JPH1171474A - ポリイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムおよびその製造方法

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JPH1171474A
JPH1171474A JP18757698A JP18757698A JPH1171474A JP H1171474 A JPH1171474 A JP H1171474A JP 18757698 A JP18757698 A JP 18757698A JP 18757698 A JP18757698 A JP 18757698A JP H1171474 A JPH1171474 A JP H1171474A
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film
polyimide film
polyamic acid
polyimide
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JP18757698A
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Masaru Nishinaka
賢 西中
Kazuhiro Ono
和宏 小野
Renichi Akahori
廉一 赤堀
Kosaku Nagano
広作 永野
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可撓性プリント配線板のベースフィルムに用
いられるポリイミドフィルムにおいて、フィルムの外観
を損なうことなく高温高湿の環境に対する接着強度の耐
久性を改善したポリイミドフィルムを提供する。 【解決手段】 部分的に硬化または部分的に乾燥したイ
ミド化率50%以上のポリアミド酸フィルム表面に有機
チタン化合物の溶液を塗布するまたは部分的に硬化また
は部分的に乾燥したイミド化率50%以上のポリアミド
酸フィルムを有機チタン化合物の溶液に浸漬し、その
後、ポリアミド酸をポリイミドに転化し、かつこのフィ
ルムを乾燥する。これにより、ポリイミドフィルムの表
面にエックス線光電子分光法で測定した原子数濃度が
0.01%以上10%以下の濃度でチタン原子が導入さ
れ、フィルムの外観を損なうことなく高温高湿の環境に
対する接着強度の耐久性を改善したポリイミドフィルム
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着性に優れたポリ
イミドフィルム、更に詳しくは常態での接着性に併せて
高温または高温高湿の環境に暴露した後の接着強度の保
持率が高く、たとえば高温または高温高湿の環境でも良
好に機能するフレキシブルプリント配線板のベースフィ
ルムとして好適なポリイミドフィルム及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドフィルムはその優れた耐熱
性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度等の特性に優れ
ていることが知られている。このようなポリイミドフィ
ルムはフレキシブルプリント配線板のベースフィルムと
して広く使用されている。このような用途においてポリ
イミドフィルムはアクリルまたはエポキシ接着剤によっ
て銅箔に接合される。あるいは蒸着、スパッタ等の乾
式、または無電解メッキなどの湿式のメタライズ技術に
よりポリイミドフィルム上に直接銅を形成する。これら
の用途において接着性は重要な特性の一つである。
【0003】また、近年、機器の小型化が進み可撓性プ
リント配線板の用途が拡大するに従って、より高温、高
湿などの厳しい環境下で使用される様になってきた。し
たがってポリイミドフィルムについてもその機械的特性
や電気特性など高温、高湿の環境に耐えることが要求さ
れてきている。中でもポリイミドフィルムの接着性がこ
れらの環境に耐えることが特に強く求められている。
【0004】これまでもポリイミドフィルムの接着性改
善について数多くの技術が開示されている。(特許第1
948445号、特開平06−73209)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特許第1948445
号には、ポリイミドフィルムにチタン系の有機化合物を
添加することで接着性を改善する技術が開示されてい
る。しかしこの技術では、フィルムが著しく着色するこ
とや、フィルムの内部にもチタン原子が高濃度で存在す
るためにフィルムの脆性が低下するなどの問題があっ
た。
【0006】特開平06−73209にはSn、Cu、
Zn、Fe、Co、MnまたはPdからなる金属塩によ
ってコートされた表面接着力の改善されたポリイミドを
開示している。本発明では使用する金属はチタンであ
り、Sn、Cu、Zn、Fe、Co、MnまたはPdか
らなる金属塩を利用しない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの目的は接
着性の優れたポリイミドフィルムおよびその製造方法を
提供することである。すなわち、片方の面および/また
は両方の面の表面にエックス線光電子分光法で測定した
原子数濃度が0.01%以上10%以下の濃度でチタン
原子が存在するポリイミドフィルムである。(請求項
1) また、部分的に硬化または部分的に乾燥されたポリアミ
ド酸フィルムまたはポリイミドフィルムの表面に有機チ
タン化合物の溶液を塗布しその後ポリアミド酸をポリイ
ミドに転化し、かつこのフィルムを乾燥することを特徴
とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法
(請求項2)。
【0008】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
リアミド酸フィルムまたはポリイミドフィルムを有機チ
タン化合物の溶液に浸漬し、その後ポリアミド酸をポリ
イミドに転化し、かつこのフィルムを乾燥することを特
徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法
(請求項3)。部分的に硬化または部分的に乾燥したポ
リアミド酸フィルムに有機チタン化合物の溶液を塗布、
または浸漬した後にフィルム表面に残存する余分な液滴
を取り除くことを特徴とする請求項2乃至請求項3記載
のポリイミドフィルムの製造方法(請求項4)。
【0009】フィルムをフィルム厚み以下の隙間を保持
して支持される2本のロールの間を通してフィルム表面
に残存する余分な液滴を除去することを特徴とする請求
項4記載のポリイミドフィルムの製造方法(請求項
5)。溶液の塗布、または浸漬の後、フィルム表面に気
流を吹き付けてフィルム表面に残存する余分な液滴を除
去することを特徴とする請求項4記載のポリイミドフィ
ルムの製造方法(請求項6)。
【0010】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
リアミド酸フィルムまたはポリイミドフィルムの残留揮
発分率が100%以下である請求項2乃至請求項6記載
のポリイミドフィルムの製造方法(請求項7)。部分的
に硬化または部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルム
またはポリイミドフィルムのイミド化率が50%以上で
ある請求項2乃至請求項7記載のポリイミドフィルムの
製造方法(請求項8)。
【0011】化1で示される有機チタン化合物を用いる
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8記載のポリイミ
ドフィルムの製造方法(請求項9)。
【0012】
【発明の実施の形態】更に詳細には、本発明は、アクリ
ルまたはエポキシなどに代表される接着剤によって銅箔
に接合される時の接着性の優れたポリイミドフィルムを
提供することである。あるいは蒸着、スパッタ等の乾
式、または無電解メッキなどの湿式のメタライズ技術に
よりポリイミドフィルム上に直接銅を形成する際の接着
性を改善したポリイミドフィルムを提供することであ
る。
【0013】本発明によれば、片方の面および/または
両方の面の表面にエックス線光電子分光法で測定した原
子数濃度が0.01%以上10%以下、好ましくは0.
1%以上5%以下、最も好ましくは0.2%以上1%以
下の濃度でチタン原子が存在するポリイミドフィルムが
提供される。このチタン原子は部分的に硬化または部分
的に乾燥されたポリアミド酸フィルムまたはポリイミド
フィルムに有機チタン化合物の溶液を塗布することで付
与することができる。
【0014】あるいはこのチタン原子は部分的に硬化ま
たは部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムまたはポ
リイミドフィルムを有機チタン化合物の溶液に浸漬する
ことで付与することができる。次にこの溶液が付着した
フィルムをフィルム厚み以下の隙間を保持して支持され
る2本のロールの間を通してあるいはフィルム表面に気
流を吹き付けてフィルム表面に残存する余分な液滴を除
去する。その後、このフィルムを加熱、乾燥してポリア
ミド酸を完全にポリイミドに転化する。
【0015】本発明において使用されるポリイミドフィ
ルムは公知の方法で製造することができる。即ちポリア
ミド酸支持体に流延、塗布し、化学的にあるいは熱的に
イミド化することで得られる。ポリアミド酸は、実質的
に等モル量の少なくとも一種類の芳香族酸二無水物と少
なくとも一種類のジアミンを溶媒中に溶解し、これらの
この酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで生成し
た溶液を攪拌することによって製造することができる。
【0016】本ポリイミドにおける使用のための適当な
酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7
−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,
2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリ
レンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン
二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタ
ン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ
タン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フ
ェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水
物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無
水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエ
ステル酸無水物)及びそれらの類似物を含む。
【0017】本ポリイミドにおける使用のための最も適
当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステ
ル酸無水物)であり、これらを単独または、任意の割合
で混合して用いるのが好ましい。
【0018】本ポリイミドにおける使用のために適当な
ジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、
3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジ
フェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルス
ルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノ
ナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシ
ラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’
−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,
4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’
−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジ
アミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−
ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、及びそ
れらの類似物を含む。
【0019】本ポリイミドにおける使用のための最も適
当なジアミンは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
及びp−フェニレンジアミンであり、これらをモル比で
100:0から10:90の割合で混合して用いるのが
好ましい。ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒
はアミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−
ピロリドンなどである。最も好ましい溶媒はN,N−ジ
メチルフォルムアミドである。
【0020】これらのポリアミド酸溶液は通常15〜2
5wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合
に適当な分子量と溶液粘度を得る。部分的に硬化または
部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムまたはポリイ
ミドフィルム(以下ゲルフィルムという)は公知の方法
で製造することができる。即ち、ポリアミド酸をガラス
板などの支持体上に流延または塗布し、熱的にイミド化
することによって、または化学的転化剤及び触媒を低温
でポリアミド酸溶液中に混合し、引き続いてこのポリア
ミド酸溶液を支持体上にフィルム状にキャストし温和な
条件で加熱することで転化剤及び触媒を活性化すること
によって製造することができる。
【0021】ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイ
ミドへの硬化の中間段階にあるものであり、自己支持性
を有し、式1から算出される揮発分含量は5〜500%
の範囲、好ましくは5〜100%、より好ましくは5〜
50%の範囲にあり、赤外線吸光分析法を用いて式2か
ら算出されるイミド化率は50%以上の範囲、好ましく
は80%以上、より好ましくは85%以上、最も好まし
くは90%以上の範囲にあるものが例示できる。 (A−B)×100/B・・・・式1 式1中A、Bは以下のものを表す。 A:ゲルフィルムの重量 B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量 (C/D)×100/(E/F)・・・・式2 式2中 C、D、E、Fは以下のものを表す。 C:ゲルフィルムの1370cm-1の吸収ピーク高さ D:ゲルフィルムの1500cm-1の吸収ピーク高さ E:ポリイミドフィルムの1370-1の吸収ピーク高さ F:ポリイミドフィルムの1500-1の吸収ピーク高さ 引き続きこのゲルフィルムを支持体から剥離し、端部を
固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶
媒、残存転化剤及び触媒を除去し、そしてポリアミド酸
を完全にポリイミドに転化する。
【0022】残留揮発分を完全に除去しかつポリアミド
酸を完全にポリイミドに転化しするためには、300℃
以上の温度で加熱することにより行うことが出来、好ま
しくは450℃以上より好ましくは500℃以上加熱す
ることにより行うことが出来る。本発明によれば、有機
チタン化合物の溶液をゲルフィルムに塗布するが、この
塗布は、刷毛塗り、スプレー、ドクターロールなどの方
法により行うことが出来る。
【0023】または、本発明によれば、有機チタン化合
物の溶液にゲルフィルムを浸漬することも可能である。
また、本発明によれば、塗布または浸漬後ゲルフィルム
表面に付着した液滴を除去することでフィルム表面の均
一な外観に優れたフィルムを製造することができる。
【0024】ゲルフィルム表面の液滴の除去は、2本の
ロールでフィルムを挟み液を絞り取る方法や、高速の気
流を吹き付けて液を吹き飛ばす方法などを用いることが
出来る。本発明において使用される有機チタン化合物
は、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基を含
有したチタン化合物が好ましく、トリ−n−ブトキシチ
タンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンビス
(トリエタノールアミネート)、ブチルチタネートダイ
マー、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2ー
エチルヘキシル)チタネート、チタンオクチレングリコ
レートなどが例示される他ジヒドロキシビス(アンモニ
ウムラクテート)チタニウム、ジヒドロキシチタンビス
ラクテート等も使用可能である。最も好ましいのはトリ
−n−ブトキシチタンモノステアレートあるいはジヒド
ロキシチタンビスラクテートである。
【0025】本発明において使用される溶剤は有機チタ
ン化合物を溶解するものであれば良く、水、トルエン、
テトラヒドロフラン、2−プロパノール、1−ブタノー
ル、酢酸エチル、N,N−ジメチルフォルムアミド、ア
セチルアセトンなどが使用可能である。これらの溶剤を
2種類以上混合して使用しても良い。本発明において最
も好ましい溶媒はN,N−ジメチルフォルムアミド、2
−プロパノール、1−ブタノール、トルエンおよび水を
単独あるいは2種以上併用して使用可能である。
【0026】本発明において使用される有機チタン化合
物溶液のチタン元素濃度は、1〜10000ppmであ
り、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは
50〜500ppmである。チタン原子の濃度が高すぎ
るとポリイミドフィルムが着色し、外観が損なわれ、ま
た、低すぎると接着性の改善効果の点で問題があるので
好ましくない。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の効果を具体
的に説明する。 (比較例1)ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジア
ミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジアミンをモ
ル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の17
wt%のDMF溶液90gに無水酢酸17gとイソキノ
リン2gからなる転化剤を混合、攪拌し、遠心分離によ
る脱泡の後、アルミ箔上に厚さ700μmで流延塗布し
た。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。こ
のアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃4分
間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。こ
のゲルフィルムの残揮発分含量は30wt%であり、イ
ミド化率は90%であった。このゲルフィルムをアルミ
箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルム
を300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して厚
さ50μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0028】このポリイミドフィルム表面のチタン原子
数濃度をエックス線光電子分光分析装置(アルバックフ
ァイ社製、Model−5400)を用い、エックス線
源:MgのKα線、エネルギー71.55電しボルトの
条件で分析した。このポリイミドフィルムの片面に電子
線加熱方式の真空蒸着装置(日本真空社製、EBH−
6)を用いて厚み2000オングストロームの銅を蒸着
し、更に硫酸電気銅メッキ(陰極電流密度2A/d
2、メッキ時間40分)により、接着剤を使うことな
くポリイミドフィルム上に直接銅を形成して2層銅張積
層板を作製した。この2層銅張積層板を120℃100
%RHの環境に24時間曝露した後の銅とポリイミドフ
ィルムの接着強度をJIS、C−6481に従って銅パ
ターン幅3mmで90度ピールで評価した。
【0029】このポリイミドフィルムにナイロン・エポ
キシ系接着剤を用いて電解銅箔(三井金属鉱業社製、商
品名3ECVLP、厚み35μm)と張り合わせ3層銅
張積層板を作製し、150℃で240時間放置した後の
接着強度をJISC−6481に従って銅パターン幅3
mmで90度ピールで測定した。これらの分析、測定の
結果を表1に示す。 (実施例1)比較例1と同様の方法で得たゲルフィルム
を、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタン
ビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液に10秒
間浸漬し、圧縮空気を吹き付けて余分な液滴を除去した
後、比較例1と同じ条件で加熱し、表面にチタン原子が
存在するポリイミドフィルムを製造した。得られたポリ
イミドフィルムは比較例1と同様の色合いであった。こ
のポリイミドフィルムを用いて比較例1と同様の方法で
2層、及び3層の銅張積層板を作製した。
【0030】これらについて比較例1と同様の方法でフ
ィルム表面のチタン原子数濃度、2層および3層の銅張
積層板の接着強度を分析、測定した結果を表1に示す。 (実施例2)比較例1と同様の方法で得たゲルフィルム
に、チタン元素濃度100ppmのジヒドロキシチタン
ビスラクテート/イソプロピルアルコール溶液をスプレ
ーコート方式で余分な液がフィルムに付着しないように
塗布した後、比較例1と同じ条件で加熱し、表面にチタ
ン原子が存在するポリイミドフィルムを製造した。得ら
れたポリイミドフィルムは比較例1と同様の色合いであ
った。このポリイミドフィルムを用いて比較例1と同様
の方法で2層、及び3層の銅張積層板を作製した。
【0031】これらについて比較例1と同様の方法でフ
ィルム表面のチタン原子数濃度、2層および3層の銅張
積層板の接着強度を分析、測定した結果を表1に示す。 (実施例3)比較例1と同様の方法で得たゲルフィルム
を、チタン元素濃度100ppmのトリ−N−ブトキシ
チタンモノステアレート/トルエン溶液に10秒間浸漬
し、圧縮空気を吹き付けて余分な液滴を除去した後、比
較例1と同じ条件で加熱し、表面にチタン原子が存在す
るポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミド
フィルムは比較例1と同様の色合いであった。このポリ
イミドフィルムを用いて比較例1と同様の方法で2層、
及び3層の銅張積層板を作製した。
【0032】これらについて比較例1と同様の方法でフ
ィルム表面のチタン原子数濃度、2層および3層の銅張
積層板の接着強度を分析、測定した結果を表1に示す。 (比較例2)ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジア
ミノジフェニルエーテルをモル比で1/1の割合で合成
する以外は比較例1と同様の方法で銅張積層板を作製
し、接着強度を測定した。その結果を表2に示す。 (実施例4〜6)ピロメリット酸二無水物/4,4’−
ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1/1の割合で
合成する以外は実施例1〜3と同様の方法で作製したポ
リイミドフィルム及び銅張積層板について、比較例1と
同様の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃
度、2層および3層の銅張積層板の接着強度を表2に示
す。 (比較例3)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物/p−フェニレンビス(トリメリット
酸モノエステル酸無水物)/p−フェニレンジアミン/
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で4/
5/7/2の割合で合成したポリアミド酸の17wt%
のDMAc溶液を用い、これに転化剤を混合しないでア
ルミ箔上に厚さ700μmで流延塗布した。このアルミ
箔とポリアミド酸溶液の積層体を110℃10分間加熱
し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲル
フィルムの残揮発分含量は30wt%であり、イミド化
率は50%であった。このゲルフィルムを用い比較例1
と同様の方法で銅張積層板を作製し、比較例1と同様の
方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃度、2層
および3層の銅張積層板の接着強度を表3に示す。 (実施例7〜9)比較例3と同様の方法で得られたゲル
フィルムを用いること以外は実施例1〜3と同様の方法
で作製したポリイミドフィルム及び銅張積層板につい
て、比較例1と同様の方法で分析したフィルム表面のチ
タン原子数濃度、2層および3層の銅張積層板の接着強
度を表3に示す。 (比較例4)ピロメリット酸二無水物/p−フェニレン
ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/p−フ
ェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエー
テルをモル比で5/5/4/6の割合で合成する以外は
比較例1と同様の方法で銅張積層板を作製し、比較例1
と同様の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃
度、2層および3層の銅張積層板の接着強度を表4に示
す。 (実施例10〜12)比較例4と同様の方法で得られた
ゲルフィルムを用いること以外は実施例1〜3と同様の
方法で作製したポリイミドフィルム及び銅張積層板につ
いて、比較例1と同様の方法で分析したフィルム表面の
チタン原子数濃度、2層および3層の銅張積層板の接着
強度を表4に示す。 (比較例5)ポリアミド酸と転化剤の混合物をガラス板
上に厚さ350μmで流延塗布する以外は比較例1と同
様の方法で厚さ25μmのポリイミドフィルム、および
2層及び3層の銅張積層板を作製した。比較例1と同様
の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃度、2
層および3層の銅張積層板の接着強度を表5に示す。 (実施例13〜15)比較例5と同様の方法で得られた
ゲルフィルムを用いる以外は実施例1〜3と同様の方法
でポリイミドフィルムを作製し、比較例1と同様の方法
で分析したフィルム表面のチタン原子数濃度、2層およ
び3層の銅張積層板の接着強度を表5に示す。 (比較例6、実施例16〜18)ポリアミド酸と転化剤
の混合物をガラス板上に厚さ350μmで流延塗布する
以外は比較例2及び実施例4〜6と同様の方法でポリイ
ミドフィルム及び銅張積層板を作製し、比較例1と同様
の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃度、2
層および3層の銅張積層板の接着強度を表6に示す。 (比較例7、実施例19〜21)ポリアミド酸と転化剤
の混合物をガラス板上に厚さ350μmで流延塗布する
以外は比較例3及び実施例7〜9と同様の方法で同様の
方法でポリイミドフィルム及び銅張積層板を作製し、比
較例1と同様の方法で分析したフィルム表面のチタン原
子数濃度、2層および3層の銅張積層板の接着強度を表
7に示す。 (比較例8、実施例22〜24)ポリアミド酸と転化剤
の混合物をガラス板上に厚さ350μmで流延塗布する
以外は比較例4及び実施例10〜12と同様の方法で同
様の方法でポリイミドフィルム及び銅張積層板を作製
し、比較例1と同様の方法で分析したフィルム表面のチ
タン原子数濃度、2層および3層の銅張積層板の接着強
度を表8に示す。 (比較例9)ポリアミド酸と転化剤の混合物をガラス板
上に厚さ1000μmで流延塗布する以外は比較例1と
同様の方法で厚さ75μmのポリイミドフィルム、およ
び2層及び3層の銅張積層板を作製した。比較例1と同
様の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃度、
2層および3層の銅張積層板の接着強度を表9に示す。 (実施例25〜27)比較例9と同様の方法で得られた
ゲルフィルムを用いる以外は実施例1〜3と同様の方法
でポリイミドフィルムを作製し、比較例1と同様の方法
で分析したフィルム表面のチタン原子数濃度、2層およ
び3層の銅張積層板の接着強度を表9に示す。 (比較例10、実施例28〜30)ポリアミド酸と転化
剤の混合物をガラス板上に厚さ1000μmで流延塗布
する以外は比較例2及び実施例4〜6と同様の方法でポ
リイミドフィルム及び銅張積層板を作製し、比較例1と
同様の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃
度、2層および3層の銅張積層板の接着強度を表10に
示す。 (比較例11、実施例31〜33)ポリアミド酸と転化
剤の混合物をガラス板上に厚さ1000μmで流延塗布
する以外は比較例3及び実施例7〜9と同様の方法でポ
リイミドフィルム及び銅張積層板を作製し、比較例1と
同様の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数濃
度、2層および3層の銅張積層板の接着強度を表11に
示す。 (比較例12、実施例34〜36)ポリアミド酸と転化
剤の混合物をガラス板上に厚さ1000μmで流延塗布
する以外は比較例4及び実施例10〜12と同様の方法
でポリイミドフィルム及び銅張積層板を作製し、比較例
1と同様の方法で分析したフィルム表面のチタン原子数
濃度、2層および3層の銅張積層板の接着強度を表12
に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】(比較例13)比較例1と同様の方法で作
製したゲルフィルムにチタン元素濃度5000ppmの
トリ−N−ブトキシチタンモノステアレート/トルエン
溶液を刷毛を使って塗布し、余分な液滴を除去せずに、
300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して、表
面に高濃度でチタン原子が存在するポリイミドフィルム
を製造した。得られたポリイミドフィルムは著しく着色
し、かつ表面は不均一でまだら模様になった。比較例1
と同様の方法で測定したフィルム表面のチタン原子数濃
度は15%であった。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリイミ
ドフィルムは良好な接着性、特に高温高湿環境に暴露さ
れた後でも高い接着強度を有する。その製造方法は、接
着性および外観に優れたポリイミドフィルムの製造方法
を提供する。これによれば、高温高湿の厳しい環境下で
も機能を損なうことなく動作するフレキシブルプリント
配線板を製造するに当たり有用なベースフィルムを提供
することができるという有利性が与えられる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片方の面および/または両方の面の表面に
    エックス線光電子分光法で測定した原子数濃度が0.0
    1%以上10%以下の濃度でチタン原子が存在するポリ
    イミドフィルム。
  2. 【請求項2】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
    リアミド酸フィルムまたはポリイミドフィルムの表面に
    有機チタン化合物の溶液を塗布しその後ポリアミド酸を
    ポリイミドに転化し、かつこのフィルムを乾燥すること
    を特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造
    方法。
  3. 【請求項3】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
    リアミド酸フィルムまたはポリイミドフィルムを有機チ
    タン化合物の溶液に浸漬し、その後ポリアミド酸をポリ
    イミドに転化し、かつこのフィルムを乾燥することを特
    徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】部分的に硬化または部分的に乾燥したポリ
    アミド酸フィルムに有機チタン化合物の溶液を塗布、ま
    たは浸漬した後にフィルム表面に残存する余分な液滴を
    取り除くことを特徴とする請求項2乃至請求項3記載の
    ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】フィルムをフィルム厚み以下の隙間を保持
    して支持される2本のロールの間を通してフィルム表面
    に残存する余分な液滴を除去することを特徴とする請求
    項4記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】溶液の塗布、または浸漬の後、フィルム表
    面に気流を吹き付けてフィルム表面に残存する余分な液
    滴を除去することを特徴とする請求項4記載のポリイミ
    ドフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
    リアミド酸フィルムまたはポリイミドフィルムの残留揮
    発分率が100%以下である請求項2乃至請求項6記載
    のポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】部分的に硬化または部分的に乾燥されたポ
    リアミド酸フィルムまたはポリイミドフィルムのイミド
    化率が50%以上である請求項2乃至請求項7記載のポ
    リイミドフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】化1で示される有機チタン化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項8記載のポリイミ
    ドフィルムの製造方法。 【化1】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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