JP2002348461A - 導電性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

導電性樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2002348461A
JP2002348461A JP2002050926A JP2002050926A JP2002348461A JP 2002348461 A JP2002348461 A JP 2002348461A JP 2002050926 A JP2002050926 A JP 2002050926A JP 2002050926 A JP2002050926 A JP 2002050926A JP 2002348461 A JP2002348461 A JP 2002348461A
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resin
red phosphorus
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JP2002050926A
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Hideyuki Umetsu
秀之 梅津
Fumie Shinoda
文恵 篠田
Yoshiki Makabe
芳樹 真壁
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低ガス性、寸法安定性、剛性・靭性、表面外
観および導電性が均衡に優れた導電性樹脂組成物および
それからなる成形品の提供。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート樹脂55〜9
9.5重量%および(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂
45〜0.5重量%の合計100重量部に対して、
(C)ケイ素含有重合体1〜30重量部および(D)炭
素繊維5〜200重量%を配合してなることを特徴とす
る導電性樹脂組成物およびそれからなる成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低ガス性、寸法安
定性、剛性・靭性のバランス、表面外観および導電性が
均衡に優れた導電性樹脂組成物およびそれからなる成形
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂をはじめとする熱
可塑性樹脂は、その優れた諸特性を生かし、射出成形材
料として機械機構部品、電気電子部品、自動車部品など
の幅広い分野に利用されており、特に近年では、電気電
子部品分野におけるノートパソコンや携帯電話をはじめ
とする携帯端末機器などの筐体などの部品分野により多
く利用されるようになってきている。
【0003】しかるに、この種の筐体用途においては、
周辺機器の誤動作を防ぐために電磁波シールド性が要求
され、そのために筐体を導電化する検討がなされてき
た。
【0004】一方、この種の筐体に対する要求特性とし
ては、取り扱い時の落下などの衝撃に対して極めて強靭
であることおよび液晶画面が外圧により破損しないよう
に材料自体の剛性も大きいことが挙げられ、これら剛性
・靭性と上記電磁波シールド性との両立が要求されてい
る。
【0005】これらの要求特性を満足するために、従来
から種々検討がなされており、例えば、樹脂製筐体を導
電化する代表的な方法としては、導電塗料、電磁波遮蔽
メッキおよび亜鉛溶射などの表面処理による方法が挙げ
られるが、これらの表面処理方法では、成形された成形
品表面に導電処理をする加工工程を余分に必要として不
経済であるばかりか、表面処理により付与された導電層
が剥離しやすいなどの問題があった。
【0006】そこで、近年では、樹脂組成物自体を導電
化し、かつ耐衝撃性と剛性を両立させる方法が検討され
ており、例えば特開平5−70677号公報には、ポリ
カーボネート樹脂と、アクリロニトリル−スチレン共重
合体(AS樹脂)と、メタクリル酸メチル−ブタジエン
−スチレン共重合体(MBS樹脂)とからなる樹脂組成
物に対し、導電性フィラーを配合した導電性樹脂組成物
が知られている。
【0007】しかしながら、上記特開平5−70677
号公報に記載の方法では、導電性フィラーとして主に金
属繊維を用いているために、成形品重量が大きくなり、
樹脂製であることによる軽量化のメリットを生かすこと
ができないという問題があった。そればかりか、この方
法において、導電性フィラーとして炭素繊維を用いた場
合には、成形品重量は低減するものの、十分な導電性が
得られず、電磁波シールド性が不足すると共に、靭性
(耐衝撃性)は改良されるものの、剛性が低下し、寸法
安定性性や表面外観の劣る成形品しか得られないという
問題があった。また、この方法によりハウジングなどの
成形品を得る場合には、内部部品の重さによる天面部分
の変形、特に樹脂会合(ウエルド)部での外観荒れ、お
よび内部発熱により寸法が変化することによる上下合わ
せ面のズレなど不具合を生じやすいという問題もあっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0009】したがって、本発明の目的は、成形時の残
留応力を低減するための低ガス性、寸法安定性、剛性・
靭性のバランス、表面外観および導電性が均衡に優れた
導電性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂、
ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ケイ素含有重合体および
炭素繊維を特定の割合で配合した樹脂組成物により、上
記の目的が満たされることを見出し、本発明に到達し
た。
【0011】すなわち、本発明の導電性樹脂組成物は、
(A)ポリカーボネート樹脂70〜99.5重量%およ
び(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂30〜0.5重量
%の合計100重量部に対して、(C)ケイ素含有重合
体1〜30重量部および(D)炭素繊維5〜200重量
部を配合してなることを特徴とする。
【0012】なお、本発明の導電性樹脂組成物において
は、前記組成物から射出成形機を用いて、樹脂温度27
0℃、金型温度80℃において12.7×200×2.
0mm厚の棒状成形品を成形し、得られた成形品の中点
から端部へ各50mmのところへ黄銅−ニッケルメッキ
金属製ネジを打ち込み、テスターにより測定した場合の
抵抗値(2点間)が4×105 Ω以下であること、前記
(D)炭素繊維の一部または全部の繊維径が5μm以下
であること、および前記(A)ポリカーボネート樹脂の
フェノール性末端基(EP )と非フェノール性末端基
(EN )の当量比(EP )/(EN )が1/20以下で
あることが、いずれも好ましい条件であり、これらの条
件を満たす場合にはさらに優れた効果の発現を期待する
ことができる。
【0013】また、本発明の成形品は、上記の導電性樹
脂組成物を成形してなることを特徴とし、この成形品
は、特に電気・電子部品の筐体(ハウジング)または電
波ノイズ低減用自動車部品として適用した場合に最良の
効果を発現する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の導電性樹脂組成
物およびそれからなる成形品について詳述する。
【0015】本発明で用いる(A)ポリカーボネート樹
脂としては、カーボネート結合を有し、芳香族二価フェ
ノール系化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルなどと
を反応させることにより得られる芳香族ホモまたはコポ
リカーボネートが挙げられる。
【0016】この芳香族ホモまたはコポリカーボネート
樹脂は、メチレンクロライド中1.0g/dlの濃度で
20℃で測定した対数粘度が0.2〜3.0dl/g、
特に0.3〜1.5dl/gの範囲のものが好ましく用
いられる。
【0017】ここで、上記二価フェノール系化合物とし
ては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フ
ェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ンなどが挙げられ、これらは単独あるいは混合物として
使用することができる。上記二価フェノール系化合物の
なかでも、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンが好ましく使用される。
【0018】なお、(A)ポリカーボネート樹脂の加工
時の熱安定性を向上させる観点から、芳香族二価フェノ
ール系化合物とホスゲンを反応させることにより得られ
るフェノール性末端基(EP )と非フェノール性末端基
(EN )の当量比(EP )/(EN )が1/20以下で
あるポリカーボネート系樹脂を用いることが好ましく、
より好ましくは1/40以下であり、さらに好ましくは
1/70以下である。
【0019】(A)ポリカーボネート樹脂の末端基の測
定は、例えばポリカーボネート樹脂を酢酸酸性メチレン
クロライドに溶解し、四塩化チタンを加え、生成する赤
色錯体を546nmで測光定量することにより行なうこ
とができる。
【0020】そして、かかる末端基を有する(A)ポリ
カーボネート樹脂は、ホスゲン法により製造することが
できる。
【0021】本発明で用いる(B)ポリ(メタ)アクリ
ル系樹脂とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸
とその誘導体から形成される構造単位を有する樹脂であ
り、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリ
ル酸メチルの単独重合体、これらの共重合体および他の
共重合性単量体との共重合体が含まれる。ここでいう共
重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えばアクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)
アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘ
キシルなどの(メタ)アクリル酸C1〜12アルキルエ
ステル、好ましくは(メタ)アクリル酸C1〜4アルキ
ルエステルなど]、(メタ)アクリルアミド、(メタ)
アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体、ス
チレンなどの芳香族ビニル単量体、カルボキシル基含有
単量体[例えば無水マレイン酸、フマル酸などのα,β
−不飽和カルボン酸]、イミド系単量体[例えばマレイ
ミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド
など]などが挙げられ、これらはは単独で又は二種以上
の組合せで使用することができる。
【0022】(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂は、慣
用の方法、例えば塊状重合、懸濁重合および乳化重合な
どにより製造することができる。
【0023】なお、本発明で使用する(B)ポリ(メ
タ)アクリル系樹脂は、メチルエチルケトン溶媒、30
℃で測定した極限粘度が、0.1〜1.0dl/gのも
の、特に0.2〜0.7dl/gのものが、導電性向上
効果と成形加工性のバランスから好ましく用いられる。
【0024】本発明における(A)ポリカーボネート樹
脂と(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂の配合割合は、
本発明の効果を鮮明に発現するために、(A)ポリカー
ボネート樹脂(A)が99.5〜70重量%、好ましく
は99〜70重量%、より好ましくは95〜80重量%
であり、(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂が0.5〜
30重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましく
は5〜20重量%の範囲である。
【0025】上記の配合割合の範囲を逸脱した場合に
は、特に低ガス性、剛性・靭性のバランスおよび導電性
が低下するため好ましくない。
【0026】本発明で用いる(C)ケイ素含有重合体と
は、ポリオルガノシロキサン単位を有する(共)重合体
またはグラフト(共)重合体であるが、なかでもポリオ
ルガノシロキサン、およびポリオルガノシロキサンと炭
化水素基の構造単位をもつ重合体とが化学結合したシリ
コーン系樹脂が好ましく例示される。
【0027】この(C)ケイ素含有重合体の数平均分子
量については特に制限されないが、その下限としては2
00、さらに1000であることが好ましく、また上限
については特に制限はなく、架橋体、つまり無限分子量
のものも使用することができる。(C)ケイ素含有重合
体の形状としては、オイル、ガム、ワニス、粉体および
ペレットなど任意のものが使用できる。
【0028】上記ポリオルガノシロキサンの具体例とし
ては、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシ
ロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルエチ
ルシロキサン、ポリメチルプロピルシロキサン、ポリメ
チルハイドロジエンシロキサンおよびこれらの共重合体
などが挙げられる。さらには、分子構造の末端または側
鎖が、エポキシ基,水酸基、カルボキシル基、メルカプ
ト基、アミノ基およびエーテル結合を有する有機基など
によって置換された変性物、また架橋体も有用である。
【0029】上記シリコーン系樹脂の具体例としては、
ポリオルガノシロキサン(f1)5〜90重量部、さらに1
0〜80重量部、特に20〜70重量部と、炭化水素基
の構造単位をもつ重合体(f2)95〜10重量部、さらに
90〜20重量部、特に90〜20重量部とが、(f1)と
(f2)との和が100重量部の組成範囲となっているもの
が好ましく使用される。
【0030】なかでも、シリコーン系樹脂としては、ポ
リオルガノシロキサンの架橋体の存在下にビニル系単量
体を重合させた構造のものが好ましく使用される。具体
的にはポリオルガノシロキサン(f1)の存在下に、ビニル
系単量体(f2)95〜10重量部、好ましくは90〜20
重量部、さらに好ましくは90〜20重量部(ただし(f
1)および(f2)の合計を100重量部とする)を重合して
得られるものである。
【0031】上記ポリオルガノシロキサンの架橋体を得
るためには、ラジカル開始剤によるラジカル反応による
方法、白金触媒によるビニル基とケイ素原子に直結され
た水素原子との付加反応による方法、および加水分解性
基を有するケイ素化合物により縮合反応による方法など
が利用できる。
【0032】このようなシリコーン系樹脂の製造方法に
ついては特に制限されないが、例えば、特開平6−11
6471号公報に記載の方法を用いることができる。具
体的には、市販されている三菱レイヨン“メタブレン”
S2001などを使用することができる。
【0033】本発明における(C)ケイ素含有重合体の
配合量は、(A)ポリカーボネート樹脂および(B)ポ
リ(メタ)アクリル系樹脂の合計量100重量部に対し
て、1〜30重量部、好ましくは3〜30重量部、より
好ましくは5〜25重量部の範囲である。
【0034】上記の配合割合であれば、剛性を保持した
まま、特に靭性と寸法安定性、導電性が向上した樹脂組
成物を得ることができる。
【0035】本発明で用いる(D)炭素繊維とは、PA
N系またはピッチ系の炭素繊維であり、例えば長繊維タ
イプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファ
イバーなどから選択して用いることができるが、成形時
などの繊維折損を抑えるためには、高強度・高伸度タイ
プのものを用いることが望ましい。強度が低い炭素繊維
を使用する場合は、炭素繊維が脆くコンパウンド時や成
形時の繊維折損により繊維長が極めて短くなってしま
い、結果として十分な補強効果、電磁波シールド性の改
良効果を得ることができず、また難燃化処方を施した場
合の液滴の落下(ドリップ)により、難燃化効果などの
特性が得にくくなるため好ましくない。
【0036】また、(D)炭素繊維の繊維径に関して
は、より少量で導電性の向上効果を発揮するために、通
常繊維径5μm超〜13μm程度のものを用いることが
できるが、好ましくは5μm以下の比較的細径のもの、
より好ましくは3μm以下のもの、さらに好ましくは2
μm以下の極細のものを好ましく用いることができる。
【0037】(D)炭素繊維としては、特に強度を十分
に得ることのできるPAN系炭素繊維の使用が望ましい
が、細径または極細繊維を用いる場合は、ピッチ系炭素
繊維であっても好ましく用いることができる。このよう
なピッチ系炭素繊維は市販もされており入手容易であ
る。特に強度と導電性とのバランスの点では、PAN系
炭素繊維とピッチ系極細繊維との併用が好ましい。
【0038】本発明で使用する(D)炭素繊維は、樹脂
との接着性を向上するために表面処理を行ってもよく、
その場合には、通常使用されるエポキシ系、ポリアミド
系、ポリエステル系などのサイジング剤を用いることも
できる。また、導電性をさらに向上させる上では、本発
明の特徴を損なわない範囲で、ニッケルや銅などの金属
を炭素繊維表面に金属皮膜を形成させてもよい。
【0039】本発明における導電性樹脂組成物中の
(D)炭素繊維の繊維長分布は、繊維長が0.15〜5
mmの範囲に制御されていることが好ましく、かかる繊
維長を有する炭素繊維が、添加した炭素繊維の全量に対
して60重量%以上存在することが好ましく、より好ま
しくは0.15〜3mm、さらに好ましくは0.15〜
2mmの範囲に繊維長が制御されていることであり、か
かる繊維長を有する炭素繊維の炭素繊維の全量に対する
含有量としては、70重量%以上であることが好まし
く、80重量%以上であることがより好ましい。上記の
特定の範囲に繊維長分布が制御されることにより、流動
性、剛性および成形品の導電性(電磁波シールド性)が
優れることになるからである。
【0040】なお、樹脂組成物中の炭素繊維の繊維長分
布の測定方法は、例えば次の方法により行うことができ
る。すなわち、組成物約5gをるつぼ中で550℃×7
時間処理し灰化した後、残存した充填剤のうちから10
0mgを採取し、100ccの石鹸水中に分散させる。
次いで、分散液をスポイトを用いて1〜2滴スライドガ
ラス上に置き、顕微鏡下に観察して、写真撮影し、撮影
された充填剤の繊維長を測定する。測定は500本につ
いて行い、繊維長分布を求める。ここで、炭素繊維の繊
維長を求める際には、灰化条件を誤ると繊維そのものが
酸化、燃焼してしまう場合があるので注意が必要であ
り、窒素雰囲気下で灰化することが望ましい。また、用
いる熱可塑性樹脂が可溶の場合には、可溶な溶媒を用い
て組成物を溶かし、その溶液から繊維を取り出して繊維
長を測定することもできる。
【0041】本発明の導電性樹脂組成物において、
(D)炭素繊維の配合量は、得られる樹脂組成物の流動
性、低そり性および表面外観の観点から、(A)ポリカ
ーボネート樹脂および(B)ポリ(メタ)アクリル系樹
脂の合計100重量部に対して、5〜200重量部、好
ましくは10〜150重量部、より好ましくは15〜1
00重量部の範囲であり、炭素繊維の添加量を極力抑
え、最大限の導電性効果を導くためには、繊維径5μm
以下の炭素繊維を炭素繊維全量に対して10重量%以
上、特に30重量%以上置換添加することが好ましい。
上限は100重量%でもよいが、70重量%以下である
ことが好ましい。
【0042】本発明の導電性樹脂組成物は、導電性を必
要とする用途に用いることから、組成物から射出成形機
を用いて、樹脂温度270℃、金型温度80℃において
12.7×200×2.0mm厚の棒状成形品を成形
し、得られた成形品の中点から端部へ各50mmのとこ
ろへ黄銅−ニッケルメッキ金属製ネジを打ち込み、テス
ターにより測定した場合の抵抗値(2点間)が、4×1
5 Ω以下であることが望ましく、好ましくは1×10
4 Ω以下、より好ましくは5×103 Ω以下である。
【0043】このような組成物は、サイドフィーダー付
き2軸押出機を用い、押出機先端部では混練をあまりか
けずに炭素繊維の折損を抑制することにより製造するこ
とができる。
【0044】また、本発明の導電性樹脂組成物には、そ
の特性を損なわない範囲で、機械強度その他の特性を付
与するために、必要に応じて炭素繊維以外の充填剤を使
用することが可能であり、この場合には繊維状、板状、
粉末状、粒状など非繊維状の充填剤を使用することがで
きる。この充填剤の具体例としては、例えばガラス繊
維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維など
の金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石
膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア
繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭
化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィス
カー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウ
ムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウ
ィスカー状充填剤、およびマイカ、タルク、カオリン、
シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレー
ク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデ
ン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン
酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは
板状の充填剤が挙げられる。
【0045】また、上記の充填剤は2種以上を併用して
使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の
充填剤は、その表面を例えばシラン系カップリング剤、
チタネート系カップリング剤など公知のカップリング剤
や、その他の表面処理剤で処理して用いることもでき
る。
【0046】上記の充填剤の添加量は、(A)ポリカー
ボネート樹脂および(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂
の合計100重量部に対し、通常、0〜300重量部で
あり、好ましくは10〜250重量部、より好ましくは
20〜150重量部の範囲である。
【0047】本発明の導電性樹脂組成物には、さらに十
分な導電性を付与するために、導電性フィラーおよび/
または導電性ポリマーを添加することが可能であり、こ
の種の導電性フィラーとしては、通常樹脂の導電性向上
に用いられる導電性フィラーであれば特に制限はなく、
その具体例としては、金属粉、金属フレーク、金属リボ
ン、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無
機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、
カーボンナノチューブ、フラーレンおよび鱗片状カーボ
ンなどが挙げられる。
【0048】ここで、上記金属粉、金属フレーク、金属
リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、
亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロムお
よび錫などが例示できる。
【0049】上記金属繊維の金属種の具体例としては、
鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよび黄銅などが例
示できる。
【0050】かかる金属粉、金属フレーク、金属リボ
ン、金属繊維は、チタネート系、アルミ系、シラン系な
どの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0051】上記金属酸化物の具体例としては、SnO
2 (アンチモンドープ)、In2 3 (アンチモンドー
プ)およびZnO(アルミニウムドープ)などが例示で
き、これらはチタネート系、アルミ系、シラン系などの
表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0052】上記導電性物質で被覆された無機フィラー
における導電性物質の具体例としては、アルミニウム、
ニッケル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドー
プ)およびIn2 3 (アンチモンドープ)などが例示
できる。また、ここで被覆される無機フィラーとして
は、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、チタン酸カリ
ウムウィスカー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛系ウィス
カー、酸化チタン酸系ウィスカーおよび炭化珪素ウィス
カーなどが例示できる。被覆方法としては、真空蒸着
法、スパッタリング法、無電解メッキ法および焼き付け
法などが挙げられる。また、これらはチタネート系、ア
ルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施され
ていてもよい。
【0053】上記カーボン粉末は、その原料や製造法か
ら、アセチレンブラック、ガスブラック、オイルブラッ
ク、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ファーネ
スブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロ
ールブラックおよびディスクブラックなどに分類され
る。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、その
原料や製造法は特に限定されないが、アセチレンブラッ
クおよびファーネスブラックが特に好適に用いられる。
また、カーボン粉末としては、その粒子径、表面積、D
BP吸油量および灰分などの特性が異なる種々のものが
製造されており、本発明で用いることのできるカーボン
粉末の特性には特に制限はないが、強度および電気伝導
度のバランスの観点からは、平均粒径が500nm以
下、特に5〜100nm、更には10〜70nmの範囲
が好ましい。カーボン粉末の表面積(BET法)は、1
0m2 /g以上、更には30m2 /g以上の範囲が好ま
しい。カーボン粉末のDBP給油量は、50ml/10
0g以上、特に100ml/100g以上の範囲が好ま
しい。カーボン粉末の灰分は、0.5%以下、特に0.
3%以下の範囲が好ましい。
【0054】かかるカーボン粉末は、チタネート系、ア
ルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施され
ていてもよい。また、溶融混練作業性を向上させるため
に、造粒されたものを用いることも可能である。
【0055】本発明の導電性樹脂組成物は、しばしば表
面の平滑性が求められる。かかる観点から、本発明で用
いられる炭素繊維以外の導電性フィラーとしては、高い
アスペクト比を有する繊維状フィラーよりも、粉状、粒
状、板状、鱗片状或いは樹脂組成物中における長さ/直
径比が200以下の繊維状のいずれかの形態であること
が好ましい。
【0056】本発明で用いることができる導電性ポリマ
ーの具体例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポ
リアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェ
ンおよびポリフェニレンビニレンなどが例示できる。
【0057】上記導電性フィラーおよび/または導電性
ポリマーは、2種以上を併用して用いてもよい。かかる
導電性フィラーおよび導電性ポリマーの中では、特にカ
ーボンブラックが、強度に優れた組成物が低コストで得
られることから、好適に用いられる。
【0058】本発明で用いることができる導電性フィラ
ーおよび/または導電性ポリマーの配合量は、用いる導
電性フィラーおよび/または導電性ポリマーの種類によ
り異なるため、一概に規定はできないが、導電性と低ガ
ス性、機械的強度などとのバランスの点から、次のよう
な範囲が好ましい。すなわち、導電性ポリマーの場合に
は、(A)ポリカーボネート樹脂および(B)ポリ(メ
タ)アクリル系樹脂の合計100重量部に対し、本発明
の相構造が保持される範囲内で1〜100重量部、好ま
しくは3〜50重量部の範囲が選択される。導電性フィ
ラーは、上記充填材の一種であるので、その配合量は充
填材成分の内数として考えることが望ましい。
【0059】また、導電性を付与した場合には、少なく
とも十分な帯電防止性能を得る意味で、導電性フィラー
および/または導電性ポリマーの体積固有抵抗が1010
Ω・cm以下であることが好ましい。但し、上記導電性
フィラーおよび/または導電性ポリマーの配合は、一般
に強度や低ガス性の悪化を招きやすいため、目標とする
導電レベルが得られれば、上記導電性フィラーおよび/
または、導電性ポリマーの配合量はできるだけ少ない方
が望ましい。目標とする導電レベルは用途によって異な
るが、通常体積固有抵抗が10Ω・cmを越え、1010
Ω・cm以下の範囲である。
【0060】本発明の導電性樹脂組成物は、薄肉難燃性
などの特性を付与するために、赤リンを含有することが
できる。
【0061】本発明で使用することができる赤リンは、
そのままでは不安定であり、また、水に徐々に溶解した
り、水と徐々に反応する性質を有するため、これらを防
止する処理を施したものが好ましく用いられる。このよ
うな赤リンの処理方法としては、特開平5−22980
6号公報に記載の如く、赤リンの粉砕を行わず、赤リン
表面に水や酸素との反応性が高い破砕面を形成させずに
赤リンを微粒子化する方法、赤リンに水酸化アルミニウ
ムまたは水酸化マグネシウムを微量添加して赤リンの酸
化を触媒的に抑制する方法、赤リンをパラフィンやワッ
クスで被覆し、水分との接触を抑制する方法、ε−カプ
ロラクタムやトリオキサンと混合することにより安定化
させる方法、赤リンをフェノール系、メラミン系、エポ
キシ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被
覆することにより安定化させる方法、赤リンを銅、ニッ
ケル、銀、鉄、アルミニウムおよびチタンなどの金属塩
の水溶液で処理して、赤リン表面に金属リン化合物を析
出させて安定化させる方法、赤リンを水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛な
どで被覆する方法、赤リン表面に鉄、コバルト、ニッケ
ル、マンガン、スズなどで無電解メッキ被覆することに
より安定化させる方法、およびこれらを組合せた方法な
どが挙げられるが、好ましくは、赤リンの粉砕を行わず
に赤リン表面に破砕面を形成させずに赤リンを微粒子化
する方法、赤リンをフェノール系、メラミン系、エポキ
シ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆
することにより安定化させる方法、赤リンを水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸化
亜鉛、などで被覆することにより安定化させる方法であ
り、特に好ましくは、赤リンの粉砕を行わず、表面に破
砕面を形成させずに赤リンを微粒子化する方法、赤リン
をフェノール系、メラミン系、エポキシ系、不飽和ポリ
エステル系などの熱硬化性樹脂で被覆することにより安
定化させる方法あるいはこれらの両者を組み合わせた方
法である。これらの熱硬化性樹脂の中では、フェノール
系熱硬化性樹脂およびエポキシ系熱硬化性樹脂を、被覆
された赤リンの耐湿性の面から好ましく使用することが
でき、特に好ましくはフェノール系熱硬化性樹脂で被覆
された赤リンである。
【0062】なお、本発明において好ましく用いること
ができる赤リンである未粉砕赤リンとは、破砕面を形成
させずに製造された赤リンを意味する。
【0063】また、樹脂に配合される前の赤リンの平均
粒径は、難燃性、機械特性、耐湿熱特性およびリサイク
ル使用時の粉砕による赤リンの化学的・物理的劣化を抑
える観点から、35〜0.01μmのものが好ましく、
さらに好ましくは、30〜0.1μmのものである。
【0064】なお、赤リンの平均粒径は、一般的なレー
ザー回折式粒度分布測定装置により測定することが可能
である。粒度分布測定装置には、湿式法と乾式法がある
が、いずれを用いてもかまわない。湿式法の場合は、赤
リンの分散溶媒として水を使用することができる。この
時にはアルコールや中性洗剤により赤リン表面処理を行
ってもよい。また、分散剤としてヘキサメタ燐酸ナトリ
ウムやピロ燐酸ナトリウムなどの燐酸塩を使用すること
も可能である。さらには、分散装置として超音波バスを
使用することも可能である。
【0065】また、本発明で使用することができるる赤
リンの平均粒径は上記のごとくであるが、赤リン中に含
有される粒径の大きな赤リン、つまり粒径が75μm以
上の赤リンは、難燃性、機械的特性、耐湿熱性およびリ
サイクル性を著しく低下させるため、粒径が75μm以
上の赤リンを分級とうにより除去してから使用すること
が好ましい。粒径が75μm以上の赤リン含量は、難燃
性、機械的特性、耐湿熱性およびリサイクル性の面か
ら、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは8重
量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。下限に
特に制限はないが、0に近いほど好ましい。
【0066】ここで、赤リンに含有される粒径が75μ
m以上の赤リン含量は、75μmのメッシュにより分級
することで測定することができる。すなわち、赤リン1
00gを75μmのメッシュで分級した時の残さ量A
(g)より、粒径が75μm以上の赤リン含量は(A/
100)×100(%)として算出することができる。
【0067】また、本発明で使用することができる赤リ
ンの熱水中で抽出処理した時の導電率(ここでいう導電
率とは、赤リン5gに純水100mLを加え、例えばオ
ートクレーブ中で、121℃で100時間抽出処理し、
赤リンろ過後のろ液を250mLに希釈した抽出水の導
電率を測定する)は、得られる成形品の耐湿性、機械的
強度、耐トラッキング性およびリサイクル性の観点か
ら、通常0.1〜1000μS/cmが好ましく、より
好ましくは0.1〜800μS/cm、さらに好ましく
は0.1〜500μS/cmの範囲である。
【0068】このような好ましい赤リンの市販品として
は、燐化学工業社製の“ノーバエクセル”140および
“ノーバエクセル”F5が挙げられる。
【0069】上記赤リンを添加する場合の添加量は、
(A)ポリカーボネート樹脂と(B)ポリ(メタ)アク
リル系樹脂および(C)ケイ素含有重合体の合計100
重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましく
は0.1〜25重量部、より好ましくは1〜20重量
部、さらに好ましくは2〜20重量部の範囲である。な
かでも4〜15重量部の範囲が特に好ましい。
【0070】赤リンの添加量が上記の範囲未満の場合
は、添加による難燃性付与効果が小さくなり、上記の範
囲を超える場合は、かえって赤リンが燃焼促進剤として
働くことになるばかりか、特に靭性が低下する傾向を生
じるため好ましくない。
【0071】本発明の導電性樹脂組成物において、さら
に赤リンを配合する場合には、この赤リンの安定剤とし
て金属酸化物を添加することにより、押出し成形時の安
定性や、強度、耐熱性、成形品の端子腐食性などを向上
させることができる。このような金属酸化物の具体例と
しては、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化
第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化
マンガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタン
などが挙げられるが、なかでも酸化カドミウム、酸化第
一銅、酸化第二銅、酸化チタンなどのI族および/また
はII族の金属以外の金属酸化物が好ましく、特に酸化第
一銅、酸化第二銅、酸化チタンが好ましいが、I族およ
び/またはII族の金属酸化物であってもよい。押出し成
形時の安定性や、強度、耐熱性、成形品の端子腐食性の
他に、非着色性をさらに向上させるためには、酸化チタ
ンが最も好ましく使用される。
【0072】金属酸化物を添加する場合の添加量は、機
械特性および成形性の面から、(A)ポリカーボネート
樹脂、(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂および
(C)ケイ素含有重合体の合計100重量部に対して、
0.01〜20重量部が好ましく、特に好ましくは0.
1〜10重量部の範囲である。
【0073】なお、本発明の導電性樹脂組成物には、耐
衝撃性の特性改良の必要性に応じて、無水マレイン酸な
どによる酸変性オレフィン系重合体、エチレン/プロピ
レン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレ
ン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/ア
クリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリ
シジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸
グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−
無水マレイン酸共重合体などのオレフィン系共重合体、
ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステル
ポリエステルエラストマーなどのエラストマーから選ば
れる弾性樹脂の1種または2種以上の混合物を添加する
ことにより、所定の特性をさらに付与することができ
る。
【0074】また、本発明の導電性樹脂組成物には、強
度および靭性の特性を改良するために、ポリアミド、ポ
リエステル、ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、ポリ
オレフィン系樹脂、フェノール系樹脂およびフッ素系樹
脂などの熱可塑性樹脂の一種または二種以上を、本発明
の効果を阻害しない範囲で配合することが可能である。
【0075】かかる弾性樹脂および/または熱可塑性樹
脂を配合する場合の配合量は、(A)ポリカーボネート
樹脂、(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂および
(C)ケイ素含有重合体の合計100重量部に対して、
0.01〜50重量部が好ましく、特に好ましくは0.
1〜30重量部の範囲である。
【0076】なお、上記の熱可塑性樹脂の中でも、特に
フェノール系樹脂およびフッ素系樹脂は、本発明の導電
性樹脂組成物にとって、燃焼時の液滴の落下(ドリッ
プ)抑制剤として有用である。特に、フッ素系樹脂がそ
の効果を好ましく発揮する。そのようなフッ素系樹脂の
具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘ
キサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/
ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオ
ロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共
重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合
体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合
体、ポリビニリデンフルオライドおよび(ビニリデンフ
ルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられるが、
中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロ
エチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重
合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロ
ピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレ
ン)共重合体およびポリビニリデンフルオライドが好ま
しく、特にポリテトラフルオロエチレンおよび(テトラ
フルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
【0077】さらに、本発明の導電性樹脂組成物には、
酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノ
ール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置
換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、
サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンな
ど)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑
剤、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たと
えば硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色
剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、その
エステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコー
ル、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、
着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難
燃性付与剤としての赤リン以外の難燃剤(例えばブロム
化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素
化ポリカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミンお
よびシアヌール酸またはその塩、リン酸エステルな
ど)、難燃助剤、摺動性改良剤(グラファイトなど)お
よび帯電防止剤などの通常の添加剤を添加することによ
り、所定の特性をさらに付与することができる。
【0078】本発明の導電性樹脂組成物は、通常公知の
溶融混練方法で製造されるが、この溶融混練において、
(D)炭素繊維の好ましい繊維長分布を実現するための
方法としては、例えば2軸押出機で溶融混練する場合
に、樹脂原料フィーダーから(A)ポリカーボネート樹
脂、(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、(C)ケイ
素含有重合体および必要に応じての赤リンなどをを供給
し、(D)炭素繊維をはじめとする無機充填材を押出機
の先端部分のサイドフィーダーから供給することによ
り、これら無機充填材の受けるせん断履歴を制御するサ
イドフィーダー法、ハンドリング性、分散性を向上させ
るためのマスターペレット法、および予備混練法などが
挙げられる。
【0079】例えば、通常の一括元込め法(炭素繊維を
はじめとする無機充填材などを樹脂フィーダーより投入
する)の場合には、剪断力がかかりすぎるために繊維長
が短くなりすぎ、得られる組成物の剛性が低下する可能
性がある。また、(A)ポリカーボネート樹脂をはじめ
とする樹脂成分を、サイドフィーダーより添加した場合
には、混練不足による分散不良が起こり、得られる組成
物の衝撃強度に影響を及ぼす可能性がある。
【0080】マスターチップ法においては、例えば、
(A)ポリカーボネート樹脂、(B)ポリ(メタ)アク
リル酸系樹脂、(C)ケイ素含有重合体、(D)炭素繊
維および必要に応じて用いられるその他の添加剤を予備
混合して、またはせずに押出機などに供給して、十分溶
融混練することにより調製される。
【0081】なお、(D)炭素繊維の配合は、いわゆる
マスターチップ法によりマスターチップを予め作製して
製造することが好ましい。ここで、炭素繊維マスターチ
ップ法において、成形品中の炭素繊維長を本発明で好ま
しい範囲に制御する場合には、予め繊維長分布範囲の中
でも長めの繊維長分布範囲としておき、必要に応じて用
いられる赤リンなどのその他の添加剤および他の充填材
などをさらに混練あるいはドライブレンドして成形品と
した場合に、所望の繊維長分布を実現できるような繊維
長にコントロールする必要がある。さらに、赤リンを配
合する場合には、これらもマスターチップ法により赤リ
ンマスターチップを予め作製して配合に供することが好
ましい。これらマスターチップ法を採用することは、ハ
ンドリング性や生産性の面から推奨される。かかるマス
ターチップ法の具体例を下記に例示する。
【0082】すなわち、赤リンマスターチップ法の場合
には、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)ポリ(メ
タ)アクリル酸系樹脂の一部(例えば(A)の一部もし
くは全部、(B)成分の一部もしくは全部、または最終
的に含有せしめる(A)および(B)のうちの一部)
と、(C)ケイ素含有重合体とを一旦溶融混練して、実
際に導電性樹脂組成物に配合されるべき赤リンの添加量
よりも濃度の高い(E)樹脂組成物を製造し、残りの
(A)ポリカーボネート樹脂もしくは(B)ポリ(メ
タ)アクリル酸系樹脂成分中に(E)赤リン濃度の高い
樹脂組成物、(D)炭素繊維およびその他の任意に用い
ることができる添加剤および充填材などを溶融混練する
ことにより調製される。
【0083】また、炭素繊維マスターチップ法の場合に
は、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)ポリ(メタ)
アクリル酸系樹脂の一部(例えば(A)の一部もしくは
全部、(B)成分の一部もしくは全部、または、最終的
に含有せしめる(A)および(B)のうちの一部)と、
(C)ケイ素含有重合体とを一旦溶融混練して実際に導
電性樹脂組成物に配合されるべき(D)炭素繊維の添加
量よりも高い(F)炭素繊維高濃度品を製造し、残りの
(A)ポリカーボネート樹脂もしくは(B)ポリ(メ
タ)アクリル酸系樹脂成分中に(F)炭素繊維濃度の高
い樹脂組成物、赤リンおよびその他の任意に用いること
ができる添加剤および充填材などを溶融混練することに
より調製される。
【0084】あるいは、(A)ポリカーボネート樹脂の
一部もしくは全部、(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹
脂成分の一部もしくは全部、または、最終的に含有せし
める(A)および(B)のうちの一部と(C)ケイ素含
有重合体、(D)炭素繊維およびその他の任意に用いる
ことができる添加剤を一旦溶融混練して、実際に配合さ
れるべき(C)炭素繊維の添加量よりも高い(F)炭素
繊維高濃度品を製造し、赤リン、残りの(A)ポリカー
ボネート樹脂もしくは(B)ポリ(メタ)アクリル酸系
樹脂、(C)ケイ素含有重合体、および実際に配合され
るべき炭素繊維の添加量よりも高い(F)炭素繊維高濃
度品の製造段階で添加した任意に用いることができる添
加剤以外の添加剤および充填材などを溶融混練すること
により調製される。
【0085】さらには、(A)ポリカーボネート樹脂の
一部もしくは全部、(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹
脂成分の一部もしくは全部、または、最終的に含有せし
める(A)および(B)のうちの一部と赤リンおよびそ
の他の任意に用いることができる添加剤を一旦溶融混練
して、実際に導電性樹脂組成物に配合されるべき赤リン
の添加量よりも濃度の高い樹脂組成物(E)を製造し、
(D)炭素繊維、残りの(A)ポリカーボネート樹脂も
しくは(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、(C)ケ
イ素含有重合体、および実際に配合されるべき赤リンの
添加量よりも濃度の高い(D)樹脂組成物の製造段階で
添加した任意に用いることができる添加剤以外の添加剤
および充填材などを溶融混練することにより調製され
る。
【0086】上記のように、実際に導電性樹脂組成物に
配合されるべき炭素繊維添加量よりも濃度の高い(F)
炭素繊維高濃度品を製造する段階で、その他の任意に用
いることができる添加剤を配合する場合には、これらの
任意に用いることができる添加剤を、あらかじめ(A)
ポリカーボネート樹脂、(B)ポリ(メタ)アクリル酸
系樹脂あるいは(C)ケイ素含有重合体と混合しておく
ことが好ましい。また、実際に導電性樹脂組成物に配合
されるべき赤リンの添加量よりも濃度の高い(E)樹脂
組成物を製造する段階で、その他の任意に用いることが
できる添加剤を配合する場合には、これらの任意に用い
ることができる添加剤を、あらかじめ赤リンと混合して
おくことが好ましい。
【0087】特に、任意に用いることができる添加剤の
中でも、赤リンの安定剤として使用される金属酸化物、
特に酸化チタンを添加する場合には、酸化チタンを赤リ
ンの高濃度品を製造する段階で配合することが好まし
く、さらには、あらかじめ赤リンと酸化チタンとをヘン
シェルミキサーなどの機械的な混合装置を用いて混合し
ておくと、赤リンの安定性、赤リンの分散性や、得られ
る導電性樹脂組成物の非着色性を向上することができ
る。
【0088】上記(F)炭素繊維高濃度品および(E)
赤リン高濃度品としては、(A)ポリカーボネート樹脂
のみからなる高濃度品、(B)ポリ(メタ)アクリル酸
系樹脂(B)のみからなる高濃度品、および(A)ポリ
カーボネート樹脂と(B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹
脂とからなる高濃度品のいずれの場合にも、上記の効果
が発現する。なお、(E)赤リン高濃度品の場合には、
得られる導電性樹脂組成物中での赤リンの分散性が高
く、薄肉難燃性および耐熱性が向上する点で、特に
(A)ポリカーボネートのみからなる赤リン高濃度品を
用いることが好ましい。このような(F)炭素繊維高濃
度品あるいは(E)赤リン高濃度品における(D)炭素
繊維および赤リンの配合量は、(F)炭素繊維高濃度品
あるいは(E)赤リン高濃度品の製造時の製造性の面、
分散性の面、および最終的に得られる導電性樹脂組成物
の難燃性、機械物性、成形性、耐熱性の面から、(A)
ポリカーボネート樹脂、(B)ポリ(メタ)アクリル酸
系樹脂および(C)ケイ素含有重合体の合計100重量
部に対して、0.5〜250重量部が好ましく、さらに
好ましくは1〜220重量部、より好ましくは2〜20
0重量部の範囲である。
【0089】本発明の導電性樹脂組成物を製造するに際
しては、例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備
えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプ
の混練機などを用いて、好ましくはサイドフィーダー付
の2軸押出機で200〜300℃で溶融混練することに
より組成物とすることができる。
【0090】本発明の成形品を成形するにあたっての成
形方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、プ
レス成形およびインジェクションプレス成形など通常の
成形方法が挙げられ、上記の導電性樹脂組成物をこれら
の成形方法に供することにより、三次元成形品、シー
ト、フィルム、容器パイプなどのあらゆる形状の成形物
品とすることができる。なかでも、本発明の導電性樹脂
組成物は、射出成形品用途に特に好適であり、射出成形
により各種機械機構部品、電気電子部品または自動車部
品に成形されることが望ましい。そして、本発明の成形
品は、特にその優れた低ガス性、寸法安定性、剛性・靭
性、表面外観および導電性(電磁波シールド性)を生か
して、電気・電子部品用の筐体および自動車の電波ノイ
ズ低減用部材として適用した場合に有効である。
【0091】かくして得られる成形品は、各種ギヤー、
各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソ
ケット、用紙用分離爪、抵抗器、リレーケース、スイッ
チ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光
ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、
プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフ
ォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベー
ス、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディ
スプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、H
DD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアン
テナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・
電子部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアー
ドライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、
オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパク
トディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部
品、エアコン部品、ワープロ部品などに代表される家
庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部
品、電話機関連部品、ファックス関連部品、複写機関連
部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸
受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプラ
イターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼
鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械
関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーター
コネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポ
テンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バ
ルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーイ
ンテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、
燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレター
メインボディー、キャブレタースペーサー、ライトディ
マー用ポテンションメーターベース、排気ガスセンサ
ー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジシ
ョンセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、
エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、
エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコン
トロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホ
ルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイ
ン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、
スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッ
ション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズ
ル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用
コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電
装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケ
ット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレー
キピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィル
ター、パワーシートギアハウジング、イグニッションコ
イル用部品、点火装置ケース、インストロメントパネル
のノイズ低減部品などの自動車・車両関連部品、その
他、パチンコ台用ICカバーなど各種用途に有用であ
る。特に、優れた導電性を生かした、携帯電話用ハウジ
ングなどの筐体およびパソコンハウジングなど、ICカ
バー用筐体などの各種機器の筐体(ハウジング)および
自動車エンジンルーム内および車内用のノイズ低減カバ
ーおよび部品として極めて有用である。
【0092】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明
するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定される
ものではない。
【0093】[参考例1]以下に示す樹脂を使用した。 (A)ポリカーボネート樹脂 PC1:ゼネラルエレクトリック社製”レキサン”14
1 (フェノール性末端基(EP )と非フェノール性末端基
(EN )の当量比(EP )/(EN )は、四塩化チタン
錯体測光定量の結果1/100) PC2:ビスフェノールAとジフェニルカーボネートと
の溶融重合により合成したもの (メチレンクロライド中1.0g/dlの濃度で20℃
で測定した対数粘度が0.45dl/g、(EP )/
(EN )=1/3) (B)ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂 PMA1:下記の方法により製造したもの 容量20リットルでバッフルおよびファウドラ型撹拌翼
を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸
メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−241
51号公報記載)0.05部をイオン交換水165重量
部に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素
ガスで置換した。次に下記混合物を反応系を撹拌しなが
ら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
【0094】 メタクリル酸 25 重量部 メタクリル酸メチル 75 重量部 t−ドデシルメルカプタン 0.3重量部 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部 15分かけて反応温度を65℃まで昇温した後、50分
かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法にした
がい、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行
い、ビーズ状のポリ(メタ)アクリル酸系樹脂を得た。
極限粘度を測定したところ、0.32dl/gであっ
た。 PMA2: MBS樹脂:メタブレンC223(三菱レイヨン社製)
を使用した。 (C)ケイ素含有重合体 MB−1:メタブレンS2001(三菱レイヨン社製)
を使用した。
【0095】[参考例2]以下に示す炭素繊維を使用し
た。 CF1:東レ社製短繊維PAN系CF(TS−12…6
mm長、直径7μm) CF2:三井鉱山社製極細ピッチ系CF(UCF−10
00−C05…0.5mm長、直径1.5μm) また、実施例における各特性の評価については、次に述
べる方法にしたがって測定した。
【0096】[低ガス性]溶融混練して得られたペレッ
ト8mgを測り取り、TGA(パーキンエルマー社製)
を用いて、270℃で20分保持した後の重量減少量を
測定した。
【0097】[寸法安定性]IS55EPN射出成形機
(東芝機械社製)を用いて、80×80×3mm厚の角
型成形品を成形し、この成形品の中央部から樹脂流れ方
向に長さ10mm×幅2mmの角柱成形品を切り出し、
TMA(セイコー電子社製)を用いて、30〜70℃
(5℃/分)での寸法変化率を測定した。
【0098】[剛性]JSW150EII−P(日本製鋼
所社製)成形機を用いて、8点ピンゲート、187mm
(幅)×154mm(長)×10mm(高)×1.2m
m(厚)の箱状成形品を、最低充填圧力(MPa)+
0.5MPaで成形し、天面部分を上にして側面部を固
定し、ASTM D790で用いるジグを使用し、ひず
み速度0.7mm/minで圧縮した時の弾性率を測定
した。
【0099】[靭性(耐落下衝撃)]JSW150EII
−P(日本製鋼所社製)成形機を用いて、射出速度99
%の条件で8点ピンゲート、187mm(幅)×154
mm(長)×10mm(高)×1.2mm(厚)の箱状
成形品を成形し、箱の中部に3Kgのウェイトを仕込
み、この成形品の角部を所定の高さから落とすことによ
り落下強度を測定した。評価は、○:成形品が破壊する
高さが25cm以上、△:成形品が破壊する高さが20
〜25cm、×:成形品が破壊する高さが20cm未満
とした。
【0100】[導電性]IS55EPN射出成形機(東
芝機械社製)を用いて、樹脂温度270℃、金型温度8
0℃において12.7×200×2.0mm厚の棒状成
形品を成形し、得られた成形品の中点から端部へ各10
0mmのところへ黄銅−ニッケルメッキ金属製ネジを打
ち込み、テスターにより抵抗値(2点間)を測定した。
【0101】[実施例1〜7、比較例1〜4]TEX−
30型2軸押出機(日本製鋼所製)を用いて、(A)ポ
リカーボネート樹脂、(B)ポリ(メタ)アクリル酸系
樹脂および(C)ケイ素含有重合体を、表1に示した割
合で、ドライブレンドし、これを樹脂フィーダーより供
給し、表1に示した量の(D)炭素繊維(CF1、CF
2)を、重量式サイドフィーダーを用いて添加し、樹脂
温度270℃の温度で溶融混練し、ペレットとした。次
いで、このペレットを各評価ごとの成形機を用いて樹脂
温度270℃、金型温度80℃の温度条件で各評価項目
ごとの方法で試験片を成形した。
【0102】得られた試験片の特性評価結果を表1に併
せて示す。
【0103】
【表1】
【0104】表1の結果から明らかなように、本発明の
導電性樹脂組成物(実施例1〜3)は、PMA−1/M
B−1無配合の樹脂組成物(比較例1)、PMA−1の
代わりにMBS樹脂(PMA−2)を配合し、MB−1
無配合とした樹脂組成物(比較例2)、PMA−1の代
わりにMBS樹脂(PMA−2)を配合し、さらにMB
−1を配合した樹脂組成物(比較例3)およびPMA−
1を規定範囲を超えて多量に配合した樹脂組成物(比較
例4)に比べて、低ガス性であり、しかも得られた成形
品は、寸法安定性、剛性・靭性、および導電性がバラン
スよく優れるものであり、導電性が要求されるハウジン
グ用途や内装部品のノイズによる誤動作あるいは雑音な
どの防止が必要な自動車部品などの成形品を取得する場
合に極めて優れている。さらに、CF−2(極細ピッチ
系CF)を使用すること(実施例4、5)により、同一
導電性の場合に、炭素繊維の添加量が低減できて、軽量
化を図ることが可能となる。
【0105】
【発明の効果】本発明の導電性樹脂組成物は、低ガス
性、寸法安定性、剛性・靭性、表面外観および導電性が
バランスよく優れるものであり、この組成物から得られ
た成形品は、これらの特性が要求される電機・電子関連
機器の筐体(ハウジング)および電波ノイズ低減に用い
られる自動車部品用途にとって特に好適な材料である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 9/00 H05K 9/00 X //(C08L 69/00 C08L 33:00 33:00 83:04 83:04) Fターム(参考) 4F071 AA31 AA50 AA67 AB03 AD01 AE15 AF14 AF37 AF37Y AF54 AH07 AH12 BA01 BB05 BC04 BC07 4J002 BG012 BG062 CG001 CG011 CP033 DA016 FA046 FD010 FD110 FD116 FD130 GN00 GQ00 5E321 AA01 AA22 BB33 BB34 GG05 5G301 DA20 DA42 DD06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂70〜9
    9.5重量%および(B)ポリ(メタ)アクリル系樹脂
    30〜0.5重量%の合計100重量部に対して、
    (C)ケイ素含有重合体1〜30重量部および(D)炭
    素繊維5〜200重量部を配合してなることを特徴とす
    る導電性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記組成物から射出成形機を用いて、樹
    脂温度270℃、金型温度80℃において12.7×2
    00×2.0mm厚の棒状成形品を成形し、得られた成
    形品の中点から端部へ各50mmのところへ黄銅−ニッ
    ケルメッキ金属製ネジを打ち込み、テスターにより測定
    した場合の抵抗値(2点間)が4×105Ω以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記(D)炭素繊維の一部または全部の
    繊維径が5μm以下であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記(A)ポリカーボネート樹脂のフェ
    ノール性末端基(EP )と非フェノール性末端基(EN
    )の当量比(EP )/(EN )が1/20以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    導電性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導
    電性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形
    品。
  6. 【請求項6】 前記成形品が電気・電子部品の筐体(ハ
    ウジング)であることを特徴とする請求項5に記載の成
    形品。
  7. 【請求項7】 前記成形品が電波ノイズ低減用自動車部
    品であることを特徴とする請求項5に記載の成形品。
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