JP2002363319A - ポリイミドフィルムおよびその製造方法およびそのポリイミドフィルムを用いたポリイミド/金属積層体およびフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

ポリイミドフィルムおよびその製造方法およびそのポリイミドフィルムを用いたポリイミド/金属積層体およびフレキシブルプリント配線板

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JP2002363319A
JP2002363319A JP2001165789A JP2001165789A JP2002363319A JP 2002363319 A JP2002363319 A JP 2002363319A JP 2001165789 A JP2001165789 A JP 2001165789A JP 2001165789 A JP2001165789 A JP 2001165789A JP 2002363319 A JP2002363319 A JP 2002363319A
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polyimide
film
metal
polyamic acid
polyimide film
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JP2001165789A
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Katsunori Yabuta
勝典 薮田
Renichi Akahori
廉一 赤堀
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温高湿の厳しい環境下でも機能を損なうこ
となく作動する電気機器回路として好適なポリイミド/
金属積層体及びフレキシブルプリント配線板を提供す
る。 【解決手段】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
されたポリアミド酸フィルムを樹脂に対して0.1〜3
0重量%の金属化合物を含むポリアミド酸および/また
はポリイミドの溶液に浸漬、または部分的に硬化及び/
または部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムに樹脂
に対して0.1〜30重量%の金属化合物を含むポリア
ミド酸および/またはポリイミドの溶液を塗布し、その
後残ったアミド酸をポリイミドに転化することを特徴と
するポリイミドフィルムを用いることにより、121℃
100%RHの環境に96時間暴露した後の1mmパタ
ーン幅での接着強度が暴露前の60%以上である耐環境
性が改善されたポリイミド/金属積層体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着性に優れたポリ
イミド/金属積層体及びフレキシブルプリント配線板に
関する。更に詳しくは常態での接着性に加えて高温また
は高温高湿の環境に暴露した後の接着強度の保持率が高
く、たとえば高温または高温高湿の環境でも良好に機能
するポリイミドフィルムの製造方法およびそれを用いた
ポリイミド/金属積層体及びフレキシブルプリント配線
板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器の小型化、高機能化が進
みフレキシブルプリント配線板の用途が拡大するに従っ
て、より高温、高湿などの厳しい環境下で使用される様
になり、この様な環境に耐える特性を備えたポリイミド
/金属積層体やフレキシブルプリント配線板が強く求め
られている。フレキシブルプリント配線板は、ポリイミ
ドフィルムと銅などの金属を蒸着、メッキなどの方法で
直接積層する、或いはポリイミドフィルムと銅箔などの
金属層を接着剤を介して積層して、ポリイミド/金属積
層体を作製し、金属の部分をエッチングしてパターニン
グすることで得られる。したがってポリイミドフィルム
についてもその機械的特性や電気特性など高温、高湿の
環境に耐えることが要求されてきている。
【0003】中でもポリイミドフィルムの接着性がこれ
らの環境に耐えることが特に強く求められている。
【0004】ポリイミドフィルムの接着性改善について
はこれまでも種々の検討が試みられている。
【0005】例えば、特許第1948445号には、ポ
リイミドフィルムにチタン系の有機化合物を添加するこ
とにより、接着性を改善する技術が開示されている。
【0006】特開平06−073209号公報にはS
n、Cu、Zn、Fe、Co、MnまたはPdからなる
金属塩によってコートされた表面接着力の改善されたポ
リイミドを開示している。。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特許第194
8445号に開示された技術では、フィルムが著しく着
色することや、フィルムの内部にもチタン原子が高濃度
で存在するためにフィルムの脆性が低下するなどの問題
があった。
【0008】また、特開平06−073209号公報に
開示された技術は、改質効果が浅く、弱いため、フィル
ムの表面洗浄を目的とした処理で表面処理層が除去され
接着改善効果がなくなったり、耐環境試験での接着強度
保持率が十分ではないなどの問題があった。
【0009】本発明者らは、上記従来の問題点を解決
し、高い耐環境性に優れたポリイミドフィルムとその製
造方法、これを用いたポリイミド/金属積層体及びこれ
を用いたフレキシブルプリント配線板を提供すべく鋭意
研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるポリイミ
ドフィルムの製造方法は、部分的に硬化及び/または部
分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムを、樹脂に対し
て0.1〜30重量%の金属化合物を含む、ポリアミド
酸および/またはポリイミドの溶液に浸漬し、その後ア
ミド酸をポリイミドに転化することにある。
【0011】本発明にかかるポリイミドフィルムの製造
方法は、部分的に硬化及び/または部分的に乾燥された
ポリアミド酸フィルムに、樹脂に対して0.1〜30重
量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/または
ポリイミドの溶液を塗布し、その後アミド酸をポリイミ
ドに転化することにある。
【0012】本発明にかかるポリイミドフィルムの製造
方法は、部分的に硬化及び/または部分的に乾燥された
ポリアミド酸フィルムを、樹脂に対して0.5〜15重
量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/または
ポリイミドの溶液に浸漬し、その後アミド酸をポリイミ
ドに転化することにある。
【0013】本発明にかかるポリイミドフィルムの製造
方法は、部分的に硬化及び/または部分的に乾燥された
ポリアミド酸フィルムに、樹脂に対して0.5〜15重
量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/または
ポリイミドの溶液を塗布し、その後アミド酸をポリイミ
ドに転化することにある。
【0014】本発明にかかるポリイミドフィルムの製造
方法は、部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムまた
はポリイミドフィルムの残留揮発分率が20〜200%
であることにある。
【0015】本発明にかかるポリイミドフィルムの製造
方法は、部分的に硬化及び/または部分的に乾燥された
ポリアミド酸フィルムのイミド化率が50%以上である
ことにある。
【0016】本発明にかかるポリイミドフィルムの製造
方法は、前記金属化合物がチタン化合物であることにあ
る。
【0017】本発明にかかるポリイミドフィルムは、上
記の方法により製造されたポリイミドフィルムを内容と
する。
【0018】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記の方法により製造されたポリイミドフィルム上
に金属を直接積層することを内容とする。
【0019】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記の方法により製造されたポリイミドフィルム上
に真空蒸着法によりに金属を直接積層することを内容と
する。
【0020】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記の方法により製造されたポリイミドフィルム上
にスパッタリング法によりに金属を直接積層することを
内容とする。
【0021】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記の方法により製造されたポリイミドフィルム上
に湿式メッキ法により金属を直接積層することを内容と
する。
【0022】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記の方法により製造されたポリイミドフィルム上
に金属を直接積層した後、それとは異なる金属を積層す
ることを内容とする。
【0023】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記の方法により製造されたポリイミドフィルム上
と金属層を、接着剤を介して積層することを内容とす
る。
【0024】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記接着剤がエポキシ系接着剤であることを内容と
する。
【0025】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記接着剤がナイロン系接着剤であることを内容と
する。
【0026】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記接着剤がアクリル系接着剤であることを内容と
する。
【0027】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記接着剤がイミド系接着剤であることを内容とす
る。
【0028】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、上記接着剤がエポキシ、ナイロン、アクリル、イミ
ドから選ばれる2種類以上の成分の混合系接着剤である
ことを内容とする。
【0029】本発明にかかるポリイミド/金属積層体
は、121℃100%RHの環境に96時間暴露した後
の1mmパターン幅でのポリイミドフィルムと金属層と
の接着強度が暴露前の60%以上である耐環境性が改善
されたことを内容とする。
【0030】本発明にかかるフレキシブルプリント配線
板は、上記のポリイミド/金属積層体の金属層をエッチ
ングしてパターニングすることを内容とする。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明にかかる方法で製造された
ポリイミドフィルム、ポリイミド/金属積層体及びフレ
キシブルプリント配線板は、耐環境性に優れた特性を有
する。詳細には、高温高湿環境に暴露された後の、接着
強度の低下の少ない信頼性の高いポリイミド/金属積層
体及びフレキシブルプリント配線板である。
【0032】以下、本発明にかかるポリイミドフィルム
の製造方法、ポリイミドフィルム、ポリイミド/金属積
層体及びフレキシブルプリント配線板の実施の形態を具
体的に説明する。
【0033】まず、本発明にかかるポリイミドフィルム
およびその製造方法について説明する。
【0034】本発明において使用されるポリイミドフィ
ルムは、以下に詳細に説明する点を除けば、公知の方法
に従って製造することができる。即ちポリアミド酸を支
持体に流延、塗布し、化学的にあるいは熱的にイミド化
することで得られる。好ましくは化学的にイミド化する
ことが、フィルムの靭性、破断強度、及び生産性の観点
から好ましい。
【0035】本発明に用いられるポリイミドの前駆体で
あるポリアミド酸は、基本的には、公知のあらゆるポリ
アミド酸を適用することができる。
【0036】本発明に用いられるポリアミド酸は、通
常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少
なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解さ
せて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御され
た温度条件下で、攪拌することによって製造される。
【0037】また、ポリイミドはポリアミド酸をイミド
化して得られるが、イミド化には、熱キュア法及びケミ
カルキュア法のいずれかを用いる。熱キュア法は、脱水
閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行
させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリア
ミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表さ
れる化学的転化剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピ
リジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用
させる方法である。ケミカルキュア法に熱キュア法を併
用してもよい。イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の
種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/またはケミカ
ルキュア法の選択等により、変動し得る。
【0038】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
リアミド酸フィルムに金属化合物を含有するポリアミド
酸および/またはポリイミド溶液を塗布、または浸漬し
た後にフィルム表面に残存する余分な液滴を取り除いた
後に残ったアミド酸をポリイミドに転化し、かつこのフ
ィルムを乾燥することにより本発明にかかるポリイミド
フィルムが得られる。
【0039】ここで、本明細書中における用語「部分的
に硬化」或いは「部分的に乾燥」とは、初期のポリアミ
ド酸溶液中に含まれるアミド結合の一部がイミド化して
いる、或いは初期のポリアミド酸溶液中に含まれる揮発
分の一部が蒸発乾燥しているという意味で用いられる。
フィルム全面に対して、部分的に硬化或いは乾燥してい
るという意味で用いられる用語とは異なる。
【0040】本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミ
ド酸組成物に用いられる材料について説明する。
【0041】本発明にかかるポリイミド組成物において
使用し得る適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水
物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,
9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン
二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェ
ニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水
物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル
酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステ
ル酸無水物 )、ビスフェノールAビス(トリメリット
酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含む。
【0042】これらのうち、本発明にかかるポリイミド
/金属積層体における使用のための最も適当な酸二無水
物はピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−
フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水
物)であり、これらを単独または、任意の割合の混合物
が好ましく用い得る。
【0043】本発明にかかるポリイミド組成物において
使用し得る適当なジアミンは、4,4’−ジアミノジフ
ェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,
4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジア
ミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、
4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジア
ミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−
ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジア
ミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミ
ノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジア
ミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、及びそれら
の類似物を含む。
【0044】これらポリイミドフィルムに用いられるジ
アミンにおいて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル及びp−フェニレンジアミンが特に好ましく、また、
これらをモル比で100:0から0:100、好ましく
は100:0から10:90の割合で混合した混合物が
好ましく用い得る。
【0045】ポリアミド酸を合成するための好ましい溶
媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−
2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルム
アミドが特に好ましく、溶解性を低下させない量であれ
ば、トルエン、テトラヒドロフラン、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、酢酸エチル、アセチルアセトンな
どを混合することもできる。
【0046】また、イミド化をケミカルキュア法により
行なう場合、本発明にかかるポリアミド酸組成物に添加
する化学的転化剤は、例えば脂肪族酸無水物、芳香族酸
無水物、N,N ' - ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪
族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族ハロゲン化物、
ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハ
ロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以
上の混合物が挙げられる。それらのうち、無水酢酸、無
水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物またはそ
れらの2種以上の混合物が、好ましく用い得る。
【0047】また、イミド化を効果的に行うためには、
化学的転化剤に触媒を同時に用いることが好ましい。触
媒としては脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、
複素環式第三級アミン等が用いられる。それらのうち複
素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく
用い得る。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピ
コリン、ピリジン等が好ましく用いられる。
【0048】本発明に用いられる、部分的に硬化または
部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムに塗布また
は、部分的に硬化または部分的に乾燥されたポリアミド
酸フィルムを浸漬するポリアミド酸および/またはポリ
イミド溶液に含有する金属化合物は特に限定されない
が、Ti、Sn、Cu、Zn、Fe、Co、Mnまたは
Pdの有機または無機化合物であることが好ましく、よ
り好ましくはその中で金属化合物がチタン化合物であ
る。
【0049】また、チタン化合物が、チタン原子との配
位結合を形成し得る有機化合物を有する有機チタン化合
物であり得る。たとえば、ジアミン、ジホスフィン等の
中性分子やアセチルアセトナートイオン、カルボン酸イ
オン、ジチオカルバミン酸イオン等を有する有機化合
物、またポリフィリン等の環状配位子等が挙げられる。
これらの化合物はカップリング剤、あるいは金属塩の形
で与えられ、好ましくは熱重量分析による熱分解温度が
100℃から250℃の範囲にある化合物である。ま
た、下記の一般式(化1)で示されるものが好ましい。
【0050】
【化1】
【0051】具体的にはトリ−n−ブトキシチタンモノ
ステアレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタ
ノールアミネート)、ブチルチタネートダイマー、テト
ラノルマルブチルチタネート、テトラ(2ーエチルヘキ
シル)チタネート、チタンオクチレングリコレートなど
が例示される他、ジヒドロキシビス(アンモニウムラク
テート)チタニウム、ジヒドロキシチタンビスラクテー
ト等も使用可能である。最も好ましいのはトリ−n−ブ
トキシチタンモノステアレートあるいはジヒドロキシチ
タンビスラクテートである。
【0052】金属化合物を含むポリアミド酸および/ま
たはポリイミド溶液のポリアミド酸および/またはポリ
イミドは特に規定されず、上記のテトラカルボン酸二無
水物とジアミン化合物から同様の方法により得られる
が、好ましくは塗布されるまたは浸漬する部分的に硬化
または部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムと同じ
構造である。
【0053】上記の製造方法により得られるポリイミド
フィルムを用いることにより、本発明にかかる高温高湿
環境での耐久性に優れた信頼性の高いポリイミド/金属
積層体及びフレキシブルプリント配線板を提供し得る。
【0054】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
リアミド酸フィルムに金属化合物を含むポリアミド酸お
よび/またはポリイミド溶液を塗布または浸漬した後、
加熱乾燥し、ポリイミドフィルムを得る製造方法につい
て説明する。
【0055】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
リアミド酸フィルム(以下ゲルフィルムという)は公知
の方法で製造することができる。即ち、ポリアミド酸を
ガラス板などの支持体上に流延または塗布し、熱的にイ
ミド化することによって、または化学的転化剤及び触媒
を低温でポリアミド酸溶液中に混合し、引き続いてこの
ポリアミド酸溶液を支持体上にフィルム状にキャストし
温和な条件で加熱することで化学的転化剤及び触媒を活
性化することによって製造することができる。
【0056】ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイ
ミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、揮
発分含量は5〜500%の範囲、好ましくは20〜30
0%の範囲、より好ましくは20〜200%の範囲、最
も好ましくは20〜100の範囲にある。この範囲のフ
ィルムを用いることが好適であり、外れると所定の効果
が発現しにくい。
【0057】なお、揮発分含量(残留揮発分率)は、下
記式1から算出される。 (A−B)×100/B・・・・式1 式1中 A,Bは以下のものを表す。 A:ゲルフィルムの重量 B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重
【0058】ゲルフィルムのイミド化率は50%以上の
範囲、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以
上、最も好ましくは90%以上の範囲にある。この範囲
のフィルムを用いることが好適であり、外れると所定の
効果が発現しにくい。
【0059】イミド化率は、赤外線吸光分析法を用いて
下記式2から算出される。 (C/D)×100/(E/F)・・・・式2 式2中 C、D、E、Fは以下のものを表す。 C:ゲルフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ D:ゲルフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ E:ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ F:ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ
【0060】本発明において、ゲルフィルムに塗布又は
浸漬する該金属化合物を含むポリアミド酸および/また
はポリイミド溶液に使用される溶剤は、該ポリアミド酸
および/またはポリイミドを溶解するものであれば良
く、ポリアミド酸を合成するための好ましいアミド系溶
媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンな
どであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ま
しく、溶解性を低下させない量であれば、トルエン、テ
トラヒドロフラン、2−プロパノール、1−ブタノー
ル、酢酸エチル、アセチルアセトンなどを混合すること
もできる。
【0061】浸漬または塗布する溶液中のポリアミド酸
および/またはポリイミドは、部分的に硬化または部分
的に乾燥されたポリアミド酸フィルムと同一種であって
も構わないし、異種であっても構わない。
【0062】ポリアミド酸および/またはポリイミド溶
液の粘度およびポリアミド酸の濃度は特に規定されない
が、塗工性の観点から粘度で0.1〜1000ポイズの
範囲、好ましくは0.1〜100ポイズの範囲、接着に
対する効果および塗工性の観点から濃度で0.1〜30
重量%の範囲、好ましくは0.1〜15重量%の範囲、
より好ましくは0.5〜10重量%の範囲であり、濃度
が高い場合にはフィルムの脆化や着色がおこってしま
い、濃度が低い場合には接着強度に対する効果が見られ
ない。
【0063】溶液の金属化合物の濃度は、溶液のポリア
ミド酸および/またはポリイミド樹脂固形分に対して、
0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜30重量%、
より好ましくは0.5〜15重量%の範囲で、この範囲
外では、濃度が高い場合にはフィルムの脆化や着色がお
こってしまい、濃度が低い場合には接着強度に対する効
果が見られない。
【0064】上記部分的に硬化または部分的に乾燥され
たポリアミド酸フィルムに、金属化合物を含むポリアミ
ド酸および/またはポリイミド溶液を塗布する方法は、
当業者が用い得る公知の方法を用い得るが、例えば、グ
ラビアコート、スプレーコート、ナイフコーター等を用
いた塗布方法が利用可能であり、塗布量の制御や均一性
の観点より、グラビアコーターが特に好ましく用い得
る。塗布量としては0.1g/m2〜100g/m2好ま
しくは1g/m2〜10g/m2が好適であり、この範囲
を外れると、効果と、フィルムの外観のバランスを両立
しにくい。
【0065】また、金属化合物を含むポリアミド酸およ
び/またはポリイミド溶液に浸漬する場合は、特に制限
はなく、一般的なディプコート法が利用し得る。具体的
には、上記溶液を入れた槽に上記部分的に硬化または部
分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムを連続的に、ま
たはバッチで浸すことにより行われる。浸漬時間は1〜
100秒好ましくは1〜20秒が好適でありこの範囲を
外れると、効果と、フィルムの外観のバランスを両立し
にくい。
【0066】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
リアミド酸フィルムは、金属化合物を含むポリアミド酸
および/またはポリイミド溶液を塗布、又は浸漬した後
フィルム表面の余分な液滴を除去する工程を加えること
が、フィルム表面にムラのない外観の優れたポリイミド
フィルムを得ることが出来るので好ましい。液滴の除去
は、ニップロールによる液絞り、エアナイフ、ドクター
ブレード、拭き取り、吸い取りなどの公知の方法が利用
可能であり、フィルムの外観、液切り性、作業性等の観
点より、ニップロールが好ましく用いられ得る。
【0067】この上記元素を含むポリアミド酸および/
またはポリイミド溶液を塗布または浸漬したゲルフィル
ムを支持体から剥離し、端部を固定して硬化時の収縮を
回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を
除去し、そしてポリアミド酸を完全にポリイミドに転化
して、本発明にかかるポリイミド/金属積層体及びフレ
キシブルプリント配線板に用いられるポリイミドフィル
ムを得る。
【0068】残留揮発分を完全に除去しかつポリアミド
酸を完全にポリイミドに転化しするためには、常法に従
い、段階的、連続的に加熱し、最終的に短時間の高温を
用いるのが好ましい。具体的には、最終的に450〜6
20℃の温度で15〜400秒加熱するのが好ましい。
この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルム
の熱劣化が起こり問題が生じる。逆にこの温度より低い
及び/または時間が短いと所定の効果が発現しない。
【0069】上記種々の方法で得られるポリイミドフィ
ルムは、公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー、
有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよ
く、またコロナ放電処理やプラズマ放電処理等の公知の
物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理
を施し、さらに良好な特性を付与し得る。
【0070】次に、本発明に係るポリイミド/金属積層
体について説明する。本発明に係るポリイミド/金属積
層体は、ポリイミドフィルムの両面または片面に金属層
を積層したものである。このポリイミド/金属積層体の
製造方法は、当業者が周知のあらゆる方法により可能で
あるが、たとえば、この積層体は、通常フィルム状のポ
リイミドに、金属を真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法、メッキ法等の方法で直接積層し
たものである。この際、2種類以上の金属を順次積層す
る、或いは2種類以上の金属を混合して合金として積層
することも可能である。2種類以上の金属を順次積層す
る場合、ポリイミドフィルムに直接積層する下地層の金
属類は特に限定されないが、ニッケル、クロム、コバル
ト、パラジウム、モリブテン、タングステン、チタン、
ジルコニウム、それらの合金、およびそれらの化合物が
好ましく、さらに好ましくはニッケル、ニッケル合金お
よびニッケル化合物、クロム、クロム合金、クロム化合
物である。これらの群から選択した1種以上の金属を下
地層として形成し、さらに該下地層上に銅層を積層した
ものが好ましい。
【0071】金属層の厚みは特に規定されないが、金属
層の厚みが3〜50μmの範囲の厚みが好ましく、さら
に好ましくは3〜35μm範囲である。金属層の形成方
法も特に規定されないが、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法またはスパッタリング法により形成された10
〜100000Åの厚みの、好ましくは50〜1000
00Åの厚みの、さらに好ましくは100〜50000
Åの厚みの金属層上に、メッキ法にて目的の厚みに金属
層を形成するのが好ましい。
【0072】また、下地層を形成する前に、ポリイミド
フィルム表面をクリーニング、物理的改質、化学的改質
などの目的で、洗浄処理、加熱処理、電気処理などの前
処理を行ってもよく、やらない方が好ましい場合もあ
る。
【0073】或いはポリイミドフィルムと金属層を、エ
ポキシ系、ナイロン系、アクリル系、イミド系などの接
着剤を介して積層することで作製できる。この際金属層
の接着面にカップリング剤塗布等の表面処理を施しても
良い。また、2種類以上の接着剤を混合して用いても良
い。
【0074】接着剤を介してポリイミドフィルムと金属
層を積層する方法は、熱ラミネート、熱プレス等公知の
方法が使用できる。また、必要に応じて加熱によって接
着剤を完全に硬化させる。
【0075】本発明にかかるポリイミド/金属積層体に
使用する、ポリイミドフィルムの膜厚は、用途に応じて
適切な厚さを選択し得るが、具体的には5〜300μ
m、好ましくは5〜125μm、より好ましくは、5〜
50μmである。
【0076】また、本発明にかかるポリイミド/金属積
層体は、その耐環境性が、121℃100%RHの環境
に96時間曝露した後の1mmパターン幅での接着強度が
暴露前の50%以上保持、好ましくは60%以上保持、
さらに好ましくは75%以上保持する。また、150℃
で200時間曝露した後の1mmパターン幅での接着強度
が暴露前の50%以上保持、好ましくは60%以上保
持、さらに好ましくは75%以上保持する。
【0077】次に、本発明にかかるフレキシブルプリン
ト配線板について説明する。フレキシブルプリント配線
板は、上記のポリイミド/金属積層体の金属部分を湿式
或いは乾式の方法でエッチングし所定の回路をパターニ
ングすることで得られる。
【0078】パターニングの後所定の素子を実装し、必
要に応じて保護フィルムを金属層の上に積層する。或い
は保護樹脂を塗布する。
【0079】本発明にかかるポリイミド/金属積層体を
用いることにより高温、高湿等の厳しい環境において、
耐久性があり、信頼性の高いポリイミド/金属積層体及
びフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
【0080】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の効果を具体
的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定される
ものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することな
く、種々の変更、修正、及び改変を行い得る。
【0081】なお、実施例中のフレキシブルプリント配
線板の接着強度はJIS、C−6481に従って銅パタ
ーン幅1mmで90度ピールで評価した。
【0082】(比較例1)ピロメリット酸二無水物/
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレ
ンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリ
アミド酸の17重量%のDMF溶液90gに無水酢酸1
7gとイソキノリン2gからなる転化剤を混合、攪拌
し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に厚さ700
μmで流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却し
ながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層
体を110℃4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフ
ィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は60
重量%であり、イミド化率は80%であった。このゲル
フィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。
このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各
1分間加熱して厚さ50μmのポリイミドフィルムを製
造した。
【0083】このポリイミドフィルムの片面に電子線加
熱方式の真空蒸着装置(日本真空社製、EBH−6)を
用いて厚み2000オングストロームの銅を蒸着し、更
に硫酸電気銅メッキ(陰極電流密度2A/dm2、メッ
キ時間40分)により、接着剤を使うことなくポリイミ
ドフィルム上に直接銅を形成して2層銅張積層板を作製
した。この2層銅張積層板を121℃100%RHの環
境に96時間曝露した後および、150℃で200時間
放置した後の銅とポリイミドフィルムの接着強度をJI
S C−6481に従って銅パターン幅1mmで90度ピ
ールで評価した。
【0084】このポリイミドフィルムにナイロン・エポ
キシ系接着剤を用いて電解銅箔(三井金属鉱業社製、商
品名3ECVLP、厚み35μm)と張り合わせ3層銅
張積層板を作製し、121℃100%RHの環境に96
時間曝露した後および、150℃で200時間放置した
後の接着強度をJIS C−6481に従って銅パター
ン幅1mmで90度ピールで測定した。
【0085】これらの測定の結果を表1に示す。
【0086】(実施例1)比較例1と同様の方法で得た
ゲルフィルムを、ピロメリット酸二無水物/4,4’−
ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミン
をモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の
5重量%のDMF溶液600gにジヒドロキシチタンビ
スラクテート1.5gを含むポリアミド酸溶液に10秒
間浸漬し、ニップロールで余分な液滴を除去した後、比
較例1と同じ条件で加熱し、ポリイミドフィルムを製造
した。得られたポリイミドフィルムは比較例1と同様の
色合いであった。このポリイミドフィルムを用いて比較
例1と同様の方法で2層、及び3層の銅張積層板を作製
した。
【0087】これらについて比較例1と同様の方法で、
2層および3層の銅張積層板の接着強度を測定した結果
を表1に示す。
【0088】(実施例2)比較例1と同様の方法で得た
ゲルフィルムに、ピロメリット酸二無水物/4,4’−
ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミン
をモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の
5重量%のDMF溶液600gにジヒドロキシチタンビ
スラクテート1.0gを含むポリアミド酸溶液をスプレ
ーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように
塗布した後、比較例1と同じ条件で加熱し、ポリイミド
フィルムを製造した。得られたポリイミドフィルムは比
較例1と同様の色合いであった。このポリイミドフィル
ムを用いて比較例1と同様の方法で2層、及び3層の銅
張積層板を作製した。
【0089】これらについて比較例1と同様の方法で、
2層および3層の銅張積層板の接着強度を測定した結果
を表1に示す。
【0090】(実施例3)比較例1と同様の方法で得た
ゲルフィルムを、ピロメリット酸二無水物/4,4’−
ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミン
をモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の
5重量%のDMF溶液600gにトリ−n−ブトキシチ
タンモノステアレート1.5gを含むポリアミド酸溶液
に、浸漬し、ニップロールで余分な液滴を除去した後、
比較例1と同じ条件で加熱し、ポリイミドフィルムを製
造した。得られたポリイミドフィルムは比較例1と同様
の色合いであった。このポリイミドフィルムを用いて比
較例1と同様の方法で2層、及び3層の銅張積層板を作
製した。
【0091】これらについて比較例1と同様の方法で、
2層および3層の銅張積層板の接着強度を測定した結果
を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】(比較例2)ピロメリット酸二無水物/
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1/
1の割合で合成する以外は比較例1と同様の方法で銅張
積層板を作製し、接着強度を測定した。その結果を表2
に示す。
【0094】(実施例4〜6)ピロメリット酸二無水物
/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1
/1の割合で合成する以外は実施例1〜3と同様の方法
で作製したポリイミドフィルム及び銅張積層板につい
て、比較例1と同様の方法で2層および3層の銅張積層
板の接着強度を表2に示す。得られたポリイミドフィル
ムは比較例2と同様の色合いであった。
【0095】
【表2】
【0096】(比較例3)3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物/p−フェニレンビス
(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/p−フェニ
レンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
をモル比で4/5/7/2の割合で合成したポリアミド
酸の17重量%のDMAc溶液を用い、これに転化剤を
混合しないでアルミ箔上に厚さ700μmで流延塗布し
た。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110
℃10分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを
得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は70重量%で
あり、イミド化率は60%であった。このゲルフィルム
をアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲル
フィルムを300℃、400℃、500℃で各1分間加
熱して厚さ50μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0097】このポリイミドフィルムの片面に電子線加
熱方式の真空蒸着装置(日本真空社製、EBH−6)を
用いて厚み100オングストロームのニッケルを蒸着
し、ニッケル層の上に厚み1000オングストロームの
銅を蒸着し、更に硫酸電気銅メッキ(陰極電流密度2A
/dm2、メッキ時間40分)により、接着剤を使うこ
となくポリイミドフィルム上に直接銅を形成して2層銅
張積層板を作製した。この2層銅張積層板を121℃1
00%RHの環境に96時間曝露した後および、150
℃で200時間放置した後の銅とポリイミドフィルムの
接着強度をJISC−6481に従って銅パターン幅1
mmで90度ピールで評価した。
【0098】このポリイミドフィルムにナイロン・エポ
キシ系接着剤を用いて電解銅箔(三井金属鉱業社製、商
品名3ECVLP、厚み35μm)と張り合わせ3層銅
張積層板を作製し、121℃100%RHの環境に96
時間曝露した後および、150℃で200時間放置した
後の銅とポリイミドフィルムの接着強度をJIS C−
6481に従って銅パターン幅1mmで90度ピールで評
価した。
【0099】これらの測定の結果を表3に示す。
【0100】(実施例7〜9)比較例3と同様の方法で
得られたゲルフィルムを用いること以外は実施例1〜3
と同様の方法で作製したポリイミドフィルムを、比較例
3と同様の方法で銅張積層板を作製し、比較例3と同様
の方法で2層および3層の銅張積層板の接着強度を表3
に示す。得られたポリイミドフィルムは比較例3と同様
の色合いであった。
【0101】
【表3】
【0102】(比較例4)ピロメリット酸二無水物/p
−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水
物)/p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジ
フェニルエーテルをモル比で5/5/4/6の割合で合
成したポリアミド酸の17重量%のDMAc溶液を用
い、これに転化剤を混合しないでアルミ箔上に厚さ70
0μmで流延塗布した。このアルミ箔とポリアミド酸溶
液の積層体を110℃10分間加熱し、自己支持性を有
するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分
含量は70重量%であり、イミド化率は60%であっ
た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレーム
に固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、
500℃で各1分間加熱して厚さ50μmのポリイミド
フィルムを製造した。
【0103】このポリイミドフィルムの片面に電子線加
熱方式の真空蒸着装置(日本真空社製、EBH−6)を
用いて厚み50オングストロームのクロムを蒸着し、ク
ロム層の上に厚み1000オングストロームの銅を蒸着
し、更に硫酸電気銅メッキ(陰極電流密度2A/d
2、メッキ時間40分)により、接着剤を使うことな
くポリイミドフィルム上に直接銅を形成して2層銅張積
層板を作製した。この2層銅張積層板を121℃100
%RHの環境に96時間曝露した後および、150℃で
200時間放置した後の銅とポリイミドフィルムの接着
強度をJIS C−6481に従って銅パターン幅1mm
で90度ピールで評価した。
【0104】このポリイミドフィルムにナイロン・エポ
キシ系接着剤を用いて電解銅箔(三井金属鉱業社製、商
品名3ECVLP、厚み35μm)と張り合わせ3層銅
張積層板を作製し、121℃100%RHの環境に96
時間曝露した後および、150℃で200時間放置した
後の銅とポリイミドフィルムの接着強度をJIS C−
6481に従って銅パターン幅1mmで90度ピールで評
価した。これらの測定の結果を表4に示す。
【0105】(実施例10〜12)比較例4と同様の方
法で得られたゲルフィルムを用いること以外は実施例1
〜3と同様の方法で作製したポリイミドフィルムを、比
較例4と同様の方法で銅張積層板を作製し、比較例4と
同様の方法で2層および3層の銅張積層板の接着強度を
表4に示す。得られたポリイミドフィルムは比較例4と
同様の色合いであった。
【0106】
【表4】
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリイミ
ド/金属積層体及びフレキシブルプリント配線板は耐環
境性、特に高温高湿環境に暴露された後での接着強度が
優れる。 これによれば、高温高湿の厳しい環境下でも
機能を損なうことなく作動する電気機器回路として好適
なポリイミド/金属積層体及びフレキシブルプリント配
線板を提供することができるという有利性が与えられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/03 610 H05K 1/03 610P 610R 670 670Z 3/00 3/00 R 3/06 3/06 A // C08L 79:08 C08L 79:08 Z Fターム(参考) 4F071 AA60 AF45 AF58 AG01 AG12 AH13 BC01 4F073 AA32 BA31 BB01 EA01 EA64 EA71 4F100 AB01B AB17 AH08A AH08H AK25G AK48G AK49A AK49G AK53G AL05G AT00B BA02 EH66 GB43 JD04 JK06 JL11 5E339 AA02 AB02 BC02 BE13

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
    されたポリアミド酸フィルムを、樹脂に対して0.1〜
    30重量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/
    またはポリイミドの溶液に浸漬し、その後アミド酸をポ
    リイミドに転化することを特徴とするポリイミドフィル
    ムの製造方法。
  2. 【請求項2】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
    されたポリアミド酸フィルムに、樹脂に対して0.1〜
    30重量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/
    またはポリイミドの溶液を塗布し、その後アミド酸をポ
    リイミドに転化することを特徴とするポリイミドフィル
    ムの製造方法。
  3. 【請求項3】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
    されたポリアミド酸フィルムを、樹脂に対して0.5〜
    15重量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/
    またはポリイミドの溶液に浸漬し、その後アミド酸をポ
    リイミドに転化することを特徴とするポリイミドフィル
    ムの製造方法。
  4. 【請求項4】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
    されたポリアミド酸フィルムに、樹脂に対して0.5〜
    15重量%の金属化合物を含む、ポリアミド酸および/
    またはポリイミドの溶液を塗布し、その後アミド酸をポ
    リイミドに転化することを特徴とするポリイミドフィル
    ムの製造方法。
  5. 【請求項5】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
    されたポリアミド酸フィルムの残留揮発分率が20〜2
    00%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4記
    載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 部分的に硬化及び/または部分的に乾燥
    されたポリアミド酸フィルムのイミド化率が50%以上
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のポ
    リイミドフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属化合物がチタン化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項6記載のポリイミド
    フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7記載の方法により
    製造されたポリイミドフィルム。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項7記載の方法により
    製造されたポリイミドフィルム上に金属を直接積層する
    ことにより得られるポリイミド/金属積層体。
  10. 【請求項10】 真空蒸着法によりポリイミドフィルム
    上に金属を直接積層することにより得られる請求項9記
    載のポリイミド/金属積層体。
  11. 【請求項11】 スパッタリング法によりポリイミドフ
    ィルム上に金属を直接積層することにより得られる請求
    項9記載のポリイミド/金属積層体。
  12. 【請求項12】 湿式メッキ法によりポリイミドフィル
    ム上に金属を直接積層することにより得られる請求項9
    記載のポリイミド/金属積層体。
  13. 【請求項13】 請求項9乃至請求項12に記載のポリ
    イミド/金属積層体であって、ポリイミドフィルム上に
    金属を直接積層した後、該金属とは異なる金属を積層す
    ることにより得られるポリイミド/金属積層体。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至請求項7記載の方法によ
    り製造されたポリイミドフィルムと金属層を、接着剤を
    介して積層することにより得られるポリイミド/金属積
    層体。
  15. 【請求項15】 接着剤がエポキシ系接着剤であること
    を特徴とする請求項14記載のポリイミド/金属積層
    体。
  16. 【請求項16】 接着剤がナイロン系接着剤であること
    を特徴とする請求項14記載のポリイミド/金属積層
    体。
  17. 【請求項17】 接着剤がアクリル系接着剤であること
    を特徴とする請求項14記載のポリイミド/金属積層
    体。
  18. 【請求項18】 接着剤がイミド系接着剤であることを
    特徴とする請求項14記載のポリイミド/金属積層体。
  19. 【請求項19】 接着剤がエポキシ、ナイロン、アクリ
    ル、イミドから選ばれる2種類以上の成分の混合系接着
    剤であることを特徴とする請求項14記載のポリイミド
    /金属積層体。
  20. 【請求項20】 121℃100%RHの環境に96時
    間暴露した後の1mmパターン幅でのポリイミドフィル
    ムと金属層との接着強度が暴露前の60%以上であるこ
    とを特徴とする請求項9乃至請求項19記載のポリイミ
    ド/金属積層体。
  21. 【請求項21】 請求項9乃至請求項20記載のポリイ
    ミド/金属積層体の金属層をエッチングしてパターニン
    グすることにより得られるフレキシブルプリント配線
    板。
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