JP2002322271A - ポリエーテルケトンおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエーテルケトンおよびその製造方法

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祐彦 山下
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い機械的強度および強靭性を有し、電気的
特性、熱酸化安定性および溶解性に優れた新規なポリエ
ーテルケトンを提供する。 【解決手段】 架橋基、好ましくは下記式(I): 【化1】 および/または下記式(II): 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリエーテ
ルケトンおよびその製造方法ならびに当該ポリエーテル
ケトンを架橋することによって得られる架橋型樹脂に関
するものである。
【0002】本発明のポリエーテルケトンは、多層配線
基板、プリント基板用表面コーティング剤等の絶縁樹脂
コーティング剤、モーター、トランス、コイル等におい
て使用される巻線の絶縁被覆材料、ストリップ線路、マ
イクロストリップ線路、トリプレート線路、コプレーナ
線路、誘電体導波管線路などから構成された配線層を有
する高周波用配線基板、薄膜の磁気素子、特にチップイ
ンダクタ、トランス、DC−DCコンバータなどの小容
量(数ワット程度)の電源部品として用いられる薄膜磁
気素子、多層配線基板、LSIなどの製造工程におい
て、シリコンウェハー等の半導体の加工、貯蔵及び運搬
の際に使用されるディスクキャリア、光導波路および薄
型の大型画面用カラー表示装置等に用いられるプラズマ
ディスプレイパネル用隔壁などの原料として有用であ
る。
【0003】
【従来の技術】高性能を有する含フッ素重合体は、フィ
ルム、光学またはマイクロエレクトロニクス用被覆剤、
ガス分離用膜等として利用される先端材料として極めて
注目をあびている(Cassidy, P.E., Aminabbai, T.M.
及び Farley, J.M., J. Macromol. Sci.-Rev. Macromo
l. Chem. Phys., C29 (2&3), pp.365-429 (1989))。重
合鎖へのフッ素原子の導入は、重合体の溶解度、耐炎
性、熱安定性およびガラス転移温度の増加をもたらし、
さらに着色、結晶性、誘電率および吸湿性をも低下させ
る。このような利点があるので、ヘキサフルオロイソプ
ロピリデン基含有ポリ(アリールエーテルケトン)(P
EK)は、宇宙ならびにエレクトロニクス用に製造され
かつ研究された(Tullos, G.L. 及び Cassidy, P.E., M
acromolecules., 24 , p. 6059-6064 (1991))。最近、
パーフルオロフェニレン基含有ポリ(アリールエーテル
ケトン)が、パーフルオロベンゾフェノンから合成され
た(Mercer, F.W., Fone, M.M., Reddy, V.N. 及び Goo
dwin, A.A., Polymer, 38(8), 1989-1995 (1997))。し
かしながら、これらの重合体は、未だ溶解度ならびに耐
炎性が充分ではないという欠点がある。
【0004】また、フェニルエチニル部分を有する架橋
型の含フッ素ポリ(アリレンエーテル)が製造された(H
yung-Jong Lee et al., Journal of Polymer Science:
PartA: Polymer Chemistry, Vol.36, pp.2881-2887 (19
98))。上記文献には、4,4’−(ヘキサフルオロ−イ
ソプロピリデン)ジフェノールを過剰のデカフルオロビ
フェニルと反応させた後、4−フェニルエチニルフェノ
ールと反応させることによって合成された含フッ素ポリ
(アリレンエーテル)が示された。しかしながら、ポリ
エーテルケトンについて開示された文献は見当たらな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、高い機械的強度および強靭性を有し、電気的特
性、熱酸化安定性および溶解性に優れた新規なポリエー
テルケトンを提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、さらに透明性に優
れ、かつ膜形成が容易であるポリエーテルケトンを提供
することにある。
【0007】本発明のさらなる目的は、上記ポリエーテ
ルケトンを架橋することによって得られる架橋型樹脂を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、様々なポリマーについて鋭意検討を
行なった結果、特定の構造を有するポリエーテルケトン
の少なくとも一方の末端を、フェニルエチニル部分、プ
ロパギルオキシ部分、シアネート部分及びオキサゾリン
部分等の架橋基で置換することによって得られるポリマ
ーは、高い機械的強度および強靭性を有し、電気的特
性、熱酸化安定性、溶解性及び透明性に優れる上、架橋
時に分子量の増加に伴い溶解性が低下するため、溶剤へ
の溶出が抑えられて膜を容易に形成することができるこ
とを知得した。本発明者らはまた、このポリマーの架橋
方法についても鋭意検討を行なった結果、公知の架橋方
法が同様にして使用できるが、特に熱架橋、電子線架橋
及び化学的架橋によって、ポリマーの架橋が行なえるこ
とをも知得した。これらの知見に基づいて、本発明を完
成するに至った。
【0009】すなわち、上記諸目的は、下記(1)〜
(7)によって達成される。
【0010】(1) 架橋基を有するポリエーテルケト
ン。
【0011】(2) 上記架橋基は、下記式(I):
【0012】
【化13】
【0013】および/または下記式(II):
【0014】
【化14】
【0015】で示される、前記(1)に記載のポリエー
テルケトン。
【0016】(3) フッ素原子を含有する、前記
(1)または(2)に記載のポリエーテルケトン。
【0017】(4) 上記ポリエーテルケトンは、下記
式(III):
【0018】
【化15】
【0019】ただし、Xは、ハロゲン原子、低級アルキ
ル基または低級アルコキシ基を表わし;Yは、前記式
(I)または前記式(II)で示される基を表わし;q
は、0〜4の整数であり;nは、重合度を表し;mは、
0または1の整数であり;およびR1は、下記式(I
V):
【0020】
【化16】
【0021】この際、X’は、ハロゲン原子、低級アル
キル基または低級アルコキシ基を表わし;q’は、0〜
4の整数であり;pは、0または1の整数であり;およ
びR2は、2価の有機基を表わす、で示されるものであ
る、前記(1)〜(3)のいずれか一に記載のポリエー
テルケトン。
【0022】(5) 上記ポリエーテルケトンは、下記
式(V):
【0023】
【化17】
【0024】ただし、Xは、ハロゲン原子、低級アルキ
ル基または低級アルコキシ基を表わし;X’は、ハロゲ
ン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わ
し;Y及びY’は、それぞれ独立して、前記式(I)ま
たは前記式(II)で示される基を表わし;qは、0〜
4の整数であり;q’は、0〜4の整数であり;nは、
重合度を表し;ならびにR1は、下記式(VI):
【0025】
【化18】
【0026】この際、X’及びq’は、上記式(V)に
おける定義と同様であり;およびR2は、2価の有機基
を表わす、で示されるものである、前記(1)〜(3)
のいずれか一に記載のポリエーテルケトン。
【0027】(6) 前記(1)〜(5)のいずれか一
に記載のポリエーテルケトンを架橋することにより得ら
れる架橋型樹脂。
【0028】(7) 塩基の存在下で、ハロゲン原子を
有するポリエーテルケトンを、下記式(VII):
【0029】
【化19】
【0030】で示されるフェニルエチニルフェノール化
合物(以下、単に「フェニルエチニルフェノール化合
物」とも称する)および/または下記式(VIII):
【0031】
【化20】
【0032】で示されるプロパギルオキシフェノール化
合物(以下、単に「プロパギルオキシフェノール化合
物」とも称する)と反応することからなる、前記(2)
に記載のポリエーテルケトンの製造方法。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0034】第一の態様によると、本発明は、フェニル
エチニル、プロパギルオキシ、シアネート及びオキサゾ
リンなど由来の、架橋基、好ましくは上記式(I)で示
される特定のフェニルエチニル由来の架橋基(以下、単
に「フェニルエチニル基」と称する)および/または上
記式(II)で示される特定のプロパギルオキシ由来の
架橋基(以下、単に「プロパギルオキシ基」と称する)
を有するポリエーテルケトンを提供するものである。
【0035】本発明において、架橋基は、線状ポリマー
中の特定の原子間に化学結合を形成して3次元網状構造
を構成することができる基であれば特に制限されない。
具体的には、フェニルエチニル由来の基、プロパギルオ
キシ由来の基、シアネート由来の基及びオキサゾリン由
来の基などが挙げられる。これらのうち、フェニルエチ
ニル由来の基及びプロパギルオキシ由来の基が好まし
く、特に上記式(I)で示されるフェニルエチニル基及
び上記式(II)で示されるプロパギルオキシ基が好ま
しい。
【0036】この際、フェニルエチニル基は、上記式
(I)で示される基、すなわち、フェノキシ基のo−、
m−またはp−のいずれか1箇所にフェニルエチニル部
分が結合した基である。これらのうち、フェノキシ基の
パラ位にフェニルエチニル部分を少なくとも一方の末端
に有するポリエーテルケトンが特に好ましい。
【0037】また、プロパギルオキシ基は、上記式(I
I)で示される基、すなわち、フェノキシ基のo−、m
−またはp−のいずれか1箇所にプロパギルオキシ部分
が結合した基である。これらのうち、フェノキシ基のパ
ラ位にプロパギルオキシ部分を少なくとも一方の末端に
有するポリエーテルケトンが特に好ましい。
【0038】本発明のポリエーテルケトンは、架橋基を
有することを必須とするが、ポリエーテルケトンが複数
の架橋基を有する場合には、各架橋基は、それぞれ、同
一であってもあるいは異なるこのであってもよい。好ま
しくは、本発明のポリエーテルケトンは、フェニルエチ
ニル基および/またはプロパギルオキシ基を有し、より
好ましくはフェニルエチニル基および/またはプロパギ
ルオキシ基を末端に有する。それ以外のポリエーテルケ
トンの構造は、所望の機械的強度、強靭性、電気的特
性、熱酸化安定性、溶解性、透明性及び膜形成容易性な
どを考慮して適宜選択されるが、熱安定性、電気的特性
及び溶解性などを考慮すると、好ましくはフッ素を含有
する。より具体的には、上記式(III)で示される重
合体(以下、単に「ポリエーテルケトン(A)」ともい
う)及び上記式(V)で示される重合体(以下、単に
「ポリエーテルケトン(B)」ともいう)が挙げられ
る。
【0039】上記式(III)及び(V)で示されるポ
リエーテルケトンの各繰り返し単位は、下記式:
【0040】
【化21】
【0041】で示されるp−テトラフルオロベンゾイレ
ン基(本明細書では、単に「p−テトラフルオロベンゾ
イレン基」ともいう)及び下記式:
【0042】
【化22】
【0043】で示されるオキシアルキレン基(本明細書
では、単に「オキシアルキレン基」ともいう)がベンゼ
ン環の任意の位置に(オルト位、メタ位またはパラ位
に、特に好ましくはパラ位に)それぞれ結合し、ベンゼ
ン環の任意の残位がXで置換されるまたは置換されない
構造を有するものである。
【0044】上記式(III)及び(V)において、X
は、ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩
素原子及びヨウ素原子、好ましくはフッ素原子;低級ア
ルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル及びブチル等の炭素原子数1〜6、好ましくは炭
素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、好
ましくはメチル及びエチル、ならびにトリフルオロメチ
ル等のこれらのハロゲン化アルキル基;低級アルコキシ
基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプ
ロポキシ及びブトキシ等の炭素原子数1〜6、好ましく
は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ
基、好ましくはメトキシ及びエトキシ、ならびにトリフ
ルオロメトキシ等のこれらのハロゲン化アルコキシ基な
どを表わす。これらのうち、フッ素原子が特にXとして
好ましく使用される。上述したように、Xは、p−テト
ラフルオロベンゾイレン基及びオキシアルキレン基が結
合しない残位の水素原子の代わりに置換される基である
が、ベンゼン環へのXの結合数、即ち、式(III)及
び(V)におけるqの値は、0〜4の整数である。な
お、上記式(III)及び(V)において、Xが一つの
ベンゼン環中に複数個存在する、即ち、qが2〜4の整
数である際には、Xは、同一であってもあるいは異なる
ものであってもよいが、好ましくは同一である。また、
上記式(III)及び(V)において、Xは、各繰り返
し単位において、同一であってもあるいは異なるもので
あってもよいが、好ましくは同一である。
【0045】上記式(III)及び(V)において、Y
及びY’は、架橋基、好ましくはフェニルエチニル基お
よび/またはプロパギルオキシ基を表わす。この際、Y
及びY’がフェニルエチニル基を表わす際には、Y及び
Y’は、フェノキシ基のo−、m−またはp−のいずれ
か1箇所にフェニルエチニル部分が結合した基のいずれ
であってもよいが、フェノキシ基のパラ位にフェニルエ
チニル部分が結合した基を表わすことが特に好ましい。
また、Y及びY’がプロパギルオキシ基を表わす際に
は、Y及びY’は、フェノキシ基のo−、m−またはp
−のいずれか1箇所にプロパギルオキシ部分が結合した
基のいずれであってもよいが、フェノキシ基のパラ位に
プロパギルオキシ部分が結合した基を表わすことが特に
好ましい。なお、上記式(V)において、両末端のY及
びY’は、同一であってもまたは異なるものであっても
よいが、好ましくは同一である。
【0046】また、上記式(III)において、mは0
または1の整数である。
【0047】また、上記式(III)において、R
1は、上記式(IV)で表される基であり、上記式
(V)においては、R1は、上記式(IV)中、pが1
である、即ち上記式(VI)で表される基である。
【0048】上記式(IV)、(V)及び(VI)にお
いて、X’は、ベンゼン環の水素原子に置換する原子又
は基を示し、ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、臭素
原子、塩素原子及びヨウ素原子、好ましくはフッ素原
子;低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル及びブチル等の炭素原子数1〜6、好
ましくは炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアル
キル基、好ましくはメチル及びエチル、ならびにトリフ
ルオロメチル等のこれらのハロゲン化アルキル基;低級
アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ及びブトキシ等の炭素原子数1〜
6、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖
のアルコキシ基、好ましくはメトキシ及びエトキシ、な
らびにトリフルオロメトキシ等のこれらのハロゲン化ア
ルコキシ基などを表わす。これらのうち、フッ素原子が
特にX’として好ましく使用される。また、上記式(I
V)、(V)及び(VI)において、q’は、X’のベ
ンゼン環への結合数を表わすが、q’の値は、0〜4の
整数である。なお、上記式(IV)、(V)及び(V
I)において、X’が一つのベンゼン環中に複数個存在
する、即ち、q’が2〜4の整数である際には、X’
は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい
が、好ましくは同一である。また、上記式(IV)、
(V)及び(VI)において、X’は、各ベンゼン環に
おいて、同一であってもあるいは異なるものであっても
よいが、好ましくは同一である。
【0049】したがって、R1は、下記式(IX):
【0050】
【化23】
【0051】で表される基(式(VI)の場合には、p
は1である)であることが好ましい。
【0052】また、上記式(IV)において、pは0ま
たは1の整数である。また、上記式(IV)及び(V
I)において、R2は、2価の有機基を表わすが、具体
的には、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2
2−)、プロピレン(−CH2CH(CH3)−)、ト
リメチレン(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン
(−CH2(CH22CH2−)、ペンタメチレン(−C
2(CH23CH2−)、ヘキサメチレン(−CH
2(CH24CH2−)、プロペニレン(−CH2CH=
CH−)、ビニレン(−CH=CH−)、2,2,3,
3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサメチレン
(−CH2(CF24CH2−)、及び2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオク
タメチレン(−CH 2(CF26CH2−)等の、炭素原
子数が、通常、1〜12、好ましくは1〜6の直鎖若し
くは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和アルキレン基;式:
−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表わされる基;
ならびにo−、m−またはp−ベンゼンジメチレン、o
−、m−またはp−ベンゼンテトラフルオロジメチレ
ン、o−、m−またはp−フェニレン、2価のナフタレ
ン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−またはp−
テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフ
ェニルエーテル、ビフェニルスルホン、フェノールフタ
レイン、および下記5式:
【0053】
【化24】
【0054】で表わされる芳香族基などの2価の芳香族
基が挙げられる。なお、本発明による2価の有機基にお
いて、炭素原子に直接結合する水素がハロゲン原子、低
級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されていて
もよい。これらのうち、2価の芳香族基がR2として好
ましく、より好ましくは、フェノールフタレイン、およ
び下記7種:
【0055】
【化25】
【0056】で示される芳香族基がR2として使用され
る。
【0057】上記式(III)において、nは、重合度
を表わし、具体的には、2〜5000、好ましくは5〜
500である。さらに、本発明において、ポリエーテル
ケトン(A)は、同一の繰り返し単位からなるものであ
ってもまたは異なる繰り返し単位からなるものであって
もよく、後者の場合には、その繰り返し単位はブロック
状であったもまたはランダム状であってもよい。
【0058】また、上記式(V)において、nは、重合
度を表わし、具体的には、2〜2000、より好ましく
は5〜200である。さらに、本発明において、ポリエ
ーテルケトン(B)は、同一の繰り返し単位からなるも
のであってもまたは異なる繰り返し単位からなるもので
あってもよく、後者の場合には、その繰り返し単位はブ
ロック状であったもまたはランダム状であってもよい。
【0059】本発明において好ましく使用されるポリエ
ーテルケトン(A)は、下記式(X):
【0060】
【化26】
【0061】で示されるものである。なお、上記式
(X)において、R1、m、n及びYは、上記式(II
I)における定義と同様である。また、本発明のポリエ
ーテルケトン(A)は、架橋構造を有するものであって
もよい。
【0062】また、本発明において好ましく使用される
ポリエーテルケトン(B)は、下記式(XI):
【0063】
【化27】
【0064】で示されるものである。なお、上記式(X
I)において、R1、n及びYは、上記式(IV)におけ
る定義と同様である。また、本発明のポリエーテルケト
ン(B)もまた、架橋構造を有するものであってもよ
い。
【0065】本発明のポリエーテルケトンの製造方法
は、特に制限されるものではなく、公知の方法、例え
ば、K. Kimura et al., Polymer Preprints, Vol. 39,
No. 2, 1998に記載される方法及びHyung-Jong Lee et a
l., Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Ch
emistry, Vol.36, pp.2881-2887 (1998)に記載される方
法を単独であるいはこれらの方法を組合わせた方法を使
用することによって、製造できる。より具体的には、本
発明のポリエーテルケトンは、塩基の存在下で、ハロゲ
ン原子を有するポリエーテルケトンを、上記式(VI
I)で示されるフェニルエチニルフェノール化合物およ
び/または上記式(VIII)で示されるプロパギルオ
キシフェノール化合物と反応することによって製造でき
る。したがって、第二の態様によると、本発明は、塩基
の存在下で、ハロゲン原子を有するポリエーテルケトン
を、上記式(VII)で示されるフェニルエチニルフェ
ノール化合物および/または上記式(VIII)で示さ
れるプロパギルオキシフェノール化合物と反応すること
からなる本発明のポリエーテルケトンの製造方法を提供
するものである。
【0066】以下、本発明の第二の態様の製造方法を、
本発明の特に好ましい例である上記式(X)及び(X
I)で示されるポリエーテルケトン(A)及び(B)に
分けて、より詳細に説明する。
【0067】まず、本発明の特に好ましい一例である上
記式(X)で示されるポリエーテルケトン(A)の製造
方法について以下に詳述する。なお、本発明による上記
式(III)で示されるポリエーテルケトンは、下記方
法と類似の方法によって同様にして製造でき、例えば、
置換した化合物を代わりに出発原料として使用する、ま
たは下記合成方法において各工程間若しくは全工程終了
後の生成物の相当するベンゼン環に所望の置換基を公知
の方法を用いて導入するなどによって、当業者により同
様にして調製できる。
【0068】以下、本発明の特に好ましい一例である上
記式(X)で示されるポリエーテルケトン(A)の製造
方法を、mが0である、またはmが1でありかつpが0
である上記式(X)で示されるポリエーテルケトン
(A)(以下、「ポリエーテルケトン(A1)」と称す
る)と、mが1でありかつpが1である上記式(X)で
示されるポリエーテルケトン(A)(以下、「ポリエー
テルケトン(A2)」と称する)に分けて、詳述する。
【0069】第一に、ポリエーテルケトン(A1)の製
造方法の一実施態様を以下に記載する。
【0070】すなわち、(1)まず、2,3,4,5,
6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、有機溶剤
中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で、例えば、メト
キシベンゼンやエトキシベンゼン等のアルコキシベンゼ
ンまたは4−メトキシジフェニルエーテルや4−エトキ
シジフェニルエーテル等の4−アルコキシジフェニルエ
ーテルとフリーデルクラフツ反応させることにより、p
−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)
アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ−4’−
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジ
フェニルエーテルをそれぞれ得(工程1);(2)この
反応産物を脱アルキル化反応することよって、下記式:
【0071】
【化28】
【0072】ただし、qは0または1の整数である、で
示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイ
ル化合物(以下、単に「2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンゾイル化合物」と称する)を得た後(工程
2);(3)このようにして得られた2,3,4,5,
6−ペンタフルオロベンゾイル化合物を、塩基性化合物
の存在下で有機溶媒中で、30〜250℃、好ましくは
50〜200℃の反応温度で加熱し、重合することによ
って、下記式:
【0073】
【化29】
【0074】で示されるハロゲン原子を有するポリエー
テルケトンが得られる(工程3)。このハロゲン原子を
有するポリエーテルケトンは、本発明のポリエーテルケ
トンの一であるポリエーテルケトン(A1)中のフェニ
ルエチニル基の代わりにフッ素原子が置換された重合体
であり、以下、「ポリエーテルケトン原料(A1)」と
称する。さらに、(4)このようにして得られたポリエ
ーテルケトン原料(A1)は、さらにフェニルエチニル
フェノール化合物および/またはプロパギルオキシフェ
ノール化合物と反応させることによって、本発明のポリ
エーテルケトン(A1)が得られる(工程4)。
【0075】上記工程1におけるフリーデルクラフツ反
応において、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ
ジフェニルエーテルの使用量は、化学量論的には2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド
と等モルであるが、好ましくは2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.
8〜1.2モル、より好ましくは0.9〜1.1モルで
ある。この際、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキ
シジフェニルエーテルの使用量が0.8モル未満では、
アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエ
ーテルに過剰に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベ
ンゾイル基が導入されてしまう恐れがある。これに対し
て、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニ
ルエーテルの使用量が1.2モルを越えると、未反応の
アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエ
ーテルが多量に残る恐れがある。
【0076】上記工程1のフリーデルクラフツ反応にお
いて効果的に使用されるフリーデルクラフツ触媒として
は、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、
塩化第一鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化
錫、塩化ビスマス、塩化亜鉛、塩化水銀及び硫酸等が挙
げられる。また、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロラ
イド1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは1
〜5モルである。
【0077】上記フリーデルクラフツ反応において使用
される有機溶剤は、酸クロライドと反応しないものでな
ければならない。このような有機溶剤としては、例え
ば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、二
硫化炭素及びニトロベンゼン等が挙げられる。この有機
溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフルオロベン
ゾイルクロライドの濃度は、1〜50質量%、好ましく
は5〜30質量%である。反応は、反応系を撹拌状態に
保ちながら、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の
温度で行なわれる。
【0078】上記工程1の反応によって得られる生成物
は、反応混合物に水を注加し、ジクロロメタン、ジクロ
ロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で抽出した後、有
機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去することにより
得られる。さらに、この生成物を、必要であれば、メタ
ノールまたはエタノールで再結晶化することによって、
白色結晶として得てもよい。
【0079】次に、工程2の脱アルキル化処理につい
て、以下に説明する。すなわち、脱アルキル化反応は、
酸、アルカリまたは有機金属試薬などを用いて行うこと
ができる。試薬としては、例えば、臭化水素、ヨウ化水
素、トリフルオロ酢酸、ピリジンの塩酸塩、濃塩酸、ヨ
ウ化マグネシウムエーテラート(magnesium iodide ethe
rate)、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三塩化
ホウ素、三ヨウ化ホウ素、水酸化カリウム及びグリニヤ
ール試薬などが挙げられる。試薬の使用量は、p−
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ア
ルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ−4’−(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニ
ルエーテル1モルに対して、0.1モル以上、好ましく
は0.1〜30モルである。
【0080】上記工程2において、脱アルキル化反応
は、無溶媒下で行われてもあるいは溶媒中で行われても
よいが、反応効率や反応制御などを考慮すると、溶媒中
で行われることが好ましい。溶媒中で脱アルキル化反応
を行う場合に効果的に使用される溶媒としては、例え
ば、水、酢酸、無水酢酸、ベンゼン及びテトラヒドロフ
ランなどが挙げられる。また、この溶媒中でのp−
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ア
ルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ−4’−(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニ
ルエーテルの濃度は、1〜50質量%、好ましくは5〜
30質量%である。反応は、0〜250℃、好ましくは
50〜200℃の温度で行なわれる。
【0081】上記工程3の重合反応で使用される有機溶
媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、
N,N−ジメチルアセトアミド及びメタノール等の極性
溶媒やトルエンなどが挙げられる。これらの有機溶媒
は、単独でまたは2種以上の混合物の形態で使用されて
もよい。また、有機溶媒における2,3,4,5,6−
ペンタフルオロベンゾイル化合物の濃度は、5〜50質
量%、好ましくは、10〜30質量%である。
【0082】なお、上記工程3において、トルエンや他
の同様の溶媒を反応の初期段階に使用する際には、フェ
ノキシド生成の際に副生する水を、重合溶媒に関係な
く、トルエンの共沸物として除去できる。
【0083】上記工程3において使用される塩基性化合
物は、重縮合反応によって生成するフッ化水素を捕集す
ることにより重縮合反応を促進するよう作用する。この
ような塩基性化合物としては、例えば、炭酸カリウム、
炭酸リチウム及び水酸化カリウムが挙げられる。この際
の塩基性化合物の使用量は、使用される2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物1モルに対し
て、0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モルであ
る。
【0084】上記工程3において、重合反応終了後は、
反応溶液より蒸発等により溶媒の除去を行ない、必要に
より留出物を洗浄することによって、所望の重合体が得
られる。または、反応溶液を重合体の溶解度が低い溶媒
中に加えることにより、重合体を固体として沈殿させ、
沈殿物を濾過により分離することによって、ポリエーテ
ルケトン原料(A1)を固体として得てもよい。また
は、重合反応後の反応溶液をそのまま工程4に使用して
もよい。
【0085】このようにして得られたポリエーテルケト
ン原料(A1)は、工程4によるフェニルエチニルフェ
ノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノー
ル化合物との反応によって、本発明のポリエーテルケト
ン(A1)が得られる。上記反応で使用されるフェニル
エチニルフェノール化合物は、所望のポリエーテルケト
ン(A1)の末端のフェニルエチニル基の構造によって
適宜選択され、好ましくは4−フェニルエチニルフェノ
ールである。また、上記反応で使用されるプロパギルオ
キシフェノール化合物は、所望のポリエーテルケトン
(A1)の末端のプロパギルオキシ基の構造によって適
宜選択され、好ましくは4−プロパギルオキシフェノー
ルである。
【0086】本発明において、フェニルエチニルフェノ
ール化合物及びプロパギルオキシフェノール化合物の製
造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が
同様にして使用できる。例えば、フェニルエチニルフェ
ノール化合物の好ましい一例である4−フェニルエチニ
ルフェノールは、Hyung-Jong Lee et al., Journal of
Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.3
6, pp.2881-2887 (1998)に記載される方法等の、公知の
方法に従って合成される。簡単に述べると、4−ブロモ
フェノールを、ピリジン等の有機溶媒中で、窒素雰囲気
下、攪拌しながら、無水酢酸と反応させることによって
1−ブロモ−4−アセトキシベンゼンを得た後、このよ
うにして合成された1−ブロモ−4−アセトキシベンゼ
ンを、ジメチルアセトアミドやトリエチルアミン等の有
機溶媒中で、窒素雰囲気下、トリフェニルホスフィン、
PdCl2(PPh32及びCuIの存在下で、攪拌し
ながら、フェニルアセチレンと反応させることによって
得られる。また、プロパギルオキシフェノール化合物の
好ましい一例である4−プロパギルオキシフェノール
は、例えば、ハイドロキノンを、エタノール等のアルコ
ール中で、プロパギルクロライドと混合し、この混合液
を、攪拌しながら、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ
の存在下で、反応させることによって得られる。
【0087】本発明において、フェニルエチニルフェノ
ール化合物および/またはプロパギルオキシフェノール
化合物は、そのままの状態で添加されてもよいが、ポリ
エーテルケトン原料(A1)との反応性を考慮して、有
機溶媒中で、塩基の存在下で予め塩の形態とすることが
好ましい。この際、有機溶媒としては、メタノール、エ
タノール、プロパノール及びイソプロパノールなどが挙
げられ、メタノール及びエタノールが好ましい。また、
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び
水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸リチウム及び炭酸カリウム等のアル
カリ金属の炭酸塩などが挙げられ、これらのうち、水酸
化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。
【0088】有機溶媒の使用量は、フェニルエチニルフ
ェノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノ
ール化合物を効率良く塩の形態にできるような量であれ
ば特に制限されないが、有機溶媒におけるフェニルエチ
ニルフェノール化合物および/またはプロパギルオキシ
フェノール化合物の濃度が、1〜70質量%、より好ま
しくは5〜50質量%となるような量である。また、塩
基の存在量もまた、フェニルエチニルフェノール化合物
および/またはプロパギルオキシフェノール化合物を効
率良く塩の形態にできるような量であれば特に制限され
ず、化学量論的にはフェニルエチニルフェノール化合物
および/またはプロパギルオキシフェノール化合物と等
モルであるが、好ましくは、フェニルエチニルフェノー
ル化合物および/またはプロパギルオキシフェノール化
合物1モルに対して、1〜10モル、より好ましくは1
〜5モルである。
【0089】フェニルエチニルフェノール化合物および
/またはプロパギルオキシフェノール化合物の添加量
は、工程3において使用される2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロベンゾイル化合物1モルに対して、好まし
くは1モル以下、より好ましくは0.001〜1モルで
ある。この際、フェニルエチニルフェノール化合物およ
び/またはプロパギルオキシフェノール化合物の添加量
が1モルを超えても、添加に見合う効果が得られず、過
剰のフェニルエチニルフェノール化合物および/または
プロパギルオキシフェノール化合物が残存する。また、
フェニルエチニルフェノール化合物および/またはプロ
パギルオキシフェノール化合物の添加量が0.001モ
ル未満であると、ポリエーテルケトン原料(A1)の一
方の末端にあるフッ素原子を十分フェニルエチニル基お
よび/またはプロパギルオキシ基に置換できない恐れが
ある。
【0090】ポリエーテルケトン原料(A1)とさらに
フェニルエチニルフェノール化合物および/またはプロ
パギルオキシフェノール化合物(各々、塩を含む)との
反応は、無溶媒下で行なわれてもあるいは溶媒中で行な
われてもよいが、反応性などを考慮すると、溶媒中で行
なわれることが好ましい。この際使用される溶媒として
は、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−
ジメチルアセトアミド及びメタノール等の極性溶媒やト
ルエンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で
または2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。ま
た、反応を溶媒中で行なわれる際の溶媒の使用量は、ポ
リエーテルケトン原料(A1)とさらにフェニルエチニ
ルフェノール化合物および/またはプロパギルオキシフ
ェノール化合物(各々、塩を含む)との反応が効率良く
進行できる量であれば特に制限されないが、ポリエーテ
ルケトン原料(A1)の濃度が、好ましくは5〜50質
量%、より好ましくは10〜30質量%となるような量
である。
【0091】ポリエーテルケトン原料(A1)とさらに
フェニルエチニルフェノール化合物および/またはプロ
パギルオキシフェノール化合物(各々、塩を含む)との
反応条件は、これらの反応が効率良く進行する条件であ
れば特に制限されないが、例えば、反応温度は、好まし
くは30〜200℃、より好ましくは50〜150℃で
あり、反応時間は、好ましくは1〜48時間、より好ま
しくは1〜24時間である。また、上記反応は、加圧
下、常圧下または減圧下のいずれの圧力下で行なっても
よいが、好ましくは常圧下で行われる。
【0092】このようにして得られたポリエーテルケト
ン(A1)は、機械的強度、強靭性、電気的特性、熱酸
化安定性、溶解性、透明性及び膜形成容易性などの様々
な特性に優れるため、多層配線基板、プリント基板用表
面コーティング剤等の絶縁樹脂コーティング剤、モータ
ー、トランス、コイル等において使用される巻線の絶縁
被覆材料、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、
トリプレート線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路
などから構成された配線層を有する高周波用配線基板、
薄膜の磁気素子、特にチップインダクタ、トランス、D
C−DCコンバータなどの小容量(数ワット程度)の電
源部品として用いられる薄膜磁気素子、多層配線基板、
LSIなどの製造工程において、シリコンウェハー等の
半導体の加工、貯蔵及び運搬の際に使用されるディスク
キャリア、光導波路および薄型の大型画面用カラー表示
装置等に用いられるプラズマディスプレイパネル用隔壁
などの原料として有用である。
【0093】第二に、上記式(X)において、mが1で
ありかつpが1であるポリエーテルケトン(A2)の製
造方法の一実施態様を以下に記載する。
【0094】すなわち、(1’)まず、2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、有機
溶剤中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で、ジフェニ
ルエーテルとフリーデルクラフツ反応させることよっ
て、下記式:
【0095】
【化30】
【0096】で示される4,4’−ビス(2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテ
ル(以下、単に「4,4’−ビス(2,3,4,5,6
−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル」ま
たは「BPDE」と称する)を得(工程1’);(2)
このようにして得られた4,4’−ビス(2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテ
ル(BPDE)を、塩基性化合物の存在下で有機溶媒中
で、下記式:
【0097】
【化31】
【0098】ただし、R2は上記式(IV)における定
義と同様である、で示される2価のフェノール化合物
(以下、単に「2価のフェノール化合物」とも称する)
と共に加熱、重合することよって、下記式:
【0099】
【化32】
【0100】で示されるハロゲン原子を有するポリエー
テルケトンが得られる(工程2’)。このハロゲン原子
を有するポリエーテルケトンは、本発明のポリエーテル
ケトンの一であるポリエーテルケトン(A2)中のフェ
ニルエチニル基の代わりにフッ素原子が置換された重合
体であり、以下、「ポリエーテルケトン原料(A2)」
と称する。さらに、(4)このようにして得られたポリ
エーテルケトン原料(A2)は、さらにフェニルエチニ
ルフェノール化合物および/またはプロパギルオキシフ
ェノール化合物と反応させることによって、本発明のポ
リエーテルケトン(A2)が得られる(工程3’)。
【0101】上記工程1’のフリーデルクラフツ反応に
おいて、ジフェニルエーテルの使用量以外については、
上記工程1における記載と同様であるので、ここでは説
明を省略する。なお、上記工程1’において、ジフェニ
ルエーテルの使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.4〜
0.6モル、好ましくは0.45〜0.55モルであ
る。すなわち、ジフェニルエーテルの使用量が0.4モ
ル未満では、ジフェニルエーテルに過剰に2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイル基が導入されてしま
う恐れがある。これに対して、ジフェニルエーテルの使
用量が0.6モルを越えると、未反応のジフェニルエー
テルが多量に残る恐れがある。
【0102】上記工程2’の反応条件は、BPDEと2
価のフェノール化合物とが効率良く重合されてポリエー
テルケトン原料(A2)が得られる条件であれば特に制
限されない。具体的には、反応温度は、20〜150
℃、好ましくは50〜120℃である。この際、このよ
うに低温度で反応することで副反応を抑制し、重合体の
ゲル化を防止することができる。
【0103】上記工程2’の重合反応で使用される有機
溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノ
ン、N,N−ジメチルアセトアミド及びメタノール等の
極性溶媒やトルエンなどが挙げられる。これらの有機溶
媒は、単独でまたは2種以上の混合物の形態で使用され
てもよい。また、有機溶媒における4,4’−ビス
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジ
フェニルエーテルの濃度は、5〜50質量%、好ましく
は、10〜30質量%である。
【0104】なお、上記工程2’の重合反応において、
トルエンや他の同様の溶媒を反応の初期段階に使用する
際には、フェノキシド生成の際に副生する水を、重合溶
媒に関係なく、トルエンの共沸物として除去できる。
【0105】上記工程2’において使用される塩基性化
合物は、重縮合反応によって生成するフッ化水素を捕集
することにより重縮合反応を促進するよう作用し、さら
にフェノール化合物をより反応性の高いアニオンに変え
る作用がある。このような塩基性化合物としては、例え
ば、炭酸カリウム、炭酸リチウム及び水酸化カリウムが
挙げられる。また、上記重合反応において、塩基性化合
物の使用量は、使用される4,4’−ビス(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエ
ーテル1モルに対して、1〜20モル、好ましくは1〜
10モルである。
【0106】上記工程2’の重合反応において使用され
る2価のフェノール化合物としては、上記式で示される
ものであれば特に制限されないが、例えば、2,2−ビ
ス(4−ビドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,
3−へキサフルオロプロパン(以下、「6FBA」とい
う)、ビスフェノールA(以下、「BA」という)、
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
(以下、「HF」という)、ビスフェノールF(以下、
「BF」という)、ハイドロキノン(以下、「HQ」と
いう)、レゾルシノール(以下、「RS」という)およ
び2−(3−オキシフェニル)−2−(4’−オキシフ
ェニル)プロパン(以下、「3,4’−BA」という)
などが挙げられる。
【0107】また、上記工程2’において、2価のフェ
ノール化合物の使用量は、4,4’−ビス(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエ
ーテルと反応して目的物が得られる量であればよく、好
ましくは4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタ
フルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルと等モルであ
る。
【0108】上記工程2’において、ポリエーテルケト
ン原料(A2)の重合度(式(III)や(X)におけ
るnの値)は、モノマーである2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロベンゾイル化合物及び2価のフェノール化
合物の仕込み量を適宜設定することによって、調節でき
る。
【0109】上記工程2’において、重合反応終了後
は、反応溶液より蒸発等により溶媒の除去を行ない、必
要により留出物を洗浄することによって、所望の重合体
が得られる。または、反応溶液を重合体の溶解度が低い
溶媒中に加えることにより、重合体を固体として沈殿さ
せ、沈殿物を濾過により分離することによって、ポリエ
ーテルケトン原料(A2)を固体として得てもよい。ま
たは、重合反応後の反応溶液をそのまま工程3’に使用
してもよい。
【0110】このようにして得られたポリエーテルケト
ン原料(A2)は、工程3’によるフェニルエチニルフ
ェノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノ
ール化合物との反応によって、本発明のポリエーテルケ
トン(A2)が得られる。上記反応で使用されるフェニ
ルエチニルフェノール化合物は、所望のポリエーテルケ
トン(A2)の末端のフェニルエチニル基の構造によっ
て適宜選択され、好ましくは4−フェニルエチニルフェ
ノールである。また、上記反応で使用されるプロパギル
オキシフェノール化合物は、所望のポリエーテルケトン
(A2)の末端のプロパギルオキシ基の構造によって適
宜選択され、好ましくは4−プロパギルオキシフェノー
ルである。
【0111】なお、上記反応における工程3’は、ポリ
エーテルケトン(A1)の製造方法における上記工程4
と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】このようにして得られたポリエーテルケト
ン(A2)は、機械的強度、強靭性、電気的特性、熱酸
化安定性、溶解性、透明性及び膜形成容易性などの様々
な特性に優れるため、多層配線基板、プリント基板用表
面コーティング剤等の絶縁樹脂コーティング剤、モータ
ー、トランス、コイル等において使用される巻線の絶縁
被覆材料、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、
トリプレート線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路
などから構成された配線層を有する高周波用配線基板、
薄膜の磁気素子、特にチップインダクタ、トランス、D
C−DCコンバータなどの小容量(数ワット程度)の電
源部品として用いられる薄膜磁気素子、多層配線基板、
LSIなどの製造工程において、シリコンウェハー等の
半導体の加工、貯蔵及び運搬の際に使用されるディスク
キャリア、光導波路および薄型の大型画面用カラー表示
装置等に用いられるプラズマディスプレイパネル用隔壁
などの原料として有用である。
【0113】次に、上記式(XI)のポリエーテルケト
ン(B)の製造方法を以下に説明する。
【0114】すなわち、(1”)まず、2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、有機
溶剤中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で、ジフェニ
ルエーテルとフリーデルクラフツ反応させることよっ
て、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフル
オロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、単に
「4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロベンゾイル)ジフェニルエーテル」または「BPD
E」と称する)を得(工程1”);(2)このようにし
て得られた4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペン
タフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPD
E)を、塩基性化合物の存在下で有機溶媒中で、2価の
フェノール化合物と共に加熱、重合することよって、下
記式:
【0115】
【化33】
【0116】で示されるハロゲン原子を有するポリエー
テルケトンが得られる(工程2”)。このハロゲン原子
を有するポリエーテルケトンは、本発明のポリエーテル
ケトンの一であるポリエーテルケトン(B)中のフェニ
ルエチニル基の代わりにフッ素原子が置換された重合体
であり、以下、「ポリエーテルケトン原料(B)」と称
する。さらに、(4)このようにして得られたポリエー
テルケトン原料(B)は、さらにフェニルエチニルフェ
ノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノー
ル化合物と反応させることによって、本発明のポリエー
テルケトン(B)が得られる(工程3”)。
【0117】上記工程1”のフリーデルクラフツ反応
は、上記工程1’における記載と同様であるので、ここ
では説明を省略する。
【0118】上記工程2”のフリーデルクラフツ反応に
おいて、2価のフェノール化合物の使用量以外について
は、上記工程2’における記載と同様であるので、ここ
では説明を省略する。なお、上記工程2”において、2
価のフェノール化合物の使用量は、4,4’−ビス
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジ
フェニルエーテルと反応して目的物が得られる量であれ
ばよく、化学量論的には4,4’−ビス(2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテ
ルの方がやや過剰に存在する。好ましくは、2価のフェ
ノール化合物の使用量は、4,4’−ビス(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエ
ーテル1モルに対して、0.8〜1モル、好ましくは
0.85〜1モルである。この際、2価のフェノール化
合物の使用量が1モルを超えると、4,4’−ビス
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジ
フェニルエーテル量が少なく、上記工程2’で得られる
ようなポリエーテルケトン原料(A2)が所望とするポ
リエーテルケトン原料(B)に加えて副生し、収率が低
下する。逆に、2価のフェノール化合物の使用量が0.
8モル未満であると、余剰の2価のフェノール化合物を
分離する工程が必要となる。
【0119】このようにして得られたポリエーテルケト
ン原料(B)は、工程3”によるフェニルエチニルフェ
ノール化合物および/またはプロパギルオキシフェノー
ル化合物との反応によって、本発明のポリエーテルケト
ン(B)が得られる。上記反応で使用されるフェニルエ
チニルフェノール化合物は、所望のポリエーテルケトン
(B)の末端のフェニルエチニル基の構造によって適宜
選択され、好ましくは4−フェニルエチニルフェノール
である。また、上記反応で使用されるプロパギルオキシ
フェノール化合物は、所望のポリエーテルケトン(B)
の末端のプロパギルオキシ基の構造によって適宜選択さ
れ、好ましくは4−プロパギルオキシフェノールであ
る。
【0120】なお、上記反応における工程3”は、フェ
ニルエチニルフェノール化合物および/またはプロパギ
ルオキシフェノール化合物の添加量以外については、ポ
リエーテルケトン(A1)の製造方法における上記工程
4と同様であるので、その説明を省略する。
【0121】上記工程3”において、フェニルエチニル
フェノール化合物および/またはプロパギルオキシフェ
ノール化合物の添加量は、工程2”において使用される
4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ
ベンゾイル)ジフェニルエーテル1モルに対して、好ま
しくは2モル以下、より好ましくは0.001〜2モル
である。この際、フェニルエチニルフェノール化合物お
よび/またはプロパギルオキシフェノール化合物の添加
量が2モルを超えても、添加に見合う効果が得られず、
過剰のフェニルエチニルフェノール化合物および/また
はプロパギルオキシフェノール化合物が残存する。ま
た、フェニルエチニルフェノール化合物および/または
プロパギルオキシフェノール化合物の添加量が0.00
1モル未満であると、ポリエーテルケトン原料(B)の
双方の末端にあるフッ素原子を十分フェニルエチニル基
および/またはプロパギルオキシ基に置換できない恐れ
がある。
【0122】このようにして得られたポリエーテルケト
ン(B)は、機械的強度、強靭性、電気的特性、熱酸化
安定性、溶解性、透明性及び膜形成容易性などの様々な
特性に優れるため、多層配線基板、プリント基板用表面
コーティング剤等の絶縁樹脂コーティング剤、モータ
ー、トランス、コイル等において使用される巻線の絶縁
被覆材料、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、
トリプレート線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路
などから構成された配線層を有する高周波用配線基板、
薄膜の磁気素子、特にチップインダクタ、トランス、D
C−DCコンバータなどの小容量(数ワット程度)の電
源部品として用いられる薄膜磁気素子、多層配線基板、
LSIなどの製造工程において、シリコンウェハー等の
半導体の加工、貯蔵及び運搬の際に使用されるディスク
キャリア、光導波路および薄型の大型画面用カラー表示
装置等に用いられるプラズマディスプレイパネル用隔壁
などの原料として有用である。
【0123】第三の態様によると、本発明は、本発明の
第一の態様のポリエーテルケトンを架橋することによっ
て得られる架橋型樹脂を提供するものである。本発明の
ポリエーテルケトンは架橋時に溶解性が低下し、これに
より溶剤への溶出が抑えられて膜等の様々な形状に容易
に成形できるという知見に基づくものである。
【0124】第三の態様において、本発明の第一の態様
のポリエーテルケトンを、溶媒を使用して膜等に成形す
る場合には、ポリエーテルケトンを溶媒中に溶解し、ス
ピンコーティングやディッピングなどの公知の成膜方法
によって成膜した膜などを加熱する方法が使用できる。
この際使用される溶媒、ポリエーテルケトンを均一に溶
解(または分散)できるものであれば特に制限されるも
のではなく、使用されるポリエーテルケトンの種類によ
って適宜選択できるが、例えば、トルエン、クロロホル
ム、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジイ
ソプロピルエーテル、メチルエチルケトン、テトラヒド
ロフラン、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、N
−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチル
ホルムアミド及びクレゾールなどが挙げられ、これらの
うち、トルエン、N−メチルピロリドン及びジメチルア
セトアミドが好ましく使用される。上記溶媒は、単独で
使用されてもあるいは2種以上の混合液の形態で使用さ
れてもよい。また、溶媒を使用する際の溶媒の使用量
は、ポリエーテルケトンを均一に溶解(または分散)で
きる量であれば特に制限されないが、溶媒におけるポリ
エーテルケトンの濃度が、好ましくは1〜70(w/
v)%、より好ましくは5〜50(w/v)%となるよ
うな量である。また、本発明のポリエーテルケトンは、
加熱することで無溶媒下で成形することもできる。さら
に、ポリエーテルケトンの架橋は、窒素、ヘリウム及び
アルゴンなどの、不活性雰囲気中で行なわれることが好
ましい。
【0125】第三の態様において、ポリエーテルケトン
の架橋方法は、特に制限されるものではなく、公知の架
橋方法が使用できる。具体的には、熱架橋、電子線架橋
及び化学架橋などが挙げられる。これらのうち、操作の
容易性から、熱架橋が好ましい。
【0126】また、ポリエーテルケトンの架橋条件は、
特に制限されず、使用されるポリエーテルケトンや溶媒
の種類や量等によって適宜選択されればよいが、例え
ば、ポリエーテルケトンを熱架橋する場合の、架橋温度
は、通常、100〜500℃、好ましくは150〜40
0℃であり、架橋時間は、通常、0.5〜10時間、好
ましくは1〜5時間である。また、ポリエーテルケトン
の架橋は、常圧下または減圧下いずれで行ってもよい
が、設備面から、常圧下で行なうことが望ましい。
【0127】第三の態様において、架橋時に、ポリエー
テルケトンや溶媒に加えて、所望の用途によって、他の
成分を添加してもよい。他の成分としては、例えば、ポ
リカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリ
エチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂お
よび塩化ビニル樹脂等の樹脂、着色剤、重合調節剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、耐衝撃性向
上のためのゴム、あるいは剥離剤等を挙げることができ
る。
【0128】ポリエーテルケトンの架橋後の架橋密度
は、架橋後の架橋型樹脂の所望の物性、例えば、膨潤度
や弾性などによって適宜決定することができる。
【0129】また、ポリエーテルケトンは、架橋前は様
々な溶剤に優れた溶解性を有するため、様々な形状に成
形することができるが、具体的には、ポリエーテルケト
ンは、溶液流延法、溶媒キャスト法、押出成形、射出成
形、熱ラミネート成形、プレス成形、カレンダー成形、
注型製膜法などの方法を用いて、様々な形状、例えば、
板状、膜状、シート状あるいはフィルム状に成形するこ
とができる。また、ポリエーテルケトンを、キャスティ
ング(流延法)、スピンコーティング(回転塗布法)、
ロールコーティング、スプレイコーティング、バーコー
ティング、フレキソ印刷、およびディップコーティング
などの方法を用いて、基板上に塗布された後、架橋を施
されてもよい。
【0130】このようにして、本発明の架橋型樹脂は、
高い機械的強度および強靭性を有し、電気的特性、熱酸
化安定性、溶解性及び透明性に優れる上、様々な形状に
賦形できるので、多層配線基板、プリント基板用表面コ
ーティング剤等の絶縁樹脂コーティング剤、モーター、
トランス、コイル等において使用される巻線の絶縁被覆
材料、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、トリ
プレート線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路など
から構成された配線層を有する高周波用配線基板、薄膜
の磁気素子、特にチップインダクタ、トランス、DC−
DCコンバータなどの小容量(数ワット程度)の電源部
品として用いられる薄膜磁気素子、多層配線基板、LS
Iなどの製造工程において、シリコンウェハー等の半導
体の加工、貯蔵及び運搬の際に使用されるディスクキャ
リア、光導波路および薄型の大型画面用カラー表示装置
等に用いられるプラズマディスプレイパネル用隔壁など
の原料として有用である。
【0131】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0132】構造解析は、クロロホルムを溶媒として用
いて測定した分取型GPC[装置:Japan Analytical I
ndustry Co.,Ltd.製、モデル:LC−908;カラム:
JAIGEL 2H,1H]を用いて分離した後、行な
った。
【0133】また、構造解析は、CDCl3を溶媒とし
て用いて、1H−NMR(500MHz)、19F−NM
R(470MHz)または13C−NMR(モデル化合物
125MHz、ポリマー75MHz)スペクトルを、V
arian社製 Unity−500で記録することに
よっても、分析した。
【0134】さらに、構造解析は、日本分光製、FT/
IR−350型フーリエ変換赤外分光光度計を用い、K
Br錠剤法またはフィルムで、赤外分光スペクトルを記
録することによっても、分析した。
【0135】熱安定性は、窒素雰囲気下に20℃/分の
昇温速度で示差走査型熱量計(DSC−7)(パーキン
エルマー(Perkin-Elmer)社製)を用いて、ガラス転移温
度(Tg)を測定することによって行なった。
【0136】動的粘弾性は、株式会社オリエンテック
製、自動動的粘弾性測定機、RHEOVIBRON D
DV−II−EPを用いて、110Hz、昇温速度2℃
/分で測定した。
【0137】溶解試験は、各ポリマーから溶媒キャスト
法でフィルムを作製し、これを1cm×1cmの大きさ
に切断した後、トルエン10ml中に室温で24時間浸
し、その後取り出して減圧乾燥し、溶出前後のポリマー
フィルムの重量を比べることによって行なった。
【0138】X線回折は、X線回折装置(リガク株式会
社製、ガイガーフレックス2013)を用いて測定し
た。なお、測定範囲は50°〜10℃であり、スキャン
スピードは1°/分とした。
【0139】固有粘度の測定は、0.5g/dlの濃度
かつ25℃の温度でジメチルアセトアミド(DMAc)
中でオストワルド粘度計(Ostwald−Fensk
e粘度計)を用いることによって、行なった。
【0140】軟化温度(Ts)は、ヤナコ機器開発研究
所製、融点測定機MP−500Dを用いて測定した。
【0141】合成例1 20ml容のなす型フラスコに、4−フェニルエチニル
フェノール(0.9g)を仕込み、これに等モルの水酸
化カリウム(0.26g)を含むメタノール溶液10m
lを加え、室温で1時間攪拌した。さらに、この反応溶
液について、エバポレーターでメタノールを蒸発させ、
ポンプで吸引することにより完全に乾燥させることによ
って、4−フェニルエチニルフェノールのカリウム塩を
得た。
【0142】合成例2:4,4’−ビス(2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイル)(BPDE)ジフ
ェニルエーテルの合成 ジフェニルエーテル6.8g、塩化アルミニウム26.
8gおよび乾燥ジクロロエタン60mlを、滴下ロート
および塩化カルシウム(CaCl2)乾燥管を備えた2
50ml容の三つ口フラスコに仕込んだ。2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾクロライド18.5gお
よび乾燥ジクロロエタン15mlよりなる溶液を、攪拌
しながらゆっくりフラスコ中に滴下した。滴下終了後、
反応混合物を室温で一晩攪拌した。少量の水を、反応混
合物に非常にゆっくり加え、15分間攪拌し続けた。つ
いで、反応混合物を250mlの水中に注加し、ジクロ
ロメタンで抽出した。有機層を集めて、水洗し、硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。活性炭処理し
メタノールからの再結晶により、4,4’−ビス(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニ
ルエーテル(以下、「BPDE」という)を白色結晶と
して得た(収率61.2%)。BPDEの融点は、12
5〜127℃であった。
【0143】
【化34】
【0144】合成例3:4−プロパギルオキシフェノー
ルの合成 溶媒として使用される水及びエタノールを、それぞれ、
三ツ口フラスコに入れ、液体中に窒素ガスを吹き込みな
がら、3日間還流させた後、蒸留精製し、脱溶存酸素を
行なった後、使用した。
【0145】100ml容の三ツ口フラスコに、滴下漏
斗、還流管及び攪拌翼を取り付け、窒素置換を行なっ
た。この三ツ口フラスコに、11.011g(0.1モ
ル)のハイドロキノン、7.451g(0.1モル)の
プロパギルクロライド及び19.3mlの上記で調製さ
れた脱溶存酸素エタノールを入れ、オイルバス中で()
℃まで加熱して、プロパギルクロライドを完全に溶解さ
せた。滴下漏斗に、19.3mlの上記で調製された脱
溶存酸素蒸留水及び5.6108g(0.1モル)の水
酸化カリウムを入れた。フラスコ内をモーターで激しく
攪拌しながら、滴下漏斗から、水酸化カリウム水溶液を
ゆっくり時間をかけて滴下した。滴下終了後、20時間
還流して、溶媒のエタノールのみを留去した。
【0146】次に、この反応液を、ジクロロメタンを用
いて分液し、副生成物を除去した。水相を塩酸で酸性に
し、水及びジクロロメタンを用いてさらに分液を繰り返
すことによって、有機相の洗浄を行なった。さらに、エ
バポレーターにより有機相を濃縮し、この濃縮液を沸騰
したヘキサンで抽出した後、ヘキサンを留去することに
よって、1.4gの黄色の液体として4−プロパギルオ
キシフェノールを得た。この際の収率は9.45%であ
った。また、このようにして得られた4−プロパギルオ
キシフェノールの構造は、IR及びNMR分析によって
確認した。
【0147】合成例4 20ml容のなす型フラスコに、合成例3で得られた4
−プロパギルオキシフェノール(1.4g、9.45ミ
リモル)を仕込み、これに等モルの水酸化カリウム
(0.53g)を含むメタノール溶液10mlを加え、
室温で1時間攪拌した。さらに、この反応溶液につい
て、エバポレーターでメタノールを蒸発させ、ポンプで
吸引することにより完全に乾燥させることによって、4
−プロパギルオキシフェノールのカリウム塩を得た。
【0148】実施例1 還流管及びDean−stark trapを備えた1
0mlのなす型フラスコに、2,2−ビス(4−ビドロ
キシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフル
オロプロパン(6FBA)(0.43g)、等モルの炭
酸カリウム(0.177g)、N−メチルピロリドン
(NMP)(4.6ml)、ならびにトルエン(3.6
ml)を仕込んだ。この混合物を、窒素気流下、攪拌し
ながら160℃に加熱し、3時間共沸脱水を行ない、6
FBAのカリウム塩を合成した。量論量の水がでてきた
ら、トルエンを蒸留し、徐冷した。80℃になったとこ
ろで、合成例2で得られたBPDE(0.75g)を添
加し、そのまま20時間攪拌しながら反応させた。
【0149】次に、所定時間反応を行なった後、合成例
1で得られた4−フェニルエチニルフェノールのカリウ
ム塩(0.0622g)を添加し、120℃に加熱し、
15時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応生
成物をメタノールに注ぐことにより、固化させた。さら
に、この反応により得られたポリマーを濾別し、蒸留
水、メタノールで洗浄して、減圧乾燥した。回収したポ
リマーをDMAcに30wt/vol%になるように溶
かし、メタノールへ攪拌下ゆっくりと注ぎ再沈殿法によ
り精製した。完全に固化するまで放置した。沈殿固化し
たポリマーを濾過、減圧乾燥した。
【0150】さらに、残存塩及び溶媒を取り除くため
に、蒸留水につけ、3時間沸騰させることにより沸水抽
出を行った。沸水抽出は3回行った。ポリマーを濾過
し、メタノールで洗浄してから減圧乾燥することによっ
て、Y及びY’は、下記式:
【0151】
【化35】
【0152】で表される基であり;R1は、下記式:
【0153】
【化36】
【0154】で表される基であり、この際、R2は、下
記式:
【0155】
【化37】
【0156】で表される基である、上記式(XI)で示
されるポリマー(1)が0.818g得られた(収率:
72.5%)。
【0157】このようにして得られたポリマー(1)の
IRスペクトル及び1H−NMRスペクトルで分析し、
結果をそれぞれ図1及び2に示す。
【0158】実施例2 実施例1の方法において、6FBAの量を0.44gに
変更し、炭酸カリウムの量を0.181gに変更し、ま
た、4−フェニルエチニルフェノールのカリウム塩の量
を0.0311gに変更する以外は実施例1と同様にし
て、合成を行ない、上記式(XI)で示されるポリマー
(2)を0.76g得た(収率:67.3%)。
【0159】実施例3 実施例1の方法において、0.43gの6FBAの代わ
りに0.45gの9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレン(HF)を使用する以外は実施例1と同
様にして、合成を行ない、Yは、下記式:
【0160】
【化38】
【0161】で表される基であり;R1は、下記式:
【0162】
【化39】
【0163】で表される基であり、この際、R2は、下
記式:
【0164】
【化40】
【0165】で表される基である、上記式(XI)で示
されるポリマー(3)を0.76g得た(収率:66.
5%)。
【0166】実施例4 実施例1の方法において、6FBAの量を0.41gに
変更し、炭酸カリウムの量を0.169gに変更し、ま
た、4−フェニルエチニルフェノールのカリウム塩の量
を0.1244gに変更する以外は実施例1と同様にし
て、合成を行ない、上記式(XI)(Y、R1及びR
2は、実施例1における定義と同様)で示されるポリマ
ー(4)を0.45g得た(収率:40.1%) 上記実施例1〜4で得られたポリマー(1)〜(4)の
特性を、下記表1に示す。
【0167】
【表1】
【0168】実施例5 実施例1で得られたポリマー(1)0.5gをトルエン
4.5g中に溶解し、トルエンを用いた溶媒キャスト法
で、架橋型ポリマー(1)のフィルムを作製した。次
に、このようにして作製されたフィルムをスライドガラ
ス上にのせ、そのまま3つ口フラスコの中に入れた。フ
ラスコ内を10分間窒素置換した後、320℃で所定時
間架橋反応を行なった。架橋反応時間(合計4時間)に
対するガラス転移温度の変化を図3に示す。
【0169】また、下記表2に示される架橋時間で架橋
されて作製されたフィルムについて、溶解試験を行な
い、トルエン中に室温で24時間浸した時のフィルムの
溶出前後の重量を比べ、不溶分を求め、その結果を下記
表2に示す。
【0170】
【表2】
【0171】表2の結果から、本発明のポリマー(1)
は、120分間架橋処理されると、反応(架橋)率は9
0%を超え、完全に溶解性がなくなっていたことから、
本発明のポリマー(1)は、320℃の温度条件におい
ては、120分間架橋処理されると、架橋により耐薬品
性を発揮できることが示される。
【0172】実施例6 実施例2〜4と同様にして製造されたポリマー(2)〜
(4)について、実施例5と同様にして架橋反応を行な
い、各ポリマーの架橋反応時間に対するガラス転移温度
の変化を、それぞれ、図4〜6に示す。
【0173】実施例7 還流管及びDean−stark trapを備えた5
0mlのなす型フラスコに、0.215gの2,2−ビ
ス(4−ビドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,
3−へキサフルオロプロパン(6FBA)(0.640
ミリモル)、0.086gの炭酸カリウム(0.640
ミリモル)、2.36mlのN−メチルピロリドン(N
MP)、ならびに1.5mlのトルエンを仕込んだ。こ
の混合物を、窒素気流下、攪拌しながら160℃に加熱
し、3時間共沸脱水を行ない、6FBAのカリウム塩を
合成した。量論量の水がでてきたら、トルエンを蒸留
し、徐冷した。80℃になったところで、0.375g
の合成例2で得られたBPDE(0.672ミリモル)
を添加し、そのまま20時間、攪拌しながら反応させ
た。
【0174】次に、所定時間反応を行なった後、0.0
39gの合成例4で得られた4−プロパギルオキシフェ
ノールのカリウム塩を添加し、120℃に加熱し、12
時間反応させた。反応終了後、反応生成物をメタノール
に注ぐことにより、完全に固化したものを、濾別し、
( )%酢酸水溶液、蒸留水及びメタノールで洗浄
して、減圧乾燥した。回収したポリマーをDMAcに3
0wt/vol%になるように溶かし、メタノール中に
攪拌下ゆっくりと注ぎ、再沈殿法により精製した。沈殿
物を減圧乾燥することによって、Y及びY’は、下記
式:
【0175】
【化41】
【0176】で表される基であり;R1は、下記式:
【0177】
【化42】
【0178】で表される基であり、この際、R2は、下
記式:
【0179】
【化43】
【0180】で表される基である、上記式(XI)で示
される薄茶色のポリマー(5)が0.35g得られた
(収率:61.4%)。
【0181】このようにして得られたポリマー(5)の
IRスペクトルで分析し、結果を図7に示す。
【0182】実施例8 実施例7に記載の方法と同様にして得られたポリマー
(5)0.5gをトルエン4.5g中に溶解し、トルエ
ンを用いた溶媒キャスト法で、架橋型ポリマー(5)の
フィルムを作製した。次に、このようにして作製された
フィルムをスライドガラス上にのせ、そのまま3つ口フ
ラスコの中に入れた。フラスコ内を10分間窒素置換し
た後、250℃で2時間架橋反応を行なった。
【0183】架橋反応終了のフィルムを、トルエン中に
室温で24時間浸漬して、溶解試験を行なったところ、
溶解するものは認められなかった。これから、本発明の
架橋型樹脂は、溶剤への溶出が有意に抑えられることが
示される。
【0184】また、架橋反応前後のガラス転移温度を測
定したところ、架橋反応前は163℃であったのに対し
て、架橋反応後は179℃にまで上昇したことから、熱
に対する安定性が向上したことが示される。
【0185】さらに、架橋反応前後のポリマーの軟化を
試験したところ、架橋前のポリマーは180℃で軟化し
たが、架橋後のポリマーは450℃まで変化が認められ
ず、これから、本発明の架橋型樹脂は熱に対して安定性
があることが示される。
【0186】
【発明の効果】上述したように、本発明は、架橋基、好
ましくは上記式(I)および/または上記式(II)で
示される基を有するポリエーテルケトンに関するもので
あり、特に上記式(III)及び(V)で示されるポリ
エーテルケトンに関するものである。本発明のポリエー
テルケトンは、高い機械的強度及び強靭性、優れた電気
的特性を有し、通常使用される種々の溶媒に対して優れ
た溶解度、ならびに耐熱性、耐炎性等の優れた熱安定
性、ならびに優れた被覆形成性を有するので、電子部品
に対する被覆剤として有用であるばかりでなく、注型品
にも好適である。
【0187】また、本発明のポリエーテルケトン架橋す
ることによって得られる架橋型樹脂は、架橋時に分子量
の増加に伴い溶解性が低下し、これにより溶剤への溶出
が抑えられて膜等の様々な形状に容易に成形できる。し
たがって、本発明の架橋型樹脂は、多層配線基板、プリ
ント基板用表面コーティング剤等の絶縁樹脂コーティン
グ剤、モーター、トランス、コイル等において使用され
る巻線の絶縁被覆材料、ストリップ線路、マイクロスト
リップ線路、トリプレート線路、コプレーナ線路、誘電
体導波管線路などから構成された配線層を有する高周波
用配線基板、薄膜の磁気素子、特にチップインダクタ、
トランス、DC−DCコンバータなどの小容量(数ワッ
ト程度)の電源部品として用いられる薄膜磁気素子、多
層配線基板、LSIなどの製造工程において、シリコン
ウェハー等の半導体の加工、貯蔵及び運搬の際に使用さ
れるディスクキャリア、光導波路および薄型の大型画面
用カラー表示装置等に用いられるプラズマディスプレイ
パネル用隔壁などの原料として有用であることが期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1において、ポリマー(1)のIR
スペクトルを示す。
【図2】は、実施例1において、ポリマー(1)の1
−NMRスペクトルを示す。
【図3】は、実施例5において、ポリマー(1)の架橋
反応時間に対するガラス転移温度の変化を示す。
【図4】は、実施例6において、ポリマー(2)の架橋
反応時間に対するガラス転移温度の変化を示す。
【図5】は、実施例6において、ポリマー(3)の架橋
反応時間に対するガラス転移温度の変化を示す。
【図6】は、実施例6において、ポリマー(4)の架橋
反応時間に対するガラス転移温度の変化を示す。
【図7】は、実施例7において、ポリマー(5)のIR
スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 邦生 岡山県岡山市津高台1丁目2007−4 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AC43 BA02 BA03 BA29 BA32 4H039 CA61 CD10 CD20 4J005 BD03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋基を有するポリエーテルケトン。
  2. 【請求項2】 該架橋基は、下記式(I): 【化1】 および/または下記式(II): 【化2】 で示される、請求項1に記載のポリエーテルケトン。
  3. 【請求項3】 該ポリエーテルケトンは、下記式(II
    I): 【化3】 ただし、Xは、ハロゲン原子、低級アルキル基または低
    級アルコキシ基を表わし;Yは、下記式(I): 【化4】 または下記式(II): 【化5】 で示される基を表わし;qは、0〜4の整数であり;n
    は、重合度を表し;mは、0または1の整数であり;お
    よびR1は、下記式(IV): 【化6】 この際、X’は、ハロゲン原子、低級アルキル基または
    低級アルコキシ基を表わし;q’は、0〜4の整数であ
    り;pは、0または1の整数であり;およびR2は、2
    価の有機基を表わす、で示されるものである、請求項1
    または2に記載のポリエーテルケトン。
  4. 【請求項4】 該ポリエーテルケトンは、下記式
    (V): 【化7】 ただし、Xは、ハロゲン原子、低級アルキル基または低
    級アルコキシ基を表わし;X’は、ハロゲン原子、低級
    アルキル基または低級アルコキシ基を表わし;Y及び
    Y’は、それぞれ独立して、下記式(I): 【化8】 または下記式(II): 【化9】 で示される基を表わし;qは、0〜4の整数であり;
    q’は、0〜4の整数であり;nは、重合度を表し;な
    らびにR1は、下記式(VI): 【化10】 この際、X’及びq’は、上記式(V)における定義と
    同様であり;およびR2は、2価の有機基を表わす、で
    示されるものである、請求項1または2に記載のポリエ
    ーテルケトン。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポ
    リエーテルケトンを架橋することにより得られる架橋型
    樹脂。
  6. 【請求項6】 塩基の存在下で、ハロゲン原子を有する
    ポリエーテルケトンを、下記式(VII): 【化11】 で示されるフェニルエチニルフェノール化合物および/
    または下記式(VIII): 【化12】 で示されるプロパギルオキシフェノール化合物と反応す
    ることからなる、請求項2に記載のポリエーテルケトン
    の製造方法。
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