JP2002347833A - フィンシール包装体 - Google Patents

フィンシール包装体

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JP2002347833A JP2001156983A JP2001156983A JP2002347833A JP 2002347833 A JP2002347833 A JP 2002347833A JP 2001156983 A JP2001156983 A JP 2001156983A JP 2001156983 A JP2001156983 A JP 2001156983A JP 2002347833 A JP2002347833 A JP 2002347833A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物品の胴回りに関して左右いずれの方向にも
開封することができるフィンシール包装体を提供する。 【解決手段】 フィンシール包装体は、物品2の胴回り
をフィルム包材4で筒状に包み込み、その両端部裏面を
合掌シールしてフィンシール帯6を形成し、この後、筒
状フィルムの両端開口を閉じて合掌シールすることによ
り成形されている。フィルム包材4の裏面には開封テー
プ10が付着されており、この開封テープ10はフィル
ム包材4とともに物品2の胴回りに巻回されている。開
封テープ10の全長は物品2の胴周長よりも短く、その
両端はフィンシール帯8の基端を挟んで対向し、基端か
らそれぞれ間隔を存して離間している。フィンシール帯
8には一対のミシン目12により摘み14が形成されて
おり、ミシン目12は開封テープ10の巻回方向でみて
その両側にそれぞれ位置している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、完全な密封性が要
求される物品の包装に好適し、あわせて適度な開封性を
も有したフィンシール包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のフィンシール包装体は先ず、物
品の胴回りにフィルム包材を筒状に巻き付けてその両端
部裏面を相互に重ね合わせた状態で合掌シールし、この
後、物品の両端からそれぞれ突出する耳部を合わせ目に
成形して、これら合わせ目を合掌シールして三方シール
を施すことにより成形されている。このようなフィンシ
ール包装体は、合掌シールの高い密着性により優れた密
封性を有するものの、開封時にはその接着面やフィルム
包材を引き裂くだけの力を必要とする分、開封性にやや
劣るという問題がある。
【0003】このため、例えば特開平7−215362
号公報や特開平9−104449号公報には、三方フィ
ンシールの包装形態で開封性を高めた包装容器が記載さ
れている。これら包装容器はいずれも、フィンシール帯
の一部に2本の切込線で形成された摘みを有しており、
開封時にこの摘みを引かせることでフィンシール帯の引
き裂きを容易にしている。具体的には、前者の包装容器
は積層されたフィルム包材の剥離性を摘みに利用し、フ
ィンシール帯では外側層のみを引き裂いて内側層から分
離させる。またフィルム包材の内側層には予め、その胴
回りで切込線と交差する方向に切目が設けられており、
フィルム包材の引き裂きが胴回りにまで達すると、この
切目から内側層をも破断して内外層ともにフィルム包材
が引き裂かれる。
【0004】後者の包装容器もまた積層されたフィルム
包材を用いたものであるが、この包装容器は摘みの引き
起こしにより、切込線からフィンシール帯全体が引き裂
かれるものとなっている。フィンシール帯の基端近傍に
は一方のフィルム包材を貫通する破断線が設けられてお
り、この破断線は摘みの引き起こし方向と反対側をその
切込線と直行する方向に延びている。したがって、摘み
の引き起こしによりフィンシール帯の引き裂きが進む
と、その破断線から一方の包材が破断されるため、この
後、フィンシール帯の引き裂きに続いて胴回りのフィル
ム包材が引き裂かれるものと考えられる。
【0005】一方、特開平8−91430号公報に記載
された包装体はフィルム包材に付着された開封テープを
有しており、この開封テープは物品の胴回りにフィルム
包材とともに巻回されている。開封テープは、その一端
をフィンシール帯に臨ませた状態でフィルム包材の間に
挟み込まれており、フィンシール帯にはその端縁から開
封テープの両側に2本の切目を入れることで摘みが形成
されている。したがって、開封時に摘みを引き起こして
フィンシール帯を引き裂くと、この後、開封テープの両
側に沿ってフィルム包材が引き裂かれるので、そのまま
胴回りのフィルム包材が容易に引き裂かれるものと考え
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した公知の包装容
器や包装体はその構造上、いずれも開封時に摘みを引き
起こした後、そのまま引き起こし方向に連続して摘みを
引っ張らなければ開封できないという制約がある。この
ためフィンシール包装体の開封方向が摘みの引き起こし
方向だけに限られ、開封者の利き手によっては開封が不
便になる場合もある。
【0007】また公知の包装容器はいずれも、開封時に
フィルム包材の胴回りの引き裂きを確実にするために一
軸延伸フィルムによる方向性のある積層フィルムの使用
が条件となっている。このため、公知の包装容器はさら
に材料コストの増加を招くという問題がある。そこで本
発明は、方向性のあるフィルム材料を用いることなく、
物品の胴回りに対していずれの方向へも容易に開封が可
能となるフィンシール包装体の実現を課題としたもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のフィンシール包
装体(請求項1)は、開封テープを用いることで方向性
のないフィルム包材を利用可能とするとともに、開封テ
ープの端部をフィンシール帯に臨ませない構造を採用す
ることで上記の課題を解決したものである。具体的に
は、開封テープはフィルム包材の裏面に付着されて物品
の胴回りに巻回されており、この開封テープはその両端
がフィンシール帯の基端を挟んで相互に向き合うととも
に、これら両端とその基端との間にそれぞれ間隔を確保
して配置されている。あわせてフィンシール包装体は開
封テープの巻回方向でみてその両側に、それぞれフィン
シール帯の端縁から一対の切込を入れることでフィンシ
ール帯の幅方向の一部に形成された摘みを備えている。
【0009】上述のフィンシール包装体において、開封
者によって摘みがフィンシール帯の基端に向けて引っ張
られると、一対の切込の先端からそれぞれフィンシール
帯の幅方向に亀裂が走り、やがてフィンシール帯は摘み
の根元から基端まで引き裂かれる。この状態で、摘みに
連なって引き裂かれた部分は物品の胴回りに対して中立
の位置にあるから、この後、開封者は摘みをいずれの方
向にも引っ張ることができる。一方、開封テープの両端
はフィンシール帯の基端の両側にそれぞれ位置している
から、摘みがいずれの方向に引っ張られてもフィルム包
材の引き裂きが開封テープの一端部まで達し、その後の
開封が容易となる。
【0010】より詳しくは、上述した摘みの中立状態で
開封者が任意に開封方向を選択し、摘みが胴回りの一方
に向けて引っ張られると、その反対側のフィルム包材が
フィンシール帯の基端の位置で破断されるとともに、そ
の開封方向ではフィルム包材の胴回りに亀裂が進行し、
やがて亀裂は開封テープの一端部の両側に達する。この
後、胴回りのフィルム包材は開封テープの両側に沿って
引き裂かれ、これにより包装体の開封が行われる。
【0011】上述したフィンシール包装体の開封を良好
に実現する上で、一対の切込はフィンシール帯の端縁か
ら基端に向けてテーパ状をなし、かつ、その最小間隔が
開封テープの幅よりも広く設定されていることが好まし
い(請求項2)。この場合、摘みはその端縁にて指で摘
むのに充分な広さの幅を有し、一方、その根元幅は開封
テープの一端に亀裂が到達するまでフィルム包材の引き
裂き幅を有効に確保する。
【0012】なお切込に代えて、フィンシール帯に一対
のミシン目を設けることにより摘みを形成することもで
き(請求項3)、この場合、開封者はミシン目に沿って
フィンシール帯を引き裂くことで摘みを得ることができ
る。また、フィンシール帯は物品に向けて折り込まれた
後、その摘みの端縁部分を除いて筒状のフィルム包材に
シールされている(請求項4)。この場合、フィンシー
ル帯が筒状フィルム包材の外面に密着しているので、例
えばフィンシール包装体の輸送・流通過程でフィンシー
ル帯が何らかの引っかかりを受け、その摘みから誤って
開封されてしまうことはない。一方、開封時にはシール
を剥がすことなく、その端縁部から容易に摘みを引き起
こすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、フィンシール包装体の第
1実施形態を示している。このフィンシール包装体は直
方体形状の物品2を熱溶着性のフィルム包材4により密
封したものであり、物品2の胴回りにはフィンシール帯
6が形成され、さらにその両サイドにはサイドフィンシ
ール帯8が形成されている。
【0014】フィルム包材4の裏面には開封テープ10
が貼り付けられており、この開封テープ10はフィルム
包材4とともに物品2の胴回りに巻回されている。開封
テープ10は物品2の胴周長よりもわずかに短い全長を
有しており、それゆえ開封テープ10の両端は互いに重
なり合っておらず、これら両端は物品2の胴回り方向に
離間している。さらに開封テープ10は、両端がフィン
シール帯6の基端を挟んで相互に向き合っており、それ
ぞれ基端との間に間隔を確保して位置付けられている。
【0015】フィンシール帯6は、その基端が物品2の
胴回りのコーナに合致して位置付けられ、図示の横倒し
姿勢で物品2の上面に向けて折り込まれている。フィン
シール帯6には、その端縁から基端に向けてテーパ状に
延びる一対のミシン目12が形成されており、これら一
対のミシン目12は、開封テープ10の巻回方向でみて
その両側にそれぞれ位置している。それゆえ図示のよう
にフィンシール帯6が折り込まれ、物品2の胴回りにて
筒状のフィルム包材4の上に重ね合わされた状態にある
とき、一対のミシン目12は開封テープ10の両側にそ
れぞれ分かれて位置する。また一対のミシン目12はフ
ィンシール帯6の端縁から基端の手前まで延びており、
これら一対のミシン目12の間にはフィンシール帯6の
端縁からその幅方向の一部に摘み14が形成されてい
る。
【0016】フィンシール帯6は図示の折り込み状態で
筒状のフィルム包材4にヒートシールされており、その
シール領域は図中に斜線を施して示されるように、摘み
14の端縁部を残して形成されている。図2は、図1の
フィンシール包装体を成形する過程で得られる胴巻き包
装体を示している。胴巻き包装体は、物品2の胴回りに
シート状のフィルム包材4を筒状に胴巻きし、その両端
部裏面を互いに重ね合わせた状態で、上述のフィンシー
ル帯6を形成することにより得られている。このとき、
フィンシール帯6はその基端が物品2のコーナに合致し
て成形され、そして、この基端が開封テープ10の両端
間に位置したものとなる。またミシン目12の形成は、
例えばこの胴巻き包装体の状態で実施される。
【0017】この後、フィンシール帯6を物品2の胴回
りに折り込み、両耳部16を左右に拡開して合わせ目が
成形される。そして、これら合わせ目を合掌シールして
サイドフィンシール帯8を形成すると、物品2が完全に
密封される。なお図1のように、サイドフィンシール帯
8をさらに物品2の側面に折り込んでサイドシールする
と、包装体はいわゆるキャラメル包装に近似した形態と
なる。
【0018】図3は、第2実施形態のフィンシール包装
体を示している。この場合、フィンシール帯6は物品2
の一端面に対して折り込まれ、さらにフィンシール帯6
の端縁から一対の切込18,20を入れることで摘み1
4が形成されている。これら切込18,20もまた、開
封テープ10の巻回方向でみてその両側にそれぞれ位置
しており、フィンシール帯6の端縁から基端に向けてテ
ーパ状に延びている。ただし、一方の切込18は開封テ
ープ10と平行に延びており、また、他方の切込20は
開封テープ10に向けて斜めに延び、かつ、一方の切込
18よりもフィンシール帯6の幅方向でみて切込長が長
い。またフィンシール帯6をフィルム包材4にヒートシ
ールする領域は、他方の切込20の終端を境界にして摘
み14の周囲を避けて形成されている。
【0019】図4は第3実施形態のフィンシール包装体
を示し、この場合、第1実施形態とはフィンシール帯6
の位置およびサイドフィンシール帯8の形態において異
なっている。具体的には、フィンシール帯6の基端は物
品2の胴回りのコーナから離れた上面に位置付けられ、
その両側に開封テープ10の両端がそれぞれ配置されて
いる。またサイドフィンシール帯8は物品2の両側から
張り出すように形成されており、これにより包装形態は
いわゆるピロー形となっている。
【0020】上述した各実施形態のフィンシール包装体
を開封するとき、いずれにあってもその摘み14を指で
摘んで引き起こすことから始められる。ここで、一対の
ミシン目12や切込18,20はフィンシール帯6の端
縁にて最も間隔が広く、それゆえ摘み14には開封者に
よる摘み上げを容易にするだけの充分な幅が確保されて
いる。また摘み14の端縁部は筒状のフィルム包材4に
ヒートシールされていないため、開封者はシールを剥が
さなくても容易に摘み14を摘み上げることができる。
以下に、第3実施形態のフィンシール包装体を例に挙げ
てその開封手順を詳しく説明する。
【0021】図5は、摘み14と開封テープ10との位
置関係を具体的に示している。一対のミシン目12はフ
ィンシール帯6の基端側で最も間隔が狭く、この最小間
隔Wは開封テープ10の幅よりもわずかに広く設定され
ている。また上述のように一対のミシン目12はそれぞ
れ開封テープ10の両側に位置していることから、図示
のようにフィンシール帯6が物品2に対して折り込まれ
た状態で、摘み14は開封テープ10の両側に拡がって
いる。
【0022】フィンシール帯6の基端は開封テープ10
の両端間に位置しており、これら両端とフィンシール帯
6の基端との間にそれぞれ所定の間隔Dが確保されてい
る。このため図6に示されるように、開封テープ10の
両端はいずれもフィンシール帯6の内部に臨んでいな
い。この状態で摘み14が引き起こされると、一対のミ
シン目12に沿ってフィンシール帯6が引き裂かれると
ともに、その根元部分に施された弱シール域Sが剥がさ
れる。
【0023】さらに摘み14が引き起こされると、各ミ
シン目12の先端からフィンシール帯6の基端に向けて
幅方向に亀裂が走り、図7に示されるようにフィンシー
ル帯6はその基端まで引き裂かれた状態になる。このと
き亀裂はミシン目12の最小間隔Wとほぼ同一の間隔を
保持して進行するため、フィンシール帯6の引き裂き幅
はミシン目12の最小間隔Wにほぼ一致する。なお図7
中、フィンシール帯6のヒートシール領域を示す斜線の
消失は、摘み14とともにフィンシール帯6の一部が剥
がれたことを意味し、また摘み14の引き起こしによ
り、各ミシン目は既に引き裂かれた後となっている。
【0024】摘み14の引き起こしによりフィンシール
帯6がその基端まで引き裂かれると、図8に示されるよ
うに摘み14から基端までの間の部分は物品2の胴回り
に対して中立の状態となる。この中立状態から開封者が
任意に開封方向を選択し、物品2の胴回りでみて一方向
へ摘み14を引っ張ると、図9に示されるように開封方
向の反対側ではフィルム包材4がフィンシール帯6の基
端で破断する。これに対し開封方向では、フィンシール
帯6の基端から続いて胴回りの方向にフィルム包材4に
2本の亀裂が走り、これら亀裂は開封テープ10の両側
にまで達する。これに伴い、開封テープ10はその一端
からフィルム包材4とともに開封方向へ引き起こされ、
物品2の胴回りから剥離する。
【0025】フィルム包材4の亀裂が開封テープ10の
両側に達すると、摘み14に連なって引き裂かれたフィ
ルム包材4を介して開封テープ10が引っ張られ、この
後、図10に示されるようにフィルム包材4は開封テー
プ10の両側に沿って容易に引き裂かれる。図9とは逆
の開封方向が選択された場合も同様に、図11に示され
るように開封方向と反対側ではフィルム包材4がフィン
シール帯6の基端で破断し、一方、開封方向ではフィン
シール帯6の基端から胴回りの方向にフィルム包材4に
亀裂が走る。
【0026】上述した第3実施形態では、図8に示され
るように摘み14が物品2の上面から直立した状態(断
面逆T字状)にあるが、第1および第2実施形態の場合
は摘み14が物品2のコーナから斜めに延びた状態(断
面逆Y字状)となる。図12および図13は、第1実施
形態のフィンシール包装体が開封される様子を示してい
る。この場合、摘み14が中立状態まで引き起こされた
後、物品2の背面に向けて摘み14が引っ張られると、
図12に示されるように物品2の上面側ではフィルム包
材4がフィンシール帯6の基端で破断し、一方、物品2
の一端面側ではフィンシール帯6の基端から胴回りの方
向にフィルム包材4に亀裂が走る。
【0027】これに対し、中立状態から物品2の上面に
沿って摘み14が引っ張られると、図13に示されるよ
うに物品2の一端面側ではフィルム包材4がフィンシー
ル帯6の基端で破断し、一方、物品2の上面側ではフィ
ンシール帯6の基端から胴回りの方向にフィルム包材4
に亀裂が走る。いずれの場合にあっても、摘み14の引
っ張りによるフィンシール帯6の引き裂きは摘み14の
根元幅、つまり、一対のミシン目12の最小間隔Wをほ
ぼ保ったまま開封テープ10の一端まで到達するので、
この後、フィルム包材4の引き裂きは良好に開封テープ
10に引き継がれる。したがって、開封者は任意に開封
方向を選択し、いずれの方向へもフィンシール包装体を
開封することが可能となる。
【0028】次に包装体におけるフィルム包材4の引き
裂き性について、試験データに基づき検証する。上述し
た各実施形態のフィンシール包装体にあってはその構造
上、摘み14と開封テープ10の両端とが互いに接続さ
れておらず、開封時において摘み14の引っ張りによる
フィルム包材4の引き裂きが、物品2の胴回りで開封テ
ープ10に引き継がれるものとなっている。
【0029】そこで、以下にフィルム包材4の引き裂き
試験を行い、摘み14の根元幅とフィルム包材4の引き
裂き幅との関係について試験データを収集する。そし
て、その結果を基にフィンシール包装体の開封実現性を
検証するものとする。図14は、引き裂き試験に供され
たフィルム包材4を示している。試験用フィルム包材4
には予め、その一端縁から切込18,20をそれぞれ所
定の切込深さd1,d2で入れておき、これら切込18,
20の間にフィンシール包装体と同様の摘みを形成す
る。そして、摘みを一端縁から直角方向に引っ張って試
験用フィルム包材4に亀裂を走らせる。
【0030】試験用フィルム包材4には、厚さ0.05
mmの3層ラミネートフィルムを使用する。層構造は1
層目がOPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)で層
厚が0.020mm、2層目がPET(ポリエチレンテ
レフタレート)で層厚が0.012mm、そして3層目
がPE(ポリエチレン)で層厚は0.018mmであ
る。
【0031】全ての試験用フィルム包材4について、各
切込18,20の切込深さd1,d2をそれぞれ、d1
2mm,d2=7mmとし、端縁方向でみてこれら切込
18,20の最小間隔Wを6mmに設定する。なお、一
端縁での最大間隔Wkは例えば16mmである。試験用
フィルム包材4の引き裂き後、各試験用フィルム包材4
毎に一端縁から所定の距離L(例えば15mm)の位置
で亀裂間の距離Aを計測する。そして、元の切込18,
20間の最小間隔Wと距離Aとの間の差を求める。
【0032】表1は、上記の引き裂き試験を10個のサ
ンプルについて行った結果、得られた値を示している。
【0033】
【表1】
【0034】上記の試験結果から以下の点が明らかとな
っている。 (1)引き裂き後に試験用フィルム包材4の亀裂を観察
すると、亀裂は切込18,20のテーパ形状に関係なく
摘みの引っ張り方向に進行し、その最小間隔Wをほぼ保
ったまま、各切込18,20の先端からそれぞれ並行し
て亀裂が走る。 (2)一端縁から距離Lの位置では、少なくとも長い方
の切込18の先端から8mm、短い方の切込20の先端
から13mmだけそれぞれ亀裂が進行したことになる
が、この間に亀裂間の距離Aは最小間隔Wより1.0m
mを超えて狭まることはない。 (3)亀裂間の距離Aはサンプル毎に最小間隔Wと同じ
であるか、または小さくなっており、いずれも最小間隔
Wより大きくなることはない。
【0035】上記の試験結果に基づき、本発明の発明者
らはフィンシール包装体の開封性について以下のように
検証する。すなわち、フィルム包材4に方向性のない材
料を使用していても、延伸フィルムであれば、開封時に
摘み14の根元幅(最小間隔W)と同程度の間隔を保っ
たまま亀裂は8mm以上進行し、その間隔は1mmを超
えて狭まることはない。このため、摘み14の根元から
開封テープ10までの間に8mm以下の隔たりがあった
としても、摘み14の根元幅が開封テープ10の幅より
1mm以上大きく設定されていれば、摘み14の根元か
ら開封テープ10の幅よりも広い間隔のままフィルム包
材4が引き裂かれ、その引き裂き領域は開封テープ10
の一端まで確実に到達する。
【0036】このような引き裂き性をフィルム包材4が
有することにより、フィンシール包装体の構造上、その
摘み14と開封テープ10とが相互に接続されていなく
ても、摘み14の引っ張りによりフィルム包材4の引き
裂きが開封テープ10に引き継がれ、その後の開封は確
実となる。さらにフィンシール帯6の基端を挟んで開封
テープ10の両端がそれぞれ配置されていれば、フィン
シール包装体は摘み14の引き起こし方向に関係なく、
いずれの方向にも開封することが可能となる。
【0037】本発明は上述した各種の実施形態のみに制
約されず、種々に変形して実施可能である。例えば、摘
み14を形成するミシン目12と切込18,20は相互
に置換することができ、第1および第3実施形態におい
て切込18,20により摘み14を形成してもよいし、
あるいは、第2実施形態において一対のミシン目12に
より摘み14を形成してもよい。
【0038】また第2実施形態のフィンシール包装体の
開封については、ミシン目12の引き裂きを除いて第1
および第3実施形態と同様に行われる。この場合、摘み
14を引き起こし、そのまま切込18,20からフィン
シール帯8を引き裂くことで摘み14が中立状態とな
り、この後、摘み14をいずれの方向に引っ張っても開
封することが可能となる。
【0039】その他、フィンシール帯6の折り込み方向
や物品2の長手方向に対する開封テープ10の巻回位
置、摘み14の根元幅や開封テープ10の幅、サイドフ
ィンシール帯8の折り込み形態などはいずれも適宜に変
形することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明のフィンシール包装体(請求項
1)は、物品の胴回りに対していずれの方向へも開封自
在となり、その利便性に富む。特にフィンシール帯に開
封テープの端部が重ならない構造であるため、フィンシ
ール帯での密着性が向上し、薄いフィルム包材を使用し
ても密封性の高い包装を実現することができる。さら
に、使用するフィルム包材には方向性を必要としないた
め、フィンシール包装体の成形には安価なコーティング
フィルムを使用することができる。
【0041】また、摘みの形状が開封時に摘みやすく、
また開封を確実にできるものであれば(請求項2)、開
封者に一層の利便性を提供できる。ミシン目により形成
された摘みを有していれば(請求項3)、開封時まで摘
みがフィンシール帯から分離することがなく、誤って開
封前に摘みだけが破断してしまうことはない。
【0042】さらにフィンシール帯を筒状のフィルム包
材にシールしていれば(請求項4)、開封前の不所望な
摘みの剥離が防止され、フィンシール包装体の安全性や
商品性を大きく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のフィンシール包装体を表す斜視
図である。
【図2】図1のフィンシール包装体の成形過程における
胴巻き包装体を表す斜視図である。
【図3】第2実施形態のフィンシール包装体を表す斜視
図である。
【図4】第3実施形態のフィンシール包装体を表す斜視
図である。
【図5】図4中、摘みの部分を拡大して示した平面図で
ある。
【図6】図5中、VI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図5の摘みが引き起こされたときの状態を示し
た平面図である。
【図8】図7中、VIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図8の摘みが一方向へ引っ張られたときの状態
を示す図である。
【図10】第3実施形態のフィンシール包装体が一方向
に開封されるときの状態を示す斜視図である。
【図11】図10とは逆の方向にフィンシール包装体が
開封されるときの状態を示す斜視図である。
【図12】第1実施形態のフィンシール包装体が一方向
に開封されるときの状態を示す斜視図である。
【図13】図12とは逆の方向にフィンシール包装体が
開封されるときの状態を示す斜視図である。
【図14】引き裂き試験に使用された試験用フィルム包
材を詳細に示す図である。
【符号の説明】
2 物品 4 フィルム包材 6 フィンシール帯 8 サイドフィンシール帯 10 開封テープ 12 ミシン目 14 摘み 18,20 切込
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月1日(2001.10.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】上記の試験結果から以下の点が明らかとな
っている。 (1)引き裂き後に試験用フィルム包材4の亀裂を観察
すると、亀裂は切込18,20のテーパ形状に関係なく
摘みの引っ張り方向に進行し、その最小間隔Wをほぼ保
ったまま、各切込18,20の先端からそれぞれ並行し
て亀裂が走る。 (2)一端縁から距離Lの位置では、少なくとも長い方
の切込20の先端から8mm、短い方の切込18の先端
から13mmだけそれぞれ亀裂が進行したことになる
が、この間に亀裂間の距離Aは最小間隔Wより1.0m
mを超えて狭まることはない。 (3)亀裂間の距離Aはサンプル毎に最小間隔Wと同じ
であるか、または小さくなっており、いずれも最小間隔
Wより大きくなることはない。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月28日(2002.2.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AA24 AC01 BA18A BB14A BB15A BB16A BB25A BC06A EA06 EA11 EB03 EB08 FA01 FC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物品の胴回りをフィルム包材で筒状に包
    み込み、その両端部裏面を相互に重ね合わせた状態で合
    掌シールしたフィンシール帯を形成し、この後、前記物
    品の両側に突出する前記フィルム包材の両耳部を所定の
    形状に閉じて合わせ目を成形し、これら合わせ目を合掌
    シールして成形されるフィンシール包装体において、 前記フィルム包材の裏面に付着されて前記フィルム包材
    とともに前記物品の胴回りに巻回され、両端が前記フィ
    ンシール帯の基端を挟んで相互に向き合い、かつ、前記
    両端と前記フィンシール帯の基端との間にそれぞれ間隔
    を確保して配置された開封テープと、 前記開封テープの巻回方向でみてその両側に、それぞれ
    前記フィンシール帯の端縁から一対の切込を入れること
    で前記フィンシール帯の幅方向の一部に形成された摘み
    とを具備したことを特徴とするフィンシール包装体。
  2. 【請求項2】 前記一対の切込は前記端縁から前記基端
    に向けてテーパ状をなしており、かつ、その最小間隔が
    前記開封テープの幅よりも広く設定されていることを特
    徴とする請求項1に記載のフィンシール包装体。
  3. 【請求項3】 前記摘みは、前記切込に代えて前記フィ
    ンシール帯に一対のミシン目を設けることにより形成さ
    れていることを特徴とする請求項1または2に記載のフ
    ィンシール包装体。
  4. 【請求項4】 前記フィンシール帯は前記物品に向けて
    折り込まれた後、前記摘みの端縁部分を除いて前記筒状
    のフィルム包材にシールされていることを特徴とする請
    求項1から4のいずれかに記載のフィンシール包装体。
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