JP2002329602A - 負温度係数サーミスタ素子の製造方法 - Google Patents

負温度係数サーミスタ素子の製造方法

Info

Publication number
JP2002329602A
JP2002329602A JP2001133493A JP2001133493A JP2002329602A JP 2002329602 A JP2002329602 A JP 2002329602A JP 2001133493 A JP2001133493 A JP 2001133493A JP 2001133493 A JP2001133493 A JP 2001133493A JP 2002329602 A JP2002329602 A JP 2002329602A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
heat treatment
group
temperature coefficient
negative temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001133493A
Other languages
English (en)
Inventor
Takaaki Chiyousokabe
孝昭 長曽我部
Masaki Iwatani
雅樹 岩谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2001133493A priority Critical patent/JP2002329602A/ja
Publication of JP2002329602A publication Critical patent/JP2002329602A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermistors And Varistors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組成を変化させなくても、高温下あるいは酸
欠雰囲気下でも安定した低いB定数を示すNTCサーミ
スタ素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のNTCサーミスタ素子の製造方
法は、組成が(Y,Sr)(Cr,Fe,Ti)O3
構成される成分を含有する素子について、焼成後に11
00℃以上1400℃未満の温度で30時間熱処理を行
い、次いで、上記熱処理後の素子に800〜1100℃
で30時間以上の第2熱処理を行う。かかる方法により
得られたNTCサーミスタ素子は、特に低温領域でB定
数を著しく低下させると共に、より低温領域でも抵抗値
が出て、抵抗変化範囲が拡大し、各温度における抵抗値
の変化率が6%以内と小さく、金属酸化腐食の激しいセ
ンサ感熱部内部に素子を埋没した過酷な条件下において
も、安定した抵抗温度特性を示すことが判る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負温度係数サーミ
スタ素子の製造方法に関し、更に詳しくは、従来よりも
低い温度で測定可能なレベルの抵抗値とし、且つ負温度
係数(以下、「B定数」ともいう。)を低くすることが
できると共に、組成を変化させなくても、高温下あるい
は酸欠雰囲気下で安定した低いB定数を示す負温度係数
サーミスタ素子を容易に得ることができる負温度係数サ
ーミスタ素子の製造方法に関する。本発明の製造方法に
より得られた負温度係数サーミスタ素子は、高温下にて
使用される温度センサの感熱素子等に好適に利用され
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子機器の温度補償や温度を
検出する用途において、負温度係数サーミスタ素子が広
く用いられている。かかる負温度係数サーミスタ素子を
温度検出に用いる場合、その性能として、広い温度領域
においてB定数が小さく、安定であることが求められて
いる。ここでB定数とは、温度に対する抵抗値の変化を
示す指標であり、その値が小さいことは、温度変化に対
する抵抗値の変化が小さいことを意味する。そして、現
在のところ、300〜1000℃の温度領域において安
定した抵抗温度特性を示すサーミスタ素子が製造されて
いるが、今日では、より低温領域からの温度検知を可能
にするという要請から、現状よりも低い温度で測定可能
なレベルの抵抗値となり、且つ、安定した低B定数を有
するサーミスタ素子が必要になっている。
【0003】このようなサーミスタ素子の温度特性は、
通常、材料組成あるいは組成比の変更によって様々なも
のとすることができるが、材料組成あるいは組成比の変
更による場合、サーミスタ素子の温度特性が大きく変化
して不安定となることがある。特にサーミスタ素子が1
000℃以上の高温下あるいは低酸素雰囲気下に長時間
晒されると、抵抗温度特性が大きく変化してしまうこと
から、上記のような過酷な条件下で安定した低B定数特
性を維持する事が困難であった。そこで従来より低い温
度で測定可能なレベルの抵抗値を示し、更にB定数が低
く、且つ、高温下あるいは低酸素雰囲気下のような過酷
な条件下であっても安定したB定数特性を有する負温度
係数サーミスタ素子の開発が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、従来よりも低い温度で測定可
能なレベルの抵抗値とし、且つB定数を低くすることが
できると共に、組成を変化させなくても、高温下あるい
は酸欠雰囲気下で安定した低いB定数を示す負温度係数
サーミスタ素子を容易に得ることができる負温度係数サ
ーミスタ素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、負温度係
数サーミスタ素子の製造プロセスと抵抗値及びB定数と
の関係について検討した結果、焼成された素子に所定温
度で熱処理を行うことにより、組成を変化させなくて
も、従来よりも低い温度で測定可能な抵抗値を示すと共
に、高温下あるいは酸欠雰囲気下でも安定した低B定数
を示す負温度係数サーミスタ素子が得られることを見出
して本発明を完成するに至った。
【0006】本発明の負温度係数サーミスタ素子の製造
方法は、サーミスタ合成粉末を焼成して得られた熱処理
前素子について、1100℃以上1400℃未満で熱処
理を行うことを特徴とする。
【0007】本発明における上記「サーミスタ合成粉
末」とは、これを焼成して熱処理前サーミスタ素子を得
るために使用されるものであり、通常は、原料であるセ
ラミック粉末について、必要に応じて湿式混合、乾燥、
仮焼、整粒等の工程を行い、あるいは焼結助剤やバイン
ダー等を添加することにより調製されるものである。ま
た、本発明において、上記「サーミスタ合成粉末」を焼
成して上記「熱処理前素子」を得るための焼成温度につ
いては、焼成できる限り特に限定はなく、通常は140
0〜1700℃、好ましくは1400〜1650℃、更
に好ましくは1400〜1600℃である。かかる範囲
とすることにより、電極に使用しているPt−Rhの劣
化を抑制し、また、サーミスタ素子の結晶粒成長を抑制
することにより、特性のばらつきを低減できるので好ま
しい。
【0008】本発明の負温度係数サーミスタ素子の製造
方法は、サーミスタ合成粉末を焼成して得られた熱処理
前素子について、更に1100℃以上1400℃未満で
熱処理を行うものである。かかる焼成後の熱処理を行う
ことにより、粒内成分が僅かに粒界へ拡散し、熱処理前
よりも粒界抵抗が小さくなる。その結果、素子の組成を
変化させなくても、従来よりも低い温度で測定可能な抵
抗値を示し、且つ、高温下あるいは酸欠雰囲気下で安定
した低いB定数を示す負温度係数サーミスタ素子とする
ことができる。また、上記熱処理の温度は、通常は11
00℃以上1400℃未満、好ましくは1100℃〜1
350℃、更に好ましくは1150℃〜1350℃であ
る。上記熱処理の温度が1100℃未満及び1400℃
以上では、B定数、特に低温域(150〜600℃)で
のB定数の低下を図ることが困難であることから好まし
くない。一方、上記熱処理の温度を1100〜1350
℃、特に1150〜1350℃とすると、B定数、特に
低温域(150〜600℃)でのB定数を著しく低下さ
せることができ、より低温領域からの温度検知が可能で
ある負温度係数サーミスタ素子とすることができるので
好ましい。
【0009】本発明の負温度係数サーミスタ素子の製造
方法において、熱処理を行う際の条件についても、熱処
理温度が1100℃以上1400℃未満である限り、特
に限定はない。例えば、熱処理を行う場合の雰囲気は、
大気以外の特別な雰囲気でもよいが、コストの面から大
気雰囲気で行うのが好ましい。また、熱処理を行う時間
についても特に限定はなく、通常は5〜50時間、好ま
しくは10〜50時間、更に好ましくは10〜40時間
である。熱処理を行う時間を上記範囲とすることによ
り、B定数、特に低温域(150〜600℃)B定数を
安定して低下させることができるので好ましい。更に、
成形体の焼成後から熱処理を行うまでの時間についても
特に限定はないが、通常は、成形体の焼成後、成形体の
温度が室温まで低下した後に熱処理を行う。
【0010】また、本発明の負温度係数サーミスタ素子
の製造方法において、上記熱処理後、更に800〜11
00℃、好ましくは850〜1100℃、更に好ましく
は900〜1100℃の温度で、30時間以上、好まし
くは100時間以上、更に好ましくは200時間以上の
第2熱処理を行うことができる。かかる温度及び処理時
間で熱処理を行うことにより、素子の組成を変化させる
ことなく、上記熱処理により低いサーミスタ素子のB定
数を更に安定化することができるので好ましい。この第
2熱処理についても、熱処理温度が800〜1100℃
であり、処理時間が30時間以上であれば、その他の処
理条件については特に限定はない。例えば、熱処理を行
う場合の雰囲気は、大気雰囲気でも、大気以外の特別な
雰囲気でもよい。また、熱処理後から第2熱処理を行う
までの時間についても特に限定はなく、通常は、熱処理
後、成形体の温度が室温まで低下した後に第2熱処理を
行う。
【0011】本発明の負温度係数サーミスタ素子におい
て、素子の成分の組成については、サーミスタ素子が負
の温度係数を有する限り特に限定はないが、通常は、組
成がABO3(A:2A族及び3A族元素のうちの1種
以上、B:2B族、3B族、4A族、5A族、6A族、
7A族及び8族元素のうちの1種以上)で構成されるぺ
ロブスカイト構造を含有するものである。この場合、上
記組成としなければ、ぺロブスカイト構造を得ることが
できない。
【0012】上記Aで表される2A族元素としては、例
えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Pr等が挙げられ、3
A族元素としては、Sc、Y、Ce、Nd、Sm、E
u、Gd、Dy、Ho、Er、Yb等が挙げられ、この
うちの1種以上を用いることができる。この中で、Yの
み又はYと他の2A族及び3A族元素のうちの少なくと
も1種、特にMg、Ca、Sr、Baのうちの少なくと
も1種とすると、熱処理前素子のB定数を小さくしてお
くことができるので好ましい。
【0013】また、上記Bで表される2B族元素として
はZn等、3B族としてはAl、Ga等、4A族元素と
してはTi、Zr、Hf等、5A族としてはV、Nb、
Ta等、6A族元素としてはCr、Mo、W等、7A族
元素としてはMn等、8族元素としてはFe、Co、N
i等が例示されれ、この内の1種以上を用いることがで
きる。この中で、Crのみ又はCrと他の2B族、3B
族、4A族、5A族、6A族、7A族及び8族元素の少
なくとも1種、特にTi及び/又はFeとすると、各元
素のイオン半径が近接しているため、組成比を自由に変
化させることができるので好ましい。
【0014】また、本発明の負温度係数サーミスタ素子
において、サーミスタ素子の成分の組成がABO3であ
る場合、特に(Y,Sr)(Cr,Fe,Ti)O3
すると、Aサイト及びBサイトそれぞれを占める元素同
士のイオン半径が近接しているため、組成比を自由に変
化させることができるので好ましい。この場合、各元素
の含有比率については特に限定はないが、組成が(Y
1-X,SrX)(Cr1-Y-Z,FeY,TiZ)O3で表され
る場合、上記Xは0.01以上0.081未満、好まし
くは0.01〜0.075、更に好ましくは0.05〜
0.075とすることができる。また、Y/(1−Y−
Z)は0.05〜0.4、好ましくは0.1〜0.4、
更に好ましくは0.2〜0.4とすることができる。更
に、上記Zは0.025〜0.35、好ましくは0.0
25〜0.2、更に好ましくは0.025〜0.1とす
ることができる。かかる範囲とすることにより、 使用
に適した抵抗温度特性とすることができ、且つ、高温下
あるいは低酸素雰囲気下において、より安定な抵抗温度
特性を示すことから好ましい。
【0015】本発明のサーミスタ素子では、上記サーミ
スタ合成粉末を所定形状に成形して焼結するものである
ことから、焼結助剤を用いることができる。かかる焼結
助剤としては、例えば、SiO2、CaSiO3、SrS
iO3等が挙げられる。また、その使用量についても特
に限定はないが、焼結助剤としてSiO2を用いる際
は、サーミスタ合成粉末全量を100質量%とした場
合、通常は0.3〜10質量%、好ましくは0.5〜1
0質量%、更に好ましくは0.8〜5質量%である。か
かる範囲とすることにより、低温による焼成が可能とな
り、強度が大きく、高温安定性に優れた素子とすること
ができるので好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施例及
び比較例を挙げて具体的に説明する。 <1>実験例1 (1)負温度係数サーミスタ素子及びセンサの製造 原料粉末として、Y23、SrCO3、Cr23、Fe2
3及びTiO2を用いた。そして、組成(Y1-X,S
X)(Cr1-Y-Z,FeY,TiZ)O3におけるX、Y
/(1−Y−Z)及びZが表1に示す値となるように、
上記原料粉末を秤量し、これを湿式混合して乾燥するこ
とにより、原料粉末混合物を調製した。次いで、該原料
粉末混合物を1400℃、大気雰囲気下で2時間仮焼
後、焼結助剤としてSiO2を添加し、その後、湿式粉
砕及び乾燥を行うことにより、サーミスタ合成粉末を得
た。そして、該サーミスタ合成粉末にバインダーを添加
して乾燥後、整粒してプレス粉末とし、これをプレス成
型後、1550℃、大気雰囲気下で1時間焼成を行って
サーミスタ素子を得た。次いで、上記焼成により得られ
たサーミスタ素子について、大気雰囲気下、表1に示す
条件で熱処理を行うことにより、以下の性能試験で使用
する実施例1〜3及び比較例1〜3の各負温度係数サー
ミスタ素子を得た。
【0017】(2)性能試験(B定数及び抵抗値の測
定) 上記実施例1〜3及び比較例1〜3の各負温度係数サー
ミスタ素子について、150℃、600℃及び900℃
における抵抗値(kΩ)を測定した。そして、得られた
抵抗値に基づいて、下記式によりB定数(K)を算出し
た。また、算出されたB定数に基づいて、熱処理無しの
比較例1の負温度係数サーミスタ素子のB定数に対する
B定数低下率(%)を求めた。この結果を表1に、ま
た、熱処理温度(℃)とB定数低下率(%)との関係を
グラフ化したものを図1に示す。尚、表1において、B
定数低下率(%)がマイナスの値を示しているのは、測
定されたB定数が比較例1のB定数よりも減少している
ことを示す。 B=ln(R/R0)/(1/k−1/k0) B;B定数(K) k、k0;測定温度(K)〔k
>k0〕 R;測定温度k(K)での抵抗値(kΩ) R0;測定温度k0(K)での抵抗値(kΩ)
【0018】
【表1】
【0019】(3)実験例1の結果 表1及び図1より、1550℃焼成後に1100〜13
00℃で熱処理を行っている実施例1〜3のB定数は、
焼成後に熱処理を行っていない比較例1と比べて、−5
〜−33%(150〜600℃)、0〜−9%(600
〜900℃)と低下し、特に低温領域でのB定数の低下
が著しいことが判る。また、熱処理温度が1200〜1
300℃の実施例2〜3のサーミスタ素子のB定数は、
焼成後に熱処理を行っていない比較例1と比べて、−2
3〜−33%(150〜600℃)、−6〜−9%(6
00〜900℃)と著しく低下していることが判る。こ
れに対し、焼成後の熱処理温度が1000℃である比較
例2のB定数は、焼成後に熱処理を行っていない比較例
1と比べて、−3%(150〜600℃)、0%(60
0〜900℃)であり、焼成後の熱処理温度が1400
℃である比較例3のサーミスタ素子のB定数は、1%
(150〜600℃)、0%(600〜900℃)であ
り、いずれも低B定数化が不十分であることが判る。
【0020】<2>実験例2 (1)負温度係数サーミスタ素子及びセンサの製造 組成(Y1-X,SrX)(Cr1-Y-Z,FeY,TiZ)O3
におけるX、Y/(1−Y−Z)及びZが表2に示す値
となるように、上記実験例1と同じ原料粉末を用い、同
じ方法によりサーミスタ素子を得た。次いで、得られた
サーミスタ素子をアッセンブリ後、1300℃、大気雰
囲気下で30時間第1熱処理を行い、室温に冷却後、1
000℃、大気雰囲気下で200時間第2熱処理を行っ
て、以下の性能試験で使用する実施例4の負温度係数サ
ーミスタ素子を得た。また、組成を変えると共に、上記
第1熱処理及び第2熱処理を行わない負温度係数サーミ
スタ素子を比較例4及び比較例5とした。
【0021】(2)性能試験 上記実施例4、比較例4〜5の負温度係数サーミスタ素
子と、上記実験例1で製造した実施例3及び比較例1の
負温度係数サーミスタ素子を組み込んだセンサー完成品
について、150、600及び900℃における抵抗値
(kΩ)を測定し、得られた抵抗値に基づいて、実験例
1の式によりB定数(K)を算出した。次いで、センサ
ー完成品の感熱部を1000℃の温度条件にて150時
間連続放置し、放置後に再び上記3ポイントの温度で耐
久後抵抗値(kΩ)を測定した(比較例1では、150
℃における抵抗値を測定できなかったので、代わりに3
00℃で測定した。)。そして、得られた測定値から次
式に基づき、加熱による抵抗値の変化率(%)及び温度
換算値(℃)を計算した。その結果を表2に示す。 変化率=(a−b)×100/b 変化率の温度換算値=1/〔ln(a/b)/B+1/
k〕−k a;各温度での耐久後抵抗値(kΩ) b;各温度での
初期抵抗値(kΩ) k;抵抗値を測定した時の絶対温度(K)
【0022】
【表2】
【0023】(3)実験例2の結果 表2より、焼成後の熱処理を行っていない比較例1では
300℃までしか抵抗値が出ないのに対して、比較例1
と同じ原料組成で焼成後の第1熱処理及び第2熱処理を
行っている実施例4では、150℃での抵抗値が327
〜371kΩであり、比較例1より抵抗変化範囲が拡大
していることが判る。また、実施例4及び比較例1は、
いずれも各温度における耐久後の抵抗値の変化率が−6
%〜+4%、温度換算値が−5℃〜+5℃の範囲である
ことから、実施例4は、比較例1と比べて検知範囲が1
50〜900℃と拡張されているにもかかわらず、同程
度の安定な特性を示すものであることが判る。
【0024】また、表2より、同じ原料組成で第1熱処
理のみを行っている実施例3では、耐久後の抵抗値の変
化率が−18%〜+7%、温度換算値が−11℃〜+8
℃の範囲であるのに対し、第1熱処理と第2熱処理の両
方を行っている実施例4では、耐久後の抵抗値の変化率
が−6%〜+3%、温度換算値が−5℃〜+2℃と小さ
いことが判る。特に150℃の低温領域では、実施例3
では、耐久後の抵抗値の変化率が−18%〜−13%、
温度換算値が+5℃〜+8℃の範囲であるのに対し、実
施例4では、耐久後の抵抗値の変化率が−6%〜−1
%、温度換算値が0℃〜+2℃の範囲と、著しく小さい
ことが判る。この結果より、第2熱処理を行うことによ
り、負温度係数サーミスタ素子の特性、特に低温領域で
の特性を更に安定化することができることが判る。
【0025】更に、表2より、実施例4では、各温度に
おける抵抗値の変化率が−6%〜+3%、温度換算値が
−5℃〜+3℃と小さく、金属酸化腐食の激しいセンサ
感熱部内部に素子を埋没した過酷な条件下においても、
安定した抵抗温度特性を示すことが判る。これに対し、
サーミスタ素子の組成を変化させた比較例4及び比較例
5では、各温度における抵抗値の変化率が−47%〜1
06%、温度換算値が−29℃〜35℃と大きく、特に
600℃以下で著しく大きくなっていることから、抵抗
温度特性が不安定で、金属酸化腐食の激しいセンサ感熱
部内部に素子を埋没した過酷な条件下に耐えられないも
のであることが判る。
【0026】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更し
た実施例とすることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明の負温度係数サーミスタ素子の製
造方法によれば、従来よりも低い温度で測定可能なレベ
ルの抵抗値とし、B定数を低くすることができると共
に、組成を変化させなくても、高温下あるいは酸欠雰囲
気下でも安定した低B定数を示す負温度係数サーミスタ
素子を得ることができる。よって、従来の負温度係数サ
ーミスタ素子と比較して、より低温領域からの温度検知
が可能であり、また、高温酸化雰囲気下のように、過酷
な条件下で安定した低B定数特性を維持することができ
るので、高温酸化雰囲気下にて使用される温度センサの
感熱素子等に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1における熱処理温度(℃)とB定数低
下率(%)のグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーミスタ合成粉末を焼成して得られた
    熱処理前素子について、1100℃以上1400℃未満
    で熱処理を行うことを特徴とする負温度係数サーミスタ
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記熱処理後の素子に800〜1100
    ℃で30時間以上の第2熱処理を行う請求項1記載の負
    温度係数サーミスタ素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記素子は、組成がABO3(A:2A
    族及び3A族元素のうちの1種以上、B:2B族、3B
    族、4A族、5A族、6A族、7A族及び8族元素のう
    ちの1種以上)で構成される成分を含有するものである
    請求項1又は2記載の負温度係数サーミスタ素子の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 上記Aはイットリウム元素のみ又はイッ
    トリウム元素と他の2A族及び3A族元素のうちの1種
    以上との組み合わせであり、且つ、上記Bはクロム元素
    のみ又はクロム元素と他の2B族、3B族、4A族、5
    A族、6A族、7A族及び8族元素のうちの1種以上と
    の組み合わせである請求項3記載の負温度係数サーミス
    タ素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記素子は、組成が(Y,Sr)(C
    r,Fe,Ti)O3で構成される成分を含有するもの
    である請求項1又は2記載の負温度係数サーミスタ素子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記素子は、組成が(Y1-X,SrX
    (Cr1-Y-Z,FeY,TiZ)O3(0.01≦X<0.
    081、0.05≦Y/(1−Y−Z)≦0.4、0.
    025≦Z≦0.35)である請求項1又は2記載の負
    温度係数サーミスタ素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記素子は、サーミスタ合成粉末全量を
    100質量%とした場合、0.3〜10質量%のSiO
    2を含有するサーミスタ合成粉末を焼成することにより
    得られたものである請求項1乃至6のいずれかに記載の
    負温度係数サーミスタ素子の製造方法。
JP2001133493A 2001-04-27 2001-04-27 負温度係数サーミスタ素子の製造方法 Pending JP2002329602A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001133493A JP2002329602A (ja) 2001-04-27 2001-04-27 負温度係数サーミスタ素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001133493A JP2002329602A (ja) 2001-04-27 2001-04-27 負温度係数サーミスタ素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002329602A true JP2002329602A (ja) 2002-11-15

Family

ID=18981343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001133493A Pending JP2002329602A (ja) 2001-04-27 2001-04-27 負温度係数サーミスタ素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002329602A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5083639B2 (ja) * 2008-03-28 2012-11-28 株式会社村田製作所 Ntcサーミスタ磁器、及びntcサーミスタ磁器の製造方法、並びにntcサーミスタ
KR101388923B1 (ko) * 2012-12-10 2014-04-24 자동차부품연구원 부온도계수 서미스터 및 그 제조 방법
CN106348733A (zh) * 2016-08-25 2017-01-25 南京时恒电子科技有限公司 一种高精度ntc材料及其制造方法
CN110156478A (zh) * 2019-06-06 2019-08-23 宁波科联电子有限公司 一种低温烧结氧化物热敏元件、制造装置及其制造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5083639B2 (ja) * 2008-03-28 2012-11-28 株式会社村田製作所 Ntcサーミスタ磁器、及びntcサーミスタ磁器の製造方法、並びにntcサーミスタ
KR101388923B1 (ko) * 2012-12-10 2014-04-24 자동차부품연구원 부온도계수 서미스터 및 그 제조 방법
CN106348733A (zh) * 2016-08-25 2017-01-25 南京时恒电子科技有限公司 一种高精度ntc材料及其制造方法
CN106348733B (zh) * 2016-08-25 2020-09-08 南京时恒电子科技有限公司 一种高精度ntc材料及其制造方法
CN110156478A (zh) * 2019-06-06 2019-08-23 宁波科联电子有限公司 一种低温烧结氧化物热敏元件、制造装置及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107056273A (zh) 一种双层负温度系数热敏电阻及其制备方法
CN104513061A (zh) 半导体陶瓷组合物以及ptc热敏电阻
JP5256897B2 (ja) サーミスタ用金属酸化物焼結体、サーミスタ素子及びサーミスタ温度センサ並びにサーミスタ用金属酸化物焼結体の製造方法
CN105026336A (zh) Ptc热敏电阻陶瓷组合物以及ptc热敏电阻元件
JP3254594B2 (ja) サーミスタ用磁器組成物およびサーミスタ素子
JP4527347B2 (ja) サーミスタ用焼結体
JP3254595B2 (ja) サーミスタ用磁器組成物
KR100427900B1 (ko) 희토류금속원소함유의고온서미스터
JP2002329602A (ja) 負温度係数サーミスタ素子の製造方法
US6204748B1 (en) Yttrium chromite chromia thermistors
US6878311B2 (en) Ceramic mixture having negative temperature co-efficient, a thermistor containing the ceramic mixture and a process for preparing same
JP2010225903A (ja) サーミスタ用組成物とサーミスタ素子及びその製造方法
JPH02143502A (ja) Ntcサーミスタの製造方法
US5976421A (en) Indium-containing, oxide-ceramic thermistor
JP2014072374A (ja) チタン酸バリウム系半導体磁器組成物およびそれを用いたptcサーミスタ
JPWO2020090309A1 (ja) サーミスタ焼結体および温度センサ素子
JPH0562805A (ja) 高温用サーミスタ材料
CN111559911B (zh) 高灵敏度负温度系数热敏电阻材料及制备方法
KR101388923B1 (ko) 부온도계수 서미스터 및 그 제조 방법
JPH0766007A (ja) 高温用サーミスタ
JP3393261B2 (ja) サーミスタ用磁器組成物
KR100225499B1 (ko) 금속 산화물계 고온용 써미스터 조성물
JP4850330B2 (ja) サーミスタ組成物およびその製造方法、サーミスタ素子
KR100190271B1 (ko) 페로브스카이트계 중온용 써미스터 조성물
JP2004217500A (ja) サーミスタ素子用焼結体及びその製造方法、並びにサーミスタ素子、温度センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100506

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100518

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100928