JP2002316532A - 車両用冷却ファンの制御装置 - Google Patents

車両用冷却ファンの制御装置

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JP2002316532A
JP2002316532A JP2001123083A JP2001123083A JP2002316532A JP 2002316532 A JP2002316532 A JP 2002316532A JP 2001123083 A JP2001123083 A JP 2001123083A JP 2001123083 A JP2001123083 A JP 2001123083A JP 2002316532 A JP2002316532 A JP 2002316532A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷凍サイクルの稼働中であって、圧縮機の作
動直後の所定時間は冷却ファンの送風量を抑えること
で、冷却ファンの作動音の低減を可能とした車両用冷却
ファンの制御装置を実現する。 【解決手段】 ラジエータ3、および圧縮機6を有する
冷凍サイクルの凝縮器4に向けて冷却風を送風する冷却
ファン5と、圧縮機6を水冷式エンジン2の駆動源と断
続する電磁クラッチ7と、高圧側圧力を検出する圧力セ
ンサ14と、この圧力センサ14の検出圧力PHに応じ
て冷却ファン5の作動を制御する電子制御装置10とを
備え、車両速度を検出する車速センサ12を有し、電子
制御装置10は、冷凍サイクルの稼働中において、電磁
クラッチ7を接続して圧縮機6を作動させるとき、車速
センサ12により検出された車両速度が所定速度未満の
場合には、圧縮機6の作動後の、所定時間の間、送風量
を抑えるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のラジエータ
および冷凍サイクルの凝縮器を冷却する冷却ファンを制
御する車両用冷却ファンの制御装置に関するものであ
り、特に冷凍サイクル稼働中における冷却ファン作動開
始時の送風量の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に冷凍サイクルでは、フロストを
防止するとともに、冷凍能力を制御するために、蒸発器
の風下側にサーミスタ等の温度センサを設け、この温度
センサの検出温度に基づいて、圧縮機に動力を伝達する
電磁クラッチと、凝縮器に冷却風を送風する冷却ファン
とを制御している。
【0003】このとき、冷却ファンは、凝縮器および車
両走行用の液冷式内燃機関の冷却液を冷却するラジエー
タの両者に送風をしているため、この冷却ファンの具体
的な制御は、図7に示すように、冷凍サイクルが停止し
ているときにはステップ100による冷却ファンの制御
を実行し、検出されたエンジン水温Twに応じたブロア
電圧Vc1を出力する制御をして、ラジエータを冷却さ
せることで液冷式内燃機関のオーバーヒート防止を図っ
ている。
【0004】なお、このブロア電圧Vc1特性は、パル
ス幅変調制御(PWM制御とも称す。)により求めたも
のであって、設定された水温T1〜T4に応じたブロア
電圧Vc1をそれぞれV0〜V3に対応させたものであ
る。ここでは、V0=0V、V3=12Vである。従っ
て、検出された水温Twが高いとき(Tw≧T1〜T
4)は、冷却ファンに出力するブロア電圧Vc1を設定
された水温T1〜T4に対応したV0〜V3のいずれか
の制御量を選択し出力するものである。
【0005】そして、次に冷凍サイクルが稼働している
ときにはステップ110による冷却ファンの制御を実行
する。すなわち、上記ブロア電圧Vc1と、冷凍サイク
ルの高圧側(凝縮器側)に設けた圧力スイッチにより検
出された凝縮圧力PHに応じたブロア電圧Vc2とのい
ずれか高い方のブロア電圧を出力する制御をして、ラジ
エータおよび凝縮器を冷却させることで、液冷式内燃機
関のオーバーヒート防止および蒸発器のフロスト防止す
るとともに、所定の冷凍能力となるように制御を行なっ
ている。
【0006】また、Tw<T1〜T4、かつPH1<PH
<PH2であって電磁クラッチがONのときには、冷却
ファンを最小風量(例えばV1)で運転し、Tw<T1
〜T4、かつ電磁クラッチがOFFのときには、冷却フ
ァンを停止状態(例えば、V0)とする。つまり、上記
の冷却ファンの制御では、比較的熱負荷が低い条件でエ
アコンスイッチが投入された場合、冷凍能力が余剰状態
となるため、冷却ファンはON(最小風量、V1)状態
とOFF(V0)状態とを周期で繰り返すことになる。
【0007】従って、春、秋などの外気温度が低い中間
期などで、かつ車速が低いときなどのアイドリング運転
時においては、一般的に必要とする冷凍能力が小さいた
めに、上述したように冷凍能力が余剰状態となるため、
冷凍サイクルは電磁クラッチがON−OFF制御される
とともに、冷却ファンの制御がON(最小風量、V1)
状態とOFF(V0)状態とを周期で繰り返すことにな
る。つまり、これらの条件のときには、エンジン水温T
wが低いため、冷却ファンの制御が主に凝縮圧力PH
よって可変されるが、外気温度が低いために冷却ファン
の制御が最小風量か停止かのいずれかを繰り返してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記条件下
のときにおいて、図8に示すように、電磁クラッチがO
FFからONに作動するときに、凝縮圧力PHが瞬発的
に上昇することがしばしばある。このときの冷却ファン
の制御は、上述したように凝縮圧力PHに基づいてブロ
ア電圧Vc2が求まるため大風量のブロア電圧の出力が
必要となる。そして、ブロア電圧Vc2が高められた結
果、冷却ファンの作動音が大きいと言う問題を生じてい
た。
【0009】そこで、発明者等はこの凝縮圧力PHが瞬
発的に上昇する原因について試験調査していたところ、
以下の点を発見した。すなわち、冷却ファンが作動して
いるときには、凝縮器およびラジエータに向けて冷却風
が送風されているため、エンジンルーム内のうち凝縮器
およびラジエータより冷却風流れ下流側の部位は、エン
ジンルーム外より気圧(静圧)が上昇している。
【0010】このため、車速が低下した状態(アイドリ
ング運転状態)で冷却ファンが停止すると、一度、凝縮
器およびラジエータを通過して加熱された空気が、エン
ジンルーム内外の気圧差により、凝縮器およびラジエー
タ側(車両前方側)に逆流してしまうので、この逆流し
た温風により凝縮器の雰囲気温度が上昇してしまうとと
もに、次回、電磁クラッチがON状態となり冷却ファン
が作動した時に、温風が凝縮器およびラジエータを通過
することとなる。従って、凝縮器内の圧力(凝縮圧力P
H)が瞬発的に上昇するために、冷却ファンのブロア電
圧Vc2が上昇してしまうことを見出した。この結果、
電磁クラッチがON−OFF制御されるとともに、冷却
ファンの制御が大風量状態とOFF(V0)状態とを周
期で繰り返すことになることで、冷却ファンの作動音が
大きいと言う問題を生じていた。
【0011】そこで、本発明の目的は、上記点に鑑みて
なされたもので、冷凍サイクルの稼働中であって、圧縮
機の作動直後の所定時間は冷却ファンの送風量を抑える
ことで、冷却ファンの作動音の低減を可能とした車両用
冷却ファンの制御装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1ないし請求項5に記載の技術的手段を採用
する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両走行
用の液冷式内燃機関(2)の冷却液を冷却するラジエー
タ(3)、および冷媒を圧縮する圧縮機(6)を有する
冷凍サイクルの凝縮器(4)に向けて冷却風を送風する
冷却ファン(5)と、圧縮機(6)を液冷式内燃機関
(2)の駆動源と断続する電磁クラッチ(7)と、冷凍
サイクルの高圧側圧力を検出する圧力検出手段(14)
と、この圧力検出手段(14)の検出圧力(PH)に応
じて冷却ファン(5)の作動を制御する制御手段(1
0)とを備えた車両用冷却ファンの制御装置であって、
車両速度を検出する車速検出手段(12)を有し、制御
手段(10)は、冷凍サイクルの稼働中において、電磁
クラッチ(7)を接続して圧縮機(6)を作動させると
き、車速検出手段(12)により検出された車両速度が
所定速度未満の場合には、圧縮機(6)の作動後の、所
定時間の間、送風量を抑えるように制御することを特徴
としている。
【0013】請求項1に記載の発明によれば、圧縮機
(6)の作動後の、所定時間の間、送風量を抑えるよう
に制御することにより、例えば車両の低車速状態で冷却
ファン(5)が停止したとき凝縮器(4)側に逆流した
温風により凝縮器(4)の雰囲気温度が上昇し、電磁ク
ラッチ(7)および冷却ファン(5)がONに作動する
ときに凝縮圧力PHが瞬発的に上昇することがあって
も、所定時間の間、凝縮圧力PHに応じた制御量とはせ
ずに小風量の制御量を出力することで、従来の制御と比
較して冷却ファン(5)の作動音を低減させた状態で作
動できる。
【0014】請求項2に記載の発明では、制御手段(1
0)は、ブロア電圧により冷却ファン(5)を制御し、
所定時間の間、圧力検出手段(14)の検出圧力
(PH)に基づいて求めた所定ブロア電圧値(Vo)よ
り低いブロア電圧値を冷却ファン(5)に出力すること
を特徴としている。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、具体的に
は圧縮機(6)の作動後の、所定時間の間、所定ブロア
電圧値(Vo)より低いブロア電圧値を冷却ファン
(5)に出力することにより、請求項1と同様の効果を
奏する。
【0016】請求項3に記載の発明では、外気温度を検
出する外気温度検出手段(16)を有し、制御手段(1
0)は、外気温度検出手段(16)により検出された外
気温度および検出圧力(PH)に基づいて所定のブロア
電圧(Vo)を求めることを特徴としている。
【0017】請求項3に記載の発明によれば、凝縮器
(4)の冷凍能力は、外気温度および冷却ファン(5)
のブロア電圧によって左右される。そこで、冷凍能力不
足を発生させないように外気温度に応じた最小の所定ブ
ロア電圧値(Vo)を求めることにより、圧縮機(6)
の作動後の所定時間の間、冷凍能力不足を生じない。
【0018】請求項4に記載の発明では、所定時間は、
所定ブロア電圧値(Vo)が高いときよりも低いときの
方が短くなるように可変することを特徴としている。
【0019】請求項4に記載の発明によれば、例えば所
定ブロア電圧値(Vo)が高ければ送風量が多いため逆
流によって温度上昇している空気を短時間で送り出すこ
とができ、逆に所定ブロア電圧値(Vo)が低ければ送
風量が少ない外気相当の低い空気を吸い込むために時間
がかかる。これにより、瞬発的に上昇する凝縮圧力が発
生する時間も異なる。そこで、本発明は所定ブロア電圧
値(Vo)が高いときには所定時間を短く、逆に所定ブ
ロア電圧値(Vo)が低いときには所定時間を長くする
ことにより、温風の逆流によって発生する一時的な凝縮
圧力を無視するように制御することができる。
【0020】請求項5に記載の発明では、制御手段(1
0)は、前回の圧縮機(6)作動の停止直前のブロア電
圧を記憶する記憶手段を有し、所定ブロア電圧値(V
o)が記憶手段で記憶された停止直前のブロア電圧を出
力することを特徴としている。
【0021】請求項5に記載の発明によれば、今回、前
回の圧縮機(6)作動の停止直前のブロア電圧を出力す
ることにより、一般的に電磁クラッチ(7)がON−O
FF状態のときの例えば熱負荷、外気温度などは短時間
で変化することが少ないため、前回の停止直前のブロア
電圧を出力することで、通常制御で得られた冷却ファン
(5)の作動音が変化することもなく次の作動に織り込
められることで快適性を損なうことがない。
【0022】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の車両用冷却ファン
の制御装置の一実施形態を図1ないし図6に基づいて説
明する。まず、図1に示すように、本実施形態に係る冷
却ファンの制御装置を用いた車両エンジンルーム1の模
式図であり、車両走行用の水冷式エンジン(液冷式内燃
機関)2の空気流れ上流側(車両前方側)には、冷却水
(冷却液)を冷却するラジエータ3、および冷凍サイク
ル(車両用空調装置)の凝縮器4が配設されている。
【0024】また、5は凝縮器4およびラジエータ3に
空気(冷却風)を送風する電動式の冷却ファンであり、
凝縮器4およびラジエータ3への送風量は、冷却ファン
5に印加する電圧(ブロア電圧)を制御することにより
制御される。6は冷媒を圧縮する圧縮機であり、この圧
縮機6は、断続可能に駆動力を伝達する電磁クラッチ7
を介して水冷式エンジン2から駆動力を得て作動する。
8は凝縮器4から流出する冷媒を減圧する減圧器(図示
せず)を介して、減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器で
ある。なお、9は蒸発器8を収容した空調ユニットであ
って、この空調ユニット9は車室内に配設されている。
【0025】そして、電磁クラッチ7および冷却ファン
5は、電子制御装置(以下、ECU称す。)10によっ
て出力される制御量によって制御されている。このEC
U10は、マイクロコンピュータを主体として構成さ
れ、内蔵のROM(図示せず)に、図3に示す制御プロ
グラムが記憶され、以下に述べる入力信号を入力し、電
磁クラッチ7および冷却ファン5に制御量を出力する。
【0026】図2に示すように、ECU10には、冷却
水の温度を検出する水温センサ11の検出水温Tw、車
両の速度を検出する車速検出手段である車速センサ12
の検出速度Va、車両用空調装置のA/Cスイッチ13
から信号、冷凍サイクルの高圧側圧力(凝縮器4内の圧
力)を検出する圧力検出手段である圧力センサ14の検
出圧力PH、蒸発器8にて冷却された空気の温度を検出
する温度センサ15の検出温度Teおよび車両周辺の外
気温度Tamを検出する外気温度検出手段である外気温
センサ16が入力されている。
【0027】次に、本発明の特徴的作動を図3に示す制
御プログラムのフローチャートに基づいて説明する。先
ず、ステップ200において、A/Cスイッチ13の状
態(ON/OFF)によって車両用空調装置(冷凍サイ
クル)が作動状態であるか否かを判定する。車両用空調
装置が停止状態であるとき(A/Cスイッチ13がOF
Fのとき)は、ステップ210において冷却ファン5の
制御を実行する。ここでは、図4(a)に示すように、
水温センサ11によって検出された検出水温Twに基づ
いて冷却ファン5に出力する制御量を求めるものであ
る。制御量はブロア電圧Vc1であって、予めECU1
0に設けられているROM(図示せず)内に記憶された
水温Twとブロア電圧Vc1との関係を表わす制御マッ
プからブロア電圧Vcを求め、その制御量を冷却ファン
5に出力し、ラジエータ3を冷却させて水冷式エンジン
2のオーバーヒート防止を図っている。
【0028】次に、車両用空調装置が作動状態であると
き(A/Cスイッチ13がONのとき)は、ステップ2
20にて、電磁クラッチ7の運転要求の有無を判定す
る。具体的には上記温度センサ15の検出温度が4℃以
上のときはONが要求され、検出温度が3℃以下のとき
にはOFFが要求される圧縮機6への制御信号(ON/
OFF)であって、この圧縮機6への制御信号がONの
ときにはステップ230に移行し、制御信号がOFFの
ときにはステップ300に移行する。
【0029】前者のステップ230では、外気温度Ta
mが所定温度Tam1未満であるか否かを判定する外気
温度判定手段であって、外気温センサ16によって検出
された外気温度Tamが所定温度Tam1未満であると
きにはステップ240に移行し、所定温度Tam1以上
であるときにはステップ300に移行する。なお、所定
温度Tam1は、後述するブロア電圧Voに基づいて求
められた所定の外気温度であって、冷房期間のうちでシ
ーズンか中間期かを判定するもので、概して冷房時の熱
負荷の大小を判定している。
【0030】次に、ステップ240では、車両の速度
(検出速度Va)が所定速度Va1未満であるか否かを
判定する車速判定手段であって、車速センサ12で検出
されたの検出速度Vaが所定速度Va1未満であるとき
にはステップ250に移行し、検出速度Vaが所定速度
V1以上であるときにはステップ300に移行する。な
お、所定速度Va1は10km/h以下の所定速度であ
り、本実施形態では約0km/hである。つまり、ここ
ではアイドリング状態か走行状態かを判定するものであ
る。
【0031】そして、ステップ250おいて、電磁クラ
ッチ7にON信号を出力し、圧縮機6に電磁クラッチ7
が磁着することで水冷式エンジン2の駆動源と圧縮機6
とが接続され圧縮機6が駆動されるものである。
【0032】次に、ステップ260にてタイマのカウン
トが開始され、ステップ270において、カウント開始
してからの経過時間TMが所定時間TM1に達したか否
かを判定する経過時間判定手段である。なお、この所定
時間TM1は、冷却ファン5が作動し温風の逆流が起き
瞬発的に凝縮圧力PHが上昇することがあっても、冷却
ファン5の作動による冷却によって、上昇した凝縮圧力
Hを下降させるための最適時間を設定したものであっ
て、本実施形態では、約10秒を設定している。
【0033】従って、経過時間TMが所定時間TM1で
ある10秒未満であれば、ステップ280に移行する。
このステップ280は冷却ファン制御手段であって、冷
却ファン5に対して圧縮機6の作動後の10秒間の間、
後述する状況に応じて冷却ファン5の送風量を抑制する
ものである。本実施形態では、まず、予め設定された所
定ブロア電圧Vo(例えば6V)または、図4(b)に
示す検出された凝縮圧力PHから求めたブロア電圧Vc
2のいずれか低い方の制御量Vc3を求めるものであ
る。
【0034】そして、求めた制御量Vc3と、図4
(a)に示す検出水温Twから求めたブロア電圧Vc1
とを比較し、いずれかブロア電圧が高い方の制御量Vc
を求めて冷却ファン5に出力し冷却ファン5を作動させ
るものである。なお、ブロア電圧Vc2は、予めECU
10に設けられている記憶手段であるROM(図示せ
ず)内に記憶された凝縮圧力PHとブロア電圧Vc2と
の関係を表わす制御マップからブロア電圧Vc2を求め
るものである。これにより、所定時間の間、求められた
制御量Vcによって冷却ファン5が作動するものであ
る。従って、検出水温Twが低いときには、所定ブロア
電圧Vo(例えば6V)以下の小風量に相当する制御量
が冷却ファン5に出力され冷却ファン5が作動される。
【0035】そして、所定時間TM1が経過すると、ス
テップ290においてカウンタがリセットされ、ステッ
プ300に移行する。ここでは、冷却ファン5の通常制
御を実行するものであって、検出水温Twに基づいて求
められたブロア電圧Vc1と凝縮圧力PHに基づいて求
められたブロア電圧Vc2とを比較し、いずれかブロア
電圧が高い方の制御量Vcを求めて冷却ファン5に出力
し冷却ファン5を作動させるものである。
【0036】また、ステップ240の車速判定手段にお
いて、検出速度Vaが所定速度V1以上であるときに、
つまり、車両が走行しているときには、外気がラジエー
タ3および凝縮器4に吸込まれるように冷却ファン5が
作動するため温風の逆流が生じないため、ステップ30
0の通常制御で良い。
【0037】さらに、ステップ230の外気温度判定手
段で所定温度Tam1以上であるときに、つまり、外気
温度Tamが高くて冷房時の熱負荷が大きいときには、
凝縮圧力PHに基づいたブロア電圧Vc2が比較的高め
となることで凝縮器4の冷凍能力およびラジエータ3の
冷却能力を最適制御されるものである。
【0038】また、図4(a)に示す検出水温Twとブ
ロア電圧Vc1との関係を表わす制御マップおよび図4
(b)に示す凝縮圧力PHとブロア電圧Vc2との関係
を表わす制御マップの特性は、ともにパルス幅変調制御
(PWM制御とも称す。)により求めたものである。
【0039】以上の一実施形態によれば、冷凍サイクル
の稼働中において、電磁クラッチ7がONして圧縮機6
の作動後、所定時間TM1の間(例えば10秒)、予め
設定された所定ブロア電圧値Vo(例えば6V)以下の
制御量Vcを冷却ファン5に出力することにより、逆流
した温風により凝縮器4の雰囲気温度が上昇し、電磁ク
ラッチ7および冷却ファン5がONに作動するときに凝
縮圧力PHが瞬発的に上昇することがあっても、所定時
間TM1の間、凝縮圧力PHに応じた通常の制御量とは
せずに小風量の制御量を出力することで、電磁クラッチ
7がON−OFF制御して圧縮機6が断続運転しても従
来の制御と比較して冷却ファン5の作動音は小さい状態
で作動できる。
【0040】(他の実施形態)以上の一実施形態では、
ステップ280の冷却ファン制御手段において、冷却フ
ァン5に出力される制御量Vcを予め設定された所定ブ
ロア電圧値Vo(例えば6V)を用いて説明したが、こ
れに限らず、検出された外気温度Tamに応じてブロア
電圧Voを予め設定してROM内に記憶させておいても
良い。
【0041】図5に示すように、凝縮器4の冷凍能力
は、外気温度Tamおよび冷却ファン5に出力されるブ
ロア電圧Voによって左右される。そこで、冷凍能力不
足を発生させないように外気温度Tamに応じた最小の
所定ブロア電圧値Voを出力するように、例えば、外気
温度Tamが20℃のときにブロア電圧Voが4V、外
気温度Tamが35℃のときにブロア電圧Voが12V
を表わすように予め設定しておくことにより、圧縮機6
の作動後、所定時間の間の冷凍能力不足を生じない。
【0042】また、この時の所定時間TM1を例えば1
0秒と設定したが、これに限らず、所定ブロア電圧値V
oに応じて所定時間TM1を可変させても良い。図6に
示すように、ブロア電圧Voが低い4Vのときに15秒
と長くし、ブロア電圧Voが高い12Vのときに5秒と
短くしても良い。これにより、逆流によって温度上昇し
ている空気を送り込むためには冷却ファン5に出力され
る所定ブロア電圧値Voの大小によって異なる。つまり
所定ブロア電圧値Voが高ければ送風量が多いため逆流
によって温度上昇している空気を短時間で送り出すこと
ができ、逆に所定ブロア電圧値Voが低ければ送風量が
少ない外気相当の低い空気を吸い込むために時間がかか
る。
【0043】従って、瞬発的に上昇する凝縮圧力PH
発生する時間も異なるため、温風の逆流によって発生す
る一時的な凝縮圧力PHを無視することができる。
【0044】また、以上の実施形態では、所定ブロア電
圧値Voを、例えば6Vか外気温度TAMに応じた制御
量を予め設定された制御量を用いていたが、圧縮機6が
今回作動する一つ前、つまり前回の停止直前のブロア電
圧Voを記憶する記憶手段を有するとともに、圧縮機6
の作動後、所定時間の間、記憶された先回のブロア電圧
Voを所定ブロア電圧値Voとして用いても良い。
【0045】これにより、一般的に電磁クラッチ7がO
N−OFF状態のときの、例えば熱負荷、外気温度など
は短時間で変化することが少ないため、一つ前の停止直
前のブロア電圧Voを制御量として出力することで、通
常制御で得られた冷却ファン5の作動音が変化すること
もなく次の作動に織り込められることで快適性を損なう
ことがない。
【0046】なお、上述の実施形態では、冷凍サイクル
として車両用空調装置を対象としたが、車両用冷凍装置
を対象としても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用冷却ファン
の制御装置の搭載状態を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態における電子制御装置10
の制御系を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態における電子制御装置10
の制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における(a)は水温Tw
とブロア電圧Vc1との関係を示す特性図、(b)は凝
縮圧力PHとブロア電圧Vc2との関係を示す特性図で
ある。
【図5】他の実施形態における外気温度Tamとブロア
電圧Voとの関係を示す特性図である。
【図6】他の実施形態におけるブロア電圧Voと所定時
間TM1との関係を示す特性図である。
【図7】従来における冷却ファン制御の制御処理を示す
フローチャートである。
【図8】従来における温風の逆流による凝縮圧力の過渡
期の挙動を示す特性図である。
【符号の説明】
2…水冷式エンジン(液冷式内燃機関) 3…ラジエータ 4…凝縮器 5…冷却ファン 6…圧縮機 7…電磁クラッチ 10…電子制御装置(制御手段) 12…車速センサ(車速検出手段) 14…圧力センサ(圧力検出手段) 16…外気温センサ(外気温度検出手段) PH…所定温度 Vo…所定ブロア電圧値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01P 7/04 F01P 7/04 N

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両走行用の液冷式内燃機関(2)の冷
    却液を冷却するラジエータ(3)、および冷媒を圧縮す
    る圧縮機(6)を有する冷凍サイクルの凝縮器(4)に
    向けて冷却風を送風する冷却ファン(5)と、前記圧縮
    機(6)を前記液冷式内燃機関(2)の駆動源と断続す
    る電磁クラッチ(7)と、前記冷凍サイクルの高圧側圧
    力を検出する圧力検出手段(14)と、前記圧力検出手
    段(14)の検出圧力(PH)に応じて前記冷却ファン
    (5)の作動を制御する制御手段(10)とを備えた車
    両用冷却ファンの制御装置であって、 車両速度を検出する車速検出手段(12)を有し、 前記制御手段(10)は、前記冷凍サイクルの稼働中に
    おいて、前記電磁クラッチ(7)を接続して前記圧縮機
    (6)を作動させるとき、前記車速検出手段(12)に
    より検出された車両速度が所定速度未満の場合には、前
    記圧縮機(6)の作動後の、所定時間の間、送風量を抑
    えるように制御することを特徴とする車両用冷却ファン
    の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段(10)は、ブロア電圧に
    より前記冷却ファン(5)を制御し、前記所定時間の
    間、前記圧力検出手段(14)の検出圧力(P H)に基
    づいて求めた所定ブロア電圧値(Vo)より低いブロア
    電圧値を前記冷却ファン(5)に出力することを特徴と
    する請求項1に記載の車両用冷却ファンの制御装置。
  3. 【請求項3】 外気温度を検出する外気温度検出手段
    (16)を有し、前記制御手段(10)は、前記外気温
    度検出手段(16)により検出された外気温度および前
    記検出圧力(PH)に基づいて前記所定のブロア電圧
    (Vo)を求めることを特徴とする請求項2に記載の車
    両用冷却ファンの制御装置。
  4. 【請求項4】 前記所定時間は、前記所定ブロア電圧値
    (Vo)が高いときよりも低いときの方が短くなるよう
    に可変することを特徴とする請求項2に記載の車両用冷
    却ファンの制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段(10)は、前回の前記圧
    縮機(6)作動の停止直前のブロア電圧を記憶する記憶
    手段を有し、前記所定ブロア電圧値(Vo)が前記記憶
    手段で記憶された停止直前のブロア電圧を出力すること
    を特徴とする請求項2に記載の車両用冷却ファンの制御
    装置。
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