JP2002166673A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用支持体

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JP2002166673A
JP2002166673A JP2000367208A JP2000367208A JP2002166673A JP 2002166673 A JP2002166673 A JP 2002166673A JP 2000367208 A JP2000367208 A JP 2000367208A JP 2000367208 A JP2000367208 A JP 2000367208A JP 2002166673 A JP2002166673 A JP 2002166673A
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JP2000367208A
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Koichi Kawamura
浩一 川村
Yoshinori Takahashi
美紀 高橋
Sumiaki Yamazaki
純明 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度が高く、厳しい印刷条件においても、耐
刷性に優れ、得られる印刷物に汚れが生じず、表面の親
水性も高い平版印刷版用支持体を提供する。 【解決手段】 イオン性化合物とイオン的に結合した親
水性有機化合物を表面に固定したものであり、該親水性
有機化合物は支持体表面と直接化学的に結合した高分子
化合物であることが好ましく、高分子鎖の末端で直接化
学的に支持体表面に結合されているか、又は支持体表面
に化学的に結合されている幹高分子化合物と該幹高分子
化合物に高分子鎖の末端で結合されている直鎖状高分子
化合物とからなる高分子化合物であることがより好まし
い。また、イオン性化合物はカチオン化合物であること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な平版印刷版用
支持体に関し、特に、感度及び汚れ性に優れた、ポジ型
およびネガ型の両方の形態を採ることができる平版印刷
版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版に用いる親水性支持体
としては、陽極酸化されたアルミニウム支持体、若しく
はさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化されたアル
ミニウム支持体をシリケート、ポリビニルホスホン酸
(特開平7−1853号)、ポリビニル安息香酸などの
下塗り剤で処理された支持体が用いられてきた。これら
アルミニウム支持体を用いた親水化支持体に関する研究
が盛んに行われている。また、特開昭59−10165
1号には、感光層の下塗り層としてスルホン酸基を有す
るポリマーを使用する技術が記載されている。
【0003】一方、アルミニウムの様な金属支持体を用
いずPET(ポリエチレンフタレート)、セルロースア
セテートなどのフレキシブルな支持体を用いたときの親
水性層に関しては、特開平8−292558号に記載の
親水性ポリマーと疎水性ポリマーとからなる膨潤親水
層、EP0709228号に記載のマイクロポーラスな
親水性架橋シリケート表面を有するPET支持体、特開
平8−272087号、及び特開平8−507727号
に記載の親水性ポリマーを含有し加水分解されたテトラ
アルキルオルソシリケートで硬化された親水性層、等の
様な技術が知られている。
【0004】これらの親水性層は、印刷開始時に汚れの
生じない印刷物が得られる平版印刷版を与えたが、実用
的な観点からさらに、感度が高く、より厳しい印刷条件
においても、耐刷性に優れ、得られる印刷物に汚れが生
じない平版印刷版用原版が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、前記従来における諸問題を解決することであり、す
なわち、感度が高く、厳しい印刷条件においても、耐刷
性に優れ、得られる印刷物に汚れが生じず、表面の親水
性も高い平版印刷版用支持体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、以下の構成を採ることにより上記の目的を達
成することができた。 (1)イオン性化合物とイオン的に結合した親水性有機
化合物を表面に固定した平版印刷版用支持体。 (2)前記親水性有機化合物が支持体表面と直接化学的
に結合した高分子化合物であることを特徴とする前記
(1)の平版印刷版用支持体。 (3)前記高分子化合物が、高分子鎖の末端で直接化学
的に支持体表面に結合されているか、又は支持体表面に
化学的に結合されている幹高分子化合物と該幹高分子化
合物に高分子鎖の末端で結合されている直鎖状高分子化
合物とからなる高分子化合物であることを特徴とする前
記(2)の平版印刷版用支持体。 (4)前記イオン性化合物がカチオン化合物であること
を特徴とする前記(1)の平版印刷版用支持体。
【0007】本発明の平版印刷版用支持体は、イオン性
化合物として例えば光熱変換剤である赤外線吸収色素
(以下、単にIR吸収色素ともいう)を用い、該支持体
上に熱により水溶性が変化する画像形成層(水不溶性か
ら水溶性に変化する場合はポジ型であり、水溶性から水
不溶性に変化する場合はネガ型である)を設け平版印刷
版用原版とし、該平版印刷版用原版に画像露光を行った
場合、画像形成層の水溶性の変化は、該支持体と画像形
成層との界面で生じるため、画像形成層の露光部の全厚
に水溶性変化をもたらせる必要はない。画像露光のエネ
ルギーとしては、該支持体と画像形成層との界面での変
化を生じさせるもので十分であり、画像形成層の露光部
の全厚を変化させるよりも、少ないエネルギー量で画像
形成が可能である。即ち高感度である。
【0008】また、画像形成層の水溶性の変化部(ポジ
型の場合)または未変化部(ネガ型の場合)により画像
形成層が湿し水等の水溶液により除去されて生じた非画
像部の親水性は、該支持体の表面に固定された親水性有
機化合物により付与されるものである。該親水性有機化
合物は該支持体の表面に固定されたものであるため、単
に塗布等により設けたものと比較して、厳しい印刷条件
においても、該化合物が欠落し難く、そのため得られる
印刷物に汚れが生じ難い。また、支持体の基板としてア
ルミニウム等の熱伝導度の高いものを用いた場合でも、
親水性有機化合物が断熱材として作用し、光熱変換によ
って生じた熱エネルギーが高熱伝導度の基板に逃げるこ
となく有効に利用される。即ち高感度になる。
【0009】これに対して、表面に固定された親水性有
機化合物がIR吸収色素を結合していない支持体を用い
て、その上にIR吸収色素を含有し熱により水溶性が変
化する画像形成層を設けた平版印刷版用原版は、画像露
光を行った場合に、画像形成層の水溶性の変化はその表
面から始まり支持体に向かって進行する。この場合、画
像露光のエネルギーが不十分であると、ポジ型のもので
は露光部分の画像形成層が十分除去されず非画像部が形
成されず、ネガ型のものでは露光部分の画像形成層が十
分不溶化されず、画像形成層の露光部の支持体との界面
付近が湿し水等の水溶液によって溶出し画像部が形成さ
れない。また、支持体の表面に、本発明の親水性有機化
合物を固定させることなく直接IR吸収色素を吸着させ
ることは困難である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の平版印刷版用支持
体について詳細に説明する。 〔イオン性化合物〕本発明の平版印刷版用支持体の表面
に固定された親水性有機化合物とイオン的に結合したイ
オン性化合物としては、特に限定されず、所望の画像形
成メカニズムを有する平版印刷版用原版の形態に応じ
て、適宜選択することができる。また、このイオン性化
合物としては、カチオン化合物でも、アニオン化合物で
も構わない。本発明の支持体の表面に固定された親水性
有機化合物がアニオンの場合には、該イオン性化合物は
カチオンであることが好ましく、該親水性有機化合物が
カチオンの場合には、該イオン性化合物はアニオンであ
ることが好ましい。具体的には、光熱変換剤であるIR
吸収色素、重合開始剤、モノマー成分、求電子剤等が挙
げられる。この中でも、代表的なものとして、IR吸収
色素について以下に詳述する。本発明に使用できるIR
吸収色素としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光
線等の光を吸収して熱に変換し得るものが挙げられる。
特に、好ましいのは、波長760nmから1200nm
の赤外線を有効に吸収する染料または顔料である。
【0011】本発明で使用する染料および顔料は、正ま
たは負の荷電を有するものであり、その化学構造は限定
されるものではない。染料の構造としては次のものを挙
げることができる。染料としては、市販の染料及び文献
(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具
体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンア
ゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カ
ルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シア
ニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−1252
46号、特開昭59−84356号、特開昭59−20
2829号、特開昭60−78787号等に記載されて
いるシアニン染料、特開昭58−173696号、特開
昭58−181690号、特開昭58−194595号
等に記載されているメチン染料、特開昭58−1127
93号、特開昭58−224793号、特開昭59−4
8187号、特開昭59−73996号、特開昭60−
52940号、特開昭60−63744号等に記載され
ているナフトキノン染料、特開昭58−112792号
等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許43
4,875号記載のシアニン染料等を挙げることができ
る。
【0012】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号
(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号に記載されているピ
リリウム系化合物、特開昭59−216146号記載の
シアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物も好ましく用いられる。また、好ましい別
の染料の例として、米国特許第4,756,993号明
細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外
吸収染料を挙げることができる。これらの染料のうち特
に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウ
ム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げ
られる。
【0013】〔親水性有機化合物〕本発明の平版印刷版
用支持体に用いられる親水性有機化合物は、該支持体の
表面に固定され、前記イオン性化合物とイオン的に結合
したものであれば、特に限定されない。該親水性有機化
合物の親水性因子は、特に限定されないが、親水性官能
基を有することによるものが、一般的である。この中で
も、親水性の付与と、前記イオン性化合物とのイオン的
結合機能を有するものとして、イオン性官能基、もしく
はイオンに解離しうる官能基が好ましく、具体的にはス
ルホン酸基、カルボン酸基、それらのアルカリ金属塩
基、その他、アンモニウム塩基が特に好ましい。
【0014】該親水性有機化合物が支持体の表面に固定
される形態とは、例えば、具体的には、該親水性有機化
合物が支持体表面と直接化学的に結合した形態、より詳
細には、高分子鎖の末端で直接化学的に支持体表面に結
合されているか、又は支持体表面に化学的に結合されて
いる幹高分子化合物と該幹高分子化合物に直鎖状高分子
化合物が高分子鎖の末端で結合されている形態等があ
る。これらの結合形態等によって該親水性有機化合物が
支持体表面に固定されることによって、支持体表面に親
水性層が形成される。
【0015】上記の具体的な親水性層は、種々の手段を
用いて作製することが可能である。その一つとしては表
面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作製成される。 〔表面グラフト重合についての説明〕グラフト重合とは
高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって開始す
る別の単量体を重合し、グラフト(接ぎ木)重合体を合
成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体
表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
【0016】本発明を実現するための表面グラフト重合
法としては文献記載の公知の方法をいずれも使用するこ
とができる。たとえば、新高分子実験学10、高分子学
会編、1994年、共立出版(株)発行、P135には
表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ
照射グラフト重合法、が記載されている。また、吸着技
術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、
p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照
射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法
の具体的方法としては特開昭63−92658号公報、
特開平10−296895号公報および特開平11−1
19413号公報に記載の方法を使用することができ
る。
【0017】高分子化合物鎖の末端が直接に化学的に結
合された親水性層(表面グラフト層)を作成するための
手段としてはこれらの他、高分子化合物鎖の末端にトリ
アルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水
酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、こ
れと平版印刷版用原版の支持体表面官能基とのカップリ
ング反応により形成することもできる。なお、平版印刷
版用支持体表面とは、その表面に、親水性官能基を有す
る高分子化合物の末端が直接または幹高分子化合物を介
して化学的に結合する層を示すものであり、本発明の平
版印刷版用原版の支持体自体であってもよく、また該支
持体上に別途に設けた層であってもよい。
【0018】また、支持体表面に化学的に結合されてい
る幹高分子化合物と該幹高分子化合物に高分子鎖の末端
で結合されている直鎖状高分子化合物とからなる親水性
層を作成するための手段としては、支持体表面官能基と
カップリング反応しうる官能基を幹高分子高分子の側鎖
に付与し、グラフト鎖として親水性官能基を有する高分
子化合物鎖を組み込んだグラフト高分子化合物を合成
し、この高分子と支持体表面官能基とのカップリング反
応により形成することもできる。
【0019】(表面グラフト親水性高分子を有する親水
性層の具体的作製方法)プラズマ照射グラフト重合法、
放射線照射グラフト重合法においては上記記載の文献、
およびY.Ikada et al, Macromolecules vol. 19, page
1804(1986)などの記載の方法にて作成することができ
る。具体的にはPETなどの高分子表面をプラズマ、も
しくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させ、
その後、その活性表面と親水性官能基を有するモノマー
とを反応させることにより親水性層を得ることができ
る。本発明においてとくに有用な親水性官能基を有する
親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げ
ることが出来る。例えば、(メタ)アクリル酸もしくは
そのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしく
はそのアルカリ金属塩およびアミン酸塩、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミ
ド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−
ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンも
しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン
酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニル
スルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン
塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはそのアルカリ金
属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アク
リレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート
もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ポリオキ
シエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしく
はそのアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッドホスホ
オキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸
塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミ
ノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミノエチル
(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化水素酸塩
等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ
基もしくはそれらの塩、などを使用することができる。
【0020】また、支持体表面に架橋構造を有しかつ親
水性グラフト鎖を有する親水性高分子化合物を含有する
親水性層を形成してもよい。この際に用いられる架橋親
水層は公知の親水性層を含む。公知の親水性層として
は、WO94/23954、および特開平9-54429号公報(東レ)
には水酸基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基
およびそれらの塩の官能基を有する親水性ポリマーを多
官能イソシアネート、多官能エポキシ、多官能アルデヒ
ドなどの架橋剤で架橋された有機親水層が記載されてい
る。また架橋方法として光架橋性基を親水性ポリマーに
導入し光により架橋された親水層も記載されている。ま
たWO98/40212に記載のように金属コロイドを含む架橋さ
れたポリマーよりなる親水層、また特許登録公報第2592
225号に記載のごとく有機親水性ポリマーとシランカッ
プリング剤との縮合物よりなる有機無機ハイブリッド親
水層も公知である。グラフト鎖を導入する効果はいずれ
の親水層に於いても効果があるが特に、製造適性の内か
ら有機の架橋親水層に導入したものが有効である。
【0021】上記架橋親水層へのグラフト鎖の導入は、
一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用
いて作成することができる。具体的にはグラフト重合体
の合成は“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和
52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学
2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版
(株)1995、に記載されている。グラフト重合体の合成
は基本的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、
2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に
枝高分子を共重合させる(マクロマー法)の3つの方法
に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれも使
用して該親水性層を作成することができるがとくに製造
適性、膜構造の制御という観点からは3のマクロマー法
が優れている。
【0022】マクロマーを使用したグラフトポリマーの
合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反
応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載され
ている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工
業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されてい
る。具体的にはアクリル酸、アクリルアミド、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニ
ルアセトアミドなど、上記の有機架橋親水層として具体
的に記載した親水性モノマーを使用して文献記載の方法
に従い親水性マクロマーを合成することができる。
【0023】本発明で使用される親水性マクロマーのう
ち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などの
カルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロマ
ー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマ
ーから誘導されるスルホン酸系マクロマーである。
【0024】これらのマクロマーのうち有用な分子量は
400〜10万の範囲、好ましい範囲は1000〜5
万、特に好ましい範囲は1500〜2万の範囲である。
分子量が400以下では効果を発揮できず、また10万
以上では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が悪
くなる。これらの親水性マクロマーを合成後、親水性グ
ラフト鎖が導入された架橋親水層を作成する一つの方法
は、上記の親水性マクロマーと反応性官能基を有する他
のモノマーと共重合させ、グラフト共重合ポリマーを合
成しその後、ポリマーの反応性官能基と層中に添加した
架橋剤とを反応させて架橋させる、もしくはマクロマー
と共重合させる他のモノマーが光架橋性基を有する場
合、光を使用して架橋させればよい。
【0025】なお、上記架橋親水層を形成する場合に
は、架橋させる成分組成物を後述の支持体上に塗布後、
該塗布層全面に紫外線照射等の全面露光による光重合反
応または、熱による重合反応によって架橋することがで
きる。前記架橋親水層の厚さとしては、特に限定されな
いが0.001g/m2〜10g/m2が好ましく、より好まし
くは0.01g/m2〜5g/ m2である。少なすぎると親水
性の効果が発現しない、多すぎると後述の画像形成層と
の密着が悪くなり、耐刷性が低下することがある。
【0026】本発明の平版印刷版用支持体において、イ
オン性化合物とイオン的に結合した親水性有機化合物を
表面に固定するための支持体(基板ともいう)として
は、特に制限はないが、寸度的に安定な板状物であり、
例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アル
ミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属が
ラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチッ
クフィルム等が挙げられる。該基板としては、ポリエス
テルフィルム又はアルミニウム板が好ましい。
【0027】本発明に使用される好適なアルミニウム板
は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、
微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムが
ラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムで
もよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ
素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、
ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元
素の含有量は高々10重量%以下である。特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように適用され
るアルミニウム板は、その組成が特定されるものではな
く、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に
利用することができる。アルミニウム板の厚みはおよそ
0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm
〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.8mm
である。
【0028】前記表面グラフト重合によって上記基板表
面に親水性有機化合物を固定する際には、上記基板表面
を表面グラフト化するのに適したものにすることが好ま
しい。表面グラフト化するのに適した基板表面は、この
機能を発現する限りどのような形態でも可能であり、例
えば、無機、有機のどれでも良い。また基板表面の極性
は親水性であってもまた疎水性であっても良い。またこ
のような基板表面は表面処理をすることでも該機能を発
揮することができる。
【0029】無機、有機の内、特に、光グラフト重合
法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト
重合法により親水性ポリマーを合成する場合には、有機
表面であることが好ましく、特に有機ポリマーの表面で
あることが好ましい。また有機ポリマーとしてはエポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹
脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン
樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロー
ス、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することが
できるが、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重
合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合
の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するた
め、水素が引き抜かれやすいポリマー、特にアクリル樹
脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂など
を使用することが、特に製造適性の点で好ましい。また
これらの内、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレ
ン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポ
キシ樹脂などが特に好ましい。
【0030】また、親水性有機化合物が直接化学結合し
ている基板表面が粗面化されていることが好ましい。本
発明で用いられる基板表面の凹凸について説明する。 〔表面凹凸の規定〕2次元粗さパラメータの中心線平均
粗さRaが0.1〜1μm、最大高さRyが1〜10μ
m、十点平均粗さRzが1〜10μm、凹凸の平均間隔
mが5〜80μm、局部山頂の平均間隔Sが5〜80
μm、最大高さRtが1〜10μm、中心線山高さRp
が1〜10μm、中心線谷深さRvが1〜10μmであ
る。上記2次元粗さパラメータは以下の定義に基づくも
のである。 中心線平均粗さRa:粗さ曲線から中心線の方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取りの中心線と粗さ
曲線との偏差の絶対値を算術平均した値。 最大高さRY:粗さ曲線からその平均線の方向に基準長
さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線の
間隔を、粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値。
【0031】十点平均粗さ:粗さ曲線からその平均値の
方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均
線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番
目までの山頂の標高(YP)の絶対値の平均値と、最も
低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値
の平均値との和をマイクロメートル(μm)で表した
値。 凹凸の平均間隔Sm:粗さ曲線からその平均線の方向に
基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において一つ
の山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線の和
を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均値をミリメー
トル(mm)で表した値。 局部山頂の平均間隔S:粗さ曲線からその平均線の方向
に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において隣
り合う局部山頂間に対応する平均線の長さを求め、この
多数の局部山頂の間隔の算術平均値をミリメートル(m
m)で表した値。 最大高さRt:粗さ曲線から基準長さだけ抜き取った部
分の中心線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき
の2直線の間隔の値。 中心線高さRP:粗さ曲線からその中心線方向に測定長
さLを抜き取り、この抜き取り部分の中心線に平行で最
高の山頂を通る直線との間隔の値。 中心線谷深さRV:粗さ曲線からその中心線方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線に
平行で最深の谷底を通る直線との間隔の値。
【0032】本発明の平版印刷版用支持体を用いて、平
版印刷版用原版とする場合、該支持体の上に形成する、
画像形成層としては、所望の画像形成メカニズムを有す
る平版印刷版用原版の形態に応じて、適宜選択すること
ができるものであり、前記イオン性化合物の機能に対応
したもの適宜選択することができる。主なものとして
は、例えば、親疎水性が変化する官能基を有する高分子
化合物を含有する感光層もしくは感熱層、従来のPS版、
およびフォトレジストの分野で公知のポジ作用もしくは
ネガ作用感光層を使用することができる。まず、熱、酸
または輻射線により親疎水性が変化する官能基(極性変
換基)、を有する高分子化合物を含有する画像形成層に
ついて説明する。極性変換基としては、疎水性から親水
性に変化する官能基と、親水性から疎水性に変化する官
能基の2種類がある。
【0033】(疎水性から親水性に変化する官能基を側
鎖に有するポリマー)親疎水性が変化する側鎖を有する
ポリマーのうち疎水性から親水性に変化する官能基を側
鎖に有するポリマーの具体例としては、特開平10−2
82672号公報記載のスルホン酸エステルポリマー、
スルホンアミド、およびEP0652483、特開平6
−502260、特開平7−186562記載のカルボ
ン酸エステルポリマーを挙げることができる。これらの
疎水性から親水性に変化する側鎖を有するポリマーのう
ち、特に有用な化合物は2級のスルホン酸エステルポリ
マー、3級のカルボン酸エステルポリマーおよびカルボ
ン酸アルコキシアルキルエステルポリマーである。
【0034】以下、スルホン酸エステルポリマー、及び
カルボン酸エステルポリマーの具体例を以下(スルホン
酸エステルポリマー(1p−1〜1p−8)、カルボン
酸エステルポリマー(a1〜a10))に示すが、本発
明は、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】本発明において、これらのスルホン酸エス
テルポリマー、又はカルボン酸エステルポリマーを用い
る場合には、画像形成層(感光層もしくは感熱層)の全
固形分中、5〜99重量%程度であり、10〜98重量
%が好ましく、30〜90重量%がさらに好ましい。
【0038】親水性から疎水性に変化する官能基を側鎖
に有するポリマーの具体例としては、特開平6−317
899号公報記載のアンモニウム塩基を有するポリマ
ー、および特願平11−118295号明細書記載のス
ルホニル酢酸などの下記一般式(1)で示されるような
脱炭酸型極性変換基を有するポリマーである。
【0039】
【化3】
【0040】(式中、Xは−O−、−S−、−Se−、
−NR3−、−CO−、−SO−、−SO2−、−PO
−、−SiR34−、−CS−を表し、R1、R2
3、R4は各々独立して1価の基を表し、Mは陽電荷を
有するイオンを表す。) R1、R2、R3、R4の具体例としては、−F、−Cl、
−Br、−I、−CN、−R5、−OR5、−OCO
5、−OCOOR5、−OCONR56、−OSO
25、−COR5、−COOR5、−CONR56、−N
56、−NR5−COR6、−NR5−COOR6、−N
5−CONR67、−SR5、−SOR5、−SO
25、−SO35等が挙げられる。R5、R6、R7の具
体例としては、水素、アルキル基、アリール基、アルケ
ニル基、アルキニル基が挙げられ、これら官能基の具体
例としては、前述のような官能基が挙げられる。
【0041】これらのうちR1、R2、R3、R4として好
ましいのは、水素、アルキル基、アリール基、アルキニ
ル基、アルケニル基である。本発明における極性変換高
分子化合物は、上記のような親水性官能基を有するモノ
マー1種の単独重合体であっても、2種以上の共重合体
であっても良い。また、本発明の効果を損なわない限
り、他のモノマーとの共重合体であっても良い。
【0042】極性変換高分子化合物の合成に用いられる
他のモノマーの具体例としては、前述のようなエチレン
性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。共重合
体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、
高分子化合物が熱によって親水性から疎水性に変化する
限り、何れの割合でも良いが、80重量%以下が好まし
く、50重量%以下がより好ましい。上記極性変換高分
子化合物は、公知の方法を用いて製造することができ
る。例えば高分子化学、7巻、142頁(1950)。
すなわち、極性変換高分子化合物は、ランダムポリマ
ー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等何れでもよ
いが、ランダムポリマーであることが好ましく、重合方
式によって適宜選択されるが、例えばジ−t−ブチルパ
ーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のパーオキシド
類、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソ
ブチロニトリル等のアゾ化合物等の重合開始剤を用いた
ラジカル重合により合成される。重合方式としては、溶
液重合、乳化重合、懸濁重合等が摘要される。なお、極
性変換高分子化合物の重合度は特に限定されるものでは
ない。
【0043】上記極性変換高分子化合物を合成する際に
使用される溶媒としては、テトラヒドロフラン、エチレ
ンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケト
ン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−
プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテー
ト、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸エチル、乳
酸メチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で或いは2種以上混合して用いる
ことができる。上記極性変換高分子化合物の具体例を以
下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】これら極性変換高分子化合物の、画像形成
層の全固形物中に占める割合は、0〜94重量%が好ま
しく、より好ましくは0.05〜90重量%である。
【0047】(ポジ作用感光層組成物)ポジ作用感光層
組成物としては、以下に示す従来公知のポジ作用感光層
組成物[(a)〜(b)]を用いることが好適である。 (a)ナフトキノンジアジドとノボラック樹脂とを含有
してなる従来から用いられているコンベンショナルポジ
作用感光性組成物。 (b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と
酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅型ポジ
作用感光性組成物。 上記(a)及び(b)は、いずれも当分野においてはよ
く知られたものであるが、以下に示すポジ作用感応性組
成物((c)〜(e))と組み合わせて用いることがさ
らに好適である。
【0048】(c)特願平9−26878号明細書に記
載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出来
る、スルホン酸エステルポリマーを含有してなるレーザ
ー感応性ポジ組成物。 (d)EP652483号、特開平6−502260号
に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出
来る、カルボン酸エステルポリマーを含有してなるレー
ザー感応性ポジ組成物。 (e)特開平11−95421号に記載のアルカリ可溶
性化合物、及び熱分解性でありかつ分解しない状態では
アルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物
質を含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。 (f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製するこ
とができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解
抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型組成物。
【0049】(ネガ作用感光層組成物)ネガ作用感光層
組成物としては、以下に示す従来公知のネガ作用感応性
組成物((g)〜(j))を用いることができる。 (g)光架橋性基を有するポリマー、アジド化合物を含
有してなるネガ作用感応性組成物。 (h)特開昭59−101651号に記載のジアゾ化合
物を含有してなるネガ作用感応性組成物。 (i)US262276号、特開平2−63054号に
記載の光重合開始剤、付加重合性不飽和化合物を含有し
てなる光重合性ネガ作用感応性組成物。 (j)特開平11−95421号記載のアルカリ可溶性
化合物、酸発生剤、酸架橋性化合物を含有してなるネガ
作用感応性組成物。
【0050】〔その他の成分〕本発明の平版印刷版用支
持体を用いた平版印刷版用原版の画像形成層には、種々
の平版印刷版の特性を得るため、必要に応じて上記以外
に種々の化合物を添加してもよい。
【0051】画像形成層には、可視光域に大きな吸収を
持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#
103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、
オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブ
ラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−
505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリ
アピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI425
55)、メチルバイオレット(CI42535)、エチ
ルバイオレット、ローダミンB(CI145170
B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレ
ンブルー(CI52015)など、あるいは特開昭62
−293247号公報に記載されている染料を挙げるこ
とができる。これらの染料は、画像形成後、画像部と非
画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好まし
い。尚、添加量は、画像形成層の全固形分に対し、0.
01〜10重量%の割合である。
【0052】また、画像形成層には、現像条件に対する
処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740
号公報や特開平3−208514号公報に記載されてい
るような非イオン界面活性剤、特開昭59−12104
4号公報、特開平4−13149号公報に記載されてい
るような両性界面活性剤を添加することができる。非イ
オン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性
界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチ
ル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸
塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロ
キシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシ
ル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲン
K、第一工業(株)製)等が挙げられる。上記非イオン
界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成層に占める割
合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましく
は0.1〜5重量%である。
【0053】更に画像形成層には必要に応じ、塗膜の柔
軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、
ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸ト
リブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタ
ル酸ジへキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレ
ジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイ
ン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタアク
リル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0054】これら以外にも、前述のオニウム塩やハロ
アルキル置換されたs−トリアジン、及びエポキシ化合
物、ビニルエーテル類、さらには特願平7−18120
号明細且に記載のヒドロキシメチル基を持つフェノール
化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物
等を添加してもよい。
【0055】画像形成層は、通常前記各成分を溶媒に溶
かして、平版印刷版用支持体上に塗布することにより形
成される。ここで使用する溶媒としては、エチレンジク
ロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メ
タノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノ
ール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−
2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチ
ル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−
メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げること
ができるがこれに限定されるものではない。これらの溶
媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成
分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜
50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体
上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.
1g/m2〜10g/m2の範囲であり、好ましくは0.5g/m2
〜5g/m2の範囲である。少なすぎると耐刷性が低下、多
すぎると印刷物の細線再現性が悪くなる。塗布する方法
としては、種々の方法を用いることができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少
なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像形
成層の皮膜特性は低下する。
【0056】画像形成層には、塗布性を良化するための
界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に
記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加するこ
とができる。好ましい添加量は、画像形成層の全固形分
中、0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜
0.5重量%である。
【0057】
〔実施例1〕
(感材の作成) 表面グラフト親水層の作成 膜厚0.188mmのPETフィルム(東洋紡(株)M
4100)の上に下記の光重合性組成物をロッドバー1
7番を用いて塗布し80℃で2分間乾燥させた。次にこ
の塗布されたフィルムを400W高圧水銀灯(UVL−
400P,理工科学産業(株)製を使用し、10分間照射
した。次にこのフィルムをスチレンスルホン酸Naの10%
水溶液に浸漬しアルゴン雰囲気下で400W高圧水銀灯
を使用し30分間光照射した。光照射後得られたフィル
ムをイオン交換水で良く洗浄することにより、スチレン
スルホン酸Naが表面グラフト重合された親水性表面を有
するフィルムを得た。光重合性組成物としては次の組成
である。
【0058】アリルメタクリレート/メタクリル酸重合
体(モル比率80/20、分子量10万)4g、エチレ
ンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート(東亜
合成(株)M210)4g、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン1.6g、1−メトキシ−2−プロ
パノール16g。
【0059】IR色素の吸着 上記の表面グラフト親水化された支持体を水に30秒間
浸漬したのち、直ちに下記構造のIR−Aの0.2wt
%メタノール溶液に5分間浸漬した。浸漬後支持体をメ
タノールで洗浄し、IR色素が吸着した支持体を得た。
【0060】
【化6】
【0061】平版印刷版用原版の作成 上記で作成した色素吸着表面グラフト親水層の上に下記
スルホン酸エステルポリマー(1P)0.6g、アセト
ニトリル7gから成る感熱層組成物をロッドバー14番
を使用し塗布し、80℃で1分間乾燥を行うことで目的
の平版印刷版用原版を得た。乾燥後の膜厚は1.0μm
であった。
【0062】
【化7】
【0063】画像の作成、および印刷評価 得られた平版印刷版用原版をPearl setter(Presstek社
製、830nmIRレーザ、出力0.6w、主走査速度2
m/secを用いて露光し、なんら後処理することなく印
刷機にかけ印刷を行った。印刷機としてはハイデルベル
グSOR−Mを、また湿し水としてはEU−3の1:1
00希釈液をインキとしてはGEOS−G墨(DIC社
製)を用いた。1000枚印刷しても汚れのない鮮明な
印刷物が得られた。
【0064】〔比較例1〕実施例1においてIR色素を
親水層に吸着させずに代わりに同じ色素0.15gを上
記感熱層組成物に添加、塗布した以外は同じ方法で感材
を作成、評価したところ、画像は得られなかった。画像
を得るためにはレーザー出力として1.2wの出力が必
要であった。 〔実施例2及び比較例2〕実施例1及び比較例1に使用
したスルホン酸エステルポリマー1Pに変えて、下記構
造のネガ作用ポリマーP−9を使用した以外は同じ方法
にて感材を作成し、評価した。
【0065】
【化8】
【0066】その結果、 感度(印刷画像を出すために
必要な露光機の出力)は実施例2では0.8wであるの
に対して、比較例2では1.4wの出力が必要であっ
た。
【0067】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用支持体は、イオン
性化合物とイオン的に結合した親水性有機化合物を表面
に固定したことにより、感度が高く、厳しい印刷条件に
おいても、耐刷性に優れ、得られる印刷物に汚れが生じ
ず、表面の親水性も高い平版印刷版用原版を提供するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 純明 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 DA21 DA36 2H096 AA06 CA03 CA05 2H114 AA04 AA15 AA23 AA24 BA01 BA10 DA21 DA27 DA34 DA39 DA41 DA42 DA43 DA44 DA48 DA49 DA52 DA53 DA55 DA56 DA59 DA60 DA61 EA03 EA05 EA08 FA18 4F073 AA01 AA28 AA32 BA23 BB01 CA53 FA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン性化合物とイオン的に結合した親
    水性有機化合物を表面に固定した平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】 前記親水性有機化合物が支持体表面と直
    接化学的に結合した高分子化合物であることを特徴とす
    る請求項1記載の平版印刷版用支持体。
  3. 【請求項3】 前記高分子化合物が、高分子鎖の末端で
    直接化学的に支持体表面に結合されているか、又は支持
    体表面に化学的に結合されている幹高分子化合物と該幹
    高分子化合物に高分子鎖の末端で結合されている直鎖状
    高分子化合物とからなる高分子化合物であることを特徴
    とする請求項2に記載の平版印刷版用支持体。
  4. 【請求項4】 前記イオン性化合物がカチオン化合物で
    あることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用支持
    体。
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