JP2008078040A - 二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化、高エネルギー密度化が期待でき、可逆に反応を行うことができる有機化合物からなる蓄エネルギーデバイス用活物質を提案する。
【解決手段】ビピリミジン骨格部位有する化合物を電極活物質に用いることで高エネルギー密度を有する電気化学素子を得ることができる。この化合物はπ共役構造を維持し、分子内に窒素原子2個を有する化合物であり、多電子反応を行うことができる。
【選択図】なし
【解決手段】ビピリミジン骨格部位有する化合物を電極活物質に用いることで高エネルギー密度を有する電気化学素子を得ることができる。この化合物はπ共役構造を維持し、分子内に窒素原子2個を有する化合物であり、多電子反応を行うことができる。
【選択図】なし
Description
本発明はエネルギー密度が高く、サイクル特性の優れた二次電池を実現する新たな活物質およびそれを用いた二次電池に関する。
近年、移動体通信機器および携帯電子機器などの開発にともない、これらに用いられる電源の需要が非常に大きくなっている。なかでも、繰り返し充放電ができるリチウム二次電池は、高い起電力を有することから高いエネルギー密度が得られることから、携帯電子機器の電源として広範囲に用いられている。
そして、携帯電子機器などの小型化および軽量化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望もますます高まってきており、特に高いエネルギー密度を有する新規電極材料(正極材料および負極材料)の出現が望まれている。特に電極材料の高エネルギー密度化は、電池自体の高エネルギー密度化に直接的に結びつくため、正極材料および負極材料のそれぞれについての研究開発が積極的に行われている。
さらに近年、エネルギー密度が高くより軽量な電池を作製するために、有機化合物を電極材料に用いる検討が行われている。有機化合物は比重が1g/cm3程度と軽く、現在リチウム二次電池材料として用いられているコバルト酸リチウムなどの酸化物と比較しても軽量である。
例えば、特許文献1にはベンゼン環の炭素1つが窒素に置換されたピリジン化合物である2、5−ピリジンジイルの重合体を電池の活物質または電極材料として用いる提案がある。反応メカニズムの詳細については明らかにされていないが、ピリジン骨格部位を酸化還元反応部位として利用することが推察される。ピリジン化合物を電極活物質として用いた場合、活物質のエネルギー密度は反応電子数に比例する。ピリジン化合物を電極活物質として用いた場合、1ユニットあたりの反応電子数は0.5から最大で1.0電子反応となる。よって1ユニットあたりの反応電子数は少なく、高エネルギー密度化を狙った場合十分といえる値ではない。
さらに特許文献2〜5には、ピリジン化合物のN位にフッ素が結合した活物質としてN−フルオロピリジニウム塩を二次電池用電極活物質に用いる提案がある。これはN―F部位が酸化還元部位となり、電池反応を行うことができるという提案である。従来の有機化合物を二次電池用活物質に用いる場合、電圧が低いこと、いわゆるドーピング工程が必要になり製造プロセスが複雑になるなどの課題があった。これらを、高分子材料であるN−フルオロピリジニウム塩を用いることで改善する提案である。
しかし、この化合物の反応は酸化還元反応に伴いLiイオンが動く、Liイオンレドックスシャトルタイプではなく、アニオンが動く反応メカニズムである。この反応では、電解液内の電解質塩濃度によって電池のエネルギー密度が制限されるため、電池内に電解液を多量に入れるなど電解質塩濃度を高くする必要がある。電解液中の電解質塩溶解濃度に制限があるため、結果として電解液量を増やすこととなり、実際の電池体積あたりのエネルギー密度は高くすることができない。よって、高エネルギー密度化にむけての課題がある。
また、特許文献6には、含チッソ化合物高分子とキノン可能物が含まれている電池用複合電極の提案がある。キノン系化合物、および含チッソ化合物はLiイオンなどと反応させると反応の可逆性が悪いという課題があった。このため本文献では、水系電解液を用い、プロトンを移動キャリアとすることで反応の可逆性を改善している。しかし、この系は水素結合を利用しているため、対極としてリチウムイオンを用いた非水電解液系などの高電圧系には展開することができない。水系電解液を用いた場合は正極負極間の電位差が1.2Vを越えることができないために、デバイスとしての高エネルギー密度化を実現することができないことを意味している。
特開平1−178517号公報
特開平7−6756号公報
特開平8−171916号公報
特開平8−171939号公報
特開平10−92433号公報
特開2000−82467号公報
このように、より高エネルギー密度が高く、軽量な電池を作製するために、有機化合物を電池材料に用いるさまざまな取り組みが行われているが、前記課題を解決するには至っていない。具体的には、ピリジン系化合物を電極活物質として用いる場合、さらに反応電子数が最大で1にしかならないことから高エネルギー密度化ができないという課題がある。
これはピリジン骨格では、酸化還元反応に関与する部位がN位の1部位のみしか存在しないためである。さらに、ピリジンのN位にフッ素を導入した化合物では、フッ素の高い電気陰性度の効果によって反応電位を3V以上まで引き上げることが可能になった。しかし、フッ素部位がマイナスに大きく分極しているために、N位はプラスに分極することとなり、対イオンとしてマイナスのアニオンが反応に関与する。よってカチオンであるLiイオンは移動キャリアとなりえず、電池体積を考慮した場合の高エネルギー密度化は困難となる。
一方、プロトン系溶媒を用いる場合には、水素ガス発生電位の制限によって、3.0V級の高電圧系に展開することができない。エネルギー密度は活物質あたりのエネルギー密度と反応電圧の積で表されるため、高エネルギー密度デバイスを構築するためには、高電圧化することも重要である。
そこで本発明は、前記課題を解決し、軽量で、エネルギー密度が高く、サイクル特性に優れた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の二次電池は、正極と、負極と、電解液とを含み、酸化還元反応に伴う電子移動を電気エネルギーとして取り出す二次電池であって、正極および負極のうちの少なくとも一方が、ビピリミジン骨格を有する有機化合物を活物質として含むこと、を特徴とする。
前記のように従来、ピリジン骨格を有する有機化合物を電極活物質として用いる場合、反応電子数が低いという課題があった。反応電子数は、酸化還元に関与する部位の数に依存する。よって、電気化学反応特性を変化させることなく、酸化還元反応に関与する部位を増やすことができればエネルギー密度を上げることができる。
ここで、ピリジン骨格を有する有機化合物の反応メカニズムを説明する。ピリジン骨格はπ電子共役状態にあり、窒素元素部位は不対電子を有している。電気化学的に還元し、ピリジン骨格を有する有機化合物を還元させると、ピリジン骨格に広がったπ電子雲上、特に窒素原子上に電子が分極し、マイナス電荷を持った状態になる。この窒素原子がマイナス電荷を有すると、対イオンとしてカチオンが配位結合状態のような弱い結合を形成する。ここからピリジン骨格を有する化合物を酸化させることで、電子を抜き取ることができ、この反応を用いることで、ピリジン骨格を有する化合物を活物質に用いることができる。よって、この酸化還元反応に関与する部位を増やすことで、分子レベルで反応電子数を上げることが可能となる。本発明はこの課題を解決するために、ビピリミジン骨格を有する有機化合物を活物質に用いる。
ビピリミジン骨格を有する有機化合物は、酸化還元反応に関与する部位として、2つのN位が存在する。酸化還元反応部位を増やすことで反応電子数を上げることができる。しかし、単純に窒素原子を分子内、π電子共役系内に導入するだけでなく、電子共役構造を維持した状態でなくては酸化還元反応を行うことはできない。分子の電子共役状態を維持し、酸化還元部位である窒素原子を導入するには、二重結合が交互に存在する状態でかつ環状構造を維持する必要があり、これは下記一般式(1)で表される有機化合物によって実現される。この骨格は、窒素原子が導入された後も2重結合が交互に存在し、酸化還元反応に必須であるπ電子共役状態にある。ピリジン骨格と同様に窒素部位が酸化還元に関与する。よってビピリミジン骨格を有する化合物の反応電子数は2.0となりエネルギー密度を上げることが可能となる。
一般式(1):
一般式(1):
(式(1)中、R1〜R4は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、不飽和の脂肪族基または飽和の脂肪族基であり、前記アルキル基、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基はハロゲン基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含んでいてもよく、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基は直鎖であっても環を形成していてもよい。R1〜R4は同じであってもよく異なっていてもよい。)
さらに、ビピリミジン骨格の窒素原子が向かい合った位置に存在する下記一般式(2)で表される有機化合物を用いることでより可逆性の高い二次電池用活物質を提供することができる。
一般式(化2):
さらに、ビピリミジン骨格の窒素原子が向かい合った位置に存在する下記一般式(2)で表される有機化合物を用いることでより可逆性の高い二次電池用活物質を提供することができる。
一般式(化2):
(式(2)中、R3〜R8は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、不飽和の脂肪族基または飽和の脂肪族基であり、前記アルキル基、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基はハロゲン基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含んでいてもよく、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基は直鎖であっても環を形成していてもよい。R3〜R8は同じであってもよく異なっていてもよい。)
一般式(2)はビピリミジン骨格の窒素原子が向かい合った位置に存在する2量体化合物であり、この向かい合った2つの窒素原子によって特にLiを安定に配位させることができる。1つの窒素原子のみでもLiを配位させることは可能だがLiが配位した還元状態の可逆性に課題がある。還元状態では、活物質とLiが安定なイオン結合を形成することが必要となるが、一般的にその結合強度は、移動キャリアの電荷密度(+電荷)と活物質の反応部位である窒素原子の電荷密度(−電荷)の差に依存する。つまり、電荷密度の差が大きいもの同士で形成された結合はより安定で強固なものになり、電荷密度の差が小さいもの同士で形成された結合は、解離しやすくより弱い結合となる。
活物質である有機化合物が還元され、アニオン状態となり、Liイオンとイオン結合を形成する場合、Liイオンの電荷密度が非常に高いために形成されたイオン結合が非常に安定となり、酸化反応によって結合が切断されなくなる。これは蓄電デバイスとして必須の可逆反応性、酸化還元速度に制限を与えることとなる。
この問題を回避するために、一般式(2)で表されるビピリミジン骨格が2つつながり、窒素原子が向かい合った状態にあるビピリミジン骨格を有する化合物を用いる。この反応メカニズムは一般式(2)が還元されアニオン状態になり、窒素部位がマイナスの電荷をもつ。そしてLiイオンとイオン結合を形成するが、隣り合った2つの窒素原子で1つのLiイオンとイオン結合を形成する。よって、アニオンの電荷密度が2つの窒素元素に分散されることによって、イオン結合の強度がさがり、より可逆性の高い蓄電デバイス用の活物質となる。
そこで本発明は、ビピリミジン骨格を有する有機化合物を用いることで反応電子数をあげ、さらに酸化状態の安定性を向上させることで、高エネルギー密度かつ可逆性の高い二次電池の活物質を実現することを提案する。
これらの反応を用い、ビピリミジン骨格およびビピリミジン骨格を有する有機化合物をLiイオン二次電池などの蓄電デバイス用電極活物質を実現することができる。
Liイオンを移動キャリアに用いることができれば活物質あたりの重量エネルギー密度が大きいだけでなく、3.0V級の高電圧系のデバイスが構築できデバイス全体として高エネルギー密度化を実現できる。
Liイオンを移動キャリアに用いることができれば活物質あたりの重量エネルギー密度が大きいだけでなく、3.0V級の高電圧系のデバイスが構築できデバイス全体として高エネルギー密度化を実現できる。
本発明のビピリミジン骨格を有する有機化合物を電極活物質に用いることにより、活物質あたりのエネルギー密度を向上させることができる。さらに、Liイオンを用いた系で可逆に酸化還元反応を行うことができる。その結果、高容量かつ可逆性の高い蓄電デバイスを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
本実施の形態1におけるの二次電池は、正極と、負極と、電解液とを含み、酸化還元反応に伴う電子移動を電気エネルギーとして取り出す二次電池であって、正極および負極のうちの少なくとも一方が、ビピリミジン骨格を有する有機化合物を活物質として含むこと、を特徴とする。
本実施の形態1におけるの二次電池は、正極と、負極と、電解液とを含み、酸化還元反応に伴う電子移動を電気エネルギーとして取り出す二次電池であって、正極および負極のうちの少なくとも一方が、ビピリミジン骨格を有する有機化合物を活物質として含むこと、を特徴とする。
本発明で用いられる化合物としては、例えば下記一般式(3)、一般式(4)、式(5)または式(6)で表されるような化合物が挙げられ、また、一般式(3)または一般式(4)に表されるような低分子化合物または高分子化合物のいずれを用いることもできる。また、これらの化合物が構造内に存在する高分子化合物を用いることができる。また、これらの化合物を2種類以上混合して用いてもよい。
一般式(3):
一般式(3):
(式(3)中、R1〜R2は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、不飽和の脂肪族基または飽和の脂肪族基であり、前記アルキル基、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基はハロゲン基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含んでいてもよく、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基は直鎖であっても環を形成していてもよい。R1〜R2は同じであってもよく異なっていてもよい。)
一般式(4):
一般式(4):
(式(4)中、R3〜R6は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、不飽和の脂肪族基または飽和の脂肪族基であり、前記アルキル基、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基はハロゲン基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含んでいてもよく、前記不飽和の脂肪族基および前記飽和の脂肪族基は直鎖であっても環を形成していてもよい。R3〜R6は同じであってもよく異なっていてもよい。)
式(5):
式(5):
本発明において、高分子化合物とは分子量10000〜100000程度の化合物であり、低分子化合物にくらべて、電解液などの溶媒に溶解しにくいという性質を持っている。電極材料として用いた場合には、電解液への溶出が抑えられ、サイクル特性等の安定性にすぐれる。
本発明では、正極、負極の両方に一般式(1)または一般式(2)で表される構造を分子内に有する化合物を用いることもできるし、もしくはどちらか一方に一般式(1)または一般式(2)で表される構造を分子内に有する化合物を用いることもできる。どちらか一方に一般式(1)または一般式(2)で表される構造を分子内に有する化合物を電極活物質として用いた場合には、もう一方の電極には二次電池の活物質材料として一般的なものを用いることができる。
一般式(1)で表される有機化合物は、Li基準に対して、1.5〜1.8V付近に酸化還元電位を持つ。よって、この化合物を正極活物質として用いた場合、負極として0.0V付近に酸化還元電位を持つグラファイトなどの炭素系化合物を用いることで二次電池を作製することができる。
また負極材料として一般式(1)で表される有機化合物を用いた場合、正極材料として3.5V付近に酸化還元電位を有するコバルト酸リチウムなどの遷移金属酸化物を用いることで二次電池を作製することができる。
たとえば、正極材料としてこの一般式(1)で表される構造を分子内に有する化合物を用いた場合には、負極活物質として、グラファイトや、非晶質炭素材料、リチウム金属、リチウム含有複合窒化物、リチウム含有チタン酸化物、スズ(Sn)および炭素または他の金属との複合物を用いることができる。
また、負極材料として一般式(1)で表される構造を分子内に有する化合物を用いた場合には、正極活物質としてLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4などの金属酸化物等を用いることができる。負極材料として一般式(1)で表される化合物を用いた場合、正極材料として3.5V付近に酸化還元電位を有するコバルト酸リチウムなどの遷移金属酸化物を用いることで二次電池を作製することができる。
本発明では、一般式(1)で表される構造を分子内に有する化合物を電極活物質に用いた場合の、電極抵抗を低減する目的で、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック等の炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子を導電補助剤として混合させてもよい。また、イオン伝導補助剤として、ポリエチレンオキシドなどの固体電解質、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチルなどのゲル電解質を混合させてもよい。
本発明では電極内物質の、各構成材料の結着性を向上させるために、結着剤を用いてもよい。この結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等を用いることができる。
本発明では、正極集電体または負極集電体として、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、ステンレス、アルミニウム合金等の金属箔や、メッシュ状のものを用いることができる。また、集電体上にカーボンなどを塗布し、抵抗値を減少させたり、触媒効果をもたせたり、活物質と集電体を化学結合、物理結合させる機能を持たせてもよい。
本発明では、正極、負極間のセパレータに電解液を含有させるが、この電解液内に含まれる電解質塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属やマグネシウムなどのアルカリ土類金属のハロゲン塩、過塩素酸塩およびトリフロロメタンスルホン酸塩を代表とする含フッ素化合物の塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、そのような電解質塩の具体例として例えばフッ化リチウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、トリフロロメタンスルホン酸リチウム、四ホウフッ化リチウム、ビストリフロロメチルスルホニルイミドリチウム、チオシアン酸リチウム、過塩素酸マグネシウム、トリフロロメタンスルホン酸マグネシウム、四ホウフッ化ナトリウムなどが挙げられる。
また、その電解液としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ―ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
また電解質としては、固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、Li2S−SiS2+a(aはLi3PO4、LiI、Li4SiO4から選ばれた少なくとも1つ)、Li2S−P2O5、Li2S−B2S5、Li2S−P2S5−GeS2、以外にもナトリウム/アルミナ(Al2O3)、無定形、低相転移温度(Tg)のポリエーテル、無定形フッ化ビニリデンコポリマー、異種ポリマーのブレンド体、ポリエチレンオキサイドなどがあげられ、ポリアクリロニトリル、エチレンとアクリロニトリルとのコポリマーまたは架橋されたポリマーにエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの低分子量非水溶媒を加え、それに電解質塩を添加したイオン伝導性ゲルポリマー電解質などが好適に用いることができる。
以下に本発明の電極材料について、実施例とともに詳細に説明する。なお、各実施例では作製した電極活物質の評価を、サイクリックボルタモグラム測定を測定することで行った。
《実施例1》
ビピリミジン化合物を用いLiイオンが移動メディアとなる系において、電気化学反応が可逆に進行するかについて、サイクリックボルタンメトリーをもちい検討を行った。試験は、活物質として前述した一般式(2)の化合物においてR3〜R8が水素原子である前述した式(5)で表される化合物(2、2’−ビピリミジンジイル)を10mMの濃度となるように、ジメトキシエタン溶媒に溶解させた。これに支持電解質として、ほうフッ化リチウムを1M溶解させた。ここに作用極としてグラッシーカーボン、対極および参照極として金属リチウム用い、リチウム基準に対して0.5〜3.0Vの電位範囲で電位走印を行った。
ビピリミジン化合物を用いLiイオンが移動メディアとなる系において、電気化学反応が可逆に進行するかについて、サイクリックボルタンメトリーをもちい検討を行った。試験は、活物質として前述した一般式(2)の化合物においてR3〜R8が水素原子である前述した式(5)で表される化合物(2、2’−ビピリミジンジイル)を10mMの濃度となるように、ジメトキシエタン溶媒に溶解させた。これに支持電解質として、ほうフッ化リチウムを1M溶解させた。ここに作用極としてグラッシーカーボン、対極および参照極として金属リチウム用い、リチウム基準に対して0.5〜3.0Vの電位範囲で電位走印を行った。
《比較例1》
ピリジン骨格を有する化合物として、ピリジンジイルを10mMの濃度となるように、ジメトキシエタン溶媒に溶解させた。これに支持電解質として、ほうフッ化リチウムを1M溶解させた。ここに作用極としてグラッシーカーボン、対極および参照極として金属リチウム用い、リチウム基準に対して0.5〜3.0Vの電位範囲で電位走印を行った。
ピリジン骨格を有する化合物として、ピリジンジイルを10mMの濃度となるように、ジメトキシエタン溶媒に溶解させた。これに支持電解質として、ほうフッ化リチウムを1M溶解させた。ここに作用極としてグラッシーカーボン、対極および参照極として金属リチウム用い、リチウム基準に対して0.5〜3.0Vの電位範囲で電位走印を行った。
実施例1および比較例1の検討から得られたサイクリックボルタモグラムを図1に示す。図1の結果のように、比較例1の場合は、初期2.2V付近に還元反応に伴う電流値が観察されるが、その後酸化反応は観察されない。一方、実施例1のようにビピリミジン骨格を有する2、2’−ビピリミジンジイルをもちいた場合には、還元反応、酸化反応ともに電流値が観察され、さらに2つのシャープなピークが観察されていることから2電子反応を行っていることが分かる。
以上の結果から、ピリジン骨格を有する有機化合物の場合は、反応電子数が1.0電子以下と少なく、反応の可逆性も非常に悪い。これは、Liイオンとの反応部位であるN位とLiイオンとの結合が非常に強固であるため還元反応によって一度Liイオンと結合を形成すると、その後の酸化反応によって酸化されないためである。一方、ビピリミジン骨格を有する有機化合物の場合には、2段階の反応、つまり2電子反応を行い、その反応の可逆性も非常に高いことが分かった。
《実施例2》
ビピリミジン化合物を用いLiイオンがカチオンとなる系において、電気化学反応が可逆に進行するかについて、モノマー化合物である2、2’−ビピリミジンジイルを30mg、導電補助剤としてアセチレンブラック30mgを均一になるまで混合し、溶剤としてN−メチルピロリドンを1mL加えた。その後、活物質と導電剤とを結着させる目的で結着剤としてポリフッ化ビニリデン5mgを加え、均一になるまで混合させ、黒色のスラリーが得られた。これをアルミ箔集電体上にキャストし、室温にて1時間真空乾燥を行った。乾燥後これを13.5mmの円盤上に打ち抜いて正極極板とした。
電解質としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルを重量比1:1で混合したものに、1Mホウフッ化リチウムを溶解させたものを電解液として用いた。
ビピリミジン化合物を用いLiイオンがカチオンとなる系において、電気化学反応が可逆に進行するかについて、モノマー化合物である2、2’−ビピリミジンジイルを30mg、導電補助剤としてアセチレンブラック30mgを均一になるまで混合し、溶剤としてN−メチルピロリドンを1mL加えた。その後、活物質と導電剤とを結着させる目的で結着剤としてポリフッ化ビニリデン5mgを加え、均一になるまで混合させ、黒色のスラリーが得られた。これをアルミ箔集電体上にキャストし、室温にて1時間真空乾燥を行った。乾燥後これを13.5mmの円盤上に打ち抜いて正極極板とした。
電解質としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルを重量比1:1で混合したものに、1Mホウフッ化リチウムを溶解させたものを電解液として用いた。
上記方法で作製した正極と、リチウム金属(厚さ;300μm)を負極とし、コイン型電池を作製後、特性評価を行った。評価に用いたコイン型電池の概略断面図を図2に示す。電池作製は以下の手順で行った。
まず、正極23をケース21に設けた集電板22上に置き、その上に多孔質ポリエチレンシートからなるセパレータ24を設置した。次に、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを体積比1:1で混合した溶媒にモル濃度1Mの6フッ化リン酸リチウムを溶解させた電解液をケース内に注液した。次いで、内面に負極26を圧着し、周縁部にガスケット28を装着した封口板25をケース21に組み合わせて、プレス機にてかしめて封口し、特性評価用のコイン電池を得た。
作製した電池について、正極に0.133mAの電流で、電圧範囲1.2V〜4.0Vで定電流充放電を行いLiイオン系における電池反応の可能性検討を行った。その結果を図3に示す。図3の結果から、2、2’−ビピリミジンジイルを用い電池を作製した場合にも、充放電反応を行うことが確認された。
以上の結果から、ビピリミジン構造を有する化合物が高エネルギー密度二次電池用電極活物質として有用であることがわかる。
本発明の二次電池は、高出力、軽量、高容量な蓄電デバイスを提供することができる。これら二次電池は、各種携帯機器あるいは、輸送機器、無停電電源などの用途に使用することができる。
Claims (7)
- 正極と、負極と、電解液とを含み、酸化還元反応に伴う電子移動を電気エネルギーとして取り出す二次電池であって、
前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、ビピリミジン骨格を有する有機化合物を活物質として含むこと、を特徴とする二次電池。 - 前記ビピリミジン骨格を有する有機化合物が、前記一般式(1)で表される構造を分子内に有する高分子化合物であること、を特徴とする請求項2記載の二次電池。
- 前記ビピリミジン骨格を有する有機化合物が、前記一般式(2)で表される構造を分子内に有する高分子化合物であること、を特徴とする請求項3記載の二次電池。
- 前記ビピリミジン骨格を有する有機化合物の酸化還元反応に伴い、前記ビピリミジン骨格を有する有機化合物に電解質カチオンが配位すること、を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池。
- 前記電解質カチオンがリチウムイオンであること、を特徴とする請求項6記載の二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006257715A JP2008078040A (ja) | 2006-09-22 | 2006-09-22 | 二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006257715A JP2008078040A (ja) | 2006-09-22 | 2006-09-22 | 二次電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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