JP2002326969A - グリコールエーテル類の製造方法 - Google Patents

グリコールエーテル類の製造方法

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JP2002326969A
JP2002326969A JP2002016208A JP2002016208A JP2002326969A JP 2002326969 A JP2002326969 A JP 2002326969A JP 2002016208 A JP2002016208 A JP 2002016208A JP 2002016208 A JP2002016208 A JP 2002016208A JP 2002326969 A JP2002326969 A JP 2002326969A
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polymer
catalyst
reaction
glycol ethers
ion
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JP2002016208A
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Takehiko Morita
武彦 森田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリマー触媒を用いてグリコールエーテル類
を製造するに際し、ポリマー触媒の耐熱性が優れ、触媒
活性が安定的に保持されて無着色で高品質のグリコール
エーテル類を、高い選択率で、かつ、高い反応性で製造
することができる、グリコールエーテル類の製造方法を
提供する。 【解決手段】 オキシラン化合物と水酸基含有化合物と
を、ポリマーの側鎖以外の部位にヘテロ原子を含有し且
つ該ヘテロ原子に結合した水素原子を有しないポリマー
触媒の存在下で反応させることにより、グリコールエー
テル類を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリコールエーテ
ル類の製造方法に関するものであり、より詳細には、特
定の触媒を使用した選択率が高く、反応性の高いグリコ
ールエーテル類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】グリコールエーテル類は、通常アルカリ
金属水酸化物、アミン類等の均一系塩基触媒の存在下、
オキシラン化合物と水酸基含有化合物とを反応させるこ
とによって製造されている。しかしながら、この方法で
は、製品価値の低いオキシラン化合物が2モル以上付加
した形の付加物が生成しやすく、希望する末端にオキシ
ラン化合物が1モルだけ付加した付加物(以下、末端付
加物と呼ぶことがある)を優先的に得ることができない
という欠点がある。
【0003】これらの問題を解決するために、触媒とし
て、ビニル芳香族化合物の重合体を基体として第4級ア
ンモニウム基が結合した構造を有する陰イオン交換樹脂
を用いる方法(特開平10−53550号公報)や、ア
ミノ基を含有する陰イオン交換樹脂を用いて高温下で反
応させる方法(特開昭61−204142号公報)等が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】両者の方法は共に触媒
の耐熱性に課題があり、反応中に触媒劣化を生じ、着
色、臭気等、製品品質面で劣るという問題がある。さら
には、触媒劣化が著しく生じるため、触媒リサイクル時
には反応活性が乏しくなる。また、希望するオキシラン
化合物の1モル付加物を得るには、基質である水酸基含
有化合物を多量に用いて、副生成物を抑制する必要があ
り、効率性や経済性の点でも劣る。
【0005】この様に、上記したいずれの方法によって
も、オキシラン化合物の1モル付加物を、高い反応性と
選択率で、得ることができるものではなかった。即ち、
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであ
り、その目的は、非常に高い反応性と選択率で、効率的
にオキシラン化合物の末端付加型の構造のグリコールエ
ーテル類を製造し得る方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、触媒の
存在下にオキシラン化合物と水酸基含有化合物とを反応
させることによりグリコールエーテル類を製造する際の
触媒として、ポリマーの側鎖以外の部位にヘテロ原子を
含有し、かつ該ヘテロ原子に結合した水素原子を有しな
いポリマーを用いることを特徴とするものである。
【0007】すなわち、本発明者らは鋭意検討の結果、
上記特定の触媒を用いることにより、高い反応性と選択
率で、効率的にオキシラン化合物が1モルだけ付加した
構造のグリコールエーテル類を製造できることを見出し
たものである。これは、上記高分子触媒が、その活性点
が化学構造的に熱分解しにくいため、脱離や分解が抑制
され、触媒活性が安定的に保持され、高温下での高反応
性が期待できると共に、優れた触媒活性を有するため、
グリコールエーテル類の優れた反応性(生産性)と選択
性とが両立されるものと推定される。
【0008】また、本発明のポリマー触媒は、ヘテロ原
子を含有する構成単位と架橋部構成単位とを含有する架
橋型共重合体であるものが好ましい。また、ヘテロ原子
がアンモニウム塩構造であるものが好ましく、更にはそ
のアンモニウム塩がジアリルジメチルアンモニウム塩モ
ノマー由来の構造であるものがより好ましい。また、該
ポリマー触媒はカウンターアニオンを有するものが好ま
しく、該カウンターアニオンとして、水酸化物イオンを
有するものが特に好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のグリコールエーテル類の製造方法では、触媒と
して、ポリマーの側鎖以外の部位にヘテロ原子を含有
し、かつ該ヘテロ原子に結合した水素原子を有しないポ
リマーを用いることを特徴とする。このようなポリマー
は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0010】かかるポリマー触媒は、有機高分子化合物
の側鎖以外の部位にヘテロ原子を含有し、かつ該ヘテロ
原子に結合した水素原子を有しないポリマーであれば、
特に限定されるものではなく、主鎖を必須とし、好まし
くは主鎖及び架橋部位を必須とするものである。主鎖及
び架橋部位を必須として有する場合には、このポリマー
を架橋型共重合体ともいう。
【0011】本発明において、「ポリマーの側鎖以外の
部位にヘテロ原子を含有する」とは、ポリマーの側鎖以
外の部分、即ち主鎖及び/又は架橋部位には必ずヘテロ
原子を含有することを意味するので、側鎖は、ヘテロ原
子を有していてもよいし、有していなくてもよい。本発
明においては、側鎖にはヘテロ原子を持たず、ポリマー
の側鎖以外の部分にのみヘテロ原子を有するのが好まし
い。即ち、主鎖及び/又は架橋部位にヘテロ原子を有す
る基が側鎖のように結合していることを意味するもので
はない。本発明において、ヘテロ原子は、グリコールエ
ーテル類を生成する反応において、触媒能を発揮する活
性点となることができるものであるので、ポリマーがこ
の様な構造をとることによって(活性点が主鎖及び/又
は架橋部位の構造中に組み込まれていると)、化学構造
的に熱分解しにくいため、従来の高分子触媒に比べて反
応中に熱などの影響により活性点が離脱したり、分解し
たりしにくくなり、耐熱性に優れた触媒となる。
【0012】本発明のポリマーにおける架橋部位とは、
主鎖どうしが結合している部位を意味し、該架橋部位
は、主鎖を構成する一部と、それを結合している架橋構
造を合わせた構造により構成されている。このような主
鎖と架橋構造は、通常は共有結合により結合されてい
る。架橋部位を有することにより、ポリマー触媒の機械
的強度が大きくなる。
【0013】ポリマー触媒が架橋部位を有する場合、架
橋部位の構造としては特に限定されるものではなく、ま
た、その存在数も特に限定されず、ポリマーの1分子内
に1個又は2個以上存在することになる。架橋部位がポ
リマーの1分子内に2個以上存在する場合には、架橋部
位の構造が全て同一であってもよいし、異なっていても
よい。この様な架橋部位を有するポリマーの構造は、通
常、主鎖と架橋部位とから形成される網目構造となり、
ポリマーの1分子が有する主鎖の平均数としては、2個
以上であれば特に限定されるものではない。
【0014】上記架橋部位の構造としては、下記一般式
(I)及び/又は一般式(II)で表されるものであるこ
とが好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】一般式(I)中、R1及びR2は、同一又は
異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の
アルキル基又は水酸基を表す。R3、R4、R5及びR
6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、メ
チル基又はエチル基を表す。X1 -及びX2 -は、カウンタ
ーアニオンであり、同一又は異なって、ハロゲン化物イ
オン、水酸化物イオン、有機酸のアニオン又は無機酸の
アニオンを表す。aは0〜10の整数を表す。
【0017】
【化2】
【0018】一般式(II)中、R7、R8、R9及びR10
は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素
数1〜10のアルキル基又は水酸基を表す。R11及びR
12は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基
を表す。R13、R14、R15及びR16は、同一又は異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はエチル基を
表す。X3 -及びX4 -は、カウンターアニオンであり、同
一又は異なって、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオ
ン、有機酸のアニオン又は無機酸のアニオンを表す。b
及びcは、同一又は異なって、0〜10の整数を表し、
pは0又は1を表す。ただし、b+c+p≧1を満た
す。Zは、−N(CH3)−基、−O−基、−O−CH2
−C(CH32−CH2−O−基、−O−(CH22
(O−CH2−CH2n−O−基、1,4−ピペラジニ
レン基、3−メチル−2,6−ピリジル基、4−メチル
−2,6−ピリジル基、2,6−ピリジル基又は2,5
−ピリジル基を表す。nは0以上の整数を表す。
【0019】上記架橋部位の構造としてより好ましく
は、上記一般式(I)において、R1〜R6がすべて水素
原子であり、X1 -及びX2 -が塩素イオン及び/又は水酸
化物イオンであり、aが3であるもの、すなわち、N,
N,N′,N′−テトラアリルジピペリジルプロパニウ
ムジクロライドにより形成されるものや、塩素イオンが
水酸化物イオンに置換したものである。
【0020】上記架橋部位を有するポリマー、即ち架橋
型共重合体の架橋密度は特に限定されず、例えば、ポリ
マーを形成する単量体の全モル数に対して、架橋構造を
形成する単量体(架橋剤)の割合が、0.1〜80モル
%であることが好ましい。0.1モル%未満であると、
ポリマー触媒の機械的強度が低下するおそれがあり、8
0モル%を超えると、グリコールエーテル類の製造にお
いて、反応溶液がポリマー触媒中を通過する通液性が低
下して触媒活性が充分に発揮されないおそれがある。よ
り好ましくは、0.5〜50モル%であり、更に好まし
くは、1〜20モル%である。
【0021】ポリマー触媒が含有するヘテロ原子として
は特に限定されず、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄
原子、リン原子、アルミニウム原子、ホウ素原子、亜鉛
原子、銅原子、ニッケル原子、鉄原子等が挙げられる。
これらは1種であってもよいし、2種以上であってもよ
い。これらの中でも、窒素原子を有することが好まし
い。また、これらのヘテロ原子は、触媒活性が向上する
ことから、イオン化していることが好ましい。より好ま
しくは、陽イオン化していることである。従って、本発
明におけるポリマー触媒の最も好ましい形態としては、
ポリマー触媒を構成するポリマーが主鎖及び/又は架橋
部位に陽イオン化した窒素原子を有すること、即ち陽イ
オン化した窒素原子が主鎖及び/又は架橋部位に組み込
まれた構造を有することである。
【0022】本明細書中では、この様な構造をアンモニ
ウム塩構造という。この様なアンモニウム塩構造では、
ポリマー触媒中の活性点の割合を増加させて、触媒活性
を向上させるために、陽イオン化した窒素原子が2つの
結合により主鎖に組み込まれた構造及び/又は陽イオン
化した窒素原子が3つ若しくは4つの結合により架橋部
位に組み込まれた構造とすることが好ましい。
【0023】本発明におけるポリマー触媒を構成するポ
リマーが、4級アンモニウム塩構造を有する繰り返し単
位を主成分として形成されてなることが好ましい。この
場合、ポリマーの主鎖は、4級アンモニウム塩構造を有
しない繰り返し単位を付加的に有してもよいし、有しな
くてもよい。また、このような4級アンモニウム塩構造
を有する繰り返し単位は、環状アミン構造により形成さ
れてなるものであることが好ましい。
【0024】上記環状アミン構造は、脂肪族アミン構造
よりも分解を受けにくいため、高分子触媒の耐熱分解性
がより優れることとなる。このような環状アミン構造の
形態としては、例えば、5員環、6員環等が挙げられ、
5員環であることが好ましい。また、4級アンモニウム
塩構造を有する繰り返し単位を主成分として主鎖を形成
させることが容易となることから、ジアリルジメチルア
ンモニウム塩により形成されてなること、即ち4級アン
モニウム塩がジアリルジメチルアンモニウム塩モノマー
由来の構造であるのが好ましい。
【0025】本発明におけるポリマー触媒は、ヘテロ原
子に結合した水素原子を有しないポリマーであることが
必須であり、ポリマーとは有機及び無機を含めたものを
意味し、有機ポリマー、すなわち、骨格となる主鎖が炭
化水素を主成分として形成される高分子化合物であるこ
とが好ましい。尚、本明細書中、「ポリマー」との用語
は、重合体や分子量分布を有する有機及び無機の化合物
を総称する用語として用い、特定の分子量以上であるこ
とを意味するものではない。
【0026】上記ポリマーがヘテロ原子に結合した水素
原子を有すると、例えばその水素原子がオキシラン化合
物と反応することに起因して、オキシラン化合物と水酸
基含有化合物との反応が進行するに伴ってポリマー触媒
が膨張して反応効率が低下するうえ、ポリマー触媒を繰
り返し用いることに支障をきたすことになる。本発明に
おける上記「ヘテロ原子に結合した水素原子」とは、例
えば、−OH基、−NH基、−NH2基、−SH基、−
COOH基等のヘテロ原子に直接共有結合した水素原子
を意味し、配位結合により形成されるものは含まれな
い。また重合開始剤や懸濁剤、沈殿防止剤等に含まれる
ヘテロ原子と結合した水素原子も含まれまい。
【0027】本発明で使用するポリマー触媒の前記ポリ
マーはまた、カウンターアニオンを有することが好まし
い。カウンターアニオンとは、ポリマー中の陽イオン化
した部位として、例えば、主鎖及び/又は架橋部位に存
在する陽イオン化したヘテロ原子に配位しているアニオ
ンを意味する。このようなカウンターアニオンのポリマ
ー1分子中の数は、特に限定されるものではない。
【0028】上記カウンターアニオンとしては、ハロゲ
ン化物イオン、水酸化物イオン、有機酸のアニオン又は
無機酸のアニオン等が好適である。ハロゲン化物イオン
におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素等が好適である。有機酸のアニオン又は無機酸の
アニオンとは、有機酸又は無機酸より水素イオンが少な
くとも1つ脱離したものを意味し、無機酸のアニオンと
しては、硫酸イオン、ホスホン酸イオン(亜リン酸イオ
ン)、ホウ酸イオン、シアン化物イオン、炭酸イオン、
炭酸水素イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオ
ン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、硝酸イオン、シ
アン酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、メタ
レートイオン(例えば、モリブデン酸イオン、タングス
テン酸イオン、メタバナジン酸イオン、ピロバナジン酸
イオン、水素ピロバナジン酸イオン、ニオブ酸イオン、
タンタル酸イオン、過レニウム酸イオン等)、テトラフ
ルオロアルミン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオ
ン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラクロロアルミ
ン酸イオン、Al2Cl7 -等が好適であり、有機酸のア
ニオンとしては、スルホン酸イオン、ギ酸イオン、シュ
ウ酸イオン、酢酸イオン、(メタ)アクリル酸イオン、
トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン
酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)アミ
ドイオン、(CF 3SO23-等が好適である。
【0029】これらのカウンターアニオンは、ポリマー
中に1種であっても、2種以上であってもよい。最も好
ましくは、触媒利用時には水酸化物イオンであり、触媒
合成時には塩素イオンである。従って、本発明において
は、カウンターアニオンが水酸化物イオンを必須とする
ことが好ましい。これにより、触媒活性がより向上し、
グリコールエーテル類の選択性がより向上することとな
る。
【0030】本発明におけるポリマー触媒の形態として
は特に限定されず、例えば、オキシラン化合物と水酸基
含有化合物との反応後に反応溶液からの分離が容易とな
ることから、粉末状、固形状であることが好ましい。
【0031】上記ポリマーの製造方法としては、例え
ば、架橋部位を有する場合には、主鎖と架橋部位の形成
を段階的に行っても同時的に行ってもよく、特に限定さ
れず、例えば、主鎖を形成する単量体と架橋部位を形成
する単量体とを含む単量体成分を重合することにより行
うことができるが、フェノール樹脂の製造のような重縮
合による方法や、ジアリルアミノ基を含む線状ポリマー
をジハロゲン等の反応性基を有する化合物を架橋剤とし
て架橋する方法等のような線状ポリマー中の活性部位を
架橋剤で架橋する方法等でも行うことができる。このよ
うな製造方法における重合条件や重縮合条件、架橋条件
等としては特に限定されるものではない。本発明におけ
るポリマー触媒の調製方法としては、ポリマーを製造し
た後、必要により洗浄、乾燥等の操作を施してもよく、
その他の成分を含有させた組成物としてもよく、重合体
が固形状である場合には粉砕等の加工を行ってもよい。
【0032】ポリマー触媒の更に好ましい具体例として
は、下記一般式(III)で表されるアンモニウム化合物
とアリルアンモニウム基を分子内に2個以上有する化合
物とを含む水溶液を水不溶性有機溶剤を媒体として逆相
懸濁重合又は逆相乳化重合により共重合して得られる有
機高分子架橋体等が挙げられる。
【0033】
【化3】
【0034】式(III)中、R21及びR22は、同−又は
異なっており、水素原子、メチル基、エチル基又はハロ
ゲン原子を表す。R23及びR24は、同一若しくは異なっ
て、アルキル基、アリール基若しくはアルコキシアルキ
ル基を表すか、又は、R23−N+−R24は、R23とR24
とが結合してピペリジン環もしくはモルホリニウム環を
表す。X11及びX12は、同一又は異なっており、水素原
子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。Y-は、カウ
ンターアニオンを表す。
【0035】このような有機高分子架橋体では、アリル
アンモニウム基を分子内に2個以上有する化合物が架橋
剤として、架橋構造を形成し、球状粒子として生成され
ることができる。尚、上記水溶液を溶液重合して所望の
形に成形、造粒することにより本発明におけるポリマー
触媒を得ることもできる。
【0036】以下、上記式(III)で表されるアンモニ
ウム化合物について詳述する。上記ハロゲン原子として
は特に限定されず、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素等が挙げられる。
【0037】上記アルキル基又はアルコキシアルキル基
は、炭素数が1〜18個であることが好ましい。このよ
うなアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
より好ましくは、炭素原子数が1〜12個であり、更に
好ましくは、炭素原子数が1〜8個であり、最も好まし
くは、炭素原子数が1〜6個である。上記アリール基
は、炭素数6〜15個が好ましく、6〜12個が更に好
ましい。このようなアリール基としては特に限定され
ず、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙
げられる。上記ピペリジン環及び上記モルホリニウム環
は、炭素原子数が1〜13個であるアルキル基により1
個又は2個以上の水素原子が置換されていてもよい。
【0038】上記一般式(III)で表されるアンモニウ
ム化合物の好ましい例としては、例えば、ジアリルジメ
チルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチルアンモ
ニウムクロライド等のジアリルジアルキルアンモニウム
クロライド;ジメタリルジメチルアンモニウムクロライ
ド等のジメタリルジアルキルアンモニウムクロライド等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0039】一方、上記アリルアンモニウム基を分子内
に2個以上有する化合物としては、特に限定されない
が、アリル基の数が偶数個であることが好ましい。ま
た、両末端はジアリルアミン構造又はジアリルアンモニ
ウム塩構造であることが好ましい。更に4級化窒素を有
するジアリルアンモニウム塩構造であることが好まし
い。特に好ましい具体例としては、例えば、下記(1)
〜(10)で表される化合物等が挙げられる。
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】上記(1)〜(10)で表される化合物の
中でも、(10)で表されるN,N,N′,N′−テト
ラアリルジピペリジルプロパニウムジクロライドが更に
好ましい。また、アリルアンモニウム基を分子内に2個
以上有する化合物としては、上記(1)〜(10)で表
される化合物以外にも、例えば、N,N′−ジメチル−
N,N,N′,N′−テトラアリル−2−ブテン−1,
4−ジアンモニウムジクロライドや、パラビニルフェニ
ルメチルアンモニウム基及び/又はメタビニルフェニル
メチルアンモニウム基を分子内に2個以上有する化合物
として、例えば、N,N′−ジ(パラビニルフェニルメ
チル)エチレンジアンモニウムジクロライド、N,N′
−ジ(メタビニルフェニルメチル)エチレンジアンモニ
ウムジクロライド、N,N′−ジ(パラビニルフェニル
メチル)プロピレンジアンモニウムジクロライド、N,
N′−ジ(メタビニルフェニルメチル)プロピレンジア
ンモニウムジクロライド等が挙げられる。ここに掲げた
ものは代表例であり、これら以外にも例えば、フェニレ
ンジアミンやその他ジアミン類と塩化アリル又は酢酸ア
リルで合成される化合物が挙げられる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、これら
の化合物が有するカウンターアニオンは、クロライド系
に限らず、他のものでもよい。
【0043】上記ポリマーの製造において、アンモニウ
ム化合物とアリルアンモニウム基を分子内に2個以上有
する化合物との共重合比率は特に限定されず、例えば、
モル比で40〜99.9/60〜0.1となるようにす
ることが好ましい。また、上記化合物以外の他の化合物
を適宜重合させてもよい。更に、水溶液における化合物
の濃度としては特に限定されず、例えば、仕込時の水溶
液濃度は取扱の上で30〜80質量%とすることが好ま
しいが、重合開始前又は重合中に脱水操作により更に濃
縮してもよい。
【0044】上記媒体として用いられる水不溶性有機溶
剤としては特に限定されず、例えば、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、オクタ
ン、鉱酸、ミネラルスピリット、ケロシンや、1,1,
1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、テ
トラクロロエタン、トリクロロプロパン、テトラクロロ
メタン等の臭素化及び/又は塩素化された炭化水素等が
挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン
を用いることが工業的に好適である。
【0045】上記媒体は、流動パラフィン及び/又はシ
リコーンオイル等の粘性流体を含んでいてもよい。これ
により、生成する球状粒子の凝集性を抑制したり、球状
粒子どうしの粘着を抑制したりしてポリマーの塊状化を
抑制することが可能となる。このような粘性流体の媒体
中の含有量としては、例えば、0.1〜50質量%とす
ることが好ましい。より好ましくは、1〜40質量%で
あり、更に好ましくは、5〜30質量%である。また、
粘性流体を含む媒体の粘度は、粘性流体の添加前後で粘
度が上がりさえすればよい。
【0046】上記共重合における重合条件、すなわち重
合温度、重合時間、攪拌条件や、使用する重合開始剤、
添加剤等は、生成する球状粒子の大きさや性能、品質等
により適宜設定すればよく、特に限定されるものではな
い。例えば、重合温度は、20〜150℃とすることが
好ましい。より好ましくは、50〜120℃である。ま
た、常圧又は減圧系で共沸脱水を併用してもよい。重合
時間は、他の条件により適宜設定すればよく、4〜50
時間とすることが好ましい。攪拌条件は、通常の重合に
おける攪拌速度とすればよい。使用する重合開始剤とし
ては水溶性、油溶性を問わず、例えば、ペルオキシド系
やアゾ系の一般的な開始剤を用いることができる。
【0047】添加剤としては特に限定されず、例えば、
グリセロールパルミテート、エチルセルロース、ソルビ
タンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレート、ソ
ルビタンモノステアレート等の一般的な分散安定剤等を
用いることができる。その他の重合条件は、特に限定さ
れるものではない。
【0048】上記架橋型共重合体の製造方法の代表例と
して、ジアリルジメチルアンモニウム塩及びN,N,
N′,N′−テトラアリルジピペリジルプロパニウムジ
クロライドの水溶液と重合開始剤の水溶液とをトルエン
等に分散安定剤を添加した媒体中に滴下し、逆相懸濁重
合又は逆相乳化重合を行う場合を下記反応式に示す。
【0049】
【化6】
【0050】上記反応式中、Y-は、カウンターアニオ
ンの塩化物イオンを表す。m及びnは、モル数を表す。
上記逆相懸濁重合又は逆相乳化重合により得られる粒状
粒子の平均粒径は、例えば、0.05〜5mmとなるよ
うに設定することが好ましい。
【0051】本発明のグリコールエーテル類の製造方法
において、ポリマー触媒の使用量や反応装置への供給方
法、反応後に触媒を反応溶液から分離する方法として
は、本発明の製造方法が行われる形態等に応じて適宜設
定すればよく、特に限定されるものではない。また、反
応条件としては特に限定されず、例えば、反応温度は8
0〜200℃であることが好ましい。80℃未満である
と、反応速度が遅くなり、単位時間当たりの収率が低く
なるおそれがある。200℃を超えると、グリコールエ
ーテル類の選択性が低くなるおそれがある。より好まし
くは、80〜160℃であり、更に好ましくは、90〜
140℃である。反応圧力は、0.1〜5MPaである
ことが好ましい。より好ましくは、0.15〜3MPa
であり、更に好ましくは、0.2〜2MPaである。
【0052】本発明のグリコールエーテル類の製造方法
では、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活
性ガスの存在下に行うこともできる。また、本発明の作
用効果を奏することになる限り、反応原料及びポリマー
触媒以外の成分として、例えば、他の触媒等や不活性溶
媒等を必要に応じて添加してもよい。
【0053】本発明においては、上記した特定の触媒を
用いてオキシラン化合物と水酸基含有化合物とを反応さ
せて、グリコールエーテル類を製造する。原料となるオ
キシラン化合物としては、エポキシ基を有する化合物で
あれば特に限定されるものではないが、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,
2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、ペ
ンチレンオキシド等の脂肪族アルキレンオキシド;スチ
レンオキシド等の芳香族アルキレンオキシド;シクロヘ
キセンオキシド等が挙げられる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、
炭素数が2〜3の脂肪族アルキレンオキシド、すなわ
ち、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好まし
い。本発明のグリコールエーテル類の製造方法は、エチ
レンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと水酸基含
有化合物とを反応させてエチレングリコールエーテルを
製造する際に最も好適に適用される。
【0054】また、原料の水酸基含有化合物も、限定さ
れるものではなく、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール、tert−ブタノール、n−ヘキサノール、シク
ロヘキサノール、n−オクタノール、n−ドデカノー
ル、ベンジルアルコール、アリルアルコール、メチルセ
ロソルブ{モノエチレングリコールモノメチルエーテ
ル}、エチルセロソルブ{モノエチレングリコールモノ
エチルエーテル}、ブチルセロソルブ{モノエチレング
リコールモノブチルエーテル}、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
エチル2−(ヒドロキシエチル)アクリレート等の一価
アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル等の二価アルコール、トリメチロールプロパン、グリ
セリン等の三価アルコール、グルコース等の糖類、フェ
ノール、メチルフェノール、ハイドロキノン、レソルシ
ノール、カテコール等のフェノール類、あるいはビスフ
ェノールA、ビスフェノールS等のビスフェノール類等
が挙げられる。特に、炭素数1〜6の脂肪族一価アルコ
ールとフェノール類が好ましい。
【0055】本発明において、反応原料となるオキシラ
ン化合物と水酸基含有化合物との比率としては特に限定
されるものではないが、例えば、水酸基含有化合物/オ
キシラン化合物のモル比を1/1〜20/1とすること
が好ましい。オキシラン化合物に対する水酸基含有化合
物のモル比が1未満であると、グリコールエーテル類を
選択性よく製造しようとするときに、ジグリコールエー
テル類、トリグリコールエーテル類等の副生物の生成量
が増加し、所望のグリコールエーテル類の選択性が低下
するおそれがある。逆に、オキシラン化合物に対する水
酸基含有化合物のモル比が20を超えると、生成物を得
た後の精製工程により、反応に用いた過剰の水酸化物を
多大なエネルギーを用いて除去するプロセスが必要とな
るため好ましくない。好ましくは1/1〜10/1、更
に好ましくは2/1〜7/1、最も好ましくは3/1〜
5/1である。
【0056】本発明により製造されるグリコールエーテ
ル類としては特に限定されず、各種のグリコールエーテ
ル類が挙げられるが、本発明では1分子のオキシラン化
合物と水酸基含有化合物とが反応して生成するグリコー
ルエーテル類を選択性と生産性とを両立させて製造する
ことが可能である。本発明の方法で製造されるグリコー
ルエーテル類はそのまま用いてもよく、精製等の操作を
施してもよいが、グリコールエーテル類の選択性が優れ
るために、そのまま工業用途に用いることができる。
【0057】本発明のグリコールエーテル類の製造方法
では、オキシラン化合物と水酸基含有化合物とをポリマ
ー触媒の存在下で反応させて行うことになるが、ポリマ
ー触媒の耐熱性が優れることから、触媒活性が安定的に
保持されて無着色で高品質のグリコールエーテル類を生
産性よく製造することができ、しかも、モノグリコール
エーテル類を選択性と生産性とを両立させて製造するこ
とができることになる。また、ポリマー触媒を上述した
ように粒状粒子とすると、生成物からポリマー触媒を分
離することが容易となることから、工業的な製造方法と
して好適となる。また、上記ポリマー触媒を用いた反応
は、攪拌回分式反応器又は固定床若しくは流動床反応器
等を用いて行うことができ、反応方式もバッチ式及び連
続式の如何を問わない。更に、触媒反応とその反応で得
られた反応物の精製を効率的に行う反応蒸留にも使用可
能であり、プロセスによってその使用方法を何ら制限さ
れるものではない。
【0058】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。尚、特に断りのない限り、「%」は「質量
%」を意味する。
【0059】触媒調製方法1 攪拌機、還流冷却管、水分離管、温度計、窒素ガス導入
管及び滴下ロートを備えた1Lのセパラブルフラスコ
に、トルエン350mLと流動パラフィン50mLとを
入れ、分散安定剤としてソルビタンモノパルミテート
0.6g及びエチルセルロース0.2gを添加して40
℃で溶解させた。このとき、窒素ガスを吹き込んで溶存
酸素を追い出した。
【0060】別に、100mLビーカーで65%ジアリ
ルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)水溶
液46.84gと1,1,4,4−テトラアリルピペラ
ジニウムジクロライド(TAPC)3.16g及び水6.
01gを混合溶解し(DADMAC/TAPC=95/
5mol%)、更に重合開始剤2,2′−アゾビス(2
−アミジノプロパン)ジクロリド(商品名「V−5
0」、和光純薬工業社製)0.20gと水1.5gとを
混合した溶液を添加した。この混合溶液を30℃で反応
容器中に30分かけて滴下し、滴下終了後、常圧、55
℃で4時間、更に75℃に昇温し、減圧下にて脱水しな
がら3時間反応させた。
【0061】所定時間反応後、冷却し生成樹脂を減圧濾
過により分離した。濾別した樹脂をメタノール800m
Lで30分間、3回洗浄し、60℃で一晩減圧乾燥さ
せ、乾燥樹脂を得た。得られた架橋体の内15.0gを
水で膨潤させた後、5%水酸化ナトリウム水溶液500
gで3回に分けて攪拌洗浄し、その後同量の水量で3回
に分けて洗浄することにより、カウンターアニオンを塩
化物イオンから水酸化物イオンに置換した高分子架橋体
を得た。さらに、膨潤溶媒を水からメタノールに置換
後、60℃で一晩乾燥させ、乾燥樹脂を得た。
【0062】実施例1 触媒調製方法1で得られた乾燥樹脂1.0g、エタノー
ル30.0g及びエチレンオキシド5.74gを100
mLのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、100
℃で1時間反応させた。得られた反応液を分析したとこ
ろ、エチレンオキシド転化率72.2mol%、モノエ
チレングリコールモノエチルエーテル/ジエチレングリ
コールモノエチルエーテル/トリエチレングリコールモ
ノエチルエーテルの選択率がそれぞれ80.8/16.
3/2.9mol%であった。さらに、使用後の触媒の
変色はなく、反応液は無色透明であった。
【0063】実施例2 触媒調製方法1で得られた乾燥樹脂1.0g、モノエチ
レングリコールモノエチルエーテル30.0g及びエチ
レンオキシド2.93g(仕込モル比5/1)を100
mLのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、100
℃で1時間反応させた。得られた反応液を分析したとこ
ろ、エチレンオキシド転化率71.9mol%、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル/トリエチレングリ
コールモノエチルエーテル/テトラエチレングリコール
モノエチルエーテルの選択率がそれぞれ93.5/6.
2/0.3mol%であった。さらに、使用後の触媒の
変色はなく、反応液は無色透明であった。
【0064】実施例3 モノエチレングリコールモノエチルエーテル30.0g
及びエチレンオキシド4.89g(原料仕込モル比3/
1)にし、反応温度を140℃にした以外は実施例2と
同様に反応を行った。エチレンオキシド転化率71.1
mol%、ジエチレングリコールモノエチルエーテル/
トリエチレングリコールモノエチルエーテル/テトラエ
チレングリコールモノエチルエーテルの選択率がそれぞ
れ88.4/10.6/1.0mol%であった。さら
に、使用後の触媒の変色はなく、反応液は無色透明であ
った。
【0065】比較例1 触媒を水酸化カリウム500ppmにした以外は実施例
3と同様に反応を行った。エチレンオキシド転化率6
7.5mol%、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル/トリエチレングリコールモノエチルエーテル/テ
トラエチレングリコールモノエチルエーテルの選択率が
それぞれ84.4/13.7/1.9mol%であっ
た。触媒活性、選択率の点で、実施例3で用いた触媒よ
りも劣るものであった。
【0066】触媒調製方法2 重合アンプル中に65%ジアリルジメチルアンモニウム
クロライド(DADMAC)水溶液8.34gとN,
N,N′,N′−テトラアリルジピペリジルプロパニウ
ムジクロライド(TADPPC)1.65g及び水4.
15gを混合溶解して仕込み(DADMAC/TADP
PC=90/10mol%)、さらに重合開始剤V−5
0を0.113gと開始剤を溶解させるための水0.8
5gとを混合した溶液を添加した。この混合溶液を55
℃で4時間、さらに昇温し、75℃で2時間反応させ
た。所定時間反応後、冷却し生成樹脂を粉砕し、メタノ
ール300mL中で30分間、3回洗浄し、60℃で一
晩減圧乾燥させ、乾燥樹脂を得た。得られた架橋体の内
5.0gを水で膨潤させた後、5%水酸化ナトリウム水
溶液200gで3回に分けて攪拌洗浄し、その後同量の
水量で3回に分けて洗浄することにより、カウンターア
ニオンを塩化物イオンから水酸化物イオンに置換した高
分子架橋体を得た。さらに、膨潤溶媒を水からメタノー
ルに置換後、60℃で一晩乾燥させ、乾燥樹脂を得た。
【0067】実施例4 触媒調製方法2で得られた乾燥樹脂1.0g、n−ブタ
ノール30.0g及びエチレンオキシド3.57gを1
00mlのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、10
0℃で1時間反応させた。得られた反応液を分析したと
ころ、エチレンオキシド転化率64.5mol%、モノ
エチレングリコールモノブチルエーテル/ジエチレング
リコールモノブチルエーテル/トリエチレングリコール
モノブチルエーテルの選択率がそれぞれ84.7/1
4.0/1.3mol%であった。さらに、使用後の触
媒の変色はなく、反応液は無色透明であった。
【0068】触媒調製方法3 重合アンプル中に65%ジアリルジメチルアンモニウム
クロライド(DADMAC)水溶液6.45g及び72%
N,N,N′,N′−テトラアリルジアミノブタン2塩
酸塩(TeADAB)水溶液1.29gを混合して仕込み
(DADMAC/TeADAB=90/10mol
%)、さらに重合開始剤V−50を0.064gと開始
剤を溶解させるための水0.32gとを混合した溶液を
添加した。この混合溶液を55℃で4時間、さらに昇温
し、75℃で2時間反応させた。所定時間反応後、冷却
し生成樹脂を粉砕し、メタノール160mL中で30分
間、3回洗浄し、60℃で一晩減圧乾燥させ、乾燥樹脂
を得た。得られた架橋体2.0gを水で膨潤させた後、
5%水酸化ナトリウム水溶液200gで3回に分けて攪
拌洗浄し、その後同量の水量で3回に分けて洗浄するこ
とにより、カウンターアニオンを塩化物イオンから水酸
化物イオンに置換した高分子架橋体を得た。さらに、膨
潤溶媒を水からメタノールに置換後、60℃で一晩乾燥
させ、乾燥樹脂を得た。
【0069】実施例5 触媒調製方法3で得られた乾燥樹脂1.0g、n−ブタ
ノール30.0g及びエチレンオキシド3.57gを1
00mLのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、1
00℃で1時間反応させた。得られた反応液を分析した
ところ、エチレンオキシド転化率85.8mol%、モ
ノエチレングリコールモノブチルエーテル/ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル/トリエチレングリコー
ルモノブチルエーテルの選択率がそれぞれ77.7/1
8.5/3.8mol%であった。さらに、使用後の触
媒の変色はなく、反応液は無色透明であった。
【0070】比較例2 触媒乾燥樹脂の代わりにスチレン骨格側鎖に4級アンモ
ニウム基を有する耐熱アニオン交換樹脂(商品名「ダイ
ヤイオンTSA1200」三菱化学社製)を乾燥体で
1.85g用いた以外は実施例5と同様に実験を行っ
た。得られた反応液を分析したところ、エチレンオキシ
ド転化率61.5mol%、モノエチレングリコールモ
ノブチルエーテル/ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル/トリエチレングリコールモノブチルエーテルの
選択率がそれぞれ74.5/21.5/4.5mol%
であった。さらに、使用後の触媒は褐色に変色してお
り、しかも反応液は黄色に着色していた。
【0071】触媒調製方法4 いかり型攪拌翼、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管
及び滴下ロートを備えた1Lのセパラブルフラスコに、
トルエン350mLと流動パラフィン(和光純薬工業社
製;特級)50mL(媒体中12.5%)とを入れ、分
散安定剤としてソルビタンモノパルミテート0.071
g及びエチルセルロール0.213gを添加し溶解させ
た。このとき、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出
した。別に、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロ
ライド(DADMAC)水溶液41.80gとN,N,
N′,N′−テトラアリルジピペリジルプロパニウムジ
クロライド(TADPPC)8.26g及び水5.36
gを混合溶解し、更に重合開始剤「V−50」0.31
9gと水3.52gとを混合した溶液を添加した(単量
体濃度59.8%、DADMAC/TADPPC=90
/10mol%)。
【0072】この混合溶液を220rpmで攪拌しなが
ら、室温で反応容器中に30分かけて滴下し、滴下終了
後55℃で4時間、60℃で16時間、更に92〜95
℃で6時間反応させた。途中2時間経過した時点で攪拌
速度を220rpmから250rpmに上昇させ、流動
パラフィン50mL(媒体中22.2%)を滴下した。
また、55℃から60℃への昇温時にトルエン50mL
を追加した(媒体中流動パラフィン濃度20.0%)。
所定反応時間終了後、冷却し、生成粒子を濾過により分
離した。濾別した粒子をトルエン600mL、メタノー
ル800mLで3回洗浄し、60℃で一晩減圧乾燥さ
せ、下記(P1)で示される構造を有する乾燥粒子3
6.23gを得た。得られた乾燥粒子は、直径0.3m
m程度の独立した粒子であった。得られたカウンターア
ニオンが塩化物イオンの架橋体30.0gを水で膨潤さ
せ、2Nの水酸化ナトリウム水溶液5Lを用いてカラム
方式によりカウンターアニオンを塩化物イオンから水酸
化物イオンに置換した。その後、同量の水量で洗浄する
ことにより、ポリマー触媒を得た。
【0073】
【化7】
【0074】実施例6 触媒調製方法4で得られた樹脂を用いてビスフェノール
Aのエチレンオキシドの付加反応を行った。具体的に
は、温度計、圧力計及び撹拌装置等を備えたオートクレ
ーブ容器に、樹脂の水膨潤体20mL(メスシリンダー
で計量後、メチルセロソルブで溶媒置換し、減圧濾過し
たウェット品を使用)、ビスフェノールA22.8g及
びメチルセロソルブ22.8gを100mLのオートク
レーブに仕込み、窒素雰囲気下、120℃でエチレンオ
キシド9.3gを30分かけて連続投入した。その後1
20℃で5.5時間熟成させることにより、ビスフェノ
ールAのフェノール性水酸基にエチレンオキシドがそれ
ぞれ1モル及び2モル付加したモノエーテル体とジエー
テル体の混合物を得た。ビスフェノールAの転化率は9
5.0mol%、ビスフェノールAのモノヒドロキシエ
ーテル体及びジヒドロキシエーテル体の選択率はそれぞ
れ8.8/87.9mol%であった。
【0075】触媒調製方法5 攪拌機、還流冷却管、水分離管、減圧一定装置、温度
計、窒素ガス導入管及び滴下ロートを備えた1Lのセパ
ラブルフラスコに、トルエン350mLと流動パラフィ
ン50mL(媒体中12.5%)を入れ、分散安定剤と
してソルビタンモノパルミテート0.64g及びエチル
セルロール0.21gを添加して40℃で溶解させた。
このとき、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出し
た。別に、100mLのビーカーで65%ジアリルジメ
チルアンモニウムクロライド(DADMAC)水溶液4
1.74gとN,N,N′,N′−テトラアリルジピペ
リジルプロパニウムジクロライド(TADPPC)8.
26g及び水20.78gを混合溶解し、更に重合開始
剤「V−50」0.32gと水2.4gを混合した溶液
を添加した(単量体濃度48.2%、DADMAC/T
ADPPC=90/10mol%)。
【0076】この溶液を30℃で反応容器中に30分か
けて滴下し、滴下終了後55℃で4時間、更に昇温し、
75℃で3時間反応させた。途中2時間経過した時点で
攪拌速度を220rpmから250rpmに上昇させ、
更に流動パラフィン50mL(媒体中22.2%)を滴
下した。また、55℃から75℃への昇温時にトルエン
50mL(媒体中流動パラフィン濃度20%)を追加
し、更に反応系内を減圧にして留出水を分離しながら重
合させた。所定時間反応後、冷却し、生成粒子を減圧濾
過により分離した。濾別した粒子をメタノール800m
Lで30分間、3回洗浄し、60℃で一晩減圧乾燥さ
せ、上記(P1)で示される構造を有する乾燥粒子3
2.9gを得た。得られた乾燥粒子は、直径0.2mm
程度の独立した粒子であった。
【0077】実施例7 触媒調製方法5で得られた乾燥樹脂を用いてハイドロキ
ノンへのエチレンオキシドの付加反応を行った。具体的
には、温度計、圧力計及び撹拌装置等を備えたオートク
レーブ容器に、乾燥樹脂1.0g、ハイドロキノン1
5.0g及び1,4−ジオキサン15.0gを100m
Lのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、100℃
でエチレンオキシド12.0gを1時間かけて連続投入
した。その後100℃で5時間熟成させることにより、
ハイドロキノンのフェノール性水酸基にエチレンオキシ
ドがそれぞれ1モル及び2モル付加したモノエーテル体
とジエーテル体の混合物を得た。得られた反応液を分析
したところ、ハイドロキノン転化率96.0mol%、
ハイドロキノンのモノヒドロキシエーテル体及びジヒド
ロキシエーテル体の選択率はそれぞれ4.8/90.9
mol%であった。
【0078】実施例8 触媒調製方法5で得られた乾燥樹脂を用いてフェノール
へのエチレンオキシドの付加反応を行った。具体的に
は、温度計、圧力計及び撹拌装置等を備えたオートクレ
ーブ容器に、乾燥樹脂1.0g及びフェノール20.0
gを100mLのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気
下、90℃でエチレンオキシド9.4gを1時間かけて
連続投入した。その後90℃で4時間熟成させることに
より得られた反応液を分析したところ、フェノール転化
率94.9mol%、モノエチレングリコールモノフェ
ニルエーテル/ジエチレングリコールモノフェニルエー
テル/トリエチレングリコールモノフェニルエーテルの
選択率がそれぞれ94.9/4.9/0.2mol%で
あった。
【0079】
【発明の効果】本発明のグリコールエーテル類の製造方
法は、上述のような構成からなるため、ポリマー触媒を
用いてグリコールエーテル類を製造するに際し、ポリマ
ー触媒の耐熱性が優れることから、触媒活性が安定的に
保持されて無着色で高品質のグリコールエーテル類を、
高い選択率で、かつ、高い反応性で製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA02 AA03 BA22A BA22B BE17A BE17B BE21A BE33A BE33B BE37A BE38A BE38B CB33 CB71 4H006 AA02 AC43 BA51 GN06 GP01 GP10 4H039 CA61 CF90

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒の存在下にオキシラン化合物と水酸
    基含有化合物とを反応させることによりグリコールエー
    テル類を製造する方法であって、該触媒として、ポリマ
    ーの側鎖以外の部位にヘテロ原子を含有し、かつ該ヘテ
    ロ原子に結合した水素原子を有しないポリマー触媒を用
    いることを特徴とするグリコールエーテル類の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 該ポリマー触媒が、ヘテロ原子を含有す
    る構成単位と架橋部構成単位とを含有する架橋型共重合
    体であることを特徴とする、請求項1記載のグリコール
    エーテル類の製造方法。
  3. 【請求項3】 該ポリマー触媒が、主鎖がアンモニウム
    塩構造を有する繰り返し単位を主成分として形成されて
    なることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグリコ
    ールエーテル類の製造方法。
  4. 【請求項4】 該アンモニウム塩がジアリルジメチルア
    ンモニウム塩モノマー由来の構造である、請求項3記載
    のグリコールエーテル類の方法。
  5. 【請求項5】 該ポリマー触媒が、カウンターアニオン
    として水酸化物イオンを有することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のグリコールエーテル類の製造
    方法。
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