JP2003287602A - 反射防止膜の形成方法、および反射防止膜を有する光学部品の製造方法、並びに反射防止膜を有する光学部品 - Google Patents
反射防止膜の形成方法、および反射防止膜を有する光学部品の製造方法、並びに反射防止膜を有する光学部品Info
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Abstract
る。 【解決手段】 光学部品上にシランカップリング剤を含
むプライマー溶液を塗布、乾燥してプライマー層を形成
した後、アルコラート化合物をアルコール中で加水分解
して得られるゾル液を塗布、乾燥して反射防止膜を積層
して形成する。
Description
反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法と、該反射
防止膜を有する光学部品の製造方法と、この製造方法に
より製造される光学部品とに関し、特に、樹脂製の光学
部品にも良好に反射防止膜を形成できる反射防止膜の形
成方法と、該反射防止膜を有する光学部品の製造方法
と、この製造方法により製造される光学部品とに関す
る。
では、レンズに入射光を透過させることにより、光を屈
曲させ、一点に集めて結像させている。この時に、レン
ズ表面は入射光の一部を反射してしまうので、レンズを
透過する光の量を低下させることになる。また、反射し
た光はフレアーあるいはゴーストと呼ばれる現象を起こ
すこともある。この現象は、反射した光が像面に到達し
て本来結像するべきではない像を結ぶことによる。この
ような問題は、カメラなど、レンズを複数備えたもの
で、特に顕著となる。
に利用するため、従来、レンズ表面に、光の反射を防止
する反射防止膜を形成することが行われている。
ず、真空蒸着法が知られている。この方法では、ガラス
製の光学部品に反射防止膜を真空蒸着させた後に加熱す
ることで、光学部品と反射防止膜とを密着させている。
ゲル法が知られている。このゾルゲル法では、金属アル
コキシド等の金属有機化合物や金属塩を加水分解して得
られる縮合物を含むゾル液を調製し、このゾル液を光学
部品に塗布してゲル膜を形成し、さらに、このゲル膜を
乾燥することで、ガラスあるいはセラミックコーティン
グ膜、すなわち反射防止膜を形成する。なお、上記ゾル
液には、ゲル化を促進するために触媒を加えることが多
い。
したゾル液を放置することで、コロイド粒子の重縮合が
進んで粘度が高くなり、最終的に固化したゲル状態とな
ることを利用したものであり、様々な形態の材料の作成
に利用することができる。そのため、最近では、上記反
射防止膜も含めて、材料設計に関わる幅広い分野で注目
されている。
来の反射防止膜の形成方法では、樹脂製の光学部品に反
射防止膜を有効に形成することができないという問題が
生じる。
部品とを密着させるために光学部品を高温で加熱する工
程が必須である。それゆえ、各種一般的な樹脂のよう
に、高熱に耐えられない材料で形成されている光学部品
に対しては、真空蒸着法を用いることができない。
とで反射防止膜を形成できるので、真空蒸着法のような
高温加熱は必要ない。ところが、ゾルゲル法では、光学
部品の種類によっては、形成される反射防止膜が光学部
品の表面に密着しない。例えば、光学部品がガラス製で
ある場合、ゾル液中に加える触媒をアルカリ触媒とする
と、得られる反射防止膜は光学部品の表面に全く密着し
ない。また、光学部品が樹脂製である場合、上記触媒が
酸触媒かアルカリ触媒かに関わらず、反射防止膜は、光
学部品の表面に全く密着しない。
しない場合には、単に表面上に反射防止膜が載っている
状態と同様であるため、反射防止膜は非常に剥がれやす
くなり、実用には適さない。
の材料として用いた場合、該光学部品の表面に十分に密
着した反射防止膜を形成する技術は知られておらず、そ
れゆえ、光学部品の材料として樹脂を用いることはでき
なかった。
されたものであって、その目的は、光学部品の表面と反
射防止膜との密着性を高めることができる反射防止膜の
形成方法と、該反射防止膜を有する光学部品の製造方法
と、この製造方法により製造される光学部品とを提供す
ることにある。
膜の形成方法は、上記の課題を解決するために、アルコ
ラート(アルコキシド)化合物をアルコール中で加水分
解して得られるゾル液を、光学部品の表面に塗布してゲ
ル膜を形成し、該ゲル膜を乾燥して反射防止膜を形成す
る反射防止膜の形成方法において、さらに、反射防止膜
の形成前に、アミノ基含有シランカップリング剤を含む
プライマー溶液を光学部品の表面に塗布した後、乾燥処
理を施してプライマー層を形成することを特徴としてい
る。
プライマー層を形成してから、ゾルゲル法により反射防
止膜を形成する。プライマー層には、シランカップリン
グ剤が含まれているため、該シランカップリング剤が光
学部品の表面と反射防止膜との間で化学結合する。その
結果、光学部品の表面に反射防止膜を良好に密着させる
ことができる。
上記方法において、上記シランカップリング剤として、
アミノ基を有する化合物を用いることを特徴としてい
る。
R2)3で表されるシランカップリング剤の官能基Xがア
ミノ基となっている。それゆえ、シランカップリング剤
のアミノ基が光学部品の表面と化学結合し、OR2基の
加水分解により生じるOH基(水酸基)が反射防止膜の
水酸基と化学結合するため、反射防止膜を安定に形成す
ることができる。
上記方法において、上記ゲル膜の乾燥には、加熱処理を
用いることを特徴としている。
にゲル膜から溶媒を蒸発させるだけでなく、反射防止膜
およびプライマー層を焼結させることができる。そのた
め、より密着性を有する反射防止膜を形成することがで
きる。
品の製造方法は、上記の課題を解決するために、アルコ
ラート(アルコキシド)化合物をアルコール中で加水分
解して得られるゾル液を、光学部品の表面に塗布してゲ
ル膜を形成し、該ゲル膜を乾燥して反射防止膜を形成す
る反射防止膜形成工程を含む、反射防止膜を有する光学
部品の製造方法において、さらに、反射防止膜形成工程
の前に実施される、アミノ基含有シランカップリング剤
を含むプライマー溶液を光学部品の表面に塗布した後、
乾燥処理を施してプライマー層を形成するプライマー処
理工程を含むことを特徴としている。
プライマー層を形成してから、ゾルゲル法により反射防
止膜を形成する。プライマー層には、シランカップリン
グ剤が含まれているため、該シランカップリング剤が光
学部品の表面と反射防止膜との間で化学結合する。その
結果、表面に反射防止膜を良好に密着させた光学部品を
製造することができる。
品の製造方法は、上記方法において、上記シランカップ
リング剤として、アミノ基を有する化合物を用いること
を特徴としている。
R2)3で表されるシランカップリング剤の官能基Xがア
ミノ基となっている。それゆえ、シランカップリング剤
のアミノ基が光学部品の表面と化学結合し、OR2基の
加水分解により生じるOH基(水酸基)が反射防止膜の
水酸基と化学結合するため、表面に反射防止膜をより一
層良好に密着させた光学部品を製造することができる。
品の製造方法は、上記方法において、上記ゲル膜の乾燥
には、加熱処理を用いることを特徴としている。
にゲル膜から溶媒を蒸発させるだけでなく、反射防止膜
およびプライマー層を焼結させることができる。そのた
め、表面に反射防止膜をさらに一層良好に密着させた光
学部品を製造することができる。
品の製造方法は、上記方法において、上記光学部品が樹
脂製であることを特徴としている。
製の光学部品に対しても反射防止膜を形成することがで
きるので、表面に反射防止膜を良好に密着させた樹脂製
の光学部品を製造することができる。
品は、上記の製造方法により得られることを特徴として
いる。
反射防止膜を表面に形成した光学部品となるため、反射
防止膜の表面への密着性を向上させることができる。そ
のため、反射防止膜を有する光学部品の実用性を向上さ
せることができる。
明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定
されるものではない。
よび、反射防止膜を有する光学部品の製造方法は、シラ
ンカップリング剤を含むプライマー溶液を光学部品の表
面に塗布した後、乾燥処理を施してプライマー層を形成
した後に、アルコラート(アルコキシド)化合物をアル
コール中で加水分解して得られるゾル液を、光学部品の
表面に塗布してゲル膜を形成し、該ゲル膜を乾燥して反
射防止膜を形成する方法である。また、本発明にかかる
反射防止膜を有する光学部品は、上記方法により得られ
るものである。
に対して、少なくともプライマー処理工程と、ゾルゲル
法を用いた反射防止膜形成工程とが実施される。
部品としては、光の反射を防止することで有効に機能し
得る光学部品であれば特に限定されるものではなく、各
種光学機器に用いられている従来公知の光学部品を挙げ
ることができる。具体的には、凹レンズ、凸レンズ、シ
リンドリカルレンズ、プリズム、ビームスプリッター、
回折格子、ダイクロイックフィルタ、ダイクロイックミ
ラー、偏光板、各種透光性基板等が挙げられる。
きる材料であれば特に限定されるものではないが、例え
ば、各種光学ガラス、メタクリル酸メチルまたはその共
重合体等のメタクリル樹脂やUV硬化樹脂等の各種樹脂
が挙げられる。
は、上記光学部品に対して、シランカップリング剤を含
むプライマー溶液を光学部品の表面に塗布した後、乾燥
処理を施してプライマー層を形成する工程である。
限定されるものではなく、少なくともシランカップリン
グ剤が、反射防止膜と光学部品との間でカップリング反
応できるような状態で含まれていれば良いが、好ましく
は、シランカップリング剤と、OH基を有する高沸点溶
剤と、触媒と、水と、希釈溶剤とを含む構成を挙げるこ
とができる。
1Si(OR2)3で表され、有機材料と結合する官能基
Xと、加水分解によりOH基に置換される官能基OR2
基を有するシリコン化合物である。
3は水と反応して加水分解され、シラノールXR1Si
(OH)3となり、シラノールが他のシラノールのOH
基と、XR1Si(OH)2−O−XR1Si(OH)2の
ように結合して、自己縮合によりポリシロキサン層(プ
ライマー層)を形成する。また、プライマー層が有する
官能基Xは光学部品と結合し、プライマー層は光学部品
に密着する。
エポキシ基等が、R2としては低級アルキル基等が挙げ
られる。中でも、官能基Xがアミノ基であるシランカッ
プリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング
剤として、具体的には、γ-メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシランが、アミノ基を有するシランカッ
プリング剤としてはN-β(アミノエチル)γ-アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-
アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
の濃度は、1重量%〜2.5重量%の範囲が好ましく、
1.2重量%〜2.4重量%の範囲がより好ましい。
られることで、本発明のプライマー溶液は、光学部品に
塗布して乾燥させると樹脂に密着したプライマー層を形
成することができる。
ので、OH基を含んでいれば特に限定されるものではな
い。例えば2−メトキシエタノールや2−エトキシエタ
ノール等のアルコールが用いられる。中でもブトキシメ
タノールが好ましい。
0重量%の範囲が好ましい。上記範囲内で高沸点溶剤が
加えられることで、本発明のプライマー溶液は、プライ
マー層を形成した時に、反射防止膜と樹脂とをより良好
に密着させる。
カップリング反応を促進する触媒であれば特に限定され
るものではないが、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸等の酸触媒
が好適に用いられる。この酸触媒は、水に溶解または分
散されて用いられることが好ましく、この点から塩酸が
好適である。反射防止膜中に触媒が残留すると、膜が光
を散乱させ、光学部品に使用する際に問題となる。
は、0.5重量%〜2重量%の範囲が好ましく、0.7
重量%〜1.4重量%の範囲がより好ましい。上記範囲
内で触媒が加えられることで、本発明のプライマー溶液
は、シランカップリング剤のカップリング反応を促進さ
れる。
解させるために加えられる。
重量%〜5.5重量%の範囲が好ましく、2.2重量%
〜4.6重量%の範囲がより好ましい。上記範囲内で水
が加えられることで、本発明のプライマー溶液は、シラ
ンカップリング剤に均一に加水分解を起こすことができ
る。
シランカップリング剤のカップリング反応を妨げないも
のであれば、特に限定されるものではないが、通常メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IP
A)等のアルコールが好適に用いられ、特にメタノール
が好ましい。
84重量%〜95.3重量%の範囲が好ましく、86重
量%〜90重量%の範囲がより好ましい。上記範囲内で
希釈溶剤が加えられることで、本発明のプライマー溶液
は、シランカップリング剤と水とが均一に混合される。
また、水が適度に希釈されるので、シランカップリング
剤が良好に加水分解される。
布(コート)する方法は、特に限定されるものではない
が、例えば、プライマー液を各種刷毛(ブラシ)で塗布
するブラシ法;プライマー液を噴霧するスプレー法;光
学部品が平板状の場合、光学部品を回転させてプライマ
ー液を滴下し、遠心力で広げるスピナー法;光学部品を
プライマー溶液に浸漬して引き上げるディップコーティ
ング法;等が挙げられる。
液を乾燥する方法も特に限定されるものではなく、自然
乾燥や温風加熱で乾燥する方法などが挙げられる。
表面に塗布して乾燥させることで、光学部品の表面にプ
ライマー層を形成する。なお、このプライマー層の厚み
についても特に限定されるものではないが、より薄いほ
うが密着性が上がるので望ましい。膜の厚みはディップ
コーティング法の場合、引き上げ速度により制御でき
る。
プライマー層に対して、反射防止膜形成工程により、さ
らにゾルゲル法により反射防止膜を積層形成する。この
ゾルゲル法では、アルコラート(アルコキシド)化合物
をアルコール中で加水分解して得られるゾル液を、光学
部品の表面に塗布してゲル膜を形成し、該ゲル膜を乾燥
して反射防止膜を形成する。
るものではなく、アルコラート化合物によるゾルゲル反
応を妨げなければよいが、好ましくは、アルコラート化
合物と、触媒と、水と、希釈溶剤とを含む構成を挙げる
ことができる。
アルコラートが非常に好適に用いられ、一般式M(OR
3)nで表される。Mは金属または半導体であり、OR3
基は加水分解によりOH基に置換される置換基である。
解してM(OH)nとなり、さらにゾル液中で水酸基同
士が反応し、M同士がM−O−Mのように自己縮合し、
縮合物のコロイド粒子が溶剤中に細かく分散したゾルが
得られる。
にコートすると、M(OH)nの結合していないOH基
が、プライマー層のOH基と結合する。溶剤中のアルコ
ールが蒸発すると、縮合物の網目構造中に水を含んだま
ま寒天状に固化したゲルとなり、さらに乾燥させると水
が蒸発し、多孔性のゲルが得られ、プライマー層に密着
した、つまり樹脂に密着した縮合物の膜が得られる。
ミ、チタン、シリコン等が利用でき、シリコンアルコラ
ートの中では、加水分解の反応速度が適したテトラエト
キシシランSi(OCH2CH3)4が好適である。すな
わち、Si(OCH3)4では加水分解が起こりやすく、
保管中にゲル化が起こってしまい、安定に保管をするの
が難しく、また、Si(OCH2CH2CH3)4となると
加水分解が起こりにくく、膜形成がしにくい。
17.5重量%〜23.0重量%の範囲が好ましく、1
8.5重量%〜19.5重量%の範囲がより好ましい。
上記範囲内でアルコラート化合物が加えられることで、
本発明のゾル液は、プライマー層に積層して塗布乾燥す
ることでプライマー層に密着した反射防止膜を形成す
る。
であれば特に限定されるものではないが、塩酸、硫酸、
燐酸、酢酸等の酸触媒またはアンモニア、苛性ソーダ、
有機アミン等のアルカリ触媒等が好適に用いられる。こ
の触媒は、水に溶解または分散されて用いられることが
好ましく、この点から塩酸もしくはアンモニアが好適で
ある。反射防止膜中に触媒が残留すると、膜が光を散乱
させ、光学部品に使用する際に問題となる。
重量%〜0.5重量%の範囲が好ましく、0.27重量
%〜0.45重量%の範囲がより好ましい。上記範囲内
で触媒が加えられることで、本発明のゾル液は、アルコ
ラート化合物の縮合が促進される。
に加えられる。
7重量%の範囲が好ましく、6.2重量%〜6.4重量
%の範囲がより好ましい。上記範囲内で水が加えられる
ことで、本発明のゾル液は、アルコラート化合物に均一
に加水分解を起こすことができる。
ート化合物のゾルゲル反応を妨げないものであれば、特
に限定されるものではないが、通常メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコー
ルが好適に用いられ、特にメタノールが好適である。
%〜75.3重量%の範囲が好ましく、74重量%〜7
4.5重量%の範囲がより好ましい。上記範囲内で希釈
溶剤が加えられることで、本発明のゾル液は、アルコラ
ート化合物と水とを均一に混合し、また、水が適度に希
釈されることで、アルコラート化合物が良好に加水分解
される。
ー層に積層塗布する方法は、特に限定されるものではな
く、プライマー溶液の塗布と同様、ブラシ法、スプレー
法、スピナー法、ディップコーティング法等を用いるこ
とができる。
ものではないが、20nm〜100nmの範囲が好まし
く、25nm〜50nmの範囲がより好ましい。膜の厚
みはディップコーティング法の場合、引き上げ速度によ
り制御できる。
燥する方法も特に限定されるものではないが、好ましく
は、加熱処理を用いる。この加熱処理の温度はできるだ
け高い方が望ましいが、樹脂の耐熱性によって温度は制
限される。例えば、アクリル系のUV樹脂を対象とした
場合85℃程度であり、ポリカボーネート樹脂、エポキ
シ樹脂では耐熱性が良いので、より高い温度での処理を
行うことができる。これにより、キセロゲルは焼結し、
膜がより良好な密着性を持った反射防止膜を形成でき
る。
層にゲル膜を積層形成して乾燥することで、光学部品の
表面にプライマー層および反射防止膜が形成される。こ
れによって、反射防止膜を光学部品の表面に良好に密着
させることができる。
カップリング剤XR1Si(OR2) 3を加水分解したシ
ラノールXR1Si(OH)3の縮合体であり、官能基X
は光学部品と結合して密着している。一方、ゲル膜は、
金属系アルコラートM(OR 3)nが加水分解したM(O
H)nの縮合体である。プライマー層とゲル膜とは、と
もに縮合に利用されなかったOH基を有しており、これ
らが互いに結合して反射防止膜はプライマー層に密着す
る。
プリングにより光学部品とゲル膜とを化学結合させるの
で、光学部品に密着して剥がれにくい反射防止膜を形成
することができる。
は、屈折率が、アルミナでは1.63、チタニアでは2.0,シ
リカでは1.46である増反射膜、反射防止膜が得られる。
特にシリカでは加水分解の触媒をアルカリ触媒とする
と、屈折率1.32の高い反射防止能を持つ膜が得られる。
さらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるも
のではない。なお、光学部品の表面に形成された反射防
止膜の密着性は、下記のテープ剥離試験により評価し
た。
面に形成された反射防止膜に対して、粘着テープ(セキ
スイ製セロハンテープ)をしっかりと貼り付けた後、一
気に引き剥がし、粘着テープの剥離に伴う反射防止膜の
剥離状態を目視で観察した。粘着テープの剥離に伴い反
射防止膜が剥離した場合を×、剥離しなかった場合を○
として評価した。
液を調製した。プライマー溶液に含まれる各成分の内、
シランカップリング剤として、N−β(アミノメチル)
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを用い、OH基
を含む高沸点溶剤としてブトキシメタノールを用い、希
釈溶剤としてメタノールを用い、触媒として酸触媒であ
る塩酸を用いた。プライマー溶液の組成は、N−β(ア
ミノメチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランの
濃度が1.2重量%、ブトキシメタノールの濃度が2.
4重量%、水の濃度が2.4重量%、メタノールの濃度
が94.0重量%となるように調整した。塩酸は全体の
液の0.14重量%となるように調製した。
5mm×25mmの大きさを有するUV硬化樹脂(三菱
レーヨン製、商品番号MP121)製の樹脂基板を用
い、この樹脂基板に上記プライマー溶液をディップコー
ティング法により塗布して常温で乾燥させることにより
プライマー層を形成した(プライマー処理工程)。
に含まれる各成分のうち、金属系アルコラートとして、
シリコンアルコラートであるテトラエトキシシラン(S
i(OCH2CH3)4)を用い、希釈溶剤としてメタノ
ールを用い、酸触媒として塩酸を用いた。ゾル溶液の組
成は、テトラエトキシシランの濃度が19.1重量%、
メタノールの濃度が74.2重量%、水の濃度が6.2
重量%、塩酸の濃度が0.5重量%となるように調製し
た。
層上にディップコーティング法により塗布して温風加熱
により熱処理する(反射防止膜形成工程)ことで、本発
明にかかる光学部品(1)を製造した。この光学部品
(1)が有する反射防止膜の密着性を、上記テープ剥離
試験にて評価した。その結果を表1に示す。
て、塩酸の代わりに、アルカリ触媒のアンモニアを、濃
度が0.5重量%となるように用いた以外は、実施例1
と同様にして本発明にかかる光学部品(2)を製造し
た。この光学部品(2)が有する反射防止膜の密着性
を、上記テープ剥離試験にて評価した。その結果を表1
に示す。
ともに、形成されたゲル膜を熱処理しない以外は実施例
1と同様にして比較光学部品(1)を製造した。この光
学部品が有する反射防止膜の密着性を、上記テープ剥離
試験にて評価した。その結果を表1に示す。
外は、すなわち形成されたゲル膜を熱処理するがプライ
マー処理を実施しない以外は実施例1と同様にして比較
光学部品(2)を製造した。この光学部品が有する反射
防止膜の密着性を、上記テープ剥離試験にて評価した。
その結果を表1に示す。
施例の反射防止膜は、樹脂基板上に直接ゲル膜を形成し
たものよりも、反射防止膜と樹脂基板との密着性が増す
ことが確かめられた。
よび2で得られた光学部品(1)および(2)における
反射防止特性を、外部反射率の測定により評価した。
社製U4100分光光度計)を使用し、得られた光学部
品に対して、波長400nm〜1800nmの光を用い
て、透過率を測定した。表面に照射された光は透過する
か反射するかの何れかであるため、反射防止膜により光
の反射が防止された光は、光学部品を透過することにな
る。それゆえ、透過率の測定により反射防止膜の反射防
止特性を測定することができる。なお、コントロールと
して、反射防止膜を形成しない光学部品、すなわちUV
硬化樹脂製基板のみの外部反射率も測定した。その結果
を図1に示す。
防止膜を形成した樹脂基板では、反射防止膜形成してい
ない樹脂基板に比べて、どの波長においても透過率が上
がっており、つまり光学部品の光の表面反射が防止され
ている事が示されている。
を形成する反射防止膜の形成方法と、該反射防止膜を有
する光学部品の製造方法と、この製造方法により製造さ
れる光学部品とであり、これによれば、以上のように、
良好な反射防止特性を保ちながら、密着性に優れた反射
防止膜を形成することができる。したがって、樹脂材料
の基板に反射防止膜を形成することを可能とし、樹脂の
光学部品への利用が可能となるという効果を奏する。
止膜の透過率の測定値を示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】アルコラート化合物をアルコール中で加水
分解して得られるゾル液を、光学部品の表面に塗布して
ゲル膜を形成し、該ゲル膜を乾燥して反射防止膜を形成
する反射防止膜の形成方法において、 さらに、反射防止膜の形成前に、シランカップリング剤
を含むプライマー溶液を光学部品の表面に塗布した後、
乾燥処理を施してプライマー層を形成することを特徴と
する反射防止膜の形成方法。 - 【請求項2】上記シランカップリング剤として、アミノ
基を有する化合物を用いることを特徴とする請求項1に
記載の反射防止膜の形成方法。 - 【請求項3】上記ゲル膜の乾燥には、加熱処理を用いる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜
の形成方法。 - 【請求項4】アルコラート化合物をアルコール中で加水
分解して得られるゾル液を、光学部品の表面に塗布して
ゲル膜を形成し、該ゲル膜を乾燥して反射防止膜を形成
する反射防止膜形成工程を含む、反射防止膜を有する光
学部品の製造方法において、 さらに、反射防止膜形成工程の前に実施される、シラン
カップリング剤を含むプライマー溶液を光学部品の表面
に塗布した後、乾燥処理を施してプライマー層を形成す
るプライマー処理工程を含むことを特徴とする、反射防
止膜を有する光学部品の製造方法。 - 【請求項5】上記シランカップリング剤として、アミノ
基を有する化合物を用いることを特徴とする請求項4に
記載の反射防止膜を有する光学部品の製造方法。 - 【請求項6】上記ゲル膜の乾燥には、加熱処理を用いる
ことを特徴とする請求項4または5に記載の反射防止膜
を有する光学部品の製造方法。 - 【請求項7】上記光学部品が樹脂製であることを特徴と
する請求項4、5または6に記載の反射防止膜を有する
光学部品の製造方法。 - 【請求項8】請求項4ないし7の何れか1項に記載の製
造方法により得られることを特徴とする反射防止膜を有
する光学部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002090033A JP2003287602A (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | 反射防止膜の形成方法、および反射防止膜を有する光学部品の製造方法、並びに反射防止膜を有する光学部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002090033A JP2003287602A (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | 反射防止膜の形成方法、および反射防止膜を有する光学部品の製造方法、並びに反射防止膜を有する光学部品 |
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JP (1) | JP2003287602A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013086469A (ja) * | 2011-10-21 | 2013-05-13 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | 電波透過性装飾部材およびその製造方法 |
WO2016027858A1 (ja) * | 2014-08-21 | 2016-02-25 | 国立大学法人 九州工業大学 | 金属酸化物膜と高分子化合物膜の積層ナノ薄膜の製造方法及び金属酸化物ナノ薄膜の製造方法並びに金属酸化物膜と高分子化合物膜の積層ナノ薄膜 |
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2002
- 2002-03-27 JP JP2002090033A patent/JP2003287602A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013086469A (ja) * | 2011-10-21 | 2013-05-13 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | 電波透過性装飾部材およびその製造方法 |
WO2016027858A1 (ja) * | 2014-08-21 | 2016-02-25 | 国立大学法人 九州工業大学 | 金属酸化物膜と高分子化合物膜の積層ナノ薄膜の製造方法及び金属酸化物ナノ薄膜の製造方法並びに金属酸化物膜と高分子化合物膜の積層ナノ薄膜 |
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