JP2006041507A - 焼結磁石 - Google Patents

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Shinya Uchida
信也 内田
Eiji Kato
英治 加藤
Makoto Nakane
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Abstract

【課題】 最大エネルギー積の高いNd2Fe14B系焼結磁石を提供する。
【解決手段】 R2Fe14B(Rは、希土類元素の少なくとも1種であり、Ndおよび/またはPrが必須元素として含まれる。)結晶粒と、結晶粒の境界に存在する粒界とを含む組織を有する焼結磁石において、隣り合う2つの結晶粒の境界に存在する2結晶粒界と、隣り合う3以上の結晶粒の境界に存在する多結晶粒界とについて組成分析を行い、各結晶粒界において、元素R量に対するCu量の比Cu/Rを求め、2結晶粒界におけるCu/RをC2で表し、多結晶粒界におけるCu/RをCMで表したとき、CM/C2≦0.7とすることにより、最大エネルギー積が400kJ/m3以上の特性を得ることを可能とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、Nd2Fe14B系組成をもつ希土類焼結磁石に関する。
高性能を有する希土類磁石としては、例えば特許第1431617号公報(特許文献1)に記載されているNd2Fe14B系磁石が知られている。
特許第2720040号公報(特許文献2)では、Nd2Fe14B系磁石の最大エネルギー積を向上させ、高保磁力と優れた角形性を得るために、NdとPrとを合計で12〜17原子%(ただしNd、Prの一部をDy、Tb などの重希土類元素で0.2〜3.0原子%置換できる)、Bを5〜14原子%、Coを20原子%以下、Cuを0.02〜0.5原子%それぞれ含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる焼結永久磁石材料を提案している。特許文献2の実施例1では、原子比でFe−4Co−14.5Nd−7B−xCu(x= 0.01〜0.4原子%)で表される組成の焼結磁石を、また、実施例3では、原子比でFe−2Co−13.5Nd−1.5Dy−7Bに0.1原子%Cuを含む組成の焼結磁石を、それぞれ作製している。実施例1で作製した焼結磁石の最大エネルギー積は、同公報の図1に記載されているように約40MGOe(約318kJ/m3)である。この値はCu含有量が約0.15原子%のときに得られており、また、この含有量において保磁力も最大値を示している。
特許第1431617号公報 特許第2720040号公報
本発明は、最大エネルギー積の高いNd2Fe14B系焼結磁石を提供することを目的とする。
本発明者等は、R2Fe14B(Rは、希土類元素の少なくとも1種であり、Ndおよび/またはPrが必須元素として含まれる。)結晶粒と、結晶粒の境界に存在する粒界とを含む組織を有する焼結磁石において、隣り合う2つの結晶粒の境界に存在する2結晶粒界と、隣り合う3以上の結晶粒の境界に存在する多結晶粒界とについて組成分析を行い、各結晶粒界において、元素R量に対するCu量の比Cu/Rを求め、2結晶粒界におけるCu/RをC2で表し、多結晶粒界におけるCu/RをCMで表したとき、CM/C2≦0.7とすることにより、最大エネルギー積が400kJ/m3以上の特性を得ることを可能とした。CM/C2は、CM/C2≦0.5であること、さらにCM/C2≦0.3であることが好ましい。
本発明の焼結磁石は、相対密度が99.0%以上であること、さらに酸素含有量が3000ppm以下であることが、最大エネルギー積向上にとって好ましい。
また、本発明の焼結磁石において、Rとして、DyをR全体の10モル%以下(ただし、0を含まず)含むこと、Alを3モル%以下(ただし、0を含まず)含むこと、さらにGaを3モル%以下(ただし、0を含まず)含むことが、最大エネルギー積向上にとって好ましい。
本発明の焼結磁石において、R含有量が11.7〜13.5モル%、Cu含有量が0.01〜0.1モル%であることが、CM/C2≦0.7とすること、最大エネルギー積が400kJ/m3以上とすることにとって有効な手段である。なお、本発明の焼結磁石において、Feの一部を1.6モル%以下のCoで置換することができる。
本発明によれば、最大エネルギー積の高いNd2Fe14B系焼結磁石を提供できる。
本発明者らは、Cuを含有するR214B系焼結磁石について、様々な実験を行い、以下に示す知見を得た。
本発明の焼結磁石において、2結晶粒界におけるCu/R(C2)と、多結晶粒界におけるCu/R(CM)とがCM/C2≦0. 7で表される関係をもつ場合、保磁力はより高くなり、その結果として最大エネルギー積を向上できる。また、保磁力のばらつきはより小さくなる。すなわち、Cuが2結晶粒界に多く存在し、多結晶粒界にはほとんど存在しない場合、本発明の焼結磁石はより優れた特性が得られる。
結晶粒界におけるこのような元素分布と、本発明によって実現する保磁力向上効果および保磁力ばらつき低減効果との関係は明らかではないが、本発明者らは以下のように考察した。
R含有量の少ない焼結磁石を製造する場合、三重点等の多結晶粒界には、R含有量の多い磁石と同様にRリッチ相が十分に形成されるが、薄い2結晶粒界にRリッチ相を均一に形成することは困難である。そのため、高い保磁力を得ることが難しい。しかし、Cuを添加した場合には、Cuに富む(R−Cu)リッチ相が形成され、この(R−Cu)リッチ相は、R2Fe14B結晶粒を濡らしやすいため、2結晶粒界に優先的に析出し、多結晶粒界には析出しにくいと考えられる。その結果、本発明の焼結磁石では、2結晶粒界に均一に(R−Cu)リッチ相が形成され、これによってR2Fe14B結晶粒が被覆されるため、保磁力が顕著に向上し、かつ、保磁力のばらつきが減少すると考えられる。一方、R含有量が多い従来の磁石では、添加したCuが2結晶粒界と多結晶粒界とにほぼ均一に存在する。
結晶粒界における元素分布についてさらに詳しく説明する。
本発明の焼結磁石に対し、2結晶粒界と多結晶粒界とについて組成分析を行い、それぞれの結晶粒界において、元素R量に対するCu量の比Cu/Rを求め、2結晶粒界におけるCu/RをC2表し、多結晶粒界におけるCu/RをCMで表したとき、CM/C2≦0.7、好ましくはCM/C2≦0.5、より好ましくはCM/C2≦0.35である。
本発明の焼結磁石は、C2の値が大きく、かつCMの値が小さい場合に保磁力が高くなり、CM/C2が上記限定範囲内であるとき、より高い保磁力が得られ、かつ、保磁力のばらつきがより小さくなる。なお、CM/C2はゼロであってもよい。多結晶粒界に存在するCuが極微量である場合、後述するTEM−EDSによる測定の際に、Cu量がバックグラウンドノイズ以下となって、Cu量がゼロと算出されることがあるからである。すなわち、CM/C2がゼロであっても、多結晶粒界にCuが1原子も存在しないわけではない。ただし、CM/C2=0、すなわちCM=0となるのは、通常、Cu添加量がかなり少ない場合であり、保磁力が顕著に向上する程度までCuを添加した場合には、通常、0<CM/C2、特に0.01≦CM/C2となる。
ここで、2結晶粒界および多結晶粒界について説明する。図1に、Nd2Fe14B系焼結磁石の透過型電子顕微鏡写真を示す。図1において2結晶粒界は、短いライン(Line 1)が横断している結晶粒界であり、Nd2Fe14B 相(phase)からなる2つの結晶粒に挟まれた領域である。2結晶粒界の厚さは、通常、10nm以下である。一方、多結晶粒界は、長いライン(Line 2)が横断している結晶粒界であり、3つの結晶粒に挟まれた三重点である。ただし、三重点に限らず、4以上の結晶粒の間に存在する結晶粒界も、本明細書における多結晶粒界に包含される。
結晶粒界におけるCu/Rは、TEM−EDS(Transmission Electron Microscopy - Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)により測定することができる。ただし、2結晶粒界は薄いため、元素分布を測定することが困難である。そのため、測定試料表面における電子ビームのスポット径を小さくする必要がある。具体的には、ビーム径は5.0nm以下、特に1.0nm以下とすることが好ましい。このような微小なスポット径とするためには、電界放射型の電子銃を有するTEMを使うことが好ましい。
Cu/Rは、以下のようにして求める。まず、 TEM−EDSにより、結晶粒界付近を直線的に走査しながらR量(質量%)およびCu量(質量%)を測定する。このときの測定ステップ(隣り合う測定ポイントの間隔)は、5.0nm以下、特に2.0nm以下とすることが好ましい。この測定ステップが大きいと、高精度の元素分布測定が困難となる。図2(A)および図2(B)は、このようにして測定された2結晶粒界付近(図1のLine 1)および多結晶粒界付近(図1のLine 2)における元素分布を示すグラフである。これらの図において、横軸は測定ライン上の位置を示し、縦軸はFe、NdまたはCuの量を示している。
次に、結晶粒界内においてR量が最も高い位置を特定し、その位置においてR量に対するCu量の比Cu/Rを求める。このとき、試料中に元素Rとして複数種の希土類元素が含まれる場合には、各希土類元素の量の和をR量とする。このような測定を、それぞれ複数箇所(好ましくはそれぞれ5箇所以上)の2結晶粒界および多結晶粒界について行い、複数の2結晶粒界でそれぞれ求めたCu/Rの平均をC2とし、複数の多結晶粒界でそれぞれ求めたCu/Rの平均をCMとして、CM/C2を算出する。
なお、上記測定に際しては、結晶粒界内においてR量が最大となる位置を特定する必要があるため、図1のLine 1およびLine 2のように、粒界の両側に存在する結晶粒の一部にかかるように測定ラインを設定する必要がある。
ところで、R2Fe14B系焼結磁石にCuを添加した場合、特許文献2に記載されているように、最大エネルギー積および保磁力が向上した。しかし、本発明者らは、特許文献2の実施例よりもR含有量を少なくしたときに、残留磁束密度が著しく向上すると共に、Cu添加による保磁力の向上率が顕著に高くなり、その結果、 同公報の実施例に比べて著しく高い400kJ/m3以上の最大エネルギー積が得られ、さらには410kJ/m3以上、最大で480kJ/m3にも達する最大エネルギー積を得ることもできることを見いだした。
また、本発明者らは、特許文献2の実施例よりもR含有量を少なくした場合において、Cuを添加して磁石の密度を所定値以上とすれば、R含有量を少なくしたことによる保磁力の急激な低下を著しく抑制でき、その結果、最大エネルギー積を著しく高くできることを見いだした。磁石密度が高くなると、通常、残留磁束密度は向上するが保磁力は低下する。例えば、本発明者らの実験によれば、Rを14.54モル%(Nd:Dy=78:22)含有するR2Fe14B系磁石における時効処理後の保磁力は、磁石の相対密度が99.3%のとき 2170kA/mであり、磁石の相対密度が99.6%のとき2110kA/mであった。すなわち、相対密度が高くなると、保磁力が低くなってしまう。しかし、残留磁束密度の向上を最大エネルギー積に反映させるためには、一定の保磁力が必要とされる。そのため、R含有量を少なくし、かつ磁石密度を向上させることによって残留磁束密度を向上させても、保磁力が低下してしまっては、最大エネルギー積は高くならない。しかし、R含有量の比較的少ないR2Fe14B系焼結磁石にCuを添加した場合、磁石密度の向上に伴って保磁力も向上し、結果として最大エネルギー積が顕著に向上することがわかった。
図4は、R含有量が12.79モル%、Cu含有量が0.01モル%である磁石のM−Hループであり、図5は、R含有量が同じでCu含有量が0.04モル%である磁石のM−Hループである。Mは磁化であり、Hは外部から印加された磁界の強度である。これらの図から、R含有量が少ない磁石においてCu含有量を増大させることにより、M−Hループにおける角形性が著しく向上することがわかる。ここで、本明細書における角形性の評価基準について説明する。磁石の残留磁化をMrとし、保磁力をHcJとし、第2象限におけるM−Hループの面積をSとしたとき、本明細書ではS/(Mr・HcJ)を面積角形比と呼び、この面積角形比が1に近いほど角形性が良好であると判定する。図4および図5から、Cu含有量を増大させることにより、面積角形比が1に近づくことがわかる。面積角形比が1に近ければ、R含有量を少なくしたことによって向上した残留磁束密度を、最大エネルギー積の向上に反映させることが可能となる。面積角形比が小さいと、HcJが同じであっても最大エネルギー積は高くならない。
また、本発明者らは、特許文献2の実施例よりもR含有量を少なくした場合、保磁力のばらつきが臨界的に大きくなることを見いだした。 そして、この保磁力のばらつきが、Cuの添加により顕著に減少し、その結果、保磁力の揃った焼結磁石の量産が可能になることを見いだした。R214B系焼結磁石では、主相であるR214B結晶粒をRリッチ相が被覆することによって高保磁力が得られると考えられている。したがって、R含有量が少ない場合に保磁力がばらつきやすいのは、焼結磁石内においてRリッチ相が均一に分布しにくくなる結果、R214B結晶粒の被覆が不均一になるためと考えられる。R含有量が少ない場合にこのような保磁力のばらつきが生じること、および、この保磁力ばらつきがCu添加により改善できることは、従来知られていない。
元素Rは酸化されやすく、元素Rが酸化されると磁石特性が大きく低下する。本発明の焼結磁石はR含有量が比較的少ないので、元素Rの酸化に対するマージンが小さい。すなわち、R含有量が比較的多い場合と同等の酸素含有量であっても、元素Rの酸化率は高くなり、その結果、磁石密度が低下して、磁石特性が著しく低くなる。そのため本発明では、焼結磁石中の酸素含有量を後述の所定値以下に抑えることが好ましい。これにより、R含有量を少なくし、かつ、Cuを添加したことによって得られる最大エネルギー積向上効果が損なわれることがなくなる。
本発明の焼結磁石は、R(Rは、希土類元素の少なくとも1種であり、Ndおよび/またはPrが必須元素として含まれる)、Cu、FeおよびBを含有する。
R含有量は、11.7〜13.5モル%であることが好ましい。R含有量が少なすぎると、高保磁力が得られなくなる結果、最大エネルギー積を高くできなくなる。一方、R含有量が多すぎると、前述した本発明の作用効果が実現しなくなり、最大エネルギー積が小さくなる。本発明の作用効果を十分に実現するためには、R含有量を12.2〜13.5モル%とすることが好ましい。元素Rには、Ndおよび/またはPrが必ず含まれる。NdとPrとの比率は特に限定されない。元素RとしてNdおよびPrだけを用いてもよいが、これら以外の希土類元素、すなわちY、Sc、La、Ce、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種を用いてもよい。これらのうちでは、Dyおよび/またはTbが好ましい。磁石特性を低下させないためには、NdおよびPrの両者以外の元素の合計量は、元素R全体の10モル%以下とすることが好ましい。なお、元素Rとして2種以上の元素を用いる場合、原料としてミッシュメタル等の混合物を用いることもできる。
Cu含有量は、0.01〜0.1モル%、好ましくは0.01モル%以上0.1モル%未満、より好ましくは0.01〜0.08モル%、さらに好ましくは0.02〜0.06モル%である。Cu含有量が少なすぎると、前述した本発明の作用効果が実現しなくなる。一方、Cu含有量が多すぎると、保磁力がかえって減少し、残留磁束密度も減少するため、最大エネルギー積が減少してしまう。
B含有量は、5〜7モル%、好ましくは5.5〜6.5モル%である。B含有量が少なすぎると、菱面体組繊となるため保磁力が低くなる。一方、B含有量が多すぎると、Bリッチな非磁性相が多くなるため残留磁束密度が低くなる。
残部は実質的にFeであるが、Feの一部をCoで置換してもよい。Coを添加することにより、保磁力の温度依存性および耐食性を改善することができ、残留磁束密度も向上できる。ただし、Coの添加により保磁力が低下してしまい、元素R含有量が少ない本発明の焼結磁石では保磁力の低下率が大きくなるため、Coの含有量は1.6モル%以下、好ましくは0.8モル%以下とする。
本発明の焼結磁石中には、上記各元素のほか、微量添加物ないし不可避的不純物として例えばC、P、S、Al、Ti、V、Cr、Mn、Bi、Nb、Ta、Mo、W、Sb、Ge、Sn、Zr、Ni、Si、Hf、Ga、Znなどの少なくとも1種が含有されていてもよい。ただし、磁石特性低下を抑えるためには、これらの合計含有量を3モル%以下とすることが好ましい。
前述したように本発明では、R含有量の比較的多い従来の磁石と異なり、磁石密度の向上に伴って保磁力が向上する。本発明において、焼結磁石の相対密度を好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.2%以上、さらに好ましくは99.4%以上とすれば、高保磁力が得られ、最大エネルギー積が十分に高くなる。
なお、磁石の相対密度は、磁石の実測密度をその理論密度で除した値である。本明細書における磁石の理論密度は、「固体物理Vol.21,No.1,37-45(1986)」(アグネ技術センター発行)のTable 1に記載されたR2Fe14Bの密度であり、例えば、Nd2Fe14Bは7.58Mg/m3、Dy2Fe14Bは8.07Mg/m3である。また、元素Rを2種以上用いる場合には、各元素の比率に応じ直線近似する。具体的には、元素RとしてNdおよびDyを用い、これらのモル比がNd:Dy=x:yである場合、理論密度は(7.58x+8.07y)/(x+y)とする。
また、前述したように本発明では、酸化による磁石特性への影響が大きくなるため、磁石中の酸素含有量を好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下とする。なお、酸素含有量は少ないほど好ましいが、製造工程における酸化は不可避であるため、酸素含有量をゼロにすることはできず、通常、500ppm以上は含有される。酸素含有量を抑えるためには、製造の際に粉砕、混合、成形などの各工程を、Ar、N2等の非酸化性雰囲気中で行い、かつ、雰囲気中の酸素分圧を厳密に管理することが好ましい。
本発明の焼結磁石は、実質的に正方晶系の結晶構造の主相を有する。
次に、本発明の焼結磁石の好ましい製造方法について説明する。
まず、合金を鋳造し、インゴットを得る。得られたインゴットを、ディスクミル等により10〜100μm程度の粒径まで粗粉砕し、次いで、ジェットミル等により0.5〜5μm程度の粒径まで微粉砕する。得られた粉末を、好ましくは磁場中にて成形する。この場合、磁場強度は800kA/m以上、成形圧力は10〜500MPa程度であることが好ましい。成形には、一軸加圧またはCIPなどの等方加圧のいずれを用いてもよい。得られた成形体を、1000〜1200℃で0.1〜100時間焼結する。焼結は、複数回行ってもよい。焼結は、真空中またはArガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
焼結後、好ましくは不活性ガス雰囲気中において、好ましくは500℃以上焼結温度以下の温度、より好ましくは500〜950℃の温度で、0.1〜100時間時効処理を行うことが好ましい。時効処理により保磁力がさらに向上する。なお、時効処理は、多段階の熱処理から構成してもよい。例えば2段の熱処理からなる時効処理では、1段目の熱処理を700℃以上焼結温度未満の温度で0.1〜50時間行い、2段目の熱処理を500〜700℃で0.1〜100時間行うことが好ましい。
本発明の焼結磁石の用途は特に限定されず、例えばモータやスピーカなど各種機器に適用可能であるが、その中でも特に高い残留磁束密度が要求されるVCM(ボイスコイルモータ)に好適である。
原料合金として、表1に示す組成の合金粉末を用いた。なお、表1に示す組成において、残部はFeである。これらの合金粉末は、鋳造した合金インゴットを窒素雰囲気中で粉砕することにより得た。
次いで、合金粉末を強度11.1MA/mの磁場中で50MPaの圧力で成形した後、真空中において焼結した。焼結は下記条件で行った。
焼結条件S1:1070℃で4時間熱処理
焼結条件S2:1070℃で8時間熱処理
焼結条件S3:1070℃で4時間熱処理後、1050℃で4時間熱処理
焼結条件S4:1070℃で6時間熱処理
焼結条件S5:1030℃で44時間熱処理
焼結後、Ar雰囲気中において時効処理を施して、焼結磁石サンプルとした。時効処理は下記条件で行った。
時効条件A1:800℃で1時間熱処理後、650℃で1時間熱処理
時効条件A2:700℃で1時間熱処理後、600℃で10時間熱処理
時効条件A3:600℃で10時間熱処理
時効条件A4:900℃で1時間熱処理後、550℃で20時間熱処理
時効条件A5:900℃で1時間熱処理後、550℃で1時間熱処理
各サンプルについて、焼結条件、時効条件、相対密度、酸素含有量、保磁力(HcJ)、残留磁束密度(Br)および最大エネルギー積((BH)max)を、表1に示す。
Figure 2006041507
表1のサンプルNo.127の透過型電子顕微鏡写真の一例を、図1に示す。このサンプルについて、2結晶粒界および多結晶粒界における元素分布を測定した。測定には電界放射型分析電子顕微鏡(FE−TEM)によるTEM−EDSを利用し、電子ビームのスポット径を1nmとし、加速電圧を200kVとし、約1nmステップで分析点を直線的に移動させながら組成分析を行った。2結晶粒界における測定範囲は図1のLine 1(長さ40nm)上であり、多結晶粒界における測定範囲は図4のLine 2(長さ100nm)上である。
図2(A)に、図1のLine 1上で測定した2結晶粒界の組成分布を、図2(B)に、図1の Line 2上で測定した多結晶粒界の組成分布を、それぞれ示す。同様にして、サンプル中の他の4箇所の2結晶粒界および他の4箇所の多結晶粒界についても元素分布を測定した。次いで、各測定箇所におけるCu/Rを前述した手順により求め、5箇所の2結晶粒界でそれぞれ求めたCu/Rの平均をC2とし、5箇所の多結晶粒界でそれぞれ求めたCu/Rの平均をCMとして、CM/C2を算出した。表1のサンプルNo.117およびNo.129についても、同様な手順によりCM/C2を算出した。これらの結果を表2に示す。
また、比較のために、特許文献2の実施例3に記載された組成(13.50Nd−1.50Dy−0.15Cu−4.00Co−7.00B−Fe)をもつ焼結磁石(比較サンプルNo.301)を作製し、これについても、サンプルNo.127と同様な手順で結晶粒界における元素分布を測定してCM/C2を求めた。結果を表2に併記する。また、この比較サンプルにおける2結晶粒界の元素分布を図3(A)に、多結晶粒界(三重点)における元素分布を図3(B)にそれぞれ示す。なお、図3(A)および図3(B)にはNdの分布を表示してあるが、CM/C2を求めるに際して用いたR量は、Nd量とDy量との合計である。
Figure 2006041507
図2(A)、図2(B)および表2から、R含有量の少ない本発明の焼結磁石では、CM/C2が前記した限定範囲内に収まること、すなわち、Cuが多結晶粒界にはほとんど存在せず2結晶粒界に偏在していることがわかる。一方、図3(A)、図3(B)および表2から、R含有量の多い従来の磁石では、Cuは多結晶粒界および2結晶粒界にほぼ均一に存在することがわかる。
なお、表1に示す本発明サンプルについて、同様にして結晶粒界の元素分布を調べたところ、すべてのサンプルでCM/C2が0.7以下に収まっていた。
次に、表1から、R含有量が少ない組成においてCuを添加することにより、保磁力が向上し、その結果、400kJ/m3以上の著しく大きな最大エネルギー積が得られることが明らかである。また、大きな最大エネルギー積を得るためには、磁石中の酸素含有量を3000ppm以下に抑える必要があることがわかる。また、Co含有量が1.6モル%以下、特に0.8モル%以下であると、高保磁力が得られ、その結果、最大エネルギー積が高くなることがわかる。なお、酸素含有量は、製造工程において雰囲気中の酸素分圧を制御することにより変更した。
原料合金中の組成(モル百分率)を
Nd:12.79、
Co:0.15、
B:5.95、
Cu:図6に示す値、
Fe:残部
とし、焼結条件を前記条件S4とし、時効処理を行わなかったほかは実施例1と同様にして、Cu含有量の異なる焼結磁石サンプルを作製した。各サンプルはそれぞれ18個ずつ作製し、この18個の磁石について保磁力を測定し、その最大値HcJmaxおよび最小値HcJminを調べた。
また、保磁力の平均値(HcJave)を
HcJave=(HcJmax+HcJmin)/2により算出し、
保磁力のばらつき(Error)を
Error=(HcJmax−HcJmin)/HcJave
により算出した。各サンプルについて、HcJmax、HcJminおよびErrorを図6に示す。
図6から、Cu添加により保磁力のばらつきが著しく小さくなることが明らかである。
なお、これらのサンプルにおいて、酸素含有量は1500〜2000ppmであり、相対密度は99.0%以上であった。
また、図6のサンプルは時効処理を施していないので、最大エネルギー積が400kJ/m3未満であるが、時効処理を施すことにより400kJ/m3以上となった。時効処理を行っても、図6に示すものと同傾向の保磁力ばらつきが残った。
原料合金中の組成(モル百分率)を
Nd:12.79、
Co:0.15、
B:5.95、
Cu:0.04、
Fe:残部
とし、焼結条件を前記条件S4とし、時効処理条件を前記A4で行ったほかは実施例1と同様にして、焼結磁石サンプルを作製した。これらのサンプルについて、相対密度、保磁力および最大エネルギー積を表3に示す。表3から、本発明の焼結磁石においては、相対密度が高いほど保磁力が高くなることがわかる。
Figure 2006041507
結晶構造を示す図面代用写真であって、R2Fe14B系焼結磁石断面の透過型電子顕微鏡写真である。 (A)は、本発明の焼結磁石の2結晶粒界(図1に示すLine 1)における元素分布を示すグラフであり、(B)は、本発明の焼結磁石の多結晶粒界(図1に示すLine 2)における元素分布を示すグラフである。 (A)は、従来の磁石の2結晶粒界における元素分布を示すグラフであり、(B)は、従来の磁石の多結晶粒界における元素分布を示すグラフである。 磁石のM−Hループを示すグラフである。 磁石のM−Hループを示すグラフである。 Cu含有量と保磁力との関係を表すグラフである。

Claims (11)

  1. 2Fe14B(Rは、希土類元素の少なくとも1種であり、Ndおよび/またはPrが必須元素として含まれる。)結晶粒と、前記結晶粒の境界に存在する粒界とを含む組織を有する焼結磁石であって、
    隣り合う2つの前記結晶粒の境界に存在する2結晶粒界と、隣り合う3以上の前記結晶粒の境界に存在する多結晶粒界とについて組成分析を行い、
    前記各結晶粒界において、元素R量に対するCu量の比Cu/Rを求め、
    前記2結晶粒界におけるCu/RをC2で表し、
    前記多結晶粒界におけるCu/RをCMで表したとき、
    M/C2≦0.7であり、
    最大エネルギー積が400kJ/m3以上であることを特徴とする焼結磁石。
  2. M/C2≦0.5であることを特徴とする請求項1に記載の焼結磁石。
  3. M/C2≦0.3であることを特徴とする請求項1に記載の焼結磁石。
  4. 相対密度が99.0%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼結磁石。
  5. 酸素含有量が3000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焼結磁石。
  6. Rとして、DyをR全体の10モル%以下(ただし、0を含まず)含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の焼結磁石。
  7. Alを3モル%以下(ただし、0を含まず)含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の焼結磁石。
  8. Gaを3モル%以下(ただし、0を含まず)含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の焼結磁石。
  9. Feの一部が1.6モル%以下のCoで置換されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の焼結磁石。
  10. R含有量が11.7〜13.5モル%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の焼結磁石。
  11. Cu含有量が0.01〜0.1モル%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の焼結磁石。
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