JP2002357306A - 燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気化促進材のタール生成による目詰まりを抑
制するとともに、気化不良を防止して良好な燃焼ができ
るようにすることを目的としたものである。 【解決手段】 気化器２１に配設され燃料を気化する気
化室２６には、複数本の軸線２８の間に多数の植毛線２
９を挟み込み軸線２８をねじって形成した円筒ブラシ形
状の気化エレメント３０を配設するとともに、気化室２
６内壁に密着して気化器２１とキャップ２７の接合部の
底部を覆うように網状の気化ネット３２を気化室２６内
壁の全体あるいは一部に配設し、かつ、気化ネット３２
のノズル２３側の端部の底部に別体の網状の脈防止ネッ
ト３３をスポット溶接等で固定し多重構造とした構成と
してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液体燃料を気化さ
せ、この気化ガスをノズルから噴出させて燃焼させる燃
焼装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の燃焼装置は種々のものが
提案されていて、灯油等を気化させた液体燃料ガスを燃
焼させるものがある。以下、この液体燃料ガスを燃焼さ
せる燃焼装置を例にして説明すると、このような燃焼装
置は図４に示すように構成されている。

【０００３】まず、タンク１にカートリッジタンク２か
ら燃料が供給され、同タンク１の燃料はポンプ３によっ
て高温に保持された気化器４内に供給される。そして供
給された燃料は、気化器４内に設けられたセラミック多
孔体や金網等の気化促進材（図示せず）で気化され気化
ガスとなって気化器４内で高圧となり、ノズル５より水
平方向に噴出される。このノズル５から噴出された燃料
は、エジェクタ効果により一次空気を吸引しながら気化
器５の下流側に離れて設けた混合管６内に噴出されここ
で混合されて混合管６と一体のライン形状のバーナ７に
供給され、そこで燃焼される。生じた燃焼ガスは、バー
ナ７の周囲を覆うように配設された燃焼筒８で上方へ導
かれ、上記燃焼筒８を覆ったダクト９で送風機１０から
の室内空気流と混合され、温風として排出されて暖房に
利用される。そして、この燃焼装置はポンプ３の駆動周
波数や印加電圧を変えて燃料供給量を調節すると、一次
空気量もそれにつれて増減し、燃料と空気の比が一定に
保たれたまま燃焼量を変えることができるようになって
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の燃焼装置は、長期間保存され酸化した変質油
や、異種成分を混入した異種油などの不良灯油を燃料と
して使用すると、気化器４の燃料を気化する気化促進材
の多孔部にタールが生成して目詰まりを起こし、気化不
良による燃焼不良を生じてしまい、さらに目詰まりが進
むと目詰まり自身によって燃焼不良を生じてしまう問題
があった。

【０００５】例えば、目詰まりを生じて気化不良が進む
と、気化器４の内圧があまり高くならずにノズル５から
の気化ガスの噴出が弱くなるとともに、液体のまま燃料
がノズル５より噴出したりして、噴出によるエジェクタ
効果が弱まって一次空気の吸引量が少なくなりバーナ７
の燃焼状態が悪くなってしまい、脈燃焼や臭気、スス、
一酸化炭素を生じたり、ついには失火したりする。

【０００６】また、気化促進材の目詰まりが進むと、特
に気化器４の燃料入り口近傍の気化促進材の目詰まり
は、気化器４に燃料が入ってくるのを阻害して、ポンプ
３からの供給量に対して気化器４に入る燃料つまり気化
量が減少してしまい、気化器４の内圧は高くなっても燃
焼量が減少して、ついには微弱燃焼となって燃焼限界を
超えて臭気を発生したり、失火したりする。

【０００７】ここで、最終的な不良状態を生じる原因
は、気化不良によるものか、あるいは目詰まりによるも
のかは、気化促進材に与えられる温度分布等の温度条
件、そして気化促進材の気孔径や気孔率等の条件に大き
く左右され、一般に気化促進材の温度が低いと前者の気
化不良により、温度が高いと後者の目詰まりにより、ま
た気化促進材の気孔径が大きく気孔率が大きくて粗であ
ると前者の気化不良により、気化促進材の気孔径（気化
促進材で仕切られる空間の大きさ）が小さく気孔率（気
化促進材の空間率）が小さく密であると後者の目詰まり
により燃焼不良が生じやすい。

【０００８】そして、燃焼装置は上述のような気化不良
や目詰まりによる燃焼不良が生じて臭気や失火現象が発
生する前に燃焼センサーなどで異常を検知して機器の運
転を停止するようになっていて、気化促進材のタール生
成による気化促進材の目詰まり、気化不良は機器の寿命
を左右するという課題があった。

【０００９】本発明は上記課題を解決したもので、気化
促進材のタール生成による目詰まりを抑制するととも
に、気化不良を防止して良好な燃焼ができるようにする
ことを目的としたものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、気化器に配設され燃料を気化する気化室には、複数
本の軸線の間に多数の植毛線を挟み込み軸線をねじって
形成した円筒ブラシ形状の気化エレメントを配設すると
ともに、気化室内壁に密着して少なくとも気化器とキャ
ップの接合部で気化室の底面に網状の気化ネットを配設
し、気化ネットのノズル側の端部の底面には網状の脈防
止ネットを設けて気化ネットと多重構造としてある。

【００１１】上記発明によれば、気化室に入った燃料は
高温に保持された気化室内壁や気化エレメント、気化ネ
ットに触れて気化してノズルより噴出される。また、そ
のときに不良燃料が混入されると、まず入り口側から入
った燃料はノズルまで到達される過程で徐々に気化して
いき、その際、正常な燃料の気化ガスといっしょに燃料
の不良成分は気化不十分の燃料気化ガスとして気化室の
キャップの給油口からノズル側にまっすぐ流れ、その途
中で、気化エレメントの多数の植毛線に触れてタール成
分として捕集される。したがって、ノズルに到達する気
化ガスは、気化不十分の燃料気化ガスを含まないため、
ノズルから噴出される気化ガスは安定して噴出され燃焼
は安定するようになる。

【００１２】また、植毛線にタール成分が溜まって、燃
料気化ガスの直進する流れが阻害されるようになると、
気化ガスの流れは軸線と軸線で植毛線を挟んでねじって
できる植毛線のない螺旋状の空間部分を通過するように
なる。そして、不良灯油の気化不十分の燃料気化ガス
は、タール成分が付着した植毛線の壁でできる長い螺旋
状の通り道を通過する過程で、植毛線に付着したタール
成分が核となって、気化不十分の燃料気化ガスを捕集す
るようになる。したがって、植毛線の壁でできる螺旋状
の空間がタール成分で塞がるまで、気化ガスは、気化不
十分の燃料気化ガスを含まないでノズルに到達するた
め、ノズルから噴出される気化ガスは安定して噴出され
燃焼は安定するようになる。

【００１３】そして、気化エレメントの寿命は、前者の
気化ガスがまっすぐ流れ、タール成分が気化エレメント
の多数の植毛線に触れて捕集される間と、植毛線の壁で
できる螺旋状の空間がタール成分で塞がるまでの間とな
り、２段階でしかもタール成分が溜まる空間が広いた
め、長寿命化が図れるようになる。

【００１４】さらに、気化室の内壁が鏡面に近い表面状
態で高温の場合や、気化エレメントが気化室に対して片
寄ってその植毛線が気化室内壁に接触していなかった
り、接触しすぎて植毛線で壁を作ったりするなどの、燃
料を気化しにくい状態で高温になるとはじきやすい状態
になり、気化室内に入った燃料は膜沸騰を生じて、気化
が不規則となり圧力変動を生じて、ノズルより噴出する
気化ガスが変動して脈燃焼を発生する心配があったが、
気化ネットを配設してあるので、気化室内に入った燃料
は気化ネットで拡散し、気化促進されるので、膜沸騰は
防止でき安定した気化が得られ燃焼は安定するようにな
る。

【００１５】そして特に、気化器とキャップの接合部は
隙間を生じやすくその部分に燃料が溜まり、その表面張
力で燃料がその部分で保持されて燃料の拡散が妨げられ
やすく、また、それを乗り越えた気化器本体の部分は熱
伝導的に温度が高くなるので、上述の膜沸騰を生じ易い
状態となるが、気化ネットは気化室内の気化器とキャッ
プの接合部の底部を覆うように設けてあるので、気化ネ
ットの２重の重なり部分を伝って接合部を乗り越えやす
くなり、膜沸騰を防止できるようになる。

【００１６】また、気化室に入った燃料はノズルまで到
達される過程で徐々に気化していくが、このとき燃料の
量が多いと、その気化が追いつかずに燃料がそのまま液
体でノズル側に近い所まで到達するようになる。そし
て、そこで気化しようとするが、ノズル側の気化室内壁
は燃焼部の受熱部に近い分高温となっているために、前
述の膜沸騰による脈燃焼を生じやすくなるが、ノズル側
の端部の底部に別体の網状の脈防止ネットをスポット溶
接で固定し多重構造の気化ネットを配設してあるので、
入ってきた燃料は気化ネットおよび脈防止ネットで保持
され、そこで気化するようになって、脈燃焼は防止でき
るようになる。

【００１７】ここで、気化室に入ってくる燃料が少ない
と、給油口近傍で気化するようになり、燃料が多いとノ
ズル側に近いところで気化をするようになり、また気化
室の温度分布は、受熱部に近いノズル側は温度が高く、
その伝導熱が伝わっていく給油口側は、その温度勾配と
燃料の気化潜熱で奪われる熱量で低くなる。

【００１８】また脈燃焼は、気化室に入る燃料が少ない
と、脈の大きさは小さいがバーナでの燃焼が弱いために
その影響度も大きく、特に微弱燃焼の場合はリフトや失
火を生じ易く一酸化炭素や未燃ガス、臭気などを発生し
やすく、また気化室に入る燃料が多いと、その脈の大き
さは大きくなるが、バーナでの燃焼は強いため、燃焼量
変化の音を生じるようになり排ガス特性は悪くならない
が使用感が悪くなり、特に気化量が多くなる過負荷燃焼
で、気化器の温度が高くなる場合に脈燃焼は生じやすく
なる。

【００１９】そこで、気化量が少ない弱燃焼側で給油口
側は気化ネットは１枚で密着するように配設し、また、
気化量が多い強燃焼側で、ノズル側の気化ネットは保有
量が多くなるように脈防止ネットで多重にして配設して
あるので、強燃焼から弱燃焼まで幅広い範囲で脈燃焼を
防止することができるようになる。

【００２０】また、気化エレメントの寿命も、燃料が気
化ネットを介して気化室全体に拡散されて気化し、気化
ネットで気化促進されるので、不良灯油も気化促進され
気化不十分の気化ガスも低減されタール成分の生成が抑
制されて、さらに長寿命化が図れるようになる。

【００２１】

【発明の実施の形態】請求項１の発明は、供給された燃
料を気化させる気化室を配設した気化器と、前記気化器
で気化されたガスを噴出させるノズルと、前記気化室に
燃料を供給する給油口を有したキャップと、前記ノズル
から噴出したガスを燃焼させるバーナとを備え、前記気
化室には複数本の軸線の間に多数の植毛線を挟み込み軸
線をねじって形成した円筒ブラシ形状の気化エレメント
を配設するとともに、少なくとも気化室内壁に密着して
気化器とキャップの接合部で気化室の底面に網状の気化
ネットを配設し、前記気化ネットのノズル側の端部の底
面には網状の脈防止ネットを設けて気化ネットと多重構
造とした構成としてある。

【００２２】そして、特に、温度の高いノズル側に位置
する気化ネットの底部に別体の網状の脈防止ネットを設
け多重構造とすることで、気化量が多くなった場合でも
気化が追いつかずに燃料がそのまま液体でノズル側に近
い所まで到達するようなこともなく、また、高温になっ
た気化室内壁での膜沸騰現象も抑制でき、入ってきた燃
料は気化ネットおよび脈防止ネットで保持されるため、
安定して気化するようになり、脈燃焼が防止できる。

【００２３】また、請求項２の発明は、気化ネットのノ
ズル側の先端は気化室のおよそ半分の位置で、さらに脈
防止ネットは、気化ネットの幅より狭くその底部を覆う
のみの幅とし、長さはそのおよそ２分の１以下として、
気化ネットのノズル側に配設した構成としてある。

【００２４】そして、気化室に入った燃料は気化ネット
に沿って気化室全域に拡散されて気化ネットの先端部ま
で即座に到達するようになり、そこから気化してノズル
より噴出されるまで、時間あるいは距離が短いと気化不
十分の燃料気化ガスをノズルより噴出するようになる
が、気化ネットのノズル側の先端は気化室のおよそ半分
の位置するようにしてあるので、気化ネットのノズル側
の先端で気化しても十分気化室の残りの半分で再気化さ
れるとともに気化不十分の燃料は、気化エレメントの植
毛で捕集され、気化ガスは安定してノズルから噴出され
燃焼は安定するようになる。

【００２５】また、脈防止ネットは、気化ネットの幅よ
り狭くその底部を覆うのみの幅とし、長さはそのおよそ
２分の１以下として、気化ネットのノズル側端部に配設
してあるので、気化ネットの先端部まで即座に到達する
燃料は最小とし、気化ネットの先端部に届いた燃料を脈
防止ネットで保持してそこで気化するようになり、より
いっそう気化ガスは安定してノズルから噴出され燃焼は
安定するようになるとともに、燃料も確実に脈防止ネッ
トで保持するようになり、膜沸騰による脈燃焼も防止で
きるようになる。

【００２６】また、請求項３の発明は、気化ネットは、
適所に打ち抜き穴を有するバイアス状の網を円筒状に丸
めて気化室に密着させた構成としてある。

【００２７】そして、気化室に入った燃料は気化ネット
で即座にその毛細管現象で気化ネット全域まで拡散され
て、その先端で気化された燃料気化ガスはノズルまでの
距離が短く気化不十分のままでノズルより排出され、ノ
ズルにタール化して付着したりバーナの燃焼に影響を与
えたりする心配があった。

【００２８】ところが、気化ネットは、適所に打ち抜き
穴を有するバイアス状の網を円筒状に丸めて気化室に密
着させた構成としてあるので、打ち抜き穴の部分で気化
が行われるようになるとともに、気化室に入った燃料は
気化ネットの先端まで打ち抜き穴を迂回して到達するよ
うになり、その間で殆ど気化されるようになり、ノズル
には気化が十分された気化ガスが到達するようになっ
て、安定した燃焼が得られる。

【００２９】また、請求項４の発明は、気化ネットは、
その周長を気化室内壁の半円分より若干大きくした構成
としてある。

【００３０】そして、気化ネットは、その周長を気化室
内壁の半円分より若干大きくした構成としてあるので、
気化ネットの半円分より大きい部分が広がろうとするの
で、気化ネット全体を下に押しつけようとする力が働
き、気化ネットが気化室に密着するようになる。つまり
気化ネットが密着することで、気化ネットの温度も高く
保て、また気化ネットと気化室内壁との隙間が狭くなり
毛細管現象で気化室内に入った燃料が拡散され易くなる
とともに気化室と気化ネットの間隙が狭くなりその間に
ある燃料の膜が薄くなり気化しやすくなり、さらに気化
促進されるので、膜沸騰は防止でき安定した気化が得ら
れ燃焼は安定するようになる。

【００３１】また、請求項５の発明は、気化ネットは、
少なくともキャップ側はその端部の長さが気化室内の半
円分の周長より小さくなるように面取りを設けた構成と
してある。

【００３２】そして、製造時のキャップを気化器に挿入
時に気化ネットが邪魔をして挿入しにくくなるが、気化
ネットは、少なくともキャップ側はその端部の長さが気
化室内の半円分の周長より小さくなるように面取りを設
けてあるので、キャップを下方より挿入することで、そ
の端部の弦がキャップの内径より小さくなるとともに、
面取り部がガイドするようになり、挿入の邪魔にならな
くなり、組み立てやすくなり、そのため気化ネットが変
形したり気化室の底面より浮き上がるなどのバラツキも
低減でき、その性能も安定するようになる。

【００３３】

【実施例】以下本発明の実施例について図面に基づいて
説明する。

【００３４】図１は本発明の実施例１の燃焼装置の構成
図、図２は同燃焼装置に用いた気化ネットの構成図、図
３は同燃焼装置を用いた温風暖房機の構成図である。

【００３５】まず、図３を用いて本発明の燃焼装置を用
いた温風暖房機器の構成を説明する。１１は本体ケース
で、その下方側部に液体燃料を保有するタンク１２とそ
のタンク１２上部に着脱自在なカートリッジタンク１３
が配設してある。１４はタンク１２の上面に取付けたし
たポンプで、その上端から送油パイプ１５を導出して燃
焼装置１６に燃料を供給するようになっている。

【００３６】１７は燃焼装置１６からの燃焼ガスを上方
へ導く燃焼筒で、その背部に室内空気流を取入れ送出す
る送風機１８が配設してある。１９は上記燃焼筒１７か
らの燃焼ガスと室内空気流を混合して温風にするダクト
である。２０は前記燃焼装置１６の燃焼や送風機１８を
制御する制御部で、操作部から入力される運転条件信号
に基づいてポンプ１４や送風機１８などを予め決められ
たシーケンスで制御するようになっている。

【００３７】次に上記燃焼装置１６の構成を図１を用い
て説明すると、２１は気化器で、その上部に円形のバー
ナ受け座２２を設け、前記バーナ受け座２２のほぼ中央
に位置するようにノズル２３を配置し、前記バーナ受け
座２２とノズル２３の間に燃焼用空気を供給する一次空
気取り入れ用の開口２４を設け、そして、前記ノズル２
３に連通する連通口２５を介して円筒状の気化室２６を
外周方向に伸ばして一体形成してあり、ノズル２３の反
対側の気化室２６の端部に燃料を供給する給油口３１を
配設した別体のキャップ２７が設けてある。

【００３８】気化室２６には、複数本の軸線２８の間に
多数の植毛線２９を挟み込み軸線をねじって形成した円
筒ブラシ形状の気化エレメント３０と、ノズル２３の反
対側の燃料を供給する給油口３１側には気化室２６と気
化エレメント３０の間に適所に打ち抜き穴３２Ａを有す
るバイアス状の網を円筒形に丸めた気化ネット３２を配
設してある。

【００３９】この気化ネット３２は、気化ネット３２の
ノズル２３側の先端は気化室２６のおよそ半分の位置す
るように配置し、図２に示すように気化ネット３２の周
長を気化室２６内壁の半円分より若干大きくして、気化
室２６内壁に密着して設けてあり、また気化ネットは、
少なくともキャップ側はその端部の長さが気化室内の半
円分の周長より小さくなるように面取りを設けてある。

【００４０】また、気化ネット３２のノズル２３側の端
部の底部に別体の網状の脈防止ネット３３をスポット溶
接で固定し多重構造とし、脈防止ネット３３は、気化ネ
ット３２の幅より狭くその底部を覆うのみの幅とし、長
さはそのおよそ２分の１以下として、気化ネット３２の
ノズル２３側に配設してある。

【００４１】また、気化器２１の気化室２６の反対側の
バーナ受け座２２の下面側に沿うようにヒータ３４を配
設してある。

【００４２】３５は上記ノズル２３の上方に位置する如
くバーナ受け座２２に載置した無底筒状の混合管で、前
記ノズル２３と対向しており、ノズル２３から噴出され
た燃料ガスとその燃料ガスの噴出によるエジェクター効
果で吸引する一次空気とを混合させるようになってい
る。

【００４３】３６は前記混合管３５を覆う如く上開口部
側からバーナ受け座２２に重ねて覆着した有天筒状のバ
ーナで、下部周壁に多数の炎孔３６Ａを形成してある。

【００４４】３７は炎孔３６Ａの外周部を囲む如くバー
ナ受け座２２に取り付けた上向きテーパー状のバーナリ
ング、３８はバーナ受け座２２に形成した受熱部であ
る。

【００４５】上記構成において、カートリッジタンク１
３から一定油面を保つようにタンク１２に供給されてい
る液体燃料は、ポンプ１４によってタンク１２から吸い
上げられ、送油パイプ１５、給油口３０を介して燃焼装
置１６の気化室２６に送られる。送られた燃料はヒータ
３４で所定温度以上に保たれた気化室２６内で気化し高
圧の燃料ガスとなってノズル２３から噴出され、その際
エジェクタ効果により一次空気を吸引しながら気化室２
６の下流側に設けた混合管３５内で混合されてバーナ３
６内に供給され、炎孔３６Ａから噴出して燃焼される。
そして生じた燃焼ガスは燃焼筒１７の上方へ流れてゆ
き、ダクト１９内で送風機１８からの室内空気流と混合
され、温風として排出されて暖房に利用される。そし
て、制御部２０は操作部で設定された条件に基づいて、
ヒータ３４、ポンプ１４、送風機１８などを予め決めら
れたシーケンスで制御して、運転の開始、停止、また燃
焼量の可変等の運転制御をする。

【００４６】また、バーナ３６での燃焼について説明す
ると、ノズル２３より噴出された燃料ガスは、エジェク
タ効果により一次空気を吸引しながら気化室２６の下流
側に設けた混合管３５内で流れ込んでここで混合され、
混合管３５の上開口部からバーナ３６内に放出されて混
合管３５外周を折り返し流れて、バーナ３６の下方の周
壁に設けた多数の炎孔３６Ａから噴出し、燃焼する。

【００４７】このとき混合ガスはバーナ３６に折り返し
て混合管３５の周囲を流れ、この部分で拡散混合及び圧
力の均一化が促進されて炎孔３６Ａから均一に噴出し、
均一な火炎を形成する。そしてこの火炎はその外周に位
置するように設けたバーナリング３７によって上方向き
になるようその火炎形成方向を制御され、リフトのない
安定した燃焼を行うようになる。また、受熱フランジ３
８はバーナ３６の炎孔３６Ａに形成される火炎で加熱さ
れ、この火炎からの熱回収作用によって、気化室２６の
温度を一定温度以上に保つようになり、ヒータ３４への
通電の一部或いは全部を軽減することが可能となる。

【００４８】そして、バーナ３６へ供給する燃料の気化
について説明すると、気化室２６には円筒ブラシ形状の
気化エレメント３０と気化室２６と気化エレメント３０
の間に円筒形に丸めた気化ネット３２を配設してあり、
気化室２６に入った燃料は、高温に保持されたその気化
室２６内壁や気化ネット３２、気化エレメント３０に触
れて気化して、ノズル２３より噴出される。また、その
ときに不良燃料が混入されると、まず給油口３１から入
った燃料はノズル２３まで到達される過程で徐々に気化
していき、その際、正常な燃料の気化ガスといっしょに
燃料の不良成分は気化不十分の燃料気化ガスとして気化
室２６のキャップ２７の給油口３１からノズル２３側に
まっすぐ流れ、その途中で、気化エレメント３０の多数
の植毛線２９に触れてタール成分として捕集される。し
たがって、ノズル２３に到達する気化ガスは、気化不十
分の燃料気化ガスを含まないため、ノズル２３から噴出
される気化ガスは安定して噴出され燃焼は安定するよう
になる。

【００４９】また、植毛線２９にタール成分が溜まっ
て、燃料気化ガスの直進する流れが阻害されるようにな
ると、気化ガスの流れは軸線２８と軸線２８で植毛線２
９を挟んでねじってできる植毛線２９のない螺旋状の空
間部分を通過するようになる。そして、不良灯油の気化
不十分の燃料気化ガスは、タール成分が付着した植毛線
２９の壁でできる長い螺旋状の通り道を通る過程で、植
毛線２９に付着したタール成分が核となって、気化不十
分の燃料気化ガスを捕集するようになる。したがって、
植毛線２９の壁でできる螺旋状の空間がタール成分で塞
がるまで、気化ガスは、気化不十分の燃料気化ガスを含
まないでノズル２３に到達するため、ノズル２３から噴
出される気化ガスは安定して噴出され燃焼は安定するよ
うになる。

【００５０】そして、気化エレメント３０の寿命は、前
者の気化ガスがまっすぐ流れ、タール性分が気化エレメ
ント３０の多数の植毛線２９に触れて捕集される間と、
植毛線２９の壁でできる螺旋状の空間がタール成分で塞
がるまで間となり、２段階でしかもタール成分が溜まる
空間が広いため、長寿命化が図れるようになる。

【００５１】さらに、気化室２６の内壁が鏡面に近い表
面状態で高温の場合や、気化エレメント３０が気化室２
６に対して片寄ってその植毛線２９が気化室２６内壁に
接触していなかったり、接触しすぎて植毛線２９も壁を
作ったり油だまりをつくるなどの、燃料の気化がしにく
い状態で高温になると、気化室２６内に入った燃料は膜
沸騰を生じて、脈燃焼を発生する心配があったが、気化
ネット３２を配設してあるので、気化室２６内に入った
燃料は気化ネット３２で拡散し、気化促進され、膜沸騰
は防止でき安定した気化が得られ燃焼は安定するように
なる。

【００５２】つまり、入ってきた燃料は気化するまでは
液体で気化室２６の底面に溜まったいて、気化していく
過程で高温となって膜沸騰すると燃料の油滴が周囲には
じけ飛んで、高温の気化室２６内壁や気化エレメント３
０に接触して気化し、気化が不規則となり圧力変動を生
じて、脈燃焼を発生するようになる。ここで気化ネット
３２がある場合は、入ってきた液体の燃料は気化ネット
３２と気化室２６内壁との毛細管現象で、気化室２６の
底面に溜まらず、気化ネット３２のある部分全体に拡散
され、気化室２６内壁の周壁に広がり気化面積は広が
り、また気化ネット３２が沸騰の核を作るので気化促進
され、膜沸騰も防止できるようになる。

【００５３】そして特に、気化器２１とキャップ２７の
接合部は隙間を生じやすくその部分に燃料が溜まり、そ
の表面張力で、燃料がその部分で保持されて燃料の拡散
が妨げられやすく、またそれを乗り越えた気化器２１本
体の部分は熱伝導的に温度が高くなるので、上述の膜沸
騰を生じ易い状態となるが、気化ネット３２は気化室２
６内の気化器２１とキャップ２７の接合部の底部を覆う
ように設けてあるので、気化ネット３２を伝って接合部
を乗り越えやすくなり、膜沸騰を防止できるようにな
る。

【００５４】また、気化室２１に入った燃料はノズル２
３まで到達される過程で徐々に気化していくが、このと
き燃料の量が多いとつまり気化量が多いと、その気化が
追いつかずに燃料がそのまま液体でノズル２３側に近い
所まで到達するようになる。そして、そこで気化しよう
とするが、ノズル２３側の気化室内壁はバーナの燃焼の
受熱部３８に近い分高温となっているために、前述の膜
沸騰による脈燃焼を生じやすくなるが、ノズル２３側の
端部の底部に別体の網状の脈防止ネット３３をスポット
溶接で固定し多重構造の気化ネット３２としてあるの
で、入ってきた燃料は気化ネット３２および脈防止ネッ
ト３３で保持され、そこで気化するようになって、脈燃
焼は防止できるようになる。

【００５５】ここで、気化室２１に入ってくる燃料が少
ないと、給油口３１近傍で気化するようになり、燃料が
多いとノズル２３側に近いところで気化をするようにな
り、また気化室２６の温度分布は、受熱部３８に近いノ
ズル２３側は温度が高く、その伝導熱が伝わっていく給
油口３１側は、その温度勾配と燃料の気化潜熱で奪われ
る熱量で低くなる。

【００５６】また脈燃焼は、気化室２１に入る燃料が少
ないと、脈の大きさは小さいがバーナ３６での燃焼が弱
いためにその影響度も大きく、特に微弱燃焼の場合はリ
フトや失火を生じ易く一酸化炭素や未燃ガス、臭気など
を発生しやすく、また気化室２１に入る燃料が多いと、
その脈の大きさは大きくなるが、バーナ３６での燃焼は
強いため、燃焼量変化の音を生じるようになり排ガス特
性は悪くならないが使用感が悪くなり、特に気化量が多
くなる過負荷燃焼で、気化器２１の温度が高くなる場合
に脈燃焼は生じやすくなる。

【００５７】そこで、気化量が少ない弱燃焼側で給油口
３１側は気化ネット３２は１枚で密着するように配設
し、また、気化量が多い強燃焼側で、ノズル２３側の気
化ネット３２は保有量が多くなるように脈防止ネット３
３で多重にして配設してあるので、強燃焼から弱燃焼ま
で幅広い範囲で脈燃焼を防止することができるようにな
る。

【００５８】また、気化エレメント３０の寿命も、燃料
が気化ネット３２を介して気化室２６全体に拡散されて
気化し、気化ネット３２で気化促進されるので、不良灯
油も気化促進され気化不十分の気化ガスも低減されター
ル成分の生成が抑制されて、さらに長寿命化が図れるよ
うになる。

【００５９】さらに、気化室２６に入った燃料は気化ネ
ット３２に沿って気化室２６全域に拡散されて気化ネッ
ト３２の先端部まで即座に到達するようになり、そこか
ら気化してノズル２３より噴出されるまで、時間あるい
は距離が短いと気化不十分の燃料気化ガスをノズル２３
より噴出するようになるが、気化ネット３２のノズル２
３側の先端は気化室２６のおよそ半分の位置するように
してあるので、気化ネット３２のノズル２３側の先端で
気化しても十分気化室２６の残りの半分で再気化される
とともに気化不十分の燃料は、気化エレメント３０の植
毛２９で捕集され、気化ガスは安定してノズル２３から
噴出され燃焼は安定するようになる。

【００６０】また、脈防止ネット３３は、気化ネット３
２の幅より狭くその底部を覆うのみの幅とし、長さはそ
のおよそ２分の１以下として、気化ネット３２のノズル
２３側端部に配設してあるので、気化ネット３２の先端
部まで即座に到達する燃料は最小とし、気化ネット３２
の先端部に届いた燃料を脈防止ネット３３で保持してそ
こで気化するようになり、よりいっそう気化ガスは安定
してノズルから噴出され燃焼は安定するようになるとと
もに、燃料も確実に脈防止ネット３３で保持するように
なり、膜沸騰による脈燃焼も防止できるようになる。

【００６１】そして、気化室２６に入った燃料は気化ネ
ット３２で即座にその毛細管現象で気化ネット３２全域
まで拡散されて、その先端で気化された燃料気化ガスは
ノズル２３までの距離が短く気化不十分のままでノズル
２３より排出され、ノズル２３にタール化して付着した
りバーナ３６の燃焼に影響を与えたりする心配があっ
た。

【００６２】ところが、気化ネット３２は、適所に打ち
抜き穴３２Ａを有するバイアス状の網を円筒状に丸めて
気化室２６に密着させた構成としてあるので、打ち抜き
穴３２Ａの部分で気化が行われるようになるとともに、
気化室２６に入った燃料は気化ネット３２の先端まで打
ち抜き穴３２Ａを迂回して到達するようになり、その間
で殆ど気化されるようになり、ノズル２３には気化が十
分された気化ガスが到達するようになって、安定した燃
焼が得られる。

【００６３】また、気化ネット３２は、その周長を気化
室２６内壁の半円分より若干大きくした構成としてある
ので、気化ネット３２の半円分より大きい部分が広がろ
うとするので、気化ネット３２全体を下に押しつけよう
とする力が働き、気化ネット３２が気化室２６に密着す
るようになる。つまり気化ネット３２が密着すること
で、気化ネット３２の温度も高く保て、また気化ネット
３２と気化室２６内壁との隙間が狭くなり毛細管現象で
気化室内に入った燃料が拡散され易くなるとともに気化
室２６と気化ネット３２の間隙が狭くなりその間にある
燃料の膜が薄くなり気化しやすくなり、さらに気化促進
されるので、膜沸騰は防止でき安定した気化が得られ燃
焼は安定するようになる。

【００６４】そして、製造時のキャップ２７を気化器２
１に挿入時に気化ネット３２が邪魔をして挿入しにくく
なるが、気化ネット３２は、少なくともキャップ２７側
はその端部の長さが気化室２６内の半円分の周長より小
さくなるように面取りを設けてあるので、キャップ２７
を下方より挿入することで、その端部の弦がキャップ２
７の内径より小さくなるとともに、面取り部がガイドす
るようになり、挿入の邪魔にならなくなり、組み立てや
すくなり、そのため気化ネット３２が変形したり気化室
２６の底面より浮き上がるなどのバラツキも低減でき、
その性能も安定するようになる。

【００６５】なお、本発明では、気化ネット３２の周長
を気化室２６内壁の半円分より若干大きくした構成で説
明したが、これは、全周あるいは適当な巻き数としても
よく、その他各部の構成も本発明の目的を達成する範囲
であれば、その構成はどのようなものであってよい。

【００６６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、温度の高
いノズル側に位置する気化ネットの底部に別体の網状の
脈防止ネットを設け多重構造とすることで、気化量が多
くなった場合でも気化が追いつかずに燃料がそのまま液
体でノズル側に近い所まで到達するようなこともなく、
また、高温になった気化室内壁での膜沸騰現象も抑制で
き、入ってきた燃料は気化ネットおよび脈防止ネットで
保持されるため、安定して気化するようになり、脈燃焼
が防止できるとともに、気化器の長寿命化を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における燃焼装置の構成図

【図２】同燃焼装置に用いた気化ネットの構成図

【図３】同燃焼装置を用いた温風暖房機の構成図

【図４】従来の燃焼装置の構成図

【符号の説明】

２１ 気化器 ２３ ノズル ２６ 気化室 ２７ キャップ ２８ 軸線 ２９ 植毛線 ３０ 気化エレメント ３２ 気化ネット ３３ 脈防止ネット

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 供給された燃料を気化させる気化室を配
   設した気化器と、前記気化器で気化されたガスを噴出さ
   せるノズルと、前記気化室に燃料を供給する給油口を有
   したキャップと、前記ノズルから噴出したガスを燃焼さ
   せるバーナとを備え、前記気化室には複数本の軸線の間
   に多数の植毛線を挟み込み軸線をねじって形成した円筒
   ブラシ形状の気化エレメントを配設するとともに、少な
   くとも気化室内壁に密着して気化器とキャップの接合部
   で気化室の底面に網状の気化ネットを配設し、前記気化
   ネットのノズル側の端部の底面には網状の脈防止ネット
   を設けて気化ネットと多重構造としてなる燃焼装置。
2. 【請求項２】 脈防止ネットは、気化ネットの幅より狭
   くその底部を覆う幅とし、長さは気化ネットの略２分の
   １以下として、気化ネットのノズル側端部に配設してな
   る請求項１記載の燃焼装置。
3. 【請求項３】 気化ネットは、打ち抜き穴を有するバイ
   アス状の網を円筒状に丸めて気化室に密着させてなる請
   求項１記載の燃焼装置。
4. 【請求項４】 気化ネットは、その周長を気化室内壁の
   半円分より若干大きくしてなる請求項１または２記載の
   燃焼装置。
5. 【請求項５】 気化ネットは、少なくともキャップ側は
   その端部の長さが気化室内の半円分の周長より小さくな
   るように面取りを設けてなる請求項１〜３のいずれか１
   項記載の燃焼装置。