JP2002327254A - Fe−Pt系磁石およびその製造方法 - Google Patents

Fe−Pt系磁石およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】最大エネルギー積および保磁力に優れ、かつ耐
食性に優れた微小サイズの磁石を提供すること。 【解決手段】本発明の磁石は、原子数比で白金を35〜
55%と、IVa族の元素、Va族の元素、IIIb族の元素お
よびIVb族の元素のうちから選択される1種以上の第3
元素を0.001〜10%と、残部が鉄および不可避不
純物とからなる合金で、その平均結晶粒径が0.3μm
以下であるようなFe−Pt系磁石合金である。つま
り、Fe−Pt合金に特定元素を所定割合で混合するこ
とで従来のFe−Pt合金よりも高性能のFe−Pt系
磁石を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はFe−Pt系磁石お
よびその製造方法に関し、詳しくは、保磁力と最大エネ
ルギー積とに極めて優れ、小型で強力なFe−Pt系磁
石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、永久磁石は、従来のモーター用な
どに加えて、新しい用途として、歯科用磁性アタッチメ
ントなど生体に使用する医療器具にも用いられるように
なってきた。生体内で使用するためには、材料の安全性
が重要である。また生体に負担をかけないよう、できる
だけ小さい体積で強力な磁力を発揮することが求められ
る。
【0003】また、マイクロマシンと呼ばれる微小機械
も将来の実現に向けて研究されており、とりわけ医療用
に生体の負担の少ない治療が可能になると期待されてい
る。このマイクロマシン用途にミリメートル以下のオー
ダーの寸法を持つ微小で強力、かつ耐食性の高い永久磁
石が求められている。
【0004】従来、モーターなど一般的な磁石材料の用
途に大しては、高性能な永久磁石材料としてNd−Fe
−Bを代表とする希土類磁石が開発され広く使用される
に至っている。
【0005】しかし希土類磁石は、酸化しやすく耐食性
に乏しいという問題がある。したがって前述のような用
途には、必ずしも適用することができない。たとえば、
歯科用磁性アタッチメントなど、生体内で使用する医療
器具には希土類磁石を直接用いることは腐食問題のため
困難である。
【0006】したがって使用にあたっては、耐食コーテ
ィングや耐食ケース内への磁石の封止など、複雑な対策
をとる必要があるが、耐食性を保証することは容易でな
い。またそのようなコーティングにより磁気回路に抵抗
が生じて磁石本来の特性が完全に発揮できないこともあ
る。希土類磁石の腐食対策の一例として、たとえば特開
平11−137576号公報に開示されている。
【0007】また、希土類磁石のもう一つの欠点とし
て、脆いため加工やハンドリング中、あるいは使用中に
割れ欠けしやすい点が挙げられる。このため、前述のマ
イクロマシンなど、微小な、ミリ・メートル以下の部品
を機械加工により作製して使用することが非常に困難で
ある。さらにそれらの微小部品は体積が非常に小さくな
るため、わずかな表面酸化でもその特性におよぼす影響
は大きい。したがって耐食性の観点からも微小部品への
希土類磁石の使用は問題が多い。
【0008】一方、上記のような耐食性・加工性という
点に関しては、Co―Pt、Fe−Ptといった白金合
金の磁石が優れている。これらの合金は白金を多く含む
ため耐食性に優れ、また強度・靭性にすぐれて割れ欠け
の心配がない。
【0009】特に、Fe−Pt合金は、比較的磁気特性
が良好なことが知られている。規則相のFe−Pt合金
はCuAu(L1)型の面心正方晶を持ち、永久磁石
特性を示す。この規則相は、不規則相(面心立方晶、A
−1型)の合金に適切な熱処理を施すことによって得ら
れる。このような、Fe−Pt系磁石は、希土類磁石に
匹敵する高い結晶磁気異方性を有することが知られてお
り(O.A.Ivanov他、Phys.Met.Me
tallog.Vol.35、p81、1973)、そ
の潜在的な磁気特性は非常に高いものと予測されてい
る。
【0010】また、耐食性については、質量百分率で白
金を70%程度含むことにより、白金に近い耐食性を有
し(日本磁気歯科学会vol.1、No.1、p14、
1982)、耐食性が高く、特に微小サイズ磁石に適し
た材料といえる。
【0011】しかしながら、これらの白金合金の磁石は
希土類磁石に比べてかなり低い磁気特性しか得られてい
なかった。
【0012】例えば、歯科用途への応用を目的として、
Fe−Pt合金部品を溶解・鋳造によって製作すること
が試みられている(日本応用磁気学会誌、Vol.2
1、p377−380、1997)。その結果として最
大エネルギー積すなわち(BH)maxが127.32k
J/m(16MGOe:1GOe=79.5774x
10−4J/m、以下同じ)、保磁力すなわちiHc
が318.30kA/m(4kOe:1Oe=79.5
774A/m、以下同じ)であることが報告されている
が、希土類磁石の磁気特性に比べるとかなり低い。特に
保磁力が318.23kA/mと低いのは、もしこの合
金をマイクロサイズの部品にした際に反磁場に耐えるこ
とができず特性が低下するため問題である。
【0013】Fe−Pt合金の保磁力を改善する手段に
関しては、近年、スパッタリングによるFe−Pt合金
薄膜で保磁力が著しく高くなることが発見されている。
【0014】膜状態のFe−Pt合金に関する最初の報
告はAboafによる(IEEETrans、MAG−
20、p1642、1984)。それによればiHcの
組成依存性が報告され、等原子比のFe−Pt組成で最
高のiHc843.52kA/m(10.6kOe)が
得られることが報告されている。この報告は、Fe−P
tが本来優れた磁気特性を持ちうることを示唆しており
注目に値する。さらに、マイクロマシン用途などの微小
な磁石部品を製造する上において、スパッタリングとい
う成膜プロセスは、バルクから機械加工により所定寸法
に仕上げるよりもコスト・実行の容易性から見て非常に
有望である。
【0015】上記Aboafの報告は300〜400n
m(3000〜4000Å)という非常に薄い膜につい
てのものであり、実際にこの合金を永久磁石部品として
機能させるためには膜厚をもっと厚くする必要がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スパッ
タリングプロセスで膜厚を厚くしていくと、その磁気特
性、特に保磁力が劣化することが発明者らの一人により
見出された(日本応用磁気学会誌Vol.24、No.
4−2、p927、2000)。その報告によると、
0.5μm程度の膜厚では716.20kA/m(9k
Oe)あった保磁力が、膜厚を厚くするに連れ低下し
て、100μmを超える膜厚では397.89kA/m
(5kOe)以下になってしまう。この保磁力の低下に
伴って、最大エネルギー積も127.32kJ/m
(16MGOe)から79.58kJ/m (10M
GOe)程度にまで低下してしまう。すなわち、保磁力
を改良するのに有効と考えられたスパッタリングプロセ
スも、膜厚を実用領域にまで厚くすると、有効でなくな
ることが明らかになった。
【0017】以上をまとめると、Fe−Pt系合金で、
微小な磁石部品を構成した際、十分な磁気特性を得るこ
とはできなかった。
【0018】ここで十分な磁気特性としては、膜厚1μ
m程度の比較的膜厚の小さな場合において、最大エネル
ギー積(BH)max=159.15kJ/m(20
MGOe)以上でかつ保磁力iHc=557.04kA
/m(7kOe)以上が望ましく、また、膜厚30μm
以上の厚膜においては、最大エネルギー積:(BH)ma
xが119.37kJ/m(15MGOe)以上であ
り、保磁力:iHcが397.89kA/m(5kO
e)以上であるものが実用的な永久磁石部品への応用を
考えたときに望ましい。
【0019】上述した背景に基づいて、本発明では、最
大エネルギー積および保磁力に優れるFe−Pt合金材
料を提供すること、さらに、スパッタリングなどの成膜
プロセスで作製した際、その膜厚を増大しても保磁力が
低下することがなく、従って高い最大エネルギー積を保
持することが可能であるFe−Pt合金を提供すること
を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Fe−P
t系合金について詳細な研究を行った結果、適正な第三
元素をFe−Pt合金に微量添加することにより、その
磁気特性を改善し、さらに厚膜化に対しても保磁力を安
定して発現させ、よって厚膜においても高い最大エネル
ギー積を発揮させ得ることを発見した。
【0021】本発明における第三元素の添加がFe−P
t合金の磁気特性の改善をもたらす理由は完全には明ら
かではないが、本発明者らは、保磁力と結晶粒の大きさ
に密接な関係があることを見出したことから、第三元素
の添加により結晶粒微細化が図られ、それによって磁気
特性が向上するものと考えている。以下で、本発明に至
る経緯を説明する。
【0022】溶解・鋳造により製造し、熱処理を施した
バルク状のFe−Pt二元合金においては、組成・熱処
理の影響が調査されており、その組成が原子数基準で3
8.5%Pt−Feで最高の保磁力、最大エネルギー積
を示す事が知られている。しかしその保磁力は前述のよ
うに高々318.31kA/m(4kOe)でありかな
り低い。その際の結晶粒の大きさは数100μmであ
る。
【0023】これに比して、高い保磁力を有するFe−
Pt合金スパッタリング膜は、結晶粒の大きさが0.0
5〜0.2μm程度であることが報告されている。従っ
て、結晶粒の大きさがその保磁力に大きな影響をもって
いることが推測される。
【0024】本発明者らは、スパッタリングで成膜した
Fe−Pt合金の膜厚と結晶粒の大きさの関係を調査
し、膜厚が増大するにつれてその結晶粒径も増大するこ
とを見出し、保磁力の低下は結晶粒の増大にあることを
結論した。
【0025】さらに、結晶粒径の増大を抑制する手段と
して、Fe、Pt以外の第三元素を微量添加することを
試み、実験を繰り返して、周期律表における、IVa族
の元素、Va族の元素、IIIb族の元素およびIVb
族の元素から選択される1種以上の元素が有効であるこ
とを見出した。
【0026】上記の元素グループの中でもC、B、S
i、Al、Ti、Zr、TaおよびHfの元素から選択
される1種以上の元素は特に有効である。
【0027】これらの元素は、単独あるいは複合して添
加することにより、結晶粒の成長を抑制し、それによっ
て優れた保磁力をもたらす。保磁力が安定して発現する
ことにより、最大エネルギー積が高い水準で発揮され
る。
【0028】発明者らは、100μm程度までの厚さの
膜において、保磁力iHcが397.89kJ/m
(5kOe)以上、最大エネルギー積(BH)max
が119.37kJ/m(15MGOe)以上を満足
させる平均結晶粒径は、0.3μm以下であることを合
わせて見出した。結晶粒径はその寸法が小さいほど保磁
力、最大エネルギー積を向上させ、好ましくは0.1μ
m以下、より望ましくは0.05μm以下がよい。
【0029】
【発明の実施の形態】(Fe−Pt系磁石)本実施形態
の磁石は、原子数比で、白金を30〜48%と、IVa
族の元素、Va族の元素、IIIb族の元素およびIV
b族の元素の内から選択される1種以上の第3元素を
0.5〜10%と、残部を鉄および不可避不純物とを有
する合金からなるFe−Pt系永久磁石である。この合
金は結晶構造がCuAu(L1 )型の面心正方晶とす
ると高い結晶磁気異方性とすることができるので好まし
い。また膜状とすることで微小磁石を形成可能でありマ
イクロマシン等の応用範囲が広がるので好ましい。その
場合に膜厚としては0.1μm以上500μm以下であ
ることが好ましい。本発明のFe−Pt系磁石はこのよ
うな薄膜としても、充分な磁気的性質を有している。
【0030】主成分としてPtを原子数基準で35〜5
5%としたのは、Ptが35%以上とすると保磁力が向
上するからであり、Ptが55%以下であるとFeの含
有量が相対的に高くなり、磁化が向上して最大エネルギ
ー積が優れたものとなるからである。より望ましくは、
Ptが38%以上48%以下である。
【0031】また、第3元素としてIVa族の元素、V
a族の元素、IIIb族の元素およびIVb族の元素の
うちから選択される1種以上の元素、好ましくは1種ま
たは2種の元素を原子数基準で0.001〜10%添加
するのはその添加量が0.001%以上とすることで結
晶粒径の増大を抑制する効果が発揮され、また10%以
下とすることで磁気特性が向上するためである。さらに
特にこれらの元素のうちCあるいはBあるいはSiある
いはAlあるいはTiあるいはZrを含有させることが
効果の点から好ましい。
【0032】これらの添加元素により、その平均結晶粒
径は0.3μm以下に抑制することが可能となる。結晶
粒径はその寸法が小さいほど保磁力、最大エネルギー積
を向上させ、好ましくは0.1μm以下、より望ましく
は0.05μm以下がよい。
【0033】そして磁気的性質としては、最大エネルギ
ー積:(BH)maxが119.37kJ/m(15
MGOe)以上、保磁力:iHcが397.89kA/
m(5kOe)以上であるものがマイクロマシンへの応
用を考えたときには好ましい。
【0034】(Fe−Pt系磁石の製造方法)本実施形
態の製造方法は、前述したFe−Pt系磁石を好適に製
造できる方法である。したがって、製造されるFe−P
t系磁石について好ましい構成元素や構成元素比は前述
したFe−Pt系磁石と同様であるのでここではその説
明を省略する。
【0035】本方法はFe−Pt系磁石を膜形成工程と
熱処理工程とによって製造する方法である。膜形成工程
はスパッタリングまたは真空蒸着である薄膜プロセスに
よって所定組成の合金膜を得る工程である。これらの薄
膜プロセスは前述した本発明のFe−Pt系磁石の好ま
しい膜厚である0.1μmから約500μmまでの膜が
効率よく作製できる。
【0036】そしてパターンニングを行って所望の形状
を作製する事も容易であり、他部品との集積化も可能で
ある。また、大面積に成膜できるので、1バッチ当たり
の生産性にも優れている。これらの薄膜プロセスは、半
導体リソグラフィ技術等を応用することで、微細な部品
を大量に製造することができる。
【0037】スパッタリングおよび真空蒸着は、公知の
方法を採用することができる。たとえば、Feと、Pt
と、所定の第3元素とを所定割合で混合した合金を製造
してその合金をそのまま用いて、真空蒸着もしくはスパ
ッタリングの装置により製膜を行ったり、それぞれの構
成元素ごとに別々の単体を用意してそれぞれ別個に真空
蒸着もしくはスパッタリングを順番にもしくは交互に行
ったり、あらかじめ所定比で混合したFe−Pt合金に
所定の第3元素を真空蒸着もしくはスパッタリングを行
って合金化したりすることで、目的組成のFe−Pt系
磁石を得ることができる。
【0038】本方法では真空蒸着もしくはスパッタリン
グによって製膜した後に、熱処理を行うことにより、そ
のFe−Pt系磁石の結晶構造をCuAu(L1)型
の面心正方晶構造として、磁気的性質を向上させる。熱
処理時の温度・雰囲気としては、Fe−Pt系磁石の組
成によっても変化するが、真空中あるいは不活性雰囲気
下において、300〜800℃の処理温度とすることが
好ましい。
【0039】
【実施例】(実施例1) (試料の作製方法)直流マグネトロンスパッタ法により
Fe−Pt系磁石膜の成膜を行った。
【0040】ターゲットとしてはFe58Pt42の二
元系組成を有する合金ターゲット上に、添加元素の純チ
ップを置いたものを用いた。ここで第三元素からなるチ
ップの種類をC、B、Si、Al、Ti、ZrまたはN
bと変えることにより第3元素の種類を変化させた。第
3元素(=M)の添加量は表1に示したxについてFe
58Pt42となるようにした。また、膜厚は0.
5μmとした。
【0041】基板には酸化皮膜つきのシリコン・ウェハ
を用いた。
【0042】スパッタリングの条件としては、最終到達
真空度1.3×10−5Pa(1.0×10−6Tor
r)以下、成膜中のアルゴンガス圧力65mPa(5m
Torr)、投入電力0.3kWの条件下で行った。成
膜温度は室温とした。成膜後に基板を取り出して6mm
角に切断し、真空中で熱処理(表1にて示した条件:6
00〜800℃、2時間)を施した。その後に磁気特性
を測定した。
【0043】(結果)。
【0044】表1に各合金の最大エネルギー積を示す。
【0045】二元系のFe−Pt系磁石の(BH)max
が、115.79kJ/m(14.55MGOe)で
あるのに対し、C、B、Si、Al、Ti、Zrまたは
Nbを添加したものはいずれも二元系より高い(BH)
maxを示し、それらの値は119.37kJ/m
(15MGOe)以上である。
【0046】特にZrを添加した試料6は、40%以上
の(BH)maxの向上が見られ大変優れた特性を有し
ている。なお、添加する元素によって熱処理条件が異な
るのは、各添加元素ごとに不規則相から規則相へ相変態
する変態温度が異なるため、最適な条件も変化するため
である。従って本実施例では各添加元素ごとにもっとも
適切な熱処理条件を施した。また、試料1〜7はすべて
平均結晶粒径が0.02〜0.03μmと小さかった。
なお、平均結晶粒径は、以下の方法で測定した。まず1
つの結晶粒の長径と短径との平均値をその粒の結晶粒径
と定義した。そして、1辺1μmの正方形を1視野とし
てその5視野中の全結晶粒の結晶粒径を求めて平均し求
めた。
【0047】以上のように、本実施例のC、B、Si、
Al、Ti、ZrまたはNbをそれぞれに含むFe−P
t系磁石は、優れた最大エネルギー積を持ち、マイクロ
マシンなどの微小な医療用部品に応用する際に非常に有
用である。
【0048】
【表1】
【0049】(実施例2) (試料の作成方法)実施例2においては、FeおよびP
tのみのもの(試料8)、添加元素としてZrのみ添加
したもの(試料9)および、ZrとBとを複合添加した
もの(試料10)について、その膜厚を変化させて磁気
特性と結晶粒の大きさを調べた。
【0050】スパッタリングターゲットとしては、Fe
58Pt42の組成を有する合金ターゲット(試料
8)、Fe58Pt41.4Zr0.6の組成を有する
合金ターゲット(試料9)およびFe58Pt40.4
Zr0.61.0の組成を有する合金ターゲット(試
料10)を用いた。
【0051】膜厚は、スパッタリング時間を変えること
により変化させた。熱処理温度は、660℃で2時間真
空中で行った。
【0052】その他の条件は実施例1と同じである。
【0053】(結果)それぞれの試料の磁気特性の測定
結果を図1および図2に示す。
【0054】膜厚が増加するに連れて、いずれの合金も
保磁力が低下傾向を示す。それに伴って最大エネルギー
積も低下していく。しかしながら、試料9および試料1
0は、常に二元系のものよりも高い磁気特性を示す。試
料8においては、膜厚が0.5μmに達すると、(BH)
maxが119.37kJ/m(15MGOe)以下
になってしまうのに対し、Zr−Bの複合添加材(試料
10)は膜厚が32μmにおいても(BH)max=15
9.15kJ/m(20MGOe)、Zr単独添加材
(試料9)は142.24kJ/m(18MGOe)
という高い磁気特性を示している。これは様々な用途の
永久磁石材料として十分高い値を示している。
【0055】さらに、100μmにおいてはiHc、B
Hmaxともに著しく低下している。試料9、10は膜
圧が100μmにおいても、iHcが397.89kA
/m以上で、かつBHmaxが119.37kJ/m
以上を満たす。一方、試料8はiHcが膜圧3μmにお
いて397.89kA/m以下となり、BHmaxが膜
圧0.5μmにおいて119.37kJ/m以下とな
っている。
【0056】さらに、本実施例における膜厚32μmの
材料の透過電子顕微鏡写真を図3(試料9)、4(試料
8)に示す。試料8では、その結晶粒は0.5μm程度
に成長しているが、試料9は0.1μm以下の非常に微
細な結晶を有している。これは、添加元素が結晶粒微細
化の効果を有することを示している。
【0057】
【実施例】(実施例3) (試料の作製方法)実施例3においては、FeおよびP
tのみのもの(試料11)、添加元素としてTaを添加
したもの(試料12)および、Hfを添加したもの(試
料13)について、その膜厚を変化させて磁気特性と結
晶粒の大きさを調べた。Fe−Pt系磁石膜の成膜は直
流マグネトロンスパッタ法により行った。
【0058】ターゲットとしてはFe58Pt42の二元系
組成を有する合金ターゲット上に、添加元素の純チップ
を置いたものを用いた。ここで第三元素からなるチップ
の種類をTa、Hfと変えることにより第三元素の種類
を変化させた。第三元素(=M)の添加量は表2に示し
たxについてFe58Pt42Mxとなるようにした。
【表2】
【0059】膜厚は、スパッタリング時間を変えること
によって変化させた。熱処理温度は、660℃で8時間
真空中で行った。その他の条件は実施例2と同じである
。 (結果)膜厚0.5μmの各合金の最大エネルギー積を
表2に示す。TaもしくはHfを添加したものは二元系
Fe−Pt磁石の最大エネルギー積115.79kJ/
(14.55MGOe)を大きく上回り、159.
16kJ/m(20MGOe)以上である。
【0060】それぞれの試料の磁気特性の測定結果を図
5、図6に示す。実施例2の場合と同様に、膜厚が増加
するにつれて何れの合金も保磁力が低下する傾向を示
す。しかし、試料12及び13は試料11の二元系より
も常に高い磁気特性を示す。試料11においては、膜厚
0.5μmで(BH)maxが119.37kJ/m
(15MGOe)以下であるが、試料13は膜厚が32
μmとなっても135.29kJ/m(17MGO
e)、試料12においては159.15kJ/m(2
0MGOe)という高い磁気特性を示している。実施例
2で示した材料と同様に、これらも様々な用途の磁石材
料として充分に高い値を示している。
【0061】さらに、100μmにおいてはiHc、
(BH)maxは何れも低下しているものの、試料1
2、13はiHcが397.89kA/m(5kOe)
以上、かつ、(BH)max119.37kJ/m
(15MGOe)以上を満たしてる。ところが試料1
1においては、膜厚3μmでiHcは397.89kA
/m(5kOe)以下となり、膜厚0.5μmで(B
H)maxが119.37kJ/m(15MGOe)
以下となっている。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明のFe−Pt系磁
石は、第三元素としてIVa族の金属元素またはVa族の金
属元素またはIIIb族の半金属・半導体元素またはIVb族
の半金属・半導体元素のうちから選択される1種以上の
元素を含むことで、優れた最大エネルギー積を持ち、医
療用途や、マイクロマシンなどの微細な部品に応用する
際に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の各試料におけるiHCの膜厚依存性
をしめすグラフである。
【図2】実施例2の各試料における(BH)maxの膜
厚依存性をしめすグラフである。
【図3】実施例2の試料9のTEM写真である。
【図4】実施例2の試料8のTEM写真である。
【図5】実施例3の各試料におけるiHCの膜厚依存性
をしめすグラフである。
【図6】実施例3の各試料における(BH)maxの膜
厚依存性をしめすグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月23日(2002.4.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E040 AA11 CA01 NN01 NN06 NN12 NN14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子数比で、 白金を35〜55%と、 IVa族の金属元素、Va族の元素、IIIb族の元素およびIVb
    族の元素のうちから選択される1種以上の第3元素を
    0.001〜10%と、 残部が鉄および不可避不純物とを有する合金で、 その平均結晶粒径が0.3μm以下であることを特徴と
    するFe−Pt系磁石。
  2. 【請求項2】前記合金は結晶構造がCuAu(L1
    型の面心正方晶である請求項1に記載のFe−Pt系磁
    石。
  3. 【請求項3】膜状に形成された請求項1又は2に記載の
    Fe−Pt系磁石。
  4. 【請求項4】膜厚が0.1μm以上500μm以下であ
    る請求項3に記載のFe−Pt系磁石。
  5. 【請求項5】前記第3元素は、C、B、Si、Al、T
    i、Zr、TaおよびHfのうちから選択される1種以
    上である請求項1に記載のFe−Pt系磁石合金。
  6. 【請求項6】最大エネルギー積:(BH)maxが11
    9.37kJ/m(15MGOe)以上、保磁力:i
    Hcが397.89kA/m(5kOe)以上である請
    求項3に記載のFe−Pt磁石。
  7. 【請求項7】原子数比で、 白金を35〜55%と、 IVa族の元素、Va族の元素、IIIb族の元素およびIVb族の
    元素のうちから選択される1種以上の第3元素を0.0
    01〜10%と、 残部が鉄および不可避不純物とを有する合金からなるF
    e−Pt系磁石の製造方法であって、 スパッタリングあるいは真空蒸着法によって膜状に形成
    する膜形成工程と、 その後熱処理を行って、結晶構造をCuAu(L1
    型の面心正方晶とする熱処理工程とを有することを特徴
    とするFe−Pt系磁石の製造方法。
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JP2012031441A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Ishifuku Metal Ind Co Ltd Fe/Co−Pt系焼結合金の製造方法

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