JP2002338604A - エポキシ化ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents

エポキシ化ジエン系重合体の製造方法

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JP2002338604A JP2001143840A JP2001143840A JP2002338604A JP 2002338604 A JP2002338604 A JP 2002338604A JP 2001143840 A JP2001143840 A JP 2001143840A JP 2001143840 A JP2001143840 A JP 2001143840A JP 2002338604 A JP2002338604 A JP 2002338604A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシ化対象ジエン系重合体を酸化してエ
ポキシ化ジエン系重合体を得るに際して、エポキシ化対
象ジエン系重合体を溶媒に溶解させて行う場合の諸問題
の発生を避け、エポキシ化対象ジエン系重合体の固体状
でのエポキシ化反応、生成、精製の方法を提供するこ
と。 【解決手段】 媒体(A)に不溶な粉末粒子(B)の存
在下、該媒体にジエン系重合体(C)を分散又は懸濁さ
せた状態下、エポキシ化剤でエポキシ化することを特徴
とするエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料、樹脂改質
剤、ゴム改質剤、接着剤等に使用されるエポキシ化ジエ
ン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、ジエ
ン系重合体の分子鎖中にある二重結合をエポキシ化する
に際し、ジエン系重合体を不溶な媒体中に分散、懸濁さ
せた状態で、かつ該媒体に不溶な粉体粒子の存在下にエ
ポキシ化を行うことによりゲル含有量の少ないエポキシ
化ジエン系重合体を製造する方法である。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ化対象のジエン系重合体
を酸化してエポキシ化ジエン系重合体にする方法として
は、次の方法が知られている。 (1)予め過酸化水素と蟻酸、酢酸などの低級カルボン
酸とを反応させ過カルボン酸を製造しておき、反応系に
エポキシ化剤としての過カルボン酸を加え、溶剤の存在
下または非存在下にエポキシ化反応を行う方法。 (2)オスミウムの塩、タングステン酸などの触媒およ
び溶媒の存在下、過酸化水素を用いてエポキシ化する方
法。
【0003】上記(1)、(2)の方法は、いずれもエ
ポキシ化反応を効率的に行うために、エポキシ化対象ジ
エン系重合体を溶媒に溶解させて行うことが特徴であ
る。しかしながら、エポキシ化対象ジエン系重合体の溶
媒への溶解工程、エポキシ化反応後の副生成物であるカ
ルボン酸類の除去のための水洗処理及び脱溶媒操作工程
の煩雑さが有り、製品の回収には困難を極める。特に、
エポキシ化対象有機系重合体がゴム系重合体であるとき
は、エポキシ化した製品が接着性を持ち、得られた製品
自身がブロッキングし、製品の取り扱い、作業性、保管
時のブロッキングの問題がある。さらに、製品形態に関
しても、エポキシ化変性後、粉末、クラム、ペレットと
して製品化できないベール形態になるケースもあり、改
質剤として使用する場合に使用態様が制限される。
【0004】エポキシ化ジエン系重合体の製造方法に関
しては、本発明者らは多数発案しており、例えば特開平
8−120022号公報では、(1)ジエン系重合体又
はその部分水添物と有機溶剤とを混合し、重合体の有機
溶剤スラリーもしくは有機溶液を得る工程、(2)エポ
キシ化剤を用いて、ジエン系重合体に存在する不飽和炭
素結合をエポキシ化する工程、(3)前記エポキシ化反
応溶液を中和及び/又は水洗する工程、(4)重合体の
濃度が5〜50重量%のエポキシ化ブロック共重合体の
溶液を、界面活性剤の存在下、有機溶媒の沸点又は該溶
媒と水とが共沸する場合はその共沸温度以上、120℃
以下の温度でストリッピングし、重合体が水中に分散し
たスラリーを得る工程、(5)前記で得られた水分を含
むエポキシ化ブロック共重合体のクラムを脱水し、含水
率を1〜30重量%にする工程、(6)前記で得られた
エポキシ化ブロック共重合体を乾燥し、含水率を1重量
%以下にする工程を経てエポキシ化ジエン系重合体を得
る方法を提案している。また、特開平9−60479号
公報では、前記(6)の乾燥工程において、スクリュー
押出機式絞り脱水機を利用する製造方法を、特開平9−
95512号公報では、前記工程(3)で得られたエポ
キシ化ブロック共重合体を蒸発機に供給し、直接有機溶
剤を蒸発させて除去することを特徴とする、エポキシ化
ブロック共重合体の回収方法を提案している。また、特
開平8−104709号公報ではゲル含有量を改善すべ
くその製造方法を提案している。
【0005】しかし、これらの方法はすべて溶媒に原料
である重合体を溶解させた後にエポキシ化する均一法に
よるエポキシ化ブロック共重合体に関する発明であり、
これらの製造方法における特徴は、特にゲル含有量の少
ない品質を持つ製品の製造方法に関するものである。さ
らに、これらの方法で得られたエポキシ化ブロック共重
合体は軟化点が比較的低く、製造、加工、輸送、使用す
る間に、例えばこの共重合体のペレットが相互に表面で
ブロッキングしたり、または相互に強固に接着し合い、
取扱いに支障を来すという問題がある。
【0006】その改善方法として、特開平9−6750
2号公報では得られたエポキシ化共重合体に対してブロ
ッキング防止剤を後工程において添加することを特徴と
する方法を提案している。また、特開平9−20861
7号公報においては、化学変性ジエン系重合体組成物お
よびその製造方法として、水中に0.05〜10μmと
いう微粒子状態にある重合体をエポキシ変性し、組成物
を製造する方法を提案しているが、組成物としての製造
方法であり、エポキシ変性重合体の回収に関する点、製
品のブロッキング改良などの点に関しては言及されてい
ない。また、特開平10−298232号公報において
は、水性分散液においてエポキシ化する方法を提案して
いるが、重合体粒子表面のみを特異的にエポキシ化する
方法にとどまっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ジエン系重
合体をエポキシ変性し、合成樹脂一般の改質剤等とし
て、又合成樹脂組成物の一成分として使用でき、しかも
従来行われて来たエポキシ変性方法、即ち、前記ジエン
系重合体を溶媒に溶解してエポキシ変性を行う方法や従
来の該エポキシ変性物が通常有していた粘着性等に基づ
く取扱上の煩雑性等の上記従来の技術の問題点を克服し
た、粒状エポキシ化ジエン系重合体の製造方法を提供す
ることを解決課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく鋭意検討した結果、エポキシ化反応段階
において、重合体が溶解しない溶媒中、粉末粒子の存在
下で、エポキシ化することによりゲル含有量が少なく、
製品のブロッキング、接着の問題を解決した重合体の製
造方法を見出した。具体的にはジエン系重合体を不溶媒
体及び粉末粒子存在下に、ペレット又はパウダーなどの
固体状のまま分散ないし懸濁させた系において、過酢酸
及び反応促進剤を使用してエポキシ化することにより、
ブロッキングさせることなく媒体中でのエポキシ化反応
を進行させ、エポキシ化した形態を保持したまま乾燥工
程を実施することにより、最終製品においてブロッキン
グしない状態で且つゲル含有量の少ないエポキシ化ジエ
ン系重合体を製造できる事を見出し、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち本発明の第一は、媒体(A)に不
溶な粉末粒子(B)の存在下、該媒体にジエン系重合体
(C)を分散又は懸濁させた状態下、エポキシ化剤でエ
ポキシ化することを特徴とするエポキシ化ジエン系重合
体の製造方法に関する。本発明の第二は、媒体(A)
が、ジエン系重合体を溶解しない不活性溶媒であること
を特徴とする上記第1の発明のエポキシ化ジエン系重合
体の製造方法に関する。本発明の第三は、媒体(A)が
水であることを特徴とする上記第1又は2の発明のエポ
キシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本発明の第
4は、粉末粒子(B)が、無機粒子であることを特徴と
する上記第1の発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造
方法に関する。本発明の第5は、粉末粒子(B)が、有
機−無機複合体粒子であることを特徴とする上記第1の
発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。
本発明の第6は、粉末粒子(B)が、無機粒子及び有機
−無機複合体粒子であることを特徴とする上記第1の発
明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本
発明の第7は、無機粒子が、タルクであることを特徴と
する上記第4又は6の発明のエポキシ化ジエン系重合体
の製造方法に関する。本発明の第8は、ジエン系重合体
(C)が、0.05〜20mmの範囲の球換算粒子径を
有することを特徴とする上記第1の発明のエポキシ化ジ
エン系重合体の製造方法に関する。本発明の第9は、ジ
エン系重合体(C)が、ブタジエン重合体、スチレン−
ブタジエン共重合体、イソプレン重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共
重合体及びそれらの一部水素化物からなる群から選ばれ
る少なくとも1種類のジエン系重合体である上記第1〜
8発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法に関す
る。本発明の第10は、エポキシ化剤が、過酢酸又は過
酸化水素を用いて誘導される他の過カルボン酸である上
記第1の発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法に
関する。本発明の第11は、エポキシ化剤が、過酢酸で
ある上記第1の発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造
方法に関する。本発明の第12は、エポキシ化剤を有機
溶剤で希釈して使用する上記第1〜11のいずれかの発
明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本
発明の第13は、エポキシ化反応促進剤として、SP値
が10以下の有機溶剤を使用する上記第1の発明のエポ
キシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本発明の第
14は、エポキシ化反応促進剤が、シクロヘキサン、ト
ルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、
ベンゼン、メチルエチルケトン及びクロロホルムからな
る群から選ばれる1以上の単独又は混合溶剤である上記
第13の発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法に
関する。本発明の第15は、ジエン系重合体のエポキシ
化が、温度10〜70℃で行われる上記第1の発明のエ
ポキシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本発明の
第16は、エポキシ化ジエン系重合体中のオキシラン酸
素濃度が0.3〜5.0重量%になるように調節するこ
とを特徴とする上記第1〜15のいずれかの発明のエポ
キシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本発明の第
17は、媒体中でジエン系重合体を、エポキシ化剤又は
該エポキシ化剤とエポキシ化反応促進用溶剤の存在下に
エポキシ化してエポキシ変性ジエン系重合体とする第一
工程、該エポキシ変性ジエン系重合体の水洗、又は中和
と水洗のための第二工程、及び第一工程で使用されるこ
とのあるエポキシ化反応促進用溶剤の除去のための必要
に応じて設けられる第三工程とからなることを特徴とす
る上記第1の発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方
法に関する。本発明の第18は、第二工程における水
洗、又は中和と水洗が、第三工程へ供給する重合体の分
離のための固液分離操作である上記第17の発明のエポ
キシ化ジエン系重合体の製造方法に関する。本発明の第
19は、第三工程における溶剤の除去が、第二工程で得
られた重合体の粒状形状を保持したまま乾燥させること
により行われる上記第17の発明のエポキシ化ジエン系
重合体の製造方法に関する。本発明の第20は、第三工
程における溶剤の除去が、混練式蒸発機により行われる
上記第17の発明のエポキシ化ジエン系重合体の製造方
法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、媒体(A)に不溶な粉末粒子(B)の存在
下、該媒体にジエン系重合体(C)を分散又は懸濁させ
た状態下、エポキシ化剤でエポキシ化することを特徴と
するエポキシ化ジエン系重合体の製造方法である。本発
明においてエポキシ化されるジエン系重合体は、ブタジ
エンの単独重合体、ブタジエンと他の単量体との共重合
体、イソプレンの単独重合体又はイソプレンと他の単量
体との共重合体からなる。ブタジエン又はイソプレンと
共重合させる他の単量体としては、例えば、他の共役ジ
エン、ビニル化合物等を挙げることができる。ブタジエ
ンと共重合させる他の共役ジエンとしては、例えば、イ
ソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリレンともい
う)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブ
チル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタ
ジエン等を挙げることができる。これらの他の共役ジエ
ンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することが
できる。また、イソプレンと共重合させる他の共役ジエ
ンとしては、例えば、ブタジエン、1,3−ペンタジエ
ン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブチ
ル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジ
エン等を挙げることができる。中でもブタジエン、イソ
プレンが好ましい。これらの他の共役ジエンは、単独で
又は2種以上を混合して使用することができる。
【0011】さらに、ブタジエン又はイソプレンと共重
合させるビニル化合物としては、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、p−第3級ブチルスチレ
ン等のアルキル置換スチレン;o−メトキシスチレン、
m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン等のアル
コキシ置換スチレン;ジビニルベンゼン、1,1−ジフ
ェニルスチレン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、
(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ラ
ウリル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、ケイ皮
酸メチル、ケイ皮酸エチル等の不飽和モノカルボン酸エ
ステル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)ア
クリレート、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロ
ピル(メタ)アクリレート、4,4,4,3,3,2,
2−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート等のフ
ルオロアルキル(メタ)アクリレート類;3−(トリメ
チルシロキサニルジメチルシリル)プロピル(メタ)ア
クリレート、3−〔トリス(トリメチルシロキサニル)
シリル〕プロピル(メタ)アクリレート、ジ−〔3−
(メタ)アクリロイルプロピル〕ジメチルシリルエーテ
ル等の(メタ)アクリロイル基含有シロキサニル化合
物;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、
1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール
等のアルキレングリコールのモノ−またはジ−(メタ)
アクリレート類;2−メトキシエチレン(メタ)アクリ
レート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3
−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキ
シプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキアルキル
(メタ)アクリレート類;2−シアノエチル(メタ)ア
クリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート
等のシアノアルキル(メタ)アクリレート類;グリセリ
ン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリストー
ル、トリメチロールアルカン(アルカンの炭素数は、例
えば、1〜3)等の3価以上の多価アルコールのジ−、
トリ−またはテトラ(メタ)アクリレート等のオリゴ
(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル、
α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の
シアノ化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−
メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレ
ンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビ
ス(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート類;クロトン酸2−ヒドロキシエ
チル、クロトン酸2−ヒドロキシプロピル、ケイ皮酸2
−ヒドロキシエチル、ケイ皮酸2−ヒドロキシプロピル
等の不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステ
ル類;(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコール
類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不
飽和モノカルボン酸類;(無水)マレイン酸、フマル
酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ポリ
カルボン酸(無水物)類;前記不飽和ポリカルボン酸の
モノ−またはジ−エステル類;(メタ)アリルグリシジ
ルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポ
キシ基含有不飽和化合物のほか、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、イソプレンスルホン酸ナトリウム、ジシクロペンタ
ジエン、エチリデンノルボルネン等を挙げることができ
る。これらの中で特にスチレン系のビニル化合物が好ま
しい。これらのビニル化合物は、単独で又は2種以上を
混合して使用することができる。
【0012】本発明において、ブタジエンの共重合体お
よびイソプレンの共重合体は、ランダム共重合体でも、
ブロック共重合体でもよい。本発明においてエポキシ化
される重合体としては、ブタジエンの単独重合体、ブタ
ジエンとスチレンとのランダム共重合体、ブタジエンと
(メタ)アクリロニトリルとのランダム共重合体、ブタ
ジエンとスチレンとのブロック共重合体、イソプレンと
スチレンとのランダム共重合体、イソプレンと(メタ)
アクリロニトリルとのランダム共重合体、イソプレンと
スチレンとのブロック共重合体のほか、ブタジエンとイ
ソプレンとの共重合体が好ましい。ブタジエンとイソプ
レンとの共重合体は、場合によりスチレン、(メタ)ア
クリロニトリル等のビニル化合物を含有することもでき
る。
【0013】ブタジエンの共重合体におけるブタジエン
の含有率およびイソプレンの共重合体におけるイソプレ
ンの含有率は、通常、0.5〜99.5重量%、好まし
くは1〜95重量%、さらに好ましくは5〜90重量%
である。また、ブタジエンとイソプレンとの共重合体に
おいて、ブタジエンの含有率は、通常、0.5〜99.
5重量%、好ましくは1〜95重量%、さらに好ましく
は5〜90重量%であり、イソプレンの含有率は、通
常、0.5〜99.5重量%、好ましくは1〜95重量
%、さらに好ましくは5〜90重量%であり、場合によ
り使用されるビニル化合物の含有率は、通常、0〜99
重量%、好ましくは0〜95重量%、さらに好ましくは
0〜90重量%である。
【0014】本発明におけるブタジエンの単独重合体も
しくは共重合体およびイソプレンの共重合体の重量平均
分子量は、好ましくは1,000〜5,000,00
0、特に好ましくは5,000〜500,000であ
る。
【0015】共重合体がブロック共重合体の場合、共重
合体の組成は例えば、ポリスチレン−ポリブタジエンブ
ロック共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリ
スチレンブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン−
ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SI
S)、ポリアクリロニトリル−ポリブタジエンブロック
共重合体(NBR)などが挙げられる。また、これらの
ジエン系共重合体についてはジエン成分の一部が水素添
加された部分水素添加品を使用しても差し支えない。こ
れらブロック共重合体の分子自体の構造は、直鎖状、分
岐状、放射状などいずれの構造であってもよい。ブロッ
ク共重合体の平均分子量は、特に制限はないが、低分子
量の有機溶媒類に溶解しない程度のものが好ましい。エ
ポキシ化対象有機系重合体となる樹脂またはゴム系重合
体の末端基については、特に制限はない。
【0016】なお、本発明に係るエポキシ化対象ジエン
系重合体となる樹脂またはゴム系重合体は、反応温度で
固体を呈している必要がある。エポキシ化反応温度で固
体を呈するとは、該反応温度で粉末または粒状などの固
体形状を呈していることを意味し、該反応温度で形状が
変化する液体状又はペースト状を呈していないことを意
味する。エポキシ化対象ジエン系重合体は、市販されて
いるペレットの形態でもよい。エポキシ化反応を効率的
に行うためには、粉砕しエポキシ化対象ジエン系重合体
の表面積を大きくしておいてもよい。粉砕の方法は、通
常の粉砕機で粉砕する方法によってもよいが、エポキシ
化対象ジエン系重合体がゴム系重合体である場合には、
凍結粉砕法によって粉砕することが好ましい。
【0017】本発明に係るエポキシ化対象ジエン系重合
体は、その球換算粒子径が平均粒径で0.05〜20m
mの範囲が好ましく、特に0.1〜20mmの範囲が好
ましい。ここで球換算粒子径は、該エポキシ化対象ジエ
ン系重合体の平均体積と同じ体積を有する球の直径とし
て定義される。ペレットの形状としては特に限定され
ず、球状、立方体状、直方体状、円柱状、角柱状、円錐
状、角錐状、半球状、ラグビーボール状、卵型状、繭型
状等各種形状又はこれらの組み合わせであってもよい。
何れの形状であっても、球換算基準の平均粒径は上記の
範囲にあるものが好ましい。
【0018】本発明で用いる媒体(A)としては、水、
メタノール、エタノール等のアルコール、アセトン等の
ケトン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマ
ルオクタン等の直鎖状脂肪族炭化水素等、本発明に係る
エポキシ化対象ジエン系重合体を実質的に溶解しない不
活性溶媒が挙げられ、好ましいのは水、メタノール、エ
タノールである。
【0019】本発明で用いる媒体(A)に不溶な粉末粒
子(B)としては、平均粒子径が通常0.1〜100μ
m、好ましくは0.1〜50μmの無機粒子、有機−無
機複合体粒子及びこれらの混合物が挙げられる。平均粒
子径が、100μmより大きいとブロッキング防止効果
が小さくなり、使用量が大きくなり好ましくない。無機
粒子としては、タルク、シリカ、マイカ、珪藻土、カオ
リン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げら
れる。好ましくは、タルク、シリカ、水酸化マグネシウ
ム、酸化マグネシウムである。有機−無機複合体粒子と
しては、特開平9−194208号等公報に記載のコロ
イダルシリカ又はゾル−ゲル法シリカ、特開平2001
−98164号公報に記載のコア/シェル状複合体など
が挙げられる。
【0020】媒体(A)、不溶な粉末粒子(B)及びジ
エン系重合体(C)の仕込み比は、ジエン系重合体10
0重量部に対して媒体(A)50〜1000重量部、好
ましくは100〜1000重量部、粉末粒子(B)0.
01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部であ
る。媒体(A)の使用量が50重量部未満ではエポキシ
化対象ジエン系重合体を十分に分散ないし懸濁させるこ
とができず、1000重量部を超えると系中のエポキシ
化剤の濃度が低くなり、エポキシ化反応時間が長くかか
り効率的ではなくなる。粉末粒子(B)の使用量が0.
01重量部未満ではペレット同士のブロッキングが発生
して塊となり、取り出しが困難となり、5重量部を超え
ると不必要な粉末粒子が排水中に混入してしまい、回収
処理が複雑となり好ましくない。
【0021】本発明の製造方法は、第一工程としてジエ
ン系重合体が不溶な媒体(A)中において粉体粒子の存
在下、該重合体の過酸化物によるエポキシ化反応工程、
第二工程として水洗工程、又は中和及び水洗工程、第三
工程として溶剤除去工程からなり、好ましくは第一工程
において反応促進剤として有機溶剤を使用する。第二工
程において、水洗工程または、中和及び水洗工程を実施
した重合体を固液分離により重合体を分離し、第三工程
へ供給する。その後第三工程において、第二工程で得ら
れた重合体形状を保持したまま乾燥させることにより、
エポキシ変性ジエン系重合体を回収する製造方法であ
る。本発明の特徴は、粉末粒子をエポキシ化時に使用す
ることにより、分散系で実施するエポキシ化反応中のブ
ロッキングを防止すると共に、乾燥処理により得られた
製品についてのブロッキングを防止することができる。
さらに、得られるエポキシ化ジエン系重合体のゲル含有
量が少ないこと特徴である。
【0022】エポキシ化反応を行う際に使用される反応
促進剤は、エポキシ化対象ジエン系重合体の種類、エポ
キシ化の反応条件によって異なるが、ヘキサン、オクタ
ンなどの直鎖及び分岐状炭化水素類;シクロヘキサン、
シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類、及びそれらの
アルキル置換誘導体類;ベンゼン、ナフタレン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、及びアルキル置
換芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂
肪族カルボン酸エステル類;クロロホルムなどのハロゲ
ン化炭化水素類;などが挙げられる。これらの中では、
エポキシ化剤としての過酸化物を溶解して使用できる
点、エポキシ化対象ジエン系重合体の溶解性及びエポキ
シ化後の有機溶剤回収容易性などの観点から、シクロヘ
キサン(溶解性パラメーター値、即ちSP値8.2)、
酢酸エチル(SP値9.1)、クロロホルム(SP値
9.3)、ベンゼン(SP値9.2)、トルエン(SP
値8.9)、キシレン(SP値8.8)、ヘキサン(S
P値7.4)、テトラヒドロフラン(SP値9.1)な
どが好ましく、1種類又は2種類以上の混合溶剤系でも
使用可能である。また、これらの反応促進剤としての有
機溶剤はエポキシ化対象であるジエン系重合体の種類に
より選択される。該有機溶剤は、エポキシ化剤である過
酸化物を固体状態であるジエン系重合体の内部に浸透運
搬し、内部までエポキシ化させる機能があり、選択基準
としては、エポキシ化対象重合体を溶解、膨潤、浸透で
きる有機溶剤であり、溶解性パラメーター値が10以
下、7.0以上の有機溶剤を選択する。溶解性パラメー
ター値が10を超える有機溶剤に関しては、エポキシ化
対象の重合体への溶解、膨潤、浸透能力が小さく、反応
促進剤として機能しない。溶解性パラメーター値が7.
0未満の有機溶剤に関しても同様である。
【0023】エポキシ化反応を行う際の反応促進剤は上
述のようにエポキシ化対象ジエン系重合体を溶解、膨
潤、浸透することから、使用量によっては重合体同士の
ブロッキングが発生し本発明の特徴である水分散系での
反応を進行させることができなくなる。つまりペレット
表面の溶解が起こり、ジエン系重合体同士のブロッキン
グが発生し、攪拌不能、反応容器からの製品取り出しが
出来なくなってしまう。
【0024】ジエン系重合体(C)に対する反応促進剤
の仕込み比は、ジエン系重合体の種類、反応促進剤の種
類、反応温度等により適宜選択されるが、通常(C)1
00重量部に対して0.5〜100重量部、好ましくは
0.5〜75重量部である。反応促進剤の仕込み量が
0.5重量部未満の場合には、ジエン系重合体(C)と
エポキシ化剤との反応に対する反応促進剤としての量が
不充分で、エポキシ化反応が長くかかり効率的ではな
い。又、100重量部を超過する場合には、エポキシ化
反応重合体のペレットまたは粉末(以下、実施例を除
き、単に「ペレット」と称する。)表面の溶解が起こ
り、ジエン系重合体ペレット同士のブロッキングが発生
し、エポキシ化反応中の攪拌操作による分散が困難とな
ってしまう場合があり、分散状態でのエポキシ化反応が
不可能となりやすく、しかも反応容器からのエポキシ化
生成物の取り出しが困難になってしまう。
【0025】エポキシ化剤として使用される過酸化物と
しては、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸などの過カル
ボン酸化合物が挙げられる。これらの過酸化物は、過酸
化水素から誘導された水分を含む過酸化物を用いた系で
もエポキシ化は可能である。中でも過酢酸がエポキシ化
を効率的に進行させる事から好ましい。過カルボン酸類
をエポキシ化剤として使用する場合には、過カルボン酸
類を溶媒に溶解して使用することが好ましい。過カルボ
ン酸類の溶媒としては、ヘキサンなどの炭化水素類、酢
酸エチルなどの有機酸エステル類、トルエンなどの芳香
族炭化水素などが挙げられる。これら溶媒は、エポキシ
化反応に及ぼす効果としては上記の反応促進剤と同様で
あり、エポキシ化対象ジエン系重合体の内部に浸透して
エポキシ化反応を促進するので、これらを使用すること
が望ましい。
【0026】過酸化水素から誘導された過酸化物を用い
る系では、予め過酸化水素と蟻酸、酢酸などの低級カル
ボン酸とを反応させ過カルボン酸を製造し、得られた過
カルボン酸を反応系にエポキシ化剤として加え、エポキ
シ化反応を行う方法と、オスミウムの塩、タングステン
酸などの触媒および溶媒の存在下、過酸化水素を使用し
てエポキシ化する方法がある。この場合に使用できる溶
媒は、上に挙げたものと同じである。
【0027】本発明の製造方法によりエポキシ化する
際、得られるエポキシ化物のオキシラン酸素濃度は、エ
ポキシ化対象ジエン系重合体の二重結合量とエポキシ化
剤との反応モル比を変えることにより、調節することが
可能である。この反応モル比は、得られるエポキシ化物
のオキシラン酸素濃度の水準により変るが、エポキシ化
対象有機系重合体に含まれる二重結合量と過酸化物純分
の反応モル比を、1.0〜3.0の範囲で選ぶことがで
き、特に1.1〜2.5の範囲で選ぶことが好ましい。
該反応モル比をこの範囲に調節することにより得られる
エポキシ化ジエン系重合体のオキシラン酸素濃度を0.
3〜5.0重量%に調節することができる。
【0028】本発明の製造方法に従いエポキシ化対象有
機系重合体をエポキシ化する際の反応温度は、エポキシ
化対象ジエン系重合体の種類、表面積の大小、溶媒の種
類、エポキシ化剤の種類・量、反応時間にもよるが、1
0〜70℃の範囲で選ぶことができる。反応温度が10
℃未満の場合は、反応速度が遅く実用的でない。逆に7
0℃以上になると、過酸化物の自己分解が著しくなり好
ましくない。さらには、エポキシ化対象ジエン系重合体
表面の有機溶剤による溶解が進行し、ブロッキングを発
生するため問題がある。特に好ましい反応温度は、30
〜60℃の範囲である。反応圧力は、大気圧下が普通で
あるが、やや減圧下でも、やや加圧下であってもよい。
【0029】本発明の製造方法に従いエポキシ化対象ジ
エン系重合体をエポキシ化する際の反応時間は、エポキ
シ化対象ジエン系重合体の種類、表面積の大小、溶媒の
種類、エポキシ化剤の種類・量、反応温度にもよっても
変わるが、通常1〜24時間の範囲で選ぶことができ
る。反応時間が1時間未満の場合には、二重結合の転化
率が低く実用的でなく、逆に24時間以上になると、例
えば、過酢酸を用いた場合には、ジエン系重合体の副反
応が発生するため、収率低下の原因となり好ましくな
い。
【0030】本発明の製造方法によると、エポキシ化反
応終了後の反応液は、生成物のエポキシ化ジエン系重合
体が媒体(A)に固体状で分散ないし懸濁した状態であ
り、有機溶剤やカルボン酸が媒体(A)に溶解した懸濁
液として得られる。懸濁液から固体状を呈する生成物の
エポキシ化物を分離・回収するには、ろ過、遠心分離な
どの方法によればよい。分離・回収した固体状を呈する
生成物のエポキシ化物は、水で洗浄して表面付着の媒体
(A)、有機溶剤、カルボン酸などを除去する。
【0031】上記方法により分離した固体状の重合体に
対して、耐熱安定剤を添加した後に次工程である溶剤除
去工程に移ることが好ましい。次の工程で有機溶剤を除
去する際に重合体が酸化劣化や熱的劣化を受けることを
防止する上で有効である。これらはそのまま固形の生成
物に添加しても、また、炭化水素溶媒に溶解して添加し
てもよい。耐熱安定剤としては、フェノール系安定剤、
リン系安定剤(以下、フェノール系安定剤等とも略
す。)などの従来公知のものが使用できる。フェノール
系安定剤の代表例としては、テトラキス(メチレン−3
−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート)メタン、1,3,5−
トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノー
ル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブ
チルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)
−6−(4−ヒドロキシ−3−5−ジ−tert−ブチ
ルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル
−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート,トリエチレングリコール
−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5
−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−
2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2’
−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチル
フェノール)、3,9−ビス(2−(3−(3−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノ
ール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,2’−ジヒ
ドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシル−5,5’−ジ
メチル−ジフェニルメタン、1,1,3−トリス(2−
メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニ
ル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−6−tert
−ブチルm−クレゾール、ビス(3−シクロヘキシル−
2−ヒドロキシ−5メチルフェニル)メタン、2,2’
−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチル
フェノール)、1,1−メビス−(2’−メチル−4’
−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ブタ
ン等が挙げられる。これらフェノール系の安定剤は2種
類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、フ
ェノール系安定剤はエポキシ化工程中で反応系に加えて
もよい。またリン系安定剤の代表例としては、トリスノ
ニルフェニルホスファイト、トリス(2,5−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェニ
ル)ホスファイト等が挙げられる。これらリン系の安定
剤は、2種類以上を組み合わせて使用することもでき
る。
【0032】これらの耐熱安定剤は、エポキシ化ジエン
系重合体100重量部に対して0.01〜3重量部、好
ましくは0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜
2重量部の範囲で使用される。上記フェノール系安定剤
等は2種以上組合せて使用することもできる。フェノー
ル系安定剤等の使用量が0.01重量部未満の場合には
熱安定性及び色調の改良効果が認められず、逆に3重量
部を超えても本発明の範囲以上の効果が発揮されない。
【0033】次に得られた生成物を乾燥し、製品化す
る。ここに乾燥するとは、スチームストリッピング法な
どの間接加熱法により脱溶媒を行った後に直接加熱によ
り水分等を除去する方法でもよく、真空乾燥機、熱風乾
燥機、混練式押出機等の少なくとも1種の乾燥機により
得られた重合体から媒体(A)及び有機溶剤を直接除去
し、含水率を1重量%未満にすることを云う。本発明の
方法において、目的に応じて種々の添加剤を重合体に添
加することができる。例えば、オイル等の軟化剤、可塑
剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、
無機充填剤、有機繊維・無機繊維、カーボンブラックな
どの補強剤、他の熱可塑性樹脂などが添加剤として使用
できる。尚、これら添加剤は、乾燥工程に投入する前に
添加することが好ましい。なお本発明により得られるエ
ポキシ化されたペレット状等のジエン系重合体粒子の表
面層には、該粒子全体に対して0.01〜5重量%の無
機物が付着していても構わない。またエポキシ化ジエン
系重合体粒子にはエポキシ化反応でエポキシ化されてい
ない未反応のジエン系重合体が中心部に含まれていても
構わない。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り以下の記載例に限
定されるものではない。なお、以下の記載例において、
「部」及び「%」は、いずれも重量基準によるものとす
る。エポキシ化された生成物についてのオキシラン酸素
濃度を、以下に記載の方法で測定した。また球換算粒子
径の測定方法も下記の通りである。
【0035】オキシラン酸素濃度:ASTM−1652
に従って測定した。 溶剤不溶物(ゲル)含有量:10mlのトルエンにエポ
キシ化ジエン系共重合体を約0.1g加え、25℃にて
3時間攪拌溶解した後、溶液を200メッシュの金網に
通し、金網を通過しない不溶物の乾燥重量を測定して求
めた。重量%で示す。 球換算粒子径:乾燥した5gのエポキシ化対象ジエン系
共重合体粒子の体積を蒸留水中の重量を量ることから量
り、1粒子当たりの平均体積を求めた後、この体積と同
じ体積を有する球の直径を求めた値である。
【0036】[実施例1]撹拌機、温度計、滴下ロート
および還流冷却器を備えた容量3リットルの4つ口丸底
フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチ
レン(SBS)のブロック共重合体{日本合成ゴム
(株)製;商品名TR2000;球換算平均粒子径3.
5mm}300g、水600g及びタルク(林化成
(株)製タルクMWHS−T;平均粒子径2.7μm)
0.6gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SB
Sを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これ
に過酢酸30%の酢酸エチル溶液100gを連続的に滴
下し、撹拌下40℃で5時間エポキシ化を行った。反応
はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行し
た。反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収
した後、脱イオン水で洗浄した。後処理のとして、回
収した固形物を減圧下120℃で水や残存する溶媒を取
り除き、エポキシ化されたSBS302gを得た。得ら
れたエポキシ化されたSBSは、トルエン不溶物量が
0.2重量%、表面層以外の溶解部分のオキシラン酸素
濃度が1.5%であった。また後処理のとして回収し
た固形物を減圧下180℃で混練式蒸発機により水や残
存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS300
gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、トルエ
ン不溶物量が0.03重量%、表面層以外の溶解部分の
オキシラン酸素濃度が1.5%であった。
【0037】[実施例2]実施例1で使用した同じ4つ
口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポ
リスチレン(SBS)のブロック共重合体{日本合成ゴ
ム(株)製;商品名TR2000;球換算平均粒子径
3.5mm}300g、水600g及びタルク(林化成
(株)製タルクMW HS−T;平均粒子径2.7μ
m)1.5gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、
SBSを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、
これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液168gを連続的
に滴下し、撹拌下40℃で4時間エポキシ化を行った。
反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進
行した。反応終了後の反応液から、固形物をろ過により
回収した後、脱イオン水で洗浄した。後処理のとして
回収した固形物を減圧下120℃で水や残存する溶媒を
取り除き、エポキシ化されたSBS300gを得た。得
られたエポキシ化されたSBSは、トルエン不溶物量が
0.4重量%、表面層以外の溶解部分のオキシラン酸素
濃度が2.3wt%であった。また実施例1の後処理
と同様にしてトルエン不溶物量が0.05重量%、表面
層以外の溶解部分のオキシラン酸素濃度が2.3wt%
のエポキシ化されたSBSを得た。
【0038】[実施例3]実施例1で使用した同じ4つ
口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポ
リスチレン(SBS)の共重合体{旭化成(株)製;商
品名タフプレン125;球換算平均粒子径3.0mm}
300g、水600g及びタルク(林化成(株)製タル
クMW HS−T;平均粒子径2.7μm)1.5gを
それぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSを分散さ
せた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸3
0%の酢酸エチル溶液168gを連続的に滴下し、撹拌
下40℃で4時間エポキシ化を行った。反応はペレット
同士のブロッキングを生じることなく進行した。反応終
了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱
イオン水で洗浄した。後処理のとして回収した固形物
を減圧下120℃で水や残存する溶媒を取り除き、エポ
キシ化されたSBS300gを得た。得られたエポキシ
化されたSBSは、トルエン不溶物量が0.4重量%、
表面層以外の溶解部分のオキシラン酸素濃度が2.3w
t%であった。また実施例1の後処理と同様にしてト
ルエン不溶物量が0.02重量%、表面層以外の溶解部
分のオキシラン酸素濃度が2.3wt%のエポキシ化さ
れたSBSを得た。
【0039】[実施例4]実施例1で使用した同じ4つ
口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポ
リスチレン(SBS)の共重合体{日本合成ゴム(株)
製;商品名TR2000;球換算平均粒子径3.5m
m}300g、水700g及びタルク(林化成(株)製
タルクMW HS−T;平均粒子径2.7μm)6gを
それぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSを分散さ
せた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸3
0%の酢酸エチル溶液250gを連続的に滴下し、撹拌
下40℃で5時間エポキシ化を行った。反応はペレット
同士のブロッキングを生じることなく進行した。反応終
了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱
イオン水で洗浄した。後処理のとして回収した固形物
を減圧下120℃で水や残存する溶媒を取り除き、エポ
キシ化されたSBS300gを得た。得られたエポキシ
化されたSBSは、トルエン不溶物量が0.9重量%、
表面層以外の溶解部分のオキシラン酸素濃度が3.0w
t%であった。また実施例1の後処理と同様にしてト
ルエン不溶物量が0.2重量%、表面層以外の溶解部分
のオキシラン酸素濃度が3.0wt%のエポキシ化され
たSBSを得た。
【0040】[実施例5]実施例1で使用した同じ4つ
口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポ
リスチレン(SBS)の共重合体{旭化成(株)製;商
品名アサフレックス810;球換算平均粒子径3.8m
m}300g、水600g及びタルク(林化成(株)製
タルクMW HS−T;平均粒子径2.7μm)1.5
gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSを分
散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢
酸30%の酢酸エチル溶液150gを連続的に滴下し、
撹拌下40℃で4時間エポキシ化を行った。反応はペレ
ット同士のブロッキングを生じることなく進行した。反
応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した
後、脱イオン水で洗浄した。後処理のとして回収した
固形物を減圧下120℃で水や残存する溶媒を取り除
き、エポキシ化されたSBS300gを得た。得られた
エポキシ化されたSBSは、トルエン不溶物量が0.8
重量%、表面層以外の溶解部分のオキシラン酸素濃度が
1.7wt%であった。また後処理のとして回収した
固形物を減圧下200℃で混練式蒸発機により水や残存
する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS300g
を得た。得られたエポキシ化されたSBSは、トルエン
不溶物量が0.2重量%、表面層以外の溶解部分のオキ
シラン酸素濃度が1.7%であった。
【0041】[実施例6]実施例1で使用した同じ4つ
口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポ
リスチレン(SIS)のブロック共重合体(シェル
(株)製;商品名クレイトンD1117;球換算平均粒
子径3.9mm)300g、水600g及びタルク(林
化成(株)製タルクMW HS−T;平均粒子径2.7
μm)0.6gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合
し、SISを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温
し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液164gを連
続的に滴下し、撹拌下40℃で3時間エポキシ化を行っ
た。反応はペレット同士のブロッキングを生じることな
く進行した。反応終了後の反応液から、固形物をろ過に
より回収した後、脱イオン水で洗浄した。後処理のと
して回収した固形物を減圧下120℃で水や残存する溶
媒を取り除き、エポキシ化されたSISの302gを得
た。得られたエポキシ化されたSISは、トルエン不溶
物量が1.5重量%、表面層以外の溶解部分のオキシラ
ン酸素濃度が2.2wt%であった。また実施例1の後
処理と同様にしてトルエン不溶物量が1.3重量%、
表面層以外の溶解部分のオキシラン酸素濃度が2.2w
t%のエポキシ化されたSISを得た。
【0042】[実施例7]実施例1で使用した同じ4つ
口丸底フラスコに、ポリアクリロニトリル−ポリブタジ
エン(NBR)(日本ゼオン(株)製;Nipol N
BR DN214;球換算平均粒子径3.4mm)30
0g、水600g及びタルク(林化成(株)製タルクM
W HS−T;平均粒子径2.7μm)1.5gをそれ
ぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、NBRを分散させ
た。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸の3
0%酢酸エチル溶液100gを連続的に滴下し、撹拌下
40℃で6時間エポキシ化を行った。反応はペレット同
士のブロッキングを生じることなく進行した。反応終了
後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イ
オン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存
する溶媒を取り除き、エポキシ化されたNBR重合体2
99gを得た。得られたエポキシ化されたNBRは、ト
ルエン不溶物量が1.2重量%、表面層以外の溶解部分
のオキシラン酸素濃度が1.5wt%であった。
【0043】[比較例1〜5]実施例1、2、3、4及
び5において、それぞれ粉末粒子を用いないで行った。
その結果、エポキシ化剤の添加直後にペレット同士が付
着して攪拌不能となったので反応を中止した。なお、4
つ口丸底フラスコから内容物の取り出しが出来なかっ
た。
【0044】
【発明の効果】本発明の重合体及びその製造方法は、次
の様な特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値
は極めて大である。本発明の製造方法に依れば、エポキ
シ化時に粉末粒子を利用することにより、エポキシ化し
たジエン系重合体製品が有する接着性に関して、得られ
た製品自身のブロッキング、製品の取り扱い及び作業性
が著しく悪くなる問題を解決することが可能である。ま
た、上記エポキシ化時に粉末粒子を利用する特有の製造
法であるので、粒状物相互間のブロッキング等は避けら
れ、他の樹脂改質用等の目的で粒状体として使用でき、
さらに溶剤不溶物量も少なく、他の樹脂との均一な分散
状態が支障無く得られることが可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 喜弘 広島県大竹市玖波4−13−5−305 Fターム(参考) 4J100 AB02Q AM02Q AS02P AS03P BC53H CA01 CA04 CA31 HA29 HA61 JA01 JA03

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 媒体(A)に不溶な粉末粒子(B)の存
    在下、該媒体にジエン系重合体(C)を分散又は懸濁さ
    せた状態下、エポキシ化剤でエポキシ化することを特徴
    とするエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 媒体(A)が、ジエン系重合体を溶解し
    ない不活性溶媒であることを特徴とする請求項1に記載
    のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 媒体(A)が水であることを特徴とする
    請求項1又は2に記載のエポキシ化ジエン系重合体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 粉末粒子(B)が、無機粒子であること
    を特徴とする請求項1に記載のエポキシ化ジエン系重合
    体の製造方法。
  5. 【請求項5】 粉末粒子(B)が、有機−無機複合体粒
    子であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ化
    ジエン系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 粉末粒子(B)が、無機粒子及び有機−
    無機複合体粒子であることを特徴とする請求項1に記載
    のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 無機粒子が、タルクであることを特徴と
    する請求項4又は6に記載のエポキシ化ジエン系重合体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 ジエン系重合体が、0.05〜20mm
    の範囲の球換算粒子径を有することを特徴とする請求項
    1記載のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 ジエン系重合体が、ブタジエン重合体、
    スチレン−ブタジエン共重合体、イソプレン重合体、ス
    チレン−イソプレン共重合体及びアクリロニトリル−ブ
    タジエン共重合体及びそれらの一部水素化物からなる群
    から選ばれる少なくとも1種類のジエン系重合体である
    請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ化ジエン系重
    合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 エポキシ化剤が、過酢酸又は過酸化水
    素を用いて誘導される他の過カルボン酸である請求項1
    に記載のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 エポキシ化剤が、過酢酸である請求項
    1記載のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 エポキシ化剤を有機溶剤で希釈して使
    用する請求項1〜11のいずれかに記載のエポキシ化ジ
    エン系重合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 エポキシ化反応促進剤として、SP値
    が10以下の有機溶剤を使用する請求項1に記載のエポ
    キシ化ジエン系重合体の製造方法。
  14. 【請求項14】 エポキシ化反応促進剤が、シクロヘキ
    サン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロ
    フラン、ベンゼン、メチルエチルケトン及びクロロホル
    ムからなる群から選ばれる1以上の単独又は混合溶剤で
    ある請求項13に記載のエポキシ化ジエン系重合体の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 ジエン系重合体のエポキシ化が、温度
    10〜70℃で行われる請求項1に記載のエポキシ化ジ
    エン系重合体の製造方法。
  16. 【請求項16】 エポキシ化ジエン系重合体中のオキシ
    ラン酸素濃度が0.3〜5.0重量%になるように調節
    することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載
    のエポキシ化ジエン系重合体の製造方法。
  17. 【請求項17】 媒体中でジエン系重合体を、エポキシ
    化剤又は該エポキシ化剤とエポキシ化反応促進用溶剤の
    存在下にエポキシ化してエポキシ変性ジエン系重合体と
    する第一工程、該エポキシ変性ジエン系重合体の水洗、
    又は中和と水洗のための第二工程、及び第一工程で使用
    されることのあるエポキシ化反応促進用溶剤の除去のた
    めの必要に応じて設けられる第三工程とからなることを
    特徴とする請求項1記載のエポキシ化ジエン系重合体の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 第二工程における水洗、又は中和と水
    洗が、第三工程へ供給する重合体の分離のための固液分
    離操作である請求項17記載のエポキシ化ジエン系重合
    体の製造方法。
  19. 【請求項19】 第三工程における溶剤の除去が、第二
    工程で得られた重合体の粒状形状を保持したまま乾燥さ
    せることにより行われる請求項17記載のエポキシ化ジ
    エン系重合体の製造方法。
  20. 【請求項20】 第三工程における溶剤の除去が、混練
    式蒸発機により行われる請求項17記載のエポキシ化ジ
    エン系重合体の製造方法。
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