JP7271385B2 - O/wエマルションの製造方法、及び微粒子の製造方法 - Google Patents

O/wエマルションの製造方法、及び微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、O/Wエマルションの製造方法、及び当該製造方法により得られるO/Wエマルションを用いた微粒子の製造方法に関する。
エマルションは、食品、化粧品、化学製品、医薬品等において広く利用されており、用途に応じて粒子径を制御することが求められる。従来、エマルションは、界面活性剤等の乳化剤を添加した分散相を連続相に添加し、撹拌して、分散相を微細化することにより製造されてきた。しかし、このような方法で製造されるエマルションは、粒子径が不均一であり、粒子径の制御が困難である。
粒子径の制御が容易なエマルションの製造方法として、分散相を多孔質膜の細孔を通して連続相中に圧入し、微小液滴として分散させることによりエマルションを得る膜乳化法が行われている。
例えば、特許文献1には、均一孔径を有し且つ表面処理により負に帯電した親水性多孔質ガラス膜を通して臨界圧力の1~10倍の圧力で油性分散相液体を陰イオン系界面活性剤および/または非イオン系界面活性剤を含む水性連続相液体中に圧入することを特徴とする単分散状O/W型シングルエマルションの製造方法が開示されている。
特許文献2には、油及び水または油溶性液体及び水溶性液体とを三次元的な網目状の連続した細孔を有する多孔質体に同時に透過させ、大気中または連続相中または乳化液相中に再分散させることにより多孔質体の細孔径以下の油中水滴型エマルションまたは水中油滴型エマルションを生成することを特徴とするエマルション生成方法が開示されている。
特許文献1及び2に記載された方法は、シラス多孔質ガラス膜(SPG膜)に代表される多孔質ガラス膜を用いる方法である。しかし、多孔質ガラス膜を用いた膜乳化法では、エマルションを微細化しようとすると、多孔質ガラス膜の細孔径が非常に小さいものになり、膜乳化を行う際の圧力も大きくなることから、従来の多孔質ガラス膜は強度の点から使用できないという問題がある。
より微細なエマルションを得る方法として、特許文献3に、多孔質膜としてセラミック膜を用いた膜乳化法が開示されている。特許文献3には、セラミック膜の物理的強度が高いため、非常に微細な細孔径であっても高圧をかけることができるので、従来製造することができなかった微細なエマルションを製造することができると記載されている。
特開平5-220382号公報 特開2006-346565号公報 特開2005-28254号公報
しかし、特許文献3に記載されたセラミック膜を用いて得られるエマルションは、粒子系分布が広くばらつくという問題がある。
本開示の課題は、微細で単分散性に優れたO/Wエマルションの製造方法、及び当該製造方法により得られるO/Wエマルションを用いた、微細で単分散性に優れた微粒子の製造方法を提供することである。
本発明者らは、O/Wエマルション(水中油滴型エマルション)を得るための多孔質セラミック膜を用いた膜乳化法においては、微細孔を有する多孔質セラミック膜の表面を親水化させて、膜透過時の圧力を調整することにより、微細で単分散性に優れたO/Wエマルションが得られることを見出した。
本開示によれば、油系液体である分散相を、多孔質膜に透過させて、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む水系液体である連続相中に分散させることにより、O/Wエマルションを製造する方法であって、
前記多孔質膜が、表面が親水化された多孔質セラミック膜であり、平均細孔径が0.004μm以上30μm以下であり、
前記膜透過時の圧力が0.005MPa以上4MPa以下であることを特徴とする、O/Wエマルションの製造方法が提供される。
本開示の上記製造方法においては、前記油系液体が、重合性単量体と重合開始剤とを含有するものであってもよい。
本開示によれば、前記本開示の方法でO/Wエマルションを製造する工程と、
前記O/Wエマルションを重合することで微粒子を得る工程と、を有することを特徴とする、微粒子の製造方法が提供される。
上記の如き本開示の製造方法によれば、微細で単分散性に優れたO/Wエマルション及び微粒子を得ることができる。
本開示の製造方法に用いる膜乳化装置の一例を示す模式図である。 本開示の製造方法に用いる多孔質セラミック膜の一例の平面図である。 図2に示す多孔質セラミック膜のA-A断面図である。
I.O/Wエマルションの製造方法
本開示におけるO/Wエマルションの製造方法は、油系液体である分散相を、多孔質膜に透過させて、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む水系液体である連続相中に分散させることにより、O/Wエマルションを製造する方法であって、
前記多孔質膜が、表面が親水化された多孔質セラミック膜であり、平均細孔径が0.004μm以上30μm以下であり、
前記膜透過時の圧力が0.005MPa以上4MPa以下であることを特徴とする。
セラミック膜とは、一般に、粘土などを原料に、高温処理された無機系材料を膜状としたものである。多孔質セラミック膜は、従来、各種原料の分離及び濃縮、各種加工液又は洗浄液等のリサイクル等に使用されている。多孔質セラミック膜の表面は、シラノール基で覆われている多孔質ガラス膜の表面に比べ、親水性に乏しく、油に対する濡れ性を有する。従来の多孔質セラミック膜を用いた膜乳化法において、粒子系分布がばらつきやすいのは、多孔質セラミック膜表面の性質に起因して、粗大液滴が生成するためと推察される。
本開示のO/Wエマルションの製造方法によれば、膜乳化法に使用する多孔質膜が、表面が親水化された多孔質セラミック膜であることにより、多孔質膜の物理的強度が高く、且つ多孔質膜表面全体が親水性であるため、多孔質膜の平均細孔径が0.004μm以上30μm以下と非常に微細であっても、膜透過時の圧力を0.005MPa以上4MPa以下の範囲内とすることで、粗大液滴の生成を抑制することができ、粒子径分布のばらつきが少ない単分散性に優れた、微細なO/Wエマルションを得ることができる。
また、本開示のO/Wエマルションの製造方法によれば、多孔質セラミック膜は成形が極めて均一なため、SPG膜等の多孔質ガラス膜を用いた膜乳化法に比べて、所望の粒径の液滴を大量生産することが容易であるというメリットもある。
本開示のO/Wエマルションの製造方法では、表面が親水化された多孔質セラミック膜を用いて、油系液体である分散相を、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む水系液体である連続相中に膜透過させる膜乳化法により、O/Wエマルションを製造する。
本開示のO/Wエマルションの製造方法は、公知の膜乳化装置を用いて行うことができる。図1に示す膜乳化装置は、分散相タンク11中の分散相10が、ライン21、ライン22を順に通った後、シャフト23から排出され、多孔質セラミック膜30を透過して、連続相タンク41に収容されている連続相40中に供給される。その後、連続相タンク41内で、撹拌機42により撹拌されることにより、連続相40中にエマルション粒子(油滴)が分散したエマルションが生成される。図1に示す膜乳化装置は、分散相タンク11へ窒素ガスを供給して加圧することにより、分散相タンク11に収容された分散相10が供給されるものであり、窒素ガスの供給量を調整するためのレギュレータ50、及び膜透過圧力を測定するための圧力計51を備える。レギュレータ50の使用により、圧力変動を抑制し、一定圧で分散相10を多孔質セラミック膜30に透過させることができるため、エマルション粒子の単分散性を向上することができる。また、ライン21とライン22とを連結する連結部24により、ライン内のガス抜きおよび予備乳化工程を行うことができる。図1に示す連結部24は、シリンジ25を取り付けた三方コック26である。
以下に、本開示の製造方法に用いる多孔質セラミック膜、分散相、連続相、及び本開示の製造方法における膜乳化の条件等、並びに本開示の製造方法により得られるO/Wエマルションについて、詳細に説明する。
(1)多孔質セラミック膜
本開示の製造方法に用いる多孔質セラミック膜は、連続した微細孔を有する多孔質セラミック膜の表面が親水化されたものである。多孔質セラミック膜は、セラミック自体の機械的強度が非常に高いため、従来の膜乳化法に用いられている多孔質ガラス膜に比べて強度に優れる。
表面が親水化される前の多孔質セラミック膜としては、公知の多孔質セラミック膜を用いることができ、特に限定はされない。表面が親水化される前の多孔質セラミック膜の材料としては、例えば、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、ムライト、ジルコニア(ZrO)等が挙げられるが、これらの中でも、粒子径が制御された原料を入手し易く、且つ、耐食性が高いという観点から、アルミナ(Al)が好ましい。
本開示の製造方法に用いる多孔質セラミック膜において、表面を親水化させる方法としては、特に限定はされないが、多孔質セラミック膜が有する細孔内表面を親水化できる方法が好ましい。そのような方法としては、例えば、親水性コーティング剤を使用して膜表面を親水性官能基で修飾する方法、プラズマ処理又はコロナ処理により膜表面に親水性官能基を付与する方法等を挙げることができる。中でも、膜表面に均一に親水性官能基を付与しやすい点から、親水性コーティング剤を使用して膜表面を親水性官能基で修飾する方法が好ましい。
前記親水性官能基としては、陰イオン性の親水性官能基が好ましく、例えば、水酸基、シラノール基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基等を挙げることができる。
前記親水性コーティング剤としては、例えば、大阪有機化学工業製の水溶性のポリマーブラシ状化合物(LAMBICシリーズ)、信越化学工業製の親水基含有アルコキシオリゴマー(「X-41-1053」、「X-41-1059A」、「X-41-1056」、「X-41-1805」、「X-41-1818」、「X-41-1810」、「X-40-2651」、「X-40-2655A」)、親水基含有水系シランカップリング剤X-12シリーズ(「X-12-641」、「X-12-1098」、「X-12-1121」、「X-12-1135」、「X-12-1126」、「X-12-1131」、「X-12-1141」)等を挙げることができる。中でも、多孔質セラミック膜の細孔内表面を十分に親水化する点から、LAMBICシリーズ等のブラシ状の骨格を有する水溶性化合物が好ましい。
前記親水性コーティング剤を使用して多孔質セラミック膜の表面を親水性官能基で修飾する方法としては、例えば、表面を親水化させる前の多孔質セラミック膜を膜乳化装置に設置した後、分散相タンクから前記親水性コーティング剤を含有する水溶液を送液し、多孔質セラミック膜の表面に吸着させた後、当該多孔質セラミック膜を脱気し、乾燥させる方法を挙げることができる。
前記親水性コーティング剤を含有する水溶液中の前記親水性コーティング剤の含有量は、前記親水性コーティング剤の種類に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、膜表面に均一に親水性官能基を付与しやすい点から、好ましくは1質量%10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上5質量%以下である。
プラズマ処理又はコロナ処理により多孔質セラミック膜の表面に親水性官能基を付与する方法においては、公知のプラズマ処理又はコロナ処理を採用することができ、特に限定はされない。
本開示の製造方法に用いる多孔質セラミック膜は、平均細孔径が0.004μm以上30μm以下である。本開示の製造方法においては、多孔質セラミック膜の平均細孔径を適宜選択することにより、得られるエマルションの平均粒子径を所望の大きさにすることができる。多孔質セラミック膜の平均細孔径が0.004μm以上であることにより、分散相が膜を透過しやすく、目詰まりを抑制し、また、多孔質セラミック膜に過大な圧力がかかることがないため、膜の破壊が抑制される。一方、多孔質セラミック膜の平均細孔径が30μm以下であることにより、微細なエマルションを得ることができる。
なお、多孔質膜の平均細孔径とは、水銀圧入法によって測定される値である。
また、膜乳化装置に設置する多孔質セラミック膜の形状としては、例えば、平板状、及び内部空間を有する円盤状又は円筒状等が挙げられ、特に限定はされない。図1に示す多孔質セラミック膜30は、内部空間を有する円盤状であり、且つシャフト23を通すための中央孔31を有する。図1に示す膜乳化装置では、分散相10が、ライン22を通ってシャフト23から排出され、多孔質セラミック膜30が形成する円盤の内部空間に供給され、多孔質セラミック膜30を透過して、連続相40中へと供給される。
図2及び図3には、シャフト23に設置可能な多孔質セラミック膜30の一例として、内部空間を有する円盤状であり、且つシャフト23を通すための中央孔31を有する多孔質セラミック膜30を示す。図2は、当該多孔質セラミック膜30の平面図であり、図3は、図2に示す多孔質セラミック30のA-A断面図である。図2及び図3に示す多孔質セラミック膜30により形成される円盤は、シャフト23を通すための中央孔31を有し、また、多孔質セラミック膜30のシェルに取り囲まれた内部空間32を有する。
(2)分散相
本開示の製造方法に用いる分散相は、油系液体であり、膜乳化法の分散相として従来用いられている天然又は合成の公知の液状の油性成分を適宜選択して用いても良いし、重合性単量体と重合開始剤とを含有する油系液体を用いても良い。前記分散相として、重合性単量体と重合開始剤とを含有する油系液体を用いる場合は、本開示の製造方法により得られたO/Wエマルションを重合することにより、微細で単分散性に優れた微粒子を容易に得ることができる。
(重合性単量体)
本開示において重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいう。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα-メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられ、中でも、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられ、スチレン及びスチレン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせがより好適に用いられる。
本開示では、モノビニル単量体を、重合性単量体の総量100質量部に対して、通常80質量部以上、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95質量部以上の割合で用いる。
また、本開示では、モノビニル単量体の総量100質量部に対して、スチレン及びスチレン誘導体の合計含有量が50質量部以上90質量部以下であることが好ましく、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの合計含有量が10質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
前記重合性単量体としては、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いても良い。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールにカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N-ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
前記重合性単量体が架橋性の重合性単量体を含有する場合、架橋性の重合性単量体の含有量は、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.1質量部以上5質量部以下、好ましくは0.3質量部以上2質量部以下である。
また、さらに、前記重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いても良い。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素-炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000以上30,000以下の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。前記重合性単量体がマクロモノマーを含有する場合、マクロモノマーの含有量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上5質量部以下、さらに好ましくは0.05質量部以上1質量部以下でる。
前記油系液体に含まれる前記重合性単量体の総量は、油系液体100質量%中、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくは95質量%以上である。
(重合性開始剤)
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ-t-ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルブタノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、及びt-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができることから、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物の中では、開始剤効率が良く、残留する重合性単量体を少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
前記油系液体中の重合開始剤の含有量は、前記モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、さらに好ましくは0.3質量部以上15質量部以下であり、特に好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
なお、前記分散相として用いる、重合性単量体と重合開始剤とを含有する油系液体は、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤等を更に含有していても良い。
(3)連続相
本開示の製造方法に用いる連続相は、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、水とを含有する水系液体であり、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を更に含有していても良い。
本開示の製造方法では、界面活性剤が、親水基として陰イオン性基を有し、当該親水基が親水化されて負に荷電した多孔質セラミック膜の表面に対して反発することにより、或いは、界面活性剤が陰イオン性基を有しなくても、陽電荷を含まないことにより、界面活性剤が親水化された多孔質セラミック膜の表面に吸着されない。そのため、多孔質セラミック膜の表面が親水性を有し、油(分散相)で濡れにくくなる結果、粗大液滴の生成が抑制されるため、エマルションは微細化され、単分散性が向上する。
陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤としては、膜乳化法の連続相に従来用いられているものを適宜選択して用いることができ、特に限定はされない。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム等のカルボン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリエチレンオキサイド縮合物、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
前記水系液体は、中でも、エマルションの微細化及び単分散性の向上の観点から、陰イオン性界面活性剤を含有することが好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩を含有することがより好ましい。
前記水系液体中の陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の合計含有量は、通常0.01質量%以上10質量%以下であり、好ましくは0.02質量%以上5質量%以下である。陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の含有量が上記下限値以上であることにより、エマルション粒子同士の接触による合一を抑制し、大粒子化を抑制することができる。一方、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の含有量が上記上限値以下であることにより、エマルション粒子の凝集を抑制することができる。
中でも、前記水系液体が陰イオン性界面活性剤を含有し、当該陰イオン性界面活性剤の含有量が、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.07質量%以上1質量%以下であることがより更に好ましい。
前記水系液体中の水の含有量は、通常90質量%以上であり、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは99質量%以上である。
前記水系液体は、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加剤及び水溶性溶媒等を更に含有していても良い。例えば、前記油系液体が重合性単量体を含有する場合、前記水系液体は、重合禁止剤を含有していても良い。重合禁止剤としては、公知の水溶性重合禁止剤から適宜選択して用いることができ、特に限定はされないが、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、ハイドロキノンスルホン酸カリウム等を挙げることができる。
前記水系液体が重合禁止剤を含有する場合、水系液体中の重合禁止剤の含有量は、通常0.001質量%以上0.1質量%以下である。
(4)膜乳化の条件等
本開示のO/Wエマルションの製造方法では、前記分散相を、前記多孔質セラミック膜に透過させて、前記連続相中に分散させることにより、O/Wエマルションを生成する。
本開示の製造方法においては、前記分散相が前記多孔質セラミック膜を透過する前に、前記多孔質セラミック膜の表面を前記連続相で濡らした後に、前記分散相を、前記連続相中に膜透過させる工程(以下、予備乳化工程と称する場合がある)を有することが好ましい。当該予備乳化工程を行うことにより、前記多孔質セラミック膜の表面と、前記分散相との親和性がより低下してから乳化が行われるため、エマルションは微細化しやすく、単分散性が向上しやすい。
図1に示す膜乳化装置を用いる場合、前記予備乳化工程は、例えば以下の手順により行うことができる。まず、連結部24の三方コック26を操作して、ライン21を閉鎖してライン22とシリンジ25側とを開放する。次いで、連続相40を連結部24のシリンジ25で吸引し、多孔質セラミック膜30を連続相40で濡らし、ライン22を連続相40で満たす。次に、ライン22を閉鎖してライン21とシリンジ25側とを開放し、分散相10を徐々に押し出し、ライン21内を分散相10で満たす。その後、三方コック26を操作して、ライン21とライン22との通路を開放し、分散相10をライン21からライン22へと通過させ、多孔質セラミック膜30を透過させて、連続相40中に供給する。
なお、前記予備乳化工程を行う場合、前記予備乳化工程後は、そのまま引き続き前記分散相を前記多孔質セラミック膜に透過させて、膜乳化を行うことができる。
前記予備乳化工程では、前記連続相100質量部に対し、前記分散相を5質量部以上50質量部以下の割合で用いることが好ましい。
また、前記予備乳化工程における膜透過時の圧力は、0.005MPa以上1MPa以下であることが好ましい。
本開示の製造方法において、O/Wエマルションを生成する際の膜透過時の圧力は、0.005MPa以上4MPa以下であり、好ましくは0.01MPa以上3MPa以下、より好ましくは0.02MPa以上2MPa以下である。前記膜透過時の圧力が0.005MPa以上であることにより、分散相の膜透過が容易になり、また、分散相が膜透過に要する時間が長すぎないことにより、液滴の肥大化を抑制することができるため、得られるエマルション粒子を微細化し、単分散性を向上することができる。また、前記膜透過時の圧力が4MPa以下であることにより、分散相による多孔質セラミック膜表面の濡れを抑制するため、多分散化を抑制することができる。
本開示の製造方法において、前記連続相中に分散させる前記分散相の量は、生産性及びエマルションの安定性の観点から適宜調整され、特に限定はされないが、前記分散相と前記連続相との合計100体積%に対し、前記分散相の割合が、通常3体積%以上50体積%以下であり、好ましくは4体積%以上40体積%以下であり、より好ましくは5体積%以上30体積%以下である。前記分散相の割合が、上記下限値以上であることにより、生産性が向上し、上記上限値以下であることにより、エマルションの安定性が向上する。
また、本開示の製造方法においては、膜乳化時間が通常3時間以上30時間以下であり、好ましくは5時間以上20時間以下である。なお、本開示において、膜乳化時間とは、予備乳化工程を行う場合は予備乳化工程の後、分散相を注入した時間を意味する。膜乳化時間が上記上限値以下であることにより、生産性に優れる。なお、前記膜乳化時間は、分散相の注入速度により調整することができる。
また、本開示の製造方法においては、前記膜透過時に前記連続相を撹拌することが、前記連続相中におけるエマルション粒子の滞留を抑制し、分散安定性を向上する点から好ましい。前記撹拌機に用いる撹拌翼は、特に限定はされないが、例えば、二段六枚羽根ディスクタービン(アズワン株式会社製、型番:撹拌翼SUSディスクタービン80mmボス付き)を2つ使用した二段六枚羽根ディスクタービン翼、パドル翼や傾斜パドル翼を2つ使用した2段翼等を挙げることができる。また、撹拌条件は、特に限定はされないが、エマルションの分散安定性の点から、撹拌速度100~200rpmとすることが好ましい。
(5)O/Wエマルション
上述した本開示の製造方法により、微細で単分散性に優れたO/Wエマルションを得ることができる。
本開示の製造方法によれば、生成するO/Wエマルションの平均粒子径を、例えば0.01μm以上100μm以下とすることができ、より好ましい形態においては0.1μm以上40μm以下とすることができる。
なお、O/Wエマルションの平均粒子径とは、油滴の平均粒子径であり、レーザー回折散乱法により得られる体積累積分布曲線において、小粒径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)である。
また、本開示の製造方法によれば、生成するO/WエマルションのCV値を、例えば0.30以下とすることができ、より好ましい形態においては、0.25以下とすることができる。なお、一般的に、CV値が0.30以下であると単分散性が高いと言える。O/WエマルションのCV値は、下記式(1)により求められる。
CV=σ/D 式(1)
(上記式(1)中、DはO/Wエマルションの平均粒子径であり、σは当該平均粒子径の標準偏差である。)
また、本開示の製造方法によれば、生成するO/Wエマルションの平均粒子径を、使用する多孔質セラミック膜の平均細孔径に対し、例えば5倍以下とすることができ、好ましい形態においては4.5倍以下とすることができ、より好ましい形態においては4.0倍以下とすることができ、更に好ましい形態においては3.5倍以下とすることができ、より更に好ましい形態においては3.0倍以下とすることができる。なお、O/Wエマルションの平均粒子径は、通常、使用する多孔質セラミック膜の平均細孔径の1.2倍以上であり、1.5倍以上であっても良い。
本開示の製造方法により得られるO/Wエマルションの用途としては、例えば、医薬品、食品、化粧品等を挙げることができる。
II.微粒子の製造方法
本開示の微粒子の製造方法は、上述した本開示のO/Wエマルションの製造方法において、分散相として、重合性単量体と重合開始剤とを含有する油系液体を用いる方法でO/Wエマルションを製造する工程と、前記O/Wエマルションを重合することで微粒子を得る工程と、を有することを特徴とする。
本開示の微粒子の製造方法によれば、上述した方法により得られる微細で単分散性に優れたO/Wエマルションを重合することにより微粒子を得るため、重合後の微粒子も、微細で単分散性に優れたものとなる。
本開示の微粒子の製造方法において、前記O/Wエマルションを重合する方法は、前記油系液体が含有する重合性単量体及び重合開始剤の種類に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、上述した重合開始剤を用いる場合は、例えば、前記O/Wエマルションを加熱することにより重合することができる。
前記O/Wエマルションの重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60℃以上95℃以下である。また、重合の反応時間は好ましくは1時間以上20時間以下であり、更に好ましくは2時間以上15時間以下である。
前記O/Wエマルションの液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、攪拌による分散処理を行いながら、前記O/Wエマルションの重合反応を進行させてもよい。撹拌に用いる撹拌機及び撹拌条件は、例えば、前記O/Wエマルションの製造方法に用いる撹拌機及び撹拌条件と同様にすることができる。
本開示の製造方法により得られる微粒子の用途としては、例えば、医薬品、食品、化粧品、トナー等を挙げることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
1.O/Wエマルションの製造
図1に示すような膜乳化装置に、内部空間を有する円盤状の多孔質セラミック膜(ユーロテック製、平均細孔径2μm)を設置した。分散相タンク11に、親水性コーティング剤としてのLAMBIC771(大阪有機化学工業製)30部と、蒸留水120部との混合液を入れ、多孔質セラミック膜へと送液し、前記混合液を多孔質セラミック膜表面に吸着させた。その後、多孔質セラミック膜を脱気し、80℃で12h乾燥させることにより、多孔質セラミック膜の表面を親水化した。
また、陰イオン性界面活性剤としてDBS(n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)30部、蒸留水120部との混合液を多孔質セラミック膜へと送液し、

また、分散相10として、スチレン120部、アクリル酸ブチル30部、及び重合開始剤としてt-ブチルパーオキシ-2-エチルブタノエート(化薬ヌーリオン社製、商品名:トリゴノックス27)5部からなる油系液体を準備し、連続相40として、蒸留水2850部、陰イオン性界面活性剤としてDBS(n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)3部、及び重合禁止剤としてハイドロキノンスルホン酸カリウム0.3部からなる水系液体を準備した。
表面を親水化した多孔質セラミック膜30が設置された膜乳化装置において、分散相タンク11に前記分散相10を、連続相タンク41に前記連続相40を入れ、膜透過時の圧力が0.02MPaとなるように窒素ガスの供給量を調整しながら、前記分散相10を、シャフト23から多孔質セラミック膜30を透過させて、6時間かけて連続相タンク41中の前記連続相40中へ圧入し、連続相タンク41内を撹拌機42で撹拌することにより、O/Wエマルションを得た。撹拌機42としては、二段六枚羽根ディスクタービン(アズワン株式会社製、型番:撹拌翼SUSディスクタービン80mmボス付き)を2つ使用した二段六枚羽根ディスクタービン翼)を用い、撹拌速度150rpmの条件で撹拌した。
得られたO/Wエマルションの平均粒子径及び標準偏差をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製、商品名:LA-920)により測定し、CV値を算出した。その結果、平均粒子径は4.0μmであり、CV値は0.29であった。
2.微粒子の製造
上記で得られたO/Wエマルションを、エマルション製造時と同様の条件で撹拌しながら、90℃に昇温して、重合反応を3時間行った後、水冷して反応を停止することにより、微粒子を得た。
得られた微粒子の平均粒子径及び標準偏差をエマルションと同様に測定した結果、エマルションと同程度の平均粒子径及びCV値を有するものであった。
[実施例2~4、6~7]
実施例1において、多孔質セラミック膜を、表1に示す細孔平均径を有するものに変更し、膜透過時の圧力が表1に示す値となるように窒素ガスの供給量を調整し、分散相が連続相中に膜透過されるのに要した時間(膜乳化時間)が表1に示す時間であった以外は、実施例1と同様にして、実施例2~4、6~7のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
[実施例5]
実施例1において、連続相に添加する陰イオン性界面活性剤としてのDBSの添加量を0.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
[比較例1]
実施例1において、連続相に、陰イオン性界面活性剤としてDBSの代わりに、陽イオン性界面活性剤であるドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド3部を添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
[比較例2]
実施例1において、膜透過時の圧力が5.0MPaとなるように窒素ガスの供給量を調整し、分散相が連続相中に膜透過されるのに要した時間(膜乳化時間)が20時間であった以外は、実施例1と同様にして、比較例2のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
[比較例3]
実施例1において、多孔質セラミック膜の表面を親水化しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
[比較例4]
実施例1において、膜透過時の圧力が0.001MPaとなるように窒素ガスの供給量を調整した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
[比較例5]
実施例4において、多孔質セラミック膜の表面を親水化しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、比較例5のO/Wエマルション及び微粒子を得た。
実施例1~7及び比較例1~3、5で得たO/Wエマルションの平均粒子径及びCV値を表1に示す。また、実施例1~7及び比較例1~3、5で得た微粒子の平均粒子径及びCV値は、使用したO/Wエマルションと同程度であった。比較例4は、膜透過時の圧力が小さすぎたため、分散相が膜透過せず、エマルションが生成しなかった。
Figure 0007271385000001
[考察]
比較例1は、得られたエマルションの平均粒子径が47μmであり、多孔質膜の平均細孔径(2.0μm)の23.5倍と非常に大きく、CV値も0.50と大きかった。比較例1では、連続相が、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれも含有せず、陽イオン性界面活性剤を含有するものであったため、界面活性剤の親水基である陽イオン性基が、負に荷電した多孔質セラミック膜の表面に吸着し、界面活性剤の疎水基が分散相側に配向し、分散相が多孔質セラミック膜表面に濡れ広がりやすかったことから、粗大液滴が形成したためと考えられる。比較例1では、多孔質セラミック膜の表面で、目視されるほどの大きな液滴が形成した。
比較例2は、得られたエマルションの平均粒子径が55μmであり、多孔質膜の平均細孔径(2.0μm)の27.5倍と非常に大きく、CV値も0.75と大きかった。比較例2では、膜透過時の圧力が5.0MPaと大きすぎたため、分散相による多孔質セラミック膜表面の濡れが誘発され、多分散化が起きたためと考えられる。
比較例3は、多孔質セラミック膜の表面を親水化させなかったこと以外は実施例1と同様の条件としているが、得られたエマルションの平均粒子径及びCV値は、いずれも実施例1に比べて大きかった。比較例3では、多孔質セラミック膜の表面を親水化しなかったため、多孔質セラミック膜の表面に分散相中の重合性単量体が濡れ広がりやすかったためと考えられる。
比較例4は、膜透過時の圧力が0.001MPaと小さすぎたため、分散相が膜透過せず、エマルションが生成しなかった。
比較例5は、多孔質セラミック膜の表面を親水化させなかったこと以外は実施例4と同様の条件としているが、得られたエマルションの平均粒子径及びCV値は、いずれも実施例4に比べて大きかった。比較例5では、多孔質セラミック膜の表面を親水化しなかったため、多孔質セラミック膜の表面に分散相中の重合性単量体が濡れ広がりやすかったためと考えられる。
一方、実施例1~7は、油系液体である分散相を、表面が親水化され且つ平均細孔径が0.004μm以上30μm以下の多孔質セラミック膜に0.005MPa以上4MPa以下の圧力で透過させて、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む水系液体である連続相中に分散させることにより、O/Wエマルションを製造したため、得られたO/Wエマルションは、平均粒子径が小さく微細であり、CV値は0.29以下で単分散性に優れるものであった。また、実施例1~7で得られた微粒子は、O/Wエマルションと同程度の平均粒子径及びCV値を有するものであり、微細で、単分散性に優れるものであった。
10 分散相
11 分散相タンク
21 ライン
22 ライン
23 シャフト
24 連結部
25 シリンジ
26 三方コック
30 多孔質セラミック膜
31 中央孔
32 内部空間
40 連続相
41 連続相タンク
42 撹拌機
50 レギュレータ
51 圧力計

Claims (3)

  1. 油系液体である分散相を、多孔質膜に透過させて、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む水系液体である連続相中に分散させることにより、O/Wエマルションを製造する方法であって、
    前記多孔質膜が、表面が親水化された多孔質セラミック膜であり、平均細孔径が0.004μm以上30μm以下であり、
    前記膜透過時の圧力が0.005MPa以上4MPa以下であることを特徴とする、O/Wエマルションの製造方法。
  2. 前記油系液体が、重合性単量体と重合開始剤とを含有することを特徴とする、請求項1に記載のO/Wエマルションの製造方法。
  3. 請求項2に記載の方法でO/Wエマルションを製造する工程と、
    前記O/Wエマルションを重合することで微粒子を得る工程を有することを特徴とする、微粒子の製造方法。
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