JP2002348314A - 塩化ビニル系重合体ラテックスの濃縮方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体ラテックスの濃縮方法

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JP2002348314A JP2001157133A JP2001157133A JP2002348314A JP 2002348314 A JP2002348314 A JP 2002348314A JP 2001157133 A JP2001157133 A JP 2001157133A JP 2001157133 A JP2001157133 A JP 2001157133A JP 2002348314 A JP2002348314 A JP 2002348314A
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vinyl chloride
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concentrating
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Manabu Makino
学 牧野
Akira Nakano
彰 仲野
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SHIN DAIICHI ENBI KK
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SHIN DAIICHI ENBI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニル系重合体ラテックスを、振動型膜
分離装置を用いて長期間にわたって高い透過流束で高濃
縮度まで効率的に濃縮することができる、振動型膜分離
装置の操作方法を提供すること。 【解決手段】 塩化ビニル系重合体ラテックスを振動型
膜分離装置を用いて濃縮する方法において、分離膜の最
大振幅を10〜15mmに設定すること、また、振動型
膜分離装置の運転と中断とを繰り返えす操作方法を採る
こと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体ラテックスの濃縮方法に関し、詳しくは、振動型膜分
離装置の操作方法により、長期にわたって高い透過流束
で高濃縮度まで効率的に濃縮することができる塩化ビニ
ル系重合体ラテックスの濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合体ラテックスの製造においては、濃
厚ラテックスの製造、乾燥コストの低減等を目的とし
て、重合反応工程に続いて重合体ラテックス濃縮工程が
設けられることが多い。重合体ラテックスの濃縮には、
従来、限外ろ過膜等の膜分離装置が多く用いられてい
る。膜分離装置を用いて重合体ラテックスを濃縮する場
合、重合体ラテックスが分離膜に接触する時に受ける剪
断力により重合体の凝集が生じ、これが分離膜に付着し
て目詰まり(ファウリング)し、操作圧力を高くしても
透過流束が上昇せず、流束に限界があることが知られて
いる。この限界流束は原液濃度が高くなると低下するた
め、濃縮度に限度があった。また、比較的低濃縮度で操
作を続けていてもやがて凝集物が膜を閉塞するため、安
定して長期間運転することができないという問題点があ
った。これに対して、分離膜に高い振動を与えて膜表面
に100,000sec−1 程度の高剪断速度を生じさ
せると、分離膜近傍には流体のみが保持される現象が生
じるため、重合体粒子の凝集が極めて起こりにくくな
る。この原理を応用した振動型膜分離装置で高い透過流
束で濃縮する試みがなされている(特開平10−128
083号公報)。また、本発明者らは、先に、重合体ラ
テックスの濃縮に好適なねじり振動周波数、ねじり振動
角等の条件および長期運転方法を提案した(特開200
0−281716号公報、同281717号公報)。し
かし、ペーストレジン用などに有用な塩化ビニル系重合
体ラテックスについて、時間経過とともに漸増する膜面
での凝集を極端に低減することにより濃縮運転時間の大
幅な延長が可能となれば、需要が大きい樹脂だけに絶大
な効果がもたらされるとして期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、振動
型膜分離装置の操作方法により、長期にわたって高い透
過流束で高濃縮度まで効率的に濃縮することができる、
塩化ビニル系重合体ラテックスの濃縮方法を提供するこ
とである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニル系重
合体ラテックスを濃縮するときに、分離膜の最大振幅を
特定の範囲に設定することにより、また、振動型膜分離
装置の運転と中断とを繰り返して操業することにより、
それぞれ長期間にわたって高透過流束を維持して高濃度
まで濃縮できることを見い出し、これらの知見に基づい
て本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)塩化ビニル系重合体ラテックスを振動型膜分離装
置を用いて濃縮する方法において、前記振動型膜分離装
置の分離膜の最大振幅を10〜15mmの範囲とするこ
とを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテックスの濃縮方
法(第一発明)、および、(2)塩化ビニル系重合体ラ
テックスを振動型膜分離装置を用いて濃縮する方法にお
いて、前記振動型膜分離装置の運転と中断とを繰り返し
て操業することを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテッ
クスの濃縮方法(第二発明)、を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、(3)前記振動
型膜分離装置を、ねじり振動周波数40〜80Hz、ね
じり振動角4〜12度で振動させ、温度10〜50℃、
操作圧力2〜15kg/cmGで濃縮する上記(1)
または(2)に記載の塩化ビニル系重合体ラテックスの
濃縮方法、(4)前記振動型膜分離装置の分離膜が、ナ
ノフィルターまたは逆浸透膜である上記(1)または
(2)に記載の塩化ビニル系重合体ラテックスの濃縮方
法、および、(5)前記振動型膜分離装置の運転時間が
5〜50時間で、中断時間が0.5〜10分間であるこ
とを特徴とする上記(2)記載の塩化ビニル系重合体ラ
テックスの濃縮方法、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の塩化ビニル系重合体ラテ
ックスの濃縮方法は、塩化ビニル系重合体ラテックスを
振動型膜分離装置により濃縮する方法である。本発明方
法で用いる振動型膜分離装置としては、分離膜が軸を中
心としてねじり振動するものであれば特に制限はなく、
例えば、水平に設置された円板状の分離膜がねじり振動
する機構を有する、神鋼パンテック(株)、ニューロジッ
クインターナショナル社などから販売されている「VS
EP」などを用いることができる。本発明方法で使用す
る分離膜に特に制限はなく、例えば、精密ろ過膜、限外
ろ過膜、ナノフィルター、逆浸透膜などを挙げることが
できる。これらの中で、ナノフィルターおよび逆浸透膜
は、ラテックス中の界面活性剤などの透過液中への流出
が少ないので特に好適に使用することができる。
【0006】本発明において、振動膜型分離装置の分離
膜の振動は、ねじり振動周波数40〜80Hzであるこ
とが好ましく、45〜60Hzであることがより好まし
い。また、ねじり振動角は4〜12度であることが好ま
しく、8〜10度であることがより好ましい。ねじり振
動周波数が小さすぎると分離膜に重合体が付着してファ
ウリングを生ずるおそれがあり、逆に、ねじり振動周波
数が大きすぎても特に濃縮操作上の効果の伸びは見られ
ず、エネルギーのロスとなる可能性がある。ねじり振動
角が小さすぎると凝集物が生じて分離膜に付着し、ファ
ウリングを起こすおそれがある。ねじり振動角が大きす
ぎると、それに必要なエネルギーが過大になって不経済
となる可能性がある。
【0007】本発明で用いる塩化ビニル系重合体ラテッ
クスの重合体としては、塩化ビニルの単独重合体の他、
塩化ビニル単量体単位を50重量%以上、好ましくは7
0重量%以上含有し、塩化ビニルと共重合可能な単量体
単位を含有する共重合体を含む。
【0008】塩化ビニルと共重合可能な単量体として
は、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン
類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フ
ッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエ
ステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエ
ーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−
2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ルなどのアリルエーテル類;(メタ)アクリル酸(メタ
クリル酸およびアクリル酸の意。以下同様。)、マレイ
ン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無
水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルま
たはその酸無水物類;スチレン、α−メチルスチレン、
ビルトルエンなどの芳香族モノビニル化合物;アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル
類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メ
タ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムク
ロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香
酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの
アリルアミンおよびその誘導体類などを挙げることがで
きる。これらは1種または2種以上を使用することがで
きる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸
エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの重合体に、
塩化ビニルまたは塩化ビニルと前記した共重合可能な単
量体とをグラフト重合したような重合体も含まれる。
【0009】上記塩化ビニル系重合体ラテックスを製造
する方法には特に制限はなく、乳化重合法、微細懸濁重
合法、播種乳化重合法、播種微細懸濁重合法などが挙げ
られる。乳化重合法は、アニオン性またはノニオン性界
面活性剤を乳化剤とし、水溶性のラジカル開始剤を用
い、単量体を含む界面活性剤ミセル内で重合を開始し、
平均粒径0.05〜0.3μm程度の尖鋭なモードを有
する粒径分布の重合体のラテックスを得る方法である。
微細懸濁重合法は、単量体、水、乳化剤、油溶性重合開
始剤などの混合物を、ホモジナイザなどで均質化して微
細な液滴に乳化、分散させて重合し、平均粒径0.5〜
2μmの位置に一つのモードで広い裾野を持つ山型の粒
径分布の重合体のラテックスを得る方法である。播種乳
化重合法では、乳化重合で得た重合体を種子とし、これ
に単量体を被覆重合して肥大化し、1μm程度の粒径の
鋭い粒径分布を持つ重合体ラテックスが得られ、播種微
細懸濁重合では、微細懸濁重合で得た重合体を種子とし
て肥大化重合するので、上記微細懸濁重合で得られる重
合体より一回り大きな粒径分布を持つ重合体ラテックス
が得られる。本発明の濃縮方法に適用できる重合体ラテ
ックスとして、上記の各重合法で得られる単独の重合体
ラテックス、複数の重合法による重合体ラテックスの混
合物等を挙げることができる。
【0010】乳化重合または播種乳化重合に用いる重合
開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、過酸化水素などの水溶性開始剤;水溶性開始剤また
は有機過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アン
モニウム、アスコルビン酸などの還元剤とを組み合わせ
たレドックス重合開始剤;2,2−アゾビス(2−メチ
ルプロピオンアミジン)二塩酸塩などの水溶性アゾ化合
物などを挙げることができる。微細懸濁重合に用いる油
溶性重合開始剤としては、例えば、3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシ
ド;メチルエチルケトンパーオキシドなどのケトンパー
オキシド;ベンゾイルヒドロパーオキシド、クメンヒド
ロパーオキシド、p−サイメンヒドロパーオキシドなど
のヒドロパーオキシド;t−ブチルパーオキシピバレー
トなどのパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;アセ
チルシクロヘキシルスルホニルパーオキシドなどのスル
ホニルパーオキシドなどの有機過酸化物;2,2−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチ
ルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合
物などを挙げることができる。
【0011】乳化重合法、微細懸濁重合法などで用いる
乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、テ
トラデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレ
ンスルホン酸カリウムなどのアルキルアリールスルホン
酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシ
ルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩;
ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウムなど
の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサル
フェートナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテルサルフェートナトリウムなどのエトキシサル
フェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテル
燐酸エステルナトリウム塩などを挙げることができる。
乳化剤の使用量は、単量体100重量部に対して0.0
5〜5重量部であることが好ましく、0.1〜3重量部
であることがより好ましい。微細懸濁重合では、乳化剤
の他に乳化助剤を添加すると乳化液滴の安定性が増すの
で好ましい。乳化助剤の例としては、炭素数12〜20
の高級アルコールや同程度の炭素数の脂肪酸が挙げられ
る。乳化助剤の使用量は、単量体100重量部に対して
0.1〜4重量部であることが好ましく、0.5〜2重
量部であることがより好ましい。
【0012】こうして得られる塩化ビニル系重合体の平
均重合度は、JIS K 6721に従って測定した値
が、通常、400〜2,000、好ましくは600〜
1,800、より好ましくは800〜1600である。
塩化ビニル系重合体の平均重合度が過度に小さいと、得
られる成形品の機械的特性が低くなるおそれがある。塩
化ビニル系重合体の平均重合度が過度に大きいと、成形
加工が困難になる可能性がある。また、成形品の硬度や
機械的強度を増加したり、弾性回復性の付与などを目的
として、重合反応時に多官能単量体を全単量体の0.1
〜10重量%添加することにより、塩化ビニル系重合体
に架橋重合体を含有せしめ、テトラヒドロフラン(TH
F)不溶分を100重量%以下、好ましくは60重量%
以下含有させてもよい。かかる目的の多官能単量体とし
ては、エチレンジグリコールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレー
ト;トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの
トリメタクリレート;ポリエチレングリコールジアクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートな
どのジアクリレート;トリメチロールプロパントリアク
リレートなどのトリアクリレート;ジビニルベンゼンな
どのジビニル化合物などが例示される。これらの中でも
エチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリ
レートやジビニルベンゼンなどのジビニル化合物などが
好ましい。
【0013】本第一発明の塩化ビニル系重合体ラテック
スの濃縮方法は、塩化ビニル系重合体ラテックスを振動
型膜分離装置で濃縮するに当たり、分離膜の最大振幅を
10〜15mmの範囲で運転する濃縮方法である。本第
一発明方法における分離膜の最大振幅は、好ましくは1
1〜14mm、より好ましくは12〜13mmである。
最大振幅がが小さすぎると重合体ラテックスの振動型膜
分離装置での透過流束の増加が困難となるおそれがあ
り、逆に、大きすぎると分離膜に重合体が凝集して目詰
まりを起こすまでの時間が短くなる可能性がある。分離
膜の大きさによらず、最大振幅が上記の範囲になるよう
にすることにより、膜近傍に流体のみが保持されて塩化
ビニル系重合体が離れて存在する状態を維持しつつ透過
流束を高く保つことができる。
【0014】本発明においては、前記のように、振動型
膜分離装置をねじり振動角が好ましくは4〜12度、よ
り好ましくは8〜10度となるようにして運転するが、
本第一発明においては、これに加えて分離膜の円周部が
受ける最大振幅を上記の範囲となるようにねじり振動角
を選定する。例えば、分離膜の最大振幅を13mmに設
定しようとする場合のねじり振動角は、直径265mm
の分離膜を使用するときは11度であり、直径470m
mの分離膜を使用するときは6度である。
【0015】本第二発明の塩化ビニル系重合体ラテック
スの濃縮方法は、振動型膜分離装置の運転と中断とを繰
り返して操業することである。一般的に、膜分離時の剪
断力によって分離膜に生ずる重合体粒子の凝集体が運転
時間の経過につれて増大してくるが、本第二発明は、こ
の凝集体がダイラタントである点に着目した発明であ
る。すなわち、重合体の凝集体が目詰まり固体として定
着する前に、少なくとも重合体ラテックスの供給ポンプ
の停止と操作圧力の解放を行うことによって凝集体を流
動化せしめて膜から取り除くのである。本第二発明の好
ましい態様は、振動型膜分離装置の運転を5〜50時間
行った後に0.5〜10分間中断し、以後運転および中
断をこれらの時間で繰り返す。運転時間は、より好まし
くは8〜24時間、特に好ましくは10〜18時間であ
る。また、中断時間は、より好ましくは0.5〜5分
間、特に好ましくは0.5〜1分間である。運転時間が
短かすぎたり、中断時間が長すぎると操業時間の中に無
駄な時間が多くなり、生産性が低下するおそれがあり、
逆に、運転時間が長すぎたり、中断時間が短すぎると分
離膜の目詰まりが除去されずに増大する可能性がある。
【0016】重合体ラテックスを一定の供給速度で振動
型膜分離装置に通して濃縮する場合、一般に、操作圧力
は2〜15kg/cmの範囲で高いほど、温度は1
0〜50℃の範囲で高いほど、凝集物が発生して分離膜
が閉塞しやすい。ここで、操作圧力とは、重合体ラテッ
クスの振動型膜分離装置の入口部圧力と濃縮ラテックス
の出口部圧力の相加平均から、透過液の圧力を差し引い
た圧力である。原料重合体ラテックスの固形分濃度は、
工程の操業安定性や製品として要求されるラテックスの
特性、もしくは濃縮後に乾燥された重合体粒子の特性に
より定まる。温度は、重合体ラテックスの機械的安定性
から許容される範囲で定まり、通常、10〜50℃であ
る。原料として供給される重合体ラテックスの固形分濃
度および濃縮後の所望の固形分濃度が定まれば、生産
性、すなわち分離膜の透過流束を考慮して操作圧力を決
める。運転時間の経過とともに分離膜が目詰まりしてく
ると、一定の透過速度を現出するためには操作圧力を増
加してゆかねばならない。本発明によれば、操作圧力を
ほとんど増加することなく、長期にわたって高い透過流
束を維持して操業することができる。
【0017】上記した本第一発明および本第二発明を個
別に実施して、振動型膜分離装置により塩化ビニル系重
合体ラテックスを、長期にわたって高い透過流束を維持
して濃縮することができる。これら二つの発明を組み合
わせて実施すると、一層長期にわたって高い透過流束を
安定して維持して操業することができるので好ましい。
【0018】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
ない。「部」および「%」は特記しない限り重量基準で
ある。製造例1 ステンレス製の撹拌機およびジャケット付き反応器に、
脱イオン水90部、ラウリル硫酸ナトリウム0.8部、
ラウリルアルコール1.2部およびジイソプロピルパー
オキシジカーボネート0.06部を仕込み、窒素置換お
よび減圧脱気を2回繰り返した後、塩化ビニル100部
を仕込んで撹拌、混合した。この混合物をホモジナイザ
ーで均質化したのち、別の脱気された撹拌機およびジャ
ケット付きステンレス製反応器に移し、47℃に昇温し
て重合した。重合転化率が90%に達したのを確認して
冷却し、未反応の塩化ビニルを反応器に付設した減圧配
管から回収して重合体ラテックスAを得た。得られた重
合体ラテックスAは、pHが3.8で、固形分濃度51
%であった。遠心沈降濁度法による粒径分布測定では、
単一粒子の粒径が0.02〜2.2μmに広く分布し、モ
ードが1.0μmにあり、平均粒径は1.0μmであっ
た。また、重合体の平均重合度は1600であった。示
差熱分析により求めた重合体のガラス転移温度は、80
℃であった。
【0019】比較例1〜3、実施例1、2 重合体ラテックスAについて、振動型膜分離装置[VS
EP Series L、神鋼パンテック(株)]にナノフ
ィルター[NTR−7410、日東電工(株)製、膜面積
0.045m]を装着した装置を用いて、表1に示
す振幅5種を設定してそれぞれ濃縮実験を行った。ねじ
り振動周波数60Hz、温度30℃、供給速度250l
/hr、操作圧力3.2kg/cmGの条件でそれ
ぞれラテックスの固形分濃度を51%に濃縮しつつ40
時間運転した。この間操作圧力を一定に維持し、時間経
過に伴う透過流束(l/m/hr)の推移を調べ
た。時間経過に伴う透過流束の推移の測定結果を表1に
示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1が示すように、重合反応後のpH3.
8である塩化ビニル重合体ラテックスAを、振動型膜分
離装置にて最大振幅を変えて濃縮操作を行うと、最大振
幅が10〜15mmの範囲であると40時間経過しても
透過流束は高く維持された(実施例1、2)。しかし、
最大振幅が上記範囲より低い場合(比較例1,2)と高
い場合(比較例3)では、時間の経過につれて膜の目詰
まり(ファウリング)が生じて透過流束が低下した。
【0022】実施例3、比較例4 実施例1において、濃縮装置として振動型膜分離装置
[VSEP Series I、神鋼パンテック(株)]に
ナノフィルター[NTR7410、日東電工(株)製、
膜面積28m]を装着した装置を用い、表2に示す
最大振幅にて、また、ラテックス供給速度5000l/
hr、操作圧力2.8kg/cmGの条件で操作し
た他は実施例1と同様にして重合体ラテックスAの濃縮
を行った。時間経過に伴う透過流束(l/m/h
r)の推移の測定結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2が示すように、分離膜の大きさが大き
くなっても、最大振幅が10〜15mmの範囲となるよ
うにねじり振動角を実施例1より小さく調整することに
より、長時間にわたって透過流束を高く維持することが
できた(実施例3)。一方、ねじり振動角が実施例1お
よび2より小さくても、最大振幅が15mmを超える条
件の場合は、濃縮操作の時間経過につれてファウリング
が生じて透過流束が低下した(比較例4)。
【0025】実施例4 重合体ラテックスAについて、振動型膜分離装置[VS
EP Series L、神鋼パンテック(株)]にナノフ
ィルター[NTR7410、日東電工(株)製、膜面積
0.045m]を装着した装置を用いて濃縮実験を
行った。ねじり振動周波数60Hz、ねじり振動角16
度で分離膜を振動させつつ、温度30℃、供給速度25
0l/hr、操作圧力3.2kg/cmGの条件で
ラテックスを振動型膜分離装置に通し、固形分濃度を5
1%に濃縮しつつ第1回目の運転を開始した。透過流束
は、運転開始時45l/m/hrであったが直線的
に徐々に低下し、20時間目に35l/m/hrに
なった。この時点で振動型膜分離装置の第1回目の停止
を行った。すなわち、ラテックス供給ポンプを停止し、
配管内の操作圧力をバルブを開いて解放した。1分間の
停止の後、振動型膜分離装置の第2回目の運転を開始し
たところ透過流束は瞬時に46l/m/hrに上昇
した。その後透過流束は直線的に徐々に低下し、第1回
目の運転開始時から40時間目に36l/m/hr
になった。この時点で振動型膜分離装置の第2回目の停
止を行った。1分間の停止の後、振動型膜分離装置の第
3回目の運転を開始したところ透過流束は瞬時に45l
/m/hrに上昇した。
【0026】参考例1 実施例4と同様にして重合体ラテックスAを用いて第1
回目の振動型膜分離装置の運転を開始した。透過流束
は、運転開始時45l/m/hrであったが直線的
に徐々に低下し、52時間目に23l/m/hrに
低下した。この時点で振動型膜分離装置の第1回目の停
止を行った。1分間の停止の後、振動型膜分離装置の第
2回目の運転を開始したところ透過流束は瞬時に33l
/m/hrまで上昇した。その後透過流束は直線的
に徐々に低下し、第1回目の運転開始時から88時間目
に15l/m/hrになった。この時点で振動型膜
分離装置の第2回目の停止を行った。1分間の停止の
後、振動型膜分離装置の第3回目の運転を開始したとこ
ろ透過流束は瞬時に上昇し26l/m/hrまで回
復した。実施例4との対比により、50時間以下の運転
時間の後に1分間の停止をして再運転する方が好ましい
ことが示された。
【0027】
【発明の効果】本発明により、塩化ビニル系重合体ラテ
ックスを、振動型膜分離装置を用いて長期間にわたって
高い透過流束で高濃縮度まで効率的に濃縮することがで
きる、振動型膜分離装置の操作方法が提供される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系重合体ラテックスを振動型
    膜分離装置を用いて濃縮する方法において、 前記振動型膜分離装置の分離膜の最大振幅を10〜15
    mmの範囲とすることを特徴とする塩化ビニル系重合体
    ラテックスの濃縮方法。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系重合体ラテックスを振動型
    膜分離装置を用いて濃縮する方法において、 前記振動型膜分離装置の運転と中断とを繰り返して操業
    することを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテックスの
    濃縮方法。
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