JP2002361816A - 印刷用版材の作製方法,再生方法及び印刷機及び印刷用版材並びに印刷用版材用塗布液 - Google Patents

印刷用版材の作製方法,再生方法及び印刷機及び印刷用版材並びに印刷用版材用塗布液

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JP2002361816A JP2001168498A JP2001168498A JP2002361816A JP 2002361816 A JP2002361816 A JP 2002361816A JP 2001168498 A JP2001168498 A JP 2001168498A JP 2001168498 A JP2001168498 A JP 2001168498A JP 2002361816 A JP2002361816 A JP 2002361816A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷用版材及びその作製方法,再生方法及び
印刷機並びに印刷用版材用塗布液に関し、デジタルデー
タから直接版を作成することができ、現像工程・現像液
を用いずに十分な画質を得られ、版材を繰り返し使用可
能にする。 【解決手段】 加熱処理により該版材表面に反応,固着
される性質と、該光触媒のバンドギャップエネルギより
も高いエネルギをもつ光を照射することにより該光触媒
の作用により分解される性質とを併せ持つ樹脂微粒子を
含む液を、疎水化剤として該版材表面に塗布する工程
と、該版材表面の少なくとも一部を加熱処理して該版材
表面に塗布された該樹脂微粒子を反応させて疎水性画線
部を形成する工程と、該疎水性画線部を形成された該版
材表面の該疎水性画線部以外の部分に塗布された該樹脂
微粒子を除去する工程とを有し、光触媒を含む親水性の
版材表面を有する印刷用版材の該版材表面に疎水性の画
線部を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生使用可能な印
刷用版材、及びかかる印刷用版材の作製方法,再生方
法、及びかかる印刷用版材をそなえた印刷機、並びにか
かる印刷用版材に用いる塗布液に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の印刷技術において、印刷工
程のデジタル化が進行しつつある。このデジタル化と
は、パソコンで画像や原稿を作成したり、スキャナ等で
画像を読み込んだりすることにより当該画像データをデ
ジタル化し、このデジタルデータから直接印刷用版を製
作するというものである。これによって、印刷工程全体
の省力化を図ることができるとともに、高精細な印刷を
行うことが容易になる。
【0003】従来、印刷に用いる版としては、陽極酸化
アルミを親水性の非画線部とし、その表面上に感光性樹
脂を硬化させて形成した疎水性の画線部を有する、いわ
ゆるPS版(Presensitized Plate)が一般的に用いら
れてきた。しかし、このPS版を用いて印刷用版を作成
するには複数の工程が必要であり、版の製作に時間がか
かり、コストも高くなる。このため、PS版を用いる場
合、印刷工程の時間短縮および印刷の低コスト化を推進
しにくいという課題があり、特に少部数の印刷において
は印刷コストアップの要因となっている。また、PS版
では現像液による現像工程を必要とし、手間がかかるだ
けでなく、現像廃液の処理についても環境汚染防止とい
う観点から重要な課題となっている。
【0004】さらに、PS版では、一般に原画像が穿設
されたフィルムを版面に密着させて露光する方法が用い
られており、デジタルデータから直接版を作成し印刷工
程のデジタル化を進めるうえで印刷用版の作成が障害と
なっている。また、一つの絵柄の印刷が終わると、版を
交換して次の印刷を行わなければならず、使用後の版は
使い捨てにされていた。
【0005】このようなPS版の課題に対して、印刷工
程のデジタル化に対応し、さらに現像工程を省略できる
方法が提案され商品化されている。例えば、特開昭63
−102936号公報では、液体インクジェットプリン
タのインクとして感光樹脂を含むインクを用い、これを
印刷製版材に噴射し、その後、光照射により画像部を硬
化させることを特徴とする製版方法が開示されている。
また、特開平11―254633号公報には、固体イン
クを吐出するインクジェットヘッドによりカラーオフセ
ット印刷用刷版を作成する方法が開示されている。
【0006】さらにまた、PETフィルム上にカーボン
ブラックなどのレーザ吸収層を塗布し、さらにその上に
シリコン樹脂層を塗布したものに、レーザ光線で画像を
書き込むことによりレーザ吸収層を発熱させ、その熱に
よりシリコン樹脂層を焼き飛ばして印刷用版を作成する
方法や、アルミ版の上に親油性のレーザ吸収層を塗布
し、さらにその上に塗布した親水層を前記と同様にレー
ザ光線で焼き飛ばして印刷用版とする方法などが知られ
ている。
【0007】この他にも、親水性ポリマーを版材として
使用し、画像露光により照射部を親油化させ版を作成す
る手段も提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような各技術では、デジタルデータから直接版を作成す
ることは可能であるが、一つの絵柄の印刷が終わると新
しい版に交換しなければ次の印刷が出来ず、従って、一
度使った版は廃棄されることに変わりはない。さらにま
た、例えば特開平10―250027号公報には、酸化
チタン光触媒を用いた潜像版下,潜像版下の製造方法,
及び潜像版下を有する印刷装置が開示されており、特開
平11―147360号公報にも、光触媒を用いた版材
によるオフセット印刷法が開示されている。
【0009】これらの技術は、いずれも画像書き込みに
は光触媒を活性化させる光(実質的には紫外線)を用
い、加熱処理で光触媒を疎水化して版を再生するという
ものである。また、特開平11―105234には、光
触媒を活性光、即ち紫外線で親水化した後、ヒートモー
ド描画にて画線部を書き込む平版印刷版の作成方法が開
示されている。
【0010】しかしながら、光機能材料研究会第5回シ
ンポジウム「光触媒反応の最近の展開」(1998)に
おける「酸化チタン表面の構造変化に伴う光励起親水化
現象の挙動に関する研究(三邊ら)」に関する資料
(p.124〜125)によれば、東京大学先端技術研
究所、藤嶋教授,橋本教授らによって、加熱処理により
酸化チタン光触媒は親水化することが確認されているこ
とが開示されており、上記の各公開公報で開示された方
法、即ち、光触媒を疎水化して版を再生しようとする方
法では、版の再生利用あるいは版の作成は不可能であ
る。
【0011】本発明は、上記事情に鑑み創案されたもの
で、デジタルデータから直接版を作成することができ、
現像工程・現像液を必要としないで実用上十分な画質を
得られ、かつ版材を再生し繰り返し使用することができ
るようにした、印刷用版材,及びかかる印刷用版材の作
製方法,再生方法,及びかかる印刷用版材を有する印刷
機,並びに印刷用版材用塗布液を提案することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の印刷用版材の作製方法は、光触媒を含む親水
性の版材表面を有する印刷用版材の該版材表面の少なく
とも一部に疎水性の画線部を形成する印刷用版材の作製
方法であって、加熱処理により該版材表面に反応及び/
又は固着される性質と、該光触媒のバンドギャップエネ
ルギよりも高いエネルギをもつ光を照射することにより
該光触媒の作用により分解される性質とを併せ持つ樹脂
微粒子を含む液を、疎水化剤として該版材表面に塗布す
る工程と、該版材表面の少なくとも一部を加熱処理して
該版材表面に塗布された該樹脂微粒子を該版材表面に反
応及び/又は固着させて疎水性画線部を形成する画線部
書き込み工程と、該疎水性画線部を形成された該版材表
面の該疎水性画線部以外の部分に塗布された該樹脂微粒
子を除去する疎水化剤除去工程と、を有することを特徴
としている。
【0013】すなわち、印刷用版材の版材表面に、光触
媒のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギをもつ
光を照射することにより、その照射面を親水性に変換す
ることが可能になる。これは、光触媒が親水化する作用
による。そして、当該親水性に変換された面は湿し水が
優先的に付着し、疎水性インキが付着しない非画線部と
して機能する。この親水性の版材表面に、加熱処理によ
り版材表面に反応及び/又は固着する性質と、光触媒の
バンドギャップエネルギよりも高いエネルギをもつ光を
照射することで、この光触媒の作用により分解除去され
る性質とを併せ持つ樹脂微粒子を含む液を、疎水化剤と
して塗布し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させ
る。
【0014】塗布後、或いは室温乾燥後は、前記樹脂微
粒子は親水性版材表面に弱い付着力で付着しているだけ
であるが、版面温度が50℃以上、好ましくは100℃
以上に加熱されると、前記樹脂微粒子は溶融しフィルム
状になるとともに、親水性版材表面と反応及び/又は固
着することで、強固な疎水性画線部を形成するようにな
る。
【0015】該画像書き込み工程は、該光触媒のバンド
ギャップエネルギよりも低いエネルギをもつ光を照射す
ることにより該光のエネルギで樹脂微粒子を加熱し、該
樹脂微粒子を溶融させてフィルム状にするとともに、該
樹脂微粒子を該版材表面に反応及び/又は固着させて画
線部を書き込む工程であることが好ましい(請求項
2)。ここでいう、光触媒のバンドギャップエネルギよ
りも低いエネルギをもつ光とは、具体的には、可視光、
赤外光などであるが、加熱の効率の点から赤外光が好ま
しい。
【0016】該疎水化剤除去工程が、印刷開始初期にお
ける該樹脂微粒子を、インキの粘着力及び/又は湿し水
の洗浄効果により該版材表面から除去する工程であるこ
とが好ましい(請求項3)。このように画線部以外の樹
脂微粒子を除去することで、疎水化剤を塗布する前の親
水性面が露出するため、疎水性画線部と親水性非画線部
が版面状に形成され、印刷版としての機能を発揮するこ
とが可能となる。さらに、印刷終了後、版面のインキを
除去した後、版材表面に光触媒のバンドギャップエネル
ギよりも高いエネルギをもつ光を照射することにより、
前記樹脂微粒子が溶融してできたフィルム状の画線部を
分解し、版を疎水化剤塗布前の状態に再生することが可
能となる。
【0017】該樹脂微粒子が一次粒子径5μm以下で且
つ0.001μm以上の熱可塑性樹脂であることが好ま
しい(請求項4)。該樹脂微粒子がアクリル系樹脂,ス
チレン系樹脂,スチレン・アクリル系樹脂,ウレタン系
樹脂,フェノール系樹脂,エチレン系樹脂,ビニル系樹
脂,ブタジエン樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂,ポリプロピレン樹脂のうちの何
れか一種又は何れか複数であることが好ましい(請求項
5)。
【0018】該樹脂微粒子を構成する樹脂成分のガラス
転移点(Tg)が−10℃〜200℃であることが好ま
しい(請求項6)。該光触媒が酸化チタン光触媒である
ことが好ましい(請求項7)。該樹脂微粒子を含む液が
水系であることが好ましい(請求項8)。ここで言う水
性の基準としては、塗布する段階で塗布液中の有機溶剤
含有量を用いることができ、有機溶剤含有量が例えば3
0wt%以下のものを水系とする。
【0019】該樹脂微粒子を含む液が溶剤系であること
が好ましい(請求項9)。ここで言う溶剤系の基準とし
ては、塗布する段階で塗布液中の有機溶剤含有量を用い
ることができ、有機溶剤含有量が例えば30wt%を越
えるものを溶剤系とする。また、請求項10記載の本発
明の印刷用版材の再生方法は、請求項1〜9の何れかの
項に記載の印刷用版材の作製方法により作製された印刷
用版材を再生させる方法であって、印刷終了後に版材表
面からインキを除去するインキ除去工程と、インキを除
去された該版材表面に該光触媒のバンドギャップエネル
ギよりも高いエネルギをもつ光を照射して該疎水性画線
部を分解して除去し、該版材表面を親水化させて再生す
る再生工程と、を有することを特徴としている。
【0020】このように、光触媒のバンドギャップエネ
ルギよりも高いエネルギをもつ光を照射すれば、版材表
面は容易に再生されるため、版材の再生処理に要する時
間短縮、再生コストの低減に有効である。請求項11記
載の本発明の印刷用版材の再生方法は、請求項1〜9の
何れかの項に記載の印刷用版材の作製方法により作製さ
れた印刷用版材を再生させる方法であって、印刷終了後
に該版材表面からインキを除去するインキ除去工程と、
インキを除去された該版材表面に該光触媒のバンドギャ
ップエネルギよりも高いエネルギをもつ光を照射して疎
水性画線部を分解して除去する操作と、洗浄液で該版面
を洗浄する操作とを同時に或いは交互に繰り返して行っ
て、該版材表面を親水化させて再生する再生工程と、を
有することを特徴としている。
【0021】このように、光触媒のバンドギャップエネ
ルギよりも高いエネルギをもつ光の照射と、洗浄剤で版
材表面を洗浄する操作を繰り返せば、光触媒による分解
作用と洗浄作用の相乗効果により、版材表面は更に容易
に再生されるため、版材の再生処理に要する時間短縮、
再生コストの低減に更に有効である。また、請求項12
記載の本発明の印刷機は、光触媒を含む親水性の版材表
面が備えられる版胴と、該版材のインキを除去する版ク
リーニング装置と、加熱により該版材表面に反応及び/
又は固着される性質と、該光触媒のバンドギャップエネ
ルギよりも高いエネルギをもつ光を照射することで該光
触媒の作用で分解される性質とを併せ持つ樹脂微粒子を
含む液を、疎水化剤として該版面に塗布する疎水化剤塗
布装置と、該版材表面の少なくとも一部を加熱処理して
疎水性画線部を形成する画線部書き込み装置と、該版材
表面を乾燥させる乾燥装置と、該光触媒のバンドギャッ
プエネルギよりも高いエネルギをもつ光を該版材表面に
照射して、該疎水性画線部を消去する再生装置と、を備
えたことをを特徴としている。
【0022】該画線部書き込み装置が、該光触媒のバン
ドギャップエネルギよりも低いエネルギをもつ光を照射
することにより該光のエネルギで該樹脂微粒子を加熱
し、該版材表面に反応及び/又は固着させて画線部を書
き込む装置であることが好ましい(請求項13)。該光
触媒が、酸化チタン光触媒であることが好ましい(請求
項14)。
【0023】請求項15記載の本発明の印刷用版材は、
光触媒を含み、該光触媒のバンドギャップエネルギより
も高いエネルギをもつ活性光を照射することにより親水
性を示す版材層と、加熱処理により該版材層表面に反応
及び/又は固着される性質と、該活性光を照射すること
により該光触媒の作用により分解される性質とを併せ持
つ樹脂微粒子を該版材層表面に塗布した層を有すること
を特徴としている。
【0024】請求項16記載の本発明の印刷用版材用塗
布液は、加熱処理により印刷用版材表面に反応及び/又
は固着される性質と、光触媒のバンドギャップエネルギ
よりも高いエネルギをもつ活性光を照射することにより
光触媒の作用により分解される性質とを併せ持つ樹脂微
粒子を含むことを特徴としている。樹脂微粒子が一次粒
子径0.001μm以上5μm以下の熱可塑性樹脂であ
ることが好ましい(請求項17)。
【0025】樹脂微粒子がアクリル系樹脂,スチレン系
樹脂,スチレン・アクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,フ
ェノール系樹脂,エチレン系樹脂,ビニル系樹脂,ブタ
ジエン樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリエチレンテレフ
タレート樹脂,ポリプロピレン樹脂のうち何れか一種又
は何れか複数であることが好ましい(請求項18)。樹
脂微粒子を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)が
−10〜200℃であることが好ましい(請求項1
9)。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明する。まず、図1,図2を参照して
本発明の一実施形態にかかる印刷用版材について説明す
ると、図1は本実施形態にかかる印刷用版材の表面を示
す模式的断面図、図2は本実施形態にかかる印刷用版材
において紫外線照射により光触媒コート層が露出した状
態を示す模式的断面図である。
【0027】図1に示すように、この印刷用版材は、基
材1と、中間層2と、コート層(版材表面層)3と、樹
脂微粒子が加熱溶融されて形成されたフィルム層4とか
ら基本的に構成されている。基材1はアルミニウムやス
テンレス等の金属或いはポリマーフィルムなどで構成さ
れている。ただし、本発明にかかる印刷用版材では、そ
の基材はアルミニウムやステンレス等の金属或いはポリ
マーフィルムに限定されるものではない。
【0028】中間層2はこの基材1表面上に形成されて
いる。この中間層2としては、例えば、シリカ(SiO
2),シリコン樹脂,シリコーンゴム等のシリコン形化
合物がその材質として利用される。このうち、特に、シ
リコン樹脂としては、シリコーンアルキド,シリコーン
ウレタン,シリコーンエポキシ,シリコーンアクリル,
シリコーンポリエステル等が使用される。この中間層2
は、基材1と後述するコート層3との付着を確実なもの
とするため、及び/又は、基材1と後述するコート層3
との密着性を向上させるために形成されるものである。
【0029】このように、基材1とコート層3との間に
必要により中間層2を介することにより、コート層3の
付着強度を十分に保つことが可能となる。ただし、基材
1とコート層3との付着強度が十分に確保できる場合に
は、中間層2はなくてもさしつかえない。さらに、基材
1がポリマーフィルムなどの場合は、必要に応じて基材
の保護のために中間層2を形成することもある。
【0030】中間層2上には、光触媒を含むコート層3
が形成されている。このコート層3表面は、光触媒のバ
ンドギャップエネルギよりも高いエネルギをもつ波長の
光、例えば紫外線を照射することによって高い親水性を
示すようになる。このような性質を有する光触媒には、
例えば酸化チタン光触媒を用いることができる。図2は
非画線部の樹脂微粒子層を除去した後、紫外線照射によ
り親水性を示している光触媒コート層が露出した状態を
表している。図2に示すように、親水性コート層3が露
出することにより印刷用版材の非画線部を形成すること
が可能となる。
【0031】このようなコート層3には、前記のよう
に、表面に光触媒のバンドギャップエネルギよりも高い
エネルギをもつ波長の光を照射すると高い親水性を示す
という親水特性を維持する為に、あるいはコート層3の
強度や基材1との密着性を向上させる為に、所要の物質
を添加したものとしても良い。この物質とは、例えば、
シリカ,シリカゾル,オルガノシラン,シリコン樹脂等
のシリカ系化合物、また、ジルコニウム,アルミニウ
ム,チタニウム等の金属酸化物又は金属水酸化物、さら
にはフッ素系樹脂を挙げることができる。
【0032】酸化チタン光触媒としては、ルチル型,ア
ナターゼ型,ブルッカイト型があるが、本実施形態にお
いてはいずれも利用可能であり、これらの混合物を用い
てもよい。また、後述するように、光触媒のバンドギャ
ップエネルギよりも高いエネルギをもつ光照射下で画線
部を分解する光触媒性能を高くするためには、酸化チタ
ン光触媒の粒子径はある程度小さい方が好ましく、具体
的に酸化チタン光触媒の粒子径は0.1μm以下である
ことが好ましい。
【0033】なお、光触媒としては酸化チタン光触媒が
好適であるが、これに限定されるものではない。本実施
形態において使用可能でかつ市販されている酸化チタン
光触媒を具体的に列挙すれば、石原産業製のST-01,ST-
21,その加工品ST-K01,ST-K03,水分散タイプSTS-01,
STS-02,STS-21、また、堺化学工業製のSSP-25,SSP-2
0,SSP-M,CSB,CSB-M,塗料タイプのLACTl-01,LACTI-
03-A、テイカ製の光触媒用酸化チタンコーティング液TK
S-201,TKS-202,TKC-301,TKC-302,TKC-303,TKC-30
4,TKC-305,TKC-351,TKC-352、光触媒用酸化チタン
ゾルTKS-201,TKS-202,TKS-203,TKS-251、田中転写製
のPTA,TO,TPX等を挙げることができる。ただし、本発
明はこれらの酸化チタン光触媒に限定されるものではな
く、これ以外のものであっても適用可能なことはもちろ
んである。
【0034】また、コート層3の膜厚は、0.01〜1
0μmの範囲内にあることが好ましい。このような膜厚
の下限値(0.01μm)は、膜厚があまりに小さけれ
ば、前記した性質(親水特性)を十分に生かすことが困
難となることから設定したものであり、また、膜厚の上
限値(10μm)は、膜厚があまりに大きければ、コー
ト層3がヒビ割れしやすくなり耐刷性低下の要因となる
ために設定したものである。
【0035】なお、このコート層3のヒビ割れは膜厚が
20μmを越えるようなときに顕著に観察されるから、
前記範囲を緩和するとしても当該20μmをその上限と
して認識することが必要である。しかし、コート層3の
膜厚は、さらに厳しく限定して0.05〜3μm程度の
膜厚とするのがより好ましい。もちろん、このようなコ
ート層3の膜厚に関する設定範囲(下限値や上限値)は
目安であって、かかる設定範囲を超えた瞬間に、前記し
た性質(親水特性)が急激に低下したり、コート層3の
ヒビ割れが急増するというものではない。
【0036】ところで、このようなコート層3の形成方
法としては、ゾル塗布法,有機チタネート法,蒸着法等
を適宜選択して用いればよい。例えば、ゾル塗布法を採
用するのであれば、これに用いる塗布液としては、酸化
チタン光触媒及びコート層3の強度や、基材1との密着
性を向上させる性質のあるものが適しており、前記各種
の物質(シリカ,シリカゾル,オルガノシラン,シリコ
ン樹脂等のシリカ系化合物、また、ジルコニウム,アル
ミニウム,チタニウム等の金属酸化物又は金属水酸化
物、さらにはフッ素系樹脂)の他に、溶剤,架橋剤,界
面活性剤等を添加しても良い。
【0037】また、この塗布液は、常温乾燥タイプでも
加熱乾燥タイプでも良いが、後者の方がより好ましい。
これは、加熱によりコート層3の強度を高めた方が、版
の耐刷性を向上させるのに有利となるからである。ま
た、例えば、真空中で金属基板上へ蒸着法にて不定形の
酸化チタン層を成長させた後、加熱処理により結晶化さ
せる方法などによりも高い強度をもつ光触媒コート層を
作製することも可能である。
【0038】フィルム層4は、樹脂微粒子を加熱溶融さ
れて形成される。この樹脂微粒子は、加熱溶融されフィ
ルム状になるとともに、コート層3表面上に反応及び/
又は固着された際に、疎水化剤として作用するもので、
このような樹脂微粒子を水や有機溶剤といった液体中に
分散させた液を、コート層3の表面上に塗布し、加熱処
理することでフィルム層4が形成される。
【0039】すなわち、ここで言う「樹脂微粒子」と
は、「加熱処理により溶融してフィルム状になるととも
に、コート層の表面と反応及び/又は固着する性質と、
光触媒のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギを
もつ光を照射することで、光触媒の作用により分解され
る性質とを併せ持つ」樹脂微粒子である。また、ここ
で、反応及び/又は固着とは、版材表面として印刷時に
も充分な強度を保ちうる程度に、樹脂が加熱溶融された
形成されたフィルム層がコート層3表面に密着すること
をさし、コート層3との間で何らかの化学反応を生じて
いるか否とを問うものではなく、また、化学的結合によ
るか物理的結合によるか否かを問うものではない。
【0040】なお、以下の説明において、「樹脂微粒
子」とは、上述のような性質を有する樹脂微粒子をいう
ものとする。また、「樹脂微粒子を含む液」は、後述す
る樹脂微粒子の種類に応じて、水系または溶剤系に調製
される。なお、「水系]の基準としては、塗布する段階
での液中の有機溶剤含有量が30wt%以下であり、ま
た「溶剤系」の基準としては、塗布する段階での液中の
有機溶剤含有量が30wt%を越えるものである。ここ
で用いる有機溶剤としては、樹脂微粒子が使用環境温度
で実質的に溶解せず、粒子状で分散可能なものであれば
よい。
【0041】水系,溶剤系ともに、樹脂微粒子の分散性
を向上させるための界面活性剤や、塗布を容易にできる
ように液の粘度を調整するための添加剤などを含んでい
ても良いことは言うまでもない。さらに、樹脂微粒子を
含む液には、いわゆるエマルジョンやラテックスが含ま
れることは言うまでもない。
【0042】さらにまた、樹脂微粒子を含む液は、液中
に分散されている時点で、樹脂微粒子自体が固体粒子状
態であっても、例えば溶剤に溶解した液体粒子状態であ
っても、後の画像書き込み時の加熱処理において、フィ
ルムを形成し、版材表面に反応及び/又は固着して画線
部を形成する機能があればよいことは言うまでもない。
【0043】さらに、このような樹脂微粒子としては、
加熱により溶融しフィルム化するとともに、版材表面の
親水性部分と反応もしくは強く固着し親水性表面に疎水
性を付与する作用を有する一方、常温では前記反応もし
くは固着が実質的に起らないことはもちろん、それとと
もに紫外線照射下において酸化チタン光触媒の作用で容
易に分解されるものが好ましい。
【0044】具体的には、樹脂微粒子の一次粒子径が5
μm以下、好ましくは1μm以下の熱可塑性の樹脂が良
い。粒子径が大き過ぎると、加熱溶融してできたフィル
ム、即ち画線部の膜厚が大き過ぎて、再生工程における
画線部の分解に時間が掛かりすぎ、実用的ではなくな
る。一方、粒子径が小さ過ぎると比表面積増大の効果で
常温成膜してしまい、インキの粘着力及び/又は湿し水
の洗浄効果、による非画線部の疎水化剤の除去が困難に
なる。なお、実験的に確認したところ、インキの粘着力
及び/又は湿し水の洗浄効果により除去できる疎水化剤
粒子の一次粒子径の下限は0.001μm以上であっ
た。
【0045】また、常温では前記反応もしくは固着が実
質的に起らず且つ紫外線照射下において酸化チタン光触
媒の作用で容易に分解されるためには、かかる樹脂微粒
子を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)は、−1
0℃〜200℃であることが好ましい。熱可塑性樹脂と
しては種々の樹脂が知られているが、本印刷用版材にか
かる版材用疎水化剤としては、上記の大きさの微粒子を
形成できる樹脂が好ましく、メタ)アクリル酸,(メ
タ)アクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、スチレ
ン系樹脂、スチレン・アクリル酸,スチレン・アクリル
酸エステルなどのスチレン・アクリル系樹脂、ウレタン
系樹脂,フェノール系樹脂,エチレン,エチレン・アク
リル酸,エチレン・アクリル酸エステル,エチレン酢酸
ビニル,変性エチレン酢酸ビニル樹などのエチレン系樹
脂、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,ポリビニルアル
コール,ポリビニルエーテルなどのビニル系樹脂や、ブ
タジエン樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリエチレンテレ
フタレート樹脂,ポリプロピレン樹脂が好適である。
【0046】これらの樹脂は、分解時に塩素化合物など
の有害成分を生成しないという利点があるが、版材用疎
水化剤としては、これらの樹脂を単独で用いてもよい
し、必要に応じて混合して用いても良いことは言うまで
も無い。次に、図3,図4を参照して、本発明の一実施
形態にかかる印刷用版材の作製方法及び再生方法につい
て説明する。なお、図3はその工程を(a)〜(e)の
順に示す模式図であり、図4はその作製方法により製作
された印刷用版材を示す模式的な斜視図である。
【0047】また、以下において「版の作製」とは、樹
脂微粒子を含む液を版材表面上に塗布した後、該版材表
面の少なくとも一部をデジタルデータに基づいて加熱処
理して疎水性画線部を形成し、加熱処理されなかった版
材表面上の前記樹脂微粒子を除去することを言うものと
する。まず、コート層3表面に酸化チタン光触媒のバン
ドギャップエネルギよりも高いエネルギをもつ波長の光
を照射し、版材の表面全面を水の接触角が10°前後の
親水性表面とし、図2に示すような状態を現出させる。
ここで、酸化チタン光触媒のバンドギャップエネルギよ
りも高いエネルギをもつ波長の光とは、より具体的に
は、波長380nm以下の光を含む紫外線である。
【0048】そして、疎水化剤塗布工程として、この親
水性のコート層3の表面に、樹脂微粒子を含む液を塗布
し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させる。図3
(a)は、前記樹脂微粒子を含む液を塗布した状態を示
している。コート層3の表面のこのような状態を「版作
製時の初期状態」という。なお、ここでいう「版作製時
の初期状態」とは、実際上の印刷工程におけるその開始
時とみなしてよい。より具体的にいえば、ある与えられ
た任意の画像に関して、それをデジタル化したデータが
既に用意されていて、これを版材上に書き込みしようと
するときの状態を指すものとみなすことができる。
【0049】コート層3表面が樹脂微粒子層に覆われて
かかる状態(版作製時の初期状態)となっているとなっ
ている時に、この樹脂微粒子層に覆われたコート層3表
面に対して画線部書き込み工程として、画線部を書き込
む。この画線部は、画像に関するデジタルデータに準拠
して、そのデータに対応するように行われる。なお、こ
こでいう「画線部」とは水の接触角が50°以上、好ま
しくは80°以上の疎水性部分であり、印刷用の疎水性
インキが容易に付着し、一方、湿し水の付着は困難な状
態になっているものとする。
【0050】このように疎水性の画線部を画像データに
基づいて現出させる方法としては、樹脂微粒子層を加熱
し、前記樹脂微粒子を溶融させてフィルム化させるとと
もに、コート層3表面に反応及び/又は固着させる方法
が好適である。画線部を加熱した後、加熱されなかった
部分の樹脂微粒子を除去することにより、非画線部を現
出させ、版を作製することができる。
【0051】こうした加熱方法としては、光触媒のバン
ドギャップエネルギよりも低いエネルギをもつ光を照射
することにより、加熱処理を行うのが好ましい。この
「光触媒のバンドギャップエネルギよりも低いエネルギ
をもつ光」として、具体的には、赤外線が挙げられる。
こうした光を照射すれば、樹脂微粒子を分解することな
く溶融してフィルム化させるとともに、コート層3上に
反応及び/又は固着させることができる。
【0052】ここでは、図3(b)に示すように、赤外
線書き込みヘッドを用いた赤外照射によって、少なくと
も一部の樹脂微粒子を加熱溶解してフィルム化させると
ともに、コート層3表面に反応あるいは固着させて画線
部を形成するようにしている。画線部を形成した後、図
3(c)に示すように、印刷開始直後の段階で、画像書
き込みをしなかった部分の樹脂微粒子を、インキの粘着
力及び/又は湿し水の洗浄作用により版材表面から除去
して、非画線部を現出させる。これによって、図3
(c)に示すように、コート層3表面への画線部と非画
線部の形成が完了し、印刷可能な状態となる。
【0053】なお、樹脂微粒子を含む液の塗布面を加熱
し、疎水性の画線部を画像データに基づいて現出させる
方法としては、ここでは、光で画線部を書き込んで光の
エネルギで加熱するように構成した例を示しているが、
他の構成、例えばサーマルヘッドによる樹脂微粒子物塗
布面の直接加熱であってもよいことはいうまでもない。
【0054】上記までの処理[図3(a)〜(c)]が
終了したら、版材表面に湿し水および印刷用の疎水性イ
ンキと湿し水を混合した、いわゆる乳化インキを塗布す
る。これによって、例えば図4に示すような印刷用版材
が製作されたことになる。図4において、網掛けされた
部分は、樹脂微粒子が加熱溶融されてフィルム化すると
ともに、光触媒を含むコート層3表面と反応もしくは固
着して形成された部分、即ち疎水性の画線部に、疎水性
インキが付着した状態を示している。また、残りの白地
の部分、即ち親水性の非画線部には、湿し水が優先的に
付着する一方、疎水性インキははじかれて付着しなかっ
た状態を示している。このように絵柄が浮かび上がるこ
とにより、コート層3表面は、印刷用版材としての機能
を有することになる。この後、通常の印刷工程を実行
し、これを終了させる。
【0055】次に、印刷用版材の再生方法について説明
する。なお、「版の再生」とは、少なくとも一部が疎水
性を示し残りが親水性を示す版材表面を、全面均一に親
水化した後、この親水性の版材表面に、樹脂微粒子を含
む液を塗布し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させ
ることによって、再び「版作製時の初期状態」に復活さ
せることをいう。
【0056】「版の再生」では、まず、インキ除去工程
として、印刷終了後のコート層3表面に付着したイン
キ,湿し水,紙粉などを拭き取る。その後、少なくとも
一部が疎水性を示すコート層3表面全面に、光触媒のバ
ンドギャップエネルギよりも高いエネルギをもつ光を照
射する。こうすることで、画線部を形成する樹脂微粒子
が溶融して形成した画線部を分解して除去し、コート層
3表面全面を、水の接触角が10°前後の親水性表面と
すること、即ち図2に示す状態とすることができる。
【0057】光触媒のバンドギャップエネルギよりも高
いエネルギをもつ波長の光としては、例えば紫外線を照
射すればよく、これによって、コート層3表面に存在す
る画線部を分解・除去し、かつ高い親水性を有する表面
にするには、酸化チタン光触媒を用いることにより達成
することができる。ここでは、図3(e)に示すよう
に、紫外線照射ランプを用いて、紫外線照射のみで画線
部を分解し、コート層3の親水性表面を露出させる場合
を示している。
【0058】紫外線照射によって、全面親水性に回復し
たコート層3表面に、樹脂微粒子を含む液を再度常温で
塗布し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させること
によって、版作製時の初期状態に戻すことが可能であ
る。また、コート層表面全面に、光触媒のバンドギャッ
プエネルギよりも高いエネルギをもつ光を照射して画線
部を分解する操作と、水又は水を含む洗浄液でコート層
表面を洗浄する操作とを、同時に行うか或いは交互に繰
り返すことにより、さらに容易にコート層表面全面を水
の接触角が10°前後の親水性表面とすることが可能で
ある。
【0059】図5は本発明の一実施形態にかかる印刷用
版材の作製方法及び再生方法について説明するタイムチ
ャートである。図5は、横軸に時間(或いは操作)、縦
軸に版材表面の水の接触角をとっており、本実施形態に
かかる印刷用版材に関して、そのコート層3表面の接触
角(即ち、疎水,親水状態)が時間或いは操作に伴って
どのように変化するかを示したものである。また、図5
において、一点鎖線は非画線部5の状態を示し、破線
(開始点a,a´を起点とする太線の破線)は画線部/
非画線部に共通のコート層3表面の状態を示し、実線は
画線部4の状態を示している。
【0060】まず予め、コート層3表面に紫外線を照射
して、コート層3表面における水の接触角が、10°前
後、好ましくは10°以下の高い親水性を示すようにし
ておく。最初に、疎水化材塗布工程(Aの工程)とし
て、コート層3表面に、前記樹脂微粒子を含む液を塗布
し(点a)、その後、必要があれば液を室温程度の常温
で乾燥させる。図5はこの乾燥工程を必要としない場合
を示す。樹脂微粒子を含む液を塗布し終わった状態が、
つまり「版作製時の初期状態」である(点b)。
【0061】次に、画線部書き込み工程(Bの工程)と
して、コート層3表面上の樹脂微粒子塗布面の画線部相
当部分を加熱処理して、画線部の書き込みを開始する
(点b)。このようにすることによって、樹脂微粒子は
加熱されて溶融しフィルム化するとともに、コート層3
表面と反応又は固着し、画線部は高い疎水性を示すよう
になる。この一方、非画線部では樹脂微粒子と版面との
反応又は固着は実質的に起らず、画線部書き込み前と同
じ状態を維持する。
【0062】画線部書き込みが完了したら、疎水化剤除
去工程(Cの工程)として、印刷直後の段階で、非画線
部の樹脂微粒子を、インキの粘着力及び/又は湿し水の
洗浄効果によりコート層3表面から除去開始する(点
c)。すなわち、非画線部として、親水性のコート層3
表面を露出させる。これにより、コート層3表面は、樹
脂微粒子が溶融して形成したフィルム状樹脂が反応又は
固着して形成された疎水性の画線部と、樹脂微粒子が除
去された親水性の非画線部が現出し、版として機能する
ことができるようになる。
【0063】非画線部の樹脂微粒子除去が完了した後、
印刷工程(Dの工程)として、印刷を開始することにな
る(点d)。 印刷が終了すると、インキ除去工程(Eの工程)とし
て、コート層3表面のインキ、汚れなどを拭き取ってク
リーニングを開始する(点e)。このクリーニング完了
後、即ちインキの拭き取りが完了した後には、再生工程
(Fの工程)として、コート層3表面への紫外線照射を
開始する。こうすることにより、前記の樹脂微粒子が溶
融して形成された画線部を分解・除去し、コート層3表
面を再び親水性に戻すことができる。
【0064】この後、次の疎水化剤塗布工程(A´の工
程)として、再び樹脂微粒子を含む液を塗布する(点a
´)ことにより、「版作製時の初期状態」に戻ることにな
り、この印刷用版材は再利用に供されることになる。
【0065】
【実施例】このような本実施形態にかかる印刷用版材の
作製方法及び再生方法による版作製および版再生の手順
を、更に具体的に説明する。ここでは、本発明の印刷用
版材の作製方法及び再生方法に関して、本願発明者らが
確認したより具体的な実施例について説明する。
【0066】まず、その面積が280×204mm、厚
さが0.1mmのステンレス(SUS304)製の基材
1を用意し、この基材1を陽極酸化処理して黒染め処理
を行った。この処理により、830nmの赤外線の吸収
率は処理前の30%から、黒染め処理後は90%以上に
向上した。この黒染め処理SUS基板をアルカリ脱脂処
理し、版材基板として用いた。
【0067】次に、固形分1wt%のシリカゾルを版材
基板にディップコートした後、500℃で30分加熱処
理し、厚さ約0.07μmの中間層を形成した。テイカ
株式会社製の光触媒用ゾルTKS−203と酸化チタン
コーティング剤TKC−301とを重量比1:4の割合
で混合した液を、上記中間層処理した基板にディップコ
ートし、500℃で加熱して、アナターゼ型酸化チタン
光触媒層を版材表面に形成した。光触媒層の厚みは約
0.1μmであった。
【0068】次に、版全面に低圧水銀ランプを用いて、
波長254nm,照度20mW/cm2の紫外線を10
秒照射した後、紫外線照射部分について直ちにCA−W
型接触角計で水の接触角を測定したところ、接触角は7
°となり、非画線部として十分な親水性を示した。次
に、ジョンソンポリマー製のスチレン・アクリル系樹脂
(商品名「J−678」)をエタノールに溶解し、濃度
1wt%の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液中に、界
面活性剤イオネット「T−60−C」(三洋化成製)を
樹脂に対して10wt%添加した後、樹脂溶液70に対
してイオン交換水(冷水)30の重量比となるように、
イオン交換水を添加し、樹脂微粒子を析出させた。
【0069】その後、エバポレータを用いて液温40℃
にてメタノールを脱気し、樹脂微粒子の水分散液を調製
し疎水化剤とした。走査電子顕微鏡で樹脂粒子を観察す
ると、粒径0.05〜0.1μmの球状粒子であった。
紫外線を照射して親水性となっている版全面に、ロール
コートにより上記疎水化剤を塗布した後、25℃で5分
間風乾し、次に、波長830nm、出力250mW、ビ
ーム径15μmの赤外線レーザを用いた画像書き込み装
置により版面に画線率10%から100%までの10%
刻みの網点画像を書き込むことで、照射部分の樹脂微粒
子を加熱溶融し、版面に固着させフィルム層4を形成し
た。この樹脂微粒子が固着した部分についてCA−W型
接触角計で水の接触角を測定したところ、接触角は82
°で、画線部が出来ていることを確認した。
【0070】この版材を(株)アルファー技研の卓上オフ
セット印刷機ニューエースプロに取り付け、東洋インキ
製のインキHYECOO B紅MZと三菱重工業製の湿し水リソ
フェロー1%溶液を用いて、アイベスト紙に印刷速度3
500枚/時にて印刷を開始した。印刷開始1〜5枚目
は、本来インキが付かない非画線部にもインキが部分的
に付着し汚れているような印刷物であったが、次第に汚
れは消えていき、10枚目には非画線部の汚れは消え
て、画線部にはインキが付着し、一方、画像を書き込ま
なかった非画線部にはインキが付着せず、紙面上には網
点画像が印刷できた。
【0071】次に、印刷用版材の再生に係わる実施例を
説明する。印刷終了後、版面上に付着したインキ,湿し
水,紙粉などをきれいに拭き取った版全面に、低圧水銀
ランプを用いて波長254nm、照度20mW/cm2
の紫外線を20秒照射した。その後、網点を書き込んで
いた部分について直ちにCA−W型接触角計で水の接触
角を測定したところ、接触角は8°となり、十分な親水
性を示すを確認した。すなわち、版材は疎水化剤塗布前
の状態に戻り、版再生ができたことを確認した。
【0072】なお、上記の印刷および版再生を印刷機上
で行うためには、図6に示すような印刷機10を用いる
のが好ましい。すなわち、この印刷機10は、版胴11
を中心として、その周囲に版クリーニング装置12,紫
外線照射装置13,樹脂微粒子を含む液の塗布装置1
4,乾燥装置15,画線部書き込み装置16,インキン
グローラ17,湿し水供給装置18及びブランケット胴
19を備えたものとなっている。印刷用版材は、版胴1
1に巻き付けられて設置されている。
【0073】この印刷機10において、上記したように
印刷を終了した版の再生工程は、次のように行われる。
まず、版クリーニング装置12を版胴11に対して接し
た状態とし、版面上に付着したインキ,湿し水,紙粉な
どをきれいに拭き取る。その後、クリーニング装置12
を版胴11から脱離させ、紫外線照射装置13で版全面
に紫外線照射して版面を親水化する。つまり、紫外線照
射装置13は、光触媒のバンドギャップエネルギよりも
高いエネルギをもつ光を版材表面に照射して、疎水性画
線部を消去する再生装置として機能する。
【0074】その後、前記樹脂微粒子を含む液を、版全
面に塗布装置14を用いて塗布し、必要なら乾燥機15
を用いて、室温程度の常温で塗布液を乾燥させる。これ
により、版作製時の初期状態となる。次に、予め用意さ
れた画像のデジタルデータに基づき書き込み装置で版面
を加熱して、画線部を書き込んだ後、インキングローラ
17,湿し水供給装置18,ブランケット胴19を版胴
に対して接する状態とし、紙(印刷用紙)20がブラン
ケット胴19に接するようにして、かつブランケット胴
19の回動(図6に示す矢印参照)によって紙20を所
要方向(図中では左方向)に搬送していくことによっ
て、非画線部の樹脂微粒子はインキインキの粘着力、及
び/又は、湿し水の洗浄効果によって除去され、その
後、印刷が行われるようになっている。
【0075】この印刷機においては、印刷後の版面のク
リーニング,紫外線照射による画線部の分解・除去,前
記樹脂微粒子を含む液の塗布,加熱による画線部書き込
み,及び非画線部の樹脂微粒子の除去といった一連の版
再生及び版作製の工程を、印刷用版材を印刷機に取り付
けたまま、印刷機上でも行うことができる。これによれ
ば、印刷機を停止することなく、また印刷版の交換作業
を挟むことなく連続的な印刷作業の実施を行うことが可
能になる。
【0076】なお、この印刷機においては、印刷用版材
を版胴に巻き付けるように構成しているが、これに限定
されるものではなく、版胴表面に酸化チタン光触媒を含
むコート層を直接設けたもの、即ち版胴と印刷用版材と
が一体に構成されたものを用いてもよいことは言うまで
もない。また、この印刷機においては、非画線部の疎水
化剤を除去する装置を設けてはいないが、独立した構成
要素としての疎水化剤除去装置を設けてもよい。この疎
水化剤除去装置としては、例えば、版面に水を噴霧する
装置、或いは、表面が粘着性をもったローラなどが挙げ
られる。
【0077】また、本実施形態にかかる印刷用版材の作
製方法及び再生方法においては、印刷用版材の再利用が
可能となっているという利点もさることながら、そのサ
イクルを迅速化できる利点をも備えている。すなわち、
酸化チタン光触媒と、この酸化チタン光触媒で容易に分
解する樹脂微粒子と、デジタルデータに基づいて樹脂微
粒子塗布面を加熱し画線部形成する技術とを組み合わせ
ることで、版を作製する場合にも、版を再生する場合に
も、いずれも、それらを実現するための作業に時間がか
からないこととなっている。したがって、印刷工程全体
を極めて速やかに完了させることが可能になる。
【0078】また、酸化チタン光触媒のもつ公知の性
質、即ちバンドギャップエネルギよりも高いエネルギの
もつ波長を照射することにより親水性化する性質及び有
機物を分解する性質と、加熱処理により溶融してフィル
ム化するとともに、版材表面と反応及び/又は固着する
性質及び前記光触媒のバンドギャップエネルギよりも高
いエネルギをもつ光を照射することにより分解除去され
る性質を併せもつ樹脂微粒子を含む液と、デジタルデー
タに基づき版面の前記樹脂微粒子を加熱し、樹脂微粒子
をフィルム化させ版面と反応あるいは固着させる方法で
画線部を書き込む技術とを、組み合わせて利用すること
により、版材の再生・再利用を可能とし、使用後に廃棄
される版材の量を著しく減少させることができるのであ
る。
【0079】したがって、その分、版材に関わるコスト
を大幅に低減することができる。また、画像に係わるデ
ジタルデータから、版材への画像書き込みを直接実施す
ることが可能であることから、印刷工程のデジタル化対
応がなされており、その相応分の大幅な時間短縮、又は
コスト削減を図ることができる利点がある。さらに、本
形態に係わる印刷機においては、版作製と版再生を印刷
機上で行うことが可能であるから、印刷作業の迅速化を
実現することもできる利点がある。
【0080】以上、本発明の実施形態を説明したが、本
発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施すること
ができる。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明にかかる印
刷用版材の作製方法、再生方法及び印刷機及び印刷用版
材並びに印刷用版材用塗布液によれば、版材を再生し繰
り返し使用することにより、使用後に廃棄される版材の
量を著しく減少させることができるとともに、版材に関
わるコストが低減できるようになる効果がある。
【0082】また、印刷工程に占める版再生時間を短縮
できるため、印刷準備時間の短縮ができる効果がある。
さらに、デジタルデータから直接版を作成することによ
り、印刷工程のデジタル化対応や時間短縮ができるよう
になる効果もある。さらに、印刷機に取り付けた状態
で、版作製および版再生ができるようになり、版交換作
業がなく操作性を向上させることができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の表面
を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材におい
て紫外線照射により光触媒コート層が露出した状態を示
す模式的断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の作製
方法及び再生方法を説明する模式的な工程図であって、
(a)〜(e)の順にその工程を示す。
【図4】本発明の一実施形態としての印刷用版材の作製
方法により製作された印刷用版材を示す模式的な斜視図
である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の作製
方法及び再生方法を説明するタイムチャートである。
【図6】本発明の一実施形態にかかり印刷機を示す模式
的な構成図である。
【符号の説明】
1 基材 2 中間層 3 コート層(版材表面層,非画線部) 4 フィルム層(疎水性画線部) 10 印刷機 11 版胴 12 版クリーニング装置 13 紫外線照射装置(再生装置) 14 塗布装置 15 乾燥装置 16 画線部書き込み装置 17 インキングローラ 18 湿し水供給装置 19 ブランケット胴 20 紙(印刷用紙)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/004 521 7/004 521 (72)発明者 末田 穣 広島県三原市糸崎町5007番地 三菱重工業 株式会社紙・印刷機械事業部内 (72)発明者 大屋 公彦 兵庫県姫路市御国野町国分寺138−1 御 国色素株式会社内 (72)発明者 長畠 周一 兵庫県姫路市御国野町国分寺138−1 御 国色素株式会社内 Fターム(参考) 2C250 FA01 2H025 AA00 AC08 AD01 BH03 BJ03 CB54 FA10 FA28 2H084 AA14 AA38 AE03 BB02 BB04 BB13 CC05 2H096 AA06 BA01 BA20 EA04 EA23 LA30 2H114 AA04 AA22 AA24 BA01 BA10 DA47 DA52 DA53 DA59 DA60 DA62 EA01 GA09 GA23 GA27 GA29 GA34

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒を含む親水性の版材表面を有する
    印刷用版材の該版材表面の少なくとも一部に疎水性の画
    線部を形成する印刷用版材の作製方法であって、 加熱処理により該版材表面に反応及び/又は固着される
    性質と、該光触媒のバンドギャップエネルギよりも高い
    エネルギをもつ光を照射することにより該光触媒の作用
    により分解される性質とを併せ持つ樹脂微粒子を含む液
    を、疎水化剤として該版材表面に塗布する工程と、 該版材表面の少なくとも一部を加熱処理して該版材表面
    に塗布された該樹脂微粒子を該版材表面に反応及び/又
    は固着させて疎水性画線部を形成する画線部書き込み工
    程と、 該疎水性画線部を形成された該版材表面の該疎水性画線
    部以外の部分に塗布された該樹脂微粒子を除去する疎水
    化剤除去工程と、を有することを特徴とする、印刷用版
    材の作製方法。
  2. 【請求項2】 該画像書き込み工程が、該光触媒のバン
    ドギャップエネルギよりも低いエネルギをもつ光を照射
    することにより該光のエネルギで樹脂微粒子を加熱し、
    該樹脂微粒子を溶融させてフィルム状にするとともに、
    該樹脂微粒子を該版材表面に反応及び/又は固着させて
    画線部を書き込む工程であることを特徴とする、請求項
    1記載の印刷用版材の作製方法。
  3. 【請求項3】 該疎水化剤除去工程が、印刷開始初期に
    おける該樹脂微粒子を、インキの粘着力及び/又は湿し
    水の洗浄効果により該版材表面から除去する工程である
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の印刷用版材の
    作製方法。
  4. 【請求項4】 該樹脂微粒子が一次粒子径5μm以下で
    且つ0.001μm以上の熱可塑性樹脂であることを特
    徴とする、請求項1〜3の何れかの項に記載の印刷用版
    材の作製方法。
  5. 【請求項5】 該樹脂微粒子がアクリル系樹脂,スチレ
    ン系樹脂,スチレン・アクリル系樹脂,ウレタン系樹
    脂,フェノール系樹脂,エチレン系樹脂,ビニル系樹
    脂,ブタジエン樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂,ポリプロピレン樹脂のうちの何
    れか一種又は何れか複数であることを特徴とする、請求
    項1〜4の何れかの項に記載の印刷用版材の作製方法。
  6. 【請求項6】 該樹脂微粒子を構成する樹脂成分のガラ
    ス転移点(Tg)が−10℃〜200℃であることを特
    徴とする、請求項1〜5の何れかの項に記載の印刷用版
    材の作製方法。
  7. 【請求項7】 該光触媒が酸化チタン光触媒であること
    を特徴とする、請求項1〜6の何れかの項に記載の印刷
    用版材の作製方法。
  8. 【請求項8】 該樹脂微粒子を含む液が水系であること
    を特徴とする、請求項1〜7の何れかの項に記載の印刷
    用版材の作製方法。
  9. 【請求項9】 該樹脂微粒子を含む液が溶剤系であるこ
    とを特徴とする、請求項1〜7の何れかの項に記載の印
    刷用版材の作製方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかの項に記載の印
    刷用版材の作製方法により作製された印刷用版材を再生
    させる方法であって、 印刷終了後に版材表面からインキを除去するインキ除去
    工程と、 インキを除去された該版材表面に該光触媒のバンドギャ
    ップエネルギよりも高いエネルギをもつ光を照射して該
    疎水性画線部を分解して除去し、該版材表面を親水化さ
    せて再生する再生工程と、を有することを特徴とする、
    印刷用版材の再生方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9の何れかの項に記載の印
    刷用版材の作製方法により作製された印刷用版材を再生
    させる方法であって、 印刷終了後に該版材表面からインキを除去するインキ除
    去工程と、 インキを除去された該版材表面に該光触媒のバンドギャ
    ップエネルギよりも高いエネルギをもつ光を照射して疎
    水性画線部を分解して除去する操作と、洗浄液で該版面
    を洗浄する操作とを同時に或いは交互に繰り返して行っ
    て、該版材表面を親水化させて再生する再生工程と、を
    有することを特徴とする、印刷用版材の再生方法。
  12. 【請求項12】 光触媒を含む親水性の版材表面が備え
    られる版胴と、 該版材のインキを除去する版クリーニング装置と、 加熱により該版材表面に反応及び/又は固着される性質
    と、該光触媒のバンドギャップエネルギよりも高いエネ
    ルギをもつ光を照射することで該光触媒の作用で分解さ
    れる性質とを併せ持つ樹脂微粒子を含む液を、疎水化剤
    として該版面に塗布する疎水化剤塗布装置と、 該版材表面の少なくとも一部を加熱処理して疎水性画線
    部を形成する画線部書き込み装置と、 該版材表面を乾燥させる乾燥装置と、 該光触媒のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギ
    をもつ光を該版材表面に照射して、該疎水性画線部を消
    去する再生装置と、を備えたことを特徴とする、印刷
    機。
  13. 【請求項13】 該画線部書き込み装置が、該光触媒の
    バンドギャップエネルギよりも低いエネルギをもつ光を
    照射することにより該光のエネルギで該樹脂微粒子を加
    熱し、該版材表面に反応及び/又は固着させて画線部を
    書き込む装置であることを特徴とする、請求項12記載
    の印刷機。
  14. 【請求項14】 該光触媒が、酸化チタン光触媒である
    ことを特徴とする、請求項12又は13記載の印刷機。
  15. 【請求項15】 光触媒を含み、該光触媒のバンドギャ
    ップエネルギよりも高いエネルギをもつ活性光を照射す
    ることにより親水性を示す版材層と、加熱処理により該
    版材層表面に反応及び/又は固着される性質と、該活性
    光を照射することにより該光触媒の作用により分解され
    る性質とを併せ持つ樹脂微粒子を該版材層表面に塗布し
    た層を有することを特徴とする、印刷用版材。
  16. 【請求項16】 加熱処理により印刷用版材表面に反応
    及び/又は固着される性質と、光触媒のバンドギャップ
    エネルギよりも高いエネルギをもつ活性光を照射するこ
    とにより光触媒の作用により分解される性質とを併せ持
    つ樹脂微粒子を含むことを特徴とする、印刷用版材用塗
    布液。
  17. 【請求項17】 樹脂微粒子が一次粒子径0.001μ
    m以上5μm以下の熱可塑性樹脂であることを特徴とす
    る、請求項16記載の印刷用版材用塗布液。
  18. 【請求項18】 樹脂微粒子がアクリル系樹脂,スチレ
    ン系樹脂,スチレン・アクリル系樹脂,ウレタン系樹
    脂,フェノール系樹脂,エチレン系樹脂,ビニル系樹
    脂,ブタジエン樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂,ポリプロピレン樹脂のうち何れ
    か一種又は何れか複数であることを特徴とする、請求項
    16又は17記載の印刷用版材用塗布液。
  19. 【請求項19】 樹脂微粒子を構成する樹脂成分のガラ
    ス転移点(Tg)が−10〜200℃であることを特徴
    とする、請求項16〜18の何れかの項に記載の印刷用
    版材用塗布液。
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JP2014160612A (ja) * 2013-02-20 2014-09-04 Toppan Printing Co Ltd 凸版印刷装置及び有機el素子の製造方法、有機el素子

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