JP2002327378A - セルロース繊維含有材料の染色方法及び該染色方法によって染色されたセルロース繊維含有染色物 - Google Patents

セルロース繊維含有材料の染色方法及び該染色方法によって染色されたセルロース繊維含有染色物

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JP2002327378A
JP2002327378A JP2002044669A JP2002044669A JP2002327378A JP 2002327378 A JP2002327378 A JP 2002327378A JP 2002044669 A JP2002044669 A JP 2002044669A JP 2002044669 A JP2002044669 A JP 2002044669A JP 2002327378 A JP2002327378 A JP 2002327378A
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Yosuke Yoshida
洋介 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 尿素及び水ガラスを使用しなくとも、均染
性、染色性、再現性に優れた染色物を得ることができる
染色方法を提供する。 【解決手段】 セルロース繊維含有材料に反応染料の溶
液を含浸させた後、アルカリ剤及び助剤を含有した固着
液を含浸させて前記反応染料を染着させるセルロース繊
維含有材料の染色方法において、前記助剤として、カル
ボン酸塩が含有されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース繊維含
有材料の染色方法及び該染色方法によって染色されたセ
ルロース繊維含有染色物に関し、詳しくは、セルロース
繊維を含有する織り地、編み地、糸等のセルロース繊維
含有材料を反応染料で染色する染色方法及び該染色方法
によって染色されたセルロース繊維含有染色物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロース繊維含有材料の染色方
法としては、例えば、以下に示すパディング法が知られ
ている。即ち、反応染料及び反応染料とセルロースとの
反応(染着)を起こさせるアルカリ剤(例えば、苛性ソ
ーダ)が溶解した染料溶液の染浴内に、綿織物等のセル
ロース繊維含有材料を浸漬しマングル等で絞ること(パ
ディング)により、染料をセルロース繊維含有材料に含
浸させ、適宜、エージングやスチーミングを施すことに
より、染料をセルロース繊維に染着させる方法である。
【0003】この染色方法においては、染料溶液に含ま
れているアルカリ剤によって、染料の析出する虞がある
ため、該染料の析出を防止して均染性、染色性、再現性
を高めるべく、染料溶液に多量の尿素が添加されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、斯かる
従来の染色方法は、反応染料とセルロース繊維との化学
結合に尿素が直接関与せず、その大部分が排水中に含ま
れることとなるため、尿素中の窒素成分によって河川等
の水質の悪化を招来し、環境汚染を引き起こすという問
題を有している。
【0005】一方、このような問題を回避すべく、尿素
を使用せず均染性、染色性、再現性の高い方法として、
以下に示す染色方法も採用されている。即ち、反応染料
の溶液と、反応を起こさせるアルカリ剤(例えば、苛性
ソーダ)とを別々の浴に入れ、先ず、染浴に繊維材料を
浸漬して反応染料の溶液を繊維材料に含浸させ、乾燥さ
せた後、アルカリ剤と電解質濃度を高め染着を助ける助
剤とが添加された固着液の浴に浸漬して染着を進行させ
る二浴染色法である。この染色方法においては、助剤と
して、水ガラス(通常、アルカリ金属ケイ酸塩)や高濃
度電解質が使用されているが、十分な均染性、染色性、
再現性のある染色物を得るためには、助剤として、水ガ
ラスを使用することが必要とされている。
【0006】しかしながら、斯かる染色方法によれば、
尿素によって引き起こされる環境汚染を回避できるもの
の、水ガラスが結晶化し易いため、染色された染色物の
洗浄性が悪くなったり、排水時に排水の染料残渣の凝集
を阻害したり、固着液を排水として流す際に、配管内に
析出して配管を閉塞させたりする問題がある。
【0007】そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑
み、尿素及び水ガラスを使用しなくとも、均染性、染色
性、再現性に優れた染色物を得ることができる染色方法
を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、鋭意検討した結果、アルカリ剤と共に別途
添加する助剤として、カルボン酸塩を使用することによ
り、良好な均染性、染色性、再現性のある染色物が得ら
れることを見出し本発明を完成するに到った。
【0009】即ち、本発明に係るセルロース繊維含有材
料の染色方法は、セルロース繊維含有材料に反応染料の
溶液を含浸させた後、アルカリ剤及び助剤を含有した固
着液を含浸させて前記反応染料を染着させるセルロース
繊維含有材料の染色方法において、前記助剤として、カ
ルボン酸塩が含有されていることを特徴とする。助剤と
して、カルボン酸塩を用いることにより、均染性、染色
性、再現性が向上することから、水ガラスを使用する必
要も無く、また、反応染料の溶液を含浸させた後に、ア
ルカリ剤を含有した固着液を含浸させることから、反応
染料の溶液に予めアルカリ剤を混入しておく必要が無
く、従って、反応染料の析出を抑えるための尿素を該溶
液内に添加する必要もない。従って、尿素、水ガラスを
使用しなくとも、良好な均染性、染色性、再現性のある
染色物を得ることができる。また、本発明に係るセルロ
ース繊維含有染色物は、上記方法により、セルロース繊
維含有材料が染色されてなることを特徴とする。斯かる
染色物は、染色時に尿素、水ガラスを使用しなくとも非
常に良好な均染性、染色性、再現性を呈するものとな
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、セルロース繊維
含有材料とは、綿、麻、レーヨン等のセルロース繊維を
含有する織り地、編み地、糸等の材料で、これらは、通
常、精練処理が施されており、好ましくは、漂白、シル
ケット加工等が施されている。
【0011】本発明において、反応染料としては、例え
ば、染料分子中のセルロースと反応する官能基が、ビニ
ルスルホン系の官能基であるビニルスルホン型反応染料
や、染料分子中のセルロースと反応する官能基がモノク
ロロトリアジン系官能基であるモノクロトリアジン型反
応染料や、その双方を官能基として有する二官能型の反
応染料を挙げることができ、特に、ビニルスルホン型反
応染料及び二官能型反応染料が好ましい。ビニルスルホ
ン型反応染料及び二官能型反応染料は、セルロースと反
応する官能基として、ビニルスルホン系の官能基を有す
るものであるが、これらの反応染料は、カルボン酸塩と
の相性、特に、クエン酸塩と相性が良好で、均染性、染
色性、再現性が非常に良好な染色物を得ることができ
る。
【0012】本発明において、カルボン酸塩を構成する
カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、
好ましくは、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石
酸、乳酸の群より選ばれる一種以上である。これらのカ
ルボン酸からなる塩は、アルカリ剤存在下において、染
料とセルロースとの反応を助け、得られた染色物の均染
性、染色性、再現性がより一層良好となる。尚、カルボ
ン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩のうちの一
種以上が好ましく、カリウム塩がより好ましい。特に、
クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムのうちの一種以
上が好ましく、これらの中でも、クエン酸カリウムがよ
り一層好ましい。
【0013】本発明の染色方法においては、先ず、セル
ロース繊維含有材料に、反応染料の溶液を含浸させる。
含浸の方法としては、例えば、反応染料を水に溶解させ
た溶液が入れられた第1浴に、前記セルロース繊維含有
材料を浸漬し、マングルで絞る方法(パディング法)を
挙げることができる。反応染料の溶液を含浸させた後、
適宜乾燥させ、前記固着液を含浸させる。ここで、固着
液のカルボン酸塩濃度は、固着液全体量に対し、300
〜600g/lが好ましく、400〜600g/lがよ
り好ましい。含浸量としては、含浸されている反応染料
の量によって異なるが、通常、乾燥したセルロース繊維
含有材料に対して、固着液を60〜100重量%含浸さ
せる。また、固着液のアルカリ剤としては、通常、苛性
ソーダを使用し、例えば、固着液全体量の0.5〜2.
0重量%が好ましい。固着液の含浸方法としては、固着
液に浸漬してマングルで絞るパディング法や、スプレー
法、吸尽法等の既存の方法を採用することができる。固
着液の含浸後は、蒸熱、バッチアップ、アルカリショッ
ク等従来公知の方法にて染着を進行させる。
【0014】尚、本発明の染色方法は、パディング法に
限定されず、捺染染色方法においても適用することがで
きる。捺染染色を行う場合には、反応染料の溶液とし
て、反応染料が糊剤に溶かされた色糊を使用する。ここ
で、糊剤としては、特に限定されず、従来公知のものを
使用することができる。捺染染色方法としては、例えば
以下の方法を採用できる。先ず、スクリーン、テンプレ
ート等の通常使用される版型を用いて、セルロース繊維
含有材料上に色糊を印捺し、適宜乾燥させた後、上記の
如き、固着液を噴霧等により含浸させて染着させる。染
着は通常蒸熱処理等により進行させる。蒸熱処理後は、
常法により、水洗、中和、水洗、ソーピング、湯洗、乾
燥等を行い捺染染色物が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。実施例1 セルロース繊維含有材料として、精錬、漂白、シルケッ
トした綿ブロードを用い、反応染料の溶液として下記の
如く調整されたパッド液を絞り率65%(重量)にてパ
ッドし、100℃で3分間乾燥させた。続いて、下記の
如く調整された固着液に十分に浸漬させて絞り率85%
(重量)にてパッドし、102℃で30秒間蒸熱した
後、水洗い、ソーピング、水洗いの順で処理し、乾燥さ
せて、実施例1の染色物を得た。尚、同様の操作を3回
繰り返し、3枚の染色物を得た。 〈パッド液の調整〉ビニルスルホン型反応染料(商品名
「KP ZOL Turq.BlueG」、紀和化学
(株)製)30g、アルギン酸ナトリウム(商品名「ダ
ックアルギンNSPM」、(株)紀文フードケミファ
製)1g、メタニトロベンゼンスルフォン酸ナトリウム
(商品名「MSパウダー」、明成化学(株)製)10g
に、水を加えて1lのパッド液を調整した。 〈固着液の調整〉水酸化ナトリウム10g、クエン酸三
ナトリウム(昭和化学(株)製)500gに、水を加え
て1lの固着液を調整した。
【0016】実施例2 実施例1の〈固着液の調整〉において、クエン酸三ナト
リウムに変えてクエン酸三カリウム(昭和化学(株)
製)を用いた以外は、実施例1と同じ条件、方法によ
り、実施例2の3枚の染色物を得た。
【0017】実施例3 実施例1の〈固着液の調整〉において、クエン酸三ナト
リウムに変えてギ酸ナトリウム(和光純薬(株)製、試
薬)を用いた以外は、実施例1と同じ条件、方法によ
り、実施例3の3枚の染色物を得た。
【0018】比較例1 実施例1の固着液に変えて、水ガラス(48度ボーメ)
を使用した以外は、実施例1と同じ条件及び方法によ
り、比較例1の3枚の染色物を得た。比較例2 実施例1の〈固着液の調整〉において、クエン酸三ナト
リウムに変えて無水硫酸ナトリウム(小宗化学薬品
(株)製、試薬)を用い、使用量を250gとした以外
は、実施例1と同じ条件、方法により、比較例2の3枚
の染色物を得た。
【0019】実施例4〜6、比較例3,4 染料として、ビニルスルホン型反応染料(商品名「Re
mazol Black B」、ダイスタージャパン
(株)製)を用いた以外は、実施例4は実施例1と、実
施例5は実施例2と、実施例6は実施例3と、比較例3
は比較例1と、比較例4は比較例2と同じ条件、方法で
それぞれ3枚ずつの染色物を得た。
【0020】試験例1 実施例1〜3と、比較例1,2とで得られた染色物を目
視にて染色性を比較判断したところ、実施例1〜3のも
のは、全て、比較例2のものよりも色濃く待っており、
また、比較例1と同等の濃度に染まっており、染色性が
良好であることが分かる。同様に、実施例4〜6と、比
較例3,4とで得られた染色物を目視にて染色性を比較
判断したところ、実施例4〜6のものは、全て、比較例
4のものよりも色濃く待っており、また、比較例3と同
等の濃度に染まっており、染色性が良好であることが分
かる。また、各実施例のものは、同実施例における3枚
の染色物間の濃淡差が比較例2のそれよりも遙かに少な
く、再現性も良好であることが分かる。
【0021】実施例7 パッド液の染料として、モノクロトリアジン型反応染料
(商品名「Kayacion Red P−2B」、日
本化薬(株)製)を20gとし、水酸化ナトリウム1
2.5g、クエン酸三ナトリウム500gに水を加えて
1lとした固着液を用いた以外は、実施例1と同じ条
件、方法により、実施例7の3枚の染色物を得た。
【0022】比較例5 固着液におけるクエン酸三ナトリウムに変えて、無水硫
酸ナトリウムを250g使用した以外は、実施例7と同
じ条件、方法により、比較例5の3枚の染色物を得た。比較例6 実施例1と同じ綿ブロードを用い、反応染料の溶液とし
て下記の如く調整されたパッド液に絞り率85%(重
量)にてパッドし、100℃で3分間乾燥させた。続い
て、102℃で8分間蒸熱した後、水洗い、ソーピン
グ、水洗いの順で処理し、乾燥させて、比較例6の染色
物を得た。尚、同様の操作を3回繰り返し、3枚の染色
物を得た。 〈パッド液の調整〉モノクロトリアジン型反応染料(商
品名「Kayacion Red P−2B」、日本化
薬(株)製)20g、尿素(三菱ガス化学(株)製)1
00、アルギン酸ナトリウム(商品名「ダックアルギン
NSPM」、紀文フードケミファ製)1g、メタニトロ
ベンゼンスルフォン酸ナトリウム(商品名「MSパウダ
ー」、明成化学(株)製)10gに、炭酸水素ナトリウ
ム(東ソー(株)製)20g/lに水を加えて1lのパ
ッド液を調整した。
【0023】試験例2 実施例7と、比較例5,6とで得られた染色物を目視に
て染色性を比較判断したところ、実施例7のものは、比
較例5のものよりも色濃く待っており、また、比較例6
と同等の濃さに染まっており、染色性が良好であること
が分かる。また、実施例7のものは、3枚の染色物間の
濃淡差が比較例5のそれよりも遙かに少なく、再現性も
良好であることが分かる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るセルロース
繊維含有材料の染色方法によれば、尿素、水ガラスを使
用しなくとも、カルボン酸塩により良好な均染性、染色
性、再現性のある染色物を得ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース繊維含有材料に反応染料の溶
    液を含浸させた後、アルカリ剤及び助剤を含有した固着
    液を含浸させて前記反応染料を染着させるセルロース繊
    維含有材料の染色方法において、 前記助剤として、カルボン酸塩が含有されていることを
    特徴とするセルロース繊維含有材料の染色方法。
  2. 【請求項2】 前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、クエン
    酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸の群より選ばれる一種以上
    である請求項1記載のセルロース繊維含有材料の染色方
    法。
  3. 【請求項3】 前記カルボン酸塩が、ナトリウム塩、カ
    リウム塩のうちの一種以上である請求項1又は2記載の
    セルロース繊維含有材料の染色方法。
  4. 【請求項4】 前記カルボン酸塩が、クエン酸ナトリウ
    ム、クエン酸カリウムのうちの一種以上である請求項1
    記載のセルロース繊維含有材料の染色方法。
  5. 【請求項5】 前記カルボン酸塩が、クエン酸カリウム
    である請求項1記載のセルロース繊維含有材料の染色方
    法。
  6. 【請求項6】 前記反応染料が、セルロースと反応する
    官能基として、ビニルスルホン系の官能基を有する反応
    染料である請求項1乃至5の何れかに記載のセルロース
    繊維含有材料の染色方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかの方法により、
    セルロース繊維含有材料が染色されてなることを特徴と
    するセルロース繊維含有染色物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101298741B (zh) * 2008-05-16 2010-06-16 马鞍山海狮织造有限公司 一种全棉无捻纱染色工艺
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