JP2002313341A - 可逆性電極及びこの可逆性電極を用いた二次電池 - Google Patents
可逆性電極及びこの可逆性電極を用いた二次電池Info
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Abstract
のエレクトロクロミック素子や、微小電極を用いた生物
化学センサー等に好適に利用できる、低い温度において
も酸化還元反応が適切に行われる新規な可逆性電極を提
供する。 【解決手段】 この発明の可逆性電極においては、下記
の化1に示した含硫黄構造単位のひとつ以上を主なる構
造単位として有し、その主鎖が共役構造で連結されてあ
ることを特徴とするレドックス活性重合物を含有させる
ようにしたのである。 【化1】
Description
逆的に行われるレドックス活性重合物を含有する電極に
関するものであり、電池、エレクトロクロミック表示素
子、センサー、メモリーなどの電気化学素子に使用する
ことが可能であり、特に、リチウム二次電池の電極に用
いた場合に、軽量で高エネルギー密度の電池が得られる
ようにする点に特徴を有するものである。
電池として、リチウムの酸化、還元を利用した高起電力
のリチウム二次電池が利用されるようになった。このよ
うなリチウム二次電池においては、その正極材料とし
て、コバルト,ニッケル,マンガン,鉄,バナジウム,
ニオプ等の金属酸化物が一般に使用される。
に用いた場合、その重量が大きくなると共にそのコスト
も高くつき、また反応電子数が少なく、単位重量当たり
における容量が必ずしも十分であるとはいえず、高容量
で高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが困
難であった。
気化学素子として用い、これを軽量で高エネルギー密度
の電池用電極材料や、大面積のエレクトロクロミック素
子や、徽小電極を用いた生物化学センサーに利用するこ
とが検討され、従来、ポリアニリン,ポリピロール,ポ
リアセン,ポリチオフェン等の導電性高分子を電池の電
極に使用することが研究されてきた。
は、高容量で高エネルギー密度が得られる高分子とし
て、有機硫黄化合物を正極材料として使用することが開
示されている。これは、有機ジスルフイド化合物のS−
S結合を電解還元により切断して有機チオレートを形成
し、有機ジスルフイドを有機チオレートの電解酸化によ
り再形成するという可逆的な電極材料である。有機硫黄
化合物は硫黄原子2個あたり2個の電子を可逆な酸化還
元反応に利用でき、高容量なエネルギー材料となる。
利用して充放電を行うものであり、正極材料に使用し
て、高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが
検討されている。しかし、有機硫黄化合物の場合、室温
下での使用においては、酸化還元反応が遅くて、単独で
は大きな電流を取り出すことは困難で、100℃以上の
高温での使用に限られる等の問題があった。また、絶縁
体であるため導電補助剤の添加が必要不可欠であり実際
に利用可能な電池容量は減少する。さらには、還元時
(放電時)に低分子状態になるため電解質溶媒に溶解し
電極外に拡散してしまうため、電極反応の効率劣化をも
たらす。
る方法として、導籠性高分子を組み合わせることが、特
開平4−264363号公報、特開平4−272659
号公報、特開平4−359866号公報、特開平5−6
708号公報、特開平5−82133号公報、特開平5
−135767号公報、特開平5−135768号公
報、特開平5−135769号公報、米国特許第5,3
24,599号明細書等に開示されている。
フイド系化合物のうち、特に、4,5−ジアミノ−2,
6−ジメルカプトピリミジンとπ電子共有系導電性高分
子と複合した電極を、特開平7−57723号公報は、
特に、7−メチル−2,6,8−トリメルカプトプリン
とπ電子共有系導電性高分子と複合した電極を開示して
いる。
スルフィド基を有する導電性高分子を有する電極材料
を、特開平5−314979号公報は、芳香族系炭素原
子に硫黄原子を導入した有機硫黄芳香族系化合物からな
る電極材料を、特開平6−283175号公報は、2,
5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(DM
cT)もしくはチオシアヌル酸の単独重合体または両者
の共重合体からなる電極材料を開示している。
元速度を加速する役目を果たす導電性ポリマーであるポ
リアニリンとの複合体を用いた電極については、特開平
8−213021号公報、特開平8−222207号公
報、特開平9−82329号公報、特開平9−1068
20号公報、特開平10−27615号公報に開示され
ており、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジア
ゾール(DMcT)とポリアニリンとを複合化させるこ
とにより、有機硫黄化合物を常温で作動する二次電池の
正極材料として用いることが可能であることが示されて
いる(「現代化学」1996年10月,第34〜41頁)。
を伴うような化合物が新しくできるわけではないので、
容量劣化を完全に抑えることはできない。また、電極内
でもポリアニリンとDMcTの分離がおこり、電子の移
動が阻まれ電極反応速度が低下する可能性がある。
縁体である、溶解性低分子になるという電池材料として
用いるには不利な特性を有する有機硫黄化合物と他の補
助剤の混合物にすぎず、有機硫黄化合物のこれら不利な
特性の本質的な解決には至らなかった。また、容量に関
しても、有機硫黄化合物の硫黄原子2個あたり2個の電
子を電池反応に利用するのみで、さらなる高容量を達成
できるものではなかった。
エネルギー密度の電池や、大面積のエレクトロクロミッ
ク素子や、微小電極を用いた生物化学センサー等に好適
に利用できる、低い温度においても酸化還元反応が適切
に行われる新規な可逆性電極を提供することを課題とす
るものである。また、この電極を電池に使用した場合
に、例えば、室温においても適切な充放電反応が行わ
れ、大きな電流での充放電が可能になると共に、高容量
で高エネルギー密度の電池が得られるようにすることを
課題とするものである。特に、従来の有機硫黄化合物が
硫黄原子2個あたり2個の電子しか電池反応に利用でき
なかったものを、硫黄原子2個あたり2個以上の電子を
電池反応に利用ならしめ、さらなる高容量電池を提供す
ることを目的とするものである。
〜化5で表される含硫黄構造単位のひとつ以上を主なる
構造単位として有し、その主鎖が共役構造で連結されて
あることを特徴とするレドックス活性重合物を含有する
可逆性電極を提供することで課題を解決することに成功
した。
硫黄構造単位のひとつ以上と、前記の化6〜化11で表
される含共役構造単位のひとつ以上からなる共重合構造
であるであることを特徴とするレドックス活性重合物を
備えることを特徴とする電極を提供することで課題を解
決することに成功した。
負極を有し、上記の可逆性電極を電池正極として用いる
ことを特徴とする二次電池を提供する。
極として用いることを特徴とするリチウム二次電池を提
供する。
で示される共役鎖としては、エチレン鎖、ブタジエン
鎖、ヘキサトリエン鎖、オクタトリエン鎖があげられ
る。Rで示される芳香環としては、ベンゼン環、ナフタ
レン環、フェナレン環、アントラセン環があげられる。
Rで示される芳香族複素環としては、チオフェン環、ピ
ロール環、フラン環、インドール環、オキサジアゾール
環があげられる。
で表される含硫黄構造単位のひとつ以上を主なる構造単
位として有し、その主鎖が共役構造で連結されてあるこ
とを特徴とするレドックス活性重合物を電極として用い
ることで、またさらには、前記の化1〜化5で表される
含硫黄構造単位のひとつ以上と、前記の化6〜化11で
表される含共役構造単位のひとつ以上からなる共重合構
造であることを特徴とするレドックス活性重合物を電極
として用いることで、従来の電極材料にない大容量を得
ることができた。さらに容量劣化や反応速度の本質的な
改善をもたらすことができた。
黄単位あたり2個のマイナス電荷が蓄電されること、酸
化状態においては含硫黄単位または含共役構造単位あた
りプラス電荷が1個以上2個以下蓄電されることで、電
池の充放電反応を可逆に行うことができる。このため、
従来の有機硫黄化合物が硫黄原子2個あたり2個の電子
しか電池反応に利用できなかったものを、含硫黄単位と
含共役構造単位の組み合わせにより、硫黄原子2個あた
りに換算すると、3個以上4個以下の電子を電池反応に
利用ならしめ、さらなる高容量電池を実現化させること
が可能となる。
機硫黄化合物で課題となっていた容量劣化や反応速度の
本質的な改善をもたらすことができた。
も、従来の有機硫黄化合物のようにポリマー主鎖が分解
し低分子化するわけではなく、硫黄はチオール乃至チオ
ケトの形で側鎖として残るので、電解質溶液への溶解拡
散に伴う容量劣化などがない。また、通常の無機化合物
のような結晶構造の崩壊にともなう容量劣化もない。
黄原子は酸化還元時に分子内で反応し易い隣り合った位
置に存在しているため、反応が容易に進行する。π共役
骨格に硫黄原子が結合しているため、電荷移動速度が速
くなる。酸化時のジスルフイド基を含む複素環は、偽芳
香族性を示すことが報告されており、このようなπ電子
豊富な環であるため、その電子移動速度が速くなること
が期待される。その上、酸化状態ではレドックス活性重
合物がπ共役ポリマーとなるため導電性を期待できる。
は、本発明中のレドックス活性重合物に導電材料、イオ
ン伝導材料、バインダー等を必要に応じて加える。導電
材料としては、金属粉末、炭素材料、導電性高分子等を
用いることができる。例えば金属粉末としては、ニッケ
ル,ステンレス鋼等が用いられ、炭素材料としてはアセ
チレンブラック,気相成長炭素,グラファイト等が用い
られ、導電性高分子としては、ポリアニリン,ポリビロ
ール,ポリパラフエニレン,ポリアセチレン及ぴこれら
の誘導体等が用いられる。
ン固体電解質や有機イオン固体電解質が用いられ、有機
イオン固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキ
サイド(PEO),ポリアクリロニトリル(PAN)及
びこれらの誘導体に電解質塩を含有させたポリマーや、
電解質溶液を含浸させたゲル状ポリマー等を用いること
ができる。
フッ化ビニリデン(PVDF)等の電極の作製に通常用
いられるポリマーを使用することができる。
活性重合物を用いて電極を作製するにあたっては、必要
に応じて、2,5−ジメルカプト−l,3,4−チアジ
アゾール(DMcT)等の他の有機硫黄化合物や硫黄を
混合させたり、また電極の比表面積を大きくしたり、そ
の製膜性を向上させるために、ゼオライト,ウイスカー
等の繊維状や粒子状の固形物を混合させることも可能で
ある。
性重合物を用いて電極を作製する方法としては、公知の
方法を用いることができ、例えぱ、上記の可逆性電極材
料レドックス活性重合物に導電材料等を加えて乳鉢で混
合した合剤を集電体等に塗布して形成したり、プレス機
械で押し固めて成形する等の方法を用いることができ
る。
正極材料として好適に使用することができる。上記の可
逆性電極材料レドックス活性重合物を用いて作製した電
極をリチウム二次電池の正極に使用する場合、負極や電
解質には従来より一般に使用されている公知のものを用
いることができる。負極としては、例えぱ、リチウム金
属、リチウム合金、リチウムの吸蔵・放出が可能な炭素
材料や無機材料、アルミニウムまたはアルミニウム含有
合金と炭素とを主成分とする組成物等で構成されたもの
を用いることができる。
カーボネート等の有機溶媒に電解質塩としてLiClO
4 等のリチウム化合物を溶解させた液体や、無機材料を
用いた固体電解質や、ポリマーを用いた固体電解質等を
用いることができ、また、ポリマーに上記の液体を含浸
させてゲル状にしたゲル状ポリマー電解質を使用するこ
とも可能である。
ス活性重合物や電極材料は電池の電極に用いる他に、発
色退色速度の速いエレクトロクロミック素子や、応答速
度の速いグルコースセンサー等のセンサーや、書き込み
・読み出し速度が速い電気化学アナログメモリー等に用
いることもできる。
性重合物の合成方法について、電池の電極材料に用いた
場合を例に具体的に説明する。なお、本発明の可逆性電
極の用途は、下記の実施例に示す電池の電極に限定され
るものではなく、可逆性電極の特性を利用するその他の
用途にも当然適用されるものである。
成 1,4−フェニレンビスチオ尿素1.1gをDMF60
mlに溶解した溶液に、1M水酸化ナトリウム水溶液を
10ml加え、室温下よく攪拌した。この調整溶液に、
反応温度を0℃に保ち攪拌しながら、ナフタレン−2,
6−ジカルボニルジクロライド1.25gをDMF30
mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した。その後、
室温下で5時間攪拌し、沈殿物をろ過し、希塩酸で洗浄
した後、アセトンで洗浄し、80℃真空乾燥4時間後、
固形物1.2gを得た。この固形物を乳鉢で細かく粉砕
し、微粉末状にしたものをトルエン100mlに分散し
たものに、ローソン試薬2gを加え、110℃で8時間
反応させた。反応溶液を熱溶液のままろ過し、加熱トル
エンで数回洗浄した後、アセトン、エタノールで洗浄
し、80℃真空乾燥4時間後、目的のレドックス活性重
合物Aを1.0g得た。なお、反応式を下記の化12に
示した。
価用電極Aの作成 上記のようにして得たレドックス活性重合物Aの粉末
0.4gを乳鉢上でよく粉砕した。これにアセチレンブ
ラック0.4gを数回に分けて加え、粉砕混合した。さ
らにPVDFを0.1g加えてよく混合した後に、DM
F50mlを加えて混練し混合溶液を得た。この溶液
を、大きさ10×l0cm、厚さ30cmのチタン箔上
に印刷した後、80℃で3時間真空加熱処理を行った。
これを1×1cmに切出し評価用電極Aとした。
成 水素化ナトリウム0.45gの無水シクロヘキサン13
0mlの沸騰懸濁液に攪拌しながら、1,4−ジアセチ
ルベンゼン1.6gおよびジメチル−2,4−ヘキサジ
エン−1,6−ジオエート1.7gをシクロヘキサン6
0mlに溶解した溶液を一時間かけて滴下した。その
後、5時間して沈殿物を得た。反応溶液を室温まで冷却
後、沈殿物をろ過し、希塩酸で洗浄した後、アセトンで
洗浄し、80℃で4時間真空乾燥させて、固形物1.9
gを得た。この固形物を乳鉢で粉砕し、粉末状にした
ものをトルエン100mlに分散し、これにローソン試
薬3gを加え、110℃で3日間反応させた。反応溶液
をろ過し、トルエン、アセトン、エタノールで洗浄し、
80℃で4時間真空乾燥させて、目的のレドックス活性
重合物Bを2.0g得た。なお、反応式を下記の化13
に示した。
価用電極Bの作成 上記のようにして得たレドックス活性重合物Bの粉末
0.4gを乳鉢上でよく粉砕した。これにアセチレンブ
ラック0.4gを数回に分けて加え、粉砕混合した。さ
らにPVDFを0.1g加えてよく混合した後に、DM
F50mlを加えて混練し混合溶液を得た。この溶液
を、大きさ10×l0cm、厚さ30cmのチタン箔上
に印刷した後、80℃で3時間真空加熱処理を行った。
これを1×1cmに切出し評価用電極Bとした。
成 2,6−ピリジンジカルボキサミド1.7gをトルエン
100mlに分散したものに、ローソン試薬4gを加
え、110℃で1時間反応させた。反応溶液をエバポレ
ートし、カラムクロマトで分離し、2,6−ピリジンジ
チオカルボキサミドを1.7g得た。95%の蟻酸6.
0mlと70%の過塩素酸6.0mlを加えて混合溶液
を調整し、この混合溶液に上記の2,6−ピリジンジチ
オカルボキサミド1.7gを加え、攪拌しながら30%
の過酸化水素水0.6mlを10分間かけて滴下し、さ
らに20分間攪拌を続け、ついで、これをさらに攪拌し
ながら反応温度が65℃になるように加熱し24時間反応
させ、その後、反応溶液をろ過し、固形物を得た。この
固形物を、水、エタノール、アセトンの順で洗浄し、8
0℃で4時間真空乾燥させて、目的のレドックス活性重
合物Cを0.7g得た。なお、反応式を下記の化14に
示した。
価用電極Cの作成 上記のようにして得たレドックス活性重合物Cの粉末
0.4gを乳鉢上でよく粉砕した。これにアセチレンブ
ラック0.4gを数回に分けて加え、粉砕混合した。さ
らにPVDFを0.1g加えてよく混合した後に、DM
F50mlを加えて混練し混合溶液を得た。この溶液
を、大きさ10×l0cm、厚さ30cmのチタン箔上
に印刷した後、80℃で3時間真空加熱処理を行った。
これを1×1cmに切出し評価用電極Cとした。
l,3,4−チアジアゾール(DMcT)を正極活物質
に用いたものを比較例として示す。
0.4gを乳鉢上でよく粉砕した。これにアセチレンブ
ラック0.4gを数回に分けて加え、粉砕混合した。さ
らにPVDFを0.1g加えてよく混合した後に、DM
F50mlを加えて混練し混合溶液を得た。この溶液
を、大きさ10×l0cm、厚さ30cmのチタン箔上
に印刷した後、80℃で3時間真空加熱処理を行った。
これを1×1cmに切出し評価用電極Dとした。
金属リチウムを負極の参照極とし、LiClO4 をプロ
ピレンカーボネートに溶解し1Mに調整したものを電解
質溶液とし、三極式のビーカー型容器に組み込み、それ
ぞれ評価用モデル電池A,B,C,Dを作製した。電池
の作製は全て窒素ガスフローのグロープボックス内で行
った。電池反応は、放電下限1.75V、充電上限4.
5V、電流値0.1mAの定電流充電反応を繰り返し行
った。
で、表1には、充放電サイクルが1,5,20回目にお
ける、それぞれの電池の放電容量と、その容量をそれぞ
れの正極内のレドックス活性重合物A,B,C中に含ま
れる硫黄原子2個当たりの電子数に換算したものを表記
した。また、表1の放電容量の値は、実験で得られた電
池の放電容量値を、それぞれの電池正極中の電池活物質
A,B,C,Dの仕込み重量に対する値として表記しな
おしたものである。
劣化が激しく、放電1回目から大きな容量を示すことが
できず、放電5回目になると測定不可能になった。一
方、実施例のモデル電池A,B,Cは放電1回目では大
きな容量を示し、放電回数20回目においても容量の劣化
は低かった。また、モデル電池A,B,Cの放電容量
を、それぞれの正極内のレドックス活性重合物A,B,
C中に含まれる硫黄原子2個当たりの反応電子数で換算
すると、その反応電子数は2電子以上の値を示した。こ
れは、従来の有機硫黄化合物が硫黄原子2個あたり2個
の電子しか電池反応に利用できなかったものを、レドッ
クス活性重合物中に共役構造を持ち込むことで、硫黄原
子2個あたり2個以上の電子を電池反応に利用できてい
ることを示すものである。
可逆性電極は、還元状態では含硫黄単位あたり2個のマ
イナス電荷が蓄電されること、酸化状態においては含硫
黄単位または含共役構造単位あたりプラス電荷が1個以
上2個以下蓄電されることにより大容量蓄電を可能なら
しめ、さらには電子の移動がスムーズに行われ、電池充
放電効率も向上する。この可逆性電極を電池の電極、特
にリチウム二次電池の正極材料として用いた場合、大き
な電流での充放電が可能になると共に、高容量で高エネ
ルギー密度の電池が得られるようになった。
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の化1〜化5で表される含硫黄構造
単位のひとつ以上を主なる構造単位として有し、その主
鎖が共役構造で連結されてあることを特徴とするレドッ
クス活性重合物を含有する可逆性電極。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 なお、上記の化1〜化5において、nは2以上の整数で
あり、各式中において同じであっても異なっていてもよ
い。また、XはNまたはCHを表す。Yはプロトンまた
は金属カチオンを示す。 - 【請求項2】 請求項1に記載の可逆性電極において、
上記の化1〜化5で表される含硫黄構造単位のひとつ以
上と、下記の化6〜化11で表される含共役構造単位の
ひとつ以上からなる共重合構造であることを特徴とする
レドックス活性重合物を備えることを特徴とする可逆性
電極。 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】 【化11】 なお、上記の化6〜化11において、mは2以上の整数
であり、各式中において同じであっても異なっていても
よい。また、Rは共役鎖、芳香環、芳香族複素環を表
す。さらに、これらのRに側鎖として低級アルキル基、
アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基等が結合
されていてもよい。 - 【請求項3】 還元状態では含硫黄単位あたり2個のマ
イナス電荷が蓄電されること、酸化状態においては含硫
黄単位または含共役構造単位あたりプラス電荷が1個以
上2個以下蓄電されること、を特徴として備える請求項
1または2記載の可逆性電極。 - 【請求項4】 請求項1または2記載の可逆性電極を正
極に用いた電池において、放電状態では含硫黄単位あた
り2個のマイナス電荷が蓄電され電解質のカチオンと塩
を形成すること、充電状態においては含硫黄単位または
含共役構造単位あたりプラス電荷が1個以上2個以下蓄
電され電解質塩のアニオンと塩を形成することで、電池
反応を繰り返し行うことが可能ならしめる二次電池。 - 【請求項5】 請求項1または2記載の可逆性電極を正
極に用いたリチウム二次電池において、放電状態では含
硫黄単位あたり2個のマイナス電荷が蓄電されリチウム
イオンと塩を形成すること、充電状態においては含硫黄
単位または含共役構造単位あたりプラス電荷が1個以上
2個以下蓄電され電解質塩のアニオンと塩を形成するこ
とで、電池反応を繰り返し行うことが可能ならしめるリ
チウム二次電池。
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