JP2002192848A - 平版印刷版用支持体およびそれを用いた平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体およびそれを用いた平版印刷版用原版

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JP2002192848A
JP2002192848A JP2000398055A JP2000398055A JP2002192848A JP 2002192848 A JP2002192848 A JP 2002192848A JP 2000398055 A JP2000398055 A JP 2000398055A JP 2000398055 A JP2000398055 A JP 2000398055A JP 2002192848 A JP2002192848 A JP 2002192848A
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hydrophilic
group
polymer
planographic printing
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JP2000398055A
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English (en)
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Koichi Kawamura
浩一 川村
Yoshinori Takahashi
美紀 高橋
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性層の親水性が高くかつ印刷汚れ性が改
善され、厳しい印刷条件においても、汚れが生じない印
刷物が得られ、さらに寸法安定性にも優れた、ポジ型ま
たはネガ型の平版印刷版用支持体及びそれを用いた平版
印刷版用原版を提供する。 【解決手段】 ヤング率が500kg/mm2以上のプ
ラスチックフィルム上に、グラフトポリマーからなる親
水性表面を有する平版印刷版用支持体、および該支持体
上に、画像形成性層を有することを特徴とする平版印刷
版用原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な親水性表面を
有する平版印刷版用支持体及びそれを用いた平版印刷版
用原版に関し、特に、感度、耐刷及び汚れ性に優れた、
ポジ型およびネガ型の両方の形態を採ることができる平
版印刷版用支持体及びそれを用いた平版印刷版用原版に
関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた走査露
光による製版が可能であり、高感度かつ高耐刷性で、汚
れのない印刷物を与えることが可能な平版印刷版用原版
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版に用いる親水性基板又
は親水性層としては、陽極酸化されたアルミニウム基
板、若しくはさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化
されたアルミニウム基板をシリケート、ポリビニルホス
ホン酸(特開平7−1853号)、ポリビニル安息香酸
などの下塗り剤で処理された基板又は親水性層が用いら
れてきた。これらアルミニウム支持体を用いた親水化基
板若しくは親水性層に関する研究が盛んに行われてい
る。また、特開昭59−101651号には、感光層の
下塗り層としてスルホン酸基を有するポリマーを使用す
る技術が記載されている。
【0003】一方、アルミニウムの様な金属支持体を用
いずPET(ポリエチレンフタレート)、セルロースア
セテートなどのフレキシブルな支持体を用いたときの親
水性層に関しては、特開平8−292558号に記載の
親水性ポリマーと疎水性ポリマーとからなる膨潤親水
層、EP0709228号に記載のマイクロポーラスな
親水性架橋シリケート表面を有するPET支持体、特開
平8−272087号、及び特開平8−507727号
に記載の親水性ポリマーを含有し加水分解されたテトラ
アルキルオルソシリケートで硬化された親水性層等の様
な技術が知られている。
【0004】これらの親水性層は、印刷開始時に汚れの
生じない印刷物が得られる平版印刷版を与えたが、実用
的な観点からさらなる親水性層の親水性がより高く、よ
り厳しい印刷条件においても、汚れの生じない印刷物が
得られる平版印刷版用原版が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、前記従来における諸問題を解決することであり、す
わち、親水性層の親水性が高くかつ印刷汚れ性が改善さ
れ、厳しい印刷条件においても、汚れが生じない印刷物
が得られ、さらに寸法安定性にも優れた、ポジ型または
ネガ型の平版印刷版用支持体及びそれを用いた平版印刷
版用原版を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために種々の検討を行った末、支持体として
高強度のプラスチックフィルムを使用し、該フィルム上
に、グラフトポリマーからなる親水性表面を設けること
により上記の問題が解決されることを見出し本発明に至
ったものである。すなわち、本発明の内容は、以下のと
おりである。 (1)ヤング率が500kg/mm2以上のプラスチッ
クフィルム上に、グラフトポリマーからなる親水性表面
を有する平版印刷版用支持体。 (2)ヤング率が500kg/mm2以上のプラスチッ
クフィルム上にグラフトポリマーからなる親水性表面を
有する平版印刷版用支持体上に、画像形成性層を有する
ことを特徴とする平版印刷版用原版。
【0007】本発明の平版印刷版用支持体は、ヤング率
が500kg/mm2以上のプラスチックフィルム上
に、グラフトポリマーからなる親水性表面を有すること
により、表面の親水性が高く、これを用いた平版印刷版
用原版は、印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件にお
いても、汚れが生じない印刷物が得られ、さらに寸法安
定性にも優れたものになる。一方、ヤング率が500k
g/mm2以上のプラスチックフィルムの代わりにPET
(ポリエチレンテレフタレート)等を用いると、PET支
持体は機械的強度が弱く、印刷機に装着した際の寸度安
定性が悪いために、多数枚印刷すると印刷時において位
置ずれなどの問題が発生し、印刷の耐刷性が低下する傾
向がみられた。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明のプラスチックフィルム本発
明で使用するプラスチックフィルムとしては、一般的に
エンジニアリングプラスチックスと呼ばれる機械的強度
の強いフィルムを使用することができる。これらのフィ
ルムとしては例えば、化学工業日報社発行、エンジニア
リングプラスチックス、改訂第3版、昭和60年発行、
記載のフィルムをいずれも使用することができる。それ
らのなかで特に本発明において有用なフィルムは、ヤン
グ率が500kg/mm2以上、好ましくは600kg
/mm2以上のものである。
【0009】上記のフィルムとしては、例えばセルロー
スアセテートブチレート、セルローストリアセテート、
セルローストリブチレート、ポリアセタール、ポリアミ
ド(脂肪族ポリアミドやアラミドなどの芳香族ポリアミ
ドを含む)、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテル
エーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン
(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポ
リカーボネート、ポリサルフォン(PSF)、ポリスチ
レン、ポリセルローストリアセテート、ポリフェニレン
サルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PP
O)、ポリベンゾオキサゾール、非晶ポリアクリレート
(PAR)等がある。
【0010】また本発明のフィルムとしてガラス繊維、
炭素繊維などの強化材を充填した強化フィルムも本発明
の支持体として有効に使用することができる。充填され
る強化材としてはガラス繊維、炭素繊維の他にボロン繊
維、高剛性有機繊維などがある。充填強化材で強化され
たフィルムとして上記記載のプラスチックフィルムのガ
ラス強化フィルムの他に、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ABS樹脂などのガラス繊維強化品
などを挙げることができる。詳しくは化学工業日報社発
行,エンジニアリングプラスチックス,改訂第3版,昭
和60年発行の他、化学工業日報社発行,エンプラ93,19
93年発行,「ポリマーフィルムと機能性膜」技報堂出版
社 1991年発行、「プラスチックハンドブック」(株)工
業調査会 1980年発行、「プラスチックフィルム−加工
と応用−第2版」技報堂出版(株)1995年発行等に載って
いる。またヤング率(引っ張り弾性率)については1991
年4月発行のポリマーフィルムと機能性膜、技報堂出版
に記載されている。
【0011】フィルム表面形状 グラフトポリマーからなる親水性表面を形成するのに使
用されるフィルムは親水性付与の観点からフィルム表面
が粗面化されていることが好ましい。本発明で用いられ
るフィルム表面(固体表面)の凹凸について説明する。
【0012】〔表面凹凸の規定〕2次元粗さパラメータ
の中心線平均粗さRaが0.1〜1μm、最大高さRt
が1〜10μm、十点平均粗さRzが1〜10μm、凹
凸の平均間隔Smが5〜80μm、局部山頂の平均間隔
Sが5〜80μm、最大高さRtが1〜10μm、中心
線山高さRpが1〜10μm、中心線谷深さRvが1〜1
0μmである。
【0013】上記2次元粗さパラメータは以下の定義に
基づくものである。 中心線平均粗さRa:粗さ曲線から中心線の方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取りの中心線と粗さ
曲線との偏差の絶対値を算術平均した値。 最大高さRt:粗さ曲線からその平均線の方向に基準長
さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線の
間隔を、粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値。 十点平均粗さ:粗さ曲線からその平均値の方向に基準長
さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率
の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂
の標高(YP)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から
5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との
和をマイクロメートル(μm)で表した値。
【0014】凹凸の平均間隔Sm:粗さ曲線からその平
均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分
において一つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応す
る平均線の和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均
値をミリメートル(mm)で表した値。 局部山頂の平均間隔S:粗さ曲線からその平均線の方向
に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において隣
り合う局部山頂間に対応する平均線の長さを求め、この
多数の局部山頂の間隔の算術平均値をミリメートル(m
m)で表した値。 最大高さRt:粗さ曲線から基準長さだけ抜き取った部
分の中心線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき
の2直線の間隔の値。 中心線高さRP:粗さ曲線からその中心線方向に測定長
さLを抜き取り、この抜き取り部分の中心線に平行で最
高の山頂を通る直線との間隔の値。 中心線谷深さRV:粗さ曲線からその中心線方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線に
平行で最深の谷底を通る直線との間隔の値。
【0015】グラフトポリマーからなる親水性表面 グラフトポリマーからなる親水性表面とはイオン性グラ
フトポリマー鎖が存在する表面のことであり、これはイ
オン性グラフトポリマー鎖が直接表面に結合していても
良くまたイオン性グラフトポリマー鎖が幹高分子に結合
しそれが表面に結合もしくは塗布もしくは塗布架橋され
たものであっても良い。イオン性グラフトポリマー鎖が
直接表面に化学的に結合したものか、または、イオン性
グラフトポリマー鎖を有する幹高分子が化学的に結合し
たものが、結合が強固であり、厳しい印刷条件において
も該親水性表面が剥離することがなく、汚れ性を長期に
維持することができるので好ましい。
【0016】グラフトポリマー鎖を有する表面は一般的
に表面グラフト法により作成された表面が好ましい。表
面グラフト法により作成された表面とは高分子表面上に
光、電子線、熱などの従来公知の方法にてモノマーがグ
ラフトされた表面をしめす。またモノマーとはアンモニ
ウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマーも
しくはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホス
ホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しう
る酸性基を有するモノマーであってもよく、また水酸
基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シア
ノ基などの非イオン性の基を有するモノマーであっても
よい。
【0017】グラフトポリマーを有する表面の作成方法 基材上にグラフトポリマーからなる表面を作成するには
既に良く知られた方法にて作成することができる。その
方法は例えば日本ゴム協会誌,第65巻,604,1992年,
杉井新治著,マクロモノマーによる表面改質と接着を参
考にすることができる。そのほか表面グラフト重合と呼
ばれる方法にて作成することが出来る。
【0018】〔表面グラフト重合についての説明〕グラ
フト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これに
よって開始する別の単量体を重合し、グラフト(接ぎ
木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分
子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合
と呼ばれる。本発明を実現するための表面グラフト重合
法としては文献記載の公知の方法をいずれも使用するこ
とができる。たとえば、新高分子実験学10、高分子学
会編、1994年、共立出版(株)発行、P135には
表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ
照射グラフト重合法、が記載されている。また、吸着技
術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、
p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照
射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法
の具体的方法としては特開昭63−92658号公報、
特開平10−296895号公報および特開平11−1
19413号公報に記載の方法を使用することができ
る。
【0019】表面グラフトポリマーを有する表面を作成
するための手段としてはこれらの他、高分子化合物鎖の
末端にトリアルコキシシリル基、イソシアネート基、ア
ミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を
付与し、これと基材表面官能基とのカップリング反応に
より形成することもできる。プラズマ照射グラフト重合
法、放射線照射グラフト重合法においては上記記載の文
献、およびY.Ikada et al,Macromolecules vol. 19, p
age 1804(1986)などの記載の方法にて作成することが
できる。具体的にはPETなどの高分子表面をプラズ
マ、もしくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生
させ、その後、その活性表面とイオン性官能基を有する
モノマーとを反応させることによりグラフトポリマー表
面層を得ることができる。光グラフト重合は上記記載の
文献のほかに特開昭53-17407(関西ペイント)、特開20
000-212313(大日本インキ)記載のように、基材表面に
光重合性組成物を塗布し、その後親水性性ラジカル重合
化合物とを接触させ光を照射することで作成することが
できる。
【0020】親水性モノマーとはアンモニウム、ホスホ
ニウムなどの正の荷電を有するモノマーもしくはスルホ
ン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基など
の負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有
するモノマーの他、水酸基、アミド基、スルホンアミド
基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の基を有
する親水性モノマーであってもよい。本発明においてと
くに有用な親水性モノマーの具体例としては、次のモノ
マーを挙げることが出来る。例えば、(メタ)アクリル
酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコ
ン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン酸塩、ア
リルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニ
ルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミ
ン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩お
よびアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはその
アルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン
(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)
アクリレートもしくはそのアルカリ金属塩およびアミン
塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッ
ドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン
化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン
酸、アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化
水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン
酸、アミノ基もしくはそれらの塩、などを使用すること
ができる。また2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール
(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセ
トアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸
塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レートなども有用である。
【0021】本発明の平版印刷版用支持体の上に、熱に
よって物性が変化する物質を含有する画像形成層を設け
る場合には、グラフトポリマーからなる親水性表面層中
に、後に詳述する光熱変換剤を含有させてもよい。
【0022】[画像形成層]上記の平版印刷版用支持体
は、その上に画像形成層を設けることによって平版印刷
版用原版とすることができる。本発明の画像形成層(感
応層)は、今まで公知のいずれの感熱層または感光層も
使用することができる。例えば、熱、酸または輻射線に
より親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物を
含有する極性変換型感応層や、ネガもしくはポジに作用
する感光性層が挙げられる。また特開平9−12338
7号公報、同9−136395号公報、同9−1418
19号公報には親水性結合剤中に分散された疎水性熱可
塑性重合体粒子を含んでなる熱融着型感熱層が記載され
ている。これらの内特に重要なのは極性変換型感応層お
よび熱融着型感熱層である。
【0023】極性変換型感応層の具体例 次に、本発明の平版印刷版用原版に用いられる、熱、酸
または輻射線により親疎水性が変化する官能基(極性変
換基)、を有する高分子化合物を含有する感応層につい
て説明する。極性変換基としては、疎水性から親水性に
変化する官能基と、親水性から疎水性に変化する官能基
の2種類がある。
【0024】(疎水性から親水性に変化する官能基を側
鎖に有するポリマー)親疎水性が変化する側鎖を有する
ポリマーのうち疎水性から親水性に変化する官能基を側
鎖に有するポリマーの具体例としては、特開平10−2
82672号公報記載のスルホン酸エステルポリマー、
スルホンアミド、およびEP0652483、特開平6
−502260、特開平7−186562記載のカルボ
ン酸エステルポリマーを挙げることができる。これらの
疎水性から親水性に変化する側鎖を有するポリマーのう
ち、特に有用な化合物は2級のスルホン酸エステルポリ
マー、3級のカルボン酸エステルポリマーおよびカルボ
ン酸アルコキシアルキルエステルポリマーである。
【0025】以下、スルホン酸エステルポリマー、及び
カルボン酸エステルポリマーの具体例を以下(スルホン
酸エステルポリマー(1p−1〜1p−8)、カルボン
酸エステルポリマー(a1〜a10))を示すが、本発
明は、これらに限定されるものではない。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】本発明において、これらのスルホン酸エス
テルポリマー、及び又はカルボン酸エステルポリマーを
用いる場合には、感応層(感光性層若しくは感熱性層)
の全固形分中、5〜99重量%程度であり、10〜98
重量%が好ましく、30〜90重量%がさらに好まし
い。
【0029】親水性から疎水性親水性に変化する官能基
を側鎖に有するポリマーの具体例としては、特開平6−
317899号公報記載のアンモニウム塩基を有するポ
リマー、および特開2000−309174号公報記載
のスルホニル酢酸などの下記一般式(1)で示されるよ
うな脱炭酸型極性変換基を有するポリマーである。
【0030】
【化3】
【0031】(式中、Xは−O−、−S−、−Se−、
−NR3−、−CO−、−SO−、−SO2−、−PO
−、−SiR34−、−CS−を表し、R1、R2
3、R4は各々独立して1価の基を表し、Mは陽電荷を
有するイオンを表す。) R1、R2、R3、R4の具体例としては、−F、−Cl、
−Br、−I、−CN、−R5、−OR5、−OCO
5、−OCOOR5、−OCONR56、−OSO
25、−COR5、−COOR5、−CONR56、−N
56、−NR5−COR6、−NR5−COOR6、−N
5−CONR67、−SR5、−SOR5、−SO
25、−SO35等が挙げられる。R5、R6、R7の具
体例としては、水素、アルキル基、アリール基、アルケ
ニル基、アルキニル基が挙げられ、これら官能基の具体
例としては、前述のような官能基が挙げられる。
【0032】これらのうちR1、R2、R3、R4として好
ましいのは、水素、アルキル基、アリール基、アルキニ
ル基、アルケニル基である。Mの具体例としては、前述
のような陽電荷を有するイオンが挙げられる。本発明に
おける極性変換高分子化合物は、上記のような親水性官
能基を有するモノマー1種の単独重合体であっても、2
種以上の共重合体であっても良い。また、本発明の効果
を損なわない限り、他のモノマーとの共重合体であって
も良い。
【0033】熱融着型感熱層の具体例 熱可塑性微粒子ポリマー、熱反応性官能基を有する微粒
子ポリマー、熱反応性官能基を有する化合物を内包した
マイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分を
含有することができる。熱可塑性微粒子ポリマーとして
は、1992年1月のReseach Disclos
ure No.33303、特開平9−123387号
公報、同9−131850号公報、同9−171249
号公報、同9−171250号公報およびEP9316
47号公報などに記載の熱可塑性微粒子ポリマーを好適
なものとして挙げることができる。具体例としては、エ
チレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカル
バゾールなどのモノマーのホモポリマーまたはコポリマ
ーあるいはそれらの混合物を挙げることができる。その
中で、より好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタ
クリル酸メチルを挙げることができる。
【0034】しかし、特に好ましいのは、熱反応性官能
基を有する微粒子ポリマーおよび熱反応性官能基を有す
る化合物を内包したマイクロカプセルである。上記の熱
反応性官能基としては、重合反応を行うエチレン性不飽
和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビ
ニル基、アリル基など)、付加反応を行うイソシアナー
ト基あるいはそのブロック体およびその反応相手である
活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基など)、同じく付加反応を
行うエポキシ基およびその反応相手であるアミノ基、カ
ルボキシル基あるいはヒドロキシル基、縮合反応を行う
カルボキシル基とヒドロキシル基あるいはアミノ基、開
環付加反応を行う酸無水物とアミノ基あるいはヒドロキ
シル基などを挙げることができる。しかし、化学結合が
形成されるならば、どのような反応を行う官能基でも良
い。本発明に用いられるマイクロカプセルは、熱反応性
官能基を有する化合物を内包している。この熱反応性官
能基を有する化合物としては、重合性不飽和基、ヒドロ
キシル基、カルボキシル基あるいはカルボキシレート基
あるいは酸無水物、アミノ基、エポキシ基、および、イ
ソシアナート基あるいはそのブロック体から選ばれた少
なくとも一個の官能基を有する化合物を挙げることがで
きる。
【0035】上記のマイクロカプセルの平均粒径は、
0.01〜20μmが好ましいが、中でも0.05〜
2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが
特に好ましい。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、
また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。この
ようなマイクロカプセルは、カプセル同志が熱により合
体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロ
カプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面あるいは
マイクロカプセル外に滲み出したもの、あるいは、マイ
クロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を
起こせば良い。添加された親水性樹脂、あるいは、添加
された低分子化合物と反応してもよい。また2種類以上
のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能基で互いに
熱反応するような官能基をもたせることによって、マイ
クロカプセル同士を反応させてもよい。従って、熱によ
ってマイクロカプセル同志が、熱で溶融合体することは
画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0036】マイクロカプセルの感熱層への添加量は、
固形分換算で、好ましくは10〜60重量%、さらに好
ましくは15〜40重量%である。この範囲内で、良好
な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得ら
れる上記の感熱層には親水性樹脂を添加しても良い。親
水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となる
ばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。親水性樹
脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒド
ロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエ
チル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基
を有するものが好ましい。
【0037】親水性樹脂の具体例としては、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセ
テート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ
リビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくと
も60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水
分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリル
アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルア
ミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールア
クリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げ
ることができる。親水性樹脂の感熱層への添加量は、感
熱層固形分の5〜40重量%が好ましく、10〜30重
量%がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像
性と皮膜強度が得られる。
【0038】本発明の画像形成層中にも、グラフトポリ
マーからなる親水性表面層と同様に光熱変換剤を添加し
ても良い。光熱変換剤の画像形成層への添加量は、有機
系光熱変換剤では画像形成層全固形分の30重量%まで
添加することができる。好ましくは5〜25重量%であ
り、特に好ましくは7〜20重量%である。金属微粒子
系光熱変換剤の場合は、画像形成層全固形分の10重量
%以上であり、好ましくは20重量%以上、特に好まし
くは30重量%以上で用いられる。10重量%未満だと
感度が低くなってしまう。
【0039】その他の構成要素 その他の成分として、種々の平版印刷版の特性を得るた
め、必要に応じて下記の種々の化合物を添加してもよ
い。 光熱変換材料 本発明の平版印刷版用原版を、レーザー光の走査露光等
により画像形成する場合には、平版印刷版用原版に、光
エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換剤
を含有させておくことが好ましい。
【0040】本発明の平版印刷版用原版において、含有
させてもよい光熱変換剤としては、紫外線、可視光線、
赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質
ならば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カー
ボングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、金属
粉、金属化合物粉等が挙げられる。特に、好ましいの
は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に
吸収する染料、顔料、または金属粉、金属化合物粉であ
る。染料としては、市販の染料及び文献(例えば、「染
料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載
されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ
染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アント
ラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染
料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金
属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好ましい染料
としては、例えば、特開昭58−125246号、特開
昭59−84356号、特開昭59−202829号、
特開昭60−78787号等に記載されているシアニン
染料、特開昭58−173696号、特開昭58−18
1690号、特開昭58−194595号等に記載され
ているメチン染料、特開昭58−112793号、特開
昭58−224793号、特開昭59−48187号、
特開昭59−73996号、特開昭60−52940
号、特開昭60−63744号等に記載されているナフ
トキノン染料、特開昭58−112792号等に記載さ
れているスクワリリウム色素、英国特許434,875
号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0041】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号
(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号に記載されているピ
リリウム系化合物、特開昭59−216146号記載の
シアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物も好ましく用いられる。
【0042】また、好ましい別の染料の例として、米国
特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(I
I)として記載されている近赤外吸収染料を挙げること
ができる。これらの染料のうち特に好ましいものとして
は、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。本発明にお
いて使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーイ
ンデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本
顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料
が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性ア
ゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キ
ナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、
アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍
光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックで
ある。
【0043】焼きだし染料 また、本発明の画像形成層には、画像形成後、画像部と
非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域に大き
な吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することが
できる。具体的には、オイルイエロー#101、オイル
イエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリ
ーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#60
3、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイル
ブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)
製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレッ
ト(CI42555)、メチルバイオレット(CI42
535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI1
45170B)、マラカイトグリーン(CI4200
0)、メチレンブルー(CI52015)等、および特
開昭62−293247号に記載されている染料を挙げ
ることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系
顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができ
る。添加量は、画像形成層塗布液全固形分に対し、0.
01〜10重量%の割合である。
【0044】塗布溶剤 本発明の画像形成層は、必要な上記各成分を溶剤に溶か
して塗布液を調製し、グラフトポリマーからなる親水性
表面層上に塗布される。ここで使用する溶剤としては、
エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチ
ルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−
2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1
−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタ
ン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセト
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチル
ウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等
を挙げることができるが、これに限定されるものではな
い。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。
塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%であ
る。
【0045】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画
像形成層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、
一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲
より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になる
が、画像記録の機能を果たす画像形成層の皮膜特性は低
下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いるこ
とができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、ス
プレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイ
フ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。本
発明にかかわる画像形成層塗布液には、塗布性を良化す
るための界面活性剤、例えば、特開昭62−17095
0号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加
することができる。好ましい添加量は、画像形成層全固
形分の0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05
〜0.5重量%である。
【0046】[製版および印刷]本発明の平版印刷版用
原版は、光、もしくは熱により画像形成される。具体的
には、紫外光、可視光のほかに、熱記録ヘッド等による
直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノ
ン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露
光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤
外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高
出力赤外線レーザによる露光が好適である。画像露光さ
れた本発明の平版印刷版用原版は、それ以上の処理なし
に印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順
で印刷することができる。また、これらの平版印刷版用
原版は、日本特許2938398号に記載されているよ
うに、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に
搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水およ
び/またはインクをつけて機上現像することも可能であ
る。また、これらの平版印刷版用原版は、水または適当
な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いるこ
ともできる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 [微粒子ポリマーの合成] (熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー(1)の合
成)アリルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレ
ート7.5g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水
溶液(濃度9.84×10-3moll-1)200mlを
加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガス
で置換する。この液を25℃にした後、セリウム(I
V)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3
oll-1)10ml添加する。この際、硝酸アンモニウ
ム水溶液(濃度58.8×10-3moll-1)を加え、
pHを1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを
攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は
9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0048】[親水性表面の作製] グラフトポリマーからなる表面を有する基材の作成 膜厚0.24mmのポリエチレンナフタレートフィルム
(帝人(株)製ネオテックス)を用い、グロー処理とし
て平版マグネトロンスパッタリング装置(芝浦エレテッ
ク製CFS−10−EP70)を使用し、下記の条件で
酸素グロー処理を行った。
【0049】(酸素グロー処理条件) 初期真空:1.2×10-3Pa, 酸素圧力:0.9Pa, RFグロー:1.5KW, 処理時間:60sec
【0050】次に、グロー処理したフィルムを窒素バブ
ルしたスチレンスルホン酸Na水溶液(10Wt%)に
70℃にて7時間浸漬した。浸浸した膜を水にて8時間
洗浄することによりスチレンスルホン酸Naが表面にグ
ラフトポリマー化された支持体(親水性表面1)を得
た。また同様にスチレンスルホン酸Naをアクリル酸に
変えた以外は上記と同じ方法にてアクリル酸がグラフト
された表面グラフトフィルム(親水性表面2)を得た。
【0051】グラフトポリマーからなる表面を有する基
材の作成(親水性表面3の作成) 膜厚0.24mmのポリエチレンナフタレートフィルム
(帝人(株)製ネオテックス)の上に下記の光重合性組
成物をロッドバー17番を使用して塗布し、80℃で2
分間乾燥させた。次にこの塗布されたフィルムを、40
0w高圧水銀灯(UVL-400P,理工科学産業(株)製)を
使用し、10分間光照射した。次にこのフィルムをスチ
レンスルホン酸Naの10%水溶液に浸漬しアルゴン雰
囲気下で400w高圧水銀灯を使用し30分間光照射し
た。光照射後得られたフィルムをイオン交換水で良く洗
浄し、表面にスチレンスルホン酸Naがグラフトされた
親水性表面を有するフィルムを得た。
【0052】光重合性組成物としては次の組成である。
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比
率80/20,分子量10万)4g,エチレンオキシド
変性ビスフェノールAジアクリレート(東亞合成(株)
M210)4g,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン1.6g,1−メトキシ−2−プロパノール1
6g。
【0053】グラフトポリマーからなる表面を有する基
材の作成(比較例 親水性表面4の作成) 支持体としてポリエチレンナフタレートフィルム(帝人
(株)製ネオテックス)に代えてPETフィルム(東洋
紡(株)M4100))を使用した以外は親水性表面3
と同様に親水性表面を作成した。 グラフトポリマーからなる表面を有する基材の作成(比
較例 親水性表面5の作成) 支持体としてポリエチレンナフタレートフィルム(帝人
(株)製ネオテックス)に代えて2軸延伸ポリプロピレ
ンフィルム(二村化学工業(株)社製)を使用した以外
は親水性表面4と同様に親水性表面を作成した。
【0054】(感熱層(1)塗布液:感熱層処方、スル
ホン酸エステル極性変換系)下記スルホン酸エステルポ
リマーの具体例(1p)0.5g、IRG22(IR染
料、日本化薬製)0.1g、及びアセトニトリル7gか
ら成る組成物をロッドバー14番を使用し親水性表面に
塗布し、80℃で1分間乾燥し、目的の平版印刷版用原
版を得た。
【0055】
【化4】
【0056】 (感熱層(2)塗布液:熱融着系) 合成した微粒子ポリマー(1) (固形分換算で)5 g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g (重量平均分子量2.5万) 下記赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g 水 100 g
【0057】
【化5】
【0058】上記の塗布液をロッドバー14番を使用し
親水性支持体に塗布し、80℃にて2分間乾燥し目的の
平版印刷版用原版を得た。
【0059】〔実施例1〜3および比較例1〜2〕下記
の表1に示した組み合わせで、平版印刷版用原版を作製
した。
【0060】
【表1】
【0061】(印刷版の作成、および印刷評価)得られ
た平版印刷版用原版をPearl setter (Pr
esstek社製、830nmIRレーザ、出力1.2
w、主走査速度2m/secを用いて露光し、なんら後
処理することなく印刷機にかけ印刷を行った。印刷機と
してはハイデルベルグSOR−Mを、また湿し水として
はEU−3の1:100希釈液をインキとしてはGEO
S−G墨(DIC社製)を用いた。いずれも印刷初期は
汚れのない鮮明な印刷物が得られた。しかし更に印刷を
行うと印刷物の画像ずれが始まり印刷物が不鮮明になっ
てきた。この時の印刷枚数を耐刷として示した。
【0062】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用支持体によれば、
親水性層の親水性が高くかつ印刷汚れ性が改善され、厳
しい印刷条件においても、汚れが生じない印刷物が得ら
れ、さらにヤング率が500kg/mm2以上の高強度
プラスチックフィルムを用いることによって、寸法安定
性に優れるため、多数枚印刷時において位置ずれが発生
することがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AB03 AC08 AD01 AD03 DA19 DA36 FA10 2H096 AA06 BA01 BA09 CA03 EA04 EA23 2H114 AA04 AA15 AA23 AA24 BA01 BA06 BA10 DA41 DA43 DA51 DA52 DA53 DA56 DA57 DA58 DA61 EA01 EA03 EA05 EA08 FA02 FA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤング率が500kg/mm2以上のプ
    ラスチックフィルム上に、グラフトポリマーからなる親
    水性表面を有する平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】 ヤング率が500kg/mm2以上のプ
    ラスチックフィルム上にグラフトポリマーからなる親水
    性表面を有する平版印刷版用支持体上に、画像形成性層
    を有することを特徴とする平版印刷版用原版。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6877428B2 (en) 2001-04-26 2005-04-12 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Regenerative plate making and printing process, and plate making and printing apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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