JP2002327499A - 梁部材 - Google Patents

梁部材

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JP2002327499A
JP2002327499A JP2001134920A JP2001134920A JP2002327499A JP 2002327499 A JP2002327499 A JP 2002327499A JP 2001134920 A JP2001134920 A JP 2001134920A JP 2001134920 A JP2001134920 A JP 2001134920A JP 2002327499 A JP2002327499 A JP 2002327499A
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steel
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Koichi Sugimoto
浩一 杉本
Hiroyoshi Tokinoya
浩良 時野谷
Katsuhisa Nishimura
勝尚 西村
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Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 別途耐火被覆の施工が不要であるとともに、
梁端接合部における強度を保証しつつ、梁全体としてそ
の剛性と塑性変形能の向上とを両立させることができ、
従って居住性と耐震性とを両立させることができる梁部
材を提供する。 【解決手段】 フランジ6を有するH形鋼7全体をコン
クリート体8で被覆するとともに、フランジ6のうち、
鋼管柱2と接合される梁端接合部9を含む梁端フランジ
部分Feを、これに隣接する一般フランジ部分Fsより
も大きな断面積で形成して、梁端接合部9から間隔を隔
てたこれらフランジ部分Fe,Fsの境界周辺を塑性ヒ
ンジ領域Eとし、塑性ヒンジ領域Eのフランジ6の面外
変形を許容するために、これらフランジ部分Fe,Fs
周りに空洞部11を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、別途耐火被覆の施
工が不要であるとともに、梁端接合部における強度を保
証しつつ、梁全体としてその剛性と塑性変形能の向上と
を両立させることができ、従って居住性と耐震性を両立
させることができる梁部材に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄骨構造物に適用される鋼製柱
としては、中空鋼管やH形鋼などの鋼材をそのまま用い
たもの、そしてまた中空鋼管内にコンクリートを充填し
たり、鋼材をコンクリート中に埋設するなどして形成し
た鉄骨コンクリート製、もしくは鉄骨鉄筋コンクリート
製のものがある。他方、鉄骨構造物に適用される梁部材
としては、H形鋼などの鋼製梁材をコンクリートで被覆
することにより形成した鉄骨コンクリート製、もしくは
鉄骨鉄筋コンクリート製のものがある。そして、このよ
うな梁部材を鋼製柱間に配置し、その梁端をこれら鋼製
柱に接合することによって、鉄骨構造物の柱・梁架構が
完成されるようになっている。
【0003】ところで、従来、鉄骨構造物の柱・梁架構
に用いる梁部材aとして図22に示すように、梁端のみ
において鉄骨bをコンクリートcで被覆しないように
し、この不被覆部dの鉄骨bのウエブeを、鉄骨柱fに
ガセットプレートgなどを介してボルト結合し、上下フ
ランジhを、鉄骨柱fに溶接接合するようにしたものが
知られている(特許掲載公報第2680346号参
照)。この梁部材aによれば、梁端以外の一般部分は鉄
骨bとコンクリートcとの合成によって剛比が増大して
弾性域の変形を抑制できるとともに、梁端の不被覆部d
では鉄骨bが健全な塑性ヒンジを生成することとなり、
これらにより優れた耐震性を確保できて居住性を向上す
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の梁部材aに
あっては、梁端において鉄骨bをコンクリートcでは被
覆しないけれども、実際上この鉄骨bと鉄骨柱fとの梁
端接合部周りの不被覆部dに対しては、必要的に耐火被
覆を施工しなければならなかった。
【0005】また、一般部分をコンクリートcで被覆す
る一方、梁端のみを被覆しないようにして剛比を増大さ
せているけれども、梁部材a全体をコンクリートcで被
覆した場合に比べると剛比はやはり小さく、梁の曲げ変
形を十分に抑制できず、良好な居住性を保証することが
難しかった。
【0006】また、塑性ヒンジは不被覆部dに発生する
が、この塑性ヒンジが発生する不被覆部dには鉄骨bの
上下フランジhと鉄骨柱fとの溶接接合部iがあって、
この溶接接合部iに応力が集中しやすいという課題があ
った。これに関連する事例として、兵庫県南部地震で
は、H形鋼の梁部材が終局耐力に達した際、中空断面の
鋼製柱の梁取り付け箇所が面外変形して、このためにウ
エブからの曲げモーメントが鋼製柱に十分に伝達されな
い事態が生じ、応力が梁端の溶接接合部のフランジに集
中して梁部材が破断したことが知られている。
【0007】このような事例から得られる知見として、
例えばH形鋼を用いた梁部材では、ウエブが十分に働か
ないうちにフランジの方が破断してしまって、当該フラ
ンジが最終的な梁耐力を左右することになっており、従
って梁端接合部においては、曲げ応力に対してフランジ
は有効に働くが、ウエブの方はその全体が有効に働くと
は必ずしも言えず、ウエブの全断面を有効とした梁断面
の算定を行うことができなかった。すなわち、梁端にお
けるフランジの健全性を確保することができれば、梁耐
力を向上させることができるとともに、また梁部材の最
適設計を行うことができる。
【0008】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て成されたもので、別途耐火被覆の施工が不要であると
ともに、梁端接合部における強度を保証しつつ、梁全体
としてその剛性と塑性変形能の向上とを両立させること
ができ、従って居住性と耐震性とを両立させることがで
きる梁部材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の梁部材にあっては、フランジを有する鋼製
梁材全体をコンクリート体で被覆するとともに、上記フ
ランジのうち、鋼製柱と接合される梁端接合部を含む梁
端フランジ部分を、これに隣接する一般フランジ部分よ
りも大きな断面積で形成して、上記梁端接合部から間隔
を隔てたこれらフランジ部分の境界周辺を塑性ヒンジ領
域とし、該塑性ヒンジ領域のフランジの面外変形を許容
するために、これらフランジ部分周りに空洞部を形成し
たことを特徴とする。
【0010】また、前記鋼製梁材はウエブを有し、前記
塑性ヒンジ領域で上記ウエブは前記コンクリート体で被
覆されていることを特徴とする。
【0011】また、前記コンクリート体には、前記塑性
ヒンジ領域から前記梁端接合部にわたる間に、梁の曲げ
応力を緩和するためのスリットが形成されていることを
特徴とする。
【0012】さらに、前記コンクリート体は、前記塑性
ヒンジ領域から前記梁端接合部にわたって前記鋼製梁材
を露出させるU字溝を有するプレキャスト製コンクリー
ト部材から形成されることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1〜図3に示すよう
に、本実施形態にかかる梁部材1は鋼製柱、例えば平断
面矩形状のコンクリート充填鋼管柱2に接合されて、鉄
骨構造物の柱・梁架構を構成するようになっている。コ
ンクリート充填鋼管柱2は一般的な構成でなり、梁部材
1の取付位置には、鋼管柱2内に内蔵して上下一対の内
ダイヤフラム3が設けられているとともに、鋼管柱2の
側面から梁部材1側に突出させてガセットプレート4が
溶接接合されている。
【0014】梁部材1は、フランジ5,6を有する鋼製
梁材、例えばH形鋼7とこのH形鋼7を被覆するコンク
リート体8とによって、鉄骨コンクリート製もしくは鉄
骨鉄筋コンクリート製として形成される。そして梁部材
1の長手方向両端がそれぞれ、鋼管柱2と接合される梁
端接合部9となる。この梁端接合部9では、H形鋼7の
ウエブ10がガセットプレート4にボルト接合されるこ
とにより鋼管柱2と接合されるとともに、またH形鋼7
の上下フランジ5,6が、鋼管柱2の管壁を介して内ダ
イヤフラム3と連続するように鋼管柱2の側面に直接溶
接接合される。
【0015】また、コンクリート体8は、梁の長手方向
に沿うその両端が鋼管柱2の側面にほぼ密接されるよう
に形成され、これによりH形鋼7はその全体が、具体的
にはその梁端接合部9間の全長にわたってコンクリート
体8で被覆される。
【0016】また本実施形態にあっては、H形鋼7の上
下両フランジ5,6に関しては、梁端接合部9を含む梁
の長手方向両端側の梁端フランジ部分Feの断面積(フ
ランジ幅×フランジ厚)が、梁の長手方向中央側に位置
されてこれら梁端フランジ部分Feと隣接する一般フラ
ンジ部分Fsの断面積よりも大きく形成される。図示例
にあっては、同一フランジ厚で、一般フランジ部分Fs
のフランジ幅を左右方向に向かって拡張した一体成形の
水平ハンチ部分Hによって、梁端フランジ部分Feの断
面積が増大されている。
【0017】詳細には、梁端フランジ部分Feは、梁端
接合部9を含むその周辺において最大フランジ幅で形成
されるとともに、当該梁端接合部9から梁中央側に離隔
した位置から、フランジ小端が傾斜するようにフランジ
幅がリニアに順次狭められ、最終的に一般フランジ部分
Fsのフランジ幅となるように成形されていて、フラン
ジ幅のこの張り出し分だけ一般フランジ部分Fsよりも
断面積が増大されている。そして、最大フランジ幅の梁
端接合部9で鋼管柱2と溶接接合されるようになってい
る。
【0018】このように断面積が増大された梁端フラン
ジ部分Feと一般フランジ部分Fsとの境界を含むその
周辺は構造強度上不連続な部分を構成し、これにより梁
端接合部9から梁中央側に間隔を隔てたこれらフランジ
部分Fe,Fsの境界周辺が、梁部材1の塑性ヒンジ領
域Eとして設定される。
【0019】そして特に本実施形態にあっては、梁端フ
ランジ部分Feおよび一般フランジ部分Fsの周りに
は、塑性ヒンジ領域Eのフランジの面外変形を許容する
ために、コンクリートを充填しない非充填部としての空
洞部11が形成される。図示例にあっては、下フランジ
6の周囲にこれを収容するようにして空洞部11が形成
される。詳細にはこの空洞部11は、一般フランジ部分
Fsから梁端フランジ部分Feに向かって形状が変化す
る下フランジ6の外形形状に沿って当該下フランジ6を
包囲する平面寸法と、下フランジ6から下方に僅かな隙
間を隔てる位置からウエブ10の下方部分を包囲する高
さ寸法とで形成され、ウエブ10の下端周りに生じる、
回転や捩れを含む下フランジ6の面外変形を許容する広
さで形成される。
【0020】また本実施形態では、梁部材1のコンクリ
ート体8には、塑性ヒンジ領域Eから梁端接合部9にわ
たる間に、梁の上下方向曲げ変形を許容して梁部材1に
発生する曲げ応力を緩和するためのスリット12が形成
される。図示例にあってはスリット12は、鋼管柱2と
コンクリート体8とが密接する梁部材1の梁端接合部9
位置に、梁部材1の底面から当該梁部材1の中立軸付近
に達する深さで形成され、特に梁部材1の下方への曲げ
変形に対して融通が利くようになっている。スリット1
2には、塑性ヒンジ領域Eのコンクリート体8の部分に
圧縮力が生じないようにするため、耐火性を有する材料
を充填した図示しない目地が設けられ、この目地により
当該圧縮力を緩衝できるようになっている。
【0021】このような図1〜3に示した本実施形態の
梁部材1は、現場施工によって次のようにして構築され
る。梁端フランジ部分Feと一般フランジ部分Fsとを
上記所定の形状に形成したH形鋼7を揚重して、互いに
間隔を隔てて立設した鋼管柱2間に配置し、梁端接合部
9のウエブ10をボルト接合によりガセットプレート4
を介して鋼管柱2に接合し、かつ梁端接合部9の上下フ
ランジ5,6を溶接により鋼管柱2に接合する。
【0022】次いで、空洞部11を形成するために、梁
端フランジ部分Feと一般フランジ部分Fsとの境界周
辺の塑性ヒンジ領域Eに位置する下フランジ6を取り囲
んで、珪酸カルシウム版などで形成した中空箱体状のボ
イド部材13を配置する。
【0023】次いで、H形鋼7の梁端接合部9間全長に
わたって図示しない梁型枠を配置して内部にコンクリー
トを打設し、スリット12の部分を除いてH形鋼7全体
を被覆するコンクリート体8を形成する。これにより、
鋼管柱2と接合された鉄骨コンクリート製もしくは鉄骨
鉄筋コンクリート製の梁部材1が完成される。この際、
スラブ型枠も配置して、梁部材1から床スラブ14にわ
たるコンクリート打設を一挙に行うようにしても良い。
【0024】以上説明したように、本実施形態の梁部材
1にあっては、H形鋼7全体を梁端接合部9間の梁の全
長にわたってコンクリート体8で被覆するようにしたの
で、別途耐火被覆を施工する必要がなく、省力化を達成
することができる。また仮に、スリット12によってH
形鋼7が露出されたとしても僅かであり、従来に比して
耐火被覆の施工量を軽減することができる。
【0025】またH形鋼7全体をコンクリート体8で被
覆するようにしたので、梁部材1の剛比を大きく確保す
ることができ、梁部材1の曲げ変形を十分に抑制するこ
とができて、居住性を向上することができる。
【0026】さらに、梁端フランジ部分Feの断面積を
一般フランジ部分Fsの断面積より大きくして、梁端接
合部9から間隔を隔てる梁端フランジ部分Feと一般フ
ランジ部分Fsの境界周辺に塑性ヒンジ領域Eを設定す
るとともに、フランジ部Fe,Fs周りに形成した空洞
部11により塑性ヒンジ領域Eでの下フランジ6の面外
変形を許容するようにしたので、これら梁端フランジ部
分Feと一般フランジ部分Fsとの境界周辺において下
フランジ6は何ら拘束を受けることなく局部座屈を生じ
て当該領域Eに確実に塑性ヒンジを発生させることがで
きる一方で、梁端接合部9の下フランジ6の溶接接合部
への応力集中を緩和することができる。
【0027】また本実施形態では、鋼管柱2と接合され
る梁端接合部9を含む梁端フランジ部分Feの断面積
を、一般フランジ部分Fsの断面積よりも大きくしたの
で、梁端接合部9における上下フランジ5,6の溶接接
合部の応力を低減することができ、かつその断面積を大
きくした分だけ、ウエブ10からの応力を鋼管柱2に有
効に伝達させることができて梁耐力を向上させることが
できるとともに、曲げ応力に対しウエブ10を含むH形
鋼7全断面を有効として梁部材1の断面を算定すること
が可能となり、この結果、梁部材1の最適設計を行うこ
とが可能となる。またこのようにウエブ10を有効に働
かせて梁耐力を向上できることから、必要に応じてフラ
ンジ5,6の断面積を小さく設定できるようになる。
【0028】このように本実施形態の梁部材1にあって
は、梁端接合部9におけるH形鋼7の鋼管柱2に対する
接合強度を保証しつつ、梁部材1全体としての剛性確保
と塑性変形能の向上とを両立させることができ、これに
より居住性と耐震性とを両立させることができる。
【0029】また、塑性ヒンジ領域Eから梁端接合部9
にわたる間にスリット12を設けたことにより、梁部材
1の上下方向曲げ変形を許容してこれに発生する曲げ応
力を緩和することができ、梁部材1の耐力を向上させる
ことができる。
【0030】図4〜図6には、上記実施形態の変形例が
示されている。この変形例は、コンクリート体8の一部
をプレキャスト製コンクリート部材15から形成した以
外は、上記実施形態と同様である。図示するように、プ
レキャスト製コンクリート部材15には、その内部にH
形鋼7が埋設されるとともに、塑性ヒンジ領域Eから梁
端接合部9にわたる間にU字溝16が形成されていて、
このU字溝16内にH形鋼7が部分的に露出されるよう
になっている。このようなプレキャスト製コンクリート
部材15を用いた梁部材1の構築は、次のようにして行
われる。
【0031】まず、工場等において製作した上記プレキ
ャスト製コンクリート部材15を揚重して、互いに間隔
を隔てて立設した鋼管柱2間に配置し、梁端接合部9に
露出しているウエブ10をボルト接合によりガセットプ
レート4を介して鋼管柱2に接合し、かつ同様に露出し
ている上下フランジ5,6を溶接により鋼管柱2に接合
する。
【0032】次いで、空洞部11を形成するために上記
実施形態と同様に、塑性ヒンジ領域Eに位置する下フラ
ンジ6を取り囲んで中空箱体状のボイド部材13を配置
する。
【0033】そしてその後、スリット12の部分を残し
て、U字溝16内にコンクリートを充填し、H形鋼7全
体を被覆するコンクリート体8を形成するようになって
いる。この際、プレキャスト製コンクリート部材15の
両側縁上端に半PCスラブ17も配置して、U字溝16
内を含む梁部材1上から床スラブ14にわたって一挙に
コンクリート打設を行うようにしても良い。
【0034】このようなプレキャスト製コンクリート部
材15を利用した梁部材1にあっても、上記実施形態と
同様な作用・効果を奏することはもちろんである。特に
この変形例にあっては、プレキャスト製コンクリート部
材15を用いたことにより、現場でのコンクリート打設
作業の省力化を達成することができる。
【0035】図7〜図10には、梁端フランジ部分Fe
の断面積を一般フランジ部分Fsの断面積よりも大きく
する水平ハンチ部分Hの変形例が示されている。
【0036】上記実施形態にあっては、水平ハンチ部分
Hをフランジ小端に一体的に成形する場合を例示して説
明したが、この水平ハンチ部分Hについては、図7に示
すように、左右のフランジ小端それぞれに三角形状の板
材18を溶接により接合して形成したり、図8に示すよ
うな台形の板材19、図9に示すような五角形状の板材
20を溶接接合して形成したり、さらには図10に示す
ように、一般フランジ部分Fsのフランジ幅を基準とし
て、梁端接合部側を広く拡幅させる一方で、梁中央部側
を狭く縮幅させた、いわゆるドッグボーンと称されるフ
ランジ21を一般フランジ部分Fsの端縁に溶接接合し
て形成するなど、様々に形成することができる。
【0037】図11〜図14には、梁端フランジ部分F
eの断面積を一般フランジ部分Fsの断面積よりも大き
くするために、フランジ厚を厚く変更するようにした変
形例が梁部材1の平面図と、内部に埋設されているH形
鋼7の側面図とで示されている。
【0038】図11(a),(b)に示すように一般フ
ランジ部分Fs側から梁端接合部9側に向かって厚さが
t1〜t2へと順次厚くなるテーパ状に形成したり、図
12(a),(b)に示すように一般フランジ部分Fs
と梁端フランジ部分Feとの境界でt1→t2へ段違い
に肉厚を厚くしたり、図13(a),(b)に示すよう
に梁端接合部9を含むその周辺を最大フランジ厚t3と
し、一般フランジ部分Fsを最小フランジ厚t1とし
て、これら間に中間的なフランジ厚t2を1段階設定し
て2段増厚としたり、さらに図14(a),(b)に示
すように梁端接合部9を含むその周辺を最大フランジ厚
tnとし、一般フランジ部分Fsを最小フランジ厚t1
として、これら間に一般フランジ部分Fs側から梁端接
合部9側に向かって順次厚さが厚くなる中間的なフラン
ジ厚t2,…,tn−1を多段階設定して多段増厚とす
るなど、様々に形成することができる。
【0039】図15〜図18には、フランジ部分Fe,
Fs周りに形成される空洞部11の変形例が示されてい
る。上記実施形態にあっては、下フランジ6周りのみに
空洞部11を形成した場合を例示して説明したが、図1
5に示すように上フランジ5に対しても空洞部11を形
成しても良い。
【0040】図示例では上フランジ5の空洞部11は、
下フランジ6の空洞部11と同様に、上フランジ5から
上方に僅かな隙間を隔てる位置からウエブ10の上方部
分を包囲する高さ寸法で形成され、下フランジ6の空洞
部11とは分離されている。これにより、ウエブ10の
上端周りに生じる、回転や捩れを含む上フランジ5の面
外変形を許容することができ、必要に応じてさらに塑性
変形能を向上させることができる。また図16に示すよ
うに、これら上フランジ5と下フランジ6の空洞部11
を一体化して、H形鋼7のH形断面全体を収容する空洞
部11bとして形成しても良い。
【0041】他方で、上記実施形態、並びに図15およ
び図16では、空洞部11がフランジ5,6のみならず
ウエブ10をも部分的もしくは全体的に収容する場合を
示したが、図17および図18に示すように、ウエブ1
0周りをコンクリート体8で被覆して当該ウエブ10を
コンクリート体8で拘束するようにし、空洞部11aに
はフランジ5,6のみが収容されるようにしても良い。
【0042】図示例にあっては、ウエブ10を挟んでそ
の両側それぞれに、ウエブ10からフランジ5,6の小
端に達する一辺およびフランジ小端からウエブ10と並
行に立ち上がる一辺を二辺とし、さらにウエブ10の上
・下端から斜めに立ち上がる斜辺によって構成される正
面断面三角形状の空洞部11aがコンクリート体8内に
ボイド部材13aによって区画形成され、これら空洞部
11aによってウエブ10を拘束した状態でフランジ
5,6の面外変形を、余裕をもって許容できるようにな
っている。
【0043】この変形例によれば、塑性ヒンジ領域Eの
ウエブ10をコンクリート体8で被覆して拘束すること
ができるので、空洞部11によってウエブ10が拘束さ
れない場合に比較して、ウエブ10の座屈耐力を格段に
向上させることができて当該ウエブ10の座屈による不
安定現象の発生を阻止でき、フランジ5,6が負担すべ
きウエブ10の曲げモーメントを減少させることができ
る。
【0044】図19および図20には、梁部材1に発生
する曲げ応力を緩和するためのスリット12の変形例が
示されている。上記実施形態では、スリット12は、鋼
管柱2とコンクリート体8とが密接する梁部材1の梁端
接合部9位置に、梁部材1の底面から当該梁部材1の中
立軸付近に達する深さで形成される場合を示したが、図
19に示すように同じ位置において、下フランジ6の被
りコンクリート深さでスリット12を形成したり、図2
0に示すように塑性ヒンジ領域E内で同様に、下フラン
ジ6の被りコンクリート深さでスリット12を形成する
ようにしても良い。特に図20の場合には、スリット1
2が塑性ヒンジ領域Eにあるので、梁部材1の塑性変形
能をさらに向上させることができる。
【0045】図21には、本発明を適用することができ
る鋼製柱2の各種の例が示されている。鋼製柱2として
は、鋼材そのもの、すなわち断面矩形状、断面円形状、
さらには隅部に丸みを形成した断面矩形状等の各種中空
鋼管柱((a)〜(c)参照)や断面H形材等の鋼材そ
のもの((g)参照)でもよく、またコンクリートと組
み合わせたもの、すなわち上記中空鋼管柱内にコンクリ
ートを充填したコンクリート充填鋼管柱((d)〜
(f)参照)、断面H形材やH形材を十字状に組んだも
の、逆T字状に組んだものにコンクリートを被覆した
((h)〜(j)参照)合成材のいずれであってもよ
く、鉄骨構造物の柱として適用されるものであればその
種類は問わない。
【0046】また上記各種実施形態にあっては、スリッ
ト12を設けた場合を例示して説明したけれども、スリ
ット12は必ずしも設けなくても良い。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る梁部材
にあっては、鋼製梁材全体をコンクリート体で被覆する
ようにしたので、別途耐火被覆を施工する必要がなく、
省力化を達成することができる。また、梁部材の剛比を
大きく確保することができ、梁部材の曲げ変形を十分に
抑制することができて、居住性を向上することができ
る。
【0048】さらに、梁端フランジ部分の断面積を一般
フランジ部分の断面積より大きくして、梁端接合部から
間隔を隔てる梁端フランジ部分と一般フランジ部分の境
界周辺に塑性ヒンジ領域を設定するとともに、これらフ
ランジ部分周りに形成した空洞部により当該塑性ヒンジ
領域でのフランジの面外変形を許容するようにしたの
で、これら梁端フランジ部分と一般フランジ部分との境
界周辺においてフランジは何ら拘束を受けることなく局
部座屈を生じて当該領域に確実に塑性ヒンジを発生させ
ることができる一方で、梁端接合部のフランジへの応力
集中を緩和することができる。
【0049】また、鋼製柱と接合される梁端接合部を含
む梁端フランジ部分の断面積を、一般フランジ部分の断
面積よりも大きくしたので、梁端接合部のフランジに発
生する応力を低減することができ、かつその断面積を大
きくした分だけ、鋼製梁材全体として応力を鋼製柱に有
効に伝達させることができて梁耐力を向上させることが
できるとともに、曲げ応力に対し鋼製梁材全断面を有効
として梁部材の断面を算定することが可能となり、この
結果、梁部材の最適設計を行うことが可能となる。また
このように鋼製梁材全体を有効に働かせて梁耐力を向上
できることから、必要に応じてフランジの断面積を小さ
く設定することができる。
【0050】このように本発明にかかる梁部材にあって
は、梁端接合部における鋼製梁材の鋼製柱に対する接合
強度を保証しつつ、梁部材全体としての剛性確保と塑性
変形能の向上とを両立させることができ、これによって
居住性と耐震性とを両立させることができる。
【0051】また、塑性ヒンジ領域のウエブをコンクリ
ート体で被覆して拘束することができるので、ウエブの
座屈耐力を格段に向上させることができて当該ウエブの
座屈による不安定現象の発生を阻止でき、フランジが負
担すべきウエブの曲げモーメントを減少させることがで
きる。
【0052】また、塑性ヒンジ領域から梁端接合部にわ
たる間にスリットを設けたことにより、梁部材の上下方
向曲げ変形を許容してこれに発生する曲げ応力を緩和す
ることができ、梁部材の耐力を向上させることができ
る。
【0053】鋼製梁材を被覆するコンクリート体をプレ
キャスト製コンクリート部材で形成したことにより、現
場でのコンクリート打設作業の省力化を達成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる梁部材の一実施形態を示す側断
面図である。
【図2】図1の梁部材のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1の梁部材のB−B線矢視断面図である。
【図4】本発明にかかる梁部材の他の実施形態を示す、
U字溝へのコンクリート充填前の側断面図である。
【図5】図4の梁部材のC−C線矢視断面図である。
【図6】図4の梁部材のD−D線矢視断面図である。
【図7】本発明に適用可能な水平ハンチ形態の一例を示
す梁部材の平面図である。
【図8】本発明に適用可能な水平ハンチ形態の他の例を
示す梁部材の平面図である。
【図9】本発明に適用可能な水平ハンチ形態の他の例を
示す梁部材の平面図である。
【図10】本発明に適用可能な水平ハンチ形態の他の例
を示す梁部材の平面図である。
【図11】本発明に適用可能なフランジ厚の増厚の一例
を示す梁部材の平面図である。
【図12】本発明に適用可能なフランジ厚の増厚の他の
例を示す梁部材の説明図である。
【図13】本発明に適用可能なフランジ厚の増厚の他の
例を示す梁部材の説明図である。
【図14】本発明に適用可能なフランジ厚の増厚の他の
例を示す梁部材の説明図である。
【図15】本発明に適用可能な空洞部の一例を示す梁部
材の正面断面図である。
【図16】本発明に適用可能な空洞部の他の例を示す梁
部材の正面断面図である。
【図17】本発明に適用可能な空洞部の他の例を示す梁
部材の正面断面図である。
【図18】本発明に適用可能な空洞部の他の例を示す梁
部材の正面断面図である。
【図19】本発明に適用可能なスリットの一例を示す梁
部材の側面図である。
【図20】本発明に適用可能なスリットの他の例を示す
梁部材の側面図である。
【図21】本発明にかかる梁部材を適用することが可能
な鋼製柱を列挙した説明図である。
【図22】従来の鉄骨構造物用梁部材を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
1 梁部材 2 鋼製柱 5 上フランジ 6 下フランジ 7 H形鋼 8 コンクリート体 9 梁端接合部 10 ウエブ 11 空洞部 12 スリット 15 プレキャスト製コンクリート部材 16 U字溝 E 塑性ヒンジ領域 Fe 梁端フランジ部分 Fs 一般フランジ部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 勝尚 大阪府大阪市中央区北浜東4番33号 株式 会社大林組本店内 Fターム(参考) 2E125 AA04 AA14 AB12 AB16 AC02 AC16 AG03 AG23 AG41 AG45 AG57 BB02 BB22 BD01 BE08 BF01 CA90 EA33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フランジを有する鋼製梁材全体をコンク
    リート体で被覆するとともに、上記フランジのうち、鋼
    製柱と接合される梁端接合部を含む梁端フランジ部分
    を、これに隣接する一般フランジ部分よりも大きな断面
    積で形成して、上記梁端接合部から間隔を隔てたこれら
    フランジ部分の境界周辺を塑性ヒンジ領域とし、該塑性
    ヒンジ領域のフランジの面外変形を許容するために、こ
    れらフランジ部分周りに空洞部を形成したことを特徴と
    する梁部材。
  2. 【請求項2】 前記鋼製梁材はウエブを有し、前記塑性
    ヒンジ領域で上記ウエブは前記コンクリート体で被覆さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の梁部材。
  3. 【請求項3】 前記コンクリート体には、前記塑性ヒン
    ジ領域から前記梁端接合部にわたる間に、梁の曲げ応力
    を緩和するためのスリットが形成されていることを特徴
    とする請求項1または2に記載の梁部材。
  4. 【請求項4】 前記コンクリート体は、前記塑性ヒンジ
    領域から前記梁端接合部にわたって前記鋼製梁材を露出
    させるU字溝を有するプレキャスト製コンクリート部材
    から形成されることを特徴とする請求項1〜3いずれか
    の項に記載の梁部材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077698A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Jfe Steel Kk 免震・制震機能を有する構造物
JP2017150179A (ja) * 2016-02-23 2017-08-31 平石 久廣 減振構造を有する柱梁構造

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