JP7495018B2 - 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物 - Google Patents

硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP7495018B2
JP7495018B2 JP2023569679A JP2023569679A JP7495018B2 JP 7495018 B2 JP7495018 B2 JP 7495018B2 JP 2023569679 A JP2023569679 A JP 2023569679A JP 2023569679 A JP2023569679 A JP 2023569679A JP 7495018 B2 JP7495018 B2 JP 7495018B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
curable resin
resin composition
cured product
curable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023569679A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2023145108A5 (ja
JPWO2023145108A1 (ja
Inventor
龍一 松岡
立宸 楊
広義 神成
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Publication of JPWO2023145108A1 publication Critical patent/JPWO2023145108A1/ja
Publication of JPWO2023145108A5 publication Critical patent/JPWO2023145108A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7495018B2 publication Critical patent/JP7495018B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F290/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers modified by introduction of aliphatic unsaturated end or side groups
    • C08F290/02Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers modified by introduction of aliphatic unsaturated end or side groups on to polymers modified by introduction of unsaturated end groups
    • C08F290/06Polymers provided for in subclass C08G
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/02Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
    • C08G63/12Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
    • C08G63/16Dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
    • C08G63/20Polyesters having been prepared in the presence of compounds having one reactive group or more than two reactive groups
    • C08G63/21Polyesters having been prepared in the presence of compounds having one reactive group or more than two reactive groups in the presence of unsaturated monocarboxylic acids or unsaturated monohydric alcohols or reactive derivatives thereof

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)

Description

本発明は、特定構造を有する硬化性樹脂、および、硬化性化合物を含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物により得られる硬化物に関する。
近年の情報通信量の増加に伴い、高周波数帯域での情報通信が盛んに行われるようになり、より優れた電気特性、なかでも高周波数帯域での伝送損失を低減させるため、低誘電率と低誘電正接を有する電気絶縁材料が求められてきている。
さらにそれら電気絶縁材料が使われているプリント基板あるいは電子部品は、実装時に高温のハンダロフローに曝されるため、耐熱性に優れた高いガラス転移温度を示す材料が求められ、特に最近は、環境問題の観点から、融点の高い鉛フリーのハンダが使われるため、より耐熱性の高い電気絶縁材料の要求が高まってきている。
これらの要求に対し、従来から、種々の化学構造を持つビニル基含有の硬化性樹脂が提案されている。このような硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールのジビニルベンジルエーテル、あるいはノボラックのポリビニルベンジルエーテルなどの硬化性樹脂が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、これらのビニルベンジルエーテルは、誘電特性が十分に小さい硬化物を与えることができず、得られる硬化物は高周波数帯域で安定して使用するには問題があり、さらにビスフェノールのジビニルベンジルエーテルは、耐熱性においても十分に高いとはいえないものであった。
上記特性を向上させたビニルベンジルエーテルに対して、誘電特性等の向上を図るため、特定構造のポリビニルベンジルエーテルがいくつか提案されている(例えば、特許文献3~5参照)。しかし、誘電正接を抑える試みや、耐熱性を向上させる試みがなされているが、これらの特性の向上は、未だ十分とは言えず、さらなる特性改善が望まれている。
このように、従来のポリビニルベンジルエーテルを含むビニル基含有の硬化性樹脂は、電気絶縁材料用途、特に高周波数対応の電気絶縁材料用途として必要な低い誘電正接と、鉛フリーのハンダ加工に耐えうる耐熱性とを兼備する硬化物を与えるものではなかった。また、硬化物の成形性に寄与する溶剤溶解性も乏しいものであった。
特開昭63-68537号公報 特開昭64-65110号公報 特開平1-503238号公報 特開平9-31006号公報 特開2005-314556号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、特定構造を有する硬化性樹脂、及び、硬化性化合物を含有する硬化性樹脂組成物を使用することで、前記硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性を向上させ、更に耐熱性(高ガラス転移温度)、及び、誘電特性(低誘電特性)に優れた硬化物を提供することである。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定構造の硬化性樹脂、及び、硬化性化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物が溶剤溶解性に優れ、かつ、前記硬化性樹脂組成物を用いた硬化物が、耐熱性、及び、誘電特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、アクリルエーテル基からなる群から選ばれる1種以上の反応性基を末端構造として有する硬化性樹脂(A)と、下記一般式(2)で表される硬化性化合物(B)を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
Figure 0007495018000001
(式中、Ra、Rbはそれぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基であり、kは0~3の整数であり、Xは単結合、または、炭化水素基であり、Yは下記一般式(3)~(5)のいずれかを表す。)
Figure 0007495018000002
(式中、Zは、炭化水素基を表す。)
Figure 0007495018000003
(式中、Ra、Rbはそれぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基であり、kは0~3の整数であり、Xは単結合、または、炭化水素基であり、Vは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、または、アクリルエーテル基を表す。)
本発明は、前記硬化性樹脂組成物を硬化反応させて得られる硬化物に関する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤溶解性に寄与できるため硬化物の成形性に優れ、さらには、反応性、耐熱性、及び、低誘電特性に寄与できるため、得られる硬化物が、耐熱性、及び、低誘電特性に優れ、有用である。
合成例1で得られた硬化性樹脂(A1)のGPCチャート図である。 合成例2で得られた硬化性樹脂(A2)のGPCチャート図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<硬化性樹脂(A)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、アクリルエーテル基からなる群から選ばれる1種以上の反応性基を末端構造を有する硬化性樹脂(A)を含有することを特徴とする。
Figure 0007495018000004
上記一般式(1)中、Ra、Rbはそれぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基であり、kは0~3の整数であり、Xは単結合、または、炭化水素基であり、Yは下記一般式(3)~(5)のいずれかを表す。
Figure 0007495018000005
上記一般式(3)~(5)中、Zは、炭化水素基を表す。
前記硬化性樹脂(A)が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、アクリルエーテル基からなる群から選ばれる1種以上の反応性基を末端構造として有することにより、前記硬化性樹脂(A)中に含まれるエステル結合、カーボネート結合、またはエーテル結合は分子運動性が低く、低誘電特性(特に低誘電正接)となり、さらに前記反応性基に隣接した箇所に、置換基であるRaやRb(特に、Ra)が存在することにより、前記反応性基由来の極性が、Raの立体障害により拘束され、更に誘電正接が低い硬化物を得ることができ、好ましい。また、前記硬化性樹脂中に、反応性基を有することで、得られる硬化物が耐熱性に優れ、さらに、分子運動性の低いエステル結合、カーボネート結合、またはエーテル結合を有することで、低誘電特性だけでなく、高ガラス転移温度を有する硬化物を得ることができる。
上記一般式(1)中、Ra及びRbはそれぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基を表し、好ましくは、炭素原子数1~4のアルキル基、アリール基、または、シクロアルキル基である。前記炭素原子数1~12のアルキル基等であることで、後述する、ベンゼン環、ナフタレン環、および、アントラセン環のいずれかの近傍の平面性が低下し、結晶性低下により、溶剤溶解性が向上するとともに、融点が低くなり、好ましい態様となる。
上記一般式(1)中、kは、0~3の整数を示し、好ましくは、0~1の整数である。kが前記範囲内にあることにより、上記一般式(1)中のベンゼン環の近傍の平面性が低下し、結晶性低下により、溶剤溶解性が向上するとともに、融点が低くなり、好ましい態様となる。また、kが0でない場合、つまり、置換基であるRbが存在し、反応性基の近傍に存在する場合には、前記反応性基由来の極性が、Rbの立体障害により拘束され、誘電正接が低い硬化物を得ることができ、好ましい。
上記一般式(1)中、Xは、単結合、または、炭化水素基であればよいが、工業原料の入手のしやすさから、ビフェニル構造、または、下記一般式(4)~(6)の構造で表されることが好ましく、特に下記一般式(4)の構造であることが、耐熱性と低誘電特性のバランスがよく、より好ましい。
Figure 0007495018000006
上記一般式(4)~(7)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基で表され、あるいは、R及びRが共になった環状骨格を形成されていても良い。nは0~2の整数を表し、好ましくは、0~1の整数である。nが前記範囲内にあることにより、高耐熱性となり、好ましい態様となる。
上記一般式(1)中、Yは、上記一般式(3)~(5)のいずれかで表され、耐熱性の観点から、好ましくは、上記一般式(3)である。
上記一般式(4)、または、(5)中、Zは、炭化水素基を表し、耐熱性の観点から、好ましくは、脂環式基、芳香族基、または、複素環基であり、より好ましくは下記一般式(7)~(11)で表される構造であり、特に下記一般式(7)の構造が、コスト面と耐熱性の観点から、更に好ましい。
Figure 0007495018000007
本発明の硬化性樹脂(A)は、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、アクリルエーテル基からなる群から選ばれる1種以上の反応性基を末端構造として有し、好ましくは、前記末端構造として、メタクリロイルオキシ基が、得られる硬化物が低誘電正接となる点でより好ましい。前記メタクリロイルオキシ基は、エステル結合を形成するのに対して、ビニルベンジルエーテル基、アリルエーテル基は、エーテル結合を形成し、分子運動性が高く、誘電正接が高くなる傾向にある。
<硬化性化合物(B)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記一般式(2)で表される硬化性化合物(B)を含有することを特徴とする。
Figure 0007495018000008
上記一般式(2)中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基を表し、好ましくは、炭素原子数1~4のアルキル基、アリール基、または、シクロアルキル基である。
上記一般式(2)中、kは、0~3の整数を示す。
上記一般式(2)中、Xは、単結合、または、炭化水素基を表す。
上記一般式(2)中、Vは、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、アリルエーテル基のいずれかを表す。
なお、Ra、Rb、及びkは、上記一般式(1)中におけるRa、Rb、及びkと同一であってもよいし、異なっていても良い。得られる硬化物の硬化性の観点から、同一であると好ましい。
上記一般式(2)で表される硬化性化合物(B)を含むことにより、低分子量成分が起点となり溶剤溶解性が高まり、硬化性樹脂(A)の析出速度が抑制され、硬化性樹脂組成物の保存安定性が高まり、好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性化合物(B)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)測定において算出される面積%が、硬化性樹脂(A)と硬化性化合物(B)の合計を100面積%とした時に、0.5~30.0面積%の範囲で含有し、好ましくは1.0~20.0面積%であり、より好ましくは1.5~15.0%で含有する。前記範囲内であると、硬化性樹脂組成物としての溶剤溶解性に優れ、かつ、硬化物とした際の、耐熱性、及び、誘電特性が優れるため、好ましい。
硬化性樹脂組成物は、後述の方法により製造されるが、硬化性化合物(B)を別途添加する場合、樹脂組成物中の硬化性化合物(B)の含有量を容易に調整できるため好ましい。硬化物に求められる特性に応じて、硬化性樹脂(A)と硬化性化合物(B)の組み合わせを適宜調整することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記一般式(1)が、下記一般式(1A)で表される繰り返し単位を有する硬化性樹脂(A)を含むことが好ましい。
Figure 0007495018000009
上記一般式(1A)中、Rcはアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはシクロアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ベンジル基である。なお、上記一般式(1A)中、Ra、Rb、及びYは、上記一般式(1)の場合と同様である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、重量平均分子量(Mw)が、500~50000である硬化性樹脂(A)を含むことが好ましく、1000~10000であるとより好ましく、1500~5000が更に好ましい。前記範囲内であると、溶剤溶解性が向上し、加工作業性が良好であり、好ましい。
<硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂(A)と硬化性化合物(B)が含有されていればよく、硬化性樹脂(A)と硬化性化合物(B)をそれぞれ別々に製造し、それらを混合配合する方法、あるいは、硬化性樹脂(A)と硬化性化合物(B)が反応系中で同時に製造する方法のどちらを選択しても良い。
<硬化性樹脂(A)の製造方法>
本発明の硬化性樹脂(A)の製造方法としては、界面重合法等の有機溶媒中で反応させる方法、または、溶剤重合等の溶融状態で反応させる方法等が挙げられる(反応工程)。
<界面重合法>
前記界面重合法としては、二価カルボン酸ハライドと末端構造である反応性基導入に使用される反応性基導入剤を水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、重合触媒および酸化防止剤を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1~8時間撹拌しながら重合反応を行う方法が挙げられる。
また、別の前記界面重合法としては、末端構造である反応性基導入に使用される反応性基導入剤を水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、重合触媒および酸化防止剤を含むアルカリ水溶液(水相)に混合した中にホスゲンを吹き込み、50℃以下の温度で1~8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法などが挙げられる。
有機相に用いる有機溶媒としては、水と相溶せず、ポリアリレートを溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、o-,m-,p-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、もしくはテトラヒドロフランなどが挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムの水溶液および水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
酸化防止剤は、二価フェノール成分の酸化を防止するために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム、L-アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。中でも、水溶性に優れていることから、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ-n-ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩;およびトリ-n-ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ-n-ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、分子量が高く、酸価の低いポリマーを得ることができることから、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ-n-ブチルアンモニウムハライド、トリ-n-ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ-n-ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
前記重合触媒の添加量としては、重合に用いる二価フェノールのモル数に対して、0.01~5.0mol%が好ましく、0.1~1.0mol%がより好ましい。重合触媒の添加量が0.01mol%未満では、重合触媒の効果が得られず、ポリアリレート樹脂の分子量が低くなる傾向にあるので好ましくない。一方、5.0mol%を超える場合には、二価の芳香族カルボン酸ハライドの加水分解反応が速くなるため、やはりポリアリレート樹脂の分子量が低くなる傾向にあり好ましくない。
二価フェノールとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,6-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5,6-トリメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,6-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5,6-トリメチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ブタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エタン、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(2-ヒドロキシ-5-ビフェニルイル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-6-メチルフェニル)プロパンなどが挙げられる。
二価カルボン酸ハライドとしては、例えば、テレフタル酸ハライド、イソフタル酸ハライド、オルソフタル酸ハライド、ジフェン酸ハライド、ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸ハライド、1,4-ナフタレンジカルボン酸ハライド、2,3-ナフタレンジカルボン酸ハライド、2,6-ナフタレンジカルボン酸ハライド、2,7-ナフタレンジカルボン酸ハライド、1,8-ナフタレンジカルボン酸ハライド、1,5-ナフタレンジカルボン酸ハライド、ジフェニルエーテル-2,2’-ジカルボン酸ハライド、ジフェニルエーテル-2,3’-ジカルボン酸ハライド、ジフェニルエーテル-2,4’-ジカルボン酸ハライド、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸ハライド、ジフェニルエーテル-3,4’-ジカルボン酸ハライド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ハライド、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ハライド、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸ハライドなどが挙げられる。
前記硬化性樹脂の末端構造として、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、及び、アリルエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種以上の反応性基を有するが、これら反応性基を導入するために、反応性基導入剤を用いることができる。前記反応性基導入剤としては、例えば、無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、クロロメチルスチレン、クロロスチレン、塩化アリル、及び、臭化アリル等を反応させることができ、特に前記末端構造として、メタクリロイルオキシ基を導入した硬化性樹脂により得られる硬化物は、低誘電正接となる点から、無水(メタ)アクリル酸、または、(メタ)アクリル酸クロリドを用いることがより好ましい。これらを反応させることにより、硬化性樹脂中に反応性基を導入することができ、また、低誘電率、低誘電正接な熱硬化性となり、好ましい態様となる。
前記無水(メタ)アクリル酸としては、無水アクリル酸と無水メタクリル酸が挙げられる。前記(メタ)アクリル酸クロリドとしては、メタクリル酸クロリドとアクリル酸クロリドが挙げられる。また、クロロメチルスチレンとしては、例えば、p-クロロメチルスチレン、m-クロロメチルスチレンが挙げられ、クロロスチレンとしては、例えば、p-クロロスチレン、m-クロロスチレンが挙げられる。また、塩化アリルとしては、例えば、3-クロロ-1-プロペンが挙げられ、臭化アリルとしては、例えば、3-ブロモ-1-プロペンが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても混合して用いてもよい。中でも、より低誘電正接の硬化物が得られる無水メタクリル酸や、メタクリル酸クロリドを用いることが特に好ましい。
<溶融重合法>
前記溶融重合法としては、原料の二価フェノールをアセチル化した後、アセチル化された二価フェノールと二価カルボン酸とを脱酢酸重合する方法、または、二価フェノールと炭酸エステルとをエステル交換反応する方法が挙げられる。
アセチル化反応においては、反応容器に、芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分と無水酢酸を投入する。その後、窒素置換を行い、不活性雰囲気下、100~240℃、好ましくは120~180℃の温度で、5分~8時間、好ましくは30分~5時間、常圧または加圧下で攪拌する。二価フェノール成分のヒドロキシル基に対する無水酢酸のモル比は、1.00~1.20とすることが好ましい。
脱酢酸重合反応とは、アセチル化した二価フェノールと二価カルボン酸を反応させ、重縮合する反応である。脱酢酸重合反応においては、240℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上の温度、500Pa以下、好ましくは260Pa以下、より好ましくは130Pa以下の減圧度で、30分以上保持し、攪拌する。温度が240℃未満である場合、減圧度が500Paを超える場合、または保持時間が30分未満の場合、脱酢酸反応が不十分となり得られるポリアリレート樹脂中の酢酸量が高くなったり、全体の重合時間が長くなったり、ポリマー色調が悪化したりする場合がある。
アセチル化反応および脱酢酸重合反応においては、必要に応じて、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート等の有機チタン酸化合物;酢酸亜鉛;酢酸カリウム等のアルカリ金属塩;酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;三酸化アンチモン;ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機錫化合物;N-メチルイミダゾール等のヘテロ環化合物が挙げられる。触媒の添加量は、得られるポリアリレート樹脂の全モノマー成分に対して、通常1.0モル%以下であり、より好ましくは0.5モル%以下であり、さらに好ましくは0.2モル%以下である。
エステル交換反応においては、120~260℃、好ましくは160~200℃の温度で0.1~5時間、好ましくは0.5~6時間、常圧~1Torrの圧力で反応させる。
エステル交換反応の触媒としては、例えば、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。エステル交換触媒としては、具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が用いられる。これらの触媒は、二価フェノールの合計1モルに対して、0.000001~0.1モル%の比率で、好ましくは0.00001~0.01モル%の比率で用いられる。
二価フェノールとしては、上述した界面重合法での二価フェノールを同様に使用できる。
二価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ジフェン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-2,2’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-2,3’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-2,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
炭酸エステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。
前記硬化性樹脂の末端構造として、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、及び、アリルエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種以上の反応性基を有するが、これら反応性基を導入するために、反応性基導入剤を用いることができ、前記反応性基導入剤としては、上述した界面重合法での反応性基導入剤を同様に使用できる。
上記反応工程の後に、得られたポリマーは洗浄される(洗浄工程)。洗浄工程は、溶剤洗浄、水洗浄である。溶剤洗浄としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、アルコール及びそれらの配合物を用いることができる。洗浄工程は、複数回行ってもよいし、異なる種類の洗浄液で複数回行ってもよい。洗浄後はポリマーを乾燥させる(乾燥工程)。
硬化性樹脂(A)と硬化性化合物(B)を同時に製造する方法としては、反応工程の調整、あるいは、精製工程の調整などが挙げられる。反応工程で調整する方法としては、例えば、反応温度、反応時間、重合触媒の添加量などを調整し、樹脂全体の高分子量化を抑制することが挙げられる。これにより、未反応のモノマー(硬化性化合物(B))を硬化性樹脂(A)中に残存させることが可能となる。また、精製工程で調整する方法としては、ポリマーの純水洗浄や減圧蒸留などが挙げられる。
<硬化性化合物(B)>
本発明の硬化性化合物(B)の製造方法としては、特に制限されるものではなく従来公知の方法を適宜利用して製造することができる。一実施態様として、例えば、反応性基導入剤を水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、酸化防止剤を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1~8時間攪拌しながら反応をおこなう方法などが挙げられる。
二価フェノールとしては、上述した硬化性樹脂(A)の製造方法での二価フェノールを同様に使用できる。
硬化性化合物(B)の反応性基として、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、または、アリルエーテル基を表すが、これら反応性基を導入するために、反応性基導入剤を用いることができ、前記反応性基導入剤としては、上述した硬化性樹脂(A)の製造方法での反応性基導入剤を同様に使用できる。なお、硬化性化合物(B)に導入される反応性基は、硬化物の硬化性の観点から、硬化性樹脂(A)と同様であると好ましい。
酸化防止剤としては、上述した界面重合法での酸化防止剤を同様に使用できる。
<その他樹脂等>
本発明の硬化性樹脂組成物には、前記硬化性樹脂(A)、前記硬化性化合物(B)に加えて、その他樹脂、硬化剤、硬化促進剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で特に限定なく使用できる。前記硬化性樹脂組成物は、後述するが、硬化剤を配合することなく、加熱等により硬化物を得ることができるが、例えば、その他樹脂等を併せて配合する際には、硬化剤や硬化促進剤などを配合して、使用することができる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物には、前記硬化性樹脂(A)を含むが、前記硬化性樹脂(A)の中で末端構造の反応性基として、アリルエーテル基を導入した場合、反応性基が(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基とは異なり、単独重合(架橋・自己硬化)することができない(単独では硬化物を得ることができない)ため、前記アリルエーテル基の場合は、硬化剤や硬化促進剤などを使用することが必要となる。
<その他樹脂>
前記その他樹脂としては、例えば、スチレンブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック樹脂、スチレン-イソプレン-スチレン樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹脂、ポリブタジエン樹脂あるいはそれらの水素添加した樹脂、アクリル樹脂、および、シリコーン樹脂などを用いることができる。前記熱可塑性樹脂を使用することで、その樹脂に起因する特性を硬化物に付与することができ、好ましい態様となる。例えば、付与できる性能としては、成形性、高周波特性、導体接着性、半田耐熱性、ガラス転移温度の調整、熱膨張係数、スミア除去性の付与などに寄与することができる。
<硬化剤>
前記硬化剤としては、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ-ル系化合物、シアネートエステル化合物などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独でも2種類以上の併用でも構わない。
<硬化促進剤>
前記硬化促進剤としては、種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール類、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、トリフェニルフォスフィン等のリン系化合物、又は、イミダゾール類が好ましい。これらの硬化促進剤は、単独でも2種類以上の併用でも構わない。
<難燃剤>
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、難燃性を発揮させるために、難燃剤を配合することができ、中でも、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合することが好ましい。前記非ハロゲン系難燃剤として、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、これらの難燃剤は、単独でも2種類以上の併用でも構わない。
<充填剤>
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、無機質充填剤を配合することができる。前記無機質充填剤として、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填剤の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、かつ、成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。また、前記硬化性樹脂組成物を以下に詳述する導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
<その他配合剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
<硬化物>
本発明は、硬化性樹脂組成物を硬化反応させて得られる硬化物に関する。本発明の硬化性樹脂組成物は、目的に応じて、上述した難燃剤などの各成分を均一に混合することにより得られ、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。前記硬化物としては、積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
前記硬化反応としては、熱硬化や紫外線硬化反応などが挙げられ、中でも熱硬化反応としては、無触媒下でも容易に行われるが、さらに速く反応させたい場合には、有機過酸化物、アゾ化合物のような重合開始剤やホスフィン系化合物、第3級アミンの様な塩基性触媒の添加が効果的である。例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルフォスフィン、トリエチルアミン、イミダゾール類等が挙げられる。
<用途>
本発明の硬化性樹脂組成物により得られる硬化物が、耐熱性、及び、低誘電特性に優れることから、耐熱部材や電子部材に好適に使用可能である。特に、プリプレグ、回路基板、半導体封止材、半導体装置、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板、接着剤やレジスト材料などに好適に使用できる。また、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂にも好適に使用でき、高耐熱性のプリプレグとして特に適している。本発明の硬化性樹脂組成物は、各種溶剤への優れた溶解性を表すことから塗料化が可能である。こうして得られる耐熱部材や電子部材は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて製造される代表的な製品について例を挙げて説明する。
<ワニス>
本発明は、前記硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈したものであるワニスに関する。前記ワニスの調製方法としては、公知の方法を使用でき、前記硬化性樹脂組成物を、有機溶剤に溶解(希釈)した樹脂ワニスとすることができる。本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤溶解性が高く、好適に使用することができる。
溶剤としては、好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、アルコール、から選ばれる少なくとも1種の溶媒、より好ましくは、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンから選ぶことができる。
<プリプレグ>
本発明は、補強基材、及び、前記補強基材に含浸した前記ワニスの半硬化物を有するプリプレグに関する。前記ワニス(樹脂ワニス)を補強基材に含浸させ、該補強基材を熱処理することにより、前記硬化性樹脂組成物を半硬化(あるいは未硬化)させることで、プリプレグとすることができる。その熱処理の条件としては、使用する有機溶剤、触媒、各種添加剤の種類や使用量などに応じて、適宜選択されるが、通常、80~220℃の温度で、3分~30分といった条件で行われる。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の中から、単独、あるいは、2種以上の混合溶媒として用いることができる。
前記ワニス(樹脂ワニス)を含浸させる補強基材としては、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の無機繊維、有機繊維からなる織布や不織布、またはマット、紙等であり、これらを単独、あるいは、組み合わせて用いることができる。硬化性樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物(中の樹脂分)が20~60質量%となるように調製することが好ましい。
<積層体>
積層体としては、前記硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物を含むことが好ましい。前記積層体は、基材と前記硬化物を含む層(硬化物層)より形成される積層体は、低誘電率、低誘電正接、高耐熱性であるため、高周波対応プリント基板などに使用することができ、好ましい。
前記積層体に用いる基材としては、金属やガラス等の無機材料や、プラスチックや木材といった有機材料等、用途によって適宜使用すればよく、例えば、ガラス繊維:Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス、球状ガラス、NEガラス、Lガラス、Tガラス、無機繊維;クォーツ、全芳香族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(商標登録)、デュポン株式会社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)、ポリエステル:2,6-ヒドロキシナフトエ酸・パラヒドロキシ安息香酸(ベクトラン(登録商標)、株式会社クラレ製)、ゼクシオン(登録商標、KBセーレン製)、有機繊維:ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(ザイロン(登録商標)、東洋紡績株式会社製)、ポリイミドなどが挙げられる。
前記積層体の形状としては、平板、シート状、あるいは3次元構造を有していても立体状であっても構わない。全面にまたは一部に曲率を有するもの等、目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。また、前記硬化物を基材とし、更に硬化物を積層しても構わない。
前記積層体を回路基板や半導体パッケージ基板に使用する場合、金属箔を積層することが好ましく、金属箔としては銅箔、アルミ箔、金箔、銀箔などが挙げられ、加工性が良好なことから銅箔を用いることが好ましい。
前記積層体において、前記硬化物を含む層(硬化物層)は、基材に対して直接塗工や成形により形成してもよく、すでに成形したものを積層させても構わない。直接塗工する場合、塗工方法としては特に限定は無く、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。直接成形する場合は、インモールド成形、インサート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プレス成形等が挙げられる。
また、前記硬化物に対して、前記基材となりうる前駆体を塗工して硬化させることで積層させてもよく、前記基材となりうる前駆体または本発明の硬化性樹脂組成物が未硬化あるいは半硬化の状態で接着させた後に硬化させてもよい。前記基材となりうる前駆体としては特に限定はなく、各種硬化性樹脂組成物等を用いることもできる。
<回路基板>
本発明は、前記プリプレグを含有する回路基板に関する。具体的には、本発明の硬化性樹脂組成物から回路基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1~10MPaの加圧下に170~300℃で10分~3時間、加熱圧着成型させる方法が挙げられる。
<半導体封止材>
半導体封止材としては、前記硬化性樹脂組成物を含有することが好ましい。具体的には、本発明の硬化性樹脂組成物から半導体封止材を得る方法としては、前記硬化性樹脂組成物に、更に任意成分である硬化促進剤、および無機充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ-ダ、ロ-ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ,アルミナ,窒化ケイ素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などを用いるとよい。その充填率は、硬化性樹脂組成物100質量部当たり、無機充填剤を30~95質量部の範囲で用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましい。
<半導体装置>
半導体装置としては、前記半導体封止材を加熱硬化した硬化物を含むことが好ましい。具体的には、本発明の硬化性樹脂組成物から半導体装置を得る半導体パッケージ成形としては、上記半導体封止材を注型、または、トランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50~250℃で、2~10時間の間、加熱硬化する方法が挙げられる。
<ビルドアップ基板>
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板を得る方法としては、工程1~3を経由する方法が挙げられる。工程1では、まず、ゴム、フィラーなどを適宜配合した前記硬化性樹脂組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。工程2では、必要に応じて、硬化性樹脂組成物が塗布された回路基板に所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、前記基板に凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。工程3では、工程1~2の操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップしてビルドアップ基板を成形する。なお、前記工程において、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行うとよい。また、本発明におけるビルドアップ基板は、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170~300℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
<ビルドアップフィルム>
ビルドアップフィルムとしては、前記硬化性樹脂化合物を含有することが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップフィルムを得る方法としては、例えば、支持フィルム上に硬化性樹脂組成物を塗布したのち、乾燥させて、支持フィルムの上に樹脂組成物層を形成する方法が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物をビルドアップフィルムに用いる場合、該フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70~140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう前記各成分を配合することが好ましい。
ここで、回路基板のスルーホールの直径は通常0.1~0.5mm、深さは通常0.1~1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
前記したビルドアップフィルムを製造する具体的な方法としては、有機溶剤を配合してワニス化した樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、前記ワニス化した樹脂組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥して、樹脂組成物層(X)を形成する方法が挙げられる。
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30~60質量%となる割合で使用することが好ましい。
なお、形成される前記樹脂組成物層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする必要がある。回路基板が有する導体層の厚さは通常5~70μmの範囲であるので、前記樹脂組成物層(X)の厚さは10~100μmの厚みを有するのが好ましい。なお、本発明における前記樹脂組成物層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、前記支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10~150μmであり、好ましくは25~50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1~40μmとするのが好ましい。
前記支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、あるいは、加熱硬化することにより、絶縁層を形成した後に、剥離される。ビルドアップフィルムを構成する樹脂組成物層が加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
なお、前記のようにして得られたビルドアップフィルムから多層プリント回路基板を製造することができる。例えば、前記樹脂組成物層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、前記樹脂組成物の層(X)を回路基板に直接接するように回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。また必要により、ラミネートを行う前にビルドアップフィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を70~140℃とすることが好ましく、圧着圧力を1~11kgf/cm(9.8×10~107.9×10N/m)とすることが好ましく、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
<導電ペースト>
本発明の硬化性樹脂組成物から導電ペーストを得る方法としては、例えば、導電性粒子を該組成物中に分散させる方法が挙げられる。上記導電ペーストは、用いる導電性粒子の種類によって、回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とすることができる。
以下に、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、「部」及び「%」は特に断わりのない限り、質量基準である。なお、以下に示す条件で、硬化性樹脂、及び、硬化性化合物、これらを用いて得られる硬化物を調製し、更に得られた硬化物について、以下の条件にて測定・評価を行った。
<GPC測定(硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)の評価)>
以下の測定装置、測定条件を用いて測定し、以下に示す合成方法で得られた硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)、面積%を算出した。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL-L」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G3000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G4000HXL」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準:前記「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
試料:実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂の固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
(合成例1)
攪拌装置を備えた反応容器に、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン113.8質量部、水酸化ナトリウム64.0質量部、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムクロライドを0.25質量部、純水2000質量部を仕込み、溶解させ、水相を調製した。塩化メチレン1500質量部に、テレフタル酸ジクロリド30.5質量部、イソフタル酸ジクロリド30.5質量部、メタクリル酸クロリド20.9質量部を溶解させ、有機相を調製した。
水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、20℃で5時間反応させた。この後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離し、有機相を純水で10回洗浄した。この後、有機相から塩化メチレンをエバポレーターで減圧蒸留し、反応により得られたポリマーを乾固させた。固形物をメタノール1Lとテトラヒドロフラン200mlの混合液で2回洗浄し、次に熱水1Lで2回洗浄し、次に80℃で減圧乾燥し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が3300で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが0面積%の硬化性樹脂(A1)を得た。
Figure 0007495018000010
(合成例2)
攪拌装置を備えた反応容器に、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン113.8質量部、水酸化ナトリウム64.0質量部、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムクロライドを0.25質量部、純水2000質量部を仕込み、溶解させ、水相を調製した。塩化メチレン1500質量部に、テレフタル酸ジクロリド30.5質量部、イソフタル酸ジクロリド30.5質量部、メタクリル酸クロリド20.9質量部を溶解させ、有機相を調製した。
水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、20℃で5時間反応させた。この後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離し、有機相を純水で10回洗浄した。この後、有機相から塩化メチレンをエバポレーターで減圧蒸留し、反応により得られたポリマーを乾固させた。得られたポリマーを、減圧乾燥し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が3100で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが7面積%の硬化性樹脂(A2)を得た。
Figure 0007495018000011
(合成例3)
上記合成例2における2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンを、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-6-メチルフェニル)プロパン157.0質量部に変更した以外は、上記合成例2と同様の方法で合成を実施し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が3200で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-6-メチルフェニル)プロパンジメタクリレートが7面積%の硬化性樹脂(A3)を得た。
Figure 0007495018000012
(合成例4)
上記合成例2におけるテレフタル酸ジクロリドとイソフタル酸ジクロリドを、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド62.7質量部に変更した以外は、上記合成例2と同様の方法で合成を実施し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が3100で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが8面積%の硬化性樹脂(A4)を得た。
Figure 0007495018000013
(合成例5)
上記実施例2における2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンを、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン91.3質量部に変更した以外は、上記合成例2と同様の方法で合成を実施し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が3000で、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレートが9面積%の硬化性樹脂(A5)を得た。
Figure 0007495018000014
(合成例6)
上記合成例2におけるメタクリル酸クロリドを、クロロメチルスチレン30.5質量部に変更した以外は、上記合成例2と同様の方法で合成を実施し、下記繰り返し単位を有し、末端にビニルベンジルエーテル基を有する重量平均分子量が3100で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが8面積%の硬化性樹脂(A6)を得た。
Figure 0007495018000015
(合成例7)
上記合成例2におけるメタクリル酸クロリドを、塩化アリル15.3質量部に変更した以外は、上記合成例2と同様の方法で合成を実施し、下記繰り返し単位を有し、末端にアリルエーテル基を有する重量平均分子量が3100で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが8面積%の硬化性樹脂(A7)を得た。
Figure 0007495018000016
(合成例8)
攪拌装置、蒸留塔、減圧装置を備えた反応容器に、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン113.8質量部、炭酸ジフェニル64.2重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド質量部0.01質量部を仕込み、窒素置換した後、140℃で溶解した。30分間攪拌後、内温を180℃に昇温し,内圧100mmHgで30分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。つづいて内温を200℃に昇温しつつ、徐々に減圧し、50mmHgで30分間フェノールを溜去しつつ反応させた。さらに220℃、1mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧力条件下で30分間反応させた。得られた固形分をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥し、中間体化合物を得た。
温度計、冷却管、攪拌機を取り付けた200mLフラスコに、トルエン20g及び前記中間体化合物22gを混合して約85℃に加熱した。ジメチルアミノピリジン0.19gを添加した。固体がすべて溶解したと思われる時点で、無水メタクリル酸30.6gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。次に、溶液を室温に冷却して、1Lのビーカー中マグネチックスターラーで激しく撹拌したメタノール中に滴下した。沈殿物をメタノール1Lとテトラヒドロフラン200mlの混合液で2回洗浄し、次に熱水1Lで2回洗浄し、次に80℃で減圧乾燥し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が2700で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが0面積%の硬化性樹脂(A8)を得た。
Figure 0007495018000017
(合成例9)
ディーン・スタークトラップ、冷却器、窒素入口、攪拌機、及び温度計を取り付けた反応容器に、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン113.8質量部、48%水酸化ナトリウム66.7質量部、キシレン200質量部を添加し、140℃に加熱して水とキシレンの共沸混合物を集めた。4時間後完全に脱水されたら、反応混合物の温度を200℃に上げキシレンを蒸留により除いた。次いで、N-メチル-2-ピロリドン200質量部、1,4-ジブロモベンゼン70.8質量部、塩化銅(I)0.396質量部を添加し、200℃で20時間攪拌した。反応混合物を60℃に冷却し、N-メチル-2-ピロリドン100質量部、トリエチルアミン20.2質量部、メタクリル酸クロリド20.9質量部を添加し、60℃で10時間攪拌した。次に反応混合物を、高速で攪拌されたメタノール2Lと酢酸100mlの混合液中に少しずつ注ぎ込み、沈殿物を得た。沈殿物をメタノール1Lとテトラヒドロフラン200mlの混合液で2回洗浄し、次に熱水1Lで2回洗浄し、次に80℃で減圧乾燥し、下記繰り返し単位を有し、末端にメタクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量が2700で、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンジメタクリレートが0面積%の硬化性樹脂(A9)を得た。
Figure 0007495018000018
(合成例10)
攪拌装置を備えた反応容器に、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン113.8質量部、水酸化ナトリウム64.0質量部、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムクロライドを0.25質量部、純水2000質量部を仕込み、溶解させ、水相を調製した。塩化メチレン1500質量部に、メタクリル酸クロリド125.6質量部を溶解させ、有機相を調製した。
水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、20℃で5時間反応させた。この後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離し、有機相を純水で10回洗浄した。この後、有機相から塩化メチレンをエバポレーターで減圧蒸留し、反応により得られた化合物を乾固させた。得られた化合物を、減圧乾燥し、下記構造の硬化性化合物(B1)を得た。
Figure 0007495018000019
<硬化性樹脂組成物の調製>
上記合成例で得られた硬化性樹脂または硬化性化合物を用いて、下記表1および表2に記載の配合内容(原料、配合量)の硬化性樹脂組成物、および、下記に示す条件(温度、時間など)に基づき、評価用の試料(樹脂フィルム(硬化物))を作製し、これらを実施例および比較例として、評価を行った。
<樹脂フィルム(硬化物)の作製>
上記硬化性樹脂組成物を5cm角の正方形の型枠に入れ、ステンレス板で挟み、真空プレスにセットした。常圧常温下で1.5MPaまで加圧した。次に、10toorまで減圧後、熱硬化温度より50℃高い温度まで30分かけて加温した。さらに2時間静置後、室温まで徐冷し、平均膜厚が100μmの均一な樹脂フィルム(硬化物)を得た。
<誘電特性の評価>
得られた樹脂フィルム(硬化物)の面内方向の誘電特性について、キーサイト・テクノロジー社のネットワークアナライザーN5247Aを用いて、スプリットポスト誘電体共振器法により、周波数10GHzについて誘電率、および、誘電正接を測定した。
前記誘電正接としては、10.0×10-3以下であれば、実用上問題がなく、好ましくは、3.0×10-3以下であり、より好ましくは2,5×10-3以下である。
また、前記誘電率としては、3以下であれば、実用上問題がなく、好ましくは、2.7以下であることが好ましく、より好ましくは、2.5以下である。
<耐熱性の評価(ガラス転移温度)>
得られた樹脂フィルム(硬化物)について、パーキンエルマー製DSC装置(PyrisDiamond)を用い、30℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される発熱ピーク温度(熱硬化温度)の観測後、それより50℃高い温度で30分環保持した。ついで、20℃/分の降温条件で30℃まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で昇温し、樹脂フィルム(硬化物)のガラス転移点温度(Tg)(℃)を測定した。
前記ガラス転移点温度(Tg)としては、100℃以上であれば、実用上問題がなく、好ましくは、150℃以上、より好ましくは、190℃以上である。
<耐熱性の評価>
得られた樹脂フィルム(硬化物)について、株式会社リガク製TG-DTA装置(TG-8120)を用いて、20mL/分の窒素流下、20℃/分の昇温速度で測定を行い、5%重量減少温度(Td5)を測定した。
<溶剤溶解性の評価>
得られた硬化性樹脂組成物をトルエンに50%不揮発分(質量比)となる割合で溶解した後、一週間静置し、溶液の外観から溶剤溶解性を評価した。評価基準を以下に示す。なお、以下の基準で、評価結果が「〇」または「◎」であれば、実用上問題がなく、好ましくは「◎」である。
◎:完全に溶解している
〇:溶解しているが、僅かに白濁がある
△:僅かに溶け残りがある
×:ほとんど溶けない、もしくは大部分が溶け残る
Figure 0007495018000020
Figure 0007495018000021
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤溶解性に寄与できるため硬化物の成形性に優れ、さらには、反応性、耐熱性、及び、低誘電特性に寄与できるため、得られる硬化物が、耐熱性、及び、低誘電特性に優れ、耐熱部材や電子部材に好適に使用可能である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、アクリルエーテル基からなる群から選ばれる1種以上の反応性基を末端構造として有する硬化性樹脂(A)と、
    下記一般式(2)で表される硬化性化合物(B)を含み、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定にて、前記硬化性樹脂(A)と前記硬化性化合物(B)の合計面積%を100とした時の、硬化性化合物(B)の面積%が、0.5~30.0面積%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
    Figure 0007495018000022
    (式中、Ra、Rbはそれぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基であり、kは0~3の整数であり、Xは単結合、または、炭化水素基であり、Yは下記一般式(3)~(5)のいずれかを表す。)
    Figure 0007495018000023
    (式中、Zは、フェニル基又はシクロヘキシル基を表す。)
    Figure 0007495018000024
    (式中、Ra、Rbはそれぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基であり、kは0~3の整数であり、Xは単結合、または、炭化水素基であり、Vは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルベンジルエーテル基、または、アクリルエーテル基を表す。)
  2. 前記一般式(1)が、下記一般式(1A)で表される、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 0007495018000025
    (式中、Rcはアルキル基、アリール基、アラルキル基、または、シクロアルキル基であり、Ra、Rb、Yは前記と同じである。)
  3. 前記末端構造が、メタクリロイルオキシ基である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が500~5000である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物を硬化反応させた硬化物。
  6. 請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈したものであるワニス。
  7. 補強基材、及び、前記補強基材に含浸した請求項に記載のワニスの半硬化物を有するプリプレグ。
  8. 請求項に記載のプリプレグ、及び、銅箔を積層し、加熱圧着成型して得られる回路基板。
JP2023569679A 2022-01-25 2022-07-28 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物 Active JP7495018B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022009297 2022-01-25
JP2022009297 2022-01-25
PCT/JP2022/029053 WO2023145108A1 (ja) 2022-01-25 2022-07-28 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2023145108A1 JPWO2023145108A1 (ja) 2023-08-03
JPWO2023145108A5 JPWO2023145108A5 (ja) 2024-02-05
JP7495018B2 true JP7495018B2 (ja) 2024-06-04

Family

ID=87471055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023569679A Active JP7495018B2 (ja) 2022-01-25 2022-07-28 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP7495018B2 (ja)
KR (1) KR20240136928A (ja)
CN (1) CN118541405A (ja)
TW (1) TW202340317A (ja)
WO (1) WO2023145108A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020189598A1 (ja) 2019-03-19 2020-09-24 本州化学工業株式会社 末端(メタ)アクリレートポリカーボネートオリゴマー

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58157844A (ja) * 1982-03-16 1983-09-20 Unitika Ltd 樹脂組成物
CN112424259B (zh) * 2018-07-05 2022-11-08 本州化学工业株式会社 末端(甲基)丙烯酸酯聚碳酸酯寡聚物
JP7255799B2 (ja) * 2019-03-27 2023-04-11 国立大学法人信州大学 ポリ共役エステル及びその製造方法並びに硬化性組成物及びその硬化物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020189598A1 (ja) 2019-03-19 2020-09-24 本州化学工業株式会社 末端(メタ)アクリレートポリカーボネートオリゴマー

Also Published As

Publication number Publication date
CN118541405A (zh) 2024-08-23
JPWO2023145108A1 (ja) 2023-08-03
WO2023145108A1 (ja) 2023-08-03
TW202340317A (zh) 2023-10-16
KR20240136928A (ko) 2024-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7212323B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP7229422B2 (ja) 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
KR102572049B1 (ko) 경화성 수지 조성물
WO2020217676A1 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP7198420B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP2023020067A (ja) アリル基含有ポリカーボネート樹脂及び硬化性樹脂組成物
JP2023020066A (ja) アリル基含有ポリカーボネート樹脂及び硬化性樹脂組成物
CN113748152B (zh) 固化性树脂组合物
JP7495018B2 (ja) 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
JP7198419B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
TW201843208A (zh) 聚芳酯樹脂及聚芳酯樹脂組成物
JP7392898B2 (ja) 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
JP7306599B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、および、硬化物
WO2024135760A1 (ja) 電子基板材料、樹脂、および樹脂の製造方法
WO2024135761A1 (ja) 電子基板材料、樹脂、および樹脂の製造方法
JP2023087852A (ja) 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
TW202344557A (zh) 硬化性樹脂、其硬化物、樹脂組成物、及硬化性樹脂之製造方法
CN117098794A (zh) 聚酯树脂
TW202344558A (zh) 硬化性樹脂之製造方法
TW202344556A (zh) 硬化性樹脂及其硬化物、以及樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231109

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231109

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20231109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240305

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240506

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7495018

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150