JP2002338304A - 所定表面形状を有する物品の製造方法 - Google Patents
所定表面形状を有する物品の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い屈折率、すぐれた耐熱性、高い膜硬度、お
よびすぐれた転写性を有するケ゛ル化膜が基材表面に被覆
された、所定表面形状を有する物品を提供する。 【解決手段】 ソ゛ルケ゛ル材料を基材と成形型との間に密着
させて膜状に配置し、ついで加熱して、転写表面を有す
るケ゛ル化膜が基材表面に被覆された物品の製造方法にお
いて、前記ソ゛ルケ゛ル材料がM1Xmで表される金属化合物、そ
の加水分解物またはその加水分解縮重合物、およびR1M2
Ynで表される金属化合物、その加水分解物またはその加
水分解縮重合物を含有しており、M1およびM2の少なくと
も一方はTi,Zr,Al,Ge,SnまたはSbの金属原子であり、そ
して上記金属原子はM1およびM2の総数の少なくとも10
%の個数を占める。
よびすぐれた転写性を有するケ゛ル化膜が基材表面に被覆
された、所定表面形状を有する物品を提供する。 【解決手段】 ソ゛ルケ゛ル材料を基材と成形型との間に密着
させて膜状に配置し、ついで加熱して、転写表面を有す
るケ゛ル化膜が基材表面に被覆された物品の製造方法にお
いて、前記ソ゛ルケ゛ル材料がM1Xmで表される金属化合物、そ
の加水分解物またはその加水分解縮重合物、およびR1M2
Ynで表される金属化合物、その加水分解物またはその加
水分解縮重合物を含有しており、M1およびM2の少なくと
も一方はTi,Zr,Al,Ge,SnまたはSbの金属原子であり、そ
して上記金属原子はM1およびM2の総数の少なくとも10
%の個数を占める。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機有機複合体膜
を被覆した所定表面形状を有する物品、特にマイクロレ
ンズアレイや光導波路などの微小光学素子の製造方法に
関する。
を被覆した所定表面形状を有する物品、特にマイクロレ
ンズアレイや光導波路などの微小光学素子の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微細凹凸付き基板としてゾルゲル
法を用いてテトラエトキシシランとポリエチレングリコ
ールを含む溶液をガラス基板上に塗布し、型を押し当て
て凹凸パターンを転写した微細凹凸付き基板が、特開昭
62−225273号公報に報告されている。また、メ
チルトリエトキシシランとテトラエトキシシランのオル
ガノアルコキシシランを含む溶液をガラス基板上に塗布
し、型を押し当てて凹凸パターンを転写した微細凹凸付
き基板が、特開平6−114334号公報に報告されて
いる。さらにジメチルアルコキシシランおよびフェニル
トリアルコキシシランの加水分解-重縮合体からなる複
合体に、型を押し当てて凹凸パターンを転写した微細凹
凸付き基板が、特開平11-314927号公報に報告
されている。
法を用いてテトラエトキシシランとポリエチレングリコ
ールを含む溶液をガラス基板上に塗布し、型を押し当て
て凹凸パターンを転写した微細凹凸付き基板が、特開昭
62−225273号公報に報告されている。また、メ
チルトリエトキシシランとテトラエトキシシランのオル
ガノアルコキシシランを含む溶液をガラス基板上に塗布
し、型を押し当てて凹凸パターンを転写した微細凹凸付
き基板が、特開平6−114334号公報に報告されて
いる。さらにジメチルアルコキシシランおよびフェニル
トリアルコキシシランの加水分解-重縮合体からなる複
合体に、型を押し当てて凹凸パターンを転写した微細凹
凸付き基板が、特開平11-314927号公報に報告
されている。
【0003】しかしながら、テトラエトキシシランとポ
リエチレングリコールを含む溶液を用いて作製した微細
凹凸付き基板は、350℃程度の焼成により膜が完全に無
機非晶質になるという特徴を有するものの、焼成によっ
て膜が収縮し、型の成形表面の反転形状を完全には転写
できず、また膜厚を1μm以上にすると、膜の収縮応力
によってクラックが発生するという問題点があった。ま
た、メチルトリエトキシシランとテトラエトキシシラン
のオルガノアルコキシシランを含む溶液を用いて作製し
た微細凹凸付き基板は、低収縮率のため、型の完全転写
や厚膜化が可能になるなどの優れた特徴を有するもの
の、膜の屈折率を制御することは困難であった。さらに
ジメチルアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキ
シシランの加水分解-重縮合体からなる複合体に型を押
し当てて凹凸パターンを転写した微細凹凸付き基板は、
耐熱性は優れており厚膜パターンの成型が容易にできる
が、屈折率や膜硬度が低いなどの問題点があった。
リエチレングリコールを含む溶液を用いて作製した微細
凹凸付き基板は、350℃程度の焼成により膜が完全に無
機非晶質になるという特徴を有するものの、焼成によっ
て膜が収縮し、型の成形表面の反転形状を完全には転写
できず、また膜厚を1μm以上にすると、膜の収縮応力
によってクラックが発生するという問題点があった。ま
た、メチルトリエトキシシランとテトラエトキシシラン
のオルガノアルコキシシランを含む溶液を用いて作製し
た微細凹凸付き基板は、低収縮率のため、型の完全転写
や厚膜化が可能になるなどの優れた特徴を有するもの
の、膜の屈折率を制御することは困難であった。さらに
ジメチルアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキ
シシランの加水分解-重縮合体からなる複合体に型を押
し当てて凹凸パターンを転写した微細凹凸付き基板は、
耐熱性は優れており厚膜パターンの成型が容易にできる
が、屈折率や膜硬度が低いなどの問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来得られ
なかった高い屈折率を有し、しかもすぐれた耐熱性、高
い膜硬度、およびすぐれた転写性を有するゲル化膜が基
材表面に被覆された、所定表面形状を有する物品、例え
ば、平板マイクロレンズアレイを提供することを目的と
する。
なかった高い屈折率を有し、しかもすぐれた耐熱性、高
い膜硬度、およびすぐれた転写性を有するゲル化膜が基
材表面に被覆された、所定表面形状を有する物品、例え
ば、平板マイクロレンズアレイを提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゾルゲル材料
を基材と成形型との間に密着させて膜状に配置し、つい
で加熱して前記成形型の成形表面形状を反転させた形状
の表面を有するゲル化膜で基材表面が被覆されている、
所定表面形状を有する物品の製造方法において、前記ゾ
ルゲル材料が、(A) 下記式(1)で表される金属化
合物、その加水分解物およびその加水分解縮重合物から
なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
を基材と成形型との間に密着させて膜状に配置し、つい
で加熱して前記成形型の成形表面形状を反転させた形状
の表面を有するゲル化膜で基材表面が被覆されている、
所定表面形状を有する物品の製造方法において、前記ゾ
ルゲル材料が、(A) 下記式(1)で表される金属化
合物、その加水分解物およびその加水分解縮重合物から
なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
【化7】M1Xm ・・(1) ここでM1はケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコ
ニウム(Zr),ゲルマニウム(Ge),アルミニウム
(Al),スズ(Sn)またはアンチモン(Sb)、X
はアルコキシル基またはハロゲン原子でありそしてmは
M1がSi,Ti,Zr,GeまたはSnである場合は
4であり、M1がAlまたはSbである場合は3であ
る、および(B) 下記式(2)で表される金属化合
物、その加水分解物およびその加水分解縮重合物からな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
ニウム(Zr),ゲルマニウム(Ge),アルミニウム
(Al),スズ(Sn)またはアンチモン(Sb)、X
はアルコキシル基またはハロゲン原子でありそしてmは
M1がSi,Ti,Zr,GeまたはSnである場合は
4であり、M1がAlまたはSbである場合は3であ
る、および(B) 下記式(2)で表される金属化合
物、その加水分解物およびその加水分解縮重合物からな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
【化8】R1M2Yn ・・(2) ここでR1はアリール基、置換アリール基またはベンジ
ル基であり、M2はSi,Ti,Zr,Al,Ge,S
nまたはSbであり、Yはアルコキシル基またはハロゲ
ン原子でありそしてnはM2がSi,Ti,Zr,Ge
またはSnである場合は3であり、M2がAlまたはS
bである場合は2である、を含有しており、ここにおい
て、M1およびM2の少なくとも一方はTi,Zr,A
l,Ge,SnおよびSbからなる群より選ばれる少な
くとも1種の特定金属原子からなり、そして前記ゾルゲ
ル材料中の上記特定金属原子は前記ゾルゲル材料中のM
1およびM2の合計の少なくとも10原子%を占めること
を特徴とする所定表面形状を有する物品の製造方法であ
る。
ル基であり、M2はSi,Ti,Zr,Al,Ge,S
nまたはSbであり、Yはアルコキシル基またはハロゲ
ン原子でありそしてnはM2がSi,Ti,Zr,Ge
またはSnである場合は3であり、M2がAlまたはS
bである場合は2である、を含有しており、ここにおい
て、M1およびM2の少なくとも一方はTi,Zr,A
l,Ge,SnおよびSbからなる群より選ばれる少な
くとも1種の特定金属原子からなり、そして前記ゾルゲ
ル材料中の上記特定金属原子は前記ゾルゲル材料中のM
1およびM2の合計の少なくとも10原子%を占めること
を特徴とする所定表面形状を有する物品の製造方法であ
る。
【0006】また本発明は、基材およびその表面上に形
成された有機無機複合膜からなる所定表面形状を有する
物品において、前記有機無機複合膜が、下記式(3)で
表される金属酸化物、および下記式(4)で表される金
属化合物を含有する所定表面形状を有する物品である。
成された有機無機複合膜からなる所定表面形状を有する
物品において、前記有機無機複合膜が、下記式(3)で
表される金属酸化物、および下記式(4)で表される金
属化合物を含有する所定表面形状を有する物品である。
【化9】M3Op ・・(3) ここで、M3はSi,Ti,Zr,Ge,Al,Snま
たはSbでありそしてpはM3がSi,Ti,Zr,G
eまたはSnである場合には2であり、M3がAlまた
はSbである場合には3/2である。
たはSbでありそしてpはM3がSi,Ti,Zr,G
eまたはSnである場合には2であり、M3がAlまた
はSbである場合には3/2である。
【化10】R2M4Oq ・・(4) ここで、R2はアリール基、置換アリール基、またはベ
ンジル基を表し、M4はSi,Ti,Zr,Ge,A
l,SnまたはSbでありそしてqはM4がSi,T
i,Zr,GeまたはSnである場合には3/2であ
り、M4がAlまたはSbである場合には2である。た
だし、式(3)のM3および式(4)のM4の少なくとも
一方はTi,Zr,Ge,Al,SnまたはSbからな
る群より選ばれる少なくとも1種の特定金属原子からな
り、そして上記特定金属原子は前記M3およびM4の金属
原子総数の少なくとも10%の個数を占める。
ンジル基を表し、M4はSi,Ti,Zr,Ge,A
l,SnまたはSbでありそしてqはM4がSi,T
i,Zr,GeまたはSnである場合には3/2であ
り、M4がAlまたはSbである場合には2である。た
だし、式(3)のM3および式(4)のM4の少なくとも
一方はTi,Zr,Ge,Al,SnまたはSbからな
る群より選ばれる少なくとも1種の特定金属原子からな
り、そして上記特定金属原子は前記M3およびM4の金属
原子総数の少なくとも10%の個数を占める。
【0007】本発明において、ゾルゲル材料は、上記式
(1)で表される金属化合物、その加水分解物、および
その加水分解縮重合物からなる群より選ばれる少なくと
も1種の化合物(以下(A)成分)および上記式(2)で
表される金属化合物、その加水分解物、およびその加水
分解縮重合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
化合物(以下(B)成分という)の両者を含有し、そし
て、上記式(1)中のM1および上記式(2)中のM2の
少なくとも一方はTi,Zr,Al,Ge,Snおよび
Sbからなる群より選ばれる少なくとも1種の特定金属
原子からなり、そして前記ゾルゲル材料中の上記特定金
属原子は前記ゾルゲル材料中の全金属原子の少なくとも
10原子%、より好ましく少なくとも20原子%を占め
る。それにより、膜硬度が高くかつ転写性が優れた膜が
得られる。もし、前記特定金属原子の含有量が前記ゾル
ゲル材料中の全金属原子の10原子%未満である場合に
は膜硬度が低くなり膜の転写性も劣ったものとなる。
(1)で表される金属化合物、その加水分解物、および
その加水分解縮重合物からなる群より選ばれる少なくと
も1種の化合物(以下(A)成分)および上記式(2)で
表される金属化合物、その加水分解物、およびその加水
分解縮重合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
化合物(以下(B)成分という)の両者を含有し、そし
て、上記式(1)中のM1および上記式(2)中のM2の
少なくとも一方はTi,Zr,Al,Ge,Snおよび
Sbからなる群より選ばれる少なくとも1種の特定金属
原子からなり、そして前記ゾルゲル材料中の上記特定金
属原子は前記ゾルゲル材料中の全金属原子の少なくとも
10原子%、より好ましく少なくとも20原子%を占め
る。それにより、膜硬度が高くかつ転写性が優れた膜が
得られる。もし、前記特定金属原子の含有量が前記ゾル
ゲル材料中の全金属原子の10原子%未満である場合に
は膜硬度が低くなり膜の転写性も劣ったものとなる。
【0008】上記式(1)において、M1は金属原子で
あり、Xはアルコキシル基またはハロゲン原子である。
M1の金属原子は、Si,Ti,Zr,Ge,Al,S
nまたはSbであり好ましくはTi,Zr,Ge,A
l,SnまたはSbである。Xのハロゲン原子としては
例えばフッ素、塩素、臭素を挙げることができる。Xと
して特に炭素数が1〜3のアルコキシル基が好ましい。
あり、Xはアルコキシル基またはハロゲン原子である。
M1の金属原子は、Si,Ti,Zr,Ge,Al,S
nまたはSbであり好ましくはTi,Zr,Ge,A
l,SnまたはSbである。Xのハロゲン原子としては
例えばフッ素、塩素、臭素を挙げることができる。Xと
して特に炭素数が1〜3のアルコキシル基が好ましい。
【0009】(A)成分としては、例えば、テトラエト
キシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブロモシラ
ン、テトラ−n−ブトキシシラン、チタンエトキサイ
ド、チタンメトキサイド、チタンn−プロポキサイド、
チタンn−ノニルオキサイド、チタンイソステアリルイ
ソプロポキサイド、ジルコニウムエトキサイド、ジルコ
ニウムメトキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイ
ド、ジルコニウム2−メチル−2−ブトキサイド、アル
ミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)
t−ブトキサイド、アルミニウム(III)エトキサイド、
アルミニウム(III)s−イソプロポキサイド、テトラエ
トキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、テトライソ
プロポキシゲルマン、テトラブトキシゲルマン、テトラ
エトキシ錫、テトラメトキシ錫ン、テトライソプロポキ
シ錫、テトラブトキシ錫、アンチモン(III)n−ブトキ
サイド、アンチモン(III)メトキシド、アンチモン(II
I)エトキシド、アンチモン(III)s−イソプロポキサ
イドなどが挙げられる。これらの中で、テトラブトキシ
シチタン、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシ
アルミニウム(III)、テトラブトキシゲルマニウム、
テトラブトキシ錫およびテトラブトキシアンチモンが好
適に用いられる。これら以外にその加水分解物であって
も良く、また縮合度が2〜10のその縮合体であっても
よい。上記の縮合体を使用するときは、(A)成分の含
有量としては、単量体に換算した値を用いることとす
る。
キシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブロモシラ
ン、テトラ−n−ブトキシシラン、チタンエトキサイ
ド、チタンメトキサイド、チタンn−プロポキサイド、
チタンn−ノニルオキサイド、チタンイソステアリルイ
ソプロポキサイド、ジルコニウムエトキサイド、ジルコ
ニウムメトキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイ
ド、ジルコニウム2−メチル−2−ブトキサイド、アル
ミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)
t−ブトキサイド、アルミニウム(III)エトキサイド、
アルミニウム(III)s−イソプロポキサイド、テトラエ
トキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、テトライソ
プロポキシゲルマン、テトラブトキシゲルマン、テトラ
エトキシ錫、テトラメトキシ錫ン、テトライソプロポキ
シ錫、テトラブトキシ錫、アンチモン(III)n−ブトキ
サイド、アンチモン(III)メトキシド、アンチモン(II
I)エトキシド、アンチモン(III)s−イソプロポキサ
イドなどが挙げられる。これらの中で、テトラブトキシ
シチタン、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシ
アルミニウム(III)、テトラブトキシゲルマニウム、
テトラブトキシ錫およびテトラブトキシアンチモンが好
適に用いられる。これら以外にその加水分解物であって
も良く、また縮合度が2〜10のその縮合体であっても
よい。上記の縮合体を使用するときは、(A)成分の含
有量としては、単量体に換算した値を用いることとす
る。
【0010】上記式(2)で表される金属化合物
((B)成分)において、R1のアリール基としては、
炭素数6〜13のアリール基例えばフェニル、ビフェニ
ル、ナフチルなどが好ましい。またアリール基の置換基
としては、例えば炭素数1〜3のアルキル基あるいはハ
ロゲン原子を好ましいものとして挙げることができる。
このような置換基で置換されたアリール基としては例え
ば、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基等を好ま
しいものとして挙げることができる。また、Yのアルコ
キシル基およびハロゲン原子としては、式(1)のXに
ついて例示したものと同じものを挙げることができる。
((B)成分)において、R1のアリール基としては、
炭素数6〜13のアリール基例えばフェニル、ビフェニ
ル、ナフチルなどが好ましい。またアリール基の置換基
としては、例えば炭素数1〜3のアルキル基あるいはハ
ロゲン原子を好ましいものとして挙げることができる。
このような置換基で置換されたアリール基としては例え
ば、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基等を好ま
しいものとして挙げることができる。また、Yのアルコ
キシル基およびハロゲン原子としては、式(1)のXに
ついて例示したものと同じものを挙げることができる。
【0011】(B)成分としては、例えば、R1がアリ
ール基または置換アリール基の場合、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルト
リ-n-ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ベ
ンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラ
ンが挙げられ、R1がベンジル基の場合、ベンジルトリ-
n-ブトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン等のオ
ルガノトリアルコキシシランを挙げることができる。こ
れら以外にその加水分解物であってもよく、また縮合体
好ましくは縮合度が2〜10のその縮合体であってもよ
い。上記の縮合体を使用するときは、(B)成分の含有
量としては、単量体に換算した値を用いることとする。
更に(B)成分として、フェニルトリエトキシシランお
よび置換フェニルトリエトキシシランが好適に用いられ
る。
ール基または置換アリール基の場合、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルト
リ-n-ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ベ
ンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラ
ンが挙げられ、R1がベンジル基の場合、ベンジルトリ-
n-ブトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン等のオ
ルガノトリアルコキシシランを挙げることができる。こ
れら以外にその加水分解物であってもよく、また縮合体
好ましくは縮合度が2〜10のその縮合体であってもよ
い。上記の縮合体を使用するときは、(B)成分の含有
量としては、単量体に換算した値を用いることとする。
更に(B)成分として、フェニルトリエトキシシランお
よび置換フェニルトリエトキシシランが好適に用いられ
る。
【0012】ゾルゲル材料の原料は、前記(A)成分お
よび前記(B)成分の合計に対して、(A)成分を5〜
50モル%、(B)成分を50〜95モル%含有するこ
とが好ましい。より好ましくは、(A)成分を20〜5
0モル%、(B)成分を50〜80モル%含有する。こ
の配合により、得られる膜に柔軟性が付与されるので、
10μm以上の厚みを有する膜は、200℃程度の最終加
熱時または最終加熱後の冷却時にでもクラックを生じに
くくなり、しかも高い膜硬度が得られる。
よび前記(B)成分の合計に対して、(A)成分を5〜
50モル%、(B)成分を50〜95モル%含有するこ
とが好ましい。より好ましくは、(A)成分を20〜5
0モル%、(B)成分を50〜80モル%含有する。こ
の配合により、得られる膜に柔軟性が付与されるので、
10μm以上の厚みを有する膜は、200℃程度の最終加
熱時または最終加熱後の冷却時にでもクラックを生じに
くくなり、しかも高い膜硬度が得られる。
【0013】本発明におけるゾルゲル材料の原料として
は、上記(A)成分および(B)成分の他に、必要に応
じて加水分解に必要な水と触媒および粘性を制御するた
めの溶媒を加えることが好ましい。上記の水および触媒
は、(A)成分および(B)成分として、加水分解物ま
たは加水分解縮重合物が用いられる場合には必ずしも必
要ではない。また上記(A)成分または(B)成分がT
i,Zr,Ge,Al,SnまたはSbを含有する場合
には、安定化のためにキレート化剤を添加してもよい。
は、上記(A)成分および(B)成分の他に、必要に応
じて加水分解に必要な水と触媒および粘性を制御するた
めの溶媒を加えることが好ましい。上記の水および触媒
は、(A)成分および(B)成分として、加水分解物ま
たは加水分解縮重合物が用いられる場合には必ずしも必
要ではない。また上記(A)成分または(B)成分がT
i,Zr,Ge,Al,SnまたはSbを含有する場合
には、安定化のためにキレート化剤を添加してもよい。
【0014】触媒としては酸触媒が好ましく用いられ、
酸触媒には、蟻酸、酢酸、テトラフロロ酢酸、プロピオ
ン酸、しゅう酸、塩酸、硝酸、硫酸のうち少なくとも一
つの酸触媒を水溶液の形で用いることが好ましい。添加
する酸触媒の量は、酸の種類およびプロトン酸としての
強さ(弱酸、強酸)によって異なるが、少なすぎると加
水分解・脱水縮合反応の進行が遅くなり、多すぎると縮
合反応が進みすぎて分子量が大きくなりすぎ、沈殿物や
塗布液のゲル化を生じやすくなるので好ましくない。こ
れらの酸触媒の中で、弱酸である有機酸が好ましく用い
られる。有機酸の中で、特に蟻酸が、分子量が小さく蒸
発しやすいので好ましく用いられる。添加する酸触媒の
量は、例えば、酸触媒として蟻酸を用いる場合について
は、モル比で表して、(A)および(B)成分の合計を
1モルとした場合、0.5ミリモル〜5ミリモルが好ま
しく、より好ましくは0.7ミリモル〜2ミリモルであ
る。
酸触媒には、蟻酸、酢酸、テトラフロロ酢酸、プロピオ
ン酸、しゅう酸、塩酸、硝酸、硫酸のうち少なくとも一
つの酸触媒を水溶液の形で用いることが好ましい。添加
する酸触媒の量は、酸の種類およびプロトン酸としての
強さ(弱酸、強酸)によって異なるが、少なすぎると加
水分解・脱水縮合反応の進行が遅くなり、多すぎると縮
合反応が進みすぎて分子量が大きくなりすぎ、沈殿物や
塗布液のゲル化を生じやすくなるので好ましくない。こ
れらの酸触媒の中で、弱酸である有機酸が好ましく用い
られる。有機酸の中で、特に蟻酸が、分子量が小さく蒸
発しやすいので好ましく用いられる。添加する酸触媒の
量は、例えば、酸触媒として蟻酸を用いる場合について
は、モル比で表して、(A)および(B)成分の合計を
1モルとした場合、0.5ミリモル〜5ミリモルが好ま
しく、より好ましくは0.7ミリモル〜2ミリモルであ
る。
【0015】また、水は加水分解に必要な化学量論比以
上加えることが好ましい。水の添加量が化学量論比より
少ないとゲル化のための熱処理時に未反応のシラン化合
物(A)および(B)が揮発しやすくなるからである。
通常、水の添加量は、触媒水溶液の水も含めて、必要な
化学量論比の1.1〜30倍であり、モル比で表して、
(A)および(B)成分の合計に対して2〜20倍が好
ましく、より好ましくは2〜5倍である。なお、本発明
の所定表面形状を有する物品、例えば光学素子が各種メ
モリーその他の電子回路に近接して用いられる場合に
は、光学素子中に塩素が含有しているとこれら電子回路
の寿命を低下させるおそれがあるので、上記酸触媒とし
て塩素を含まないものを使用することが好ましい。
上加えることが好ましい。水の添加量が化学量論比より
少ないとゲル化のための熱処理時に未反応のシラン化合
物(A)および(B)が揮発しやすくなるからである。
通常、水の添加量は、触媒水溶液の水も含めて、必要な
化学量論比の1.1〜30倍であり、モル比で表して、
(A)および(B)成分の合計に対して2〜20倍が好
ましく、より好ましくは2〜5倍である。なお、本発明
の所定表面形状を有する物品、例えば光学素子が各種メ
モリーその他の電子回路に近接して用いられる場合に
は、光学素子中に塩素が含有しているとこれら電子回路
の寿命を低下させるおそれがあるので、上記酸触媒とし
て塩素を含まないものを使用することが好ましい。
【0016】希釈溶媒としては、例えばメタノール、エ
タノール、ブタノール、エチレングリコールもしくはエ
チレングリコール-モノ-n-プロピルエーテルなどのア
ルコール類;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂
肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシ
レン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;
ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;ジ
メトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
イソプロピルエーテルのような各種のエーテル類;クロ
ロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラク
ロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類;N-メ
チルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルア
セトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロト
ン性極性溶剤等が挙げられる。
タノール、ブタノール、エチレングリコールもしくはエ
チレングリコール-モノ-n-プロピルエーテルなどのア
ルコール類;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂
肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシ
レン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;
ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;ジ
メトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
イソプロピルエーテルのような各種のエーテル類;クロ
ロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラク
ロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類;N-メ
チルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルア
セトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロト
ン性極性溶剤等が挙げられる。
【0017】キレート化剤として、アセト酢酸メチル、
アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブ
チルの様なβ−ケトエステル化合物を使用しても良い。
アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブ
チルの様なβ−ケトエステル化合物を使用しても良い。
【0018】本発明におけるゾルゲル材料の好ましい組
成の例として次のものが挙げられる。(A)上記式
(1)で表される化合物の合計 1モル部、(B)下記
式(2)で表される化合物の合計 1.0〜19モル
部、(C)アルコール (A)成分および(B)成分の
合計の0.3〜3倍のモル部、(D)酸触媒 (A)成
分および(B)成分の合計の0.00001〜0.1倍
のモル部、(E)水 (A)成分および(B)成分の合
計の2〜20倍のモル部、ただし式(1)中のM1およ
び式(2)中のM2の少なくとも一方はTi,Zr,G
e,Al,SnまたはSbからなる群より選ばれる少な
くとも1種の特定金属原子からなり、そして上記特定金
属原子は前記M1およびM2の合計の少なくとも10原子
%を占めるものとする。
成の例として次のものが挙げられる。(A)上記式
(1)で表される化合物の合計 1モル部、(B)下記
式(2)で表される化合物の合計 1.0〜19モル
部、(C)アルコール (A)成分および(B)成分の
合計の0.3〜3倍のモル部、(D)酸触媒 (A)成
分および(B)成分の合計の0.00001〜0.1倍
のモル部、(E)水 (A)成分および(B)成分の合
計の2〜20倍のモル部、ただし式(1)中のM1およ
び式(2)中のM2の少なくとも一方はTi,Zr,G
e,Al,SnまたはSbからなる群より選ばれる少な
くとも1種の特定金属原子からなり、そして上記特定金
属原子は前記M1およびM2の合計の少なくとも10原子
%を占めるものとする。
【0019】本発明において、ゾルゲル材料の原料であ
る、(A)成分、(B)成分、アルコール溶媒、水およ
び触媒からなる溶液を、例えば室温で、10〜120分
間、攪拌しながら保持して各成分を加水分解させてゾル
ゲル材料が調製される。
る、(A)成分、(B)成分、アルコール溶媒、水およ
び触媒からなる溶液を、例えば室温で、10〜120分
間、攪拌しながら保持して各成分を加水分解させてゾル
ゲル材料が調製される。
【0020】上記の溶液塗布法としては、例えば、キャ
スト法、ディッピング法、スピンコート法、スプレー
法、印刷法、フローコート法、ならびにこれらの併用
等、既知の塗布手段が適宜採用することができる。膜厚
は、ディッピング法における引き上げ速度やスピンコー
ト法における基板回転速度などを変化させることと塗布
溶液の濃度を変えることにより制御することができる。
スト法、ディッピング法、スピンコート法、スプレー
法、印刷法、フローコート法、ならびにこれらの併用
等、既知の塗布手段が適宜採用することができる。膜厚
は、ディッピング法における引き上げ速度やスピンコー
ト法における基板回転速度などを変化させることと塗布
溶液の濃度を変えることにより制御することができる。
【0021】上述したゾルゲル材料を基材と成形型との
間に密着させて膜状に配置し、加熱して、前記成形型の
成形表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル膜が
被覆された物品、例えば光学素子を成形するプロセスと
しては、代表的に下記2つの方法を挙げることができ
る。
間に密着させて膜状に配置し、加熱して、前記成形型の
成形表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル膜が
被覆された物品、例えば光学素子を成形するプロセスと
しては、代表的に下記2つの方法を挙げることができ
る。
【0022】第1の方法(以下型注ぎ法という)は成形
型にゾルゲル材料の液を注ぎ加熱し、そして加熱された
ゾルゲル材料に物品基材を接触させてさらに加熱するこ
とにより基材と成形膜を接合し、離型後に最終加熱する
方法である。すなわち微小な凹凸形状からなる成形表面
を有する成形型を水平に保ち、粘度が103ポアズ以下
の液状のゾルゲル材料をその成形型の成形表面上に注い
でゾルゲル材料が成形型の凹みを埋め尽くすように満た
す。なお、注ぐ代わりに、その成形型をゾルゲル材料の
浴に浸漬したり、刷毛でゾルゲル材料の液をその成形型
表面に塗布する等の方法でもよい。その状態で、成形型
の成形表面上に満たされたゾルゲル材料の粘度が104
〜108ポアズになるまで、室温〜180℃で20〜1
20分間保持して、脱水・重縮合反応を進ませる。
型にゾルゲル材料の液を注ぎ加熱し、そして加熱された
ゾルゲル材料に物品基材を接触させてさらに加熱するこ
とにより基材と成形膜を接合し、離型後に最終加熱する
方法である。すなわち微小な凹凸形状からなる成形表面
を有する成形型を水平に保ち、粘度が103ポアズ以下
の液状のゾルゲル材料をその成形型の成形表面上に注い
でゾルゲル材料が成形型の凹みを埋め尽くすように満た
す。なお、注ぐ代わりに、その成形型をゾルゲル材料の
浴に浸漬したり、刷毛でゾルゲル材料の液をその成形型
表面に塗布する等の方法でもよい。その状態で、成形型
の成形表面上に満たされたゾルゲル材料の粘度が104
〜108ポアズになるまで、室温〜180℃で20〜1
20分間保持して、脱水・重縮合反応を進ませる。
【0023】ついで基材を成形型の上に密着するように
接触させて、ゾルゲル材料を基材表面に、その間に空隙
を生じないように接触させ、その状態でさらに室温〜1
80℃で10〜120分間保持して、ゾルゲル材料の脱
水・重縮合反応をほぼ完了させてゲル化させる。つぎ
に、成形型を引き剥がして離型することにより、成形型
の成形表面の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有
する、柔らかいゲル化膜であるポリシロキサンのような
ポリ金属酸素化合物の膜が基材の表面に接合された状態
で形成される。あまり早期に前記離型を行うと、ポリ金
属酸素化合物膜が柔らか過ぎて自重でその表面の凹凸形
状が変形してしまうので、この変形が生じなくなるまで
上記加熱をおこなう。
接触させて、ゾルゲル材料を基材表面に、その間に空隙
を生じないように接触させ、その状態でさらに室温〜1
80℃で10〜120分間保持して、ゾルゲル材料の脱
水・重縮合反応をほぼ完了させてゲル化させる。つぎ
に、成形型を引き剥がして離型することにより、成形型
の成形表面の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有
する、柔らかいゲル化膜であるポリシロキサンのような
ポリ金属酸素化合物の膜が基材の表面に接合された状態
で形成される。あまり早期に前記離型を行うと、ポリ金
属酸素化合物膜が柔らか過ぎて自重でその表面の凹凸形
状が変形してしまうので、この変形が生じなくなるまで
上記加熱をおこなう。
【0024】ついでこれを最終的に50〜350℃で1
0〜150分間加熱することにより、ポリ金属酸素化合
物膜(例えばポリシロキサン膜)の残留金属ヒドロキシ
基(例えば残留シラノール基)を重縮合させるととも
に、重縮合で発生した水分を気化させて、膜は厚み方向
にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにし
て成形型の成形表面形状を反転させた形状の表面を有す
る膜が被覆された光学素子その他の物品が得られる。
0〜150分間加熱することにより、ポリ金属酸素化合
物膜(例えばポリシロキサン膜)の残留金属ヒドロキシ
基(例えば残留シラノール基)を重縮合させるととも
に、重縮合で発生した水分を気化させて、膜は厚み方向
にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにし
て成形型の成形表面形状を反転させた形状の表面を有す
る膜が被覆された光学素子その他の物品が得られる。
【0025】第2の成形方法(以下、基材注ぎ法とい
う)はゾルゲル材料の液を基板表面に直接に注ぎ加熱し
てその液膜が可塑性を持った時(液の粘度が104〜1
08ポアズになったとき)に成形型を基板表面の膜に押
し当て、そのままの状態で加熱し、転写成形後、成形型
を離型し、最終加熱を実施する方法である。すなわち、
基材の被覆すべき表面を水平に保ち、粘度が103ポア
ズ以下の液状のゾルゲル材料をその基材の上に注いで所
定の厚みになるようにゾルゲル材料を基材上に膜状に広
げる。その状態で、注がれたゾルゲル材料の粘度が10
4〜108ポアズになるまで、常圧下または減圧下で、室
温〜180℃で5〜120分間保持して、脱水・重縮合
反応を進ませる。ついで微小な凹凸形状を有する成形型
を基板表面上のゾルゲル膜の上に押し当てて圧力0.5
〜120kg/cm2、常温〜350℃で60秒〜60
分間保持して、ゾルゲル材料の脱水・重縮合反応をほぼ
完了させてゲル化させる。そして成形型を引き剥がすこ
とにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表
面に有するゲル化膜であるポリ金属酸素化合物膜が基材
の表面に接合された状態で形成される。必要に応じてさ
らにこれを例えば50〜350℃で10〜150分間最
終加熱することにより、ポリ金属酸素化合物膜の残留シ
ラノール基を重縮合させるとともに、この重縮合で発生
した水分を気化させて、膜は厚み方向にわずかに体積収
縮して緻密な膜となる。このようにして成形型の成形表
面形状を反転させた形状の表面を有する膜が被覆され
た、マイクロレンズ、回折格子、光導波路、プリズムな
どの光学素子その他の物品が得られる。
う)はゾルゲル材料の液を基板表面に直接に注ぎ加熱し
てその液膜が可塑性を持った時(液の粘度が104〜1
08ポアズになったとき)に成形型を基板表面の膜に押
し当て、そのままの状態で加熱し、転写成形後、成形型
を離型し、最終加熱を実施する方法である。すなわち、
基材の被覆すべき表面を水平に保ち、粘度が103ポア
ズ以下の液状のゾルゲル材料をその基材の上に注いで所
定の厚みになるようにゾルゲル材料を基材上に膜状に広
げる。その状態で、注がれたゾルゲル材料の粘度が10
4〜108ポアズになるまで、常圧下または減圧下で、室
温〜180℃で5〜120分間保持して、脱水・重縮合
反応を進ませる。ついで微小な凹凸形状を有する成形型
を基板表面上のゾルゲル膜の上に押し当てて圧力0.5
〜120kg/cm2、常温〜350℃で60秒〜60
分間保持して、ゾルゲル材料の脱水・重縮合反応をほぼ
完了させてゲル化させる。そして成形型を引き剥がすこ
とにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表
面に有するゲル化膜であるポリ金属酸素化合物膜が基材
の表面に接合された状態で形成される。必要に応じてさ
らにこれを例えば50〜350℃で10〜150分間最
終加熱することにより、ポリ金属酸素化合物膜の残留シ
ラノール基を重縮合させるとともに、この重縮合で発生
した水分を気化させて、膜は厚み方向にわずかに体積収
縮して緻密な膜となる。このようにして成形型の成形表
面形状を反転させた形状の表面を有する膜が被覆され
た、マイクロレンズ、回折格子、光導波路、プリズムな
どの光学素子その他の物品が得られる。
【0026】上記成形型は例えば表面が平坦なガラス基
板の表面を精密にエッチングして、目的とする形状、例
えば凹型を形成する。これを種型として、無電解および
電解めっき法で凸型の金属母型を作製できる。また上記
凹型を母型として、上記めっき法で凸型の金属種型を作
製し、さらにこの種型に上記めっき法で、凹型の金属母
型を作製できる。これら凸型または凹型の母型を、成形
型として用いることができる。なお上記のめっき法では
ニッケル、クロム等の金属が好ましく用いられる。また
上記の方法で作製した種型を用いて、紫外線硬化性樹脂
で2P成型法により樹脂製母型を作製し、これを成形型
として用いることもできる。
板の表面を精密にエッチングして、目的とする形状、例
えば凹型を形成する。これを種型として、無電解および
電解めっき法で凸型の金属母型を作製できる。また上記
凹型を母型として、上記めっき法で凸型の金属種型を作
製し、さらにこの種型に上記めっき法で、凹型の金属母
型を作製できる。これら凸型または凹型の母型を、成形
型として用いることができる。なお上記のめっき法では
ニッケル、クロム等の金属が好ましく用いられる。また
上記の方法で作製した種型を用いて、紫外線硬化性樹脂
で2P成型法により樹脂製母型を作製し、これを成形型
として用いることもできる。
【0027】本発明の所定表面形状を有する物品、微細
凹凸付き基板は、任意の微細凹凸形状を、任意の基板上
に形成することができる。平板マイクロレンズアレイと
して使用する場合は、ガラスを基板材料として選択する
ことが好ましい。ガラス基板として、例えば石英ガラ
ス、ソーダライムガラス、アルカリアミノシリケートト
ガラス、アルカリボロシリケートガラス、多成分系無ア
ルカリガラス、低膨張結晶化ガラス等が挙げられる。ま
た、効率よく集光するために、微細凹凸形状は、球面も
しくは非球面形状のレンズを配列させた微細凹凸付き基
板とすることが好ましい。
凹凸付き基板は、任意の微細凹凸形状を、任意の基板上
に形成することができる。平板マイクロレンズアレイと
して使用する場合は、ガラスを基板材料として選択する
ことが好ましい。ガラス基板として、例えば石英ガラ
ス、ソーダライムガラス、アルカリアミノシリケートト
ガラス、アルカリボロシリケートガラス、多成分系無ア
ルカリガラス、低膨張結晶化ガラス等が挙げられる。ま
た、効率よく集光するために、微細凹凸形状は、球面も
しくは非球面形状のレンズを配列させた微細凹凸付き基
板とすることが好ましい。
【0028】この膜を構成するオルガノポリシロキサン
のような有機ポリ金属酸素化合物は、上記式(3)で表
される金属酸化物を好ましくは5〜50モル%、より好
ましくは20〜40モル%含有し、上記式(4)で表さ
れる金属化合物、特にアリールシロキサン、置換アリー
ルシロキサンまたはベンジルシロキサンを好ましくは5
0〜95モル%、より好ましくは60〜80モル%含有
する。また、この膜を構成する有機ポリ金属酸素化合物
は、金属酸化物を好ましくは10〜50重量%、より好
ましくは15〜40重量%、アリールシロキサン(また
は置換アリールシロキサン)、或いはベンジルシロキサ
ンを好ましくは39〜58重量%、より好ましくは44
〜53重量%それぞれ含有している。この有機ポリ金属
酸素化合物の膜の、凸部頂点から基板までの厚み(膜
厚)は、クラックを生じない範囲で任意に設定でき、例
えば0.5〜10μmの厚みとすることができる。
のような有機ポリ金属酸素化合物は、上記式(3)で表
される金属酸化物を好ましくは5〜50モル%、より好
ましくは20〜40モル%含有し、上記式(4)で表さ
れる金属化合物、特にアリールシロキサン、置換アリー
ルシロキサンまたはベンジルシロキサンを好ましくは5
0〜95モル%、より好ましくは60〜80モル%含有
する。また、この膜を構成する有機ポリ金属酸素化合物
は、金属酸化物を好ましくは10〜50重量%、より好
ましくは15〜40重量%、アリールシロキサン(また
は置換アリールシロキサン)、或いはベンジルシロキサ
ンを好ましくは39〜58重量%、より好ましくは44
〜53重量%それぞれ含有している。この有機ポリ金属
酸素化合物の膜の、凸部頂点から基板までの厚み(膜
厚)は、クラックを生じない範囲で任意に設定でき、例
えば0.5〜10μmの厚みとすることができる。
【0029】本発明の上記(A)成分および(B)成分の両者
を含有する有機無機複合膜である微細凹凸付き膜は、焼
成による収縮率と発生する膜応力が小さいことによっ
て、型の完全転写と、数十μmオーダの深さを持つ厚膜
パターニングが可能になっている。さらに、上記(A)成
分と上記(B)成分の比率を制御することで、膜のクラッ
ク発生の防止および膜の硬度向上を可能にしている。膜
の熱処理温度を高くすれば、膜は緻密になって膜の硬度
は高くなるものの、膜にクラックが入りやすくなる。熱
処理が100℃,30分の場合には、膜厚が10μm以
下で、金属酸化物(例えばTiO2)含有量が10〜50
モル%[アリール金属酸素化合物、置換アリール金属酸
素化合物、またはベンジル金属酸素化合物の含有量が5
0〜90モル%]であればクラックの発生は生じない。
そして熱処理が200℃,30分の場合には、膜厚が1
〜5μmで、金属酸化物含有量が20〜50モル%[ア
リール金属酸素化合物(または置換アリール金属酸素化
合物)、或いはベンジル金属酸素化合物)含有量が50
〜80モル%]であればクラックの発生は生じない。ま
た 熱処理が300℃,30分の場合には、膜厚が4μ
m以下で、金属酸化物含有量が20〜40モル%[アリ
ール金属酸素化合物(または置換アリール金属酸素化合
物)、或いはベンジル金属酸素化合物含有量が6〜80
モル%]であればクラックの発生は生じない。またこの
熱処理、またはその前に行う乾燥処理は相対湿度が40
%以下、より好ましくは25%以下の雰囲気内でおこな
うことが、膜の不透明化を防止するために好ましい。こ
の膜の不透明化は膜から溶媒、水が蒸発する際に、膜中
に気泡として残るために生じると考えられる。また上記
式(3)、(4)中の金属酸化物のうちTi,Zr,A
l,GeはSiに比べ屈折率が高くこの金属元素の割合
を調節することにより膜の屈折率を所望の高い値例えば
1.50〜1.70にすることができる。
を含有する有機無機複合膜である微細凹凸付き膜は、焼
成による収縮率と発生する膜応力が小さいことによっ
て、型の完全転写と、数十μmオーダの深さを持つ厚膜
パターニングが可能になっている。さらに、上記(A)成
分と上記(B)成分の比率を制御することで、膜のクラッ
ク発生の防止および膜の硬度向上を可能にしている。膜
の熱処理温度を高くすれば、膜は緻密になって膜の硬度
は高くなるものの、膜にクラックが入りやすくなる。熱
処理が100℃,30分の場合には、膜厚が10μm以
下で、金属酸化物(例えばTiO2)含有量が10〜50
モル%[アリール金属酸素化合物、置換アリール金属酸
素化合物、またはベンジル金属酸素化合物の含有量が5
0〜90モル%]であればクラックの発生は生じない。
そして熱処理が200℃,30分の場合には、膜厚が1
〜5μmで、金属酸化物含有量が20〜50モル%[ア
リール金属酸素化合物(または置換アリール金属酸素化
合物)、或いはベンジル金属酸素化合物)含有量が50
〜80モル%]であればクラックの発生は生じない。ま
た 熱処理が300℃,30分の場合には、膜厚が4μ
m以下で、金属酸化物含有量が20〜40モル%[アリ
ール金属酸素化合物(または置換アリール金属酸素化合
物)、或いはベンジル金属酸素化合物含有量が6〜80
モル%]であればクラックの発生は生じない。またこの
熱処理、またはその前に行う乾燥処理は相対湿度が40
%以下、より好ましくは25%以下の雰囲気内でおこな
うことが、膜の不透明化を防止するために好ましい。こ
の膜の不透明化は膜から溶媒、水が蒸発する際に、膜中
に気泡として残るために生じると考えられる。また上記
式(3)、(4)中の金属酸化物のうちTi,Zr,A
l,GeはSiに比べ屈折率が高くこの金属元素の割合
を調節することにより膜の屈折率を所望の高い値例えば
1.50〜1.70にすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】[塗布溶液1]フェニルトリエト
キシシラン19.23gおよびエタノール2.41gを
秤量し、これらを混合して5分間撹拌後、1.44重量
%の希塩酸7.21gをこれに添加して室温で大気中で
約30分間撹拌することにより均一な溶液とした。さら
に、チタンブトキシド6.81g、エチルアセチルアセ
トン3.90gおよびエタノール2.41gの混合液を
上記溶液に加え30分撹拌した。この液中で、フェニル
トリエトキシシラン/チタンブトキシドのモル比(言い
換えればケイ素原子数/チタニウム原子数)は、80/
20となっている。これを室温、大気中でさらに1時間
撹拌し、ついでオーブンにて80℃で12時間加熱する
ことによりフェニルトリエトキシシランとチタンブトキ
シドの共加水分解反応および重縮合反応を行った。得ら
れた共加水分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液1とし
た。
キシシラン19.23gおよびエタノール2.41gを
秤量し、これらを混合して5分間撹拌後、1.44重量
%の希塩酸7.21gをこれに添加して室温で大気中で
約30分間撹拌することにより均一な溶液とした。さら
に、チタンブトキシド6.81g、エチルアセチルアセ
トン3.90gおよびエタノール2.41gの混合液を
上記溶液に加え30分撹拌した。この液中で、フェニル
トリエトキシシラン/チタンブトキシドのモル比(言い
換えればケイ素原子数/チタニウム原子数)は、80/
20となっている。これを室温、大気中でさらに1時間
撹拌し、ついでオーブンにて80℃で12時間加熱する
ことによりフェニルトリエトキシシランとチタンブトキ
シドの共加水分解反応および重縮合反応を行った。得ら
れた共加水分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液1とし
た。
【0031】[塗布溶液2]フェニルトリエトキシシラ
ン19.23gおよびエタノール2.41gを秤量し、
これらを混合して5分間撹拌後、1.44重量%の希塩
酸7.21gをこれに添加して室温で大気中で約30分
間撹拌することにより均一な溶液とした。さらに、ジル
コニウム n−ブトキシド7.67g、エチルアセチルアセ
トン3.90gおよびエタノール2.41gの混合液を
上記溶液に加え30分撹拌した。この液中で、フェニル
トリエトキシシラン/ジルコニウムブトキシドのモル比
は、80/20となっている。これを室温、大気中でさ
らに1時間撹拌し、ついでオーブンにて80℃で12時
間加熱することによりフェニルトリエトキシシランとジ
ルコニウムブトキシドの共加水分解反応および重縮合反
応を行った。得られた共加水分解-重縮合物を含む溶液
を塗布溶液2とした。
ン19.23gおよびエタノール2.41gを秤量し、
これらを混合して5分間撹拌後、1.44重量%の希塩
酸7.21gをこれに添加して室温で大気中で約30分
間撹拌することにより均一な溶液とした。さらに、ジル
コニウム n−ブトキシド7.67g、エチルアセチルアセ
トン3.90gおよびエタノール2.41gの混合液を
上記溶液に加え30分撹拌した。この液中で、フェニル
トリエトキシシラン/ジルコニウムブトキシドのモル比
は、80/20となっている。これを室温、大気中でさ
らに1時間撹拌し、ついでオーブンにて80℃で12時
間加熱することによりフェニルトリエトキシシランとジ
ルコニウムブトキシドの共加水分解反応および重縮合反
応を行った。得られた共加水分解-重縮合物を含む溶液
を塗布溶液2とした。
【0032】[塗布溶液3]ベンジルトリクロロゲルマ
ン21.77gおよびエタノール2.41gを秤量し、
これらを混合して5分撹拌後、1.44重量%の希塩酸
7.21gをこれに添加して室温で大気中で約30分間
撹拌することにより均一な溶液とした。さらに、ゲルマ
ニウムテトラクロライド4.29gおよびエタノール
2.41gの混合液を上記溶液に加え30分撹拌した。
この液中で、ベンジルトリクロロゲルマン/ゲルマニウ
ムテトラクロライドのモル比は、80/20となってい
る。室温大気中でさらに1時間撹拌し、ついでオーブン
にて80℃で12時間加熱することによりベンジルトリ
クロロゲルマンとゲルマニウムテトラクロライドの共加
水分解反応および重縮合反応を行った。得られた共加水
分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液3とした。
ン21.77gおよびエタノール2.41gを秤量し、
これらを混合して5分撹拌後、1.44重量%の希塩酸
7.21gをこれに添加して室温で大気中で約30分間
撹拌することにより均一な溶液とした。さらに、ゲルマ
ニウムテトラクロライド4.29gおよびエタノール
2.41gの混合液を上記溶液に加え30分撹拌した。
この液中で、ベンジルトリクロロゲルマン/ゲルマニウ
ムテトラクロライドのモル比は、80/20となってい
る。室温大気中でさらに1時間撹拌し、ついでオーブン
にて80℃で12時間加熱することによりベンジルトリ
クロロゲルマンとゲルマニウムテトラクロライドの共加
水分解反応および重縮合反応を行った。得られた共加水
分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液3とした。
【0033】[塗布溶液4]フェニルトリクロロスズ2
4.17gおよびエタノール2.41gを秤量し、これ
らを混合して5分撹拌後、1.44重量%の希塩酸7.
21gをこれに添加して室温で大気中で約30分間撹拌
することにより均一な溶液とした。さらに、テトラエト
キシシラン4.17gおよびエタノール2.41gの混
合液を上記溶液に加え30分撹拌した。この液中で、フ
ェニルトリクロロスズ/テトラエトキシシランのモル比
は、80/20となっている。室温大気中でさらに1時
間撹拌し、ついでオーブンにて80℃で12時間加熱す
ることによりフェニルトリクロロスズとテトラエトキシ
シランの共加水分解反応および重縮合反応を行った。得
られた共加水分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液4と
した。
4.17gおよびエタノール2.41gを秤量し、これ
らを混合して5分撹拌後、1.44重量%の希塩酸7.
21gをこれに添加して室温で大気中で約30分間撹拌
することにより均一な溶液とした。さらに、テトラエト
キシシラン4.17gおよびエタノール2.41gの混
合液を上記溶液に加え30分撹拌した。この液中で、フ
ェニルトリクロロスズ/テトラエトキシシランのモル比
は、80/20となっている。室温大気中でさらに1時
間撹拌し、ついでオーブンにて80℃で12時間加熱す
ることによりフェニルトリクロロスズとテトラエトキシ
シランの共加水分解反応および重縮合反応を行った。得
られた共加水分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液4と
した。
【0034】[実施例1]この塗布溶液1を厚み1.1
mmで10cm角のソーダライム珪酸塩ガラスの基板
(線膨張率:1.0×10-5/℃)上にディップコート
法により塗布した。真空プレス装置内でこの塗布基板を
減圧した状態で約1時間保持して溶媒を蒸発させた。表
面に深さ3.5μm、曲率半径128μmの半球凹部が
多数、ピッチ80μmで正方配列した厚さ1mmの離型膜
付石英ガラス製型を、ガラス基板上の塗布膜に、10-2
Torrの減圧下で接合し、30kg/cm2で加圧し
た。つぎに、相対湿度が15%の雰囲気下で80℃で1
0時間加熱処理を行った後、石英ガラス製型を剥がし
た。
mmで10cm角のソーダライム珪酸塩ガラスの基板
(線膨張率:1.0×10-5/℃)上にディップコート
法により塗布した。真空プレス装置内でこの塗布基板を
減圧した状態で約1時間保持して溶媒を蒸発させた。表
面に深さ3.5μm、曲率半径128μmの半球凹部が
多数、ピッチ80μmで正方配列した厚さ1mmの離型膜
付石英ガラス製型を、ガラス基板上の塗布膜に、10-2
Torrの減圧下で接合し、30kg/cm2で加圧し
た。つぎに、相対湿度が15%の雰囲気下で80℃で1
0時間加熱処理を行った後、石英ガラス製型を剥がし
た。
【0035】ガラス基板上のフェニルトリエトキシシラ
ンとチタンブトキシドの共加水分解-重縮合物からなる
塗布膜は、前記離型した後には、前記共加水分解および
重縮合反応がさらに進行することにより硬化してフェニ
ル基を含有するケイ素酸化物−チタン酸化物からなる透
明な非晶質膜となってガラス基板に被覆されていた。膜
の最も厚みが小さい領域の厚みが約1μm、半球頂上か
らの最大膜厚が4.5μmであり、表面にレンズパター
ンが精密に配列していた。また、膜収縮による転写パタ
ーンの劣化や膜のクラックや剥離は認められなかった。
得られた透明非晶質膜の各レンズの焦点距離は2.01
mmであり、光学的性質を分光光度計を用いて評価した結
果、可視域で完全に透明で、屈折率がおよそ1.64で
あった。そしてZygo干渉計を用いて測定したとこ
ろ、入射角0度での球面収差は0.045であり入射角
5度での球面収差は0.050であって、コマ収差は小
さかった。透明非晶質厚膜を、島津微小硬度計を用いて
測定したところ、膜の微小硬度は23であることが明か
になった。膜の表面に手の爪を強く押し付けても、全く
凹みは生じなかった。また300℃で2時間保持する耐
熱試験を行った後、室温に戻して、亀裂(クラック)の
発生の有無を観察して耐熱性を評価した。その結果、膜
に亀裂や剥離は生じず、各レンズの焦点距離は耐熱試験
前と変わらなかった。これらの結果を表1および表2に
示した。
ンとチタンブトキシドの共加水分解-重縮合物からなる
塗布膜は、前記離型した後には、前記共加水分解および
重縮合反応がさらに進行することにより硬化してフェニ
ル基を含有するケイ素酸化物−チタン酸化物からなる透
明な非晶質膜となってガラス基板に被覆されていた。膜
の最も厚みが小さい領域の厚みが約1μm、半球頂上か
らの最大膜厚が4.5μmであり、表面にレンズパター
ンが精密に配列していた。また、膜収縮による転写パタ
ーンの劣化や膜のクラックや剥離は認められなかった。
得られた透明非晶質膜の各レンズの焦点距離は2.01
mmであり、光学的性質を分光光度計を用いて評価した結
果、可視域で完全に透明で、屈折率がおよそ1.64で
あった。そしてZygo干渉計を用いて測定したとこ
ろ、入射角0度での球面収差は0.045であり入射角
5度での球面収差は0.050であって、コマ収差は小
さかった。透明非晶質厚膜を、島津微小硬度計を用いて
測定したところ、膜の微小硬度は23であることが明か
になった。膜の表面に手の爪を強く押し付けても、全く
凹みは生じなかった。また300℃で2時間保持する耐
熱試験を行った後、室温に戻して、亀裂(クラック)の
発生の有無を観察して耐熱性を評価した。その結果、膜
に亀裂や剥離は生じず、各レンズの焦点距離は耐熱試験
前と変わらなかった。これらの結果を表1および表2に
示した。
【0036】[比較例1]メチルトリエトキシシラン
7.13g、テトラエトキシシラン2.08g、エタノ
ール9.21gを秤量し、室温大気中で撹拌することに
より均一な溶液とした。ここで、メチルトリエトキシシ
ラン/テトラエトキシシランのモル比は80/20とな
っている。これに、0.1重量%の蟻酸3.60gをゆ
っくりと添加して室温大気中でさらに2時間撹拌するこ
とによりメチルトリエトキシシランとテトラエトキシシ
ランの共加水分解を行った。これをさらにオーブンにて
80℃で12時間加熱し、得られたメチルトリエトキシ
シランとテトラエトキシシランの共加水分解-重縮合物
を含む溶液を塗布溶液とした。
7.13g、テトラエトキシシラン2.08g、エタノ
ール9.21gを秤量し、室温大気中で撹拌することに
より均一な溶液とした。ここで、メチルトリエトキシシ
ラン/テトラエトキシシランのモル比は80/20とな
っている。これに、0.1重量%の蟻酸3.60gをゆ
っくりと添加して室温大気中でさらに2時間撹拌するこ
とによりメチルトリエトキシシランとテトラエトキシシ
ランの共加水分解を行った。これをさらにオーブンにて
80℃で12時間加熱し、得られたメチルトリエトキシ
シランとテトラエトキシシランの共加水分解-重縮合物
を含む溶液を塗布溶液とした。
【0037】この塗布溶液を実施例1と同様の条件で、
表面に深さ11.7μm、曲率半径113μmの半球凹
部が多数、ピッチ80μmで正方配列した厚さ1mmの離
型膜付石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレス
を行ったところメチルトリエトキシシランとテトラエト
キシシランの共加水分解-重縮合物からなる無機有機複
合厚膜は、硬化してメチル基含有ケイ素酸化物からなる
透明非晶質膜となっていた。
表面に深さ11.7μm、曲率半径113μmの半球凹
部が多数、ピッチ80μmで正方配列した厚さ1mmの離
型膜付石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレス
を行ったところメチルトリエトキシシランとテトラエト
キシシランの共加水分解-重縮合物からなる無機有機複
合厚膜は、硬化してメチル基含有ケイ素酸化物からなる
透明非晶質膜となっていた。
【0038】[比較例2]ジメチルジエトキシシラン1
1.1g、フェニルトリエトキシシラン12.2g、エ
タノール5.8gを秤量し、室温大気中で撹拌すること
により均一な溶液とした。ここで、フェニルトリエトキ
シシラン/ジメチルジエトキシシランのモル比は、40
/60となっている。これに、0.1重量%の蟻酸1
5.8gをゆっくりと添加して室温大気中でさらに2時
間撹拌することによりジメチルジエトキシシランとフェ
ニルトリエトキシシランの共加水分解を行った。これを
さらにオーブンにて80℃で12時間加熱し、得られた
ジメチルジエトキシシランとフェニルトリエトキシシラ
ンの共加水分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液とし
た。
1.1g、フェニルトリエトキシシラン12.2g、エ
タノール5.8gを秤量し、室温大気中で撹拌すること
により均一な溶液とした。ここで、フェニルトリエトキ
シシラン/ジメチルジエトキシシランのモル比は、40
/60となっている。これに、0.1重量%の蟻酸1
5.8gをゆっくりと添加して室温大気中でさらに2時
間撹拌することによりジメチルジエトキシシランとフェ
ニルトリエトキシシランの共加水分解を行った。これを
さらにオーブンにて80℃で12時間加熱し、得られた
ジメチルジエトキシシランとフェニルトリエトキシシラ
ンの共加水分解-重縮合物を含む溶液を塗布溶液とし
た。
【0039】この塗布溶液を実施例1と同様の条件で、
表面に深さ4.2μm、曲率半径104μmの半球凹部
が多数、ピッチ80μmで正方配列した厚さ1mmの離型
膜付石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレスを
行ったところジメチルジエトキシシランとフェニルトリ
エトキシシランの共加水分解-重縮合物からなる無機有
機複合厚膜は、硬化してメチル基含有ケイ素酸化物から
なる透明非晶質膜となっていた。
表面に深さ4.2μm、曲率半径104μmの半球凹部
が多数、ピッチ80μmで正方配列した厚さ1mmの離型
膜付石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレスを
行ったところジメチルジエトキシシランとフェニルトリ
エトキシシランの共加水分解-重縮合物からなる無機有
機複合厚膜は、硬化してメチル基含有ケイ素酸化物から
なる透明非晶質膜となっていた。
【0040】[比較例3]テトラエトキシシラン4.1
7g、フェニルトリエトキシシラン19.23g、エタ
ノール5.8gを秤量し、室温大気中で撹拌することに
より均一な溶液とした。ここで、フェニルトリエトキシ
シラン/テトラエトキシシランのモル比は、80/20
となっている。これに、0.1重量%の蟻酸15.8g
をゆっくりと添加して室温大気中でさらに2時間撹拌す
ることによりテトラエトキシシランとフェニルトリエト
キシシランの共加水分解を行った。これをさらにオーブ
ンにて80℃で12時間加熱し、得られたテトラエトキ
シシランとフェニルトリエトキシシランの共加水分解-
重縮合物を含む溶液を塗布溶液とした。
7g、フェニルトリエトキシシラン19.23g、エタ
ノール5.8gを秤量し、室温大気中で撹拌することに
より均一な溶液とした。ここで、フェニルトリエトキシ
シラン/テトラエトキシシランのモル比は、80/20
となっている。これに、0.1重量%の蟻酸15.8g
をゆっくりと添加して室温大気中でさらに2時間撹拌す
ることによりテトラエトキシシランとフェニルトリエト
キシシランの共加水分解を行った。これをさらにオーブ
ンにて80℃で12時間加熱し、得られたテトラエトキ
シシランとフェニルトリエトキシシランの共加水分解-
重縮合物を含む溶液を塗布溶液とした。
【0041】この塗布溶液を実施例1と同様の条件で、
比較例2で用いたのと同じ離型膜付石英ガラス製型上に
成膜、硬化させた後、プレスを行ったところジテトラエ
トキシシランとフェニルトリエトキシシランの共加水分
解-重縮合物からなる無機有機複合厚膜は、硬化してフ
ェニル基含有ケイ素酸化物からなる透明非晶質膜となっ
ていた。
比較例2で用いたのと同じ離型膜付石英ガラス製型上に
成膜、硬化させた後、プレスを行ったところジテトラエ
トキシシランとフェニルトリエトキシシランの共加水分
解-重縮合物からなる無機有機複合厚膜は、硬化してフ
ェニル基含有ケイ素酸化物からなる透明非晶質膜となっ
ていた。
【0042】上記比較例1〜3によって得られたそれぞ
れの膜の表面には、表面にレンズパターンが精密に配列
していた。実施例1と同様に膜のレンズ焦点距離、可視
域での透明性、屈折率、球面収差(入射角0度および5
度)、コマ収差の大小、膜の微小硬度および手の爪を膜
に強く押し付けたときの凹み発生の有無を測定し、その
結果を表1および表2に示した。
れの膜の表面には、表面にレンズパターンが精密に配列
していた。実施例1と同様に膜のレンズ焦点距離、可視
域での透明性、屈折率、球面収差(入射角0度および5
度)、コマ収差の大小、膜の微小硬度および手の爪を膜
に強く押し付けたときの凹み発生の有無を測定し、その
結果を表1および表2に示した。
【0043】[実施例2]前記塗布溶液2を用いて実施
例1と同様の条件で、表面に深さ3.8μm、曲率半径
121μmの半球凹部が多数、ピッチ80μmで正方配
列した厚さ1mmの離型膜付石英ガラス製型上に成膜、硬
化させた後、プレスを行ったところフェニルトリエトキ
シシランとジルコニウムブトキシドの共加水分解-重縮
合物からなる無機有機複合厚膜は、硬化してフェニル基
含有ケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物からなる透明非
晶質厚膜となっていた。
例1と同様の条件で、表面に深さ3.8μm、曲率半径
121μmの半球凹部が多数、ピッチ80μmで正方配
列した厚さ1mmの離型膜付石英ガラス製型上に成膜、硬
化させた後、プレスを行ったところフェニルトリエトキ
シシランとジルコニウムブトキシドの共加水分解-重縮
合物からなる無機有機複合厚膜は、硬化してフェニル基
含有ケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物からなる透明非
晶質厚膜となっていた。
【0044】[実施例3]前記塗布溶液3を用いて実施
例1と同様の条件で、表面に深さ3.6μm、曲率半径
126μmの半球凹部が多数、ピッチ80μmで正方配
列した厚さ1mmの離型膜付石英ガラス製型上に成膜、硬
化させた後、プレスを行ったところとフェニルトリエト
キシシランとアルミニウムブトキシドの共加水分解-重
縮合物からなる無機有機複合厚膜は、硬化して透明非晶
質厚膜となっていた。
例1と同様の条件で、表面に深さ3.6μm、曲率半径
126μmの半球凹部が多数、ピッチ80μmで正方配
列した厚さ1mmの離型膜付石英ガラス製型上に成膜、硬
化させた後、プレスを行ったところとフェニルトリエト
キシシランとアルミニウムブトキシドの共加水分解-重
縮合物からなる無機有機複合厚膜は、硬化して透明非晶
質厚膜となっていた。
【0045】[実施例4]前記塗布溶液3を用いて実施
例1と同様の条件で、実施例2で用いたと同じ離型膜付
石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレスを行っ
たところベンジルトリクロロゲルマンとゲルマニウムテ
トラクロライドの共加水分解-重縮合物からなる無機有
機複合厚膜は、硬化してベンジル基含有ゲルマニウム酸
化物からなる透明非晶質厚膜となっていた。
例1と同様の条件で、実施例2で用いたと同じ離型膜付
石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレスを行っ
たところベンジルトリクロロゲルマンとゲルマニウムテ
トラクロライドの共加水分解-重縮合物からなる無機有
機複合厚膜は、硬化してベンジル基含有ゲルマニウム酸
化物からなる透明非晶質厚膜となっていた。
【0046】[実施例5]前記塗布溶液4を用いてを実
施例1と同様の条件で、実施例2で用いたと同じ離型膜
付石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレスを行
ったところフェニルトリクロロスズとテトラエトキシシ
ランの共加水分解-重縮合物からなる無機有機複合厚膜
は、硬化してフェニル基を含有するケイ素酸化物−スズ
酸化物からなる透明非晶質厚膜となっていた。
施例1と同様の条件で、実施例2で用いたと同じ離型膜
付石英ガラス製型上に成膜、硬化させた後、プレスを行
ったところフェニルトリクロロスズとテトラエトキシシ
ランの共加水分解-重縮合物からなる無機有機複合厚膜
は、硬化してフェニル基を含有するケイ素酸化物−スズ
酸化物からなる透明非晶質厚膜となっていた。
【0047】実施例2〜5で得られた膜の表面には、表
面にレンズパターンが精密に配列していた。実施例1と
同様に膜のレンズ焦点距離、可視域での透明性、屈折
率、球面収差(入射角0度および5度)、コマ収差の大
小、膜の微小硬度および手の爪を膜に強く押し付けたと
きの凹み発生の有無、耐熱試験後の膜の亀裂(クラッ
ク)、剥離の発生の有無および耐熱試験前後のレンズ焦
点距離の変化の有無を測定し、その結果を表1および表
2に示した。
面にレンズパターンが精密に配列していた。実施例1と
同様に膜のレンズ焦点距離、可視域での透明性、屈折
率、球面収差(入射角0度および5度)、コマ収差の大
小、膜の微小硬度および手の爪を膜に強く押し付けたと
きの凹み発生の有無、耐熱試験後の膜の亀裂(クラッ
ク)、剥離の発生の有無および耐熱試験前後のレンズ焦
点距離の変化の有無を測定し、その結果を表1および表
2に示した。
【0048】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ レンス゛焦点 可視域 屈折率 球面収差 コマ収差 距離(mm) 透明度 入射角 0度 5度 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 2.01 完全に透明 1.64 0.045 0.050 小 比較例1 2.05 同上 1.45 0.045 0.120 大 比較例2 2.05 同上 1.52 0.045 0.120 大 比較例3 2.05 同上 1.50 0.047 0.120 大 実施例2 2.03 同上 1.56 0.045 0.060 やや大 実施例3 2.02 同上 1.62 0.045 0.047 小 実施例4 2.03 同上 1.56 0.045 0.060 やや大 実施例5 2.03 同上 1.56 0.045 0.060 やや大 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0049】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 微小硬度 爪押し付け 耐熱性 による凹み クラック、剥離 焦点距離 の発生の有無 の発生の有無 の変化 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 23 なし なし 変わらず 比較例1 3 わずか発生 なし 変わらず 比較例2 3 わずか発生 なし 変わらず 比較例3 3 わずか発生 なし 変わらず 実施例2 22 なし なし 変わらず 実施例3 20 なし なし 変わらず 実施例4 22 なし なし 変わらず 実施例5 22 なし なし 変わらず ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0050】
【発明の効果】本発明により製造される基材表面に被覆
されたゲル化膜は、従来得られなかった高い屈折率、す
ぐれた耐熱性、高い膜硬度、およびすぐれた転写性を有す
る。例えば、平板マイクロレンズアレイの製造に適用し
た場合には、膜の屈折率を1.50〜1.70まで高め
ることができるのでコマ収差の小さなレンズを有する平
板マイクロレンズアレイのような光学素子を容易に製造
することができる。
されたゲル化膜は、従来得られなかった高い屈折率、す
ぐれた耐熱性、高い膜硬度、およびすぐれた転写性を有す
る。例えば、平板マイクロレンズアレイの製造に適用し
た場合には、膜の屈折率を1.50〜1.70まで高め
ることができるのでコマ収差の小さなレンズを有する平
板マイクロレンズアレイのような光学素子を容易に製造
することができる。
フロントページの続き (72)発明者 忠永 清治 大阪府堺市中百舌鳥町6丁目998−3 (72)発明者 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ヶ丘中町12−5 (72)発明者 堀 雅宏 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 (72)発明者 山本 博章 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 (72)発明者 中村 浩一郎 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 Fターム(参考) 4G059 AA11 AC01 AC30 FA01 FA05 FA28 FA29 FB06
Claims (9)
- 【請求項1】 ゾルゲル材料を基材と成形型との間に密
着させて膜状に配置しついで加熱して前記成形型の成形
表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜で基
材表面が被覆されている、所定表面形状を有する物品の
製造方法において、前記ゾルゲル材料が、(A)下記式
(1)で表される金属化合物、その加水分解物およびそ
の加水分解縮重合物からなる群より選ばれる少なくとも
1種の化合物、 【化1】M1Xm ・・(1) ここでM1はSi,Ti,Zr,Al,Ge,Snまた
はSbであり、Xはアルコキシル基またはハロゲン原子
でありそしてmはM1がSi,Ti,Zr,Geまたは
Snである場合は4であり、M1がAlまたはSbであ
る場合は3である、および(B)下記式(2)で表され
る金属化合物、その加水分解物およびその加水分解縮重
合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、 【化2】R1M2Yn ・・(2) ここでR1はアリール基、置換アリール基またはベンジ
ル基であり、M2はSi,Ti,Zr,Al,Ge,S
nまたはSbであり、Yはアルコキシル基またはハロゲ
ン原子でありそしてnはM2がSi,Ti,Zr,Ge
またはSnである場合は3であり、M2がAlまたはS
bである場合は2である、を含有しており、ここにおい
て、M1およびM2の少なくとも一方はTi,Zr,A
l,Ge,SnおよびSbからなる群より選ばれる少な
くとも1種の特定金属原子であり、そして前記ゾルゲル
材料中の上記特定金属原子は前記ゾルゲル材料中のM1
およびM2の合計の少なくとも10原子%を占めること
を特徴とする所定表面形状を有する物品の製造方法。 - 【請求項2】 前記ゾルゲル材料が、前記(A)成分お
よび前記(B)成分の合計に対して、5〜50モル%の
(A)成分および50〜95モル%の(B)成分を含む
請求項1記載の所定表面形状を有する物品の製造方法。 - 【請求項3】 前記ゾルゲル材料が、前記(A)成分お
よび前記(B)成分の合計に対して、20〜50モル%
の(A)成分および50〜80モル%の(B)成分を含
む請求項1または2記載の所定表面形状を有する物品の
製造方法。 - 【請求項4】 前記式(2)中のR1はフェニル基また
はベンジル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載
の所定表面形状を有する物品の製造方法。 - 【請求項5】 前記(A)成分はテトラブトキシシチタ
ン、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシアルミ
ニウム(III)、テトラブトキシゲルマニウム、テトラ
ブトキシ錫またはテトラブトキシアンチモンでありそし
て前記(B)成分はフェニルトリエトキシシランまたは
置換フェニルトリエトキシシランである請求項1〜3の
いずれか1項に記載の所定表面形状を有する物品の製造
方法。 - 【請求項6】 基材およびその表面上に形成された有機
無機複合膜からなる所定表面形状を有する物品におい
て、前記有機無機複合膜が、下記式(3)で表される金
属酸化物、 【化3】M3Op ・・(3) ここで、M3はSi,Ti,Zr,Ge,Al,Snま
たはSbでありそしてpはM3がSi,Ti,Zr,G
eまたはSnである場合には2であり、M3がAlまた
はSbである場合には3/2である、および下記式
(4)で表される金属化合物、 【化4】R2M4Oq ・・(4) ここで、R2はアリール基、置換アリール基またはベン
ジル基を表しそしてM4はSi,Ti,Zr,Ge,A
l,SnまたはSbでありそしてqはM4がSi,T
i,Zr,GeまたはSnである場合には3/2であ
り、M4がAlまたはSbである場合には2である、た
だし、式(3)のM3および式(4)のM4の少なくとも
一方はTi,Zr,Ge,Al,SnまたはSbからな
る群より選ばれる少なくとも1種の特定金属原子からな
りそして上記特定金属原子は前記M3およびM4の合計総
数の少なくとも10%の個数を占めるものとする、を含
有する所定表面形状を有する物品。 - 【請求項7】 前記式(4)中のR2はフェニル基また
はベンジル基である請求項6記載の所定表面形状を有す
る物品。 - 【請求項8】 前記有機無機複合膜が0.5〜10μm
の厚みで形成されそして前記膜が前記式(3)で表され
る金属酸化物 5〜50モル%および前記式(4)中M
4がSiである金属化合物 50〜95モル%を含有す
る請求項6または7記載の所定表面形状を有する物品。 - 【請求項9】(A)下記式(5)で表される金属化合
物、その加水分解物およびその加水分解縮重合物からな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物の合計 1モ
ル部、 【化5】M1Xm ・・(5) ここでM1はSi,Ti,Zr,Ge,Al,Snまた
はSbであり、Xはアルコキシル基またはハロゲン原子
でありそしてmはM1がSi,Ti,Zr,Geまたは
Snである場合は4であり、M1がAlまたはSbであ
る場合は3である、(B)下記式(6)で表される金属
化合物、その加水分解物およびその加水分解縮重合物か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の合計
1.0〜19モル、 【化6】R1M2Yn ・・(6) ここでR1はアリール基、置換アリール基またはベンジ
ル基であり、M2はSi,Ti,Zr,AlまたはGe
であり、Yはアルコキシル基またはハロゲン原子であり
そしてnはM2がSi,Ti,Zr,GeまたはSnで
ある場合は4であり、M2がAlまたはSbである場合
は3である、(C)アルコール (A)成分および
(B)成分の合計の0.3〜3倍のモル部、(D)酸触
媒 (A)成分および(B)成分の合計の0.0000
1〜0.1倍のモル部、および(E)水 (A)成分お
よび(B)成分の合計の2〜20倍のモル部、を含有し
ており、ここにおいて、M1およびM2の少なくとも一方
はTi,Zr,Ge,Al,SnまたはSbからなる群
より選ばれる少なくとも1種の特定金属原子からなり、
そして上記特定金属原子は前記M1およびM2の合計の少
なくとも10原子%を占めることを特徴とする所定表面
形状を有する物品を製造するための膜形成用調合組成
物。
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