JP2002327624A - 内燃機関 - Google Patents

内燃機関

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JP2002327624A
JP2002327624A JP2001162436A JP2001162436A JP2002327624A JP 2002327624 A JP2002327624 A JP 2002327624A JP 2001162436 A JP2001162436 A JP 2001162436A JP 2001162436 A JP2001162436 A JP 2001162436A JP 2002327624 A JP2002327624 A JP 2002327624A
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piston
internal combustion
combustion engine
crankshaft
dead center
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Masatake Suzuki
正剛 鈴木
Naoto Hara
直人 原
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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    • F02B61/00Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing
    • F02B61/02Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving cycles
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関の混合気の燃焼時の等容度を高めて
熱効率を高める。 【解決手段】 シリンダ15に摺動自在に嵌合するピス
トン16をコネクティングロッド21を介してクランク
シャフト19に連接した内燃機関において、燃焼室22
が区画されるシリンダヘッド12をピストン16および
クランクシャフト19間に配置する。燃焼室がピストン
を挟んでクランクシャフトの反対側に配置された従来の
内燃機関に比べて、ピストン16の上死点を基準とした
クランク角θの増加量に対する燃焼室22の容積の増加
量を小さく抑えることができ、これにより混合気の燃焼
時の等容度を高めて熱効率を高めることができる。しか
も膨張行程においてコネクティングロッド21に引張荷
重が加わるため、圧縮荷重が加わる従来の内燃機関に比
べて、コネクティングロッド21の強度を下げて重量を
軽減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダに摺動自
在に嵌合するピストンをコネクティングロッドを介して
クランクシャフトに連接した内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】図9には従来の一般的な4サイクル単気
筒内燃機関が模式的に示される。
【0003】この内燃機関Eは、シリンダ01と、シリ
ンダ01に摺動自在に嵌合するピストン02と、シリン
ダ01に結合されたシリンダヘッド03と、シリンダ0
1に臨むシリンダヘッド03の下面に形成された燃焼室
04と、クランクシャフト05と、ピストン02をクラ
ンクシャフト05に連接するコネクティングロッド06
とを備える。そしてピストン02はシリンダヘッド03
とクランクシャフト05とに挟まれた位置に配置され
る。
【0004】図9(A)はピストン02が上死点にある
状態を示しており、このときのクランク角θは0°であ
る。図9(C)はピストン02が下死点にある状態を示
しており、このときのクランク角θは180°である。
図9(B)はピストン02が上死点および下死点の中点
にある状態を示しており、このときのクランク角θは9
0°にならず、90°よりも小さい角度θaとなる。そ
の理由は、上死点および下死点ではコネクティングロッ
ド06がシリンダ軸線L上にあるのに対し、前記中点で
はシリンダ軸線Lに対してコネクティングロッド06が
角度φだけ傾斜するからである。
【0005】図8には上記内燃機関Eの上死点を基準と
したクランク角θと、上死点を基準としたピストン02
の変位xとの関係が鎖線で示される。ここでピストン0
2の上死点および下死点間のストロークは2R(Rはク
ランク半径)である。図9(B)で説明したように、ピ
ストン02が上死点および下死点の中央の中点(ピスト
ン02の変位xがRの点)にあるとき、クランク角θは
90°よりも小さい角度θaとなる。それに対して実線
で示す正弦カーブ(x=Rsin(θ−90°)+R)
では、ピストン02が上死点および下死点の中点にある
とき、クランク角θは90°となる。
【0006】このように、従来の内燃機関Eでは、クラ
ンク角θに対するピストン02の変位xの関係を示すラ
イン(鎖線参照)が、実線で示す正弦カーブよりも上側
に位置していることが分かる。このことは、膨張行程の
初期においてピストン02が上死点から下降するとき、
クランク角θの増加量に対するピストン02の変位xの
増加量が正弦カーブの特性に比べて大きいことを意味し
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、内燃機関E
の熱効率を高めるには、混合気の燃焼時の等容度を高め
ることが望ましい。即ち、ピストン02の上死点近傍で
混合気の燃焼が開始してピストン02が下降すると、ピ
ストン02の上方の燃焼室04の容積が増加するが、そ
のときのクランク角θの増加量に対する燃焼室04の容
積の増加量が小さいほど前記等容度が高められてが熱効
率が向上する。しかしながら図9に示す従来の内燃機関
Eでは、上死点からのクランク角θの増加量に対する燃
焼室04の容積の増加量が大きくなって等容度が低下す
るため、内燃機関Eの熱効率を高める上で不利であっ
た。
【0008】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、内燃機関の混合気の燃焼時の等容度を高めて熱効率
を高めることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、シリンダに摺
動自在に嵌合するピストンをコネクティングロッドを介
してクランクシャフトに連接した内燃機関において、燃
焼室が区画されるシリンダヘッドをピストンおよびクラ
ンクシャフト間に配置したことを特徴とする内燃機関が
提案される。
【0010】上記構成によれば、内燃機関において燃焼
室が区画されるシリンダヘッドをピストンおよびクラン
クシャフト間に配置したので、燃焼室がピストンを挟ん
でクランクシャフトの反対側に配置された従来の内燃機
関に比べて、ピストンの上死点を基準としたクランク角
の増加量に対する燃焼室の容積の増加量を小さく抑える
ことができ、これにより混合気の燃焼時の等容度を高め
て熱効率を高めることができる。しかも膨張行程におい
てコネクティングロッドに引張荷重が加わるため、圧縮
荷重が加わる従来の内燃機関に比べて座屈に対する配慮
が不要になり、コネクティングロッドの強度を下げて重
量を軽減することができる。
【0011】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、シリンダヘッドに吸気弁およ
び排気弁をV字状に設け、吸気弁および排気弁間に動弁
機構およびクランクシャフトを配置したことを特徴とす
る内燃機関が提案される。
【0012】上記構成によれば、シリンダヘッドにV字
状に設けた吸気弁および排気弁間に動弁機構およびクラ
ンクシャフトを配置したので、クランクシャフトおよび
動弁機構を相互に接近させてクランクシャフトから動弁
機構への動力伝達経路を簡素化することができるだけで
なく、内燃機関の全高を低くすることができる。
【0013】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1または請求項2の構成に加えて、クランクシャ
フトの軸方向両端側にピストンを挟むように一対のコネ
クティングロッドを配置したことを特徴とする内燃機関
が提案される。
【0014】上記構成によれば、クランクシャフトの軸
方向両端側にピストンを挟むように一対のコネクティン
グロッドを配置したので、コネクティングロッドがピス
トンと干渉するのを回避しながらピストンに偏荷重が加
わるのを防止することができる。
【0015】また請求項4に記載された発明によれば、
サイクル中に行程容積が変化しない往復動式の内燃機関
において、上死点を基準とした下死点へ向かうピストン
の変位をxとし、上死点を基準としたクランク角をθと
し、クランク半径をRとしたとき、 x<Rsin(θ−90°)+R が成立することを特徴とする内燃機関が提案される。
【0016】上記構成によれば、上死点を基準とした下
死点へ向かうピストンの変位をxとし、上死点を基準と
したクランク角をθとし、クランク半径をRとしたと
き、x<Rsin(θ−90°)+Rの関係が成立する
ので、クランク角の増加量に対する燃焼室の容積の増加
量を小さく抑えることができ、これにより混合気の燃焼
時の等容度を高めて熱効率を高めることができる。
【0017】また請求項5に記載された発明によれば、
請求項4の構成に加えて、燃焼室が区画されるシリンダ
ヘッドをピストンおよびクランクシャフト間に配置し、
ピストンリングの下端とピストンピンの上端との距離を
ピストンのストロークよりも大きく設定したことを特徴
とする内燃機関が提案される。
【0018】上記構成によれば、燃焼室が区画されるシ
リンダヘッドをピストンおよびクランクシャフト間に配
置したことにより、膨張行程においてコネクティングロ
ッドに引張荷重が作用するので、圧縮荷重が加わる従来
の内燃機関に比べて座屈に対する配慮が不要になり、コ
ネクティングロッドの強度を下げて重量を軽減すること
ができる。しかもピストンリングの下端とピストンピン
の上端との距離をピストンのストロークよりも大きく設
定したことにより、ピストンが下死点に達したときにピ
ストンリングがシリンダの下端から外れることがない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0020】図1〜図8は本発明の一実施例を示すもの
で、図1は自動二輪車の車体へのパワーユニットの取付
状態を示す図、図2は自動二輪車のパワーユニットの一
部破断側面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図
2の4−4線矢視図、図5は図3の5−5線断面図(上
死点状態)、図6は図5に対応する下死点状態を示す
図、図7は本発明の内燃機関の作用の説明図、図8はク
ランク角θとピストン変位xとの関係を示すグラフであ
る。
【0021】以下に示す実施例は、本発明の内燃機関E
を自動二輪車のパワーユニットPに適用したものであ
る。
【0022】図1に示すように、自動二輪車の車体フレ
ーム1に設けた取付ブラケット2,3に、内燃機関Eお
よび変速機Tを一体化したパワーユニットPが吊下支持
される。
【0023】図2〜図6を併せて参照すると明らかなよ
うに、パワーユニットPの外郭はミッションケース11
と、ミッションケース11の前面に締結されたシリンダ
ヘッド12と、シリンダヘッド12の前面に締結された
シリンダブロック13と、シリンダブロック13の前面
に締結されたカバー14とから構成されており、シリン
ダブロック13の上面に設けた取付ブラケット13a
と、ミッションケース11の上面に設けた2個の取付ブ
ラケット11a,11bとが、自動二輪車の車体フレー
ム1の取付ブラケット2,3(図1参照)に支持され
る。シリンダブロック13の内部に支持されたシリンダ
15にピストン16が摺動自在に嵌合しており、このピ
ストン16から前方に向けて一体に突出する脚部16
a,16aの前端にピストンピン17が支持される。ピ
ストン16が図2に示す上死点にあるとき、ピストンピ
ン17との干渉を回避するためのU字状の切欠15a,
15aがシリンダ15の前端に形成される。
【0024】シリンダヘッド12およびミッションケー
ス11の合わせ面に一対のボールベアリング18,18
を介して支持されたクランクシャフト19は一対のクラ
ンクピン19a,19aを備えており、これらクランク
ピン19a,19aに大端部をニードルベアリング2
0,20で支持された一対のコネクティングロッド2
1,21は、シリンダヘッド12の開口12a,12a
およびシリンダブロック13の開口13b,13bを通
って前記ピストンピン17の両端に連接される。
【0025】ピストン16の頂面に対向するようにシリ
ンダヘッド12に燃焼室22が形成されており、この燃
焼室22から上方に延びる吸気ポート23および下方に
延びる排気ポート24は、V字状に配置された吸気弁2
5および排気弁26でそれぞれ開閉される。一対のクラ
ンクピン19a,19aに挟まれたクランクシャフト1
9の中央部に駆動カムギヤ27が一体に形成されてお
り、ミッションケース11に支持したカムシャフト28
に固定した従動カムギヤ29が前記駆動カムギヤ27に
噛合する。吸気ポート23から上方に延びる吸気管4の
上流にキャブレタ5およびエアクリーナ6が接続され、
排気ポート24には排気管7が接続される(図1参
照)。燃焼室22には吸気弁25および排気弁26と干
渉しないように点火プラグ8が装着される。
【0026】ミッションケース11には吸気ロッカーシ
ャフト30および排気ロッカーシャフト31が支持され
ており、吸気ロッカーシャフト30に揺動自在に支持さ
れた吸気ロッカーアーム32が、カムシャフト28に固
定した吸気カム33および吸気弁25のステムエンドに
当接する。排気ロッカーシャフト31にはL字状の従動
排気ロッカーアーム34の中間部が揺動自在に支持され
ており、この従動排気ロッカーアーム34の一端部は排
気弁26のステムエンドに当接し、他端部は連結ロッド
35の一端に連結される。吸気ロッカーシャフト30に
は、前記吸気ロッカーアーム32に対して独立した駆動
排気ロッカーアーム36が揺動自在に支持されており、
この駆動排気ロッカーアーム36にカムシャフト28に
固定した排気カム37が当接するとともに、前記連結ロ
ッド35の他端が連結される。
【0027】駆動カムギヤ27の歯数は従動カムギヤ2
9の歯数の2分の1に設定されており、従ってカムシャ
フト28はクランクシャフト19の2分の1の回転数で
回転する。カムシャフト28の回転は、吸気カム33お
よび吸気ロッカーアーム32を介して吸気弁25に伝達
され、クランクシャフト19の2回転につき1回の割合
で吸気弁25を開弁駆動する。またカムシャフト28の
回転は、排気カム37、駆動排気ロッカーアーム36、
連結ロッド35および従動排気ロッカーアーム34を介
して排気弁26に伝達され、クランクシャフト19の2
回転につき1回の割合で排気弁26を開弁駆動する。
【0028】図2から明らかなように、ピストン16は
上側の2本の圧縮リング39,39と、下側の1本のオ
イルリング40とを備えており、下側のオイルリング4
0の下端とピストンピン17の上端との距離2R′は、
ピストン16の上死点および下死点間のストローク2R
よりも大きく設定されている。従って、ピストン16が
図2に示す上死点から図6に示す下死点に移動したと
き、オイルリング40がシリンダ15の下端(つまりピ
ストンピン17を嵌合すべくシリンダ15に形成した切
欠15a,15aの上端)から外れることが防止され
る。
【0029】変速機Tはメインシャフト41およびカウ
ンタシャフト42を備えており、メインシャフト41は
ミッションケース11に一対のボールベアリング43,
43を介して支持され、カウンタシャフト42はミッシ
ョンケース11に一対のボールベアリング44,44を
介して支持される。,メインシャフト41の右端には変
速用クラッチ45が設けられており、そのクラッチアウ
ター46に設けたドリブンギヤ47はクランクシャフト
19に設けたドライブギヤ48に噛合するとともに、そ
のクラッチインナー49はメインシャフト41に固定さ
れる。
【0030】メインシャフト41およびカウンタシャフ
ト42間には、1速変速段を確立するための1速用ギヤ
列G1と、2速変速段を確立するための2速用ギヤ列G
2と、3速変速段を確立するための3速用ギヤ列G3
と、4速変速段を確立するための4速用ギヤ列G4とが
設けられる。カウンタシャフト42の左端には駆動スプ
ロケット50が設けられており、この駆動スプロケット
50は無端チェーン51を介して図示せぬ後輪の従動ス
プロケットに接続される。エンジンEの始動用のキック
ペダル52に接続されたキック軸53の回転は、キック
軸53に設けたドグクラッチ54と、キック軸53、カ
ウンタシャフト42およびメインシャフト41に設けた
始動用ギヤ列Gsと、変速用クラッチ45と、ドリブン
ギヤ47と、ドライブギヤ48とを介してクランクシャ
フト19に伝達される。またクランクシャフト19の左
端にはジェネレータ55が設けられる。
【0031】而して、エンジンEのクランクシャフト1
9の回転は、クランクシャフト19に設けたドライブギ
ヤ48→ドリブンギヤ47→変速用クラッチ45→メイ
ンシャフト41→1速用ギヤ列G1〜4速用ギヤ列G4
の何れか→カウンタシャフト42、駆動スプロケット5
0→無端チェーン51→図示せぬドリブンスプロケット
の経路で後輪に伝達される。
【0032】次に、内燃機関Eの作用について説明す
る。
【0033】図7は本実施例の内燃機関Eを模式的に示
したもので、図9に示す従来の内燃機関に対応するもの
である。
【0034】本実施例の内燃機関Eは、シリンダ15
と、シリンダ15に摺動自在に嵌合するピストン16
と、シリンダ15に結合されたシリンダヘッド12と、
ピストン16に臨むシリンダヘッド12の上面に形成さ
れた燃焼室22と、クランクシャフト19と、ピストン
16をクランクシャフト19に連接するコネクティング
ロッド21,21とを備える。そしてシリンダヘッド1
2はピストン16とクランクシャフト19とに挟まれた
位置に配置される。
【0035】図7(A)はピストン16が上死点にある
状態を示しており、このときのクランク角θは0°であ
る。図7(C)はピストン16が下死点にある状態を示
しており、このときのクランク角θは180°である。
図7(B)はピストン16が上死点および下死点の中点
にある状態を示しており、このときのクランク角θは9
0°にならず、90°よりも大きい角度θbとなる。そ
の理由は、上死点および下死点ではコネクティングロッ
ド21,21がシリンダ軸線L上にあるのに対し、前記
中点ではシリンダ軸線Lに対してコネクティングロッド
21,21が角度φだけ傾斜するからである。
【0036】図8には上記内燃機関Eの上死点を基準と
したクランク角θと、上死点を基準としたピストン16
の変位xとの関係が破線で示される。ここでピストン1
6の上死点および下死点間のストロークは2R(Rはク
ランク半径)である。図7(B)で説明したように、ピ
ストン16が上死点および下死点の中点(変位がRの
点)にあるとき、クランク角θは90°よりも大きい角
度θbとなる。それに対して実線で示す正弦カーブで
は、ピストン16が上死点および下死点の中点にあると
き、クランク角θは90°となる。
【0037】このように、本実施例の内燃機関Eでは、
クランク角θに対するピストン16の変位xの関係を示
すライン(破線参照)が、実線で示す正弦カーブよりも
下側に位置しており、x<Rsin(θ−90°)+R
が成立することが分かる。このことは、膨張行程におい
てピストンが上死点から下降するとき、クランク角θの
増加量に対するピストン16の変位xの増加量が正弦カ
ーブの特性に比べて小さいことを意味している。
【0038】前述したように、内燃機関Eの熱効率を高
めるには混合気の燃焼時の等容度を高めることが望まし
く、そのためには膨張行程で上死点からピストン16が
下降するときに、クランク角θの増加量に対する燃焼室
22の容積の増加量が小さいほど前記等容度が高められ
て熱効率が向上する。図8のグラフのクランク角θが0
°から180°までの膨張行程部分から明らかなよう
に、破線で示す本実施例の内燃機関Eの上死点からのピ
ストン16の変位xは、鎖線で示す従来の内燃機関Eの
ピストン02の変位xに比べて小さくなっており、従っ
て膨張行程における等容度が高められて熱効率が向上す
る。
【0039】またコネクティングロッド21,21に最
も大きな荷重が加わる膨張行程において、ピストン16
はクランクシャフト19から遠ざかる方向に移動するた
め、コネクティングロッド21,21には従来の内燃機
関Eとは逆の引張荷重が作用する。このようにコネクテ
ィングロッド21,21に引張荷重が加わることによ
り、圧縮荷重が加わる場合に比べて強度上有利になり、
これによりコネクティングロッド21,21を細くして
軽量化を図ることができる。
【0040】またコネクティングロッド21,21を2
本に分割し、ピストン16の両側を通してクランクシャ
フト19の軸方向両端側に連接したので、ピストン16
に偏荷重が加わるのを防止して磨耗に対する耐久性を高
めることができる。しかもピストン16にクランクシャ
フト19から遠ざかる方向に脚部16a,16aを突出
させ、この脚部16a,16aに先端にピストンピン1
7を設けたので、コネクティングロッド21,21の全
長が従来の内燃機関Eに比べて長くなる。その結果、シ
リンダ軸線Lに対するコネクティングロッド21,21
の揺動角φが小さくなり、ピストン16が受けるサイド
スラストが減少して磨耗に対する耐久性を高めることが
できる。
【0041】更に、V字状の配置された吸気弁25およ
び排気弁26に挟まれた空間に動弁機構38およびクラ
ンクシャフト19を配置したので、クランクシャフト1
9からカムシャフト28への動力伝達系を駆動カムギヤ
27および従動カムギヤ29の2個のギヤで賄うことが
可能となり、従来の内燃機関Eが必要としたタイミング
チェーンやタイミングベルトが不要になって部品点数の
削減が可能になり、しかも内燃機関Eの高さ(シリンダ
軸線L方向の寸法)を減少させることができる。
【0042】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱することなく種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0043】例えば、実施例では自動二輪車のパワーユ
ニットPに使用される内燃機関Eを例示したが、本発明
は多気筒を含む他の任意の用途の内燃機関に対しても適
用することができる。また実施例では4サイクル単気筒
の内燃機関Eを例示したが、請求項1および請求項3に
記載された発明は2サイクルの内燃機関に対しても適用
することができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、内燃機関において燃焼室が区画されるシリン
ダヘッドをピストンおよびクランクシャフト間に配置し
たので、燃焼室がピストンを挟んでクランクシャフトの
反対側に配置された従来の内燃機関に比べて、ピストン
の上死点を基準としたクランク角の増加量に対する燃焼
室の容積の増加量を小さく抑えることができ、これによ
り混合気の燃焼時の等容度を高めて熱効率を高めること
ができる。しかも膨張行程においてコネクティングロッ
ドに引張荷重が加わるため、圧縮荷重が加わる従来の内
燃機関に比べて座屈に対する配慮が不要になり、コネク
ティングロッドの強度を下げて重量を軽減することがで
きる。
【0045】また請求項2に記載された発明によれば、
シリンダヘッドにV字状に設けた吸気弁および排気弁間
に動弁機構およびクランクシャフトを配置したので、ク
ランクシャフトおよび動弁機構を相互に接近させてクラ
ンクシャフトから動弁機構への動力伝達経路を簡素化す
ることができるだけでなく、内燃機関の全高を低くする
ことができる。
【0046】また請求項3に記載された発明によれば、
クランクシャフトの軸方向両端側にピストンを挟むよう
に一対のコネクティングロッドを配置したので、コネク
ティングロッドがピストンと干渉するのを回避しながら
ピストンに偏荷重が加わるのを防止することができる。
【0047】また請求項4に記載された発明によれば、
上死点を基準とした下死点へ向かうピストンの変位をx
とし、上死点を基準としたクランク角をθとし、クラン
ク半径をRとしたとき、x<Rsin(θ−90°)+
Rの関係が成立するので、クランク角の増加量に対する
燃焼室の容積の増加量を小さく抑えることができ、これ
により混合気の燃焼時の等容度を高めて熱効率を高める
ことができる。
【0048】また請求項5に記載された発明によれば、
燃焼室が区画されるシリンダヘッドをピストンおよびク
ランクシャフト間に配置したことにより、膨張行程にお
いてコネクティングロッドに引張荷重が作用するので、
圧縮荷重が加わる従来の内燃機関に比べて座屈に対する
配慮が不要になり、コネクティングロッドの強度を下げ
て重量を軽減することができる。しかもピストンリング
の下端とピストンピンの上端との距離をピストンのスト
ロークよりも大きく設定したことにより、ピストンが下
死点に達したときにピストンリングがシリンダの下端か
ら外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車の車体へのパワーユニットの取付状
態を示す図
【図2】自動二輪車のパワーユニットの一部破断側面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線矢視図
【図5】図3の5−5線断面図(上死点状態)
【図6】図5に対応する下死点状態を示す図
【図7】本発明の内燃機関の作用の説明図
【図8】クランク角θとピストン変位xとの関係を示す
グラフ
【図9】従来の内燃機関の作用の説明図
【符号の説明】
12 シリンダヘッド 15 シリンダ 16 ピストン 17 ピストンピン 19 クランクシャフト 21 コネクティングロッド 22 燃焼室 25 吸気弁 26 排気弁 38 動弁機構 39 圧縮リング(ピストンリング) 40 オイルリング(ピストンリング)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ(15)に摺動自在に嵌合する
    ピストン(16)をコネクティングロッド(21)を介
    してクランクシャフト(19)に連接した内燃機関にお
    いて、 燃焼室(22)が区画されるシリンダヘッド(12)を
    ピストン(16)およびクランクシャフト(19)間に
    配置したことを特徴とする内燃機関。
  2. 【請求項2】 シリンダヘッド(12)に吸気弁(2
    5)および排気弁(26)をV字状に設け、吸気弁(2
    5)および排気弁(26)間に動弁機構(38)および
    クランクシャフト(19)を配置したことを特徴とす
    る、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 【請求項3】 クランクシャフト(19)の軸方向両端
    側にピストン(16)を挟むように一対のコネクティン
    グロッド(21)を配置したことを特徴とする、請求項
    1に記載の内燃機関。
  4. 【請求項4】 サイクル中に行程容積が変化しない往復
    動式の内燃機関において、 上死点を基準とした下死点へ向かうピストン(16)の
    変位をxとし、上死点を基準としたクランク角をθと
    し、クランク半径をRとしたとき、 x<Rsin(θ−90°)+R が成立することを特徴とする内燃機関。
  5. 【請求項5】 燃焼室(22)が区画されるシリンダヘ
    ッド(12)をピストン(16)およびクランクシャフ
    ト(19)間に配置し、ピストンリング(39,40)
    の下端とピストンピン(17)の上端との距離をピスト
    ン(16)のストロークよりも大きく設定したことを特
    徴とする、請求項4に記載の内燃機関。
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