JP2002337704A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動パワーステアリング装置の出力を高出力
化した場合であっても、減速機のバックラッシュに起因
する歯面同士の衝突音（ラトル音）を著しく低減するこ
と。 【解決手段】 電動モータ４の雌スプラインの駆動軸５
に、回転軸６の右端の雄スプライン部６ａが回転不能且
つ軸方向移動自在に連結してある。この回転軸６は、そ
の両側で一対の軸受７，８により回転自在に支持してあ
る。その中央部に形成した雄スプライン部６ｂには、外
周面にウォーム歯が形成してあると共に内周面に雌スプ
ラインが形成してある円筒状のウォーム筒１０が回転不
能で軸方向移動自在に外嵌してある。このウォーム筒１
０の両側と、軸受７，８の内輪との間には、ウォーム筒
１０を両側から弾性的に押圧する一対の弾性部材１１，
１２が取付けてある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電動パワーステア
リング装置に関し、特に、減速機のバックラッシュに起
因する歯面同士の衝突音（ラトル音）を低減することが
できる電動パワーステアリング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両の電動パワーステアリング装置とし
て、補助操舵トルクとなる電動モータの回転出力を歯車
装置により減速して操舵機構の出力軸に伝達し、ステア
リングホイールに印加された操舵力を補助して、車輪の
操舵を行うように構成したものが知られている。このよ
うな電動パワーステアリング装置においては、ハウジン
グ内に設けられた動力伝達機構を用いて、電動モータの
回転を減速しつつ出力軸に動力を伝達している。

【０００３】この動力伝達機構として、ウォームギヤ機
構を用いた電動パワーステアリング装置においては、ウ
ォームとウォームホイールの歯面間に適度なバックラッ
シュを設定する必要がある。

【０００４】即ち、かかるバックラッシュが小さすぎれ
ば、噛合する歯同士が競り合いを起こし、作動トルクが
重くなってハンドル戻りが悪くなる。

【０００５】これに対し、バックラッシュをある程度大
きくすると、歯同士の競り合い等は生じなくなる。ま
た、バックラッシュをある程度大きくしても、ウォーム
ギヤ機構において一方向に動力が伝達されている場合に
は、特に大きな問題を生じさせることはない。

【０００６】ところが、電動パワーステアリング装置に
おいては、ステアリングホイールの操舵に応じて、ある
いは車輪を介して路面から入力される振動等に基づき、
動力の伝達方向が変わりうる。

【０００７】その結果、今まで当接していた歯面の裏側
の歯面が、バックラッシュ分だけ急に移動して、相手の
歯面に衝突し、比較的大きな叩き音が生ずる。かかる叩
き音は、噛み合うギヤの材質、剛性によっても音質が変
化し、またバックラッシュが大きいほど大きくなる傾向
にある。特に鉄系のギヤ同士では、叩き音は耳障りな衝
撃音となって、運転者に不快感を与えるものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このようなバックラッ
シュに起因する歯面同士の打撃音を低減するため、特開
平１１−４３０６２号公報では、電動モータの駆動軸
に、ウォーム付き回転軸が回転不能で軸方向移動自在に
構成してあると共に、ハウジング側に、このウォーム付
き回転軸の一部が当接する弾性部材が設けてある。

【０００９】これにより、ホイールの歯面がウォームの
歯面に衝突すると、ウォーム付き回転軸を軸線方向に移
動させ、ウォーム付き回転軸の一部を弾性部材に当接さ
せて、衝撃力を緩和し、打撃音を低減している。

【００１０】しかしながら、電動パワーステアリング装
置の出力を高出力化した場合、減速機もそれに合わせ
て、その強度を強くしなければならず、ギヤのモジュー
ルが大きくなって、減速機が大型化してしまう。

【００１１】その結果、ウォームと回転軸とを一体的に
構成している場合には、このウォーム付き回転軸の慣性
質量が著しく大きくなってしまうことから、衝撃力を緩
和させて、打撃音を低減する効果が十分に得られないと
いったことがある。

【００１２】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであって、電動パワーステアリング装置の出力を高
出力化した場合であっても、減速機のバックラッシュに
起因する歯面同士の衝突音（ラトル音）を著しく低減す
ることができる電動パワーステアリング装置を提供する
ことを目的する。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る電動パワーステアリング装置は、補助
操舵トルクとなる電動モータの回転出力をウォームギヤ
機構により減速して操舵機構の出力軸に伝達し、ステア
リングホイールに印加された操舵力を補助して、車輪の
操舵を行うように構成した電動パワーステアリング装置
において、電動モータに連結した回転軸に、回転不能で
軸方向移動自在に外嵌して、外周面にウォーム歯を形成
した円筒状のウォーム筒と、このウォーム筒の両側で回
転軸に外嵌して、ウォーム筒を両側から弾性的に押圧す
る一対の弾性部材と、を具備することを特徴とする。

【００１４】このように、本発明によれば、従来公報例
に比べて、電動モータに連結した回転軸に、ウォーム筒
が回転不能で軸方向移動自在に外嵌してあり、ウォーム
筒と回転軸とが別体に構成してある。

【００１５】従って、ホイールの歯面がウォーム筒の歯
面に衝突した場合であっても、ウォーム筒の慣性質量が
極めて小さいため、ウォーム筒への衝撃力を小さくする
ことができ、従来公報例に比べて、弾性部材によりその
衝撃力をより一層緩和することができる。これにより、
電動パワーステアリング装置の出力を高出力化した場合
であっても、打撃音を著しく低減することができる。

【００１６】また、ウォーム筒の慣性質量を小さくする
ことができるため、一対の弾性部材のバネ定数も小さく
することができ、打撃音をより一層低減することができ
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
電動パワーステアリング装置を図面を参照しつつ説明す
る。 （第１実施の形態）図１は、本発明の第１実施の形態に
係る電動パワーステアリング装置の縦断面図である。

【００１８】図１に示すように、本第１実施の形態に係
る電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイ
ール（図示略）に連結した入力軸（図示略）に、トーシ
ョンバー（図示略）等を介して出力軸１が連結してあ
り、この出力軸１に、ウォームギヤ減速機構のホイール
２が固定してある。

【００１９】このウォームギヤ減速機構を収納するハウ
ジング３には、電動モータ４が取付けてある。この電動
モータ４の駆動軸５は、雌スプライン（又は雌セレーシ
ョン）に形成してあり、この雌スプライン等の駆動軸５
に、回転軸６の右端の雄スプライン部６ａ（又は雄セレ
ーション）が回転不能且つ軸方向移動自在に連結してあ
る。

【００２０】この回転軸６は、その両側で一対の軸受
７，８により回転自在に支持してある。その中央部に形
成した雄スプライン部６ｂ（又は雄セレーション）に
は、外周面にウォーム歯が形成してあると共に内周面に
雌スプライン（又は雌セレーション）が形成してある円
筒状のウォーム筒１０が回転不能で軸方向移動自在に外
嵌してある。

【００２１】このウォーム筒１０の両側と、軸受７，８
の内輪との間には、ウォーム筒１０を両側から弾性的に
押圧する一対の弾性部材１１，１２が取付けてある。

【００２２】なお、一対の弾性部材１１，１２には、そ
れぞれ、金属フランジ１３，１４が設けてある。右側の
弾性部材１１の金属フランジ１３は、ウォーム筒１０の
移動時（ストローク時）、ウォーム筒１０に当接して、
ストローク規制する働きをする。また、左側の弾性部材
１２の金属フランジ１４及び軸受８の内輪と、回転軸６
との間には、スリーブ１５が圧入等により介装してあ
る。このスリーブ１５の鍔部は、ウォーム筒１０の移動
時（ストローク時）、軸受８の内輪と弾性部材１２との
間で挟持されながら、ストローク規制する働きをする。
さらに、軸受７，８とウォーム筒１０との間に弾性部材
１１，１２が設けてあるため、軸受７、８の軸方向のガ
タ付きも与圧して無くすことができ、また、軸受７，８
ガタ付きによる音も無くすことができる。

【００２３】以上のように構成した電動パワーステアリ
ング装置では、以下のように作用する。

【００２４】直線路走行時のように微少なハンドル操作
の場合には、電動モータを駆動せず電動モータによる補
助操舵力を用いずに、ハンドルの操舵力のみを出力軸１
に直接伝達するようにしている。また、例えば車両がカ
ーブを曲がろうとする時などのように、ハンドルの操舵
角が大きい場合には、電動モータ４の回転出力をウォー
ムギヤ機構により減速して操舵機構の出力軸１に伝達
し、ハンドルに印加された操舵力を補助して、車輪の操
舵を行なっている。

【００２５】本実施の形態では、電動モータ４に連結し
た回転軸６に、ウォーム筒１０が回転不能で軸方向移動
自在にスプライン等嵌合してあるため、ホイール２の歯
面がウォーム筒１０の歯面に衝突すると、ウォーム筒１
０を軸線方向に移動させて弾性部材１１，１２に当接さ
せて、衝撃力を緩和し、打撃音を低減することができ
る。

【００２６】この際、ウォーム筒１０と回転軸６とが別
体に構成してあるため、ウォーム筒１０の慣性質量が極
めて小さく、ウォーム筒１０への衝撃力を著しく小さく
することができ、その衝撃力をより一層緩和することが
できる。従って、電動パワーステアリング装置の出力を
高出力化した場合であっても、打撃音を著しく低減する
ことができる。

【００２７】また、ウォーム筒１０の慣性質量を小さく
することができるため、一対の弾性部材１１，１２のバ
ネ定数も小さくすることができ、より一層打撃音を低減
することができる。 （第２実施の形態）図２は、本発明の第２実施の形態に
係る電動パワーステアリング装置の縦断面図である。

【００２８】本第２実施の形態では、回転軸６が電動モ
ータ４の駆動軸５に一体的に構成してある。その他の構
成及び作用は、上記第１実施の形態と同様である。

【００２９】なお、回転軸６は、電動モータ４の駆動軸
により軸方向規制してあるため、第１実施の形態のスリ
ーブ１５は、不要となる。

【００３０】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されず、種々変形可能である。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来公報例に比べて、電動モータに連結した回転軸に、
ウォーム筒が回転不能で軸方向移動自在に外嵌してあ
り、ウォーム筒と回転軸とが別体に構成してある。

【００３２】従って、ホイールの歯面がウォーム筒の歯
面に衝突した場合であっても、ウォーム筒の慣性質量が
極めて小さいため、ウォーム筒への衝撃力を小さくする
ことができ、従来公報例に比べて、弾性部材によりその
衝撃力をより一層緩和することができる。これにより、
電動パワーステアリング装置の出力を高出力化した場合
であっても、打撃音を著しく低減することができる。

【００３３】また、ウォーム筒の慣性質量を小さくする
ことができるため、一対の弾性部材のバネ定数も小さく
することができ、打撃音をより一層低減することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施の形態に係る電動パワーステ
アリング装置の縦断面図である。

【図２】本発明の第２実施の形態に係る電動パワーステ
アリング装置の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 出力軸 ２ ホイール ３ ハウジング ４ 電動モータ ５ 駆動軸 ６ 回転軸 ６ａ，６ｂ 雄スプライン部（又は雄セレーション） ７，８ 軸受 １０ ウォーム筒 １１，１２ 弾性部材 １３，１４ 金属フランジ １５ スリーブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】補助操舵トルクとなる電動モータの回転出
   力をウォームギヤ機構により減速して操舵機構の出力軸
   に伝達し、ステアリングホイールに印加された操舵力を
   補助して、車輪の操舵を行うように構成した電動パワー
   ステアリング装置において、 電動モータに連結した回転軸に、回転不能で軸方向移動
   自在に外嵌して、外周面にウォーム歯を形成した円筒状
   のウォーム筒と、 このウォーム筒の両側で回転軸に外嵌して、ウォーム筒
   を両側から弾性的に押圧する一対の弾性部材と、を具備
   することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
2. 【請求項２】回転軸は、電動モータの駆動軸に一体的に
   構成したことを特徴とする請求項１に記載の電動パワー
   ステアリング装置。