JP2002337470A - 平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版原版

Info

Publication number
JP2002337470A
JP2002337470A JP2001143893A JP2001143893A JP2002337470A JP 2002337470 A JP2002337470 A JP 2002337470A JP 2001143893 A JP2001143893 A JP 2001143893A JP 2001143893 A JP2001143893 A JP 2001143893A JP 2002337470 A JP2002337470 A JP 2002337470A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrophilic
layer
polymer
printing plate
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001143893A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Takahashi
美紀 高橋
Koichi Kawamura
浩一 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001143893A priority Critical patent/JP2002337470A/ja
Priority to EP02007365A priority patent/EP1249342B1/en
Priority to DE60215413T priority patent/DE60215413T2/de
Priority to AT02007365T priority patent/ATE342800T1/de
Priority to US10/118,051 priority patent/US6730456B2/en
Publication of JP2002337470A publication Critical patent/JP2002337470A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件にお
いても、非画像部に汚れが生じない印刷物が得られるポ
ジ型又はネガ型の平版印刷版原版を提供する。 【解決手段】 支持体上に、架橋構造を有し、かつ親水
性グラフト鎖を有する親水性高分子化合物を含有する架
橋親水層と、画像形成層とを順次積層してなる平版印刷
版原版であって、該架橋親水層が幹ポリマーに架橋剤と
反応し得る基を有する親水性高分子化合物を架橋剤と反
応させて得られることを特徴とする。この画像形成層と
しては、酸、加熱または輻射線の照射により親水性/疎
水化が変化する官能基を有する高分子化合物を含有する
態様であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な平版印刷版原
版に関するものであり、詳細には、デジタル信号に基づ
いてレーザ光による画像の走査露光が可能であり、感度
及び汚れ性に優れた平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷は、インキを受容する親油性領
域と、インキを受容せず湿し水を受容する撥インク領域
(親水性領域)を有する版材を利用する印刷方法であ
り、現在では広く感光性の平版印刷版原版(PS版)が
用いられている。PS版は、アルミニウム板などの支持
体の上に、感光層を設けたものが実用化され広く用いら
れている。このようなPS版は、画像露光および現像に
より非画像部の感光層を除去し、基板表面の親水性と画
像部の感光層の親油性を利用して印刷が行われている。
このような版材では、非画像部の汚れ防止のため、基板
表面には高い親水性が要求される。
【0003】従来、平版印刷版に用いる親水性基板又は
親水性層としては、陽極酸化されたアルミニウム基板、
若しくはさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化され
たアルミニウム基板をシリケート処理することが一般的
に行なわれている。さらに、これらアルミニウム支持体
を用いた親水化基板若しくは親水性層に関する研究が盛
んに行われており、例えば、特開平7−1853号公報
には、ポリビニルホスホン酸で下塗り剤で処理された基
板が、また、特開昭59−101651号公報には、感
光層の下塗り層としてスルホン酸基を有するポリマーを
使用する技術がそれぞれ記載されており、その他にも、
ポリビニル安息香酸などを下塗り剤として用いる技術も
提案されている。
【0004】一方、アルミニウムの様な金属支持体を用
いずPET(ポリエチレンフタレート)、セルロースア
セテートなどのフレキシブルな支持体を用いたときの親
水性層に関しては、特開平8−292558号公報に記
載の親水性ポリマーと疎水性ポリマーとからなる膨潤親
水層、EP0709228号に記載のマイクロポーラス
な親水性架橋シリケート表面を有するPET支持体、特
開平8−272087号、同8−507727号の各公
報に記載の親水性ポリマーを含有し加水分解されたテト
ラアルキルオルソシリケートで硬化された親水性層等
の、種々の技術が提案されている。
【0005】これらの親水性層は、従来のものより親水
性が向上し、印刷開始時には汚れの生じない印刷物が得
られる平版印刷版を与えたが、印刷を繰り返すうちに剥
離したり、親水性が経時的に低下したりする問題があ
り、より厳しい印刷条件においても、親水性層が支持体
から剥離したり、表面の親水性が低下することなく、多
数枚の汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版原版
が望まれていた。また、実用的な観点から、さらなる親
水性の向上も要求されるのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の諸問題を解
決すべくなされた本発明の目的は、親水性が高く、ま
た、その持続性に優れた親水性層を備えることで、特に
印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、汚
れが生じない印刷物が多数枚得られるポジ型またはネガ
型の平版印刷版原版を提供することにある。本発明の更
なる目的は、デジタル信号に基づいた走査露光による製
版が可能であり、且つ、画像形成後に簡易な水現像処理
操作による製版、あるいは、特別の現像処理を行なうこ
となく、そのまま印刷機に装着し印刷すること、が可能
な平版印刷版原版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく検討した結果、架橋親水層に親水性グラ
フト鎖を導入し、該架橋親水層上にネガ型又はポジ型の
画像形成層を形成することにより問題が解決することを
見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の平版印刷版原版は、支
持体上に、架橋構造を有し、かつ親水性グラフト鎖を有
する親水性高分子化合物を含有する架橋親水層と、画像
形成層とを順次積層してなる平版印刷版原版であって、
該架橋親水層が幹ポリマーに架橋剤と反応し得る基を有
する親水性高分子化合物を架橋剤と反応させて得られる
ことを特徴とする。ここで、画像形成層としては、酸、
加熱または輻射線の照射により親水性/疎水化が変化す
る官能基を有する高分子化合物を含有し、表面の疎水性
/親水性の変化を利用して画像形成するものが好ましい
態様である。
【0009】本発明の作用は明確ではないが、架橋親水
層が、幹ポリマーに架橋剤と反応し得る基を有する親水
性高分子化合物を架橋剤と反応させることにより形成さ
れた架橋構造を有するため、優れた親水性と共に、強固
な架橋構造による高耐刷性が実現でき、且つ、該親水性
高分子化合物には、親水性基がグラフト鎖が導入されて
いることから、親水性の官能基が運動性の高いグラフト
鎖の状態で存在するため、印刷時に供給される湿し水の
給排水速度が速くなり、高い親水性により非画像部の汚
れを効果的に抑制し得るものと推定される。
【0010】さらに、本発明の好ましい態様として、前
記架橋親水層上に、酸、加熱または輻射線の照射により
親水性/疎水性が変化する官能基(以下、適宜、極性変
換基と称する)を有する高分子化合物を含有する画像形
成層(記録層)を設けることにより、短時間でのレーザ
ー光等による画像の走査露光が可能となり、また、この
画像形成方式は、表面の極性を変化させることにより画
像部、非画像部を形成することから、簡易な水現像処理
操作による製版、あるいは、現像処理を必要とせず、直
接印刷機に装着して製版するという機上現像性を実現で
きた。また、ここで画像形成層に用いられる高分子化合
物の極性変換基としては、疎水性から親水性に変化する
官能基と、親水性から疎水性に変化する官能基の2種類
があり、これらの極性変換基を有する高分子化合物の選
択によって、同じ層構成において、ポジ型及びネガ型の
いずれの平版印刷版原版も提供することができるという
利点も有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の平版印刷版原版に
ついて詳細に説明する。本発明の平版印刷版原版は、支
持体上に、親水性グラフト鎖と架橋剤と反応し得る基と
が導入された架橋親水層と、画像形成層(感光性、もし
くは感熱性の記録層)とを順次積層してなる。なお、本
発明において「順次積層する」とは、支持体上に、前記
2つの層がこの順に備えられていることを指し、本発明
の効果を損なわない範囲において所望により設けられる
他の層、例えば、オーバーコート層、下塗り層、中間
層、バックコート層などの存在を否定するものではな
い。以下、本発明の平版印刷版原版の各構成について詳
細に説明する。
【0012】〔架橋親水層〕架橋親水層には親水性グラ
フトポリマー鎖が存在する 本発明において支持体上に形成される親水層は、親水性
グラフトポリマー鎖が存在する親水層を指し、これは親
水性グラフトポリマー鎖が幹高分子化合物に結合したも
のを用いて、側鎖に親水性グラフトポリマー鎖を有する
該高分子化合物が支持体上に塗布或いは塗布架橋により
配置されたものである。本発明においては、親水性グラ
フトポリマー鎖がポリマー架橋膜構造の中に導入されて
いる親水性グラフト鎖導入架橋親水層を単に架橋親水層
と称する。
【0013】[親水性グラフト鎖導入架橋親水層の作成
方法]本発明の親水性グラフト鎖が導入された架橋親水
層は、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方
法を用いてグラフトポリマーを作成し、それを架橋する
ことで作成することができる。具体的にはグラフト重合
体の合成は“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭
和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学
2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版
(株)1995、に記載されている。
【0014】グラフト重合体の合成は基本的に、1.幹
高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝
高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合
させる(マクロマー法)の3つの方法に分けられる。こ
れらの3つの方法のうち、いずれも使用して本発明の親
水性表面を作成することができるが、特に製造適性、膜
構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優
れている。
【0015】マクロマーを使用したグラフトポリマーの
合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反
応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載され
ている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工
業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されてい
る。具体的にはアクリル酸、アクリルアミド、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニ
ルアセトアミドなど、上記の有機架橋親水層として具体
的に記載した下記親水性モノマー使用して文献記載の方
法に従い親水性マクロマーを合成することができる。
【0016】(親水性モノマー)親水性グラフトポリマ
ー鎖を形成するのに有用な親水性モノマーとは、アンモ
ニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー
もしくはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホ
スホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離し
うる酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他に
も、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、ア
ルコキシ基、シアノ基、などの非イオン性の基を有する
親水性モノマーを用いることもできる。本発明におい
て、特に有用な親水性モノマーの具体例としては、次の
モノマーを挙げることが出来る。例えば、(メタ)アク
リル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イ
タコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、
アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビ
ニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびア
ミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩
およびアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはそ
のアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン
(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)
アクリレートもしくはそのアルカリ金属塩およびアミン
塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッ
ドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン
化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン
酸、アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化
水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン
酸、アミノ基もしくはそれらの塩、などを使用すること
ができる。また2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール
(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセ
トアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸
塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レートなども有用である。
【0017】(親水性マクロマー)本発明で使用される
親水性マクロマーのうち特に有用なものは、アクリル
酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマー
から誘導されるマクロマー、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン
酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸
系マクロマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなど
のアミド系マクロマー、N−ビニルアセトアミド、N−
ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミド
モノマーから誘導されるアミド系マクロマー、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有
モノマーから誘導されるマクロマー、メトキシエチルア
クリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレ
ート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアル
コキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから
誘導されるマクロマーである。またポリエチレングリコ
ール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモ
ノマーも本発明のマクロマーとして有用に使用すること
ができる。これらのマクロマーのうち有用な分子量は4
00〜10万の範囲、好ましい範囲は1000〜5万、
特に好ましい範囲は1500〜2万の範囲である。分子
量が400以下では効果を発揮できず、また10万以上
では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が悪くな
る。
【0018】これらの親水性マクロマーを合成後、親水
性グラフト鎖が導入された架橋親水層を作成する一つの
方法は、上記の親水性マクロマーと反応性官能基を有す
る他のモノマーと共重合させ、グラフト共重合ポリマー
を合成しその後、合成したグラフト共重合ポリマーとポ
リマーの反応性官能基と反応する架橋剤とを支持体上に
塗布し、熱により反応させて架橋させ作成することがで
きる。もしくは親水性マクロマーと光架橋性基、もしく
は重合性基を有するグラフトポリマーを合成し、それを
支持体上に塗布して光照射により反応させて架橋させ作
成することができる。
【0019】本発明の平版印刷版原版は、通常、上記架
橋親水層の各成分を溶媒に溶解して、適当な支持体上に
塗布、架橋することにより製造することができる。ここ
で使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シク
ロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチル
エーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メト
キシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルア
セテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチ
ル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリ
ドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロ
ラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれ
に限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混
合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全
固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いること
ができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、ス
プレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイ
フ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることがで
きる。
【0020】架橋親水層の膜厚は目的により選択できる
が、一般的には乾燥後の塗布量で、0.5〜5.0g/
2の範囲であり、好ましくは1.0〜3.0g/m2
範囲である。塗布量が、0.5g/m2より少ないと親
水性の効果が発現しにくくなり、5.0g/m2を超え
ると感度や膜強度の低下を生じる傾向があるため、いず
れも好ましくない。
【0021】〔画像形成層〕本発明の画像形成層として
は、前記好ましい態様である、酸、加熱または輻射線の
照射により親水性/疎水化が変化する官能基を有する高
分子化合物を含有する画像形成層の他、従来のPS版、
およびフォトレジストの分野で公知のポジ型又はネガ型
の感光性画像形成層を使用することができる。まず、本
発明の好ましい画像形成層の主成分である、極性変換基
を有する高分子化合物について説明する。この高分子化
合物に導入される極性変換基は、前述のように、疎水性
から親水性に変化する官能基と、親水性から疎水性に変
化する官能基の2種類がある。
【0022】(疎水性から親水性に変化する官能基を側
鎖に有する高分子化合物)極性変換基を側鎖を有するポ
リマーのうち、疎水性から親水性に変化する官能基を側
鎖に有するポリマーの具体例としては、特開平10−2
82672号公報記載のスルホン酸エステルポリマー、
スルホンアミド、およびEP0652483号、同6−
502260号、同7−186562号の各公報に記載
のカルボン酸エステルポリマーを挙げることができる。
これらの疎水性から親水性に変化する側鎖を有するポリ
マーのうち、特に有用な化合物は2級のスルホン酸エス
テルポリマー、3級のカルボン酸エステルポリマーおよ
びカルボン酸アルコキシアルキルエステルポリマーであ
る。
【0023】以下、スルホン酸エステルポリマー、及び
カルボン酸エステルポリマーの具体例を以下に示すが、
本発明は、これらに限定されるものではない。なお、例
示化合物(1p−1)乃至(1p−8)はスルホン酸エ
ステルポリマーであり、例示化合物(a1)乃至(a1
0)はカルボン酸エステルポリマーである。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】本発明において、これらのスルホン酸エス
テルポリマー、又はカルボン酸エステルポリマーを用い
る場合には、画像形成層(感光性もしくは感熱性の記録
層)の全固形分中、5〜99重量%程度であり、10〜
98重量%が好ましく、30〜90重量%がさらに好ま
しい。
【0027】(親水性から疎水性に変化する官能基を側
鎖に有する高分子化合物)親水性から疎水性に変化する
官能基を側鎖に有するポリマーの具体例としては、特開
平6−317899号公報記載のアンモニウム塩基を有
するポリマー、および特開2000−309174号公
報(特願平11−118295号明細書)記載のスルホ
ニル酢酸などの下記一般式(1)で示されるような脱炭
酸型極性変換基を有するポリマーが挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】(式中、Xは−O−、−S−、−Se−、
−NR3−、−CO−、−SO−、−SO2−、−PO
−、−SiR34−、−CS−を表し、R1、R2
3、R4は各々独立して1価の基を表し、Mは陽電荷を
有するイオンを表す。) R1、R2、R3、R4の具体例としては、−F、−Cl、
−Br、−I、−CN、−R5、−OR5、−OCO
5、−OCOOR5、−OCONR56、−OSO
25、−COR5、−COOR5、−CONR56、−N
56、−NR5−COR6、−NR5−COOR6、−N
5−CONR67、−SR5、−SOR5、−SO
25、−SO35等が挙げられる。R5、R6、R7の具
体例としては、水素、アルキル基、アリール基、アルケ
ニル基、アルキニル基が挙げられ、これら官能基の具体
例としては、前述のような官能基が挙げられる。
【0030】これらのうちR1、R2、R3、R4として好
ましいのは、水素、アルキル基、アリール基、アルキニ
ル基、アルケニル基である。本発明における極性変換高
分子化合物は、上記のような親水性官能基を有するモノ
マー1種の単独重合体であっても、2種以上の共重合体
であっても良い。また、本発明の効果を損なわない限
り、他のモノマーとの共重合体であっても良い。本発明
における疎水性から親水性に変化する側鎖を有する高分
子化合物の具体例〔例示化合物(p−1)乃至(p−1
7)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】これら極性変換高分子化合物の、本発明の
平版印刷版原版の画像形成層の全固形物中に占める割合
は0.01〜94重量%が好ましく、より好ましくは
0.05〜90重量%の範囲である。
【0034】前述のように、本発明に係る画像形成層に
は、前記極性変換型の画像形成層の他、公知の種々の画
像形成機構を有する画像形成層を設けることができる。
以下、それら公知の画像形成層に用いる成分などについ
て説明する。(ポジ作用感光層組成物)本発明におい
て、ポジ作用感光層組成物としては、以下に示す従来公
知のポジ作用感光層組成物[(a)〜(b)]を用いる
ことが好適である。
【0035】(a)ナフトキノンジアジドとノボラック
樹脂とを含有してなる従来から用いられているコンベン
ショナルポジ作用感光性組成物。 (b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と
酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅型ポジ
作用感光性組成物。
【0036】上記(a)及び(b)は、いずれも当分野
においてはよく知られたものであるが、以下に示すポジ
作用感応性組成物〔(c)〜(f)〕と組み合わせて用
いることがさらに好適である。
【0037】(c)特願平9−26878号明細書に記
載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出来
る、スルホン酸エステルポリマーと赤外線吸収剤とを含
有してなるレーザー感応性ポジ組成物。 (d)EP652483号、特開平6−502260号
に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出
来る、カルボン酸エステルポリマーと、酸発生剤若しく
は赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ組
成物。 (e)特開平11−95421号に記載のアルカリ可溶
性化合物、及び熱分解性でありかつ分解しない状態では
アルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物
質を含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。 (f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製するこ
とができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解
抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型組成物。
【0038】(ネガ作用感光層組成物)本発明におい
て、ネガ作用感光層組成物としては、以下に示す従来公
知のネガ作用感応性組成物((g)〜(j))を用いる
ことができる。
【0039】(g)光架橋性基を有するポリマー、アジ
ド化合物を含有してなるネガ作用感応性組成物。 (h)特開昭59−101651号に記載のジアゾ化合
物を含有してなるネガ作用感応性組成物。 (i)US262276号、特開平2−63054号に
記載の光重合開始剤、付加重合性不飽和化合物を含有し
てなる光重合性ネガ作用感応性組成物。 (j)特開平11−95421号記載のアルカリ可溶性
化合物、酸発生剤、酸架橋性化合物を含有してなるネガ
作用感応性組成物。
【0040】〔その他の成分〕本発明の平版印刷版原版
の画像形成層には、種々の特性を得るため、必要に応じ
て上記以外に種々の化合物を添加してもよい。
【0041】本発明の平版印刷版原版の画像形成層に
は、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤と
して使用することができる。具体的にはオイルイエロー
#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#3
12、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイ
ルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラッ
クBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化
学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタ
ルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレッ
ト(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミ
ンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(C
I42000)、メチレンブルー(CI52015)な
ど、あるいは特開昭62−293247号公報に記載さ
れている染料を挙げることができる。これらの染料は、
画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいの
で、添加する方が好ましい。尚、添加量は、画像形成層
の全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合であ
る。
【0042】また、本発明の平版印刷版原版の画像形成
層には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、
特開昭62−251740号公報や特開平3−2085
14号公報に記載されているような非イオン界面活性
剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13
149号公報に記載されているような両性界面活性剤を
添加することができる。非イオン界面活性剤の具体例と
しては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノ
パルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸
モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例として
は、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポ
リアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カ
ルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウ
ムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型
(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等
が挙げられる。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活
性剤の平版印刷版原版の画像形成層に占める割合は、
0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.
1〜5重量%である。
【0043】更に本発明の平版印刷版原版の画像形成層
には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑
剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレ
ングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジへキシル、フタル酸
ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、
リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリ
ル、アクリル酸又はメタアクリル酸のオリゴマー及びポ
リマー等が用いられる。
【0044】これら以外にも、添加剤として公知のオニ
ウム塩やハロアルキル置換されたs−トリアジン、及び
エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには特願平7
−18120号明細且に記載のヒドロキシメチル基を持
つフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェ
ノール化合物等を添加してもよい。
【0045】本発明において、画像形成層は、通常前記
各成分を溶媒に溶かして、架橋親水層上に塗布すること
により形成される。ここで使用する溶媒としては、エチ
レンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケ
トン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−
プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メ
トキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、
乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレ
ア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ス
ルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等をあげ
ることができるがこれに限定されるものではない。これ
らの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の
上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましく
は1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる
画像形成層の塗布量(固形分)は、用途によって異なる
が、0.1g/m2〜10g/m2の範囲であり、好まし
くは0.5g/m 2〜5g/m2の範囲である。塗布量の
減少に伴い感度は上昇するが、少なすぎると耐刷性が低
下し、また、塗布量を多くするに従って膜性は向上する
が、多すぎると感度が低下したり、印刷物の細線再現性
が低下する傾向がある。塗布する方法としては、種々の
方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗
布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ
塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等
を挙げることができる。
【0046】本発明における平版印刷版原版の画像形成
層には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特
開昭62−170950号公報に記載されているような
フッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい
添加量は、画像形成層の全固形分中、0.01〜1重量
%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0047】(支持体)本発明の平版印刷版原版に使用
される支持体は寸度的に安定な板状物であり、必要な強
度、耐久性、可撓性などの特性を有するものであれば特
に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミ
ネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜
鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セ
ルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロー
ス、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロ
ース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ
ビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若
しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム等が挙げら
れる。本発明の支持体としては、ポリエステルフィルム
又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板が特に好まし
い。
【0048】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む
合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着
されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合
金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、
マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チ
タン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量
%以下である。本発明において特に好適なアルミニウム
は、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウ
ムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を
含有するものでもよい。このように本発明に適用される
アルミニウム板は、その組成が特定されるものではな
く、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に
利用することができる。本発明で用いられるアルミニウ
ム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.
2mm〜0.3mmである。
【0049】(光熱変換物質)なお、本発明の平版印刷
版原版をIRレーザーなどで画像記録する場合には、光
エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換物
質を平版印刷版原版のどこかに含有させておくことが好
ましい。該光熱変換物質を含有させておく部分として
は、例えば、画像形成層、架橋親水層、支持体表面層、
支持体のいずれが挙げられ、その他にも、画像形成層と
架橋親水層との間、もしくは支持体表面層と支持体との
間に薄層を設け、そこに添加してもよい。
【0050】本発明の平版印刷版原版に用い得る光熱変
換物質としては特に制限はなく、紫外線、可視光線、赤
外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質な
らば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カーボ
ングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、鉄粉、
黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫
化鉄、硫化クロム等が挙げられる。特に、好ましいの
は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に
吸収する染料、顔料または金属である。
【0051】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好ま
しい染料としては、例えば、特開昭58−125246
号、特開昭59−84356号、特開昭59−2028
29号、特開昭60−78787号等に記載されている
シアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭5
8−181690号、特開昭58−194595号等に
記載されているメチン染料、特開昭58−112793
号、特開昭58−224793号、特開昭59−481
87号、特開昭59−73996号、特開昭60−52
940号、特開昭60−63744号等に記載されてい
るナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に
記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,
875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0052】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号
(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号に記載されているピ
リリウム系化合物、特開昭59−216146号記載の
シアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物も好ましく用いられる。また、好ましい別
の染料の例として、米国特許第4,756,993号明
細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外
吸収染料を挙げることができる。これらの染料のうち特
に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウ
ム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げ
られる。
【0053】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類として
は、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、
赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、
金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。
具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合ア
ゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、ア
ントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チ
オインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン
系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔
料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニ
トロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブ
ラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいも
のはカーボンブラックである。
【0054】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法に
は樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を
付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリ
ング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔
料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処
理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印
刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最
新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載
されている。
【0055】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、0.1μm〜1μmの範
囲にあることが特に好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の光熱変換物質含有層塗布液中で
の安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越える
と光熱変換物質含有層の均一性の点で好ましくない。顔
料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等
に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機とし
ては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パー
ルミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デス
パーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3
本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載がある。
【0056】これらの染料又は顔料は、光熱変換物質含
有層全固形分の0.01〜50重量%、好ましくは0.
1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜1
0重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10重量
%の割合で使用することができる。顔料又は染料の添加
量が0.01重量%未満であると感度向上効果が充分に
得られず、また50重量%を越えると光熱変換物質含有
層の膜強度が弱くなる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明の範囲はこれらによって限定されるもので
はない。 〔本発明のポリマーの合成例1〕 (アミドマクロモノマーの合成)アクリルアミド30
g、3-メルカプトプロピオン酸3.8gをエタノール7
0gに溶解後、窒素雰囲気下60度に昇温し、熱重合開
始剤2,2−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)30
0mgを加えて6時間反応した。反応後白色沈殿を濾過
し、メタノールで十分洗浄して、末端カルボン酸プレポ
リマーを30.8g得た(酸価0.787meq/g、
分子量1.29×103)。得られたプレポリマー20
gをジメチルスルホキシド62gに溶解し、グリシジル
メタクリレート6.71g、N,N-ジメチルドデシルアミ
ン(触媒)504mg、ハイドロキノン(重合禁止剤)
62.4mgを加え、窒素雰囲気下140度で7時間反
応した。反応溶液をアセトンに加え、ポリマーを沈殿さ
せ、よく洗浄して末端メタクリレートアクリルアミドマ
クロモノマーを23.4g得た(重量平均分子量:14
00)。H1−NMR(D2O)6.12、5.70pp
mメタクリロイル基オレフィンピークと、酸価(0.0
57meq/g)の減少から、末端に重合性基が導入で
きたことを確認した。
【0058】(アミドマクロモノマーを用いたグラフト
ポリマー(1)の合成)蒸留水5gの入ったフラスコ
に、上記マクロモノマー4g、メタクリル酸ナトリウム
6g、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン](VA061:商品名、和光純薬工
業(株)製)100mgを蒸留水17gに溶解した水溶
液を窒素雰囲気下65度で2時間かけて滴下した。滴下
終了後、引き続き6時間加熱を続けた。反応溶液をアセ
トンに加えポリマーを沈殿させよく洗浄して、グラフト
ポリマー(1)6.95gを得た(分子量1.30×1
5、収率92.7%)。
【0059】〔実施例1:ポジ型平版印刷版原版〕 (支持体の作製)厚さ0.30mmのアルミニウム板
(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂し
た後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−
水懸濁液とを用いその表面を砂目立てした後、水でよく
洗浄した。この板を45℃の25重量%水酸化ナトリウ
ム水溶液に9秒間浸漬してエッチングし、水洗後、さら
に2重量%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。この時、
砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、この板を7重量%硫酸を電解液として電流密度1
5A/dm2で、陽極酸化皮膜の厚さが2.4g/m2
なるように、直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥し
て支持体を得た。
【0060】(架橋親水層)上記アルミニウム支持体基板
上に下記に示す組成物の架橋親水性層塗布液1を乾燥後
の塗布重量が2g/m2となるように塗布し、140℃
で1時間加熱して架橋親水層を形成した。
【0061】 (架橋親水層塗布液1) ・グラフトポリマー(1)(上記合成例1で得られたもの) 1.0g ・エチレングリコールジグリシジルエーテル 0.2g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.24g (エマルゲン910:商品名、花王(株)製10%水溶液) ・1N塩酸水溶液 8.2g ・水 11.6g
【0062】(画像形成層)下記、画像形成層塗布液1を
ロッドバー#15を使用して、前記架橋親水層(1)の
上に乾燥後の塗布量が2.6g/m2となるように塗布
し、80℃で55分乾燥してポジ型画像形成層を形成
し、実施例1の平版印刷版原版Aを得た。 (画像形成層塗布液1:スルホン酸エステル系) ・スルホン酸エステルポリマー〔例示化合物(1p−4)〕 0.4g ・赤外線吸収性染料〔IRG22(商品名)、日本化薬製〕 50mg ・メチルエチルケトン 4.0g
【0063】〔平版印刷版原版の評価〕得られたポジ型
平版印刷版原版Aに対してPearl setter
(Presstek社製、露光条件:908nmIRレ
ーザ、出力1.2w、主走査速度2M/sec)を用い
て画像露光を行った。露光した版を現像処理することな
く印刷機(Ryoubi3200(商品名)、リョウビ
イマジクス(株)社製)に装着し、そのまま印刷を開始
した。湿し水としてIF201(2.5%)、IF20
2(0.75%)(富士写真フイルム(株)製)を、イ
ンキとしてGEOS−G墨(大日本インキ化学工業
(株)製)を用いた。印刷工程の初期において、非画像
部に残存した画像形成層は除去され、高画質の印刷物が
得られた。その後も連続的に印刷を継続したところ、本
発明の平版印刷版原版は、2,000枚印刷しても非画
像部に汚れのない良好な印刷物が得られ、優れた親水性
が維持され、また、耐刷性にも優れることがわかった。
【0064】〔実施例2:ネガ型感熱性平版印刷版原
版〕実施例1と同様の支持体上に、同様の架橋親水層を
設けたものを使用し、画像形成層の形成に、下記画像形
成層塗布液2を用い、ネガ型画像形成層を形成した他
は、実施例1と同様にしてネガ型平版印刷版原版Bを得
た。 (画像形成層塗布液2:スルホニル酢酸系) ・スルホニル酢酸系ポリマー〔例示化合物(p−1)〕 0.4g ・赤外線吸収性染料〔IRG22(商品名)、日本化薬製〕 50mg ・メタノール 4.0g
【0065】〔平版印刷版原版の評価〕得られたネガ型
平版印刷版原版Bに対して、実施例1と同じ条件にて画
像露光を行った。露光した版を現像処理することなく印
刷機(Ryoubi3200(商品名)、リョウビイマ
ジクス(株)社製)に装着し、そのまま印刷を開始し
た。湿し水としてIF201(2.5%)、IF202
(0.75%)(富士写真フイルム(株)製)を、イン
キとしてGEOS−G墨(大日本インキ化学工業(株)
製)を用いた。印刷工程の初期において、直ちに高画質
の印刷物が得られた。その後も連続的に印刷を継続した
ところ、実施例2の平版印刷版原版Bは、2,000枚
印刷しても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得ら
れ、実施例1と同様にネガ型画像形成層を用いた場合に
も、本発明の平版印刷版原版より得られた平版印刷版は
優れた親水性が維持され、また、耐刷性にも優れること
がわかった。
【0066】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、厳しい印刷
条件においても高い親水性が維持され、耐刷性が良好で
あり、非画像部に汚れが生じない高画質の印刷物が多数
枚得られる。さらに、極性変換基を有する高分子化合物
を含む画像形成層を組合せた場合、デジタル信号に基づ
いた走査露光による製版が可能であり、且つ、簡易な水
現像処理操作による製版、あるいは、現像処理を行わず
に印刷機に装着し印刷することが可能であり、優れた機
上現像性を示す平版印刷版原版を提供することができる
という効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA04 AA12 AB03 AC08 AD01 AD03 BH03 DA36 FA10 2H096 AA06 BA20 CA05 EA04 EA23 2H114 AA04 AA22 AA24 BA01 BA10 DA52 EA01 FA16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、架橋構造を有し、かつ親水
    性グラフト鎖を有する親水性高分子化合物を含有する架
    橋親水層と、画像形成層とを順次積層してなる平版印刷
    版原版であって、 該架橋親水層が幹ポリマーに架橋剤と反応し得る基を有
    する親水性高分子化合物を架橋剤と反応させて得られる
    ことを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 前記画像形成層が、酸、加熱または輻射
    線の照射により親水性/疎水化が変化する官能基を有す
    る高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1に
    記載の平版印刷版原版。
JP2001143893A 2001-04-09 2001-05-14 平版印刷版原版 Pending JP2002337470A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001143893A JP2002337470A (ja) 2001-05-14 2001-05-14 平版印刷版原版
EP02007365A EP1249342B1 (en) 2001-04-09 2002-04-08 Planographic printing plate precursor
DE60215413T DE60215413T2 (de) 2001-04-09 2002-04-08 Flachdruckplattenvorläufer
AT02007365T ATE342800T1 (de) 2001-04-09 2002-04-08 Flachdruckplattenvorläufer
US10/118,051 US6730456B2 (en) 2001-04-09 2002-04-09 Planographic printing plate precursor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001143893A JP2002337470A (ja) 2001-05-14 2001-05-14 平版印刷版原版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002337470A true JP2002337470A (ja) 2002-11-27

Family

ID=18989960

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001143893A Pending JP2002337470A (ja) 2001-04-09 2001-05-14 平版印刷版原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002337470A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006321141A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Fujifilm Holdings Corp 架橋親水膜、それを用いた平版印刷版原版及び平版印刷方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006321141A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Fujifilm Holdings Corp 架橋親水膜、それを用いた平版印刷版原版及び平版印刷方法
JP4637644B2 (ja) * 2005-05-19 2011-02-23 富士フイルム株式会社 架橋親水膜を用いた平版印刷版原版及び平版印刷方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6672210B2 (en) Lithographic printing plate precursor with a graft polymerized hydrophilic layer
DE60014526T2 (de) Wärmeempfindlicher Vorläufer für eine Flachdruckplatte
EP1622768A1 (en) On-press developable ir sensitive printing plates containing an onium salt initiator system
JP2002240450A (ja) 平版印刷版原版
EP2437940B1 (en) On-press development of imaged elements
JP3866401B2 (ja) 平版印刷版用原版及び平版印刷方法
US8507182B2 (en) Method of providing lithographic printing plates
JP4674110B2 (ja) ネガ作用性感熱性平版印刷版前駆体
US5733707A (en) Negative-working image recording material
JP2002337470A (ja) 平版印刷版原版
US6730456B2 (en) Planographic printing plate precursor
JP3751703B2 (ja) 平版印刷版用原版
EP1604818B1 (en) Negative working, heat-sensitive lithographic printing plate precursor
JP2001080226A (ja) 感熱性平版印刷版用原板
JP2002029164A (ja) 平版印刷版用原版
JP3993988B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2002166673A (ja) 平版印刷版用支持体
JP2002283758A (ja) 平版印刷版用原版
JP2002029163A (ja) 平版印刷版用原版
JP2006150630A (ja) 被膜形成性組成物、それを用いた硬化膜、及び平版印刷版原版
JP2000071635A (ja) 平版印刷版用原版
JP2000343850A (ja) 平版印刷版の作成方法および平版印刷版用原版
JP2002192848A (ja) 平版印刷版用支持体およびそれを用いた平版印刷版用原版
JP2001162762A (ja) 平版印刷機及び平版印刷方法
JP2003127561A (ja) 平版印刷版用支持体