JP2002315381A - ブラシレスモータの駆動制御装置及びブラシレスモータの駆動制御方法 - Google Patents

ブラシレスモータの駆動制御装置及びブラシレスモータの駆動制御方法

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JP2002315381A
JP2002315381A JP2001112639A JP2001112639A JP2002315381A JP 2002315381 A JP2002315381 A JP 2002315381A JP 2001112639 A JP2001112639 A JP 2001112639A JP 2001112639 A JP2001112639 A JP 2001112639A JP 2002315381 A JP2002315381 A JP 2002315381A
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brushless motor
change
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rotation speed
signal
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JP2001112639A
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Kunihiko Goto
邦彦 後藤
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Denso Corp
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Denso Corp
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  • Brushless Motors (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 位置検出手段の取り付け位置にずれを生じて
いる場合でも、ブラシレスモータの回転時に発生する騒
音や振動を極力抑制して進み角通電を行う。 【解決手段】 転流タイミング制御部は、複数の位置検
出素子よりブラシレスモータのロータ位置に応じて出力
される位置検出信号Sa〜Scの出力状態が変化する信
号変化期間tn を測定し(ステップ)その変化率Rt
を演算する(ステップ)。変化率Rt が所定値よりも
大であれば(「YES」)最新の信号変化期間tn に基
き回転速度Vm を推定し(ステップ)、変化率Rt が
所定値以下であれば(「NO」)信号変化期間tn 〜t
n-5 の平均値に基づき回転速度Vm を推定する(ステッ
プ)。そして、推定した回転速度Vm に応じて進み
角,通電角パラメータta,tbを演算すると(ステッ
プ)、ブラシレスモータのコイルに通電を行う(ステ
ップ)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラシレスモータ
に対して進み角通電を行うことで駆動する駆動制御装置
及びブラシレスモータの駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、例えば、電気自動車の駆動用モ
ータとして使用されるブラシレスモータを駆動する、駆
動制御装置の一構成例を概略的に示すものである。バッ
テリ1の正側,負側端子は、直流母線2a,2bを介し
てインバータ回路3に接続されている。インバータ回路
3は、NチャネルパワーMOSFET3a〜3fを三相
ブリッジ接続して構成されており、インバータ回路3の
各相出力端子には、Δ結線されているブラシレスモータ
4のコイル4a〜4cが接続されている。
【0003】ブラシレスモータ4の回転軸には、センサ
マグネット5が直結されている。このセンサマグネット
5は、ロータマグネットに対してα°進み角となるよう
にして組み付けられている。例えばホールICなどで構
成される位置検出素子6a〜6cは、モータ4が回転し
ている状態でのセンサマグネット5の磁界変化を検出し
て、位置検出信号Sa〜Scを転流タイミング制御部7
に出力するようになっている。
【0004】転流タイミング制御部7は、位置検出信号
Sa〜Scを論理合成することにより、モータ4の各相
コイル4a〜4cに通電を行うための転流タイミング信
号D〜Dfを生成し、インバータ回路3の上アーム側や
PWM制御回路などで構成される回転速度制御部8に出
力するようになっている。
【0005】ECU(Electronic Control Unit) 9は、
マイクロコンピュータなどで構成されており、図示しな
い各種センサより出力されるセンサ信号に基づいてモー
タ4の駆動制御を行うものである。ECU9は、回転速
度制御部8に対して速度指令信号を出力し、回転速度制
御部8は、その速度指令信号と転流タイミング制御部7
より出力される転流タイミング信号とに基づいてPWM
信号を生成出力する。そのPWM信号は、ANDゲート
10によりインバータ回路3の上アーム側に与えられる
転流タイミング信号との論理積がとられ、インバータ回
路3の下アーム側に出力される。
【0006】即ち、転流タイミング制御部7及び回転速
度制御部8によって出力される各駆動信号Da〜Dfに
よりインバータ回路3のFET3a〜3fがスイッチン
グされることで、各相コイル4a〜4cに通電される電
流が制御され、モータ4の回転速度が制御されるように
なっている。
【0007】図5は、モータ4が回転している場合に出
力される各信号波形を示すタイミングチャートであり、
図6は、その一部を拡大して示すものである(尚、PW
M制御にかかる部分は図示を省略している)。三相の位
置検出信号Sa〜Scは位相が120°ずつ異なる信号
として出力され、その変化のパターンは図5に示すよう
にイ〜ヘの6パターンとなる。
【0008】例えば、への区間では、位置検出信号Sa
=Lo,Sb=Lo,Sc=Hiの時に、駆動信号Da
=オン,Db=オフ,Dc=オフ,Dd=オフ,De=
オフ,Df=オンとなる。また、モータ4のロータが回
転してセンサマグネット5の磁極位置が区間イの状態に
変化すると、位置検出信号はSa=Hi,Sb=Lo,
Sc=Hiに変化し、駆動信号はDa=オフ,Db=オ
フ,Dc=オン,Dd=オフ,De=オフ,Df=オン
となる。このように、位置検出信号Sa〜Scの各組み
合わせに対応した駆動信号Da〜Dfのパターンを定義
して順次切り換えて出力することで、モータ4を進み角
通電により回転させることができる。
【0009】ところで、図4の構成では、センサマグネ
ット5はα°だけ進み角となるようにしてモータ4に取
り付けられている。これは、モータ4の回転速度が速く
なるほど、駆動信号Da〜Dfを切り換える場合にコイ
ル4a〜4cに流れる電流が遅れる分を補正するためで
あり、通常は最大回転数における効率が最大となるよう
に進み角α°は設定されている。従って、モータ4の回
転速度が低い領域では、駆動信号Da〜Dfを理想的な
転流タイミングよりも速く切り換えることになり、効率
が悪化してしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】斯様な問題を解決する
ものとして、例えば、特開平7−184384号公報に
開示されているように、モータ4の回転速度に応じて進
み角をダイナミックに設定する技術がある。即ち、位置
検出信号Sa〜ScのHi,Loの出力状態が変化する
電気角60°毎の変化周期tn を計測する。例えば、モ
ータ4が三相6極で構成されている場合は、区間イ〜へ
を3回繰り返すとモータ4は1回転することになるか
ら、モータの回転速度は1/(18×tn )で求められ
る。その回転速度に応じた進み角βを決定し、電気角6
0°相当の時間tn より進み角β°に相当する時間を減
算した時間tdを以て、後の区間における転流タイミン
グを設定する。
【0011】例えば、図7に示すように、転流パターン
が区間へから区間イに変化する場合で説明すると、FE
T3aのオフタイミングと、FET3cのオンタイミン
グとを、へ→イの転流タイミングを基準として、次のイ
→ロの転流タイミングを時間td後とすることで、イ→
ロの転流タイミングはβ°だけ進み角通電となる。この
従来技術によれば、モータ4のあらゆる回転速度領域に
おいて最適な進み角通電を行うことができる。
【0012】ここで、例えば、モータ4のセンサマグネ
ット5に対して、位置検出素子6a〜6cの何れか1つ
の取り付け位置にずれが生じている場合や、位置検出素
子6a〜6cが一体に取り付けられている基板の中心軸
が、モータ4の回転軸に対してずれている場合は、図8
に示すように、転流パターンの各期間に長短が生じるこ
とになる。図8では、区間ロ,ホの時間が短くなってお
り、逆に、区間イ,ニの時間が短くなっている。
【0013】斯様な場合には、特開平7−184384
号公報に開示されている技術では、ダイナミックに設定
された遅延時間tdについても転流パターンに生じた長
短の影響を受けざるを得ない。その結果、実際にはモー
タ4の回転速度は一定であるにもかかわらず通電タイミ
ングが転流区間毎に変化してしまうため進み角通電が適
切に行われなくなり、モータ4の効率は低下し、騒音や
振動が大きくなってしまうという問題がある。
【0014】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、位置検出手段の取り付け位置にずれ
を生じている場合でも、ブラシレスモータの回転時に発
生する騒音や振動を極力抑制して進み角通電を行うこと
ができるブラシレスモータの駆動制御装置及びブラシレ
スモータの駆動制御方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のブラシレ
スモータの駆動制御装置によれば、変化期間検出手段
は、複数の位置検出手段によりブラシレスモータのロー
タ位置に応じて出力される位置検出信号の出力状態が変
化する信号変化期間を検出し、速度変化率推定手段は、
ブラシレスモータの駆動状態に基づいてその回転速度の
変化率を推定する。速度推定手段は、信号変化期間と回
転速度の変化率とに基づいてブラシレスモータの回転速
度を推定し、パラメータ決定手段は、推定された回転速
度に応じて進み角通電を行うための進み角パラメータを
決定する。そして、制御手段は、位置検出信号と進み角
パラメータとに基づいて、駆動手段を介してブラシレス
モータに通電を行うタイミングを制御する。
【0016】即ち、速度推定手段におけるブラシレスモ
ータの回転速度の推定が、その回転速度の変化率に応じ
てより適切となるように調整することができる。上述し
たように、位置検出手段の取り付け位置にずれを生じて
いると進み角通電のタイミング決定にも影響を及ぼすた
め、ブラシレスモータを駆動する際に騒音や振動が発生
することになるが、ブラシレスモータの回転速度の変化
率に応じて取り付け位置のずれによる影響を極力排除す
るように調整することが可能となり、騒音や振動の発生
を抑制することができる。
【0017】請求項2記載のブラシレスモータの駆動制
御装置によれば、速度変化率推定手段は、変化期間検出
手段によって検出される信号変化期間の変化率を演算
し、その信号変化期間の変化率に基づいてブラシレスモ
ータの回転速度の変化率を推定する。即ち、位置検出信
号の変化期間の変化率はブラシレスモータの回転速度の
変化率に直接対応しているので、回転速度の変化率の推
定を確実に行うことができる。
【0018】請求項3記載のブラシレスモータの駆動制
御装置によれば、速度推定手段は、速度変化率推定手段
によって推定される回転速度の変化率が所定値よりも大
である場合は最新の信号変化期間のみに基づいて回転速
度を推定し、前記回転速度の変化率が所定値以下である
場合は複数の信号変化期間の平均値に基づいてブラシレ
スモータの回転速度を推定する。
【0019】即ち、ブラシレスモータの回転速度の変化
率が大きい場合は取り付け位置のずれによる影響は相対
的に軽微となり、また、駆動制御の応答性を重視する必
要もあることから、最新の信号変化期間のみに基づいて
回転速度を推定する。一方、ブラシレスモータの回転速
度の変化率が小さい場合は取り付け位置のずれによる影
響は相対的に大きくなるため、複数の信号変化期間の平
均値に基づいてブラシレスモータの回転速度を推定する
ことで、前記ずれによる影響をキャンセルさせて極力排
除することができる。従って、ブラシレスモータの駆動
時における騒音や振動の発生を効率的に抑制することが
できる。
【0020】請求項4記載のブラシレスモータの駆動制
御装置によれば、パラメータ決定手段は、回転速度に応
じてオーバラップ通電を行うための通電角パラメータを
も決定する。ブラシレスモータの駆動制御では、転流時
におけるトルク変動を抑制するためにオーバラップ通電
を行う場合があるが、そのオーバラップ通電期間も回転
数に応じて適切に設定する必要がある。即ち、オーバラ
ップ通電期間が必要以上に長くなると、ブラシレスモー
タのコイルにおいて生じる電力損失が増加するため、効
率が低下することになる。従って、回転速度に応じて通
電角パラメータをも決定することで、ブラシレスモータ
の効率低下を防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について
図1乃至図3を参照して説明する。尚、図4と同一部分
には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分に
ついてのみ説明する。電気的構成を示す図1において、
図4における転流タイミング制御部7は、転流タイミン
グ制御部11(変化期間検出手段,速度変化率推定手
段,速度推定手段,パラメータ決定手段,制御手段)に
置き換わっているが、その他の構成については図4と同
様である。
【0022】図2は、転流タイミング制御部11によっ
て実行される駆動制御処理のフローチャートである。
尚、転流タイミング制御部11はマイクロコンピュータ
を中心として構成されており、図2に示す処理はマイコ
ンの制御プログラムに従ってソフトウエア的に実行され
るものとする。
【0023】転流タイミング制御部(以下、単に制御部
と称す)11は、適当な起動通電パターンをインバータ
回路(駆動手段)3の各FET3a〜3fに出力してブ
ラシレスモータ4を起動させる。すると、ブラシレスモ
ータ4のセンサマグネット5が回転することで位置検出
素子(位置検出手段)6a〜6cによって位置検出信号
Sa〜Scが出力される。
【0024】位置検出信号Sa〜Scは、例えば、その
信号レベルが遷移する立上がり,立下がりの両エッジに
おいて制御部11に対して割り込みを発生させるように
なっている(電気角60°毎)。制御部11は、その割
り込みが発生すると(ステップ)各位置検出信号Sa
〜Scのレベルを読込み、内部のタイマによって前回に
発生した割り込みとの発生間隔を信号変化期間tn とし
て測定する(ステップ,変化期間検出手段,検出ステ
ップ)。そして、測定した信号変化期間tn を内部のメ
モリ(RAMなど)に記憶させる。
【0025】次に、制御部11は、前回測定した信号変
化期間tn-1 を内部のメモリから読み出して変化率Rt
=|(tn −tn-1 )/tn-1 |を演算して推定し、そ
の変化率Rt が例えば0.3(所定値)より大であるか
否かを判断する(ステップ,速度変化率推定手段,変
化率推定ステップ)。Rt >0.3であれば(「YE
S」)、制御部11は、回転速度Vm を(1)式に従っ
て演算することで推定する(ステップ)。 Vm =1/(18×tn ) …(1)
【0026】ここで、信号変化期間tn ,tn-1 等は、
モータ4の回転速度を断片的に(1回転に満たない期間
で)検出したものに対応しており、変化率Rt は、モー
タ4の回転速度の変化率(加速度)に対応する。ところ
で、上述したように、位置検出素子6a〜6cの取り付
け位置にずれが生じていると、図8に示したように転流
パターンに長短が発生するため転流が適切なタイミング
で行われなくなり、モータ4の回転に伴って振動や騒音
が発生する場合がある。
【0027】そして、信号変化期間の変化率Rt が比較
的大である場合はモータ4の回転速度変化が比較的大き
いため、転流パターンに多少の歪みが生じていてもその
影響は小さい。また、変化率Rt が大であれば、駆動制
御の応答性を高める必要があることから、回転速度Vm
を、(1)式により今回の信号変化期間tn を18倍し
たものの逆数として迅速に求めるようにしている。
【0028】一方、ステップにおいて、変化率Rt ≦
0.3であれば(「NO」)、制御部11は、回転速度
Vm を(2)式に従って演算する(ステップ)。 Vm =1/{3×(tn +tn-1 +tn-2 +tn-3 +tn-4 +tn-5 )} …(2)
【0029】即ち、信号変化期間の変化率Rt が比較的
小である場合はモータ4の回転速度変化が比較的小さい
ため、転流パターンに歪みが生じている場合はその影響
を大きく受けることになる。従って、回転速度Vm を
(2)式によって、今回の信号変化期間tn に過去5回
分の信号変化期間tn-1 〜tn-5 を加えて、電気角1周
期分の平均から求めることで、転流パターンの歪みによ
る影響を排除するようにしている。尚、ステップ,
は、速度推定手段及び推定ステップに対応する。
【0030】続くステップにおいて、制御部11は、
回転速度Vm に応じて進み角パラメータta,通電角パ
ラメータtbを演算する(パラメータ決定手段,決定ス
テップ)。進み角パラメータtaは、回転速度Vm に応
じた適切な進み角βを内部のROMテーブルなどから読
み出し、その進み角βに基づき転流タイミングで付与す
るための遅延時間として求める。即ち、ステップを経
た場合は(3)式で求める。 ta=tn ×(α−β)/60 …(3)
【0031】即ち、センサマグネット5をα°進角させ
て組み付けているので、図6に示すta=0の場合で既
にα°進みとなっている。そのα°(例えば、5°)は
最大回転数に応じて設定されているので、それより低い
回転数での進み角は小さくする必要がある。従って、あ
る回転数で設定すべき進み角がβ°(例えば、3°)で
ある場合は、進み角パラメータtaとして設定すべき遅
延時間は(α−β)°(2°)に相当する時間となる
(図3のタイミングチャートでは、見掛け上(α−β)
°の遅れ通電となる)。
【0032】また、ステップを経た場合は(4)式で
求める。 ta= (tn +tn-1 +tn-2 +tn-3 +tn-4 +tn-5 )/6 ×(α−β)/60 …(4) (4)式は、(3)式のtn に代えて、6回分の信号変
化期間tn 〜tn-5 の平均によって求めている。
【0033】また、通電角パラメータtbは、回転速度
Vm に応じた適切なオーバーラップ通電角γを内部のR
OMテーブルなどから読み出し、その通電角γを次の転
流タイミングで付与するための遅延時間として求める。
即ち、ステップ,を経た場合は、夫々(3),
(4)式における(α−β)をγに入れ替えて演算す
る。尚、一般に、ta<tbとなるように設定される。
【0034】ステップにおいてパラメータta,tb
を演算すると、制御部11は、ステップで読み込んだ
各位置検出信号Sa〜Scのレベルに基づき今回の転流
タイミングから次の転流タイミングにかけてオフからオ
ンに変化させるFETに対応する駆動信号を進み角パラ
メータtaだけ遅延させて出力し、ブラシレスモータ4
の各相コイル4a〜4cに通電を行う。また、オンから
オフに変化させるFETに対応する駆動信号を、進み角
パラメータtaに通電角パラメータtbを加えた時間遅
延させて出力する(ステップ,制御手段,制御ステッ
プ)。
【0035】例えば、図3に示すように、転流パターン
の区間へから区間イに移行する場合には、FET3cに
与える駆動信号Dcのオンタイミングを基準タイミング
から時間taだけ遅延させ、FET3aに与える駆動信
号Daのオフタイミングは基準タイミングから時間(t
a+tb)遅延させる。その結果、通電の進み角はβ°
となり、コイル4aとコイル4cとは時間tbだけオー
バラップ通電されることになる。それから、制御部はス
テップに戻り、位置検出信号Sa〜Scによる割り込
みが発生する毎に各転流タイミングにおいて同様の処理
を行う。
【0036】尚、上記の処理では、(α−β)が小さい
値になると進み角パラメータtaも短時間となり、パラ
メータtaを演算するための時間がtaを超える恐れが
ある。その場合、目的とする進み角で通電を行うことが
できなくなる。そのような問題を回避するには、区間へ
において、1つ前の区間ホについて求めた信号変化期間
tn-1 により進み角パラメータtaを演算することで、
区間へから区間イに移行する転流タイミングの前に、パ
ラメータtaを確定すれば良い。 ta=tn-1 ×(α−β)/60 …(5) その場合、(4)式についても各信号変化期間を1区間
だけシフトして、tn-1〜tn-6 に基づいて演算する。
【0037】以上のように本実施例によれば、制御部1
1は、複数の位置検出素子6a〜6cよりブラシレスモ
ータ4のロータ位置に応じて出力される位置検出信号S
a〜Scの出力状態が変化する信号変化期間tn を測定
し、その変化率Rt を演算すると、信号変化期間と変化
率Rt とに基づいてブラシレスモータ4の回転速度Vm
を推定する。
【0038】具体的には、変化率Rt が所定値(0.
3)よりも大である場合は最新の信号変化期間tn のみ
に基づいて回転速度Vm を推定し、変化率Rt が所定値
以下である場合は複数の信号変化期間tn 〜tn-5 の平
均値に基づいて回転速度Vm を推定する。そして、推定
した回転速度Vm に応じて、進み角パラメータta,通
電角パラメータtbを演算するようにした。
【0039】従って、ブラシレスモータ4の回転速度変
化率Rt が大きい場合は、駆動制御の応答性を重視して
回転速度Vm を推定し、変化率Rt が小さいは、位置検
出素子6a〜6cの何れか1つまたはそれら全体の取り
付け位置にずれを生じている場合でも、そのずれによる
影響を極力排除するように回転速度Vm を推定すること
で、ブラシレスモータ4の駆動時における騒音や振動の
発生を効率的に抑制することができる。
【0040】また、回転速度Vm に応じて通電角パラメ
ータtbをも決定するので、ブラシレスモータ4のコイ
ル4a〜4cにおいて生じる電力損失の増加を抑制して
効率が低下することを防止できる。
【0041】本発明は上記し且つ図面に記載した実施例
にのみ限定されるものではなく、次のような変形または
拡張が可能である。通電角パラメータtbは、オーバラ
ップ通電を行う場合に求めれば良い。センサマグネット
5は、必ずしも必要ではない。予め進み角を付与するセ
ンサマグネット5を用いない場合は、(3)式を(6)
式に置き換えて計算すれば良い。 ta=tn ×(60−β)/60 …(6) この場合は、次の転流タイミング“イ”→“ロ”におい
て進み角βを付与することになる。また、(5)式と同
様に、 ta=tn-1 ×β/60 …(7) として演算することで、転流タイミング“へ”→“イ”
において進み角βを付与しても良い。
【0042】更に、信号変化期間を平均化する処理は、
必ずしもブラシレスモータ4の1回転周期分の信号変化
期間から求めるものに限らず、半周期分又は複数周期分
から求めても良い。例えば、半周期分から求める場合
は、(4)式を(8)式に置き換えて演算すれば良い。 ta=(tn +tn-1 +tn-2 )/3×(α−β)/60 …(8) 所定値は“0.3”に限ることなく、適宜変更して設定
すれば良い。ブラシレスモータ4の回転速度変化率の推
定は、信号変化期間の変化率Rt に基づくものに限らな
い。例えば、ECU9によって出力される速度指令値の
変化率や、バッテリ1の電圧変化率などに基づいて推定
しても良く、要はブラシレスモータ4の駆動状態に基づ
いて推定すれば良い。この場合、指令値変化率や電圧変
化率の大小によって回転速度変化率を直接推定しても良
いし、或いは、例えば信号変化期間tn の値との組み合
わせによって推定しても良い。
【0043】転流タイミング制御部11を、ハードウエ
アロジックのみで構成し、同様の処理をハードウエアに
よって実行すれば良い。その場合、転流タイミング制御
部11の各機能をソフトウエア的に実現した各手段(変
化期間検出手段,速度変化率推定手段,速度推定手段,
パラメータ決定手段,制御手段)を夫々ハードウエアの
機能ブロック(変化期間検出部,速度変化率推定部,速
度推定部,パラメータ決定部,制御部)として構成すれ
ば良い。ブラシレスモータは3相6極構成に限ることな
く、設計に応じて適宜変更して実施すれば良い。FET
3a〜3fに代えて、IGBTを用いても良い。電気自
動車の駆動用モータに限ることなく、ブラシレスモータ
を駆動制御するものであれば適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であり、ブラシレスモータの
駆動制御装置の概略的な電気的構成を示す図
【図2】駆動制御装置の転流タイミング制御部によって
実行される駆動制御処理のフローチャート
【図3】転流パターン“へ”から“イ”に移行する場合
において、パラメータta,tbに基づく駆動制御状態
を示す波形図
【図4】従来技術(その1)を示す図1相当図
【図5】基本的な転流パターンを示す波形図
【図6】図3相当図
【図7】従来技術(その2)を示す図6相当図
【図8】位置検出素子の取り付け位置にずれを生じてい
る場合の図5相当図
【符号の説明】
3はインバータ回路(駆動手段)、4はブラシレスモー
タ、6a〜6cは位置検出素子(位置検出手段)、11
は転流タイミング制御部(変化期間検出手段,速度変化
率推定手段,速度推定手段,パラメータ決定手段,制御
手段)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H019 AA04 AA06 BB03 BB05 BB19 BB23 CC03 5H560 AA08 BB04 BB08 BB12 DA03 DA19 DB20 EB01 EC02 GG04 JJ15 UA05 UA06 XA05 XA12 XA15 XB01 XB10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブラシレスモータを駆動するための駆動
    手段と、 前記ブラシレスモータのロータ位置に応じて位置検出信
    号を出力する複数の位置検出手段と、 これら複数の位置検出手段によって出力される位置検出
    信号の出力状態が変化する信号変化期間を検出する変化
    期間検出手段と、 前記ブラシレスモータの駆動状態に基づいて回転速度の
    変化率を推定する速度変化率推定手段と、 前記信号変化期間と前記回転速度の変化率とに基づいて
    前記ブラシレスモータの回転速度を推定する速度推定手
    段と、 この速度推定手段によって推定された回転速度に応じ
    て、進み角通電を行うための進み角パラメータを決定す
    るパラメータ決定手段と、 前記位置検出手段によって出力される位置検出信号と、
    前記パラメータ決定手段によって決定された進み角パラ
    メータとに基づいて、前記駆動手段を介してブラシレス
    モータに通電を行うタイミングを制御する制御手段とを
    備えることを特徴とするブラシレスモータの駆動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記速度変化率推定手段は、前記変化期
    間検出手段によって検出される信号変化期間の変化率を
    演算し、その信号変化期間の変化率に基づいて前記ブラ
    シレスモータの回転速度の変化率を推定することを特徴
    とするブラシレスモータの駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記速度推定手段は、前記速度変化率推
    定手段によって推定される回転速度の変化率が所定値よ
    りも大である場合には最新の信号変化期間のみに基づい
    て回転速度を推定し、前記回転速度の変化率が所定値以
    下である場合には複数の信号変化期間の平均値に基づい
    て前記ブラシレスモータの回転速度を推定することを特
    徴とする請求項1又は2記載のブラシレスモータの駆動
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記パラメータ決定手段は、前記回転速
    度に応じてオーバラップ通電を行うための通電角パラメ
    ータをも決定することを特徴とする請求項1乃至3の何
    れかに記載のブラシレスモータの駆動制御装置。
  5. 【請求項5】 ブラシレスモータのロータ位置を検出す
    ることで出力される複数の位置検出信号について、その
    出力状態が変化する信号変化期間を検出する検出ステッ
    プと、 前記ブラシレスモータの駆動状態に基づいて回転速度の
    変化率を推定する変化率推定ステップと、 前記信号変化期間と前記回転速度の変化率とに基づいて
    前記ブラシレスモータの回転速度を推定する速度推定ス
    テップと、 推定された回転速度に応じて、進み角通電を行うための
    進み角パラメータを決定する決定ステップと、 前記位置検出信号と、前記進み角パラメータとに基づい
    て、前記ブラシレスモータに通電を行うタイミングを制
    御する制御ステップとを有することを特徴とするブラシ
    レスモータの駆動制御方法。
  6. 【請求項6】 前記変化率推定ステップにおいて、前記
    検出ステップにより検出される信号変化期間の変化率を
    演算し、その信号変化期間の変化率に基づいて前記ブラ
    シレスモータの回転速度の変化率を推定することを特徴
    とする請求項5記載のブラシレスモータの駆動制御方
    法。
  7. 【請求項7】 前記速度推定ステップにおいて、前記変
    化率推定ステップにより推定される回転速度の変化率が
    所定値よりも大である場合には最新の信号変化期間のみ
    に基づいて回転速度を推定し、前記回転速度の変化率が
    所定値以下である場合には複数の信号変化期間の平均値
    に基づいて回転速度を推定することを特徴とする請求項
    5又は6記載のブラシレスモータの駆動制御方法。
  8. 【請求項8】 前記決定ステップにおいて、推定された
    回転速度に応じて、オーバラップ通電を行うための通電
    角パラメータをも決定することを特徴とする請求項5乃
    至7の何れかに記載のブラシレスモータの駆動制御方
    法。
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