系の難燃剤、リン系の難燃剤、アンチモン系の難燃
助剤を用いなくとも高度な難燃性を達成することができ
る。
ポキシ樹脂組成物が、さらに金属アンモニウム塩(F)
を必須成分として含むことが好ましい。
ェノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材
(D)、表面処理水酸化アルミニウム(E)および金属
アンモニウム塩(F)を必須成分とすることを特徴とす
る電気・電子部品封止用途の難燃性のエポキシ樹脂組成
物に関する。この金属アンモニウム塩を含有するエポキ
シ樹脂組成物は、難燃性用途の樹脂組成物として新規で
あり、タンタルコンデンサのみならず、LSI、IC、
トランジスタ等の半導体装置を含む電子・電気部品の封
止用途に広く使用することができる。
ンタルコンデンサが焼損する際の汚染量は、封止樹脂の
組成によって変化することを見出した。即ち、従来のタ
ンタルコンデンサは、難燃剤としてリン化合物やハロゲ
ン化合物を含有するエポキシ樹脂で封止されているた
め、焼損時に多量の煙を発生する。また、同一の発煙量
に換算した場合の汚染量は、ハロゲン化合物、リン系化
合物を含有する順に多い。
サでは、リン化合物やハロゲン化合物を含まず、表面処
理水酸化アルミニウムを含有していることにより焼損時
の煙の発生が抑えられ、有害なハロゲン化合物やリン化
合物の発生も無いので、安全性や環境調和性を向上させ
ることができる。
ニウム塩を含んでいる場合は、エポキシ樹脂組成物の流
動性を低下させ、加えてエポキシ樹脂硬化物の熱膨張率
を増加させる水酸化アルミニウムの添加量を、焼損時に
タンタルコンデンサから発生する煙の量を増加させるこ
となく、高度な難燃性を保持しながら減らすことができ
る。
のエポキシ樹脂組成物の流動性やエポキシ樹脂硬化物の
熱膨脹率、および、難燃性のバランスを良好に保ちなが
ら、同時に焼損時の汚染量を減少させることができる。
説明する。
封止で用いられるエポキシ樹脂材料であれば特に限定さ
れるものではなく、一般に用いられる、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ビスフェノールS型エポキシ樹脂を利用出来る。またノ
ボラック型のエポキシ樹脂としては、例えば、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポ
キシ樹脂、フェノールフェニレンアラルキル型エポキシ
樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型エポ
キシ樹脂、ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂、
アントラセン含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニ
レン含有ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン含有ノ
ボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン含
有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS含有ノ
ボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF含有ノボラ
ック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含有ノボラック
型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、アリル基や炭素
数が2〜5のアルキル基等で変性させた液状タイプのエ
ポキシ樹脂、具体的には、ジアリルビスフェノールA型
エポキシ樹脂などの利用も可能である。これらのエポキ
シ樹脂は、その使用にあたって一種類に限定されるもの
ではなく、二種類以上の併用も可能である。
ール性水酸基を有するフェノール系樹脂である限り、特
に限定されるものではない。例えば、フェノールノボラ
ック樹脂、フェノールフェニルアラルキル樹脂、フェノ
ールビフェニルアラルキル樹脂、クレゾールノボラック
樹脂、あるいは、α−ナフトール、β−ナフトール等の
ナフトール類、ビスフェノールフルオレン型フェノー
ル、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノ
ール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチル
フェノール等のアルキルフェノール、ビスフェノール
A、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシ
ン、カテコール等の多価フェノール類、フェニルフェノ
ール、アミノフェノール等が挙げられる。上記フェノー
ル系樹脂以外に、その他のフェノール系樹脂やアミン系
化合物を組み合わせて使用することができる。併用でき
るフェノール系樹脂は、特に限定されるものではない
が、例えば、フェノールビフェニルトリアジン型樹脂、
フェノールフェニレントリアジン型樹脂、フェノールト
リアジン型樹脂、ビフェニル−4,4’−ジヒドロキシ
ルエーテールと3,3’,5,5’−テトラメチルビフ
ェニル−4,4’−ジヒドロキシルエーテル、テトラフ
ェニロールエタン、トリスフェニロールエタン、フェノ
ールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビス
フェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフ
ェノールS型樹脂、ポリフェノール型樹脂、脂肪族フェ
ノール系樹脂、芳香族エステル型フェノール系樹脂、環
状脂肪族エステル型フェノール系樹脂およびエーテルエ
ステル型フェノール系樹脂等が挙げられる。また、アリ
ル基や炭素数が2〜5のアルキル基等で変性させた液状
タイプのフェノール樹脂、具体的には、アリル変性フェ
ノールノボラック樹脂、アリル変性フェノールフェニレ
ンアラルキル樹脂、アリル変性フェノールビフェニルア
ラルキル樹脂、アリル変性フェノールジフェニルエーテ
ルアラルキル樹脂などの利用も可能である。これらのフ
ェノール樹脂は、その使用にあたって一種類に限定され
るものではなく、二種類以上の併用も可能である。
フェノ−ル性水酸基との硬化反応を促進させるものであ
れば使用できるが、ハロゲン化合物およびリン化合物を
含まないものが好ましく、特にイミダゾール系化合物が
好ましい。イミダゾール系化合物の使用により樹脂硬化
物に対しては高いガラス転移温度(Tg)を保持しなが
ら、完全にハロゲン化合物、アンチモン化合物およびリ
ン化合物を含有しない難燃性のエポキシ樹脂組成物を提
供できる。
2,3−ジヒドロ1H−ピロロ−(1,2−a)ベンズ
イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシ
ルイミダゾール、2−ヘプタシルイミダゾール、1,2
−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミ
ダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−
4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニル
イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、シア
ノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−
シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シア
ノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチ
ル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテ
イト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウ
ムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイ
ミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−
(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s
−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデ
シルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4
−ジアミノ−6−(2’−エチル−4−メチルイミダゾ
リル−(1))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジ
アミノ−6−(2’メチルイミダゾリル−(1’))−
エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フ
ェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチル
イミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−
4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニ
ル−4-メチル−5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1
−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シア
ノエトキシ)メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾ
リン、2−フェニルイミダゾリン、1−ベンジル−2−
フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジア
ミノ−6−メタクリロイルオキシ−s−トリアジン、
2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジ
ンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタ
クリロイルオキシ−1,3,5−トリアジンイソシアヌ
ル酸付加物などのイミダゾール化合物、およびこれらの
変性物などが挙げられるが。特に、2−フェニル−4−
メチルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミ
ダゾールは、樹脂組成物の混練温度付近での熱安定性に
優れ、同時にエポキシ樹脂の速硬化性が得られ、エポキ
シ樹脂やフェノール系樹脂との相溶性にも優れる点で好
ましい。また2種類以上を混合しての利用も可能であ
る。
に一般に使用されている公知の各種無機充填材を使用す
ることができる。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコ
ン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化
ケイ素、窒素化ホウ素、タルク、酸化チタン、ジルコニ
ア等の粉末、及びガラス繊維、カ−ボンファイバ−等の
繊維が挙げられる。この中でも、シリカが好ましく、半
導体等の封止樹脂に一般に使用されている溶融シリカや
結晶質シリカの粉体が好ましい。また、これらの粉体は
破砕形や球状形を利用することができ、異なる形状物の
混合比率や粒度分布は特に限定されない。無機質充填剤
は、単独または2種以上を併用することができる。特に
シリカを、その他の無機充填材の1種または2種以上と
共に混合して用いる方が特性上より実用的であり好まし
い。
れた水酸化アルミニウム(E)の原料として用いられる
水酸化アルミニウムは、その粒子径、比表面積、結晶形
態によって制限されるものではなく、通常は、平均粒子
径が0.5μm〜100μm、好ましくは1μm〜50
μmである。不純物のナトリウム(Na2O)含有濃度
は出来る限り低い値であることが望ましく、好ましくは
0.1重量%未満であることが望ましい。Na2O濃度
が0.1重量%を超えると水酸化アルミニウム自身の熱
分解開始温度の低下が顕著となり、水酸化アルミニウム
を含有したエポキシ樹脂硬化物の耐熱分解性を低下させ
る傾向がある。
硬化性の樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック
型のエポキシ樹脂などが利用でき、その化学構造に限定
はない。水酸化アルミニウムの表面処理方法には、乾式
法や湿式法などを用いることが出来、水酸化アルミニウ
ムの重量に対して0.1重量%〜30重量%の範囲で付
着させ、その後、加熱処理して樹脂硬化させることによ
って、硬化したエポキシ樹脂で表面処理を施した水酸化
アルミニウムの紛体が得られる。なお、本発明のエポキ
シ樹脂組成物、および、このエポキシ樹脂組成物で封止
した電子部品は、水酸化アルミニウムの表面処理方法の
違いによって制限されるものではない。
割合は、金属アンモニウム塩を含まない場合には、エポ
キシ樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)、硬化促進剤
(C)、無機充填材(D)の合計100重量部に対して
25重量部(20重量%)以上かつ50重量部(33.
3重量%)未満であることが好ましい〔カッコ内は成分
(A)〜(E)の合計を100重量%としたときの割合
である。〕。表面処理水酸化アルミニウムの添加量を増
やすほどより一層の発煙量の低減効果が期待できる。し
かしながら、水酸化アルミニウムの添加量の増加は、エ
ポキシ樹脂組成物の粘度を上昇させ、エポキシ樹脂硬化
物の熱膨脹率を顕著に増大させ、また樹脂硬化物の耐熱
分解性が低下し易いなどの問題が生じるので、電気・電
子部品の封止用途では、これらの諸特性によって制限さ
れる。
(E)の配合割合を、上記範囲にすると、エポキシ樹脂
組成物の速硬化性と高度な難燃性を達成しながら、水酸
化アルミニウムの添加によるエポキシ樹脂硬化物の熱膨
張係数の上昇を抑えることができるので好ましい。
ニウム(E)の合計配合割合は、金属アンモニウム塩を
含まない場合には、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、
および、硬化促進剤の合計100重量部に対して150
重量部(60重量%)以上かつ500重量部(83.3
重量%)以下、さらに240重量部(70重量%)以上
かつ500重量部(83.3重量%)以下がより好まし
い〔カッコ内は成分(A)〜(E)の合計を100重量
%としたときの割合である。〕。成分(D)と成分
(E)の添加量が少なすぎる場合には十分な難燃性が得
られず、難燃性を補強するために成分(E)の配合割合
を高くし過ぎると、樹脂硬化物の熱膨張率を著しく増加
させるなどの問題がある。加えて、成分(D)と成分
(E)の合計配合が多すぎる場合は、樹脂硬化物の難燃
性の向上と熱膨脹率が低減する反面、樹脂組成物の流動
性が著しく低下するので実用的な流動性(成形性)が得
られない。従って、上記範囲は、エポキシ樹脂組成物の
高い流動性を保持しながら、エポキシ樹脂硬化物の熱膨
張率の上昇が抑えられるので好ましい。
を含む場合に使用される金属アンモニウム塩(F)とし
ては、例えば、タングステン酸アンモニウム、モリブデ
ン酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモ
ニウム、過マンガン酸アンモニウム、重クロム酸アンモ
ニウム、リン酸亜鉛アンモニウム、シュウ酸アンモニウ
ム、硫酸鉄アンモニウム、チタン酸アンモニウムおよび
硫酸ニッケルアンモニウム等を挙げることができる。
水酸化アルミニウムとの併用時の難燃および減煙効果と
共に、安全性(毒性)、取り扱い性(低水溶性等)、安
定性等を勘案して選択することが好ましい。特に好まし
いものとしてタングステン酸アンモニウムが挙げられ
る。タングステン酸アンモニウムとしては、パラタング
ステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウ
ムの粉体を用いることができる。特に、難水溶性のパラ
タングステン酸アンモニウムが樹脂硬化物の特性上好ま
しい。
すぎると、難燃・減煙の効果が十分でなく、また多すぎ
てもそれ自身の熱分解によって発生する水やアンモニア
ガスの影響で成形物に気泡が生じる場合があり実用的で
ないので、用いる種類に合わせて適宜配合割合を選択す
るのが好ましい。一般的(タングステン酸アンモニウム
を用いる場合など)には、配合割合は、エポキシ樹脂
(A)、フェノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、
シリカ無機充填剤(D)および表面処理水酸化アルミニ
ウム(E)の合計100重量部に対して0.1重量部
(0.1重量%)以上かつ20重量部(16.7重量
%)が好ましい〔カッコ内は成分(A)〜(E)の合計
を100重量%としたときの割合である。〕。この配合
によって、難燃・減煙の効果を保ちながら、表面処理水
酸化アルミニウム(E)の添加量を低減でき、その結
果、樹脂硬化物の熱膨張係数の上昇をさらに抑えること
ができる。特に、1重量部以上かつ5重量部以下で配合
することが好ましい。
アンモニウム塩(F)の合計配合割合は、エポキシ樹脂
(A)、フェノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、
および無機充填材(D)の合計100重量部に対して2
5重量部以上かつ50重量部未満であることが好まし
い。
(E)、金属アンモニウム塩(F)および無機充填材
(D)の合計配合割合が、エポキシ樹脂(A)、フェノ
ール系樹脂(B)および硬化促進剤(C)の合計100
重量部に対して150重量部以上かつ500重量部以下
であることが好ましい。
(B)の配合比は、フェノール系樹脂の水酸基の合計数
(OH)に対する、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数
(Ep)との比(OH/Ep)が0.7〜2.5である
ことが望ましく、より好ましくは前記の官能基の比OH
/Epが1.0であることが望ましい。前記の官能基の
比OH/Epが0.7に満たない場合には、前記硬化物
中の硬化剤とエポキシ樹脂が形成した架橋構造に残余し
ている未反応基に由来する可燃成分の発生量が増加する
ことから、難燃性の向上を阻害する可能性がある。ま
た、前記OH/Epが2.5を超える場合には、前記エ
ポキシ樹脂と硬化剤を反応させてなる前記硬化物の架橋
密度が著しく低下することによって、硬化物の耐熱性や
強度が不足する場合がある。
添加剤、例えば、カルナバワックスなどの離型剤、カー
ボンブラック等の着色剤、およびシランカップリング剤
などの表面処理剤などを含有させることができる。さら
に、タンタルコンデンサの素子と封止樹脂のガラス転移
温度や熱膨脹率の違いに起因する応力によって生じる素
子と封止樹脂との界面剥離を抑制させるために、低応力
剤、応力緩和剤、あるいは、低弾性率化剤を必要に応じ
て任意に加えることが可能であり、例えばシリコーン化
合物が利用でき、その化学構造は限定されない。これら
の微量添加剤は、製品の製造工程の管理や製品の基本性
能を保持するために補助的に用いられるものであり、こ
れらの使用や組み合わせによって本発明は制限を受けな
い。
造中にフェニレンやビフェニルレン基を含有する樹脂の
利用では、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度が減少するの
で、高温加熱時にゴム状となり応力吸収機能を付与でき
るので、前述の応力緩和剤や低弾性率化剤の添加量の低
減が期待できる。
217のプラスチック燃焼ガスの分析方法で規定の燃焼
炉を用いて測定できる。発煙量を計測するデジタル粉塵
計は、平均粒子径が0.3ミクロンのステアリン酸粒子
で校正されたものを用い、1分間に計測される煙の計測
数、単位CPM(Count Per Minute)
として与えられる。発煙量の比較はこの実測値を用い合
計5回の計測値の平均値を平均発煙量とする。
拠することで測定できるが、僅かな測定条件の変化によ
って変動する場合があるので、以下の樹脂硬化物を標準
試料とし、その平均発煙量との相対値を比較に用いるこ
とが出来る。即ち、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂17.1重量部、フェノールノボラック型樹脂9.4
重量部、シリカ粉体42重量部、熱硬化性樹脂で表面処
理した水酸化アルミニウム30重量部、硬化促進剤0.
2重量部、カルナバワックス0.5重量部、カップリン
グ剤0.8重量部の合計100重量部からなるエポキシ
樹脂組成物の硬化物を標準試料とする。この平均発煙量
は822CPMなので(実施例3)、本発明で規定の発
煙量1500CPMとの相対値は1.82である。従っ
て、前記の標準試料の発煙性試験で得られる平均発煙量
を1とし、その1.82倍以下のエポキシ樹脂硬化物
は、本発明の発煙量が1500CPM以下のエポキシ樹
脂硬化物と同等とみなされる。
について説明する。本発明を適用しうるタンタルコンデ
ンサは、樹脂で封止・外装されている公知の固体タンタ
ルコンデンサであれば制限はなく、例えば特開平7−2
2288号公報、特開平7−22283号公報に記載さ
れている。図1(斜視図)、図2(断面図)に示すよう
に、陽極体9は、タンタル粉末を加圧成形後、焼結して
形成され、その表面には誘電体層として、陽極酸化等に
より酸化皮膜層が形成されている。そして、陽極体の外
側に対向電極として、例えば二酸化マンガン層等の半導
体層とその周囲に銀ペースト等で陰極層1が設けられ、
導電性接着剤3等によって、外部陰極リード2に接続さ
れている。陽極側の取り出しは、予め陽極体9に埋め込
まれたタンタル引き出し線10とそれに接続された外部
陽極リード6によって行われる。これらの構造は、封止
材5により外装されている。
材5が、前記のエポキシ樹脂組成物の硬化物で形成され
るものである。
の焼結体の表面が酸化されて誘電体層として機能し、樹
脂により封止・外装されているものであれば特に制限は
なく、種々の変形・改良されたものを含む。形状として
も、図1、図2には、表面実装型のチップ型コンデンサ
を示したが、この形状に制限されるものではない。
樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、表
面処理水酸化アルミニウム(E)および金属アンモニウ
ム塩(F)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は、こ
れまで説明してきたように、タンタルコンデンサの封止
樹脂として好ましく用いることができるが、ICやLS
Iなどの集積回路、トランジスタやダイオード等の電子
部品、及び、これらの電子部品を使用する半導体装置へ
も利用できる。タンタルコンデンサ用途以外に使用する
ときは、それぞれの用途に合わせて組成、組成比、添加
材等について適宜決めることができるが、通常は前述の
タンタルコンデンサの用途と同様に決めればよい。
を具体的に説明するが、本発明はこれらの実験例および
実施例に限定されるものではない。
て説明する。
ルビフェニルアラルキルエポキシ樹脂(エポキシ当量
273g/eq)。
ルフェニルアラルキルエポキシ樹脂(エポキシ当量 2
36g/eq)。
ルボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量194g/e
q)。
ノールビフェニルアラルキル樹脂(活性水素当量205
g/eq)。
ノールフェニルアラルキル樹脂(活性水素当量175g
/eq)。
ノールノボラック樹脂(活性水素当量107g/e
q)。
イミダゾール 無機充填材 : 破砕シリカ(平均粒子径18.5μ
m) 表面処理水酸化アルミニウム:硬化したビスフェノール
F型エポキシ樹脂で表面被覆処理品(中心粒子径16μ
m、Na2O含有濃度0.06%) 未処理水酸化アルミニウム:水酸化アルミニウム(中心
粒子径12.4μm、Na2O含有濃度0.06%) カップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン 臭素系の難燃剤:テトラブロモビスフェノールA 難燃助剤:三酸化アンチモン リン系の難燃剤:赤リン タングステン酸アンモニウム:パラタングステン酸アン
モニウム
ルフローは、成形温度175℃、成形圧力70kgf/
cm2、成形時間120秒の成形条件でMF−O型の成
形機を用いて測定した。
のゲルタイムは、155℃の熱板上で加熱しながら、流
動性が失われるまでの時間として測定し、2回の測定値
の平均値を平均ゲルタイムとした。
張率は、樹脂組成物を、トランスファー成形機を用い
て、165℃で120秒の条件で予備硬化させた後、1
50℃で5時間ポストキュアーさせた樹脂硬化物を用い
て、TMA測定によって求めた。
は、樹脂組成物を175℃で20分間プレス成形の後1
75℃で6時間ポストキュアーさせて板状の樹脂硬化物
を作製し、UL試験規格に準じた寸法に切断して、厚さ
1.6mmのUL試験片を作製して用いた。以下に、U
L94難燃性の判定基準の詳細を示す。
難燃規格に準じて測定し判定した。即ち、成形板の長さ
方向と地面が垂直になるように、サンプル支持具(クラ
ンプ)で成形板を固定する。次に、クランプと反対側の
成形板の端面にバーナーで10秒間接炎した後、バーナ
ーを遠ざけて成形板上に炎が残っている時間(残炎時
間、秒)を測定する(1回目の残炎時間=F1)。この
炎が消えたら、再度バーナーで10秒間接炎した後、バ
ーナーを遠ざけて、1回目と同じように残炎時間(2回
目の残炎時間=F2)を測定する。この試験を、一つの
樹脂硬化物につき5枚の成形板を用いて行い、難燃性を
評価した。ただし、難燃性の判定基準を最高のものから
最低のものの順に並べると、UL94V−0、V−1、
V−2、NOT V−2の順番になる。
の合計を示す。すなわち、1枚の成形板についてF1お
よびF2を測定し、これらを合計したものを1枚の成形
板の合計残炎時間Fとする。これを5枚の成形板につい
て測定して、さらに合計したものをΣFとした。) Fmax≦10秒 (Fmaxは、試験で得られたF1またはF2の中で最
長の残炎時間を示す。)ドリップ(接炎により硬化物が
液滴れする現象)なし、クランプまで燃えない。
ランプまで燃えない。
ランプまで燃えない。
きる。
きさに粉砕したエポキシ樹脂硬化物を所定量秤量し、一
定量の支燃ガスを流入させた電気炉加熱炉へ投入した後
スパークさせながら1分間の加熱および燃焼させ、この
際に発生する煙を光散乱積分方式のデジタル粉塵計を用
いて行う。以下に発煙量の測定条件、測定方法の詳細を
示す。
支燃ガス空気、支燃ガス流量0.50±0.05L/
分、試料形状は原則として3×3×3mm程度の粒状と
し、これらを数個合わせて0.1±0.01gとする。
また、燃焼管内での保持時間は10分とし、試料を炉内
へ挿入して1分間の間に発生する煙の量を計測する。
尚、燃焼管内での保持時間とは、燃焼管内に試料を設置
した直後から、試料を管内から取り出すまでの時間をい
う。尚、JIS K7217では、フィラーを含有する
樹脂サンプルは可燃物が0.1gとなる様に秤量すると
規定されているが、本発明では、無機物を含む樹脂サン
プルを0.1g秤量して用いる。これは、樹脂成分のみ
に着目するのではなく、無機物を含有した樹脂硬化物と
しての発煙量の比較を目的とするからである。
ス供給部は、燃焼のために必要な支燃ガスを供給する部
分で、支燃ガスの量、および、組成を任意に変化できる
ように構成されなければならない。また、空気、窒素、
および、酸素の流量をそれぞれ測定するための流量計を
備えていなくてはならない。
装置、および、試料皿保持装置などから構成され、着火
時間、および、燃焼時間の測定、並びに、燃焼状態を観
察できる構造でなくてはならない。
の石英製を用い、下部に直径が5mmのアルミナ球を満
たしたものとし、点火装置および試料皿保持装置を備え
た石英製の蓋および付属の締め金具によって、密閉でき
るものでなくてはならない。
および保温できるものであれば特に限定されない。また
加熱炉には、着火時間、および、燃焼時間の測定、並び
に、燃焼状態を観察するための観察用窓を設けることが
できる。
燃焼管内の温度の測定ができるもので、熱電対、補償導
線、指示計などから構成されなくてはならない。尚、熱
電対は、JIS C1602の構成材料記号がKで、階
級記号0.4、素線径1.00±0.04mmのものを
使用する。
され、電極は試料皿保持装置を兼ね、試料の中央部の真
上で火花が発生できるものでなくてはならない。
5〜2.5mmの穴を10個以上持つものでなくてはな
らない。
加熱炉、点火装置、試料保持装置、および、試料保持皿
の詳細は、JIS K 7217のプラスチック燃焼ガ
スの分析方法に記載されており、基本的にこれらの条件
に準拠した装置が利用できる。
ス出口より、長さ25cmの耐熱チュ−ブを用いデジタ
ル粉塵計と接続して計測する。この際に、煙の粒子が冷
えて付着しない様に、耐熱チューブの外壁を150℃以
上に加熱保温することが望ましい。デジタル粉塵計は、
平均粒子径が0.3ミクロンのステアリン酸粒子で校正
されたものを用い、1分間に計測される煙の計測数、単
位CPM(Count Per Minute)として
与えられる。発煙量の比較はこの実測値を用い、合計5
回の計測値の平均値を平均発煙量とする。
測定]200×200mm角のプリント配線基板2枚を
用意する。その一枚の基板の中央にチップタンタルコン
デンサ(NEC製0J107型、定格電圧6.3V、静
電容量100μF)を1つ取り付け、チップタンタルコ
ンデンサの固定面を上にして基板を水平に固定し、もう
一枚のプリント配線基板を30mmの間隔を空けて平行
にセットする。タンタルコンデンサに定格電圧の2倍以
上の印加電圧、具体的には15Vの印加電圧を30秒間
加えて、タンタルコンデンサを意図的に焼損させる。そ
の際に発生する煙によって、向かい側のプリント配線基
板が汚染されるので、その汚染半径を測定して汚染量と
する。ここで、汚染半径とは、プリント配線基板上の中
央からの最大の汚染距離(単位mm)を汚染半径と定義
した。汚染の判断は基本的には目視で行い、プリント配
線基板の変色および煤の付着が認められる部分を汚染範
囲とした。目視による判定が難しい場合は、基板表面の
可視光の反射率が60%以下となる領域を汚染範囲とし
た。
ポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、破砕シリカ、表面処
理水酸化アルミニウムおよび微量添加剤をミキサーにて
予備混合した後、ロール表面温度100℃のミキシング
ロールを用いて5分間加熱混練して冷却の後、粉砕して
樹脂組成物を得た。各樹脂組成物の測定結果について表
1〜表4にまとめて示した。
樹脂組成で、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、破砕
シリカ、未処理水酸化アルミニウムおよび微量添加剤を
ミキサーにて予備混合した後、ロール表面温度100℃
のミキシングロールを用いて5分間加熱混練した後に冷
却し、粉砕して樹脂組成物を得た。各樹脂組成物の測定
結果について表5に示した。
較から、表面処理水酸化アルミニウムを用いたエポキシ
樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化反応を阻害すること
なく、実用的な速硬化性が得られることが分かる。
化物をより高度に難燃化させるには、樹脂構造中に耐熱
分解性に優れる、フェニレン基やビフェニレン基を含有
したエポキシ樹脂やフェノール系樹脂の利用や併用が有
利であることもわかる。
ングステン酸アンモニウム等の金属アンモニウム塩を併
用すれば、より少ない水酸化アルミニウムの添加量に対
しても高度な難燃性を保持できる。
キシ樹脂、フェノール系樹脂、硬化促進剤、および無機
充填材の合計100重量部に対して25重量部以上かつ
50重量部未満の範囲で配合することが好ましく、ま
た、シリカ等の無機充填材を併用する合計添加量として
は、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、および、硬化促
進剤の合計100重量部に対して150重量部以上、か
つ500重量部以下が好ましいことが分かる。
硬化物の発煙量 <実施例1〜4>表6に示した樹脂組成で、エポキシ樹
脂、硬化剤、硬化促進剤、破砕シリカ、表面処理水酸化
アルミニウムおよび微量添加剤をミキサーにて予備混合
した後、ロール表面温度100℃のミキシングロールを
用いて5分間加熱混練し、冷却の後、粉砕して樹脂組成
物を得た。
物をトランスファー成形機を用いて165℃で120秒
の条件で予備硬化させた後、150℃で5時間後硬化さ
せた後、この樹脂硬化物を5mm以下に砕き試験試料と
した。
て、チップタンタルコンデンサ(NEC製0J107
型、定格電圧6.3V、静電容量100μF)を作製し
た。
で、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、破砕シリカ、
表面未処理水酸化アルミニウムおよび微量添加剤を実施
例1と同様に処理して、発煙量試験用の試料およびタン
タルコンデンサを作製した。
であり、比較例3および4では臭素化ビスフェノールA
(TBBA)と三酸化アンチモンが難燃剤である。
キシ樹脂硬化物は、臭素系の難燃剤やリン系の難燃剤を
添加して難燃化したエポキシ樹脂硬化物と比較して、燃
焼時の発煙量が少なく、加えて、難燃剤の熱分解に由来
する有害物質も発生しないので安全性にも優れているこ
とが分かる。
キシ樹脂硬化物で封止されたタンタルコンデンサは、焼
損時の汚染範囲が小さく、周囲の汚染が少ないことが分
かる。
臭素系の難燃剤やリン系の難燃剤が添加されたエポキシ
樹脂硬化物で封止されているタンタルコンデンサと比べ
て、故障時(焼損時)の発煙量が少なく周辺部への汚染
が少なく、修理やリサイクル性が向上する。また、エポ
キシ樹脂組成物に添加した難燃剤が電子部品の使用環境
へ揮発することも無いので使用時の安全性も向上し、タ
ンタルコンデンサの廃棄物の焼却や焼却灰の埋め立て処
理での環境負荷を低減できる。
素系の難燃剤やリン系の難燃剤、アンチモン系の難燃助
剤を用いることなく、金属アンモニウム塩、表面処理水
酸化アルミニウムおよびシリカを併用することによって
高度な難燃性を達成し、同時に実用水準の速硬化性や流
動性を保持しながら、熱膨張率の低い樹脂硬化物が得ら
れる。
る。
る。
Claims (18)
- 【請求項1】 エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止され
たタンタルコンデンサであって、 このエポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、フェ
ノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材
(D)および硬化した熱硬化性の樹脂で表面被覆処理さ
れた水酸化アルミニウム(以下、表面処理水酸化アルミ
ニウムという。)(E)を必須成分とすることを特徴と
するタンタルコンデンサ。 - 【請求項2】 前記エポキシ樹脂組成物の硬化物0.1
gを、温度750℃、空気流量0.5L/分に設定した
JIS−K7217に準拠の加熱炉へ投入しスパークさ
せながら1分間の加熱および燃焼させたときの平均発煙
量が、光散乱積分方式のデジタル粉塵計を用いた計測値
として平均粒子径0.3ミクロンのステアリン酸粒子に
よる校正値1500CPM以下であることを特徴とする
請求項1記載のタンタルコンデンサ。 - 【請求項3】 前記エポキシ樹脂組成物が、ハロゲン化
合物、アンチモン化合物およびリン化合物のいずれも含
有しないことを特徴とする請求項1または2記載のタン
タルコンデンサ。 - 【請求項4】 前記エポキシ樹脂組成物が、さらに金属
アンモニウム塩(F)を必須成分として含むことを特徴
とする請求項1〜3のいずれかに記載のタンタルコンデ
ンサ。 - 【請求項5】 前記金属アンモニウム塩(F)の配合割
合が、エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)、
硬化促進剤(C)、無機充填材(D)および表面処理水
酸化アルミニウム(E)の合計100重量部に対して
0.1重量部以上かつ20重量部未満であることを特徴
とする請求項4記載のタンタルコンデンサ。 - 【請求項6】 前記金属アンモニウム塩(F)がタング
ステン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項4
または5記載のタンタルコンデンサ。 - 【請求項7】 表面処理水酸化アルミニウム(E)の配
合割合が、エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂
(B)、硬化促進剤(C)、および無機充填材(D)の
合計100重量部に対して25重量部以上かつ50重量
部未満であり、 無機充填材(D)と表面処理水酸化アルミニウム(E)
の合計配合割合が、エポキシ樹脂(A)、フェノール系
樹脂(B)および硬化促進剤(C)の合計100重量部
に対して150重量部以上かつ500重量部以下である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタン
タルコンデンサ。 - 【請求項8】 金属アンモニウム塩(F)の配合割合
が、エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)、硬
化促進剤(C)、および無機充填材(D)の合計100
重量部に対して0.1重量部以上かつ20重量部未満で
あり、 表面処理水酸化アルミニウム(E)と金属アンモニウム
塩(F)の合計配合割合が、エポキシ樹脂(A)、フェ
ノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、および無機充
填材(D)の合計100重量部に対して25重量部以上
かつ50重量部未満であり、 表面処理水酸化アルミニウム(E)と金属アンモニウム
塩(F)および無機充填材(D)の合計配合割合が、エ
ポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)および硬化
促進剤(C)の合計100重量部に対して150重量部
以上かつ500重量部以下であることを特徴とする請求
項4〜6のいずれかに記載のタンタルコンデンサ。 - 【請求項9】 硬化促進剤(C)が、イミダゾール系の
化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか
に記載のタンタルコンデンサ。 - 【請求項10】 無機充填材が少なくともシリカを含む
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のタン
タルコンデンサ。 - 【請求項11】 エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹
脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、表面
処理水酸化アルミニウム(E)および金属アンモニウム
塩(F)を必須成分とすることを特徴とする電気・電子
部品封止用途の難燃性のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項12】 前記金属アンモニウム塩(F)が、タ
ングステン酸アンモニウムである請求項11記載のエポ
キシ樹脂組成物。 - 【請求項13】 金属アンモニウム塩(F)の配合割合
が、エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)、硬
化促進剤(C)、および無機充填材(D)の合計100
重量部に対して0.1重量部以上かつ20重量部未満で
あり、 表面処理水酸化アルミニウム(E)と金属アンモニウム
塩(F)の合計配合割合が、エポキシ樹脂(A)、フェ
ノール系樹脂(B)、硬化促進剤(C)、および無機充
填材(D)の合計100重量部に対して25重量部以上
かつ50重量部未満であり、 表面処理水酸化アルミニウム(E)と金属アンモニウム
塩(F)および無機充填材(D)の合計配合割合が、エ
ポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂(B)および硬化
促進剤(C)の合計100重量部に対して150重量部
以上かつ500重量部以下であることを特徴とする請求
項11または12記載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項14】 前記金属アンモニウム塩(F)の配合
割合が、エポキシ樹脂(A)、フェノール系樹脂
(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)および表
面処理水酸化アルミニウム(E)の合計100重量部に
対して0.1重量部以上かつ20重量部未満であること
を特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のエポ
キシ樹脂組成物。 - 【請求項15】 硬化促進剤(C)が、イミダゾール系
の化合物であることを特徴とする請求項11〜14のい
ずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項16】 ハロゲン化合物、アンチモン化合物お
よびリン化合物のいずれも含有しないことを特徴とする
請求項11〜15のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
物。 - 【請求項17】 エポキシ樹脂組成物の硬化物0.1g
を、温度750℃、空気流量0.5L/分に設定したJ
IS−K7217に準拠の加熱炉へ投入しスパークさせ
ながら1分間の加熱および燃焼させたときの平均発煙量
が、光散乱積分方式のデジタル粉塵計を用いた計測値と
して平均粒子径0.3ミクロンのステアリン酸粒子によ
る校正値1500CPM以下であることを特徴とする請
求項11〜16のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
物。 - 【請求項18】 無機充填材が少なくともシリカを含む
ことを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の
タンタルコンデンサ。
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