JP3539897B2 - 低誘電性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は低誘電性樹脂組成物に関するものである。より詳しくは、本発明は、優れた電気的特性(低誘電性)及び耐熱性を有し、特に、配線基板や絶縁材料等の高周波電子部品に有用な低誘電性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジニアリングプラスチックは、電子・電気部品、自動車部品や機械部品などの用途に用いられるプラスチックであり、一般に、その耐熱温度が高くなるほど誘電率及び誘電正接が高くなる傾向にあるため、耐熱性及び低誘電性を双方とも有するプラスチックは存在しなかった。
【0003】
例えば、耐熱性のエンジニアリングプラスチックとして代表的な、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリケトン(PK)等は優れた耐熱性及び機械特性を有し、様々な用途に用いられているが、これらのポリマーは特に高周波領域における誘電率が高いため、これらを高周波電子機器に使用するには限界があるという問題がある。また、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)等のエンジニアリングプラスチックは耐熱性の面でも不十分である上、高誘電性でもあり、高周波電子機器への使用には適さない。
【0004】
一方、エンジニアリングプラスチックの中でも耐熱温度の低い変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリカーボネート(PC)、また、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PSt)等汎用プラスチックは、誘電率が低い点では高周波信号を利用する電子機器に適した絶縁材料といえるが、やはり耐熱温度の低さにより使用環境が大きく限定される。よって、現在のところ耐熱性と低誘電性を兼ね備えた重合体は存在していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、優れた電気的特性(低誘電性)及び耐熱性双方を兼ね備えた低誘電性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情を鑑みて鋭意検討を行なった結果、本願発明者らがこれまで研究を行ってきた含フッ素アリールエーテルケトン重合体が低誘電性及び耐熱性双方に優れていること着目し、このような重合体を使用することにより耐熱性と低誘電性を兼ね備えた樹脂組成物が得られることを発見し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、上記目的は、下記(1)〜(7)により達成される。
【0008】
(1)下記式(I):
【0009】
【化11】
【0010】
ただし、Xはハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わし、qは0〜4の整数であり、nは重合度を表し、mは0または1の整数であり、およびR1は下記式(II):
【0011】
【化12】
【0012】
この際、X’はハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わし、q’は0〜4の整数であり、pは0または1の整数であり、およびR2は2価の芳香族基を表わす、
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体を含む低誘電性樹脂組成物。
【0013】
(2)前記含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、下記式(III):
【0014】
【化13】
【0015】
ただし、nは重合度を表し、mは0または1の整数であり、およびR1は下記式(II):
【0016】
【化14】
【0017】
この際、X’はハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わし、q’は0〜4の整数であり、pは0または1の整数であり、およびR2は2価の芳香族基を表わす、
で示される、前記(1)に記載の低誘電性樹脂組成物。
【0018】
(3)前記式(I)において、R1は下記式(IV):
【0019】
【化15】
【0020】
この際、pは0または1の整数であり、およびR2は2価の芳香族基を表わす、で示される、前記(1)または(2)に記載の低誘電性樹脂組成物。
【0021】
(4)前記式(II)において、R2は下記7種:
【0022】
【化16】
【0023】
のいずれかである、前記(1)〜(3)のいずれか一に記載の低誘電性樹脂組成物。
【0024】
(5)前記含フッ素アリールエーテルケトン重合体は下記式(V):
【0025】
【化17】
【0026】
ただし、nは重合度を表す、
で示される、前記(1)に記載の低誘電性樹脂組成物。
【0027】
(6)前記含フッ素アリールエーテルケトン重合体は下記式(VI):
【0028】
【化18】
【0029】
ただし、nは重合度を表す、
で示される、前記(1)に記載の低誘電性樹脂組成物。
【0030】
(7)前記含フッ素アリールエーテルケトン重合体は下記式(VII):
【0031】
【化19】
【0032】
ただし、nは重合度を表し、およびR2は下記7種:
【0033】
【化20】
【0034】
のいずれかである、
で示される、前記(1)に記載の低誘電性樹脂組成物。
【0035】
(8)下記式(VIII):
【0036】
【化21】
【0037】
この際、X’はハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表わし、q’は0〜4の整数であり、pは0または1の整数であり、およびR2は2価の芳香族基を表わす、
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体を含む低誘電性樹脂組成物。
【0038】
(9)下記式(IX):
【0039】
【化22】
【0040】
ただし、nは重合度を表し、mは0または1の整数であり、およびR1は下記式(IV):
【0041】
【化23】
【0042】
この際、pは0または1の整数であり、およびR2は下記7種:
【0043】
【化24】
【0044】
のいずれかである、
で表される基である、
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体を含む低誘電性樹脂組成物。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0046】
本発明は、下記式(I):
【0047】
【化25】
【0048】
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体(以下、単に「含フッ素アリールエーテルケトン重合体」ともいう)を含む低誘電性樹脂組成物を提供するものである。
【0049】
上記式(I)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体の各繰り返し単位は、下記式:
【0050】
【化26】
【0051】
で示されるp−テトラフルオロベンゾイレン基(本明細書では、単に「p−テトラフルオロベンゾイレン基」ともいう)及び下記式:
【0052】
【化27】
【0053】
で示されるオキシアルキレン基(本明細書では、単に「オキシアルキレン基」ともいう)がベンゼン環の任意の位置に(オルト位、メタ位またはパラ位に、特に好ましくはパラ位に)それぞれ結合し、残位がXで置換されるまたは置換されない構造を有するものである。
【0054】
上記式(I)において、Xは、ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子、好ましくはフッ素原子;低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル等の炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、好ましくはメチル及びエチル、ならびにトリフルオロメチル等のこれらのハロゲン化アルキル基;低級アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシ等の炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、好ましくはメトキシ及びエトキシ、ならびにトリフルオロメトキシ等のこれらのハロゲン化アルコキシ基などを表わす。これらのうち、フッ素原子が特にXとして好ましく使用される。上述したように、Xは、p−テトラフルオロベンゾイレン基及びオキシアルキレン基が結合しない残位の水素原子の代わりに置換される基であるが、ベンゼン環へのXの結合数、即ち、式(I)におけるqの値は、0〜4の整数である。
【0055】
また、上記式(I)において、mは0または1の整数であり、R1は、下記式(II):
【0056】
【化28】
【0057】
で表される基である。
【0058】
上記式(II)において、X’は、ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子、好ましくはフッ素原子;低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル等の炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、好ましくはメチル及びエチル、ならびにトリフルオロメチル等のこれらのハロゲン化アルキル基;低級アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシ等の炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、好ましくはメトキシ及びエトキシ、ならびにトリフルオロメトキシ等のこれらのハロゲン化アルコキシ基などを表わす。これらのうち、フッ素原子が特にX’として好ましく使用される。また、X’のベンゼン環への結合数、即ち、式(II)におけるq’の値は、0〜4の整数である。すなわち、本発明において、R1は、好ましくは、下記式(IV):
【0059】
【化29】
【0060】
で表される基である。
【0061】
また、上記式(II)及び(IV)において、pは0または1の整数である。R2は、2価の芳香族基、例えば、o−、m−またはp−フェニレン、2価のナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−またはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、ビフェニルスルホン、および下記5式:
【0062】
【化30】
【0063】
などの2価の芳香族基が挙げられる。なお、本発明による2価の芳香族基において、芳香環に直接結合する水素がハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されていてもよい。これらのうち、下記7種:
【0064】
【化31】
【0065】
で示される芳香族基がR2として好ましく使用される。
【0066】
さらに、上記式(I)において、nは、重合度を表わし、具体的には、2〜5000、好ましくは5〜500である。さらに、本発明において、含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、同一の繰り返し単位からなるものであってもまたは異なる繰り返し単位からなるものであってもよく、後者の場合には、その繰り返し単位はブロック状であったもまたはランダム状であってもよい。
【0067】
上記記載から、本発明において特に好ましく使用される含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、下記式(III):
【0068】
【化32】
【0069】
で示されるものである。なお、上記式(III)において、R1及びmは、上記式(I)における定義と同様である。
【0070】
なお、本発明による含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造方法については詳述するが、この記載から、式(I)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体の末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であると、即ち、式(I)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、下記式(VIII):
【0071】
【化33】
【0072】
で示される重合体、好ましくは下記式(IX):
【0073】
【化34】
【0074】
で示される重合体であると考えられる。
【0075】
以下、本発明において好ましく使用される上記式(III)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体について以下に詳述するが、上記式(I)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、例えば、置換した化合物を代わりに出発原料として使用する、または下記合成方法において各工程間若しくは全工程終了後の生成物の相当するベンゼン環に所望の置換基を公知の方法を用いて導入するなどによって、当業者により同様にして調製できる。
【0076】
上記式(III)において、mが0の場合には、下記式(V):
【0077】
【化35】
【0078】
ただし、nは重合度を表す、
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体となる。
【0079】
また、上記式(III)において、mが1でありかつpが0である場合には、下記式(VI):
【0080】
【化36】
【0081】
ただし、nは重合度を表す、
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体となる。
【0082】
さらに、上記式(III)において、mが1でありかつpが1である場合には、下記式(VII):
【0083】
【化37】
【0084】
ただし、nは重合度を表し、およびR2は前記のとおりである、
で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体となる。なお、上記式(VII)では、nは、重合度を表わすが、好ましくは、2〜2000、より好ましくは5〜200である。
【0085】
本発明において、低誘電性樹脂組成物は、単一の種類の含フッ素アリールエーテルケトン重合体からなってもあるいは2種以上の含フッ素アリールエーテルケトン重合体からなってもよく、所望の電気的特性(低誘電性)及び耐熱性等の諸特性を考慮して適宜選択される。具体的には、以下の実施例で製造される4F−PEK、4F−PEEK、BPDE−6FBA、BPDE−BA、BPDE−HF、BPDE−BF、BPDE−HQ、BPDE−RS及びBPDE−(3,4’−BA)からなる群より選ばれる少なくとも2種の組み合わせなどが挙げられる。
【0086】
または、本発明の低誘電性樹脂組成物は、含フッ素アリールエーテルケトン重合体に加えて、電気特性及び耐熱性が著しく低下しない範囲で、構造の異なる他の樹脂を配合してもよい。この際使用される他の樹脂としては、具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂及びAS樹脂等の汎用樹脂;ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック;ならびにポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)及び各種液晶ポリマー(LCP)等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。また、他の樹脂を本発明の低誘電性樹脂組成物中に配合する場合、他の樹脂の配合量は、電気特性及び耐熱性が著しく低下しない範囲であれば特に制限されないが、通常、全原料に対して、0〜50重量%、好ましくは、全原料に対して、0〜30重量%である。
【0087】
本発明による含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、例えば、K. Kimura et al., Polymer Preprints, Vol. 39, No. 2, 1998に記載される方法によって製造される。
【0088】
より詳細に述べると、本発明による含フッ素アリールエーテルケトン重合体が上記式(V)または上記式(VI)で示される際の、含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造方法を以下に説明する。
【0089】
まず、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、有機溶剤中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で、例えば、メトキシベンゼンやエトキシベンゼン等のアルコキシベンゼンまたは4−メトキシジフェニルエーテルや4−エトキシジフェニルエーテル等の4−アルコキシジフェニルエーテルとフリーデルクラフツ反応させることにより、p−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルをそれぞれ得、この反応産物を脱アルキル化反応することよって、下記式(X):
【0090】
【化38】
【0091】
ただし、qは0または1の整数である、
で示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物を得る。
【0092】
上記フリーデルクラフツ反応において、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエーテルの使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。この際、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエーテルの使用量が0.8モル未満では、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエーテルに過剰に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル基が導入されてしまい好ましくない。これに対して、アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエーテルの使用量が1.2モルを越えると、未反応のアルコキシベンゼンまたは4−アルコキシジフェニルエーテルが多量に残り、生産性の面で好ましくない。
【0093】
上記フリーデルクラフツ反応において効果的に使用されるフリーデルクラフツ触媒としては、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化錫、塩化ビスマス、塩化亜鉛、塩化水銀及び硫酸等が挙げられる。また、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルである。
【0094】
上記フリーデルクラフツ反応において使用される有機溶剤は、酸クロライドと反応しないものでなければならない。このような有機溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、二硫化炭素及びニトロベンゼン等が挙げられる。この有機溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドの濃度は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。反応は、反応系を撹拌状態に保ちながら、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度で行なわれる。
【0095】
このような反応によって得られる生成物は、反応混合物に水を注加し、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で抽出した後、有機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去することにより得られる。さらに、この生成物を、必要であれば、メタノールまたはエタノールで再結晶化することによって、白色結晶として得てもよい。
【0096】
次に、脱アルキル化処理について、以下に説明する。すなわち、脱アルキル化反応は、酸、アルカリまたは有機金属試薬などを用いて行うことができる。試薬としては、例えば、臭化水素、ヨウ化水素、トリフルオロ酢酸、ピリジンの塩酸塩、濃塩酸、ヨウ化マグネシウムエーテラート(magnesium iodide etherate)、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三塩化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、水酸化カリウム及びグリニヤール試薬などが挙げられる。試薬の使用量は、p−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは0.1〜30モルである。
【0097】
本発明において、脱アルキル化反応は、無溶媒下で行われてもあるいは溶媒中で行われてもよいが、反応効率や反応制御などを考慮すると、溶媒中で行われることが好ましい。
【0098】
本発明において、溶媒中で脱アルキル化反応を行う際に効果的に使用される溶媒としては、例えば、水、酢酸、無水酢酸、ベンゼン及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。また、この溶媒中でのp−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)アルコキシベンゼンまたは4−アルコキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの濃度は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。反応は、0〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度で行なわれる。
【0099】
さらに、このようにして得られた上記式(X)で示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物を、塩基性化合物の存在下で有機溶媒中で、30〜250℃、好ましくは50〜200℃の反応温度で加熱することによって、上記式(V)および(VI)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体が得られる。
【0100】
上記重合反応で使用される有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド及びメタノール等の極性溶媒やトルエンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0101】
また、有機溶媒における上記式(X)で示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物の濃度は、5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%である。
【0102】
トルエンや他の同様の溶媒を反応の初期段階に使用する際には、フェノキシド生成の際に副生する水を、重合溶媒に関係なく、トルエンの共沸物として除去できる。
【0103】
本発明において使用される塩基性化合物は、重縮合反応によって生成するフッ化水素を捕集することにより重縮合反応を促進するよう作用する。このような塩基性化合物としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸リチウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0104】
また、上記重合反応において、塩基性化合物の使用量は、使用される上記式(X)の2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モルである。
【0105】
重合反応終了後は、反応溶液より蒸発等により溶媒の除去を行ない、必要により留出物を洗浄することによって、所望の重合体が得られる。または、反応溶液を重合体の溶解度が低い溶媒中に加えることにより、重合体を固体として沈殿させ、沈殿物を濾過により分離することによって、重合体を得てもよい。
【0106】
次に、本発明による含フッ素アリールエーテルケトン重合体が上記式(VII)で示される際の、含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造方法を以下に説明する。
【0107】
まず、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、有機溶剤中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で、ジフェニルエーテルとフリーデルクラフツ反応させることよって、下記式(XI):
【0108】
【化39】
【0109】
で示される4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「BPDE」とも略称する)を得る。
【0110】
上記フリーデルクラフツ反応において、ジフェニルエーテルの使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.4〜0.6モル、好ましくは0.45〜0.55モルである。すなわち、ジフェニルエーテルの使用量が0.4モル未満では、ジフェニルエーテルに過剰に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル基が導入されてしまい好ましくない。これに対して、ジフェニルエーテルの使用量が0.6モルを越えると、未反応のジフェニルエーテルが多量に残り、生産性の面で好ましくない。
【0111】
上記フリーデルクラフツ反応において効果的に使用されるフリーデルクラフツ触媒としては、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化錫、塩化ビスマス、塩化亜鉛、塩化水銀及び硫酸等が挙げられる。また、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルである。
【0112】
上記フリーデルクラフツ反応において使用される有機溶剤としては、酸クロライドと反応しない溶剤が使用できる。このような有機溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、二硫化炭素及びニトロベンゼン等が挙げられる。この有機溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドの濃度は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。また、反応は、反応系を撹拌状態に保ちながら、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度で行なわれる。
【0113】
このような反応によって得られる生成物は、反応混合物に水を注加し、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で抽出した後、有機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去することにより得られる。さらに、この生成物を、必要であれば、メタノールまたはエタノールで再結晶化することによって、白色結晶として得てもよい。
【0114】
さらに、このようにして得られた上記式(XI)で示される4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)を、塩基性化合物の存在下で有機溶媒中で、下記式(XII):
【0115】
【化40】
【0116】
ただし、R2は上記式(II)及び(IV)における定義と同様である、
で示される2価のフェノール化合物と共に加熱することよって、上記式(VII)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体が得られる。
【0117】
上記反応において、反応温度は、20〜150℃、好ましくは50〜120℃である。この際、このように低温度で反応することで副反応を抑制し、重合体のゲル化を防止することができる。
【0118】
上記重合反応で使用される有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド及びメタノール等の極性溶媒やトルエンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0119】
また、有機溶媒における4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの濃度は、5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%である。
【0120】
トルエンや他の同様の溶媒を反応の初期段階に使用する際には、フェノキシド生成の際に副生する水を、重合溶媒に関係なく、トルエンの共沸物として除去できる。
【0121】
本発明において使用される塩基性化合物は、重縮合反応によって生成するフッ化水素を捕集することにより重縮合反応を促進するよう作用し、さらにフェノール化合物をより反応性の高いアニオンに変える作用がある。このような塩基性化合物としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸リチウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0122】
また、上記重合反応において、塩基性化合物の使用量は、使用される4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル1モルに対して、1〜20モル、好ましくは1〜10モルである。
【0123】
上記重合反応において使用される2価のフェノール化合物としては、上記式(XII)で示されるものであれば特に制限されないが、例えば、2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン(以下、「6FBA」という)、ビスフェノールA(以下、「BA」という)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「HF」という)、ビスフェノールF(以下、「BF」という)、ハイドロキノン(以下、「HQ」という)、レゾルシノール(以下、「RS」という)および2−(3−オキシフェニル)−2−(4’−オキシフェニル)プロパン(以下、「3,4’−BA」という)などが挙げられる。また、2価のフェノール化合物の使用量は、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル1モルに対して、0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。
【0124】
重合反応終了後は、反応溶液より蒸発等により溶媒の除去を行ない、必要により留出物を洗浄することによって、所望の重合体が得られる。または、反応溶液を重合体の溶解度が低い溶媒中に加えることにより、重合体を固体として沈殿させ、沈殿物を濾過により分離することによって、重合体を得てもよい。
【0125】
【実施例】
つぎに、実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
【0126】
なお、下記実施例において、物性の評価は、つぎのようにして行なった。
【0127】
NMRスペクトルは、500MHz(1H)、125MHz(13C)または470MHz(19F)で操作してVarian Unity 500を用いて記録した。4,4’−ジフルオロベンゾフェノンは、19F−NMR測定用の内部標準として使用した。
【0128】
熱安定性は、窒素または空気雰囲気下に20℃/分の加熱速度でPerkin−Elmer TGA7を用いて測定した。
【0129】
固有粘度の測定は、0.5dL/gの濃度かつ25℃の温度でジメチルアセトアミド(DMAc)中でOstwald−Fenske粘度計を用いることによって行なった。
【0130】
実施例1:2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノンの合成
2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−4’−メトキシベンゾフェノン6.0g、氷酢酸40mlおよび48%臭化水素水溶液30mlを、コンデンサーを備えた丸底フラスコに供給した。この混合物を一晩還流に供した後、室温にまで冷却した。生成物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、さらに留去した。留出物をトルエンから再結晶して、3.7g(収率78.8%)の2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(以下、「HPBP」という)を白色結晶として得た。この生成物の融点は、142〜143℃であった。また、結晶のNMR化学シフトを表1に示す。
【0131】
実施例2:4−ヒドロキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの合成
滴下ロートおよび塩化カルシウム乾燥管を備えた250ml容の三つロフラスコに、水酸化ナトリウムの存在下にヨウ化エチルとp−フェノキシフェノールとから合成した4−エトキシジフェニルエーテル3.5g、塩化アルミニウム5.4gおよび乾燥ジクロロエタン30mlを仕込んだ。2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸およびチオニルクラロイドから合成された2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド3.7gならびに乾燥ジクロロエタン10mlの溶液を、攪拌しながらフラスコ中に徐々に滴下させた。滴下終了後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。少量の水を、反応混合物に非常にゆっくり加え、15分間攪拌し続けた。ついで、反応混合物を250mlの水中に注加し、これをジクロロメタンで抽出した。有機層を集めて、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。活性炭処理しメタノールからの再結晶により、4−エトキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「EPDE」という)の白色結晶を得た(収率60.4%)。
【0132】
コンデンサーを備えたフラスコに、EPDE 2.1g、氷酢酸14mlおよび48%臭化水素水溶液11mlを仕込んだ。この混合物を一晩還流させた後、室温まで冷却した。生成物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。トルエンからの再結晶によって、4−ヒドロキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「HPDE」という)の白色結晶を得た(収率78.8%)。HPDEの融点は、136〜137℃であった。また、結晶のNMR化学シフトを表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
実施例3:4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの合成
ジフェニルエーテル6.8g、塩化アルミニウム26.8gおよび乾燥ジクロロエタン60mlを、滴下ロートおよび塩化カルシウム(CaCl2)乾燥管を備えた250ml容の三つ口フラスコに仕込んだ。2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾクロライド18.5gおよび乾燥ジクロロエタン15mlよりなる溶液を、攪拌しながらゆっくりフラスコ中に滴下した。滴下終了後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。少量の水を、反応混合物に非常にゆっくり加え、15分間攪拌し続けた。ついで、反応混合物を250mlの水中に注加し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を集めて、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。活性炭処理しメタノールからの再結晶により、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「BPDE」という)の白色結晶を生成した(収率61.2%)。BPDEの融点は、125〜127℃である。結晶のNMR化学シフトを上記表1に示す。
【0135】
実施例4
HPBP0.5g、重質炭酸カリウム0.36g、ジメチルアセトアミド(DMAc)2mlおよびトルエン1mlを、ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグネティック撹拌機および窒素供給管を備えた25ml容の丸底フラスコに仕込んだ。この混合物を160℃に加熱し、トルエンを留去した。この混合物を3時間還流させた。冷却後、この溶液を急速撹拌下に1%の酢酸を含有する水中に注加した。析出した重合体を濾過により捕集し、水洗した後、乾燥した。得られた化合物の収率は90%であった。この化合物の粘度は、ジメチルアセトアミド中で0.5g/dLの濃度、25℃の温度で測定したところ、0.18dL/gであった。また、ジメチルアセトアミドに対する不溶解分は11.5%であった。
【0136】
実施例5
実施例4の方法において、ジメチルアセトアミドの代わりにN−メチル−2−ピロリジノンを用いる以外は実施例4と同様にして、HPBPの重合体(以下、「4F−PEK」という)を製造した。その結果、収率85%、粘度0.23dL/g、ジメチルアセトアミドに対する不溶解分は6.0%であった。また、この4F−PEKのIRスペクトルを図3に示す。
実施例6〜10
実施例4の方法において、HPBP0.5gの代わりにHPDE0.5gを用い、表2に示す条件下で重合を行う以外は実施例4と同様にして、重合体を製造した。その結果を表2に示す。
【0137】
【表2】
【0138】
実施例11
実施例4の方法において、HPBP0.5gの代わりにHPDE0.5gを用い、さらにジメチルアセトアミドの代わりにN−メチル−2−ピロリジノンを用いる以外は実施例4と同様にして、HPDEの重合体(以下、「4F−PEEK」という)を製造した。その結果、収率82%、粘度0.53dL/g、ジメチルアセトアミドに対する不溶解分0.2%であった。また、この4F−PEEKの19F−NMRスペクトルおよびIRスペクトルを、それぞれ、図1および図4に示す。なお、19F−NMRスペクトルにおいて、19F化学シフトは4,4’−ジフルオロベンゾフェノン=−110.1ppmに相当するppmで示される。
【0139】
実施例12
実施例5で得られた4F−PEKおよび実施例11で得られた4F−PEEKの熱安定性を測定したところ、表3及び4に示す結果が得られた。
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】
実施例13〜20
トルエンから再結晶により精製された6FBA 1.2g(またはBA 0.82g,HF 1.25g,BF 0.71g,HQ 0.39g,RS 0.39gまたは3,4’−BA 0.82g)、重質炭酸カリウム1.48g、DMAc 13mlおよびトルエン10mlを、ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグネティック撹拌機および窒素供給管を備えた100ml容の三つ口丸底フラスコに仕込んだ。この混合物を160℃に加熱し、2時間還流に供し、ついでトルエンを留去した。実施例3で合成されたBPDE 2.0gをこの混合物に添加し、表5に示す条件下で重合を行なった。冷却後、この溶液を急速撹拌下に1%酢酸を含有する水中に注加した。析出した重合体を濾過により捕集し、水洗した後、乾燥した。その結果を表5に示す。また、実施例14で得られた重合体の19F−NMRスペクトルを図2に示し、さらに実施例14〜19で得られた重合体のIRスペクトルを図5〜10にそれぞれ示す。なお、19F−NMRスペクトルにおいて、19F化学シフトは4,4’−ジフルオロベンゾフェノン=−110.1ppmに相当するppmで示される。
【0143】
【表5】
【0144】
実施例21
実施例14〜20で得られたBPDEの重合体(以下、「8F−PEKEK」という)の熱安定性を測定したところ、表6及び7に示す結果が得られた。
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
【0147】
実施例22
実施例14〜17及び20で得られたBPDEの重合体の誘電率(ε)を、1MHzの周波数で、25℃の温度で、インピーダンス測定法によって測定し、その結果を下記表8に示す。
【0148】
【表8】
【0149】
【発明の効果】
上述したように、本発明の低誘電性樹脂組成物は、式(I)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体を含むことを特徴とするものである。したがって、本発明の低誘電性樹脂組成物は、優れた電気的特性(低誘電性)及び耐熱性を有する式(I)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体を含むので、耐熱性と低誘電性を兼ね備えており、コーティング用組成物などとしておよび配線基板や絶縁材料等の高周波電子部品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例11で得られた4F−PEEKの19F−NMRスペクトルである。
【図2】実施例14で得られたBPDE−6FBAの19F−NMRスペクトルである。
【図3】実施例5で得られた4F−PEKのIRスペクトルである。
【図4】実施例11で得られた4F−PEEKのIRスペクトルである。
【図5】実施例14で得られたBPDE−6FBAのIRスペクトルである。
【図6】実施例15で得られたBPDE−BAのIRスペクトルである。
【図7】実施例16で得られたBPDE−HFのIRスペクトルである。
【図8】実施例17で得られたBPDE−BFのIRスペクトルである。
【図9】実施例18で得られたBPDE−HQのIRスペクトルである。
【図10】実施例19で得られたBPDE−RSのIRスペクトルである。
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